資料4-1 今後の教員養成における課題

今後の教員養成における課題

平成26年3月25日

新宿区立早稲田小学校長 堀竹  充

(1) 専門性に秀で、実践的指導力を備えた教員養成実現のための課題

(現状と課題)

  • 現在、自治体によっては、教員採用選考に合格し、採用の決まった人材を対象に採用前から研修を義務づけている自治体がある。(理科、体育等)
  • 本来は、教員養成課程において実践的指導力の育成を図るべきであるが、現状を見ると、それが十分機能していない危惧が学校現場にはある。
  • 特に小学校教員は、近年、様々な教育課題への対応が求められる中で、教科教育に関わる専門的知識や指導技術を幅広く身に付けることが求められる傾向がある。
  • 大学の教員養成課程を卒業したばかりの教員であっても、ベテランの教員と同等の指導力を求める保護者の要望があり、現場でじっくり育成する時間を取ることが難しい。

(改善に向けた提言)

  1. 小学校教育においては、専門的知識の育成よりも実践的な指導力の育成に重点を置いた教員養成課程へのカリキュラムの見直しを進める
  2. 任用後の教員研修に担わせる内容と、教員養成課程で養成すべき内容を初任者研修の内容も含めた教員養成の中期的ビジョンの下で検討する
  3. 教員養成課程における、実践的指導力の育成担当の教員の配置比率を高める
  4. 英語教育に関しては、専科教員としての英語科教員の育成を早期に進める
  5. 教員が、自己の課題に応じて学び直しができる制度の検討と費用面での支援制度の検討

(2)免許制度の見直しについての課題

 (現状と課題)

  • 教員免許の取得に関して、一部教科を除いて校種ごとに免許を発行しているため、主たる免許以外の免許取得に関しては、専門的知識も実践的指導力もその育成が十分ではない
  • 小中一貫教育等の多様な教育体制を視野に入れた教員養成課程のカリキュラムの開発がなされていない
  • 教員の免許更新制度の内容が、多様な教育体制への対応を視野に入れたものとなっていない
  • 取得したままで実際に教員をしていない者が教員になった場合、特に、講習等を改めて受ける必要がないため、指導力に課題のある場合がある 

 (改善に向けた提言)

  1. 多様な教育体制への対応を視野に入れた、教員養成カリキュラムの開発と指導法・指導技術に関する科目での研修を義務づける
  2. 副免制度について、今後検討する
  3. 多様な人材の登用に当たっては、教師としての適性や専門性の担保を制度として確立したうえで、慎重に推進する

(3)養成・採用・研修についての大学と教育委員会それぞれの強みを生かした教員養成の在り方

 (現状と課題)

  • 実践力を向上させるために教員養成段階から教育委員会が関与するなど、互いの強みを生かした取り組みは一部自治体の先導的な取組にとどまっている
  • それぞれの強みを生かした教員養成を進めるにあたっては、人材の確保、実施時間の確保、事業推進のための負担の軽減、推進組織の在り方などの課題を十分検討して進める必要がある
  • 大学と教育委員会が協働して担う一貫した教員養成制度について、国としての制度設計が進んでいないため、まだ実施の土壌ができていない

 (改善に向けた提言)

  1. モデル推進地域等を設け、一貫したカリキュラム、指導体制、教員養成上のメリットを明らかにする
  2. 行政からの人材派遣の時間の弾力的な運用を検討する
  3. 大学と教育委員会の役割を明確にした事業の推進 

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初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成26年04月 --