ここからサイトの主なメニューです

教員養成部会(第7回) 議事要旨

1.日時

平成13年7月30日(月曜日) 10時~13時

2.場所

KKRホテル東京 「朱鷺の間」

3.出席者

委員

 荒木委員、今井委員、宇佐美委員、大南委員、岡本委員、小川委員、川並委員、齊藤委員、田村委員、千田委員、永井委員、野村委員、平出委員、松尾澤委員、山極委員、横山英一委員、木村分科会長、高倉部会長、横山洋吉副部会長

文部科学省

 御手洗文部科学審議官、加茂川審議官、竹下教職員課長、石井教育大学室長

4.議事要旨

(1)東京都教育委員会の人事考課制度について

 東京都教育委員会の人事考課制度について、東京都教育庁小田原理事より配付資料に基づいて説明のあと、質疑応答。主な発言は以下のとおり。

【委員】
 この教員評価の制度には、子供の基礎学力や成績の向上という視点が含まれていないようである。その教員の授業がわかりやすく学力がつくかどうかを子供たちに聞くべきであると考える。また、都の学力調査や外部からの査察により学校全体の教育力を見るといったことをしているのか。

【小田原理事】
 この制度を導入する時点では、子供の学力低下の問題はまだ表面化しておらず、いじめ、不登校、学級崩壊等が問題であった。この解決には子供に直接接する教員の資質向上が欠かせない。都では「生きる力」こそを学力と考えている。もちろん基礎学力もおろそかにしてはいけないが、それについては別途調査研究を進め、国とは別に到達度の調査をするつもりである。
 学校全体の評価のために国で学校評議員制度がとられており、都立には学校運営連絡協議会が設置されている。今年度はその全校での設置を目指し、そこで外部からの評価が各学校ごとにできるよう進めている。またマネジメントシステムによる学校評価等も検討中である。

【委員】
 地方公務員法40条による勤務評定制度を廃止して、都の条例による一般職も含めた人事考課制度を全面的に実施していると理解して良いのか。また、評価はコミュニケーション・ツールとしての役割を持つので、その際に評価する側とされる側との信頼関係がなければ、評価や指導は効果を持たないと思われるが、それを学校現場でどう確立するのか。または現在どの程度定着しているのか。
 業績評価が実際に特別昇給等の処遇に反映されているのか。従来はそれは公平の原則で運営されていたが、現時点で実績ある人が報われているのかを知りたい。

【小田原理事】
 実態として勤務評定制度が機能していれば廃止する必要はなかったが、昭和30年代の勤務評定闘争の影響でずっと機能していなかった。そのため40条に基づく新しい人事考課制度を策定した。確かに信頼関係がないと評価制度の効果は表れない。しかしそれまで校長と教員とが学校の目標や方針について時間をかけて話をする機会はほとんどなかった。学校が組織として動くためにそれを保障する必要がある。評価を前提とした面接などは良くないという指摘はあったが、時間をかけて解消できると考える。
 教員の申告に自己評価も入れるべきという意見が教育委員会にもあったが、そうすると校長が評価するのが難しくなる。将来的に本人に評価を開示する方向であるので、それは今後の課題とし、現時点では今の指導方法で解決していきたい。

【委員】
 この人事評価システムは管理的な側面を持っており、教員集団をサポートするシステムとセットにして行うべきではないかと考えるが、その点でこの制度の導入を契機に変化した部分があるか。特に、指導主事の役割と機能に変化があったか。

【小田原理事】
 管理的側面はあるが、校長等が教員の平素の教育活動を公平に客観的に見ることで、教員たちは関心を持たれていると意識するようになる。そうした意味での両者のコミュニケーションも増え、サポートにつながる。教員の努力が評価されれば、特別昇給等に反映させることも可能にしており、実際に校長が具申してくれば教育庁は追認している。
 指導主事はこの制度に直接に関わらないため、役割等に変化はない。ただ今年度から本庁の管理主事が必ず各学校を訪問することとし、指導主事は従来の指導主事訪問とは別の新たな指導をするように進めている。
 (都教育長として横山副部会長から補足)

