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教員養成部会(第80回) 議事録

1.日時

平成27年4月16日(木曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. これからの学校教育を担う教員の在り方について
  2. その他

4.議事録

【小原部会長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第80回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催させていただきます。
 本日は御多忙中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 また本日は、無藤委員、北條委員、堀田委員、三宅委員から欠席の連絡を頂いております。
 では、はじめに、前回欠席された委員の方々がいらっしゃいますので、事務局より紹介をお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  それでは、失礼いたします。事務局側の進行を務めさせていただきます教職員課課長補佐、大江でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、前回御欠席の委員を御紹介いたします。
 はじめに、東京大学大学院教育学研究科教授の秋田喜代美委員でございます。
【秋田委員】  秋田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  続きまして、東京都練馬区立光が丘春の風小学校長の福田純子委員でございます。
【福田委員】  よろしくお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  続きまして、新宿区立早稲田小学校前校長でございます堀竹充委員でございます。
【堀竹委員】  堀竹でございます。よろしくお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  続きまして、十文字学園女子大学児童教育学科教授、全日本中学校長会会長の松岡敬明委員でございます。
【松岡委員】  松岡でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  続きまして、千葉県船橋市教育委員会教育長の松本文化委員でございます。
【松本委員】  松本でございます。よろしくお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  以上でございます。
【小原部会長】  それでは、事務局より本日の配付資料の確認をお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  失礼いたします。配付資料の確認でございます。
 はじめに、座席表が1枚ございます。続きまして、議事次第が1枚、続きまして、資料1として、委員名簿がございます。若干おわびをさせていただきたいと思います。3月31日現在のものとなっておりまして、まだ訂正をし切れていない部分がございます。大変申し訳ございません。続きまして、資料2といたしまして、高岡委員からのプレゼン資料、2枚つづりでワンセットございます。続きまして、平本委員からの資料といたしまして、資料3、3-1から3-4までございます。3-1が、左側にとじた冊子、それから、3-2といたしまして、A3の資料、1枚紙でございます。それから、3-3といたしまして、同じくA3の縦長の1枚紙でございます。それから、最後に、「育ち続ける学校」という冊子が3-4として御提供いただいております。続きまして、東京都の荒川課長からの提供資料といたしまして、資料4-1と4-2がございます。最後に、資料5といたしまして、今後のスケジュールが1枚紙でございます。以上、過不足等ございましたら、事務局の方までお声掛けいただければと思います。
 続きまして、会議の進め方についてでございますが、本日の教員養成部会では、これからの学校教育を担う教員の在り方について、今後の議論に資するため、独立行政法人教員研修センター理事長の高岡委員、それから、現横浜市立浦島小学校長でありますとともに、前横浜市教育委員会事務局教職員人事部教職員育成課長の平本委員、最後に、東京都教育委員会教育政策担当の荒川課長より、それぞれの取組について御説明を頂きたいと思います。その後、それぞれの説明に関連した質疑応答と意見交換をお願いしたいと考えております。
 以上でございます。
【小原部会長】  ありがとうございました。
 それでは、高岡委員から御説明をお願いいたします。
【高岡委員】  ありがとうございます。部会長さんからの御指名でございますので、この部会で言えばヒアリング、私の立場から言えば意見の開陳ということになると思いますが。翻って考えてみますと、養成部会、あるいは、その前の平成22年からありました特別部会、こうしてお時間を頂いて意見を述べるというのは、これで恐らく4回目ぐらいになります。前々期ぐらいから委員をなさっている先生方にとっては、またかというお気持ちもあろうかと思いますけれども、重ねて、すいません、聞いていただきたいと思います。
 この4回ほどやらせていただいて、それぞれテーマは、養成問題、制度、その他、力点の起き方は違っておりましたけれども、議論がだんだん煮詰まってきたという実感がございます。特に今時の部会では、いよいよ具体的な制度設計ということが求められる段階に来たという感想を持っておりますので、きょう頂いた時間を、表題に掲げましたように、具体的な養成・採用・研修の在り方、しかも、それを抜本的に改革する方向ということについて、私見を述べさせていただきたいと思います。資料は2枚ございますが、ほかの、後の横浜と東京の先生方のお話は随分の資料でございまして、私のはたった2枚でございまして、やや箇条書的に並べているだけで、分かりにくいところもあろうかと思いますけれども、基本的には、私なりに、これまでの部会での議論を踏まえて、内容を整理いたしたつもりでございます。一つ一つ、若干の補足的な説明も加えて、頂いた時間を塞ぎたいと思っております。
 まず、そもそも論の話を別にここでする必要はございませんが、なぜ今教員養成や研修の問題なのかということを、一度原点に戻って考えてみますと、近年の教育改革、これが非常な速度で進みつつある。ある意味で、改革の加速化ということが最近の特徴ではないかと思いますが、そこには、教育の現状に対する、教育全般に関する危機感、それが、しかも強い形で表明されている、それが背景にあるということは、もう論を俟(ま)たないところだろうと思います。少子化とか、グローバル化とか、いろんな内外情勢の転換に対して、果たして学校教育がそれに対応できているかと。よく使われる言葉で、21世紀型教育への転換というのが、果たしてうまく回っているのかということについての疑念といいますか、危機意識があるのではないかと思っています。そして、その問題の最終的な到達点、逆に言えば、キーポイントは何かというと、教員の問題だと。教育の質を決める重要なファクターとして教員の問題があるということで、いわば認識の最初の段階で教員の問題がまず挙げられ、そして、具体的な手立てということになってくると、最後の段階で、教員諸制度をどうするのかということがテーマとして出てくる、そういう流れになっているのではないかというふうに私自身は思っております。
 そういう意識に対して、この養成部会は、絶えずそのような方向を意識しながら、目指すべき教職の在り方ということについて、既に方向性を持っていると思います。ただ、前回、一人一言発言という中で、複数の委員の方々から御意見が出ましたように、もうそろそろ具体的な政策提言、何をするのかというところへ持っていくべきではないのかと。何が必要だ、大事だ、問題だという問題提起の段階は既に過ぎたのではないかという御意見もございました。私もそのように思います。ですから、若干エビデンスベースで言うと、不足気味かも分かりませんが、きょうは、頂いた時間の中で、私見でございますが、提案をさせていただきたいと思っております。
 この養成部会がもともと持っている、これから教員の問題が重要になるということに対する一定の答えは、既にあります。それは「学び続ける教員像という理念」を実現することなんだと。法制度的には、それは教育基本法第9条にある教員の研修義務と、行政機関等の研修環境整備、これは養成も含めてということですが、そういう法制度的な枠組みも既にある。具体的には、その中をどうやってつないでいくのか、中身をどう入れるのかということだろうと思っています。達成すべき課題は、「学び続ける教員像の理念」の実現だと。基本法9条第2項の、生涯職能成長を実現する行政課題というものを、1つ社会システムとしてしっかり構築し直すことだと思っています。それの展開した表現が、赤い下の囲みの中に一応書いてございますが、国、大学、地方行政等の関係機関は、システム構築と稼働を自らの社会的使命と捉え、相互の連携・協働を実現する責務を負う。加えて、教員諸制度の抜本改善という一貫した政策立案と財政措置、この2つがどうしても必要なんだということを改めて申し上げたいと思います。
 その「学び続ける教員像の理念」をどう実現していくか、抜本改革の方向性ということですが、私は3つあると思っています。
 1つは、養成は大学、採用・研修は行政、この「すみ分け」からの脱皮ということが絶対に必要だろう。教職生活全体を通じた職能成長を図るということのために、養成・採用・研修の接続ということを重視した改革、この具体像が見える必要がある。この改革実現のためには、関係者、国、大学、行政機関等が組織的かつ高度な次元で連携・協働する必要がある。今、大学と行政の間には、ほぼどこにでも包括的協定と称する連携をしますよという協定書が存在します。しかし、それを実質化するという段階で、果たして十全にその努力がなされているかというと、やはりまだそこまではいっていないだろうと。それは義務だというふうに認識していないというところに根本的な問題があるような気がいたします。
 2点目は、高度な専門職ということを、「学び続ける教員像の理念」と言えば、その先に、教員というのは学び続けなければ真っ当に職を続けることのできない、そういう意味で高度な専門職なのだというふうに言うとすれば、では、その「専門職基準」というのはどうなっているか。これは、実はもう事前に資料を頂いて、昨日、後からお話しになる横浜市と東京都などの資料を見せていただき、あるいは、私自身が側聞するところでも、各都道府県では、やはり「専門職基準」に近いものを、あるいは、それはルーブリックというふうに申し上げていいかもしれません。ある年代の教員にとっての達成可能なレベルはここまで、これだけはやっぱり基本的に修得してほしいという、そういう達成目標というものが明示されている場合が多いと思います。ただ、それが社会的に認知されているかというと、そこまではいっていない。そうだとすれば、養成段階も含めた、教職生活全体を見通した到達目標(ルーブリック)を策定すること、一定の基準を全国レベルで確認をするという作業がどうしても必要だろうと思います。すなわち、養成と研修の指標を明示するということとともに、獲得した成果を可視化することが重要だろう。その方向が、1つ改革の方向性として存在すると思います。
 3点目は、先ほど申し上げた国の役割ということを是非強調しておきたいと思います。
 さらに、今の話だけでもまだ抽象的で、論点整理だけだというふうに私自身も思いますので、もう少し踏み込んで、養成・採用・研修の抜本改革に関する具体的なお話をさせていただきたいと思います。これ、論点は1つあります。
 1つは、養成、採用、研修の各段階の改善課題、それから、連続する職能成長への支援、こういう観点で養成や研修を改めて見直す、あるいは、採用も含めて見直すことが必要だろうと思います。ここからは、もう極めて箇条書でしゃべることしかきょうはできませんが、養成段階では4点ぐらいある。
