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生涯学習分科会(第54回) 議事録

1.日時

平成22年10月18日(月曜日) 16時~19時

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第2講堂

3.議題

  1. 報告事項
    ・平成23年度概算要求の概要について
    ・子ども・子育て新システムに関する動きについて
    ・ISOにおける非公式教育・訓練サービスの国際標準化について
  2. 生涯学習行政における今後の課題等について(討議)
  3. その他

4.議事録

中央教育審議会生涯学習分科会(第54回)(全体会)

平成22年10月18日

【大日向分科会長】

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第54回中央教育審議会生涯学習分科会を開催させていただきます。
 本日は、お忙しいところお集まりくださいまして、ありがとうございます。
 まず初めに、本日の議事について確認させていただきます。お手元の議事次第をごらんください。第1に、本日は事務局から報告事項が3件あるとのことでございます。
 1件目は、8月末に提出されました文部科学省の平成23年度概算要求のうち、生涯学習政策にかかわるものについての報告です。
 2件目は、前回分科会でも事務局から少し紹介をしていただきましたが、子ども・子育て新システムの検討状況についての報告です。
 3件目は、ISO、国際標準化機構における非公式教育・訓練サービスの国際標準化の動きについての報告です。
 続きまして、今後の生涯学習行政の重点課題についての討議を、前回分科会に引き続いて行っていただきます。討議の方法等は後ほど具体的に、事務局から詳しくご説明をしていただきますが、これまで十分な討議時間が確保されていないというご意見を、前回分科会の終了後に複数の委員の方々からいただきました。本日は十分な討議の時間がとれるよう、会議全体の時間を3時間に延長いたしまして、グループ討議の時間を設ける等の対応をとらせていただきたいと思います。そこでご議論いただきました結果につきましては、基本的には引き継ぎ資料として、来年2月以降の次期生涯学習分科会に引き継ぎまして、そこでさらに議論を深めていただき、報告書等、何らかの形で取りまとめていただくこととしております。
 以上が本日の議事となります。長時間となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、事務局より、資料の確認をお願いいたします。

【平山生涯学習推進課課長補佐】

 それでは、事務局より資料を確認させていただきます。まず初めに、議事次第が1枚ございます。その次に座席表がございます。本日は、グループ討議がございますので、4枚つづりの座席表となっております。
 その次に、クリップでとじた資料の束がございます。そのうち資料1‐1から1‐3までが報告事項用の資料でございます。資料1‐1が「平成23年度概算要求事項の説明」とある資料、資料1‐2が1枚目に「子ども・子育て新システム検討会議体制図」とある資料、資料1‐3が「ISOにおける非公式教育・訓練サービスの国際標準化について」とある資料です。
 資料2‐1以降は討議用の資料となります。資料2‐1が「今後の課題等についてのご意見(第53回分科会でのご意見及び追加提出ご意見)」とある資料です。資料2‐2が「グループ討議での各委員の所属について」とある1枚物の資料です。資料2‐3が「今後の課題等の例(第1グループ)」として、グループごとに3枚つづりになっている資料でございます。
 その後ろ、参考資料となりますが、参考資料1が「今後の課題等の例」に関する参考資料データ編、同じく、参考資料2が事例編でございます。その後ろに、委員の皆様には机上配付資料として、「グループ討議の進め方」という1枚物の資料を配付させていただいております。また、「柵委員配布資料」を、カラーの両面刷りのものですけれども、1枚配付させていただいております。
 さらに、委員の皆様の机の上には、交通費等確認票を配付させていただいておりますので、本日お帰りになる際に、事務局の者にご提出いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上で資料の確認を終わります。過不足等ございます場合には、お近くの事務局の者にお伝えください。よろしくお願いします。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。
 それでは、資料を確認していただきましたところで、報告事項に移りたいと思います。23年度概算要求につきましては生涯学習政策局政策課の上月課長から、子ども・子育て新システムについても同じく上月政策課長から、また、ISOにおける非公式教育・訓練サービスの国際標準化の動きにつきましては生涯学習推進課の藤野課長より、それぞれご説明をいただきます。よろしくお願いいたします。

【上月生涯学習政策局政策課長】

 それでは、資料1、23年度概算要求事項について説明をさせていただきます。
 資料を1枚めくっていただきまして、最初に、生涯学習政策局の概算要求全体を示した表がございます。一番下にありますように、前年度というのは今年度ですね、22年度予算額339億円が23年度要求では300億円程度ということで、10数%の減額になっております。かつてない減額でございます。既にご案内かと思いますが、これは政府全体で、まず義務的経費も含めて10%削減ということが義務づけられておりまして、その上で、政府全体で特別要望枠として、その10%分を使うという概算要求の仕組みがとられております。そうした中で、生涯学習政策局が比較的、義務的経費が少ないということもありまして、関係機関にご尽力、ご協力をいただきながら、このような予算を組ませていただいております。そのうち、表にある一番上の未来を拓く学びと学校の創造については、特別要望枠で提出させていただいているものでございます。
 1枚めくっていただきまして、最初に、特別要望枠で出していただいている、「未来を拓く学び・学校創造戦略」でございます。1つはICTというもの、これは現在のさまざまな生活、産業社会において欠かすことのできないものでございますが、ICT技術の可能性を子どもの学習、学びに最大限活かしていった場合について、その課題とともに実証研究をし、新しい学習あるいは学校の経営の改善を図っていこうという事業でございます。
 5ページ目にポンチ絵がございますが、ご案内のとおり、ICTは、情報通信技術の特色としまして、時間的空間的制約を超えること、双方向性、カスタマイズが容易であること、それから、多様かつ大量の情報を蓄積・共有・分析が可能という特色を持っております。こうした意味で、子どもたち一人一人の学び、能力、適性、興味、関心に応じた的確な指導、教材の提供ということが可能ではないか、あるいは、さまざまな意見の表明等について、通常でありますと、これまで手を挙げる、挙手によって意見の表明が行われていたわけでございますが、ICTを用いる場合、これは子どもたち1人に1台ずつ情報端末を持つことを想定しておりますが、新しい授業方法、意見の表明が行われ、また、協働的な学びの可能性が出てくるのではないかということで、さまざまな実験実証をしていきたいということでございます。
 なお、このことについては、この6月に閣議決定した「新成長戦略」、あるいは、その前のIT戦略本部においても、基本的な方向性、つまり今後の学校において、子どもたち一人一人に情報端末が整備されていく中で、教育のあり方、学習のあり方についてさまざまな改善を進めていくということが指摘されているところでありまして、この8月には、文部科学副大臣が主宰している懇談会において、「教育の情報化ビジョン(骨子)」が示されているところでございます。
 なお、その次のページにありますように、これについては特にさまざまな可能性について、大きく教育の方法論を変えるものでございますから、きめ細かな実験実証を試行することとしておりまして、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校とそれぞれについて、あるいは、各教科の特色に応じたきめ細かな実験実証をしていきたいという要望をしているところでございます。
 もう1点でございますが、「新しい公共」型学校創造事業、次のページに説明文書をつけておりますが、9ページ目をお願いいたします。生涯学習政策局でもここ数年、放課後子ども教室事業、あるいは学校支援地域本部事業によって、学校と地域の連携、協働をさまざまな形で進めてきました。今回の事業は、学校教育の改善・充実のために地域は欠かせず、また、地域にとっても学校が欠かせないという、お互いの好循環を意識的にマネジメントしてつくっていこうというものでございます。
 現在、学校に絡めて学校運営協議会、コミュニティ・スクールもございますが、さらに視野を広げて、地域という中で学校のあり方、あるいは学校を拠点とした地域づくりという観点から、双方向の総合的なマネジメントシステムを構築していこうというものでございます。
 そうした意味で、学校を中心にしつつ学校だけではない、校長の役割であるとか、あるいは教育委員会の役割、さらには地域の人との関係、あるいは地域についても、狭い地域だけではなくて、もう少し幅を広げた、大学だとか、企業であるとか、テーマコミュニティも視野に入れた地域コミュニティ学校の構想について、具体的に研究開発していくという事業でございます。
 以上、2つ合わせて、18億円と2億円を足して20億円の事業を特別要望枠で出しておりまして、政策コンテストにかけられる予定でございます。
 次に、2番目でございますが、政府全体としまして、今、成長と雇用について大変大きな課題を抱えておりまして、成長する分野について、雇用をリンクさせていこうという動きが内閣府を中心にございます。文部科学省においても、柔軟な学習プログラム、教育プログラムの研究開発をしていくことでかかわっておりまして、この予算は、主として専修学校における柔軟性を利用して、成長産業における職業能力の見える化とリンクさせた柔軟な学習プログラムをつくっていこうというものでございます。
 最後に、12ページからは、今年度から、学校・家庭・地域の連携協力推進事業ということで、これまでの学校支援地域本部、放課後子ども教室、家庭教育支援事業、あるいはそれ以外にも、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等、学校を外から支援する形のさまざまな事業を、一つのメニュー化事業として入れております。来年度も、基本的にはこの構造を引き継ぎつつ、特に当局の所管している学校支援地域本部、放課後子ども教室等につきましては、例えばコーディネーターが同一人物で行っている、あるいは研修、学習アドバイザー等について共有化できる、あるいは申請手続の簡易化も含めて一体的なものとしてとらえて、改善をした事業として提出しております。
 なお、このメニュー化補助金事業の額について、今年度130億円を、98億円と大幅に減額しておりますが、これは主に、未執行分がこれまでも多かった状況に鑑みて、財政当局が未執行については厳しくとらえておりますので、それを計算しつつ、さらに来年度の予定もきめ細かに聞いた上で、実施できる範囲内で出した数字でございます。
 概算要求については以上でございます。
 それでは、資料1‐2について、これは前回も少し触れさせていただきましたが、現在、子ども・子育て新システムについて検討が進められております。この構造を簡単に示した図が資料の11ページにございます。今年度から、ご案内のとおり、子ども手当が、15歳以下の子どもがいる世帯に配付されています。この事業は、現金給付だけではなくて、さまざまに子育てにかかわる事業、サービスを一体的にとらえまして、それにかかる費用について、税金で賄えるもの、企業から拠出されるもの、その他さまざまなものを一元化し、基本的には、基礎自治体がそれぞれの判断で最適なサービスを提供していくという構造でございます。
 基礎給付というのは、一番下にある一階部分と言っておりますが、これは子どものいる全世帯に共通なものとして想定しておりまして、子ども手当、個人給付分、それから地域子育て支援としての乳児家庭全戸訪問等のすべての人にかかわるものを積んでいるものでございます。
 二階部分につきましては、必ずしも全てではない子どもに対する、これは現物給付と通称言っておりますが、そのようなものを組んだもので、市町村のそれぞれの実態と裁量によって構築しているものでございます。
 現在、この新しい制度について、政府全体として、特に内閣府、厚生労働省、文部科学省で検討を進めているところでございまして、資料の最初のページに検討会議体制図がございます。そこにありますように、国家戦略担当大臣等をはじめとして関係省庁の大臣から成る会議、その下に具体の作業グループとして、関係副大臣等から成るグループを設けまして、さらにその下に、基本制度、幼保一体化、子ども指針と分けております。
 次に、スケジュールが書いてありますが、基本制度は、主としてお金を一体的に市町村に流していく仕組みをつくっていくことを中心とした基本的な制度、これは主として厚生労働省を中心として、もちろん文部科学省もかかわっていますが、基本的に厚生労働省を中心として、ワーキングをつくって検討しているところであります。
 その次の幼保一体化は、現在も認定こども園という仕組みがございますが、これを基本的には、こども園という形で、幼稚園も保育園も一つのものとしてやっていこうという構想のもとに、文部科学省が主たる役割を担いつつ、関係省庁と連携しながら検討しているものでございます。
 なお、これにつきましては幼児教育との関係等も非常に大きいということで、中央教育審議会の初等中等教育分科会でも、あり方について検討を進めているところでございます。
 こども指針につきましては、現在、幼稚園教育要領あるいは保育所保育指針と分かれております教育や保育の内容の指針について、これを共通的なものとして考えていこうというもので、これも文部科学省、厚生労働省を中心に検討を進めているものでございます。
 いずれにしましても、大変大きな課題でありますが、政府全体といたしましては、年末まで、あるいは来年1月までに概ねの方向性を決め、来年、通常国会に法案を出す方向で、現在、作業スケジュールを進めているところでございます。
 私からは以上でございます。

【藤野生涯学習推進課長】

 続きまして、資料1‐3に基づきまして、ISOにおける非公式教育・訓練サービスの国際標準化についてご説明をいたします。
 今回、ISOの動きについてご説明いたしますのは、平成20年2月の答申におきまして、学習成果の評価の社会的通用性の向上ということで、民間事業者等が提供する多様な教育サービスについて、その内容の質の保証のあり方や学習成果の評価のあり方等について今後検討することが必要というご提言をいただいたこと、また、本年6月に閣議決定をいたしております新成長戦略の中で、民間教育サービスの発展を図っていくために、民間教育サービスの評価・情報公開システムの構築を進めていくという方向性が出されたこと、これらに関係するものとして、この動きについてご説明をさせていただくものでございます。
 1ページ目を見ていただきまして、ISO、国際標準化機構は、各国の代表的な標準化機関から成る機関でございます。これは民間の組織でございますが、もともとは工業を中心とした産業分野の国際規格をつくってきたものでございます。有名なのは、写真のフィルムでございますとか、カメラの素子の感度をあらわす記号といたしまして「ISO」と使っておりますが、その後、さまざまなマネジメント関係についても規格をつくっておりまして、ISO9000という品質マネジメントシステムの関係、あるいは、ISO14000という環境マネジメントシステムというのが有名なわけでございますが、さらにサービス分野についても規格をつくっていこうということで、このような動きが進められているところでございます。162カ国が参加しておりまして、大体1万8,000を超えるような規格ができております。
 ISOにおきまして、ドイツの提案を契機に、平成18年より「非公式教育・訓練のための学習サービス」についての規格開発が始められたわけでございます。日本におきましても、国内審議委員会を設置してこれに対応してございまして、この中に、経済産業省、厚生労働省と並びまして、文部科学省もオブザーバーとして参加させていただいております。
 検討の開始以降、3年半の審議・採決を経まして、本年9月1日付でございますが、ISO29990「非公式教育・訓練のための学習サービス‐サービス事業者向け基本的要求事項」という名前の規格が発行されたわけでございます。内容については、後ほどご説明いたします。現在、具体的な認定・認証の体制構築に取り組んでいるところでございます。
 また、この下の規格といたしまして、「語学学習サービス」の国際規格についても検討が開始されたところでございます。具体的内容については、1枚めくっていただきまして、ご説明をさせていただければと思います。
 2ページ目でございます。内容でございますけれども、規格の目的に書いてございますように、これは直訳でございますので、なかなかわかりにくいものですけれども、非公式教育・訓練のための学習サービス分野における質の高い業務を進めるためのモデルを構築し、これを用いて学習サービス事業者の認証に役立てるということでございます。
 適用範囲のところでございますが、非公式教育・訓練ということでございますので、公式的な初等・中等・高等教育システム以外の組織化された教育活動ということでございます。したがいまして、幼稚園から大学、大学院に至るまでの、あるいは専修学校、各種学校もそうでございますが、公式な教育活動は入らないということでございますけれども、括弧の中にございますように、職業訓練とか生涯学習、社内研修等はターゲットとなるということでございます。具体的に申しますと、例えば学習塾でございますとか、いろいろな語学学校、あるいは民間等が主体として行っております職業訓練、この職業訓練というのは、専修学校もかなりのウエートでやっているものでございます。また、資格取得を目的とするような教育活動、あるいは大学等も含めました公開講座等については、一応範囲に入るということでございます。
 具体的な規格については、ここに掲げているところでございますが、2つの観点から要求事項を定めております。1点目は、学習サービスについての要求事項ということで、学習の手続とか手法、仕組みに関する要求事項について定めたものでございます。もう1点は、学習サービス事業者のマネジメントについての要求事項という、2つの柱で成っているものでございます。
 3ページ目をお開きいただきたいと思いますが、これは先ほどご説明いたしましたように、ISOのもとで委員会が設置され、それに対応すべく、一般社団法人人材育成と教育サービス協議会、あるいは国内審議委員会の方で対応してきたというものでございます。また、国内の認定・認証を整備中ということでございますが、図2の下にあるように、認定機関をつくり、また、そのもとで認証機関をつくり、認証機関が具体的な事業者に対して認証マーク等の使用を認めるという形になっております。このような仕組みについて、現在、民間を中心とした国内審議団体において検討中でございます。
 以上でございます。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの報告事項に対してご質問がありましたら、次の討議の際に、必要に応じて事務局の方々に行っていただきますよう、お願いいたします。
 それでは、次の議題、今後の生涯学習行政における課題についての討議に移ります。まずは、新しい方法ですので、事務局より討議の段取りについてご説明をお願いいたします。

【平山生涯学習推進課課長補佐】

 それでは、討議についてご説明いたします。
 本日の討議につきましては、まず、3つのグループに分かれての討議を約85分間行っていただいた後、15分程度の休憩時間を挟み、その後、全体討議を約45分間行っていただく予定にしております。
 グループの所属等につきましては、資料2‐2及び座席表でご確認ください。各グループの司会進行は、第1グループが菊川副分科会長、第2グループが大日向分科会長、第3グループが明石副分科会長にお願いしております。
 それでは、グループ討議の進め方についてですが、「グループ討議の進め方」と書いた机上配付資料を1枚お配りしております。そちらをごらんください。
 グループ討議につきましては、大きく3つの流れで進めていただければと考えております。最初に、課題や問題点の洗い出し、その次に、そこで洗い出された課題や問題点の解決策等についてのご議論、最後に総括をしていただくという流れです。
 討議の際ですけれども、付箋とホワイトボードを使って議論の整理をしたいと考えております。ご発言の際には、ご発言内容のキーポイントのみを、お手元の付箋、赤と黄色の付箋を2種類お配りしておりますので、こちらにサインペンで記入して、事務局の者にお渡しください。お渡しいただくタイミングは、ご発言の前でも後でも構いません。
 使用する付箋の色につきましては、課題や問題点につきましては赤色のものを、その解決策等につきましては黄色いものを使っていただきますよう、お願いいたします。
 また、字の大きさにつきましては、机上配付資料に書いております記入例を参考に、これと同じか、もしくはこれよりも大きな字で書いていただきますようにお願いいたします。
 この後、グループ討議用の座席に移動していただきますけれども、その際、お手数ですが、個人所有のお荷物と配付資料につきましてはご持参の上、移動していただきますようお願いいたします。水や筆記用具などはグループ討議の机の方に置いてありますので、そのままで結構です。
 また、傍聴者の方々にお願いですが、グループ討議の際の傍聴席は委員の方の移動時間中にセットしますので、事務局職員の合図があるまではそのままでお願いいたします。
 休憩後の全体会議では、再び現在と同じ座席に座っていただきます。各グループにおける討議結果の報告は、司会進行役の分科会長、または副分科会長に行っていただきます。その後、自由討議の時間とさせていただく予定にしております。
 以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。
 こういう方式、初めての方が多いかもしれません。私たち3人も不慣れでございます。わからないところがたくさんあると思いますが、事務局の方に助けていただきながら、ご一緒に進めていければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これからグループ討議に入りますので、必要なものをお持ちになって、それぞれのグループのお席のほうに移動をお願いいたします。

(グループに分かれて討議、その後休憩)

【大日向分科会長】

 皆様お疲れさまでした。グループ討議、いかがでしたでしょうか。ここからは全体討議に移りたいと思います。
 まず最初に、それぞれ3グループに関して、簡単に1グループ5分程度で報告をさせていただきます。その後、グループ報告を踏まえて、皆様からさらにご意見、ご質問をいただければと思います。
 それでは、最初は第1グループ、菊川副分科会長、お願いいたします。

【菊川副分科会長】

 お手元に、グループ1と書いているホワイトボードのコピーが配られていると思います。議論が盛り上がって、そのすべてを報告することはできませんが、大きく2点ご報告したいと思います。2枚目の紙をお願いいたします。
 私どもは、「新しい公共」ネットワークと社会教育施設ということで、どちらかといいますと、従来の生涯学習・社会教育行政を中心に議論をいたしました。最終的には2枚目のとおり、大きな論点としては、教育委員会と首長部局との関係というのが一つのテーマになりました。真ん中の右上ぐらいにございますけれども、連携していくことの必要性は、皆さん、そうすべきだということで合意ができているのですけれども、そこに2つ書いていますように、首長部局で柔軟にというのと社会教育を強化すべきだというのと、大きく意見が分かれました。
 その関連で、今は地方主権の時代で、地方の自主性でいかざるを得ない中で、国がどこまで関与すべきなのか、国が社会教育行政に関して提示すべき最低限のシビルミニマムとは何かというようなことについて議論がなされました。具体の結論は出ていないわけですけれども、一方で、全部地方に任せてほしいというご意見もありましたし、一方で、そうはいいながら、地方の格差がこれほど進んでいるのだから、国としても課題の整理なり、あるいは支援なりは必要ではないかというご意見もあったかと思います。それが1点目でございます。
 2点目として、専門人材ということで、社会教育主事を中心に人材の話がございました。司書、学芸員は数も増え、活動も見えているのに対して、社会教育主事は数が減っているではないか、これは、自由競争の時代なのだから、それぞれの努力で見えるようにしていくのが専門職たるゆえんじゃないかというようなご意見もありましたし、一方、それを支える最低限の資格なり、システムなりが要るのではないか、あるいは、社会教育主事の専門性というのはなかなか見えにくいのではないかというような意見もありました。また一方、資格だけに頼るのではなく、どんな資格を持っていても、地域のネットワークの中にないと機能を果たせないのではないかというようなご意見もありました。この辺のところはあいまいなままに終わりましたけれども、地方では社会教育主事が減っている、このことをどう捉えるのかというのは、国として一つの検討課題ではなかろうかと思っているところです。
 十分なまとめになりませんでしたので、後の議論の中で補足していただければと思います。ありがとうございました。

【大日向分科会長】

 それでは、第2グループについて、私から報告をさせていただきます。
 第2グループの課題は、学校を核とした地域コミュニティの活性化ということでした。そして、そのための人材育成・評価・活用等をどうするかということでしたが、そもそも学校を核とした地域コミュニティの活性化という課題の立て方そのものに疑問が出されたところから討議が始まりました。と申しますのは、この課題の立て方ですと、従来、とかく学校というのは、親あるいは家庭の教育力が低下しているから教育をするというスタンスに立ったり、あるいは、地域住民は学校をお手伝いするという感覚から抜け出せないのではないだろうか。今、一番必要なことは、そういうことではなくて、学校も地域住民も企業も一体となって、対等に、互いに足りないものを補完し合って、それぞれが生きる力を醸成することではないか。それを「地域コンピテンス」という言葉でとらえ直すことが必要だということになりました。
 次に、地域コンピテンスということをキーワードとして討議を進めていこうということになりまして、そもそも地域コンピテンスとは何か、それぞれが内容をどう考えるのか、また、地域コンピテンスをいかに育んでいくかということを話し合いました。そこでいろいろな意見が出されましたが、地域コンピテンスというのは、一言で言うと、人づくり、あるいは、地域に貢献する誇りと喜びを持てる人をはぐくむことだと、しかしながら、現状はそういう理念から見て遠い。なぜ遠いかというと、大人自身がコミュニケーション力を失っている、あるいはコミュニケートする余裕を失っている、あるいは、子どももコンピテンス力を失ってしまっていて、その背景には職業人として自立するためのモデルがない、あるいは、男女共同参画社会をどうやって構築し、生きていくかという態度づくりということもなかなかモデルがないのではないか。また、教師と親が、互いに信頼感をはぐくむということも課題ではないかというようなことが地域コンピテンスを核に話し合われました。
 それでは、地域コンピテンスをいかにはぐくんでいったらいいだろうかということで、ここもまたいろいろなご意見が豊かに交わされました。例えば、学校を支えている今のPTAについて、PTAだけじゃだめだ、グランドペアレントを入れてPGTAとしたらいいだろうというようなご意見が出たり、教育委員会にもっと民間人を配置したらいいというような意見もたくさん出た後、学校関係者あるいは地域、企業関係者、それぞれをつなぐコーディネーターの養成、活用ということが必要だという結論になりました。
 しかしながら、コーディネーターができたとしても、対等に地域コンピテンスを醸成するということは非常に課題の多いことです。それは、学び合い、育ち合いということを互いに、エンドレスにやっていくことが必要で、これぞまさに生涯学習ではないかということです。教師も地域の人も、「立場を超えて・立場に戻る」というようなポエティックな言葉も出たんですけれども、こうしたことをしていくために、今こそ地域、学校に新たな仕組みづくりが必要ではないかということです。
 今、世の中は、市民の力をいかに活用し、活かしていくかということを課題にすることがトレンドです。それは完璧なものはなくて、まだまだプロセスの段階にあります。でも、そのプロセスをいかにみんなで認め合い、補完し合いながら地域コンピテンスを育んでいくかという仕組みづくりをこれから始めていくべきではないかというようなところで、とても活発な意見交換ができました。まとめは、今お配りくださいました2枚の紙のところに反映されているのではないかと思います。
 私も十分なまとめはできなかったと思いますので、この後、どうぞ皆様の中で補っていただければ幸いです。それでは、第3グループ、明石副分科会長、お願いいたします。

