資料2 全国高等学校長協会 提出資料

平成27年9月10日


「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」
(教員養成部会 中間まとめ)に対する意見


全国高等学校長協会

1 はじめに
  本中間まとめにおける「1.検討の背景」、「2.これからの時代の教員に求められる資質能力」についての認識については、本協会としても基本的に同じ認識である。それを踏まえた上で、「3.教員の養成・採用・研修に関する課題」、「4.改革の具体的な方向性」について、以下に意見を述べる。
  特に、高等学校は、課程(全日制、定時制、通信制)や学科(普通科、専門学科、総合学科)等の違いによって学校の性格・目的が異なる。中学卒業生の約98%が進学する状況において同じ学科の学校であっても、在籍している生徒の状況によって教育内容が大きく異なる。など学校によっての違いが大きいという小・中学校には見られない特性がある。教員の養成・採用・研修にあたってもこれらの特性を踏まえることが重要であると考える。

 

2 「3.教員の養成・採用・研修に関する課題」について
  日常業務の多忙化などに必要な研修のための時間の確保が課題として上げられ(p8)、チームとしての学校の力の向上の方策が述べられている。方向性としては理解できるもののこれらの課題を抜本的に改善するためには、教員定数増、学級定数減などの予算措置を強力に推進するべきである。

 

3 「4.改革の具体的な方向性」について
 (1) 養成・採用・研修を通した資質能力の向上施策(p13)を進めるために、教育委員会、大学等の関係者だけでなく、学校現場で直接教育に携わっている者を加えてほしい。 
 (2) 国が示した指針に基づき、各地域が教員育成指標・研修計画を作成する方向性(p13)は理解できる。指標・計画の策定にあっては、学校の状況を十分把握した上で具体的でわかりやすいものにしていただきたい。
 (3) 新たな教育課題への対応について、中間まとめでは校内研修システムの構築や各課題についての校内研修の必要性が述べられている(p16)。研修の必要性は理解するものの、それだけ教員の時間的負担増になることは必至であり、研修を実施することにより、生徒と接する時間が減少するということにならないような施策を考えていただきたい。
 (4) 教員免許更新講習と十年経験者研修の在り方については、中間まとめに書かれてあるように、十年経験者研修を「中堅教員能力研修」とし、地域の実情に応じた時期に受講させるなどの教育公務員特例法の見直しを行う(p23)方向で進めていただきたい。
  (5) 学校インターンシップの導入(p28)については、中間まとめに書かれてあるように、学生の実践的指導力の基礎の育成に有効であるとともに、受け入れる学校にとっても教員の手が届きにくい所にきめ細かい指導が可能になるという利点がある。その反面、インターンシップを行う学生への指導や単位化に伴う評価等で教員の負担が増えることも予想され、これに対する対応が必要である。
  (6) 教職課程担当教員の資質能力の向上等(p31)については、中間まとめに書かれてあるように、学校現場体験を含む実践的な内容の研修は極めて有効であると考える。現在、現職教員が大学・大学院で研修を受ける機会は担保されているが、教職課程担当教員が学校現場で研修を行う機会は限られていると思われる。また、研修や視察が行われたとしてもその場所は大学付属学校や研究モデル校が多いように思われる。高等学校の多様性や特に初任者等経験の浅い教員の勤務実態を考えると、教職課程担当教員が生徒指導・教科指導困難校において実践的な研修を行ったり、これらの学校を視察したりすることが重要である。昨今の、児童・生徒の実態が日々刻々変化している状況下においては、少なくとも数年に1回程度は実施していただきたい。
  (7) 教科に関する科目の充実(p31)について、高等学校進学率の上昇や生徒の多様化の中で、高等学校には学習に興味・関心を持たない生徒が数多く在籍している。このような生徒に対する指導で大切なことは、生徒の「学習内容が理解できない。興味が持てない。」という状態をきちんと理解できるかどうかということである。一般的に教員志望の学生は、志望する当該教科の学習が得意であった者が多い。また、殆どの学生は教育実習等を自らの母校で行うことから、このような状況の高校生と触れ合うことなく教員となるものが大多数である。
    実践的な指導力を備えた教員を育成するに当たっては、生徒指導・教科指導困難校等様々な学校で、教育実習やインターンシップを行うことが必要である。

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-- 登録:平成27年10月 --