 1つは、果たして4年間、あるいは、大学院を含めて6年間の、まだ学校を見たこともない――見たこともないというと、ちょっと語弊がありますが、行って、本当にそこで責任ある仕事をしたこともない養成段階の学生に、あれもこれもという詰め込みが本当に必要なのかという、ここの発想の転換は要るだろうと思います。したがって、養成段階の大学における教員養成、あるいは、免許取得というレベルを、この際、教員基礎力というふうに、これも何かということが専門職基準で明示される必要がありますが、教員基礎力の育成というところにしっかり限定をして提示をする必要があるのではないか。
 それから、2点目は、課程の認定制度の根幹に関わることですけれども、現在、学部・学科段階の専門性に応じて免許を出すということが、現実の課程認定制度の運用則としてありますけれども、そうではなくて、大学が、自らの大学としてどんな教師を養成するのかということを明示すべきである。大学としての人材育成方針、これを確立し、公表する。したがって、課程の認定も大学単位で実施するという方向に動いていかないだろうかと思っています。
 次は、養成の質保証ということですが、開放性免許制度のメリット、デメリット、いろんな議論の中で、粗製乱造であるとか、免許の乱発であるとか、いろんな議論があります。それは課程の認定というところでチェックをするだけで、あとはほったらかしになっているということが、制度上の欠陥として強く意識されている。大学教育全体も、今や設置よりも、その後の大学教育の在り方を事後的に評価するという、評価文化というのは既に根付いているにもかかわらず、教員養成課程についてだけは、認定だけでとどまっている。実地視察というぎりぎりの行動は起こしているわけですけれども、全部回るには30年かかるとかというようなレベルの話が一方で出てくる。ここで思い切って、課程の「認定」から事後「評価」へという展開が必要ではないかと思います。
 それから、ICT、道徳、グローバル化、アクティブラーニング、いろんな教育課題が出てくる中で、そうしたものが教員養成課程の中で十分に展開されていないということ、あるいは、教職課程の教育そのものが、いわばアクティブラーニングになっていないのではないかというような議論がある。そのあたりをどうしていくかということが、養成段階の課題として存在すると思います。
 それから、余りこれまでは踏み込んでこなかったことですけれども、採用の段階の問題も、やっぱりしっかり議論しておく必要があるだろうと思います。多様な資質、多様なキャリア・パスを有する人材確保ということが大前提だと思いますが、より具体的には、今、免許を持っていれば、一種免であれ、専修免であれ、場合によっては二種免許であれ、採用試験は平等に受験できて、そのとき合格ラインを突破すれば教員になれるという、そういう形で、大学における養成の質の問題よりは、あるいは、学位レベルの問題よりは、採用試験一発の勝負というところが現実の教員の採用で起こっているわけですけれども、そこを、教職大学院も全国展開されるというような状況もあり、既存の大学院の中で教職課程は一定の実践的経験が必要だと、6単位から8単位の単位を課すべきだという提言もなされて、そういうものを改めて整理し直しますと、学卒、大学院卒、あるいは社会人選抜、そういう多様なキャリア・パス、したがって、多様な資質を有する人材確保、これをちゃんとできるような採用状況というのを作っていく必要があるのではないか。
 もちろん、教員の採用ですから、慎重に展開するためには、人物重視の採用ということが一層徹底される必要がある。なかなか都道府県の採用人事のところも、大変な労力とお金と時間をかけてやっているということは十分承知しておりますけれども、果たして効率化、あるいは、適正な採用がなされているかどうかということについて、やっぱり自己点検をしていく必要もあるだろうと思います。
 それから、初任段階についても同様で、教職大学院をもっと活用すべきではないか。だから、教職大学院をストレートマスターで修了した者の初任研免除、これはかなりの都道府県で動いていますが、さらに、採用合格者の教職大学院への逆流というんでしょうか、大学教育をもう一回、そこで教職大学院を使って受けさせることによって、レベルの高い、質の高い教員を改めて採用する。その期間を待つという登載延長、これも幾つかの都道府県で既に進んでいることです。
 それから、初任研をやはり抜本的に見直す、あるいは、研修内容の再構築ということは必要だろうと思いますし、初任研担当のメンター制の導入、特に、再雇用教員というのが相当数出てくることが今後予測されるとすれば、その方々をうまく活用して、初任研に手厚いメンターを配置するということが必要ではないか。
 それから、中堅前期、中堅後期、管理職期、それぞれ10年前後、20年から25年ぐらい、さらには40代後半から50代というように、研修の段階も3つぐらいのレベルには多分分けられると思います。そこで、そこに挙げました6つぐらいの論点で、研修の問題を少し整理し直すこと。先ほどから申し上げております「専門職基準」、ルーブリック、到達目標、そういうものをしっかり構築すること、そして、そのルーブリックに基づいた研修の体系化、高度化を進める。これを都道府県レベル、あるいは広域レベル、さらには国レベルで、きちんとした仕組みを作るということが必要なのではないか。
 2点目は、教職大学院への派遣の拡充。これは、現職の教員も、今、2年間という教職大学院の修業年限の中で、4年までは行けるわけですが、果たして現職の教員に2年という時間を取らせること、さらには、現職経験を踏まえれば、2年要るのかというような議論もしっかりした方がいいのではないか。もっと、在籍かどうかは別にして、10年ぐらいかけて、教職大学院で教職修士という資格を取れるような柔軟な対応、いわば教職大学院というのは、教員にとってのバーチャルな研修機関で、そこに大学が8割ぐらいコミットしているという、そういう枠組みで、教職大学院の制度設計を考え直す必要があるのではないかと思っています。
 教職大学院は、法科大学院等の専門職大学院制度の横に似たような形で存在するわけで、当然、大学設置という問題や、大学が本来持っている教育機能、研究機能というものに引っ張られる側面はありますが、もう一方で、この養成部会で議論すべき研修という機能を強く持っているわけですから、その両方で改めて、でき上がって5~6年、さらに、来年・再来年で全国の国立には一つずつ作るという方向も出されていますから、この際、教職大学院の在り方ということを抜本的に検討する必要があるのではないか。その時期ではないか。絶好機だと思っています。
 それから、ミドル・リーダー、それから、管理職のリーダー、このあたりも、専門職基準が整ってくれば、研修目標というのはある程度見えてくるわけですから、計画的に育成する、研修を拡充するということが可能になる。
 さらに、その研修を担当する行政職員、センターの指導主事であるとか、学校教育系の担当課の指導主事、事務所の指導主事クラスで研修担当をしている行政職員の研修、これもやらなければいけないだろうと思います。ちなみに、前回も出ておりましたけど、ここには書いておりませんが、教員養成をやる研修を担当する大学教員の研修ってどこでやるんだという議論もありましたので、やっぱりそれも検討課題に入れるべきだろうと思います。
 それから、校内研修、これは日本のレッスンスタディという歴史的な成果、世界が注目している、これを使わない手はない。そこを使うということは、OJTということになるんですが、OJTの手法をもっと開発しなければいけないだろう。そのOJTの中で、校内研修を中心にした研修プログラムというものを作っていくとすれば、核になるリーダーがやっぱり必要になる。「研修リーダー」の育成・配置ということが重要だと思います。
 そうした、ちょっと矢継ぎ早に箇条書的に申し上げただけですが、養成、採用、研修のそれぞれの段階、あるいは、連続する職能成長への支援という方向を定めつつ、2番目は、それらを本当に実質化する、その制度を、枠組みを維持していくための、あるいは、その枠組みそのもののリニューアル、これをきちんとやるためには、次の2番目の、養成・採用・研修の各段階に「横串」をしっかり刺す組織が要るんだろうと思います。組織的改善、関係機関間のネットワークという意味でございますが、「資質能力向上のための協議会」を設置して、そこで、そこに挙げましたような主な検討課題を絶えず議論をし、関係の所管のところに通知をしながら、養成・研修のリニューアル、これを制度的に保証していく、こういう仕掛けが必要だろうと思います。
 この協議会的な機能というのは、私は都道府県レベルでまず持つべきだろうと思いますし、ミッションの再定義で、国立の単科大学を中心に、広域大学だと言われているところが幾つかあります。確かに、地区ブロックごとに広域大学は一つずつあるというような配置になっているわけですが、この広域レベルで、そうした広域対応型のミッションの再定義で定義を持っている大学については、この広域レベルをしっかり確認し、管理していただく必要があるのではないか。それが、広域型大学と呼ばれているところの責務でもあるし、生きる道でもあると思います。都道府県レベル、広域レベル、さらには、それらを統括するような国レベル、3段階で重層的にこの組織が作られるべきではないかと思っております。
 ほぼこれで時間がいっぱいでございますので、最初に申し上げたように、内容はたくさんあると頭の中では思っているんですが、紙に落とすとこれぐらいで、箇条書にすると項目数は多いですけれども、エビデンスベースの話は基本的にはできておりません。また大方の御叱正を頂きたいと思っております。ありがとうございました。
【小原部会長】  ありがとうございました。
 なお、質疑応答、意見交換の時間は、3名の方の説明後にまとめて設けてありますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、平本委員より御説明をお願いいたします。同じく、25分程度でお願いいたします。
【平本委員】  それでは、横浜市の平本と申します。どうぞよろしくお願いします。お手元に資料を用意させていただきました。時間も限られておりますので、ポイントの部分のみ御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、資料を順次追いながら御説明させていただきますが、横浜市の現状をまず簡単に触れさせていただきたいと思います。ページ、1ページを見ていただきますと、グラフがございますけれども、これが現段階における、昨年度以前の横浜市における教職員経験年数の割合でございます。10年経験者までで約56%、今年度、633名が新たに加わりましたので、更にこの割合は高まっていると思います。そういう状況の中ではございますけれども、私どもとしましては、よく経験年数の浅い教員が増えることをマイナスだけで捉えがちでございますが、できればこれを何とかプラスの要因に変えていきたいと考えています。経験年数はもちろん大事ですが、経験年数はなくても、若い力や、また異なった分野から教育現場に入られた人たちもいますので、それを上手にプラスの要因に変えていきたいと考えているところです。しかし、一方において、学力・体力の向上、いじめ・不登校、特別な支援を必要とする子供の増加等、様々な教育課題が山積していることも事実です。
 教職員の現状については、11ページにございます。職場の多忙な状況、また、教育現場に対する失敗を許容しない社会の雰囲気、こうしたことが非常に大きな課題としてございます。また、先ほどお話ししましたように、少し経験の上の、我々、斜め上の先輩と言っていますけれども、そこが非常に少ない状況がございます。こうした状況の中で、教職員は、日々努力しております。勤務時間については、OECDの調査で、もう御存じのとおりですが、横浜市の場合は、全国的に見ても、勤務の状況はかなり厳しいものがございます。したがって、授業に対する準備等にかける時間がなかなか確保できない。したがって、勤務時間がどうしても長くなるという現状がございます。
 人材育成に向けた調査研究を3年間実施してまいりました。7ページから、その資料の一部分を御紹介させていただいております。全体としては、横浜市の教員、非常に元気で頑張っておりますが、一方において、いわゆるバーンアウト、また、孤立感、これを訴えている教職員がいることも事実でございます。これらの課題が離職につながるということも、ケースによってはございます。
