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生涯学習分科会(第80回) 議事録

1.日時

平成27年12月14日(月曜日)10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省15階特別会議室

3.議題

  1. 学校地域協働部会等の答申案について
  2. 社会教育主事講習の見直しについて
  3. 第2期教育振興基本計画のフォローアップについて
  4. 「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策-成長と分配の好循環の形成に向けて-」について
  5. ユネスコ学習都市に関するグローバルネットワークについて
  6. その他

4.議事録

【明石分科会長】
  ただいまから第80回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。本日はお忙しいところお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
  本日は,「学校地域協働部会等の答申案について」,「社会教育主事講習の見直しについて」,「第2期教育振興基本計画のフォローアップについて」を御審議いただくとともに,その後「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策-成長と分配の好循環の形成に向けて-」と「ユネスコ学習都市に関するグローバルネットワークについて」の御報告していただきたいと思っております。
  では,事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【竹下生涯学習推進課課長補佐】
  それでは,お手元の資料を確認させていただきます。座席表,議事次第,及びお手元の議事次第に記載されております資料,資料1-1から資料5まで配付させていただいてございます。
  具体的には,資料1-1が学校地域協働部会の答申案,資料1-2がそれに係る参考資料,資料1-3が答申案のポイントとなってございます。
  続きまして,資料2-1が「社会教育主事講習の見直しについて」に関しての資料,資料2-2がイメージ図,資料2-3が報告の目次のイメージ案,資料2-4が「今後の主な予定」となります。
  資料3-1からが教育振興基本計画のフォローアップ関係の資料となります。資料3-1が主な指摘事項に対する回答,対応策となります。資料3-2が基本施策のフォローアップ,生涯学習関連抜粋版となります。資料3-3が成果指標のフォローアップの生涯学習関連抜粋資料となります。続きまして,資料3-4が第1回教育振興基本計画部会での指摘に対する回答をまとめた資料となります。
  続きまして,資料4が「一億総活躍社会の実現」関係の資料となります。資料5が「ユネスコ学習都市に関するグローバルネットワーク」に関する資料となってございます。

【明石分科会長】
  それでは,議題1に入りたいと思います。本件は,前回の生涯学習分科会で,「学校地域協働部会等の審議のまとめについて」という形で,10月に御報告させていただきました。このたび,私が部会長を務める学校地域協働部会の答申案を取りまとめておりますので,御審議をお願いいたします。
  なお,この答申案につきましては,初等中等教育分科会地域とともにある学校の在り方に関する作業部会とともに取りまとめたものでございます。
  それでは,最初に事務局から御説明をお願いいたします。

【谷合社会教育課長】
  今,明石分科会長から御紹介ありましたとおり,本答申案につきましては,前回10月9日の生涯学習分科会で一度,「審議のまとめ」という形で説明をさせていただきました。そして,学校地域協働部会と地域とともにある学校の在り方に関する作業部会の合同部会において,答申案としてまとめられたものでございます。今後は,来週予定されております中央教育審議会総会におきまして,答申される予定のものでございます。
  それでは,本日は,前回,2か月前から変更になりました点を中心に,ポイントを絞って御紹介をさせていただきたいと思います。
  全体構造ですが,章立て等は変更されていませんが,この答申案全体を通しての見やすさを考慮いたしまして,節ごとのポイントとして,冒頭に四角囲みでその節に書いてある内容を要約したものを置いております。そしてまた,全体的に少し分量が増えたので,できるだけ事実関係等については注釈に落として整理をしております。
  第1章,2ページからが,「時代の変化に伴う学校と地域の在り方について」という,いわば本答申案の総論に当たる部分です。
  第1節が,「教育改革,地方創生等の動向から見る学校と地域の連携・協働の必要性」です。3ページの21行目から,「(家庭教育が困難な現状等)」という部分があります。この答申案では,地域と学校の連携協働ということがメーンになっていますが,当然,家庭教育についても重要なものですので,家庭教育に関する記述を充実しております。22行目で,「家庭教育は全ての教育の出発点であり,子供たちが基本的な生活習慣・生活能力,人に対する信頼感,豊かな情操,思いやりや善悪の判断等の基本的倫理観,自立心や自制心,社会的マナー等を身につける上で重要な役割を担っている」と記載しております。
  そして,31行目ですが,「こうした観点からも,学校と地域の連携・協働を一層進める」と家庭も含んだ意味で書いて,その重要性が増しているという記載にしております。
  家庭教育については,第3章以降でも随所に記述を盛り込んでおります。
  続いて,9ページの21行目からが第2節,「これからの学校と地域の連携・協働の在り方」という部分です。11ページの「(3)学校を核とした地域づくりの推進」の部分については,地方創生の観点を記述すべきという御意見を頂いております。このため,「地方創生の観点からも」と7行目から記述しております。例えば13行目の部分でございますが,「地域住民が学校を核とした連携・協働の取組に参画することは,高齢者も含めた住民一人一人の活躍の場を創出し,まちに活力を生み出す。さらに,地域と学校が協働し,安心して子供たちを育てられる環境を整備することは,その地域自身の魅力となり,地域に若い世代を呼び込み,地方創生の実現につながる」という記述を追加しております。
  そして,公民館も非常に重要な拠点であるという御指摘も頂いておりますので,23行目から「地域によっては,公民館等の社会教育施設を一つの拠点として,高齢者の健康維持や文化の伝承等の地域課題に関わる社会教育活動を,住民が主体となって活発に行っているところもある。学校という場を地域の人々が集い,学び合う場としていくだけでなく,このような拠点が学校とつながり,双方向の関係を持つことも有益である」という記載をしております。公民館につきましては,第3章以降においても必要な記述を追加しております。
  そして,13ページからが第2章,「これからのコミュニティ・スクールの在り方と総合的な推進方策について」です。ここの部分は,初等中等教育分科会の下の地域とともにある学校の在り方に関する作業部会で議論されておりますので,本日は御説明を省略させていただきたいと思います。
  44ページからが第3章,「地域の教育力の向上と地域における学校との協働体制の在り方について」です。この第3章が主として生涯学習分科会の下の学校地域協働部会で議論された部分になります。
  49ページの21行目からが第3節,「地域における学校との協働体制の今後の方向性」です。ここで,ポイントという形で内容を整理しております。必ずしも変更した部分ということではありませんが,この第3章のポイントとなる部分ですので,確認の意味も込めまして,もう一度御説明をしたいと思います。
  22行目からの「【ポイント】」ですが,キーワードといたしまして,「『支援』から『連携・協働』,『個別の活動』から『総合化・ネットワーク化』へ」ということを掲げております。そして,「地域と学校がパートナーとして,共に子供たちを育て,共に地域を創る」こと。「地域と学校が連携・協働して,地域全体で未来を担う子供たちの成長を支えていく活動を『地域学校協働活動』として,その取組を積極的に推進」すること。「従来の学校支援地域本部,放課後子供教室等の活動を基盤に,『支援』から『連携・協働』,個別の活動から総合化・ネットワーク化を目指す新たな体制としての『地域学校協働本部(仮称)』へ発展」していくこと。「地域学校協働本部(仮称)には,1,コーディネート機能,2,多様な活動,3,持続的な活動の3要素が必須」であること。「地域学校協働本部(仮称)の実施を通じて,教職員と地域住民等との信頼関係が醸成され,コミュニティ・スクールの導入につながっていく効果も期待される」こと。「地域学校協働活動の全国的な推進に向けて,地域学校協働本部(仮称)が,早期に全小・中学校区をカバーして構築されることを目指す」こと。こうしたことがこの第3章のポイントでございます。
  修正部分は51ページでございます。1行目,「(2)地域学校協働本部(仮称)の在り方」ですが,今回この地域学校協働本部(仮称)を新しい概念として掲げていますので,そもそもこの本部がどういうものなのかという点について御指摘を頂いています。3行目ですが,「地域学校協働本部(仮称)についての特徴は,社会教育のフィールドにおいて,地域の人々や団体により『緩やかなネットワーク』を形成した,任意性の高い体制としてイメージされるものである。一方で,より多くの,より幅広い層の地域住民が参加しやすい,つながりの緩やかなものではあるが,参加者の世代交代等も経ながら永く持続していくものでもある」という形で,まずイメージを書いております。
  先ほど申しました必須の3要素というのが13行目から15行目,マル1,マル2,マル3と書いています。こうした形で,地域学校協働本部(仮称)について記述を追加しています。
  従来の学校支援地域本部との関係についても御指摘を頂いております。これについては29行目ですが,「地域によっては学校支援地域本部が既に設置され,中心となって,地域と連携した学校支援活動を展開している場合がある。このような場合においては,学校支援地域本部の機能を基盤として,引き続きその活動を発展させながら,徐々に,1,コーディネート機能を強化し,2,より多くの,より幅広い層の活動する地域住民の参画を得て,活動の幅を広げ,3,継続的な地域学校協働活動を実施していくことで,地域学校協働本部(仮称)へと体制が発展していくことが期待される」,すなわち,従来の学校支援地域本部を基盤として新たな地域学校協働本部(仮称)へと発展していくものであるということを明らかにしています。
  52ページでの12行目からですが,コミュニティ・スクールとの関係についての記述を追加しております。「地域学校協働本部(仮称)の整備を推進する際には,同本部とコミュニティ・スクールとの両者が相互に補完し,高め合う存在として,両輪となって相乗効果を発揮していくことが必要である。両者の一体的・効果的な推進の在り方については,第4章で述べる」としております。
  続きまして,54ページの23行目です。ここの部分は,社会教育委員との関わりについて触れているところです。「このように,都道府県や市町村の教育委員会において,地域学校協働活動の推進に関する方針を検討する際には,地域の社会教育に関する諸計画の企画・立案,職務に必要な調査研究を行う等の職務を担う社会教育委員に意見を求めたり,調査研究を依頼したり,地域学校協働活動の推進に関し識見を有する者の協力を得て検討を進めていくことも有効である」という形で追加しております。
  続きまして,55ページの第4節,「地域における学校との協働のための取組の推進」です。ポイントの最初のひし形に書いているように,「地域住民や学校との連絡調整を行う『地域コーディネーター』及び複数のコーディネーターとの連絡調整等を行う『統括的なコーディネーター』の配置や機能強化が必要」としております。先ほどの地域学校協働本部(仮称)が言わば体制とすれば,ここではその体制の中心を担う人材について触れている部分です。
  一つが地域コーディネーターですが,様々な活動を,主として学校区の単位で展開しているケースが多いです。今回,新たに提案しているのが統括的なコーディネーターですので,こちらについて少し記述を追加しております。
  具体的な記載は57ページの27行目からですが,「統括的なコーディネーターの役割は,地域や学校の実情・特色に応じて様々なケースがあり得るが,主として,地域学校協働活動の未実施地域において新たに取組を開始する際に,地域学校協働本部(仮称)の立ち上げやそれぞれの定着の度合いや実情に応じた,地域学校協働について助言や先行事例の提供」をする。「その経験を生かして,市町村・都道府県が実施する研修・説明会等の調整,講演など,地域コーディネーターの育成,候補人材の発掘・確保の支援」を行う。こういった役割を明確にしています。
  続きまして,60ページをお開きください。「(3)幼稚園,高等学校,特別支援学校,高等専修学校の特性を踏まえた取組の推進」です。
  本答申案は,主として,小学校及び中学校を念頭に記述している部分が多いのですが,31行目にありますように,「学校種の特徴を生かしつつ,幼児・児童・生徒の発達段階等に応じて,地域における学校との協働体制を構築する必要がある」としております。
  とりわけ,高等学校について記述を充実しております。具体的には,61ページの2行目からです。「高等学校等については,今後望まれる授業改善の視点である『アクティブ・ラーニング』の有効な展開の観点からも,地域学校協働本部(仮称)との連携・協働体制の構築を進めることが重要である。こうした体制構築が進むことにより,高校生等が地域の商店街,企業,NPO等の団体,地方公共団体等と連携し,地域課題の解決に参画する取組が進めば,キャリア教育の推進や地域貢献にもつながるとともに,地域に愛着を持ち,自分が学んだ地域で働きながらその地域を活性化していくことにつながっていくことも期待される」といった記述を追加しております。
  続きまして,62ページの第5節,「国,都道府県,市町村による推進方策」です。こうした新たな地域と学校の協働を進めていくために,国,都道府県,市町村がどういったことをする必要があるかということを記載している部分でございます。
  まず国ですが,63ページの19行目中ほどからですが,「国は,都道府県や市町村において地域学校協働活動を推進するための体制整備その他の必要な施策(例えば,地域学校協働本部(仮称)等の体制の整備,コーディネーターの配置,地域住民に対する地域学校協働活動に関する情報提供や理解促進等)を図っていくことについて,法令若しくはガイドライン等において明確にすることが必要である」。これによって,基本的枠組みといったものを整えていく。これが国の役割であるとしております。
  そして,都道府県,市町村の役割ですが,65ページの8行目に,都道府県・市町村の役割と推進方策の記載があります。具体的には,66ページからですが,まず都道府県の役割と推進方策として,一つ追加をいたしましたのが15行目からでございます。「特に都道府県教育委員会の重要な役割は,域内の市町村における地域学校協働活動の推進を広域的な観点から支援することであり,当該都道府県における子供たちの成長や地域づくりのビジョンに基づき,地域振興,社会福祉,医療,防災等を担当する首長部局とも連携・協働しつつ,域内の市町村における取組を広域的に支援する」。首長部局との連携という部分について,これも委員からの御指摘があった部分を踏まえ,追加しています。
  次の67ページですが,市町村の役割と推進方策の中で11行目に,「地域振興,社会福祉,医療,防災等を担当する首長部局とも連携・協働しつつ」という部分を追加しております。
  続きまして,68ページです。第4章は,第2章で述べたコミュニティ・スクールの推進と,先ほど御説明した第3章,地域と学校の連携・協働の記述も踏まえまして,その両者の一体的・効果的な推進の在り方について記述した部分です。
  3行目からの「1,コミュニティ・スクールと地域学校協働本部(仮称)の関係の在り方」については,27行目に「それぞれの地域や学校における事情や背景により,コミュニティ・スクールや地域学校協働本部(仮称)の整備状況等は異なるものであるが,全国どの地域においても子供たちが地域の協力を得て成長していくことができるよう,それぞれの地域において,その実情に即してコミュニティ・スクールと地域学校協働本部(仮称)の両者が整備され,両輪となって,学校と地域との連携・協働が推進されていくことを目指していくことが重要である」としております。
  そして,69ページの23行目の「2.両者の一体的・効果的な機能の発揮のための方策」です。こうした両者が一体的・効果的に機能を発揮するために,どういう方策が必要かということについては,37行目ですが,「地域学校協働本部(仮称)において中核となる地域コーディネーターあるいは統括的なコーディネーターが,学校運営協議会の委員として地域における学校支援や学校運営に関する協議に参画したり,学校運営協議会の委員が,地域学校協働本部(仮称)における企画調整に携わったりするなど,それぞれの経験や考え方を,お互いの発展のために生かす人的配置の工夫も有効である」としています。
  そして,70ページ6行目です。最後の部分ですが,「今後,コミュニティ・スクールと地域学校協働本部(仮称)が両輪として共に一体的・効果的に機能を発揮していくよう,国は,地域や学校の実情や特色に応じて,両者の整備状況,発展段階,運営,連携体制,人的配置等には様々なケースが在り得ること,学校現場において,教職員が子供と向き合う時間を確保するための配慮が必要であること等を十分に認識しつつ,一体的・効果的な推進のイメージや両者が円滑に機能している実例を,都道府県・市町村の教育委員会,学校,地域学校協働本部(仮称)の関係者等に情報提供・発信することにより,その取組の促進を図ることが必要である」と締めくくっております。前回の分科会でも,こうした情報提供・発信ということの重要性が指摘されていることを踏まえての追加でございます。
  最後になりますが,71ページです。「おわりに」という部分を追加しました。特に御紹介したいのが,最後の28行目からのパラグラフです。前回の分科会でも子供の未来を見据えた文言を充実すべきとの御指摘も頂いています。「誰かが何とかしてくれる,のではなく,自分たちが『当事者』として,自分たちの力で学校や地域を創り上げていく。子供たちのために学校を良くしたい,元気な地域を創りたい,そんな『志』が集まる学校,地域が創られ,そこから,子供たちが自己実現や地域貢献など,志を果たしていける未来こそ,これからの未来の姿である。このような未来を創り上げていくために,本答申(案)の内容が速やかに実施され,国民一人一人がその理念を共有し,手を取り合い,行動していく一助となることを切に希望する」という形で,この答申を締めくくっています。
  私からの説明は以上です。
  引き続いて,初等中等教育局の方から追加で御説明があります。

