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教員養成部会(第81回) 議事録

1.日時

平成27年4月28日(火曜日) 14時30分~16時30分

2.場所

旧文部省庁舎6階 文部科学省第二講堂

3.議題

  1. これからの学校教育を担う教員の在り方について
  2. その他

4.議事録

【無藤部会長代理】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第81回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催させていただきます。本日は、御多忙中お集まりいただきましてありがとうございました。
 本日でありますけれども、小原部会長が本務で欠席ということを伺っております。ということですので、私、部会長代理でありますけれども、司会進行を務めさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
 本日、委員として初めて御出席の方がいらっしゃいます。学校法人みなと幼稚園長、北條泰雅委員です。
【北條委員】  北條でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤部会長代理】  なお、安部委員、坂越委員、高岡委員、出口委員、藤井委員、三宅委員、宮本委員からは御欠席という連絡を頂戴してございます。
 それでは、事務局より本日の配付資料の確認をお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  失礼いたします。それではまず初めに、資料の御確認をお願いいたします。
 まず1枚、座席表がございます。続きまして、議事次第が1枚。続きまして、資料1といたしまして、養成部会の委員名簿、4月1日現在のものでございます。続きまして資料の2といたしまして、岸田委員からのプレゼン資料、左上どめのワンセットでございます。資料3といたしまして、山口県教育長義務教育課並びに萩市立萩東中学校からの資料といたしましてワンセット。資料4といたしまして、北海道教育委員会からの資料がワンセットでございます。以上、過不足等ございましたら、事務局まで御連絡いただければと思います。
 続きまして、本日の会議の進め方でございますけれども、本日の教員養成部会では、前回に引き続きまして、これからの学校教育を担う教員の在り方について今後の議論に資するため、合計3組、5名の方にそれぞれのことについて御説明を頂きたいと思っております。5名の方を御紹介させていただきます。
 まず初めに、和歌山県立桐蔭中学校・桐蔭高等学校長の岸田委員でございます。
 続きまして、山口県教育庁義務教育課の和田主査でございます。
 山口県萩市立萩東中学校の山崎校長でございます。
 続きまして、北海道教育庁義務教育課の松田主幹でございます。
 最後に、北海道旭川市立啓明小学校の宇野教諭でございます。
 それぞれの方の御説明の後、御説明に関連した質疑応答と意見交換を行っていただきたいと考えております。事務局からは以上でございます。
【無藤部会長代理】  ありがとうございました。ということで、今御説明のとおりでありますけれども、今日は3組から御説明を頂くヒアリングであります。今御説明がありましたとおり、質疑応答を最後にまとめて行いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速でありますけれども、岸田委員から御説明をお願いいたします。岸田委員、またそのほかの方もそれぞれ25分程度予定をしておりますので、よろしくお願いいたします。
【岸田委員】  ありがとうございます。それでは私の方から、1つ目の発表をさせていただきたいと思います。
 10回ほど前の70回のこの部会で、実はよく似たことを発表させていただいています。そのときは大学と教育委員会との連携共同での取組として、この初任者研修のモデル事業ということで発表させていただいているんですが、今日は私は、前回高岡委員の方から、これからの議論における1つの枠組みといいますか、それを提示していただいたと理解しています。その中に初任者研修の再構築、内容も含めてですね。抜本的な改革をどうしていくかというような視点がありました。今日はその視点に基づいて、前回の大学との連携、教育委員会との連携というよりも、むしろこの初任者研修の再構築という観点で、和歌山の初任者研修についてお話をさせていただければと思っています。
 大きくその1、その2、その3としてありますが、まずその1についてです。私がちょうど3年ほど前に、この初任者のモデル事業ができないかということを思った大きな理由に、教員の学びの環境が随分変化してきているということがありました。昔はもう少し学校の中に、いわゆる校内的な研修も含めて、もう少し豊かな学びの文化があったのではないかという思いがありました。もちろんその原因として、多忙化とかいろいろな問題があるんでしょうけれども、その中で、今大量採用の時代に入って、若手の教員がどんどん学校現場に入ってきています。一方で、先ほど言ったように、学びの文化が少し弱くなってきている。この状態をそのまま置いておくと、教育全体の質の低下につながるのではないかという危機感があったわけです。
 もう一つは、今の初任者研修がこれでいいのだろうかということです。特に小学校あたりだと、赴任をして担任を持って、そして校外研修として25日、校内研修として300時間というのが今課せられるわけですが、担任を持ちながら、初めての子供たちと向き合いながら、しかも決められた量の研修をこなしていかなければならない。この中で、本当に有機的な学びができているのだろうかというようなことがありました。
 そこでその1に書いてあるように、まず初任者研修のコンセプトそのものを転換する必要があるんじゃないかというふうに感じたわけです。矢印の左側に書いてありますが、今なされる現行の初任者研修では、初任者として必要な知識と最低限求められる実践力、こういうものが求められている。このコンセプトというか、基本的な考え方を生涯にわたる職能成長の基盤としての学び続ける資質、こういうコンセプトに変えていった方が、むしろ初任者研修以降の育ちはよくなってくるのではないかというのが基本的な考えです。
 なぜこうしたコンセプトの転換が必要だと感じたのか。5点ばかり書いてありますので、ちょっと読み上げることによって御報告したいと思います。1つ目は、同じ初任者研修を受けて、同じように意欲をもって教員になったのに、その後の学びの環境によって教員としての力量に差が生じていく。2つ目は、網羅的な知識や基礎的実践力の伝達的講習は、そのときは理解しても、教員として生きて働く力として定着したものになりにくいということ。3つ目、優れた教員に共通する学び続ける資質は、初任段階の学校現場で常に教育実践を振り返り省察するといった学びの環境、学びの文化的土壌の中で育成されていくということ。
 それから4つ目ですが、教員は一定の経験を積めばそれなりの仕事ができるし、それを良しとした段階で成長が止まる。今、ここに書いたような姿を随分見てきました。初任段階で生き生きとした形で研修を受けて、この若い先生は伸びるんじゃないか思ったけれども、赴任した先の環境の中で5年ぐらいたつと、もうちょっと伸びていないといけないのにと思えるような教員と再度出会うという経験をしてきました、それは恐らく一定の教師としての経験を積めば、教師として一定の仕事ができる。これで良しと思ってしまったところからきているのではないかと思うわけです。
 それから、最後の5つ目ですけれども、これはちょっと観点が違いますが、先ほど少し申し上げました。大量採用時代に、将来にわたって職能成長を遂げていく若手教員を育成するシステムを早急に作らないと、教育全体の質の低下につながりかねないのではないかということです。
 そこで初任者として必要な知識と最低限求められる実践力という今あるコンセプトから、生涯にわたる職能成長の基盤としての学び続ける資質を育成するためのカリキュラムへと転換していくためにはどうすればいいのか。つまり、どんなカリキュラムをその中で組み込んでいくかということです。そこにありますように、初任者として必要な研修内容を従来のように盛り込んでいくのではなくて、「省察的気付き」を初任者研修における学びの中心に置いた方がいいのではないかということでした。
 これは、ここにいらっしゃる福井の松木先生のところで教わったのですが、福井の教職大学院ではラウンドテーブルというようなことをずっとされていて、私もそのラウンドテーブルに何度か参加させていただきました。少人数で長い時間議論をするんですけれども、私のような者が――私のような者というのは、もう退職間際の者という意味ですが、それでも若い先生方と話をして議論をする中で、やっぱり学びがある。それはまさに省察的な気付きというか、そういうものがその議論の中にあって、それによって年をいっても成長していくというようなことが、このラウンドテーブルの議論の中に組み込まれていると思ったわけです。ですから、こうした学びの楽しさとか面白さというものを、若い初任段階で徹底的に体験させる。その必要があるのではないか、あるいは、それが有効ではないかと考えたわけです。
 一方、従来の初任研修に盛り込んできた内容は、そこにありますように、校外研修25日、校内研修300時間とあるわけですが、ちょっと網羅的ですけれども書かせていただきました。これは平成19年2月に教職員課が出した初任者研修の内容目標・内容例というものなんですが、3つの階層に分かれてありまして、左側にある基礎的素養、2枚目の学級経営、教科指導、道徳、特別活動、これが第1段階ですね。そして第2階層としてそれぞれ書かせていただいております。それから、文科省の資料には第3階層もあって、これを更に細かく分類分けをして、ずっと並んでいるわけです。ですから、従来はこうした中身を、25日と300時間の中でやっていこうというふうにしてきたわけです。
 これを見ると、実はよく似たものがあります。それは何かというと、大学の学部養成段階で教員養成スタンダードを作って、いろいろ項目を並べている大学がある。あれも実は一緒なんですね。大学は大学で必要な知識として、必要な技能としてこういうものを網羅的に挙げ、学部段階で育成すべきものとして提示する。そして初任段階になると、また同じようなものを並べて、そしてそれを育成しようとしている。どちらも単独で考えたときにはその必要性は理解できますが、そこには系統性が余り感じられないという問題もあります。
 けれども、こうした内容は必要ないのかというと、当然必要なわけです。したがって、どうしても、それぞれの段階で何をするかということになると、この網羅的なものをきちんと教えていかないといけないんだなというふうに考えてしまう。そこのところで思い切った転換が必要なんじゃないかなというふうに思ったわけであります。
 そこで初任者研修の学びの中心に省察的気付きを置くために、まずどんなふうなことを考えたかというと、まず1つ目は、大学と一緒にやろうと思いました。和歌山では、300人の初任者、毎年研修をしているんですが、300人全部というのは難しいだろうと。何人かの初任者を集めて、大学と一緒にやろうと思いました。これから大学と教育委員会との協働・連携というのは不可欠な要素である、そういうことが理由の1点。もう一つは、私の言っている大学というのは和歌山大学を指していますが、教員養成系の大学というのは、これまでのいわゆる教員を育成していく、養成していくというところから、いわゆる現職教員の研修というところに軸足がこれから移っていくだろうというふうに感じていたからです。したがって、この初任者研修のモデル事業をするときに、当然大学と一緒にやらないと駄目だというふうに思いました。
 ちょうどモデル事業を実施する前の年の秋ぐらいだったと思うんですが、教授会に行って、私が大学の教員を前にして、こういうことをしたいんだという説明をしました。当然大学側からすると、初任者研修をするメリットというのは余りありません。これは行政がすべき研修だからです。しかし、和歌山大学は、大学としてのメリットも一方ではあった。それは何かというと、教職大学院の検討をしていたからです。したがって、これから教職大学院を検討する上で、ここでの初任者研修のモデル事業をすることが、大学側にとっても、1つのノウハウ的なことも含めてメリットになるだろうというような説明をしました。
 それから、関係の教員、教育長さん方に説明をしました。教育長さん方に話したのは、この大学と一緒になった初任者研修のモデル事業によって、校内研修の活性化を是非とも図ってほしいということの話をして、説いて回りました。
 それから、300人いる合格内定者には、手を挙げさせまして、モデル事業は2年間やるんですが、初年目は18名の初任者を選びました。2名ずつ、小学校4校8名、中学校は同じく2名で2校4名。それから、県立の特別支援学校、小学部、中学部、高等部それぞれ2名ずつで6名、合計18名。2年目は、特別支援学校は4名にしましたので16名。2年間で34名の初任者をこのモデル事業で育てたということになります。