 また、資料にお示しをさせていただいておりますが、3年目教員等を対象に調査したところ、採用前に想像していた教師像とかなりギャップがあると回答しております。そして、それを乗り越えるに当たって一番頼りになったのは、実は、校内における先輩教員の存在であったと。こういうことも、アンケート調査等によって具体的に明らかになってまいりました。
 このような現状を踏まえ、本市としましては、具体的な取組を進めてまいりました。先ほど高岡委員からもお話ございましたけれども、組織的にメンターチームを推奨しまして、経験の浅い人を中心にしながら、それを組織的に支えていく、そして、全体としてチーム学校が教職力向上が図れるような仕組みづくりに取り組んでまいりました。メンターとメンティ個々ではなくて、複数のメンターが複数のメンティを支えながら、支える一方において、自分自身も教員としての資質・能力を高めていける、こういう取組を進めてまいりました。
 ただ、推奨だけでは、なかなか軌道に乗りませんので、私どもといたしましては、具体的な取組としまして、18ページにも紹介をさせていただいておりますけれども、「教師力向上の鍵」を出版し、具体的な良い実践例を持っている学校の調査や、又は、訪問してヒアリング等を行い、その実践例を集約した結果を学校に発信をするという取組を行ってまいりました。
 また、「育ち続ける学校」というリーフレットも作成しました。お手元にある資料の最後のところだと思いますが、1部用意をさせていただきました。このほかにも「校内人材育成の鍵ガイド編」ヒント集というリーフレットもその前に作りまして、メンターチーム等の取組が円滑に進むようにしました。その内容は、先ほど御紹介させていただきましたとおり、3年間をかけての調査等を踏まえたものでございます。
 さらに、先ほどのお話にもございましたけれども、メンターチームを組織的に機能させていくには、ただ推奨しているわけにはいきませんので、私どもの研修の中で、これまでの言い方ですと、10年経験者研修の中で、主に校内でどういう立場で活躍が求められているのかということの自覚を促すとともに、具体的な手立てについて研修をする、そして、それを学校において実践をしていく、こういう取組を毎年積み重ねてまいりました。5年経験者に関しましても、立場によっての役割を明確にして取り組んできたところでございます。ただ、ここに関しましては、後ほど御紹介させていただきますが、もう経験の年数の枠組みで研修を組み立てるということに無理が生じてきましたので、名称も変えながら、5年経験者は、「リーダーシップ開発研修」、10年経験者研修につきましては、「人材育成マネジメント研修」というような形でやっております。
 最後に、メンターチームが機能するかどうかのポイントでございますけれども、最も重要なのは、やはり自主・自律、これが機能するかどうかにかかっています。全体的な枠組みについては、教育委員会、又は校長等が作っていくわけですけれども、実際の運営等に関しては、自主・自律ということが機能したときに、最もその力が発揮できるということも分かってまいりました。
 次に、「教員のキャリアステージにおける人材育成指標」及び教職員の研修体系の再構築について御説明させていただきたいと思います。資料につきましては、お手元の資料の19ページ以降にそれをまとめさせていただいております。
 具体的な人材育成の指標につきましては、資料の一番後ろの資料3-2というものが実際のものでございます。A3判でございますが。このように、今求められている資質・能力を明確化するというところが、まず一つのねらいでございました。
 また、先ほど御説明をさせていただきましたけれども、経験年数ごとに枠組みを作っての研修は、なかなか学校の実態に合わなくなってまいりました。例えば、1つの例で申し上げますと、過去においては余りなかったことでございますけれども、経験3年目にして、もう組織のリーダーとして活躍をしなければ、学校運営そのものが成り立たないという状況が随所に出てまいりました。したがいまして、経験年数ではなくて、学校の中における役割に応じた人材育成の指標、第1から第3ステージというような分け方で区分をしまして、人材育成指標を再構築したということでございます。
 さらに、受講年次に関しましても、例えば、これまでですと、5年経験者、10年経験者ということで枠組みを作っておりましたが、先ほどお話ししたような状況がございますので、幅を持たせて、学校の事情、また、教員個人の成長の状況に応じて弾力的に研修等が受けられる、こういう仕組みづくりをさせていただいているところでございます。
 その全体像が、資料3-3にございます。教職員の研修体系というのがございますけれども、ステージごとに、どのような研修が受けられるのか、そして、そこで何が求められているのかということが一覧で見えるようにさせていただいております。そして、それを下支えするものとして、その表の一番下にございますけれども、校内におけるOJTを位置づけ、全体の組立てをさせていただいているところでございます。
 具体的には、初任者研修に関しまして、少し触れさせていただきます。初任者研修に関しましても、23ページから御紹介をさせていただきましたが、これまでのような研修ではなくて、やはり実態に合わせたものにしていこうということで、3年間をかけて教員としての基盤づくりをしっかり行っていく。「横浜型初任者育成研修」を銘打っておりますけれども、このような形で取り組んでおります。
 特に重点を置いている経験の浅い教員の重要な課題になっておりますコミュニケーション力については、しっかり力を高めていくために26ページに御紹介させていただいておりますけれども、宿泊研修等の内容に組み入れております。ここの部分は、先ほど御紹介させていただいた人材育成指標では、第1ステージとして目安を置いています。
 第2ステージの具体的な例としましては、「リーダーシップ開発研修」がございます。これまでですと、5年経験者を中心にしておりました。そこを4年から10年という枠を広げまして、弾力的に実施をしていくこととしました。特にグループリーダーとしての自覚等が高められるようにということも考えております。特徴的なところとしましては、これからの教員に求められる力ということで、先ほどグローバルというお話もございましたが、内なるグローバル化を進めていくために、学校の外へ出て、学校をしっかり見つめ直すために、短期企業研修派遣を、教員全員が一度は受講する取組を進めさせているところでございます。
 さらに、続けさせていただきますともう一つが、「人材育成マネジメント研修」でございます。これは、法定研修でございますが、10年経験者以上ということでございますので、11年から13年目までを対象としながら、教員個人や学校の状況等を踏まえて受講する研修でございます。特にメンターチームなど校内研修等が機能できるように、研修相互の関連を図りながらミドルリーダー育成を視野に入れた取組でございます。
 第3ステージにつきましては、「エキスパート研修」ということで、21年目以降の教員を視野に入れながら、学校運営の参画意識をより高めるというような視点を置いて、研修等の組立てをしております。具体的には、先ほど御紹介させていただきましたヒント編・ガイド編等を上手に研修等の資料に活用しながら、自分の役割を認識した上で、校内等でOJTを推進していく力になってもらいたいということで進めさせていただいているところでございます。
 続きまして、先ほど高岡先生からもお話ございましたが、校内の人材育成を機能させていく上で、管理職の果たす役割も大きいため、35ページから一部分紹介させていただいておりますが、「学校管理職人材育成指針」というものを作りまして、管理職の人材育成にも取り組んでおります。今求められている管理職としての資質・能力は何か。これを明らかにしながら、管理職の研修を進めているところでございます。
 特に特徴的なところとしましては、昨年度からスタートしました、36ページに御紹介させていただきましたけれども、学校の中だけの経験で力を磨いていくのではなくて、学校の外の世界にも出て、管理職としての資質・能力を高めていこうということで、民間経営者等の皆さんが学ぶ場へ、学校管理職を派遣できるような仕組みを作りました。昨年度につきましては、試行で、7名を派遣したところ、非常に大きなこれまでにない成果を持ち帰ってまいりました。今年度につきましては、38名派遣をするという方向で、今、準備を進めているところでございます。
 さらに、これからの時代に求められる教員としての資質・能力として、特にグローバルというお話がございましたが、教員自身がグローバルなものの見方、考え方を磨かなければ、子供たちをグローバルな人材として育てていくことそのものが難しいのではないかと考え、昨年度から、海外研修派遣も実施しております。単なる語学力だけではなくて、教科を超えて、また校種を超えて海外に教員を派遣し、そこで様々な広い視点から力を磨いて、持ち帰ったものを横浜市内全体に還元していく。特に特徴的な点は、現地校において授業を実践してくる取組も入れさせていただいているところでございます。
 さらに、企業派遣については、先ほど触れさせていただきましたが、全体としましては、先ほどのリーダーシップ開発研修では必修で、人材育成マネジメント研修については選択で実施しております。それから、新任副校長に関しましても、必ず必修で実施をするということになっております。また、長期派遣も実施しております。そして、このような取組の効果がどのように出てきているのか、今、大学関係者の皆様との共同研究においてしっかりと検証しながら工夫・改善をしていく取組を進めております。
 非常に見えにくい重要課題について、42ページから御紹介させていただいております。実は、正規の教員の人材育成は非常に大事なのでございますが、大量退職・大量採用の影響もございまして、今、学校現場にはたくさんの臨時任用・非常勤の教員がおります。したがいまして、教育の質を維持し、充実を図っていくためには、正規の教員の研修だけでは不十分であるという認識を我々は持っております。そこで、臨時的任用職員の研修等についても、強化を図る取組を進めております。
 また、採用前の研修に関しましても、任意で実施していますが、非常にニーズがございます。その背景としては、ヒアリングしたところ、学校現場へ入ることに関して、かなり不安感を持っている教員が多いことも分かってまいりました。このような背景を踏まえながら、教育委員会が行っている教員養成の一つとして実施している、教師塾の充実を図るために全国の教師塾についての調査もさせていただきました。また、教員養成で実績を残されている大学にも御協力を頂きながら、より良い効果を引き出すための取組を進めさせていただいております。9か月間、毎週土曜日、約130コマ、250時間、この取組は、実践力を高めるというところに焦点を当てて進めさせていただいているところでございます。
 最後に、大学との連携・協働ということでございます。48ページから御紹介させていただいております。私どもの認識としては、これからの教員養成、学び続ける教師像、これを具現化していくためには、教育委員会が主催している教職員研修、校内研修だけでは不十分と考えております。したがいまして、大学の皆様としっかりと連携・協働を図った上で、この環境を整えていく、その重要性を強く認識しております。特に、大学の教員の養成と、私ども教育委員会が行ってまいりました教員研修、この接続をどう図るかということが大変重要と考えました。したがいまして、先ほどのA3判の「教職員研修体系」を御覧いただきたいと思いますが、そこにも、それを意識した養成期というものを入れさせていただいております。さらに、人材育成指標の中にも、第1ステージの左側に、横浜市が着任時に求める姿ということを明確化させていただき、そして、大学の皆様による取組との接続を図っていくということを考えて進めさせていただいております。
