ここからサイトの主なメニューです

資料5‐1 今後の教育投資の在り方に関する論点

平成24年11月16日

1.総論について

○ 第1期計画においては、今後10年間(平成20年度~平成29年度)を通じて目指すべき教育の姿を実現するための教育投資の方向として、以下のとおり記述されている。

(第1期計画において掲げた「今後10年間を通じて目指すべき教育の姿」)

  1. 義務教育修了までに、すべての子どもに、自立して社会で生きていく基礎を育てる
  2. 社会を支え、発展させるとともに、国際社会をリードする人材を育てる

(第1期計画における教育投資に関する記述(抜粋))
 現在、我が国の教育に対する公財政支出は、他の教育先進国と比較して低いと指摘されている。例えば、公財政教育支出のGDP比については、OECD諸国の平均が5.0%であるのに対して、我が国は3.5%となっている。また、特に小学校就学前段階や高等教育段階では、家計負担を中心とした私費負担が大きい。こうしたデータについては、全人口に占める児童生徒の割合、一般政府総支出や国民負担率、GDPの規模などを勘案する必要があり、単純な指摘はできないところであるが、そうした中で現下の様々な教育課題についての国民の声に応え、所要の施策を講じる必要がある。(中略)
 以上を踏まえ、上述した教育の姿の実現を目指し、OECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を参考の一つとしつつ、必要な予算について財源を措置し、教育投資を確保していくことが必要である。

○ 教育の効果は、単に個人に帰属するものではなく、広く社会全体に還元されるものであることを踏まえ、教育投資については、社会全体で支える必要。

○ その際、厳しい財政状況の中で教育に対する国民の理解を得るため、検証改善を通じて教育政策の成果を出すことや、ボランティア・企業のCSR・寄附の増加等に向けた環境の醸成などにも留意が必要。

○ 第1期計画策定以降、年々財源が厳しくなる中にあっても必要な財源を確保し、諸般の施策を実施してきたが、依然として未解決の教育上の課題も多く、第1期計画で掲げた「今後10年を通じて目指すべき教育の姿」の達成は未だ途上。

2.各論について

ポイント

○ 今後の教育投資の在り方としては、メリハリある資源配分の観点が重要であり、第2期計画期間中における教育投資の方向性については、以下のような喫緊の課題に対応するため、特に、下記の3点を中心に充実を図ることとすべきではないか。

(課題1)教育の質の保証・向上(自ら考え、他者と協働し、価値を創造する力の育成)
 ⇒ 方向性1 協働型・双方向型学習など質の高い教育を実現する環境の構築

(課題2)家計の教育費負担の重さ(特に就学前教育・高等教育)
 ⇒ 方向性2 家計における教育費負担の軽減

(課題3)子ども・若者の安全の確保(東日本大震災の教訓)
 ⇒ 方向性3 安全・安心な教育研究環境の構築(学校施設の耐震化など)

詳細

(注)各事項中に記載した試算例については、一定の仮定・条件の下でのものとして、おおよそのイメージを示したものであって、他の試算例も考えられる。

(1)就学前教育

○ 生涯にわたる人格形成の基礎を培う大切な時期であり、教育投資の効果が他の時期よりも高いといった分析も存在。

○ 小学校教育との円滑な接続など、すべての子どもに質の高い幼児教育を提供することが必要(※1)。
(論点)幼児教育の質の向上に向けた条件整備

○ また、現在、幼稚園に通う3~5歳児のうち、約8割が私立の幼稚園に在籍しており、家計負担が重い(※2)。
 家計負担の重さは少子化の要因となっているとの指摘も存在(※3)。諸外国では無償化の取組を進めている
 国もあり、子ども・子育て支援法案等に関する国会の附帯決議でも検討を要請(※4)。
(論点)家計負担の重さの軽減に向けた環境整備

