資料1-3 人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について(答申(案))に関する意見募集(結果)

1.実施概要

(1)実施期間:平成30年11月22日(金曜日)~12月3日(月曜日)
(2)総意見数:51件

2.主な意見

(1)第1部第1章 地域における社会教育の目指すもの 関係

・まちづくり行政や観光行政と社会教育との連携に当たっては、それぞれの地域の特性を再認識・活性化するなど、地域文化の豊かさの発信が求められると考える。また、社会教育における学問の自由、創造性と、自主性と主体的な参画をより強調してもよいのではないか。
・社会教育の意義や役割として、「人づくり」「つながりづくり」「地域づくり」が掲げられていることについて、健康的で文化的な市民生活を送るために取り組む住民の学習が、つながりづくりや地域づくりに貢献するものであるという側面ばかりが、過度に強調されないように留意すべきである。
・多様な人々との共生がより重視される時代においては、SDGs の理念に即し、人権の尊重や社会的に困難な状況にある住民への支援、生活者としての外国人への配慮等にも言及が必要ではないか。

(2)第1部第2章 「社会教育」を基盤とした、人づくり・つながりづくり・地域づくりに向けた具体的な方策 関係

・学校教育において、「総合的な学習の時間」に地域における図書館や公民館・博物館が積極的に関わることは極めて有効と考える。学校の人手が手薄になりがちな長期休業期間や土日祝日などに社会教育施設を活用することは、学社連携の視点からも有効である。これらの活動を積極的に推進するには、学校教育の場においても社会教育の場においても、専門的職員の十分な配置が必要である。
・社会教育の専門職の役割として、地域づくりの戦略としての社会教育計画の策定を盛り込むべきではないか。また、従来の社会教育主事の他、多様な人材がそれぞれ専門的人材としてどのような役割を担い、連携していくのか、より明確にすることが大切ではないか。
・地域における社会教育が、防災、健康長寿、福祉、労働、産業、観光、まちづくり、青少年健全育成、環境美化、防犯等、多様な分野と密接に関わらざるを得ない状況下で、社会教育士制度の新設は、多様な人材の登用を促進するものであり、普及、活用が大いに望まれるところである。相まって、専門的職員についても、教育委員会の配置にこだわることなく柔軟な対応が選択可能な制度設計をお願いしたい。
・社会教育行政担当部局と首長部局の職員のそれぞれの専門性を確立することを前提に、幅広い視野からの人材育成を図ることは望ましい。加えて実効性のある研修が実施できるよう、社会教育行政における専門的職員の採用及び任用制度が必要である。
・社会教育行政が自己完結している問題は、首長部局が策定する地域振興計画で社会教育の役割が十分に位置づけられておらず、社会教育専門職員や社会教育施設の役割が不明確なことに起因しているのではないか。社会教育主事は、首長部局と連携して、地域づくりのための社会教育計画の策定に主導的役割を果たし、その計画のもとに学びのオーガナイザーの役割を果たすべきである。
・図書館司書や博物館学芸員の専門性を高めていく必要がある。図書館司書、博物館学芸員、社会教育主事等が、それぞれの専門性を高めてこそ、より質の高い連携が可能になると考える。
・社会教育士について、技術的なスキルの取得に目的が置かれているように思う。地域住民の生活現実と暮らしに即して地域の学習課題を把握し、住民による学習活動を発展させる教育的な諸条件を整備する力量が軽視されないようにすることが必要である。
・「全ての人が共に認め合い、(中略)共生社会を実現し、社会福祉を増進する」ためには、社会福祉領域での「ソーシャルワーク」が重要であるため、ソーシャルワークに関する国家資格である社会福祉士の活用について記載していただきたい。
・クラウドファンディングの活用を掲げているが、公立社会教育施設の事業運営は公費によるべきであり、財政的な裏付けを保障することも地方公共団体の重要な責務である。財政難を理由として、資金を住民に自前で調達することを求めるのは本末転倒である。

(3)第2部第1章 今後の社会教育施設に求められる役割 関係

・「今後の社会教育施設は、住民主体の地域づくり、持続可能な共生社会の構築に向けた幅広い取組や、行政をはじめとした地域の幅広い情報の発信拠点としても位置付けられるべきである。」と強調された点は意義深い。また、「読書バリアフリー」が目指されるような一文も盛り込んでいただきたい。
・これからの地域づくりの核となる組織になり得る「地域運営組織」では、公民館活動がベースとなっているなど、公民館と関係が深い例も多く、今後当該組織と連携を図ることにより、公民館の存在意義も増すと思われる。このため、「小さな拠点」だけでなく、「地域運営組織」との関係性も是非書き込んでいただきたい。
・また、公民館について、「地域づくりの拠点となるべき、公民館主事はコーディネーターになるべき」など、さらにインパクトのある記述を加えていただきたい。
・図書館は、住民から求められた資料、情報を確実に提供することが基本的な機能だと考える。その機能を果たすのに必要な人員配置、資料・情報、利用環境整備のための予算を確保することで、社会教育の振興が保証される。また、地域づくりや地域の課題解決には、図書館はこれまでも貢献してきたが、図書館の本質的な機能ではないのではないか。

(4)第2部第2章 今後の社会教育施設の所管の在り方 関係

・社会教育施設の首長部局の管理問題は、特定の経済事業施策に従属するために利用されるものではない。地域の発展は、学問の自由尊重によって、地域の豊かな文化を発見することであり、それらを創造して、持続可能な地域社会を形成することこそを、基本にすえることが大切である。
・社会教育には公平性や中立性が求められることや、社会教育施設は現行の教育委員会の所管であっても他の行政部局との連携が可能であること、また、例えば公立図書館は、学校図書館との支援・協力関係を構築する必要があることから、学校教育と同じ所管とすべきであること等を踏まえ、公立社会教育施設の教育委員会所管を堅持されたい。
・本件特例の条件となる社会教育の適切な実施の確保に関する担保措置については、執行上の手続きが煩雑にならないよう、ある程度簡潔で柔軟に対応できる法整備をお願いしたい。また、特例措置を設ける場合、現行の補助執行等で指摘されている権限と責任の曖昧さが市長部局の自律的な運営に支障を生じさせることがないよう、配慮を望む。
・社会教育施設の所管が教育委員会以外の部署になる場合であっても、それらの施設が教育機関としての位置付けであり続けることを明確にするとともに、専門的職員の配置は計画的、組織的、継続的に行われることが必要であることを明確にしていただきたい。
・社会教育施設の所管を地方公共団体の長とすることを可能とするに当たり、担保措置として新たな会議、組織を設置するとしているが、むしろ、既存の公立社会教育施設の審議会、協議会等や、社会教育委員の会議の役割を優先するべきである。また、実際に地方公共団体が社会教育施設を長に移管する場合、移管の可否について地域住民の意見を
取り入れるシステムを確保するべきではないか。

お問合せ先

総合教育政策局生涯学習学習推進課

(総合教育政策局生涯学習学習推進課)