 それからもう一つ。大学側にあることをお願いしました。それは実践経験の豊かな退職校長さんを、いわゆる指導教員として雇ってほしいということです。和歌山大学はこのお願いを聞き入れてくださり、小学校の経験者、中学校の経験者、それから特別支援学校の経験者、3名の教員を配置していただきました。そして、第1回の初任者を集めたカンファレンスの中で、私が出向いていって関係者全員の中で、このモデル事業の意義というようなものを話をし、そしてここのコンセプトは、学び続ける資質を作るためのモデル事業なんだと。ですから、皆さん方は――というのは初任者に対してですが、あなた方は、経験で飯を食うような教師になるなということを強く言ったわけです。
 そこで、資料の方に少し戻っていくんですが、この赤と黄色の四角と丸のついた図です。モデル事業でやったことは単純なことであります。左側にある緑の四角の中ですが、そこの下にあるプロジェクト教員というのは、先ほど言った退職校長さんです。それから、大学担当教員が8名いますが、これは大学の教員ですね。この11名がこの初任者の18名なり2年目の16名なりの指導に当たる。そして、月に1回、現場の実践を振り返るための校種を超えた合同カンファレンスをしました。そのときにお願いしたのは、できるだけ教えないでほしいと。自ら考えて、気付いて、そして自分でどうしようかというふうに考える、そういう学び続けるための資質育成をやってほしいということを言いました。
 そのことを核にしながら一方で、このプロジェクト教員、退職教員の3名の先生方は、曜日を決めて、先ほど言った小学校4校、中学校2校、特別支援学校1校に毎日のように出向いていって、1週間に1度初任者はこのプロジェクト教員に授業を見てもらうというような機会を持ったわけです。そして、小・中・特別支援それぞれの学校では週に1回、若手教員を集めて、場合によってはベテランの教員も中に入って、もちろん管理職も入って自校内でのカンファレンスをして、ここでもまさに省察的気付きによる学びをずっと続けていった。やってきたことは、それだけのことです。
 それから、下に3つ丸がありますが、3つ目として、教員用のSNS(ティーチャーズコミュネット)という、ネットを通じて初任者のつぶやきみたいなものを教員が拾い上げて、そしてこうした方がいいんじゃないのというようなことを日常的にやっていくというようなこともやりました。
 初年度からこのモデル事業については、初任者が学んでいる姿を見ながら、一定の手応えのようなものはありました。しかし私は、この18名だけを育成しては駄目だと思っていたものですから、これを和歌山県でやっている300名の初任者研修の中にどう拡大していくか、そこでどう定着させていくかということが、次の大きな課題であると思ってきたわけです。それが3枚目のその3であります。モデルから通常研修へというのは、そういう意味です。これまで和歌山県ではその300人を相手に、実践的指導力と使命感を養い、幅広い教育的知見を得させるということを狙いにした初任者研修をしてきました。その研修の中身を変えて、学び続ける資質を養うための研修内容に重点化するというふうにできないかということを、和歌山県の教育研修センターのスタッフに投げかけました。そして議論をしました。
 その議論の中で、私はそのときは校長ではなくて、教育委員会の学校教育局長をしていましたので、直接やりとりをする関係にあったわけです。その議論の中で担当者が、局長、これはどうしても必要なんですよ。ここもやめるんですかと言うわけです。そうだ、やめるんだと。そのぐらいつっこんで転換をしないと、結局は網羅的なものに終わってしまうから、必要なものをもっと厳選して、そして学び続ける資質育成というコンセプトの研修に、何とかできないか。その検討をしてくれということをいってきたわけです。
 そこに書いてありますように、四角で囲んだ3つの観点を大事にしながら、今は少し重点化を図ってくれています。私はまだ十分だとは思っていませんが、授業作りと生徒指導、学級経営ということに重点を置いて、そしてカンファレンス機能を持たせた省察の場を設けるというようなこと。それから、受動的研修から脱却して初任者自らが振り返り考える研修を、通常研修に取り入れる努力をしているということであります。
 残り時間がもう少なくなってきましたので、最後に、今まで申し上げてきたことのまとめのようなことになるわけですが、初任者研修の再構築について、今思っていることをお話をしたいと思います。
 まず、現行の初任者研修の課題ですが、4点書いてあります。多岐にわたる網羅的知識の伝達と教員の経験不足からくる消化不良。この経験不足というのは、いわゆるプールに出さないで、教室で泳ぎを教えるというようなことをいっているんですが、初任者、大学を卒業してすぐ教員になり、初任者研修でいっぱい知識を与えるわけですが、実際現場での経験が少ないですから、まさに教室で泳ぎ方を習っているというような状況に陥っているのではないか、そういう意味であります。
 それから2つ目、校内研修と校外研修の有機的なつながりがまだ十分できていないのではないか。
 それから3つ目、校内指導者の指導力や、校内における学びの文化の醸成度により、育ちの質が異なる。この要素は大きいと思います。とりわけ現行の校内指導者の指導力によって、初任者の学びの質が変わってくるというところの課題は大きいと思っています。
 それから4つ目は、将来にわたる職能成長を見通した初任者研修の在り方といった視点が、これまで希薄ではなかったか、ということです。先ほど申しましたように、学部は学部でスタンダードのようなカリキュラムを組み、初任者研修は初任者研修で同じようなカリキュラムを組んでいる。そこの連携がとられていない、系統性がとられていないというふうに考えています。養成段階のカリキュラムとの系統性や整合性が図られていない。それから、5年程度という少し長いスパンの初任段階の教師像を念頭に置いた初任者研修になっていない、こんな課題を感じています。
 そこで4枚目ですが、大きく3つの改善の視点を示しています。まず1つは、コンセプトのことですが、学び続ける基礎的資質の養成を目指す初任者研修へ向かうべきではないかということ。それから2つ目、これはずっと言われていることですが、教育委員会と大学、大学院との連携・協働による初任者研修へ。これは先ほど申しましたように、特に養成系の大学においては、現職教員への支援といいますか、養成から、現職教員研修へということに重点比重を移していく必要があるというふうに思っているからであります。それから、校外研修重視から校内研修重視へということを3つ目として掲げています。
 もう少し具体的に言うと、その下に6点示しましたので、それを読み上げて終わりにしたいと思います。
 1つ目。校外研修と校内研修に有機的なつながりを持たせ、校内研修に「省察的気付き」を促すカンファレンス機能を組み入れていく。2つ目。校内指導教員の在り方を見直す。優れた退職教員等の活用。ここらは既に先行的にやられている都道府県も多いんですが、優れた退職教員等の活用。それから、専門性を持った指導主事等の派遣、教職大学院教員の活用等。それから、初任者研修への大学及び教職大学院教員の参画。直接指導、あるいは大学教員が、校内指導教員のスーパーバイザー的な役割を果たすということも考えられるのではないか。それから4つ目。初任者研修やその他の研修等を核とした校内研修の充実システムを構築する必要がある。それから、5つ目も既にやっているところが多いんですが、和歌山県もそうですが、実施期間の延長ということ。それから、それと関連して、養成段階等との系統性を図っていくということ。
 それから、最後は少し観点が違うんですが、完全副担任制。特に小学校ですけれども、完全副担任制の導入ということが有効なんじゃないかと思っています。去年実は、文科省の研究指定を受けて、このモデル事業の1項の小学校に配置している初任者に対して副担任制を実施しました。このとき何をしたかというと、最も優れた教員にずっとシャドーイング的についていかせたんです。そうしたら、このベテラン教員はいろいろな教育場面で、まさにモデル的な姿を見せるんですよね。このいい姿を見るということは、そこに目標ができますから、自分があのような姿にまでなっていかないといけないんだという、それが非常にクリアに見えてくる。そういう面で非常に有効であったというふうに思っています。そこに書いてありますけれども、副担任として優れた教員とジョブシャドーイング的に行動を共にし、日常的な教育活動を観察する中で、教員としての必要な資質や対応の仕方を学ぶことが極めて有効であるというふうに感じています。
 ちょうど時間になりましたので、私の発表を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【無藤部会長代理】  どうもありがとうございます。それでは、質疑の方は最後にまとめてということでよろしくお願いいたします。
 続きまして、山口県教育委員会より御説明をお願いいたします。
【和田主査】  それでは、失礼いたします。山口県からは、コミュニティ・スクールの仕組みを生かした人材育成についてということで、資料3に基づきまして御説明をさせていただけたらと思っております。最初に、県全体の取組を私の方から、そして萩東中学校の取組につきましては、後ほど山崎校長の方から説明をさせていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
 では、資料を1枚めくっていただきまして、プレゼンテーションの資料がございますけれども、そちらを御覧ください。山口県における教員の年齢構成でございます。グラフでお示しのとおり、これから10年間で約40%の教職員が入れかわるという実情がございます。ということは、今後20代、30代の教員の比率が大変高まってくると。既に萩東中学校では、そのような状況になっております。つまり、初任者を含めまして、若手教員の人材育成が喫緊の課題となっているということが、このグラフから分かると思います。
 1枚めくっていただきまして、山口県の若手教員のよさとしましては、使命感を持っており、また素直さや誠実さ。また、2番目に書いてありますけれども、何事にも誠実な姿勢で取り組む、専門性を高めようと努力している、こういう姿が、実は学校全体に活力を与えているという、そういう効果も今見えてきております。しかし、やはり学習規律を徹底させることの難しさや、教科の専門性についての力不足を若手教員は感じております。また、特別な支援を要する児童生徒の対応にも苦慮しているという実情が見えてきているということです。
 そこで、人材育成についての課題ですけれども、校内研修で若手教員を育てようとする教員集団のプロ意識が弱いのではないかということが指摘されています。やはり全校体制で若手教員を育てるという、そういうシステムがまだ十分でないという課題があります。2つ目ですけれども、若手教員が持っている個人の資質に委ねられているという部分が依然大きいということが分かってきております。また、指導体制はできていても、指導に対する一貫性、統一性にやや欠けるという課題も見えてきています。先ほどの発表にもございましたけれども、例えば地域とか、学校とか、そのようなどこで若手教員が育つかによって、育成の差が見えてきているという大きな課題があります。
 そこで、3ページ目の上の段ですけれども、山口県におきましては、若手人材育成の強化・加速1,000日プランを作り、県内全てで取り組んでいるところでございます。初任からの1,000日間、つまり3年間で一人前の教員を育てていこうというものです。学校任せにするのではなくて、教育委員会と連携しながら、そして教育委員会も市町教委と県教委が連携しながら、若手人材を組織的に強化して、それぞれの状況を点検し、改善していくという仕組みを作り上げております。
 下の段に、大変細かな字で申し訳ありませんが、強化・加速1,000日プランの構造図を示させていただいております。まず右側の上の段に、育成ビジョンの視覚化というのがございますが、これについては県教委と市教委が連携を図り、育成ビジョンの視覚化を図ってまいります。そして真ん中ですが、育成ビジョンの共有化。その視覚化をしたビジョンを、学校と教育委員会が共有する。これは主に市町教委と学校が担うところでございます。そして左側ですが、育成ビジョンの焦点化、これを主に学校がやっていくというものでございます。その大きく3つのビジョンの視覚化、共有化、焦点化に基づいて、人材育成を行っていくということです。
 そして、その下に人材育成スペシャリスト会議というのがございますが、これは市町教委単位で作っております。各学校の初任研担当者、そして山口県が各市町に配置している学力向上推進リーダー、学力向上推進教員、そして市町教委の担当指導主事、時にはやまぐち総合教育支援センターの研究指導主事、県教委の指導主事等が入りまして、それぞれの一人一人の教員をどのように育成していくか。現段階はどうであるか、今後どうしていくかというあたりを、ここでいわゆる作戦会議のようなものを行います。
