教員養成部会(第102回) 議事録

1.日時

平成30年10月16日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

三田共用会議所 第四特別会議室

東京都港区三田二丁目1番8号

3.議題

  1. 初等中等教育分科会教員養成部会運営規則の一部を改正する規則について
  2. 平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について(答申案)【審議】
  3. 幼保連携型認定こども園における保育教諭の資格特例及び幼稚園免許状取得の特例について【審議】
  4. 免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議報告について【報告】
  5. 教員免許制度に係る検討事項について【審議】

4.議事録

【無藤部会長】  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第102回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
 初めに、文部科学省におきまして、組織再編がありましたので、事務局より御紹介をお願いいたします。
【渡邉教育人材政策課課長補佐】  文部科学省におきましては、本日付で学校教育と社会教育を通じたより総合的・横断的教育政策を推進し、生涯学習政策のさらなる強化を実現するため、総合教育政策局を設置するなどの組織再編を行ったところでございます。
 その中で、本部会の事務局を担当しておりました初等中等教育局教職員課につきましては、従来、初等中等教育局と高等教育局とに分かれておりました教員の養成・採用・研修の業務を一元化するとともに、生涯学習政策局で行われていた社会教育主事等の社会教育人材の育成に関する業務も一体的に行うことで、教育を支える専門人材の育成政策の総合的な推進を図るため、教育人材政策課に再編されたところでございます。
 なお、今回の組織再編に伴いまして、本部会の所掌事務については、特段の変更はございませんので申し添えます。
 また、組織再編に伴いまして、新たに本部会を担当させていただくこととなりました職員を紹介させていただきます。
 大臣官房審議官総合教育政策局担当の平野統三でございます。
【平野大臣官房審議官】  平野と申します。どうかよろしくお願いいたします。
【渡邉教育人材政策課課長補佐】  総合教育政策局教育人材政策課教員養成企画室長の髙田行紀でございます。
【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】  髙田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【渡邉教育人材政策課課長補佐】  以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 次に、会議資料のペーパーレス化と本日の配付資料につきまして、事務局より御説明と御確認をお願いいたします。
【渡邉教育人材政策課課長補佐】  現在、文部科学省におきましては、審議会等の会議資料のペーパーレス化の取組を進めておりまして、本部会におきましても本日の会議より会議資料のペーパーレス化をさせていただくこととしてございます。慣れるまでに御不便をおかけすることもあるかと存じますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。
 次に、資料の確認をさせていただきます。端末のデスクトップに第97回から第102回の本部会の会議資料を格納したフォルダがございます。そのうち、第102回というフォルダをお開きいただきますと、本日の会議資料であります座席表、議事次第、また、議事次第に記載のとおりの資料1-1から資料4-3まで、また、参考資料1から3までを格納してございます。そのうち、ファイル名に「委員のみ配付資料」と付してございます資料1-3ほか、1種類の資料につきましては、審議の公平性を期すため、教員養成部会運営規則の規定によりまして、非公開とさせていただいているところでございます。
 不明な点等ございましたら、お近くの事務局員までお申し付けください。
 以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 それでは、議事に入りますけれども、本日、議事案件が4件、報告案件が1件ということでございます。議事の2につきましては、特に了承が得られるならば、答申するということを予定してございますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事の1に入ります。教員養成部会運営規則の一部改正について、事務局より御説明をお願いいたします。
【渡邉教育人材政策課課長補佐】  資料1を御覧ください。冒頭、説明を申し上げました組織再編に伴いまして、教員養成部会運営規則の一部を改正する規則(案)についてでございます。
 具体的な改正内容については、2ページ目の新旧対照表を御覧ください。会議の傍聴に係る規定の中で、部会の事務局について定めを置いており、これを「初等中等教育局教職員課」から「総合教育政策局教育人材政策課」に改めるものでございます。
 3ページ目を御覧いただきますと、本規則は決定の日から施行することとしてございます。
 以上、よろしく御審議のほどお願いいたします。
【無藤部会長】  冒頭の組織改編に伴っての事務的な変更でございますけれども、何か御意見、御質問等があればと思いますが、いかがですか。
 では、この点は御了解いただいたということでよろしくお願いいたします。案のとおりの決定でございます。
 それでは、次でありますけれども、議事の2です。平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定についての審議を行います。
 この議事につきましては、教員養成部会運営規則の規定に基づき、非公開となってございます。報道関係者等の皆様におかれましては、御退室をお願いいたします。
(報道関係者等退室)
(報道関係者等入室)
【無藤部会長】  それでは、平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について、答申を行います。
(答申文手交)
【無藤部会長】  ということで、答申をさせていただきました。ありがとうございました。
 それでは、議事の3に入りたいと思います。議事の3は、幼保連携型認定こども園における保育教諭の資格特例及び幼稚園免許状取得の特例について、事務局より御説明をお願いいたします。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】  それでは、お手元の資料3「子ども・子育て支援新制度施行後5年の見直しに係る検討について」という資料をお開きいただけますでしょうか。こちらの資料をもちまして、保育教諭の特例に係る見直しについて、御説明を申し上げます。
 この資料の1ページ目、2ページ目につきましては、前回の8月の会議で審議の経過ということで御報告をさせていただいた内容ですので、ここは省略をさせていただきまして、3ページ目を御覧いただければと思います。
 この丸1「幼保連携型認定こども園における保育教諭の資格特例」、丸2「幼保連携型認定こども園における保育教諭の幼稚園免許状及び保育士資格取得の特例」という資料から御説明申し上げます。
 御承知のように、幼保連携型認定こども園に勤務する保育教員につきましては、幼稚園教諭の免許状と保育士資格の併有が必要とされておりますが、子ども・子育て支援新制度の施行後5年に限りまして、いずれか一方の免許状資格のみで保育教諭等となることができる特例が設けられてございます。同時に、本来、教育職員になることができない、教員免許状を有するが未更新の者であっても、保育士資格があれば保育教諭となることができるよう、教育職員免許法の適用除外を定めております。