【明石副分科会長】

 第3グループは、たくさんの課題というか、第1と第2の後を受けて、残ったものを全てまとめましょうというのがございまして、大きく3つの事柄が議論できたと思います。
 1点目は、山本委員、御手洗委員がずっとおっしゃっている、生涯学習のグランドデザインを構築していこうという視点をどうすれば深めていけるかということで、例えば1つは、既存の生涯学習機関、例えば公民館とか美術館、博物館がありますが、これらについては、果たしてきた役割とか転職の問題を含めて難しい課題があるということと、もう一つは、NPOを含めて新しい生涯学習を担うエージェント、機関が生まれつつあって、その辺の調整や連携をどうするかということを考えていきたい。そのときに、今日説明があった、ISOの非公式教育・訓練サービスの国際標準化の中身も絡めながら検討していけばいいのではないかというのがございました。
 2点目は、どうもこれまでの生涯学習は個人の成長に視点を置いてきた嫌いがあって、もう少し社会が求める人材の育成という視点が必要ではないかということで、まだ深まっていませんけれども、そういう指摘がございました。
 3点目は、これまで、生涯学習の対象が生まれてから亡くなるまでであったのをそろそろやめて、発達課題、成長課題の順位性、例えば20代とか30代、ミドルエイジクライシスという言葉もありますように、その問題に焦点を当てるとか、例えば、55歳から非常に学習するニーズが高まってきますが、そういう人の問題に限定していくことが必要ではないかという意見もありました。
 また、一番議論されたのが、学習成果をどう評価すればいいかについてで、認証の面と質の保証の面というのを議論いたしまして、だれが学習成果を認めて、社会でどう生かせるのかということです。それが、例えば大学における単位の読み替えとか単位の互換の問題、企業が人を採るときに、また教育委員会が人を採るときに、民間の資格を取っていると、ある試験を免除しますよとかということがじわじわ普及しつつあるので、もう少し、学習成果をどのように認めて、生かすかということを深めていくことについて、大きな議論としてありました。
 最後は、大きなことを言うならば、生涯学習の目標といいますか、どういう人を育てればいいのかについて、2つあるだろうという意見がありました。1つは、変化に対応できる人材育成、社会が求めている人材はこうだけど、10年経つとまた変わってくるけれども、そういう社会の急激な変化に対応できる学習内容の提供はできるのか、それでどういう人を育成するのかについて、実学的なことも含めて必要だろうということです。
 とはいえ、それだけではなく、やはり地域でみんな生きているので、地域の活性化に寄与できる、貢献できる人材育成、市民の底力を持った人を育成しなければいけないという、漢方薬的というか、じわじわ効いてくれるような社会教育のよさもあるのではないだろうかということもあります。ですから、社会の変化に対応できるというのは、言うならば即効薬的な面もあると同時に、漢方薬的な面の人材育成というのもあるだろうというのが、第3グループの議論でありました。以上であります。

【大日向分科会長】

 以上で、3つのグループの報告をさせていただきました。
 それぞれご所属されたグループで、追加のご報告もあろうかと思います。あるいは他のグループへのご質問もあろうかと思います。ここからはどうぞご自由に、時間は19時少し前までを予定として自由討議に入りたいと思いますので、どうぞお手をお挙げいただいて、ご発言をお願いいたします。
 糸賀委員、お願いいたします。

【糸賀委員】

 私は第1グループに所属しておりました。第1グループの報告に対して補足したい点が2つ、それから、ほかのグループに対する質問もしてよいというようなお話がありましたので、質問が1つです。
 第1グループの先ほどの報告の中で、社会教育主事は減っているけれども、司書や学芸員は必ずしもそうではないというような趣旨のご報告がございましたけれども、図書館の司書も、正職員として図書館に発令されている人数はどんどん減っております。一方で、民間委託だとか、あるいは指定管理者という形に変わってきておりますので、司書として図書館で働いている人もやはり同じような状況で、大変厳しい状況にあります。それだけに図書館の司書はみずから、多くの人たちに司書の存在意義、あるいは専門性を認めてもらうような努力が必要だということをお話ししたつもりでございます。
 それからもう1点、先ほどシビルミニマムという言い方をされたんですけれども、これは私自身の言葉の使い方がちょっと不適切だったと思います。国としてやるべきは、やはりナショナルミニマムの達成なんだろうと思います。それに対して個々の地域が、その地域の中でどういう社会教育のあり方、あるいは生涯学習行政のあり方を考えていくのかだと思います。地域の中では最適化を図るべきであって、そういう意味では、シビルオプティマムなんだろうと思います。それを国が、ナショナル、全国のレベルでどういうふうにミニマムを達成し、そこから先、地域がそれぞれ地方の考え方で、ふさわしいやり方を築き上げていくというような構図になるべきだろうと思います。
 以上が第1グループの報告に対する補足です。
 私はむしろ、第2グループの発表の中に、そして、いただいた資料にもあるんですが、地域のコンピテンスという表現がございました。こういう表現というのは新しくて、何となくイメージというか、雰囲気をつかむには良いですけれども、この場合のコンピテンスというのは一体何をするためのコンピテンスなのか、例えば地域の中でいろいろな課題を解決するコンピテンスなのか、何か特定の領域における能力、スキルを指すのか、それとも、そういうのを全部包摂するような漠然とした意味合いで、地域の教育力だとか、地域の人間力として今まで言われてきたものを包摂する意味で使われているのでしょうか。
 といいますのは、この概念は多分、第1グループでも同じような話が出ましたし、これからの生涯学習の、それこそグランドデザインを考えるのであれば、地域のコンピテンスの向上、育成というのは大切なんだろうと思います。それだけに、ここで言われた概念が、この図を見ますと、企業との連携とかプラットホーム、あるいは学校内外との連携というような文脈で出てきておりますので、この場合の地域のコンピテンスが、どういうものとして取り上げられたのか、少し補足をしていただきたいと思います。以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。
 地域コンピテンスについては、先ほど私が説明したつもりだったんですが、足りないようです。第2グループのどなたか、あるいはこの地域コンピテンスについての発案者でいらっしゃる上月課長から、お願いできますか。
 それでは上月課長、よろしくお願いします。第2グループはみんなこの用語に賛同されていましたので、第2グループの皆さんも、どうぞ追加補足をお願いいたします。

【上月生涯学習政策局政策課長】

 この文脈は、学校を核とするかどうかはともかくとして、学校と地域の連携、協働をどうしていくかということで、なかなか学校の理解と地域の理解の仕方、いろいろ関係者の理解が違うという話の場合に、何のためにやるのかと。それは子どもも大人も、言ってみれば、日本では「生きる力」、OECDは「キー・コンピテンス」と言って、情報を含めリテラシーの基本的な能力と、いろいろな考え、価値観、文化を持った人と協働、共生していく、そういった意味での力が必要なのです。それは子どもだけでなく、大人も必要なのです。そういった意味では、これまでの学校のすべてのものを教員が一方的に教えるという関係だけではなくて、いろいろな人が入っていかなければできないので、すべての関係者が持ち寄るところからスタートするのではないですかということです。
 それを、地域力全体というふうにとらえて、最終的には地域の力全体になっていくでしょうということです。人づくり、人の成長とか地域の関係づくりにもつながっていくものになりますので、それを地域のコンピテンスというふうに翻訳されたと理解しております。

【大日向分科会長】

 もうおひと方、山岸委員、もしよろしければ、新しい市民力ということに関連して、お考えをご披露いただいたと思いますので、よろしくお願いいたします。

【山岸委員】

 私は、産官学民プラットホームという、広い連携をどのようにつくるかという視点から様々な活動をしてきました。それは大学などの教育機関とNPOが主軸になって、新たなコミュニティを創っていくというイメージです。その発想というのは、アメリカのシリコンバレーが不況になった時に、どうやって地域を再生するかというときに、まさに教育力再生を訴えて、シリコンバレーNPO(シリコンバレー公社)をつくって教育戦略を立て、都市の再生を成功させました。今、スウェーデンもその実験をやっていて、社会の力がぐっと落ち込んだときに、もう一度、戦略的に教育力を再生させていきます。それが社会再生における教育の役割として、大きなモデルになっています。こういう教育上の戦略を立てるというのがこの分科会の目的なのではないかと思っております。
 裁判員制度で、素人的な人たちが入って判断するように、教育の専門の分野にも市民が入っていって、ネットワークを拡大して市民の社会参加による力の結集をしていくという英知を、戦略的につくっていくという観点から発言いたしました。

【大日向分科会長】

 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

【明石副分科会長】

 今の糸賀委員の意見を受け、また、課長の意見も含めまして、私は福井県に注目しています。ご承知のように、福井県は、45年ほど前も学力は高かったのですが、ここ4年間ずっと、学力も体力も高いんです。それは学校教育の視点から見るというのはあるけれども、私は、それを支えるすそ野が広いのが福井県だと思っています。それはやはり地域の底力だと思っていきたいんです。
 例えば、3世代住んでいるのが日本一、女性の働く率が一番高い、貯蓄高が多いのも、東京、岐阜、福井と3番目です。次に、福井県は健康県で、長寿な方が多く、自殺率が少なく、お米を食べる率が一番多いのは福井県です。診療所が一番多いのも福井県。県全体として、健康づくりの県民運動を起こしているわけです。
 社会教育でいいますと、中央図書館の入館者数、10万人単位で日本一です。市民が図書館で借りる率は、10万単位で2番目に多いです。博物館への入館率も、恐竜博物館がありますけれども、10万人単位に直すと日本一です。つまり、市民は読書をするし、博物館を活用していて、健康づくりをしているんです。
 私は基本的に、長寿社会を生き抜く力を育成する時代かなと思っていて、そういう意味で、地域の底力ということも大事かと思って発言しました。以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。お手が挙がりませんね。いつも進行役として時間をお一人2分とか制約して、嫌われていたんですけれども、今日はもう十分グループの方でご発言いただいたからよろしいんでしょうか。どうぞ、まだ時間がございます。いつにないことでございますので、ご感想でも何でも、自由におっしゃってください。

【江上委員】

 今日は大学で授業がありまして、遅れて参加させていただきました。
 私は第3グループに帰属しておりまして、今、明石副分科会長がご説明したことに共感を覚えております。
 基本的に、近年の生涯学習政策として力を入れるべきことは2つありまして、1つは、我々の今の社会の時代ですと、行政サービスを縮小しながら、快適な社会生活を営む活動を、市民力に依存をする仕組みに今、フレームを置きかえつつあると認識しています。地域で人々が、今まで行政サービスから与えてもらっていたサービスを自らつくり出し、自ら担うためには、各自治体、自治体といっても県なのか、市なのかは微妙でございますけれども、例えば地域コンピテンスというようなキー概念があったら、その概念に、地域が自立して、すばらしい社会サービスのできる県だということをそれぞれ打ち出していただいてはどうかと思います。ただ、あまり、外来語を使うよりも、日本語で誰もがわかる平易な言葉で求心力を高めることが大切と思います。
 そのためにはどういう能力を持った人材が必要なのか、防犯でも、安全でも、さまざまな分野で今、行政サービスを削っていっていますから、必要な人材がいると思います。そのための専門力を育てる生涯学習というものを、ちょっと大きな政策で言うと、総務省とリンケージをとりながらやるのかというようなことがあると思います。
 そこに1つ、今の福井県のお話でございますけれども、明石先生がおっしゃらなかった説明を加えさせていただきますと、福井県は中小企業の経営者も極めて多く輩出しております。富山県、福井県はトップレベルです。というのは、新しい知恵、新しい事業、そういったものをつくり出す力、創意工夫力、それから経済推進力があるということ、それとすべて連動しているということで言えば、近年、インドやアジアで活発化しておりますけれども、社会的企業家を育成する、あるいは地域で、地域に必要な地域コンピテンスを担う能力を持った人材を育てる仕組みを、教育分野における社会企業家というような類型を創設して、それを公募、予算をつけていくというような仕組みがあってもいいのかなと思います。
 もう1点は、グループ討議の方で申し上げましたが、20代、30代には職業、働く機会がなく、非正規のアルバイト、アルバイトにさえつけないでいる状況が深刻です。この20代、30代の若く、豊かな能力をどう育てていくのか、この緊急課題についての政策を早急に実行すべきではないかという、この2つを申し述べさせていただきます。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。高橋委員、お願いいたします。

【高橋(興)委員】

 私は、報告事項にありました、「新しい公共」型学校創造事業について、感想と意見を述べたいと思います。
 実は、私ごとですが、先日、東京で文科省初中局によるコミュニティ・スクール推進協議会の東京ブロック大会というのがあり、そこで幾つかの小・中学校の事例を聞きました。それから、今日午前中には、同じ初中局所管の「学校運営の改善の在り方等に関する研究協力者会議」という、明らかにコミュニティ・スクール等のありようについての会議があって、傍聴させていただきました。
 先日開かれた推進協議会で、京都市を含めた事例発表があったんですけれども、京都はコミュニティ・スクールでは先進都市というふうに評価されていると思うんですが、そこでやっていることは、少なくとも事例発表で聞く限りは、私がずっと接してきた学校支援地域本部事業でやっていることとどこが違うのだろうかという活動ぶりでございました。しかし、今日の午前中の会議の議論を聞きますと、そこで議論されていることと非常に大きな落差があるというふうに強く感じました。
 その中で、「新しい公共」型学校創造事業というのはこれからということであり、予算を獲得する過程でもう少し変わっていくのかもしれませんが、私は、学校支援地域本部事業と、今600校まで広まったと言っているコミュニティ・スクールの中間の事業として、大変大きな成果を期待できる事業だというイメージを持っております。予算獲得のためぜひ頑張っていただきたいということを申し上げたいと思います。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。中島委員、お願いいたします。

【中島委員】

 教育委員会と首長との関係ということがテーマになっていますが、分科会でお話しする機会を失したので、若干お話しさせていただきたいと思います。
 私たち、子育てと教育を考える首長の会というのを、代表を京都の門川市長と長岡の森市長、そして私が事務局長をやるという形でやっているんです。ここでの基本的な考え方というのは、教育の専門性や教育の政治的中立性というのは極めて重要であり、政治家である首長が教育の現場に土足で入っていくということは自制すべきだ、しかし、予算編成権を持つ首長として、教育をしっかり支えていくことはとても大切なことで、そのことを相互にしっかり勉強し合おうということでやっているわけです。
 全国を見て、教育に関心を持つ首長というのは、率直に言って、少な過ぎるという感想を強く持っています。以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
 今日はグループ討議を事務局の方も一緒にやっていただきましたので、どうぞ事務局の方々も、ご発言がありましたらお願いいたします。糸賀委員、よろしくお願いいたします。

【糸賀委員】

 2度目になるので遠慮しようと思ったんですが、どなたからも発言がないようなので、先ほど、地域コンピテンスについてのご説明をいろいろとありがとうございました。正直申し上げて、まだよくわかりません。かなりあいまいに、便利に使われているような気がいたします。ただ、いろいろと福井県の例を挙げられて、確かに、福井県というのは日本海側にあって、いろいろと独自の文化を築き、地域住民の方々が熱心に、学習に取り組んでいるということは、私も実際に現地へ行って実感しております。
 私も幾つかの自治体を回りましたが、よく覚えているのは鯖江市ですね。鯖江市というところは、眼鏡のフレームの日本での生産の7割だか8割をやっていますが、そういうところで、デザインについても、海外のデザイン動向をいち早くキャッチして、それを生産に取り入れるということを、市役所と教育委員会、そして図書館も連携してやっているというようなことを目の当たりにしました。武生市なんかもそのようなことをやっておりまして、地域の生涯学習活動がなかなか盛んなところだと思います。確かに、そういうところの地域のコンピテンスって、高まっているんじゃないかと言われればそういう気もするんです。
 ただ、私はこういう新しい言葉を使うときに、どちらかというと懐疑的です。言葉じりをとらえるのかもしれませんけれども、コンピテンスというのは、本来は何かができる能力を指すはずなんです。こういうことができる、私のコンピテンスはこういうもので、自分はこんなことができるんだということです。だから、今、生涯学習の専門的職員、これは社会教育主事も、司書も、学芸員もそうだと思いますが、コアコンピテンスは何なのか、自分たちは何ができるんだということをアピールしなければいけないのです。
 そう考えたときに、先ほど複数の方が説明されましたが、地域としてそういう潜在的能力が高まっている状態のことを、コンピテンスと言っているように私には聞こえました。つまり、具体的にその地域は何ができるかとか、地域の住民が学習を通じてどんなスキル、能力を持つようになったかというよりは、地域の、いわば民度、あるいは教育力が高まっている状態、そういう意味では、地域のポテンシャルが高まっているというふうに私はむしろ受けとめたんです。いろいろなことがこれから開花する、そういう基盤、インフラが整っているんだということを、コンピテンスというふうにおっしゃったのではないかと思います。
 それは言い方を変えれば、地域のポテンシャルがものすごく高まっていて、ここに一つのチャンス、一つのきっかけを与えれば、一気にその人たちの能力が顕在化していくというような状況を指すんだろうと思います。どういう使い方をしてももちろん構いませんけれども、私はそういう意味合いで使われたんだと受けとめました。もしも違っていたら、またご指摘ください。

【大日向分科会長】

 第2グループの方、いかがでしょうか。曽我委員、お願いいたします。

【曽我委員】

 私は、地域のコンピテンスと決まったときに、人育ちという文言だけに変えたんですけれども、人育ちって、どういうことかというと、地域のコミュニティの活性化と言ったときに、人が育っていないと全く何も活性化できないんです。
 私はPTA出身ですけれど、保護者会でいいはずなのに、なぜPTAという社会教育団体になっているかというと、活動を通して自分を高めていくという活動をして保護者が育たないと、子どもが育つ環境にはならないからです。つまり、そこに備わった地域のコミュニティの人たちがすべて、常に育ちをしているという意識を持って、それを融合することができたときに、地域コミュニティが初めて活性化するんだと考えて、コンピテンスというところで人育ちというふうなこと考えました。これはまさしく、私が全国の会長になったときに全国で言って回ったことで、すべてのPTAが本当により良い育ち方をして、地域に人材力として供給できたら、地域の教育力がまさしく向上しますということです。ぜひそういう能力を持つPTAにそれぞれなっていただいて、その地域の大いなる人材づくりの現場になってくださいとお願いをしています。
 それは、ある意味において、地方分権を推進することにもすごくつながってくるでしょうし、地域の方たちが自分の地域をちゃんと認めること、見つめること、そして地域に誇りを持つことにつながってくると思います。
 今回の第2グループの地域のコンピテンスと言って、人育ちと言ったのは、まさしくそういう意味があって、人が育たないと何も解決しないですよという提案をしただけに、逆に、コンピテンスという言葉でそこにくくることができて、PTA活動中に全国に申し上げたことがここにくくれたと思った次第でございます。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。人が育つということをコンピテンスと、曽我委員はおとらえになったんですが、糸賀委員は、さらに何ができる人が育つのかというふうにお尋ねになるかもしれません。

【糸賀委員】

 それはもちろんわかります。

【大日向分科会長】

 そこで、第2グループの紙を見ていただくと、地域創造に誇りと喜びを感じる感性とか、社会に貢献する態度とか、こういうお考えも出ているわけです。地域コンピテンス、何かできる人をいかに育てるかというのは地域によって違うと思います。福井県の地域コンピテンスと別の地域のコンピテンスは違うでしょうね。そこをどうやって地域主権で探していくかということも非常に大きな課題だというふうに私たちのグループでは考えたように思います。
 なお補足があったり、ほかの議題でも結構ですので、どうぞご意見をいただければと思います。小嶋委員、お願いいたします。

【小嶋委員】

 先ほど社会教育施設の数の話のなかで、ある程度、国がシビルミニマム、ナショナルミニマムを担保しないと地域間格差が広がるというお話がありました。私は全国市長会の立場から、一言申し上げます。
 地方分権や地方主権ということを目指しているときに、我々、自治体では全国一律、一定の基準までという考え方が、今だんだんなくなってきているんです。やっぱり地域が自分の責任を持ってやり、できるだけ中央の関与は地方に押しつけるべきじゃないという精神、そういう立場で出席しています。お互い立場があるわけですけれども、今日はお役人の方も委員の方もいらっしゃいますが、教育行政、文部科学行政も、ある意味では、歴史的に地方分権の流れで大きな役割の見直しをしなきゃいけないときに来ていると、私自身でそう思っています。
 我々は地方から、国がいろいろな政策を打ち出してくるのを本当に細かく見ています。しかし、最近、私が職員に言っているのは、すべて言われるとおりにするなということです。自分に都合の良いものだけ取り入れればいいと、できるだけ言っています。例えば、国からいろいろな自治体に対して、資料とか意見をまとめるときも、面倒くさいなら出さなくていいと言っている方です。
 やっぱり国と地方の役割分担をはっきりしてほしいと思います。私は静岡県市長会の会長もやっているんですけれども、例えば、静岡市がやっているのに何で浜松市がやっていないとかそういう言い方をする議員もいるんです。どこかがやっていて、どこかがやっていないというのは、当たり前のことであって、それが自治体なんです。ですから、どこかがやっているから自分たちもやらなきゃいけないという考え方はおかしいと言っています。それは自治体の自治意識に逆行している考え方です。そういう時代になってきているんじゃないかなと思います。
 自己責任といいますか、自治体が誤った方向へ行けば、一番被害を受けるのは住んでいる人たちですから、その人たちがきちっと自治体を牽制するというのが、いい社会の方向へ行くということじゃないかなと思っているんです。そういう立場で言われる方はあまりいないので、全国市長会の立場、地方の立場として申し上げましたので、頭に入れておいていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【大日向分科会長】

 どうぞ。

【菊川副分科会長】

 第1グループの中でも議論したのですけれども、最後に言わせていただきます。30年近く社会教育行政を、地方において間断的に見ていた立場でございますけれども、これだけ民間の活動が広がっていく時代、あるいは地方主権の時代が流れていく時代、そのこと自体はとても良いことだと思うんですが、そういう時代だからこそ、例えば国のナショナルミニマムですとか、あるいは社会教育行政のコアの仕事とは何かというようなことをもう一度確認していくということが大切だと思います。長く続いてきたがゆえに尊いと言っているわけではありませんけれども、その財産を次の時代に活かして、社会教育行政の機能というのは、学習とか交流の機能を通して人づくり、地域づくりをやっていくということだと思いますが、それが将来にわたって円滑に続いていくための新たな仕組みを考えていくというのがこの分科会だと思いますので、今こそ、社会教育行政のコアの仕事とは何か、国のコアの仕事とは何かという確認をしていきたいと思っております。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。
 時間も尽きかけておりますが、最後に、柵委員がお手をお挙げくださいましたので、お願いいたします。

