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教員養成部会(第82回) 議事録

1.日時

平成27年5月18日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. これからの学校教育を担う教員の在り方について
  2. その他

4.議事録

【小原部会長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第82回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催させていただきます。本日は、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
 また、本日は、安部委員、北神委員、酒井委員、高岡委員、平本委員、堀田委員、堀竹委員、松川委員、三宅委員、そして宮本委員から欠席の連絡を頂いております。
 それでは、事務局より本日の配付資料の確認をお願いします。
【大江教職員課課長補佐】  それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 まず、座席表が1枚、それから議事次第が1枚。資料1といたしまして、教育再生実行会議の第七次提言。資料2といたしまして、秋田委員からのプレゼン資料でございます。これとは別に、つづりで本日の補足資料を秋田先生の方から頂戴しております。それから、資料3といたしまして、安藤委員からのプレゼン資料。資料つづりの最後になりますけれども、秋田先生の方から御提供いただきました冊子が2冊ほどございます。1冊が「大学における教職科目『道徳の指導法』の指導モデルに関する研究」、それから2冊目が「道徳教育の未来をひらく」という冊子でございます。資料4といたしまして、永田委員からのプレゼン資料。資料5といたしまして、岡山大学からのプレゼン資料。資料6といたしまして、今後のスケジュール(予定)について配付させていただいております。過不足等ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
【小原部会長】  本日は、新たな教育課程に関連した取組と教員養成の特色ある取組について4名の方に御説明いただきます。
 最初に4名の方を御紹介させていただきます。
 東京大学大学院教育学研究科教授、秋田委員。
 お茶の水女子大特任教授、安藤委員。
 東京学芸大学大学院教授、永田委員。
 そして、岡山大学大学院教育学研究科・教師教育開発センター、加賀副センター長。
 それぞれの御説明に関連した質疑応答と意見交換については、まとめて最後に行いたいと考えております。
 まず、先日、教育再生実行会議から、「これからの時代に求められる資質・能力と、それを培う教育、教師の在り方について」という第七次提言がまとめられました。このことは中教審における議論とも関係することであり、ヒアリングの前に事務局から報告をお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  はい。それでは、失礼いたします。
 資料1の教育再生実行会議の第七次提言をごらんいただきたいと存じます。この提言でございますが、先週5月14日に教育再生実行会議の方から総理の方に手交されたものでございます。時間の関係もございますことから、概要について簡潔に御説明を差し上げたいと思います。
 まず、1ページ目をお開きいただければと存じます。この提言でございますけれども、1ページ目の4段落目にございます「昨年9月に」以降でございますけれども、「これからの時代を生きる人たちに必要とされる資質とは何であり、その資質を教育によっていかに培っていくか、そして、その教育を実践できる教師をいかに養成、確保していくか等について、議論を重ね、今般、教育再生実行会議における議論も経て、第七次提言としてとりまとめた」というふうになっておりますけれども、この提言が3部構成になっておりまして、初めに、これからの時代を生きる人たちに必要とされる資質が何であるか、そして、その資質をいかに培っていくのか、そして、第3といたしまして、その教育を実践できる教師をいかに養成、確保していくのかという構成でまとめられておるところでございます。
 2ページ目以降でございますが、2ページ目、3ページ目でございますけれども、「これからの時代を生きる人たちに必要とされる資質・能力」ということで、「求められる人材像」、主体的に課題を発見し、解決に導く力、志、リーダーシップであるとか、創造性、チャレンジ精神等々について述べられておるところでございます。
 続きまして、4ページ目以降でございますが、「これからの時代を見据えた教育内容・方法の革新」ということで、「求められる資質・能力を教育によっていかに培うか」ということが掲げられておりまして、4ページ目の(1)といたしまして「アクティブ・ラーニングの推進、世界に伍(ご)する教育体制の確立」。それから、若干飛びますけど、7ページ目になりますが、「ICT活用による学びの環境の革新と情報活用能力の育成」。それから、次の8ページ目になりますけれども、「新たな価値を生み出す創造性、起業家精神の育成」というふうになっております。また、9ページ目になりますけれども、「特に特に優れた才能を有する人材の発掘・育成」ということで、それぞれ提言がなされております。
 本日は、11ページ目以降の3.の「教師に優れた人材が集まる改革」というところを中心に御説明を差し上げたいと思います。
 先ほどから申し上げておりますように、1.2.で掲げられたビジョンに基づきまして、この11ページ目の3.の初めの文章に掲げられておりますように、「2.で述べた教育内容・方法の革新が、学校現場で効果的に実践されるかどうかは、直接、子供の指導に当たる一人一人の教師の資質・能力と学校の教職員体制にかかっています」ということで問題意識が掲げられておりまして、以降、それぞれ提言内容が記述されているところでございます。
 具体的な提言内容でございますが、12ページ目をお開きいただければと思います。主なものだけピックアップさせていただきたいと思いますが、一つ目の丸でございますが、「教職全体を通じた育成指標の明確化等」ということで、「教師の養成・採用・研修の各段階を通じて、教師の能力形成を体系的に支援するため、国、地方公共団体、大学等が協働して、教師がキャリアステージに応じて標準的に修得することが求められる能力の明確化を図る育成指標を策定する」というようなことが掲げられております。
 また、次の丸でございますが、協議の仕組みについてでございます。教師の養成・採用・研修を通じた育成支援の方針を共有し、共同の取組が進むよう、地方公共団体、大学、学校等から成る協議の仕組みを整備することが掲げられております。
 続きまして、同じページの丸の三つ目でございますが、「優れた人材の獲得」についてでございます。教職を優れた人材にとって魅力ある職とするため、実践的指導力の向上のための研修が可能となるための教職員体制の整備。
 続きまして、一番下の丸でございますけれども、「チーム学校」についてでございますが、教師が授業等に専念できる環境を整備するため、事務職員の充実、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動指導員、学校司書、ICT支援員等の配置による「チーム学校」を実現することが掲げられております。
 次の13ページ目をお開きいただければと存じます。真ん中から若干下の「教職課程等の改革」というところでございますが、こちらでは、第五次提言でも提言されておりました教師インターンについてでございます。真(しん)に教職を目指す学生に質の高い教育を集中して行う形に教職課程を見直し、教職課程の質保証の仕組みを構築、実習等を通じて適性を評価する教師インターン制度の検討を推進すると掲げられております。
 続きまして、一つ下の丸でございますけれども、教職大学院等の一層の充実、活用を図りつつ理論と実践の往還が行われる環境を整備することが掲げられております。
 次に、14ページ目をお開きいただければと存じます。「現職研修の改革」でございますけれども、一つ目の丸の後段になりますけれども、全国的な教員研修・支援のハブ機能を整備・充実し、地方公共団体間のネットワークを構築することに提言がされております。
 また、もう一つ下の丸でございますが、国、地方公共団体は、それぞれが行う教師の現職研修が、アクティブ・ラーニングなどの新たな課題を踏まえて計画的に実施されるよう、上述の教師の育成指標に基づく研修指針等を策定するというようなことが書かれております。続きまして、その段落の丸でございますけれども、後段になりますけれども、また、国立・公立・私立の別を問わず、研修の機会が十分に提供されるよう配慮するということについて掲げられております。
 それから、15ページ目の一番上の丸でございますが、初任者研修についてでございます。国、地方公共団体は、特に、若手教師に対し、初任者研修の充実を図りつつ、優れた指導力を有する教師が助言、支援を行うための教職員体制(メンター制度)を整備するというふうなことが掲げられております。
 その一つ下の丸でございますけれども、オンライン研修のことについて、インターネット上の教材の活用など、オンラインの研修の推進を図るための体制を整備するということが掲げられております。
 また、15ページの一番後の丸でございますが、「全国的な教師の育成支援拠点の整備」ということで、教師の資質・能力の開発・向上のための取組を国として支援するための拠点を整備し、教員採用選考についての、都道府県・政令市等が活用できる共同試験の実施が掲げられておるところでございます。
 以上、大変雑ぱくではございますけれども、教育再生実行会議(第七次提言)の概要について、主にこの部会に関連するところをピックアップさせていただきまして御説明させていただきました。
 以上でございます。
 なお、大変失礼いたしました。冒頭、部会長の方から三宅委員が御欠席ということだったんですけれども、急きょ、都合がつきまして、本日出席いただいております。申し訳ございません。訂正いたします。
【小原部会長】  ありがとうございました。
 本提言については、これまで当部会で議論してきた内容と同じ方向性のものであり、引き続き当部会での議論にも生かしていきたいと考えております。必要な点は今後も事務局から適宜補足いただくこととしますが、ただいまの時点で、事務局、何かコメントはありますか。
【茂里教職員課長】  ありがとうございます。今、大江の方から御説明申し上げました七次提言でございますが、この七次提言の中でいろいろと論点が明確化されております。その論点と、これから、また、これまで御議論いただいたものとの関係について若干補足させていただきます。
 そもそも、現在御議論いただいておりますその原点となります諮問でございますが、御承知のとおり、養成・採用・研修を通じた教職員の資質・能力の向上という極めてウイングが広いというか、幅広いテーマでございまして、そのものというテーマなんですが、そのテーマの中の一つの論点としてお加えいただいた上で、これまでも幅広く免許や実際の教育内容とかにも踏み込んでいただきながら御議論いただきましたので、引き続きそういった論点も加えながら、さらに、養成と採用と研修、そして免許の在り方なども踏み込んだ形で御議論いただきながら、答申という形でまとめていただければというふうに思ってございます。よろしくお願いいたします。
【小原部会長】  それでは、この後の説明時間もございますので、議事を進めさせていただきます。
 それでは、まず、秋田先生から15分ほどでお願いいたします。
【秋田委員】  おはようございます。秋田でございます。
 私の方に御依頼を頂きましたのがアクティブ・ラーニングの指導実践というお話でございました。指導実践を基にして、教師がこれから何が必要になるのかを基本お話をさせていただきたいと思います。資料2並びに補足資料を用いて御紹介したいと思います。
