ここからサイトの主なメニューです

教員養成部会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成13年7月5日(木曜日) 13時30分~16時

2.場所

KKRホテル東京 「白鳥の間」

3.出席者

委員

 荒木委員、今井委員、宇佐美委員、岡本委員、小川委員、川並委員、齊藤委員、田村委員、千田委員、松尾澤委員、宮崎委員、横山英一委員、渡邉重範委員、渡辺三枝子委員、木村分科会長、高倉部会長、横山洋吉副部会長

文部科学省

 御手洗文部科学審議官、田中審議官、前川教職員課長、小松幼児教育課長

4.議事要旨

(1)アメリカ合衆国の教員免許制度についての意見聴取

 アメリカ合衆国の教員免許制度の実状について、奈良教育大学八尾坂教授より、配付資料に基づいて説明のあと、質疑応答。主な発言は以下のとおり。

【委員】
 テニュア(教員の終身在職権・身分保障)を取ったあとでも、アメリカでは教員評価をかなり厳格に行っている。教員免許の更新の仕組みと教員評価は、アメリカでは教員の資質向上においてどういう役割分担を果たしているか。更新制がなくても教員評価をしっかりやればいいという発想も自分にはあるが、アメリカで更新制と教員評価がパラレルに行われているのは資質向上の仕組みの上で、この2つが違う役割分担をしているためか。2つ目は、アメリカで更新制が早くから発達した大きな要因は、教員の資質向上の基本的メカニズムが個人の努力でありキャリアアップの主体が教員個人であることと、市町村単位の採用であるため行政当局が資質向上についての条件整備をしなかったことにあるのではないか。それに対して日本では採用が県単位であるため行政が責任を持って職能成長を図った。教師の資質向上の仕組みがアメリカと日本では違うため、日本では更新制の必要がなかったと理解して良いのか。

【八尾坂教授】
 免許制度において更新制が主流であり、テニュアがある教員でも勤務下にある州の更新制に従わなければならない。そういうわけで免許制度と身分保障は平行である。教員評価を見た場合、更新制はあくまで職能成長、資質向上のためである。ただ更新しなければ免許が無くなるので、それが1つの教員評価にはなっている。免許制度と教員評価は直接は結びついてないが、教員評価と身分保障とは結びつく。免許に有効期限があることは自分に対して向上心を要求するため広い意味での教員評価になっている。
 教職のキャリアアップでは、給与が関係してくる。修士号、上級免許等の取得が給与にリンクする。その意味での向上が歴史的にあった。アメリカでは仕事を休んで勉学できる制度が以前からあり、サバティカル・リーブが概して定着している。教育学系の大学院の昼夜開講制などはアメリカでは当たり前になっている。広い意味で、行政当局、大学側によるキャリアアップの施策が考えられている。

【委員】
 現職教育による職能成長と、それが更新制につながっているのには、非常に関心を持っている。上進、更新は給与、処遇にどう関わっているのか。コネチカット州では初任教員の指導教員の資格を取ると、給与が上がるらしい。日本では上進と給与は直接リンクしていない。初任給の格付けは専修と一、二種で違うが一般教員が修士号を取っても急に給与が上がるような処遇はない。とはいえ、全体的にアメリカ教員の社会的地位、サラリーは一般的に低い。バージニアなどは給与が安いために20パーセント程が3年以内に離職している。アメリカで、優秀な教員を強調するのに給与の面ではなぜ優遇されてないのか教えていただければありがたい。

【八尾坂教授】
 給与の問題は確かにある。理数系はハイテク産業に流れていることもあるだろう。給与は州により、また州の中でも違う。教職の給与を弁護士や会計士等の専門職と比較すれば低く感じるが、公務員と比較すれば低くない。南北の差もあり、南部が低い。南部の中でも学区ごとにかなりの差がある。日本のように全国一律ではないので多少格差は認めざるを得ない。歴史的に、女性が教職に就くイメージがあり、人件費の節約のため安い賃金で若い女性の教師を使う場合が多かった。このため、教職は賃金が安いとの固定観念があった。現在では教員の学歴は高いが、給与に地域差があるのは確かである。

(2)今後の教員免許制度の在り方についての全般的討議

【委員】
 前回6月25日のこの部会における私の発言の中に、全く事実に反するものがあるため、この場を借りて撤回をしたい。資料2の2ページ19行目から23行目の初任者研修に関する部分を撤回する。