【柵委員】

 少し補足です。今日の予算のご説明の中に、学校教育における未来を拓く学び・学校創造戦略がありまして、この分野は、世界の中、アジアの中でも日本が遅れているというという話をいろんなところからたくさん聞きます。ぜひ取り組んでいくべきだと思います。
 同様に、これは学校教育だけではなくて、生涯学習の分野でもIT活用の分野はまだまだ遅れていて、今日、出ている学習評価などのディスカッションの中で出ているものにも、まだまだ活用が足りないところがたくさんあります。
 今日は私のほうから資料も出して、個人の学習の取り組み、積み重ねが社会で生かされていくようなITを活用した地域の基盤づくりと、それからもう一つ、地域それぞれの取り組みだけではなくて、国全体としてこれらの取り組みを効果的に共有・連携できるよう、取り組んでみてはどうかご提案させていただいています。今日は時間がありませんが、ぜひ今後、検討を進めていただきたいと思います。お願いします。

【大日向分科会長】

 ありがとうございました。柵委員がご提出くださいました資料も、どうぞ皆様、お目通しくださいますようお願いいたします。
 本日は、3時間という長時間にわたりましてご議論いただきまして、本当にありがとうございました。結論は必ずしも出たとは思いませんけれども、それぞれのグループで大変活発に、そして深い討議をしていただけたのではないかと思います。
 生涯学習をめぐって、細かい議論はたくさんあろうかと思いますが、今、私たちは新しいステージに入ったなということを私は感じました。それは、一言で言いますと、ナショナルミニマムと地域主権、あるいはシビルミニマムのバランスをどうとっていくかということではないかと思います。これは、それぞれが権利を主張することだけではなく、義務と責任を負うんだということ、それはまさに生涯学習、人づくりという点において今後問われていくということを新たに確認できました。今日は長時間にわたったご議論で、ご負担をおかけいたしましたが、それだけに大変大きな成果を得ることができたのではないかと思います。
 次回分科会では、次期生涯学習分科会への引き継ぎ資料をまとめることとしたいと思います。次回分科会までの段取りですが、本日のご議論を踏まえた引き継ぎ資料の案について、メール、ファクスなどを使って、委員の皆様にご確認いただきながら修正を加えていき、最終確認を次回の分科会の場で行うという段取りにいたしたいと思います。なお、今日もいろいろご発言いただいたと思いますが、不足な点、あるいは、この全体討議を踏まえて、新たに追加したいというご意見もあろうかと思いますので、どうぞ事務局のほうにお届けくださいますようお願いします。そのような段取りでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。では、そのように進めさせていただきます。それでは、事務局から、何かご連絡事項がありましたらお願いいたします。

【平山生涯学習推進課課長補佐】

 それでは、事務局のほうから、何点かご連絡いたします。
 まず、ただいま分科会長からお話のありました、引き継ぎ資料取りまとめに当たっての作業につきましては、後日、メール等でご連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。また、次回分科会の日程ですけれども、12月または1月の開催を予定しております。この日程の調整につきましても、追って詳細な調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 今、19時になろうとしておりますが、この建物の正面玄関が既に閉まっており、1階の中庭側から出ていただくことになりますので、お気をつけください。
 また、冒頭にも申し上げましたけれども、交通費等確認票につきまして、ご記入の上、お帰りまでに事務局の者にお渡しいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 以上です。

【大日向分科会長】

 それでは、本日の分科会はこれまでといたします。どうもありがとうございました。

—— 了 ——

中央教育審議会生涯学習分科会(第54回)(グループ1)

平成22年10月18日

【菊川副分科会長】

 それでは、始めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。時間配分ですけれども、おおよそ30分ぐらい、課題の洗い出しということで進めていきたいと思います。その後、おおよそ50分ぐらい、解決策について意見を出していただきたいと思っております。早く課題が集約されましたら、それはそれとして、次に進めてまいりたいと思います。
 まず、お手元にポストイットが2種類ありますが、赤色の方に課題を、ここの例のような大きさの字で書いていただきます。その後、黄色の方に解決策を書くということになっております。また、これは私からのお願いですけれども、お手元に議題があると思いますが、私どものグループは、「新しい公共」ネットワークの構築と社会教育施設の機能の向上、2番目に人材、それから、他のグループと共通で、学習成果の社会的通用性、生涯学習を支える行政の機能向上ということで、4つに議題が分かれております。できましたら書かれるときに、例えば1‐1とか1‐2と書いていただきますと、貼るときに迷わなくていいかと思っております。また、この4つ以外の議題で、関連して何かというときには、1‐5、あるいはその他とお書きいただきますと貼りやすいと思っているところでございます。
 このグループは、どちらかといいますと、従来の社会教育行政の基本的なところの課題を審議することになると思っているところでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 早速始めますが、最初ですので、2、3分、お時間を差し上げたいと思います。その2、3分の間に、課題をそれぞれお書きいただけるとありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。なお、資料2‐3の中に、1‐1の1.から5.といった形で、もっと細かく書いてあるのもございますので、もし、はっきりこの課題だということであれば、その段階までお書きいただいても結構です。
 それでは、まだお書きの方もあると思いますけれども、時間の関係もありますので、引き続き作業をしていただきながら、進めたいと思います。どなたからでも、どうぞお手をお挙げくださいませ。書かれた方から、いかがでございましょうか。

【高田委員】

 資料の4行目、1‐1の2.に、「地域の問題解決」とありますが、地域にどんな問題があるかということは、皆さん共有できていないというか、ある人は不登校の問題だと思っていたり、ある方は理科の学習の能力を上げるという問題だと思っていたり、ある方は非行の問題だったり、地域の問題と一言で書かれても、問題が多過ぎるので、地域の問題解決といっても、何の問題を解決するかということをある程度洗い直していかないと、あれもこれもでは社会教育施設でできないと思うんですね。やっぱりある程度、何の問題を解決したらいいか、問題を絞り込む必要があるのではないかなということが1つ感じたところであります。
 それから、言葉のあやかもしれませんけれども、基本的なことで、すべてにわたって、いろいろなところで「社会教育施設」という言葉が出てくるんですが、私は、「社会教育機関」という表現の方がいいのではないかと前から感じていました。「社会教育施設」というと、1つの施設でなんとか問題解決しないといけないと考えがちになりますが、「機関」という表現にすると、複数の施設が連携して1つの機関をつくって、問題解決に向けてネットワークづくりができるということになっていくので、「社会教育施設」じゃなくて、「機関」という表現にしていただいた方が良いんじゃないかということです。

【菊川副分科会長】

 続いて、どうぞ。

【平野委員】

 まず、1‐1に入るかなと思っている件なんですが、地域や家庭がかかわりながらの世代を超えた人同士の教育を行う場の充実ということに関して、課題として挙げたいと思いました。もう既に色々いろいろな議論も尽くされた内容かとは思うんですけれども、ただ、例えば地域によっては、子どものための施設はもうここにあって、そのための予算もつけてあるから、他の施設よりここを使って欲しいとか、大人のためにはこうだと言って、仕組み上、分けてしまっている地域があった場合、いろいろな世代が一緒になった場合は、子どもが多いときには子どもの方を使えるのか、大人が多いときには大人の方なのかという枠組みが先に決められてしまって、そこにどうはめ込むかになってしまうのではないかと思ったので、もう少し柔軟に使えるようにした方が良いと思ったのが1つです。
 もう1つは、1‐2にかかわることかと思っているんですが、前回の生涯学習分科会で、企業から直接学校の方に出向いていくことは非常に難しいという話を聞きました。確かにそうだと思うんです。現場の学校も、どこかの組織の人がそこの会社の名前を持ってくる、あるいは、宗教関係者などまさにそうだと思うんですけれども、急に学校の中に入られて、布教活動でもされたらどうしようという不安があると思うんですね。けれども、例えば神社仏閣などがもともと地域の文化や教育に大きくかかわりを持っている地域などはもちろんのこと、地域に大きな神社やお寺さんがあるところなどは、あまり宗教と関係なく、文化活動や教育活動などをみんな一緒になって宗教関係者もやっていて、特にそこで布教活動をするわけではないように見受けられます。
 そこで、企業の社員であるとか宗教関係者といった方々が、信頼感を持って地域教育活動の場に受け入れられるようにするための仕組みづくり、つまりワンクッション置いて、どこか信頼のおけるNPOだとかそういったところに入会するとか、登録されるとかという形で、学校で「あの人に来られると困る」ということがあったとき、きちっとした信頼のある団体に学校から申し入れをできるようにするというような仕組みづくりができないものだろうかと思いましたので、それを課題として挙げたいと思います。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございます。最初に、まず書かれたものを一回読んでいただきましょうか。では、続きまして、どうぞ。

【水嶋委員】

 1‐1ですけれども、「新しい公共」の公共概念というのをどこで教えるのか。学校での道徳の時間、社会、地域、家庭で、例えば図書館ではページを自分の必要なところだけ破っていくという非公共的なことをする人もいたりするので、社会全体の教育や公共という概念をどこでどのように育成していくのか。これは教育の本質にかかわると思いますけれども、それが1点目です。
 1‐3の3.は、ちょっと細かい話になりますが、社会教育主事、司書、学芸員等、資格取得のうち、2、3年前の中央教育審議会でも出ました。共通基盤の教育内容というのがあると思います。生涯学習とは何かという内容は、学芸員資格取得でもやりますし、司書でもやりますし、社会教育主事でもやります。その共通の中身をどこかで検討したらいいのではないかと思います。
 1‐4の1.と2.ですが、社会教育行政と学校教育行政が融合する学社融合と言うわりには時間がなく、総合的な学習の時間があっても融合する時間さえ失われているので、それを復活しない限り無理ではないかなと思います。

【菊川副分科会長】

 どうぞ。

【小嶋委員】

 私は首長を長くやっているものですから、こういうものをあまり型にはめたくないというのが実はあります。地域の自主性を大事にしないといけないなと。
 私は、1‐4の2、教育委員会と首長部局等との連携強化ということについて、実はずっと、10何年取り組んできたのかなと思います。静岡市は、私が市長になったときには社会教育部と学校教育部の2つが教育委員会にあったんです。今、静岡市には社会教育部という言葉はないんです。社会教育部が所管していたものを全部、首長部局へ移管するのが僕のずっとやってきたことで、ただ問題は、文化財だけはなかなかそういうわけにいかなくて、中央省庁との関係があって移せない状況なんですけれども、それも何とかやろうかなと思っています。
 ですから、かつて社会教育部の中にスポーツ振興とか文化振興、生涯学習というところがあったんですね。今、それはそれぞれ首長部局の方で、まさに市民生活に一番かかわりが深いところが所管をしています。ただ、施設そのものの管理は、国の法律にかかわる部分もあるものですから、それはできるだけ首長部局の方針で運営されるようにしているということです。
 その理由は、私もずっといろいろなことをやっていて思うのは、公民館、図書館、さまざまな社会教育施設があるとしますと、こういうもの以外に使っちゃいけないとか、こういう職員の配置をしなきゃいけないとかそういうのが、意外と我々基礎自治体によって、実態に合わない場合があるんです。ですから、できるだけ柔軟な考え方で、地域あるいは使う人たちが自分の判断でできるような余地を残したい。
 それと、やはり社会教育施設というのはどうしても、まちづくりの拠点になるんです。そうなると、社会教育というのは何たるものだということよりも、地域の人たちがみんな寄って、そこで自分たちが学び合うとか、そういうものが自主的にできるとか、教育委員会の方針はこうだじゃなくて、市としてのまちづくりの方針をそういうところから市民に伝えるということのほうが実態に合っているんじゃないかということで、社会教育部というのはなくなりまして、特に市ですから、教育委員会では義務教育の部分で学校教育、学校の施設、学校の給食といったものをとにかくきちっとやってほしいという考え方でやっています。私は、今でも間違ってはいないなと思っているんです。

【菊川副分科会長】

 どうぞ。

【高橋(興)委員】

 少し青臭い議論をしたいと思います。私は1‐1と1‐2に関連して、次のようなことを言いたいと思うんです。基礎・基本の議論、施策をきちっとやらないと、次々と新しい施策が出てきても成果を上げることはできないということです。
 それは具体的に言うと、たとえば、ネットワークも結構だけれども、その根本にある施設が今どういう状況か。その状況を把握して、具体的にどんな課題を解決する手を打っているのか。
 2点目は、1‐2に関連することですけれども、基礎・基本の議論ということになりますと、ネットワークとか、あるいは人材活用なんてすらっと出てくるけれども、そもそも人材の活用にしろ、あるいは地域の方々の支援を受けるにしろ、その方々が自ら直接行って私がお手伝いしますと言うわけでは決してないのです。
 例えば学校とのかかわりも、そこには必ずだれか、今流に言いますとコーディネーターということになりましょうけれども、そういった人がいるわけですね。だけれども、中学校区なんていうことになりますと、今、例えば学校支援地域本部事業などで取り組んでいる状況を見ても、率直に言って、中学校区という広い地域では、十分なコーディネート能力を発揮できるような人はほとんどいません。
 そうすると、そこにさらにコーディネーターのコーディネーターが必要だということになります。それを今、果たしているのが社会教育主事や公民館主事なんです。だから、社会教育主事や公民館主事がきちんといる都道府県、あるいは市町村は、今、学校支援地域本部事業についてもかなり良い成果を上げていると私は思っています。
 ですから、「新しい公共」の議論も、そもそも今、だれが教えるのかというお話がありましたけれども、教える以前に、「新しい公共」という考え方を地域社会に持ち込んで、すぐ何かできるという錯覚をしてはいけないと思うんです。地域にそういう考え方を広め、あるいはそれに共感をして、具体的にだれか動く人がいて初めて、「新しい公共」という理念が生きてくる、あるいは具体化されるわけです。それをだれがやるのか。
 今、地域にはそういった人たちがどんどん減っていると思うんです。それが社会教育主事あるいは公民館主事なんです。ですから、人の問題というのは簡単でないことは重々承知しながら、青い議論をしているわけですけれども、このことをいいかげんにしては成果を上げることはできない。どんないい施策を打ち出してもだめだと思います。
 今、そういった意味では、まさに社会教育というのは、ちょっと大げさだとおしかりを受けるかもしれないけれども、まさに崩壊の危機だと思っています。だから、いろいろな機会にうるさく言っているわけです。一方で、学校教育サイドからも、最近はようやく地域とのかかわりの重要性ということが盛んに言われるようになった。だけれども、ようやく言われるようになったとき、社会教育の力というのは著しく落ちていると思うんです。これから地域社会が大いに学校支援をしてくれと言われても、率直に言って、その根幹となる社会教育の力というのは、10数年前に比べると格段に落ちたと思っています。
 ですから、つらいけれども、基礎・基本の議論、施策というものをきちんとやらなければ社会教育も学校教育も先はないと思っています。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございました。原先生、いかがでしょうか。

【原委員】

 まず、1‐1で、社会教育施設における人材育成機能の低下があるのではないかと思います。例えば、特に社会教育施設の中で、公民館の一般部局への移行といいますか、公民館の廃止という方向がありまして、社会教育調査を見ても、図書館、博物館が微増ではありますけれども、一方で公民館が激減をしています。そのような中にあっても、社会教育施設というのは文字どおり教育施設なわけです。最近はまちづくりとか、「新しい公共」による地域づくり、ネットワークづくりなどが必要と言われますが、結果としてそうなることはもちろん重要ですけれども、教育施設ということの原点は何かというと、今、高橋先生の方からありましたけれども、人の問題でありまして、公民館は、地域づくりとともにもともと持っている指導者育成機能というか、人材育成、人づくりの方が少し弱体化しているのではなかろうかと思っています。
 それにかかわるんですけれども、1‐4ということで、公民館の一般部局への移行ということに関して言うと、社会教育によるまちづくりと、一般部局・一般行政によるまちづくりで一体何が違うのかということが、わかりにくくなっています。公民館が行う地域づくりと、公民館を含めて社会教育施設が目指す地域づくりと一般部局によるものとで何がどう違うのかが見えてこないと、結局、公民館がなくてもいいのではないかということになりかねないのではないかと思います。
 もう一つ、これも1‐1全体についてですけれども、社会教育施設での事業の具体的な成果を示しにくいというか、成果はあるはずなんですけれども、それをとらえにくいことの解決策として、成果をとらえていくようなことを考えていかなければいけないと思っています。以上です。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございました。里中先生、何かございますか。

【里中委員】

 「地域」という言葉が出てきて、それは大切なんですが、1‐2の6.及び8.についてなんですけれども、地域というので充実するのはいいんですが、経験者とか、特に老人の住居移転などにより、能力のある人の情報というのが途切れることがあると思います。ですから、宝の持ち腐れになることが心配だと思います。
 その地域にいる方がずっとその地域に住み続けるとは限りませんし、前にいたところでは、あの人はこういうことができるとか、いろいろなことに参加していただけるということを皆さんご存じであったとしても、その方がどこかへお移りになったり、あるいは年齢的なこともあったりと、何があるかわからないのです。そんなときに、その方の情報は引っ越しと同時に途切れてしまうのではないか、老人に限らずですけれども。
 その場合の解決策としては、1‐1の3.に挙げられている、コーディネート機能の向上というのが必要なんですが、コーディネート機能をどうやって向上させるのかという具体的な仕組み・具体的にどうするのかということがない限り、絵にかいた餅で終わってしまいますので、先ほどもお話がありましたけれども、コーディネーターというのは、私の実感としては、本当にいらっしゃるのか、地域でどんなことをしていらっしゃるのかというのがちょっとないんです。だから、その辺がちょっと心配です。

【菊川副分科会長】

 私からも、進行しながらですけれども、2点挙げます。
 1‐1について、地方の社会教育行政の格差という、県によってもですけれども、市町村によっても格差があります。時々講演に行ったりすることがありますと、昔と変わらず、本当に基礎・基本できちっとやっているなと思うところと、例えば、ある県が青少年施設を廃止するのに、1年もたたないうちに一遍に廃止してしまったというような格差の問題です。
 それから、その根底には社会教育主事減への対応というのがあるのではないか。先ほどから首長部局の話が出ていますけれども、社会教育行政の専門性と社会教育主事の専門性というのは一致しているところがあると思いますので、社会教育主事の減をどう分析してとらえるかというのが大事じゃないかと思っております。
 では、一応こういう形で出していただいて、ちょうど時間が30分弱というところで、あと50分ぐらいありますので、領域ごとに1つ1つ解決策を確認していくというやり方でよろしいでしょうか。
 まず、1‐1のところから、今度は黄色い付箋に書いていただくのですけれども、いかがでございましょうか。
 提案がある方は手を挙げていただければと思います。

【高田委員】

 社会教育施設を機関と言うべきという話をしたんですけれども、単純に、「施設」という言葉を「機関」と、すべて文字を入れかえていただいたら良いだけの話です。そうすれば考え方が変わる。つまり何が言いたいかというと、NPOとか、任意団体とか、例えば地域のお年寄りの老人会というのは、組織はあっても施設は持っていないんです。だから、これは社会教育施設だけ、施設を持っているところだけの問題と思われると、そういう方が入ってくる場がなくなってくる。それを「機関」と書き直すだけで、そういう方の活躍の場が生まれてくると思うんです。言葉をちょっと入れかえるだけでも随分意識が変わってくるのかなというのが、方策の一つではないかと思っています。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございました。それでは高橋委員、どうぞ。

【高橋(興)委員】

 先ほど来、基礎・基本にこだわっているわけですけれども、「新しい公共」のネットワーク構築の中心は、私ども社会教育にかかわる者からすると、社会教育施設の核としての公民館というものをきちんと復活再生させないとだめではないかと思います。そういったときに、今一番、私が感じております問題は、公民館支援策です。国は最近、海援隊とか、新しい取り組みをして、なかなかおもしろいなと思っているんですけれども、根本的な、かつてあった公民館対策・施策というのは今、基本的に皆無になりました。都道府県、あるいは市町村の支援策というのはゼロになりました。
 都道府県も、そういう国の姿勢には極めて敏感に反応しまして、私が数年前に調べたら見事に、国の施策が後退していくに従って都道府県レベルの公民館支援策というのはあっという間に消えたんです。数年前までは多くの県が、例えば館長研修だとか、あるいは公民館職員研修の事業費支援ぐらいは、10数万円ですけれども持っていたんです。、だけど、ここ数年、それさえもほとんどなくなってしまいました。そんな中で、私が最近いいなと思っている数少ない例は大分県や島根県です。
 島根県は、まちづくりのために公民館は極めて大事だということで、今、1,000万円単位のお金を公民館対策につぎ込んでいるわけです。あそこでは、ご存じの方も多いと思うんですけれども、各公民館に助成のための計画を出させて、コンペをやるんです。各地区で予選をやって、そこから勝ち上がったのが県レベルのコンペにくるんです。
 そのコンペを、これは県教委の方のねらいもすばらしいと思ったんですが、わざわざ県庁の中でやるんです。公民館関係だと、例えば社会教育センターとかそういった教育委員会所管の施設等でやりがちですけれども、県庁の会議室を使ってやる。そうすると、各地域でかかわりのある部局がいろいろあるわけで、そういう県庁の職員もコンペを見に来たりして、非常に熱気あふれるコンペになっているんです。
 しかも、近年こういう支援事業は1〜2年限りで終わりということが多いですけれども、良いものは認めて継続している。だから、予算も当初少なかったんですが、だんだん積み上がってきて、今では額も大きくなっています。
 また大分県は、具体的な支援策というよりも、例えば学校と地域の連携のため公民館を核にしてやるんだということを、県教育委員会の基本方針として市町村に徹底していて、多くの市町村に浸透しています。
 例えば1つの例として、中津市では、学校支援地域本部事業のコーディネーターを基本的に公民館の職員がやっているんです。そうすると、そこにコーディネーターがいるものですから、学校支援にかかわる人たちがいろいろな機会に公民館に寄るんです。それからコーディネーターも、学校支援活動という具体的かつ地域住民が取っつきやすい活動があるものですから、ボランティアの機会を新しくつくり出すことができます。そういう金のかからない支援策だってあるわけです。
 そういった意味で、「新しい公共」というのは、理念としては大変大事なことだし、推進すべきだと思うんだけれども、やっぱりそういう基本的な、地域の多くの方々が参加できる、あるいは共感できるというところからきちんと対策をとらないと、成果を上げることはできないと思っています。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございました。1‐1と申し上げましたけれども、相互に関連していますので、ほかのものも一緒に説明していただいて結構です。どうぞ。

【原委員】

 まず、1‐1ですけれども、施設職員の専門性のレベルアップということですけれども、結局、人材を育成するにしても、そもそもそこでどういう研修プログラムを提供して、どういう学習機会を提供するかということにかかわってくるわけですから、基本的なことですが、施設職員の専門性のレベルアップのためには、今も高橋委員の方から研修の話がありましたけれども、昔は1泊2日で旅費を出して、例えば秋田であれば、県内から秋田市に集まって2日間の研修というのをやってはいたんですけれども、それもできなくなってきています。1日の出張でもなかなかおぼつかないというところです。
 それはなぜかという発想をしていかないといけないのですが、活かせるプログラムをきちんと提供するのであれば、1日職場を離れて出ることに対しても、経費の面倒を見てもらえるということがあると思います。研修に行っても何となくで終わってしまうというのが、研修への比重を軽くしてしまうところもあるので、レベルに合わせた研修プログラムの開発や、研修の環境を整備するというようなことが必要かなと思います。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございます。

【高橋(興)委員】

 今、研修のお話が出たんですけれども、研修は今まで、ほとんど公民館の連合会がやっていた都道府県が多いんです。県が直接やる事業ももちろんありましたけれども、それよりも、公民館連合会などがやるものは、企画の段階から公民館職員が役員などとして関わり、日常の課題をしっかり把握して、それに合ったものをやっていたものですから、参加率もよかったんです。だけど、公民館連合会としては、金がないものですから、県の支援があるからできていたわけです。
 ところが、数年前、私が県職員のとき、文部科学省の方がある会合で、「公民館は市町村の管理運営する施設でしょう。国は助成はできません」とおっしゃったんです。そういう考え方は、あっという間に県にも浸透したんです。私も予算折衝したときに、県の財政に「あれは市町村の管理運営する施設でしょう。なぜ県が金を出さなきゃいけないんですか」とはっきり言われたんです。今、そういう考え方が多くの県の財政担当者の決まり文句です。
 だから、例えばさっき島根の話をしましたけれども、今、とても良い形になっていますけれども、教育長トップダウンで成立した事業だと聞いています。そういう幸運はなかなかどこの県にもあり得る話ではないのです。市町村の設置管理する施設である公民館は、国が関係するところではありませんと言って、本当にいいのかということなんです。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございます。平野委員さん、先ほど、施設をそれぞれ固有に使っているけれども、世代を超えた人が交流する場の充実が必要であるというようなご発言もありましたけれども、何か解決策でありましたら、どうぞ。