そして、左側に学校というところがありますが、それぞれの学校には人材育成校内会議というのが組織されていまして、校長、初任研担当者、又は学年主任、そこに市町教委の担当指導主事も入りまして、校内での育成についての方向性を明確にする場があります。それに基づいて、校内研修を行っていく。つまり、校内研修は全職員に関わるわけですけれども、その初任者の研修だけではなくて、総合的に、計画的に校内研修をやっていく中で初任者も育てていこうという、仕組みでございます。その中で山口県の特色として、この後説明がございます、ユニット型研修を進めていこうと考えております。ここで言うユニット型研修というのは、その図の左側にありますけれども、コミュニティ・スクールの仕組みを生かした若手人材育成の1つとして捉えているものです。
 1枚めくっていただきまして、4ページです。コミュニティ・スクールの仕組みを生かしたユニット型研修でございますけれども、※で書いてありますが、学校運営協議会の委員にも、この初任者研修に入っていただき、また校内研修にも入っていただく。また、中学校で起こりがちな教科の壁、又は学年の壁。そういうものを超えて授業研究を行うことで、授業改善を通した人材育成を行っていこうというものでございます。
 その下に、ユニット型研修の組織編成の例を示しております。上の段が中学校。例えば、中学校の中にAグループ、Bグループというユニットを作ります。そのユニットにはメンター、相談役、サポーター、チームリーダー、そして1年から3年目までの若手教員。また、臨時的任用教員も増えております。この臨時的任用教員の資質も上げていかないと、やはり学校の教育力の低下を防ぐことはできません。ですので、臨時的任用教員も入ります。又は養護教諭、学校栄養職員、事務、このような方にも入っていただく。そして、先ほど申しました学校運営協議会委員さんにも入っていただく。そのアドバイザーとして、研修主任、生徒指導主任等の俯瞰(ふかん)的な物の見方ができるアドバイザーに入っていただく。これを1つのユニットとして、校内に幾つかのユニットを作ります。そのユニットが月1回交替で授業を行い、そしてそのユニットで研修を行っていく。つまり、全校でやるとなかなか動きをつくれないものが、少人数でやると小回りの利く研修体制にできるというメリットもございます。
 下が小学校です。小学校ですから、例えば低学年、中学年。時には小さい学校は単学級ですから、それはどうするかというと、全校でやるとそれがそのユニットですが、それをまた更に細かく細分化して、例えば1年生と4年生の先生がペアを組むとか、2年生と6年生の先生がペアを組むとか、学年を通しても、隣学年という文化が小学校にございますが、それを取り払って、全校で授業改善をしていこうというシステムを作ろうというものでございます。
 続きまして、5ページです。ユニット型研修の期待される成果ということで、大きく3つ示しております。教科や学年の枠を超えた全校体制での初任者研修。そして、地域の教育力を生かした初任者研修の体制作り。また、初任者だけでなく、ミドルやベテラン教員も育つことができる、そういう動き作りです。このようなことによって、様々な人々の関わりの中で教員の資質能力の総合的な向上が図られると期待しているところです。
 そして山口県は、コミュニティ・スクールに積極的に取り組んでおります。その図が、5ページに示してあります。そして6ページですけれども、山口県は、平成29年度には公立学校、小中学校全てで学校運営協議会の設置100%を目途に、今取り組んでおります。平成27年4月の段階で90%を超えているところでございます。そして、そのコミュニティ・スクールの取組の特徴として、大きく3つの機能を挙げております。学校支援、学校運営、地域貢献、この3つの機能によって、山口県はコミュニティ・スクールを進めています。その中の学校運営協議会の委員さんを、この初任者研修に位置付けて、力を頂いているということでございます。その具体につきましては、この後、萩東中学校から説明をしていただきます。
【山崎校長】  失礼いたします。萩東中学校の校長の山崎と申します。私からは、今県教委の方から説明のありました、人材育成ユニット研修というもの、コミュニティ・スクールの仕組みを活用した人材育成についてお話をさせていただきます。
 まず萩東中学校、本校の特徴なんですが、既に大河ドラマで御存じかもしれませんが、視聴率がやや低迷しているというので萩市も随分やきもきはしていますが、「花燃ゆ」で有名な町でございます。校区内には松下村塾もありまして、白壁の町と、なかなか昔ながらの人情あふれる町でございます。学校は、そこに書いてありますけれども、17学級、生徒数482人、教職員が35人おります。
 なぜコミュニティ・スクールを生かしたいろいろな活動をしていくかについて、最初少しお話をさせていただきますけれども、最初に7ページのところに幾つか課題を挙げています。数年前には不登校生徒が非常にたくさんいたり、校内暴力が発生をしたり、いろいろな発達障害の疑いのある生徒などの対応も非常に難しかったりということがたくさんありました。と同時に、大量退職時代を山口県も迎えまして、若手の教員が毎年2人ずつ今入ってきている状況であります。そのような課題を生徒指導面、学習指導面、教員の資質向上の面からどうしていこうかということで、平成24年、25年に文部科学省のコミュニティ・スクールの調査研究の指定を受けております。
 その中で一番考えたことが、まず課題をとにかく地域に見てもらわなければ、根本的に学校だけの解決はあり得ないということで、7ページの下に挙げておりますけれども、まず組織を開こう、学校を開こう、授業を開くというような視点で取組を始めています。
 まず、学校を開く。8ページに書いておりますけれども、地域に開かれた、地域とともにある学校作りを推進するためには、まず学校に入ってもらわなければ、その実情が分からないということで、とにかく保護者の方、地域の方に実情をそのまま見ていただくということを行いました。それによっていろいろな課題が見えて、また支援も頂くことができました。
 次に、組織を開くと。9ページになりますけれども。実際の学校運営の組織というのは、割と外からは非常に見えにくいということがありました。特に教職員のいろいろな資質向上に関わる問題等については、幾ら先生方が頑張っても、なかなか地域には分かってもらえないということもあります。そこで学校運営のいろいろな校務分掌、分掌組織というのを10ページに入れておりますけれども、普通であれば生徒指導部であるとか、教務部、総務部というように分かれていますが、このコミュニティ・スクールと連携を図るために、プロジェクトというような大きな4つの枠組みの中で、常時いわゆるコミュニティ・スクールの学校運営協議会委員の方とつながって話をしながら学校運営を進めていけるような、そういう組織作りに変えました。これで教職員も地域の方々も、一緒に学校運営について話ができるという体制を築きます。
 さらに、実際に学力向上への動きを考えるときに、どうしても授業を開くことが必要であると。先生方は、学期に一度ぐらい参観授業を行い地域にも公開をしていきますけれども、実際に先生方の研修の場に地域の人が入る教職員の若手の育成に関して地域の人に見ていただくことは今までなかったのですが、一緒になって、人材育成を考えなければならないと考えました。授業の質を高めるよう、保護者の方に授業の評価等をしていただいておりましたけれども、それだけでは十分でないと。
 12ページから、本校の教員の年齢構成を示しております。山口県全体は、今、非常に50代の教員が多くて、平均年齢が大体48歳とか49歳でございます。ところが、萩地域自体は少しずつ人口も減ってきて、教員になっている者も少ないということで、特に若い先生がたくさん配置をされます。20代、30代が全体の48%を占めています。それから、1年目から4年目までの先生、これも約半数、46%。非常に若い世代の先生方で構成されている学校であります。
 当然法令の初任者研修については、指導者が1人ついてやっていくというような状況であります。本校は文科省の調査研究事業を受けて、それで2人に1人というような指導体制をしておりますけれども、やはり個別の1対1の対応ではなかなか人材育成が難しいということで考え出されたものが、13ページに示しております人材育成ユニット研修と、先ほど県教委から説明のあったものでございます。
 小さなグループを作って、実際に指導を小まめにしていくということであります。実際に本校において昨年度、教員6グループを作ってやっておりますけれども、この中にいわゆる初任研の担当者以外に、学力向上推進リーダーという県教委が5年前から、秋田県と同様に、授業の学習指導、授業改善専属に指導して回っている教頭とあわせて、このユニット型の研修を進めてまいります。
 その構成については、お示しをしておりますけれども、まずメンターという、いわゆる相談であるとか指導に関わるような者。経験年数が10年以上あるような人。いろいろな指導案の作成であるとか、実際の協議会でのアドバイスをする者。それから、サポーターと呼ばれる、4年目から10年目。非常にこれは年齢差があるのですが、若手、中堅になるぐらいの者をサポーターとしていろいろな研修の日程の調整であるとか、取りまとめ等を行います。それに加えてもう一つ、表の一番右に書いておりますけれども、アドバイザーと言われる、いわゆる主任級。学年主任であったり、生徒指導主任であったり、教務主任であるという、学校運営を総括的に指導できるような立場の者が加わります。その中に特徴的なものが、いわゆる学校運営協議会の委員さん、本校では15人ほどおられるのですが、例えばPTA会長さん、自治会長さん、民生児童委員さん、ロータリークラブの人、保護司の方もいらっしゃいます。そういう方の他に養護教諭、栄養教諭、事務職員も中に入ったグループで、月一度の研修を行っていきます。
 指導担当との人材育成に関わると、どうしても教科の指導中心になってしまいますが、そこに教科論から授業論へと、学年の枠を超える、教科の枠を超えるという形での人材育成の研修を進めてまいりました。14・15ページには、その成果と課題を挙げております。まず成果においては、教科や学年を超えることで、授業論についてどのような指導をしたらよいのか、そういう考察ができるようになりましたし、教科を外れてもしっかりと育てていくという研修組織での意見が得られるようになっております。
 それから、メンター、サポーター、アドバイザーというような教職経験年数の振り分けによって、自分の役割の認識。自分は、例えばベテランの域なのか、中堅なのか、若手なのか、その辺の意識もはっきりした役割を与えることによって、ベテラン教員、50代がかなり多いのですが、その先生方の最後もうひと頑張り、モチベーションを高めて、実際に若手を育てることで自分も更に成長をするような研修ができています。特にサポーターと呼ばれる中堅の教員は、新任から3年で研修は終わりますが、どうしてもコミュニケーション能力や、学校外とのいろいろな調整力が不十分なところがあります。そういう役割をこのサポーターに与えることによって、外部的な調整力はかなり力がついてきているなというふうに思います。
 それから、教員から見えないいろいろな視点。学校運営協議会の人は、例えば保護者の立場からの視点や、社会人としての視点。教員は、他の職業からすると閉鎖的な社会というふうなことを言われます。教員の常識は社会の非常識というようなことを言われることもありますけれども、そういう外部の方から、あのときのしつけはどうなのか、子供はよそを向いているとか、ちゃんと話をする時間をとってやるのではないのかと、教員の中からはなかなか言いにくいことまでよくおっしゃっていただけます。教員から見えにくい視点からの気付きも頂くことができてきます。
 いい点ばかりではなくて、課題もあります。小さなグループで毎月1人、授業研究をミニ研修としてやりますので、その日程調整、授業の調整をするのが非常に難しかったり、やはり多忙になってきたりすることも実際にはあります。それから、昨年までは若手の3年目だったのに、今年は4年になったので、いきなりサポーターとしての役割をする若手も出てきます。本当にそれだけの力が身についているかどうなのか。どうやってこの研修以外で中堅を育てていくかというのも、方策を考えていく必要も出てまいります。
 それから、多忙化については、今県の方は、板書型指導案というのを書いていますけれども、毎回毎回きちっとした指導案を作ると大変なことになりますので、板書の流れを中心とした簡易的な指導案を作って授業を行うということもしております。15ページはもっと子供たちの評価を見てやらなくてはいけないということで、毎時間の授業評価へ、今つながっています。これは全ての授業時間で、終わりに振り返りの時間をとっています。それから、しっかり定着をさせるためには、一斉の授業だけでは難しいということで、コミュニティ・スクールの方から、土曜塾として、毎週土曜日の朝8時10分から1時間学校で補充学習を実施しています。高校生ほか、地域におけるたくさんの学習支援ボランティアの方がおられます。
