生涯学習分科会(第90回) 議事録

1.日時

平成30年4月20日(金曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 旧庁舎 6階第二講堂

3.議題

  1. 人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について
  2. その他

4.議事録

【明石分科会長】
 定刻となりましたので,ただいまから中央教育審議会生涯学習分科会(第90回)を開催いたします。本日は,お忙しいところお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 本日は,3月2日の中央教育審議会総会において行われた「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について(諮問)」,その議論の一環として,きょう,3名の方の御説明を頂きたいと思います。
 道後プリンスホテル執行役員・本部長の織田祐吾様と,那覇市の若狭公民館館長/NPO法人地域サポートわかさ理事兼事務局長の宮城潤様から御説明いただいた後,質疑応答・意見交換を行いたいと思います。
 なお,本日,報道関係者より会議の全体についての撮影・録音を行いたい旨の申出があり,許可しておりますので,御承知おきください。
 また,今回,第9期分科会に初めて御出席いただく委員の方を御紹介したいと思います。鴨木朗委員です。

【鴨木委員】
 鴨木でございます。よろしくお願いいたします。

【明石分科会長】
 鴨木委員には,島根県教育委員会で作成された,地域課題の解決に向けて,地域住民が公民館などで活用するための参加型の学習プログラムについて,後ほど御説明を頂きたいと思います。
 まず,議事に入る前に,配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 配付資料につきましては,議事次第,座席表のほか,議事次第にございますとおり,資料1-1から資料3,参考資料1から3となってございます。また,鴨木委員から御提出いただきました島根県教育委員会で作成された参加型の学習プログラム2冊を机上配付させていただいております。
 あわせて,ドッチファイルにワーキンググループ資料や生涯学習・社会教育分野に関連した答申等をお付けしてございますので,必要に応じて御参照ください。過不足等ございましたら,事務局にお申し付けください。

【明石分科会長】
 それでは,議事に入ります。議題(1)がメインでありまして,「人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について」でございます。前回の分科会に引き続きまして,諮問事項に関する審議を進めたいと思います。
 まず,本日は,事務局からワーキンググループの審議状況や分科会の審議の参考となる事項について御説明を頂いた後に,有識者のお二人に御意見を頂き,質疑応答と意見交換を行いたいと思います。
 それでは,事務局から御説明をお願いいたします。

【八木社会教育課長】
 社会教育課長の八木でございます。資料1-4を御覧いただきたいと思います。ワーキンググループのこれまでの審議状況について簡単に御報告をさせていただきます。
 明石分科会長をはじめ多くの委員の方々に御参加いただいて御協力を頂いておるところでございますが,2月9日に分科会で設置をさせていただいた後,2月22日に第1回を行いまして,3月5日,3月26日,4月16日と,今のところ計17の関係機関からヒアリングを行ったところでございます。ヒアリングについてはこの17機関をもって終了とし,次回5月14日には論点のたたき台を示したいと思っているところでございます。
 以上でございます。

【萬谷生涯学習推進課長】
 続きまして,資料1-5をお願いいたします。前回の分科会でも他省庁が実施している施策についての御発言があったことを踏まえまして,事務局で幾つかの省庁に問合せをいたしまして,それぞれの省庁が実施している支援事業のうち,社会教育にも関連し得るものについて例として資料1-5としてまとめさせていただいております。
 中身を簡単に御紹介いたします。1枚目については全体の6つの事業についてそれぞれ概要を書いておりますが,個別に簡単に御紹介いたしますと,まず,おめくりいただきまして,資料の2ページ目が地方創生推進交付金,内閣府のものでございます。資料3ページにも併せて地方創生の拠点整備交付金,これも内閣府のものでございます。いずれも手続としては,地方公共団体が対象事業について地域再生法に基づく地域再生計画を作成し,これを認定するという手続を経て交付されるということでございますけれども,実際に活用された例を4ページに幾つかまとめております。
 4ページでは,これらの交付金を活用した地域再生計画のうち,社会教育施設等に関連する例をまとめております。例えば一番上の北海道の東神楽町の例を御覧いただきますと,地区公民館の増築・改修をすることで地域住民の活動拠点や子供たちの学習の場を整備するといったことによって,地域住民の主体的な活動の場の創出につなげるといった取組でございます。また,次の岐阜県の各務原市の例は,航空宇宙科学博物館のリニューアルを契機に人材育成の取組を行うといった例。またさらに,その下,和歌山県の美浜町の例におきましては,公民館を活用・整備をして,併せてそこで関係の講座を実施するといった取組でございます。
 続きまして,5ページを御覧いただきますと,これは総務省の過疎地域等自立活性化推進交付金の中で過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業というメニューでございます。この事業の内容としては,上にありますように,過疎地等での住民の「くらし」を支える生活支援の取組ですとか,「なりわい」創出を行う活動を支援するというものでございます。
 実際の例を,6ページを御覧いただきますと,これは島根県益田市の真砂地区の例でございます。6ページの下の方を御覧いただきますと取り組む内容が書いてございまして,左側にありますように,例えば地元のJA施設を活用して,これを地元の住民が交流するスペースとして整備するという取組,あわせて,その交流スペースには住民向けのサロンの機能とか児童の学習支援機能と併せてカフェの機能もあるということで,その飲食提供に必要な知識・技術を習得するための講座を開催するという人材育成の取組も行っているということでございます。
 また,1ページ飛んでいただきまして8ページをお願いいたします。これは同じく総務省の先ほどの交付金のうち,過疎地域遊休施設再整備事業というものでございます。中身としては,過疎地域にある遊休施設を再活用して地域間交流等を図る取組を支援するというものでありまして,左側に施策の概要のところで対象事業がございますけれども,この中で教育文化施設を含む整備に要する事業も対象とされているということでございます。
 続きまして,9ページでございます。これは文部科学省の取組でありまして,「みんなの廃校」プロジェクトというものでございます。これは,廃校となった学校施設を使ってほしい自治体と使いたい企業等とのマッチングを行うということで,具体的には,文部科学省のホームページで全国の廃校の情報を紹介したり,また,廃校施設を活用した取組について活用事例集を作成したりといったことによって廃校の活用を促進するということでございます。実際に経費面の支援があるわけではないんですけれども,それについては,今,御紹介してきたようないろんな事業を活用いただくという立て付けになっておりまして,10ページを御覧いただきますと,このプロジェクトで紹介されている事例のうち,社会教育施設に転用された事例を3つほど紹介しております。例えば一番上の北海道新冠町の事例では,小学校だった施設を美術館に転用したり,また,3つ目の鹿児島県の事例ですと,小学校を公民館に転用して使っているという事例でございます。
 そして11ページでございますが,これは農林水産省の農山漁村振興交付金というものでございます。事業の目的としては,上にありますように,農山漁村における地域住民の就業の場の確保ですとか所得向上,雇用増大という取組を総合的に支援するというものですけれども,その中で,例えば普及啓発というところの中に,地域活性化対策の中で実践活動を支援するといったメニューですとか,また,下の方で定住促進の中の山村活性化対策の中で地域資源の商品化や販売促進等の取組を支援するというところが活用し得るところだと思われます。
 続きまして,12ページをお願いいたします。これは国土交通省の社会資本整備総合交付金でございます。この交付金につきましては,基軸となる社会資本整備である基幹事業というものに加えまして,右側にある効果促進事業,これは基幹事業の効果を一層高めるために必要な取組ということを組み合わせて実施することが可能だというメニューでございまして,こういった取組を通じて社会教育施設に関係する取組も可能となっているということでございます。
 続きまして,13ページでございます。これも同じく国土交通省の「小さな拠点」の形成推進に関する事業でございます。事業自体は,既存施設を活用した生活機能の再編・集約に係る改修等に対して支援を行うというメニューでございますけれども,こちらの事例として14ページに1つ,徳島県の事例を掲げております。これは,徳島県の中学校だった施設を複数の機能を持つ施設に転用したわけでありますけれども,その中で一部,右側にありますが,3階部分に公民館機能を持たせたといった事例でございます。
 以上のように,他省庁でも,もともとの事業の趣旨としては地方創生や過疎地域対策とか農山漁村の振興,社会資本整備ということであるんですけれども,その中で社会教育にも関わるような取組も可能な事業の例がありましたので,幾つか御紹介をさせていただきました。
 また,きょう,事務局の方の資料としてはその他,資料1-3といたしまして,これまでの分科会の議論をまとめたものを付けさせていただいておりまして,そこでは前回の3月の分科会の御発言については赤字でお示しさせていただいておりますので,併せて適宜御覧いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

【明石分科会長】
 両課長,ありがとうございました。
 本日は,鴨木委員,織田本部長,宮城館長から御発表いただきたいと思います。
 それでは,まず初めに,鴨木委員から机上に配付していただいております島根県教育委員会で作成されている学習プログラムについての御説明を頂きたいと思います。鴨木委員,よろしくお願いします。