【平野委員】

 既にある施設、特に公民館なんですが、それを用途に合わせて柔軟に使えるようにすること、既存の枠組みにとらわれない使い方についてまず再検討するということから始められるようにすることが必要ではないかなと思いました。
 公民館が、カルチャーセンターみたいに趣味の集まりで、集まる人たちが会場を借りて使うというようなイメージになった時期が一時あったような気がするんです。私が子どものころ親しんでいた公民館のイメージというのはもっと、同じ趣味でなくても、いろいろな世代の人が何かのときに集まったり、会合する場所がないからといって、本当に少ない会費で、みんなで持ち寄ってお菓子を買って集まったり、そんな子どものころの記憶があるんですけれども、そういった昔あったはずの地域のコミュニティの場としても、もう1回、公民館というのが大きな役割を果たせるんじゃないかなと思ったんです。
 ただ、それには、既存の枠組みにとらわれない、もっと柔軟な使い方を再検討することから始めたらどうかと思いました。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございます。先ほどの話の流れの中で、地方自治体におりますと、首長の意向なり判断というのは、予算上、非常に強制力があります。ですから、法律でどう書こうと、首長がこうだと言われたら、それに対して粛々とやっていくというのが基本的な流れではなかろうかと思っております。
 ただ、そのときに、そうはいいながら基礎的・基本的な今までの財産をどうつなげていくかとか、あるいは、本当にそれで永続性・安定性が保てるだろうかというのはいつも確認しながらやっているというのが、地方の教育委員会の職員ではなかろうかと思うわけでございます。
 そういった意味で、先ほど弾力的にという話もありましたし、広くまちづくりの、公民館のまちづくりと首長部局のまちづくりというのはどう違うんだというお話も出ましたけれども、社会教育行政が縮小していくことにより、まちづくりの機能が落ちているのではないかという心配を、私ども古くからやっている社会教育関係者は危機感を持っているわけですけれども、一方で、そうじゃないよ、もっと幅広く柔軟にやるのがこれからのまちづくりだよというような考え方もあるわけですが、小嶋委員、先ほどからのお話を聞かれて、いかがでございましょうか。

【小嶋委員】

 地方、特に基礎自治体の首長が今一生懸命取り組んでいる一番大きな課題は、実は地方分権なんです。今、聞いていて、こういった問題の国の関与と地方の自主性というのはどうするんだということを逆に聞いてみたくなったんです。日本列島も北海道から沖縄、九州まで非常に多様だし、地域の歴史、伝統、文化は違うし、そういう点では、文部科学省と農林水産省とは、何か一つの考え方で国を同じようにしたいというふうに思えてしようがないんです。
 日本の社会というのは、私は進化していると思うし、一人一人が、年をとっていくステージごとによって、自分が求めていくものを求めている。それはハードばかりじゃなくて、ソフトの教育の部分、自分自身を高めるということもやったりという場をできるだけ多面的に提供できるのは、いい基礎自治体だと思います。
 施設の整備というのはお金がかかりますから、我々は、市民のニーズを見ながら、社会教育施設の整備や職員の配置もしなきゃいけない。静岡市は図書館をかなりつくってきていて、蔵書の数もおそらくトップクラスですよ。それは政策的にやってきたわけで、そういう場を、地域で何とか運営してくれないかと言っているので、専門的な立場からすると、こういう専門家がいなければ図書館は成り立たないという議論になっちゃうものだから、その辺でジレンマがあるんですけれども、社会教育施設を取り巻く状況変化への対応というのは、国が画一的に言うよりも、ある面では地方のほうが進んでいるかもしれないと思います。
 ですから、さっきも専門的人材の養成とか、施設の機能の向上とか、いろいろおっしゃって、それはそれぞれ大事なことなんだけれども、国がどこまで関与するかというのは、こうでなきゃいけないというルールをつくる、例えば図書館は人口1万人当たり幾つ建てなきゃいけないという法律にするならそれもいいです。そのかわり、それをやる場合、国が責任を持って、補助制度じゃなくて、全額国費でやるぐらいのつもりでやるべきです。
 資格の問題もそうなんです。これももし決めるんなら、全額国の責任でやってもらえれば僕らは別に干渉しない。そこに地方の責任をもし少しでも持ち出すならば、それはちょっと違うんじゃないかという考え方があるんです。
 今までは国が政策を決めて、県や市町村がそれを忠実に実行するという形でいろいろな制度をつくってやってきて、全国画一的なものができてきた。私は今、そういうことにすごく抵抗している一人なものですから、地域の自主性とか、国がどこまで関与するかという議論を、特に文部科学省は自分の中でやって欲しいという気がしています。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございます。観点を変えて、公民館、図書館、博物館の立場から、糸賀先生、どうぞ。

【糸賀委員】

 今日は遅くなりまして申しわけございませんでした。実は今、小嶋委員からもありましたように、静岡県の図書館大会が静岡市でございまして、私、そちらのほうに講師として呼ばれておりまして、今、戻ってまいりました。
 今、座長から、公民館とか博物館、あるいは図書館という施設の立場からと言われましたけれども、むしろ小嶋委員の今の発言を受けて、基本的に、これからの生涯学習行政や生涯学習の施設がどうあるべきかという観点から、自分自身が全国各地を回った上での実感というのを申し上げたいと思います。
 それは、今言われるように、基本的にはこれ、地域主権とか地方分権という観点から考えざるを得ないと思いますね。これは生涯学習行政に限りません。ほかの各市の地方自治のありようを見ていると、極力国は、いわばシビルミニマムだとか最低限達成すべきことをサポートするけれども、それ以外は地域が決めたり、地域のありようについては地域の人たちが知恵を出し合ってやるべきです。そのときの「新しい公共」ですけれども、そういう意味では、市民力だとか、あるいは地域住民の自己解決力を育てるような生涯学習行政のあり方を考えていかざるを得ないと思います。
 そう考えたときに、先ほど高橋委員が言われるたように、社会教育主事の力が低下しているというのは事実です。人数も減っています。ですが、私はそこから先、それをどう解決するかといったときに、だから社会教育主事をもう一回再教育して、しっかりやらせようというふうに直ちには思いません。それは図書館の司書もそうですし、博物館の学芸員もそうです。地域の中でいろいろな力をコーディネートして、地域住民自らが問題を発見し、その解決をする能力を高める。この役割は絶対必要です。
 しかし、その役割を担うのは、従来の社会教育主事である必要は全然ないと思います。図書館の司書が同じ仕事をやる必要もないと思います。明らかに世の中の仕組みがもう変わっちゃったんです。地方自治のありようもすっかり変わってしまいました。
 だから、必要な機能をだれがどこで実現するかは、もう一度考え直す必要があるでしょう。そういう意味では、確かに生涯学習のグランドデザインを練り直す必要はあるし、改めてそれぞれの資格の位置づけ、その資格を持った専門性がどういう形で発揮されるのか、さらに言えば、その資格も一枚岩ではないわけです。つまり、明らかに専任で、そこの自治体が育てた職員と、外部の民間の力、あるいは短期の雇用という形で専門性を、当然、専門性としてはややレベルが下がるんですけれども、そういった能力やスキルを持った人をどうやって雇用で確保するか、その組み合わせで考えていかないとどうしようもないです。
 図書館だったら司書さえいればいいとか、博物館だったら学芸員がいれば十分だということはないと思います。いろいろな雇用形態とそれぞれのコアコンピテンス、そしてそのスキルを組み合わせて、その地域で求められている役割や機能をどう実現させるかなんです。言ってみれば、後から資格だとか名称はつければいいんだと思います。
 そういう意味では、形式だとか形態、所属、だから、そういうのをやるのに、私は教育委員会という枠組みでなければならないという必然性もないと思います。中央教育審議会の生涯学習分科会でこういうことを言ってどうかとは思いますけれども、私は別に、それが全部教育委員会の中でできるとか、教育委員会で完結できるというふうにも思いません。どう考えても首長部局との連携をやらなければいけないんです。
 前の会議でも申し上げましたけれども、これと同じようなことは総務省の人たちもいろいろと考えています。当然、国土交通省なりでも手は打つだろうし、農林水産省だって、農林水産省の枠の中でそういうことをみんな考えています。だから、「新しい公共」であって、内閣府が言い出すわけです。そういう枠組みを一度取り払った上で、地域の中で本当に必要な役割・機能・人材をどうやったら一番うまく育てられるのかという観点から考え直すべきだろうと思います。その中で、司書や学芸員が残るためには、ほかの能力を持った人たちとの、これはどう考えても競争です。
 その競争に打ち勝てるような人材を、私は図書館の中で育てようとしています。今日も静岡でそういう話をさんざんしてきたわけですが、教育委員会の中で守られている、自分たちは教育委員会の中の職員だというふうに安住していたら、これは当然だめになると思います。ほかの人たちと他流試合をやって、それに打ち勝てるだけのパワーとスキル、そしてセンスを身につけないとどうしようもないんです。
 ちょうど今日から、国立教育政策研究所の社会教育実践研究センターで司書専門講座が始まっています。それはそれで、もちろんやっていただいて良いんだけれども、それだけで専門的な司書が育つとは思えません。だから、日本図書館協会は独自に認定制度を始めるということをこの前も申し上げました。決して従来のものだけでは十分ではありません。従来のものを生かしつつ、もっと他流試合、外部と交わっても十分打ち勝てるだけの専門性、専門的職業を身につけていかなければいけないだろうと思います。
 遅れてきたので、今、ホワイトボードをざっと見たんですけれども、特に最後、これは1‐4で、これから話し合われるのかもしれませんが、教育委員会と首長部局との連携・役割分担、これを考えないと絶対無理だと思います。今日の参考資料2というやつで、「今後の課題等の例」に関する参考資料、事例編とありますね。この中で、私自身がかかわっているのは、一番最後にある、これをぜひ見ていただきたいんですが、滋賀県東近江市の取り組みです。参考資料2と書いたものの最後、9.生涯学習を支える行政機能向上の事例として、2ページにわたって出てまいります。
 15ページには、東近江市がどういうものかという説明と同時に、他分野連携の一例として、菜の花エコプロジェクト、これは環境問題を考えたような、菜種油を使って環境に優しい食材をつくっていこうというようなグループ、それから湖東地域材循環システム協議会、これはkikitoといいまして、森林資源をどういうふうに活用していくか、環境に優しい木材の使い方です。これなんか全部、明らかに教育委員会の外側でやっていることです。それと、ここにちょうど図書館、博物館が位置づけられていますが、菜の花エコプロジェクト、湖東地域材の循環システム、あとは太陽光を生かしたような、ひがしおうみコミュニティビジネス推進協議会、太陽光を利用した市民出資の共同発電といったものの動きをうまく束ねて、市民の力を引き出す役割を図書館や博物館が果たしているわけです。これは明らかに教育委員会の枠を超えた働きです。
 今度は16ページを見ていただくと、それ以外の団体がどういうふうに結びついているかがわかります。この中に、真ん中少し右下のところに図書館が位置づいているんです。こういう役割を図書館とか博物館、社会教育施設はできるわけだから、こういう方向に踏み出していく必要があるだろうと思います。それが教育委員会にあるのか教育委員会の外かは、極端なことを言えば、後から決めればいい話だろうと思います。
 そういう意味では、他省庁でも動いているので、うまく束ねないと二重行政、重複行政のそしりは免れられませんので、そういうふうにならないようにするべきだと思います。
 結論としては、従来の形式・形態よりも、それぞれの地域で求められている作用・働き・機能をどう実現するかです。そのために外部のものや何らかの形式が必要なら、それを後から持ってくればいいのであって、博物館とか図書館、司書とか学芸員といった固定観念にとらわれないほうが良いと思います。

【菊川副分科会長】

 水嶋先生、いかがですか。

【水嶋委員】

 基本的には賛成ですけれども、専門家は、自分がこういうことをやっているから専門家なんだというような言い方をするんです。だから、私はさっき、教育の課程からいくと、学芸員課程であっても、3割〜4割はそういう教育方針に変えていかないと意識改革できないので、図書館屋さんは図書館情報論とか何とかだけ一生懸命やるのではなくて、3割〜4割は意識改革ができるような融合した部分を、生涯学習概論や共通の関連部分を増やしていかない限り無理ではないかと思います。
 そこで私の意見ですが、平成の大合併のときに、文書館とか図書館はつぶされたんです。大きくなった市に2つの博物館は要らないということでどんどんつぶされ、特に文書館的なところはなくなっていったんです。ところが、道州制みたいなもっと大きな話になるとさらにそういう傾向が強くなると予想されます。イギリスなんかでやっている例を見ると、その地域の拠点館、それは博物館であろうと、図書館だろうと、公民館だろうと何でもいいんですけれども、その地域の中で、民主主義によってどこが拠点になるかというような話を決めて、周りの市民が支援しています。親分の拠点館ができれば子分がいっぱい下につり下がりますから、そこで役割分担をするんです。
 博物館資料は博物館にあるという概念ではなくて、博物館資料も図書館に行く、逆に図書館資料も博物館に行くというような、やわらかな連携をつくらない限り、そういうことは不可能だと思います。人材の交流もそうですし、物もそうです。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございました。私も、糸賀先生がおっしゃる柔軟に機能に結びつくというのは賛成なのですけれども、ただ一方で、生涯学習行政とか社会教育行政の、先ほどおっしゃったシビルミニマム、特に国としてとか、あるいは法制度としてミニマムをどこに求めるか。地方はどんどん自分たちで進むわけで、ただ、そのときに、やはりここだけはというような制度があるのかというところがあると思います。
 特に司書さん、学芸員さんというのは近年、数も増えているし、上級制度をつくろうかという動きがあるわけですけれども、本当は一番核とならないといけない社会教育主事制度というものについて、ここを抜きにはできないのではないかということで、議論させていただきたいと思っております。どうぞ。

【高橋(興)委員】

 今、糸賀委員がおっしゃった、基本的な考え方は私もそうだと思うんですが、ただ、社会教育主事については状況が少し違うんだと思うんです。というのは、私の理解が間違っているかもしれませんけれども、社会教育主事がこういう状況になっていくということについて、賢い人は先に見て、社会教育行政の中でもある程度手は打ってきたと思うんです。
 その一つの例が、ここ数年ずっと文部科学省の施策の基本的な発想だと思うんですけれども、学習を通じて人を育てることです。これについては学習成果の評価ということをセットで、いろいろな施策を展開してきたと思うんです。
 その一つの例として、文部科学省もバックアップしながら、社会通信教育協会、今、糸賀委員がおっしゃった図書館のものと似たようなものですけれども、社会通信教育協会が生涯学習インストラクター資格認証制度というものをつくりました。受講者が相当いるわけですけれども、私が最近聞くのは、何の役にも立たない、活躍の場もないという話です。
 それから、同じようなもので、地域アニメーター講座なるものを起こしたところもあるんです。これも実際はほとんど、姿が見えない状況になっているように思うんです。
 だから、こういう状況に社会教育が置かれ、社会教育を支えてきた中心である社教主事が今のような状況になったときに、糸賀委員みたいな発想で、果たして社会教育が本当に持ちこたえられるのか、学校教育と協働する力を持ち得るのかと思います。どんどん増えている司書とは状況が違うんじゃないかということを一言申し上げたい。

【菊川副分科会長】

 どうぞ。

【糸賀委員】

 私もいいと思うんです。社会教育主事さんが頑張って、司書に勝てば良いだけの話です。これはちょっと冷たい言い方かもしれませんけれども、そういう意味での競争原理を働かせないとだめだと思います。
 だから、地域の中で、実はさっきの東近江の司書なんかは、明らかに社会教育主事的なことをやっています。本人もそう言っています。では東近江の社会教育主事はどうしているかというと、実際にはほとんど機能していないんです。公民館自体が、利用者が固定層だけであって、あまり使われておらず、地域の人たちはむしろ図書館を使い、司書が本当に社会教育主事的な役割を果たしています。
 私は、全国、全部それをやりなさいとは言いません。それぞれの地域に合った形で、そこにいる人材の方が地域のいろいろな力を束ねて、それを発揮できるようなコーディネーター役といいますか、うまく引き回せればいいんです。だから、教育委員会の社会教育主事がやってもいいでしょう。図書館の司書がやってもいいでしょう。あるいは違うところの人がやっても、全然構わないと思います。それは地域それぞれのありようです。
 そのときに、社会教育主事の方は、社会教育主事のほうを向いてくれるように頑張ればいいんです。図書館の司書は司書で、自分たちのところに来てもらって、自分たちを信頼して、自分たちのところでネットワークの輪を広げるように働きかければいいんです。あとは、地域の中での限られた資源をどう使って、最後はどこが残るかです。そういう意味では、残念ながら競争原理をある程度働かせないと、みんな資格を持っているから安住できるなんて思っていたら、いまでもたってもお互いのレベルは上がりませんから、そこは切磋琢磨でやっていけばいいだろうと思います。
 それは学芸員も同じで、それぞれが地域の中での存在意義を認めてもらうような発想と行動力を持たない限りは、その資格はだんだんと埋没していってしまう。見えにくくなっていってしまうんだろうと思います。
 それだけに私は、首長部局との連携が絶対に必要だと思います。選挙でちゃんと政策を問うて、マニフェストで選ばれた首長さんや議員さんがいるわけです。それと図書館や、あるいはほかの社会教育施設がうまく結びついて、地域の課題をちゃんと解決していき、それだけの実績を上げたときに、次のマニフェストでそれがちゃんと明記され、選挙民が判断をする。これが基本的には地域主権や地方分権の考え方なんだろうと思います。私自身、誤解もあるかもしれないけれども、それに勝てるパワーをそれぞれの専門職は育てていかなければいけないんだと思います。

【菊川副分科会長】

 どうぞ。

【水嶋委員】

 それは東近江市にキーパーソンがいるからできるんじゃないんですか。

【糸賀委員】

 それはあります。確かにキーパーソンの方が、実はもともと滋賀県の仕事をしていた方で、その方がうまく役所といろいろな生涯学習施設を束ねていったんです。それは確かに偶然的な要因というところもありますが、図書館側の働きかけによる必然性も私はあると思います。偶然的要因と必然的要因の混在だと思います。

【小嶋委員】

 本当に難しい話で、専門資格を取ったのに働く場がないと、評価されない。私のところも学芸員とか、結構いるわけですけれども、市長という立場からすると、一つの職場に、本当に能力を発揮してくれればいいんだけれども、専門的な立場、資格でずっと仕事をするというのは、なかなか全体の人事から見ると難しいことです。幾ら一生懸命やっても、長い人が一つの部署にいると、周りから不平不満も出てくるし、我々のところは結構規模も大きいから、そういうのを移せるからいいけれども、移せないところなんか大変です。1人雇っちゃうと、簡単には解雇できないわけでなかなか難しい。今聞いていて、難しいなと思います。
 それと、そういう専門的な立場・資格を持ってやっている人たちを正しく評価するというシステムも必要なんだと思うけれども、なかなか人事評価も正しくできると思わないし、だけど、あまり特定の分野の専門職ばかり育てるのもいかがなものかと思います。
 それと、菊川副分科会長は県に長くいらっしゃったんですか。

【菊川副分科会長】

 はい。

【小嶋委員】

 市町村、僕らは政令市なものだから特にそうなんだけれども、県が社会教育行政をやっているということを肌で全然感じない。静岡市内には、県立図書館が1つあるんですけれども、ちょっと人里離れたところにあるものだから、県の図書館行政なんて、市民はほとんど肌で感じていませんね。そういうことが結構あるんです。ところが、県が上から見ると、ちゃんと一生懸命金を使ってやっているというのがあるんだけどね。その辺の、地方でもミスマッチというのが実はあるんです。
 それと、さっき公民館という話がありましたけれども、公民館行政は、県は関係ないと思っていました。これは全く市町村の裁量でできる、また、やっているものだと思っていたんだけれども、県はどういうふうな関与をするんでしょうか。県立公民館って、持っていないでしょう。

【水嶋委員】

 ないです。

【菊川副分科会長】

 公民館主事の研修をしているのです。

【小嶋委員】

 それは初めて知りました。

【水嶋委員】

 県教育委員会の研修をです。

【菊川副分科会長】

 県によるでしょうけれども。

【小嶋委員】

 県立の公民館を3つ、4つ、自分でつくればいいですよね。

【水嶋委員】

 いや、できないです。社会教育法上、できません。

【菊川副分科会長】

 公民館は、市町村立の設置となっています。

【菊川副分科会長】

 どうぞ。

【高田委員】

 先ほど水嶋先生から、地域のコアになる人材が要るんじゃないかという話があったんですけれども、やりたい人は多分、地域にたくさんいると思うんです。おれがコアな人間になりたいとか、おれがまとめたいという人間はあっても、要は、例えば一つの博物館でやりたいと思っている人がいても、博物館館長が理解を示さないと、それは本務かと。例えば地域連携をやりたいと言っても、それは本務じゃないだろうと言われると、そこで萎縮してしまって広がっていかない。
 やっぱり組織の長の理解とか、例えば県の博物館のネットワークが既にあって、それがあまりよく機能していないときに、ほかの人がクーデターのように何か組織を起こしたいと言っても、なかなか理解してもらえなかったり、協力してもらえないということがある。やっぱりやりたいと思う人、やってみたいと思う人を理解してあげるような仕組みとか、少なくともその施設の長が理解を示してくれるような仕組みが必要かなと思います。
 博物館というのは、行政の場合は事務屋さんがされることが多くて、現場の学芸員から上がってきて博物館長をする場合は少ないんです。なかなか博物館の使命とか役割ということにすぐに理解が進まない場合が多いと思います。その辺がちょっと課題でもあり、解決していくべき部分かと感じています。

【菊川副分科会長】

 私からも、先ほどの糸賀先生の話で、それは競争原理で、個人の努力にもよるということについて、これはこの間の糸賀委員の図書館行政に対する伝道師的な活動を見ると、本当にそうだと思うのですが、ただ一方で、個人の努力に任せる部分、あるいは個人の資質に任せる部分と、システムとして、それを国なり県なりはどう考えているのかという部分があると思うのです。
 私は図書館、美術館、県立公民館と言っていい社会教育総合センターと、3つ勤めたのですけれども、その中で、司書と学芸員の専門性というのはすごく見えやすいのです。それは、手法としての専門性ではなくて、一定の知識の量としての専門性が司書と学芸員にはあるのですが、社会教育主事についてはどちらかというと、ゼネラリストとしてのスペシャリストと言いますか、通常の行政職員にも通ずるような調整力とか企画力という、非常にあいまいな専門性です。それは、非常にすぐれた社教主事が模範演技をしてみて、初めて見えてくる専門性とも言えます。
 それだけに、それをバックアップし、理論づけるシステムとして、国なり、県なり、社会教育関係者なりは、どうそれを解説していくのかというのが大事なような気がしてならないんですが、原先生、いかがでしょうか。

【原委員】

 確かに3つの資格を一緒に考えるのはちょっと難しいところもあって、競争原理の話とは別の問題として、それぞれ図書館と博物館は、そもそも専門施設であって、公民館がイコール社会教育主事じゃないんですけれども、公民館が総合施設というところは、行政職員と似ているのかなと思っています。
 社会教育主事の場合も、コーディネートといいますか、つないでいく役割が非常に大きいと思います。社会教育主事だけではないですが、先ほどのいろいろな地域づくりにかかわる資格を取られて、そもそも地域に根が張られていなかったり、地域の方々とのネットワークがないところでは幾ら資格があっても、それを生かした活動を展開するのは難しい話だと思います。
 それは社会教育主事も同じで、ただ、社会教育主事というのは大学でも出しています。現場に出る前に取るというか、基礎資格ですけれども。それから現場に出てから講習で取るのがあります。講習にしても、大学で出すにしても、ある意味、最低ラインの資格であって、そこにどれぐらいの経験というか、社会教育活動をプラスできるのか、そこは個人の資質、あるいは個人の頑張りで活動や経験をプラスできるのか、あるいは、ある程度、職場というか、制度としてそこの活動をプラスできるのか、そこを考えていくべきなんだろうなと思います。

