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参考資料 第5期中央教育審議会生涯学習分科会における主な意見

第5期中央教育審議会生涯学習分科会における主な意見

1.総論

○ 国力アップのための生涯学習推進のグランドデザインをつくるべき。「新しい公共」の考え方について生涯学習の視点から政策展開していくため、また、教育基本法で掲げられている「生涯学習の理念」を実現するためにも、これまでの生涯学習社会の変化を整理した上で、教育基本法の理念の実現を目指した生涯学習社会への道筋を示す中長期的な展望を示すことが必要。特にこれから中心に考えるべきは、成人教育のシステム化。

○ 地域の教育力向上のために生涯学習行政に期待される役割としては、1.青少年に対する社会教育(人間関係能力の向上や職業意識・社会規範意識等の育成)、2.乳幼児を抱える家庭への教育支援(孤立化する乳幼児期育成家庭への支援)、3.高齢者に対する社会教育(高齢者の力を引き出し、社会のために役立てていく取組)の大きく3つがあるが、3.についての議論が少し薄い。高齢社会への対応は福祉だけではなく、学習機能と交流機能が高齢社会を救うという観点から、生涯学習の分野でも検討すべき。

○ 生涯学習について、高齢者の生きがいであるととらえられがちである点は問題。また、従来の生涯学習は、子どものときは生活の準備のためで、大人になってから生活に関する学習があると考えられてきたが、この考え方(=グランドデザイン)を変えるべき。今の生活に必要な学習と、将来に備えた学習の2つを同時に行う並行型の学習でなければ、社会の変化に対応できない。

○ 県や市町村によって、社会教育行政の取組には大きな格差がある。民間の活動が広がっている時代、あるいは地方主権に向かおうとしている時代だからこそ、国がすべき最低限の部分(ナショナルミニマム)は何か、社会教育行政のコアとなる仕事は何かということを、一度確認することが必要。その上で、これまでの社会教育行政の蓄積を生かしながら、今の時代に沿う新たな仕組みを考えていくべき。

○ 生涯学習行政について、ナショナルミニマムと地域主権のバランスは今後重要な課題。国がナショナルミニマムを達成し、その上で、地域がそれぞれの考え方で、最適化を図っていくという構図になるべき。

○ 教育の専門性や教育の政治的中立性は極めて重要であるが、予算編成権を持つ首長が教育をしっかり支えていくことは大切なことであり、相互に勉強し合うべき。

2.各論

(1)学習活動を通じた地域の「絆」の再構築と地域課題の解決

〔1〕 他の機関等との連携強化による社会教育施設の地域課題解決力の向上

○ 地域づくりの拠点となる社会教育施設について、「社会教育とは何たるや」という教育委員会の方針ではなく、市としての地域づくりの方針に沿う管理が望ましく、静岡市の場合、可能な範囲で首長部局において所管している。

○ 公民館を含む社会教育施設が目指す地域づくりと、首長部局による地域づくりの違いがわかりにくい。

○ 公民館は「指導者育成機能」を担ってきたが、昨今の首長部局への移管や廃止の進行に伴い、公民館の数が減少しており、指導者育成機能も弱体化している。

○ ネットワークにおけるハブ機能の向上について、ひとつの施設に依存する流れでは発展しないため、地域ごとに社会教育施設ごとのネットワークをまずつくって、それがハブ機能やコーディネーター機能、人材バンク的な機能を果たしていくという流れが見えてくるとよい。

○ 博物館、図書館、公民館、文書館といった社会教育施設全体のネットワークについて、高い立場からハブ機能をつくるべき。また、文化財や歴史資料についても、新しい公共財、あるいは公共サービスのあり方というものを検討すべき。

○ イギリスでは、地域の中で拠点となる施設をあらゆる社会教育施設の中から定め、資料の流通や人材の交流において、拠点施設を中心としたやわらかな連携をとっており、参考になる。

○ ネットワークの構築以前に、個々の施設が今どういう状況であるかについて基礎的な事柄を把握すべき。例えば、コーディネーターの役割を果たすとされる社会教育主事や公民館主事が減っている現状は社会教育崩壊の危機であり、議論すべき課題。