 これらの取組を推進するに当たりまして、一番大きな力になっておりますのは、先ほどもお話がございましたが、教員の養成・育成に関する連携・協働の協定を、4月の段階で、約50の大学と結ばせていただいているところです。これをベースにしながら、年3回の協議会、それから、平均2回から3回行う大学との個別訪問等における相談、これらの場面を生かしまして、実際の学校現場の実態を共有した上で人材育成の取組を推進しています。その具体的な取組の結果としては、教育実習に関する新たなシステムの構築、それから、実践力を磨くボランティア、・インターンシップ等の受入れに関するシステムの構築、こういうものを進めてまいりました。さらに、人的な交流としましては、学校現場を一番よく知っている指導主事を実践演習等に派遣させていただき、また、逆に、校内のOJTに専門性をお持ちの大学関係者の皆様をお招きして、校内で、それぞれの学校のニーズに応じた研修等ができる仕組みづくりに取り組んでまいりました。さらに、今日的な課題に関しましては、教員が参加できるオープン講座等の開設に御協力いただくということで、準備を進めさせていただいております。そして、教育委員会としましては、これら全体のマッチングを図ることを役割として担い、これまで具体的な取組を進めてまいりました。
 55ページに、学校から大学の皆様に対して求めるニーズが表になっておりますけれども、約77%の――今後これ以上になっていくと思います――非常に多くの学校が大学からの支援・協力を求めているということが具体的に分かってまいりました。大学と学校・教育委員会の双方にとってのメリットになる仕組みづくりを今後も推進していきます。それが学校は、教育内容等、求められることが非常に多いわけですが、実際にそれを機能させ具現化していくには、教員の資質・能力の向上は欠かせません。ここをどう高めていくかという点で、これまでの取組全体が、全てに関わっていると思います。
 教員が資質・能力を高めること、イコール、子供たちに対してより良い教育環境を提供することになりますので、このことを常に視野に入れながらの取組を進めさせていただいております。
 以上、ポイントのみの説明をさせていただきました。ありがとうございました。
【小原部会長】  ありがとうございました。
 続きまして、荒川課長より御説明をお願いいたします。同じく、25分程度で、よろしくお願いいたします。
【荒川課長】  改めまして、東京都教育庁総務部教育政策担当課長の荒川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座ったまま説明をさせていただきます。
 本日は、このような機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。私の方からは、東京都における教員の育成、人材の育成についての取組を御紹介させていただきたいと思います。資料、ページ数を振っていなくて、まことに申し訳ございませんが、資料に沿って御説明をさせていただきたいと思います。
 東京都教育委員会におきましては、平成13年度に東京都教育委員会の教育目標ということで、そこにあります3点の人間像を挙げまして、子供たちの育成を図る教育を展開しております。しかしながら、先ほどからお話にもございますが、現在、生きる力の育成であるとか、地域との連携であるとか、保護者との信頼関係の構築であるとか、教員に求められる力というのは、学習指導面ではなくて、多種多様にわたっておりまして、また、教員に対する期待も高まっているということがございます。このようなことから、東京都教育委員会におきましても、2枚目にございますように、平成20年10月に「東京都教員人材育成基本方針」というものを定めまして、これまでは教員の自主的な育成ということがあったんですが、そうではなくて、教員の人材育成を意図的・計画的なものに転換するという必要があるだろうという認識の下、経験や職層に応じて身に付けるべき力を、その基本方針に明らかにしているものでございます。
 求められる教師像としては、そこに掲げてあります4点を掲げているところでございます。また、先ほどから申し上げているとおり、学校におけるニーズも非常に多種多様にわたりまして、ニーズの一つとしては、学校の教育力の向上ということで、これにつきましては、2つありまして、1つは、学習の指導力と、もう一つは、生活指導、進路指導の指導する力という、この2つがあるだろうということで整理をさせていただいております。この2つだけではなくて、新たなニーズといたしまして、今日的な課題への対応というのはあるだろうということで、2枚目の下にございますように、外部との連携、折衝力、学校経営力、組織貢献力といった2つの力があるということで、この4つの力を、教員に求められる基本的な力ということで整理をさせていただいております。
 さらに、では、授業をする力というのはどういうものなのかということで、これについても、我々は実際に発揮できる力を授業力というふうに捉えまして、その構成する要素といたしまして、6つに整理をしたものが、3枚目の上段の図でございます。オレンジのところにあります統率力、使命感、熱意、感性、児童・生徒理解と、これはもう全て授業をやる基盤と我々は捉えております。さらに、その基盤の上に、青い丸にあります教材解釈、教材開発であるとか、指導技術であるとか、「指導と評価の計画」の作成・改善であるとか、そういった力を総合的にバランス良く身に付ける必要があるだろうということで、この6つの力を現在でも先生方に付けていただくよう、我々は様々な機会でお伝えをしているところでございます。
 しかしながら、東京都の現状を申し上げますと、東京都全体で6万2,000人ほど教員がいるわけですが、平成21年度から、毎年約3,000人ずつ採用しております。したがいまして、10年で約半数の教員が入れ替わるといったような状況がございます。私も教員でしたが、我々が教員の頃は、先輩の先生から教えていただいて育っていくというような環境がございましたが、今、特に小学校によっては、学校によっては、5年未満の経験の先生が半数以上いるといったような学校もございまして、学校だけで、又は個人個人だけで育っていくということがなかなか難しい現状がございます。そこで、先ほど高岡先生の方からもございましたが、私どもといたしましても、教員の資質向上というのは、採用後の育成だけではなくて、養成、採用選考、そして採用後の育成と、これを三位一体のものとして捉えて育成していくべきではないかと考えまして、平成21年ぐらいからそういった取組をしてまいったところでございます。
 そうは言っても、我々として、大学の教員養成課程に何ができるんだろうかということが話題になりまして、せめてデマンドサイドから何か発信できるものはないだろうかということを考えまして、そのためには、大学の実情であるとか、実際に学校現場でどのようなことが求められているのかということが必要ではないかということで、都内だけではなくて、近郊の大学に御訪問させていただきまして、教員養成課程の授業を実際に拝見させていただき、大学の先生方から現状とか課題とかについて御意見を頂きまして、さらには、都内の校長先生方と採用2年目の教員に、大学のときにどのような力を身に付けておけばよかったかというような調査をさせていただきました結果をまとめましたものが、3ページの下段にございます5つの力でございます。
 こうした力をもっと具体的に示せないかという思いがございまして、平成22年10月に、小学校の教員養成課程カリキュラムというものを策定させていただいたところでございます。何分、小学校の教員につきましては、採用されてすぐに担任を持つ、又は授業をやるという、非常に力を求められるものでございますので、せめて大学の時代に最小限これだけは身に付けていただきたいという力を、4ページの上段にありますような領域3つに分けまして、お示しさせていただいているところでございます。さらには、下段にありますように、細かく、その項目に分けて示しているところでございます。実際にきょうお配りはできないんですが、こうしたカリキュラムを策定いたしまして、作成いたしました。
 さらに、大学の先生方だけではなくて、こういった力を身に付けてほしいというのを、学生さんにも実際に知っていただきたいと思いまして、ちょっとコンパクトにした同じような内容、身に付ける力、それから、東京都の子供たちの現状とか、実習のときにこんなことをやるといいですよといったようなものをまとめまして、こちらのカリキュラムの方は、小学校の教員課程をお持ちになる全国の全ての大学に私どもの方から配布をさせていただきまして、こちらのカリキュラムにつきましても、小学校教員養成課程に通う全ての大学生、12万冊ほど作りまして配布させていただいているところでございます。なお、毎年1年生が入学してきますので、毎年この内容を更新いたしまして、1年生分につきましては、各大学に現在でも4月に間に合うようにお配りさせていただいております。
 私ども、後ほども申し上げます養成塾と連携しております大学が40近くございますが、その大学の先生方にお聞きすると、今申し上げた、こういうカリキュラムなんかは、大学のカリキュラムを編成するときには参考にしていただいているようでございますし、さらには、このハンドブックにつきましては、大学の授業でも使っていただき、また、実習のときにも活用していただいているといったお話も聞きますので、私どもとしては、そういった取組をさせていただいているところでございます。
 もう一つ、養成段階の取組といたしましては、5ページの上段にあります東京教師養成塾の取組でございます。先ほどのお二人の先生方からもありましたが、やはり実践的な指導力を身に付けていただきたいということで、私どもは平成16年度からこの事業を展開してございます。12年目を迎えましたが、これまでは小学校の教員養成に特化してまいりましたが、今後、特別支援学校も非常に重要であるということで、昨年度から特別支援学校コースも新設いたしまして、合計で150名の塾生を大学からお預かりし、育成をしているところでございます。本年度につきましては、34の区市、84校の小学校、13校の都立特別支援学校の御協力を頂いて、教師養成指定校として指定いたしまして、年間40日程度の特別教育実習を行うほか、研修センターに月2回塾生には来ていただいて、講義、ゼミナールなどを行いまして、実践的な指導力を育成しているところでございます。
 この事業は、先ほどから申し上げているとおり、大学と連携した事業でございまして、本年度は42の大学と連携させていただいておりまして、大学とは年3回の連絡会、あるいは情報交換会等で情報交換をするとともに、指定校でも一緒に指導させていただいておりますので、そういったところで情報交換を密にしながら、塾生の育成を図っているところでございます。11年間で1,300人を超える塾生が修了生として東京都の教員として活躍しておりまして、1期生はちょうど10年目を迎えましたので、今では管理職候補者となって、実際に指導主事となって、養成塾で教わってきた自分の経験を生かしながら、若手の教員の育成をしているといった教員も既に出てきているところでございます。
 もう一つが、この資料の5ページ目下段にございます、採用前実践的指導力養成講座についてでございます。これは、東京都の教員採用選考に合格した名簿登載者に対して、実際に教壇に立つ前に、何か参考にならないかということで、実践的な講座を行う取組でございます。特に教科、体育とか理科の指導が苦手だというような学生さんの声も聞いておりますので、平成23年度に体育、そして、平成24年度からは理科の講座をやってきたのですが、採用前に、学級経営であるとか、保護者との信頼関係の構築であるとか、そういった不安を抱えているという声もお聞きしましたので、そこにあります上の3つ、学級経営等に関する講座、青い字で示させていただいておりますが、これについては、実際に2日間やりまして、1日目は座学でいろいろノウハウをお伝えして、もう1日は、実際に学校に行って、校長先生方若しくは担任の先生方の動きを見て、授業を見たり、給食指導の場面を見たりして講座を行っているということでございます。この上の3つにつきましては、おかげさまで、名簿登載をして合格した1,600人全員受けていただいているところでございます。