【塩崎参事官(学校運営支援担当)】
  初等中等教育局参事官の塩崎でございます。資料1-3という,ステープラ留めの資料を御覧ください。最後のページに今回の答申についての「学校と地域の効果的な連携・協働と推進体制」のイメージ図があると思います,これについて,地域とともにある学校の在り方に関する作業部会,それからまた,中央教育審議会総会において,この答申の内容と,別途初等中等教育分科会の下で議論が行われています「チームとしての学校」とはどういう関係になっているのかというような御意見を頂きました。それを踏まえて,資料1-3の下にある1枚紙のカラー刷りのスライドで御説明したいと思います。
  まずオレンジ色で,「チームとしての学校」と書いてあります。「チームとしての学校」の概念ですが,学校が抱える多様かつ困難な問題に適切に対応していくために,専門家や専門機関と連携・協働する体制を整備し学校の機能を強化する。それにより,教職員一人一人が自らの専門性を発揮するとともに,その専門スタッフ等の参画を得て,課題の解決に求められる専門性や経験を補い,子供たちの教育活動を充実させていく。そういった学校であるということが答申案の中で言われております。
  そして,そのチーム学校の具体的な考え方として資料の左上のところに「チーム学校」の理念と書かれています。必要な教員に加え,多様な専門性を持つ職員の配置を進め,校長のリーダーシップの下にカリキュラム,日々の教育活動,学校の資源が一体的にマネジメントされ,教員と多様な専門性を持つ職員が一つのチームとなり,それぞれの専門性を生かし,連携,分担をして対応していくということが求められているというふうに記載しております。
  そして,チームとしての学校を機能させるために,ということでこの「チーム学校」の図の中に多様な人々が書かれています。校長を支える副校長,教頭や主幹教諭,事務長とともに組織的に学校経営を行うことができるような体制の整備も必要であると記載されております。
  その上で,地域との連携・協働の在り方として,学校と地域はパートナーとして相互に連携・協働していくことが重要であり,地域コーディネーター,地域住民等の参画によって,社会総掛かりでの教育を実現していくことが必要であることを記載しております。具体的には,図の中の「チーム学校」のこの四角の括弧の中,赤い波線で書かれている「チームとしての学校」と地域との連携を強化していくために,仮称ですが,地域連携担当教職員について法的な位置付けが必要であるということが提言の中で言われております。このような「チームとしての学校」と本分科会で今検討されているこの答申案の学校と地域との連携・協働の概念というものが相まって,社会総掛かりを実現していくという形でこちらの答申の考え方につながっていくものです。
  なお,資料の一番下のところに,「チームとしての学校」の範囲ということが書かれています。これがちょうどその上のオレンジ色の学校の図の中でいう黄色い部分のゾーンに当たります。「学校は,校長の監督の下,組織として責任のある教育を提供することが必要であることから,少なくとも校務分掌上,職務内容や権限等を明確に位置付けることができるなど,校長の指揮監督の下,責任を持って教育活動に関わる者とするべきである」と書かれています。その意味では,ある程度限られたものというものが,ここで位置付けられる専門スタッフということになろうかと思います。

【明石分科会長】
  課長,参事官ありがとうございました。
  事務局に精力的に頑張っていただきまして,かなりしっかりとした答申案が出てきております。私も最初から参加させてもらいました。感想を申し上げますと,一つは,初等中等教育分野と生涯学習政策分野がよくぞ連携・協働しながらここまで案を練り上げた,まさにそれが今回の一番のエッセンスだと思っております。
  二つ目は,私はこれまで日本の教育は残念ながら学校主流と言いましょうか。学校王国という考えがあったと思います。その学校観を完全に覆していくという形で,今回「チーム学校」と「地域とともにある学校」という新しいキーワードを出してくれたというのが非常に大きいと思います。
  三つ目に学校支援地域本部から地域学校協働本部(仮称)という施策につながり,それが具体化されていったことです。
  四つ目としては,親も子供も共に学び合い,育ち合う教育体制づくりという新しい概念が出てきており,それを保証するのが地域学校協働本部であるという形ができたことです。
  五つ目に,非常に新鮮みがある点ですが,よくこの幅広いネットワークということを言ってきましたが,学校でいうと,幼稚園・小学校・中学校だけでなくて,高等学校と特別支援学校まで幅を広げたということが,非常に新しいことかと思いました。
  もう一点は,首長部局との連携です。とりわけ,福祉と医療という視点をこの中に加えていきたいという視点が出てきております。
  こういう様々なことをうまく動かす,運営するには,コーディネートの機能が必要です。この生涯学習分科会では,統括コーディネートという,人を束ねていく,仕切っていく方がいないとうまく回らないということで,こういう答申内容になっているのだと思っております。
  それでは,課長と参事官の御説明の中で,御意見,御質問がありましたらお願いいたします。まず本分科会では,学校地域協働部会で審議してきました第1章,第3章と第4章を,その中でも特に第3章を中心に御議論いただければと思っております。