○ 社会教育施設での事業の具体的な成果を示しにくいことが、社会教育の衰退の要因のひとつではないか。

〔2〕 幅広い関係者の連携による地域の生涯学習・社会教育機能の強化

○ 滋賀県の東近江市では、地域のNPO、団体、行政などが見事に連携をして、行政だけではできないような事業を展開している。ソーシャルキャピタルの形成を考えていけば、「地域の学習基盤の形成」のようなことも実現していくと思うが、いわゆる教育行政の範疇だけで考えるのは難しい。

〔3〕 学校づくり・地域づくりの一体的推進

○ コミュニティ・スクールは、経営ビジョンとともに、地域が協働して一緒に責任を負っていくという自立した意識を持たない限り、良いものにならない。学校支援地域本部についても、経営理念をきちんと共有化して、そこに向かって同一の方向を見出して支援をしていくということが、校長、学校経営者の支援につながっていく。

○ 学校支援地域本部の活性化は、学校に全部集中してくるという動きにつながり、学校現場がとても疲れているという現実もある。地域社会での子どもたちの良き育ちの環境を(学校支援地域本部により)学校の中に取り込むと同時に、学校外の活動として再生して行くべき。

○ 生涯学習行政を、(生涯学習の基礎にあたる)学校教育を含んだ形で総合的に進めることについて、現場では適応が容易ではない。

○ 学校支援地域本部への理解は進んでいるものの、学校という現場だけにとどまる傾向はまだある。これをもっと多様な場に広げ、子どもたちの学びをさらに充実していくため、市区町村単位の情報を受け取るプラットフォームと、都道府県単位のネットワークを組織することにより、全体として情報が共有されるのが理想。

○ 学校現場では、地域の力を受け入れるか否かは校長の裁量。校長によっては、改善点の報告やフィードバックもなく、形だけ地域の意見を聞いたとする場合もあるため、連携が進んでいるところ、いないところの差が出ている。

○ 地域が、学校の中に組み込まれたものに対応する場合は問題ないが、地域が考えた形の中に学校を入れようとすると、学校は拒絶状態になってしまう。また、教職員の中には、地域や父兄について、自分たちに従属するという感覚をぬぐい切れていない方もいる印象がある。

○ 学校が地域の人を使うとか、学校が地域のお手伝いをするという関係ではなく、学校も地域住民(企業やNPO等幅広く含む)も、そこに暮らす人々が相互に補完しながら地域コンピテンシー(社会に貢献する態度や、地域創造に喜びと誇りを感じる能力など)をいかに高めるかが重要。

○ 子どもたちのコンピテンシーを育む上で、将来職業人として自立させるために、発達段階に応じてどういう情報を与え、どういう体験をさせるかは重要。また、生まれ育った地域を活性化したいと思う気持ちを持たせる必要があるが、学校の先生だけでは難しいことで、地域で応援するべき。また、社会人としての生活の中でコンピテンシーを育む機会が十分になかった大人に対しても、学校(大学や専門学校も含む)が力を貸すこともできるのではないか。

○ 学校を核とした地域コミュニティと言っても、小学校、中学校、高校ではレベルが全く違う。基本的に小学校という枠で考えていかないと、3つを全部一緒にして地域コミュニティと言うのは難しい。特に高校は、地域密着性という意識があまりなく、先生方の反応が薄いというのが実態ではないか。その辺をうまくサポートできる人が必要になってくる。

○ 学校が地域に求めるものが「キャリア教育についての支援」である一方で、地域の方が学校に対して支援したいと思っていることが「趣味の領域のもの(空手、詩吟、パッチワーク、陶芸)を教える」といったことであり、需要と供給がマッチしていない。

○ PTA活動を一生懸命やると、働いている会社での立場が悪くなる場合がある。PTA活動を安定感を持って行うための環境づくりが必要。地域コミュニティにおいてPTA活動が評価されるようになり、企業がサポートするようになると良いが、そうでない環境が各地にある。

○ PTAにグランドペアレンツを加えて、PGTAにすれば良い。仕事を持っている忙しい世代に代わって、高齢者に仕事をしてもらう仕組みは、高齢者のためにもなる。

○ いきなり学校ではなく、乳幼児期から戦略的・体系的に、地域全体として子どもの健全な発展を支えるというプランを考えるべき。学校とコミュニティの関係はその一環。

〔4〕 地域と共生する高等教育機関づくりの促進

○ 生涯学習に関わるのは専修学校だけではなく、大学等の他の高等教育機関も同様。

○ 放送大学の講義を、県民大学の1つのポイントとする取組が一部で始まっており、また、キャリアアップのための公開講座が都会の私立大学にはたくさんある。そうした非公式教育の学習成果を積み上げていくシステムによって、学習内容のレベルはあまり問わずにポイントを与えていく形にすると、1つのポートフォリオができあがるのではないか。

