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生涯学習分科会(第59回) 議事録

1.日時

平成23年9月29日(木曜日) 10時~12時30分

2.場所

文部科学省 旧庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 社会通信教育の課程の廃止について
  2. 地域における生涯学習・社会教育の推進体制について
  3. 生涯学習社会の実現に向けて高等教育機関に期待される役割について
  4. その他

4.議事録

【大日向分科会長】

 皆様、おはようございます。定刻となりました。ただいまから第59回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。お忙しいところ、お集まりくださいまして、ありがとうございます。
 早速ですが、本日の議事の確認を行います。お手元の議事次第を御覧ください。議事1として審議事項です。社会教育の課程の廃止及び条件の変更について御審議いただきます。議事2は報告事項です。事務局より報告事項が6点ございます。1点目が公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準の改正について、2点目が教育振興基本計画部会における審議状況について、ここからは議事次第に記載してございませんが、3点目が家庭教育支援の推進に関する検討委員会について、4点目が超高齢社会における生涯学習の在り方に関する検討会について、5点目が国民の読書推進に関する協力者会議報告書について、そして6点目が全国生涯学習ネットワークフォーラム2011についてです。
 続きまして、議事3は全体討議です。前回、各グループでご検討いただきました、地域における生涯学習・社会教育の推進体制について、また生涯学習社会実現に向けて高等教育機関に期待される役割について、本日はこの全体会合で御討議いただきたいと考えております。
 以上が本日の議事となります。
 それでは、議事に入るに当たり、事務局より資料の御確認をお願いいたします。

【郷家政策課課長補佐】

 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、資料1、資料2として2-1から2-6までございます。続いて、資料3-1、資料3-2、そして参考資料1と配付しております。また、席上配付資料として2点、社会通信教育の教材及び学習方法審査結果、また、全国生涯学習ネットワークフォーラム2011申込書を配付しております。過不足等ございましたら事務局までお知らせください。

【大日向分科会長】

 よろしいでしょうか。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。まず、社会通信教育について課程の廃止及び条件の変更についてお諮りをいたします。それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

【藤野生涯学習推進課長】

 資料1と席上配付資料1を御参照いただきながら、御説明をさせていただきます。
 資料1は中川文部科学大臣からの、社会教育法第51条第3項及び第55条第2項の規定に基づく認定を受けた通信教育の廃止及び条件の変更についての諮問です。
 通信教育については、資料1の5ページ「通信教育について」を御覧ください。社会通信教育は、社会教育法の第51条に基づき、社会教育上、奨励すべきものについて通信教育の認定を与えることができるという規定があります。また、第3項には、文部科学大臣が認定を与えようとするときは、あらかじめ第13条の政令で定める審議会等に諮問しなければならないとあります。中央教育審議会生涯学習分科会が答申をすることによって、中教審全体の答申に代えることになっております。
 また、第55条では、認定を受けた通信教育を廃止しようとするとき、又はその条件を変更しようとするときには、その許可を得なければならないとあり、第2項で、文部科学大臣は同様に生涯学習分科会に諮問しなければならないということになっております。
 それでは、具体的な内容です。2ページですが、本日、御諮問したい案件は2点です。1点目は、学校法人サンシャイン学園東京福祉保育専門学校のホームヘルパー養成1級課程・通信コースです。詳細は3ページにあるように、サンシャイン学園では、平成8年4月よりホームヘルパー養成1級課程・通信コースを実施しております。ホームヘルパー養成1級課程は、厚生労働省で制度改正を行い、1級が廃止されることとなっております。2級は残りますが、1級が廃止されますので、それに伴い、この講座を廃止しようというものです。既に新たな受講者の受入れをやめており、現段階では受講者は1人もいないという状況です。
 次に2点目ですが、条件の変更の申請であり、社団法人全国農協乳業協会の乳業製造技術通信教育の教材の内容の変更です。4ページにある社団法人全国農協乳業協会は、農業協同組合等が行う牛乳・乳製品の製造の事業に関連して通信教育を行っております。今回、教材の内容を改訂しようとするのは、乳業製造技術通信教育です。
 席上配付資料1を御覧ください。2ページ目のとおり、乳製品製造技術通信教育は、六つの教科で構成されております。今回は、その第2教科の乳製品製造学1の教材のテキストの改訂です。さまざまな技術の進歩や製造技術の高度化などを踏まえて、教材の内容をその進展にあわせた形で改訂したいということで、今回、変更の申請がありました。
 1ページ目は、この分野にお詳しい3人の審査委員による審査結果で、各審査事項ともAの「適当」、若しくはBの「一部を修正すれば適当」というものでした。Bの部分については、若干の内容の修正をお願いし、現在対応していただいております。したがって、これを受けた形で今回、この条件の変更についてお諮りしたいということです。
 以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 本件について、御意見、御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。御質問、御意見がないようですので、本件諮問について答申することとしたいと思います。
 それでは、異議なしと認め、課程の廃止及び条件の変更を認めることを答申といたします。
 続きまして、事務局からの報告事項が6点ございます。資料2-1から資料2-6まで順次御説明をお願いいたします。

【萬谷社会教育課企画官】

 それでは、まず資料2-1に基づいて、公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準について御説明を申し上げます。資料2-1の1ページ目にあるように、博物館法第8条に、文部科学大臣は、博物館の健全な発達を図るために、設置運営上望ましい基準を定め、公表するものとするという規定がございます。この規定に基づき、現在は公立博物館のみを対象として、望ましい基準が定められております。
 改正の背景という部分ですが、平成15年の当基準の改正後、8年間経過しておりまして、その間、社会状況等が変化しております。博物館法は、平成20年に改正されて新しい規定が追加されておりますし、住民の博物館に対するニーズも高度化、多様化しております。また、博物館経営を巡る状況や、地方の財政の状況等々も変化してきております。
 こういったことを踏まえ、協力者会議を設置し、有識者の方に御議論をいただきましたので、その結果を踏まえて、今回改正を行おうというものです。
 主な改正内容の1点目は、博物館法改正等に伴う規定の整備です。先ほど申しましたとおり、現在は公立博物館だけを対象としておりますが、基準の対象として、登録博物館である私立博物館も追加しようというものです。
 また、運営状況に関する評価の実施や、利用者、地域住民等に対する学習成果を生かした活動の機会の提供などの規定が法改正で追加になっておりますので、基準にも関連する規定を整備しようというものです。
 また、2点目は、博物館の質の向上に関する規定の整備です。それぞれの館で、例えば資料収集、調査研究等に関する基本的な運営の方針を定めていただくこと、事業年度ごとに事業計画を策定していただくということを努力義務として掲げるとともに、各職員の専門能力の育成や、職員の適切な配置を通じて運営体制を整備していただくことを規定しようというものです。
 また、3点目の博物館の安定的運営を確保するための規定の整備は、指定管理者制度のように、設置者と管理者が異なる場合においても、両者が緊密に連携することによって、この基準に掲げられた事項の達成に努めていただくことを規定しようとしております。また、近年、博物館の休止、廃止といったケースもありますが、そうした場合には収蔵品を他の博物館等へ譲渡して、貯蔵資料を適切に保管、活用していただくということを図ろうとしております。
 また、4点目の住民のニーズの高度化・多様化に関する規定の整備です。1点目としては、これまで調査研究については規定がありませんでしたが、住民の方々のニーズへの対応ということで、調査研究そのものについて今回、新たに規定を設けるということです。また、青少年、高齢者、障害者の方々等々、さまざまな方が博物館を利用されるので、こうした利用者の方々について、きめ細かいサービスが実施できるように規定を整備するということを考えております。
 また、5点目は、危機管理についてです。今回の震災等もございましたけれども、危機管理に関する手引書の作成や、関係機関と連携した訓練を定期的に実施するといったことを通じて、被害防止のためにあらかじめ十分な措置を講じていただくような規定を整備しようとしています。
 8月から9月にかけてパブリックコメントを実施いたしまして、2枚目以降にあるような改正内容について、広く意見募集を行いました。その結果、37件の御意見を頂戴し、現在、その意見の整理等を行っております。来月には、これらを踏まえて改正告示の公布、施行を行ってまいりたいと考えております。
 また、基準の関係では、図書館の設置及び運営上の望ましい基準についても、早急に併せて改正の手続を進めていきたいと考えております。
 以上です。

【森友教育改革推進室長】

 続きまして資料2-2、「教育振興基本計画部会における審議状況について」の御説明です。
 1ページに当面のスケジュールという資料がございます。教育振興基本計画部会においては、6月の諮問以来、まずは大震災を踏まえた教育上の課題についてヒアリング等を行い、審議が行われてきております。この点につきましては、7月末に大震災の教訓を踏まえて、全国的に展開をしていくべき方策について一定の考え方の整理というものを行っております。2ページ以降がそのまとめです。2ページは前文で、3ページ以降が、具体的な内容です。学びのセーフティネット等四つの視点について取りまとめており、本分科会との関係については、4ページの下のほうの例にある、学校、公民館等の社会教育施設等を拠点とした地域コミュニティの再構築といったことや、次のページの、コーディネーターの育成確保等について盛り込まれております。このまとめの後、8月、9月と部会を行い、第2期の教育振興基本計画について、横断的な視点から、どのような基本的な方向性にすべきかといった議論を行うとともに、今後取り組むべき課題としてはどういうものがあるのかといった点についても御審議を賜りました。
 その際、配付をしたのが、7ページからの資料です。7ページ目は、現在の諸情勢を踏まえた教育行政の方向性についてまとめております。左側に、我が国が直面する問題、真ん中に、この問題の打開に向けた方向性、そして右側に教育行政の方向性のイメージを整理しております。少子高齢化の進展や、社会格差の増大、あるいはグローバル化の進展により懸念される国際競争力の低下等の危機的な状況、問題が進む中で、これらの問題をどうやって打開をしていくべきなのかという方向性を真ん中のところに三つ挙げております。
 まず、全体の基礎という意味で、一番大きな枠囲みは、社会全体の力の向上です。多様な価値観、異文化との共生、多様な主体による「公」の実現が必要である。全員に場所と出番を確保することによって、多様な人々が協力、協調して社会参画する中で、社会全体の力が高まっていくというようなことです。
 そして、このことと相互に関連をするものとして、個々人の社会への参加保障ということで、生涯にわたって一人一人が学びを進めていく、社会において活躍して、それがまた個人の学びにもつながっていくといったようなことを挙げております。
 更に、これらを基盤としながら、社会全体や個人における生産性、創造性の向上等を図っていくということで、青枠にあるように、新たな価値の創造、人材の創出等としております。
 こういった全体の方向性のもとで、右側の教育行政の方向性として4点挙げております。左の方向性と連動するものとして、一番大きな枠として、絆(きずな)づくりとコミュニティの再構築を位置づけております。多様性を促進する中で人々が学び、社会に参画するということなどを通じて、人が社会をつくっていく。そして、社会が人をつくっていくといった好循環を創出していくということです。そして、社会を生き抜く力の養成として、キーコンピテンシーや、生きる力などを実質化するために、各学校段階、社会で取り組んでいく。これらを下支えするという意味で、学びのセーフティネットの構築として、経済的な支援、アクセスの確保といったものがございます。
 更に、社会を生き抜く力と重なり合う部分が多いのですが、未来への飛躍を支える人材の養成ということで、グローバルイノベーション等をもたらす人材の養成ということを整理しております。
 8ページから10ページは、この四つの教育の方向性のイメージごとに、詳細な状況を整理しております。後ほど御覧をいただければと思います。また、11ページ以降は、8月の計画部会に引き続き、9月の部会で、先ほどの四つの方向性について、さらに議論を深めるために用意をした資料です。特に12ページは、先ほど申し上げた4つの方向性において、現在、中教審の各分科会等を含め、どのような施策の検討が進められているかというものを俯瞰(ふかん)している資料です。
 これは、横軸が年齢で、縦軸が四つの教育の方向性を挙げております。生涯学習分科会との関係で申し上げますと、横に長い帯の一番上のところに、「生涯学習活動を通じた自己実現と地域の絆(きずな)の再構築、地域課題の解決」がございます。また、学びのセーフティネットの構築というクリーム色の枠の下のほうに、「ライフステージ等に求められる学習環境の整備」、更にそこから三つ下のところに、「学習の質の保障と学習成果の評価・活用」が挙げられています。
 これまでの計画部会の議論の中で、本分科会とのかかわりが強い意見としては、例えば、「地域の学校支援などで、仕組みはあるけれども現場では進んでいないので、意識の面で現場を活性化させる方法が必要」というものや、「コミュニティに参画をする意思がない人も、コミュニティにかかわりたいと思えるような仕組みづくりをしていくことが大切だ」という意見がありました。また、家庭の教育力については、「家庭の経済状況などと深く関連しており、それを踏まえることが必要である」、「教育や福祉が連携できる体制づくりが大切である」、「少子高齢化の時代だからこそ女性の力の活用が必要だ」というような御意見も出ておりました。
 また、基本計画を策定するに当たり、諮問理由にもあるのですが、PDCAサイクルをしっかりと回していくことができるようにするためにも、具体的な成果目標の設定が大切であると考えております。18ページ以降に成果目標の設定の意義についてという資料をつけておりますが、これは前回の計画部会で配付をし、ある程度考え方を共有しているものです。細かいことは御説明申し上げませんが、目標そのものに数値を掲げることがなじまない場合であっても、その目標の達成度合といったものを何らかの形で測定できるようにしていく、そういった指標を考えていくことが必要であるというようなことです。これをもとに事務局でまた中身を検討した上で、御審議を賜ることになろうかと思っております。
 基本計画部会は、10月に2回、有識者からのヒアリングを行い、年内には計画の基本的な方向性についての骨子をまとめるということで、引き続き審議を進めていただきます。
 以上です。