 それから、いろいろな公開講座、16ページから17ページにもいろいろな形で書いておりますけれども、最後に18ページ。もう時間ありませんので、本校の校訓は、吉田松陰先生の教えの至誠ということであります。至誠にして動かざる者はいまだこれあらざるなりと。しっかりと自分たちが関わって、意を尽くしてやっていくことで、必ず人は変わっていくし、行動を変えることができると。そういう視点によって人材育成を進めるということで、地域の人と一体になって人材育成を図っておるところであります。まだまだ課題もたくさんありますけれども、しっかりと支援をしながら、若手を育てていきたいというふうに考えております。以上でございます。
【無藤部会長代理】  どうもありがとうございました。
 それではお3人目、北海道教育委員会より御説明をお願いいたします。
【松田主幹】  では、失礼いたします。北海道教育委員会の取組について報告をさせていただきます。私は、北海道教育委員会で教職員研修の方を担当させていただいております。資料を27枚ほどのシートにまとめましたので、そちらに基づきながら説明をさせていただきたいと思います。
 まず昨年度、文科省の委託事業であります総合的な教師力向上のための調査研究事業といたしまして、初任者研修の抜本的な改革の調査研究ということで取り組ませていただきました。研究テーマはシャドーイングの取組による初任者研修の抜本改革ということで取組を進めさせていただいております。
 初めに、北海道教育委員会の初任者研修の現状と課題について確認させていただきたいと思います。下の方になります。まず初任者につきましては、拠点校方式ということで、初任者4人に対し、1名の指導教員ということで配置を進めています。それから昨年度、初任者研修につきましては、道教委の方で初任者段階研修ということで名称を変えまして、5年間で初任者を育てるという方向で研修を見直したところであります。それに基づきまして、道教委計画研修ということで、学校を離れまして行う集合研修ということで、校外の研修になりますけれども、教員としての基礎的・基本的な知識・技能を育てる、研修するということで、これは1年次目は7日間実施しております。そのほかに校内ということで、学校計画研修ということで、学校内で指導教員等の指導助言を受けながら、計画的な授業研究などを実施しております。これは1年次については、150時間以上ということで行っているところであります。
 これにつきまして課題としては、まず1名の拠点校指導教諭がずっと回っていきますので、4人ということで、4人の初任者に分散する形で、初任者1人に関わる時間が限定されているというのが課題です。それから、北海道の事情なんですけれども、初任者が配置されるところが大変広域になりますので、拠点校をなかなか組めない状況も現状としてはあるということです。それから、これは初任者からの意見もありますけれども、初任者が担任をもつ、又は単独で教科指導を行うときに、ある程度の力量を身につける期間が必要だと。特に小学校におきましては、すぐ担任を持つことが多いものですから、不安があるというような意見がたくさん聞かれているということであります。
 このような課題を踏まえまして、又は北海道におきましても他県と同様、今後数年後には大量の退職者が考えられるということで、初任者をしっかり育てていくシステムをどう構築していくかということが、現在求められるところであります。そこで今回、ジョブシャドーイングという手法を活用しまして、初任者の研修についてということで研究を進めてまいりました。次のページを御覧ください。
 ジョブシャドーイングということで取り組んでいますが、そこにありますように、卓越した指導力のある教員。北海道では初任者指導教諭という言い方をしておりますが、この教員が初任者をマンツーマンで指導する、これを狙いとして取り組んできております。そこに写真がありますが、教室の後ろにいるのが初任者指導教諭、こちらにおります宇野教諭であります。それから、真ん中あたりに立っているのが初任者ということで、このような形でTTを組みながら、ジョブシャドーイングを1年間ずっと通してやっていくというような形で、今回の研究を進めてまいりました。
 ジョブシャドーイングによる指導の内容ですが、シートの4枚目の下になります。その下になりますが、初任者については、1年間原則として学級担任や単独の授業を持たないということで、副担任という形で配置をさせていただいております。それとTTの中身ですけれども、そこのシートにありますように、授業内外の各種業務の総体を常に間近で観察できる。更に頻繁に省察ができる。毎日リフレクションシートの方に記述をしていくという形態をとっております。また、指導教諭の指導方法などを徹底して1日いっぱい見ることができるということで、このような形でTTを組みながら進めているところであります。また、このシャドーイングにつきましては、初任者段階研修ということで、学校計画研修の中に位置付けまして、下のような枠にあります、このような中身について研修の中で、校外研修ということで取り組んでいただいております。
 次のページ、シートの5になりますが、5枚目を御覧ください。これがジョブシャドーイングの校内の体制を示したものであります。初任者指導教諭、これは真ん中のところにおりますけれども、これを中心としながら、管理職や他の教員も一丸となりまして初任者を育てていくということで取り組んでおります。また、学校によっては初任者指導教諭以外の教員と一緒にメンターチームというものを組みながら、組織的な指導を行っているということで取り組んで、今回行った学校もございます。
 その下の方を御覧いただければと思います。指導体制としては、研究として3つのパターンということで、今回類型で取り組ませていただきました。一番上、Aのパターンは、担任が初任者指導教諭となりまして、そこに副担任ということで、まさにマンツーマンで取り組んでいる形になります。理想形はこの形かなというふうに思っています。ただ実際には、そういう教諭がいない場合には、教務主任が中心となったり、又は学年主任が中心となったりということで、Bのパターン、Cのパターンも研究の中身として、今回取り組んでいるという状況にあります。次のページを御覧ください。
 実際、今回の研究の中では、10校でこの研究に取り組んでもらっています。ジョブシャドーイングの研究ということで、北海道の方では独自に学校力向上実践指定校というのを組んでおりまして、現在19校ほどを指定しているんですけれども、そのうちの5校にまず取り組んでいただくというのが、そこの上の実践推進校の5つになります。形態としてはBのパターンとCのパターンということで取り組んでいます。それと下の方にあります調査協力校。こちらの方につきましては、調査研究に当たりまして加配措置をする形で1名加配をしまして、この5校には取り組んでもらっているという形になります。この後、類型Aのマンツーマンで取り組んでいる、色のついているところ。旭川市立愛宕東小学校の取組ということで、宇野教諭の方から詳しく後ほど説明をさせていただきます。
 では、実際にジョブシャドーイングを1年間研究として取り組んだ成果、効果についてお話をさせていただきたいと思います。まず、ジョブシャドーイングによる効果ですが、初任者にとってということで、初任者からアンケート等をとりまして意見を伺ったところを抜粋してお話をさせていただきます。
 まず、マンツーマンによる指導を通して、授業はもとより、生活指導、校務処理など幅広い内容を学ぶことができた。それから、副担任として、担任の教諭をシャドーイングすることによって、1年間の担任業務が把握でき、次年度以降の学級経営に自信を持って臨むことができた。シャドーイング後に、指導教諭とリフレクションを実施することで、疑問点や不明な点などをすぐに解決でき、次時の指導計画の改善に生かすことができた。子供への対応を間近で観察することで、指導の意図を確認することができた。指導教諭の適切な指導により、自己の課題を浮き彫りにして改善につなげることができたなどの意見が聞かれて、初任者からは大変効果があったというふうにアンケートで頂いているところであります。シートの方、次の9ページを御覧ください。
 実はこのシャドーイングを通しまして、副産物ということで、実は学校力の向上にも寄与するという成果が見られております。そこにありますように3点。1つ目は、組織力ということで、全校体制で初任者に指導しようと。先ほどのメンターチームのことなんですけれども、組織的に教員でチームを組んで取り組んだと。そのことによって組織力が高まったというような副産物ということで、学校力の向上にもつながったという効果もありました。
 またメンターということで、今回初任者の育成に関わっている先生方が、自分もミドルリーダーということで自覚を持ったということで、これは管理職の方々からこういうような声を聞くことができました。
 更に初任者指導教諭。この指導に当たった先生方なんですけれども、これにつきましても、初任者への指導を通して、自分自身も実践を振り返ることができた。また、北海道教育委員会が後援しております民間の教育研究団体などへも積極的に参加をして、自己研さんに努めるという機会にもなったというような、学校力向上にも寄与するということで、効果が窺(うかが)われております。
 その下の方です。ただし、課題ということになりますけれども、ジョブシャドーイングを昨年度導入するに当たっていろいろ課題がありまして、更に今後進めていく上で、こういうことが配慮する事項ではないかということで整理させていただいております。
 1つは、まず加配教員の配置です。今回、マンツーマンで行った学校は1校だけなんですけれども、それ以外の学校についても、やはり人員的なものの確保がどうしても必要になってくるのではないかということで、初任者の配置については、そこに加配教員の必要があるのではないかということを聞いています。
 それから、初任者の指導教諭の養成ということで、卓越した指導力のある教員、これを計画的に育てていかなければ、誰にでもこの初任者指導教諭になれるかというと、なかなか難しい状況なのかなと考えております。
 それから3つ目、学校における組織体制です。ジョブシャドーイングということで取り組ませていただいたんですが、やはり最初に先生方全員がジョブシャドーイングというのは何者かということを理解してから始めなければ、初任者の先生の居場所もなくなりますし、それから、周りのメンターを組んでいくときにも組織体制がうまくできないという状況があったというふうに聞いております。ですから、これを始めるに当たっては、狙いをしっかり全職員に徹底するということが必要ではないかなというふうに考えております。
 最後に、保護者への理解ということになろうかなと思います。ジョブシャドーイングという言葉が、なかなか保護者に伝わっていかないという状況がありました。また、これは一昨年になりますけれども、この試行を進めていく段階で、報道関係から、実は見習教員が配置とか、半人前教師が入ったとかというふうな表現でマスコミに出されてしまいました。それで初任者がすごく落ち込んでしまったというような状況があります。ですから、そういう誤解を招かないためにも、しっかり保護者や、又は報道関係にもこういうジョブシャドーイングという教員のシステムによって、教員を1年間育てていくんだということを理解していただくことも必要なのかなと感じているところであります。
 それではこの後、実際に昨年度、初任者指導教諭を務めておりました宇野の方から、取組について説明させていただきます。
【宇野教諭】  こんにちは。旭川市立啓明小学校の宇野弘恵と申します。昨年、旭川市立愛宕東小学校でジョブシャドーイングの指導教諭としてお仕事させていただきました。本日は、その成果などについてお話しさせていただこうと思います。
 学校の紹介です。愛宕東小学校は旭川市の中心部から約6キロ、ちょっと市内中心部から離れた閑静な住宅街にある学校です。非常に落ち着いた学校で、700名の児童、約40名の教職員で運営されている学校です。まだちょっと新しい学校ということになります。先ほど説明がありましたように、指導体制は初任者1名に対して指導教諭1名。対象の学級は、私が5年生からもった持ち上がりの6年生。そのクラスの中で1年間行いました。朝から晩まで本当に文字どおり、職員室でも机が隣同士、校務分掌も一緒ということで、文字どおり朝から晩まで2人で二人三脚をしながら1年間過ごしたという状況でございます。
 そういった中で、典型的な日常指導についてまずお話しいたします。研修のサイクルとしましては、12ページにございますように、まず初任者は観察が中心的な活動になります。朝の会、1時間目、中休み、昼休み、給食指導などなど、全ての私の指導を教室の後方、あるいは一緒に授業の指導に入りながら観察をするということが中心的な活動になりました。観察方法としましては、バインダーを1枚持ちまして、そこに私が何を言ったか、何をしたか、あるいは子供がどんな反応をしたかということを克明に記していきます。それを朝から晩までずっと記していきまして、それを放課後デジタル化していきながら、思考を整理していきます。ただただ転記するということではなくて、なぜ指導教諭はそのような指導をしたのか、なぜ子供はそのときにそのような反応をしたのかというような考察を加えながらまとめていきました。思考の整理、考察ということを1週間続けてまいります。