【清原副分科会長】
  三鷹市長の清原です。まずは,学校地域協働部会の皆様,本当に集中的に熱心な御議論いただき,このような充実した答申案をまとめていただきまして,心から感謝申し上げます。
  学校地域協働部会の委員ではありませんでしたので,私から幾つか今回の答申案について,三鷹市の取組を踏まえまして,この答申案に賛成意見を申し上げたいと思います。
  一つは,私は平成15年,2003年に市長に立候補したときのマニフェストの一つに,小中一貫教育というのを掲げておりました。しかしながら,その小中一貫教育を進めていくには,何よりもコミュニティ・スクールのコンセプトで進めていくことが有用であるということを教育委員会と首長部局との話合いの中から確認いたしました。
  そこで,前市長の時代から検討を始めておりました自治基本条例を制定する際に熱心に議論させていただく中で,自治基本条例の第33条に「学校と地域との連携協力」という条文を入れさせていただきました。「教育委員会は,地域と連携協力し,保護者,地域住民等の学校運営への参加を積極的に進めることにより,地域の力を生かし,創意工夫と特色ある学校づくりを行うものとする」と1項で規定しております。また2項として,「教育委員会は,地域及び市長と連携協力し,学校を核としたコミュニティづくりを進めるものとする」と規定しております。まさに,条例を施行した平成18年4月から,三鷹市のコミュニティ・スクールの一番初めのモデルであります,市立第二中学校と第二小学校,井口小学校による「にしみたか学園」で「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を開始したわけです。
  このような自治基本条例という,まさに参加と協働を基本とする理念を市議会の議決を経て,三鷹市の行政あるいは教育の基本としましたので,おかげさまで「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」をその後,全ての中学校区で順次進めることができました。
  しかし,そのときに教育委員会では,このような自治基本条例だけではなくて,実は学校教育については公立学校としてのビジョンが必要であるということで,平成18年に三鷹市の教育ビジョンというのを策定しました。そのときに,大変有り難かったのは,その教育ビジョンの目標の5に,「地域をつなぐ拠点となる学校をつくります」ということを明確に入れていただいたことです。
  それはどういうことかといいますと,もちろん学校教育のビジョンですから,子供たちの育ちを最優先にしております。目標の1として,「地域とともに,協働する教育を進めます」,目標2として,「小・中一貫した質の高い学校教育を推進します」,目標3として,「学校の経営力と教員の力量を高め,特色ある学校・学園づくりを進めます」,目標4として,「安全で快適な,充実した教育環境を整えます」とあり,目標5に,この自治基本条例の理念を踏まえた,「地域をつなぐ拠点となる学校をつくります」と,言わば「スクール・コミュニティ」の創造を目指すということを明確にその後の改定でもうたっているわけです。
  私がこのようなことを教育委員会とともに進めてきた立場といたしましては,まさに今回の答申には,私たちの活動を裏付けていただけるような初等中等教育局と生涯学習政策局との,まさに,文部科学省の中での部局を超えた連携・協働というものが検討する中で打ち出されたものであり,私たちの取組というのは,そうしたものと密接な関係を持った実践であるということに自信を持たせていただきました。
  この中で,特に大事だと思っておりますのは,65ページ20行目から書かれているところです。市町村の役割と推進方策に関わることで,これは都道府県も含まれていますが,「子供たちの成長を支え,地域づくりにもつながる地域学校協働活動を推進していくためには,都道府県,市町村における社会教育部局と学校教育部局の連携・協働の強化が不可欠であり,両者の連携・協働による取組が必要となるとともに」,「総合教育会議の活用等を通じた地域振興,社会福祉,医療,防災等を担当する首長部局とのパートナーシップを構築していくことも重要である」と書かれております。この「総合教育会議の活用」まで触れていただいたのは,今年度,新しい法律に基づいて,教育長と一緒に総合教育会議を進めている市長としては,学校教育と生涯学習の連携が課題にもなっていますので,極めて現実的だと感じます。多少なりとも戸惑う都道府県,市町村があったとしても,ここの場で総合的に取り組めるのだということが示唆されているということで有効だと思います。
  さらに,念には念を入れて御配慮がある記述がありまして,これも重要な記述だと思いました。70ページの最後の7行ですが,「連携・協働や人的配置」を言っていただいているところも大事ですが,一番重要なのが9行目の「教職員が子供と向き合う時間を確保するための配慮が必要であること等を十分に認識しつつ」とあるところです。ここまで配慮があると有り難いです。教職員の皆さんにとっては,コミュニティ・スクールを進めるとか小中一貫教育を進めるというのは一定程度,負担感を感じざるを得ない部分があります。これを進めることによって,むしろ教職員が子供と向き合う時間が確保できる。なぜなら,市民の皆さん,地域の皆さん,保護者の皆さんが,子供たちに対する活動の支援者になっていただいているわけですから,そうした部分について必ず子供と向き合う時間が確保できる。教職員にとっては,これが一つの意義でもあると思いますので,こういうところまで配慮いただいた記述というのをPRしていただくことが大事だと思います。
  結びに当たりまして,三鷹市での最近の経験では,各コミュニティ住区は7つの中学校区と重なっており,全ての総合防災訓練に中学生が何がしか参加してくれました。しかも,それは訓練に参加するだけではなくて,町会の皆さんに自分たちが作った災害用のトイレの説明をし,中学生が講師役になっているということもあり,まさにこの今回の答申が提案するもの,三鷹市も今後更に進めようと思っております「学校を核とした多世代の交流」の実現であり,これは少子長寿社会の中で極めて重要な学校の機能だと思っております。教職員,保護者だけではない大人,そして,中学生も外(地域)に出ていく,小学生も外(地域)に出ていく。もちろん幼稚園や保育園や認定こども園の子供たちもということですので,駆け足で実践等を紹介いたしましたが,医療,福祉,防災まで含めた具体的な場面でこのような提案が実現し,それが「見える化」されていくように,現場としてもますます努力をしたいというふうに励まされたように思っています。本答申案は現場を励ます答申案だと思いますので,この答申が採択された後に幅広く普及することを願っております。

【明石分科会長】
  清原委員,ありがとうございました。
  ほかに御意見のある方はいらっしゃいますか。では,相原委員。

【相原委員】
  先ほど谷合課長の方から御説明あった一番後の「おわりに」のところで,「志」を入れていただき,みんなで作っていこう,未来につながることを社会開発していこうという観点が入ったのは大変いいことだと思います。前回のこの分科会でも,自分が卒業した小学校や中学校と,今,目の前にある,必ずしも卒業していないけれども,その地域や学校に愛着を持って取り組んでいける姿勢が大事であるし,広げていく必要があると発言しました。そういうところがここに反映されたのということで,前向きに受け止めたいと思います。
  それと同時に,明石分科会長がおっしゃった範囲と異なるかもしれませんが,10ページの26・27行目のところに,地域にはいろいろな団体があるということが書いてあります。私たち労働団体でも,例えばワーク・ライフ・バランスも1日の仕事と生活の時間ということの量的な概念から早く卒業して,働き方や暮らし方を見つめ直して,自分が生涯の生活というのをどう組み立てていくのかというところに考え方を一段上げていくというのがワーク・ライフ・バランスの今,要諦になっていて,そういうことを職場でもいろいろと啓発をしております。
  したがって,先ほど清原委員がおっしゃったように,地域で様々な多様な人材が支えていくということを啓発していくということも大変大事で,そういう役割も担わせていただいております。「まち・ひと・しごと」関連の取組ということで,行政とも連携しながら全国で活動させていただいている様々な機関や団体等がある。「等」に労働団体も入っていると思いますが,今後のやりがいを見つけるためにも「労働団体」というのを書いていただけると大変有り難いと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【明石分科会長】
  はい,分かりました。
  では,白井委員,お願いします。

【白井委員】
  先ほどから明石分科会長,それから,清原委員のお話を伺っていて思いましたが,このレポートは本当に画期的だと思います。
  答申案に書かれているような地域社会を作るということで,当初は家庭教育ももう破綻していて,学校も忙しくてどうにもならないので,地域に頼もうというような考え,発想だったと思います。そうではなくて,地域にもそれなりの組をきちんと作り,「チーム学校」としてやっていく。地域社会を,学校を中心にしながら,地域の方も地域コーディネーター等々をより充実させるという考え方はいい。ただ,いろいろな予算の審議を聞きますと,ほとんど学校の30人学級をどうするかというような次元でいつも議論が行われている。だから,そのような議論をもう財務省に是非やめてもらって,学校教育と呼ぶべきかどうか分からないけれども,これからの地域と学校との関係をこのように構築していくということをもっともっと表に出して,世間に対してもこれからの日本の教育体系を是非打ち出していただきたい。そのようにして,実効性を高めていただきたいと思います
  この資料1-3の図はすごくよくできていると思います。こういうものをみんなに理解してもらう。その中の地域,特に一般の方は地域に,どのように自分がコミットするのかということを考えさせる。これは生涯学習政策のまさに役割だと思いますので,予算も含めて姿勢を大きく変えているということをアピールする方法をやっぱり考えてほしい。生涯学習政策としては,この地域の組立てをより内容のあるものにしなければならないのではないかと思いました。

【明石分科会長】
  大事な御指摘,ありがとうございました。こういう案をどのように具体化していくかということが非常に大事かと思います。
  では,高見委員,お願いします。

【高見委員】
  取りまとめいただき,ありがとうございます。白井委員もおっしゃったように,実効性をどう高めていくかという点と,スピード感をどう高めていくかという点で,次に申し上げますようなところも議論いただけるといいのかなと思って,お話をさせていただきます。
  まずこの推進方針の後に,これが答申された後に全国で取り組むということになるかと思います。その取り組む際にいつまでに誰がどういう役割分担をするのかという,例えば,66ページ,67ページにあるような「推進のための方策」というのが,一見する限り,総論のように見えてしまう。具体的に,では,あしたから自分がこの通達が来たときに何をすればいいのかというところが非常に見えにくいと思います。
  恐らく議論の中では,各地の好事例,例えば清原委員がおっしゃっていたような地域ごとでうまく活動している事例が多くあるかと思います。例えば,このように参考にするといい,この視点でこんな施策をやるといいというような事例や施策案が多くあると,これを受け取った側も取り組みやすいと思います。さらに,施策をどれぐらいのスケジュール感でどう評価をして,その評価に対してどう改善していくのか,というようなところまで示されていると,受け取った側は更に取り組みやすいというのが1点です。成果をどう測り,それをどう広めていくか,どう改善していくかというところまで方策の中に盛り込まれていると,答申を受け取った側の実効性も高まりますし,スピード感も上がると考えております。
  地域コーディネーターについては,地域コーディネーターに望む役割が大きくなっており,資質をどのように見極めるのか,その報酬のラインはどれぐらいが妥当なのか,その方をどう育てるのかなど,その施策を効果的にしていくためにどう改善するのかというPDCAサイクルまでを提示する必要があります。せっかくいい答申案を作っていただいたので,これを早めに世の中に広めていくためのスピード感を考えたときに,答申がまとまってから何をするかを考えていると,また時間がたってしまうと思います。そのスピード感を高めていくためにも,その辺りまで施策に落としこんでいただけるといいと思いましたので,意見とさせていただきます。

【明石分科会長】
  具体的な提案,ありがとうございました。様々な先導的な地域とか事例がありますもので,そのような好事例を資料にして推進していきたいと思っております。
  では,牧野委員。