【委員】
 教職としての専門性を言われているが、経験的事実として、教職に就いて教員として業績をあげている人は、特に教科を持った教師であることが多い。一般に教育学をプロパーとしていた教師より、教科に関する専門性を持った者の方が教師として高い資質を備えているようだ。そう考えると、総合化、弾力化においてこの現象をどう理解したらよいか。また、2点目だが、校長としての経験で、教師としてはじめから適格ではない教師は何人かおり、それに対しては手の打ちようがない。それ以外は研修や運用、校長のリーダーシップでかなり変えられるが、教員としての適格性をどのように判断するのか。この2点を教えていただきたい。

【委員】
 今の議論は、1つは専門性確保の全般についてである。これについては教科の専門性に偏るのは問題ではないかという議論もなされているところである。2点目は更新制の目的や評価基準に関わるものである。
 教科の学習をしっかりした者が教員として力量を発揮しているとの発言に対し、平成10年の免許法改正では教職科目へシフトした体制を行った。むしろ、子供の発達段階への配慮、学校が当面している深刻な問題に適切に対応できる力量ある教員の養成を目指している。

【委員】
 免許の総合化、弾力化に関する疑問点を出したい。先般の免許法の大改正をさらに視野に入れて進めるのか、それとも前回の改正をベースにして現行制度の運用の中で総合化、弾力化の可能性を探るのか、どちらのスタンスかによって議論の進め方が違うだろう。この審議会はどちらのスタンスなのか。また、総合化、弾力化は何を意味するのか。免許法の改正を目指すものと考えるなら、現行の免許状を廃止して、小中または中高で共通の免許状にするのか、そこまで踏み込んで議論せざるを得ない。そうではなく現行の学校種別、教科別を前提にはかるなら、2学校種の免許を取りやすくする方法の話になる。
 実態として、小中免許の両方をとることは国立教員養成学部ではされている。中高免許2つを取得することは一般大学でも基本的にされてきた。現行制度をベースに総合化・弾力化を考えるなら、一般大学で小中の免許をとれるようにすることが大きい問題となる。現行ではそれは不可能である。またその際、小免を中免に近づけるか、中高免を小免に近づけるのか。現在小学校教員の8割は国立の教員養成が占めている。高校は一般大学が多いが中学は同じくらいである。多用な人材の確保を小学校レベルまで考えると一般大学出身者も入れて活性化する方がいい。ただ国立教員養成系は小学校の教員養成に特化することで生き残りをかけていると思われるので、そのあたりを整理しないといけない。

【委員】
 免許法を柔軟に運用することで複数の免許を取りやすくという話だが、中等教育学校が誕生したのにその免許状については規定されず、中高免許両方を持たせるような運用でいいのかという懸念がある。免許法の改正の是非についての議論も必要だろう。平成10年に改正してさらに改正し、課程の再認定もするとしたら大変な混乱があるだろう。それに見合う効果が期待できるかの懸念もある。10年の改正は昭和63年の改正から10年もしないで改正をしたことで、特に私立大関係者からは朝令暮改との反対が出た。しかし変化の早い時代に手をこまねいているのもいいと思えない。このあたりの整理を文部科学省にお願いしたい。

【文部科学省】
 諮問にあたり、検討結果よっては免許法の改正も視野に入っている。ただ旧教養審の答申に基づき、様々な制度改正が行われており、特に平成10年に大幅な免許法の改正がなされた。特に中学校を中心に教職に関する科目の比重を高め、それに基づく課程認定が行われた。新しいカリキュラムでの教員養成は昨年度始まったばかりで、これをまた変えるのは好ましくない。ただ、3次にわたる旧教養審答申で積み残したもの等、新たな目で免許制度を考えることは必要だろう。特殊教育の免許状の総合化も一つの課題である。そうしたことを含め、制度改正を行ったばかりのものに改正を加えるようなことは極力避けて、免許の枠組みの設定、特殊の免許の問題等で具体的な検討をいただきたい。再課程認定が必要となる大きな問題についてもある程度方向性を示す、あるいは今後の検討の課題を示すということで審議はいただきたい。運用で対応していける課題については、制度の弾力化などについての議論を深めていただきたい。
 委員からご指摘のあった教科と教職の関係については、教員資質において教科の科目も教職の科目も大事であるが、学校段階があがるにつれ教科の重要性が高まるのは紛れもないことである。高等学校教員には、それぞれの教科について深い学問的学識が求められる。実際、現行の改正後免許制度では高等学校教員にはより教科に関する科目の学習を求め、逆に小中学校教員には教職に関する科目の比重が高い。これは今後とも基本的在り方として維持すべきと考える。
 また、教員の適格性については、今国会で成立した教育改革3法案の中の、「地方教育行政の組織運営に関する法律」に、指導の不適切な教員の異動措置が盛り込まれているが、国会審議においてどういう場合が指導が不適切にあたるか、ある程度明らかにしてきた。具体的には、第1に、教科に関する専門的知識、技術等が不足しているため学習指導を適切に行えない場合。第2に、指導方法が不適切であるため学習指導を適切に行えない、指導方法が身に付いていない場合。第3に、児童生徒の心を理解する能力や意欲に欠け、学級経営や生徒指導を適切に行えない、コミュニケーションがはかれない場合である。これは例示であるが、具体的にこの措置を発動するには各任命権者がさらに考え方を定めていくことになる。