 このように、1つは、いずれか一方の免許状資格のみで保育教諭となれるという片面特例と言われるものがございます。これに合わせまして、「また」以下のところでございますが、片方の免許状あるいは資格を持っておりまして、一定の勤務経験、具体的には3年かつ4,320時間を有する者につきましては、大学等で一定の単位を履修することなどによりまして、もう一方の免許状・資格を取得するという特例も設けられてございます。
 これらに関しましては、いずれの特例につきましても子ども・子育て支援法の一部を改正した法の施行後5年を期限としておりまして、平成32年3月31日でこの期限を迎えるということになっております。
 次の4ページ目を御覧いただけますでしょうか。こちらに、両方の資格の保有の現状について、データが掲載されてございます。平成28年度以降、赤枠の中で囲っております、どちらか一方のみ保有している方、つまり、この特例の対象になっておられる方というのは、割合としては平成28年度で12.2%から平成30年度の9.6%まで下がってきております。
 一方で、幼保連携型認定こども園の数自体が急激に増えてきておりまして、それに伴いまして、保育教諭の方々の数も増えている。こういったことを受けまして、どちらか一方のみしか保有しておられない方の人数というのは、平成28年度の7,538人から9,660人まで増えているという状況にございます。全体として言いますと、まだ1割程度の方がどちらか一方の免許あるいは資格しか保有していないという状況がございます。
 このような状況がございますので、5ページ目の一番最後の方向性のところでございますけれども、今申し上げました2つの特例につきまして、5年間の延長を御提案させていただきたいと思います。ここに赤線で引いておりますように、平成36年度末まで5年間延長するということ。それから、幼稚園教諭の免許状授与手続に数か月程度時間が掛かりますので、この点も勘案するということで御提案申し上げたいと思っております。
 先日、10月9日に開催されました子ども・子育て会議におきましては、御提案させていただいた、基本5年間延長という方針で御了承いただいたところでございます。その際に、子ども・子育て会議で御意見を幾つか頂いておりまして、例えば、認定こども園からは、8単位取得のための受講に保育教諭をなかなか派遣しにくい状況がありますので、受講しやすいインセンティブであるとか、環境整備が必要であるという御意見を頂きました。
 あるいは、幼稚園教諭の免許状を保有されている方の更新講習の受講の枠がなかなかなくて難しいという御意見も頂いておりました。
 1つは、8単位の特例の講座につきましても、通信の講座がございますので、こういったものも活用した弾力的な受講を働き掛けていきたいと思っております。
 それから、更新講習の方につきましても、今年度、来年度、非常に受講者数が全体的に増えるという状況にございますので、放送・通信・インターネットでの受講の枠をかなり増やしてきております。
 あるいは、更新講習につきましては、都道府県が行っておられるような研修と相互に実施するということも可能になっておりますので、こうしたいろいろな弾力的な受講の形態を進めていくことで、より受講しやすい環境を整備していきたいと考えております。
 以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ということで、基本的には5年間延長という案でございますけれども、御意見等ございましたら、お願いいたします。
【秋田委員】  どうもありがとうございます。東京大学の秋田でございます。
 子ども・子育て会議の方でも出席し、同じことを発言をさせていただきましたが、この免許併有のための特別な措置を5年間延長するのは当然のことです。ただ、自動的に延長を繰り返すというのではなく、先ほども御説明がございましたように、是非とも受講機会を増やすようお願いしたいと思います。保育士や保育教諭が不足しておりまして、現場から研修受講に出られないという声が資料5ページにも出てございます。是非とも、このあたりも、その期間に受講できるようなインセンティブを付けていただいたり、また、先ほどもございましたインターネットや今年度からの放送大学の方でも幼稚園や認定こども園の教諭や保育教諭向けの講座も開講いたしております。是非ともそうした機会の活用なども促していただければと思います。
 以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、本件につきましては、本日出されました意見を踏まえながら、事務局において手続を進めていただくようにお願いいたします。
 それでは、議事の4でございますけれども、免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議の報告につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】  それでは、お手元の資料4-1の報告書の概要を用いまして御説明申し上げたいと思います。タイトルとしては、「『概要』免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議報告書」という1枚の資料でございます。
 前回の8月の会議のときにも、その時点で出ておりました論点整理の紙を用いまして、審議の状況を御報告させていただきまして、御意見を賜ったところでございます。この場での御意見も踏まえまして、この協力者会議でも検討を進めてまいりまして、9月18日に報告書を取りまとめてございます。
 まず、最初のところですけれども、「免許外教科担任制度」は、ある教科の免許状を保有する教師を採用できない場合に、1年以内の期間を限りまして、都道府県教育委員会の許可により、当該教科の免許状を有しない教師に当該教科の教授を担任させる制度でございます。
 この制度は、昭和20年代に免許状を有する教師が全国的に不足するという状況の中で導入されておりましたが、現在では、教員の需給の状況は当時とは大分変わってきております。現在、実際に使われているところにつきましては、個別の事情の中で、やむを得ず生じてくる教員の採用配置のニーズを適時に調整するために、学校現場でのミクロな採用配置のギャップを埋めるために、この制度が利用されているという状況がございます。
 この免許外教科担任の許可件数は、長期的にはかなり減少してきておりまして、昭和40年度には7万5,000件程度ございましたものが、直近のデータでいきますと、平成28年度、1万950件まで減少してきております。
 ただ、横の箱の「許可件数の多い上位3教科」のところにございますように、中学校で申し上げますと美術、技術、家庭科、高等学校では情報あるいは工業など、職業に関する教科を中心に、特に小規模な学校でこの制度が利用されているという状況がございます。
 全体的な今後の対応の方向性でございますが、近年の教師の需給の動向、前回も御議論いただきました教師不足という状況が見られていることや、今後の人口減少に伴いまして、小規模校が増えてくる可能性があるということなど、現代的な状況も鑑みますと、この免許外教科担任制度そのものは存続をしていくことが必要であるというところでございます。ただし、これは相当免許状主義、その教科に相当する免許状を保有する教師がその教科を担任するという原則の例外に当たりますので、この制度の利用は可能な限り縮小させていくための取組を行うとともに、どうしても免許外教科担任の許可が必要な場合におきましても、いろいろな方法を用いまして、これを担当される教師への支援、研修を充実することで教育の質を向上させていくという方向性が示されております。