【鴨木委員】
 島根県の教育長,鴨木と申します。実は臨時委員を仰せつかってもう1年以上になるんですが,初めて出席をさせていただきます。なかなか公務との調整がかなわず,こういうことになりました。できる限り分科会の審議に貢献していきたいと思っておりますが,なかなか不安であります。
 ところで,本日,参加型学習プログラムの例として2つの冊子を,少し厚めの冊子を2つ配付させていただきましたが,その説明に入ります前に,私の自己紹介というよりは島根県の社会教育行政の特徴を簡単に御説明させていただければと思いますが,よろしいでしょうか。
 幾つか特徴がありますけれども,県の教育委員会が自ら任用している社会教育主事57名,恐らくこの規模は,人口規模からすると全国の中でも都道府県教育委員会の中で突出した規模であろうと思っております。
 それから,島根県の公民館職員はものすごく元気です。やたらと元気です。全国公民会連合会の様々な研究集会などにも押しかけて発表することを喜びにしております。
 それから,実は私は今は教育長でございますけれども,島根県の教育行政に十数年前から携わっておりますが,10年ほど前に社会教育に絡んで幾つか組織改革を行っております。まず,生涯学習課というのを社会教育課に改めました。10年前です。そして,全国にもあると思いますが,生涯学習推進センターを社会教育研修センターに,これも変えました。従前の生涯学習推進センターというのは,県民の生涯学習の講座提供をするという県民にとっての学習機会の提供を目的としておりましたが,現在の社会教育研修センターは,社会教育の実践者を支援するための,特に専門性を学んでいただくための実践者向けの研修機関に改組いたしました。そして3番目でありますけれども,派遣社会教育主事制度を復活いたしました。現在,市町村教育委員会に24名の社会教育主事を派遣しております。そういうことを私自らが課長のときにやったということもありまして,私自身は教育長でありますから,バランスのとれた全体としての教育を担っていかなければなりませんけれども,社会教育に対してはとても大切なものだという認識を持っております。
 続きまして,お手元に配付しました参加型学習プログラムの御紹介を短時間でさせていただければと思いますが,本日,このような参加型学習プログラムを配付させていただいた趣旨は,こういうことです。今,学びのオーガナイザーという議論に入ろうとしておられるのではないかと思いますが,その中には,社会教育主事でありますとかファシリテーターでありますとか,様々なオーガナイザーがあるだろうということがこれまでの資料の中で触れてございますけれども,私にはこだわりがありまして,社会教育主事の専門性というのは一体何なんだろうかと。社会教育の実践者やファシリテーターと社会教育主事は同じでよいのかと,そこに非常に私自身はこだわりを持っているわけであります。本日のこの参加型学習プログラムは,実践者の方々に向けて作ったものであります。これを使って住民の皆さんとともに参加型学習をしてくださいという,それを具体的にプログラムとしてまとめたものでありますけれども,そういう実践者の方々にファシリテーターの技術を学んでいただく資料を作る。それを作り上げるのが社会教育主事なんですね。この関係が島根県の中では当たり前のように受け止められていますけれども,全国に通用する考え方なのかどうなのか,あるいは,もう社会教育主事と実践者との垣根が低くなってしまっているのか,その辺りも今後御議論いただければと思って,本日,そういう議論の参考になればという趣旨で配付をさせていただきました。
 それでは,今から短時間で2冊の表紙の裏の数ページだけ御覧いただければと思います。
 最初に,この白黒の表紙ですね,「地域魅力化プログラム」,地域の課題解決のために,住民の皆さんをどう巻き込んで,どう学んでいただくかという参加型学習プログラムですが,白黒になっていますのは,まだこれが完全版になってないからです。今,プロトタイプがようやく作り上げられて,これを現場に適用しながら熟度を上げていくという段階であります。
 表紙をめくっていただきまして,1ページのところをちょっと見ていただきますと,1ページの一番上に「『地域魅力化プログラム』開発のねらい」というのがありますけれども,「地域課題の解決に向けて,地域づくりに主体的に参画する人づくりをめざしている」という,そういう趣旨のものですね。4行目辺りに「親学プログラムの手法を地域住民の活動に生かせないだろうか」。後ほどこの「親学プログラム」についても若干触れさせていただきます。「親学プログラムの手法を地域住民の活動に生かせないだろうか」,「参加型学習を使って公民館活動を活性化したい」,「社会教育関係者の資質・能力を高めたい」,こういう目的を持って作っているプログラムであります。
 めくっていただきまして3ページ辺りには,これから社会教育の実践活動をされようとする方々に対して,そもそも参加型学習というものはこういう意図を持ったものですよということを一番上の方に箱で記しております。「参加者が受け手や聞き手として参加するのではなく,参加者同士が積極的に交流しながら,共に活動することで,自らの気づきや行動変容を促す」,こういう目的を持ってこの冊子を作っているわけですね。
 そして,同じページの一番下の方に,要するに,地域の課題を解決しようと思うと,別に社会教育的なアプローチをしなくてもいろんなやり方はあるわけです。お住まいの方同士がいろんな形で話合いをするわけです。そういう話合い,よくある普通の話合いと社会的なアプローチによる参加型学習というのはどう違うんでしょうかねということをここに書いています。話合いはいろんなところで行われます。ただ,「話合いの狙いがよく分からない」,「発言力のある人など一部の人だけが発言する」,「硬い雰囲気で意見が出しにくい」,「参加者の納得できる結果になかなかならない」。主体的な学びの場となりにくい,そういった話合いだけでは住民の認識は深まっていかないという面もあるかもしれない。ここは断言しません。あるかもしれない。そこをスムーズに乗り越えるために社会教育の専門性が寄与するのであれば,それはやはり課題解決に貢献することになるんだろうというようなことをここに書いています。
 そして,その裏には,4ページになりますけれども,「参加型学習に期待される効果」,そして「留意点」など,特にこの4ページの(3)「留意点」,参加型学習は,必ずしも万能薬ではありませんよというようなことも書いています。社会教育主事には,自らのやろうとしていることが万能薬ではないという,そういう自制心を持っている,そういう特徴があるのではないかと見ています。
 そして5ページのところを見ていただきますと,ここからは実際に実践活動をしていただくファシリテーターの心構えとして,5ページの(2),社会教育に関係する方々はよくこのことはお聞きになると思いますが,「ファシリテーターの心構え」。待つ,誘う,聴く,とける,こういうことを大切にしましょうというようなことをこのプログラムの導入部分で書いております。
 そして,具体的なプログラムは23ページ以降に掲げておりますので,またこれは,もし興味がおありでしたら後ほどお時間のあるときにでも御覧いただければと思っております。
 そして,先ほど言いました,このプロトタイプは「親学プログラム」の手法を地域課題解決に使えないかということで開発をしているわけですが,その「親学プログラム」というのはこちらになります。
 これも表紙をめくっていただきまして,3ページ辺りを御覧いただきますと,実は「親学プログラム」は第1号と第2号ともう既に2つほど完成版を作っていまして,「親学プログラム1」は,親が子供との関係性に気付くための参加型学習プログラムとして作りました。「親学プログラム2」は,親が子供との関係性だけではなく,親同士あるいは地域社会で家庭を支えよう,家庭教育を支えようとしてくださっている方,そういう地域との関係性に親が気付く。さらには,家庭の危機,家庭教育の危機と言われていますけれども,厳しい家庭を支えようとする人たちにとっての厳しさの中にある親をどう見るかという気付き,そういうものを目指していこうということで,「親学プログラム1」を少し深化させたようなものが今御覧いただいている2であります。
 そして,5ページ辺りを見ていただきますと,この「『親学プログラム2』の構成」として,5ページの中ほどから「様々なつながりをつくる」とか,「親の社会的役割について考える」とか,次のページを見ていただきますと「いじめ予防や児童虐待予防について考える」というようなかなり突っ込んだ内容を参加型でやっていこうというものになっております。
 そして7ページを御覧いただきますと,これは社会教育の世界では非常によく使われる手法でありますけれども,アイスブレイクから始まって,中心的なワークをやり,振り返って分かち合って終わるというような,そういう基本的な進行要領に沿ってプログラムを作っているという説明をしております。
 少し飛んでいただいて13ページからが,実はきょう一番お話ししたいところなんですが,この「親学プログラム2」を実際に実践者の方々,ファシリテーターの方々,適用して参加型学習を促していただくに当たって,やっぱり配慮しなきゃいけないことがありますよという注意事項を13ページ以降ずっと書いているんです。参加型学習プログラムを作って,それを現場に投げっ放しにするのではなくて,それを適用するに当たって教育上の配慮,とても注意深くやる必要がありますよというような配慮事項を書いています。またお時間があるときに読んでいただければと思います。ここが社会教育主事の仕事の本質が表れた部分かもしれないと私は見ています。
 21ページ以降には具体的な学習プログラムの詳細を付けております。
 時間の関係でさらっと眺めていただくだけでありましたけれども,こういう参加型学習プログラムを試行段階からプロトタイプから現場に適用しながら熟度を上げていく,そういう仕事というのはやっぱり社会教育主事ならではの専門性なのかなと。だから,そのプログラムを実際適用して,現場で学びや活動を生み出す実践者やファシリテーターの役割とは違ったものが社会教育主事にはあるのかなと。そういうふうなことをきょうはお話ししたくて持ってまいりました。大変重たい荷物になるかもしれませんけれども,よろしければまた御覧いただきたいと思います。
 以上でございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 ただいまの鴨木委員の御発表につきまして御質問や御意見がありましたら,机上の名札を立ててください。では,横尾委員。

【横尾委員】
 とても貴重な情報と,また,熱心な持続的な取組の御紹介を頂いて,誠にありがとうございます。実は社会教育委員さんが今後どのようにあるべきかという議論があるときに私も参加させていただいた協議がありましたが,実は私の頭の中でイメージしていたのは正にこんなことでした。ファシリテートができる,いろんなディスカッションの導き方を知っている,そしていろんな人に意見を出してもらって,それをよりクリエーティブなステージに持っていく。それができれば,特に技能がほかにあれば,もちろんそれはいいことですけれども,それ以上にそういったコミュニケーションから生まれてくるきずなとか気付きとか,また,新しい行動変容とか,そういったことが地域の活性化にもつながるし,村おこしやまちづくりにも種になっていくと思っていましたので,イメージしていましたが,このようにもう実際にテキストができ,指導要綱まででき,あとはあなたがやるしかないよという感じで,しかも,初めての方が御覧になっても非常に分かりやすい言葉とコンセプトの整理と手法の整理をしていただいているのは,とてもすばらしいなと思いました。実は開会前にちょっと座長に御挨拶に行ったら,「きょうはいいのが出ているよ,横尾委員」と言われたので,なるほど,そうかと思いました。
 また,今,続いて御紹介いただいた「親学プログラム」,正に今の親子の関係や家庭のありようとか親が子供たちにどのようなコミュニケーションをとっていくかということがとても大切な時期だと思うんですね。いろんな社会問題の根っこにも多分家族の環境があると思いますので,そういった意味で本当にきょうは貴重なものを提供していただいたので,機会があったら,是非私どもの自治体にもお呼びしたいなと思いましたので,今後,御指導をお願いできればと思っています。これはエールを込めて意見にさせていただきます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。

【鴨木委員】
 ありがとうございました。

【明石分科会長】
 では,寺本委員。

【寺本委員】
 本当にすばらしい学習支援,そして「親学プログラム」,御紹介いただきましてありがとうございます。特に私たちPTAとしては親学ということを一生懸命取り組んでいるところですけれども,こうした具体的なプログラムと実践をお聞かせいただいて,正にこれをやるしかない,今,横尾委員の言うとおりやるしかないという状態なんですが,実はPTAの役員をやったりとかするときに一番問題になるのが,特に人前でしゃべるのが苦手だとか,だからやりたくないとかいう声がやっぱりどうしてもあるのも事実でして,そういったところを解消する意味でのプログラムの運営にも多分なってくるんだろうなと。そうすると,このことによって人前に出るということが苦手ではなくなり,また,自分の意見を発表できるようになりということが,ひいては親学を通じて子供たち自身がそういったことができる大人に育っていくという意味でも,これは大変重要なプログラムだなと思っていまして,是非また改めて中身の方を御教授いただきに伺いたいなと,そんなふうに思うぐらいすばらしいプログラムを御紹介いただきまして,ありがとうございました。

【明石分科会長】
 では,続きまして関委員,お願いします。

【関委員】
 本当に島根県の社会教育主事の元気さを改めて感じたものでございます。鴨木委員,ありがとうございました。
 1点だけ御質問なんですが,この参加型の学習を活動につなげていくような何か手だて,具体的なものを講じておられるんだろうなと,島根の公民館を見て感じるんですけれども,学んだことを実践につなげていくような,そこのよきつなぎ方みたいなものがもし何かございましたら,御指導いただけたら有り難いなと思います。

【鴨木委員】
 的確な答えにはならないと思いますけれども,実は,むしろ逆に自制的・抑制的に対応するということではないかというふうに,それが私の考え方なんですね。社会教育ならではの流儀といいますか,やり方というのは,プロセスを非常に丁寧に考えるということだと思います。一足飛びに答えに飛び付かない。なぜかというと,要するに,ゼロから1を生むところに十分に時間を掛ける,そのプロセスを大切にする,これが社会教育ならではの流儀だろうと思っていまして,その間に学習に巻き込まれた方々はやらされ感から,それがもう自らの主体的な課題なのだと自分の中で消化をしていかれます。自分自身の中でその地域課題を我がごととして消化をし,そしてやらされ感でなく,それは私がやりましょう,やることに喜びを感じる。そこに至るまでのプロセスに十分過ぎる時間を掛ける。これが多分,通常の地域づくりに携わっておられる方と社会教育主事の物の考え方の差異ではないかと私は見ています。ですから,御質問に対してかえって逆の答えになるかもしれませんが,一足飛びに答えに飛び付かない。活動を生もうと無理しない。学び,気付きに十分に時間を掛けるということは,かえって本物の活動につながるというようなことではないか。そこに留意をしてこの学習プログラムは編成をしてきたつもりでおります。
 以上です。

【明石分科会長】
 では,続きまして,山野委員,お願いします。

【山野委員】
 ありがとうございました。私も島根にお呼びいただいてこの活動を見せていただいたり,この間も島根県の海士町に行かせていただいたりと,本当にすばらしいと思いました。その前提でちょっと御質問と,御意見を頂けたらと思うんですけれども,私が行かせていただいたときも,福祉部門,子育て支援とか保健所とか児童福祉部門と一緒にワークショップをされるという場面も見せていただきました。教育委員会の中だけじゃなくて福祉部門ともつながってやっておられるというところが,すごいなと思ったんです。
 それで,質問は2点あるんですけど,私は福祉の人間なので,コミュニティソーシャルワークとか地域を活性化させるという社会福祉協議会であるとか,コミュニティソーシャルワークという手法があって,そこの壁はやっぱり学校になかなか入れない。福祉の人間なので,なかなか入れないところがあります。そういう意味で,社会教育という,もちろんこの学びということも十分承知の上なんですけど,予防ということもおっしゃってくださったので,児童・生徒課みたいな,教育委員会の中で教育長でもいらっしゃるので,児童・生徒課という,いろんな課題を抱えているそこを扱う部門と予防という意味で何か連携というか,リンク,個別事例の連携ではなくて仕組みとして何か連携されているのか,あるいはそれに対してどんなふうにお考えなのかを教えていただけたらなと思いました。