【菊川副分科会長】

 どうぞ。

【糸賀委員】

 今、菊川副分科会長が言われたように、ある程度、システムとか制度として、専門性を備えた人材を育成していくということができれば、それはいいことだとは思います。だけれども、それをやる前に、とにかく当事者たちが、今、地域の中で自分ができることは何なのか、自分たちに求められていることは何なのかということを考えて、行動して、その道をみずから切り開いていかない限り、この時代、周囲が何かシステムをつくってくれるんじゃないか、国がそのような基準を用意してくれなければ自分たちは動けないなんていう発想だったら、だめだと思います。その前に、まず自分たちが、国じゃなくて地域、どうやったら地域の人たちに認めてもらえるかです。
 ちょうどいい例を今、静岡の例で思い出したんですが、この3月に、静岡市の地域館の館長をやっていた方が、愛知県の田原市に引き抜かれましたよね。ペガサートという産学交流施設と一緒になっている、静岡市御幸町の図書館で館長をやっていた人間が、愛知県の豊田市の館長に引き抜かれているんです。つまり、それだけマネジメントの能力があって、優秀だから引き抜かれたんです。おそらく残念ながら、静岡市として人材育成システムを十分つくっていた成果というよりは、本人がいろいろと工夫をした成果であって、全国的にも、いろいろな論文を発表したりと、いろいろなところで活躍していました。
 そういう人材が育てられるというのは、システムもあるけれども、今、やっぱり危機感です。図書館の危機感、そして司書の危機感、それが一番人を育てるんだと思います。もちろんそれを後押しするような自治体の仕組みだとか予算的な措置というのも、ないよりはあったほうがいいと思います。でも、今そんなことを求めても、国は金庫が空っぽで、地方自治体だって財政は逼迫しています。
 このときに、自ら切り開いて、市民に支持される、特に納税者に支持されるようなサービスを企画し、立案し、実践していく行動力がなきゃだめです。ある意味では、ピンチはチャンスでもあるというのはそのとおりです。これだけのピンチになったんだから、自分たちで切り開いていくパワーをつけなきゃだめです。そのために、図書館の世界では、前もお話しした、いわゆる認定制度というのをつくって、自分自身もよく研鑽しています。本当は面接か何かをやって、プレゼンテーションをやらせたかったんですが、それを全国的にやるのはなかなか経費の点もあって無理だから、まずきちんとした文章が書けて、読む人がなるほどなと、説得力のあるような論文が書けるような人材を認定しましょうということで、物を書かせています。
 制度も必要ですけれども、本人の努力をきちんと評価してあげる仕組みは確かに公的にできます。それが今や、民間団体である公民館連合会だとか博物館協会という中の一つとして、日本図書館協会がこういうことを始めたということになります。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございます。

【小嶋委員】

 静岡市は、ちょうど町のど真ん中の一番いい場所の7階建てのビルに図書館をつくったんです。これは通勤通学で来る人たちのための、本当に町の中の図書館というものです。結構広い面積で、2フロア買いまして、1フロアは普通の図書館、1フロアはニューヨークの市立図書館をモデルにした専門図書館で、ビジネスに特化した高度な情報が手に入るような、そういうの2フロアつくったんです。それを、市が一生懸命やってます。結構全国的に注目された図書館で、今うまくいっているものです。

【菊川副分科会長】

 ありがとうございます。実は5分前になって、もう終わらないといけなくなっています。おおむね合意に至った点の確認とか意見が合わなかった点の確認を私がしないといけないんですが、時間がないので、後で発表したときに、異論などがあればその場で、議論の中で発表していただければと思います。不十分なまとめになると思いますが、お許しいただいて、55分までに終わるというお約束ですので、これで終わりにしたいと思います。ご協力ありがとうございました。

—— 了 ——

中央教育審議会生涯学習分科会(第54回)(グループ2)

平成22年10月18日

【大日向分科会長】

 よろしくお願いいたします。
 このグループ討議の進め方という紙を出していただけますか。まず最初に、グループ2.で何を話すかということですが、既にいくつかの課題は事務局の方で、事前に出していただいているんですが、これ以外にもあるかどうかについて、17時ぐらいを目途にみなさんで出し合ってみたいと思います。お手もとに出していただく紙は、グループ討議の進め方という紙と、今後の課題等の例(第2グループ)という2つです。一応、私たちのグループは、課題の例として、学校を核とした地域コミュニティの活性化、地域の教育活動で活躍する人材の育成・評価・活用、学習成果の社会的通用性の向上、生涯学習を支える行政の機能向上の4つが書かれています。このうちの2‐2、3、4については他の2つのグループでも討議されると思いますが、このグループ2.の特徴は、特に学校を核とするというところですので、そこに留意して討議していけたらいいと思っています。これ以外に、どういうことを討議したらいいかというのを、少し最初に皆さんで練ってみたいと思います。それを書くのがこのピンクの付箋です。それでは、書いていただくのに2、3分、時間があったほうがいいと思いますので、時間をとります。

(メモ書き中)

【大日向分科会長】

 それではここからは発表しながら、思いついたことがあったらどんどん書いていただくということで始めます。それでは、生重さんからお願いいたします。

【生重委員】

 学校を核とした地域コミュニティの活性化をまず最初にということだったので、地域の学校支援地域本部の人材育成、コーディネーターの育成、それから学校応援人材の育成に多く携わっている者としてお話します。これから学習指導要領がますます学びの時間にシフトしていくと思うんですけれども、今現在、私どもが学校支援地域本部をやっている中で実感しているのは、学校支援地域本部がしっかりしていることによって、社会とつながる体験的な学びの充実を図ることができて、それによって、子どもたちの座学での学習が裏打ちされた形になって、深まりのある学びにつながっていくということです。それから、学びの選択という意味でも、放課後や土曜日、夏休みなどの長期休業も活用しながら、子どもたちに多様な学びを提供していくことによって、それぞれが志向する学びの方向性を、それぞれ模索しながら学んでいく場を、小学校・中学校・高等学校それぞれにおいてつくり得ているのかなと思っています。そういうところに、経済界や企業の力を活用しながら、子どもたちが大人になったときに、何になりたいのかということも含めて、例えば研究者を目指したいとか、ものづくりの人を目指したいとか、そういうものを体験していくことによって、学校が始まったら数学が大切だとか、英語が大切だというところにつながっていると思うので、そういうことの充実を図ることが必要だと思います。また同時に、今、全国を歩いていて、だいぶ学校支援地域本部の理解が進み、地域の人たちが活躍し始めているというのは実感としてあるんですが、どうしてもやっぱり、核の部分である学校という現場だけにとどまってしまうように思います。それをもっと多様に広げて、子どもたちの自信につなげる豊かな学びを充実していくためには、市区町村単位の情報を受け取るプラットホームがあり、都道府県単位のネットワークという組織構築があって、全部に情報の共有化がなされるようになっていくのが、理想の姿だと考えています。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。それでは岩田委員、お願いいたします。

【岩田委員】

 3点あります。まず1点目ですが、今の生重委員のおっしゃったことに関連しますと、学校を核とした地域コミュニティの活性化のために、どんな仕組みやどんなツールが有効かということなんですが、私がこの審議会を通じて得ている情報で知る限りにおいては、学校支援地域本部事業というのが、その核かと思うんです。しかしながら、例えばマスコミであまり報道されることもないし、私自身ほとんど実態がわかりません。もしこの本部という仕組みがどう使えるかをこのテーマの核にする場合、これからこの本部をどう拡充していくかということだと思うんですけれども、あまりにも実態を知らないので、いつかどこかで視察をさせていただきたいです。もしこの審議会で、そのことについて大きな提言をするんでしたら、もっと実態を知るために関係者に来ていただいて、ヒアリングをするのもいいと思いますし、こちらが出向いて行って、実際の活動を拝見するということも必要かと思います。
 2点目は、前回の審議会で発言したことなんですけれども、個々の学校のニーズと、個々の企業が次世代育成支援をしたいということがうまく結びつく仕組みがないので、そういう仕組みが必要ではないかということです。地域で、企業の力をかりて、学校教育力を上げるということでしたら、今はそこが欠けているんじゃないかということです。
 3つ目は、男女共同参画学習という領域について、ここの審議会で情報提供がほとんどありませんし、議論された機会もないんです。私は、女性がもっと活躍できる社会にしたいということが、自身の1つのライフワークですし、大日向分科会長もそうでいらっしゃるし、ここに、本当に課題がないのかどうかをしっかり議論をする機会があったらと思いました。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。黒田委員、お願いいたします。

【黒田委員】

 生重委員が学校支援地域本部の現場のお話をされました。学校支援地域本部の考え方は大変重要だと考えています。私は、教育行政のあり方として、生涯学習振興行政が、学校教育を含んだ形で、総合的に進める、ということについて課題を持っています。学校教育は生涯学習の基礎にあたるものですが、生涯学習部門が学校教育部門を包括するという教育行政は、現場では、ちょっとギクシャクしている部分があり、そのバランスをどう考えていったら良いのかということを、課題として持っています。
 それからもう1点、生重委員が非常に頑張っていらっしゃる学校支援地域本部、私の市でも始めていますが、学校に全部集中してくるという動きがあります。学校教育関係の部署から求められる改善、変革すべき新しい流れがあり、生涯学習関係部署・市民活動関係部署からも連携や融合が進められています。学校は、全部受けとめ、一生懸命達成しようとして、活動が肥大化するなどとても疲れている状況が見られます。教育内容を変え、学校を支えるための地域本部ではありますが、学校に集中してきてしまうという現実はどうしたらよいか考えています。地域社会から失われた子ども達の良き育ちの環境を学校の中へ取り込むと同時に、学校外の活動として再生することはできないでしょうか。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。曽我委員、いかがでしょうか。

【曽我委員】

 まず1つ、1人1人の子どもたちの学習を、学校外の方たちがどのようにサポートしていくのかというのを、学校の中にいるPTAとして考えます。それはどういうことかというと、学校の中というのは、学校の中で組み込まれていますけれど、地域が、学校の中に組み込まれたものに対応するように入ってくるなら問題ないんですが、地域が考えた形の中に学校を入れようとすると、学校は拒絶状態になるわけです。先生方も、それに対しては非常に対応能力がないわけです。学校を核にした地域コミュニティの活性化を、学校が考える地域のコミュニティが活性化することは考えられるのですけれど、地域コミュニティが考える活性化とするために、学校をどういう状況に変えるかということに関しては、大変難しいんです。両者が簡単に融合するというのはすごく難しいということです。
 もう1つは、地域連携のコーディネーターを、ボランティアでやることは難しい。そういう状況の中では、有料ボランティアや、専門職のように、きちんとその総合的なこと等をまとめる方の設置が必要です。学校と地域が、コミュニティがよりよくなって、本当に地域の活性化が進んでいくという、もっと大枠の構図を考えないと、多分それぞれに、変にぶつかり合ってしまうと思います。つまり、今の状況をもっともっと進めれば、ぶつかるところが増えて、逆に、良かったコミュニケーションの部分が離反するような状況になってしまいます。地域の方たちはずっとその地域にいるんです。学校の先生方は何年かに一度かわって、その地域を何となくわかりながら上手に運営するけれども、教育という考え方の中で学校運営していますから、その考え方が少し地域とずれれば、なかなか共存することが難しくなります。だから、校長先生が代わって学校が荒れるということだってあるし、もうPTAとガタガタになってしまうこともあります。逆に言うと、校長先生がかわって、PTAの会長とすごく仲よければ、ものすごくうまくいって、コミュニティがどんどん入ってくるということもあります。つまり、人次第でものすごく簡単に変わるのです。専門職の方たちが、そういうさまざまな人間力をコーディネートできる形を、きちんとつくらないと、学校を核にしたコミュニティというのは、学校に地域が期待しているだけに変になる可能性があるので、ぜひコーディネーターの有料ボランティアや専門職を設置する事を重要視していただきたいと思います。そろそろ、学校とコミュニティが一緒になるのであれば、その接続点を担当する専門職が必要な時代になっているのではないかと思っています。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。高橋委員、お願いいたします。

【高橋(正)委員】

 私は、今盛んに言われています、学校現場と地域力といったもののパイプ役というのが、実際、どうなっているんだろうかと思います。先ほど、曽我委員が言われていたように、学校現場では、校長先生たちがいろいろな地域の人たちにお力を借ります。評議員会がありますとやっているんだけれども、実は受け入れるか受け入れないかは校長の裁量なんです。そして、どういったふうに改正をしたかという報告やフィードバックが何もなく、ただ、教育委員会から言われたからこういったものをやりました、評議員会でもみんなの意見を聞きました、で終わりとなっている場合があるんです。ですから、そこからスタートするものはやはり何か欠けているところがあるんじゃないかと思います。こうして、進んでいるところと進んでいないところの差が、ものすごく大きなギャップになっていると思うんです。多分、東京都内でも随分あるだろうし、地方に行けば、もっとひどいと思います。ですから、文部科学省からいろいろな方針が出て、もう何年も前からみんなご存じのはずなんですけれども、なかなかその実態がうまくいっていない。また、教育委員会と学校現場をつないでいくコーディネーター的なものというのがないんです。教育委員会は、ただみんなに指導しましたというだけで終わりなんです。そして事件があると、何があったんだろうという話をするだけです。ですから、本当に子どもたちを真ん中に置いて、今何をしなきゃならないのかということです。先ほど、小学校も中学校も高校もというお話があったんですけれど、レベルが全く違うんです。小・中学生は、小・中学生として、地域とのコミュニケーションをとるものだし、高校生になると、逆に高校生が地域とコミュニケーションをとって、地域に出て行こうとする姿もあるし、地域において社会に出る前の1ランクも2ランクも高いレベルの地域力を身につけることができます。多分、筑波だったら筑波にいるいろんな学者の先生たちから、高校生を集めていろんな話をしていただくようなことも可能なんです。ですから、一律に、学校を核とした地域コミュニティと言うけれども、基本的に小学校という枠で考えていかないと、3つを全部一緒にして地域コミュニティと言うのは難しいと思います。

【生重委員】

 さきほどのは、3つ一緒にという意味ではなくて、それぞれの発達段階において、教育という意味の連続性の中でという意味です。

【高橋(正)委員】

 さきほどの全体会のときにも話がありましたが、やはりこの3つはそれぞれ違うんだろうなと思います。特に、学校を核とした地域コミュニティというのは、たぶん小学校・中学校までで、高校は範囲が広いので、地域との密着性というのはあまりないんです。そういうところは非常に問題だと思います。やはり、義務教育の先生方と高校の先生方とは、ちょっとスタンスが違う点が気になっています。高校については、先生方の反応がないというのが実態じゃないかと思っています。その辺をうまくサポートできる人がもっともっと必要な時期になるんではないかという気がしています。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。中島委員、お願いいたします。

【中島委員】

 私は、乳幼児期から戦略的、体系的に考えるべきだと思います。学校をいきなり取り出して、そこで地域コミュニティとの関係を良くしようと言っても、限定的だと思うんです。赤ちゃんのときから地域がきちっと支えていくという活動が行われ、それが保育所、幼稚園につながり、さらにそれが小学校、さらには中学校につながっていくということで、地域コミュニティと子育ての、子どもたちの成長とのつながりがそれぞれしっかりしてくるということだと思うんです。施策というのは、孤立していては決して十分な効果は上がりません。施策がさまざまに体系的・有機的に関係を持つことによって、個々の施策が4倍、5倍、6倍の効果を生む可能性があるということです。私たちがやってきたのは、例えば学校の読み聞かせのボランティアです。私たちは6万8,000人いる町ですけれども、学校の読み聞かせのボランティアは300人ぐらいというものすごい数になっています。赤ちゃんのときの読み聞かせ活動、保育所や幼稚園のときの読み聞かせ活動、そういうものがずっとつながって、発展していって、学校につながるんです。ですから、学校のところだけを切り取るのではなく、地域が全体として、子どもたちの健全な発達を支えていくという大きなプランとして、赤ちゃんのときから、保育所や幼稚園のときから、小学校のときからという形で、体系的につながっていくような、そういう考え方をすべきではないかと思います。霞が関の皆さんはそれぞれの仕事が個別的になっていますけど、私、市長をやってきまして、やはり総合行政だと、問題解決のためにありとあらゆる施策を動員して、問題解決に当たっていくということだと思うんです。もう少し戦略的・体系的に、赤ちゃんのときからどうやっていくのかということです。そして、その一環として、学校とコミュニティとの関係があるのだと考えるべきではないかと思います。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。山岸委員、お願いいたします。

【山岸委員】

 今、聞いていて思ったんですが、例えば私がNPOサポートセンターの事務所を置いてある中央区というのは、半分は私立に行っちゃうんです。それで、今、公立に行かざるを得なかった、何となく落ちこぼれ感があったり、学力が低いという生徒をどう救うかということをNPOで取り組んでいます。大体、公立に行くのが圧倒的に多いのかと思ったら、そうでもないというのは、都内の特殊な事情かもしれませんけれども、最近驚いた事実です。それを前提にして言うと、学校や教育委員会と地域の対等な協力関係、それはある意味では協働という言い方になるかと思うんですが、これが基礎になるんじゃないかと思うんです。もちろん、こういう場では学校を核とするということになるわけですけれども、常に教育者の方は、地域や父兄を、どちらかと言うと低くと言うか、自分たちに従属するというような感覚がどうもぬぐい切れていないような気がしていて、そこの対等な協力関係を構築するということが、何事をやるにも重要じゃないかと思っています。そういう意味では、教育関係者の意識改革を前提にした人材育成が大事じゃないかというのがあります。
 それから、戦略的な意味で言うと、私たちが取り組んでいるのでは、産・官・学のプラットホームと言って、学校教育機関と市民、NPOが軸になって行政や企業を動かしていくものですが、こういうことにこそ、コーディネーターの役割が出てくるだろうと思うんです。そういうのは、具体的な事例がたくさんありますので、その手法みたいなものをもう少し普及できないかと思っております。NPOによく私が言っているのは、学校による教育力と連携しながら、教育や人材育成の力を再構築するということです。1足す1が3になるようにするということです。これは言うまでもないことですが、アメリカのシリコンバレーが不況で非常に低迷したときにも、経済で興すのではなく、教育で興していったんです。あるいは、スウェーデンが活性化している今の状況も、それはやはり人材育成・教育によって再生しているんです。ですから、そういう戦略的な位置を立てて、地域はもちろんのこと、日本の社会全体の再生にこそ教育なんだということを理論づけてやっていきたいと思っています。以上です。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。事務局のかたはいかがでしょうか。

【作花生涯学習総括官】

 まず2‐1の学校を核としたコミュニティの活性化についてです。コーディネーターをどう育成するかというのがあるんですが、私は、退職教員の本格的な活用というものを考えなければいけないと思います。今既に、現場に任せていても、気のきいた退職教員がいらっしゃれば、それなりに入ってきているんですけれども、もう少しそれを、制度として循環するようなことを考えてはどうかと思います。もちろん、ボランティアだからといって必ずしも無報酬である必要はないと思います。でないと、定数改善でこれからある程度現職の教員の方々が増えるにしても、基本的には学力向上、あるいは生徒指導のほうにその力を注いでいただかなきゃいけないとなると、このコミュニティの活性化というところで役割を果たしてもらうには、やはり手が足りないだろうと思います。ということは、まだまだ元気な、知恵と経験のある退職教員の方々を、制度的にどうビルトインするかによって、現職教員の負担の軽減を図るということを政策として考えてはどうかというのが1点でございます。
 それから、2‐3ですけれど、おそらくこの学習成果の評価というのは、臨教審答申以来、言われ続けてほとんど進んでいません。それは結局、我が国社会において、学習成果の評価基準というのは何かというと、それはやはり学校における単位認定、あるいは学校の修了認定なのです。学校をクリアして、初めてそこで、その成果の評価が定まるのです。あるいは公的資格、あるいは準公的資格というもので大体、評価されているわけでございます。例えば茶道でも、準公的と言っていいかどうか知りませんが、その流派の中の段位認定ということがあると思います。そうした中で、生涯学習の成果をもっと評価しようと、学校における単位認定とか、あるいは公的資格・準公的資格以外で実際にどうしようかと考えるとき、具体的にどういうところにすき間があるのかを考えた上でないと、生涯学習における学習成果の評価といっても、なかなか具体策が出てこないんじゃないかということでございます。つまり、評価が未確立な分野の洗い出しをする必要があるのではなかろうかということが2点目。
 それから3点目が、2‐4の行政の機能向上の1.、教育委員会と首長部局との連携強化ですけれども、これ、実際には、都道府県によっては生涯学習というのは首長部局にもう既に移管されているところもあるし、移管まではされないにしても、事業を連携してやっているという例はあるのですが、さらに進める1つの方策としては、教育委員会事務局に、その企業力を備えた民間人を臨時的に配置するということを進めていくとがあると思います。もちろん、公務員がだめというわけじゃないんですが、やはり、こういうダイナミックに地域再生をしていこうという場合、やはりそれなりに違う地盤・バックグラウンドを持った発想力のある方を入れていくということは必要だろうと思いますし、そのためには、最近、国では民間の方に来ていただいている例がございますので、こういったものを教育委員会事務局でも進めていってはどうかと考えています。以上でございます。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。ほかに事務局のかたはいかがでしょうか。

【高口男女共同参画学習課長】

 今回、学校を核とした地域コミュニティの活性化ということですが、やはり、それぞれ家庭の状況が複雑化しているという状況を踏まえていく対応する必要があると思っています。学校は、毎日家庭の児童・生徒が来ていますので、そういう状況を見ながら家庭を支援していくということが可能な立場にありますし、また学校は今、いろいろな課題や問題を抱えている家庭・親への対応に、非常に苦慮しているという現状もあるので、そういう学校を支援するという形で、地域の方たちの協力もいただきながら保護者の対応やそれぞれの家庭の教育を支援していくということが、学校を核とした地域コミュニティの活性化において非常に大事な点ではないかと思っています。それを進めていく上で、やはり福祉の領域に入ってくるということが1つ課題としてあるのではないかと思っておりまして、教育委員会と福祉部局、つまり、教育と福祉の連携を、これまで以上に進めていく必要があると思います。例えば、地域には、民生児童委員とか主任児童委員いう方が福祉分野にいて、そういう方が地域のいろいろな家庭の支援をし、また学校に入って学校を支援するような取り組みも始まってきております。そういう方たちを活用していくことが、学校を核とした地域コミュニティの活性化という点で非常に有用ではないかと思っています。
 あともう1つ、今、家庭教育支援の話もしましたけれども、今、生涯学習として、地域でいろいろな学習講座をして、そこで養成されたたくさんの人材が活躍する場を確保できているのかという課題もあると思います。ですから、せっかく地域で養成された人材が活躍する場所をどう確保していくかというのが、これは2‐2にかかる課題なんですけれども、やはり地域の生涯学習の振興につながっていくのではないかと思っているところです。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。どうぞ。

【上月生涯学習政策局政策課長】

 学校・家庭・地域ですとか、先ほど情報化の話もしましたが、これらはある意味一体的な話でして、子どもも大人も、簡単に言えばキーコンピテンシーが求められているのです。キーコンピテンシーというのは、基本的なリテラシーと、いろいろな人々と協働・共生していく力、これが両方求められています。片方だけではないということです。そう考えると、学校内に先生との関係だけというのでは、キーコンピテンシーが育つわけがないので、地域の方々を入れなくてはならないということが、まずスタート地点であると思います。ICTについても同じです。だから、できたらいいではなくて、それができないと、子どもにとっても、場合によっては大人にとっても、そんなにキーコンピテンシーというのが十分備わっているわけでもないので、学校という装置を使って、ともに育つような装置づくりをしていくために、こういうことが必要だという認識です。あとは方法論としていろいろな工夫が必要だと思います。