【笹井男女共同参画学習課長】

 それでは、資料2-3と資料2-4に基づいて、二つの検討会について御説明をさせていただきます。
 まず、資料2-3を御覧ください。第5期の生涯学習分科会から引き継いだ検討課題の一つに、ライフステージ等に応じて求められる学習環境の整備というものがございます。先ほどの、教育振興基本計画部会の検討状況についての御報告の中にもございましたように、例えば家庭教育で申し上げますと、家庭教育を巡るいろいろな状況が変化をしてきております。
 私ども文部科学省では家庭教育支援という形で、人材の養成や、あるいはチームによる相談体制の整備等に取り組んできております。これまでに行ってきた家庭教育支援の施策について、社会全体の動向等を背景として、施策の効果検証等を行う必要があると考え、家庭教育支援の推進に関する検討委員会を立ち上げたところです。
 6月3日に第1回検討委員会を開催いたしまして、これまで3回実施をしてきております。委員の方々は2の委員名簿のとおりで、本分科会からは、山本和歌山大学長にも御参加をいただいております。
 来年の3月までに計7回程度の検討会を行い、施策の効果検証や、あるいはそれを踏まえた今後の家庭教育支援の在り方について御検討いただき、その結果を次期の教育振興基本計画の改定に反映をさせたいと考えております。
 次に、資料2-4を御覧ください。超高齢社会における生涯学習の在り方に関する検討会を、新たに立ち上げました。平均余命が非常に延びており、定年後のセカンドステージをどう実りあるものにしていくかというのが大きな課題になっております。これを踏まえ、高齢者の生涯学習及び社会参画の現状と課題について整理するともに、プレ高齢者を中心とする成人が取り組むべき学びの在り方について御検討いただきたいということで、この検討会を発足をさせました。
 9月26日に第1回の検討会を開催いたしました。委員の方々は、名簿のとおりです。実りある高齢期を、生涯学習を通じてどのように構築をしていくかという観点で御検討をいただき、これについても、教育振興基本計画に検討結果を反映したいと考えております。来年の3月までに、計6回程度の検討会を開催するという予定にしております。
 以上です。

【塩見社会教育課長】

 社会教育課長でございます。資料2-5を御覧ください。国民の読書推進に関する協力者会議の御報告をさせていただきます。
 この協力者会議は、昨年の7月に発足し、昨年が国民読書年であったということを契機として、我が国の読書環境をいかに充実したものにしていくかという観点から御議論をしていただきました。
 座長は、資生堂名誉会長で文科省の参与でもいらっしゃる、福原義春様にお願いしております。これまで、昨年の7月から約1年間にわたり、御議論をいただいてまいりました。9月の初めにその報告をまとめていただきましたので、本日その要旨を御報告いたします。
 この報告のタイトルは「人の、地域の、日本の未来を育てる読書環境の実現のために」であり、全体を3章構成でお示しいただいております。第1章は、なぜ今読書が必要なのかといった、読書の意義についてまとめていただきまして、第2章で読書環境、読書活動の現状についてデータ等を中心に現状を振り返っております。第3章は、「人の、地域の、日本の未来を育てる読書環境の実現のために~3つの提言」として、現状を踏まえて今後の読書環境を実現していくために、一体今、何に取り組むべきかということについての提言をまとめていただいております。
 読書というものは、一人一人が自立して、また、他者とかかわりながら豊かな人生を築いていく、その基盤となるものです。また、今後の社会の最大の資源である知へのアクセス、あるいは新しい知の創造というものの鍵となる、目に見えない社会のインフラであるという基本的な認識に基づき、すべての人が読書に親しんで、その恵沢を享受できるような環境づくりを進めようということで貫かれております。
 提言1は、読書で人を育てる、「読書を支える人」を育てるということで、4ページに1から3までポイントがございます。自治体の首長や議員の皆さんの理解を得る、あるいは専門的な職員を充実させるといったことを初めとした提言が盛り込まれております。
 提言2は、住民参加で自治体ごとに、読書のあり方や環境について考えていただき、「読書環境プラン」を策定し、実現しようということです。 
 5ページは、提言3として、読書の可能性や将来像を構想し、推進するプラットフォームをつくるというものです。読書の可能性を幅広くとらえて、社会全体で読書の力を活用していこうというものです。そのために、読書に関するさまざまな観点からの調査研究も必要ですし、また、調査研究を進めるとともに、読書の意義や楽しさを発信していくために、関係者が結集できるプラットフォームというものを今後新しく考えていく必要があるのではないかということが盛り込まれております。
 文部科学省としては、今回の提言を踏まえ、施策の実現に努力してまいりたいと考えております。また、教育振興基本計画等においても、この報告の中で盛り込まれた趣旨について実現できるように取り組んでいきたいと考えているところです。
 以上です。

【藤野生涯学習推進課長】

 続きまして、資料2-6に基づき、全国生涯学習ネットワークフォーラム2011を御説明させていただきます。
 平成元年から昨年まで、22年間にわたって生涯学習フェスティバルを実施してまいりましたが、比較的、啓発や普及が強い要素としてありました。当初は生涯学習という言葉自体も知られておらず、その理解というものが進んでいなかったので、生涯学習の機運を盛り立てようということで実施してきました。今のところ、おおむね生涯学習に対する理解が国民的に広がってきたように思います。
 しかし、生涯学習における学習成果の活用、あるいは評価という面については、なかなか進んでいないというところがあります。そうした状況も踏まえ、今年は、全国生涯学習ネットワークフォーラムを開催することといたしました。このフォーラムは、当初は岩手県での開催予定でしたが、御承知のように東日本大震災が発生いたしましたので、岩手県での開催が困難となりました。そこで文部科学省を中心として、いろいろなところの御協力をいただきながら、東京で開催しようということになりました。
 趣旨にあるように、東日本大震災という大惨事から、改めて地域の絆(きずな)やコミュニティの重要性の再認識がなされているところです。このフォーラムでは震災から見えてきた成果や課題を踏まえ、生涯学習を通じた3月11日以降の社会づくり、地域づくりについて研究、協議を展開していこうというものです。そして、中長期的な取組のための関係者間のネットワークづくりを推進するという目的で開催するものです。
 また、幅広い視点を取り入れた新しい公共型による運営ということで、さまざまな主体の御協力をいただきながら運営してまいります。主催は、いろいろな関係者のお力をお借りして、実行委員会を組織しております。「学びを力とする3.11以降の地域づくり、社会づくり」という開催テーマで、11月5日、6日の土日の2日間で開催いたします。会場は文部科学省の第1講堂、第2講堂、新霞が関ビルの灘尾ホール、イイノホールとなっております。
 事業の内容ですが、初めに全体会を開催いたします。冒頭では石巻市立雄勝中学校の、タイヤを活用した太鼓による実演を披露し、その後のオープニングセッションでは、各分科会につながる問題提起をいたします。
 第1分科会は「学びの場を核にした地域の絆(きずな)づくり」というテーマです。1日目は、基調講演、事例報告、ナイトセッションです。2日目は、ワークショップとして、岩手県、宮城県と東京をネットで結んだ子供たちによる熟議があり、その後にシンポジウムを開催いたします。
 第2分科会のテーマは「これから求められる防災教育への取組」です。防災教育に取り組んでいらっしゃる、あるいは関心を持つ方々にお集まりいただき、事例発表、ポスターセッション、熟議等を開催し、できればその結果を一つの提言として出すことができないかということを考えております。
 第3分科会のテーマは「希望の高齢社会─新たな可能性への挑戦─」です。超高齢社会の到来を目前に控えた中で、否定面だけでなくポジティブな視点でとらえ直しながら、その在り方について考えていこうというものです。
 第4分科会のテーマは「ICTを活用した学びと安全・安心な学校の創造」です。ICTを活用した21世紀にふさわしい学びということで、パネルディスカッションや模擬授業の実施、また展示・体験ブース等も設置しながら、多様な形で開催いたします。
 第5分科会のテーマは「震災ボランティアと若者たち~その学びと支援を考える~」です。多くの方々がボランティア活動に参加し、支援を行ってきましたので、その成長や学び等について考えてまいります。
 これらはいずれも、生涯学習分科会の審議の内容ともいろいろな形で関係しております。席上配付資料2として、参加申込書をお配りしているところ、できるだけ委員の皆様方にも御参加いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。以上の報告事項を一括いたしまして、御質問、御意見があればいただきたいと思います。どうぞお手をお挙げいただければと思います。