〔5〕 地域の生涯学習プラットフォームの形成とその中核となる地域の学習活動全体のコーディネーターの確保

○ 行政サービスを縮小し、地域住民の力を生かす仕組みに置きかえようという流れの中で、必要となる人材の専門力を育てる生涯学習政策を、総務省と連携して進める必要がある。

○ 地域住民自らが課題を解決していくためには、住民と学習、そして活用の場をつなぐコーディネーターが必要であり、地域の中で求められる役割・機能を果たす人材を育成する仕組みを考え直す必要がある。(当該役割を担うとして位置づけられている)社会教育主事にとらわれ必要はなく、社会教育主事、司書、学芸員、その他の地域住民が切磋琢磨しながら、その地域に必要とされている人材が活躍する方が、競争によりレベルも上がって良いのではないか。これは教育委員会で完結できるものではなく、首長部局との連携が必要。

○ 専門人材の中で弱体化が最も進んでいる社会教育主事は、競争に耐えられないのではないか。

○ 人材育成について、個人の努力あるいは個人の資質に任せる部分と、国なり県なりで考えるべき部分がある。

○ 地域のコアになる人材について、例えば博物館の職員の中に手を挙げたい者がいても、博物館館長が理解を示さない場合、活動は難しく、組織の長が理解を示すための仕組みがあると良い。また、博物館の館長というのは、現場の学芸員から上がってくる場合が少なく、行政の事務職員がなる場合が多いため、博物館の使命や役割について理解が進まない場合が多い。

○ 地域住民の活動をつなぐ官民の人材について、その質を保証するシンプルな仕組み(社会教育主事受講経歴の能力証明としての活用や、新たな資格を作るなど)が必要。

〔6〕 社会教育施設の役割に応じた専門職員のスキル向上

○ 司書と学芸員には、一定の知識量としての専門性があり、専門性が非常に見えやすいが、社会教育主事の専門性は、行政職員一般に通ずるような調整力や企画力といったあいまいなものである。そのため、社会教育主事の専門性を理論づけて、国なり、県なり、社会教育関係者なりがしっかり解説していくことが大事ではないか。

○ 図書館と博物館は専門施設であるが、公民館は総合施設であるためか、社会教育主事は行政職員に似ているところがある。

○ 専門人材がまちづくりを担うためには、意識改革が必要であり、社会教育主事や司書、学芸員等の養成課程において、生涯学習概論などの共通部分を増やしていく必要がある。また、共通の教育内容である「生涯学習とは何か」の中身について一度検討するべき。

○ 教職取得免許の基礎科目として社会教育・生涯学習に関する内容を必須とすることにより、教職員が社会教育などについて基本的な認識を持つことも必要。当面は、若年教職員の研修に、社会教育施設における実務経験を加えると良い。

○ 専門資格を取ったのに働く場がないと、評価されないことが多い。1つの職場で専門的な立場でずっと仕事をすることは、人事全体から見ると難しく、1人雇うと簡単には解雇できないため、なかなか雇用にまで踏み込めないのが現状。

○ 図書館の司書も、正職員として図書館に発令されている人数はどんどん減っている。一方で、民間委託や指定管理者という運営形態の中で雇用されている人は増えており、司書の置かれている状況は大変厳しい。そのため、自ら、存在意義や専門性を認めてもらうような努力が必要。

○ 大学で得た学芸員の資格を生かす職業に就くことが出来ていない人材が多くプールされているので、学芸員課程を地方の就業の現場と結びつけ、専門パートのような形ででも仕事ができる仕組みを検討することも必要。

○ 社会教育施設の職員の専門性のレベルアップについて、そもそも、どういう研修プログラムを提供して、どういう学習機会を提供するかをきちんと検討すべき。研修が重視されるためには、レベルに合わせたプログラムの開発や環境の整備が必要。

○ 研修について、公民館の場合、都道府県からの金銭的支援がなくなる傾向にあるために下火となっている。

○ 「日本図書館協会認定司書」では、大学院における図書館情報学関連の単位・学位等の取得によっても、認定を受けるためのポイントが一定程度付与される仕組みになっているが、科目を提供している大学院が都会に偏在している問題があり、放送大学あたりでこういった全国の司書あるいは学芸員を対象とした大学院のプログラムを開講して欲しい。