【牧野委員】
  今まで学校地域協働部会の方に関わらせていただきましたので,部会に関わった者として少し発言をさせていただきたいと思います。
  最初に,各委員の方が御発言されていましたが,私もこれはとても画期的な答申の案であると思っております。これを取りまとめいただきました各関係者の方々,特に文部科学省の事務局の方々にはお礼を申し上げたいと思います。
  その上で一言申し上げれば,やはりこれは新しい学校や教育の在り方だけではなくて,むしろ新しい社会の在り方を提言するものにつながっていくだろうと強く受け止めております。例えば社会教育分野の中の言い方で,公民館は来年70周年を迎えますが,「公民館には観客はいない」という言い方をすることがあります。簡単に言うと,これは全ての人がアクターであるということです。演技者であって,より良い演技をするために全ての人が関わって,社会を作っていこうとしているという言い方をしています。この答申はまさに,公民館だけではなくて,むしろ地域社会や学校を取り巻く社会そのものに観客はいない,全ての人々が自ら主役を張りながら役割を担って,地域社会を作っていこうとする,そういう社会を作っていくという方向性を高らかにうたい上げたものになっていると思います。
  従来のような,行政からの指示を承っていくような住民の在り方ではなくて,地域社会を作っていこうとする住民に変わっていく,その核になるのが学校であり,その場が地域社会であって,その取組を次世代の子供たちにつなげるという強い意志を持った答申であると思います。その意志を実現するためにこそ,具体的な施策をどうするかを早く決めていただいて,実施に移していただきたいと考えております。
  部会に関わらせていただいた者としましても,とてもいい勉強になりましたし,特に関わってくださった職員の方々には改めてお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  では,鈴木委員。

【鈴木委員】
  私もすごく画期的な案だと思います。委員の方と事務局の方,本当にありがとうございました。今,学習指導要領の改訂が始まっていて,学校種の特性というものを生かし,私が関わっている幼稚園段階では現行の教育要領の中に,「地域のセンターとして」という文言を入れております。幼児教育のセンターとしての役割というのを幼稚園は持っており,実際,幼稚園に子供を通わせている保護者は,日中,地域にいらっしゃるお母さん方です。日中,地域にいらっしゃる方々が小学校に行って,PTAで役割を担い地域人材として育っていく。その中で,支えられた人たちが今度支える側になる。この地域学校協働本部(仮称)の地域コーディネーターというのは,支えられた人たちが育って,支える側になっていくという循環を作っていくことが大事だと思っています。それこそが例えば公立幼稚園,認定こども園の役割の一つとして,今後生きてきたらいいと思います。私も資料集,事例集を期待しておりますので,よろしくお願いいたします。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  尾上委員。

【尾上委員】
  この答申は社会教育を知るいい機会になると感じておりまして,是非ともうまく伝えるといいますか,広報していくということを進めていただきたいと思います。
  学校の中に地域連携担当がいるということになっておりますが,企業の中にもこういったことを根付かせていかないと,地域浸透というのはなかなか難しいと思います。行政からの発信というのは,例えば労働関係の発信はたくさんありますが,社会教育に関する発信というのは本当に少なくて,それを知る機会というのは,保護者から間接的に知る。それも積極的に活動している人が伝えるというぐらいで,本当にそれが存在するというのが伝わってこないのが現実的でもあると思います。
  PTA活動をしていて,国が行っているいろいろな方針が各PTAまで周知されるかといえば,教育委員会で振り分けをされて,たどり着いた先がある程度の予算が付いたものであった程度となりがちなので,その辺をしっかり連携できると,実効性も高まってくると感じております。
  私も地域に帰り,是非とも統括コーディネーターをやりたいと思っていますので,よろしくお願いしたいと思います。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  では,山野委員。

【山野委員】
  私もこの部会に関わらせていただいて,本当に事務局の皆さんに感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
  皆さんがおっしゃった意見と重なるかもしれませんが,これからそれぞれの自治体がどのように具体的に進めていけばいいのかという点で,最後に示してくださったイメージ図のように地域と学校がリンクしていくような,オーバーラップしていくような自治体の例をできるだけ早く見せることが重要です。私は委員をさせていただいたから,議論の中でも随分たくさんのすばらしいグッドプラクティスを知ることができました。そういったことをセットで伝えていけると,学校イコール教師であるという国民の皆さんが抱く感覚を抵抗感なく変えていくことができると思います。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  では,白井委員。

【白井委員】
  高等学校とか大学というのはどのようにコミットするのか。地域の皆さんは忙しいが,比較的時間があるのは大学生です。彼らはいろいろな時間の使い方ができる。地方の大学などで,地域社会に対する貢献を,インターンシップなどという形式で必修にすることはできないだろうか。地域に貢献する,そこに行って勉強する,そこの活動に参加するということを必修にしないと,なかなか地域の中で大いに働ける人は出てこないと思います。
  それから,高等学校ではもう少し地域の中での教育を重視して,それぞれの地域の特徴を踏まえて,より強化するということを,イメージ図の中に書き込んだ方がいいのではないかという提案です。

【清原副分科会長】
  もう一つ,申し上げます。39ページの(6)に「幅広い普及・啓発の推進」と書かれています。率直なことが書かれていまして,「教育長の姿勢が鍵となる」という記載や,16行目「コミュニティ・スクールは,地域コミュニティの再生,まちづくりにもつながる取組であり,市民参画の有効な手段として,首長にも働きかけていくことが求められる」と書かれてあります。これは本当に重要だと思います。全国市長会や全国町村会という組織もあります。是非,時間を取っていただいて,首長にも周知していただければと思います。今気付きましたが,ここの記載は「再生」という言葉よりも,地方創生,コミュニティ創生ということで「創生」という言葉の方がいいと思います。
  PTAにも労働団体にも広がるために,この幅広い普及啓発の推進のところで,教育委員会や教育長のライン以外に広げていただくことを,是非お願いしたいと思います。ありがとうございます。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。その推進の動きをどう作るか,事例集うや大学生の参加,大学の社会貢献等も含めて,より応援部隊を用意したいと思っております。
  この答申案において,大体の御意見等における修正や最終的な取りまとめにつきましては,分科会長である私に御一任いただければと思いますけれども,よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【明石分科会長】
  ありがとうございます。今後,答申案につきましては,12月21日に予定されている中央教育審議会総会の中で答申される予定でございます。各委員の皆様におかれましては,答申案に向け,本年4月から精力的に御審議いただきまして,誠にありがとうございました。お礼申し上げます。
  では,議題2に移りたいと思います。「社会教育主事講習の見直しについて」です。本件につきましては,前回の分科会でも一度御審議を頂きましたが,それを踏まえて,社会教育主事の養成・配置などの総合的検討を進めたものでございます。
  それでは,事務局から御説明お願いいたします。谷合課長,お願いします。

【谷合社会教育課長】
  資料2-1から御説明いたします。
  社会教育主事講習につきましては,今,明石分科会長からありましたように,前回のこの分科会で一度御意見を賜ったところですが,その際の御意見も踏まえまして,更に文部科学省と国立教育政策研究所社会教育実践研究センターが共に研究を進めております。現在,まだ検討途上であり,本日何かを決めていただくというものではありませんが,本日での段階での検討状況を御説明し,御意見を賜りたいと思います。
  まず資料2-1ですが,社会教育主事講習の見直しに当たりまして,言葉の定義から整理したいと思います。「資質」,「能力」,「知識・技術」という三つの言葉が出ております。「知識・技術を身につけることで発揮されるのが能力」であるという形で捉えたいと思います。つまり,ある能力を発揮するためにその前提として必要となるのが知識・技能であるという形で,まずこの二つを整理しております。
  そしてもう一つ,「資質」という言葉については,前回の分科会で,「資質」もトレーニング可能であるという御意見を賜っておりますので,「資質」は研修あるいは経験によって伸びる部分もあるという前提でこれから考えていきたいと思っております。
  そして,1枚めくっていただき,社会教育主事の果たすべき役割です。
  社会教育主事の職務については,一番上の四角にあるとおりです。二つ目の四角ですが,前回の分科会に提出しました資料では,社会教育主事の果たすべき役割として,二つ掲げております。一つが「住民の主体的・自律的な課題解決活動・地域づくり等における学びを通じた支援」です。もう一つが,先ほど御審議いただきましたことと関わりますが,「学校・家庭・地域の連携促進」です。
  こうした役割について今後,社会教育主事に必要な資質,能力というのを導き出していくために,少し切り口を変えまして,次の三つの役割に改めて整理をし直しています。二つ目の四角のマル1,マル2ですと,なかなか直接的に資質・能力が導きにくいので,資質・能力を導きやすいように三つに整理しています。すなわち,人づくり,地域づくり,ネットワークづくりです。
  「人づくり」というのは,「人々の自発的な学習活動の支援を通して,地域を担う人材を育成する」ということです。現在,政府では一億総活躍社会実現に取り組んでおり,そのベースとなる学習支援を念頭に置いています。
  そして,「地域づくり」は,「住民が主体的に地域課題の解決や,地域づくりに向けた行動ができるよう,学びを通じて支援する」ことです。言わば,市民,住民が動き出すといったような観点になります。
  そして,「ネットワークづくり」は,「学校・家庭・地域の連携を促進するなと,地域の様々な主体の連携・協働体制を整備する」と整理しています。
  この三つの役割を果たすために,社会教育主事にどういう資質・能力が必要かというのが次のページになります。「社会教育主事に求められる資質・能力及びそのために身につけるべき具体的な知識・技術について」を御覧ください。このページが,本日,特に御意見を頂きたい部分です。
  一番左側に「社会教育主事に必要な力・知識(専門職として持つべき(持つこと)が望ましいコアな力・知識)」とありまして,これが前回の分科会でお示ししたマル1からマル8です。ただ,マル1からマル8についてはやや,能力と知識が混在しているのではないか,あるいは少しレベルの違うものが並んでいるのではないかという御指摘もありました。それらの御意見を踏まえ,再度,能力というものを左の欄にあるように六つの能力に整理しております。社会教育経営力(マネジメント能力),学校支援能力,把握・分析能力,ネットワーク構築能力,発信・提案能力,基礎基盤的な能力,の六つです。
  そして,これら能力を身に付けるための知識・技術を,右の欄に列記しています。見方としては,例えば一番上で言えば,知識・技術の欄で,「社会教育に関連する法律・答申・動向に関する知識」や,「社会教育行政の展開に関する知識」等々あり,こういった知識・技術を身に付けることで,社会教育経営力という能力を身に付けることができるのではないかという形で,以下,同様に整理をしています。こうした形が今現在の事務局案であり,是非御意見を賜りたい部分です。
  そして,一番右側に資質とあります。資質につきましては,先ほど申しましたように,資質についても,講習あるいは現職研修,OJT等を通じて向上することが可能なものであるという形で我々は整理しております。
  続きまして,資料2-2です。ここから先はまだ事務局においても,必ずしも議論が深まっていない部分ですが,本日のところでもし御意見いただけるようであればお願いしたいと思っているところです。
  資料2-2は,社会教育主事講習の科目の見直しについてのイメージ図(案)です。左側,「現行」と書かれていますのが現在の科目です。現在は,生涯学習概論2単位,社会教育計画2単位,社会教育特講3単位,社会教育演習2単位となっています。
  具体的な授業の中身については,2枚目,裏面からですので,適宜御参照いただければと思います。
  この現行の科目名を右側の変更案に変えてはどうか,ということを現在検討しております。大きく変わっているのは,二つ目の学校支援技法(仮称),三つ目の社会教育と市民協働という部分です。学校支援技法(仮称)については,これからの社会教育を考える上で,特にその住民参加型の地域づくりを考える上で,学習の技法も非常に重要であります。例えばディベート方式もあれば,ワールドカフェのような方式もあり,カウンセリング等々のような形式もあります。これら様々な技法は非常に重要であろうということから,ここに独立させてはどうだろうかということです。
  それから,三つ目の社会教育と市民協働につきましては,前半で御審議いただいた地域と学校の協働,様々な主体や関係機関とのネットワーク化などがありますので,こういったものも重要ではないかということで挙げております。
  また,これ以下の細かい中身についてはまだ案がないという状況です。
  続きまして,資料2-3ですが,少々気が早いのですけれども,今後分科会として,この議論のまとめをお願いしたいと思っております。そのまとめの骨子案です。これはまだいかようにも変えることはできますが,大体目次のイメージとしては,1で,改善の必要性と審議経過,2で,改善の基本的方向,3で,終わりにという形で今,想定しているということです。これも現時点でもしお気付きの点があれば,意見を賜りたいと思います。
  本日,特に御審議を頂きたいと考えておりますのが資料2-1の特に3枚目の部分です。本件に関しては,もちろん本日で審議は終わりということではなく,これから継続していくものですが,現時点で御意見賜れれば,これからの文部科学省における検討において参考とさせていただくということで提案をさせていただきました。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  それでは,今の谷合課長の御説明について御意見,御質問ありましたらお願いします。