【大日向分科会長】

 ありがとうございます。いろいろなご意見をいただきまして、細かいところも丁寧に議論していきたいと思いますが、その前に、共通理解をしなきゃいけないと思ったところがありました。それは、このグループ2.のテーマが、学校を核とした地域コミュニティの活性化という掲げ方ですが、この文言はいかがなものかと、皆さんの意見を聞いていて思ったところです。学校を核として地域を活性化するのか、地域の力を使って学校を活性化するのか。そのあたりは委員の方によって立ち位置が若干違うように思いましたが、今、上月課長がまとめてくださったとおりかもしれません。学校も地域の人たちも、企業もNPOも、地域コンピテンスをいかに高めていくか、ここを掲げないと、山岸委員が言われたみたいな、対等な協働というのはなかなかできないのかもしれません。学校の先生は地域を指導してあげる、家庭がだめになったから親を教育しよう、それが地域の活性化みたいに誤解されてもいけませんし、また、地域が何か、学校にいろいろなことを期待し過ぎると、黒田委員がおっしゃったみたいに学校がその期待に押しつぶされるということもあります。そうしますと、このグループ2.の課題を書き直してみてはどうでしょうか。学校、地域、企業すべてが地域コンピテンスをいかに高めながら、連携、協働できるか、そこが大きな課題だというテーマの掲げ方はいかがでしょうか。それを1つの大きな看板として、それではなぜ今それができていないのか。上月課長は、しなきゃいけないとおっしゃったんですが、できない要素というのを出していくと、具体的にできるための方途が見つかっていくということもあるでしょうし、その流れの中で、例えば岩田委員が言われたみたいな、男女共同参画が全然入っていないというのは、やはりコンピテンスということを全然考えていないからということもあると思うんです。そういうところで、地域コンピテンスは今、どこかで軋んでいるか、どこかが詰まっているんだと思うんです。その詰まりをみんなで出し合うと、詰まりのもとをお掃除しようみたいなことになっていくのではないでしょうか。ここからは、しばらくフリートークで、付箋に書かなくても意見を出していただいて。最後の方で、また黄色の付箋に解決策を書いていただくと、報告のときに大変助かりますので、よろしくお願いします。

【大日向分科会長】

 生重委員、どうぞ。

【生重委員】

 私、10年にわたって、曽我委員や高橋委員、中島委員がおっしゃったこと、地域の社会教育に携り、学校PTAに携り、それで学校教育がこのままだとちょっと危ないぞというところから、今のNPO活動が始まっていて、学校内外から今のままで良いいじゃないかという声の中で、本当にいろいろな意味で足も引っ張られ、1つ1つろうそくに火を灯す思いで、学校教育に支援人材を入れていくことや、先生たちがもっと肩の力を抜くことを広めて、今やっと施策のほうが形になってきたという思いなんです。もちろん、PTAをやっていたので、学校側の立場もわかります。私も、学校に無理難題を押しつけるような人を入れたくないと思います。コミュニティスクールの委員も、私は2校やっていますけれども、やはり経営ビジョンとともに、地域が協働で同一に責任を負っていくという自立した意識を持たない限り、決してよいコミュニティスクールにはならないと思っています。経営理念をきちんと共有化して、そこに向かって同一の方向を見出して支援をしていくということが、校長、学校経営者の支援につながり、それから地域の活性化という意味において、学校支援地域本部がありという、連携が果たされていきます。もし、現場を見たいと言っていただければ、私がお勧めしたい幾つかの学校がございますので、足をお運びいただければと思います。今、おっしゃっていたような杞憂はすべて消えるぐらい、幼児からの読み聞かせはもちろん抜群にやっていますし、それから、もっと言えば、地域の課題を一緒に協議して、一緒に課題解決をしていこうという新しい組織に、モデル的に変えていくということもやっています。ただ、それは自分のところやよそ様が全部うまくいっているかって、私にとっては、大分とか、千葉の野田とか、山梨とか、もう何年にもわたってかかわってきて、人を育ててきたところには思い入れがありますし、それ以外にも、年1回程度で伺うようなところも、年々、意識が変わってくるんです。それは、子どもを育てていくというのは親だけの責任ではないのだということに、気づいていないだけなんだということです。社会が子どもを育てるんだ、地域が一緒になって共同体の中で支援していく権利があるのだということを気づいたとき、自分の子どもや孫の幸せを望むんだったら、地域のみんなが良くなっていかないとうまくいかないんだということに気づき出したところが、ものすごく良い活動をなさっているんです。高知の小さな小中の連携した学校なんかも、小中の先生たちがこれまでの異質なものを乗り越えながら、同じ教職員室におさまって、自尊感情を高めていくような教育活動をなさって、公民館とか、町の議員さんまでもが一緒にコミュニティスクールをやっていて、そういう、何とか自分のところで頑張ろうとしているところが大分出てきているんで、それをもっと拡大していかなきゃいけないと思っています。
 ただ、今、コミュニティスクールの成果発表を行っても、本当に方向性があやふやなんです。学校支援なのか、コミュニティスクールなのか、そこのところをきちんと打ち出して、どっちでもいいような的な発言はやめていただきたいんです。コミュニティスクール、学校支援、放課後という連携の中で、ありようを明確にしていくことで、学校経営という1つの地域コミュニティの中での位置づけみたいなものが生まれてくるはずなのに、コミュニティスクールの人が支援してもいいし、支援本部の人が先生の何とかだみたいなところを、もやもやと発表させてしまうあの姿が、どうしても私には許せないんです。本来的な意味合いで、これから目指す姿がきちんと示されているのですから、こども園もそうですけれども、小学校段階、中学校段階、高校段階と示されているものに従って、私たちが市民として責務を果たしていくんだという思いになるような啓蒙活動をしていかなきゃいけないと思っています。

【中島委員】

 マスコミを中心とした、学校が悪い、教師が悪いというのがおかしくしていると思うんです。確かに、だめな教師がいることは否定できないけれども、圧倒的に多くの教師はやはり子どものために、基本的に一生懸命なんだということです。それを信頼して、さまざまな問題を抱えている学校現場をきちっとサポート・支援していくことです。私は学校とつきあってみて、日本の教師のレベルは決して低くない、一生懸命だと強く感じたんですけれども、そういう信頼関係を、社会一般の世論としてどうやってしっかり熟成させていくのかです。信頼がなければ、どんな変革も改革もうまくいかないんじゃないかと思います。信頼をベースにすると、しっかりした改革ができていくので、それをどうやって醸成させていくかというのが、我が国の教育現場で抱えている大きな問題ではないかと思うんです。

【大日向分科会長】

 そうですね。どうぞ。

【曽我委員】

 PTAという立場で、保護者というのはさまざまな方たちがいらっしゃいます。それで、私も地元の地域で、一生懸命いろいろなPTA活動をやったので、日本PTAまで来たというのは間違いないことだと思うのですが。私が小学校のPTA会長をやった時、一生懸命PTA活動をしたんですが、その後の方にとっては、保護者がやらなきゃいけないことがいっぱい増えてくるわけです。そして、PTA活動を一生懸命やるとどうなるかというと、普段働いている会社からリストラを受けてしまうのです。きちんとやるとするならば、それだけの安定感を持ってやらせてあげる環境をつくらなければできないのです。やはり、本業の方たちが90%やって、10%補助しなさいというのならできるかもしれないです。でも、フィフティ・フィフティでやるとなると、それはそれだけの安定感がないとできないです。昔は高度成長期で、何せ頑張ればうまくいったというところですが、今は頑張っても逆にだめになったり、本当にリストラを受けたり、肩をたたかれたり、「おまえ、PTAなんかやっている場合じゃないよ、それだったら首だ」っていうのがいっぱいあるわけです。PTA活動をプラスポイントにしてくださるのは大企業だけで、マイナスポイントになるところで働いている保護者が山のようにいるのです。その中で、そういう方たちが安心して教育に向かうことができるコミュニティをつくったら、まさしく進むと思います。今は、できる人がやっているのです。我々は、こうやってできているけれども、明日、倒産するかもわからないのです。一生懸命やれば、会社は厳しくなり、一生懸命やった人ほど倒産しているのです。そう方は、子どもたちの輝きが変わっていることを喜びとして、人生としてやっているんです。そういうことが評価されるコミュニティになれば、みんな応援してくれます。そしてそれをサポートする企業があれば、みんな応援してくれます。少しずつそういう企業が、大手から生まれつつあると思います。公務員は、税金から給料をもらっているのに勤務中に何でボランティアをやるのだ、きちんと仕事をしろよということを、言う方もいるのですけれど、本当は違うんです。公務員も有給休暇を取り一緒にボランティアを同じぐらいやって、先生方も同じぐらいにボランティアをやって、一緒のレベルになれば、それは信頼が増してきます。私は、コミュニティを本当に活性化させるには、生重委員のような方たちが安心して、どの学校にも1人でもいてくださるような社会にすることだと思います。そうした社会にできない環境が山のように各地域にあることをぜひわかっていただきたいです。

【中島委員】

 PTAを、PGTAにしたらいいんじゃないかなと思います。Gはグランドペアレンツです。おじいさん、おばあさんがものすごくパワーがあるわけです。そして、かわいい孫のためだったら、みんな一生懸命やるわけですが、行きたいけれども、なかなか行けないのです。一方で、PTAの会長さんは本当に大変だと思うんです。副会長にグランドペアレンツの代表を1人つければいいんです。そうしたら、能力もあって、とにかく孫のために一生懸命やってくれます。グラウンド整備が必要だったら、みんなでやってやろうじゃないかと言って、地域の力を集めてやってくれるんです。仕事を持っている人たちは忙しいので、PTA活動をやるのは大変だと思います。私たちのところの男性読み聞かせ隊というのは60代、70代の高齢者がやっていますけれど、保育園でも学校でも大人気です。理屈ばっかり言っているお年寄りに、きちんといろいろな仕事をさせる仕組みをつくっていった方が、高齢者のためにもなるので、グランドペアレンツも入れたら良いと思います。

【大日向分科会長】

 先ほどどなたかが、つなぐ、接続を担う人を育成する必要があるとおっしゃってくださいましたが、大切な点ですね。それは無償ではなく、ある程度の有償であったり、あるいはPGTAだったりですね。

【高橋(正)委員】

 私は、今の意見に全く反対なのですが、結局、子どもたちの周りの人間であれば、おじいちゃん、おばあちゃんは本当にしっかり子どもたちを見てくれると思うけれども、やはり自分の孫しか見えないと思います。だから、すべての子どもたちを見るような、そういった性質じゃないと思うんです。私も、結局20年以上ずっとやっているんですけれど、よく会社をつぶさずにここまで来たと思うんです。小学校、中学校、高校とずっとやってきて、学校の先生方と別に敵対しているわけじゃないんです。私たちは溶け込もうと、そうすると、向こうの方が、私たちが小学校をやっているときは、先生の方が完全にガードしていました。

【大日向分科会長】

 そうですよね。

【高橋(正)委員】

 学校は、私たちの世界なので、親が入ってきてほしくないというのが、もう15年ぐらい前の話なんです。そして、その辺から少しずつ変わってきて、学校の統廃合だとか、入試試験の方法が変わったりとかして、保護者と学校が話す場がいっぱい出てきました。そういった中で少しずつ変わってきたんです。昔から言われているのは、教育はおれたちがやるんだ、親は黙って金を出せばいいというのが、PTAに対する先生方の基本的なスタンスということですが、最近では、それはもう変わりました。マスコミや文科省をはじめ、皆さんがやはり学校だけでは教育ができない、学校と家庭と地域と言われたんで、だんだん、何となく先生の存在感がないという感じがしていますが、先生方は非常に頑張っているんです。頑張っている中で、そこの受け入れ態勢の窓口をあけていくのは、生徒である子どもたちの保護者が一番話をしやすいだろうと思います。先ほど言いましたように、学校がどう変わったかについてフィードバックがなく、評議員会だとかで、校長先生が地域の人を集めて話を聞いて終わりで、こうなっていますという報告が全くないのです。地域のおじいちゃん、おばあちゃんとか、みんなが忙しいときに集まってやったのに、何で報告がないんだということになります。その辺を、学校に余裕がないのであれば、先ほど言われましたように元教員の方でもいいし、いろいろな、ある程度余裕を持っている人が学校の中に、教員としてではなくて、地域コミュニティの学校側のコーディネーターのような人が学校の中に1人いると、学校と地域との調整がうまくできてくる可能性があるんじゃないかと思います。うちの県では、地域のお年寄りの方が、何か地域の役に立ちたいんだけど、だれも声をかけてくれないんだというんで、公民館にコーディネーターをそれぞれ置くようになったんです。そうしたら、いろいろな踊りの先生とかの教室がスムーズに動き始めたんですが、これと同じようなことです。

【生重委員】

 大分県は、私、ずっとかかわらせていただいて、元校長先生も何人か入っている、学校支援コーディネーターの育成講座について、最初の現場を実地に見に来るところからかかわっています。大分県は、今、専門性の高いアドバイザーシステムを入れていっているんです。臨床心理士とか、幼稚園の園長先生とか、さまざまな専門家集団を置いて、公民館や学校に所属しているコーディネーターが、より学校に支援をしやすいように、困ったときに悩み相談に乗れるような体制づくりも含めて、かなり先んじた方向性を打ち出しています。

【高橋(正)委員】

 そうしたことをしているのはほんの一部だと思います。

【大日向分科会長】

 そこで伺いたいんですけれど、中島委員は、もっと教員を信頼しろと言われた。でも、教員は必ずしも地域に心を開いていない、あるいは変わったと言いながらも、まだ教育は自分たちのものだという。

【高橋(正)委員】

 そんな気がします。

【大日向分科会長】

 その壁はどうやって乗り越えたらいいのかということについて、いろいろな人を学校に置くということでしたが、それだけで大丈夫なんでしょうか。

【高橋(正)委員】

 だからそこを、元教員という感じで特定すると問題があるかわからないんですけれど、同じような職場にいて、自分たちの先輩でもあって、自分たちの職種のことも理解してくれるような人が、コーディネーターとして良いと思います。

【大日向分科会長】

 元教員のほうがいいということでしょうか。

【高橋(正)委員】

 元教員の方がコーディネーター的な位置づけで入ってくれると、学校と地域についての話で言えば、良いと思います。

【大日向分科会長】

 黒田委員は教育委員会でいらっしゃいますよね。学校側の地域の受け入れ態勢というのはどんな感じですか。

【黒田委員】

 浦安市は8つの中学校がありますが、1つの中学校区だけ支援協議会を立ち上げました。コーディネーターは行政職員があたりました。学校が求める支援の内容を、中学校1校、小学校2校の計3校の教員を対象に、アンケート調査をしました。それから、当該地域の方々やPTAにに対しては、どんなボランティア支援ができるかアンケート調査をしました。学校が今一番求めているのは、キャリア教育を実践していくための支援でした。訪問先、体験場所の確保や企業と結びつきを開拓する手立てなどを含んだ支援を希望していました。一方、支援してくださる側の答えは、空手を教えます、詩吟を教えます、大正琴を教えます、パッチワークを教えます、陶芸を教えられますということが大半でした。以前であれば、中学校の選択教科の拡大ですとか、総合的な学習の時間の中で、美術科、家庭科、音楽科、体育科などの発展教材としてあるいは体験学習として取り入れ、社会人講師としてお願いしてきた経緯があります。今、それらの時間で支援いただくことはなかなか難しいです。そういう齟齬があって、ボランティアとして手を挙げてくださった方も、校内で支援していただくことができません。環境整備に関する活動については、地域ボランティアの皆さんと、土曜・日曜日の学校外活動として通学路の花壇作り、フラワーロード作り、地域の清掃活動などに、有志の子どもを募って実施しています。

【大日向分科会長】

 地域コンピテンスという場合の地域の力というのはそういうものなんでしょうか。今、アンケートの結果をご紹介くださったんですけれど、地域コンピテンスというのは、詩吟を教えますとか、そういうものじゃないですよね。

【生重委員】

 違います。

【曽我委員】

 学校現場に行って、職員室に行くと、先生たちは机に向かって黙々といろいろなことをやっているんです。そして、夜は夜で、遅くまで電気が職員室についていて、コミュニケーションをとる時間がないんです。

【大日向分科会長】

 先生同士がということですか。

【曽我委員】

 先生同士だけじゃなくて、我々、保護者ともです。いろいろな課題を解決することでもう精いっぱいで、地域や子どもの未来について、夢を語るなんていう場がほとんど作れなくなっています。昔に比べて、今、そうなっていると思います。
 それともう1つ、先生方というのは、先輩の先生方と後輩の先生方がいるのに、結構、対等なしゃべり方をするのは非常におかしいと思います。なべぶた式が良かったのかどうかわかりませんが、私は基本的に、学校の先生方に、先輩の先生方に学べと言うのですが、先輩の先生方、後輩に対して、相手が言わないのに勝手に教えられないそうです。地域コミュニティというのは、まさしく、小さな子どもから老人までさまざまな人たちがいて、そこでは、さまざまな人たち全体が一緒になれる能力が必要なんです。しかし、学校の中というのが違った状態になっているのです。学校を上手に地域コミュニティの中に入れようとすると、こっちが相当エネルギーを使ってあげないとだめなんです。そこもぜひ変わってほしいと思います。

【高橋(正)委員】

 そういった意味で、私たち、ずっと長年やっていて、いろいろな学校に対するもののすべてをクリアしてきたのは、多分PTAだと思うんです。例えば、小学校のときに花いっぱい運動をやりましょうと言って、保護者や役員さんは一緒になって子どもたちとやっていくんです。夏休み、子どもたちがいないときに、だれが水をやるんだとなれば、保護者が出て水をやるんです。そうすると子どもたちが、おじちゃん、おばちゃんにやってもらうのはまずいよねとなって、みんな当番制で来て、水をやるようになります。また、例えば何かの手芸教室をやりますというときも、PTAからこういった方にお願いしたいと言えば、学校ともコミュニケーションをとれるんです。このように、東京の場合は特殊なんでしょうけれども、地方に行けばまだPTAが完全に生きているんです。

【生重委員】

 東京もしっかりやっています。

【高橋(正)委員】

 ですから、PTAというのは、モンスターペアレンツのようにガンガン文句を言うだけじゃないんです。そういったクレームについての問題は学校で抱えないでくださいと、校長先生はPTAの副会長なんだから、役員会で愚痴をこぼしてくださいと言ってきました。私たち親同士で解決をしますというのを、埼玉で1万人の前で言ったんだけれども、そういったことに我々をうまく使うように考えていただきたいです。PTAは敵だとか、うるさいんだじゃなくて、そういったコツコツしたことで使ってもらえればと思います。例えば正月なんかでも、我々、高校生もやっているんですけれど、子どもたちと一緒に、竹を切ってきて、そして門松をつくるんです。その竹を切るのも子どもたちと一緒で、その竹を切らせていただく方も、元保護者の方です。そういったコミュニティをPTAは持っているんです。

【大日向分科会長】

 それではここで1つ作業を頼んでいいでしょうか。皆さんが考える地域コンピテンスとは何か、そしてそれをいかにつくるか。1つずつ厳選して書いてもらえないでしょうか。それを出して、また議論するというのはいかがでしょうか。

【岩田委員】

 それは、子どものコンピテンスだけではなくて、その地域に住んでいるすべての人々のコンピテンスだと思っていいですか。

【大日向分科会長】

 そうですね。上月課長がおっしゃったように、地域コンピテンスは、学校でもあり、地域でもあり、企業でもあります。

【上月生涯学習政策局政策課長】

 基本的にそうなると思います。

【大日向分科会長】

 学校だけじゃなく、地域全体にプラス学校、企業、私たちすべて、子どもも含めて、地域コンピテンスです。何を一番大事に、いかに育むか書いていただけますか。

【上月生涯学習政策局政策課長】

 1点だけ、質問させてください。お話を聞いていると、教員は必ず子どもに教える関係、地域の人は学校を手伝う関係ということなのでしょうか、これからも。

【大日向分科会長】

 それが違うということを皆さんが言っているんだと思うんです。その点について、具体的に出していただこうかなと思います。学校・教師と地域との関係についての従来の固定した壁のようなもの、それを崩したら、崩す方途がみつかったら、今日話したことの意味があると思うんです。

(メモ書き中)

【大日向分科会長】

 何か、すごく哲学的なのが並びましたが、これを施策に落とすのは、どうしたらいいのでしょうか。並べたものを読み上げますと、「人育ち」、「人間を総合的に育む」は同じことだと思います。具体的には、「社会に貢献するという態度の育成」、「地域創造に喜びと誇りを感じる感性」。それから、「すべてのジェネレーションをつなげて、次世代育成をみんなで考え、NPOとの連携、信頼して足る活動をする」。具体的には、「教師を支える」とか、「中小企業の発展」とがありますが、また、「大人の社会のコミュニケーション」、「子どもに欠けているコンピテンス」、「地域の大人に欠けているコンピテンス」。それで、結局これは「立場を超えた地域」、こんな感じでしょうか。文言としてはすごく美しくまとまりましたね。ただ、これだけではいけないんですよね。これをどうやって機能させるかを、残った時間で話し合いませんか。お願いします。

【曽我委員】

 そこに人育ちと書いてますが、PTAというのは、社会教育団体なんです。そして、社会教育団体というのは、常に学んで成長するという団体なんです。つまり、常に地域のコンピテンスを上げるためには、みんなが学び合って、お互いを認め合ってという、学びをずっとやっていかなきゃいけない、学びは終わりがないということを、共通意識で持たないといけないと思います。

【生重委員】

 生涯学習の最たるものですよね。

【曽我委員】

 根底です。ところが、その基本的が忘れられて活動しているんです。

【生重委員】

 いや、PTAがもっと積極的にかかわってこないと、良いものにはなっていかないんです。だから、本気でPTAが考えてくれているところのほうが、学校支援地域本部がうまくいっているんです。さっき曽我さんがおっしゃったように、PTAは今、現役の世代として子どもを育てています。お父さんもお母さんも、子育ての現場にいます。それで、子育てというのは、近い年齢の子どもを持つ親同士をつなぐ屋根瓦なんじゃないかと。乳幼児を育てた経験を持ったちょっと上の人が、心配ないよとか、これは突発性だよとか教えてあげるとか、入学前の小1プロブレムの解消とか、モンスターペアレンツ問題の解決とか、そういうのも含めて、私たちは横の関係だから言い合えるんです。学校の先生から言われると、上からものを申されているという反発心が働いてわけのわからない理屈を言う方が、問題発言をする方の中にはいます。だから、つながっていく関係をつくっていくとしたら、PTAというものがきちんと真ん中にあることは当然なんです。なおかつ、現役じゃない、もっと外から冷静な形でかかわってくれる人間が、支援というところで連携することによって、より学校が活性化すると思います。

【曽我委員】

 PTAは、人材をつくっているんです。つまり、学びながら自分たちが成長してPTAを卒業したとき、社会活動ができる人材になっている。

【生重委員】

 そうです。今はなってないですが。

【曽我委員】

 なるよう、PTAをしっかり育てなければだめです。

【生重委員】

 PTAを体験してきた人たちが、やはり学校支援地域本部の担い手の中心なんです。私、1つお願いがあるんですけれど、学校の先生だけとか、退職者だけになったら、ものすごく形がガチガチになるんで、もうちょっと柔軟にしてほしいです。退職教員の方には、すごく素敵にやってくださっている方たちがいっぱいいるんです。でも、退職教員だけにしてしまわないで、もっと外、だからNPOと連携してと書いてあるんですけれど、外の力とか情報が入るような場を持つということがすごく大事です。

【大日向分科会長】

 どこに持つんですか、学校にということですか。

【生重委員】

 学校の中でも外でも良いんです。

【曽我委員】

 そうなると、学校側のコーディネーターとして退職者の先生がなって、地域側のコミュニティのコーディネーターがもう一人いて、そことそこが接着点になるということが大事なんです。つまり、どちらかを1人がやるんではなくて、どちらかの立場がよくわかるコーディネーター同士がするということで、トータルコーディネーターというのができて、トータルコーディネーターの下にサブコーディネーターがいるということです。

【生重委員】

 何で私がこれを言うかというと、あえて言わせていただくと、退職教員が加わった場合の失敗例も見てきているからです。高圧的に自分がこうであったという教員の姿を押しつけるということが失敗の原因になることがあります。もちろん、柔軟で、柔らかなコーディネートをしてくださっている方もいます。