 具体的な対応策といたしましては、まず、文部科学省、国の側で行うこととしましては、1つには、「免許状取得要件の弾力化」というところがございます。これは、先ほど申し上げましたように、家庭科、技術、情報のような、いわゆる希少免許と言われるものに免許外教科担任が集中しております。
 これにつきましては、なかなか単独の免許状だけでは採用の枠が少ないというところもございまして、複数の教科の免許状を持って教員として勤務していただくということが1つの方向性であろうと考えております。この複数教科の免許状の取得を促進するため、特に現職の先生方の免許状取得に関係しまして、取得要件を弾力化するということが出ております。
 これにつきましては、後ほど、議事の5の中で具体的に御説明を申し上げたいと思います。
 それから、2番目としまして、「大学間の連携・協力による養成・研修体制の確保」というところがございます。これも、先ほど申し上げました技術や家庭科といった教員採用数が少ない教科につきましては、なかなか大学の方も教職課程が維持できないというところがございまして、幾つかの県では、こういった教職課程が存在しない県もございます。こういったところにつきましては、大学間の連携・協力によりまして、教職課程を設置する仕組みも検討する必要があるということが挙げられてございます。
 丸3の「現職教員以外の多様な人材の活用」というところで、退職教員あるいは民間の方々も教員として非常に重要な力になってまいりますので、こういった方々が適時適切に教壇に立てるように、免許状更新講習の受講の弾力化や特別免許状等の積極的な活用が求められるというところがございます。
 これにつきましても、免許状更新講習の関係につきましては、後ほど、議事5のところで具体的に御説明を申し上げたいと思います。
 それから、丸4番「免許外教科担任の授業の質の向上」というところで、ここでは遠隔教育を利用することで、例えば、配信側に専門性の高い免許を持った先生方がおられまして、受信側の教室の方には免許外の先生がおられるんですけれども、その授業をサポートしていくことで教育の質を高めていくといったことも御提案がございました。ちょうど文部科学省でも「遠隔教育の推進に向けたタスクフォース」が方針を取りまとめてございます。
 本日も、参考資料の形で、このタスクフォースの施策方針を配付させていただいております。これにつきましては、本日、中身については触れませんけれども、後ほど、お目通しを頂ければと思います。
 こうした施策方針に基づきまして、遠隔システムの活用による免許外教科担任の授業の質の向上を促進していくこと、あるいは免許外教科を担当する教師も含めました教員の質の向上のために放送・通信・インターネットも活用した講習を開発していくことで、研修の受講を促していくといったことも御提案いただいております。
 それから、「運用指針の提示」というものがございまして、免許外教科担任の運用指針を都道府県の教育委員会に示しまして、厳格な運用や担当教師への支援等を要請していくということを示してございます。
 これは、後ほど、指針につきまして、少し詳しく御説明申し上げたいと思います。
 それから、「教育委員会に期待される役割」が下の方にまとまってございます。先ほど申し上げましたように、複数教科の免許状の取得を促進していくということが1つの方向性であろうと思いますので、例えば、採用選考等において、複数の教科の免許状を持っているような候補者に対して加点をするという教育委員会の取組がございますけれども、こういったことも1つ考えられるというところがございます。
 あるいは、免許状を持っている教員が少ない、いわゆる希少教科につきまして、認定講習の開講やこの講習を受けやすい環境を整えていくといったことがございます。
 あるいは、授業時間数の少ない教科につきましては、複数の学校に1人の教員を兼務発令しまして授業を担当していただくということも手法として御提案いただいております。
 そのほかにも、丸4のところで研修の機会の充実、支援の体制の確保、それから、免許外教科担任の許可の基準等をしっかりと設定して、それを徹底していくといったことがございます。
 それから、最後に教員を養成する大学の側に期待される役割としまして、先ほども何度か出てまいりました、複数免許状を取得しやすいようにする環境整備や免許法認定講習への開設の協力といったことが挙げられております。特に、この免許外教科担任の調査研究協力者会議の中でもプレゼンテーションがございましたけれども、例えば、養成段階の時間割やカリキュラムを工夫することで、学生が複数の教科の免許状を取りやすくしているような大学の取組もございましたので、こういったことも御紹介させていただいたところでございます。
 それから、先ほど文部科学省の対応策を中でお示ししておりましたことと対応しますけれども、近隣の大学との連携・協力などによりまして、採用数の少ない教科についても養成・研修に協力しいてくという機能を強化・効率化していくことが期待されるということがございました。
 最後に、教育委員会と大学に期待される役割をお示ししたところですけれども、やはりここでも教育委員会と大学とが双方の事情とニーズを踏まえて養成、採用、研修等について協力していくことが重要でありまして、協議会を活用してこういった協力を進めていくことも期待されるということが最後に触れられております。
 以上、申し上げたのが、この報告書の概要でございますが、この報告書の中でも、先ほど申し上げましたように、運用指針を文部科学省で提示するというところがございました。
 これを受けまして、運用指針をお示ししましたのが、今回お配りしております資料4-3のところでございます。通知文が出ているかと思いますけれども、「免許外教科担任制度の適切な運用について」ということで、10月5日に通知を出させていただいております。
 3ページ目の別添2というところにございますが、「免許外教科担任の許可等に関する指針」というものをここで取りまとめてございます。この指針の趣旨でございますが、一番下のなお書きのところに書いてございますように、これは都道府県の教育委員会において、共通的に考慮することが適当と考えられる点を全体的に整理したものでございます。
 これを踏まえまして、教育委員会では、各地域の実情に応じて、より適切な制度の運用を行っていくことが期待されるということで、参考指針をまとめさせていただいております。
 次のページに入りまして、「免許外教科担任制度に係る基本的な方針」をお示ししております。ここでも、先ほど報告書の中で確認されたことと同じ方向性が示されておりまして、下線のところを御覧いただきますと、まず、免許外教科担任については、安易な許可を行わないということが大原則でございます。
 そのために、次のところでございますが、各学校種、各教科の指導に必要な教員を計画的に採用し、適正に配置することが必要であるということ。それから、やむを得ず、この許可が必要になる場合におきましても、下線のところにございますように、当該教員の負担の軽減、それから、教育の質の向上に努めることが求められるということ。
 それから、一番最後のところでございますが、以上の取組には、養成、採用、研修全体を通じた対応が必要でございますので、教特法に定めております協議会を活用することが効果的であるということを示しております。
 次の具体的な第2章の留意事項のところにつきましては、これまでも文部科学省から何度かこの方向性については通知させていただいておりまして、それを1つに集約したものということになっております。ここにございますように、許可の手続について、しっかりと審査基準を定めることや許可が必要な理由について、しっかりと審査をしていくこと、免許外教科を担任する教員についても、ちゃんと配慮をして審査をしていくことを改めて整理させていただいております。