【菊川副分科会長】
  社会教育主事講習の改善については,長年の懸案だったと理解しておりまして,こういう形で検討いただいていることは,長く社会教育に携わった者として有り難く思っております。そういう観点から,2点申し上げます。
  まず資料2-1ですが,社会教育主事の果たすべき役割に,「人づくり,地域づくり,ネットワークづくり」という三つがあり,この「人づくり」ですが,地域を担う人材を育成するという表現になっています。もともと社会教育は,個人の学習を支援する,あるいは個人の学習需要に応えるという要素を含んでいます。公益性が強くなってくることは適切だと思いますが,地域人材という役割を担えない人もいるという意味で少し気になりました。
  それから,資料2-3ですが,気の早い意見かもしれませんが,報告が出るときに,もちろん社会教育主事講習の改善方策がテーマですが,そもそも社会教育主事は今後どう働いていくのか,地域学校協働本部あるいは学校の中の地域連携担当教員等々,具体の施策の中で社会教育主事がどんな役割を果たすのかについて総論的な整理をお願いできると有り難いというのが2点目です。
  また,その社会教育主事の発令はなかなか市町村等々の現実の中で難しい面もある中で,社会教育主事有資格者の活用をどう考えていくのか。例えば先ほどのコーディネーター,それから,総括コーディネーターは基礎知識として社会教育主事の資格は非常に有効だと思います。その辺りの資格との整理も併せてお願いできると,現場としては非常に力が出てくるのではと思っております。

【明石分科会長】
  では,金藤委員。

【金藤委員】
  今の菊川委員の御発言に私も全面的に賛成です。社会教育主事の果たすべき役割ということを御検討いただき,また,社会教育主事講習についても再考いただいていること,大変,私は有り難いと思っております。
  その中で少し申し上げたいことがございます。現在,国立教育政策研究所の方で,教育委員会と,企業,NPOとの連携の実態ということを明らかにする全国調査を行っておりまして,それに関わらせていただいております。その中で,社会教育主事が大規模都市の場合には大きな影響力を示してきていないという結果が出ています。ただ,大規模都市以外の市,あるいは町レベルですと,社会教育主事が配置されているということが,その教育委員会や,企業,NPOとの連携・協働の事業を多領域で進めるということについて大きな影響力を持っているという結果が幾つか出てきております。
  これは菊川委員がおっしゃったように,学校を核とした企業や地域住民あるいはNPOを含めた連携・協働ということにおいても,都市規模が小さくなるほど,私は社会教育主事の果たす影響力は大きいと思っております。
  そういう意味で是非,今回の改定ということについても全面的に賛成ですが,例えば本日お示しいただきました資料2-2の科目名に,社会教育と学校教育というのは是非入れていただきたいと思います。また,その社会教育主事ということにつきましては,今,菊川委員もおっしゃったように,本日の答申等の関連ということも是非可能であれば明示していただきたい。また,イメージ図の中に,社会教育主事ということもできれば地域側の核となる人材として,記載いただければ有り難いと思っております。
  また,調査により町村レベルで平均をとりますと,社会教育主事の配置率は1に満たないということになっております。それは昭和57年の社会教育法の改正で,人口1万人未満の町村は必置を猶予することが明記されたことが非常に影響していて,設置されていない町村が多いからだと思います。これほど地域と学校の連携ということが求められている今日においては,その配置は難しいというようなお話もお聞きしますけれども,1万人未満の町村においても社会教育主事を置くことを,有資格者を含めて御検討いただきたい。それを可能であれば明文化していただければと思っております。

【明石分科会長】
  では,谷合課長。

【谷合社会教育課長】
  菊川先生,それから,金藤先生,ありがとうございます。一つだけ補足ですが,そもそもこの社会教育主事講習の見直しを検討するに至った経緯として,2年前のこの生涯学習分科会の下に設置されておりました社会教育推進体制の在り方に関するワーキンググループというのがありまして,こちらの審議の整理の中で,社会教育主事のカリキュラムの抜本的見直しを検討せよということで御指摘いただいたのを踏まえております。
  したがって,2年前の時点で,その時点で社会教育主事の今後の在り方ですとか,あるいは社会教育主事資格の活用ということについては,一旦は議論を頂いております。もちろん2年たっていますので,先ほど御審議いただいた学校と地域の連携という論点も入っております。幾つか変化もありますので,そういったものを踏まえながら検討はしていきたいということは思っております。
  2年前の報告を踏まえての検討であるということだけ補足をさせていただきました。

【明石分科会長】
  ありがとうございます。
  では,高見委員。次に,生重委員,平田委員。

【高見委員】
  株式会社イトクロの高見と申します。企業で長らく人材開発系の仕事をしておりますので,もし参考にしていただければと思って意見を述べさせていただきます。
  まず,人を育てるときに,資料2―1の1ページ目で「能力」と「資質」に分けておられると思いますが,この資質部分が非常に大きい方は,能力と呼ばれるような知識や技術は,教えられなくとも自ら手を伸ばして取りに行くというような傾向が高いというふうに考えております。そう考えると3ページ目の「資質」については,講習,現職研修,OJTを通して身に付けることで向上していくというところで,少し心もとない気はしておりまして,「資質」をどう高めていくかということと,知識を向上させるようなカリキュラムをどう取っていくかというのは両輪かと思います。一旦この整理もあるのかもしれませんが,もしそれが勝手に伸びていくというような整理なのであれば,物すごく乱暴な言い方をすると,採用に徹底的にこだわらないと本当に「資質」というものは伸びにくいです。この知識であるとか技術であるというものは,比較的y=ax,一次関数的に伸びていきやすいものです。「資質」は本当に人によって個人差もありますので,その個人差をどうバックアップをしていくか。採用の段階では見えにくいところでもありますので,「資質」が伸びにくい方だったら,それをどうするのかというところを,企業としては,いろんな研修を通じてスタンスであるとか取組姿勢というようなところを援助するようなカリキュラムは実行していたりもします。再度そちらは御確認を頂いてもよいのではないかと思っております。

【明石分科会長】
  非常に大事な御指摘で,大ざっぱに言いますと,学力でいうと,知識・技術はA問題で,資質はB問題という感じがしております。日本の小中学生はB問題の点数が低い。この中のカリキュラムを見ますと,B問題の方の「資質」が具体化されていないので,これで本当に養成できるのか。知識・技術を蓄積すれば必然的に「資質」が伸びてくるのかという,この分科会だけではなく,日本の抱える大きな教育問題だと思っております。ありがとうございました。
  では,生重委員。

【生重委員】
  2年前のワーキンググループにも参加していましたが,中途半端になっていて,社会教育主事の今後の研修の有りようの検討でも,検討途中で立ち消えになってしまったという経緯があります。
  今回打ち出した3点は分かりやすいと思っております。ただ,この「人づくり」というところで,社会教育主事が1人で頑張って「人づくり」するのではなく,多様な講師がいることを見抜く力を持つことが重要です。三鷹市でも外側にそういう「人づくり」の学校を持ってらっしゃるし,杉並区も地域大学を首長部局の下で開いております。しかし,もともとの発想は,社会教育主事が社会教育推進委員と共に土台を作ったものを地域大学として自立させ,市民とともに協働パートナーを組みたいというところに必要な人材を育成していくという仕組みに変えるということでした。
  先ほども清原委員がおっしゃったように,合同会議を活用することの重要性を教材のトップに持ってきていただきたい。なぜかというと,社会教育主事は狭いフィールドではなく,教育の領域を超えていかなくてはいけない。子供の貧困を含めての福祉の問題,地域協働の問題,それから防災の問題のような,今これから地域が生き延びていくために必要な様々な課題に多様な学びが必要で,そこの一番根幹の基礎部分を担っていただく社会教育主事というようにしていくことが重要です。金藤委員がおっしゃったように,地方に行くと,社会教育主事なくして,社会教育は動かないという点をもう少し大事にしてあげなくてはいけない。
  ただ,今のままでもいけない。狭い領域しか社会教育主事は活動していない。一番これから変わっていくところで,学校教育とまとめてしまわずに,もう少しこの部分に対してボリュームを持ってほしい。既存の学校や地域を動かすPTAの更なる役割の見直しや,地域の既存団体とのつながりなども考えると,資料2-1の3ページ目一番下の基礎基盤的な能力から,幅を広げた応用のようなところまで持ってきていただきたい。これが今,中途で終わってしまっている議論の中に出ていた社会教育主事の段階的な能力を上げていくという初期段階においては,合同会議,首長と社会教育委員の役割すらも上げていく,そういうことを考えたならば,もう一つステップを上げて,経験値を高めて,様々なことができる社会教育主事も作っていかなければいけない。
  それから,学校教育の今後の施策に関わる統括コーディネーターは,人が見つからない間は,社会教育主事が担わざるを得ないので,どういう人材を見つけて育成していくかということを学び取っていただくことが重要です。その要素を入れていただきたいと思います。

【明石分科会長】
  では,平田委員,お願いします。

【平田委員】
  1点は,この「資質」という言葉ですが,これは通常使っている「コンピテンシー」のことでしょうか。それとも違うものでしょうか。知識・技術といいますと,我々専門学校の世界で,職業教育をやっていますと,すぐ「コンピテンシー」という言葉が出てきます。ほかの分野とできれば用語を統一させた形にしていただきたいと思います。私は教育社会学を学んでいますが,どうもこの用語を見ると,行政学的な感じがして,同じことを言っているのではないという気がしましたので,質問させていただきました。
  もう一点は,学校支援能力のところで,ワークショップなど書かれていますが,今の学校現場では,グループ学習が中心になってきていると思いますし,先ほどの答申の内容にもありましたように,高等学校,それから大学でもラーニングアウトカムというものを重要視してきて,何を学んだかではなく,学んだ結果何ができるかというように変わってきていると思います。現在,小中高等学校でも職業教育とかキャリア教育という授業を入れられてきていますので,その辺りを実際の形に分かりやすく書いていただければと思います。
  今,社会変化が非常に早いので,社会教育主事に求められるものは,その社会変化を早くつかんで,それを教育現場に持っていく,そういう対応ができる能力が必要ではないかと思います。ですから,それを単なるこういう講習で身につくかどうかは別として,できるだけそういうものに興味のある人を育てていただければと思います。