 そして定期的に、金曜日の放課後というふうに私たちは決めて行っておりましたが、教室でたった2人、机を向かい合わせまして、リフレクションを行いました。対話形式で行います。プリントを1枚、ホワイトボードのようなものを1枚2人の間に挟みまして、先生、あのときどうしてあのような指導をされたんですか。いや、それはねというような対話形式で彼女の疑問に答える、あるいはそれに関連した書物を提出する、資料を提出するといったような方法でリフレクションを行いました。リフレクションの後、それを更にまたノート、デジタル化をしながら思考の整理、考察をまとめていくという流れになりました。
 ちなみに観察の観点なんですが、13ページの方に簡単に記してございますが、授業中ですとかあらゆる場面で、どのようなことを観察するかということを年間計画の中であらかじめ決めております。その観点について、今週はこれを観察していこう。そうやって決めたものが1つ。それから、そのときそのときにしか見られないこと。例えば、けんかが起きたときの私の指導。なかなか年間計画の中で、いつけんかが起きるかというのは予見できないものですから、そういった日常的な指導については即時的に、彼女がこれは重要だと思ったことを観点の1つとして観察していったということになります。
 観察の具体的なことについてお話をさせていただきます。14ページを御覧ください。例えば、観点の1つとして、板書というテーマで行ったことがありました。これは5月29日の木曜日となっております。このとき指導教諭である私は、次のようなことを見取ってほしいということを考えておりました。15ページに箇条書にしてございます。これらの点について、板書というものは授業と連動しているものが、指導内容と連動しているものが、その上で技術というものも必要だということを学びとってほしいというふうに考えておりました。
 それに対して初任者は、下にある16ページのような視点で学びとっております。上から5つ目ぐらいまでは、板書に関わること。私の意図に沿った内容を見取っております。しかしそれ以降は、板書とは全く関係ないことを見取っているわけです。ああ、観点と違うから駄目だということではなく、これは板書というものが授業の中においていかに大事かということと同時に、指名ですとか、発言ですとか、その児童観ですとか、そういったものについても総合的に見取っているということが分かります。つまり、授業は1つの観点だけで行うものではなく、様々な観点で構成されているということも、同時に学びとっているというふうに考えます。
 18ページにまいります。日常指導の中では、観察が中心というふうにお話し申し上げました。4月いっぱいはずっと観察でした。ねえねえ、大丈夫、観察ばかりで飽きない? なんていう話もありましたが、みっちり観察をしていく中で、だんだんと自分で授業もしてみたいというような意欲も湧いてまいりました。頃合いを見はからいまして、最初に授業、外国語の授業でした。5月の中頃に、彼女にも授業をしてもらいました。授業作りということで、前提として次のような指導で行いました。まずは教材研究、素材研究、指導研究、そういったものも含めた教材研究を行うこと。それに基づいて、指導案を作ること。最初の頃はきちっとした指導案を作成してまいりました。やはり指導案をきちんと書ける教員というのは大事な資質だと思いますので、最初はきちんとした指導案を作る。しかし、慣れていくにしたがって、毎日の授業に対応できる略案作り、このようにシフトもしてまいりました。これを個人で彼女が行いまして、なぜそのような指導意図で、このような指導案を作ったのかというところまで考えさせました。
 その後に私と2人で対話をしながら、どのように授業をしていこうか。この発問は、これじゃちょっと子供は動かないんじゃないかなというような事前の検討を行い、実際に授業をし、そして振り返りをするというサイクルで、1年間通して彼女も授業をしました。全ての教科の授業をいたしましたし、特別活動、それから学校行事などという特別なものにも授業の指導をいたしましたし、それから、物によっては1単元預けるといったこともいたしました。
 実際の授業についてお話をいたします。19ページを御覧ください。これは3月8日、最後の初任者の授業です。6年の社会の、世界の中の日本ということで、環境問題を世界がどのように扱っているかという内容で行った授業です。非常に本時の狙いに迫っていく緊張感と、それから楽しさのある、わくわくとして迫っていけるようないい授業だったというふうに感じました。しかしながら、やはり時折指導言に迷いがあったり、不明確さがあったり、板書の若干の混雑があったりというようなものはございましたが、一番初めの外国語の授業、楽しさあって活動なしと私は表現しましたが、その授業から比べると、本時の目標が明確に分かっておりましたし、自信のなさ、不安定さというのも随分と軽減されてまいりました。年間通して指導をしながら授業を行っていく、リフレクションしていくということを通して、授業力というものを身につけた、そのように感じた1時間でございました。
 授業の指導のほかに、テーマ別指導も行いました。教員の仕事というのは、御存じのように多岐にわたっております。授業だけできればいい、授業指導、それから保護者対応だけできればいいというものではなく、職員室で働くための社会人としての資質も必要ですし、また教員として資質を上げていく研修というものも、研さんというものもしていってほしいということで、いろいろなテーマ別研修を行いました。
 例として10挙げましたが、今日はその中から、2つ御紹介いたします。テーマの3、学級通信指導。私、毎日学級通信を出しております。作成時間15分程度というものですので、是非彼女にもやってみないかということで声がけをしました。ただ、すぐに学級担任になってそれができるわけではないので、学級通信を出すことによってどういった効果があるのか。また、どういう手順が必要なのかということを中心に研修を進めてまいりました。論理的な説明の後に、毎日彼女が通信を作成いたしました。第1号と、それから12月頃に作成したものが一番後ろの方に載ってございますので、後ほど御覧いただければと思います。
 最初の通信は非常に文章も長く、主張点が不明確だった。ちょっと厳しいことを私、申し上げているのですが、そんな反省を踏まえながら、フォーマットを変えたり、文章を変えたりしながら、最終的には20分程度で作成できる通信ができ上がりました。ただ、学級担任となりますと、様々な業務があるので、これがそのまま即戦力としてできるわけではないのですが、彼女がもっともっと力をつけた10年後、あるいはこういうふうに毎日通信ができる、出せる力がつくかもしれない。そういう願いも込めまして、この取組を行いました。
 テーマの5つ目、指導言。これは朝の会での1コマを彼女に任せるという方法で行いました。なかなかしゃべる仕事、私たちの仕事はしゃべるのが仕事と言われますが、非常に端的明解に話すということは難しいことでございます。それを少しでも場を与えることで鍛えたいというふうに考えまして、このような取組をいたしました。1回目、これは全て録音して、彼女が文字起こしをするという、なかなか自分にとっては痛い作業ではございますが、そのように行いました。書いてみてびっくり、こんなに私って長々としゃべってましたか。何かどうでもいいようなことをたくさんしゃべってますね。ああ、それが自分で気付けたら大したものだよなんて励ましながら、では、それに対して正しいと自分が思うしゃべり方、話し方、修正してごらんということで文章にさせました。こういうことを毎日毎日行っていくうちに、だんだんと話し方も大分端的明解になってまいりました。このように、課題だというふうに感じることを、中期間、あるいは長期間行えるということも、このジョブシャドーイングならではの取組かなというふうに思います。
 最後です。成果について、少し熱く語らせていただきたいと思います。成果の1つ目。時系列に沿った観察を通して、可能性の成長物語を肌で感じ取ることができる。これは毎日教室に入っている学級担任にしか感じることのできない、4月から3月までの子供たちと教室の成長を感じ取ることができるという、大きな大きな成果というふうに思います。つまり、学校というところはいろいろなことが起こるわけでございまして、1時間教室に入って、例えば子供たちがたくさん発言するという場面を見たとします。それは非常にすばらしいとか、よくこんな学級を育てましたねというような評価を頂くことがございます。でも、見えるのはそこだけで、実はそこにたどり着くためには、私の失敗であったり、指導の至らなさであったり、試行錯誤であったり、あるいは指導がうまくいった場面であったり、子供たちの横のつながりであったりいろいろな物語があって、1時間の中で子供たちの姿が見えるものだと思います。
 2つ目、3つ目の記載と少し重複いたしますが、そういった教師の指導の過程、子供たちの心境の変化、そういったものを物語として1年間通して見られるということが、大きな大きな成果ではないかというふうに私は思います。
 2つ目、3つ目ですが、先ほどのこととも少し関連してますけれども、なぜその指導を教師がするのか。つまり、そこで怒らずになぜ諭すのか。あるいは、この間は諭したのに、今日はなぜそこで怒るのか。そういったような教師の指導観、教育観、そういったものをかいま見ることができる。
 4つ目の、全ての教育活動の根底には、教育観が一貫していることに気付くというふうに記載いたしましたが、つまり一つ一つの指導は場当たり的に行っているのではなく、1人の教師がある教育観を持って、そういった指導方法を選びとっているのだということに気付いてほしい。そんな願いが伝わったのではないかなと思います。これは1年間、学級担任を持たず、割とゆったりとした時間の中で研修を進められるからこそできることではないかと思います。1人の教師を見て、あの先生はこういう教育観を持っているのだ、だけで終始してしまっては、知識や技術の切り売りではないでしょうか。それを自分と対比して、私ならそのようには考えない、私ならこういう方法をとるというように、じっくりリフレクションする時間があったということが、大きな成果につながったのではないかというふうに考えております。それがジョブシャドーイングをすることによって、指導教諭のコピー、クローンを作るのではなく、1人の自立した考える教師を育てるということにつながるのではないかというふうに考えております。それが教師という仕事に誇りを持って、長く働いていく教師を育成するということにつながるのではないかというふうに考えております。
 最後と言いながら、もう一つ最後がございました。本当の最後でございます。このジョブシャドーイングをより効果的なものにするためにということで、5つ記載させていただきました。先ほどの松田主幹の話と重複いたしますが、私が一番皆さんに申し上げたいことは、やはり現場、学校、教職員、管理職、皆さん保護者の包括的な御理解、御協力、これが欠かせないということです。目的、狙いを明確に皆さんで共有して、みんなで新採用者を育てていきましょう。こういうことが大事なのではないかというふうに考えます。以上でございます。ありがとうございました。
【無藤部会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、3つのグループの発表が終了いたしましたので、委員の皆様方から御質問、御意見を頂戴したいと思いますけれども。ちょっと大勢いらっしゃるので、お手元の名札を立てていただくか、配付資料の上に置いていただくかしてください。というか、配付資料が多いので余り見えない気がするんで、なるべく目立つようにしてください。
 じゃ、中西委員からお願いしていいでしょうか。
【中西委員】  いろいろと興味深いお話をありがとうございました。まず北海道のジョブシャドーイングなんですけれども、実は私、北海道に勤務していたときにジョブシャドーイングの試行を取材させていただいたことがありまして、先ほどお話が出た、見習教員という見出しを容認したのは私自身であります。実は教員養成を巡ってといいますか、本質的なところの問題だと思うんですね、この見習かどうかということは。どうも教育界には、教員採用されたらもう一人前だというふうな幻想みたいなものがどこかにあるような気がして。採用されたばかりの先生というのは、やっぱり見習ではないかという位置付けもあるのではないかと思いました。
 質問なんですけれども、たしか試行の段階では、中学校もジョブシャドーイングをやっていらっしゃったと思うんですけれども、なかなか中学校は教科の関係とかで難しいのでしょうか。今伺うと小学校だけになっておりますので。その点を伺いたいと思います。一遍に?