【高田委員】

 資料2-4の超高齢社会における生涯学習の在り方に関する検討会について、一言お願いといいますか、感じたことを言わせてください。
 私は福岡出身ですが、福岡で毎月1回、博物館のネットワークづくりとして、いろいろな博物館の人たちが集まる勉強会をしています。たまたま、昨日の夜開催したのですが、そのテーマが「医療・福祉とミュージアム」というものでした。そこでわかったのが、多くの博物館の方が、認知症や高齢者の方のプログラムや実践活動をすごくたくさんされているんです。
 例えば、九州産業大学美術館の先生がされている集団回想描画法という方法があります。キュウリならキュウリ1個、柿なら柿1個から、高齢者の方が昔のことを思い出しながらいろいろな話をして、学生はそれを聞きながら絵に展開していって、やるたびに絵が増えていったり、コミュニケーション能力が戻ってくるということをされています。ほかの博物館では、日曜サロンといって毎週日曜日に博物館にお年寄りが集まったり、市民貯蔵品展といって、自宅に眠っているお宝グッズをお年寄りが持ち寄って自慢し合うような展示会などがあります。それが地域の人たちの生きがいや学びの向上等、博物館の連携に非常によくつながっているということでした。
 昨日たまたまそういう話をして、今日この資料を拝見したら、委員の中に、博物館の人が1人もいないということに気がつきました。実は、博物館は高齢者対策に非常に効くんだということをここでアピールさせていただきたいんです。もう既に今年度、走り始めている委員会ではあるんでしょうけれども、もしも可能であれば、博物館業界からも、美術館や歴史系や文化財保護センターとか、いろいろなお立場の中で、高齢者、認知症の方向けのいろいろな対応、対策をされているところの方も是非メンバーに加えていただけたらということが私からのお願いであります。
 以上です。ありがとうございました。

【大日向分科会長】

 事務局の方は、そういう御要望があったということでよろしくお願いいたします。
 糸賀委員、お願いいたします。

【糸賀委員】

 質問が2点ございます。
 一つは、資料2-1の公立博物館の設置及び運営上の博物館の望ましい基準のことです。これはいずれ文部科学省告示になるものでしょうから、文案といいますか、それぞれの条文については、相当、時間をかけて練られたものだと思います。私がざっと見たところ、文末の表現に、3通りのパターンがあるのではないかと思います。望ましい基準ですので、「努めるものとする」と、いわゆる努力義務を規定しているのだろうと思います。しかしながら、何か所か「努めるものとする」ではない表現があります。現行の表現でもそうだったのだろうと思うので、その使い分けを教えてください。
 例えば、典型的なのは、改正案の13条において、博物館の職員は、「必要な数の学芸員を置くものとする」となっているわけです。13条の2も、「事務及び技能的業務に従事する職員を置くものとする」となっています。ほかのところは「努めるものとする」だけど、ここでは「置くものとする」となっています。これは使い分けに意味があるのかどうか。仮に意味があるのであれば、どういう使い分けなのかを教えていただきたいです。
 更に言うと、私が今見る限りでは「十分留意するものとする」という表現もございます。職員の配置であるとか第9条の情報の提供等のところも、「次に掲げる業務を実施するものとする」となっています。「留意する」のと「努めるものとする」のと「するものとする」、この使い分けを教えていただきたいというのが一つです。
 それから、もう1点は、今の高田委員の発言とも重なるのですが、資料2-5の国民の読書推進に関する協力者会議の報告の中で、提言が三つあります。これはどれももっともだし、是非実際に実現していただきたいと思うのですが、視点がやや、子供たちとか、これから日本を担う世代に重きが置かれています。これは当然ですし、それでいいんです。一方で、年配の方というか、お年寄りの方にとっても読書の意味はかなり大きいんです。俗に言う老化防止です。子供に対しては読み聞かせをやるんですけれども、今、お年寄りは一緒になって声に出して本を読むという、読み合わせをやります。こういうものも読書の効用として評価されております。そういう視点がやや薄いのではないかという気がいたしました。その辺りの議論がどの程度あったのかをお尋ねしたいと思います。

【大日向分科会長】

 それでは、ただ今の御質問にお答えいただけますか。萬谷企画官、お願いします。

【萬谷社会教育課企画官】

 それでは、最初に1点目の御質問についてお答えをさせていただきます。基準の文末について「努めるものとする」とか「ものとする」という使い分けがあるということですが、望ましい基準ですので、基本的には「努めるものとする」と規定するところが大半です。ただ、中身によっては、既に博物館法に関連の規定があって、今回、対象が登録博物館ですから、当然、実施しているというようなことも中にはございます。例えば、御指摘がありました第13条の職員のことですが、博物館法において、登録博物館の登録の要件としては、学芸員等の職員を置くものとするとなっておりますので、そういったことを踏まえて、ここでは少し語尾を変えているところです。
 また「留意する」ということですが、検討したところ、「留意するよう努める」と言うのも、かえって非常に弱くなってしまうものですから、「留意するものとする」という表現にしております。

【大日向分科会長】

 よろしいでしょうか。
 それでは、塩見課長、お願いいたします。

【塩見社会教育課長】

 国民の読書推進に関する協力者会議の中でも、糸賀委員がおっしゃるような高齢者の方も含めて、あらゆる世代のあらゆる人にとって読書の意味というのが非常に大きいということで、さまざまな御意見がございました。例えば、地域の居場所として、少しでも本があるようなスペースがあって、そこにお年寄りの方たちや、お年寄りに限りませんが、いろいろな世代の方がたまり場のように集えるような、そんな場があれば、地域の拠点としてもすごく大きな意義があるのではないかといったような御意見もありました。あるいは、図書館等において、お年寄り、あるいは目の不自由な方のための、もっといろいろなインフラがあるほうがいいのではないか。拡大した文字の本があるとか、読み聞かせや本を読んで差し上げられるよう人がいるとか、そういったことも大事ではないかという議論はたくさんございました。
 今回の要旨では、限られた分量なので、十分盛り込めていないところがありますが、報告書には、あらゆる人にとっての読書の環境を充実しようといった記載もございますので、そういうことも十分にくみとって進めていきたいと思っております。

【大日向分科会長】

 糸賀委員、どうぞ。

【糸賀委員】

 是非その方向でお願いしたいんですが、連携する施設として、例えば高齢者施設や社会福祉施設等も挙げていくべきだろうと思います。学校、幼稚園、児童館、公民館はもちろんなのですが、それ以外にも社会福祉施設や高齢者施設という、所管は教育委員会ではなくなるのですけれども、そういったところとの連携も必要だと思います。

【大日向分科会長】

 それでは、白井委員、お願いいたします。

【白井委員】

 教育振興基本計画部会の御報告は、問題意識といったことについて、非常によくまとめられていると思います。今、教育面や文部科学省で行われることの全体の施策が大きく変わらなければいけないということを、ここでは非常に意識しておられると思います。そう考えたときに、文科省でやってきたこれまでの政策については、割に最近の、また現行のものに対するチェックは非常に細かいことをたくさんやっておられます。次から次に、これも足りない、あれも足りないと。例えば、読書が減ってきたから何かしなければいけないというようなことは、もちろん必要です、しかし基本計画ですから、もう少し骨太のところで、文科省自身がPDCAを回すということをやらないと、正しいとは思いますが、実行案にならない、政策にならないと思います。
 もちろんお金の問題というのはあるけれども、現在のお金が仮にそんなに増えないにしても、どういうふうに大きく、骨太のところを変えなければいけないのかということを、PDCAをしっかり回すということが非常に重要だと思います。問題意識は、私も本当にそのとおりだと思うし、問題の打開に向けた方向性も、こういう方向性で行くんだとしたら、今やっている施策は非常におかしいと思うんです。相当矛盾がある。そういうものを一体どういうふうに展開するのか。今、やっておられるものは全部駄目だとか、そんなことはもちろんないんですが、それをどういうふうにチェックしてやられるのか。それはもちろんこの局だけの問題ではないし、文科省全体で是非やっていただきたいと思います。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。平野委員、お願いいたします。

【平野委員】

 資料2-2の12ページの真ん中から少し下のほうに体験活動という帯があります。そこに自然体験活動、生活体験、国際交流等と書かれています。随分前に、自然体験の中にはどういうものが入っているのか私が確認したとき、農業体験も自然体験に入るということでしたので、農業体験が書かれていないので入れたほうがいいんじゃないかという意見を申し上げました。今でもそう理解していてよろしいのかどうかという質問が一つです。
 農業体験というのは、自然体験と並行してやはりとても大切なんじゃないかと思います。被災地において、例えば福島においては、自分の目で確認した安全な土壌で安全な水を使い、自分たちの食べ物になるものがそこで育っていく姿を目の前で見るということは子供にとってもいいでしょうし、大人にとっても安心材料を持った中で命をはぐくむことができる。その命のつながりというものを目の当たりにできる、いいチャンスではないかと思います。
 それから、岩手においては、農業振興を図っていた宮沢賢治という大文豪がいて、その人の作品を理解したり、その人の作品に親しんでいくというきっかけになるんじゃないかと思います。また、それが読書推進の一助にもなればと思います。必ずそういう方向に行くんじゃないかと私は期待するんですが、農業はさまざまな方面に貢献できる要素を持っているので、生涯学習の中に、農業というものをはっきり明示できる形で出されたらどうかという提案をさせていただきたいと思います。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。
 森友室長、お願いいたします。

【森友教育改革推進室長】

 当然、体験活動の中に農業体験も入っております。今の計画の中にも、農林漁業者などが農作業等の体験の企画を提供する取組を推進するといった記述も具体的にありますので、こういったことも踏まえて、また新しい計画の中で考えていこうと思っております。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。
 戸田委員、どうぞ。

【戸田委員】

 ありがとうございます。
 資料2-2の7ページは、我々のような若い世代から見ると、こういうふうになっていくと面白いというか、外を見ているプランだと思いました。先ほどおっしゃった根幹の部分もつくりながら、それをどうやって支えていくかという仕組みも大事だと思います。
 幾つか御質問ですが、資料2-5の読書の問題についてです。何を読むのか、またなぜ読むのかというのが大事だと思います。僕は昨日まで上海に行っていたんですが、海外の方たちと触れ合うと、本の在り方が大分違うんです。なぜ読むのかというところは報告書に書いてありますが、何を読むのかというところの検討はあるのでしょうか。英語で書かれたものなら英語の語源に基づく文化があると思うのですが、ここでの検討には洋書や英語のものも入っているんでしょうか。
 もう一つは、読書のアウトプットが重要だと思います。私が学生のころも読書感想文を書くとか、とにかく本を読めという、そんな感じでした。プラットフォームの話が書いてありましたけれども、読書のアウトプットの機会の創出について、今、想定されているものがあればお伺いしたいと思っております。
 我々は今、山梨でまちづくりについてそういうことと照らし合わせてやっておりまして、生涯学習もアウトプットの機会を明確にしていくことが重要であると思います。今やられている熟議も、経験するということが目的なのか、あるいはそれによって実際に活動していく指針をつくることが目的なのか。我々は完全に後者でして、参加した人間たちでアクションプランまでつくり込んで、実際に行動していきます。そうしたことを踏まえ、もう少し現場に近いところまで盛り込まれたプランにしたほうがいいのではないかと思いました。アウトプットの機会として想定していることがあれば教えてください。