 次のページの4番目、「免許外教科を担任する教員への支援策について」というところが、今回の指針の中で初めて出させていただいたところでございます。免許外教科を担任する教員の方々に対して、適切な支援策が講じられるように留意することが適切であると書いてございます。例えば、研修との受講を計画することや近隣校との連携、遠隔システムの活用などによって支援する体制を整備することが要請されるとしております。
 その他のところでも、現職教員以外の多様な人材の活用や複数教科の免許状取得の促進について、注意喚起しているところでございます。
 今回、指針という形で運用の方針についてお示しさせていただきました。これ以外にも、先ほど申し上げましたように、文部科学省の対応策をいろいろ御提案いただいている部分がございます。制度改正に関わるところ、運用の改善に関わるところ、いろいろございますので、一つ一つ整理させていただきまして、こちらの教員養成部会でも御報告、御審議をお願いしていきたいと思っております。
 以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 本件につきまして、質疑は次の議題と関連しますので、合わせて行わせていただきたいと思います。
 それでは、早速ですけれども、議事の5について、お願いいたします。教員免許制度に係る検討事項について、御説明をお願いいたします。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】  それでは、続きまして、資料5-1のところから御説明を申し上げていきたいと思います。資料5-1の「前回教員養成部会の審議における主な意見」という資料でございます。
 前回の教員養成部会、8月の会議のときにも、先ほど御説明申し上げました免許外教科担任制度の在り方に関する協力者会議の報告書の論点について、御提示をさせていただきました。それから、いわゆる教師不足と言われる状況につきまして、幾つかの都道府県、指定都市をサンプルにしまして調査した結果を御報告させていただきました。これに基づきまして、自由討議の形で教師不足の状況や教員免許制度について、御審議を頂いたところでございます。
 その際に頂きました主な御意見を整理させていただきました。1ページ目のところから簡単に御説明申し上げます。
 まず、「主に免許更新制度の弾力化や臨時免許状等の活用に関すること」という最初の丸ですが、65歳で免許状の効力を失う旧免許状所有者の更新講習の受講期間が始まりますが、こうした方々が講習を受けてまで免許状を更新してくれるか懸念されるところであるという御懸念がございました。こうしたことに対しまして、例えば、特別免許状や臨時免許状の授与を検討する必要があるのではないかといった御指摘もございました。
 それから、3番目の丸のところですけれども、年度途中において、非常勤講師等をスムーズに確保できるようにするなどのために、更新講習を受講できる者を現職教員等に限っている要件について、弾力化を図るべきといった御意見も頂いておりました。
 更新制度の弾力化、臨時免許状の活用につきましては、後ほど、資料を用意してございますので、そこの中でさらに詳しく御説明を申し上げたいと思います。
 それから、次に、「主に複数免許状の取得促進など特定教科の教員の確保に関すること」でございます。最初の丸にございますように、技術や家庭の教員の採用の改善のためには、複数免許状の取得促進は1つの有効な手段であるという御意見。
 それから、新しい時代に求められる技術等に対応するための教員を増やす必要がある。あるいは、複数校での兼務や複数免許状の取得を促進するための環境整備が重要であるということ。
 あるいは、3番目のところにございますように、技術や家庭にも高い専門性が必要であるということの意識をしっかりと持ってもらうことが必要といった御意見を頂いておりました。
 それから、次のページにも続きます。複数免許状の取得促進に当たっては、教職課程の柔軟化と実質化の両方を考えながら進めていくことが必要という御指摘も頂いておりました。
 この複数免許状の取得に関係する内容につきましても、後ほど、資料を用意してございますので、もう少し詳しく御説明を申し上げたいと思います。
 それから、次の「主に教員免許制度の在り方に関すること」というところで、新しい学習指導要領の対応のためにも、教科横断的な資質能力が求められてくるといったこと。
 あるいは、教員免許状の総合化といったことについても、踏み込んで検討する必要があるのではないか。
 小学校高学年における教科担任制の導入や、それに伴う免許制度の改革が必要。
 あるいは、最後のところですが、地域ごとの計画養成といったことも検討していかざるを得ないのではないかといった御指摘を頂いておりました。
 それから、「主に教員の指導環境の整備に関すること」というところで、新しいことに対応するためには、学校における働き方改革、人員の確保、そのための予算確保等の総合的な対応が必要だという御指摘でありますとか、次のページの学校の勤務環境の改善をしっかりと行っていくということ。
 それから、その次のところですが、過疎地域で学校の統廃合が進んできて、通学区域が拡大していく。それに伴って、先生方も広域をカバーしなければならなくなっているということ。
 あるいは、同じようなところでございますけれども、小規模校への特別配置といったものも考えていく必要があるのではないか。
 それから、全般的な御意見として、学校現場の状況は非常に逼迫しているということに関しても、留意点を頂いておりました。
 それから、最後のところです。「主に外部人材の活用に関すること」ということで、1つには、免許外教科担任をサポートする教材開発等も重要になるということ。
 企業で出張授業等を行っている方の中には、免許状を持っておられる方も一定数いらっしゃるということ。
 最後のところですが、特別免許状の在り方、免許状保有者とゲストティーチャーとの関係、遠隔授業の在り方等をクリアにして示すことも周囲からの支援を得るためには有効と考えられるということがございました。
 ここにございますように、非常に広範にわたる御意見を頂いておりました。それで、本日の会議では、少し具体的な論点につきまして、御審議を頂きたいと思っております。
 この中で、特に具体的な制度論のところでございます、免許更新制度の弾力化、臨時免許状の活用ということ、それから、複数免許状の取得の促進ということにつきまして、資料を用意させていただいておりましたのが、資料5-2のところでございます。「免許状更新講習を修了していない者に対する臨時免許状の授与について」という横書きのポンチ絵がございます。これは、先ほどの免許外教科担任制度の協力者会議の中でも御指摘がございました。それから、先ほどの前回の会議の中でも御指摘を頂いていたところです。少し複雑なところがございますので、現状、背景から御説明申し上げたいと思います。
 ここにございますように、「教員の不足」の要因として、前回御紹介させていただきましたアンケート調査によりますと、「採用候補者が免許状の未更新等により採用できなかった」と挙げる自治体が一定数、11自治体中4自治体存在しております。つまり、免許更新制が導入された後、旧免許状を保有されている方々につきましては、修了確認期限というものが年齢で区切られておりまして、その確認期限を過ぎますと、免許状は失効しないのですが、そのままでは教師として働けない、いわゆる休眠状態になりまして、免許状の更新講習を受けないと教員になれないという制限がございます。