【高橋(正)委員】

 先生は先生たちの立場なり、自分たちのプライドもあってみんなやっています。そうすると、そこをPTAは承知して、子どもを真ん中にして、一緒に話をできるからいいんです。ただ、地域のコミュニティと学校が話をしようと思うと、おれたちは教員だというのがやはりあるんです。そこに、学校側のコーディネーター的なものがあって、そこでマッチして話をしていないと、1個の壁を取るというのは、やはり教育者としてのプライドというものもあるし、みんながみんな悪い先生ばっかりじゃないんです。

【生重委員】

 いや、ほとんどが良い先生です。

【大日向分科会長】

 岩田委員と山岸委員、お願いいたします。

【岩田委員】

 皆さんのご意見と私が考えていることと分野が違うんですけれど、地域のコンピテンシーは何かという問に対して、やはり子どもたちのコンピテンシーを育む上で必要なこととして、将来、職業人として自立していくために、子どもの発達段階に応じてどういう情報を与えるか、どういう体験を話して聞かせるかというのがあると思うのが1つ。それから、やはり自分が生まれ育った地域を愛して、地域を活性化したいと思う気持ちを、子どもたちに持ってもらうということ。これは、学校の先生を軽んじるということとは全く違うのですが、学校の先生だけではなかなかできることではなく、もっと地域でできることかなと思ったのが1つです。それから、学校で足りないものを地域が応援するということだけではなくて、地域が足りないものを学校が応援するという観点も、今回の流れの中であるかと思ったときに、大人が欠けている能力を学校が支援できるという点です。大企業で長く終身雇用的に働いている人は、会社ぐるみでいろいろ能力開発の機会があり、コンピテンシーも備えていると思うんですけれども、それにうまく乗れていない人、例えば失業している人、非正規労働で長く働いている人、長く主婦だった人、あるいは大企業と比べると中小企業は、R&Dの力を含めて競争力をどうやってつくるかという点では、足りない部分があるのではないかと思います。そういうことについて、ここで言う学校というのは、小学校、中学校だけではなく、高校だったり専門学校だったり、大学だったりすることもあるんですけれども、そういうところが、力を貸せるという関係にあるんじゃないかと思います。これまでの議論に全く出てこなかったので、申し上げたいと思います。

【生重委員】

 最後に1個だけ教えてください。何度も何度もこの場で、私が経済産業省でキャリア教育コーディネーターの全国の育成事業の統括マネジメントをしているという話をしているかと思います。実は11月13日は大分大学でキャリア教育コーディネーターのサテライト事業をやって、大学との連携の中で、キャリア教育のこれからのありようみたいなものを考えていただく機会を持ちます。それで、黒田委員がおっしゃったように、これからもっと産業界とキャリア教育という意味でつながっていきたいというところの情報を全国に流していけるような仕組みづくりも、今していまして、今回は、10の教育委員会と連携してサテライト事業、14地域の都道府県で育成事業を展開しています。私たちが目指していきたいのは、自分の地域を愛するアイデンティティと、グローバルな世の中できちんと活躍できるような視野の両方を育てることを、日本全体でネットワークすることです。そのためには、学校の先生とも連携する、地域の人たちも連携する、まちの機能、県の機能、国の機能をすべて活かすという仕組みを、すべからくつくっていかないと、その情報は現場サイドにはおりていきません。だからこそ、私は文部科学省の学校支援地域本部事業を真剣に、全国に普及するんだと思っています。受けとめ手がいない限り、届かないからです。いくら企業と連携してプログラムをつくっても、それを受けとめて、それから働くことの意味やものづくりの楽しさ、発明していく喜びを引き出す必要があります。

【岩田委員】

 仕組みがないということなんですね。

【生重委員】

 仕組みがないので、文部科学省や厚生労働省の方にも入っていただいて、その仕組みづくりとしてのネットワークづくりをしています。もうじきできますので、きちんと情報をお届けもして、ぜひ委員の委員の方にも見ていただきたいと思います。それと、文部科学省がやっている地域の掘り起こしが連動して、うまくいろいろな情報を共有化できるといいと私は考えています。

【大日向分科会長】

 山岸委員、お願いいたします。

【山岸委員】

 時代の流れは、素人である市民を、いかに専門的な判断をする集団に入れていくかというところにきていると思います。裁判員制度とか、国土交通省の工事だとか、そういうところに随分入ってきています。単純に言えば、そういう流れに、教育がどうこたえるかということだと思うんです。それが、私もPTAの役員というのは随分やっていますが、いろいろなPTAがありますけれど、どうしても半端な位置にあって、全部ではないですけれど、うまく機能していないという面が強いので、問題が起きてくるんだろうと思うんです。例えばアメリカの病院なんかでも、患者の権利を守るためにNPOが中に入って通訳をするわけです。ですから、コーディネーターというのは、先ほど意見がありましたように、学校側にも1人入れる。そして、地域なのか市民なのか、普通だったらNPOだと思うんですけれど、そこに入る。あるいは、家庭の中ではPTAというのがあるかもしれません。そうしてコーディネーターを両方に入れて、そこで専門的な話をしていくということではないかと思うんです。先ほどの、PTAの方もやはり有償ボランティアみたいな形でいかないと、専門性をもって取り組むことは難しいという意見はごもっともです。だからNPOなんです。そういう時代にいよいよ入ってきているんだろうと思います。NPOは最初は素人的かもしれませんが、今の福祉の実態を見ていれば、今、アメリカなんかは、9割以上はもうNPOが全部福祉の現場をやっているわけです。今、日本でも福祉については、自治体の人間よりも、NPOの方がはるかに専門性が高いです。ですから、やがて、教育専門家が対等な形でNPOと話ができるようになると思いますので、両側にコーディネーターを置いて、そのニーズをお互いが共有したり、信頼関係をつくっていくということじゃないかと思います。

【大日向分科会長】

 それでは、発表に向けてまとめをいたします。皆さんのお考えと違っている場合や、足りないところはおっしゃってください。このグループは、学校を核とした地域コミュニティの活性化というところが課題でしたが、そもそもその問題提起がおかしいのではないか。学校が地域の人を活用するとか、学校が地域のお手伝いをするという関係ではなくて、学校も地域も企業も、そこに暮らす人たちが相互に補完しながら地域コンピテンスをいかに高めるかが、一番大事なんだというところで、まず1つ課題が出たと思います。すると、そもそも地域コンピテンスとは何かということと、それをはぐくむために、いかに今の現状を変えていくかということについて、後半は議論を進めていただきました。そうしましたら、地域コンピテンスというのは、人育ちであったり、社会に貢献する態度だったり、地域創造の喜びと誇りを感ずるということではないかとなりました。では、それがなぜできないか、そうした理念をなぜ実現できないのかというと、大人社会が相互のコミュニケーション力を欠いているとか、子ども自身にコンピテンスが足りないためではないかと。それには、職業的自立とか、地域の大人とのかかわりがないということ、大人自身の就労にもいろいろな問題があるという課題が出されました。これら全部を課題として見つめたときに、何ができるか、何をすべきかというと、学校と地域がお互い欠けているものを補完し合って、教師を支える、あるいは、学校側が地域の足りないものを補うということ。そのために必要となるのが、仕組みづくりであって、学校関係者側と地域関係者側、それぞれがコーディネーターを出し合いながら、互いに育ち合っていく仕組みを新たにつくっていくことが必要。こんなところでしょうか。いいですか。

(拍手)

【大日向分科会長】

 それではこのように全体へ報告しますので、足りないところはその場でどうぞおっしゃってください。ありがとうございました。

—— 了 ——

中央教育審議会生涯学習分科会(第54回)(グループ3)

平成22年10月18日

【明石副分科会長】

 グループ3.は非常に範囲が広いんですけども、事務方が言われていますように、まず、課題や問題点の洗い出しを行い、それが終わったら、課題解決方法の提案が出ればという感じでございます。お手元の資料にありますように、このグループ3.は論点がかなり多いので、それぞれの委員の方々が感じている課題という形でいかないと、85分なんてあっという間に過ぎますので、どのような視点でもよろしいですから、出していただくということがいいかと思います。資料2—3の3枚目に、3—1から3—6まであります。それでは、途中退席される中込委員からいかがでしょうか。

【中込委員】

 前もっていただいた資料の感想を申し上げますと、学習したことが社会の様々な場面で活かされていないと感じています。学習成果を積み重ね、ステップアップしていくことが、生涯学習の1つの大事な要点ではないかと考えます。今盛んにキャリア段位制度、日本版NVQというものが話題になっておりますが、こういったものを早目に実現していくことが重要と考えます。
 それから、子どもは基本的に親が育て、社会が守るということが大原則と考えますが、現在社会においては、子どもは社会が育てるという考え方ができつつあるように感じており、それが今後子どもたちにどのような影響を与えるかが心配です。
 教育というのは、人が教え、育むということであり、機械では心を育めないと考えます。人としてどのような考え、他者とどのような接するべきかをしっかりと身につけさせるのも、我々の世代にとっては今の子どもたちに対する1つの責任案件ではないかと思います。
 また、私は、ISOについて非常に興味を持って聞いております。課長にうかがいますが、これに関連した会議が既にスタートしていると聞いていますが。

【藤野生涯学習推進課長】

 はい。国内審議委員会でずっと議論をしてまいりまして、その上には国際的な会議体がございますので、9月1日の段階で国際的には発行したということになります。

【中込委員】

 ISOに関して気になるのは、「非公式教育」の意味が曖昧であること、この言葉自体が正式に存在しているのかどうか、また、資料に書かれている「非公式教育」の説明書きがわかりにくいと感じます。非公式教育というのは、高等教育システム、初等教育システム、中等教育システム以外の組織された教育活動とありますが、これは教育活動に当たるかどうか。教育というのは教え、はぐくむことですが、職業訓練、生涯学習、社内研修といったものがすべて教育活動の範囲に入るのかということをお聞きしたいと思っています。

【小杉委員】

 これは国際基準ですから、国際基準では入るんです。

【藤野生涯学習推進課長】

 必ずしも学校教育だけではなくて、例えば、日本においても、学校教育じゃなくて社会教育も教育であります。

【中込委員】

 では、公式な教育でもISOに入るということは十分あり得るということですね。

【藤野生涯学習推進課長】

 今回のISO29990の規格においては、基本的には先ほどの定義の中の非公式の教育をターゲットにした形での国際規格。ただ、加盟各国が仮に公式教育をその中に入れてもそれは認めないわけではないということになっています。議論の経緯だけ申し上げさせていただきますと、最初は公式、非公式もなくて教育訓練全体をやろうということがあったわけでございます。ただ、その中でやはり初等中等教育でありますと国民教育ということで、各国それぞれのやり方が違ってきますので、一律の国際規格というのはなじまないだろうという話がございました。また、大学については、ユネスコなどでやっていますので、このISOの場でやるのは適切じゃないという話もございましたので、最終的には非公式教育という形で規格をつくろうという話になったということでございます。

【中込委員】

 いいかと思いますが、とにかく早く仕組みづくりをしっかりとやっていただきたいなと思います。

【明石副分科会長】

 先ほどの概算要求の説明で専修学校において社会人の受入れ15万人のことがありました。要するに、3‐1の高等教育の学習と、中込さんがおっしゃる3‐5の学習成果の社会的通用性の問題というところに関連した概算要求でちょっと入っていましたが、あの施策がいいのか、悪いのかということを含めましてご意見ありませんか。

【中込委員】

 予算要求として我々専修学校を取り上げていただくのは大変ありがたいわけでございますが、むしろ、専修学校が置かれている立場というものが、この話は別にやっておりますキャリア教育・職業教育部会の方の議論がぶつかることもあります。ただ、言えることは、3‐5の生涯学習成果の社会的通用性の向上と専修学校というのはどういうかかわりを持つのだろうかということです。これは他の高等教育機関も皆同じ、つまり、専修学校だけがとりたてて生涯学習にかかわってくるということではないと思います。確かに我々は生涯学習、卒業後、社会に出てからステップアップするために様々な勉強をする仕組みを構築していくために、現在の専修学校の時間制を単位制に切りかえていくなど、色々な方法があると思います。しかし、それはもちろん大学、短大も皆同じことでございますので、専修学校だけに特化した話ではないと思っています。
 我々としても今の子どもたちに職業教育を行うことにより、職業観や勤労観を持たせるために、やはり成長戦略の中で、多くの若者たちに働くことの意義アピールしていただくことは大変ありがたいと思っています。ですから、この予算のような先導的な取り組みは賛成です。
 また、成長戦略において、社会人の受け入れ総数が15万人を目指すということでございますので、当然のことながら今のこういう厳しい雇用環境において我々のほうで一生懸命社会人の再教育に力を注いでいきたいと思います。

【明石副分科会長】

 ちょっと不勉強なんですけども、専修学校には高卒からストレートで来る方と社会人から入ってくる方がありますよね。

【中込委員】

 ほとんどが高卒です。あとは大学卒、短大卒です。大体毎年、20万人ぐらいです。

【明石副分科会長】

 そこでお聞きしたいのは、専修学校を出た後の就職率といいますか、非常に就職が良くて、次に会社に入ったらずっと会社を続ける者が多いのか、途中でやめてまたキャリアアップのために違う専修学校に行く者が多いのでしょうか。

【中込委員】

 それは少ないです。専修学校だけの話になると、目的意識を持った若者たちが入学してくるので、社会に出てもそういう関係の会社に行くからやめないということです。どこでもいいから高等教育機関に入り、卒業をして、どこでもいいから会社に入るというのと意味合いが違います。ですから、社会人の受け入れ、例えば、15万人でも、改めて学び、自分の生き方にしたいという人たちが来るわけですから、定着率が高くなるという考え方だろうと思います。

【明石副分科会長】

 ありがとうございます。御手洗委員、お願いします。

【御手洗委員】

 今のISOの話ですけれども、ここに挙がっている課題と、どう結びつくのかというよりもどう結びつけていくのかという意味での政策課題をやっぱり挙げる必要があるんじゃないかと思います。それと関連して、私自身ここで課題として挙げさせていただきましたけども、今回の議論でもいろいろ聞いておりましても、既存の青少年施設や社会教育施設、図書館、博物館と、そういった施設を中心とした活動が従来からあると思います。それについてはいろいろ蓄積もありまして、今後の方向性や課題等も出されておりますけれども、むしろその民間非公式教育と言われるような、塾も含めた、塾というのは学習塾だけじゃなくて、スポーツだとか、音楽だとか、美術だとかも含めて、あるいは、個人ではなくて企業がいろいろとやっています。先ほどの話であれば、民間の企業内教育とかも含まれているわけですけれども、そういった広がりを持った生涯学習の政策と施策というのはどうつながって、今後どう展開していかなきゃならんだろうかと。とりわけきょうの日経でもOCWの大学の授業のネット化の話が入っておりましたけれども、今回いただいた資料の実践例の中でも富山の例がありましたけれども、これはネット利用でやっていて、実施主体はむしろ民間企業なんです。つまり、教育委員会とか、社会教育施設といった形ではなくて、どんどん民間レベルでさまざまな情報コンテンツが流れているのです。iPadの利用なんかもほとんどそうですが、いろんなコンテンツが入っていて、その中でいつでも利用できるという形で、どんどん民間レベルでコンテンツがつくられていくんだけれども、そういったものを既存の社会教育施設なりというものはどう使っていくのかという問題意識を持っております。生涯学習政策の広がりというものをどうつくっていけばいいんだろうかと、とりわけeラーニングシステムと民間のさまざまな取り組みをどう持っていくかということについて、課題として取り上げていただければと思っております。

【明石副分科会長】

 大事なご指摘、ありがとうございました。1つは国における、日本の既存の公の施設を使った学習スタイルがある中で、民間企業とか、NPOを含めた新しい学習スタイルが出てきていて、混沌としていると、それをどう標準化する可能性があるのか、ないかということでしょうか。

【御手洗委員】

 というよりも、それをとりわけeラーニングといいますか、情報通信システムの活用の中でどう結びつけていくかという視点が必要じゃないかと思います。

【明石副分科会長】

 それとこの国際標準化の動きをどう結びつけていくのかということでした。

【小杉委員】

 ISOのこの基準というのは、機関に対する認証です。学習サービスを提供している機関が基本的に信用に足る機関かどうかという、それを評価する基準だというふうに思います。ですから、コンテンツそのものというよりは、それをつくり出しているところが、ちゃんとPDCAが回っていて、まともなサービスを提供しているかどうかを認証するのがこのISOの基準だと思いますので、直接には結びつきにくいと思います。ただ、そのISOの基準を満たしたところが提供している教育サービスならば、買っても大丈夫だろうという品質保証じゃないかと思うので、つなげられるけれども、直接的ではないと思います。

【明石副分科会長】

 小松委員、どうぞ。

【小松委員】

 私どもは企業ですので、ISO9001とか、14000とかとっております。それも認証機関から認証してもらうためにいろいろな要求事項に合わせて企業の中身を変えていくわけです。それも何年もやっているうちに定例的な仕事のようになってしまって、本当の意味の中身ではなくなって、認証をとる審査を受けるためのものになっています。そして、その認証機関に多額の金額を払わなくてはなりません。今後、教育に関してもそういうものが発生したときには、認証機関が設置されて、そこに多額のお金を支払うと思います。認証機関の方たちというのはそんな大勢ではないでしょうが、2〜3日で多額を受けると思います。教育の場であまりそういう方向に進んでしまうのは怖いという気がいたします。

【明石副分科会長】

 実は千葉大学も環境ISOをとりましたが、本当に厳しいです。講習会を年に何回やったとか、電気を消すシールを何個貼っているかとかいうものです。環境ISOの場合は環境の認証機関による厳しい査察が入ります。それをクリアしないと認証を剥奪されてしまいます。この品質保証は、学習内容ではなくて、学習を提供する機関の品質保証になるから、私としては、検討する価値があると思っています。

【小松委員】

 しかし、形式的にならないでほしいと思います。そのISO14000もそうです。シールを貼れば、いかにもやっているように見えますが、そのシールの効果があるかどうかということです。本当にみんながやっているかどうかです。でも、認証機関が来たときそういうものが貼られていると、ちゃんとやっているねという感覚にとられてしまいます。泥縄式に慌ててやる場合もあります。ふだんやっていなくて足りない部分は急にやったりします。その評価が通らなければ、認証を取得したものが剥奪されてしまうわけです。だから、本当の意味で、企業として有効活用できているかなというのが私はいつも気になります。社員が格好だけをつけているのではないかということです。ですから、教育の場でそういうことになるのはもっと怖いなと思います。

【御手洗委員】

 私は、そういう意味からも、取り上げてもらいたいと思います。

【明石副分科会長】

 そうですね。柵委員、どうぞ。

【柵委員】

 先ほど御手洗委員がおっしゃった話で、事例で富山の話を挙げていただいたのですが、議論としては学習の提供者側の論理だけではなくて、学ぶ側の視点で、どういうものをどのように学んで、それをどう活用していくかという、そこに視点を置いて今後話をしていく必要があると思います。提供機関を中心にいろんなものを組み立てていくのは、もちろん必要ですが、今、遅れているのは、学習者側が提供機関の縦割りを越えて、学びをどう蓄積し活用していくのか、あるいは社会がどう活用していくのか、というところの仕組みづくりを考えていく必要があるんじゃないかと思っています。

【明石副分科会長】

 富山の場合はNPOの塾をつくっていますが、その品質保証は将来的にはどういう形でされていくんですか。非常にこれは、おもしろいと思います。

【柵委員】

 そうですね。将来ということもありますが、現時点での話からすると、例えば、市民が教室を開き自らコンテンツをつくっていることについて、内容がアカデミックであるのかないのか、深いのか浅いのかといろんな議論が確かにありますが、一番勉強しているのは市民講師です。それは市民が学習を進めていく1つのプロセスであって、教えるためにものすごく勉強しているのです。市民講師の人たちは大学で勉強をしたり、高度な学習にどんどん向っていくんです。その過程をとらえると、いろんな状況はもちろんありますが、それは、学習の自発的なサイクルが回っていくための1つのプロセスであって、それはそれでいいんじゃないかなと思っています。

【明石副分科会長】

 小杉委員、どうぞ。

【小杉委員】

 ISOはあくまでも外形的な仕組みだけについての標準なので、質保証とは違うんじゃないかと私は思うんです。質保証というのは内容の保証をしなきゃならないので、プロセスの保証ではありません。内容の保証というのがここの議論で必要なんじゃないかと思います。
 そして、その内容の保証は、結局はその提供された能力に対しての市場の評価だと思うんです。それが質保証につながっていくので、例えば、企業で使われるような能力だったら、企業からの評価になるだろうし、社会運動として社会を変えていくような力だったら、社会運動家たちの間で変化をどれだけ見たかという評価になると思うので、その市場評価というのをどうやって目に見える形にしていくかということじゃないかと思うんです。多分、市民塾の場合、市場評価というのは、結局、その内容に対してどれだけ参加があって、その参加の結果がどれだけ次のステップを生み出したかというところですよね。

【柵委員】

 そうですね、はい。それを活かして、例えば、地域で新しいサービスを起こしたり、あるいは、勤めている企業の中でより質を高めていったりとか、そういうことの評価だと思うんです。
 今、生涯学習は、働きながら学ぶということが幅広い世代で必要になっている時代だと思うんです。しかし、その働いている人たちからすると、その企業から喜ばれる生涯学習というのは一体何だろうという議論が今までほとんどなかったように思います。この分科会でも報告されたように、実は企業の教育力は非常にここ数年落ちていて、これを補うのは何かということとか、あるいは、新しい時代の企業人として活躍するためにはどんな教育が必要なのかということは、一企業の中では充足できないことじゃないかと思います。企業では、職業的能力の話としてはもちろんよく取り上げられていますし、キャリアについてもそうですが、実はそれだけじゃなくて、キーコンピテンスと言われる、例えば、いろんな難しい関係の中で新しい仕事をしていく人間関係力や、その裏で自身もいろんな道を拓いていく、そういう力というのは企業から見て非常に重要なファクターになっています。社会、企業の両面で活躍するために必要なコンピテンシー、能力形成が求められている時代なんだと思います。こういうことがもっと生涯学習の中でも検討されていく必要があるのではないかと思っています。

【小杉委員】

 ただ、キーコンピテンシーについては質保証がしにくいですよね。

【柵委員】

 しにくいか、しやすいかということはもちろんあると思いますけど、キーコンピテンシーは今、例えば、OECDで学習の社会的評価の基準づくりを進めていますし、必要であると思います。

【小杉委員】

 学校教育の中のキーコンピテンシーだったら評価はできると思うんですけど、生涯学習の中では難しいと思います。

【柵委員】

 そうですね。例えば、大学ですと、コンピテンシーディクショナリーというような基準を決めていますが、生涯学習の中ではそういうディクショナリーに当たるものはまだ日本では少ないんですが、OECDあたりではどんどん研究が進んできていると思います。これは、これからのテーマとして検討しても良いんじゃないかと思います。

【明石副分科会長】

 どうでしょうか。企業が求める生涯学習と社会が求める生涯学習の内容が、一緒だと一番いいんですけどね。

【小杉委員】

 社会の方が求めるものが広いのは当然で、企業の求めるものが社会に包含されているという状態なので、どこに焦点を置いてもいいんじゃないかと思います。

【御手洗委員】

 これからの話、問題のたて方ですけど、今企業が求めるとか、社会が求めるとありましたけども、また言葉の遊びになって恐縮ですが、そうなると、結局教育訓練の分野に入ってしまいます。生涯学習という形で議論してきたこの流れというのは、先ほど柵委員がおっしゃったように、学習者の立場から、企業で学習しようと、社会で学習しようと、民間教育施設で学習しようと、高等教育機関で学習しようと、個人、ここにある個人のワーク・ライフ・バランスであるとか、あるいは、身についた能力の保証であるという課題がありますけども、結局、生涯学習の場合は、学習者の視点でずっと議論されてきたのです。今までの既存の施設だとか、そういう形だけでやっていくのではこれからの新しい生涯学習社会の展望はなかなか拓けないのではないかと思います。今後の議論の方向性として、一度、本当に学習者の立場から再構築するというような視点が必要じゃないかなと思います。