【鴨木委員】
 参加型学習そのものを実践すること,そしてその先には活動があるわけですね,活動を行うこと,その部分はもう連携というのか,それはだから教育の世界だけが担うのではなく,むしろ行政でいうと知事部局,部長部局も含めて,住民の方々,あらゆる立場の方,あらゆるセクターの方々に学びも実践していただくし,活動も当然のことながら牽引していただく。だから,実践やファシリテートそのものは,これは社会教育の世界だけで閉じこもっている話ではないので,この参加型学習プログラムの実践者やファシリテーターというのは,むしろ教育委員会の外の人を想定しています。にもかかわらず,なぜこの学習プログラムそのものを教育委員会が所管した方がいいのか,あるいは社会教育主事がそれを担当した方がいいのか,それはやっぱり戦後日本の教育制度の根幹にありますレイマンコントロールたる合議制の執行機関である教育委員会がそこを大切に守るべきであるという,その原理原則だろうと思っています。気付きを促し,学び,そしてその先に動き,活動までつないでいこうと思いますと,一人一人の個人の内面に相当入り込むんです。上滑りの知識ではありません。その人の人生観,価値観まで変えていく作業になります。そういう内心に立ち入るような活動は,よほど自制的に慎重に学習プログラムを作っていかないと,これは,戦後70年,日本が積み上げてきた貴重な制度をないがしろにすることになります。したがって,プログラム編成そのものは教育委員会制度の中で慎重に慎重に,個人の内心の自由を侵すことがないように慎重に学習プログラムを編成する,それは社会教育主事の役割であろう。だけれども,それを適用して実際に社会の中で活動を生み出していく方々は,それは全ての方々でいいんだという,私どもはそういう考え方をしております。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,牧野委員。

【牧野委員】
 どうもありがとうございました。私も島根は何度か伺いまして,特に海士町や益田,浜田などもお世話になっているんですけれども,きょうお話を伺って,「あ,こういうふうになされているんだな」ということはよく分かりました。どうもありがとうございます。
 その上で幾つかお聞きしたいことがあるんですけれども,1つは,最初の「地域魅力化プログラム」ということで,参加型学習を実践者の方々が学んでいきながら地域を作っていかれるのを支援するとかプログラムを編成するのが社会教育主事の役割であるということで,よく分かったんですけど,この地域魅力化という問題と,それから社会教育ということとの関わりのようなことをもう少しお話しいただきたいなと思いましたということと,それからもう一つは,実は前回ですけれども,地域魅力化の発表会というか,自治体でやっていらっしゃることの発表会に招いていただいて加わったんですが,そのときの印象は,何となく魅力化をすれば人が集まってくるですとか,魅力のための魅力化みたいなことに議論が傾斜していくのかなという感じをちょっと受けてしまいまして,その辺りで,例えば社会教育を中心にして,今,鴨木教育長がおっしゃったように,いわゆるレイマンコントロール,合議制の教育委員会をベースにしながらプログラムを編成して,これは価値観に踏み込んでしまうことがあるので自制的にということなんですが,それを実際に例えば実施をする場合には,ある意味で首長部局といいますか,一般行政と組んで,まちづくりですとか地域活性,魅力化という形で展開していくという話になるんだと思いますけれども,そこの辺りの関係性のようなものですよね,どこまで教育委員会がある程度コントロールをしながら,だけど,一般行政と組んで地域の魅力を高めていくのか。そこに住民の方々がどうやって当事者になり,更に主人公になっていくのかという,その辺りの筋道をどうお考えなのかということを,もし何かお考えがあれば少しお聞きしたいなと思いました。

【明石分科会長】
 お願いします。

【鴨木委員】
 ただいまの御質問にお答えしますと,多分,この審議会の分科会の議論が,私なりの解釈でそれを披露することによっていろんなバイアスが掛かることを恐れますので,直接的なお答えはしたくないんです。ただ,この「地域魅力化プログラム」は,なぜ「魅力化」という名前を使っているのか,その辺りは少しやっぱり誤解のないように補足説明をさせていただきたいと思いますが,これは要するに,地域課題解決のことをあえて「魅力化」と言い換えているんですね。なぜなのか。それぐらい今,例えば島根県の過疎地域,中山間地域の地域課題というのは非常に厳しいんです。危機感があるんです。危機感に,あるいは危機感をあおり過ぎると,その重圧に押しつぶされて,住民の皆さんは身動きができなくなります。だから,その深刻な地域の課題を解決して将来展望を開いていくということを少しポジティブな表現,「魅力化」というふうにあえて表現をしているんです。ですから,「魅力化」というのは,魅力的だからいらっしゃい,いらっしゃいというような,そういうような広告宣伝の意味で使っているわけではなくて,重たい課題に押しつぶされないように頑張っていこうという意味合いを込めた表現であります。
 それから,社会教育が地域課題解決だけをやっていればいいのかということについては,もちろんそれだけではない。もう一度,この白黒の「地域魅力化プログラム」,お戻りいただいて恐縮ですけど,このような参加型学習プログラムをどういう順番で作ってきたのかという履歴を1ページの下に写真で付けていますけれども,最初は親学から始めたんです。親と子供との関係性に気付いてもらう。そして,親学2で親と親,親と地域,地域の人は親をどう見るかということに手を伸ばしました。そしてようやく今,地域課題解決の参加型学習プログラムをやろうと思っているんです。これ,実はこの順番でないといけないという理由があって,地域の問題に主体的に関わるといったって,なかなかお一人お一人の住民の皆さんにとってはハードル高いんですよ。どうやってこういった公益性の高い活動に住民の皆さんを巻き込んでいくのか。やっぱり入り口は子供,学校,教育なんです。子供,学校,教育が入り口になりやすいんです。子供のために一肌脱いでいただけませんかというアプローチは,そういう意欲を持った地域の方々を引き込みます。いきなり「地域課題解決,一緒にやりましょう」と言っても,なかなかそうはいかないんですよ。そういう経験則もあって,島根の場合には,家庭支援,家庭教育支援から始め,その次には地域課題解決に向かっているんですけれども,実は4番目に今着手していまして,4番目の人権教育です。これが一番難しいんです。これをやりたいんです。住民の皆さんの人権教育を参加型プログラムの中で実現していきたい。そのための今3つまで来ましたので,いよいよ4番目に手を掛けたいという,そういう感じなんですね。決して地域課題解決だけが社会教育のターゲットだとは思っていません。