 それから、新免許状、制度が導入された後に免許状を取得された新免許状の所有者の方は、更新をしないまま10年たちますと、免許状が失効してしまいまして、新たな免許状を取得するためには、更新講習が必要ということになっております。ですので、いずれの場合につきましても、まず、採用されて、これから教員として働こうという方々につきましては、免許取得から10年を経過している方、あるいは更新講習の期限を過ぎておられる方につきましては、この更新講習を受講してからでなければ、教師として働き始めることができないという状況がございます。
 ですので、例えば、3月の終わりぐらいに、急に非常勤講師として免許状を持っている方がおられたとして、更新講習を受講しないと4月から働けないという状況がございますので、4月の最初の時点で欠員が生じてしまうといったことが指摘としてございました。
 それから、これも前回の会議の中でも御指摘を頂いていたんですけれども、65歳以上の教員も一定数存在するが、平成32年4月2日以降に満65歳に達する旧免許状所持者は、免許状更新講習を受講しなければ、平成33年4月1日からは教育職員になることができなくなるというところでございます。
 これにつきましては、次の2ページ目の参考丸1で、「旧免許状保持者の免許状更新講習の修了確認期限」を御覧いただければと思います。これが、いわゆる制度が導入される前に免許状を取られた旧免許状を持っておられる方の更新講習の修了確認期限の一覧を示したものでございます。
 この更新制度が導入されたときの経過措置によりまして、一番最初の「第1グループ」という方、昭和30年4月2日以降に生まれた方というのは、免許状免許更新制の対象になっているんですけれども、これ以前にお生まれになった方々というのは、免許の更新制の対象には入っておりませんでした。と申しますのは、これより前にお生まれになった方々というのは、更新制が導入された時点で既に55歳以上に達しておられまして、更新の必要性等の観点から考えて、更新の対象から外しておりましたので、実はこれより前に生まれた方というのは、免許の更新を受けなくても、引き続き65歳を超えても働き続けることができるということになっております。
 ただ、ここに書かれております昭和30年4月2日以降に生まれた方々というのは、更新制の対象になってまいります。この方々は、一番最初、55歳のときに更新を受けておられるんですけれども、そこから10年たった後、65歳に達したときに次の更新期限がやってまいりまして、65歳の時点で免許の更新講習を受けていただかなければ、引き続き教員として働き続けることができなくなるということになります。この方々が一番最初に出てまいりますのが、一番上の「第1グループ」の一番右端のところでございます。平成33年3月31日、この時点から昭和30年4月2日以降に生まれた方々は、65歳に達したときに更新講習を受けていただかなければ働き続けることができないということになってきます。
 それで、前のページに戻っていただきまして、65歳以上の教育職員の数ということで、ここにお示ししております。これは、平成28年度の学校教員統計調査のデータですので、本務教員、つまり学校に籍のある常勤教員だけを対象にしたものでございます。なおかつ、教育職員だけを対象にしておりますので、教諭や講師の方々だけを対象にしたものでございますが、それでも数としては一定数、全国的にいらっしゃいます。
 この統計調査の対象になっておられない非常勤の講師等で働いておられる方々もかなりの数いらっしゃると推測されるところでございます。こういった65歳以上の方々が、今後も安定的に継続して勤務を続けていただけるようにという御指摘を頂いていたところでございます。
 少し前置きが長くなってしまいましたが、「対応案」というところに移らせていただきます。対応案としまして、我々で今検討しておりますのが、次に掲げる点を教育職員検定において確認するということを前提としまして、旧免許状保持者あるいは新免許状所持者に対して臨時免許状を授与しまして、教育職員として採用できるということを通知により明確にしてはどうかと考えております。
 ただし、従来より臨時免許状というのは安易に授与しないように求めてきたことに加えまして、定期的に最新の知識技能を身に付けるという免許状更新講習の趣旨に鑑みまして、この審査は厳格に行うことが求められるという留保は付けております。
 具体的にどういった審査を臨時免許状授与の際に行っていただくかというところでございますが、1つは取り得る手段を尽くしても、ほかに有効な普通免許状を有する者を採用することができないと認められること。これは、臨時免許状の授与の要件として、既に法律上で決められているものでございます。
 これに加えまして、一定期間内に免許上更新講習の修了確認を受ける見込みがあることをお示しいただくこと。
 あるいは、例えば、65歳以上の方々につきましては、これまでの長い勤務経験がございますので、これまでの勤務経験等に照らしまして、最新の知識技能を十分に有しているということが確認できる場合には、免許状更新講習の修了確認の見込みに変えまして、こういったことを確認できた方には、臨時免許状を出してはどうかと考えているところでございます。
 前回の会議でも、すぐにできることと時間の掛かることがあるという御指摘がございました。今申し上げたのは、臨時免許状の授与の運用の方針の変更というところでございますので、すぐにできることということで御提案をさせていただいております。
 ただ、少しお時間を頂くかもしれませんが、米印のなお書き以下のところでございますが、一定の要件に該当すると都道府県の教育委員会が認める方については、更新講習の免除の対象とするような制度改正を行うことも検討していきたいと思っております。この制度改正に係る部分につきましては、少しお時間を頂きたいと思っておりますが、まずは、運用でやらせていただきたいということで、この臨時免許状の授与につきまして、御提案を申し上げているところでございます。それが、今回の具体的な論点の1点目でございます。
 長くなりまして恐縮です。もう一点目の論点のところですが、資料5-3「複数教科・学校種の免許状取得に関する参照条文」を御覧いただきたいと思います。これが、免許外教科担任の協力者会議でも、前回の会議でも御指摘を頂いておりました複数教科の免許状の取得に関する取得要件の弾力化についての検討の状況でございます。
 まず、現職の教員の方が複数の教科の免許状を取得する場合の要件でございますが、現行では「教育職員免許法別表第4」のところで、その要件が法律上定められております。具体的には、その下の教育職員免許法施行規則の中で、単位の修得方法について定められているところでございます。ですが、現行の要件の中では、例えば、勤務経験を勘案して、必要な単位数を軽減するという考え方は入っていないところでございます。
 一方で、少しページをめくっていただきまして、3ページ目になります。「教育職員免許法別表第8」というところがございます。これが、隣接校種、例えば、小学校の免許を持っておられる方が幼稚園の免許を取りに行く場合や幼稚園の免許を持っている方が小学校の免許を取りに行く場合の資格要件でございます。この場合につきましては、次の教育職員免許法施行規則の18条の2の中にございますけれども、一定の勤務経験を持っておられる方に関しましては、1年間の勤務経験をもって3単位分と換算しまして、必要な単位数を減じるという措置が定められてございます。
 こういったところも参考にしまして、複数の教科の免許状を取得する場合につきましても、例えば、1年間の勤務経験を3単位に換算して軽減していく。ただ、この別表第8の方も一定の軽減の上限がございますので、全部を勤務経験で埋めるというわけにはいかないんですが、一定程度の軽減措置を講ずるということも考えていきたいと思っております。
 本日は、まだ具体的な法令改正の案というところまで至っておりませんので、方向性のみお示しさせていただきました。今後、具体的な法令改正の案ができました段階で、また改めて御審議を頂きたいと思っております。