【明石分科会長】
  はい。では,谷合課長。

【谷合社会教育課長】
  今お尋ねございました「資質」の部分については,実はそこに例示が書いていますが,コミュニケーションマインド,好奇心,探究心,チャレンジ精神等々書いてあります。どちらかというと,当初,我々は鍛えることで向上するものではないのではないかと最初思っていた部分です。本人の持って生まれたような性格的なものと思っていたので,「コンピテンシー」とは違う意味で我々は捉えていました。
  それで,「コンピテンシー」はどこに行っているかということですが,表現が悪いかもしれませんが,知識・技術の部分で考えていました。したがって,先ほど明石分科会長がA問題,B問題とおっしゃいましたが,B問題もこの知識・技術の中で含めて考えていました。資料2-1の3ページ目に主に知識のみと書いてあるところが言わばA問題に当たって,白い四角のところはAプラスBのような形で捉えて整理していました。もしかすると,知識・技術というくくり方が余り適切ではないかもしれませんが,ここの部分で一応応用的なものも読もうとしておりました。

【明石分科会長】
  はい。ありがとうございました。
  では,菊川委員。

【菊川副分科会長】
  2年前のワーキンググループですが,私も副部会長で関わった経緯がございます。あのときはまだ総合教育会議ができる前で,社会教育行政を教育行政の中にどのように位置付けるかというところが,論点のひとつでした。
  その中で,社会教育主事の数がずっと減っていることや,あるいはなかなか現実の中では発令されにくいこととか,あるいはその当時も学校支援地域本部的なものがありましたので,そのコーディネーターは有資格者がいいというような話がたくさん出ておりました。ただ,それを結論としてまとめ終えるまでは行かずに,まず講習の中身を国立教育政策研究所社会教育実践研究センターの方で見直していただこうということで落ち着いたと記憶しております。今回こういう形で新たに議論出てきましたら,やはりもう一度そこを議論いただくことは,残された課題への対応として有り難いと思っています。

【明石分科会長】
  では,牧野委員。

【牧野委員】
  社会教育主事ですが,私も自分の専門分野と関わりがありまして,ある授業では,社会教育主事の資格は取れるけれども,取っても意味がないと言う教員たちがいるような状態になってしまっている。それに対して,見直しをしようということはとても有り難い話ですし,必要なことだと思っております。その上で,今の御説明で,2年前のワーキンググループの議論の枠の中で考えられたことだと思いますが,やはり社会の動きが変わってきています。私も実は生重委員と同じように,ある委員会で社会教育主事について関わっておりまして,どうも十分議論が進まないところで終わったような感じがありました。あえて言いますと,本日の議論は,公的に規定されている社会教育主事の問題,制度としての社会教育主事という問題,それから資格としての社会教育主事という問題と,更にその職務内容,中身をどうするかという議論が一緒になってしまっています。
  例えば教育委員会に必置という意味での社会教育主事というのはありますが,ただ,資格を持っていてもなれなかったり,首長部局にいたり,又は民間部門にいらっしゃったりと,いろいろな方々がいらっしゃいます。今,都の主事会では,教育委員会の中にいる主事だけではなくて,首長部局にいる主事有資格者も集まって主事会を作っています。そこでは,新しい自分たちの研修制度を作ろうということで,学習支援士のような形でカリキュラムを組もうとしています。
  今の法的な規定における社会教育主事という問題と,その資格をどうするか,養成の内容,職務内容をどうするかということを切り分けて考える必要があるとも思います。例えば一般企業の方々に,今の社会教育主事の話を私が丁寧に説明しますと,何でそんなにいい制度があるのにうまく活用しないのかとよく言われます。住民と接触しながら様々なニーズを引き上げていき,それを施策化していく役割を担えるのではないかというように言われ,もしそういう人がいれば,企業で使いたいとおっしゃるような人事の方々もいらっしゃいます。
  社会教育主事とは一体何なのか,といったことを突き詰めていきながら,例えば先ほどの答申でいけば,社会を作り直していく,創生していくときの核になるような人たちの一部になれるかもしれませんし,更にそうした人々を育成する側に回れるかもしれません。さらには,教育部局にいながら,首長部局に行き,更に民間に出たりしてグルグル回りながら,連携をとって社会を作っていく核になっていく人になれるかもしれません。制度としての在り方の問題と,更にその養成内容,あるべき姿とカリキュラムをも切り分けながら連携させていく,つなげていく議論をしてはどうか,と思います。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  では,高見委員,お願いします。

【高見委員】
  先ほど谷合課長が「資質」はある程度変わらないものだという整理でしたということをおっしゃっていましたが,くどいようですが,絶対変わります。ただし,工数が掛かるかもいらっしゃいます。その工数を掛けたくないのであれば,採用で見極めるしかないと思います。採用で見極めるためにも,ある程度メソッドがあります。また機会があればお聞きいただければと思います。

【明石分科会長】
  あとはよろしいでしょうか。
  かつての社会教育主事講習の中での市町村の派遣社会教育主事というのがあります。あの成果を見直してほしい。金藤委員から発表ありましたけれども,1万以下の場合は町長とか村長と一緒にパートナーシップを作って,まちを作っていったという,派遣社会教育主事の評価が高かった。補助金が打ち切られたがために小さな町,村は困っていて,今のデータを見たらまさにそのとおりなので,インパクトケースは一番強いと思います。そうすると,これまでの派遣社会教育主事の方の実績はどうであって,どんな活動をして評価が高かったのかを見直す必要があります。
  千葉のあるところでは,派遣社会教育主事をやった後に町長選挙に立候補して,当選したという方もいらっしゃいます。グローバルな視点を持っている方が多いということがありますので,このカリキュラムの中で,平田委員がおっしゃったように,これを習得すると何ができるかという視点を出してくれると,このカリキュラムの評価ができると思います。よろしくお願いいたします。
  では,スケジュールをお願いします。

【谷合社会教育課長】
  大変貴重な御意見,ありがとうございました。
  資料2-4を御覧ください。今後の予定です。本日が赤枠で囲っています。本日の御意見を踏まえ,再度事務局あるいは国立教育政策研究所社会教育実践研究センターにおいて更に整理を深めます。そして,年が明けまして,平成28年に更に二,三回程度分科会で御審議を頂いて,できれば平成28年6月頃を目途として,分科会としての一定のまとめを行い,報告につなげていきたいと思います。
  二重丸で書いていますが,分科会からの報告を受けて,社会教育主事講習等規程を見直し,平成29年4月の施行を目指したいと考えております。引き続きよろしくお願いします。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  それでは,本日皆様から頂きました御意見等を踏まえて,事務局並びに国立教育政策研究所社会教育実践研究センターにおきまして,更に検討を進めていきたいと思います。
  では,議題3に移りたいと思います。「第2期教育振興基本計画のフォローアップについて」です。本件は,本年7月の生涯学習分科会で一度御報告いただいているものです。このたび,教育振興基本計画部会の審議を受けまして,基本計画の生涯学習部分についての御審議を頂きたいと思います。
  では,最初に事務局から御説明をお願いいたします。

【岸本生涯学習推進課長】
  それでは,資料3-1から資料3-4までにつきまして御説明申し上げます。
  まず資料3-1は,本日の議題のために作成した資料です。詳細につきましては後ほど御説明させていただきます。
  資料3-2と資料3-3は,先般,教育振興基本計画部会に提出させていただきました基本計画のフォローアップのうち,生涯学習分科会関係部分を抜粋したものです。資料3-4は,教育振興基本計画部会の第1回の際に御指摘を頂いたものについて,第2回部会に提出させていただきました資料のうち,生涯学習分科会関連部分を抜粋したものです。本日は,資料3-1と資料3-4を主に用いまして御説明させていただきます。
  まず資料3-1をお開きいただければと思います。1ページ目です。既に皆様に御案内のとおり,第2期教育振興基本計画は平成25年度から平成29年度までの5年間,教育行政の四つの基本的方向性を設定しまして,これに基づき,八つの成果目標及びその達成度を継続するための成果指標,そして,30の基本施策を体系的に整理しているものです。
  3ページ目です。この第2期教育振興基本計画をフォローアップするために,既に部会が設置されており,第1回,第2回が開催されております。その中で,各分科会というところに三つ書かれているとおり,成果不十分指標等に対する今後の対応方策,計画部会における委員からの主な指摘事項に対する対応方策,各分科会において考える現行計画の成果と課題,この3点につきまして,来年の3月から4月に予定されております第3回の基本計画部会で説明するという形になっています。
  このうち,今回の分科会においては,一つ目の成果不十分指標に関する部分及び二つ目の主な指摘事項に対する対応方策の部分,これらの部分につきまして御議論を頂戴しまして,それを踏まえ,次回分科会で三つ目の現行計画の成果と課題について,別途資料を基に御議論いただきたいと考えております。
  4ページを御覧ください。総論と各論ですが,総論の部分は,先ほど御説明した部分に関わるもので,各論の方を御覧ください。
  各論のうち,上から一つ目,二つ目,三つ目の部分です。「社会人の学び直しについて,分野別・年齢別で傾向に違いがあり,企業側・社会側も含めて取組を考えることが必要」などの御指摘につきましては,これは後ほど御説明いたします成果不十分指標に関する部分ですので,割愛させていただきます。
  続きまして,四つ目のコミュニティ・スクール及び学校支援地域本部の設置促進という部分です。この部分につきましては,第1回部会で御指摘を頂いており,詳細は資料3-4になります。資料3-4の3ページ目,最後のページですが,こちらを御覧いただきたいと思います。こちらの資料を第2回の計画部会におきまして配付をさせていただき,御説明,御議論を既にさせていただいています。
  続きまして,先ほどの資料3-1の4ページです。各論の五つ目の放課後子供教室につきまして,施策の成果とエビデンスについての御指摘がありました。これについては現在,担当部局におきまして,対応を検討しています。
  続きまして,六つ目「中高年や高齢者に対して,学ぶことが健康や社会全体の持続可能性を作ることになるという意識付けの運動ができないか」という部分です。これにつきましても,後ほど成果不十分指標に関する議論の中で取り上げさせていただきます。
  最後の貧困等の家庭における困難を抱えた子供たちへのアプローチにつきましては,こちらも先ほどの資料3-4の2ページ目の下半分の部分に,第1回部会で御指摘を頂きましたものにつき,第2回部会にこの資料を提示させていただきまして,御説明し御議論いただいたところです。
  続きまして,成果不十分指標の部分につきまして,本日御議論いただきたい内容,2点について御説明申し上げます。資料3-1の5ページ目です。
  成果目標2のうち,成果指標の5番,社会人入学者の倍増という部分です。この部分につきまして,大学,短期大学,大学院,専修学校の正規課程への社会人入学者数,これにつきましては,横に表がありますが,4.9万人から4.5万人ということで減少しているという状況があります。
  一方,専修学校の短期プログラムの修了者数につきましては,その受講者数は,横の表のとおり,5.3万人から5.5万人に増加しているという状況です。
  社会人入学者の倍増につきましての今後の対応方策ということで,下にまとめさせていただいております。
  一つ目の丸が「職業実践力育成プログラム」認定制度ということで,厚生労働省の教育訓練給付制度とも連携をいたしまして,社会人の多様なニーズに対応する教育プログラムの充実に取り組んでいくというものです。
  その下は,「専修学校等における中核的専門人材養成等の戦略的推進」ということで,この事業を通じて,専修学校等における学び直しのための教育プログラムの充実に取り組んでいます。
  また,三つ目の丸ですが,本年9月に中央教育審議会大学分科会の方で取りまとめを頂いております中で,企業と協働した教育課程の開発・実施ということにつきまして,社会人の学び直し促進に向けた取組ということで提言を頂いています。今後この審議のまとめを踏まえ,第3次大学院教育振興施策要綱を策定する予定です。この要綱を基に,各大学院におきまして社会人の学び直しに向けた取組がなされるものと考えております。
  続いて,右側四つ目の丸,「学びやすい環境の整備」という部分ですが,履修証明制度の柔軟な運用,社会人の学修方法・機会の多様化を,eラーニング等を活用して推進するなど,学びやすい環境の整備を推進することで,社会人の学び直しに向けて取り組んでまいりたいと考えております。
  また,先ほど計画部会における委員から主な御指摘ということで御紹介をさせていただきました,分野別・年齢別の傾向の違い,また,企業側・社会側を含めて取組を図ることが必要との御指摘につきましては,ただいま御説明をさせていただきました今後の対応方策の中で,それを踏まえた取組を進めさせていただけると考えております。
  続きまして,もう一つの成果不十分指標です。成果目標8のうち,成果指標3の「地域の学習や活動に参画する高齢者数の割合の増加」という部分です。
  これにつきましては,まず地域の60歳以上で何らかの学習活動をしている人の割合は,その下の表が示すように減少傾向です。ただ,一方で,グループ活動に参加している人の割合という部分につきましては,増加しています。
  今後の対応方策ということで,右側に記載しているとおり,「生涯現役社会を生きるアクティブ・シニアの地域づくりへの主体的な参画の促進」を図ります。高齢者による地域活性化促進事業の実施を通じ,その成果指標の取組に取り組んでいきたいと考えています。
  先ほど御紹介させていただきました計画部会における委員からの主な御指摘のうち,意識付けの運動はできないかという御指摘につきましては,この高齢者による地域活性化促進事業におけるアクティブ・シニアの地域づくりへの主体的な参画の促進を促すためのフォーラムを開催するという事業の促進を通じまして,取組が進むと考えています。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。今の御説明を受けまして,御質問,御意見ありましたらお願いいたします。
  白井委員に,成果目標2の右の学びやすい環境の整備の中で,大学等のeラーニングの活用との記載がありますが,放送大学に関して御意見等ありましたら,お願いします。