【明石分科会長】
 あと2人,委員の方の手が挙がっておりますけれども,次の御発表の織田さんがちょっと時間的な都合がありまして,終わった後にまた意見を頂きたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは,続きまして,織田本部長から御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【織田氏】
 皆さん,こんにちは。大変すばらしい発表,事例,そして議論の後で非常にプレッシャーを受けておりますが,精一杯努めさせていただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 私,今,お話がありました中でゼロから1を生み出すプロセスに時間を掛けるといったようなこと,そして,ちょっと今,人権教育の話もありましたので,その辺りも少し,突然ですが,触れながら進めていきたいと思うんですが,きょうのお話の私のキーワードといたしましては,1つはカテゴライズ,2つ目にパートナーシップ,3つ目にトリプルウィン,この3つというのを報告の中に皆様方に少しでも感じ取っていただけるような,そういう時間であればいいかなと,また自分でハードルを上げておりますが,どうぞよろしくお願いいたします。道後では「道後よろしくお願いします」と言うんですが。
 それでは参ります。まず,スライド1の方をお願いいたします。松山市,皆さん方,どれぐらいの方,訪れていただいておりますでしょうか――あ,たくさん,ありがとうございます。松山市は人口50万を超える都市でございますが,四国最大の都市でございます。社会教育関係でいくと,公民館数,これは公民館主事を配置している館数が41,そしてコミュニティ施設,コミュニティ集会所,いろんな名称でありますが,分館と呼んでおりますが,それが335。つまり,拠点としては社会教育を進める上では進んでいるところもございます。また,松山は出湯と城と文学のまちと言われておりますように,そういったような道後温泉本館あるいは松山城,文学では正岡子規や夏目漱石,そして俳句などを軸にしながら成長してきた,成熟してきたまちでございます。あと,余談になりますが,防災士の数が最多,安全・安心という面。それから,市民1人当たりのごみの排出量が9年連続最少とか,あるいは太陽光発電システムの補助実績が中核市で最多とか,そういうふうに環境面にも注目が集まっているところであるというふうなところで,松山市につきましてイメージしていただければと思います。
 それでは,スライドの2の方をお願いいたします。これは私の経歴でございますが,経歴ごとに私もこの機会に人生を振り返ることができまして,非常に有り難い,重いテーマではありましたが,有り難い機会でもございました。御覧のとおり,教育委員会10年,経済企画庁への出向が2年,そして行政改革8年,観光戦略関係で10年,そして現在は旅館業というふうな経歴を持っております。まず,教育委員会時代でございますが,もうかれこれ30年前のことになりますので,これ,記憶をよみがえらせるのが非常に大変ではございましたが,その中で,ともすれば前例に倣った消化型の講座などが大半である中で,当時若さもあったので,何とかそこで,その地域,そのエリアを一つのモデルとなるように頑張ってみようというふうに思いを持っておりまして,取り組ませていただきました。
 たくさん紹介させていただきたい事例はあるんですが,先ほどちょっと人権の話も出ましたので,人権,その中でも啓発劇への取組というのを急遽紹介させていただければと思います。資料等はございませんが,お聞きくださいませ。
 私,社会教育の効果を上げるためには,学校における教員,そして子供,そして保護者に対してどのようなボールを投げられるか,そしてそこで何ができるかということが重要であると当時考えておりました。当時はいじめや差別によって尊い命が亡くなってきた事件が起こっているときでもありました。今も後を絶たないという痛ましいところがあると思います。そこで,私の企画というのは,小中学校で人権啓発劇に取り組んでいただきたいと。これはよくあるケースだと思いますし,たくさん事例もあると思いますが,それを自分の学校で発表していただいて,その後,それをビデオに収録してこちらに送っていただきたいと申しました。そして,その後,そのビデオを審査させていただき,そこから最優秀というモデル啓発劇というのを作り,それを教材化してまた社会教育にフィードバックしていくというふうな流れを構想いたしました。当時,人権教育というのは,同和問題とかいじめの問題を中心として,よその地域の例えばビデオ教材とか,外部から,よその地域から人を呼んで受け身の講座を中心として展開していた時代でもありましたので,何とか地域に根差した,しかも子供たちがそのメッセージをどう出せるかというところに少し事業の変化を求めていったわけでございます。
 松山市民会館というのが1,800人ぐらい入る西日本でも結構規模的には大きいところでございますが,ここ,音響設備とかそういう施設自身も結構いいと言われておるところでございますので,その子たちにどういう舞台を用意するかということについてもちょっとこだわってみました。もちろん,このことだけで結構お時間を頂いて話をしたいことがたくさんあるわけでございますが,結果から申しますと,当時,市民会館で例えばそういう研究会とかそういうことをやっておりましたが,がらがらの状態であったのが,市民会館を満席にするほどの盛況でございました。皆さん,目には涙,そして手が痛くなるほどの拍手をされておりました。子供たちが与えるメッセージというのは非常に大きいと思いますし,それを事業化する,そして学校に踏み込んで,学校における社会教育をどう展開するかということを考えるということは,非常に重要なことであると改めて経験を通して思っております。それを思い出しましたので,ちょっと冒頭に添えさせていただきました。
 スライドの方に戻りますが,経済企画庁の方では何をやっていたかというと,NPO法の制定,それから運用に携わらせていただきました。これ,本当に貴重な経験をさせていただきました。新法であり,かつ議員立法,こういう経験というのはなかなか国の方々も機会がないと言われておりましたが,本当,大変な2年間ではございましたが,その中での経験を通して,こういったような議論,例えば社会教育の議論もそうであろうと思いますが,そのときの議論として少しあればいいかなと思ったのが,中核市とかそういった地方の都市とかの実情あるいはそういう関係者との議論,この辺りが所轄庁たる都道府県,そういうところとはよく議論をされていたんですが,実際,私もしてまいりましたが,そういう実際の協働主体たる団体とふだんお付き合いをされているようなところとの議論というのが余りなかったかなと思います。それと,市の事例とかそういうものも吸い上げておられましたが,どちらかというと首都圏の市の事例,それが地方の都市の事例と少しギャップを感じたことも経験をしておりました。恐らく社会教育においても同じようなことがともすれば言えるんじゃないかなと思いまして,その辺りも添えておきたいと思います。全ての市町村となるとかなりの数になりますので,難しいところはあると思いますが,中核市ぐらいが一つの目安になるんじゃないかなと思います。
 行政改革時代,この審議会でもいろいろ議論をされてきたと思いますし,それから博物館の話につきましては事前に情報としていただいたところでありますが,私,行政組織とか職務権限を市長部局との間で見直すに当たって,これだけのことを想定して検討しました。そして,その中で特に博物館と,それから博物館以外の博物館,つまり博物館法の適用を受けていない博物館というんでしょうか,ちょっと言葉はあれですが,私たちのところには正岡子規の記念館というのが,この左側の絵でございます。右側の写真が坂の上の雲ミュージアムです。正岡子規記念館というのは博物館法の適用を受けており,坂の上の雲ミュージアムというのは,当時,松山市は坂の上の雲のまちづくり――今も続いておりますが,そのまちづくりのテーマである中核施設,そして小説『坂の上の雲』を検証する施設,さらには,松山の観光というのをテーマ性を持って観光していただくためのインフォメーションセンター的な,そういう複合的な目的を持っているということで,これ,安藤忠雄さんの建築としても評価を頂いているところがございますが,その辺りをどのように所管するかというのは,一つの議題として常に上がっていたところはございます。ただ,市民の暮らしと直結しない,あるいは実際にそれを総合的に所管した方がいいだろうとか,そういう議論もニーズもなかったというのも,これまた事実でございます。結果的には,今,子規記念博物館は教育委員会で,そして坂の上の雲ミュージアムは市長部局の方で所管をしている実態があります。その中の議論として,今度は官と民との役割分担の議論がございました。その官と民との役割分担というのは,指定管理者制度をどのような形で導入するか,その中で,国の方でも話題になっていらっしゃると思いますが,学芸員業務をどういうふうにしていくか,この辺りも実際に管理運営する立場からしてみると,官と民の役割分担の議論,行政内で首長部局なのか教育委員会部局なのかということと併せて,総合的に管理の在り方というのは考えていくべきじゃないかなとも思いました。
 それから,観光戦略と観光産業振興時代はいろいろやりましたが,これは資料編の方,後でお時間がありましたら見ていただきたいんですが,1つだけ挙げますと,修学旅行,教育旅行,これの誘致,松山はゼロだったんですが,60校の修学旅行生でにぎわうまちになりました。その中の基本的なテーマが体験・交流型の学習です。メニューと言っておりますが,やはり社会教育の中で体験・交流という一つのキーワードがあると思いますが,これをビジネス化したモデルに倣うということも非常に重要であると思います。残念なことに,この修学旅行のメニューを地元の学校がやらないんですね。これ,ほかの自治体とかでもあると思うんですが,いかがでしょうか。そこには,例えば経費の問題とか,受皿の問題とか,連携の問題とか,レファレンスの問題とかもあるのかもしれませんが,いずれにいたしましても,その辺りも少し乖離したところでそういう営みが行われて,もったいないなというふうな気がいたします。
 そして,今,旅館業です。私も本当に違和感のあるポジショニングだと思いますが,今,旅館業で,道後プリンスホテルというところに勤めておりますが,道後プリンスホテルは道後エリア最大のホテルでございまして,1日で最大で570名ぐらい収容できるところでございます。少なくとも大体100名,200名は必ずお客様がいますので,その中でやっぱり問題となっているのは,実はあそこに書いているとおり,雇用の確保,離職者を低減させる,後継者の問題,こういったことなんですね。じゃあ,これは全く異次元の話なのかと。よく産・官・学とか,あるいは企業を巻き込んだ社会教育とか,そういうテーマもあったと思いますが,やはりそちらにどう歩み寄るかということも重要な視点じゃないかなと思います。
 それでは,話を進めさせていただきますが,次の3につきましては,当時,生涯学習の実態として私が耳にしたこと,そして最近,この話を受けてから少し感じたようなことをまとめておりますので,1から9ぐらいまででしょうか,これは一般的な話として他意はございませんので,御覧いただければと思います。
 やっぱり担い手不足とか,学習ニーズ,主体性が乏しい,参加者が高齢化している,昔から公民館のお世話をされていた方,20年した今も同じ方がやっている場合も多いと。それから,学校の先生を上がった方々が公民館の役員さんになられたり,そういうふうにやっていらっしゃるケースが多いとかというのも聞き及んでおります。それから,地域の産業の振興とか雇用につながる人材育成とは別の次元の営みであるというふうに,経済界の方からも余り話題にならないというところも実は事実でございます。
 そうした中で,ちょっと事例を挙げながら話を進めさせていただきますと,松山市の基幹産業というのは明らかに観光産業でありまして,それを牽引しているのが道後の旅館・ホテルでございます。直面する大きな課題というのは先ほど申し上げたとおりでございますが,これ,もともとルーツがどうなのかということを考えると,やはり旅館業の価値とかすばらしさとか,そういうのを経験する機会が乏しい。そして,無関心層と負の広告塔,「旅館業ってこんなに大変なのよ」とか「私,旅館に勤めていましたけど,こうでした」とかいう書き込みサイト,こういうところにイメージが支配されているところがあります。
 じゃあ,視点の2のところに挙げましたが,これ,皆さん方もお近くの地域,地元の地域をイメージしながらでございますが,松山では,私,お話をさせていただくたびにこういうことを必ず申し上げます。講演の中で,私,松山に1泊2日で来た旅人を演じます。そのときに,「3か所だけ寄れるんです。3つのスポットを紹介してください」と問いますと,松山では道後温泉と松山城が必ず1位と2位を占めるんです。老若男女問わずです。3つ目がないというようなお話をされるぐらい絶対的なブランドでありながら,結局,「何がすごいか」と問うと,あるいは「それぞれにどういうイメージを持っているか」と聞くと,どちらかというとマイナスのイメージ。道後温泉の例でいくと,古いとか,湯が熱いとか,それからお年寄りがたくさんいらっしゃるとか,それからドライヤーに10円掛かるとか,夏暑いとか冬寒いとか,もうそんなようなイメージで地域の方々が世界に誇る資源について思っていらっしゃる。この辺りは,そういうことに触れ合う機会というのは恐らく学校教育の中ではない。じゃあどこでやるか,そういうところも一つの話かもしれません。
 さて,東京オリンピック・パラリンピックに向けて「おもてなし」というキーワードで誘致をされました。そして,併せてその目的的にはスポーツの振興,そして文化の振興なども組み込みながら進めていらっしゃると伺っております。例えばこのおもてなし,実際にどのような営みの中で皆さん身に付けてこられたか。実際ないんですね。宿泊施設への期待は大きくなると思います。逆に,宿泊施設を見てみると,旅館というのは学びの場であり,日本文化とかおもてなし文化の伝承の場で,ひょっとすると,ともすると,生涯学習の拠点という見方というのは成り立つんじゃないでしょうか。例えば立ち居振る舞い,言葉遣い,皆さんの周りの方々あるいは皆さんも含めていかがでしょうか。「かしこまりました」とか「いらっしゃいませ」とか「行っていらっしゃいませ」とか,1日何回も何回もこういうことを繰り返していて,だから,そういうことの基本をきちんと教えている。その中にちょっと色を変えておりますが,笑顔と挨拶,これを実践し,そして更に人の成長につなげている場というのはここにあるとも思います。
 それから,スポーツと文化ということでありますが,先ほどの松山城とか道後温泉の例にありますように,そのエリアを代表する地域資源の価値を共有して郷土愛を醸成していくという取組は,少しスピードを持って進めた方がいいかなと思うところもございます。これは,教育の世界の中でどちらかというと減点主義とか誹謗中傷というのがありますが,私どもからすると,やっぱりいいところを見付けていこう,あるいはよい行動を見付けて,それを書いて,つづって,語っていこうと。社員研修とかでやっても全然出てこないんです。そういうことに慣れてないんですね。その辺りをどう日常化していくかとか,たくさんそういうことを見付けた方へのインセンティブなども何か教育の世界で議論していただければ,ずっとそれがつながっていくんじゃないかなと思います。
 郷土愛とかおもてなし力の向上や雇用につながる即戦力というのが,私たちの緊急課題であります。社会教育とか学校教育,生涯学習,大学や専門学校の公開講座とかいろいろありますが,そういうことの進化と併せて体系化・総合化して,地域にとっても,主催者にとっても,参加者にとっても「実利」,トリプルウィンの「実利」につながるような取組というのができないものであろうかと思っております。
 最後にちょっと2事例,紹介をさせていただいて終わりたいと思います。
 まず,こちら,旅館経営の視点から生涯学習への期待ということで,このような取組があります。愛媛県の事業として,専門学校であるところが実施されております観光業界向けの就職に特化した研修でございます。これ,リーフレットを付けておりますので,大きく御覧いただけると思いますので,そちらで御確認くださいませ。これ,実態として,観光業の求職者を対象として,通常,採用後に行う研修を採用前に実施していただいています。2か月にわたる集中カリキュラムで構成されておりまして,大体19歳から64歳の幅広い方々が受講しています。これ,15名以上の募集で,それを催行の下限としておりましたが,実際のところは十二,三名しか集まってないんです。私,この講座を,大体1コマ3時間なんですが,それを4コマ持たせていただきまして,参加者にとっては,無料の学び場であり,志望の確認,旅館に勤めたいという志望を確認する場であり,そして就職を実現する。企業にとっては,志望者と即戦力を採用できる,そして研修時間とか手間や経費が節減できる。主催者にとっては,地域貢献あるいは事業費の獲得とか専門学校の知名度の向上につながる。こういったようなことを一定事業目的的に持ちながら,それを一つ一つクリアしていける,そういう事業というのは成長度が高いんじゃないかなと思うんですが,でも,実態はそういうところでございます。結果,この講座から1名の社員を採用することができました。
 最後のお話でございますが,こちら,「ふるさとふれあい塾」という講座があります。これは,学びの場というのを大学に移して,例えば学生とともに公募の市民が学んでいこうと。さらには,何回か出席をしていただくと,この場合で9回でございますが,9回以上の受講で松山観光コンシェルジェの中級という資格が与えられる。さらに,その資格を有した方が今度はボランティア活動ができる団体に登録できる。そして実際に生きがいにつなげていけるというふうなことでございます。これ,無料の学び場であり,知識の習得,郷土愛の醸成,そして活動の場,生きがいの獲得。学生はこれ,単位になります。学生と一緒になって講座を受けたり一緒に議論したりする場というのも,一つの生きがいの場としてなっているところがあると伺っています。主催者や地域にとってもこのような効果があり,間接的には企業の実利を生み出すというふうなことになっているものでございます。
 そのような中で,いろいろ時間を頂きまして貴重な中でお話をさせていただきましたが,冒頭に申し上げましたように,やはりそういうふうなカテゴライズ,こういうところの見直し,そしてパートナーというのは,やっぱりウィン・ウィンの関係,そういう中でも築かれていくところもありますし,あるいは社会教育の場をシフトすることによってより大きく向上するような,飛躍的に伸びていくような営みもあるんじゃないかなと思っております。そういったような視点から,取りとめのない話になりましたが,御紹介,御発表をさせていただきました。
 どうもありがとうございました。