 長くなりまして恐縮です。以上でございます。
【無藤部会長】  二つ御報告いただきましたけれども、議事の4及び5でございます。合わせて、どこでも結構でございますけれども、御意見、御質問がございましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。挙手をしていただければと思います。
 では。
【平本委員】  御説明ありがとうございます。お話を伺って、学校現場の実際の状況を改善していくための具体的な内容が、本当にきめ細かく御提案いただいていると感謝申し上げたいと思います。
 その一方で、学校現場に今勤務している者は、様々な改善に向けた情報を得る機会がございます。しかしながら、免許は持っているけれども、現在学校で勤務しているわけではなくて、民間でお仕事をされているという方々については、なかなかこういう情報を得る機会は、実際には得にくいのではないかと思います。
 しかし、学校現場の今の状況は、例えば、校長会等で校長が複数集まりますと、話題になるのは、誰か臨任・非常勤をやってくれる人がいないかということが切実な課題として日々繰り返されているというのが実際です。それは、小学校、中学校、そして、つい最近、高等学校の校長とも意見交換しましたけれども、やはり状況は同じです。
 そこで、今は民間にいるけれども、自分は機会があれば実際の学校教育現場に入ってみたいという人たちもいらっしゃいますので、是非そういう方々が学校現場で勤務することができるような工夫がさらに必要かと思っています。
 それには、先ほどもお話がありましたけれども、教育委員会の努力だけでは限界があります。なかなか臨時・非常勤の不足数を教育委員会の努力だけで学校現場に配置することが難しくなっているのが現実です。ですから、ここは是非大学の皆さんにも御協力を頂いて、卒業されている方々、そして、免許を持っていてお気持ちのある方々を学校現場とつなぐパイプを設置していただくということが非常に重要ではないかと考えております。
 そのためには、先ほど育成協議会というお話がございましたけれども、学校現場と多くの大学や教育委員会を繋ぐ組織が、既に設置され機能し始めておりますので、そういう組織を使いながら、現状を共有して、この課題に向き合っていくということが、今非常に喫緊の課題として求められているのではないかと考えております。
 新しい学習指導要領の全面実施が間もなく間近に迫っていますが、それを実際に実践していく教員の質を維持し、又はさらに高めていかなければいけないというのが、今の大きな課題ですが、現実の状況は、教職経験が浅い教員や臨任や非常勤が増える中、なかなかそうなっていないで、むしろ逆行してしまっているような状況があります。是非そういう全体の状況を視野に入れながらの取組を大学、教育委員会、学校現場の三者一丸となって進めていくことが重要ではないかと考えております。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 どうぞ。
【渡邊委員】  どうも御説明ありがとうございました。前回協議されたことについて、早速に対応案をお示しいただいたということ、大変有り難く思っております。
 特に免許状所有者が少数の教科や、あるいは小学校の担任の不足などについて、こういった更新制度の弾力化をもって対応していただけるということは、大変有り難く思っておりますので、是非進めていただけると有り難いなと思っております。
 私も現場の先生方にこんなお話をしたことがございます。自分の学校で臨任なり、非常勤が必要になったときのために、地域の中でそういう方を抱えていらっしゃるかもしれないけれども、それは1校だけがよければいいという御時世ではなくなっているので、是非とも全市を挙げてそういう情報を共有して、少なくとも困っているところには、その人を紹介するような姿勢で臨んでいきましょうという話をしたことがございます。
 こういった話を市のPTA協議会などと話をしたときに、それならばということで、PTA協議会も、自分たちのPTAの会報誌にそういった教員不足の現状を伝えて、免許状所有者については、是非とも登録をしてほしいという投げ掛けをしましょうというお声を頂いたことがございます。
 今お話がございましたけれども、そういった中にこの制度の改正された点なども御紹介しながら、より多くの方々に弾力的な運用が可能になっているということを御理解いただけますと、少しでも眠っている先生方を発掘することができるかと思いますので、私どもも頑張ってまいりますが、必要な情報提供を今後も進めていただければ、大変有り難く思うところでございます。
 以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、酒井委員。
【酒井委員】  恐れ入ります。全体の資料がなかなか全部把握できていないのですが、家庭科のことで少し申し上げますと、家庭科は今時間数が非常に減っておりますので、それに合わせて、採用数がどこも非常に減っている。そうした中で、ほとんどが臨時で賄っているという状況でして、毎年、私も前の前任校では、3月、4月に家庭科の教員はいないかということで、結構電話が掛かってきたんです。
 ですので、なりたい学生はいるんですが、採用枠がないものですから、そうしますと、必然的に一般企業に就職に向かうという形で、そういうミスマッチがどうしても生じております。
 とはいえ、採用を増やすというのもなかなか難しいのは重々承知しているんですけれども、一方である程度の身分保証がありませんと、なり手がなかなか応募してこないということが現状としてあるのではないかと思います。
 それから、もう一つの件なんですけれども、要するに免許外の教科担任制度が必要だというのは、1つは各学校が小規模化していまして、必要な教科数の担任教員がそろわないという状況で、恐らく少子化の中で学校統廃合の問題とリンクせざるを得ない問題だと思っています。
 きょうのところでは、パッチワーク的に免許外教科担任制度をどうするかという話なんですが、恐らくは学校組織として、教員集団の規模を一定程度確保するという形を取るのか、取らないのかで、このテーマは随分違うだろうと思います。ですから、この議論は、少子化の中で学校教員をどうするかという枠組の中で御提案があるとよく分かるなと思いました。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございます。
 そういうかなり先の展望も含めて御意見などがあればと思いますけれども、いかがでしょうか。
【山本委員】  はい。
【無藤部会長】  お願いします。
【山本委員】  山本です。私は、この免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議、本日報告していただいた基となる会議にも出席させていただいています。
 当初、この会議にほとんど知識がない状態で参加せざるを得なかった。東京のことは分かるけれども、全国の状況がなかなか分からないということで、全日中の組織を使って、全国の状況を調べました。最初のうちは、2点の問題点に集約されるかなと考えていました。1つは、教員定数の問題、もう一つは、教員免許更新制のあたりが阻害要因として働いているのではないかと、私自身はそう思っていたんですが、全国を調べると、そう簡単なものではないということが、分かってまいりました。
 実は、この免許外教科、臨時免許の件については、調べてみると、都道府県によって状況が異なっていて、教科によっても異なっています。具体的には、高校における情報科教員の不足や、中学校で言えば、今御意見の中にありましたように、圧倒的に技術科、家庭科が少ない。これを何とか解消してほしい。特に小規模の学校や地方の学校で、切実な声があるのは事実でございます。