【大日向分科会長】

 それでは、お答えをお願いいたします。

【塩見社会教育課長】

 何を読むのかという問題に関しては、この会議自体で具体的にどの分野の本を読むべきかという議論はそれほどなかったと思います。ただ、やはり読書というのは、多様性に大きな意義があると思います。具体の何を読むかというところまで踏み込んだ御議論はなかったのですが、我々が基本として考えるのは、日本語で読むということが中心になってまいります。読書を通じて、ものを読むことを通じて、日本語がこれまで長い時間をかけて、歴史をかけて背負ってきているいろいろな背景について考えてみるでありますとか、あるいは日本語の変化そのものについて、それと社会のかかわりについて考えてみるであるとか、そういった視点も大事なんじゃないかという議論はございました。
 また、読書のアウトプットとしてどのような機会の創出を考えているかということについては、5ページの提言3の提言のポイント1にも少し書いてありますけれども、読書というのはさまざまな意義のあるものでありまして、人間の基盤や社会の基盤づくりというところから始まると思います。読書をもっと振興していく上で、わかりやすい形で親しんでいただくために、ここにも書いてあるような読書会や読書サークル、あるいはイベントで1冊の本を読んでみんなで語り合うというような経験ができる場を、もっとたくさんつくっていこうという御議論がありました。また、読書を一つの切り口にして、人と人のコミュニケーションがもっと広がっていくような機会を設けていくことが必要なんじゃないかという御議論もありました。
 この会議は、協力者の皆様に集まっていただいて御提言いただいたものですので、これを踏まえてどういうアクションプランを考えていくのかというのが行政側の宿題ではと思っているところです。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 まだ御質問、御意見がおありかもしれませんが、時間のこともございますので、次の全体討議に移らせていただきたいと思います。
 前回は2つのグループに分かれて討議を行いました。ここからはそれぞれのグループについて、まず御報告をさせていただきまして、その後、議論の時間といたします。最初は第1グループが40分ほど、その後に第2グループという順番で行いたいと思います。
 まず、第1グループにつきましては、貝ノ瀬副分科会長がファシリテーターをおつとめくださいましたが、本日は御欠席ですので、私から御報告をさせていただきます。お手元の資料3-1を御覧ください。グループ1では、1「社会教育の意義・役割」、2「教育委員会と首長部局との関係」、3「社会教育の専門的人材の在り方」、そして4「社会教育施設の在り方」の四つの項目について議論を行いました。それぞれの項目について、資料の左側に記載されているような課題があります。これらを踏まえ、中ほどに示された論点例をもとに、社会教育の現代的な意義・役割についてどう考えるか、また、社会教育の振興のためにどのような取組が必要かということについて議論を行いました。限られた時間ではありましたが、各委員から多岐にわたる御発言をいただきました。
 そのうちの主な御意見が右側に記載されています。更に詳しい内容は、資料の後ろのほうにまとめてありますので、適宜見比べながらお聞きいただければと思います。
 まず、最初に社会教育の意義・役割についてですが、社会教育の機能が、まちづくり行政の視点からますます重要になっているという趣旨の御意見が多数ございました。具体的にその幾つかを御紹介いたしますと、「社会教育が縮小したのではなく、まちづくり行政全体が広がってきたととらえるべきである」、「社会教育や生涯学習がなければ、まちづくりはできない」、「地域に参加することに価値観を持つ国民をいかに増やすか」といった御意見がありました。
 また、「産業、福祉、教育などの地域の課題解決が求められている」、「国民全体の力を高めていく上で、最も力を発揮できるのが社会教育である」、「社会教育の意義・役割を再定義する必要がある」などの御指摘もありまして、全体として社会教育の意義・役割は今後ますます大切になっていくという共通認識を持ったところでございました。
 次に教育委員会と首長部局との関係についてですが、「まちづくり行政との一体化が必要なので、首長部局で担当すべきである」、「教育委員会では若者の就労不安などの行政課題に対応できるのか」といった御意見が何人かの委員の方から出されました。他方、「教育という観点から外して移管するのはいかがなものか」という御意見もあり、また、「首長部局に移管した自治体で何が起きているのか検証すべきだ」という御指摘もありました。
 次に、社会教育の専門的人材の在り方について、「改善すべきは予算よりも人の問題である」、「社会教育主事制度の利点は社会教育のみならず、学校の教員にもある」という御意見があった一方で、「首長部局でも社会教育主事がやっていることを担えるような人材を育てるべきだ」、「全体を見渡せる高い専門性を持った人材が必要」といったご意見もありました。また、「大学で資格を取得したけれども就職できなかった方々を大いに活用すべきだ」という御意見、また、逆に、「大学での養成に期待するのではなくて、現職の方を切磋琢磨(せっさたくま)させていくべきではないか」という御意見がありました。
 最後に社会教育施設の在り方ですが、施設を管理、運営する人のマネジメント力、施設、組織を超えた連携、地域の団体とのネットワーク、社会教育委員や議員の働きかけといったことが重要だという御意見がありました。
 以上、限られた時間でしたので、意見を集約するまでには至りませんでしたけれども、大まかな方向性をまとめると、次のようなことになるかと思います。
 まず、共に学び合いながら、その学びを生かしていくという社会教育の意義、役割は、今後ますます大切であり、その生かし方としてソーシャルキャピタルを高めるなど、地域づくりの視点が更に重要になっている。そのために専門的人材が果たす役割も大きく、人材の確保、研修が求められるけれども、その役割は社会教育主事だけでなく、首長部局の職員や住民も担っていくべきであるという御意見がありました。それから、教育委員会と首長部局との関係についても両論ありまして、また、所管にこだわらず融合的に考えてよいのではという御意見もありましたが、その点につきましては、更に検証が必要かと思います。
 以上でございますが、補足などありましたら、この後、意見交換の時間で、第1グループに参加された委員の方からも御発言をいただきたいと思います。特に第2グループの方々からも御質問、御意見をいただければ有り難いと思います。
 なお、補足資料について萬谷企画官から御説明がありますので、よろしくお願いいたします。

【萬谷社会教育課企画官】

 それでは、資料3-1の3を御覧ください。9月8日のグループ討議を踏まえ、関連する資料を幾つか補足としてお配りいたしました。
 生涯学習、社会教育の意義、必要性について、過去の答申に関連する記述がございましたので、それを抜粋したものをお配りしております。スライドの1ページ、2ページは平成20年の中教審答申からの抜粋です。一つ目の丸におきましては、国民の学習活動を促進することは、社会を支え発展させることができる国民一人一人の能力を向上させることにつながるとしており、社会全体の力の向上につながるというような意味づけがあります。また、二つ目の丸におきましても同じような考えで、こうした一人一人の向上が国際的にも地位の向上につながっていくといったようなことがあります。また、三つ目の丸におきましては、必要な知識、技能を習得、更新していくといったようなことからの意味づけがあります。
 また、2ページ目の一つ目の丸においては、まちづくりの視点に共通しますけれども、自立した地域社会の形成や、地域社会の基盤強化につながる地域全体の教育力の向上の要請等が意義として掲げられております。
 また、スライドの3ページは、本年1月に第5期の活動を通してまとめた検討課題についての資料です。一つ目の丸は、学習活動を通じて地域住民の絆(きずな)を築くということ、また、そのコミュニティづくりを住民等が能動的に行っていくという共通認識、機能を醸成していくという意味づけがありますし、また、二つ目の丸においては、地域の課題解決について書かれています。
 また、4ページ目は、地方公共団体における所管の在り方に関連して、その後、幾つかの自治体の方に電話等で取材して、状況やメリットなどについてお聞きしたものをまとめたものです。最初の丸は、生涯学習、社会教育の事務を補助執行によって首長部局で所管されている自治体の方にお聞きしたものです。メリットとしては、白い丸のとおり、他部局との連携がしやすく、連絡調整も迅速になったというようなことです。具体的には、町内会を所管する課が同じ部にあるために、地域の課題把握がスムーズになるといったことや、地域支援の部局、又は健康福祉の部局と同じになることによって、社会教育の事務をこれらと一体的に実施することができるといったようなことをメリットとして挙げていらっしゃいました。また、そのために首長部局の職員の方を教育委員会と併任させて、社会教育主事を発令させるといったような事例も一部ではありました。
 また、黒丸は、デメリットというほどではないということではありましたが、首長部局の課が所管することにより、学校教育との連携などについて、これまで以上に緊密に連絡を行っていく必要があるということや、他の自治体では教育委員会が所管するケースが多いために、連絡調整の段階で少し支障があることもあるといったような声もございました。
 また、中には、首長部局にいったん補助執行で移したものの、また今年の4月から教育委員会に戻したという自治体も二つお聞きしました。戻した理由は、一つ目は、学校教育と社会教育はやはり車の両輪であるので連携させていく必要があるということ、二つ目としては、補助執行という形が市民にとってわかりにくく、事務も煩雑になるという声もございました。ただ、これら2つの自治体においては、首長部局に移した後に、首長が代わられたためにその方針に従ったといった要素も多いようでした。
 また、5ページは、前回御紹介があった、島根県における社会教育主事派遣制度についての概要です。人数の推移が一番下の表にございますけれども、全国的に派遣社会教育主事の数が減っている中で、島根県においては、平成20年度以降はむしろ少しずつ増やしていって、市町村の社会教育要請をサポートしているといった形をとっております。これによって地域社会との連携強化、地域ぐるみの教育の推進などを図っているということです。
 また、6ページは、これも前回御紹介があった栃木県における社会教育主事の活用についての概要です。栃木県は、関東ブロックで行っている社会教育主事講習に対して、県で学校の教員を参加させております。下のほうの表にあるように、特に地元の宇都宮大学で行われるときには、60人から70人ぐらいの教員の方を派遣しております。その結果、上の表にあるとおり、合計1,000人を超える有資格者の方を抱えており、この方々に、校務分掌上で生涯学習を担当していただくことなどによって、地域との連携を図っているということでした。
 また、7ページ以降は、地方教育費調査について、平成21年のデータが発表されましたので、データを更新したものをおつけしております。7ページを御覧いただきますと、地方教育費全体はこれまで緩やかに減少傾向が続いていましたが、21年度におきましては若干増加しております。このうち社会教育費についても、平成8年度以来13年ぶりの増加ということで、前年度から1.1パーセント増加して、1兆7,291億円となっております。21年度においては、国の補正予算等々で措置されたものが、社会教育の分野でもかなり使われたということがあるのではないかと思っております。
 また、個別の知事ブロック関連の経費や、公民館、図書館、博物館等々の施設の経費の推移についても8ページ以降にデータをおつけしておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
 以上です。

