資料5 栄養教諭養成・免許制度の在り方について(報告)(骨子案)

栄養教諭免許制度の在り方に関するWG
平成15年11月10日

  • 初等中等教育分科会教員養成部会においては、中央教育審議会「食に関する指導体制の整備について(中間報告)」(平成15年9月10日)を受けて、食に関する指導体制の在り方について審議を行った結果、「栄養教諭免許制度の在り方に関するワーキンググループ」を設け、栄養教諭の免許状の創設に向けて必要な課題について専門的な観点から検討を行うこととなった。
  • 栄養教諭の免許状を創設するためには、他の教諭等と同様に、教育職員免許法上に、免許状の種類、各免許状を授与するための基礎資格や大学等で修得することが必要な内容等を新たに規定することが必要である。
  • 栄養教諭は、教育に関する資質と栄養に関する専門性をあわせ持つ職員として、学校給食を生きた教材として活用した効果的な指導を行うことが期待される。その職務内容としては、食に関する指導(児童生徒や保護者への個別的な相談指導・助言、児童生徒への教科・特別活動等における集団指導、学校全体における食に関する指導の連携・調整)と学校給食の管理を一体的に担うとしている。そのために、学校栄養職員と同等以上の栄養に関する専門的知識・能力に加え、児童生徒の心理や発達段階に配慮した指導ができるよう、教育の専門家としての資質が求められる。
  • このため、栄養教諭の免許状を創設するに際しては、保健指導と保健管理をその職務とする養護教諭の例を参考としつつ、栄養教諭の職務の特性を十分踏まえるという観点で行うことが必要と考える。
  • 本ワーキンググループでは、このような認識の下に、栄養教諭の免許状の創設に関係する地方公共団体、大学等養成機関関係団体、教職員団体等から意見等を聴取しつつ、以下の方向で検討を行っているところである。

1.栄養教諭の免許状の種類及び養成の在り方

  • 栄養教諭としての職務内容を適切に行うことができるための資質能力として、栄養に関する専門性と教職に関する専門性を、栄養教諭の養成課程において身に付けさせる必要がある。
  • その際には、他の教諭等と同様に、現在の教員養成・免許制度の基本理念を踏まえた措置等を行うことが適当と考える。

1 免許状の種類

  • 栄養教諭の免許状の種類は、幅広く人材を求めることによって、教員組織全体の活性化を図るとともに、現職教員の自発的な研修を助長するため、普通免許状として専修免許状、一種免許状、二種免許状の3種類とすることが必要と考える。
  • 栄養教諭の配置についての上記中間報告における考え方、栄養教諭の職務内容には給食の管理が含まれていることなどの栄養教諭制度の性格等にかんがみ、臨時免許状や特別免許状は設ける必要はないと考えられる。

2 免許状取得のための基礎資格

  • 免許状取得のための基礎資格としては、他の教諭等の場合と同様、専修免許状については修士の学位(大学院修士課程修了程度)、一種免許状については学士の学位(大学卒業程度)、二種免許状については準学士の称号(短期大学卒業程度)を有することを原則とすることが必要と考える。
  • 栄養教諭の職務のうち給食管理については、学校給食法において栄養士の免許が必要とされているが、栄養教諭はこれに加えて食に関する指導をその職務とすることから、栄養士と同等以上の専門性が求められる。このため、専修免許状、一種免許状については、学士の学位等を有することに加えて、管理栄養士免許を取得するために必要な程度の専門性を有することを基礎資格として求めることを検討する必要がある。

3 「栄養に関する科目」の内容と単位数

  • 栄養に関する専門性を修得させるための「栄養に関する科目」は、一種免許状については管理栄養士養成のための教育課程と同程度の内容・単位数、二種免許状については栄養士養成のための教育課程と同程度の内容・単位数を基本として検討する必要がある。

4 「教職に関する科目」の内容と単位数

  • 教職に関する専門性を修得させるための「教職に関する科目」は、養護教諭の養成課程と同程度の内容・単位数が必要と考える。

5 養成課程

  • 現行の教員養成・免許制度の基本理念の一つとして、「大学における開放制の教員養成」を行うこととしていることに照らし、栄養教諭の養成においても、文部科学大臣の課程認定を受けた大学の教職課程において必要な栄養に関する科目や教職に関する科目の単位を修得し、学士等の学位を有することを基本とすることが必要と考える。
  • 一方、現在の管理栄養士、栄養士の養成課程として、大学以外に専門学校等においても、学校栄養職員として教育現場に優れた者を輩出していることにかんがみ、栄養教諭の養成における専門学校等での学修の取扱いについても、今後検討する必要がある。

2.栄養教諭の上位の免許状等の取得のための方策

  • また、教員養成・免許制度上、現職の教員が研修により、自発的に高度の資質能力を備えることを期待されており、栄養教諭についても、採用後に自ら不断にその資質能力の向上を図ることが望まれる。このため、他の教諭等の場合と同様、栄養教諭の二種免許状や一種免許状を有する者が、それぞれ一種免許状や専修免許状を取得しようとする場合に、栄養教諭としての在職年数(3年程度)と、免許法認定講習等において必要な単位数を修得することにより、都道府県教育委員会が行う教育職員検定を経て取得できる措置を設けることが必要と考える。
  • この場合、二種免許状を有する者には、養護教諭の場合と同様、一種免許状取得の努力義務を課すとともに、栄養教諭としての在職年数等に応じて修得が必要な最低単位数を一定程度まで逓減する措置を講ずることが必要と考える。

3.学校栄養職員に対する措置

1 教員免許を有しない学校栄養職員に対する措置

  • 学校栄養職員が栄養教諭の免許状を取得する場合には、学校栄養職員等としての在職年数と免許法認定講習等での単位修得により、教育職員検定によって授与することが必要と考える。

2 他の教員免許を有する学校栄養職員に対する措置

  • 他の教諭や養護教諭の免許状を有する学校栄養職員が、栄養教諭の免許状を取得する場合には、修得することが必要な単位数の全部又は一部を免除し、管理栄養士免許を有する程度の専門性を有する者については一種免許状を、栄養士免許を有する程度の専門性を有する者については二種免許状を取得できるようにすることが必要と考える。

4.その他

  • 食に関する指導の重要性にかんがみ、栄養教諭以外の教諭等に対しても、必要な資質能力を身に付けさせることについて、今後検討する必要がある。
  • 本ワーキンググループにおける関係団体からの意見聴取において、栄養教諭の養成・免許制度の在り方以外に、栄養教諭の各教科等とのかかわり、活動形態等について意見等が寄せられたところであり、これらについて関連する部会等において適切な審議が行われることが必要と考える。

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