【無藤部会長代理】  まとめて全部一緒に。
【中西委員】  はい。山口県の取組については、学校運営協議会の委員を、研修とか評価に参加してもらうということに関して、先ほど結構ずけずけと発言をしてもらえるというようなお話もありましたけれども、なかなかしり込みされるというようなこともあるのではないかと思うんですが、これを広げるとしたらそれは可能なのかどうかということを伺いたいです。
 それから、岸田委員には1点だけ。教員用のSNSのお話がありましたけれども、私も先生方と、今の若い先生はSNSですぐ交流を深めるということもやっていらっしゃるということを実体験として持っていますので、その可能性についてちょっと伺いたいと思います。以上です。
【無藤部会長代理】  質疑の答えは、委員の皆様方、いろいろな多分質問、意見が出ると思いますので、最後にまとめてということでよろしいですか。多分あと30分で割と短いので、そういう形でお願いします。
 それでは、永田委員、そして酒井委員と。
【永田委員】  若手教員育成ということでいろいろ学ばせていただいて、それぞれの局面があって大変参考になります。その中で、例えば和歌山の事例では、初任者研修は伝達よりも学びだ、あるいは、キャリア形成だということなんですが、それと北海道の方のは、むしろ例えば板書作り、発案、指導案作りなどを通してというような、いわば授業の創意工夫から入っていくということで、かなり対比的な部分が感じられます。例えば、若手教員はハウツーを知りたがる。そして、先ほどSNSってありましたけれども、ネットなどで知っているから、あるいは若手の方がネットが得意だから、そのようなものはむしろ情報で、いろいろなもので見て学んでいるというような傾向がありますが、そのようなハウツー部分を、和歌山の事例ではどう位置付けていくのか。生涯のキャリア形成の学びというのは確かにそうなんですが、それは初任者研修としてのどの部分の幅を占めて、比重はどのぐらいなのかというのが気になります。
 それと北海道の方の方は、1年間でシャドーイングをそれだけしていくと、確かに手間がかかっていますから、やはり、教員が育つのだろうと思います。その中で、例えば本人のキャリア形成というか、1年目が終わって教師の自己の適性を、例えば5年、10年後の将来にさかのぼって自分のキャリア形成をどう見つめていくかというような、和歌山のやり方についてどんな感想を持たれているのかというのが相互に気になるところです。そのあたりコメントをつけ加えていただけたらと思います。
【無藤部会長代理】  ありがとうございます。酒井委員、お願いします。
【酒井委員】  ありがとうございます。2つ感想みたいなことと、2つ御質問させていただきたいことがございます。1点目の感想みたいなことは、やはりリフレクションということが非常に中心的な概念として、ここの場で議論されるようになってきているというのが非常に大きな感想でして、世界の中でこのリフレクティブな、反省的な思考、省察ということが、どの国でも非常に重視されてきているわけですけれども、それがこういう形で出てきたという、そういう動向の中に乗っているんだなというふうに理解しました。
 その際に、大学の連携が非常に必要だということで、それは私も非常にそうだと思うんですが、一方で、そうしますと研修業務の大学教員の負担といいますか、それが大学の教員としてしっかり位置付けられなければ、多分いけないんじゃないかなと逆に感じた次第です。
 それからもう一つの感想は、今回若手教員の研修ということで、やはりそこの1つの課題は、一人前に育てるということだったと思います。非常に大事なことで、基礎的な実践力をつける局面の指導で、ただ、一方で研修は、これからの未来の課題、将来の課題への研修、例えばICTですとか、アクティブラーニングですとか、あるいは恐らく今後、多文化共生ですとか、そうしたいろいろな課題が生じてくると思いますけれども、そうした課題に関する研修を一方で考えていきませんと、要するに、先ほどのお話で、再生産になってしまうんじゃないかというのがもう一つです。
 それから、2つ御質問がございまして、1つはシャドーイングのところなんですが、非常に興味深い実践なんですが、ともするとこれが普遍化しますと、要するに1対1ですので、ある種の権力性が伴うんじゃないかというのは非常に心配でして、ある種のスーパーバイズといいますか、それをスーパーバイズする方というのが1つ必要なのではないか。その辺はどういうふうにお考えなのかというのが1つです。
 それからもう一つ、各先生方に、今回は小学校、中学校の研修が中心で、議論されていましたが、繰り返し申し上げているんですが、各県で高校教員の初任者研修はどうなんだろうか。それからもう一つは、幼稚園の、就学前の担当者の研修というのはどういうふうにお考えなのかということも思いました。以上です。
【無藤部会長代理】  ありがとうございます。じゃ、今度は吉田委員、若江委員お願いします。吉田委員から。
【吉田委員】  ありがとうございます。今日は本当にこの3つを伺っていて、実は我々が私立学校の立場で、ある意味やりたいことだらけ。ただ実際に、このジョブシャドーイングについては、うちの場合は一応できる限り新任の教員に関しては、1年目は必ず副担任という形でやっています。それからその後も、実は生徒募集に失敗して少ないときなどは、教員の手が余ります。そうなったときは、5年目とか10年目ぐらいの人でも、ちょっと問題があったなとかそういう人がいた場合には、あえて副担任をつけるみたいな、そういう相互の研修というような意味でやっているのですけれども、やはりこれをやる場合に、一番私は問題になってくるのは費用の問題だと思うんです。
 その辺のところが各県でどういうふうにできるのかなということを御質問させていただきたいのと、それと和歌山県のところで、学び続ける資質を養うという言葉があるんですが、私はこの学び続ける資質は養うというより、まず第1段階として、教員になる人がそれを持っていないというのは、教員にしてはいけないのではないか。その辺のところで、我々にとっても難しい問題だと思うのですけれども、そういう姿勢をより伸ばす方策としてどうしたらいいかということなのだろうとは思うんですけれども、その辺のところでお尋ねしたいと。
 それとあと、3年間のコミュニティ・スクールでの研修なのですが、実は我々が今一番思っているのは、私学教員の場合は、通常の労働関係になるものですから、1年間の試用期間というものがあります。ですから、その試用期間が終わってということですけれども、1年間でははっきりいって、教員の適性その他について判断することはなかなか難しいです。3年間こうやって研修をやるというのは、私はすばらしいことだと思うのですけれども、もしこの3年間で研修の修了というか、これで1人前だという判断は、どこでどうやれるのか。それからあと、外部から、例えば今特免で、外部有識者で、海外での経験とか、社会人としてかなり力がある方等を教員にするというような制度がありますけれども、そういう方は初任じゃないわけですから、そういう方の研修がどうなっているのか。
 それともう一つは、教職大学院で学んできた人と、学部卒で新任の人との違いみたいなもの。そして、いずれにしても、どこにおいてもそうですが、研修の結果で、研修ができたというか、実力がついたかどうかという判断、それによって力がついてなかった場合どうするか、その辺についてお尋ねしたいと思います。と言いながら、すみません、今日はちょっと用事があって先に失礼しますが、よろしくお願いします。
【無藤部会長代理】  では、若江委員。
【若江委員】  ありがとうございます。私、前回あった高岡委員の御発表の中ですごく印象的だったのが、学び続ける教員の実現というところです。教員養成の見直しも大事だけれども、そこにはまだ時間がかかるので、私は、初任研修がひとつのキーになるのだろうなと思いながら今日、ここにお伺いをしましたら、さすがにいいまとめをしてくださっていまして、大変刺激を頂きました。
 まず、岸田委員からお話があったような、最終的には初任者研修の校外研修重視から校内研修重視へというところについては、やっぱり大学のノウハウをうまく連携して、初任者研修を通して学校全体が学べる仕組みでなければいけないなと感じたところのひも解きを、山口県の教育委員会さんと現場の方がお話をしてくださっていました。中でもユニット型研修というのがもう一つ参加させていただいている教育分科会でのテーマであるコミュニティ・スクールのところと、こんなふうに直結してくるんだということを実感いたしました。それは何かというと、学校運営協議会のメンバーが、このユニット研修のメンバーに入っておられる。つまり、コミュニティ・スクールが教員の任用のところまで口を挟むとなると、やはり学校の現状が分からない限り、それが機能しないわけです。だからこそコミュニティ・スクールが今のところ1,919校ですかね、そんなふうにとどまっているのではないでしょうか。この山口県さんがやっておられるユニット型研修は、コミュニティ・スクール拡大の有効な一手になるのではないかなというふうにも思いました。
 そして、北海道からの事例を頂きましたジョブシャドーイングのところですが、これももともと岸田委員からお話があった、省察的気付きというようなところが、その中に本当にうまく組み込まれていてすごいなと思いました。宇野先生のような高いスキルの方がおられて、本当にすごいなと思って伺っておりましたが、私が思う次なる課題というのは、メンターや指導教諭の育成というようなことです。このようなことを実現するためには、やはりそこが重要だろうということと、もう一つが学校の取組体制で、1回目のときにも申し上げましたが、学校長のマネジメントスキルというか、マネジメント意識がないと、このような研修の仕組みもそうですし、コミュニティ・スクールだとか、いろいろなことが実現していかないだろうなと感じました。本当にいろいろ勉強させていただいたので、今度は研修の仕組みと、校長のマネジメント育成についてのお取組を少しお聞かせいただければと思います。ありがとうございます。