【大日向分科会長】

 グループ1からの御報告は以上のとおりです。先ほども申しましたが、特にグループ2の方から御意見をいただければ有り難いと思いますし、もちろんグループ1の方からの補足もどうぞお願いいたします。グループ2の報告、討議を11時45分ぐらいから始めたいと思います。それでは、白井委員、お願いいたします。

【白井委員】

 できるだけ手短にします。
 第1グループの御議論の中で、ポイントは、社会教育というジャンルでずっとこれまで扱われてきたものが、それよりももっと広く全体の、先ほどもあったように首長部局でやらなければいけないんじゃないかというところです。もっとトータルな取組にしなければ地域づくりにならないというご議論がかなりあったということですけれども、このところの認識にどういうふうに移行していくのか。これまでの生涯学習、それから社会教育という観点では、やはり個人に非常に重点を置かれてきたと思うんです。しかし、大分以前から、地域づくりということが大きくその中の要素として入ってきている。もっとやらなければいけないんだというような方向性も、第1グループの議論の中では強く出ているんじゃないかという感じもします。それでは、組織的にどのように取り組む方向性がいいのかという議論になったのかをお伺いしたいです。

【大日向分科会長】

 ひとまず、いろいろ御意見をいただきましょうか。ここは第1グループの結果について議論するというよりも、特に第2グループの方からいろいろな御指摘をいただいて、また戻りたいと思います。どうぞ御意見をたくさんいただければと思います。萩原委員、お願いいたします。

【萩原委員】

 特に首長部局と教育委員会との関係は、非常に重要なところです。10年ほど前に私は、宮城県庁におりまして、役割としてはNPOと行政の協働を推進しておりました。NPOが学校と協力し合いながら何かをするといったときに、常に教育庁あるいは教育委員会との関係をどうするかということで、非常に困難がありました。
 私自身が環境生活部次長という立場で、つなぐ役割ということが重要だというふうに思いまして、そういう議論があったのかどうかをお伺いしたいです。首長部局と教育庁の中では、やはりどうしても、この部分はこっち、この部分はこっちと分けて考えられるところがあり、つい最近も実はそういうことが起きまして、まだまだ変わっていないんだなということがありました。そのときに私はよそ者という立場もありましたので、教育庁に何度も何度も通いまして、ご理解いただきながら高校でNPOについての講座を開講していただくということをやりました。
 おそらく内部の中での連携がないと、地域づくりの中でNPOと協働ということはなかなか難しいので、そのあたりの議論はどうだったのかということや、内部の連携をどうするかという話についてお伺いしたいと思います。

【大日向分科会長】

 それでは、中島委員、お願いいたします。

【中島委員】

 急激な人口減少社会が進んでおり、それから、少子化、超高齢社会によって、各都道府県に限らず、市町村の合併がどんどん進んでおります。市町村の合併は、群馬県でいきますと半分以下になっております。それに伴って、商工会議所、あるいは民間の団体についてもどんどん合併等が進んでいるわけです。そうすると、いろいろな施策を打つ上において、この辺の視点がやはり入っていないと、今まではスムーズに行っていた一つの組織においても、本来進むべきことが進んでいかないというようなことが絡んでくるんじゃないかと思います。この辺は総務省の関係が絡むのでしょうけれども、社会教育の分野についても大変重要な視点じゃないかと思いますので、御提案申し上げておきます。
 こういう意見が出ていたのかどうかについてもお伺いしたいと思います。

【大日向分科会長】

 今まで、いろいろ御質問という形でいただきましたけれども、先ほど、私も御報告させていただいたときに、いろいろな両論があったり、まだ意見が集約しうるところに至っていないと申しました。グループ2の方からいただいたような御意見、御指摘も、当然ありました。ただ、そこに関して、あった、なかったというよりも、グループ2の方からこういう意見も今後必要だという形でご提案をいただければ有り難く存じます。グループ1の議論はこの後もまた別の形で進めていくことができるかと思いますので、そういう形でぜひ御意見をいただければと思います。
 必要な議論が報告にきちんと盛り込まれていないところがあったら、今後もっと重視して議論してほしいという、そういう形でご意見をいただければ大変有り難いと思いますが、萬谷企画官から今のお3人に対して何か補足的な説明があれば、どうぞお答えいただきたいと思います。

【萬谷社会教育課企画官】

 ただいま分科会長からおっしゃっていただいたとおり、前回の御議論の中でも関連するご発言はございまして、連携というところでは、まちづくりに関する大きなビジョンのもとで首長部局と教育委員会が役割分担、連携をしていくべきだといったご発言がございました。また、まちづくりということについても、これからますます重要になってきているということで、社会教育がまちづくり行政全体にかかわってきているために、重要性がますます高まっているといったご発言がございました。

【大日向分科会長】

 白井委員、どうぞ。

【白井委員】

 この分科会では、議論範囲というのは当然あるとは思うのですが、生涯学習、社会教育という切り口だけではなかなか難しくなっていると思います。特に初中教育や、大学もそうでしょうけれども、学習指導要領でどんなことを入れていかなければいけないのか。そこから教育をやり直していかないと、あるいは親の教育も含めてですが、なかなかまちづくりにいかないし、全体ができていかないと思います。ですから、そういうことをこのレポートでどういうふうに入れるかは大変難しいんだけれども、何かの形で表現していかないと、既に既存の枠からにじみ出ているという問題じゃないかという気がします。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。大変大切な点を御指摘いただいたと思いますので、今後、更にそこは重視して議論をしていきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。浅井委員、お願いいたします。

【浅井委員】

 社会教育の意義についてはいろいろ御意見が出たようですけれども、地域の方々の生活を、経済面ではないのですが、つながりによって安定させるとか、ボランティア活動を盛んにするとか、そうしたいろいろな効果は私どもの研究の成果でも出ており、意義はあるといえます。しかし、それだけではやはり通用しなくなってきているのではないか、一歩先へ進める必要があるのではないかと思っております。
 社会教育は地域に何ができるのか。限界集落は時間の問題かもしれませんけれども、本当に生きるか死ぬかの地域はたくさんあるわけです。そこで、社会教育は何をするのかということなのだろうと思います。やはり地域の方々の能力を高めていただくということが大切でして、それは学習成果を活用するということにつながっていくわけです。どういう学習をして、どういう能力を身につけて、アウトプット、アウトカムを出していくかということです。そのために、学習の入り口と出口というものをきちんとアドバイスしていける、学習相談のような仕組みをつくっていくということが必要なのではないかと思っております。専門家ではなくても、地域の方々を育てていけば学習相談ができることは、今までいろいろな地域で見受けられました。
 それから、社会教育主事は、一体何をするのかということが問われていると思います。専門職だけではなくて、地域の方々がリーダー層になって地域の人材として活躍するときもそうですが、その人材の必要性を示すためには、スキルが必要です。エモーショナルな主張や精神論だけでは通用しませんので、スキルをきちんと身につけていただく。また、ツールが必要です。そんなに複雑なことでなくてもよいと思いますが、そのツールを使いこなす能力やスキルを身につけるようにすると、その人はその地域に必要不可欠になっていくと思います。そういう仕掛けをつくらない限り、社会教育主事を始め公的に配置する専門家の必要性を主張することは無理な時代に入ったのではないかと思います。
 もう一つ、そういう人をどのように育てていくのかという研修の仕組みの問題ですが、広島県立生涯学習センターが非常にいい役割を果たしております。県のセンターで地域のキ-となる職員や社会教育主事を育て、その人たちが地域で地域人材を養成し、市町に波及していくようにしていますので、そこの関係がとてもうまく回っている。この難しい時代に、人材育成の仕組みをつくっているということで、広島県の生涯学習センターは、非常に立派だと思います。
 それから、派遣社会教育主事については、なくなったことは本当に残念ですが、復活せよというのは不可能なので、違う形で何かできれば有り難いと思っております。社会教育領域であるかどうかは別にして、まちづくりがうまくいっているところをみますと、県から優秀な人が入ってきて、立て直しをするというところが結構ありますから。
 以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 戸田委員、どうぞ。

【戸田委員】

 私が言いたかったことは、浅井委員が言ってくださいました。今、新しい公共ということで、地域に大分目が行く形になっています。我々は、県だけではなくて市の教育委員会や、市の関係者も一緒に巻き込んでやっていますが、そういったところで県から市に落としていくとか、本当は町レベルまで落とした上での体制が必要だと思います。
 また、まさに社会教育ということで、その地域社会の課題を明確化することがかなり大事だと思っております。同時に、どんな人がいて、どんなことができて、どんなインフラを持っているのかというリソースを明確化する。そしてビジョンを明確化しないといけないんじゃないかと思います。どうしていきたいのかが結構漠然としてしまうので、その地域の課題に対して明確化する。その中で学びが必要なので、学びの機会としては、生涯学習や社会教育、当然学校教育も入ってくる。そういった形が必要なんじゃないかと思っています。
 あと、社会教育主事のスキルというのもかなり必要だと思います。山梨県の事業で、社会教育主事がコーディネーター役として、外部の産業界など、いろいろな人間が集まってきて意見を出す場をつくってくれています。しかし現状の社会教育主事のスキルでは足りていないと思うので、おっしゃるようにスキルを磨くことが必要だと思います。
 繰り返しますが、地域の課題を明確化させて、そのビジョンをしっかりつくった中での教育が必要だと思います。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。
 高橋委員、それから久住委員の順で、お願いいたします。

【高橋(正)委員】

 ここで議論をしていて率直に感じるのは、まちづくりの視点については、文部科学省での議論においても、また、都道府県の役割や、市町村の第一線の取組をみても、かなり具体的に明確な違いが出てくるということです。私どもが現場第一線でまちづくりをしていく中で大事なところは、まず人づくりなのです。そして核となるリーダーをどう養成していくかということです。
 もう一つは、人と人とを結ぶネットワークをしっかりと構築していくということです。町全体の施設というのは、すべてが学びの場であり、生涯学習の場と思っております。住民の皆さん方の意識改革や、行政職員の意識改革というのは、非常に大事になってきています。ここをしっかりと積み上げていって、まちづくりを人づくりという形の中でしっかりと積み上げていくということは、議論の中では明確にしておく必要があるのではないでしょうか。
 そして、先ほど言いましたように、私どもが一番気になるのは、都道府県の視点と、市町村の現場レベルとはかなりの開きが出てくるということです。文書であらわすだけの、絵にかいた餅ではなくて、具体的に実効性のある方向にいかに計画を近づけるか。そして取り組めるようにしていくためには、明確な視点の違いや、それぞれの役割や実態をよく知らしめることが必要だと感じています。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。