 私の論点としては、これからの時代を見据えた内容・方法としてのアクティブ・ラーニングと教師に求められる知識を考えたときに、教員養成・採用・研修にどのような検討課題があるのかということについての見解を述べさせていただきたいと思います。
 3ページ目になりますが、アクティブ・ラーニング、あるいは、より深い学びの質としてディープ・ラーニングという言葉が昨今では使われております。これは教育再生実行会議第七次提言に書かれましたものですけれども、主体的・協働的・能動的な学びを通して、学びの質を高め、深まりを重視する、そのための教育の方法(ペダゴジー)、カリキュラムで何を教えるかだけではなく、それをどのような形で教えるかということの拡張・イノベーションの総称として私は理解しております。
 どの年齢のいずれの学習者も、より質の高い、深い学びを保障するというのが基本的な志向性です。生涯発達における学び方の連続性の保障が重要であると考えております。これは、幼児期の教育から初等、中等、そして高等への連続性を考えたときに、活動的であり、協働的、表現的な学習様式というものが必要となるということです。
 ここで、昨今、いろいろアクティブ・ラーニングについて話が出ているようでございますが、私自身は、特定の学習法や型や形式を導入することをアクティブ・ラーニングと呼ぶのではなく、教育システム、カリキュラム、学習環境、教育評価、教師の役割や学校でのリーダーシップ、学校文化の伝承と刷新を伴うものとして、アクティブ・ラーニング、ディープ・ラーニングを考えることが重要であろうと考えてございます。
 そこで、4ページ目と補足の配付資料をごらんいただきますと、生徒の全ての深い理解を促すというときに、多様なアクティブ・ラーニング方略が実際にはあることがわかります。これはOECD2030、2030年のこれからの学校を考えるという在り方の中の資料から持ってきております・Pause for reflectionと書いてありますけど、講義型でも生徒の側(がわ)に少し考えさせる間合いを置いて、そこから生徒にもう一回、問わせる形のものです。それから、自分で個別にふりかえりを書く活動、また、クラス全体でのディスカッションやペア、小グループでの協働、そしてここにもありますように実際に物づくりをするハンズオンや、それから、ジグソー学習法や探究的学習など、幅広いものをアクティブ・ラーニングとして捉えることができ、個別のやり方ではないと私は理解をしております。しかも、大事なことは、教師が目的に応じて自律的にそれを判断、創意工夫するということこそが、教師が生涯学び続けるために重要であろうと考えます。
 ただし、これを教職課程や研修において特定の方法論の講座ではなく、これは常にセットで深く学べる学習課題やカリキュラムデザインカリキュラムをデザインする力とセットで常に考えていくことがない限り、方法論やノウハウに陥ってしまうと考えております。英語が続いておって恐縮でございますが、こういうふうに国際的にも動いているという雰囲気をお伝えしたくて出しております。ここで見ていただきたいのは、新しいペダゴジーとしてアクティブ・ラーニングを考えたときに、深く学ぶ学習課題を考えること、それによって新たなICTやデジタルツールを入れる。そして、実際のReal World Problem Solvingと書いてありますが、現実の世界と結び付けて考えられるような力が力量として求められていく。それによって深い学びと能動的な関わりがつながっていくと考えられます。
 そこで次に、先ほどからお話をしておりますが、革新的な学習方法実践のためには、活動のシステム全体の刷新が重要になってきます。特定の方法を入れましょう、ICTを入れましょうということだけではなくて、教室の学びと家庭学習をどうつなげるのか。また、その質であり、授業時間だけではなく外での時間、そして自己の教授法をルーチン化しない教師の在り方、そして、様々な学習組織集団と教授形態、学習形態がセットになって考えるということが必要になってくると考えられます。
 また、そのためには、スピードが速くて恐縮ですが、次の7ページをごらんいただきますと、教師にとっては方法論の知識だけではなく、深く学ぶ教科内容の教養や知識、そして全体としての学習環境やシステム、そして四つ目としては21世紀のカリキュラムに連動した成果・評価を考えていく評価法を修得し、適用していくことが21世紀型の学習において求められると考えられます。それを立体や四次元で考えてみますと、いわゆる知識を測定したり、捉えたりするもの、また、スキルを評価するもの、またさらには、どのような人格や態度かは、観察、実際の授業中における生徒の姿を丁寧に見ること。また、メタ認知ということで、振り返りのための様々な手段を教師側が知ることによって初めて、アクティブ・ラーニングという言葉で表されるものが可能になっていくのではないかと考えられます。
 しかし、こうしたことはトップダウンに、これからの時代に必要であるからといっておろしていくだけでは、決してうまくはいかないと私自身は考えております。次の8ページ目をごらんください。これは、次の補足資料にもちょっと紹介をしておりますが、東京大学の附属中等教育学校の取り組みです。この10年間、協働学習を取り入れて、いわゆる探究型のカリキュラムを組んでやっております。しかし、その先生方に協働学習に取り組んだときにどういう不安があるのかを、実際に全員の教科や教師に調査をいたしました。そうしますと、やはり生徒側の学習が明らかに変化してくる。そして、実施をしてみると、教師としても深く学ぶことができて手応えがあるという反面、出てくるのが、時間に比して効果があるのだろうかというような心配。それからもう一つ、やはり全てのこういう方法論の議論をするときに大事になることは、新たな方法への漠然とした不安であります。教師は長い教師経験で様々な方法を既に身に付けてそれに基づいていますので、その不安を超えて、より効果があるのだという心配を超えて実証をしていかない限り、抵抗感は、単に「新しいものがありますからやってみましょう」というだけでは、そんなにすんなり行くものでは学校現場はないと考えてございます。また、実際には、生徒側が対人関係で様々な問題を抱えており、特定のそれぞれの教科に応じた形で協働やアクティブ・ラーニングの方法というものを考えなければならない。そこの難しさを感じておられます。やはり協働学習に取り組む教師の経験に応じて出てくる心配や不安が実際には派生してきているということが分かっております。
 それを乗り越えていくのは、一つは上の四角にある学校風土です。校内研修を中等教育段階――アクティブ・ラーニングは特に中等教育、高等教育において私は重要であると思います。それは、初等教育は言うまでもありませんが、幼児期の遊びは正にアクティブ・ラーニングにほかならないわけです。そういうところから考えたときに、特に中等の段階で研修や効果をモニタリングする。そして、お互いに同僚性が必要になり、また一方で、校内だけではなく外部からの様々な知識や事例という学習の資源としてのリソースが提供されることによって初めて可能になるのではないかということです。9ページ目にはそういうサイクルを出すことの必要性を書かせていただきました。
 10ページ目は、具体的な指導実践の紹介というのが私への御依頼でございましたので、指導実践は、アクティブ・ラーニングというのを特定のものだけではありません。教科内、クロスカリキュラム、また、社会教育連携、様々な形の中であり得ると思います。本日は時間がございませんので詳しい説明はいたしませんが、お手元の補足資料の方にございますのが、こちらにおられる福井大学の松木先生や、それから、私も10年以上関わらせていただいている福井大附属中学校の授業実践です。「主題-探究-表現」型というような形で、名前をアクティブ・ラーニングとは言っていませんけれども、教科の中でいかに探究型の授業を中等教育段階で行っているかという例がスライドにございます。
 そしてまたさらに、第二の事例として東大附属の場合です。中等教育学校ですので、いわゆる高校段階まで含めて6年間です。こちらは総合的な学習の時間などを通して探究をしていくカリキュラムを組んで、卒業研究という、最後には一人で社会の問題に対して表現をしていく、いわゆる大学の卒論に対応するような形の指導法というものも実践としてあるという事例になっています。
 お手数ですが、13ページ目に飛ばせていただきます。今の事例で大体、そのためにはカリキュラムなどを構造的に組むことが必要だという事例になります。アクティブ・ラーニングの高校の実践として、特定の学校の中だけではなく、研修を通して学校間で連携を行っていく事例として13ページ目の「高校 学校間を超えるプロジェクト・ベースド・ラーニング」というものです。これは奈良女子大学附属中等教育学校の二田先生から出していただきましたが、実際にICTを活用して、学校を超えて他校の動画を見ながら同じ単元を学習していくというような高校の実践になっております。
 遠隔地ということでいえば、14ページ目もごらんください。これはOECD東北スクールプロジェクトという、いわゆる授業の中だけではなく、授業外にこのような形の協働学習を、ICTを使って海外など遠隔地とSkype会議等をしながら、復興支援というところの問題を考えていくという形の実践でございます。このような実践を通して、むしろ生徒が主体的に関わることによって、教師もまたそこから学んでいくというような指導事例があり得ると考えられます。
 そこで、きょうの本題があと5分ほどなんですけれども、私がアクティブ・ラーニングということを考えますと、15ページ目のパワーポイント資料にありますように何が教師に重要になるかということです。従来の被学習経験として、教師もまたアクティブ・ラーニングということをしたことのない、指導主事も必ずしもそれを経験したことが管理職にもないことに、これから挑戦をして学んでいくということが必要になります。そのときに、やはり教員養成に関わる大学教員がアクティブ・ラーニングを知らない限り、そこには――それは特定の科目だけではなく、やはり養成課程に関わる全体として体験を通して学んでいくという実践や実地で、学生側は実践や実地、実習と理論の往還で、様々な学校や事例に基づく知識を学び見識を育成していくことが必要であろうと思います。そのためには、先日から出ておりましたけれども、行政と大学の連携が、実は大学の教員が専門的知識を提供するだけではなく、一緒に現場に、学校に関わることによって、地域の連携校を作ることによって一緒にアクティブ・ラーニングを考えていくことが、養成課程そのものである大学教員の育成のためにも重要になってくるであろうと考えられます。
 また、私が申し上げたい2点目は採用であります。採用試験の問題集をこのたび私も丁寧に全部、教員採用試験の問題をいろいろなところのものを見てみました。けれども、やはり知識が安定した知識だけに偏っておりまして、共通教養、一般教養の構成原理について見直すことが必要なのではないかと考えられます。いわゆる暗記型の、確かに法的な知識等は必要です。生徒の理解を、特にアクティブ・ラーニングは、全ての生徒が能動的に関わるためには、いろいろな一つの課題に対して、どのような失敗やつまずきをうまく深い理解につなげるのかということの教師の理解が非常に重要になります。それを専門用語では生徒の理解に即した指導の実践的知識と呼んでございますけれども、アメリカ等では、実際にこういう生徒の誤りはどこをどのように援助したらいいのかという教育がなされているという事例もございます。そうしたことを考えると、そうした内容の試験を導入していくことが必要です。そして、実技や面接も含め、採用方法の見直し、そして安定的に教員がこうしたことに取り組めるような専任の採用が重要でです。これからの教育を担う専門性基準をきちんと国が提示していくこと、そしてまた自治体も考えていくということが必要であろうと思います。