【明石分科会長】
 織田本部長,ありがとうございました。
 では,織田本部長の御発表につきまして御質問や御意見がありましたら,お願いいたします。なお,本日,織田本部長は所用のため15時20分頃退席されると伺っておりますもので,御質問を早めにお願いしたいと思います。
 では,中田委員,お願いします。

【中田委員】
 貴重な御報告ありがとうございました。単純な質問なんですけれども,例えば企業内研修というものと社会教育,その関係をどういうふうに捉えられているのかというのが1点と,それから,最後の松山観光コンシェルジェ講座で大学とコラボしているというお話がありましたが,学生は単位になるとおっしゃったんですが,学生は何かの授業でこの企画に参加して,その授業とこの講座が,そうすると大学の教員の授業の一環の中に位置付いているという,単位取得の仕組みをちょっと教えていただければというのが2点目です。お願いいたします。

【織田氏】
 ありがとうございます。まず,企業内研修というふうによく言われる概念がありますが,恐らく大多数の中小企業では,従業員,社員の働く時間が皆さんずれていらっしゃいます。集合的な基本研修というのは物理的にちょっと不可能なところがあります。そこで,OJTとか,あるいは商工会議所さんなどが主催するところへ研修派遣をするとか,そういうやり方をしているところがありますが,実際のところは基本的な企業内研修というのは難しいと考えております。その中で,こちらの事例にありましたこういう事業というのは非常に重要度を増すと思うんですけれども,なかなかこれが取り立てられない現実もあります。もっと応募多数でにぎわってもいいところでありますが,それが今,現状としてはこういうところで,事業存続の危機にまで陥っているところがあるので,その辺りを総合力で,あるいは生涯学習の議論の中でもこういう題材を取り上げながら,こういう取組をどのように伸ばしていけばいいのかというふうなアドバイスなども頂くと助かるなと思いまして,この事例は紹介させていただきました。したがって,企業教育と社会教育というのは,現状,実感としては,私の中ではつながっているところはないと思っています。
 それから,大学のカリキュラムのことにつきましてはちょっと私も存じ上げておりませんが,ただ,学生は単位をもらえるということと併せて,学生がその後,ボランティアガイドの会に登録されて活動されたかということにつきましては,今,実績としては非常に乏しい状態で,大学というのは非常に大きな力,学生の力というのは大きな力である,社会教育を進める上においても,観光・まちづくりを進めるにおいても非常に大きな力があると。私たちは,松山城と道後温泉が徒歩圏にあるという強みもあるんですが,その間に大学があるんですね,立地的には。つまり,大学に例えば自転車を置いて観光してもいいぐらいの距離にあると思ってください。その大学生に,私,お話をする中で伺うんですね,「道後温泉に入ったことがあるのか」と。ほとんど手が挙がらないんですよ。寝ているのかなと思って「入ったことないのか」というふうに聞くと,それはないということでみんな手を挙げるんですね。「松山城は行ったことがあるのか」と。松山城をちょうど越えたところに繁華街がございまして,大学生の人気の1位が居酒屋で,人気の2位がカラオケボックスという,こういう中で松山城はただの通過点になっていると。お花見とかそういうときには行かれる学生さんもいらっしゃるんですが,つまり,そういう歴史的価値を知る機会を逃していらっしゃるところもあります。それをボランティア活動など実際に活動経験を持って,いずれ大阪や東京に帰ったときの広告塔になってほしいとかという願いは持ちつつも,なかなかその辺りも連動できないところが実態としてはございます。事業を継続して,「継続は力」と申しますので,是非この2つの事業につきましてはある程度やっていきたいところはあるんですが,現状としてはそういうところで御理解いただければと思います。

【明石分科会長】
 では,大久保委員,で,生重委員。

【大久保委員】
 大変興味深いお話をありがとうございました。私,仕事で観光振興に携わったりとか,あと自分自身が熱海という温泉町に住んでいまして,好きでそこに引っ越したんですけど,今,聞いたお話が私の経験とも重なるところがあって,共感するところが多かったんですが,実は旅館業で成り立っているまちなんですけれども,地元の人たちからは非常にネガティブな印象を強く持たれておりまして,私も行ってみてびっくりしたんですけど,地元の住民は家に温泉引かない人が多いんですよね。で,外から行った人間ばかり一生懸命温泉引いているという状況なので,かえって近くにいる人の方が地元産業に対して余りポジティブな印象もなければ,理解もないという状況なんです。その結果として,地元から地元産業に就職する人が少なくて,大変労働力不足に悩んでいて,それで,熱海高校という地元の高校は,これ,学校教育の話ですけど,丸々1日,高校生だけで旅館を運営するという教育のカリキュラムを入れて,今,やらせてみている。そうすると,全く旅館業というものに対する印象も変わるし,今までの学校の授業では得ることのできなかった学習をすることができるということで,大変いろいろ注目を今頂いているというような感じなので,人口減少の中で労働力が足りなくなってくると,その地元の産業が立ち行かなくなってくる。でも,地元の住民との間にすごく距離があるという,この大きな地域課題のところで,確かに社会教育のところにも展開できる一つのヒントがあるんじゃないかなと思って,これは感想でございますが,大変興味深く聞かせていただきました。ありがとうございました。

【明石分科会長】
 ありがとうございます。
 では,生重委員。

【生重委員】
 余り時間がないので,私も実は別府で温泉コンシェルジェの育成コースを大学で作り,温泉好きが高じて松山も数え切れないほど行っています。松山の教育にも実際研修等で携わったこともあって,私がお聞きしたいのは,私も同じ方向でいろんなところで動いているところがあるのですが,このえひめおもてなし科の県教育委員会の巻き込みというか,ここで見ますと,観光物産とか高等技術専門学校さんが入っていらっしゃいますけど,松山道後辺りの経営陣のお話を他者から聞くと,割と積極的に道後のよさを打ち出していこうとか,人材育成とか,そういうところもものすごく一生懸命,造り酒屋さんとか醤油蔵さんとかいろんなところもやっていらっしゃる印象を受けているんですが,片や義務教育は余りアイデンティティーを定着させるような学習には熱心に取り組んでないという印象で,もうちょっと連携していただいて,今,大久保委員が言ったような全体体験みたいなことも入ってくると,ものすごく歴史があり,なおかつすごくよい観光地というインバウンドでもこれからますます注目を浴びる場所であるのに,どうも教育との絡みがない。ただ,私,この先の展開としては,この中小企業,零細企業,それから旅館業のように本当に地元の人間が嫌って勤めないようなところに,新しい働き方と,それから社会教育とのつながりで研修が生まれていかなきゃいけないし,これはもうまごう方なきこれからの社会教育のありようの一つの方向性だと思うんです。ほかのところを巻き込んだりする県との関係性みたいなところの作り方というか,作られていくのにどのぐらい掛かったかとか,そういうことを教えていただければなと思います。

【織田氏】
 「ふるさとふれあい塾」の方は結構歴史を持つ事業でございますが,こちらはどちらかというと商工会議所の方が主導いたしまして,逆に市とか県とかが巻き込まれていったと,一緒に考えていったということでございます。その目的的には,ガイドの養成とかという目的も1つはございましたし,それから大学での公開講座というような,大学の方もその在り方というのを考えていたところもあったと思いまして,試行的にやっている取組が今続いているということで,以前はこれ,市民100名というスペース的な物理的制約がありますので,学生100名,市民100名という100名の選び方が,たくさん来られるので公開抽選,抽選の仕方が問題になったぐらいすごい人気だったんですよ。今は申し込めば来られるというふうになってはおりますけどね。その辺りで,企業を巻き込むとか経済と一体化する中においては,やはり企業側が求めているものというのも少し理解しないといけないなと,私も中小企業に勤めて初めて分かりました。それはやはり冒頭に掲げましたように,中小企業はとにかく雇用をどうするかと。社員をどのように確保していくか,そこに尽きます。そうすると,例えば生きがいづくりという中において,それがまた自分の雇用につながり,少しでも生活の足しになっていくという,働きがいと生きがいというふうなところを,旅館業というのは特に幅広い年代層に働く場があるところでございますので,そこに一定の教育的な即戦力,培ってきたものを持たれる即戦力が入っていただくことによって,より活性化していくんじゃないかなと。これ,旅館業のみならず,日本の中小企業が全て求められていることじゃないかなと思います。入ってからの研修というのはやっぱり非常に難しいところがある中での話なので。

【明石分科会長】
 では,牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
 度々すみません。とても興味深いお話,どうもありがとうございました。実は私もあちこちで地元の経済界等とも関わりがあっていろんな活動をしているんですけれども,一般的には,例えば観光地というのは,やっぱり地元の人たちがあんまり就職をしたくないような感じになっていってしまっているところが多いと思うんですね。これは,例えば私たちも関わっている北海道なんかもそうで,例えば農家さんで6次産業化がうまくいっているのに実は後継者がいないですとか,とてもたくさんあるんです。その中で,先ほどの鴨木さんの御報告にもありましたけれども,今,社会教育・生涯学習と地元の経済又は企業と,というお話がありましたが,そこを例えば地域・学校協働活動のような形でもう少し子供を入り口にしていくというか,例えば北海道で私が関わった事例としましては,小・中・高校の12年間のキャリア教育という形で地域の方々に関わっていただきながら,子供たちが様々な体験をしていく中で地域への思いを強めていくということをしていくと,実は,例えば農家の後継者がいないというのは,1つは,過去のふるさとを捨てる学力とよく言われた時期がありましたけれども,学校教育を通して,ある意味でまだ都市に出ていくことがよいことであるような価値観があったりするというのはあるんですが,もう一面で,例えば農家の方々が地元によく分かってもらっていなくて,尊敬をされていないという関係の中で,後継者が,例えば息子さんたちが嫌がるということがあったりするんですね。そこに例えば子供たちが1年間関わって農業を体験していく中で,農家さんってすごいんだよという話をうちでするようになっていくと,地元の方々が少し高くてもいいものを買おうとして来られるようになっていくということの中で,農家の方々の社会的な認知が上がっていったり地位が上がったりするということの中で後継者が育っていくということが起こったりするんですね。その意味では,例えば,ちょっと変な言い方になるかもしれませんが,学校とうまく連携をとりながら子供たちをちゃんと育てていくというところに,地域の経済の方々も関わっていただく。そして,子供たちは一面でいわゆる学力を付けていきながら,地域でちゃんと自分たちが大事にされているんだという感覚を持っていけるような,一旦出るかもしれないけれども,やっぱり帰ってきたいと思えるような子たちといいますか,何かそういうような関わり方というのがあるんじゃないかなとも思っていまして,その意味で,従業員教育というのも大事でしょうし,雇用のためにということもあるかもしれませんけれども,もう少し射程を延ばしていただくということの中で,地域で学校教育と連携をとりながら子供たちを育てていくという形で何か事業展開できると,ちょっと変な話になってきましたが,今,国の方でも進めているコミュニティスクールの話ですとか地域・学校協働活動ですとかというところと経済界と結び付いてくるのかなという印象もありまして,ちょっと感想めいた話で申し訳ないんですけれども,そんな思いを抱きました。