【委員】
 はじめから改正ありきではなく、今の新しい状況に適切に対応するための方向性や検討課題を明らかにしていき、その中で改正に触れなければならない可能性もあるが、それも全面的な変更か一部分の手直しか、それは議論によると考える。現行制度を元にした弾力化をすすめるなら大きな免許法の改正は必要ではないだろう。例えば、中学教員による小学校の教科指導の拡大で、現行では音楽、図工、体育、家庭の4つが特例的に可能だが、それ以外も可能にするには、若干の免許法への書き込みで済む。果たしてこれが適切かどうかには多くの意見があるだろう。
 また、旧教養審から引き継いでいる特殊教育関係の盲、聾、養護の3つの免許を統合化できないかについても議論がある。総合化・弾力化についてさらに突っ込んだ発言をいただきたい。

【委員】
 都の教育委員会では学校種ごとの免許と教科ごとの免許は分けて議論されている。教科の問題では、教科の専門性は必ず必要であるが、小学校はそれ自体が専門性を持つという認識が強い。教科の免許については、中学、高校での各教科の括りはできるのか、できるとしたらどういう範囲で括るのかという議論がある。一方で、学校種免許について結論的には、小学校の専門性から言えば小学校と中学校が同一免許ということは議論の遡上にも上ってこない。現実に中学と高校の両免許の取得は東京都の採用試験の要件になっている。それは他の地方公共団体にも波及している。これは、公立学校の半分を中等教育学校にする文科省と東京都の方向により、中高両方の免許を持っていないと流動的な人事異動が難しいためである。各学校種の免許の共有化を現実的議論としてするべきである。中高の免許がメインになる。

【委員】
 二種免許の問題について、短期大学の立場から話をしたい。幼稚園の教員は、過去に比べ、保護者の高学歴化に伴い4年制大卒教員の要求が増えたが、現実は二種免許の教員が多い。中学校では、短大卒の採用例は少ないが教員としての評価は良いと思う。特に音楽や家庭科では中学に採用される割合が多い。二種免許でも、専攻科を出て学位授与機構で認定されると2年で学士を得られ、一種免許を取得できる。短大から二種免許取得の制度をなくしたら、その道も閉ざされる。学士になった時点で高校免許も取れる制度になることを希望する。
 児童学科について、文部科学省では児童とは小学校までしか認めていないので中学校の免許が取れない。地方の学校では、小中の免許を持っていないと小学校の教員に採用されない例が出てきている。児童学科でも中学免許が取れるようにならないか。
 初任者研修について、私立の教員は参加させてもらえない。税金で研修を運営しているのだから私立の教員も受けさせて欲しい。

【委員】
 私立の現場からの補足をする。初任研は国から補助金を得て私立は独自にやっている。私立は各校で建学の精神があるため、一律に研修をするのは混乱する場合がある。だが公が私立に冷たい事実はあるだろう。総合学習的な発想から、図書館学の知識の必要性を感じる。国も司書資格を持つ教員の配置人数を決めたが、その研修は教育委員会ごとに行っているため、私立学校は対象外になっている。研修先に受講を依頼すると、公立の予算だから私立は入れられないとされてしまう。この分野では私学の中で明らかに不満が出ている。一緒にやれる研修なら私立が参加してもいいのではないか。
 学校種について、生徒個人により発達が違うが学年学校の区分を弾力化しないと子供の教育の実態に合わないのではないか。中、高、大でそれぞれの授業にそれぞれの教員が参加してもいいのではないか。例えば高校生を大学の教官に指導してもらうのは非常に効果がある。弾力化、総合化とはそういう流動性ではないか。
 子供の成長を考えると小、中学校は一緒にはならないと思う。義務教育だから一緒にされるが同じではないはず。

【委員】
 旧教養審第3次答申で、教育委員会の実施する初任研及び各研修については、できるかぎり私立学校の教員にも受講の機会を与えるよう書いている。実施に移されることを期待する。

(3)今後の日程について

 次回7月16日、次々回7月19日は関係団体から意見聴取を行う旨事務局から連絡。

5.閉会

以上

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

(総合教育政策局教育人材政策課)

-- 登録:平成21年以前 --