 下の4つにつきましては、希望者でございますが、これについても、かなり多くの方々が来ていただいております。体育であれば、実際に小学校に行ってもらって、体育の授業を見たり、子供たちと一緒に遊ぶといったことを行ったり、理科であれば、大学とか動物園に御協力いただきまして、実際に実験、観察を行ったり、昆虫や動物に触るといったような体験をさせていただいているものでございます。
 続きまして、教員採用の選考についてでございますが、6ページ目の上段でございます。東京都におきましては、先ほど申し上げているとおり、3,000人規模で選考しておりますので、4つの区分に分けまして、一般選考、特例選考、特別選考、さらには大学推薦ということで、区分で選考を行っております。一般選考の特徴といたしましては、平成25年度から、小学校における理科教育の一層の充実を図るために、理科教育に精通した学生さんを特別に募集するといったようなことをしております。また、先ほどから申し上げているとおり、若手の教員が急増しておりますので、幅広い年齢や経験のある方を採用したいということで、特例選考という形で設けさせていただいております。特別選考につきましては、スポーツ、芸術、文化に秀でた方などを選考するものでございまして、本年度からは、更に国際貢献活動経験を有する教員を確保するために、JICAが実施しております青年海外協力隊等の派遣経験が2年以上ある方については、この特別選考で選考を実施してまいりたいと考えております。さらに、より優秀な教員を確保するために、下にありますような様々な工夫をして、教員の候補者を確保しているところでございます。
 続いて、今度、教員になった後の育成について御説明をさせていただきます。7ページ目の上段でございますが、初任者研修というのは、先ほど御説明にもありましたが、教育公務員特例法に定められた法令研修でございますが、全国的には文科省が例示で示しました300時間の校内における研修、25日の校外における研修というのを行っている実情がございまして、東京都においても同じように研修を進めてまいりました。しかしながら、1年間で300時間と申しますと、1年30週と考えると、1週間で10時間、1週間5日で考えますと、1日2時間毎日やるというような形になりますので、実際に小学校などでは、全科の担任を教えながら、こうした研修を受けていくというと、申し訳ないですが、実際には形だけになってしまっている部分もあるのではないかということがございます。もう1点は、1年目は研修をやるんですけど、2年目以降は自分で育っていくといったような現状もございまして、東京都におきましては、全国に先駆けまして、採用から3年間で系統的・段階的に教員を育成する新しい研修体系として、東京都若手教員育成研修というものを実施しているところでございます。
 1年目は、校内で180時間、校外は16回、2泊3日の宿泊研修で、先ほど冒頭申し上げました4つの力の基礎・基本を定着することを目的に実施しております。2年目は、30時間の校内研修、3回の校外研修で、主に学習指導力と生活指導力、進路指導力等を中心に、力を育てるような研修を促進しているところでございます。3年目は、校内研修30時間、校外研修2回を行いまして、外部との連携・折衝力、学校運営力、組織貢献力等の拡充を図っていくといったようなことで、3年間で育成をしているという特徴がございます。
 続きまして、その下段でございますが、新人育成教員の配置についてでございます。先ほど来申し上げておりますとおり、特に小学校の新規採用教員は、採用直後から学級担任となるために、学級経営の円滑なスタートをすることが必要になるといったことから、平成22年度から、教員の経験を含め、社会人として経験のない新規大学卒業者を「学級経営研修生」と指定いたしまして、退職いたしました再任用短時間の先生方を「新人育成教員」として配置いたしまして、ペアで学級担任を行うことを通しまして、OJTを基本とした実践的な研修を実施するといったことにしております。
 続きまして、その裏の8ページの上段でございますが、さらに、英語科を教える若手の先生方の力を高めていくために、若手を中心といたしました中学校及び高等学校の英語科の先生方140名を3か月間、アメリカ、カナダ、オーストラリア等、英語圏の国に派遣をして、研修を行うものでございます。派遣中は、英語教授法の学修であるとか、英語の速読、英語力の総合的なスキルの向上、教育機関でのインターンシップなどを行っているものでございます。
 さらに、その下段にございますが、東京教師道場でございます。これは先ほど申し上げました若手育成研修が終わりますと、その後、研修が少なくなってまいりますので、そうした教員たちが力を身に付けるということで、大体4年目から10年目の先生方を対象といたしまして、部員とリーダーという形で分けまして、育成を図っているものでございます。
 続きまして、教職大学院との連携を9ページに挙げさせていただいております。私どもでは、都内の5つの教職大学院、創価大学、玉川大学、東京学芸大学、帝京大学、早稲田大学の大学院と協定を締結いたしまして、新人教員の育成、あるいは現職教員の育成をさせていただいております。協定の内容といたしましては、1つ目に、教職大学院が行っております共通科目の5領域に関しまして、学部卒生、現職教員、管理職候補者の段階ごとに到達目標を私どもの方で示させていただきまして、大学の方では、その到達目標を大学のカリキュラム・シラバスに位置付けていただいて、指導していただくといったような内容でございます。もう一つは、私どもの方で、実習校である連携協力校を指定し、各大学の方に提供させていただいていると。第3といたしましては、そういった育てていただいた学生さんたちに対しましては、教員採用選考において特例を設けまして選考を行っているといったものでございます。第4に、現職教育と管理職候補者を、それぞれ1年間教職大学院に派遣するといった、こういった協定を結んでおります。現在でも、こういった協定に基づく連携が円滑に行えますよう、年2回の協議会を設けまして、私どもで大学や実習先を訪問させていただきまして、成果や課題について協議を行っているところでございます。
 最後、東京都教員研究生でございます。こちらは、昭和42年度から始まった制度でございまして、平成25年度までに2,547名の修了生を出している伝統あるものでございます。この教員研究生は、1年間、学校の現場を離れまして、東京都教職員研修センターで学力の向上やほかの教育課題に関しまして自身でテーマを設定して行うカリキュラム開発研究、それから、研修センターでは、東京都の課題に対しまして、センターで研究を行っておりますので、その研究にも携わっていただきます教育課題研究のほか、実際に指導主事等と一緒に仕事をすることによって行政を学ぶ行政研修等を行っているところでございます。
 こうした様々な教員育成に関する取組を東京都でもさせていただいておりますが、こういったものはほとんど水道橋にあります東京都教職員研修センターで行っておりますので、若干、研修センターについて御紹介をさせていただきたいと思っております。資料4-2に、A3判の資料で御用意をさせていただきましたが、東京都におきましても、先ほど横浜市さんのお取組の紹介がございましたが、真ん中の中段のボックスにありますように、通所研修の充実ということで、それぞれ採用前から校長先生まで、段階ごとに行う職層研修であるとか、法定で定められております必修研修に加えまして、リーダー教員を養成いたします様々な研修、先ほど申し上げました教職大学院であるとか、教員研究生であるとか、そういった研修、加えて、生涯学び続ける教員ということで、専門性を自ら高めていくという専門性向上研修といったものも、段階的に、段階1、2、3に分けまして実施しているところでございます。こういったものは、右側にあります研修センター2部6課の職員が中心となって育成をしているものでございます。
 大変簡単ではございますが、東京都の取組について御説明をさせていただきました。ありがとうございました。
【小原部会長】  ありがとうございました。
 それでは、これまで3名の方の説明を受けてきたんですけれども、何か御質問、あるいは御意見がございましたらお願いいたします。
 渋谷先生、それから、中西さん。
【渋谷委員】  お三方の先生方、ありがとうございました。特に、横浜、東京の取組を伺いまして、初任の先生方に対する私の危惧の一部が緩和されまして、大変勉強になりました。
 高岡先生を含めて、お三方に共通するところのちょっとした疑問がわきましたので、御指摘させていただきたいんですが。免許状更新講習のことにつきまして、奇(く)しくもお三方とも触れられておられないんですよ。ということで、あれがどういう今日の御発表と関わるのかについて、高岡先生に、もしお考えありましたら、簡単にお伺いできればと思うんですけど、いかがでしょうか。
【高岡委員】  私も今、渋谷先生に御指摘いただいて、改めて気付きました。私は、ずっとこの免許更新制の問題は、この制度が初発に出たときの議論と現状は随分変わってきていると思いますし、それは国会の議論やなんかも含めて、変わるようにちゃんと変わってきたんだろうと思います。
 つまり、10年間に一度30時間という非常に長いスパンで短い研修という更新制ということですけれども、これをプラスに見ていくことが一番大事なことで、つまり、研修のベースは免許更新制にありというふうに考えるのが妥当なのではないかと思うんですね。持っている免許を更新するというのは、これは最低基準の話ですから、その最低基準をまず研修のベースに持って、その上に、先生方一人一人がどんな自己研修、あるいは、行政、大学等がどんなレベルの高い研修を提供するか、そういうベースになる内容として、免許更新制というのを改めて位置付け直す。これは一貫して私は思っていることだと思うんですから、今回は具体的に触れなかったということでございます。
【小原部会長】  渋谷先生、よろしいですか。
【渋谷委員】  はい。ありがとうございました。
【小原部会長】  それでは、中西さん、お願いします。続いて、岸田先生、お願いします。
【中西委員】  平本委員に横浜のことで、ちょっと細かい点もあるかもしれませんが、3点ほどお伺いします。
 まず、メンターチームなんですけど、これ、全体的に初任者がいるところには全て作られているのか、あるいは、現状として、ある程度限られている状態なのか。ここに、例えば、教職大学院の学生が関わるとか、そういうようなことも考えられるのかどうかということが1点。
 それから、若手にコミュニケーション力の課題があるというお話がありましたけれども、宿泊研修、限られた中で、それでコミュニケーション力が、もちろん交流はできるかもしれませんけれども、どの程度付くものかどうかということが2点目。
 それから、民間マネジメント研修の、これはもう本当に細かいところですが、ビジネススクール等とあるんですが、これ、具体的にどういうところなのかという、少しイメージがわくような形で御説明いただけますか。
【平本委員】  まずメンターチームでございますけれども、資料の15ページを御覧いただきたいと思います。そこにグラフで、現状も調査した結果を示させていただいております。全体として、全市の学校95%以上は、やり方は様々でございますけれども、何らかの工夫をしながら、経験の浅い教員を中心にしながら、ある程度経験を積んだ人たち、管理職も含めてですけれども、それが機能するように取り組んでいるという現状があると思います。
 そうなるように先ほど御説明させていただきましたけれども、それぞれの経験年数に応じた研修は、ばらばらですと、なかなかかみ合いませんので、我々、横のつながりを設けてというように言っていますけれども、例えば、それをリードする、これまでの言い方で言いますと、10年経験者等の研修の中に、そのファシリテートするような内容を組み入れたりという工夫をしてやっているところでございます。