【久住委員】

 今回の基本的な方向性ということで、絆(きずな)やコミュニティという言葉が出てきました。首長という立場から言うと、これは生涯学習というよりも、今の町全体の大目標なんです。行政も、すべてをその方向で組み立てようとしており、大きな課題となっています。生涯学習があればそれができるわけではなくて、それを支える一部分が生涯学習だという理解をしないといけません。ほかとの関連なしに、この文科省の生涯学習だけ進めていけば、それが達成されるということでは絶対ないんだろうと思います。ここでのまちおこし議論は、理念として非常にいいことです。例えば限界集落であれば公共交通が絶対に必要であり、そうすると交通部局との連携がなければ実現しない。このときの縦割りというのが大きな課題なんです。だから首長部局で担わなければ、それは実現しないということです。おそらく高橋(正夫)委員もそうだと思いますが、現場で私どもが担っているところはそういう部分です。
 私はNPO法人川に学ぶ体験活動協議会の副代表理事をやっており、川に学ぶということについて、3,000人のリーダーをつくりました。これは独自でやっています。担当しているのは(国土交通省)河川局の河川環境課です。
 だから、非常に複雑に、多岐にわたっているというのが今の課題です。大きな理念ははっきりしているんですが、横の連携をつなげなければ、一つの問題も解決しないというのが今の大きな課題なんだろうと思います。一番の問題は、人づくりという点において、現場を実際に担っている市の職員のレベルをいかに上げるかです。ソーシャルキャピタルの高い職員をどう育てるかというのは、具体的な喫緊の課題です。市民やNPOの人は随分育ちました。首長も多少意識が高い人が出てきました。しかし、それをつなげる職員のレベルがまだ低いんです。それが今の社会教育主事制度でまかなえるのだったら、私は任せたいと思います。もっと人の育て方に対するいい知恵がでてきて、体験させ、早く育てる、民間の人たちがそのような人づくりをするときに、行政が受け入れて、応援する仕組みが出てくれば、僕は今の課題は大きく変わってくるのだろうと思います。そこを何とかつくってもらいたいと思っております。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。
 それでは、高橋興委員、お願いいたします。

【高橋(興)委員】

 先ほど、萩原委員から御指摘のありました、教育委員会と首長部局の関係は古くから大変難しい問題でした。私は萩原委員と逆に、教育委員会にいて、同じようなことを逆に感じてきました。しかし、よくよく考えてみると、この教育振興基本計画の審議状況についての資料で、我が国の教育が直面する問題に挙げられていることをみても、我が国の教育の最も大きな欠陥は、学校教育と社会教育をはじめとするその他の教育分野が著しくバランスを失っていることだと思います。このことに対する深刻な反省と、それに基づく具体的な取組がなければ、教育問題は少しも前に進まないのではないかというふうに、私は常に考えております。
 そのことは都道府県、あるいは市町村も全く同じです。教育委員会の中でも、特に、学校教育部門と生涯学習、社会教育の分野というのは多くの場合、断絶しているわけです。そういう状況の中で何かをやろうとすれば、もうそれだけで社会教育にかかわっている人たちは膨大なエネルギーを消費せざるを得ないという状況になっていると思います。
 それから、もう1点は、先ほど、派遣社会教育主事制度を復活させるのは無理だというご発言もありましたけれども、私はそうは思っていません。今回、事務局から島根や栃木の資料を出していただきましたが、現に、財政状況が厳しい中でも交付税措置を生かして、このように運用している県もあるわけです。島根県などは、来年以降は更に増加させると、明確に言っています。
 私がこの制度を大事だと思っているのは、学校教育の問題でもあるからです。この十数年、学校教育の分野では、盛んに地域とのかかわり、あるいは地域の力の活用ということを言っています。しかし、はっきり言って、現場の教員にとって地域は極めて遠いんです。ですから、全教職員からすれば限られた数であっても、教員籍を持つ者がいろいろな形で地域に出ていき、地域の状況を実感する、そしてそれを持ちかえって学校教育に生かす制度としても、派遣社会教育主事というのはとても大事だ、と私は考えております。
 市町村の職員で社教主事となって頑張っている方々もおります。しかし、私は、市町村の社教主事が地域と学校をつなぐというときに、大変な苦労をしている、あるいは最初から意欲を喪失している人さえいるということを実感しております。なぜならば、地域とのかかわりは深い市町村の職員である社教主事も、学校教員にとって地域が遠いのと同じように、学校の状況や雰囲気というのはなかなか実感できないようです。
 ですから、教員が学校と地域を行き来する制度として派遣社教主事というのは、今まであった制度としては大変有効だったと実証されていると思います。学校教育は大事だ、その学校教育では地域とのかかわりを深めることが必要だとするのであれば、なぜこれをつぶすのか、この制度をきちんと復活・再生すべきだ、これこそ学校と地域の距離を縮める有効な方策の一つだというのが私の主張です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 それでは、時間の関係で宮本委員を最後とさせていただきます。

【宮本(み)委員】

 私も第1部会に出ていましたので、こういう形で整理されたのを見て、もう一度、私の立場から申し上げたいと思います。学校教育の在り方と、社会教育の在り方、あるいは両方の改革というのは、これは一体のものです。今、どういう改革が求められているのかは、年齢層ごとに言うべきことがあるかと思います。青少年、若者ぐらいのところで整理してみたいと思います。今日のまとめを見ますと、「きずな」と「まちづくり」という言葉がかなり全面的に出てきておりますけれども、国際的に言いますと、こういう表現というのは極めて日本的な感じもします。
 先週イギリスに行って、若者の参画に関係する機関を回りました。イギリスだけではなく、EUの国々で、このあたりのテーマをどのように言葉として表現しているかというと、能動的市民の形成、それからアクティブなシチズンシップというような言葉です。ほとんどの国が、この10年の間に学校教育の中にシチズンシップ教育を入れています。やり方はかなり違いますが、問題意識としては共通しております。日本国内においても、この数年の間に、他の省庁でも市民性の教育というものがいかに重要であり、そこに手をつけなければいけないかという議論が始まっております。そういう意味で言うと、絆(きずな)をつくる前に、やはり市民としての形成というのが非常に重要なものだと思われます。その点で、学校教育自体の改革が必要であり、いかにして市民としての教育を学校教育の中に入れるかという課題があると思います。
 ところが、もう一方では、市民をつくる教育の目的と方法という点で、この課題は学校教育の範囲の中にとどまれないわけです。社会教育なり、地域での教育を、EUではノンフォーマル教育と言っていて、学校教育のようなフォーマル教育だけでは若い世代を育てることができないという認識のもとに、ノンフォーマル教育を広げていくということをやっています。日本での社会教育の改革も、ノンフォーマル教育の機会をいかにつくっていくか、その中で次の世代を育てるかという、この文脈で考える必要があるのではないかと思います。
 ノンフォーマル教育というのは、フォーマル教育があっての両輪で行かなければ成功しないので、先ほどから出ているように、学校教育部局と社会教育部局がほとんど厚い壁で動かないという問題を取り払う必要があります。つまり、教育の位置づけを変える必要があるように思います。
 その点で、社会教育主事を残すとしたときに、先ほども出ておりましたけれども、スキルとツールが要るわけですが、スキルとツールの全面的見直しが必要です。これがなければ、社会教育主事が、地域における課題を担う有力な人材としては認識されないだろうと思います。その点でいっても、これも外国をまねるわけではないですけれども、既に地域の多くの課題を抱えて取組を進め、ノンフォーマル教育を重要なものとして位置づけた国々では、スキルとツールを持ったワーカーをつくってきていると思います。そういういろいろなケースを収集しながら、社会教育主事を残すのか、それにかわるべき新たな人材を育成するか、そしてその人が担うべきものは何かといったことをもう少し整理してみる必要があるのではないかと思います。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 皆様から貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。先ほども申しましたように、前回の討議は限られた時間でございました。したがって、意見を集約するということには至りませんでしたが、社会教育の意義というものの重要性については、みなさんで合意ができたと思います。それを具体的にどういうふうに進めていくかということに関しては、今日、第2グループの方々からいただいた御意見は大変貴重で、参考になりました。現場あるいは地域のそれぞれの実態に即して、もう一度、社会教育の意義を具体化していくためには、どういうツール、スキルが必要なのか、地域の実態をどう考慮するか、そうしたことなどを念頭に置いて、もう一度第1グループでも議論する機会があると思います。第1グループの方々も、今日のまとめで十分でなかったところはおわび申し上げますが、本日、御意見をいろいろいただきましたことも踏まえて、今後とも積極的に討議に参加いただければと思います。
 それでは、次に、第2グループに移りたいと思います。第2グループは、山本委員がファシリテーターをお務めくださいましたが、本日はお休みですので、藤野生涯学習推進課長からご報告をお願いいたします。 