【小田原理事】
 まだこの制度は成熟していない。既に行っている一般行政職の人事考課制度が実際に機能するまで5年を要しており、現段階でも完全ではない。この制度では、今遂行している開かれた学校づくり、地域との連携の中で、校長が学校の経営方針を地域に明示し、それを判断ベースに地域が学校と教員を評価することを考えている。
 この制度が本当に機能するには評価者と被評価者との信頼関係が絶対である。現段階で行政職での評価が本人開示に至っていないことから、被評価者に信頼感を持たれていないと思われる。学校ではこれを契機に職場内のコミュニケーションが図られてきたが、信頼感という意味ではまだ成熟度は低い。学校も組織であり、現実に問題が多発している以上、今後ともこの制度は絶対必要なので成熟度を高めるべく努力を続ける。

【委員】
 仮にこの制度が成熟すれば、免許更新制度は不要と考えるか。

【小田原理事】
 この制度の運用にはまだ多くの改善が必要である。それには初任者研修をはじめ様々なことを総合的に考えなければいけない。まだ初任者研修、新規採用教員に対する理解度が学校現場に不足している。免許制度だけで教員の資質は確保できない。

(2)今後の教員免許制度の在り方についての全般的討議

 事務局より配付資料に基づき説明のあと、以下の項目について質疑。

「教員免許制度の総合化・弾力化について」

【委員】
 課程の再認定を伴わない制度改革は技術的に可能であるのか。

【文部科学省】
 現状として中学と高校の課程認定を同時に受けている大学は多い。特に私立の一般大学がそうであり、仮に中・高両方に適用できる中等教育免許状を創設した場合、そうした大学には自動的に認定できるような方法の検討は可能である。

【委員】
 総合化とは、免許状自体についてか、または免許状の取得に要する単位の取り方等についてなのか、テクニカルな部分を聞きたい。

【文部科学省】
 現在でも、複数の免許を取る場合は既に取得した単位を使用できるという弾力的措置はとられている。今年3月に、幼稚園または小学校の免許状保持者が他方の免許を取る場合、既修得単位を使えるよう措置をとったところである。他の免許についても、そうした弾力化措置を行うことは可能だが、逆に個々の免許の専門性が低くなる懸念がある。

【委員】
 専門性の担保についてしっかりした裏打ちが必要なのは絶対である。

【委員】
 小学校の教員は低学年から高学年まで多様に受け持つが、現在は絶対評価の導入等で教員に高い指導力を求めるようになった。今までどおりただ担任を持ち上がるだけでそれがクリアできるのか。例えば修学前・初等教育免許状とか、小学校高学年と中学校を専門化した小学校前期中等教育免許状などが必要ではないか。創設しなくても、こうした分野で一層の専門性を確保する運用を考慮する必要がある。

【委員】
 中等教育学校には、免許状主義に照らし新しい中等教育免許を早急に創設するのか。そうではなく中高免許の一本化を進める方向がいいのか。

【文部科学省】
 現在も中学、高校の両免許を持っていれば中等学校全てに適用でき、中学免許は前期課程、高校免許は後期課程に適用している。現に中・高の免許で中等教育学校の免許を代替しており、実は一つの規制緩和、弾力化が図られている状態である。またそれぞれの免許を総合して仮に中等教育免許とすれば、中、高、中等を一本化する総合化になる。必ずしも弾力化と総合化は同じものを表していない。新たな免許を作れば原則として課程認定をせざるを得ないが、一定の事務処理を技術的に簡略化ができる可能性はある。しかし大枠で括ったものの簡略化は、事務的には不可能である。現実的な方策を出し、どれが各関係機関、すなわち大学、県市等に最も負担をかけずに済むかを考えて検討されたい。理念的な意見と、現実的な意見とを整理する必要がある。現状に沿った改変であれば、課程認定の簡略化は可能である。

【委員】
 幼児教育振興プログラムでは幼稚園と保育園との統合が示されている。幼稚園の免許は、保育士免許を同時に取得しやすいが、小学校免許は取得しにくくなっている。この部会ではむしろ幼稚園と小学校の免許の取得を検討するべきではないか。現実に小学校免許を持っている幼稚園教員は少ない。幼稚園から小学校3年くらいまでは幼児教育として同様に考え、その接続を検討するべきである。