 それから、コミュニケーションに関しましては、メール等を活用するほか、機器を活用しての情報のやりとりは、非常に経験の浅い、特に年齢の若い人たちは得意です。非常に得意です。経験年数を積んでいる教員よりも、はるかに機材等を活用する力はあります。しかしながら、学校現場は、子供と又は保護者と直接向き合った上でのコミュニケーション力が求められています。ですから、やはり人と人とが向き合ったときのコミュニケーションということを意識しながら、場面を用意して、いろいろなお互いの気持ちを共有したり理解したりというようなことを、意図的に研修の中に入れております。したがって、研修形態そのものも、一方的な情報を発信して、それを理解してということではなくて、グループの中でお互いに学び合ったりというようなことを、工夫としては行っているところでございます。
 それから、民間マネジメント研修に関しましては、これ、純粋に企業の経営者の皆さんが、全国から、東京が中心でございますけれども、様々な研修の場面がございます。そういうものを、私どもの方で、対象となる2年目以上の副校長に紹介をしながら、現段階においては希望制で行っておりますけれども、全て公費でそれが受講できるようにとしております。
 具体的には、副校長は非常に学校の中でも多忙を極(きわ)めておりますので、平日の昼間、それは学校組織としてそれが可能であれば、当然、そういう場面、それから、夏休み中を生かしたりというようなこともございますし、夜間に実施しているようなところもございますので、それは個々に応じて選択をしながら受講できるようにという工夫をしております。
 内容的には、中心になるのは組織マネジメント、人材育成、このあたりを中心にして学んでくるというところに焦点を当てております。
 以上でございます。
【小原部会長】  よろしいですか。
 それでは、岸田先生、お願いします。
【岸田委員】  ありがとうございます。
 3人の先生方、ありがとうございました。
 私は、特に高岡委員の提示していただいた、冒頭にわずか2枚とおっしゃいましたけれども、相当、今後のこの場における議論の方向性を示す、重たい2枚にまとめた資料を提出していただいたと思っています。
 具体的には、昨年7月の論点整理の考え方をもう一度整理した上で、これから新たに具体的に動いていく、そこに付加すべき、これまで出てきたものに付加すべきものを付け加えてまとめていただいたと、こんなふうにこのペーパーを理解しました。その中で、特に私自身も強く思ってきたことと重なる点について、少しお話をさせていただきたいと思っています。
 1枚目なんですが、1枚目は、特に昨年の7月の論点整理を中心としたものということだろうと思うんですが。抜本的改革の方向性の2番、各期の到達目標(ルーブリック)の策定、これはこれまで余り出てこなかった観点だと思うんですね。しかし、生涯の職能成長を支えるシステムを作っていくと、各期各期でどういう力を付けていかないといけないか、どういう研修をしていかないといけないかということになってきますので、その期のルーブリックの策定というのは、当然、不可避的に求められてくることだろうと思っています。
 それから、2枚目ですけれども、まず2枚目の大きな1番の、1つ目の養成段階の1、「学びの専門家としての教員基礎力」の育成。私も、これについてはいわゆる学校段階のカリキュラムの重点化ということをずっと言ってきました。これは極めて大事だと思っているんです。今までは、どちらかというと、デマンドサイドからのニーズに基づいて、いわゆる実践的な指導力というものを随分押し込んできた。その結果、消化不良を起こしてきた状況もありますので、この学部段階のカリキュラムの考え方を明確にして重点化していくというのは、大事な視点だろうと思っています。
 それから、3つ目にある初任段階の、特に初任者研修の抜本的改革。これは私もずっと言ってきたことですので、これは是非ともする必要があるだろうと。とりわけ、初任研の担当メンター、再任用の方々も増えるとおっしゃいましたけれども、まさにそうだと思っていまして、この再任用の方々を活用しながら、メンターとしてどう動いていただくかという、こうしたシステムをどう構築していくかというのは、大事な視点だろうと思っています。
 それから、現職教員の3段階を示した図の右側にある2番、教職大学院等のことですが、教職大学院も、これから全国で設置されていく。しかし、送る側(がわ)からすると、やっぱり送りにくいという現実問題があります。この1つの要因として、研修等定数の問題があるだろうと。しかし、研修等定数だけの問題ではなくて、もしそれが充足されたとしても、今、ミドル・リーダーが非常に手薄になっていますから、学校として、この手薄になっているミドル・リーダーを送りにくいということは、当然あるわけです。したがって、教職大学院の拡充設置が生きる形にしようと思うと、受入れ方法の柔軟性を相当柔軟にしていかないと、現実的に生きた形になっていかないだろうと思っています。
 それから、6番目の校内研修の充実というのも、いわゆるチーム学校として、教員の養成、資質を上げていくという観点からすると、極めて重要な視点であろうと思っています。しかし、現在の校内研修は、多少、研修のための研修というか、研修を自己目的化したような研修が現実的には多いのではないかと思っていまして、校内研修の在り方に相当メスを突っ込んで議論した上で、提示していく必要があるのではないかと思っています。
 最後に、大きな2番の「資質向上のための協議会」ですが、これは必ず必要だろうと思います。とりわけ、この協議会の権限を相当強化していかないと、実は機能していかないのではないかと思っているんですね。形の上の協議会は幾らでも持てますし、今もやっているはずなんですが、しかし、そういう形だけのものではなくて、連携が、いわゆる「すみ分け」からの脱皮とおっしゃいました、そういうことをきちっとしようと思うと、ここの権限をかなり持たせていかないと駄目なのではないかなと思っています。
 以上です。
【小原部会長】  酒井先生、出口先生の順番で。じゃ、酒井先生から。
【酒井委員】  ありがとうございます。
 先生方の御発表を伺いまして、まさに今期、大きくこの教員養成、あるいは採用・研修の仕組みの抜本的な改革が検討される時期に来ているんだなということを改めて実感いたしました。その上で、主に高岡先生に、やはりこの全体像について、質問といいますか、少し考えていかなければいけないことということで、4点ほど申し述べさせていただきたいと思います。
 1点目は、養成段階のところで、やはり高岡先生おっしゃるとおり、大学全体として人材育成方針の確立・公表ということは非常に重要になってきているということが、自身も大学で養成に関わっておりまして、痛感するところでございます。例えば、今、学校ボランティアを派遣することが非常に強く求められておりますが、大学全体でカリキュラムを調整しませんと、それは全然できないことですね。
 それから、養成の中でのカリキュラム編成、私どもは体系的にカリキュラムを組むということを学内的な合意の中で進めておりますが、大学によっては、非常に周辺的な科目としまして、例えば、具体的に申し上げますと、例えば、生徒指導という科目がございますが、1年生の前期でも取れるような大学もございます。これは明らかに2年生や3年生に取らせるような科目なんですけれども、そういうようなこと。そうした養成全体を大学が統括していくということが非常に重要になっているという御指摘も、本当にごもっともだと思いました。
 その上でなのですが、この中で、小学校課程は目的養成ですので、ある意味、体系的なカリキュラムが組めるんですけれども、もう一つ、この議論の中で、中学・高校の免許のところを、どうやってその仕組みを整えていくのかということが、非常に大きな問題ではないかと。各学部で補足的に免許が出ているような状況の中で、やはりそこを体系立って、特に、これは前期の最後に申し上げましたが、大学の入試が大きく変化する中で、それに対応できる高校教員の養成ということを考えますと、高校教師の養成をどうやって改革していくのかということが非常に重要になってくる。あるいは、高校は非常にユニバーサル化していく中で、いろんな課題を持っておりますので、それに対応できる教員の養成ということが非常に重要ではないかと思います。
 それから、3点目ですが、研修ということで、これは校内研修が非常に重要だということ、これも非常にごもっともだと思いまして。ただ、校内に入っていきますと、これを研修として位置付ける際には、十分な時間の確保を一方で推し進めていきませんと、校内になったことでかえって見えなくなってしまって、様々な仕事の中で押しやられていくという、そういう問題が生じてしまうのではないかというのが、もう一つございます。
 それから、4点目ですが、この中で、ミドル・リーダーないしリーダー層の研修の拡充ということが書かれておりますが、やはりこれも非常に重要なことで、実は、大学との連携は、むしろこの部分に大きく関われる部分があるのではないかと。今の議論では、養成と研修というところで、養成が担当で、大学が担当しておるという位置付けですが、やはりミドル・リーダーやリーダー層の養成における大学の貢献ということがいかに図られるかということが、もう一つ大きな課題ではないかと思いました。
 以上です。
【小原部会長】  それでは、出口委員、お願いします。
【出口委員】  きょうはどうもありがとうございました。
 高岡委員に教えていただきたいんですが、お話の中で、私どもの大学も、研修の目的ということについては、本学の1つの柱として考えております。その中で、きょう、いろいろ御説明いただきました横浜市とか東京都、それから、地方のいろいろな教育委員会との協定を結んで、これから研修ということについて、どういうふうにしていきましょうかという、いろいろなことを煮詰めているんですが。先ほど実質化という言葉が先生の方から出てきましたが、先生が考えていらっしゃる実質化というのが、具体的にどういうイメージをなさっているのか、ちょっとお聞きしたくて質問しました。その1点だけです。
【高岡委員】  研修を対象にした大学と行政の連携を本格的にやってくださいと言うと、本格的って何ですかと聞かれるんですね。どこまでやるのが本格的なんですかと。今、先生の御質問はそこなんです。それは大学と行政で考えてほしいんです。まさに実質化を。
 つまり、センターが大学の先生を講師で呼びます。大学は、それを兼業手続で出しますよ、幾らでも呼んでもらえば出します、という世界でないことは間違いない。したがって、研修に対する行政と大学のそれぞれのミッションが明確に位置付けられていれば、本気でそこをやろうよと。大学教育ということを超えて、一般の社会人であるところの先生という職業人に対して、我々の持っている知見というものをちゃんと提供しようよということを考える。だから、ちゃんと提供するということが実質化だと思うんです。そのために何をやるかということをお考えいただく必要があると。
 いや、私は大学を卒業したもんですから、そんなことを言っているんで、そこがなかなかうまくいかない、機能しない、動かない。そこにもうぎりぎりのところまで来ている問題性があるわけですから、特に教員養成系の大学というところは、その研修をちゃんと担っていくこと、学部教育と同様にちゃんと担っていくことを我がミッションとして見据える、そのために何をなすべきかということをしっかり考えること。これは私の勝手な解釈なんですが、東京都の教師塾、様々なところで教師塾ができて、行政としても、新任教員をこんなふうな人材としてほしいんですという動きが出てくるのは、大学に任せていても、それはやってくれないじゃないかということが根っこにあるような気がするんですよ。そこをどう突破していくかということが仕事、まさにこの養成部会での議論だろうし、国がそこをしっかり、次の段階のステップへ上がっていくためにはどうしたらいいかということを提示することが大事なことではないか。課程の認定をやることが、許認可をやることがここの仕事ではないと、極端に言えば、私は思っております。
【出口委員】  ありがとうございました。
【小原部会長】  秋田先生、その後、松岡先生。
【秋田委員】  お話を伺って、大変刺激的に伺っておりました。