 そして3点目に、現職の研修におきましては、研修における振り返りと日常の授業において実践化のサイクルを作る校内研修が大事になってくると思います。よく申し上げるのは、校内研修がたくさん行われるからといって授業が向上するとは限らない。研修の語りだけがうまくなるということがあってはならず、実践をよいものへ変えようとする意欲と日常化の実践とがつながることが大切であり、そのためにはやはり学校内の授業研究が重視されるべきであろうと思います。ただし、より高次なことを学ぶためには、センターで単発だけではなく、年間を通じて教師が自ら継続的に探究したいと考えられるような内容について専門的な研修を行うことで、学校間で連携をして教師同士が更に学び合うというような形を作っていく必要があると思います。それによって教師が力量を高め、アクティブ・ラーニングによって新たな学びの過程の実践記録等を作る。それに基づいて高度な専門職基準の高度化を認定していくというような形ができないかと思います。例えばアメリカの専門職基準認定協会が非営利の団体を設立されて、そこでは教育実践の記録や報告を提出している。こういうような形で、実際に教師がやったことを基にして高度化が認められていくような形というのはないのかと思います。そして、教職大学院や地域の中での大学の連携によって学び直しや専門職の高度化をしながら、アクティブ・ラーニングについて事例や見識を高めていく方向が必要であろうと思います。
 最後のページの紙は、教師が養成、新任・初任、中堅、管理職あるいは熟練というようなところように、これからこうしたネットワークを作りながら支えていくということが大事ではないかとしめしたものです。教師自身がアクティブでディープ・ラーニングをやってみない限り、生徒にアクティブ・ラーニングは導入できないと考える次第です。
 ちょっと時間が長くなりました。ありがとうございます。
【小原部会長】  ありがとうございました。
 なお、質疑応答、意見交換の時間は、全ての方の御説明の後にまとめて設けてありますので、よろしくお願いいたします。
 続きましては、安藤委員より御説明をお願いいたします。
【安藤委員】  はい。安藤と申します。よろしくお願いいたします。
 私の方は、特別支援教育における教員養成・研修の取組と課題ということで述べさせていただきます。
 まず申し上げたいのは、特別支援教育というのは決して特別な教育ではなくて、通常のここで検討されている幅広い教育というもののほんの一部として捉えるということで、その目的・目標において何ら変わることがないということを最初に前提としてお話をしたいと思います。
 資料の3をごらんください。
 最初に要旨をそこにまとめておきました。既にもう御存じかと思いますが、特別支援教育という言葉についてはまだたかだかここ9年目になっておりますので、一応その辺をここで共通認識ということで御紹介を、くどいかもしれませんが、差し上げたいと思います。特別支援教育は、改正学校教育法の施行が2007年に行われました、そのときに制度化が行われています。それ以前は「特殊教育」というふうに呼んでおりました。特殊教育というのは、障害の種類や程度に応じて別々の場所で教育をするという定義になっておりましたが、この特別支援教育というのはその特殊教育を発展的に転換したもので、まず子供一人一人のニーズに応じて適切な指導及び必要な支援を行うというふうに定義付けされております。一人一人の子供の教育的ニーズから出発するというところで、かなり内容としては、同じものを見ていても見方が180度変わっていると言えるかもしれません。そしてさらに、全ての学校において一人一人の教育的ニーズに応じてというふうに書いてあります。つまり、特別支援学校に限らず一般の学校において、全ての場において、学校教育の全ての場において行われるという意味で、近年、2012年からインクルーシブ教育システムへという言葉が用いられて、観の転換が大きく図られています。
 特別支援教育というのは、そこに書いてありますが、「共生社会の形成の基礎となるものであり、我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っている」というふうに2007年の通知に理念として掲げられています。そしてさらに、今日、多様化する学校教育において、様々な教育課題、例えば児童・生徒の学習・行動上の諸問題――いじめ、暴力、引きこもり、不登校等の様々な問題について、解決を図るだけでなく、予防をするという、そういう視点が含まれております。そして、全ての幼児・児童・生徒が安心して生活できる学校づくり、つまり、学校教育が安定化するということへの貢献が期待されております。そして、各地で様々な取組がなされているところでございます。
 課題はというのを先に掲げさせていただきました。これから御説明しますけれども、まず、教員養成における特別支援教育の課題ですが、高度専門性ということが非常に求められています。これからその説明をいたしますが、特別支援教育については、子供たちの情緒や認知や思考などに踏み込むような高度な専門性が求められております。そのための特別支援学校教員の養成がこれまでどおりでよいのかどうか、十分なのかというところをもう一度検討しなければならないというふうに思います。そして、全校種、つまり特別支援教育だけではなく、小学校免許、中学校免許、幼稚園の免許、高校の免許、全ての学校種の免許を持つ教員の養成について、その基礎的知識として最低限の特別支援教育に関する知識の養成が必要になってくるだろうと思います。※で挙げておきましたが、平成9年からは介護等体験特例法というのができまして、学生には介護等体験というのが7日間義務付けられています。そこでは、老人施設あるいは特別支援学校等での介護体験ということで参加型の研修のようなものが含まれております。そしてまた、大学の中には、大学によって違いますけれども、年間半期2単位のうちのほんの一部に特別支援教育というものの中身が盛り込まれているというのが現状かと思います。実際に私の大学でも、特別支援教育について私自身が生徒指導というような科目の履修の中のほんの2時間、3時間を特別支援教育について説明をしているというところで、学生はそれ以外には学ぶ機会を持っていないというところになります。そうではなくて、全校種の教員が知識として持っていなければならない最低限のものというのがあるというふうに思います。
 それから、採用・人事につきましては、特別支援教育の視点、先ほど述べました視点ですけれども、それを持って学校及び学校のエリアネットワークの中で多様な専門性を確保するということが求められていると思います。先ほど最初の御説明にありましたスクールソーシャルワーカーあるいはスクールカウンセラー等々の職種が挙がっておりますけれども、諸外国を見学いたしますと、学校だけではなく学校区でよいと思いますが、学校区の中に必ず子供の発達を学習面でも行動面でもアセスメントし、フォローアップするような特殊な専門性を持った人たちが一緒にコラボレーションしております。日本の教育の中ではそのような多様性が極端に限られているというふうに感じています。つまり、教師が全てのことをやらなければならない。多忙化とはちょっと違う意味で多様性という専門性の意味からいっても、教師たちは忙殺されている状況にあります。その辺の多様な専門性をどう導入するかということがこれから求められていると思います。
 それから、3番目の現職研修ですが、幅広い人材育成が必要になってきますが、まず、制度化されたものとしての特別支援教育コーディネーターというのが必ずどこの学校にも指名をされています。この特別支援教育コーディネーターを学校教育の組織の中における一つのミドルリーダーとして更に育てていただくということが非常に大事になってくるというふうに思います。そしてもう1点は、特別支援学級や通級指導教室というふうに呼んでおりますが、幾つかの特別支援教育を担う専門性を持った教員の資質・能力の中身を、大学等の中でリカレントを行う等の方法によってより専門性を高めるということも、喫緊の課題になってくると思います。短期的な課題、そして中・長期的な課題に分けて、しっかりと今できるところから更に理想とするところまで進んでいくということが求められているのではないかというふうに思います。
 では、少し詳しく説明をしたいと思います。次のページ、2ページをごらんください。特別支援教育の対象についてまず押さえさせていただきたいと思います。全児童数の中の現在3.33%が平成26年の基本調査によって挙げられた特別支援教育の対象となっている児童・生徒でございます。その内訳、三つあります。一つは、特別支援学校の中で教育されている幼児・児童・生徒が0.67%おります。それから、特別支援学級と呼ばれている一般の小・中学校の中にあります特別なカリキュラムによって指導されている児童・生徒が1.84%います。そしてさらに、通常の学級に在籍しながら通級という、平成5年に制度化をされました通級指導教室という、これは学級ではなく教室というふうに呼ばれていますが、そこに0.82%の子供たちが通級をしております。全てを合わせて3.33%ですが、問題はこのほかに、全国調査の結果、発達障害の可能性のある特別な支援を要する児童・生徒――この特別というのは、担任等の教師が「この子供は通常の学びの体制では学べないんだ」というふうに回答した質問紙による調査ですが、その結果として6.5%の児童・生徒が特別に支援を必要とするというふうに言われています。これは10年前の調査とほとんど変わっていない状況で、特別支援教育が推進されるようになってから今9年目を迎えますが、その中で全体の児童・生徒数が減っている中で特別支援教育を受ける必要のある児童・生徒が減っていないということ、これが何を意味しているのかというところがとても重要な問題であると思います。そしてさらに、通常の学級の中の6.5%を含めて、通常学級の枠組みの中にいる特別支援の対象が増加をしていると。この増え方がかなり激しく急激に増加しているところに問題点があろうというふうに思います。
 では、特別支援教育担当教員がどのように養成・研修を行われているかということをちょっとさらってみたいと思います。
 特別支援学校教員には、特別支援学校教諭等免許状というのがございます。これは平成25年の調査では、学校の中でその免許を保持している者が71.5%というふうになっています。つまり、29%は免許は持っていない状態で指導をしているということになるかと思います。これに対して、免許法の認定講習というのは都道府県単位あるいは政令市単位で行われております。具体的に言うと、夏休み等を利用して、毎年、単位を取っていくというものでございます。
 さらに、特別支援学級という制度化された学級ですけれども、この特別支援学級の教諭が特別支援学校教諭等の免許状を持っているどうかという、その保持率は30.5%でございます。6割、7割の教員が一般の免許のままで特別支援学級を担任しているということになるかと思います。これに対して都道府県の教育委員会や市町村の教育委員会等は、大学に派遣したり、それから特別支援教育の総合教育研究所というのがございますが、そのような場所に派遣したり、あるいは教育委員会ごとのセンター等に派遣したりのような現職研修を行っております。
 さらに、通級指導教室ですが、これは校内人事によりますので、免許等はほとんど及ばないところになっているというふうに思います。OJTということが主になっておりまして、通級指導教室の担当になった場合には、お互いに実務を通して学び合うというようなことを通して、あるいは教員同士の研究会等を通して、現職研修が行われている。あるいは、教育委員会ごとの研修もありますけれども、極めて不十分な状況にあるというふうに考えられます。
 また、通常の学級にも、先ほど述べましたような6.5%の子供たちがおりますけれども、そこに対しては特別支援に関する校内研修が主であって、なかなか専門的な研修は行われていないというのが状況かと思います。
 次の3ページをごらんください。免許状のことについて少し詳しく説明をしたいと思います。