※1 子ども・子育て支援法附則第3条では、「政府は、教育・保育その他の子ども・子育て支援の量的拡充及び質の向上を図るための安定した財源の確保に努めるものとする」とされている事などに留意が必要。
※2 幼稚園卒業までにかかる教育費は、公立で約66万円、私立で約161万円。
※3 内閣府の調査では、「子育ての不安要因」として約72%の人が「経済的負担の増加」を挙げ、「経済的な負担として大きいと思われるもの」として約35%の人が「幼稚園等にかかる費用」と回答。
※4 子ども・子育て支援法案等に対する「参議院・社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」の附帯決議では、「幼児教育・保育の無償化について検討を加え、その結果に基づいて所要の施策を講ずるものとすること。当面、幼児教育に係る利用者負担について、その軽減に努めること」とされている。
 (なお、幼稚園・保育所(3~5歳)に係る保護者負担分は約7,900億円との試算がある。
 (出典:「幼児教育の無償化について」(平成21年5月 今後の幼児教育の振興方策に関する研究会))

(2)初等中等教育

1.義務教育

○ 社会的自立の基礎、国家・社会の形成者としての基本的資質を養う意義を有していることを踏まえ、機会均等、水準確保、無償制は義務教育の根幹。

○ 学力については、全体的には国際的に上位(※5)にある一方で、下位層の割合(※6)、思考力・判断力・表現力の育成、学習時間・意欲などに課題があり、協働型・双方向型の新しい学びへの授業革新などが求められている。

○ また、学校現場から膨大な件数のいじめ問題が報告されており、より目の行き届いたきめ細かな指導が必要。そのほか、特別支援教育、家庭の経済状況等による教育格差など依然として対応すべき課題は多い(※7)。加えて、学校・家庭・地域の連携による様々な課題解決の必要性も高まっている。
 ⇒ (論点)きめ細かで質の高い教育の実現に向けた、教員の資質能力の向上と教職員や専門的・支援的スタッフの体制の整備など

2.高等学校教育

○ 進学率が98%に達するなど、国民的な教育機関となっており、機会均等の観点から、すべての意志ある高校生等が安心して、質の高い教育を受けることができるようにする必要性が一層上昇。このような状況を踏まえ、高校教育の質の保証のための改革、多様な特色ある教育の推進を図ることが必要。

○ また、平成22年度より公立高等学校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度が実施され、教育費の負担は大幅に軽減されたが、現下の経済状況などを踏まえれば、低所得者の教育費負担への配慮が課題。
 ⇒ (論点)低所得者層の家計負担軽減に向けた環境整備

※5 PISA2009(平成21年)における日本の順位は、読解力8位、数学的リテラシー9位、科学的リテラシー5位。
※6 PISA2009(読解力)における各国の「習熟度レベル1以下」の割合は、上海4.1%、韓国5.8%、フィンランド8.1%というトップレベルの国々に対し、日本は13.6%。
※7 平成25年度から29年度までの5ヵ年を計画期間とし、中3までの35人以下学級の実現等を内容とする教職員定数改善計画(5年間で27,800人)の策定を目指す。本計画案は、子どもの減少に伴う定数減などを活用し、現在の教職員給与費総額の範囲内で実施することが可能。

(3)高等教育

○ 学生の学修時間が他の先進国と比較して顕著に少ないことなどが指摘されており、大学教育の質保証・向上には社会からの強い要請と期待(※8)。また、グローバル化の中、国際的な人材獲得競争は激化の一途。
 ⇒ (論点)学生の主体的な学びの確立やグローバル人材の育成に向けた環境整備
 (※設置認可の見直し等を通じた教育の質保証の徹底を図り、ガバナンスの強化などの改革推進状況に応じたメリハリある資源配分を前提に実施)

○ 幅広い教養と高い専門性を備えた人材の育成、社会の各分野を牽引する人材の育成、学術研究を通じた諸問題の解決など国民生活や社会経済の発展に大きく寄与。グローバル人材育成や地域活性化の拠点としての役割も担う。

○ 諸外国が大学等の教育研究環境の充実にしのぎを削る中、政府の規模や全人口に占める学生の割合などを踏まえる必要はあるが、主要先進国と比べて我が国の公財政支出は低水準。結果、家計負担が重く、社会格差の固定化などが懸念(※9)。また、就学前教育と同様、家計負担の重さは少子化の要因となっているとの指摘も存在(※10)。
 ⇒ (論点)家計負担の重さの軽減に向けた環境整備