【白井委員】
  もちろん放送大学の中でも職業教育,実践教育プログラムを充実したいという検討は進んでいます。しかし,何か作ろうとなると,やはりお金が掛かるという問題があります。現在,放送大学でもメリハリをつける必要があるという議論がありますが,一生懸命取り組まなければいけない課題であると思います。
  私はJMOOCという取組にも関わっており,民間の力でできるだけ社会人の学び直しプログラムなど,できるところはやるということで具体的に活動しつつあります。ですから,いろいろな力を使っていくことが大事であると思っています。
  それから,この実践力育成プログラムというのをやるときに,認定制度というのは非常に重要だと思います。諸外国では,もう既にシステムとして相当進んでいる。日本では,そういうシステムがきちんとできていない。ある資格を取ったら,何ができるようになるかということを明確にしないと,プログラムの対象となるべき人がプログラムを受講してくれない。そのようなシステムは,民間でやるにしても,しっかりした認定制度を組み立てるということをできるだけ早急に進めないといけないと思います。

【明石分科会長】
  今,非常に悩んでいるのは,欧米に比べて,日本では,社会人の短期大学,大学,専修学校等への入学が少ないということです。もう学校を卒業したら学び直す必要はないという変な教育観があって,地域における生涯学習は盛んだが,高等教育機関に関する関心が薄い。各委員の方々で知恵がありましたら,御教示いただければと思います。放送大学は非常に頑張ってくれております。

【菊川副分科会長】
  確かに私も放送大学に来るまでは,どちらかというと,成人の学習というのは地域での学習というイメージを持っていました。しかし,放送大学に来られる方と地域の公民館に来られる方の学習行動というのは違う点があります。
  高齢者や中高年がブラッシュアップしていくのに,学習,交流あるいは活動というものがあり,最初の議題で出てきた「地域学校協働本部」は人々が持っているものを地域に出していって,学習と交流の循環を図っていくという施策だと思います。その一方に,その学習を深めていくという施策があっていいのではないかと思っております。生涯学習施策が始まったときには,学歴社会の打破ということが言われました。しかし,成人の方々が学んだ結果を,社会が正当に評価しているかというところでは,まだまだ心もとないところがあると思います。
  評価する方法としては,一つは大学・大学院での学位,もう一つは,今,学習成果活用部会で議論している認定制度あるいは人材認証制度があるかもしれません。そういう取組を通して,成人でもまだまだ学べるし,発達できるし,それらの活動が次の持続可能な社会を作っていくというような風土を,こういう審議の中で提案してく必要があると思っております。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  生重委員。

【生重委員】
  今私は別府のある短期大学で温泉コンシェルジュの育成という学びを作っています。私は温泉コンシェルジュが,後々は九州エリア全域に日本の温泉を引っ張るような認定の資格になってほしいと考えています。しかし,別府の市役所では,全然別府に縁のない方たちが市の職員として業務していて,温泉のことも地理のことも歴史のことも分かっていないこともあります。そうであれば,市役所の職員も研修科目として温泉コンシェルジュの育成プログラムを履修してもかまわない。そのように,幾つかの段階で知識を習得して,認定の段階別評価があるような,全国各地の地方独自に学び続ける仕組みがあってしかるべきだと思います。
  それが地方創生につながっていくし,子供たちにも伝えられるアイデンティティの確立にもなると思います。民間企業の方,観光協会の方にも段階的にそれぞれ学んでほしい。地方創生には地方独自の学びがある,ということが打ち出されるととても面白いと思います。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  金藤先生。

【金藤委員】
  教育振興基本計画部会の御意見を拝見しまして,その成果の実績が不十分な項目ということを検討してほしいということと受け止めました。本日議題であった答申に強く関係するコミュニティ・スクールのことや放課後子供教室についての成果のエビデンスを残してくださいと書かれているのは,これは大変重大なことだと受け止めております。というのは,それを示していかないと,国の政策として大きく進めていく意義が問われるということだと思います。この辺りは是非今後も継続して,どういう成果指標,エビデンスを出すかということを行政としてもお考えいただきたいと思います。
  これに関連して昨年度,学びを通じた被災地の地域活性化支援事業の評価委員会というものがありました。5年間で東北3県の事業を廃止すると財務省が言っていることに対して,何とかそれを継続するために,事業にどのような成果があったかを検討するという委員会です。そこで出されていた検討のまとめなども是非御参考にしていただいて,こういった放課後支援,コミュニティ・スクール,学校支援地域本部の成果指標ということをきちんと出していく,エビデンスを出していくということを是非お願いしたいと思います。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  では,平田委員と牧野委員,お願いします。

【平田委員】
  この中で唯一の専修学校関係者なので,専門学校の話をさせていただきます。
  専修学校の短期プログラムの受講者が増えたということですが,これは厚生労働省の失業者対策の講座も含めてでしょうか。それも含めてと想定して,お話をさせていただきます。
  厚生労働省もかつて,その失業者対策の講座を民間でやっていましたが,3か月,6か月ぐらいの期間しかないもので,余り効果が上がりませんでした。専修学校がこれに参入して,実際効果が上がっているようです。
  それからもう一つは,職種は限られていますが,国家資格等のある学科には,その一定の資格を持った失業者の方が正規の学生として入るという講座があります。やはり国家資格が取れる講座というのは人気が高く,学生の平均年齢が高いです。つまり,それだけ社会人がたくさん入っているということです。
  よくOECDの提供データ等で日本の大学は,18歳入学者が多い。割合でいうと,国際的に見て2番目か3番目というのは聞いたことがありますが,専修学校の場合はやはり学校それぞれが職業を名前に付けている学校が多いので,それを目指して,社会人の方,それから大学卒業された方も増えています。
  ただ,御存じのとおり,日本の大学や専門学校の学費というのが非常に高いので,欧米と違い,親の支援を受けて大学・専門学校へ行く方が多い。新たな奨学金等で社会人が行きやすい制度というものを整備していただければ,入学者が増えてくると思います。
  もう一つは,やはりここ20年の日本の社会変化の速度が非常に速くなってきていて,学校で教える内容がその社会変化についていっていないという現状があるかと思います。専門学校は,大学と違いまして,一度制度を変えても,在学中にカリキュラムを変えることが可能です。特にコンピューター関連では社会の変化に対する対応が非常に早くできたと思っております。最近ではただ知識を身に付けるのではなくて,ラーニングアウトカムを身に付けていないと,企業に就職しても結局長続きしません。これは年齢に関係なしに,やる気があって,一生懸命やる方は18歳であろうが,25,6歳であろうが,同じように身に付けていけるものだと思います。かつてのように,知識偏重型の教育ではなくて,学んだものをどう自分で生かしていくか。そういう教育が,これから社会で求められているのではないかと思います。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
  今回のこの教育振興基本計画部会における御意見も含めてですが,教育というものの位置付け,見方を少し変えていった方がいいと思います。教育は,将来に対する投資であるという観点が強いと思います。しかし先ほどの答申もそうですが,子供をある意味で社会の正規メンバーとして受け入れていきながら,一緒に社会を作っていこうという議論を始めているわけです。それから18歳選挙権の問題もありますので,教育というのは目下の社会保障に関わる問題であるという位置付けに変えていく必要があるかと思います。子供たち自身も,社会の一員として自らがその社会を担っていくということ,まさに今,社会で活躍をしなければならないような状態になっているということを意識することが重要です。さらには社会人の問題も,社会保障として現物支給で,学校に返っていく制度を作っておく。そして,その学費は免除するなどして,社会保障制度の一つとして位置付けていくといったことが必要ではないかと思います。今の大学の在り方を前提に考えると,学費も高いし,非正規就業が4割を超えるような社会において,そういう学費を払えるかといったら,やはり払えない。若者がどんどん不安定な生活をしていかざるを得ない中で,リカレント教育として大学等に返ってこられるかというと,なかなか難しい。
  社会保障制度の一つとしての教育という位置付けに変えていきながら,現物支給として学び直す機会を保障する。それを,人々の生活を安定させていくという施策の一つの中に位置付けていくような考え方もあると思います。そういうような方向性を模索していくと,社会人の入学者を増加させていくということは単に教育のジャンルを広げるということではなくて,社会保障政策の一つというような位置付けになると思います。