 特別支援学校教諭等の免許状の取得方法ですが、大学の認定課程の中で、小学校、中学校、高校等の基礎免許の上に26単位を取得すると免許が与えられるということになっています。このほかには、先ほども述べましたように、基礎免を基礎として免許法の認定講習等における単位の取得によっても取得をすることができます。
 全国の特別支援学校教員養成課程ですけれども、専修免許状を出しているところは58大学で定員が1,549名です。一種は140大学、2万9,690人、二種は2大学で定員が170人おります。これに対して平成25年度の実際の授与数ですが、専修免許が263、一種免許が4,372、二種免許が4,842となっておりまして、定員に対して実際の授与数が多くないなということをそこで見ていただけるというふうに思います。また、免許の種別ですけれども、視覚、聴覚などの特別な領域はほとんどというか、視覚が6大学、聴覚が16大学ということで、需要数を満たさない状況にあるということをここで付け加えさせていただきたいと思います。
 では、先ほどから特別支援教育には特別な専門性が必要だというふうに申し上げましたけれども、その中身について少し述べたいと思います。
 特別支援教育に係る専門性というのは、特別な教員というわけではないので、教員としての基本的な専門性、これは必ずあるものです。しかし、それプラス、発達障害というふうにいいますと、これは神経学的な要因を背景とするというふうに定義付けられていまして、具体的には認知の問題で、認知というのは感覚や知覚も含め認知の問題ですが、子供たちの思考や判断や表現等に直接的な影響を及ぼす認知の問題に偏り――偏りというのは、得意なところと不得意なところが極端に差があるということで、ある子供は突出したギフテッドと呼ばれていますが、突出した才能がある部分があるのに標準をはるかに下回るような能力しかないというような、同じ個人の中で極端な偏りが見られるというもの。あるいは、ゆがみというのは、通常の子供たちにはないような、例えば自閉的な傾向を持つお子さんでしたら、感覚の過敏性によって、集団の中に入ることが例えば音やにおいや雰囲気が怖くて入れないというような、そういう感覚過敏をもっているというようなことに代表されるような様々な偏りやゆがみを持っていること。そして、身体の状況、心理の状況、そしてさらには環境の問題も含まれていて、これを指導・支援し、あるいは予防するためには、この発達障害等の持っている神経的な要因にアプローチできるような専門性が必要だというふうに考えられます。
 具体的に申し上げますと、幼児・児童・生徒の発達を科学的に評価するような専門性が一つでございます。アセスメントをもって科学的に評価をし、子供たちの認知的な、身体的な、心理的な背景を的確に捉えるということでございます。そして二つ目が、それによって、その幼児・児童・生徒がどのような教育的ニーズを持っているのかということを的確に把握するというところから出発しなければなりません。そして最後に、方法論の問題になるかと思います。適切な指導及び必要な支援を行うような資質・能力。もう少し具体的に言いますと、特別支援教育では、個別の教育支援計画、つまり、その子供の幼児期から青年期までを通した教育支援計画を策定することが求められています。そしてさらには、個別の指導計画と申しまして、具体的な指導・支援をどのようなシステムを組んで、どのようなプログラムの下に、いつ、誰が、どこで、どのように行うかというようなことをきめ細かく計画するということが求められています。そのようなことを通して、それをPDCAサイクルに乗せて常に評価・修正しながら1年間のプログラムをまとめて次の年度に送るということが求められています。このような専門性が特別支援教育に係る専門性として非常に重要であるし、求められていることであります。
 4ページをごらんください。ということで、特別支援教育には連続性のある多様な学びの場ということが求められております。これは、2012年に出されました「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」という報告に盛られておりますけれども、小・中学校の通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場を用意するということでございます。それについては最後にもう一度、そのシステムとして述べたいと思います。
 実際、学校ではどうなのかということを一つ付け加えさせていただきます。先ほどから申し上げているように、2007年以降、学校では、喫緊の課題として、その6.5%の子供たちをどうするのかということについて具体的に取組が開始をされています。一つは、特別支援教育コーディネーターを核とするチーム支援体制がとられて、生徒指導とのコラボレーションも行われながら、学校の中でチームで支援をしていこうという体制がとられている学校があります。
 あるいは、UDと書きましたが、ユニバーサルデザインと読みます。教育のユニバーサルデザイン化というのが最近言われておりますけれども、ノンステップバスのように、わざわざ障害者のためにとか、障害を持っている方のためにとか、お年寄りのためにということではなくて、全ての人たちがステップのないバスですとすっと入っていくことができるというようなわけで、ユニバーサルデザインの教育というふうに言われておりますが、どんな子供も非常に分かりやすい教育を学級の中で実践していこうというような取組でございます。RTIというのは、アメリカ等から入ってきましたLDを中心とした教育ですけれども、レスポンス・トゥ・インターベーションというふうに読みまして、まず、分かりやすい教育を低学年からやって、そのレスポンス、それに反応しなかった、つまり、そういうやり方でもうまく反応できなかった2割の子供たちに対して、更にきめ細かくグルーピングしたりとか飛び出し指導したりして教育をしていく。そして、その中でも更に学べなかった5%に対して、特別に制度化された介入をしていくというような逆の発想で、全ての子供たちをまず教育してみるということのその反応によって特別支援教育を考えていこうというような考え方ですが、このような視点を取り入れた授業改善が行われています。
 あるいは、支援員という枠組みがありますが、学習支援員等を活用して、特別支援教室という教室は制度化されているわけではなくて、こういう試みが学習ルームというような形で各地において実践されていますが、こういうところでの支援が行われたりしています。
 あるいは、地域資源を活用したエリアネットワークの中で、先ほど申し上げたような多様性のある専門性を学校の中に導入するという試みもなされています。
 こうした取組が実際の学校の中では既に行われていますが、その下の最後、通常の学級をベースとする連続的な支援システム(例)というのをごらんいただきながら少し説明させていただきたいと思います。
 今申し上げたような学校での取組は、実際には国とか教育委員会等のモデル事業等によって行われています。しかし、一方では、地域や学校によってはこの取組が全く行われていないというようなところもありますし、地域や学校での格差が見られることが問題となっています。
 まず、システムについて説明させていただきますが、特別支援学校のシステムは、その図にありますが、一番真ん中にある通常の学級の右肩上にある特別支援学校あるいはその下にある特別支援学級というものが、制度化された特別支援教育の今の場でございます。特別支援学校では、専門的な教育課程、つまり特別支援学校の学習指導要領に基づいて教育が行われています。そして、特別支援学級は、特別支援学校の教育課程等を参考にして、児童・生徒の実態に応じ特別な教育課程を編成してよいというふうに決められておりますので、ここでは先ほど述べました個別の指導計画に基づいた教育が行われています。そしてさらに、そのサイクルの上にあります通級指導教室ですが、ここでも専門的なプログラムが行われていますが、ただし、ここを利用している児童・生徒は通常の学級に在籍をしているので、特別な教育課程のもとに行われているというわけではなくて、通常の学級では合理的配慮を行われつつ、週に1回程度というのが実情ですが、自立活動という枠組みの中で、他校あるいは自分の学校にある通級指導教室に通っているというところで教育が行われています。このほかに、その左側にちょっと書きましたけれども、学習支援や居場所づくりのための特別支援教室、これは先ほど申し上げたように制度化されているわけではないので、学習ルームとか何とかルームというような名前で愛称のようで呼ばれている学校が多いんですけれども、こういうところでは補充的プログラムが稼働している場合があります。
 ポイントとしては、児童・生徒の多様性に合わせて多様な人材の確保・育成が必要だということ。ここで見てお分かりのように、そういうシステムを学校の中にどのように組むかということが求められているということです。そして、その中でミドルリーダーとして特別支援教育コーディネーターが育成されること。そして、先生方それぞれのよさを生かして学校組織の中でチーム支援が行われるということ。そして、地域資源として保護者や地域住民を巻き込み、そして地域にいる専門家としての医療の専門家、福祉の専門家、警察等も含まれますけれども、様々な専門家が学校に介入をしていただくということがとても重要だというふうに思われます。
 そして二つ目に、プログラムの問題ですけれども、その黄色く囲った二つの自立活動及び個別の指導計画というところが一つ今のキーポイントになるかと思いますが、特別支援学校学習指導要領では六つの領域で構成される自立活動という内容が盛り込まれておりまして、これは、学びの困難を克服するために、コミュニケーションの問題だとか身体的な、心理的な安定を図るだとか、言葉の問題をどうクリアするだとかいうような内容についての6領域がそこに盛られていますが、これらを参考にしたプログラムをどう作っていくかということ。そして、それを一人一人のニーズに合わせた個別の指導計画にどう落とし込んでいくかというようなプログラムの開発が求められているというふうに思います。これは例として挙げましたが、実際に各地の学校で先駆的な取組が行われているものをまとめると、このようなものが含まれると学校が安定化するための特別支援教育が推進できていくという、今できることという意味での例として取り上げました。通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な支援を必要とする子供たちへの対応だけではなくて、児童・生徒の学力・生活面での様々な問題を予防する、そして学校を安定化するというために、地域、学校の援助資源を生かしたこのような短期的な取組目標が掲げられておりますが、それとともに、中・長期的な見通しを持って施策の推進が求められているというふうに思います。
 以上、私の提案にさせていただきます。ありがとうございました。
【小原部会長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、永田先生より御説明をお願いいたします。
【永田委員】  東京学芸大学で道徳教育の教職科目を担当しております永田と申します。教職大学院に所属しております。 私からは、学校教育における課題に対応した教員養成・研修の取組の成果・課題として挙げられている道徳教育の観点から発表をいたします。資料は、ステープラー留めした5枚つづりの資料4のうち最初の2枚が、4ページが発表内容の要旨の部分になります。その後ろは参考の統計資料。また、別冊を二つ付けておりますが、適宜のぞいてみたいと思います。文字中心の資料で、目に優しくない内容で大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 最初の「はじめに」に書いてございますように、周知のように、3月27日に学習指導要領が一部改正され、道徳の時間が新たな枠組みによって「特別の教科」としての「道徳科」となりました。歴史をさかのぼるならば、昭和33年(1958年)に教育課程上に特設されて以来、57年ぶりという感じなんですが、半世紀を優に超えた道徳の時間も、その実施状況は必ずしも十分ではありませんでした。中には忌避傾向を持つ教員もいて、その時間数の確保が大きな課題でした。そのため、授業自体がやりやすさを求めて、それで形式化し、更に形骸化、そして硬直化して、上の学年、学校段階の子供ほど好きになれていないという学習の筆頭の内容とも言えるほどになりました。10年前になりますが、平成17年に文部科学省より公表された「義務教育に関する調査」では、小学校高学年の段階で道徳の授業が全ての学習の中で最も好きになれない、いわば好感度が最低の低空飛行になっておりましたが、それが中学校まで続くという実態がありました。