○ 社会教育主事や学芸員についても、人材育成のための大学院プログラムの検討を、放送大学あるいは図書館界も含め一緒に行うべき。

○ 社会教育主事等の人材育成が急務であり、実務経験を加味した資格の更新制度、あるいは専門職員としての認定制度等を取り入れる等の研修の充実が必要。

○ 社会教育主事について、コーディネーターの役割が強く求められるが、地域に根が張られていなかったり、地域の方々とのネットワークがない場合、資格があってもそれを生かした活動を展開できない。現場に出る前の大学でも取れる基礎資格にどれぐらいの経験(社会教育活動)や個人の資質などをプラスできるのか、制度として考えていくべき。

○ 社会教育主事の減少により、研修の充実等では立て直しができないほど地方の社会教育の推進体制は厳しい状況にある。また、社会教育主事講習での必要取得単位数が削減されてきたために社会教育主事に対する評価を低くすることに貢献してきた側面があり、その当否を検討するべきである。同様の理由から、エルネットを利用したテレビ視聴による社会教育主事講習の学習方法についても再検討が必要である。

〔7〕 地域や社会に参画する活動の希望者と学校等の活動の場を結ぶための仕組みづくりとコーディネーターの育成・確保

○ 企業と学校の関係について、企業は単に寄附をするということではなく、企業活動を通じて次世代育成支援をしたいと考えている。しかし、企業から見ると学校へのアプローチが難しい印象があり、企業と学校を結びつける仕組みがあると良い。

○ 人材育成、教育の分野に、NPOが入っていく、あるいは教育機関と一緒に組んでいくことも難しいのが現状。教育機関が中心になるのではなく、みんなで担っていくという発想に変えるべきではないか。

○ 企業や宗教関係者等の方々が、信頼感を持って教育活動の場に受け入れられるよう、信頼あるNPO等に登録した上で現場に入っていくようなワンクッション置く仕組みが必要。

○ 学校と地域との関係は、例えば校長先生次第でガラリと変わる等、人次第の状況である。そこを安定させるためのコーディネーターとして、有料ボランティアや専門職を設置することが必要。完全に無償のボランティアで安定的にやるのは難しい。また、コーディネーターは学校側と地域の側に1人ずつ置き、コーディネーター間で専門的な話をしていくことが重要。

○ 元教員のコーディネーターには良い結果を生み出している方も多いが、高圧的に自分の経験を押しつける失敗事例もある。

○ PTA経験者が、学校支援地域本部の担い手の中心となっている。ただ、PTA経験者や元教員、退職者に限定せず、外部から様々な人が柔軟に入ってくる方策を検討すべき。そのためには、学校の外の力や情報が学校に入る場を持つことが大事。

(2)ライフステージ等に応じて求められる学習環境の整備

〔1〕 成人を対象とした学習機会の充実

〔2〕 社会人等を対象としたキャリア形成のための学習機会の充実

○ 働きながら学ぶことが幅広い世代で必要になっている時代だが、例えば、企業から喜ばれる生涯学習は何かという議論が今までなかったのではないか。ここ数年低下している企業の教育力を補う方策や、新しい時代の企業人として活躍するために必要な教育について議論すべき。

○ キャリアチェンジの際に必要な能力をどこでどう学ぶのかについて、生涯学習がその機能を十分に果たしていない。高等教育機関などで新たな能力を身につけられる社会になっていない現状は問題。

○ 成人の学習活動及びキャリアアップ支援のため、高等教育機関などがさらに取組を進めるための環境整備が必要。評価や学習成果の活用も含め、高等教育の施策として位置づけるべき。

○ 高等教育機関においては、通常の学生向けカリキュラムではなく、社会人のための教育カリキュラムを設けないとうまくいかない。

○ 生涯学習において職業教育は大変重要であり、いかに職業能力を身に付け、その能力を生かした職を得ることができるかがキーとなる。そのためには、大学・専門学校等の高等教育機関が機能の向上を図り、誰もがいつでも学べる環境の整備と、学習の成果が社会的に評価され、生かせる仕組みが求められている。

○ これからの社会は、例えば役所で働いていた人が企業に行ってまた戻る、「回転ドア方式」などの多様な働き方が可能になるべきで、これに対応できる学習の仕組みをつくる必要がある。