【無藤部会長代理】  ありがとうございます。それでは、堀田委員、松木委員、秋田委員から。
【堀田委員】  よろしくお願いいたします。北海道の先生方に質問でございます。3つあります。まず、非常に全体として、私は大変感銘を受けました。宇野先生のおっしゃった、例えば板書のお話がありました。板書を取り上げるということは、その意図的指名を取り上げるとか、発言を取り上げるとか、指示を取り上げるとかいろいろされたと思います。指導する側(がわ)は板書のことをこちらは指導しようと思うんだけれども、初任者の側(がわ)は、学級通信のことも、学習指導案のことなど、それ以外のことを知りたいと思っているときがあると。そういう指導事項といいましょうか、それの指導事項の順序、これはカリキュラムになるのだと思いますが、それは誰がどういうふうに決めているのかということが質問の1つ目でございます。
 2つ目は、4月は観察をたくさんしてもらったと。その後,5月には少し授業をしてみてもらったと。その後どうなったのか、全部本人がやるようになるのかどうか。その度合いといいましょうか、頃合いといいましょうか、それはどうやって判断するのか。さっきの1つ目の質問が指導事項、項目的な内容だとすると、2つ目はそれをどういうタイミングで、どういう順番でやるのかということの判断、こういうものをどうやって決めているのかということですが、ここに道教委との何か連携等、あるいは北海道教育大学とかそういうところの連携があるのかどうかということを知りたいということです。
 3つ目は、先ほども吉田委員からも出ましたけれども、コストですね。とりわけ公立学校になると、加配が重要だというのは、言うのは簡単ですけれども、加配をするのは大変だと思うわけです。現実的にこれをいろいろなところにシステムとして入れていくためには、このコストをどういうふうに考えるのかということを、これはどちらかというと松田主幹の方に聞きたいところでございます。以上です。
【無藤部会長代理】  はい。それでは、松木委員。
【松木委員】  3つの実践のお話を伺いながら、生涯にわたって学び続けていく教員を支えていくシステムをどうやって作ったらいいんだろうか、そんなことを考えながら、ずっと3つの実践のお話を聞かせていただきました。
 それでまず、ジョブシャドーイングのことからなんですが、明日の授業をどうやって作ったらいいんだろうかというようなレベルの話から、だんだんだんだん恐らく先生と一緒に取り組みながら、省察の期間が、1年間の取組ですので長いスパンで振り返ることができるようになる。その中で子供の成長だとか、教師自身の成長だとか教育観、そんなところも振り返っていけるような部分がその中に含まれているんだろうななんていうことを考えながら、話を聞かせていただきました。
 一方、何人もの先生の方からも出ておりましたけれども、新採用の先生方に1名の先生がつくということになると、年間二、三万人の教員を増やさなければいけなくて、これは財務省と一緒にやるのは結構大変な話だなというふうに思っております。それを考えたときに、今度は山口県やら和歌山県での取組。1つは、地域の力をおかりしながら進めていくということや、大学と連携をしながら進めていくという方向が、1つメンター教員の数を確保しながら進めていく方向性としてあり得るなということを考えておりました。なおかつメンターとなる教員が、キャリアステージに応じて求められてくるものが変わってきますので、それぞれの立場に応じた形で考えていくということになると、様々な方々が学校に参加していくというやり方が、工夫の仕方としてやはりあるなというふうに思っておりました。
 それからもう一つ、和歌山のことを取り上げて考えていきますと、リフレクションというようなことを取り上げながら考えるときに、実は1人の先生の研修をやっているようで、学校全体の組織力、そのための学習をやっていて、個の研修であるように見えて、実は個の研修ではなくて、学校全体、全ての先生方の研修につながるような研修のシステムとして考えていかなければいけないんじゃないか。余りにも研修を個人のための研修というふうに位置付けるのではなくて、それこそ学校のチーム力そのものを高めていくための研修という位置付けの中で考えていく中で、1つはメンター教員の数の問題も、解決も1つそこに出てくるのではないかななんていうことを考えさせられました。以上です。
【無藤部会長代理】  ありがとうございます。では、秋田委員。
【秋田委員】  3件の御報告とも大変興味深く、本当にそれぞれの先生方が御体験を通してお話しくださったので、どれも説得力があって、学ぶことがとても多くありました。その一方で私も考えましたことの1つは、教育の投資効果じゃないんですけれども、やっぱり初任研修を通して学校力がどれだけ上がっていくのか。組織の活性化がどれだけ上がっていくのかが1つのキーになるだろうと考えましたときに、例えばジョブシャドーイングをやったときに、マッチングの問題もあると思うんですけれども、やっぱり先生がすばらしいので今回はものすごくうまくいったケースだと思う一方で、じゃあ指導者の先生は何が学べたんだろうという疑問があります。
 それから、例えば萩の実践、山口県の実践も興味深く、中堅やベテランの先生のモチベーションと役割意識が高まったということだったんですが、これからの学び続ける教師は、意識だけではなくて、どのベテランも教壇に立つ以上、子供に添う授業に、中堅やベテランがどう変われたのかということが一緒に議論されていくことが、学校力を上げていく上で大事だと思います。常にベテラン、中堅は若手を育てるだけで変わらないとすると、学校の構造も変わっていきますので、そのあたりが実際にどうなんだろうということを是非伺ってみたいと思います。
 和歌山の場合は、更にそこに大学の教員も入るわけですね。実際には指導とか、スーパーバイズに入る人たちがどういうふうに学び合えるのかが1つの鍵になると考えております。そのあたり、今日時間の関係もありましたので、実際に学校力というのが、授業や目の前の生徒に返る部分でどう変わっていったのか。21世紀の学習ということが言われるときに、これまでどおりの力がつくことが大事なのかどうかというところを伺ってみたいと思います。
 また、我々が新任教員に何を求めるのかで、指導力として教え方を見ることを学ぶのか、それともできるだけメンターでも校内でも多様な先生の授業を見るという機会を増やしていくことによって、できるだけいろいろな幅のある授業を見て、いろいろな子供がいることを知り、その中でその教員のそれぞれの卓越性を伸ばしていくのか、教師として一定の一人前を育てるのかは、かなり初任期の捉え方によって違う気がしています。
 私は北海道の事例はそういう意味で、教え方、ティーチングに――ラーニングじゃなくてティーチングに徹底して焦点を当てたことのよさもあると思います。ティーチについて振り返るリフレクションと同時にリンダ・ダーリンハモンドを始め、アメリカで大事にされていることは、エンアクトメント、実践化という実際にやってみるということです。幾ら協議会で振り返りだけをやっても、次に自分が試みて授業が変わっていく、実践してみることがない限り、授業研究はあっても授業改善なしという事態が生まれます。校内研修は活性化する、話は上手になるけれども、何も授業は変わっていかないということが起こるといけないと思います。そのあたり、1つ実践してみるエンアクトメントということを報告で出していただいたと思う一方で、子供をそのときにどういうふうに見取っていく目が変わったんだろうかとか、子供をみる鑑識眼も一方で、初任期に育てるべきじゃないのかなと思います。今日の事例は割とティーチングに重きがあった気がします。どのようなものとして新任期の力量をまず考えるのか、その順序立ても必要だと思うんです。まずは形が先なのか、そのあたりも少し伺えたらと思って、大変刺激的な事例を3つお聞かせいただいたと思っております。ありがとうございます。
【無藤部会長代理】  ありがとうございます。では、今発言をお求めなのは、北神委員と松本委員ですかね。じゃ、ここまでにさせていただきます。北神委員。
【北神委員】  3人の先生方、ありがとうございました。3人の先生方に共通する部分は、これまで法定研修として初任期は1年というスパンを、3年から5年というある一定期間で育てようと。そうすると、これは教職三十数年の部分の基盤形成期としてどれぐらいの年数が意味を持ってくるのかということと、そこでどういう内容が育成されると、その後三十数年続くであろう教職の基盤の時期として必要な力になるのか。このことをどう考えで、3年とか5年という形。当然このことは、その後の研修体系全体の見直しをされた中で出てきた結論だろうと思いますので、じゃあその3年から5年やったときの中堅や、その後のリーダーという部分の見直しとセットで、やっぱり初任期の時期をどう位置付けるのかということが1点。
 もう一つは、初任期の見直しをすれば、当然養成教育の在り方の見直しに波及しないと効果はないだろうと。そうすると、これだけ手厚く3年から5年かけて育ててくれるとなったときに、大学の4年間では何を基盤ベースとしてやっておいてくれれば、その後現場に出ていってからのこういう仕組みの中で育つ素材が、養成段階で育つと。逆に先生方から見たときの養成研究の課題という部分ですね。この初任研修の中身、仕組みの見直しをしたところから見えてきた養成教育の課題。そのあたり、何かお考えがあればお聞かせいただきたい。以上です。
【無藤部会長代理】  ありがとうございます。では、松本委員お願いします。ではない? 松川委員?