 そのような中、今回の道徳の「特別の教科」としての位置付けがなされたことは、とても重要な意味を持っていると思われます。「特別の教科」、道徳として強調されているのは、道徳的価値の理解を踏まえてというのはありますが、多面的・多角的な思考です。つまり、立ち位置を外側にしたり、あるいは本人が多角的に物を見たり、そのような両面的な思考なんですが、授業スタイルも問題解決的な学習とか、あるいは社会的な課題に向き合う学習などが強調されていて、先ほど報告がございましたアクティブ・ラーニングの趣旨を積極的に生かして、生き方に関する能動的な学習を目指すべきとの趣旨が感じられます。恐らく子供が待ち望んでいる授業の姿だと私は思います。道徳教育、道徳授業は何歩も遅れてきたということがあります。この教科化について不安視する声をよく聞くのですが、この機会をビッグチャンスとして前向きな手を打っていくべきなのは、教員養成・研修の部分でも全く同じことなのかなと、そう思っております。
 1のところにその際の課題が書いてございますが、大きな問題は、道徳教育の要としての道徳の授業について、子供と教師のマイナス意識が連動して、大学の授業でもそれに拍車をかけているという実態があることです。
 (1)に示していますが、道徳の授業についてマイナスイメージを強く持ったまま学生になっているということが挙げられます。まず、本学の学生が小・中学校時代に受けた道徳授業の印象について整理している資料を付けておりますが、後でごらんいただけたらと思いますが、ここの表にある数値では、肯定的な印象が小学校の半数から中学校へと激減していることが分かります。また、ここには掲載していませんが、「覚えていない」というのが小学校が8.9%、中学校は21.1%。中学校の方が記憶が新しいはずなのに2倍を超えているんですね。
 そして、具体的な声は後ろの6ページの資料2にありますが、またゆっくり見ていただけたらと思うんですが、例えば、「答えがないから何を言ってもいいと先生は言うんだけれど、答えがないのになぜ勉強するんだろう」「宙ぶらりんな感じがする」、こんなイメージがずらりと並ぶ。これが教職に就こうとしている学大生の声なんですね。
 そしてまた、表の(2)にありますように、教師の方も道徳の授業が不十分だと多くの教師が受け止めています。なぜ十分には行われないのかの理由は、また資料1の5ページに示していますが、最大の理由が「忙しいから」、2番目が「指導が難しいから」という理由です。忙しいから後回し、難しいから避けるというのは、正に道徳の重要度を教師が自ら低くしてきたということです。教職を学ぶ学生も、「教師は道徳の授業を軽視してきた」と書いているんですね。これ自体が、道徳教育の充実を阻んできた大きな要因だと考えられるわけです。
 レジュメの要旨の2枚目になりますが、では、大学ではどうなのか、それらを克服できる道徳教育の授業などができているのか、そのことに活路はないのかということですが、そのような問題意識から、テーマを掲げて、大学が拠点となってできる道徳教育の充実策を様々な形で研究的に展開してきました。平成21年度から総合的道徳教育プログラムという研究推進事業、研究事業を推進してきました。その枠内にありますように三つのプロジェクトを立ち上げて、マルチで取り組みました。そうすることで、全学的に道徳教育の理解を深めつつ、家庭や地域との連携も視野に入れて、地域に立脚する大学としてできることから充実していこうとする試みでした。その概要は別途、添付しましたカラー版の冊子の「道徳教育の未来をひらく」に整理していますので、またざっとごらんいただけたらと思います。
 全体の中で出色に感じられたのが、大学自体が道徳教育全体の充実に資する様々な教材の宝庫であり、ノウハウを持っているということです。(2)に書きましたように、また、冊子の12から15ページにもリストを掲載していますように、多彩な専門領域があって、例えば生命尊重の教育、環境教育、国際理解教育など、様々な角度から教育課題に生かすための教材開発を行うこともできました。また、近隣の小・中学校と大学とが連携研究をする。これは、専門性と実践性のいわば理論と実践の往還をそのまま地で行くようなもの。それを道徳教育フォーラムで発表して、地域の人も参加していただく。このような大学自体が道徳教育の拠点となる可能性があることを改めて意識しました。ただ、これも、意識してプロジェクトとして取り組まないと何も生まれない、行われないということの難しさもあったのは事実です。
 その下の3に示しましたが、道徳教育の充実のためには、大学における教職科目「道徳の指導法」の実質的な充実が欠かせません。その方向を見つけるために本学では、教職課程を持つ大学に調査票を送って、その実態を調べてみました。その中で見えてきたことは、また資料4、8ページから4枚ほどに簡単に掲載しておりますが、授業を行う教員の年齢が51歳以上が7割、年齢層では60歳以上が一番多いということですが、小・中学校の退職者が当たっているということが十分想定されます。また、専門領域は、教育哲学、教育学一般、倫理学、教育史、教育方法、教育心理学が続いていて、道徳教育を主専門とするのは、文章の中に埋めておりますが、わずか10.2%ということなんです。道徳教育の研究者の数が少ないということがよく分かります。
 そして、学習指導案の作成は67.8%、つまり約3分の2。ただし、授業参観を取り入れているのはわずか4.1%ということで、25分の1ぐらいということです。物理的に難しいということです。授業の課題としては、要旨の3ページ目に書いてあるとおりで、大学の専門性は持っていても学習指導案を見るという力の方、そちらの方が専門性ではないという場合も多いと思いますが、それを見る時間数も少ない。また一方で、学生によい授業のイメージがない、あるいは授業者の教育的価値観が大きく影響するというようなことがまた整理されています。
 本学では、そこで、冊子の6から7ページに、カラー版の冊子にはビジュアルに構成されていますが、複数の道徳授業を同じシラバスで展開できるように、担当教員が常に連携するようにしました。もちろん、そのように行っているほかの大学もたくさん目にしております。また、全国で効果的な事例を行っている多彩な大学教員がいますので、その大学教員の知恵を広く普及することも重要だと考えて、連携して授業モデルを提供し合って、他の大学にも送ってきました。それがもう一つの重くなってしまう冊子ですが、「大学における教職科目『道徳の指導法』の指導モデルに関する研究」というものです。やや粗い編集にはなっていますが、それぞれの教職課程のところに送りますと反響もあって、「参考になった」との声を多く聞きました。このことで気が付いたのは、振り返ってみますと、小・中学校はいわばレッスンスタディーというか、授業研究がよく進められるのですが、大学の授業のレッスンスタディーはほとんど行われていないかもしれない。また、道徳の指導法は特に実施方法が安定していないとの受け止めがあったので、このような取組も価値があることだと思いました。
 また、(3)にありますように、教職科目の課題として大きく三つを感じています。一つには、まだ本年度では一部改正学習指導要領の趣旨の反映がそれぞれの大学でできていないとの声を聞くこと、これはやむを得ないところがあると思います。二つ目は、大学における授業の実施環境の難しさで、先ほどの話題にもありましたが、大学こそがアクティブ・ラーニングを推進すべきで、努力しているのですが、学ぶべき内容、学びたい内容は、後ろの方に20項目、資料4の後ろから2ページ目のところにあるように多岐にわたっていて、講義と演習の15回ではどうしても上滑りになります。道徳は領域の広いものですから、そのようになるわけです。昨年度10月の道徳の「特別の教科化」をうたった中教審の答申では、「大学の教員養成課程における道徳教育については、理論面、実践面、実施経験面の三つの側面から改善充実を図る必要」があると示されているのですが、連携研究冊子の多くの事例のように、どちらかに傾斜を掛けないと、余りに概論過ぎて上滑りの15回になってしまいます。学習指導案を書いても、書きっ放しで修正はまだ届かないというのが今のところの実際です。方法としては、例えば道徳教育全体に関する部分と、道徳の授業の指導法に関する部分に分けて実施することも考えられるかもしれません。また、関心のある学生が更に深く学ぶ選択科目を設置することも考えられるかと思います。高等学校も道徳教育を展開しているのですが、直接そのことを扱う教職科目も視野に入れるとするならば、そのような道徳教育全体を扱う科目など選択肢の拡充によってその可能性が広がる、そう思われます。そして、枠内の丸3に示していますように、大学の道徳教育を専門に担当する教員の確保が今後一層求められていくことは必定のことだと思います。やはり年齢的にも若く、中には小・中学校での実践経験もある教員もある程度いるのでよいと感じました。繰り返しになりますが、道徳教育を副業的に行っている大学教員が多いというのが実態です。
 4の(1)にありますように、道徳教育が全体としてアクティブな学習になり得ていないどころか、金太郎あめ的な授業だったのが、「特別の教科化」への動きを作る大きな要因でした。その意味で、一部改正された学習指導要領は道徳の学習の質的転換を求めるもので、大変勇気付けられます。小・中学校の教員を対象にして調査をしたことがありました。これは資料3などにも掲載されていますが、そこで聞いた項目では、授業の平板化とか形骸から抜け出そうとする意識はある程度見てとれるのですが、例えば、「複数時間の扱いもやってみますか」、「重点化はどうですか」とダイナミックな授業については、必ずしも意識が向いていない。いわば週1時間ずつ完結してやるやりすい授業の感覚にとどまっていて、より動的な授業の発想というものを持つ方向は必ずしも強くないということです。 セミナーの実施が(2)のところに書いてありますが、本学は、冊子の中にも8、9ページ辺りにカラーの中に入れておりますが、毎年の夏、8月10日はハートの日として、道徳授業パワーアップセミナーを実施して、本年度第6回となりますが、そのテーマは常に授業改善です。
 また、枠内の丸1にありますように、「特別の教科」としての道徳の趣旨についての啓発・理解などがありますが、それは全国規模で教員研修センターなどがつくばにて行われていますが、正にきょうより1週間行われ、その後、ブロックごとに展開する。これは実に充実した取組で行われていると私も思います。研究委嘱事業も現在、大変多く、多彩な成果を出しておると思います。今、大きな課題は、柔軟な発想で地域の道徳教育をコーディネートしていく地域リーダー、道徳リーダーの育成だと思います。つくばの道徳教育指導者養成研修は、その趣旨で行われていると思います。また、地域の中で育っていく場合に気を付けなくてはいけないのは、道徳教育推進リーダーが逆に活性化のブレーキになっているということです。そういう側面があると強く感じてきました。その地域のリーダーの授業観が固定していて、指導方法の受け継ぎが強く、その結果、授業が固定化・硬直化するということです。リーダーが多ければいいというものではなく、いわばしなやかな発想を持つリーダーを今まで以上に増やしていかなければいけないと思います。