【織田氏】
 きょう,私もその立場に立ち切りたいなと思っていたのが,企業側がそういうアプローチをしていくということについてはもちろん重要なことであると思いますが,逆に,企業側が今やってほしいことをきちんと理解・分析しながら教育のサイドがアプローチしていくという視点も重要じゃないかなと思うんですね。それがもし私どもの取組の中で伝わることがあればというふうには思ったんですけれども,恐らく全国の中小企業の課題そのものだとも思っておりますので,その方々がいわば社会教育の担い手になっていらっしゃる方も多いんじゃないかなと思うんですね。だから,社会教育を実践する,社会教育を発展させていく立場もあるし,中小企業を経営していく立場の方もいるんじゃないかなと。それをその人の中で一体的に取り組むためには,ある程度企業側の課題に寄り添いながら,それに対して一定のウィンが見出せるような,そういうアプローチも教育サイドから具体策を提案・提起していただくといいんじゃないかなというふうなお話として理解を頂ければと思います。

【明石分科会長】
 織田さん,本当にありがとうございました。

【織田氏】
 いえ,すみませんでした。

【明石分科会長】
 なかなか得難い貴重な御意見,感謝いたします。
 では,続きまして,宮城館長から御発表をお願いしたいと思います。宮城館長,お願いします。

【宮城氏】
 ハイサイ。こんにちは。那覇市若狭公民館の館長をしておりますNPO法人地域サポートわかさ,宮城潤といいます。よろしくお願いします。きょうは,御覧のテーマでお話しさせていただきたいと思っております。先月,優良公民館表彰の表彰式でプレゼンテーションさせていただいた内容とほぼ近いので,お聞きになった方もいらっしゃるとは思いますが,この同じスライドで,2日後,相模原市で研修で発表したところ,同じ内容なのに1時間半掛かってしまったということがあって,事例がたくさんあるので,細かく説明はせずに,どんどん飛ばしていきながらやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
 若狭公民館,市立の公民館で,1階が図書館,2階,3階が公民館となっております。市内には7つの公民館がありまして,那覇市の人口32万で,若狭公民館のエリアの人口は約3万人となっております。小学校が6校,中学校2校が連携対象なので,かなり広域です。那覇市の北西にある海沿いに面した地域です。琉球王朝時代から海の玄関口として栄えた地域で,戦後の埋立て等もあって,古い文化,そして新しいコミュニティというのが混在しているような,そういう地域でもあります。
 この若狭公民館,平成4年に開館するんですが,その後,民間から公募による非常勤館長を採用したり,業務委託制度,そして今,指定管理者制度を導入しています。指定管理者であるNPO法人地域サポートわかさというのは,近隣の自治会長,民生委員の方,そして学校長だとか学校関係者,公民館の利用団体,あと近隣の施設長,地域住民などで作っている地域の方が立ち上げたNPOです。
 このNPOが立ち上がる背景としては,平成17年3月に地域づくりのフォーラムを行いました。公民館と関係団体が集まって,どのように地域づくりを進めていくか,公民館を拠点にしながらどういうことができるかということを話し合ったというのがきっかけで生まれたのですが,その背景としては,那覇市は前年度に公民館運営審議会を廃止したということがあったり,公民館の民営化というのが議論され始めていたりということがあります。なので,公民館がもし民営化された場合は,自分たちの公民館は自分たちで運営していきたい,そういった思いの中で立ち上がったということになります。
 地域サポートわかさができてから,公民館の周辺の地域の人たちとのネットワーク組織であるがために,様々な交流事業が盛んに行われます。手づくりの地域文化祭,海沿いの地域なので,海沿いにある公園を使って楽しい多世代交流の事業や,年末の美化清掃だとか新春餅つき大会とか,本当に子供から高齢者まで地域の方がつながるような,そういう取組を熱心にしていました。なので,「非常に若狭は地域づくりが活発で,公民館も生き生きしているね」というふうに行政から評価をされていたところです。
 ところが,実際,この地域の現状をデータで見てみると,自治会加入率というのが若狭公民館のある本庁地区で15.5%,つまり,未加入率が84.5%,ほとんどの方が地域に関わっていないという状況があります。自治会が活発で元気だよというふうに見えるんですが,実際には関わっている人は少ない。
 そして,高い生活保護率ですね。今,子供の貧困なども話題になりますが,この生活保護率イコール子供の貧困率ではありませんが,一つの目安になるかなと思います。結構厳しい状況があるエリア。
 そして,県内有数の歓楽街が連ねている,集中している地域でもあります。居酒屋,スナック,キャバクラ,ラブホテル,ソープランドなどがこのエリアの中にたくさんあります。
 ちょっと調べてみると,那覇市内にある夜間保育園のほとんどがこの若狭公民館エリアにあるということも分かりました。夜間働いているそういう人たちも多いなという状況です。
 それと,最近だと外国人留学生ですね,非常に増えています。特にネパールの方が多くて,今2,000人弱,この数字よりも新しい情報だと2,000人弱います。県内の留学生・外国人労働者の約30%を占めるという状況ですね。
 このエリアの課題としては,自治会活動は活発のようですが,加入世帯自体が少ない。そして,地域活動に参加する青年層が少なくて,地域の担い手に不安がある。生活困窮世帯も多くて,子供の貧困率も高い。なので,子供の多様な体験,居場所の必要性を感じています。地域につながりのない一人親世帯というのも多いです。ある学校では,半数以上が一人親世帯という学校もあったりします。外国人留学生と住民とのあつれきなどの課題も最近は出てきています。
 このような課題に対応するために,公民館としてどういうふうなことを取り組んでいくかということで考えて取り組んでいるのが,地域情報の共有化で風通しをよくしたい。そして,若者が楽しみながら主体的に関われる場づくりをしたい。子供の多様な体験と居場所が必要であろう。そして,そこに関わる大人等の多様な関係づくりですね。自治会だけではなく,枠を超えた多様な関わりが生まれるような活動が必要だろうと。また,公民館に足を運ぶことのない層への取組というのも重要だなと思っております。これらの活動をするのに公民館だけで実現しようと思うとかなり無理があるので,NPOや専門機関など多様な機関との連携が必要になってくるだろうと思って取り組んでいます。
 情報発信については,インターネットを活用したものでは,ホームページ,ブログ,ツイッター,フェイスブック,無料動画サービス,メールマガジンなどを活用してどんどん発信するようにしています。かなり積極的にやっているんですが,ただ,どんどん情報を発信しますよといっても,インターネットにある情報というのは興味・関心を持った人がとりに行かないと受け取れないので,広報紙で地道に配布するようにしています。とはいえ,自治会加入率も低いという状況だと回覧板も機能しませんし,広報紙の配布などもなかなか難しいので,学校に協力していただいて,このエリア内にある小中学校全児童生徒に配布したり,新聞の販売店にお願いして無料で折り込み広告と一緒に入れていただいたり,そういったこともして毎回9,500部発行しております。
 このような情報発信においてコンクール等でも高い評価を得ていまして,ホームページコンクールや館報コンクール,インターネット活用コンクールなどで全国1位4回,2位2回,ベスト4,1回というふうに頂いております。
 また,青年層,若者に向けた取組としては,若い人たちに「公民館どう思う?」ということを尋ねると,そもそも公民館って意識したことがないという方がほとんどです。意識したことがないのであれば,知ってもらおう。知ってもらうにはどうしたらいいか。長時間,公民館にいてもらおうということで,公民館に合宿してもらいました。宿泊施設ではないので,和室に雑魚寝という状況にはなるんですが,宿泊しましょうといっても,それだけでは来てもらえないので,面白いことがしたい,何か楽しいことを考えたいと思っている方に対して,実際,市内でいろんな取組をしているNPO法人まちなか研究所を使って,面白いプロジェクトを立ち上げているような若者を講師に招いてだとか,ミュージシャンにも講師になっていただいて,公民館でちょっと音や照明やそういったもので演出も変えて,公民館の空間もちょっとした演出でこういうふうな空間も変容するよということをインプットしながら,楽しいこと,何かできないかなというような話し合う場を作りました。
 そこで生まれてきた,出てきたアイデアで,おかず一品持ち寄りの「朝食会」という意見が出てきました。若い人たち,飲み会などあるんですけど,アルコールもないところで楽しみながら交流できる機会もあってもいいかなということで生まれたんですが,毎月1回,おかずを持ってきて御飯を食べるだけ,ほかにテーマは何にもないという,モットーは「がんばらない」というふうにしております。
 何もしないで,何も仕掛けないで,ただ場を設定するというだけでも,集まってきたら,それなりに人の交流が生まれて,いろんなアイデア,意見が出てきます。そういった中で,なかなか使われていない公園の緑地を使って何かできないかなという意見が出てきました。海沿いのなかなかきれいな公園なので,それが使われてないのがもったいないなというので生まれたのが,「100人でだるまさんがころんだ」というイベントです。公園の整備のため駐車場になることが決まっていたんですが,そのことを地域の人たちはほとんど知らない。自治会長だとか行政の方は知っているんですけれども,一般の住民は知らないという状況の中でそういう提案があったので,「実はこの公園なくなるんだよ」ということを話したら,みんなで何かしようって生まれました。ただ,何か大がかりなイベントをして人を呼んでもてなすというと運営側が疲れてしまうので,そして,ただ御飯を食べに集まってきているメンバーなので,そんなことをしたいわけではない。頑張って達成して感動して泣くということは求めていないので,自分たち自身が楽しめる,そういったものにしようということで,「100人でだるまさんがころんだ」。単純なんだけれども,規模が大きくなれば楽しくなる,そういうものです。これ,月に1回やって,平成19年度からやっているので,もう10年以上続いています。
 そうすると,今,百二十何回目になっているんですが,100回目には,じゃあ「100人で朝食会」,朝食会,100人で食べましょうというイベントをしたり,昨年度,熊本の方に行って――熊本市の秋津公民館というところが若狭公民館のまねをして「朝ごはんの集い」というのを始めたんですね。被災地,震災後の救援物資でもらったものの賞味期限が切れそうだと。賞味期限切れるのもったいないので,何かしたいということで,じゃあ,朝食会というのをやっている公民館があるんだったら,それ,まねしようということで始めたので,じゃあ,せっかくまねしてくれているんだったらということで,インターネットで熊本市と那覇市とつないで,一緒に朝御飯を食べるという会をしたりしました。
 こういった活動をしていると,もう10年以上続けているので,当初1人で来ていた方が2人で来るようになり,3人で来るようになり,4人で来るようになりということもあって,独身だった方が子育て中で,子育てに関する情報交換,「小児科の病院,どこがいいよ」,「うちの保育園はこうだけど,入学してこんなところで困っている」など,そういう情報交換が生まれたりもしています。
 このように情報発信をしたり,若い人向けの取組もしたりということでやっていると,あの公民館,ちょっと面白そうだな,何かできないかなというふうに感じて相談に来ることも増えてきています。地域の青年から,「以前,二十数年,この地域の別の公園なんですけど,小さい公園でやっていた野外上映会というもの,自分が子供の頃に経験したものがどうにも忘れられない。毎年,わくわくしてそれに参加していたんだけど,今の子供たちにも経験してほしい」ということで相談があったので,実施することにしました。いろんな機関・団体に協力していただいて,昨年6月から10月まで,夏の期間,月に1回,野外上映会というのをやったんですが,そうすると,何か楽しそうだなということで,中学生,高校生が「ボランティアで手伝いたい」って言ってきました。私たちが学校に対して呼び掛けたわけではなく,このイベントを知って自主的に関わりたいということで,1回関わると翌月も必ず来てということで,10月までやっていただきました。
 また,子供に対する取組もいろいろやっています。先ほど言ったように,公園,遊びやすいというか,すばらしい公園があるんですが,何せ歓楽街が近くて,親は「公園で遊ばないでね」と言う,そんなこともあったりして,それはもったいないなということで,じゃ,自分たちが,子供自身が遊び場を作っていくような,そういうことをできないかなというような取組を行ったり,妖怪というのを切り口に,地域の伝承を掘り起こしながら地域を知っていくような,そういう企画をしたりしています。
 放課後子供教室では,創作エイサーの活動をしていて,地域行事には欠かせない,居場所でありながら子供たちが発表する場もたくさんある,そういったことにもなっています。
 このように情報発信などいろいろ多様な取組をしていると,先ほどもお話ししたように,いろんな方がいろんな相談を持ち掛けてくるようになりました。「ELIPO」という無料英会話教室,NPO法人があって行っているんですが,中学時代,遊び型の不登校児童だった,夜間の定時制の学校に通うようになり,そこでロータリークラブがやっている留学制度を知り,留学して,きっかけがあれば学ぶことができるという体験をしている方が,沖縄の困窮世帯の状況も知っている中で,就学援助の対象世帯や一人親世帯に対しての無料の英会話教室をしたいという提案で始めた事業です。これも共催してやっています。
 あと,大学生が,3か月間なんですが,期間限定で小学生に学習支援をする取組もしています。これは単なる学習支援ではなくて,大学生はボランティアとしてではなくてインターン生として募っています。教員志望の学生が,実際,子供たちに地域で教えるという体験をしてみたいと。自分たちの教える期間は3か月なんですが,その事前研修から事後研修まで半年間ぐらい掛けて,自分たちで講師の先生を選んだり,事後研修をどうするか,そして2時間ある学習支援のうち1時間は家庭学習の支援,後半の1時間は自分たちで考えた授業を提供する,そういったことをして授業づくりもキャリア教育の専門家にやってもらうような,そういう取組をしたりしています。
 それと,こども国際映画祭というものもやっていまして,これは映画制作会社が,子供たちに,映画を通じて多様な価値観に触れ,世界を知るような,そういう場を作りたいという提案でやりました。映画制作会社なので,映画祭を作るのは自分たちのネットワーク・ノウハウでできるけれども,子供たちと関わったことがない。パートナーを探していて,若狭公民館だったら一緒にできると思ったということで,一緒に取り組んでいる事業です。第4回終了して,今度第5回,今,準備を始めています。子供たち自身がスタッフになって映画祭運営に関わります。そして,映画祭なので,グランプリも子供たち自身が審査して議論して決めるということをやっています。
 また,クラシックをやっている琉球フィルハーモニックというところがありまして,プロの演奏家たちなんですが,そこは「音楽を通した居場所づくりを行いたい」ということで若狭公民館に相談に来たので,若狭公民館のエリアを対象に,文化的な貧困ということに関して何かアプローチできないかということで,今,共催でこれも取り組んでいます。
 このような取組をしながらですが,また,先ほどの地域の課題の中では出さなかったんですけれども,海沿いのエリアなので,防災に関する意識というのが,3.11以降,非常に高まっておりまして,「地震や津波が来たらどうしよう」という声が聞こえるようになりました。それで,防災講座なども何度か実施したんですが,集まるのは自治会長,民生委員,そういった方だけということがある中で,もうちょっと違う切り口でできないかなと。防災紙芝居なども作ったんですけど,それもやりながらですが,もっと主体的にいろんな機関が関われる場を作りたいということでやったのが「リッカ!ヤールーキャラバン!」です。「イザ!カエルキャラバン!」という神戸のNPOが立ち上げたプログラムがあって,それの沖縄版として独自にプログラムを開発しました。
 あと,シングルマザー支援の取組なども行っております。シングルマザーの当事者団体と一緒に取り組んだりしています。
 外国人,ネパール人の留学生がおられるという話の中で,留学生との交流ですね。交流している中で,自主的に自分たちが公民館を活用したいという意見が出てきたりもしました。
 こういった活動をしていると,こういう声が聞こえてきました。「曙地区にも公民館が欲しい」と。というのは,那覇市,小学校36校,中学校17校ある中で公民館7館しかないんです。ということは,公民館のない地域というのも出てきて,この曙地区というのが若狭公民館エリアにあるんですが,歩いて1時間ほど掛かる非常に遠いところにあると。もう空白地帯ですね。
 そこで,じゃあどういった活動をしようかと思ったんですが,公民館を造るってなかなか難しいです。ですから,戦後,青空公民館というのが各地にあったということから着想を得て,この後ろにあるパラソルと黒板でできたテーブルを使って,これが公民館だと言って公園で公民館を作りました。パーラー公民館,移動式の公民館ですね。
 そこで多様なワークショップなどをしたんですが,このワークショップをするだけではなくて,一番大事にしていたのは,ワークショップのない日は何もしないということをしていて,何もしない中で,集まったお年寄り,子供たちが自然に交流するんですね。おしゃべりが出てくる。そのおしゃべりが出てきた中で,そこでの会話をヒントに事業化していくというか,それを紡ぎ合わせて事業を行っていくということを取り組んでいました。
 そういう中でいろんなエピソードがあるんですが,ごみの多い公園ですが,ごみ拾いを毎回していると,子供たちが手伝うようになりました。期間限定でこの取組はやったんですが,最終日は公民館の感謝祭ということで,大人チームと子供チームに分かれてゲーム感覚で清掃するということをやったりしました。
 そういうことをしていると,後日,学校に行くと,子供たちがごみを持っているんですね。「自分たちでごみ拾いをしてきたよ」と。「それを学校で分別させてほしい」ということをわざわざ自主的に行っていて,最近,公園がきれいになっているという状況があります。
 このような取組,これは期間限定で行ったんですが,行った後にどういったことが起こったのか,そして今後どのように地域の中でこの活動を継続していくのかという話合いを持ちました。これは行政からも他部署の方に来ていただいて,地域の方も含めて,いろんな機関の方が集まって,ここで行われた取組について振り返ると。
 このような取組というのは,多様な地域住民の状況を把握して,地域課題の仮説を立てる。そして,ユニークかつ創造的なプログラムで取り組むということに留意しています。
 この「企画づくりのじゃばら手帳」というのは,どういうふうに企画を考えたらいいかということを考えて,課題設定から企画して,その評価までの流れというのを整理して考えるようなものを作って,それを手帳式にできるようなものも開発したりしているところです。
 この場づくりについても,こういったまとめて参考になるようなものを今作ったりしていると。
 公民館は地域資源の宝庫でありますから,地域の魅力を引き出して,地域の方々の自治意識を育みながら,共に豊かな地域を創っていけるように取り組んでいくというのが,若狭公民館が心掛けてやっているところです。
 済みません,長くなりました。