【明石分科会長】
  社会保障とか教育福祉ということの理論武装をしないと,財務省との闘いには負けてしまうので,非常に大事な御指摘だと思います。

【明石分科会長】
  では,山野委員,山崎委員,白井委員で議論を終わりにしたいと思います。

【山野委員】
  一つは,社会人の受入れについて,持続可能な社会を作るという意味付けを,繰り返し大学側に出していく必要があると改めて思いました。
  もう一つはエビデンスについてですが,指摘事項の中に貧困家庭のことが書かれていて,それに対する回答として文部科学省の施策が書かれております。私は,内閣府で子供の貧困対策の検討委員会の委員もさせていただいているので,このような施策が行われてきているということは分かっています。内閣府の子供の貧困対策会議でも出された子供の学力の問題について,実は家庭での読書活動であるとか,生活習慣への働き掛けであるとか,親子のコミュニケーションの上位三つが学力に非常に高く影響していて,幾ら勉強時間が長くても,勉強時間ゼロ時間の裕福な家庭の子供たちより学力が低いという結果が提示されていました。地域と協働する中で,実際に地域の方が学校へ入り込んで,本を貸し出したり,子供たちと触れ合ったり,家庭教育支援のアウトリーチの訪問型の支援チームなどが親御さんを勇気付けて,コミュニケーションできたりするような取組や,本を地域の人たちがいっぱい学校に集めて,ゴロゴロしながら子供たちが本を読めるような環境を学校に作ったりなど,いろいろなことを地域でされていると思います。そのような活動が効果指標として,貧困に対して何ができるのかということも見せていけると良いと思いました。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。
  では,山崎委員。

【山崎委員】
  牧野委員の御発言にあった,社会保障としての教育は良いと思いました。今,社会保障費は全体で107兆円を超え,税財源を30兆円以上使っています。2025年には団塊の世代がみんな75歳以上になりますから,油断すると税財源だけで40兆円を越えてしまうかも知れません。
  その大半は高齢者が使うことになるだろうと思いますが,その方々がどうすれば健康で長く,余り社会保障費を使わずに生きていくことができるかというのはかなり大きな課題だと思います。先ほど文部科学省が予算を確保するときにも戦略が必要だ,という話もありましたが,厚生労働省側が健康日本21で出した健康寿命を延ばしていく3要素は,栄養と運動と適度な休息です。その後,静岡県が健康寿命で女性が1位で,男性2位になりました。10年間,フォローアップして理由を検討しましたら,栄養,運動と社会参加が重要な要素でした。要するに,栄養を摂取し,運動をやっている人たちは何にもやっていない人に比べて,32%も死亡率下がっています。そこに社会参加が加わると51%も下がり,相当長生きになるということが分かった。だから,栄養を摂取し,運動と社会参加しなければいけないのではないかという機運になって,もう久しいです。
  その社会参加の中で,社会教育ができることとして,答申案の中ではコミュニティ形成という部分がかなり強調して書かれています。これも大事なことです。多様な意味でコミュニティ形成は大切ですが,そこに何か社会参加する機会,地域の中のいろいろなコミュニティ活動に参加する機会もあって,これが厚生労働関係の社会保障に関してどれぐらい予算を軽減できるのか。それはエビデンスとしてはなかなか出しにくいかもしれないが,むしろそういうことも意識しながら社会教育事業はやり続けている,とアピールすると,様々なエビデンスが出てくるかもしれない。文部科学省の事業がこの40兆円に届こうとしている社会保障費を下げているかもしれないというような,長い目で見ると,そういう方向の議論も出てくるかもしれませんから,健康ということに着目して,社会教育分野をアピールしていくというのは重要だと思います。

【明石分科会長】
  非常に大事な御意見ありがとうございました。
  では,白井委員。

【白井委員】
  牧野委員と山崎委員の意見のような方向性を具体的に目指して,今後も議論をやっていただけたらいいと思います。放送大学自身もそういう方向で,日本全体の基盤に影響を及ぼすことができればと頑張っていますが,5年ぐらいたたないと余り変わってこないと今は思っています。私個人は,今18歳になった人の大部分が大学に進学しますが,全員が入る必要性はないと思っています。先ほど,地域社会を作るというような話や,地域に雇用がないという問題はあるけれども,若い人はもっともっと働いて,そこで何かお金を若干でも得て,その経験から学ぶという,そういうフェーズがあっていいと思う。そうしないと,ただ単純に動機付けもなしに大学に行っても,余り意味はない。それが原因となり,日本で今,非正規雇用をどんどん生んでくる。
  高校でもそうだけれども,18歳で自分は何を目指すのか,特に地域の問題について考える機会を具体的に作ってあげるということが大事です。2年間くらいはいろいろな方法でそういう気持ちを触発するような教育機会を設けるべきだし,それから,実際に働く機会を設けるべきだと思います。それで,何か問題意識が出てきたら大学に入ればいいわけです。日本は18歳ですぐに大学行くということを,そろそろやめた方がいいと思います。お金は,入学前に稼いだお金で授業料を若干賄えればいい。
  それからもう一つは,放送大学などで高齢者が自分の頭を使って学ぶことは,健康寿命に少しは貢献しているかと思います。そういう人たちがもっとアクティブに何か社会に参加できるようにする,ということについて取り組む必要があります。これは来年課されている非常に大きな課題だと思っています。
  それからもう一つは,コンピテンシー・ベースト・ラーニングというような言葉が盛んに言われていますが,ここのところは職業実践教育も含めて,できるだけ早期にやらなければいけない。これは高等教育の,特に大学ですが,設置基準から見直していかないと,現実の問題としてできない。例えばアメリカで非常に成功しつつある職業教育的な大学は,基本的に教育コンテンツを自分のところで作らないので,現在の日本の概念でいうと認められない大学です。しかしアメリカでは,そのような大学の卒業生が非常に高く職業分野で評価されている。だから,一般の大学に行くよりも職業教育的な大学を出た方がよく働ける。日本でも地域社会を,教育の中心にしていく見方に変えるのならば,高等教育まで含めて考えていくと良いと思います。

【明石分科会長】
  ありがとうございました。是非,白井委員には,放送大学を卒業した方の追跡調査をしていただいて,どういう効果があったかというエビデンスも出していただくと非常に助かります。
  次回は第2期教育振興基本計画のフォローアップを踏まえた生涯学習分科会の成果と課題について,引き続き御議論を頂く予定です。
  議論4,「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策-成長と分配の好循環の形成に向けて-」について,里見政策課長から御説明をお願いします。

【里見政策課長】
  それでは,資料4を御覧ください。「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策」といたしまして,11月26日に,一億総活躍国民会議から出されましたレポートの御報告です。
  この会議は,内閣総理大臣決裁で置かれている会議です。「希望を生み出す強い経済」,「夢をつむぐ子育て支援」,「安心につながる社会保障」の新三本の矢の実現を目的とするもので,本レポートはこの会議でまとめられたものです。
  この一億総活躍社会の考え方については,2ページの冒頭の部分に考え方が書かれております。「若者も高齢者も,女性も男性も,障害や難病のある方々も,一度失敗を経験した人も,みんなが包摂され活躍できる社会,それが一億総活躍社会である」という定義がなされています。
  3ページ目ですが,「ニッポン一億総活躍プラン」というのを来年春に向けてまとめることになっております。それに向けて検討すべき方向性ということで,特に生涯学習関係では,(2)「夢をつむぐ子育て支援」の中に施策が入っております。具体的には4ページの一番上のところで,幼児教育の無償化拡大,教育費の負担軽減,ひとり親家庭,多子世帯等への支援,子供の貧困対策,複線的な教育の充実,こういったことが掲げられています。
  また,5ページに「緊急に実施すべき対策」という項目があり,一億総活躍社会実現のため,緊急に実施すべきものとしてまとめられたものです。この中の8ページ,「希望する教育を受けることを阻む経済事情など様々な制約の克服」についてです。この中に,幼児教育の無償化,学習が遅れがちな中学生等に向けた補習事業の推進,奨学金事業の充実,それから9ページに複線的な教育機会の確保,そして,貧困対策としての「ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト」といったことが掲げられています。
  また,11ページですが,高齢者が多世代と交流しながら活躍できる地域づくりを進めるため,「生涯活躍のまち構想」について,必要な法制を含め制度化を検討するといった内容が含まれているところです。今後さらに,「ニッポン一億総活躍プラン」の取りまとめに向けまして,また議論が行われる予定です。

【明石分科会長】
  御説明ありがとうございました。
  引き続きまして,議論5の「ユネスコ学習都市に関するグローバルネットワークについて」,小谷参事官から御説明をお願いします。

【小谷参事官(連携推進・地域政策担当)】
  資料5を御覧ください。「ユネスコ学習都市に関するグローバルネットワークについて」,御報告をさせていただきます。
  2013年の10月と本年9月の2回の国際学習都市会議を経て,ユネスコ生涯学習研究所におきまして,都市が抱える様々な課題の解決には,全ての市民が生涯を通じて積極的に学んで,その能力や知識を社会に生かしていく生涯学習の重要性及びその結果として,世界じゅうの都市が「持続的な学習都市」へ戦略的に変革していく重要性を提唱しております。
  ここで言う「学習都市」の定義は,参考として記載している,「基礎教育から高等教育まで包括的な教育を推進すること」以下,6点について,全てのセクターにおける資源を効率的に結集できる都市であるとされております。
  そして,このユネスコ生涯学習研究所におきましては,この学習都市の国際的なプラットフォームとして,学習都市に関するグローバルネットワークの構築に取り組むこととし,現在,ユネスコ加盟国から参加都市を募集しております。ユネスコによりますと,参加のメリットとしては,三つ目の点に書いてありますが,「加盟都市間の知識・経験・実践の共有」,「ユネスコや国際コミュニティの有識者の知見へのアクセス」,あるいは「学習都市セミナーや国際会議における最新情報の入手の機会」などが挙げられており,さらに,「ユネスコ学習都市賞」に応募する機会も与えられるとされております。
  この学習都市賞ですが,これは本年,このユネスコ生涯学習研究所が創設した賞で,このユネスコ加盟国の都市を中心に「選考の際の6つの評価指標」と,この学習都市をモニター,評価するために42の指標を参考にして,学習都市として顕著な進展のあった都市に授与されるとしております。
  なお,この学習都市賞第1回につきましては,この42の学習都市特徴項目の作成に当たりまして,調査協力を行った12の都市,具体的には2ページの四角囲みの中ほどで上げている都市が受賞しています。今後,全国の市町村にもこういったグローバルネットワークへの参加を呼び掛けますとともに,必要なお手伝いをさせていただければと考えているところです。

【明石分科会長】
  是非,各市町村にこういうものがあるということを普及していただくと,手を挙げる都市が出てくると思います。生涯学習都市宣言をしている市町村が結構ありますから,是非お願いいたします。
  事務局より連絡事項がありましたら,お願いいたします。

【竹下生涯学習推進課課長補佐】
  次回の生涯学習分科会につきましては,また日程の方を調整させていただいた上で,また御連絡させていただければと考えています。
  以上,連絡事項になります。

【明石分科会長】
  それでは,本日の生涯学習分科会はこれにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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