 最後に2件です。5番目のところに記しましたが、その一つは、中学校段階の専門的な指導力の確保の問題です。中学校は急に道徳の授業が難しくなる印象があり、生徒指導的な授業になったり、社会性プログラムの方法だけでよしとしたりする、特質からずれた授業も見られます。それぞれの先生に専門教科があり、例えば社会科だったら社会科の先生が、週1時間の道徳に力が入りにくいということもあるだろうと思います。中学校段階では、小学校よりもその専門性の確保を図る研修や、それを持った教員を増やしていくことが重要だと感じています。
 いま一つは、さきにも述べたことと関連しますが、大学における「道徳教育学」を実質的に確立させていくことです。道徳教育という言葉に「学」が付きにくかったためか、ファジーに、あるいは附属的に扱われた部分も否定できないと思います。スタッフが充実していなければ、道徳の「特別の教科」化を支える大学の在り方も絵に描いた餅になる不安もあります。教育委員会や各学校との連携力を生かして、人材の確保、連携研究の充実などを図っていくことが大切かと感じています。
 不十分な発表となり恐縮です。このような機会を頂き、ありがとうございました。
【小原部会長】  ありがとうございました。
 それでは、続きまして、岡山大学に御説明をお願いいたします。
【加賀副センター長】  はい。それでは、もう早速ですけれども、御説明いたします。本日、できるだけ幅広く岡山大学の取組あるいは成果、課題等を御発表、御説明させていただければというふうに思っております。
 1ページ、ごらんいただきますと六つほど項目が挙がっておりますけれども、最初の三つはいわゆる開放制、教育学部以外の課程認定学部に対する教員の資質向上、あるいは質保証についての取組でございます。それから4番目、5番目は、主に教育学部の取組について御説明したいと思います。最後に教育委員会との連携についてお話をさせていただきます。
 それでは、ページをめくっていただきまして2ページでございます。岡山大学の全学的な教員養成組織は、教師教育開発センターという名称でございます。平成21年の10月、大学教育推進GPの採択を契機といたしまして、教師教育開発センター、全学の教員養成の質保証にかかるセンターを設置いたしました。その中にはもちろんいろいろな部門がございまして、全学のカリキュラムを考える部門ですとか、それから教育委員会及び学校との連携を図る部門ですとか、それから理数系教員養成の部門、それから教育に関する相談を学生に対してする部門、学生との直接の関わりをする部門等がございます。立ち上げのときにはシンポジウム等も開催しまして、正式な設置が平成22年4月ということでございます。国立大学で今、全学的な教員養成組織、いわゆる委員会形式ではなくて全学的な組織として持っているのが九つというふうに聞いております。もちろん、岡山大学が設置したときは国立大学で初めての実質的な組織であるというふうな評価をよく頂きましたけれども、現在九つ。それ以外にも、国立で言いますと、委員会組織ではありますけれども、ほぼ実質的には全学のことになっている組織が13ほどあるというふうに聞いております。その他国・公・私合わせますと、複数学部が課程認定を受けているというようなところが325程度あるらしいんですけれども、そのうちの27%ぐらいが全学組織を持っているというふうに聞いております。広がってきているというようなことでございます。
 3ページ目、岡山大学の教師教育開発センター、どのような関わりを持っているかというようなところですが、岡山大学、一番左の枠にありますように、教育学部を含めて8学部が教員免許を取れる学部、課程認定学部ということになっております。それらとの全学教職課程運営委員会を毎月開催するというようなことが一つございます。それから、真ん中の枠ですけれども、教師教育開発センターが担っている4部門ございますけれども、それの業務内容等を書かせていただいております。主に右側が教職コラボレーション部門が関わるところでございますけれども、県教委あるいは学校との連携、教育実習・ボランティア・インターンシップ等の協力校との関係づくりというようなことをしております。もちろん、真ん中の上辺りですけれども、合同連携協力会議という県・市の幹部職員と岡山大学との協力会議を行うというような業務をしているというところでございます。
 もう時間が差し迫っておりますので、次々で申し訳ないですが、4ページ目でございます。この教師教育開発センターを立ち上げるときに考えたのは、教育学部はもちろん教員養成について専門学部ですので、一生懸命やりましょうと。だけれども、教育学部以外の学生さんたちも免許を取って教員になっていく、そのときに、教育学部以外だから保証していかなくていいのか、質の向上を担保していかなくていいのか。そんなことはないだろう、もちろんないでしょうということでございます。で、教師教育開発センターを立ち上げまして、その棒グラフをごらんいただきますとお分かりのように、実質、教員免許を取得する学生数が激減しております。それがいいことか悪いことかという判断は別といたしまして、数としては、一生懸命、開放制の学部の学生たんさちに、こんなことも、こんなこともって言い出すと免許が取れなくなるというようなことは当然起こってくるということでございます。平成21年のところで大きくがたっと減ったところがございます。これ、教員免許の更新制が開始されたときですので、それの影響かなというところですが、これははっきりいたしません。免許に期限ができたから免許を取らないというような思考をする学生が本当にいるのかどうか分かりませんが、たまたまその年に減ったということでございます。平成25年が教師教育開発センターができてからの学生さんが初めて出た年ということでございます。今まで多かった年に比べますと半数近くになっているということです。ですけれども、実際に教員になっている数をごらんいただきますと、ここでは45というような数字が挙がっていますけれども、おおよそ50人前後の人たちが教員になっているというようなところでございます。免許を発行した数に対する教員になった数は38%というようなところですので、免許を取った3人に1人は教員になっていくというようなところでございます。免許を取得する学生が減ることが問題なのか、質のいい一生懸命志向する学生さんたちだけが免許を取っていっているのか、その辺りは今後、調査・検討していきたいというふうに思っております。とりあえずこんな現状は起こってまいります。どうしてかというところでございます。
 5ページをごらんください。これは、いろんなところで言われてきたことでございますけれども、教育学部以外の専門学部に所属する教員が課程認定を受けていって、免許に必要な授業であるということさえ分からずに授業しているという状況が岡山大学でももちろんございました。それはいけないことでございますので、FD研修を盛んにしているというところでございます。5ページ、教員養成学部のみならず、教職課程を担当する全ての教員が強い目的意識を持ち、教員養成課程に携わることは、教員養成の質を担保する上で極めて重要と言えると、まずこう考えました。教師教育開発センターが教職課程認定学部からの要望に応じて教職課程FD研修会を実施しております。教育学部以外7学部でございます。毎年、二つから三つの学部に、要望に応えてという書き方をしましたけれども、押しかけましてFD研修を実施しているというところでございます。写真、ちょっと暗くて見づらいところでございますけれども、まず主役は専門学部にありというふうな言い方をいたします。教員を育てるのは教師教育開発センターではなくて、あなたたちの学部なんだというような言い方を、ちょっとおどかすような感じで申し上げるというようなことでございます。そこには授業担当の教員ばかりでなく教務担当の係の事務職員も併せて参加するようにし、教職課程のSDという名前は使っておりませんけれども、実質的にはスタッフ・ディベロップメントも実施しているというところでございます。
 6ページでございます。専門学部の先生方が自分の授業が教員免許に必要な授業だって知らなかったというようなお話をいたしましたけれども、それをFDで何とか解消しようとしていっているわけなんです。ところが、その研修会にも出てこない先生というのは当然おられるわけで、不都合な先生もおられるわけです。ですから、何回か機会を持って、「シンポジウムには来てくださいね」というようなことをいたします。それでもなかなかというようなことがございましたけれども、実はこの教職実践演習が始まりまして大きく意識を変えた先生がおられました。我々教師教育開発センターは主役は学部と言っていますので、教職実践演習にも必ず専門学部の先生方に参加いただくようにしております。授業担当をしていただくようにしております。それの実践演習が始まる前の試行の段階から携わっていただきまして、そこに教員らしき人が何人か写っておりますが、他学部の先生方、教育学部以外の先生方ということでございます。役割として、教育学部の教員あるいは教師教育開発センターの教員ほど専門的なことを役割として与えるわけではなくて、一番下のところにございますけれども、グループワークでの指導、それから学生が模擬授業したときの専門的な見地からの指導を担当していただくというようなところでございます。そのようにして意識を変えていくというようなところの研修をいたしました。そんなこともあり、学生たちは教員免許をなかなかそう簡単に取れるもんじゃないというような意識を持ってきているというところでございます。それ以外にもカリキュラム、後ほど出てまいりますけれども、カリキュラム上でも少しハードルを設けているというようなところもございます。
 7ページ目、教育学部以外における教科教育担当教員の教員養成への関わりというようなことを書かせていただきましたが、およそ今まで説明したようなところでございます。それ以外にも、教職課程の運営委員会には必ず各学部の先生方に御参加いただいて全員ではございません、代表の方、しかも各学部でそれなりの発言力のある先生方、副学部長ですとか教務委員長という方、若しくはFD委員会の委員長というようなところの方がおいでいただくということです。7ページ目の真ん中のちょっと黒っぽい全学教職コアカリキュラムというところでございますけれども、まず初め、入ってきた学生たちは、全学教職オリエンテーションというものに4月に参加いたします。このときには、理系・文系合わせて250から300名ぐらいが参ります。免許を取ってみようかなというふうに思って来る学生は250名前後いるということでございます。その学生さんたちに、これも大学での単位以外ですけれども、母校訪問と、自分の出身した学校へちょっと行って、先生方の目線で一体学校ってどういうことになっているのかって見てきてごらんなさいというのを、夏休みに1日だけ行けと言います。そこでもう止めておくという学生さんたちも出てくるというところでございます。そんなこともしていると。それから、今まで4年生で教育実習へ行って、4年生で教員採用試験を受けて、4年生で教職実践演習をやって、4年生で集中して1年で取ってしまえみたいなカリキュラムもあり得たわけなんですけれども、それではなくて、少し教職論程度の基礎的なところは2年生から履修するようなことも考えておるということでございます。学生さんたち、教職員の皆さんの意識づくりをしたというところでございます。
 8ページ、同じようなことを書いておりますので、もう時間の関係で省略させていただきます。
