国・地方公共団体の今後の役割等 |
市町村は,住民に最も身近な行政機関であり,教育委員会の,学校教育を除く生涯学習関係経費でみると,全体(国庫補助金,都道府県支出金,市町村支出金の合計)の約8割を担っている(平成13年度)。市町村においては,社会の要請と地域住民全体の多様な需要の双方に対応した学習機会の提供,図書館の整備など地域住民の生涯学習の支援,生涯学習を通じた地域づくり等を,地域住民の声によく耳を傾けることなどにより,地域住民等と協力して,主体的に実施することが期待される。また,施策の実施に当たっては,地域住民の自主的・主体的な取組を促進するような支援の方法を考えることが望ましい。 | |||||||||||||
都道府県は,市町村を包括する広域の地方公共団体として,都道府県域全体についての大学,専門学校,民間教育事業者,職業訓練施設,公民館等との間における広域での連携の機能の強化(学習情報の提供,学習成果の評価,生涯学習推進センター等による関係機関・団体等のコーディネートや学習相談を行う人材の養成等)を行うことが期待される。また,市町村を補完する立場で,ITの活用等の支援などを行うことも期待される。なお,これらの施策の実施に当たっては,都道府県と市町村が連携して取り組むことが重要である。 | |||||||||||||
国は,自立した個人の資質・能力の向上を通して,国民全体としての資質・能力の向上を目指すことをナショナルミニマム(国民の最低限度の生活水準)の確保のために必要不可欠なものとして位置づけることが必要であるとともに,都道府県や市町村を補完する立場から,生涯学習の振興を図ることが必要である。 そこで,今後,以下のことについて,重点的に取り組むことが必要である。
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国 現在,文部科学省においては,教育分野においても,関係する府省との間で,連携のための協議会を設けるなどにより,緊密な情報交換や意見交換等を行い,連携の強化に努めている。具体的には,体験活動の機会や場の提供については,農林水産省,環境省,国土交通省,厚生労働省と,子育て支援の分野では,厚生労働省と連携を図っている。また,昨年6月にまとめられた「若者自立・挑戦プラン」については,厚生労働省,経済産業省,内閣府と連携を図っている。今後は,特に,職業能力開発分野において,文部科学省と厚生労働省との連携を強化するなど,関係各省との連携を強化することが求められる。 |
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都道府県,市町村 地方公共団体における生涯学習振興行政の担当部局については,教育委員会のみに設置されているところが多いが,一部では,首長部局のみに設置されているほか,教育委員会と首長部局の両方に設置されている例もある。こうした体制においては,教育委員会と首長部局の間の連携が十分ではないとの意見が出された。したがって,生涯学習の振興に当たっては,教育委員会と人づくり・まちづくりに関連する他の部局との十分な連携が行われることにより,多角的な行政を図っていくことが必要である。 なお,教育委員会制度の在り方については,先般,中教審に諮問されたところであり,本分科会としても,今後,地方公共団体における体制の在り方について,教育制度分科会とも協力しながら検討を進めていくことが必要である。 |