 高岡先生の方からお話のありました1つは、専門職基準の構築ということの重要性でして私も同じように考えております。2ページ目に高岡先生が出してくださったところで、先ほど酒井先生も言われましたが、「各大学が人材育成方針を出す」ということです。また同時に、私自身が感じていることですが、この教員養成において新しい時代の資質・能力を高めていくには、教員養成を担う大学教員の資質・能力を高めなければどうにもならない循環があると感じております。大学の育成方針だけではなく、いかに大学教員が教員養成・育成の能力を培うか。その下に書いてある「一体的な改革において」という部分を今後議論をしていくことが極めて重要であろうと感じております。
 特に小中の義務の部分だけではなく、先ほど酒井委員も言われましたが、やはりこれからの人材育成を考えますと、中等教育、高校部分が大事です。それから、今言われていますように、幼小中高全てがやはり一体になって人材を育てていくときに、幼稚園教諭や保育教諭という教員免許制度の一つの中で、どのように幼児教育に関わる部分を考えていくのかということの議論が極めて重要であろうと伺っておりました。
 そこで、横浜市の事例を伺って、私は大変興味深いと思いました。それから、東京都の事例もそうですが、大学から教職員研修への人的・物的協力をされている点です。先ほど高岡委員からも「実質化」という言葉があったんですが、私が伺いたいのは、大学から学校ではなくて、そこに継続的に、連携校がたくさんあるわけですが、うまく続いて、大学教員が育っていったというか、大学の側(がわ)も変わっていった、要するに、今までの図柄というのは、大学側は指導する立場で変わらず、学校側に何か研修などを授けにいくというイメージがあったんですけれども、実は、これからの新しい時代の教育を担っていくには、大学教員そのものが新しい教員養成の在り方の知識やノウハウを一緒になって学んでいくことが大事です。それには、多分、大学の内側に教職大学院もそうですが設置して、大学に来てくださいねと。こちらで何か指導しますよというだけではなく、後で福井の事例を松木先生も言われると思うんですが、学校現場に大学の教員が継続的に関わっていくというモデルが必要になるだろうと思います。それを今、横浜市は出してくださいました。また東京都においても、恐らく教職大学院との連携の中で、いわゆる実質化をしていくためには、何がその鍵になるのか、大学とのうまい連携のありようと、いわゆる名目だけの連携におけるありようとの違いのようなものに関する知恵を、これまで実践を積まれてきてお持ちではないかと思うので、そこについて何か御示唆を頂けると有り難く思います。大学の教員である私自身も変わるチャンスかもしれませんけれども、伺いたいと思います。
 以上です。
【平本委員】  それでは、今の御質問に関してですが、まだ全体としてはこれからだと思います。今、作ってきました仕組みというのは、学校のニーズでどんなものが大学の専門性のある皆さんに対して求められているのかと。これは先ほど御紹介させていただいたように、77%の学校が何らかの形で協力を求めているという、具体的に分かってまいりました。それと同時に、大学を訪問させていただく中で見えてきたことが、それぞれの大学の強みがあるということもよく分かりました。それからまた、大学の先生方もいろんな分野で御活躍でいらっしゃいますけれども、そのニーズとして、私どもに対して、学校の現状をもっとよく知りたいというお話を、至るところの大学で頂きました。ということは、そういうお気持ちを持っていられる方もたくさんいるということが分かりました。そこの部分の両方をきちっと調査をさせていただいて、マッチングを図っていく。そのために教育委員会が一定の役割を果たしていくというところを、イメージとして持っております。
 具体的な例として、もう既に一部分においては行われているわけですが、例えば、今、私は小学校におりますけれども、小学校の重点研究というような形で、テーマを決めて研究活動を行います。そういう場面に、大学のその分野の専門性のある方に関わりながら、継続的に御指導いただくというようなことも既に行われてきております。それをもっと裾野を広げていきたいなと考えています。その過程においては、ゼミの学生さんを、その御指導いただく場面に一緒に連れてきていただいて、授業研究等を一緒に見ながら、その後の協議の場で学んでいくというようなことも、具体的な例としては始まってきております。
 また、大学さんによっては、学校の現状をしっかりと共有したいというお話を頂いて、私どもの方で現実の状況をお示しさせていただいたものを大学に持ち帰られて、教授会等の場面でそれを発信されているというようなことも分かってまいりました。
 課題として、これも断定的には申し上げられませんけれども、先ほど先生からお話を頂いたように、実は、各大学を回らせていただく中で、お声として頂いたのが、教職課程等をお持ちの御担当の皆さんは、教員の養成に関して非常に強い意識をお持ちであるということも分かりました。しかしながら、それが大学という組織の中で共有化されているか、また、1つの協定は結んでも、それを全体として共有しながらやっていこうという段階に行くには、もう少し努力が必要であるということも、具体的な御意見としては頂戴しましたので、そこの部分が課題であるということもよく分かりました。
 以上でございます。
【小原部会長】  松岡先生、お願いします。
【松岡委員】  ありがとうございます。
 平本委員、それから、荒川課長から、横浜市及び東京都の取組につきまして、大変御丁寧な御説明を頂きまして、教員の人材育成について、非常に広範囲にわたって体系的なシステムを構築して実施されているということがよく分かりました。
 そこで、お二方に1点伺いたいことがございますが、PDCAサイクルのCの部分になろうかと思いますけれども、様々な人材育成の施策を打って、実際に何をもって教員の資質・能力が向上したと捉えるか。また、それが児童・生徒への教育効果の向上にどのように反映されたか。それをどうやって判断されているか。そのあたりの方法がありましたら、教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
【平本委員】  評価の部分だと思いますけれども、正直なところ、まだまだそこの部分は弱いと認識しております。私の方でお持ちした資料の中に、実は、その一部分を持ってきております。
 研修の振り返りシートというのを私どもの方で作っておりまして、それで研修が終わった後に、その研修に臨んだ教職員が、自分自身がそこで何をどのように捉えたかということの振り返りのシートというのは、フルに活用はしております。しかしながら、漠然としている部分もございますので、そこの部分をどういうふうにより分かりやすくしていく工夫が必要かというのは、これからまだ継続的にやっていかなければいけないところだと思っています。
 ただ、一方において、先ほど御紹介をさせていただきましたけれども、海外研修に出しております。それから、企業派遣にも出しております。ここの部分に関しては、やはりその専門性をお持ちである大学の関係者の皆さんに、共同研究ということで関わっていただきながら、ヒアリング等を実施して、そこにどういう変化が生じたかということについては、今、進めているところでございます。その結果、明らかに変化が生じているということも見えるようになってまいりましたので、それを更に工夫していくことが必要だなと考えております。
【荒川課長】  今頂いた御質問というのは、我々にとって永遠の課題といいますか、本当に何をもって教員が資質・能力を向上したのかというものというのは、なかなか難しい部分があるのではないかなということで、よく議論になるところです。
 例えば、教職大学院に派遣をさせていただいた現職教員の方々が戻られたときに、じゃ、どんな力が付いたのか、もともとその力というのは持っていたのか、大学で付いたのかとか、そういった議論も、大学の関係者の皆様と話すときにも出てきます。
 一方、例えば、養成塾なんかにしても、じゃ、一般で採用された人材と養成塾を経験してきた人間とどう違うんだというようなこともありますし、短期で見る評価と、長期的に見る評価と、これもまた違うと思いまして、例えば、1年目、2年目でさほど差がなくても、5年ぐらい経(た)つと差が出てくるとか、そういったこともあるかと思います。ちょっとうまく説明できないんですが。
 例えば、我々の中で、教職大学院を修了していただいた方々につきましては、やはり校長先生方、若しくは本人から全員聞き取りを行って、どう改善したかというようなことを聞いている調査を毎年行っております。これについては、単年度ではなくて、複数年にわたり行っていくということもしていきたいと思いますし、先ほど申し上げたように、行く前にどれぐらいの力を自分は身に付けているのか、若しくは、校長先生として、どのくらいの力をこの教員は付いていて、どういう力を身に付けてほしいかというような、事前の調査もしていきたいなと思っています。
 それから、養成塾生については、先ほど1,300人程度教員になっているということを申し上げましたが、これにつきましては、私どもの研修センターの方で、全員、今どういう状況かというのを把握しております。東京都で行っている人事考課制度とも連動させていく必要はあるんですが、やっぱり意識が、通常の一般採用選考で受かった先生方よりも、例えば、自分がもう少し目指すレベルとか、そういったものが意識として高いというような結果は、調査として出てきております。
 さらに、もう一つ言えることは、その人材が、例えば、教職大学院卒業生も、養成塾修了生もそうですが、将来的にどういう人材になっていくのか、こういったあたりも含めて、事業評価といいますか、その教員の資質・能力の評価ということはしていきたいなと思っております。
【小原部会長】  あと5名おりますので、質問等は手短にお願いしたいと思います。坂越先生、松川先生の順番でお願いします。
【坂越委員】  ありがとうございました。
 大学関係者としては、きょうの貴重なお話は、大学がいかに行政、教育委員会と連携を実質化していくかという観点でずっと聞かせていただきました。もう出ましたけれども、講師を派遣するとか人事交流というのは、これは幾らでもできるんです。ただ、こういうテーブルで向き合ったときに、どうも、すいません、東京都とは違う、某県というふうに言うと、ちょっと語弊があるんですけど、妙な空気もあったりする。つまり、県教委さんの方は、大学のカリキュラムに対して、人材養成の基本理念に対して、どこまで口を挟んでいいのかという遠慮がやっぱりどこかにあるし、大学の方も、採用はそちらねというような感覚がどうしてもある。
 ただ、そういうときに、やっぱりちゃんと話ができたというのは、研修は研修として、研修の在り方を話しすることと同時に、今の教育課題が何で、子供たちが抱えている課題が何で、これを克服するために先生がどうあるべきで、大学はどういうふうに養成するのか、教育委員会はどういうふうに現職を研修していくのかという話をしたときに、やっぱり実質化ができた。平本先生が、そういう具体事例で、院生も含めて話をしていくということをちょうどおっしゃってくださいましたけれども、この観点もやっぱりこれから要るのかなというふうに感じました。
 ありがとうございます。
【小原部会長】  では、松川委員、お願いします。
【松川委員】  それぞれに有益な情報提供ありがとうございました。
 若干マイナーな課題になると思うんですけれども、きょう御発表の横浜市さん、東京都さんは都市部でありますが、きょうのお話の中でも出てました再任用のことについて若干お聞きしたいわけです。
 それぞれ、初任者のメンターだとか、そういう活用をお考えになっているんですが、本県だけの状態かもしれませんけれども、やはり年金制度の問題がありまして、再任用の希望者が増えてきているわけです。そのことが若干私は驚きだったんですけれども、小中学校と高校で、再任用の希望者の数が違うわけですよ。小中は少ない、高校は多いんです。高校でも、どの高校で多いかというと、いわゆる進学校で多いんですね。だから、それは楽なんじゃないかということなわけですよ。困難校の高校で再任用を希望される方はないんですよ。再任用、異動をかけているわけではないからですけれども。