 このことについて、今日は長いということで省略されていますけれども、報告書の中には、問題点を全て書き込んでいただいています。その中にもありますように、かなりの部分、教員あるいは管理職の熱意と使命感に支えられて、何とか全国の学校で運営されているという事実も分かりました。
 大方の私たちが想像し得るところの問題点については、報告書の中に挙げていただいていますので、あとはここから、すぐに取り組める部分と時間を掛けてやらなければならない部分を抽出して、さらに取組を進めていく必要があると考えています。
 遠隔授業なども含めて、いろいろな問題がこの中に提起されるというか、内在化しているんだなということもよく分かりましたので、この報告書は非常に貴重であり、また、よく取りまとめていただいたなと感謝を申し上げたいと思います。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ほかにはいかがですか。
 では、お願いします、若江委員。
【若江委員】  キャリアリンクの若江でございます。
 前回の会議以降、いろいろな企業の研修や地域コーディネーターの養成講座の折に家庭科やいろいろな免許をお持ちのまま、家庭にいらっしゃる方、企業にいらっしゃる方についてお聞きしてみますと、やはりちらほらいらっしゃいました。
 でも、その方々で企業に属している方であっても、いくら社会貢献とはいえ、家庭科の年間50時間を全て担うというのはなかなか難しくて、私が例えばの事例で申し上げたんですが、企業の中に3人家庭科の免許をお持ちの方がいらっしゃったとして、地域への社会貢献で、ワークシェアリングのようなスタイルでお一人は15時間・15時間・15時間みたいな教科の担任の仕方みたいな柔軟性があれば、もっといろいろな企業や家庭に眠っていらっしゃる地域コーディネーターさんの御協力も得ることができる可能性はゼロではないと思います。
 やはり教科の担任として、1年間臨時採用という形で学校に入り込んでしまうというのは、少しハードルが高いように思いますし、もう少し現状に合わせていろいろな方法もお考えいただければいいのではないかなという気がしております。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。竹原委員、お願いします。
【竹原委員】  今の若江さんのお話の延長ですけれども、私は地域の側として、教員免許状を持っているけれども、まだ一度もそれを使って仕事をしたことがないという方を大勢知っています。
 ただ、その方たちがすぐに学校現場に入るというのは、かなりハードルが高いので、その前の段階として、教育委員会又は大学で講習を受ける等リカレント教育の機会があればと思います。運転免許証で長い間ペーパードライバーだった人が講習を受ける講座がありますが、そういう形で何らかの振り返りや学びがあれば良いのでは。教員免許に関しても、突然学校現場に立つというのはかなり難しいと思いますので、現在の教育施策や教育内容・方法を理解するような講座があれば、無理なくステップアップできるのではないかと思い、そういう御検討もどうかと思います。
【無藤部会長】  現実的な御提案で、ありがとうございます。
 藤井委員、どうぞ。
【藤井委員】  希少教科の免許に関して、教員養成をやっている立場から少し意見を申し上げます。酒井委員からもあったのですが、国立大学でも、この希少教科に関しては養成をしないという大学も出てきているぐらいです。しかしながら、地方の国立大学としては、フルセットを養成し研修もやっていくというのが責任であろうということで、何とか維持したいと考えています。
 ところが実際は、先ほどもありましたように、需要が圧倒的に少なく、毎年採用がない。3年に1回というような状況の中で、学生に「いい先生になれ」と言って、その勉強をしっかりというのがなかなか言いにくく、自然と学生さんがそういうところから身を引いてしまうという状況が生まれています。
 本日御提案いただいたのは、実務経験を単位にするという、いわゆる本来的ではないところで厚い支援を行っていくという方向のお話だったと思います。やはり本来は、しっかり学問的なバックボーンをもって教材開発をやったり、実習をやったりした若い学生さんが一定程度いるということで、その教科の指導力が継承されていくんだと思いますので、そちらの方での具体策が何かあるといいかなと思うんですね。
 ただ、それには県の財政事情があって、採用を増やせないという事情がある。非常勤で回している、臨時で回しているというのが現状だと思います。やはりそこのところを突破しないと、この状況はいつまでも本筋でない制度で、代替でずっとやっていくということがまかり通っていって、いつの間にかそちらが主流にならないようにしないといけないと思います。そこで是非お願いしたいのは、資料4-1のポンチ絵のところに、教育委員会と大学とが相互の事情とニーズを踏まえてという期待をされているわけですが、前回の議論にもあったように、これらの教科は非常に重要であり、技術は、これからSociety5.0になっていく中では、かなり重要になってくるとか、家庭は人間の生活の根幹を担うとか、そういう形での教科に対する価値付けをどこかでやっていただきたい。そしてこうした希少教科ともう一つの免許を取るという形での具体的な複数免許制度ということを少し訴えていただけるとどうかなと思います。
 今、学生は数学と理科とか、国語と特別支援など、複数免許を取っている事実はあります。でも、片方のパートナーに家庭や技術というのは乗ってこないんですね。様々な事情があるのは皆さん分かっているんですけれども、何とかそこを変えないと、若い方を活かして教科を育てていくということが絶えていく心配がございます。ですので、何らかの具体策、例えばキャンペーン的に複数免許は家庭と技術を、と呼びかけるとか、現在中学の英語免許を持っていると小学校採用試験で一次免除があるなど、インセンティブも付けたりする県教育委員会もありますので、何とかこの窮状を解決していくための手立てをお願いしたいと思います。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 堀田委員。
【堀田委員】  東北大学の堀田でございます。本務のため遅参しまして大変申し訳ございませんでした。
 きょう御提案いただいたものについては、応急措置ということで、非常に丁寧に御検討された報告書に従って、具体的な方向感をお見せいただいて、私は今のところ特に異論があるわけではございません。きょうはお時間があるということですので、私は高等学校で言えば、最も免許外の先生が多い教科情報によく関わっていますので、その辺のことを少しだけ情報提供、情報共有しておきたいと思います。
 けさの朝日新聞で、まだ高校の情報の教員採用がない道府県が18あるというのが報道されておりました。これは、先ほど酒井委員がおっしゃって、今、藤井委員もおっしゃったように、いろいろな事情があってのことでしょう。例えば、現行では高等学校の情報というのは2単位ですので、ある学年だけ週2時間やるというのが大体だとすると、1学年5クラスの高校だったとしても、週に10時間しかない。10時間しかないとなると、ほかの教科と併せ持つか、そうでなければ非常勤で回す。都会だとまだ非常勤で回しやすいんだけれども、地方の場合はなかなか難しいという大きな課題が常にありまして、これは酒井委員が御指摘された部分となります。
 では、仮の免許がある方にお任せしますよとなると、これは少し責任が重た過ぎて、この学校の情報の授業を全部私がやるんですかみたいな感じになって、そうすると、コンピューターの整備だの何だのが全部業務として掛かってくるので、せっかくニーズがあるのに、これで採用されたくないという方も出てきます。