【松川委員】  いいです。
【無藤部会長代理】  時間がたってということで、御遠慮いただいて申し訳ありません。それでは……。手を挙げていましたか。すみません、平本委員。
【平本委員】  3つの本当にすばらしい発表、ありがとうございました。今、お話が重なる部分は省略させていただきますけれども、まず今、教職経験年数のお話がありましたが、横浜も状況は同じなんですが、なぜそもそも法定研修1年間であったものを、3年や5年にという形にする必要性が出てきたのか。その基本的な考え方がしっかりしてないといけないのではないかと思います。それはそもそも、これから求められる、時代が要請する教員としての資質・能力ということをきちっと視野に入れた上で、それを培っていくためには単年度では難しいという背景があって、そのような工夫が出てきたのではないかと思います。それぞれの都市がいろいろな工夫をしているわけですけれども、まずそれをしっかりとお互いに共有するということがとても大事であると改めて感じております。是非今の段階で、きっとお考えがあると思うので教えていただければと思います。
 2点目ですが、前回のときにも話が出ましたけれども、そのような力を、今度具体的に育てていくときに、やはり目安をしっかり持って、それに対して具体的にどういう手立てをとっていくかというところが求められてくるだろうと思います。それには目安となる基準を明確にしていく。これがどうしても必要になるだろう。そうしないと、それぞれの指導者が自分の感覚で必要としていることを指導の内容として組み立てていく、こういうことになりかねないだろうと思います。非常に学校を取り巻いている変化が速いので、逆に速いからこそ、目安をしっかりと作っていくということが必要と思います。
 3点目ですが、最初に大学との連携のことについてお話を頂いて、本当に参考になりました。その中で、教員の養成から育成の段階で、大学と連携をしっかり図っていくというときに、具体的なところで、抽象論としてはその必要性は語られるんですけれども、具体論としてきちっと機能させていくための環境づくりや条件整備が必要ではないかと思います。キーワードは、先ほどのお話の中にもございましたが、双方にとってメリットがあるということだと思います。大学にとってもやはりメリットがないと、気持ちはあっても動けないということもきっとあるのではないかと思います。そういうところをそれぞれの立場で明確にして、条件を整えるということが非常に重要ではないかと改めて感じました。
 最後になりますが、校内の研修、いわゆるOJTが重要であるということは、皆様からのお話にもございましたが、OJTの在り方が特に大事だと思います。このやり方を間違えてしまうと、決して質を高めていくということにはつながらない。したがって、OJTは非常に重要であるけれども、OJTの機能をより高めたりしていくためには、具体的にはどういう工夫をしていくことが必要なのか。この点を明確にしていくことが、特に大事ではないかと、改めてお話を伺っていて感じました。以上でございます。
【無藤部会長代理】  ありがとうございました。
 それでは、3グループにお答えをということではあるのですが、あと5分なんですけれども、若干延ばさせていただいて、三、四以内ということで。厳しいんですけれども。ということで、岸田委員からお願いします。
【岸田委員】  じゃ、私の方から。すみません、もう前の方、忘れてしまったようなところもあるんですけれども。最初に頂いたSNSの可能性ですけれども、これは可能性があると思っています。ただし、ここでもそうですけれども、閉じられた環境の中でやるべきだと思っているんですね。つまり、責任ある関係性の中での発言。つまり、拡散したものではなくて、これなんかもいわゆる18名と指導教員との間だけでやっていますので、そういう意味での閉じられた責任ある関係の中でするというのは有効であるだろうと思っています。
 それから、永田委員さんの、ハウツー。どちらかというと和歌山は、学び続けるという資質のところに重点を置いたと。しかし、先ほど言った網羅的な研修内容がありますよね。あれは私は、やらなくていいと思っているんじゃないんですよ。そういう意味からすると、北海道とは基本的にそう変わらなくて、つまり資質育成をしている中で、ああいう網羅的な部分は自然とその中に入っていく。ですから、ハウツーというような部分も様々な学びの中で自然と入っていくものだと思っているんですね。
 それから、酒井先生のおっしゃった高等学校ですけれども、これは私もまだ弱いと思っています。これが一番の課題で、ここをどうしていくかということが、これからの大きな検討課題だというふうに私も受けとめています。
 それから、松木先生ほか、秋田先生もおっしゃっていたと思うんですが、この初任者研修は、当然初任者だけの研修にしてはいけないということは、まず基本です。私が校内研修重視へと言ったのも、実はそういうことです。校内の研修組織の活性化ということを、初任者研修を1つの核にしながらやっていく。その必要性があると。また、それをしていかないといけないというふうに思っています。
 一応それだけにします。
【無藤部会長代理】  ありがとうございます。それでは、山口県教育委員会からお願いします。
【和田主査】  大変ありがとうございました。全てを網羅できるかどうか分かりませんけれども、お答えさせていただけたらと思います。
 まず、1,000日プランのことについてです。なぜ3年間かということですが、山口県においては、教員になって10年の間に3校の学校を経験してもらおう。多様な経験をしてもらおうということで取り組んでおります。こうなりますと、初任校が大体3年から4年というふうになってまいります。つまり、初任校で、できるだけ1人立ちしてもらうことを目的に作り上げたのが1,000日プランということです。1年目、2年目、3年目の到達目標というものを観点別に作っておりまして、県が作成したモデルを基に、市町教委と学校が作成し、その目標を学校の担当教員と初任者が共有しながら、1年目はこれ、2年目はこれというふうに明確に目標に向けて人材育成を図っています。
 また、初任研のときは大変手厚く、多くの方々の支援が行き届きます。2年目になると急に支援が少なくなる。そうなったときのギャップ。これに2年目の教員がつまずくということもありましたので、それも併せて3年間というスパンを設けました。また、3年間だけに留(とど)まらず、今、若手教員が増えておりますので、それぞれの市町教委で若手教員の人材育成を図るシステムを作っております。例えば、若手教員に自主的運営をさせ、自分たちに何が求められているのか、何が足りないのか、自分たちで課題を明確にして、1年間の研修計画を立て、行っているという市町教委や、3年だけで終わらず、5年、6年と続いていくような人材育成体制を設けている市町教委もあります。
 また、他県本採につきましては、校内の初任者研修の中で位置付けるとともに、先ほど申しました市町教委の人材育成システムの中にも入ってまいりますので、総合的に他県本採の教員や、また臨採教員の人材育成を図っているところです。
 また、山口県がコミュニティ・スクールに積極的に取り組み始めて、数年ですが、様々なところで化学反応が起きています。例えば、ある日、退職前の女性教員が、児童とともに地域に出向き、そこで1年生、2年生の子供たちがピアノ伴奏に合わせ合唱を披露しました。すると地域の方々から拍手をもらった後、地域の方から「先生も歌って」と頼まれたそうです。人前で余り歌ったことがない教員がピアノを弾(ひ)きながら歌ったそうです。その教員は、その一度の経験で、大きな喜びを感じ、そして、それからまた地域に出たときに、「この前、歌を歌ってくれた先生よね。」という感じで、どんどん、どんどんつながりが広がったそうです。その先生は、その後の教員としての取組が大きく変化したと聞いております。
 やはり人材育成というものは、若手教員に限らず、退職までの全ての先生方に可能性がある。そして、その可能性を見いだすことができるのが、またコミュニティ・スクール、学校運営協議会のシステムと思っております。ただ、まだ山口県としましても、可能性を見いだしている段階ですので、その可能性をできるだけ多く見いだし、それを体系的に整理していくことが、このコミュニティ・スクールにおける人材育成のシステム化につながっていくと思っております。これから、その部分につきまして研究をしていきたいと思っているところです。
【無藤部会長代理】  では、北海道教育委員会から。
【松田主幹】  失礼いたします。まず、質問をしていただきました、中西委員の部分ですけれども、北海道にいらっしゃったときに課題意識を持っていらっしゃって、これが今もつながっているということでお受けいただけると思いますけれども。当初はお話にありましたように、中学校理科で試行的に進めていました。この研究の指定を受けたときに、ちょうど学校力との関わりということで、学校力の学校が小学校ですので、研究ということで、今は小学校の方にシフトしながら研究を進めているということで御理解いただければというふうに思います。
 それから、堀田委員からありましたコストの面です。これはまさにそのとおりかなと、私たちも思っております。これは今、研究ということですので、学校力についてはある程度人員が確保されながら進めていますので、学校力の中ではできるんですけれども、そのほかの学校については、今、5名の加配を頂いている形なので何とかやっているということで、これを単費でやるというのはなかなか難しい状況にはあるということで、今研究段階ということで御理解いただければと思っております。
 あと全体的なお話をいろいろ質問を頂きましたので、3点ほどお話をさせていただきたいと思います。まずハウツーではないかという御指摘がございましたけれども、実は考え方は、和歌山のものと変わらないということで、私たちは別にハウツーを教えるというイメージではなくて、この技能を身につけながら、実は教師力とか教師観とか教育観とか、そういうものを身につけてほしいという思いが裏側にあって、これを進めています。
 これも初任者と、それから指導教諭が集まった研究会の中で協議されたんですけれども、初任者が学ぼうとしているのは、実はハウツーに近いです。技能を教えてほしい。でも、指導教諭の方は、やっぱり指導観とか、教師観とか、教育観、こういうものを身につけてほしい。ここにやっぱりずれは生じているのかなと。ここを埋め合わせていく必要があるかなと思っています。ですから、北海道は別にティーチングに重点を置いているのではなくて、まさに先ほど対話というお話をしました。ラーニング・バイ・ダイアログということで、対話をしながら学んでいきたいんだと。その中で教師の持っている教師観を学んでほしいというような中身で、今、このジョブシャドーイングを続けていっているというふうに御理解いただければと思います。
 2つ目、先ほどもありました、実は宇野教諭のような方がたくさんいれば、北海道もたくさんやりたいんです。でも、それをまず育てるということも必要ですし、それから今、10校に指導教諭ということで置いておりますけれども、その方々の、まさに先ほどお話があった、スーパーバイズをしていく必要があるかなと。スーパーバイズと、それからそういう方を養成していく。又は資格制度とかそういうものも加味しながら、これから研究も進めていかなきゃいけないかなと。まさに私たちも今、そこは考えているところでございます。
 それから、最後になりました。初任者研修につきましても、初任段階研修ということで、5年に昨年度からさせていただきました。これはまさに研修体系を見直すということで、北海道が、じゃあいつの段階でどんな力をつけていけばいいかということで体系化を図りながら進めたところにあります。そこの根底にあるのは、実はやはり校内でしっかり育ててもらうということが大切なのかなというのが根底にあって、このような体系を作らせていただいております。まさに先ほどOJTのお話がありましたけれども、やっぱりメンターとしての校内でミドルリーダーになっていく方がたくさん出て、そしてその方が自覚を持って校内研修を進めていただければ、もっと初任者研修が有意義なものになるかなというふうに思っています。それともう一つは、管理職のマネジメントだと思います。ですから、管理職がこういう初任者を育てる。それも大体4年で異動になりますので、4年間でこういう初任者に育てて次の学校に送り出すという、そういう発想をもって初任者を育てていけるような学校力を持った、チーム学校で初任者を育てるということを念頭に置きながら、研修体系を整えているという段階にあります。
 この後、指導の中身については宇野教諭の方から。
【宇野教諭】  失礼いたします。まず、私の方から2つお話しさせていただきます。1つ目です。指導事項や、あるいは指導の順位性をどのように決めているかというお話ですが、これはまず1つは、先行実践、北海道教育委員会の指定を受けた学校の中でもシャドーイングを行われておりましたので、前年度、あるいは前々年度の取組の様子をうかがいながら、それをもとに組み立てた、年間計画を立てたということがございます。それから、同じように協力校で指導教諭をしている者で、それこそSNSでネットワークを作りまして、どんなことを今やっている、こんなことをやっているよという相談をしながら取り組んできたということがあります。
 あとはおっしゃるように、感覚とか、あとは初任者の実態というものに合わせて、あるいは突発的に起きたことなどについては、やはり即時性のあることも課題になるということで、前年度のこと、それから相談し合いながらということと、やはり感覚でというところは否めないなと思います。ですが、これは今研究段階ということですので、ある程度そこが体系化されていくことによって、いろいろなところで活用できるのではないかとも考えます。ただし、体系化することが、イコール形骸化ということにもつながりかねないので、やはり何を指導したいかとか、初任者の実態によって何を指導すべきかという視点も持ち合わせながら体系化していくことが、今後の課題かなと感じております。
 それからもう一つですが、指導者が何を学んだかということをお話しいただきました。実はジョブシャドーイングで一番得をしたのは私ではないかなというふうに思います。指導するということは、やはり言語化するということです。言語化するときに、今まで無意識で自分が行っていたものは、一体どうしてそのようにしたのだろうかというふうに、無意識が意識化されていく。そのことによって、自分自身にもう一度問いただすとか、自分自身にないものについては調べ直すというような、学び直すというような体験を1年間させていただきました。また、経験的には私の方がずっとずっと長いんですけれども、私にない視点を初任者は持っているんです。先ほどから、時代が新しく動いているというふうなお話もありましたように、初任者、若い先生が持っている感覚、それは子供に近い感覚であったり、新しい教育観であったり、そういったものを、対話を通して私自身が学ばせていただいたと。同じ教員であり、経験数は私の方が非常に長いんですけれども、人間性という点では非常に尊敬できる存在であり、そういう意味でも学びの多い1年間だったなというふうに考えております。雑ぱくですが、以上です。
【無藤部会長代理】  ありがとうございました。それでは、まだあろうかと思いますが、時間が過ぎておりますので、本日の審議はここまでとさせていただきたいと思います。
 今後の日程につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  資料5を御覧いただきたいと思います。次回については、5月18日月曜日、午前10時から12時まで。場所は、文部科学省3F1特別会議室での開催とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【無藤部会長代理】  ありがとうございます。それでは、本日はこれで閉会といたします。皆様、ありがとうございました。

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-- 登録:平成27年08月 --