 9ページからが教員養成のコアカリキュラム、主に教育学部のことでございます。御存じのように、ミッション再定義がございまして、このように再定義をしましたというのは枠内でございます。そこにございますように、初年次から3年次までの体系的な教育実習、2・3年次における学校支援ボランティアを中心とする体験的授業科目、4年次の教職実践演習と連動させて必修した長期間の「教職実践インターンシップ」から成る学校現場における体験的活動によって教職への意欲を高めるというようなことをミッションとして再定義いたしました。それから下の方でございますけれども、「教科内容構成」及び「授業構成」の力量を有する質の高い義務教育諸学校の教員を養成すると。大きくはこの二つでございます。我々のコアカリキュラムを作っていく原理原則のようなものでございます。既にやってきたものをミッションの再定義として挙げたと。それでいいのかというようなところもございますけれども。もう3年生、4年生までの積み上げの教育実習、積み上げ方式といいますか、そういう教育実習は全国どこでもやっているというところでございますけれども、その辺りも今、将来計画委員会等で検討しているところでございますが、4年次までの養成の目的としては、とりあえずは学校現場のことが分かる程度の学生ではなくて、発育や発達、主に発達ですけれども、子供たちの発達を見通した広い意味の教育ができる教員を育てたいと。そのためには、よく言われる理論と実践の往還しかない。大学としては。その理論と実践の往還を実質化していこうというところでございます。そのためには、4年生で教職実践演習が必修化された、これを逃す手はないということでございます。教職実践演習は大学での演習が中心でありますが、それと連動させて全学生を3か月以上選択すれば、1年間、4年次の間に学校現場へ出ることができるシステムを作ったということでございます。「教職実践インターンシップ」というふうに呼んでおりますが、それが往還のところでございます。それから、学校で何をするかというと、「教科内容構成」、これも先ほど申し上げました子供たちの発育や主に発達を見通した教育をしていくためには、一つの授業をよくしようというふうに考えて、一つの授業をよくする作り方ばっかりを勉強して、本当にそれでいい教員になれるかって、そんなことないと思いまして、できれば、子供たちが小学校1年生から高校を卒業するところまでどのような発達過程をたどるのだ、小学校に採用を希望するのであれば小学校の6年間で、中学校であれば3年間で、子供たちはどんな変化をするんだ、そのためにどのような授業を今ここですべきなのかというようなことを見てほしいというようなことで、「教科内容構成」あるいは「授業構成」という、つながりを持ったところのカリキュラムを作ったということでございます。
 10ページでございます。一応、対比的に教育学部と課程認定学部のカリキュラムを図で示させていただくとこうなりますということでございます。教育学部以外の課程認定学部が右でございます。先ほど申し上げましたけれども、少し学年の低いうちにというか、1年生、2年生の間から教職に対する意識付けをしていくというようなカリキュラムにいたしました。それから、左側が教育学部でございますけれども、実践的な授業科目、教育実習、それから一番上の方が「教職実践インターンシップ」でございますが、それと大学の授業を全て関わりがあるようなカリキュラムを作っていっていると。これ、正直なところ、まだまだのところでございますけれども、実践と理論の往還を実質的にしていこうというふうに思っているところです。もちろん、一番左の教育科目、いわゆる指導法だけではなくて、教科専門科目、岡山大学では教科内容と言っておりますけれども、教科専門科目も併せて実践との往還をしていこうというようなところでございます。ちょっと左の図が小さくて見えにくいので、後ろの方の参考資料でも付けておりますので、またごらんいただければと思います。
 11ページでございます。長期インターンシップ、これも先ほど説明したとおりでございます。4年次に280名定員がおりますけれども、280名全員、3か月以上学校現場に、毎週1回でございます。週1回の割合で。ずっと行きっ放しだと大学卒業できなくなりますので、週1回、半日を基準として参ります。選択すれば1年間、定期的に行けると。実質は5月から行くんですが、4月、5月に担任の先生が何かを言いました、それが1学期終わる頃にどういう影響があったかというところまでを何とか見てきてほしいということでございます。基本的には岡山県内の30校園で今実施しているというところでございます。
 12ページ、もう時間が残り少なくなってまいりましたが、始めてまだ今年が正式には2年目でございます。ですので、もう3年目に掛かっているところですけれども、平成25年度に受け入れていただいたところの調査についてはまとまっております。受け入れる学校も、1学期間、毎週、学生が来るなんていうことは今まで経験がありませんでしたので、どんなような状況でしたでしょうかというようなことでございます。主に肯定的な意見が入っているところだけを、きょうグラフにしているというところでございます。実際問題、週半日、1学期間、学生が来たところで、何をしてもらうのというところが、校長先生には一生懸命説明してまいりましたし、教育委員会にも了解をとったところでございますけれども、実際に担当する教員のところまではなかなか説明に回れていないというようなところがありますので、まだまだ受入れ学校への説明は今後も継続していかないといけないというふうに思っております。
 13ページでございます。教育学部ではインターンシップですけれども、全学的には学校ボランティアという名前で、「学校現場に開放制の学部の学生さんも行ってくださいよ」というようなことで啓発しているところでございます。数としては決して多くありません。全員に行ってほしいんですけれども、そうもいかないというようなところで、ボランティアの参加を促しているところです。毎年、スクールボランティアを開催いたしまして、県教委、市教委を含め、各自治体、学校単独で来るところも幾つかございますけれども、こんなボランティアがあるよというようなことをフェアとして実施していると。もちろん、そのほかにも毎日のようにボランティア情報を出しているというところでございます。
 14ページ以降は最後のところでございます。教育委員会・学校との連携ということで、大学の先生方、約110名です。教育学部に所属する教員ですね。110名は全員、学校・教育現場で指導を、何かの形でいいので、してきてくださいというようなことにしております。そんなことをずっと言っているわけなんですが、言っておりますとどんどんどんどん増えてまいりまして、今、年間800件ぐらい、教育委員会・学校、その他教育機関へ行くようになってまいりました。大学教育はそれでいいのかという批判を受けることもないわけではないんですけれども、先生方も盛んに学校へ出ていっていただいております。
 15ページが教育委員会との連携でございます。ここで申し上げたように、いろいろ岡山大学やってきておりますけれども、一番左に第一期、第二期、第三期みたいなことを書かせていただいております。そこだけちょっときょう最後に申し上げたいということでございます。教育委員会との連携をしていない教員養成系の学部はございません。ですけれども、包括協定を結んで組織的にやりましょうよという段階が第一期と書いておりますけれども、連携をやりましょうよという約束はできていますという段階だと思うんです。それが、第二期って書いてありますけれども、もう連携はしています。お互いにこれをやってほしい、これをやってほしいという自由に支援ができる段階が訪れるというようなところなんです。訪れるって自然に訪れるのではなくて、年間800件も出ていくとだんだんとそんな関係になっていくという段階でございます。そこには、我々の場合は教職大学院を創るので、もう完全に支援いただかないといけない。だからこっちも何か一生懸命しましょうみたいな、そんなこともございました。それがお互いに支援する段階があると思います。その後、第三期になりますと、先ほどからお話が出ています養成にも採用にも――採用はちょっと今のところ手が出せていないところですが、養成にも研修にもお互いが主体的に関わっていける段階というようなところがあるんだと思うんです。協働・深化の段階というふうなところだと思います。そのような段階を実際踏んでいけている大学というのはまだ少ないのではないかというふうな気はしておりますし、そういう実感を持っております。
 16ページ、今申し上げたことを簡単に書かせていただいておりますので、ごらんください。
 17ページ、最後、今後どうしていくかというようなところでございます。教職大学院が設置されている大学については初任研との関係について。それから、初任期教員のサポートに関するもの。先ほど出ておりましたけれども、研修は行政・教育委員会がやるものというような形はもうとても岡山大学の現状ではありませんで、スキルアップセミナー、パワーアップセミナーという名称で初任期のサポートを岡山大学が実施する、そこに教員たちが来るというような、それを広げていくんだと思います。それから三つ目、リアリティ・ショックへの支援というようなことを書かせていただきましたが、初任期に早期退職という言い方なんでしょうか、何という言い方なんでしょうか、平たく言えばもうつぶれてしまうというようなことがございますので、その辺りのメンタルケア事業も案としては練っているところでございます。あと、認定講習、更新講習の相互活用について。それから、岡山大学ではSGU(スーパー・グローバル・ユニバーシティ)の採択がございましたので、グローバルというようなことも考えているということでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
【小原部会長】  ありがとうございました。
 それでは、これまでの方の説明に関し、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。まず、名札を立てていただきまして。じゃあ、こっちから行こうかな。松木先生、北條先生、吉田先生の順番でよろしくお願いいたします。それから中西委員。
 じゃあ、松木先生。時間が少ないので。よろしく、手短にお願いいたします。
【松木委員】  はい。安藤先生に2点お伺いしたいなと、あるいは御意見を伺いたいなと思っております。1点目は、障害を持った子供たちの学力のこと、そしてもう一つは、特別支援学校免許状のことに関してです。
 1点目の学力のことに関してなんですが、2007年に特殊教育から特別支援教育に変わって、インクルーシブ教育を推進しているところだと思うんですが、インクルーシブを進めていく上で特別支援学校が存在しているという一見矛盾をしていること、そのことが逆に、私は、日本の特別支援教育の特徴であるし、インクルーシブな教育を進めていく上で役に立つというふうに考えているわけですが、実際のところ、特別支援学校がうまく機能していない部分はあるというふうに感じています。
 1点目は、特別支援学校の中が依然として特殊教育のままじゃないかなというふうに思っている点です。特に安藤先生の言葉で言いますと、発達を科学的に評価していくという、あるいは評価しながら教育的ニーズに応えていくというところが実は紙一重のところを持っていて、下手をすると一人一人を対象にした特殊教育に戻っていってしまう可能性を含んでいるんじゃないかなというふうに考えています。特別支援学校がセンター的機能を果たして通常学級への支援ということを進めようとしていますが、なかなかそこがうまくいかない理由の一つは、通常学級の中に障害のある子供たちがいて、その子供たちを含めた通常学級の授業をどうするかということに関して、特別支援学校の教員がなかなか支援できない。抜き出して個別の支援の計画を立てたり支援をしたりということはできるんですが、一緒になって取り組む授業を支えていくということができない現状があるのではないかなというふうに思っています。もちろんユニバーサルデザインもその一つなんですが、現在取り上げられているアクティブ・ラーニング等が出てきたときに、PBLのような学習の仕方ですと、障害のある子供たちも一緒になって参加できる形ができる。つまり、どれだけ覚えたかということであると、障害児が求められている学力と健常児に求められる学力がなかなか一致していかないんですが、現在求められているアクティブ・ラーニングあるいはダイバーシティな状況に対する対応能力、こういったものを取り上げて学力として位置付けていこうとしたとき、障害児教育が求めている学力と健常児に求められている学力が一致してくる。つまり、本当に真の意味でインクルーシブな教育が実現できる可能性が今開かれているんじゃないかということが1点目です。