【委員】
 現在は、指導要領、学校制度、免許制度、課程認定の各条件が全て流動したまま議論しているので、固定する条件を決めるべきである。現行の免許制度の運用でどれだけ対応できるかの検討が現実的と考えられる。免許状を追加したいときにそれを保障する制度が整備されれば、現状を弾力的に運用した解決となる。

【委員】
 現行の免許制度がどこまで弾力的に運用できるか、あるいは施行規則の修正で運用を変えられるかについての資料があると良い。

【委員】
 中・高の免許を合わせて中等教育免許にするのは可能だろうが、免許状を個々の教科の免許としてではなくそれぞれの校種におけるクラス担任を前堤に考えた場合、専科の中学校免許と全科を担任する小学校免許を、総合化して一本の免許にすることが実務的に可能なのか。

【文部科学省】
 小学校の免許状は全教科担任であるため、9教科の指導法をそれぞれ2単位ずつ全て取得することになっている。中・高の免許では、それぞれの教科の指導法を取得すれば足りる。現在、全教科の指導法と他の若干の単位を取得すれば、小学、中学の両免許を取得できる。それを義務づければ、小・中の免許を括ることも可能と言える。

【委員】
 物理的に単位を取得したからといって、全教科を担任する小学校教員の専門性は確保できないのではないか。

【文部科学省】
 現行制度が大学における一定の単位修得により免許状を授与すると定めている以上それは可能である。国立の教員養成系大学では小中の両免許を取得する人も多い。

【委員】
 聞きたいのは、ある個人が両方の免許を取るという意味ではなく、小中共通の免許の創設が、その専門性を鑑みて、理論的にではなく実務的に可能なのか、という点である。

【文部科学省】
 今の免許状は中学の教科には相当高い専門性を要求しているため、それを小学校の9教科と同レベルで構成することは、おそらく今の小学校教育と中学校教育の基本的な仕組みを前提とする限り、理論的には不可能と考えられる。先程の回答は、小学校での全教科の専門性は、大学の養成課程において教科ごとの単位で見ると非常に小さいため、それにプラスして中学レベルの教科の専門性を身につけるのは可能という趣旨である。

【委員】
 養成の在り方をどうするか。現在は、教員養成系では小学校の一種免許を中心としており、一般大学では8割方が中・高免許の統合型の教員養成課程になっている。これが進行して両免許を同時に取得するようになれば小学免許だけ切り離される。また、免許を総合化すれば必要単位が増加するという問題もある。これからの養成課程の在り方と免許の問題がかみ合うように進めなければならないのではないか。

「教員免許更新制の可能性」

【委員】
 教員の資質向上につき、更新制を肯定する意見と、教員評価制度を確立して対応する意見と2つの流れがある。

【委員】
 都の人事考課制度について聞いた結果、人事管理制度と現行の研修制度の充実で教員の資質向上はかなり達成させることができると考えた。あえて更新制の導入は必要ない。

【委員】
 更新制導入には賛成だが、都のような人事考課制度が十分機能すれば必要ないような気もした。しかし一方で、この制度がある程度成熟し、硬直化したときに問題がでてくるだろうとも考える。

【委員】
 都は複数の制度を総合的に実施することで資質能力を向上させる発想である。教員の実践的指導力の育成を重視し、決して排除に立つべきではないとしている。また結果のみではなくプロセスの評価を全面に取り入れている。

【委員】
 評価と研修制度は車の両輪である。更新制をあえて今やる必要性はないが、今のシステムのままで評価を行っても成功しないだろう。免許の上進が評価にリンクするような処遇、給与の改善や、条件附き採用期間を3年程度に延長するなどの、全体的な制度の見直しを図りながら評価と研修を機能させていくスタンスで議論を深めたい。