【藤野生涯学習推進課長】

 それでは、資料3-2に基づき御報告させていただきます。なお、不十分な点がある場合には、グループ2の委員の方々に補足していただければと思います。
 グループ2は、「生涯学習社会の実現に向けて高等教育機関に期待される役割について」というテーマで御議論いただきました。資料の1枚目にあるように、五つの事項で御議論いただいております。「生涯学習機能充実の意義等」「ライフステージ等に応じた学習機会の充実等」「学習成果の評価・活用」「地域・社会との共生のための関係づくり」「体制の整備」という五つです。資料の1枚目に主な意見を、資料3-2マル2に意見の詳細を書いておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
 最初の「生涯学習機能充実の意義」については、高等教育機関における生涯学習の観点からの取組の位置づけ、あるいはその根本となる考え方が必ずしも明確になっていないのではないかという視点から、「社会や大学にもっと明確に示していくことが必要だろう」という御意見がありました。「大学経営者等に対して明確なメッセージ政策が重要ではないか」という御指摘もいただきました。また、生涯学習機能充実の意義、必要性についてはいろいろな観点からお出しいただきましたが、特に「各大学の経験を多くの関係者が共有していくことが大切ではないか」、「各大学が全国に発信しながら少しずつ経験を広めていくことが重要である」というお話がありました。
 また、高等教育機関が生涯学習を推進していくためには、「経済的な仕組みを組み直すことも視野に入れるべきではないか」という御指摘もあったと思います。あわせて、生涯学習政策を担当している生涯学習政策局、それから高等教育政策を担当している高等教育局の連携についての御指摘もございました。
 2点目の「ライフステージ等に応じた学習機会の充実等」については、「急激な変化に直面し、職業的、生活的課題を抱える成人に対する教育システムを、どう大学に位置づけ、本格的につくっていくかについての議論が必要だろう」ということでした。また、「社会人学生と一般学生では、教える内容も方法も違うものを提供しないと成り立たないので、ライフステージ等に応じた教育プログラムの充実が必要である」という御指摘をいただきました。
 また、「社会人自身が高い授業料を払い、貴重な時間を使って高等教育を受ける動機づけが疑問である」という御指摘もございました。「社会人のための大学教育の質や、その保障の考え方、学習成果の評価の体系的な整備など、環境整備についても併せて検討が必要である」という御指摘もありました。
 「学習成果の評価・活用」については、「地域課題を明確にし、自治体や市民、NPO等の提案と大学の資源を結びつけ、学生等の若い世代が学習した成果を活用して一緒になって取り組むことが重要であろう」ということでした。また、「ヨーロッパ等では、個人の知識、技術をレベル別に学習成果として評価する体系をつくっており、我が国でも真剣に検討していく必要がある」というお話がありました。これについては、後ほど資料等で御説明させていただきます。
 次に「地域・社会との共生のための関係づくり」についてです。「大学の社会貢献は、責任ある地域参加であるべきだろう」とのことでした。「一方的に地域社会に働きかけるのではなく、悩みや問題意識を共有しながら、共に解決策を探っていくという姿勢が重要である」ということでした。また、地域発展に向けた学習に取り組むに当たっては、地方大学の知的・人的資産は最も頼りになる存在です。ですから、「疲弊、衰弱している地域の再建に国立大学が責任を持つことは、大学の持続的発展にとっても、地域の存続にとっても大変重要であり、協働の方法の確立が必要である」という御指摘でございました。
 また、「大学の生涯学習に関連する取組を積極的に発信していくことが求められ、さらなる発信力向上に向けた方策の検討も重要である」という御意見や、その他、卒業生のフォロー、高大連携、学生のボランティアなどについても御意見をいただきました。
 最後に「体制の整備」についてです。生涯学習の取組推進の担当部門は、大学と地域の関係を探し出し、結びつけるという役割を持っております。そのための学内外のネットワークやフットワークを兼ね備えた人材の配置、あるいは実践力を持つスタッフを育成することが急務になっております。そのために、「大学と地域をつなぐコーディネーターを大学と地域双方に置くことが重要である」という御指摘もいただきました。
 資料3-2のマル2は、先ほど申し上げたように、意見の詳細を掲載しております。
 資料3-2のマル3について御説明いたします。2ページから、大学、大学院、短大、専門学校の社会人入学者推移です。
 6ページによると、我が国は社会人学生の比率が大変低いことが伺えます。OECD平均では約2割ですが、日本における社会人学生の比率は2パーセントです。一方、大学における社会人受入れの推進に関する制度については、いろいろ設けられております。8ページには、社会人のリカレント教育の受講意識を掲載しております。これによると、9割の方がリカレント教育を受けたい、あるいは興味があると回答していますが、実際はなかなか実施されていないという状況がございます。
 次のページは、労働者が自己啓発を行った理由です。現在の仕事に必要な知識、能力を身につけるため、あるいは将来の仕事やキャリアアップに備えてという回答が多くなっています。
 10ページから12ページ目までがヨーロッパの状況です。イギリスでは、学術資格と職業資格が厳格に峻別(しゅんべつ)されていることが、社会的に負の結果をもたらしているという認識から、新しい資格フレームワークの整備を進めております。NQFという、全国資格フレームワークであり、学術資格と職業資格を相互に対照しながら、レベル別に相互に見ることができるというものです。
 全国資格フレームワーク及び全国職業資格は、2008年から更に次の段階へと移行しており、資格単位枠組み、すなわちQCFが始まっております。これは、相互比較や相互の行き来ができるように単位時間の関係を持ち込み、レベルと学習量によってそれぞれが行き来できるものです。
 イギリスについて御紹介させていただきましたが、ヨーロッパの各国でもいろいろな状況があります。各国でこのような枠組みが設けられており、更にEQFというヨーロッパ全体の資格枠組みも始まっております。
 12ページは、職業と教育をどういう形でつないでいくのかということです。平成22年6月に閣議決定した新成長戦略では、時代の要請に合った人材を育成、確保するための実践的な職業能力育成評価を推進するために、実践キャリアアップ制度が設けられております。まずは成長分野を中心に、キャリア段位というレベルに分けた段位について検討していこうというものです。日本版NVQと言っております。
 また、実践キャリアアップ制度と教育との連携により、学習しやすい効果的なプログラムの構築も図っていこうという方向性が出ております。これについては、今年の5月に実践キャリアアップ戦略基本方針が出ました。介護人材、省エネ・温室効果ガス削減人材、6次産業化人材という3業種を皮切りに進めていくことになっております。今年度中に実証事業等による検証も行った上で、更に先に進めることとしています。
 13ページと14ページは、人材認証制度の状況です。これは文部科学省で、平成22年度に調査したものです。人材認証制度とは、自治体、教育委員会、大学・短大等の主体が、一定の学習や活動を経た人材に対してそれぞれ独自の呼称や称号をつけたり、修了証を発行するなどして、人材の能力、経験等を客観的に認証するものです。調査によると、2005年以降に始まったものが非常に多いという状況が見られます。また教育支援、職業技能、保育・福祉の分野での人材認証が多いという結果もございます。14ページによると、マッチング事業もあわせて行っている制度においては、大学よりも自治体、教育委員会のほうが熱心に取り組んでいるという状況がうかがえます。今後重視すべき課題としては、認証された人材と活動の場を結びつける仕組みの整備、あるいは認証された人材が活動できる場の拡大というものを挙げているところが多いようです。
 18ページは、大学生涯学習系センターの職員の生涯学習に関する研修方法についてです。6割が、特に研修を実施していないということです。
資料3-2マル4は、先の第5期の検討状況についてであり、高等教育の生涯学習機能の向上に関係するところに下線を引いております。
 以上です。

【分科会長】

 ありがとうございました。
 それでは、先ほどと同じように、特にグループ1の方から御意見を、それから、グループ2の方も補足の御意見をいただければと思います。
 高田委員、お願いします。 

【高田委員】

 高田です。
 高等教育機関は、大学や大学院のことを指すのだろうと思いますけれども、ここにたくさんの大学の先生がおられる前で言いにくいことではありますが申し上げます。以前、ある科学館で国民の科学リテラシー向上に関するシンポジウムを開催しました。科学系の博物館の活動によって、いかに国民の科学教育、科学リテラシーが向上するかという内容です。そこである大学の先生が出した模式図に愕然(がくぜん)としたんですけれども、それはピラミッドで、頂点に自分がいて、底辺に国民がいる絵を出されたんです。私は逆だろうと思いました。自分が一番上にいて、上から目線で、おれは一番知っていて偉いから教えてやるというような模式図を見せられて、それが高等教育機関におられる先生方の意識の実態ではないかということを感じたことがあります。
 これは一博物館の科学教育の一つの例ですが、ほかの社会教育の現場においても、ひょっとして同じような意識の高等教育機関の方がおられるのであれば、これはゆゆしきことではないかと思います。高等教育機関の先生方が現場におりてくるといいますか、博物館なら博物館の現場にどんどんおりてくるとか、現場を知るということ、自分の役割としては市民の中に一緒にいるんだという意識が必要だと感じます。
 できれば、高等教育機関の位置づけや、社会教育の中で高等教育機関というのはどこの場所にブロックをはめたらいいのかという、模式図というか役割が見えるような形があるといいと思います。これは文章で書かれると、高等教育機関の位置づけやつながりがなかなか見えないので、模式図的な役割が見えるものがあるといいと思いました。
 以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。
 中曽根委員、お願いいたします。 

【中曽根委員】

 地域の観点で見ていますと、大学の持っている財産で大きいのは、若い人がいるということじゃないかと思っています。配布されたデータで見るとそんなに高くないんですが。社会教育主事の実習ということで大学生が入ってきたり、街の中にボランティアで入ったり、そういうときのかかわりを見ていますと、地域の人たちは一生懸命自分の活動を分かってもらおうと、自分の活動を振り返りながら、それを若い人に伝えようと努力して、それが活気を生み出すんです。
 社会の中で働くということには仕事もあるけど、いろいろな地域での活動というのもあるんだなということを体験的に学んだり、みんなが話し合いながら物事を決めていくという場からは、先ほど出ていたシチズンシップ教育というか、市民性がはぐくまれるのではないかと思います。もっと大学生が地域に出ていけるような、あるいは出ていった後に振り返りをきちんとサポートできるような、専門領域を持った研究者というだけではなくて、もう少しそこをつないでいく人というのが大学の中に置かれていくことが、大学生の生涯学習という観点で見ると必要だと思いますし、結果として地域の生涯学習にとっても刺激になるのではないでしょうか。
 今、一番先行していると思うのは大学内に置かれたボランティアセンターではないかと思いますが、そこはマッチングはしていても、かかわった学生に、教育という観点でかかわろうとするところはまだ少ないように感じます。 もう一つは、資料にも書いてあったような、社会人学生と一般学生とでは教える内容も方法も違うという認識は、大学公開講座にかかわっている方々からはあまり感じ取れません。教養サービス的に、明治の作家のお話を文学部の先生がするというようなプログラムはたくさんあるのですが、本当にカルチャーセンター的な学習で終わっています。受講生が人生経験を持ち寄り議論するような、ゼミ的な学び方を含めて、プログラム提供するようになっていけば、地域社会教育事業との連携もすすみ、地域内での教育施設間での信頼関係が育まれていくのではと感じております。
 以上です。 

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
生重委員と、その次に中島委員、それから岩田委員、それから高橋興委員の順ですね。 

【生重委員】

 高等教育機関に期待される役割の一つに、大学一、二年生のキャリア教育があります。私も結構全国の大学を回らせていただいていて、中小零細企業の経営者の方にお目にかかったり、大学のキャリアセンターの方とお話をさせていただいたりしています。そこで非常に必要だと実感しているのが、都市圏は別にいたしまして、地方における高等教育機関の役割です。零細中小企業に就職をした大卒の若者たちや、高卒の若者たちは、3年から5年程度の早期離職がものすごく多いです。その大きな一因として、規模が小さい分、雇用数が少ないので、同期の中で、気が合うとか合わないとかということがあるんです。しかし、広い人間関係が生まれてきづらい環境にあって、そういうものが若干出てくるというのは当然なんです。自分はどういうスタンスで働いていくのか、生きていくのかということを考えることが大切です。年に何度か、自分と違う職種についている人たちとのコミュニケーションや、学び、ワークショップ等を通じて、再度そうした問題を実感する機会を高等教育機関が提供してくれるようになるといいと思います。大学で労働者の自己啓発を行ったり、その地に生きることの自分たちの価値創造ができるような学びを提供していく。その地域にある大学が、その地域の価値創造も含めて、その地の活性化をする若者たちに対する学びを提供していくということも、もしかしたら必要なのかもしれないと思っております。
 以上です。 

【大日向分科会長】

 では、中島委員。

【中島委員】

 私もこの生涯学習委員会に出させてもらって、この委員会の役割というのは非常に大きいということを感じております。学校教育法に定められた教育機関が幼稚園から専門学校、大学までありますが、それぞれの教育課程をそれぞれの分野で行っているわけです。世の中が大きく変貌しており、今、政治も混迷している、あるいは国際的にも、社会的にも危険不安社会ということが非常に複雑に重なってきている。そういう中でいくと、従来の学校教育だけでは達成できない、それをフォローし補うために、やはり社会教育、生涯教育が非常に大きなものになっているということを強く感じております。
 具体的に申し上げますと、私のところの教育グループの中に、高校中退者と不登校の生徒を受け入れる学校があります。公立だけしか発表はありませんが、公立と私立を入れますと17万人ぐらいの高校生が中退していると思われます。大変な数字です。それから、大学生もかなり中退しており、これがニート、フリーターの予備軍的存在になっているわけです。それで、高校卒の資格と復活を遂げられるような高等学校を12年ほど前につくりましたが、いろいろな法律の縛りがあるんです。それをフォローするために通信教育や教育委員会の技能連携という方式があり、その方式で通信教育の高等学校は毎日通ってくる学校に切りかえてやっています。今現在、その学校に220名ぐらい通っています。
 この中で、不登校だった人が大体90パーセントです。そして、高校を中退してしまったというようなことなんです。心の病んでいる部分があるものですから、先ほど農業という話がありましたけど、約8,000坪ぐらいの農地を活用して、農業体験をさせることによって、その子たちが落ち着いて復活していくという事例があります。そのようなことが社会現象である中で、生涯学習あるいは社会教育の役割というのは大変大きいということを感じておりますので、御紹介申し上げました。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 岩田委員、お願いいたします。