 2点目は、免許に関して、特別支援学校での免許でいいのかということです。まず、特別支援学校の中でもインクルーシブな教育を進めていくということを考えたとき、免許状の中に障害別の領域が設けられているということについて、やはり違和感を覚えます。インクルーシブな教育を進めていくということを考えるならば、障害別の更に細かな力というのは、むしろ専修面あるいはサーティフィケート等が求められてきたときに出ていくべきではないか。むしろ学部段階ではインクルーシブな教育を進めていくような免許、つまり特別支援学校免許ではなくて、全ての特別支援を支えていけるような免許のところから積み重ねていくべきではないかなというように思っている点です。
 以上です。
【安藤委員】  お答えになるのかどうか分かりませんが、おっしゃるとおりですというお答えになってしまうかもしれません。
 一つ目ですが、先生がおっしゃるように、特別支援学校がどういう機能を果たすかということは一つ大きな問題となっていると思います。私がお示しした一番後の図をもう一度見ていただくと分かると思うんですが、御存じの方は御存じだと思いますが、センター的機能というものが特別支援学校の教員には求められています。今回の指導要領改訂の中にも、きちんとその役割を果たす必要があるということも明示されています。具体的には、通常の学校及び周辺の通級指導教室等も含め、地域の中で特別支援学校が一つのコンサルテーションとか、それからアドバイザーとか、それからコーディネーターを助けるものとか、人材育成についても全ての機能が任されているということですが、なかなかそれを果たしてないんじゃないかということ、御指摘そのものだと思います。私もそのことについては特別支援学校の内容を見ますと、やっぱり先生たちが自信がないみたいなところがあると思います。その裏付けとしては、先生が今おっしゃったように、特殊教育のままというふうなお言葉でおっしゃったこと、そのままだというふうに思いますけれども、現代的な教育課題に対応できるような特別支援教育の専門性が果たして養成されているのかなということになると思います。最初に私も申し上げましたが、通常の教育と何ら変わるところのない教育の目的であり、目標であるということを申し上げましたが、そのとおりだというふうに思います。
 二つ目の話にも関わると思いますけれども、今、教育の中で求められている主体的に学ぶということは、本当に特別支援教育が持っている内容そのもので、それを具体的におろした場合には、先ほど私が申し上げたようなきちんとした科学的なアセスメントをするところから授業の中身を作っていくところ、そしてそれを評価しながら進めていく力ということで、正に授業改善の力。そしてもう一つは、日本の学校教育の中で非常に強く求められている学級経営をどのようにマネジメントするかというところも求められているというふうに思います。つまり、これらの現代的な教育課題について特別支援学校の先生方に資質・能力として養っていく、その方法が教員養成のところでも考えられなければならないというふうに思います。
 で、二つ目の免許のところに行くわけですけれども、申し上げましたように、基礎的な免許の上の26単位の中だけでは十分なものは身に付けていかれないというのは、おっしゃるとおりだと思います。専修免許というのもありましたけれども、都道府県教育委員会等が派遣して、大学に2年間の大学院等への派遣というようなものも過去からありますけれども、今、それがうまく機能しているかどうかというのも、もう一度、予算的な措置も含めて考えていかなければならないのかなというふうに思います。ただ、少ない場ですけれども、そういう場が与えられていることは与えられているので、それをどうやって制度的に拡充していくか、あるいは見直していくかというところだと思います。
 うまく答えられませんけれども、以上です。
【小原部会長】  はい、北條委員お願いします。
【北條委員】  ありがとうございます。やはり安藤先生が御発表いただきました、お答えを頂くとかそういうことではございませんが、この1ページ目のところの全ての幼児・児童・生徒が安心して生活できる学校づくり、それがいわばインクルーシブ教育システムということだろうと思いますが、そういう意味では、幼稚園というのがそういう方向を目指す非常に分かりやすいところだと思いますが、お示しいただいた現在の我が国の学校における現状というようなところに、残念ながら幼稚園段階というのは公立も私立も到達していないということだけを御理解いただいて、今後の御尽力を頂きたいというふうに思います。
 御発表の中で1ページ目の教員養成における特別支援教育というところですね、全校種の教員が必要とする基礎的知識というのをしっかり身に付けていくことが必要だと。これ、私どもの幼稚園段階で言えば、これが本当に必要でありますので、このことに力を入れていただければと思います。
 また、二つ下のミドルリーダーとしてのコーディネーターの育成ですけれども、これは大変小規模な幼稚園がございます。小規模でなくてもどうしても、コーディネーターは指名されておりますが、形式的になっているし、また、公立の幼稚園ですと2学級しかないというような幼稚園もあるわけです。そういうところですと、コーディネーターの指名自体が非常に意味がないと言ったら語弊がありますけど、大変機械的になされざるを得ないというところがあります。
 また、個別の指導計画なんかについても、これ、幼稚園の段階では、これは誠に申し訳ないし、残念なことでありますが、自己流で一生懸命やっているわけですけれども、なかなかその先につながるきちっとしたものができているとは言い難(にく)いと、こういう現状がございますので、引き続きの御理解をお願いしたいと思います。
 ありがとうございます。
【小原部会長】  吉田先生、お願いします。
【吉田委員】  ありがとうございます。ここ数回、いろいろなお話を伺わせていただいて、本当に、どれをとってもすごく重要だし、必要だということは思うのですけれども、ただ、今、一つ、私が不安なのは、学生の立場になったときに、先ほど岡山大学で顕著に免許状を取得しようとする人が減ってきたということが出ておりましたよね。実際に我々にとっても教員として優秀な人材が欲しいことは事実ですけれど、今の学生のあの状況を見ていると、単位数が増えてどんどん大変になって、そこまでして教職取って、そして、それでもし採用されないとなったらやらないということの方が多いのではないか。さらには、今のこのままで行った場合に、例えば特別支援の免許状一つとっても、本当に重要だと思うし、是非取ってもらいたい。ただ、実際に26単位もプラスして取るということはそう簡単にできることではないわけです。そうすると、まず学生の立場というか、今の大学生の在り方、例えばアルバイト三昧云々(うんぬん)という話だってあります。学生がアルバイトしてまでこんなことやるということができるのかどうか。そして、私どもがやはり一番必要なことは、いい人材というか、その一人一人の先生というのは、やはり子供に対してどう自分の時間を費やしてまで子供が好きでやっていけるかどうか。そういう教員が、子供とともに成長していく、そういう先生が欲しいわけです。ところが、それよりも、ただ単位数だけ多ければいいということではないのではないかなと。
 そういう中で一つ、これは文科省に絡むかもしれないのですけれど、再生会議の七次提言一つとっても、理想は確かにおっしゃっている。だけど、実際に今の、例えば先ほど申し上げましたように、子供たちが置かれているというか、教員が置かれている現状の立場、親たちからは、それこそモンスターペアレンツだ何だという人たちがたくさんいる中で、先生という地位が僕はこの数十年で変わってきていると思うんです。子供たちに対して親が先生を尊敬するという意識はすごく減ってきている。そういう中で何かあれば、先生がおどおど、おどおどしなきゃならない状況になっているわけですから、ここを変えるということが、実行会議が提言するのなら私は最初に言ってもらえるべきではないでしょうか。
 それから、費用的な部分においても、例えば今、財務省は公立学校の教員を大幅に減らそうとしている。その中で教員にはこうやってどんどん、今、もっと研修を増やさなくてはいけないとかいう提言をされる。僕は、これは不可能ではないかなと思います。そういう意味でも、是非、今ある教員免許状の課程ですね、これ一つとっても、例えば道徳教育だって、先生がおっしゃるように本当にいろいろなものが出てきている。にもかかわらず、道徳教育の研究は高校教員免許状には必要ないわけですよね、現実に。そうすると、道徳教育の研究の授業をどう変えるのか、教科教育をどう変えるのか、現状の大学での教職課程というものをどう変えていくのか、そういうことを是非文科省の方からも御指示いただいた上で、こういう必要なものをどんどん加えて、そして学生が先生になりたいという人が一人でも増える。そして、それも専門の教職関連の大学だけでなくても、一般の大学でも今、取れるようになっているわけですから、ここの部分も判別していきませんとちょっと不可能ではないかなと思って、あえて意見を言わせていただきました。
【小原部会長】  中西委員、お願いします。
【中西委員】  ありがとうございます。簡潔に。財務省のお話もちょっと気にはなるんですけど、道徳の件で永田先生に御質問をいたします。
 その充実に関するアンケートの中で、新聞記事やニュースなどの報道をもっと使うべきだというところが、小学校よりむしろ中学校の方でかなり高率になっているデータが出ていますけれども、これ、以前から道徳に関してはそういうものを扱うということは言われていると思うんですが、逆に使われてないことの裏返しではないかという気もするんですけれども、これが進まない理由というのはどういう点にあるかという点を、お考えを伺えるでしょうか。
【小原部会長】  永田先生、お願いします。
【永田委員】  中学校そのものが様々な教材に意識がまだ向いていないというところがあるのと、先ほど申し上げましたが、生徒指導上の問題について例えば心理学的なエンカウンター的なものをやって、むしろそれでよしとしてしまうとか、あるいは実態的に内実の伴った道徳の時間が十分形成されていない不安も大きいということなどから、このような印象があるんだと思います。しかし、小学校段階よりも中学校段階の方が時事的な題材を求めている、あるいはさらに、ヒーローとかそのような実話的なものを求めているという実態から、その数値が高くなってきているということがあるだろうと思います。これは小学校と中学校のそれぞれの実態に対応して、例えば教材とか教科書の在り方もこれから考えられていくことなのかな、そのような印象をもっております。
【小原部会長】  それでは、時間となりましたので、本日の審議はこれまでといたします。
 今後の日程について、事務局の方から説明をお願いします。
【大江教職員課課長補佐】  はい。どうもありがとうございました。
 資料6をごらんいただきたいと存じます。今後のスケジュールを予定としてお示しさせていただいております。次回は5月29日の金曜日でございますが、6月には3回ほど開催を予定させていただきたいと存じております。若干タイトなスケジュールになってしまい、大変恐縮でございますが、今後、論点整理あるいは個別論点等の御協議等々を経て、7月を目途に中間まとめに向けた議論を進めていただければというふうに考えております。飽くまで予定でございますが、また今後、部会長とも御相談させていただきながら考えていきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
【小原部会長】  それでは、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。

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-- 登録:平成27年08月 --