○ どんな働き方ができるかを現場で体験するための、企業やNPOによるインターンシップ(長期にわたるもの)が必要。

○ 専修学校の場合、若者たちが目的意識を持って入学し、卒業後その関係の会社に行くから辞めない。社会人の受入れを増やした場合も同様に、卒業後の会社への定着率は高くなると思う。

〔3〕 地域や社会に参画する活動に役立つ知識・技能習得のための学習機会の充実

○ 地域住民が自ら課題を解決する力を育てるような、社会教育・生涯学習行政のあり方を地域ごとに考えていくべき。

○ ある地域の中で学習成果がどの程度生かされていっているのかについて調査しているが、ケースを分析してみると大体2つに分けられる。1つは、講義型の学習で、もう1つは、コミュニティ型で市民が仲間を集めて学び合うというもの。社会に成果を出して実際に活動を始めているのは圧倒的にコミュニティ型が多い。この違いを分析して進めて行く必要がある。

○ 地域の力を育てるという意味では、今注目されている社会起業家を教育分野でも育成する仕組みがあっても良い。

〔4〕 第二の人生の充実に資する学習プログラム等の充実

○ ある調査によれば、企業に勤めている方は55歳から図書館に行くなどして自己学習をする傾向にあり、これは、定年退職後から年金を受け取る65歳までの間に生活をするためのキャリアアップを目指してのことらしい。年代ごとに学習の目的、動機がある可能性があり、人生のステージごとに生涯学習デザインを作ってはどうか。

〔5〕 何らかの特別な困難を抱えた者に対する学習機会等の充実

○ (学習機会の充実について)全年齢層を対象に議論をするのは無理があると思われるので、社会的なニーズの高いところに絞って、行政がいかに予算をつけて育てていくのかという議論をしても良いのではないか。例えば、新卒無業者が滞留していて今後も増えそうな状況の中で、若年者が地域の適切なところで職業を見つけるための方策に焦点を当てることが考えられる。

○ 働く場所がない20代、30代の能力をどうやって育てていくかも喫緊の課題。

〔6〕 生涯学習・社会教育における遠隔学習に関する環境の整備

○ 情報化社会の新しい情報通信インフラを活用した遠隔教育による生涯学習の推進・発展の可能性についての議論は十分とは言い難い。生涯学習社会の中での放送大学の新たな役割・使命なども含めて、遠隔生涯学習の可能性について議論していただきたい。

(3)学習の質の保証・向上と学習成果の評価・活用

〔1〕 生涯学習・社会教育の分野における学習の質の保証

〔2〕 教育の質の保証の観点からの社会通信教育制度の再検証

○ 生涯学習社会づくりの上で、社会としては教育力の向上が大きな課題。この実現に向けたシステム整備において、学習サービスの質の向上が重要であるが、単に消費者意識を肥大化させるのではなく、当事者意識をいかに育成するかについても考慮する必要がある。サービスとしての考えの中に、教育をどう位置づけるかが非常に重要。

○ 質を保証しようとすると、お金がかかる。国家として、地方と連携しながらどこまで質の保証を、お金の話も含めてやるのかという基本スタンスが国・地方の両者で認識されていないと、結局、質の保証ができない。

○ 塾も含めた非公式教育は多様な分野を扱っており、個人や企業が担っている。これら非公式教育の広がりと生涯学習政策をどうつなげて展開していくべきか、とりわけeラーニングシステムと民間の多様な取組をどうつなげていくかは課題。

○ 情報通信技術について中高年においてはニーズが高いが、10代~30代の人たちは、インターネット上の情報量があり過ぎる中で、むしろ直接対面して話す中で自らの教育、学習を深めたいという意欲がある。

○ ISOは、何年もやるうちに、認証機関から認証をとるため定例的な仕事となってしまう。また、審査時だけ体裁を取り繕っている場合もあり、教育分野にISOの導入がなされる場合注意する必要がある。

○ ISOはあくまで外形的な仕組みについての標準であり、これとは別に、教育内容の質の保証の議論で必要。教育内容の質の保証は、結局は学習により得た能力に対する市場の評価であり、この市場評価をいかに見える形にするかが課題。

○ 国際基準は日本の生涯学習の実情に合わないことも考えられ、国際基準に合わせるための形式的な取組が増えると独自の良い取組が消えてしまうおそれがある。

〔3〕 学習成果の評価とその社会的通用性の向上

○ 学習成果を生かしているかどうかの実態把握が全くできていない。ある時点で横断的に、学習成果がどのように活用されているかをとらえて分析し、格差問題などの実態を診断し、診断結果をもとに、国力アップを図るための施策、方策を打ち出すべき。