【明石分科会長】
 宮城館長,ありがとうございました。

【宮城氏】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,関委員からお願いします。

【関委員】
 本当に楽しい,キーワードにあるような人が集まってくるような公民館だなと改めて感じました。本当にすばらしいと思います。
 1つ御質問なんですが,実際この事業,公民館の活動を進めていくスタッフ的なもの,あるいはスタッフを周りで支えるようなメンバー,そういった人はどれぐらいいて,どういうふうなタイプの人がそこに集まってきて,これをうまくプログラミングしているのか,その辺を教えてもらえますか。

【宮城氏】
 そうですね,公民館のスタッフとしては,私含めて職員は6名います。那覇市の公民館は直営の館だと5名なので,1人多いです。指定管理なので,給料はそれぞれ安い中で1人増やしているので厳しいんですが。余談ですけれども。
 周りにいる人というと,実は公民館の活動を企画するチームみたいなのがあるわけではなくて,その都度,その都度,事業ごとに集まった人たちがいます。その人たちに対しては,情報発信をしながら常に情報を投げているので,「今度,こんな企画がありますよ」と言ったら,また関わってくる,そういったことでやっています。いろんな企画が生まれるのも,私が出したアイデアというのは実はほとんどなくて,何か事業をする,楽しくて面白そうだなということを発信するということを繰り返していると,「こんなことができるんだけど,一緒にできませんか」と,そういう話があって,どんどん広がっていっているというのがあります。なので,ネパールとの交流をしますよということを発信すると,関心がある人がボランティアでぱっと集まってくると,そういう感じですね。

【関委員】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,菊川委員。

【菊川副分科会長】
 最初の御発表の中でも,社会教育主事と社会教育を実践する人は少し違うというようなお話がありましたが,本当に興味深いお話で,宮城館長さん自身はどういう経歴で,どういうキャリアの中でこういうふうなことをやられているのか。何といいますか,経歴,資質,いろんなものがおありだと思いますが,一般化できるんだろうかという興味とともにお聞きします。

【宮城氏】
 私自身は実は沖縄県立芸術大学というところで彫刻を学んでいまして,社会教育というのは全く知らずに公民館に来たというのがあります。アートの活動をしながら,面白いことができないかなということと,たまたま暴力団抗争で寂れてしまったまちで活動を開始したということがあって,地域活動と,あと面白いことをしたいということで社会的な活動が始まったのがスタートです。そういった中で,子供たちに対するワークショップとか,そういうことをしていると公民館と出会い,収入源もあんまりなかったので公民館の職員になりという感じですね。公民館に勤め始めると,公民館ってすごいなと思いました。何がすごいというと,立派な施設がある。設備もほどほどにある。そして,少ないけれども,事業費があるんですね。そして人も付いていると。何でもできるところだなって思いました。何でもできるところなのに,何か生かされていないなというのが正直思ったところです。公民館にいて,地域の方々がたくさん集まってくる。で,生き生きとしている。だけれども,とても限られた人たちだというところが問題意識のスタートというか,なので,この公民館で,ふだん見ないけれども,様々な課題を抱えていたり,面白いことをやりたいと思っていたりという人たち,たくさんいるであろうというところで,そういった人たちと何ができるかなという,そこから今の活動につながっているかなと思います。

【菊川副分科会長】
 もう1点だけですが,困難地域というふうにお聞きしておりますが,多分10年ぐらい活動されているんでしょうが,子供たちは変わりましたか。

【宮城氏】
 明らかな変化が見られる子供ももちろんいるし,とはいえ,大きく変わるかというと,次から次へといろんな課題は出てくるので,なかなか改善できないなというところは実際としてあります。ただ,この場を続けるということの意義というのはあって,例えば,先ほど放課後子供教室でエイサーをしているという,一生懸命やっていた子が,高校入学すると同時に出産しまして,高校も辞めたんですけど,その後,今,子育て中で,その子が2人子供がいて,下の子が幼稚園に入ったぐらいなんですけど,その子供たちをエイサーに通わせながら,自分もちょっと指導するとか,そういうつながりがあるんですね。このエイサーがあるとか子供たちの居場所があることによって,彼女自身の居場所もできるし,何か子育てをしながらも孤立化しない,ドロップアウトしないみたいな,そういう関係というのはできているなと。一つの事例ですけど,場を続けていくということの意義というのは感じています。

【菊川副分科会長】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 時間の関係で,あと山野委員と宮本委員でおしまいにしたいと思います。では,山野委員,お願いします。

【山野委員】
 すみません,じゃあ手短に。私も内閣府の沖縄振興局の子供の貧困事業の事業評価とかにちょっと関わらせていただいていて,公民館がすごく,きょうのお話も本当にすばらしかったですし,繁多川さんにもこの間も行かせていただいて,繁多川公民館というところなんですけど,すごい共通点をたくさん感じたんですね。なので,公民館同士の全体化するような会議体とか,みんなが同じ――先ほどどういう経緯でこの仕事をされているんですかというふうな御質問があったように,何かすごい共通項が,みんなで集まって,みんなで議論して,それが広がっていくような何かエッセンスをお持ちなんじゃないかなってちょっと思って,そこがあれば教えていただきたいなと思いました。

【宮城氏】
 そうですね,公民館としては,公民館研究大会があったり,公民館連絡協議会があったりするので,そういったつながりがあります。もちろんそことも連携しながらですが,私自身が,公民館,もっと可能性があるのに開かれていないなって思ったところがスタートだったので,3年ぐらい前に「企画づくりのじゃばら手帳」というものを作りました。県内の公立公民館の調査をしました。アンケートをしたり,ヒアリングをしたり。ここで出てきた課題として,職員が3年ぐらいで異動するだとか,それでノウハウやネットワークが蓄積できないだとか,そういった課題があったので,それを改善するためにどのような課題設定をして取り組んで,それが別の人につなげていけるか,次の職員につなげていけるかということで,「企画づくりのじゃばら手帳」というのを開発したんですね。これはモデル的に作ったものなので,販売とかはしてないんですけど,あと場づくりの手引書みたいなのも作って,こういうのは実は県内の公民館には全て配布しています,助成金をもらって取り組んでいるので。一つの珍しい事例にしたくないと思っていて,どう一般化できるかというか,皆さんと共有できるかというのをこちらも課題で発信はしているところです。