 それで、何を申し上げたいかというと、再任用でベテランの大変御経験のある方が若い方にいろいろ教えてくださるというのはいいことだと思うんですけれども、例えば、ばりばりの進学校でいわゆる受験指導をしていた先生というのが、そのままどんどん残り続けるということが続くとすると、今言われているような高大接続だとか、大学入試の改革だとかということは進んでいかないわけですよね。かといって、やっぱり年金が受給されるまでの時間があるということで。教員の構成というのは、従来、年齢構成で、そういうグラフは出ていたんですけど、実際どういう先生がいるかというと、本務教員と、先ほどからお話しになっている臨時的任用の先生とか非常勤講師というのがいるわけですが、それに新たなグループとして、再任用の先生のグループというのが、ちょっと大きな問題となって出てきていると思うんです。
 横浜市さんと岐阜県は同じぐらいの規模なんですね。東京都は、もう番外ですけれども。そういうところで、再任用については、どういう見通しを持って、どういうふうに活用されていこうとお考えなのか、その辺について若干教えていただければ幸いだと思います。
【平本委員】  再任用に関しましては、私は3月まで人事部におりましたけれども、基本的には人事課が中心に進めておりました。そういう部分と、それから、実際に再任用の教員を活用するという部分では、前職の私の部署が行っておりましたので、その視点でお話ししますと、横浜の場合には、再任用として教員になられた方々に、実は、拠点校指導教員というような形で、先ほど話がございましたけれども、経験の浅い初任者等に指導に当たる教員として、ブロックごとに配置をしまして、そして、定期的に指導を行うと、こういうような部分で活躍をしてもらっているという具体的な取組例はございます。
 これも数が増えていくとこというのは今後の課題になるかと思いますので、その部分に関しては、今、明確なことはお話ができる資料はございませんので、御容赦いただきたいと思います。
【荒川課長】  すいません、私も人事には関わっていないものなので、再任用教員の数がどのくらいいるかとか、そういったことについては、ごめんなさい、今、ちょっと資料を持ち合わせていませんが、やはりこれからはそういった方々のお力というのは非常に重要になるということは、認識の中にございます。
【小原部会長】  牛渡先生。
【牛渡委員】  高岡委員の御提案、御報告について、私の感想と御意見を申し述べさせていただきます。
 高岡委員の御提案のありました1枚目のところ、これからの教員像、達成すべき課題、それから、抜本改革の方向性の3点につきましては、私も大体賛成でありますけれども、特に今回の御提案のキーワードは、連携ということだと思います。連携・協働。ただ、その前提として、私、やはり真の専門職への脱皮というところを再確認する必要があるかと思います。今後の我が国における教師の在り方を、どういう教師像を目指すのかというところで、専門職、高度専門職というのは、これは誰も異論がないところだと思いますが、その内実は何かということを考えたときに、専門職概念というものをもう一度確認する必要があると思います。それはやはり教師教育の高度化と専門職化ということで、その専門職化の1つのキーワードが、自律性、オートノミーなんですね。そういうことを考えますと、達成すべき課題の「学び続ける教員像の理念」、ここに、私は、自ら学び続ける教員像というふうに入れていただくと有り難いと思います。
 先ほど横浜市の方からありましたように、学校の自主性・自律性が発揮されたところで最も効果があるという御意見がありました。それから、大学におきましても、やはり大学が本当に持っている力、大学がやるべき課題を達成するところで本当の力を発揮できるのではないかと思いますし、いろんなレベルで、それぞれの団体、それから教員個人も、それぞれの自律性・自主性を発揮できるような形、それを前提とした上での連携というふうに考えていくべきだろうと思います。
 それで、そういった中で、特に抜本改革の2のところの「専門職基準」ですが、これはやはり諸外国の諸例等を見ましても、この専門職基準も、やはり今言いましたように、自律性というものを考えますと、大枠の基準というものを作っていきませんと、余り細かくやっていきますと、金太郎飴(あめ)になってしまいますので、やはり大枠の基準を作っていって、それで、その中で自治体ごとの求める教師像、あるいは、個性的な教師も含めて、大学ごとの教員像も含めて、許されるような形の大枠の基準を作っていくということが必要かと思います。
 そして、3番目ですが、やはりこの専門職にふさわしい待遇というのも必要だと思います。ここには入っておりませんけれども、やはり待遇の改善が、魅力ある教職、教師というものがなければ、有能な人材はここには入ってまいりませんので、こういった改革の前提として、その待遇改善、専門職にふさわしい待遇改善も考えるべきかなというふうに考えました。
 以上です。
【小原部会長】  松本先生、お願いします。
【松本委員】  3人のお話を伺っていて、2点ほど意見があったんですが、1点は、先ほど秋田先生がお話ししてくださいましたので、カットしたいと思います。
 もう1点なんですが、全国に100万人いる教員、専門職としての教員、多い数だと思うんですが、その先生方が生涯にわたって学び続けていく仕組みをどうやって作ったらいいのかということが、この養成部会の課題ではないかなと思うんですね。今までのことを振り返ってみると、やはり養成と採用のところにどうしても主眼があったのではないかなと思うんです。20万件の免許、もちろん、だぶっている方もいるかなと思いますけど、そのうちの2~3万人が採用、ある意味、もう供給過剰状態ですよね。その中で、国立の大学なんかは、やっぱり30年を見据えた教師教育にシフトしていくべきではないか、30年を支える仕組みを作り出していくべきではないかなと思いますね。
 ですが、やはりここのところで、養成は大学、研修は教育委員会という壁が、先ほど坂越先生の方からありましたけど、やっぱり高いなと思うんです。大学院の方に関しましても、教職大学院なんかを作るところは、教育委員会にお願いお願いと、いっぱいお願いするんだろうと思うんですが、大学の論理で、大学の文脈で好きなことを求めますので、教育委員会からなかなかうんと言っていただけないのは、ある意味、この大学が変えなくてはいけない本当に特徴だなというふうに思います。一方、教育委員会の方の研修に関しましても、養成の段階のところの連携は結構できているなと思うんですが、それ以降の30年間の研修に関しては、やっぱり大学抜きの方が多いのではないかなと思うんですね。
 これからずっと改革志向を持って学び続ける教員を養成していこう、世界的な視点を持って教員がずっと学び続けていくというためには、大学と教育委員会の連携なくしてはあり得ないように思うんです。両者の間をつなぐためには、先ほど御提案がありましたけど、それぞれのキャリアステージに応じたルーブリックを協働して作り出していく、その作業を通して、協働を生み出していくということが必要ではないかなと、改めて思っているところです。そして、それを実現するのには、初中局と高等教育の協働なくしてはあり得ないということは、もう一つ付け加えて終わりにしたいと思います。どうも。
【小原部会長】  最後になりますけど、安藤先生、お願いいたします。
【安藤委員】  今、皆さんがおっしゃったことの実践例として、小さな実践ですけれども、ちょっとだけ御紹介させていただきたいと思います。2つあります。
 1つは、平本委員がおっしゃったことに付け加えなんですけれども、横浜市の中で、私も以前横浜市におりましたので、ある大学と協定を結んだんですけれども、その協定の内容が、包括的なものというよりも、ある学部の、心理学部なんですが、心理学部の学生を1年間、学校のボランティアとして派遣するという、そういう履修科目を1つ作って、そこで、その教員が3年生の100人の学生たちを引き連れて、横浜市内の、当初は20校でしたけれども、手を挙げてくださった学校に行って、随時、指導しながら、そこでインターンシップをやるということで、非常に効果があるのではないかなというふうに私は思って、その協定を結んだ覚えがあります。今も続いていると思いますけれども、そんな例があります。そこの中で、指導主事と大学教員とのやりとりがとても頻繁に行われたことも、1つ、良かったのではないかなと思っています。
 それから、もう一つ、私が昨年からちょっと手を着けているんですけれども、私は現場を頻繁に回っていますけれども、よく学校現場で研修の講師をやってくれというふうにおっしゃるんですけど、一所懸命用意していくんですけれども、先ほどどなたかがおっしゃったように、学校によって全く実情が違うので、一般的なことを話しても、余り先生方の気持ちには届かない、耳に届いても気持ちには届かないというところで、自分の達成度はどうだったのかなと、いつもそこのところが気になっていました。
 昨年、横浜市は規模が大きいので、4つの教育事務所に分かれたので、そのある1つの教育事務所の課長といろいろ考えて、こういう研修を始めました。目的は、授業改善と、それから、学級経営力を上げるということです。それで、やはり募集して手を挙げてくれた学校に出向いて、私が指導するんですけれども、その中身が、一回切りの研修ではなくて、事前にその学校の、横浜市は児童支援専任というのが小学校におりまして、中学校は生徒指導の専任がいますので、その児童支援専任は、特別支援教育のコーディネーターも兼ねているんですけれども、要するに、ここでいうミドル・リーダーですよね。ミドル・リーダーと、それから、校長・副校長を交えて、まず1回目は、学校の実情について話合いをさせていただくということを事前に行います。
 次に、2回目に私が先生方に話をしに行く前に、そのミドル・リーダーに宿題を出して、校内の様々な教育課題、特に授業改善、学級経営力に関するもの、もっと具体的に言うと、指導ができなくて困っている子供についての実態を調査しておくということを宿題に出します。そうすると、そのミドル・リーダーたちは、学級の中で困っていることについて挙げなければならないので、校内で様々な会議を開いて、資料を集めておく。その資料を事前に私の方に送ってもらっておいて、それを用意して、私が、この学校にはこういう課題があるということを持って学校に行くんですね。そうすると、先生方の志気は、自分に身近なことなので、とても上がるという。そして、そこの中でグループワークなども取り入れて、ただ聞くだけの研修ではなくて、先生方が一緒に考えるという研修を行っています。
 今年もそれがありますので、今年は一歩進めて、それをもう少し組織的にできるように、学校の中の研修サイクルとか研修システムを構築するために何か役立つようなお手伝いをしたいと思っています。
 さらに、夢がありまして、やっぱり学校の中で足りないものは、多様な教師力だというのも一面あると思うんですね。時間がないので詳しいことは言いませんが、エリアに広げていって、横浜で言えば小中学区と思いますけれども、中学校区ぐらいにエリアを広げて、その中で様々な立場の人を、ミドル・リーダーとして多様性のある人たちを育てるというようなことにつなげていったらいいなと、それはちょっと夢ですけれども、思っています。そういうやり方、つまり、研修のやり方の工夫というのも、まだ現状の中で考えられることもあるのではないかと思っています。
 小さな実践ですけれども、報告いたします。
【小原部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、高岡委員、平本委員、そして、荒川課長、きょうのプレゼン、ありがとうございました。
 時間となりましたので、本日の審議はこれまでといたします。
 今後の日程について、事務局から説明をお願いいたします。
【大江教職員課課長補佐】  資料5を御覧いただきたいと思います。
 次回については、4月28日火曜日14時半から16時半、場所は文部科学省第二講堂の開催とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。
【小原部会長】  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。

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-- 登録:平成27年08月 --