【委員】
 更新制が教員の力量の向上に合致するシステムなのか。養成、採用、研修を総合して資質向上を図るシステムを作るべきで、始めに更新制ありきというのは非常に問題である。医師や弁護士というプロの専門職には最低1年間のインターン制度がある。それに対し、4週間の教育実習は少ない。実践的なインターンシップをやるとしたら4年制での養成は難しい。採用でも、今の初任者研修が機能しているか検討し、年数を増やすことも考えられる。研修は、上進が結果的に処遇に跳ね返るようにしなければならない。アメリカのような更新制を今導入するには法的な問題が大きすぎる。今後都の人事考課制度や、公務員全体の人事評価制度が確定していき、各都道府県でもそれらに基づく考課制度を取り入れるよう進めている。資質向上にはそれで十分対応していける。従って、問題点の大きい更新制導入の必要はない。

【委員】
 資質向上には、研修と評価、それに伴う上進制、上級免許状、処遇改善、のシステムが重要と思われる。研修も、企業等で取り入れているように、教員がインターネット等で自分の時間に勉強するプログラム(e-ラーニング研修等)を作成することが将来的に必要である。

【委員】
 都の説明を聞いて、逆に更新制を視野に入れるべきだと思った。今は評価や研修を教員の仲間内だけでやる時代ではない。費用対効果を考えれば税金で賄う研修がいつまでできるのか。教育委員会制度の非効率性に対する批判が強まり、教育公務員特例法の問題点も指摘され、改正の議論が出てきている。余談だが、医師免許も実は終身ではなく、開業していくためには自己負担で学会に参加しなければならない制度になっている。現在の研修は成果を上げていない。人事考課は期待できる制度だが、機能しても問題が全部解消するものではない。

【委員】
 自分は現場で人事考課を行っているが、現実は、D評価をした教員の処遇が決まるまでに非常に時間がかかり、その教員に子供を指導する力が不足していると校長が認識しながらそのままにせざるを得ない状況が続く。人事考課制度ですべてが解決するわけではない。

【委員】
 来年から全国的な学力のモニタリングシステムが作動する。その学力テストの結果を各学校が活用し、全国平均との比較や、課程の実施状況に関する自己評価が行われ、その結果が外部に公表される。ここで、モラルと自己責任を担保する新たなシステムが働こうとしている。加えて、専修免許制度のための長期研修制度が動き出し、かつ専修免許の標準化が進み、処遇に反映されれば、更新制は必要ないのではないか。

【委員】
 評価で不適格と判定されるまでの間、その教員に担当される子供の学習権を考えると更新制に賛成である。都の制度は、評価によって教員が教育のプロとして研修を進めることを期待しているが、現実では不適格教員に対処できていないなら、校長や教頭の指導力で改善する条件が整うのかも疑問である。教員の身分の前に、子供の側に立って考えるべきである。

【委員】
 PTAで塾調査をした結果によると、子供たちの学習意欲は失われていない。また、塾に通う本当の理由は学校で授業がわからないからであるのに、教員は自らの指導力不足を自覚していない。最も求められるのは指導力の改善である。21世紀の教育は、子供の成長が、子供自身にも保護者にも実感できるものにしたい。学級経営に対する子供、保護者の評価を制度として取り入れて欲しいと考える。

「特別免許状の活用を始めとした社会人活用の促進」

【委員】
 今幼稚園では、ボランティアのような形での社会人の活用が進んでいる。この状況を広げる方が多くの人が参加できるようになる。特別免許状を確立する必然性は感じられない。

【文部科学省】
 特別免許状の趣旨は特定教科の専門性を持っている社会人の活用なので幼稚園には創設されなかった。特に状況の変化もないため、導入は難しいと思う。

【委員】
 総合的な学習の時間での社会人の活用を更に促進すべきである。教員が専門性を持ち得ない、新しい分野であるので、これからの学校には特に必要である。現在各学校が人材バンクを作り、教育委員会と情報交換をしながら活用を行っている。幼稚園には、支援ボランティアに近い形の交流が小中学校から行われている。

(3)今後の日程について、次回は9月上旬に予定している旨事務局から連絡。

5.閉会

以上

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

(総合教育政策局教育人材政策課)

-- 登録:平成21年以前 --