【明石分科会長】
 では,宮本委員。

【宮本委員】
 大変興味深い活動を伺ったんですが,今,幾つか出ている質問とかなりつながっていくことだと思うんですが,公民館で従来の社会教育という範囲の中でやる活動と,この若狭公民館の活動というものの違いというのは,必ずしも社会教育の分野から出てきてない。と言い切っていいかどうかは後で伺いたいんですが,そして,中心になって活動している方は社会教育を系統的に学んだのではなく,いろいろなタイプの方が,まさしく地域課題,それからその他いろいろな課題を重要と考えてアイデアを出していくうちに,こういう形でいろいろな形で出来上がっていくと,こういうタイプのもので,私自身が知っている限りでも,いわゆる社会教育の分野よりも,例えば若者支援の分野であるとか,子供の貧困の問題とか,あるいは子供・若者育成支援の分野などで,こういう形で伸びているところというのが非常に多く,社会教育の教育を受けてない方が中心でいい活動をしているという現実があるんですよね。この辺り,先ほどの島根の非常にきっちりと社会教育とは何かということの整理をされている大変興味深い活動,位置付けと,こういう全く新しいタイプ,ここら,どういうふうにして整理したらいいかというのは一つの重要な課題ではないかという感じがいたしました。

【宮城氏】
 じゃあ,それについて言うと,私は,社会教育,体系的に学んだ者ではないのですが,ただ,学びって社会生活の中で多様にあるなというのは当然ながら感じていて,それこそ社会教育であるという観点からいうと,実際,実践していく,取り組む中で学びというのはたくさんある。それを仕掛ける側が意識しているかどうかだと思っています。企画して,あ,ここでこんな気付きがあった,こんな学びがあったというのをキャッチして次につなげていくというのが,社会教育主事だとかつなぎ手はそういうことが求められるのかなと思っています。なので,体系的に学んでいるということよりも,その辺にいろんなアイデアも学びも転がっているよということをどれだけ意識できるかというところが重要かなと思って取り組んでおります。

【明石分科会長】
 宮城館長,非常に貴重な御発言,御発表,ありがとうございました。今お聞きして,宮本委員が言われたように,社教主事の底力と,社教主事を経験しないけど,伸びしろってありますね。いろんなことをやって問題に気付いて伸びていく伸びしろ,社教主事をやったから底力があって伸びしろがある人と,社教主事を経験しないんだけれども,いろんなことを体験してチャンスをもらって伸びしろが出るという,何かその辺,今後の検討していきたい大きな課題の話題提供になりました。ありがとうございました。

【宮城氏】
 はい,ありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,もうちょっとありまして,議題(2)ですけれども,「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」について,土肥課長からお願いします。

【土肥青少年教育課長】
 青少年教育課長の土肥でございます。私の方から第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」,本日,閣議決定されましたので,これについて簡単に御説明いたします。
 この計画につきましては,平成13年に成立した子供の読書活動の推進に関する法律に基づきまして,おおむね5年にわたる計画を作っているというものでございます。昨年度末に三次計画期間が終わりましたけれども,三次計画期間を振り返ってどういう状況だったかというのはその下にございますが,主な現状といたしましては,児童用図書の貸出冊数が増えた,全校一斉読書活動を行う学校の割合が増えたというような状況がございます。
 取り巻く情勢の変化といたしましては,学校図書館法の改正が平成26年にありました。学習指導要領が29年,30年に公示されました。あと,この5年間でスマートフォンが特に普及しておりまして,現在では高校生はほとんど,中学生は五十数%が持っているという状況になってございます。
 こういった状況の中で主な課題でございますけれども,そこにグラフがございますけれども,小中学校の青とか赤の不読率については大分下がってはきておるんですが,高校生が依然として50%,高校生の2人に1人は1か月に1冊も本を読まないという状況でございますので,この高校生の不読率に着目いたしまして我々の方も分析をいたしました。
 その下が分析でございますけれども,高校生で本を読まない人たち,おおむね2種類に分かれると考えておりまして,1つは,そもそも中学生になるまで読書習慣の形成が不十分で,そもそも中学生まで余り読んでいないグループと,あと,中学生までは読んでいたんですけれども,高校生になると学校が忙しい,部活が忙しい等々の理由により相対的に読書の関心が下がっているという,2つのグループがあるということがアンケート調査などによって分かったところでございます。あと,先ほど申し上げているようにスマートフォンが普及しているということがありまして,それも考えなくてはいけないということであります。
 それで,右の方に行っていただいて計画改正の主なポイントということで,そもそも読書習慣のない方々には,やはり乳幼児期から地道に発達段階ごとに読書に親しむようなものをやっていかなくちゃいけないということが1点目でございます。2点目は,高校生になり,読書の関心度合いが下がった人たちにどうするかという話なんですけれども,最近,多くの地域でやられるようになってきておるんですが,親とか先生の言うことはなかなか聞かない世代になっておりますので,友達同士で薦めるのがいいのではないかということが有識者の方々からもいろいろお話がございまして,読書会,図書委員,ビブリオバトルといった,そういった友達同士で本を薦めるような取組について進めていくというのが2点目でございます。あと3点目は,スマートフォン,プラスの面とマイナス面があると思いますけど,プラスの面といたしましては,電子書籍みたいなものが使えるようになると。マイナスの面といたしましては,スマートフォンを使う,現在,高校生は1日3時間ぐらい使っておりますので,そういったマイナスの面もあろうかと思いますけれども,我々の方もその辺の分析がまだ十分ではないので,この5年間の計画期間内にそういったことを実態を把握しつつ分析して,アクションを起こしていこうということを考えております。
 その下の推進体制につきましては,市町村・都道府県・国,それぞれの役割を果たすということなんですけれども,民間団体・民間企業等,市町村教育委員会だけじゃなく市長部局もそうですし,様々な団体と連携して取組を推進していくことが重要だと考えてございます。
 めくっていただいて裏の部分ですけれども,ポイントは今申し上げたとおりなんですが,家庭,学校,地域,それぞれの場で取組を進めていくことが重要だと考えております。
 家庭につきましては,読書習慣付けの基礎となる部分でございますので,最近ではブックスタート,家読という活動が割と一般化しておりますので,そういったものを進めていくというのが家庭でございます。
 学校につきましては,基本的には学習指導要領を踏まえた読書活動を推進していく,一斉読書を行っていく,学校図書館については整備5か年計画がありますので,それに基づいて図書標準の達成,司書教諭・学校司書の配置の促進といったことをやっていくということとしております。
 地域におきましては,図書館が未設置の市町村における設置,図書館の資料,施設等の蔵書などの充実,読み聞かせなどといったようなことをやることを計画の中に盛り込んでおります。
 その下は子供の読書への関心を高める取組ということで,先ほども申し上げたとおりでございまして,それに加えて,従前からですけど,民間団体の活動の支援,普及啓発活動というものをやっていきたいと思っております。
 今回,これができましたので,これを都道府県・市町村と共有しながら,国全体として読書活動を進めていくということについて引き続き取り組んでいきたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,引き続きまして,文部科学省で開催された有識者会議において,「学びを通じた女性の社会参画(中間まとめ)」がまとめられましたので,事務局から御報告をお願いしたいと思います。

【中野男女共同参画学習課長】
 失礼します。資料3でございます。ただいま分科会長からございましたように,有識者会議,昨年から御審議いただいておりまして,「学びを通じた女性の社会参画」の中間まとめという形でおまとめいただきましたので,御報告をさせていただきます。
 1枚目が概要で,2枚目以降が本文でございますが,お時間ありましたら本文の方も御覧いただければと思います。
 2.の「女性のキャリア形成・社会参画に関する学び」のところにありますように,学びを通じた女性の社会参画,「女性のキャリア形成・社会参画に関する学び」といたしましては,いろいろな学びのステージがあるんですけれども,こちらの中間まとめでは,出産や育児等によって一旦職を離れた離職者の方が再就職に向けて学びをするといったところを中心に御議論を頂いております。
 1.の「現状における課題」に戻りますけれども,女性の就業状況として,結婚・出産を経てもお仕事を続ける方というのが近年増えてはおりますが,現状としてはまだ,第1子出産に際し,2人に1人が離職をしているという状況でございます。
 そういうこともありまして,右側の労働力調査のグラフですけれども,いわゆるM字カーブということで,年齢・階層別の労働力をグラフにしますと,子育て期に一旦下がるということになっております。一方,緑の線が就業希望者を足したものですけれども,労働力率として,求職活動をしている,あるいは実際に労働しているという方ではないけれども,就業を希望している方というのがこの赤と緑の差で262万人いらっしゃるということで,求職活動をしていない理由別で見ますと,やはり出産・育児のためというのが多くなっているということでございます。一方で,将来,日本では生産年齢人口の減少ということが言われておりまして,既に一部の企業では人手不足感が強まっているということで,この262万人が我が国最大の潜在力ということで,女性活躍への期待が高まっているということです。ただ,出産・育児等によってブランクがある女性につきましては,社会参画といったときにやはり不安があるということで,それを後押しする「学び」の必要性があるということでございます。
 3.の「具体的方策」のところですけれども,この緑から赤の矢印で,学びを通じた再就職ということで,学びの場への誘導,自己発見・キャリアプランニング,マインドアップ的なところでございます。それから就業に向けた具体的なスキルアップの学びですとかインターンシップ等の実践的な学び,そして就業支援,それからフォローアップということで,それぞれの段階ごとの留意点ですとか方向性について中間まとめではおまとめいただいておりますけれども,それらを一気通貫で学びの入り口から出口まで切れ目のない寄り添う支援を行うことが重要とされております。ただ,いろいろな地域ではいろいろな活動をしている,例えば男女センターですとマインドアップに力を入れていたり,スキルアップのところは専門学校であったりとか,今後,大学リカレントということも期待されておりますので出てきますが,1つの機関が全てを担うというのはなかなか難しいところがございますので,地域連携の例えば実行委員会を設けるといった形で,連携してワンストップの支援をしていくことが重要であるということも併せて御提言を頂いております。
 また,先ほどの5段階の中で特に学びの場への誘導のところですね,実際,子育ても一段落して,自分の人生はこのままでいいのだろうかとか,人生100年時代と言われているけれど,何年後にどうなっているのだろうかという,社会参画もやりたいと思いながらなかなか一歩を踏み出せず,いわゆる「もやもや女性」に対して,きっかけとなるような情報をアウトリーチ的に届けていくというふうなところの重要性が言われておりまして,そこに書いているような情報提供の場なども活用して,そこに届けて,まずその一歩を踏み出していただくというところも重要ということで,この辺りがなかなか今までできていないところですので,今後,更に検討を進めていきたいと思っております。また,文科省におきましても,こういった御提言を踏まえて,モデル的にこういう実行体制を作っておりますので,検討を進めてまいりたいと思います。
 以上でございます。

【明石分科会長】
 課長,ありがとうございました。
 それでは,ちょっと時間をオーバーしましたけれども,最後に事務局より連絡事項をお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 本日の資料につきましては,机上に置いていただけましたら郵送させていただきます。
 また,次回の開催日時につきましては,別途,事務局より御連絡をさせていただきます。
 以上です。

【明石分科会長】
 では,以上をもちまして,本日の生涯学習分科会はこれにて閉会いたします。本当にありがとうございました。

―了―

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課

電話番号:03-5253-4111(内線3273)
ファクシミリ番号:03-6734-3460
メールアドレス:syo-bun@mext.go.jp

(生涯学習政策局生涯学習推進課)