【岩田委員】

 高等教育機関が提供する生涯学習は、大変大きい潜在需要があると思います。一つは、今、仕事をしている現役の人たちです。もう一つは、定年後の人たちだと思います。まず、今、仕事をしている現役の人たちについてですが、どの企業も自分たちの企業の競争力の源泉は人材だと思っています。人材をいかに育成するかということは大きな経営課題なんですが、今日、それが自前ではできなくなってきていると思います。
 中小零細企業では、今に始まったことではないのですけれども、社内で人材育成を自己完結的にやるだけの社内人材もいなければ、資金的に余裕がなく、人材育成がなかなか社内でできないという課題があります。
 そして、今は大手企業も社内ではできないんです。かつての高度成長期のように、やることがわかっていてキャッチアップする目標もあったときには、それに向かって、社内にあるいろいろな知識や経験を、若い人たちに教えていくというのは自分たちでできました。今はやるべきことがわからない。新しい価値を創造して、それを商品やサービスという形で展開していくわけですが、新しい価値を生み出す力をつけることは、社内教育の中ではなかなかできないということに気がついています。ですから、会社ができることは、最低限の体系的な社内教育と、あとは社員が自分で自由に勉強するための時間を保障する、そういうことだと思います。
 では、それに見合う学習機会があるかというと、先ほどの資料にもありましたけれども、一般の学生を対象としているカリキュラムは精緻なものがあるかもしれません。しかしそれは、そのままは使えないと思います。ビジネススクール的なコースはたくさんの大学にありますけれども、それ以外はないと言ってもいいんじゃないでしょうか。ですから、大学は、立地している地域の産業界と、どういう教育ニーズがあるかということをよく意見交換していただいて、大学と産業界が一緒になってカリキュラムを開発するというのが最も理想的ではないかと思います。
 それから、高齢期についてですけれども、私の世代も含めて、これは量的に大きな潜在需要があると思います。とにかく学ぶということは、そのこと自体、人生にとって価値がありますから、人生を豊かにするために学びたいという人もいると思います。また、第2の人生が長くなっていますから、そこで社会的な活動をする、あるいは転職をして第2の仕事に就くという方もいらっしゃるのですが、そのときに60歳前後で学び直したいという方はたくさんいらっしゃいます。私の身近な人でも、第2の仕事として社会福祉法人の経営に携わるということになって、大学で学び直しましたけれども、そういうふうに高齢期のニーズというのも量的には非常に大きいと思います。
 ですが、カリキュラムがそれに合わない。ニーズはたくさんありますので、カリキュラムの面、それから教え方も含めて、御検討いただければと思います。 

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 では、中橋委員、その次の相川委員、どうぞ。 

【中橋委員】

 ありがとうございます。
 私は子育てのNPOをやっていますが、小さい子供を連れて大学の授業に協力するというような形で行くこともあります。大学の先生たちに、子育て中の人たちの講座ということでかかわっていただくのですが、私たちNPOが大学の中に入っていくことでも大学がすごく変わってきた、あるいは生徒さんが変わってきたというような話も、先生方からよく聞きます。それは個人的なつながりでやっています。
 この議論の中でもコーディネーターの配置が必要であるとか、力量が必要であるという話題になっていますが、特に地方に行くと、コーディネーターのいる大学がそんなにあるわけではありません。一つ一つの大学に探っていくというのはすごく大変なので、幾つかの大学でエリアごとにつなぐ仕組みがあるといいのではないでしょうか。コーディネーターの前段階として、大学側の持っているものと、地域で大学側に提供できるスキルと、双方のものが見えるような、こことこことをつないでほしいんですということが頼みやすいような仕組みがないと、なかなか次に進めないということがあるのではと思います。
 それと関連して、私たちは、お母さんたちと一緒に、高等学校や大学に小さい子供たちを連れて行く機会が非常に多いのですが、そのときに、親御さんたちが大学に行ってすごくいい刺激を受けています。親になったことで、子供の発達に初めて関心を持つとか、さまざまなことを感じて、大学で学びなおしたいということで入った人が、何人か周りにいます。そういう人たちは、全部のカリキュラムを受けたいわけではないので、そのときもすごくハードルが高いんです。自分のライフステージによって関心のテーマが変わってきますし、部分的に学びたいと感じたときに、行きやすいような仕組みや制度があると有り難いと思います。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。
 それでは、相川委員、お願いいたします。 

【相川(順)委員】

 ありがとうございます。
 私たち、高校生の保護者というのは、大学はまず自分の子供が入るところという観点でしか見てこなかったのですが、今回、生涯学習という視点でみると、やはり大学というのはいろいろな専門性を生かした相談機関でもあるんだなと思います。いろいろなセミナーを開催していただいているということを改めて認識しています。
 社会貢献というのは、地域参加であるということで考えていくと、いろいろな情報を一般にわかるように公開していくということが必要であると思います。今、中橋委員がおっしゃったように、コーディネーターの不在により、情報伝達がうまくいってないのではというふうなことを感じています。せっかく専門性を持った人たちがいるのに、それがうまく市民に伝わっていないのかなと感じています。
 大学は、それぞれの専門分野というのがあるでしょうから、地域の特色を生かした学習の場の提供をして、そこで学ぶ地域の人たちは、学んだことを地域のほうに更に広げていければいいのではというふうに私は感じました。
 簡単ですが以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 今野委員、お願いいたします。

【今野委員】

 資料では、日本の大学への社会人入学者の割合が低く、2パーセントだということですが、まだまだ高まっていないんだなと思いました。私の大学院大学では、400人ぐらい学生がおりますが、3分の2は留学生なんです。留学生を海外から集めるときには、教育の内容・レベルを高く保持することが大切でありますけれども、それと同等以上に奨学金が確保できるかどうかということが重要になります。それがなければ全然受入れができなくなるからです。特に私どもの大学の場合は、現職の行政官、有職者・社会人を受け入れるので、奨学金確保という条件整備が決定的に大事になります。ワールドバンクやIMFなどの国際機関、あるいは文部科学省からの奨学金をもらって、それで学生を受け入れているということで、社会人の割合が高くなるということになっています。
 日本の大学の場合、社会人の入学者がこれだけ低いという残念な結果なんですけれども、高めるためにはやはりそれは条件整備がどうしても必要なんです。
 一つは先ほど話がありましたように、受け入れる大学で、それにふさわしい教育の内容や選抜の方法といったことも必要ですけれども、併せて有給の職業訓練休暇制度の普及も必要だと昔から言われていますが、あまり進んでいないんです。実施しているのは一部の大きな企業だけということで、そういう条件整備がきちんとできないと、大学だけでは改善がなかなか難しいのではないかという気がしております。労働行政の関係なんでしょうか、そういう教育・研修支援の施策と相まった提言が必要になるのではと思いました。
 それからもう一つは、大学の生涯学習機能ということで、地域社会との関係性を拡大するということが重要だと思います。単なる交流ではなくて、正課のカリキュラムにおいても地域に開かれて、地域と関係性を持つということが大切だと思います。特にアメリカなどでは、サービスラーニングというんですか、大学の学問を研究する中で、教室の中だけではなくて、社会に出ていっていろいろな活動と組み合わせて勉強させるというものがあります。アカデミックな理解の中での地域の経験、活動が非常に有効だというふうなことでさまざまに展開されているようで、日本でも一部の大学でやられていると思います。正課の教育の中での地域との交流というものもこれからの課題ではと思っております。
 それから、審議会でも20年ぐらい前から、ギャップイヤーということで、大学に入る前の1年でいろいろな社会活動をしましょうということが提言されてきましたが、なかなか進んでいません。最近は同じギャップイヤーでも、学部を出た後、1、2年の間社会で活動して、それから職業に就きましょうとか、あるいは大学の中での1年をそういう社会活動に就きましょうとか、さまざまなトライアルがなされているように聞いております。そういう新しい活動で、大学が地域との関係性を持ちながら、教育の中身を変えていくという視点も大学等にとっては必要ではないかと思っています。
 以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 本当に申し訳ありません。時間の関係でこのあたりで。最後にまだご発言のない明石副分科会長に一言お願いしたいと思います。 

【明石副分科会長】

 1点だけですけれども、先般、教育社会学会がありました。教育の財政負担を国民がどこまで期待しているかということで、福祉関係の公負担は9割方が賛成しているんです。教育の負担に関しては、2割か3割しか財政的な負担をしなくていい、個人で頑張りなさいという根強い教育世論があるんです。社会教育の場合は、まだまだ自己負担というか、個人負担という意識も根強い。だから、この辺の教育世論をどうやってつくっていくか。
 学校教育も社会教育も、公が負担して当たり前という文化が日本はまだまだないんです。非常に財政の厳しい中で、そういう教育世論をつくっていきたい。そのためにこの生涯学習審議会が、社会教育は、個人の教養のみならず、社会に貢献するんですよというような教育世論をつくっていく。その先導的な役割がこの生涯学習審議会にあるかと思うんです。そうすると、学校教育もそれに従ってなびいてくるということがある。日本の社会は、福祉には税金を投入しましょう、だけど教育には投資しなくていい、という世論が根強いです。これを何とか変えていく審議会にしたいと思っております。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 たくさんの貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。このグループ討議は大変評価が高くて、今回もこれからももっとやってほしいという御意見をたくさんの委員からいただきました。今日御意見が言い足りないところがたくさんあったかと思います。是非、次の機会にお願いします。
 11月を目途に、本日、御報告がありました教育振興基本計画の骨子案の作成が進んでおりますので、それを念頭に置きまして、次回の分科会では、生涯学習の観点からどのような事項が重要なのかの議論を行いたいと思います。
 本日の貴重な御意見につきましては、事務局で整理をお願いしたいと思います。
 それでは、最後に事務局より連絡事項をお願いいたします。

【郷家政策課課長補佐】

 次回以降の会議の日程については、本日にでも委員の皆様に日程調査票を送付して調整させていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。また、交通費の発生する委員の方々には、交通費の伺い書を机上に配付しておりますので、本日、御捺印をお願いいたします。また、復路で航空機を御利用の方についても、返信用をお持ち帰りいただきまして、帰宅され次第、文科省まで航空機の半券を郵送いただくようお願いします。
 連絡事項は以上です。 

【大日向分科会長】

 それでは、本日の会議は終了とさせていただきます。長時間、どうもありがとうございました。

 

── 了 ──

お問合せ先

生涯学習政策局生涯学習推進課

伊藤、本田
電話番号:03-5253-4111(内線3273)
ファクシミリ番号:03-6734-3281
メールアドレス:syogai@mext.go.jp

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-- 登録:平成23年11月 --