○ 学習の提供者側ではなく、学ぶ側の視点で、何をどのように学び、その成果をどう活用していきたいのかに視点を置いて検討する必要がある。特に、学習成果をどのように蓄積して、それを社会で活用していくのかという仕組みづくりが遅れている。

○ 学習者の視点と言い続けてきたことは日本の生涯学習をゆがめてしまったと思っている。社会や企業が求める能力とは何かといった視点を生涯学習の中に入れることが必要であり、社会や企業のニーズと、学習者の視点とをあえてぶつける必要がある。

○ 企業や社会が求めるものは何かというアプローチであると、職業訓練の分野に入ってしまう。生涯学習についての今後の議論の方向性としては、一度、本当に学習者の立場から再構築する視点が必要ではないか。

○ 若い世代について、産業需要に方向づけていくときに学習が必要となる。産業界との接点をつくり、学びを生活に生かす仕組みづくりの中で、変化する産業界の需要の情報に合わせて学習し、若者が入っていける形にする必要がある。変化に応じて変えていけるポートフォリオ(学校、職場経験、あるいは、ジョブ・カードといった全てを取り込んだもの)を基準として、変化に対応する仕組みとしてはどうか。

○ 産業界との連携について、小学校から高等学校、大学までの学校教育におけるポートフォリオをについて、社会や産業界とのマッチングが必ずしもうまくいっていない中で、ミスマッチをした若者たちに焦点を当てて産業界との連携を考えることは難しいのではないか。

○ 高等教育機関でも、在学期間中にeポートフォリオのような取り組みの検討を始めているが、高等教育機関を出た後、それをいかに活用するかについて検討されていないという問題がある。

○ eポートフォリオについては、全国の多くの大学で、キャリアポートフォリオなどを始めており、むしろその具体的中身を個人がいかに蓄積するかが重要。行政サービスを市民が担うという方向に社会が向っている今、それぞれの地域で事情(高齢化率や地形的、交通事情など)や課題は異なり、課題解決のために求める人材も異なることから、これは自治体が中心となるべき。国は、地域ごとで必要な技術、技能、専門知識といったものを土台に集めて、生涯パスポートのような、全国的なバックアップ策を考えるべき。

○ TOEICの点数によって採用試験を一部免除する県や、単位を与える大学、不登校の子どもへの学習援助を教育援助体験として認めて単位を与える大学などがある。そうした取組をポイント制度としてまとめて、学習カードのようなものを作って証明していけると良い。

○ 学習者側としては、学習成果を証明する材料が整理されておらず、社会の側もそれを支援する仕組みがなく、かつ両者の接続が希薄である。社会側の仕組みとしては、ジョブ・カードとの連携やEU等の学習パスポートの取り組みなどが考えられるが、それだけでなく、新しい公共の担い手としての学習の評価指標についても、難しいが検討が必要。

○ 資格標準化機構という民間機関を立ち上げた。この機関では、様々な学習成果を第三者として幅広く認証し、広く社会で通用するサービスにしたいと考えている。生涯学習をコツコツ積み上げて勉強している人たちの学習成果が、その地域でしか通用しないという実態があり、これを乗り越える仕組みをつくり上げたい。

○ 各地域での通用性を広域で共通化する基盤づくりは、本来は国がすべきではないか。

○ ジョブ・カードと地域の教育の取り組みを結んでいく仕組みにおいては、学習者側が、これまでの学びや職業訓練を次の学びに活かす仕組みを求めているのに、地域の中の制度が縦割りにより上手くつながらないという問題がある。

○ 地域の人材の能力や経験等の評価について、地域で充実する事も必要だが、住居移転などにより、個人の能力や経験についての情報が途切れてしまうことも課題。

○ 分断されている学習記録を個人がつなげていく仕組みや指標がないという問題があるが、ICTの活用によってこれをつなげて、連続性やポータビリティーを持たせていくことが可能ではないか。生涯学習の記録や認証が適切に行われ、かつ、地域における就業やボランティア活動等に結びつくよう、ICTを活用したシステムの構築・整備を地域の産学官等が協力して取り組むべき。

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課(内線3273)

(生涯学習政策局生涯学習推進課)

-- 登録:平成23年03月 --