※8 新聞社の世論調査では、日本の大学が「企業・社会が求める人材を育てているか」との質問に64%の国民が、「世界に通用する人材を育てているか」との質問に63%の国民がそれぞれ否定的な回答。一方、同じ調査において、87%の国民が教育予算の充実に肯定的。
 日本の学生の1日あたりの学修時間(授業、授業関連の学修、卒論)は平均で4.6時間(例えば、米国では8時間程度)。教員一人当たりの学生数は私立大学:20.6人、国立大学:9.8人。
 (能動的学習(アクティブラーニング)や双方向・少人数の講義を中心とした教育など、大学教育の質的転換を図るためには様々な方法及びその組み合わせが考えられ、費用負担の在り方も様々なものがあり得る(なお、質的転換に要する経費の規模を定量的に試算することは困難を伴うが、例えば、国による過去の支援の例に照らせば、各大学における教員・教育支援人員等の体制整備、国際的な教育連携、産業界との連携など質の向上等に向けた改革の取組への支援として、約1,400億円))

※9 我が国の在学者数の割合は、大学:国立21.6%、公立4.9%、私立73.4%、短大:公立5.9%、私立94.1%であり、大学卒業までにかかる教育費は、国立約263万円、公立約270万円、私立約527万円。子ども2人を同時に私立大学に通わせた場合、平均的な所得の世帯における家計に占める教育費の割合は44%(下宿等する場合の生活費を含めた場合は79%)。

(家計負担の重さの軽減については、所得連動返済型を含む奨学金、授業料減免、各種教育ローンなど様々な方法及びその組み合わせ等が考えられ、それぞれに関し、対象とする世帯・経費の範囲や、費用負担の在り方も様々なものがあり得る。なお、特に負担軽減の必要性の高い年収350万円以下の世帯の大学生・専門学校生(いずれも昼間部)が約46万人程度存在するとの試算があり、その学費の総額は約5,300億円、生活費(自宅生の金額で計算)も含めた場合には約7,000億円と試算(なお、年収350万円以下の世帯の大学生・専門学校生のうち、約41万人に対して総額3,300億円程度の奨学金が措置されている。このほか、各大学等においても授業料等の減免(国の財政支援による減免:約280億円)が実施されている。また、アルバイトによる平均的な収入は約1,600億円程度))

※10 内閣府の調査では、「子育ての不安要因」として約72%の人が「経済的負担の増加」を挙げ、「経済的な負担として大きいと思われるもの」として約69%の人が「大学等の教育費」と回答。

(4)安全・安心な教育研究環境の整備

○ 学校施設は、児童生徒等の学習・生活の場であるとともに、災害発生時には地域住民の応急避難場所ともなるものであり、東日本大震災の教訓なども踏まえれば、安全・安心な教育研究環境の整備が重要。

○ 近年は耐震化を重点的に推進し、耐震化率は年々進捗。しかし、対策が遅れている国公私立学校が存在(※11)。また、屋内運動場等の天井等の非構造部材の耐震対策(※12)、学校施設の老朽化対策(※13)、防災機能の強化などの課題も存在。
 ⇒ (論点)国公私立学校を通じた耐震化・老朽化対策等の着実な実施

※11 耐震化率は、公立小中学校が84.8%(平成24年4月1日 現在)、私立幼稚園~高校が72.5%(平成23年4月1日 現在)、私立大学等は79.8%(平成23年5月1日 現在)、国立大学等は89.3%(平成24年5月1日 現在)。
 (なお、国公私立学校の耐震化については、例えば、公立学校施設については、平成27年度までのできるだけ早期の耐震化完了を目指しているが、耐震性が不足している公立小中学校施設(24年度予算執行後の耐震化率は約90%(残棟数:約12,800棟))を耐震化した場合、所要経費として約5,000億円程度(国費ベース)が必要との試算(私立学校については、国公立学校施設の状況を勘案しつつ耐震化を推進するとの考え方))
 (参考:平成23年度当初予算、第1次補正予算及び第3次補正予算における公立学校施設の耐震関連予算の合計額:約2,640億円)

※12 非構造部材については、公立小中学校における耐震点検の実施率は66.0%、点検実施校における耐震対策の実施率は48.5%、
全学校における耐震対策の実施率は32.0%(平成2年4月1日 現在)。

※13 老朽化については、建築後25年以上を経過した学校施設の割合は、公立小中学校施設で全保有面積の約7割、国立大学
等施設で全保有面積の約6割。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課

電話番号:03-5253-4111(内線3273)
ファクシミリ番号:03-6734-3281
メールアドレス:syo-bun@mext.go.jp

-- 登録:平成25年02月 --