 これは、若江委員がおっしゃったように、複数で担当することを認めるとか、民間だと人材派遣会社というものがあって、会社が責任を持って何時間、あるいはメンテナンスまで対応しますみたいな方法でアウトソーシングされて、そこだけは責任もって担当するということはあると思うんです。僕は、高校の情報の先生は専門性の高い人になってほしいと思っているんですけれども、今やこのようなことも検討しないと難しい状況があるのかなと思います。
 最後に1つ、高等学校の情報の先生というのは、県立で採用されますと県の教員になりますから、例えば有能な方は、いずれ県の教育委員会で御活躍され、その方々が県の教育の情報化を進め、ICTの整備を進めることが多くみられます。したがって、情報の先生を採用ないまま何年も経過するという県は、教育の情報化全体もやや落ち込みがちになる傾向があります。これは、ICT整備を国が非常に強く推進しても各地方で交付税からお金を持ってきて配備することになかなか手が及ばない1つの背景にもなっております。これは、私としては非常に深刻な問題だと受け止めております。
 以上でございます。
【無藤部会長】  なるほど。ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 どうぞ。
【平本委員】  先ほどの補足になりますけれども、今、委員の皆様からいろいろなお話を伺って、実際に臨任・非常勤と一緒に勤務していますので、その状況からお話しします。正直なところ、非常勤の限られた時数で生活ができません。ですから、この現実をしっかり踏まえながら対応しないと、思いだけでいろいろ求めても動かないだろうと思います。
 では、現状を踏まえて具体的にどうしていくのかというところが、今しっかりと考えていかなければいけない大きな課題だと思っています。
 また、臨任・非常勤から正規教員に採用になればいいですけれども、なかなかそう簡単に採用につながらない教科もありますので、途中で諦めざるを得ない人もいます。そのような人材が、非常に有能であっても、そういう人材を教育現場が失うことにもなりかねません。是非気持ちのある、しっかり教育に志を持っている人材が子供たちの前で活躍できるような環境整備が本当に必要と感じております。
 非常勤に関して、今、技術、家庭科等の話が話題になっていますけれども、実は特別支援に関しても、様々な課題が生じてきています。具体的に言いますと、特別支援の教育現場で、体力的にも動ける人材を求めていますが、なかなか実態はそのようになっていない状況があります。
 では、具体的にどうしたらいいかというところで、複数免許というお話がございましたので、1つの参考例ということでお話しさせていただくと、例えば、体育学部のある大学で、特別支援の免許も取れるようないろいろな工夫が、もう既に始まっているところもあると聞いています。そういうことが他の大学でもできないかどうか、具体的に検討していただけると有り難いと思っています。
 先ほど、企業のお話がございましたけれども、実は部活動支援員という制度がございます。制度は整いましたが、臨時・非常勤と多少事情は違いますが、人がおりません。制度があっても人を見つけるのが非常に厳しいという現状を踏まえ、例えば、企業の中で中学、高等学校の部活動のように活動されているOBの皆さんに御協力いただく等よく企業でCSRと言いますけれども、そういう社会と学校現場をつなぐシステムを総合的に考えていく必要が出てきているのではないかと考えております。是非、実際の現状がどうなっているかを原点にしながら、いろいろな工夫が進むことを期待しているところです。
 最後になりますけれども、実はもう一つ大きい課題がございます。学校管理職のなり手が年々減っていっている。これは、非常に厳しい現実だと思います。やはり管理職に求められている責任、役割が非常に大きいので、高い専門性を持った人が学校経営を担っていかないと、今お話しいただいたような工夫もなかなか生まれてこないと思います。
 是非この課題にも正面から向き合って、高い専門性を持った学校管理職が学校現場を運営していくことができるように検討していくことも必要と感じているところです。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ほかにございませんか。大体一通り御意見は出たということでよろしいですか。
 それでは、本件につきまして、本日出されました意見を踏まえて、事務局において取組を進めていただくようにお願いしたいと思います。
 私、一言だけ加えさせていただくと、特に後半に出た多くの意見というのが、今、目の前で、例えば免許外の部分についてどうする等、本年度、来年度にも対応しなければいけないこととともに、長期と言うと少し困る気がするので、中期的ぐらいだと思うんですが、様々な課題が出されたように思います。その課題の幾つかについては、教職課程や教職免許の在り方そのものにもかなり関わるところもあります。
 それから、私は大学におりますので、例えば、複数免許を取らせたらどうかというのは、学校現場から見るといい案だと思いますけれども、小・中の両方の免許を取らせるということが広がってきています。その上で、中学校も複数となると、多分卒業単位として相当加重になりまして、今ほとんどの大学はCAP制を敷いているはずなんですけれども、CAP制の中で教職科目は例外でないはずですので、その折り合いをどう付けるのかなというのは、自分の大学でも困るんです。そうなりますと、卒業後の様々な講習や、いわゆる学び直しの何らかの工夫、通信など、いろいろなことを総合的にやっていく必要があろうと思います。制度としてなくはないわけですが、実際には機能していないわけです。そのあたりをもう少し使いやすくするにはどうしたらいいかを考える必要があります。
 それから、私の知り合いの校長などに聞いても、先ほど出た産休・育休の代替講師の問題は、みんな困っているようです。特に私は東京都ぐらいしか分かりませんけれども、20代教員が極めて増えて、今や育休ラッシュと校長は言っていましたが、当然代わりの人がいるわけですけれども、そう都合よく、なかなか人が見つからない。これも、かなり組織的な取組でやらないと、今後は難しくなるだろうと思います。
 そして、一番大きな問題は少子化という御指摘がありましたけれども、最近お聞きしたところでは、東京都教育委員会の小学校の採用倍率が、既に2倍を切ったと。ここ数年、ぐっと倍率が下がっているようであります。これが、本年度だけの話なのかどうか。新聞などを見ると、いろいろな職種で、今人が足りないということであります。こういうものは、5年後、10年後、どうなるか分かりませんけれども、どうやら日本は少子化の中でいろいろな職での人手不足に入っていくのかもしれません。
 私が関わっているのは特に幼保で、保育士が足りないというのは大分前からでありますが、小学校についても、中学校についても、そういうことが出てくる時代かもしれませんので、やはりそれが深刻になってから対応しようとするのは遅いので、今からかなり考える必要があります。
 等々、いろいろな課題を頂いたということでございますので、是非事務局におかれましても、中期的な課題も含めて、議論の場を設けるようなことをお願いしたいと思いました。
 さて、本日の議題としては一通り審議をしていただきましたので、ここまでとさせていただきます。
 今後の日程につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【渡邉教育人材政策課課長補佐】  今後の日程につきましては、改めて事務局から連絡をさせていただきます。
【無藤部会長】  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。

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