【明石副分科会長】

 山本委員や御手洗委員の提案された、これからの生涯学習のグランドデザインをどうするかというのを全体でやるときに、学習者の視点から組み立てる方法と社会全体の仕組みとして組み立てる方法があるということですね。私は長寿社会と思っているんです。長生きする長寿社会を個人のレベルでは何とか85年、90年を豊かな生活でやっていくと、頑張っていく、生き抜くという力、社会全体はそのシステムを維持できるという視点で。例えば、今NHKで「ミドルエイジクライシス」として、30代がクライシスになってきているという番組をやっています。これまでは子どもがおかしいとか、学生がおかしいという視点はあったんだけども、30代のクライシスが来たというものです。本当に30代は危機的場面になるかどうかというのを検証するものです。うつになって不適応を起こし、会社は損失をするというレベルもあります。そういうステージステージの見直しをするために調査をしてみますと、企業の方は55歳からものすごく勉強したがるそうです。企業の中ではなくて、公立図書館に行ってみたりして自分で自己学習をするそうです。65歳から年金をもらうので、55歳から学習を始めないと、定年退職後、年金を受け取るまでにどうキャリアアップするかとかいうことだそうです。だから、30代のクライシスに対応する施策の問題とか、55歳から65歳までの再雇用を含めて、65歳から75歳ぐらいまでの10年間をどう生き抜くか、75歳から85歳までどう生き抜くか、その辺のことのステージステージに合ったデザインをつくってはどうでしょうか。それが、御手洗委員がおっしゃるように、既存の公的な施設でどこまで提供できるのか、新しい芽が出ている民間的な営みがどこまで提供できるのか、高等教育でどういう講義ができるのか等、何かその辺で少し絞って議論していくといいかと思います。

【小杉委員】

 ちょっといいでしょうか。私は今おっしゃられた学習者の視点というのにむしろ反対です。今まで学習者の視点と言い続けてきたことが日本の生涯学習をかなりゆがめてしまったと思っていて、社会とか、企業の視点がこれまでなかったことが問題だと思っています。だから、改めて今、社会や企業が求める能力とは何かとか、そういう視点を生涯学習の中に入れてくることが必要なのであって、これまでずっと学習者の視点でやってきたことにちょっと行き詰まっているのではないかという認識を私は持っています。ですから、あえてここで、社会や企業が求めているニーズとは何かということと、学習者の視点とをぶつけ合わせる必要があるんじゃないかと思うんです。

【山本委員】

 今のことに関してなんですけども、御手洗委員が言っていることはそのとおりです。学習といっても学習の範囲が今までは狭いのです。生涯学習というと、高齢者の生きがい追求だととらえられているというところが問題なので、今、小杉委員が言ったとおりです。ただ、その場合、根本的に問題なのは、今いただいている課題に即して問題提起として、3‐1の1.に関連して申し上げると、生涯学習の考え方を変えるべきだと思います。どういうことかというと、従来の生涯学習の考え方というのは、モナド型、単体型、単線型で、子どものときは準備のための教育、学習があって、大人になってからは、生活に関する教育や学習があるという考え方で来ています。私どもの八洲学園大学は、できて7年目なものですから、認証評価というので、大学の水準に達しているかという評価が入りました。そうすると、そこに来た評価委員の人たちは従来の大学、従来の教育の考え方ですから、それで、質問をたくさん用意して来たんですけれども、来てみたらば、全然違うので、質問が全部ご破算になったということになりまして、そういうことでいいますと、従来のモナド型の考え方で行く限りは生涯学習の発展というのはなくて、2つを組にするというダイアド型の生涯学習の考え方に切りかえるべきじゃないでしょうか。
 それは何かというと、今の生活をしている中で必要な学習をするというのが1つあるわけです。それから、将来に備えて学習するというのが1つあるわけです。この2つを同時に行うという並行型の学習をこれからは考えていかないと、いろいろな社会の変化に対応できないんじゃないでしょうか。3‐1の1.に高等教育機関の機能向上とありますけど、今私が例で申し上げたみたいに、この高等教育機関は社会人の教育のカリキュラムと18歳で入ってくる学生向けのカリキュラムが同じでは無理なんです。そういうところが全然考えられていないということがあるので、モナド型からダイアド型へ生涯学習の考え方を切りかえるべきじゃないかというのがあります。3つを組み合わせるトライアド型というのはあるのか、これはあるんですけど、これは個人の学習のほうではなくて、行政なんかが施策を展開していくときに3つ組の考え方を持つことになり、トライアド型ということなんですけど、それはそれとしまして、今は2つということで考えていったらどうかというふうに考えています。

【明石副分科会長】

 島田委員、お願いします。

【島田委員】

 今の山本委員のお話に関連してですけれども、私もやはり段階的に学習というものはあるべきだと思います。教育と学習はちょっと違うと思いますけども、学習という意味で考えた場合、これからの社会はやっぱりいわゆる、回転ドア方式の働き方、例えば、お役所で働いていた人が企業で仕事の経験を積んでまた戻るとか、政治家だったり、いろんな立場の方たちがいろんな分野でキャリアを積むことができる、そういうことに対応できるような社会の仕組みをつくる必要があるんじゃないかと思います。また同時に、異質なキャリアを受容できるような意識改革を図っていくことも必要でしょう。その方法はそれぞれの分野で違いますし、学生と社会人とでも違いますが、例えば、企業で公務員方の研修や人材交流も可能でしょうし、逆も可能でしょう。そういったキャリアアップ研修を協同して取り組める仕組みが必要だと思います。
 それからもう1つ、「新しい公共」の方針の中で、社会的人材を育成したり市民力を強化することが求められていますが、そのときに、どんな働き方ができるんだろうかということを体験的にイメージできるよう、企業やNPOの現場でインターンシップができればよいと思います。ただし、1週間という短期間ではなくて、半年とか、1年という形でその組織や活動の実態を体感できるような仕組みをつくっていく必要があると思います。

【明石副分科会長】

 小松委員、どうぞ。

【小松委員】

 今の、インターンシップについては理想的なお話だと思います。1年とかやればいいと言っても、実際社会に出て、仕事が動き出している中ではそんな簡単なものではないような気がいたします。それは理想論であって、そうであれば、社会に出る前、要するに、学校から卒業するときに1年とか、余裕のある教育の方法も必要なんじゃないかと思います。今年、大学生が就職できないということで、企業にインターンシップとして入ると学生は国からお金がいただけるという制度があります。当社はインターンシップ生を受け入れました。学生をそれを使って6カ月企業で働いてみたところで、自分は何をやりたかったかが見えたということでやめて、もう一度自分のやりたい学校に行くことになりました。大学を出る頃は、わけがわからなく、みんなと同じようにあっちこっち一流企業を受けて、全部だめで、最終的に行くところがなかったけれども、気がついてインターンシップをやってみた結果、自分が目覚めたというのです。ですから、そういう機会を差し上げれば、また生き方が違ってくると思いますので、社会に出る以前にもうちょっと余裕をとったらいいと思います。

【明石副分科会長】

 小杉委員から非常に新しい問題提起、これまでの生涯学習は個人の自己実現のほうに重きを置いてきたけれども、社会のシステムをつくるための生涯学習というのが大事ではないかということですね。

【小杉委員】

 はい。先ほどキャリアが途中で変わるというお話もありました。そういう変化がこれからどんどん広がるのではないか。そういう中で、キャリアチェンジをするときに必要な能力をどこでどう学ぶのかというときに生涯学習が十分その機能を果たしていないんじゃないかというところを非常に問題に思っているということです。高等教育機関等を使って新たな能力を身につけてキャリアチェンジができるという社会になっていない現状を何とかしなきゃならないという思いがすごく強くあります。生涯学習というのは本来そういう機能を果たすべきだと思っておりますので、生涯にわたる学びというのは、キャリアチェンジに当たってちゃんと学べる社会であってほしいと思います。そこの機能をどうやって持ってくるか。ちゃんと評価しない企業が悪いとか、提供しない機関が悪いとか、どちらも今まで違った形で日本は発展してきたことによってそういう機能が無いんですが、その無いものを何とかしなきゃならないのが今じゃないかということです。

【山本委員】

 おっしゃるとおりだと思います。大学の方で一番困るのは、例えば、我々のところにやってきた先ほどの認証評価の委員としては、「それじゃ専門学校じゃないか」という話になるんです。我々が学習成果の評価についていろいろ検討している中で、調べていくと、大学といってもいろいろあるとは思いますけども、大学側はリベラルアーツを頑として守っていって、職業的なものを入れようとすると拒否反応を起こすようです。ニュージーランドでは、学習成果の評価でいろんなことをやろうとして、高等教育機関のところに職業的なものとかを一緒にしようとしたんだけれども、大学側がどうしても抵抗したために、ヨーロッパ型では無理だということになっているんですが、日本はこのようなことができるんじゃないかと思います。ただし、例えば旧帝大のようなところに、職業訓練の具体的な、専門学校でやっているようなところまで一緒にやりませんかと言ったら、おそらくノーという答えが返ってくると思います。しかし、それぞれのところで学習した成果を評価していますから、その評価を集めてきて、一本にしていく分には文句はないと思います。これまでに、そういうので成功しているものが、生涯大学システムみたいなところであるんですけども、そのようにちょっと見方を変えて別の形で制度化を考えていくとうまくいくかなと思います。それができたら、日本は世界で最初にうまくやったという国になる可能性もあるんです。

【小杉委員】

 その、別の形というものについて、ちょっと詳しく教えて下さい。

【山本委員】

 つまり、何かというと、例えば、青森では行政区分がたくさんありますが、それと同じで大学だっていろいろあります。それらを全て一緒にしようとしたら、絶対だめなんです。じゃあ結構ですと、ただ、修了証だけ貸していただけませんか、使わせていただけませんかということで、学習手帳みたいなものを設けて、その中で修了したものをどんどん積み上げていって、例えば、100単位たまったら何とかという称号の形にしたんです。そういう形にすると、各行政の部局も自分のところを宣伝してもらいますから、大賛成で、うまく行ったことがありまして、小さな町でも、例えば茨城県総和町でやったことがあるんですけど、うまくいくんです。それと同じで、大学はそれぞれ独自の使命がありますから、それはそれでやっていただく。ただし、その結果のところについては、民間で行われる職業訓練みたいなのでも、どこか第三者評価機関のようなところでそれを全部まとめて、あなたはこれだけのことをやってきて、こういう力があるじゃないですかと、さきほどの段位というようなことも含めて、そういうような仕組みをこしらえて普及していくというところから入っていくと、大学側もだんだんそういうところを入れてくれるようになるんじゃないかという発想です。

【小杉委員】

 基本的にモジュール化ということですよね。

【山本委員】

 一種のモジュール化というか、これは大学側と相容れないところの問題です。というのは、大学にはギリシャ以来のリベラルアーツというものがずっとあり、それになじまないものがあります。今の技術関係のものというのは近代社会になってからできたもので、そんなものは入れられるかという根強い反発があるんです。でも、それは時代の変化とともにだんだん変わっていくはずです。今まともにぶつけても激突するだけですから、そこの戦略を考えたらどうかという話です。

【御手洗委員】

 私は大変おもしろいと思います。私どもは小さなところですけど、まさに教養学部の大学としてやっているわけです。社会全体、学生さんのニーズを聞いていますと、やっぱりみなさん、20代後半、30歳あるいは40歳で直接仕事に役立つカリキュラムをとりたいという希望が非常に強いです。それで、まさに教養学部の大学ですけれども、これからの新しい業務運営計画の目標の中にキャリアアップのための教育を含みましょう、そういうカリキュラムをつくりましょうというのを打ち立てまして、もちろんそれは今も少しずつやってはいるんですけども、現実には、うちの大学ですと、非常に人材その他も含めて限られていますというのが1つの話です。
 それから、もう1つは、共通に評価しましょうということです。私どもの大学の講義を受ければ、かなりハードではありますけれども、県民大学の1つのポイントとして勘定してもらうと、こういうことを幾つかの県では既にうちのカリキュラムが入っているので、そういう芽はあるんです。その芽を大きく育ててくれれば、例えば、都会の大学ですと、キャリアアップのための講座というのは各私立大学にたくさんあります。短期で2週間とか、3カ月間で毎週であるというような形で、会計士とか、不動産鑑定士とか、いろんな講座があります。先ほどの話と関連するかもしれませんが、大学の単位そのものではないけれども、まさに非公式教育ということになれば、そういったものをどう積み上げていくかというシステムがあって、いろんなレベルのものがあるけれども、それは生涯学習として、重い・軽いはあるけれども、そこはあまり考えずにポイントを与えていくような形で1つのポートフォリオになっていきます。いろんな方向に課題がありますけれども、そういった課題を1つまとめて良いシステムではないかなということで、もう少し議論していただければと思います。

【明石副分科会長】

 関連した意見ですけれども、例えば、千葉県とか埼玉県の教員採用試験では、中学校の英語の教師の場合にTOEICが880点以上あれば一次試験が免除されます。そういう形に代替をできるとあります。うちの大学の教養部の英語でもTOEFLが700点以上あれば4単位オーケーだという形で単位を読みかえるとか、例えば、学生が、インターンシップはないけども、学習援助で不登校のお子さんの援助をすると、その施設が認定すれば、教育援助体験といって2単位にするとかいうことがあります。既存の教育機関が少し変わりつつあるんです。そうしたポイント制度を、山本委員がおっしゃるように、うまくまとめて、学習カードのようなものを作って証明していくというのは、大事ですね。

【御手洗委員】

 多分、そういう発想でアプローチしていけば、明石副分科会長や小杉委員がおっしゃったように、企業が必要とする教育訓練や、社会が必要とする社会を支えるために必要な生涯学習のプログラムというものを、個人が一生涯を通じて自ら積み上げていくという形でマッチングできる政策になるんじゃないかなという気はします。

【小杉委員】

 そのときに、ポイントというのを誰がどこでどのように整備するかというのが論点となるし、それから、その幅をどこまで広げるか、多分学校だけではなくて、いわゆる教育訓練すべて、エデュケーションだけではなく、トレーニングも含めて、全部1つのところにまとめていくという思想が必要だと思います。

【御手洗委員】

 それで、小松委員が非常に心配されているように、ISOは非常に気になります。国際機関が乗り出してきて、国際的な基準でと言っても、日本の生涯学習の実際の取り組みと職業訓練を中心にしてきたヨーロッパ型とはかなり違うという共通認識があるわけです。そういう中で、国際基準によって1つのパターンに、形式的にはめられてしまったときに、それで全部縛られてしまうと、今言ったような独自の生き方というのがその形に縛られてしまうということで、どうやってそこを切り抜けていくかといったようなことが、非常に心配というか、大きな緊急の課題であると思います。

【山本委員】

 今の点なんですけども、みなさんがおっしゃるとおりだと思います。今、私どもは本当に力不足でどうしようもないです。文部科学省のご指導をいただきながら資格標準化機構というのを立ち上げたんですが、これは民間で、いろんなものをなるべく第三者として認証して、広く社会で通用していけるサービスができたらということでやっています。まだ立ち上げたばかりで弱小なんですけれども、そういう中でやはり考えなくてはいけないのは、今おっしゃったように、幅広さです。これは3‐5の学習成果の社会的通用性の向上とその活用というところにかかわってくるんですけども、実を言うと、一番底層といいますか、地域に密着したところで考えないといけないと思っているのは、地域の、生きがい講座だけじゃない、いろんな職業訓練も含めた生涯学習をコツコツ積み上げて勉強している人たちの学習成果が、その地域でしか通用しないことなんです。例えば、群馬県で介護のトレーニングを受けて、資格を取っても東京では通用しないんです。「あれは群馬県のでしょう。こっちは違いますよ」という話になってしまいます。こんなおかしな話はないわけです。ですから、そういうことも含めて通用するようにしていくためにやっぱり民間の第三者評価機関の発展を図るべきなんじゃないかと思っています。国はいろんな制約があって今ちょっとそれができない状況です。ですから、民間の第三者評価機関でそういうことを積み上げていくというやり方が必要なんじゃないかと思います。

【小杉委員】

 ただ、国は今できないですよねというのでいいのかなという気もします。

【山本委員】

 しかし、規制緩和で、例えば、国では、検定のガイドラインとかを作ってくださるけれども、国の方で第三者評価機関を作れるかというと、ノーだったんです。

【小杉委員】

 そうした流れが本当に良いのかなと、すごくそこが疑問なんです。

【山本委員】

 それは思いますけれど、平成2年からずっと我々はやってきましたが、いずれも、どこに行ってもノーだったんです。

【小杉委員】

 それはそうだと思ういますが、やっぱり国がすべきことは何かという話を考えたときに、まさにその地域で別々になるものを共通化する基盤づくりは国がすべきことではないかと強く思っているんです。

【山本委員】

 私もそう思っているんですが、何度やってもだめなのですが、一応教育基本法の第3条の生涯学習の理念のところに、学習成果を活用できるような社会にすべきと入ったので、これは行政としては大きな1つの後ろ盾になりますから、それでだんだんやっていただくしかないかなと、漸進的アプローチしかないかと思っているところです。

【藤野生涯学習推進課長】

 ちょっと1つ情報を提供させていただきたいと思いますが、お手元の資料の中で事例編というのがございます。参考資料2でございますが、その中の6ページをお開きいただければと思います。これは有名な、京都に限った事例でございますけれども、公共人材ということで、どちらかというと地域活性化のためにやっておるという事例でございますけども、大学だとか、大学院でやったもの以外にも、地方自治体やNPO、企業とかの長期研修等も一緒に評価して、あるいは、実務経験等も一緒に評価するという方向で、一般財団法人の地域公共人材開発機構というものが評価し、これに対して地域の資格付与をするという仕組み、このようなものも出てきているという状況です。これをそのまま全国ベースにできるかというのはなかなか難しいところがあるかと思いますけれども、地域によってはこういうものも出てきているという状況です。

【明石副分科会長】

 今主に3‐4と3‐5の方がかなり出てまいりまして、あと、3‐1と3‐6でしょうか、最後は3‐3になると思うんですけども、3‐6の2.として、文部科学省と他の省庁との連携強化、教育委員会と首長部局のこともありますけども、先程の基準とか、規格を作るときに文部科学省だけがわかっているけど、あとは知らないとか、埼玉県と群馬県では使えるけど、あとは使えないといった問題を絡めて、やっぱり生涯学習というのは文部科学省だけではなくて、他の省庁ともやっていくという、その点に関するご意見はございませんでしょうか。一番すぐ議論になるのは、文化行政をどこが担うのかという、知事部局がやるのか、教育委員会がやるのかというテーマがあります。

【島田委員】

 1つ、先ほど回転ドア方式ということを申し上げましたけども、今まで日本社会では、それぞれが専門的に縦割りで成長してきたことが、回転ドア方式の働き方を阻害してきたことにかなり影響していると思うんです。連携強化がし難い組織、例えば、大学でも特定の企業と結びつくことを避けがちですし、多分お役所もそうだと思うんです。このことをどういうふうに変えていったらいいのか、私は前から考えているんですけど、なかなかいい方法が見つからず、やっぱり人材の交流を着実に継続していくしかないのかなと思います。人材交流によって、異質で多様な価値観があることを実感していくことで現場の意識が変わっていくのではないでしょうか。それぞれの連携を強化していくときに、人材の交流がないと、多分難しいんじゃないかなと思っています。

【小杉委員】

 今おっしゃった、連携、例えば教育訓練の単位をポイント制で集めるという話がありましたが、それと似たようなことが、例えば、ジョブ・カードという形で厚生労働省の方で、この能力についてこういうプログラムをどのぐらい受けたというのを整理するようなことをしていますが、それぞれにつくっているこうしたツールとどうやって接続させていくかというところも大事なポイントになってくると思います。

【明石副分科会長】

 生涯学習で得た学習ポイントとジョブ・カードのポイントをどうやってうまくつなげるのか。水と油なのか、それともうまくつながっていくのかというのは大事なテーマです。

【小杉委員】

 ジョブ・カードの方は職業が決まっていて、その職業のために必要な訓練のポイントを重ねていくというものですが、これについて読み替えの方程式をつくっていくということになると思うんです。

【江上委員】

 今、文化活動関係だと、大学に学芸員課程というのがあります。これはやっぱり、就職できる機会が非常に少なくなってきています。かなり学習を受けた人材というのは社会的に結構プールされていますので、学芸員課程みたいなものがもう少しそういう地方のいろいろなところとダイナミックに結び合えて、それが専門パートのような形でも仕事ができるとか、そういう仕組みも検討する必要があるのかなと思います。ジョブ・カードだとちょっとジャンルが離れ過ぎている感じがします。

【柵委員】

 お手元に資料を用意させていただいたんですけれど、実はジョブ・カードと地域の教育を結んでいく仕組みのトライアルを、昨年度までやってきた再チャレンジ学習支援事業の中で、少し富山でやってみたんです。いろいろ問題がありますけども、可能性もあるんです。具体的には、学習者の視点からすると、再就職したい、社会にいろんな形で出ていきたいという状況にある人にとって、今までやってきた学びの積み重ねきちんと整理・可視化し、それを生かしながら、職業的な訓練を重ねることにジョブ・カードを活用したり、あるいは、ジョブ・カードの中での取り組みを、自分の次の学びに活かしていくようなローリングみたいなことの必要性をとても感じたんです。ところが、今、地域の中の制度はそれぞれ縦割りになっているので、これを何とか結んでいくのが学習者側にとって大事な視点じゃないかなと思っています。
 それで、この資料はまだこれからの取り組みとして書いているんですが、一人一人の学びの積み重ねを社会に積極的に生かす地域基盤(生涯学習プラットフォーム)を作っていきたいというものです。この絵の中で大きな視点が2つあります。一つは今まで以上に個人が自分の学びをきちんと見つめていく、あるいは、自分でもきちんとその評価をしながら積み重ねていくといった、いわゆる学習者側の視点、もう一つはそういうことは社会に活かされていくよう、地域で支え応援していくような仕組みづくりです。そして、この絵の真ん中の接続システムが今非常に薄いと思っています。いろんな形であるのかもしれませんけれど、一人一人の学びが明確な指標を持って、こんな積み重ねをしてきました、これをこんなふうに活かしたいというプレゼンテーションや、それに対するエビデンスがきちんと出されていないことが多いのが現状だと思います。3年間の事業でやってきた中で学習者を見ていると、実際にそんな例が多くありました。一人ひとりが学びの積み重ねを振り返りそれをきちんと自己もキャリアコンサルタントなどの第三者も評価すると、全く違った方面へのアプローチが出てきたという例が幾つも出てきました。個人の側でもきちんと自分の積み重ねをあらわして、それを振り返ったり、あるいは、次の目標につなげるという視点です。
 もう1つは、それが社会にどう生かされてていくかという、社会側の支援という仕組みづくりをぜひ進めていきたいと思っています。その1つはジョブ・カードとの連携、あるいは、EU等で進んでいる学習パスポート等の取り組みもあると思うんです。こういう接続の部分を、これからの議論として考えていく必要があるんじゃないかなと思います。
 とりあえず、この取り組みは富山で小さな単位で少し社会実験的にやってみようとしているもので、今までに出た課題やこれからわかってくる課題について、考えていく1つのきっかけにしていきたいと思っています。
 そして、もう1つ課題は、そういう学習記録や評価をずっと続けていく上で、学校教育から成人あるいは大学から地域で記録が分断されてしまうことです。いろん学習提供機関の中ではつながっていないので、つないでいくのは個人なんですが、そのための仕組み、あるいは、指標がまだ提示されていないという問題です。今後は、ITの活用によって提供機関の縦割りを越えてをつなげて、連続性を持たせることで、例えば、履歴書やジョブ・カードにも、よりエビデンスを持ってつなげられることが考えられるんじゃないかと思っています。

【江上委員】

 今日は大学の仕事があり、途中から参加させていただきました。今、どういうふうな形で論点が進んでいるのか努めながら拝聴しておりました。
 非常に多角的な観点で全体を網羅する議論の展開であり、山本委員が先ほどご指摘されたように、何十年も議論を繰り返して、壁に当たりながら、今も続いている生涯学習政策の論点と認識しています。
 しかし、現在の状況から言いますと、例えば、大学の社会人編入、社会人専門大学院といった形で社会人の大学における参入、あるいは、学科や学部の違う学生が編入するときの、単位の読みかえは、かなり、実態として進んでいると思います。そういうところの社会との接続というのは、少し形ができていると思います。
 また、働いている人たちの転職市場では、技術、専門知識の難易度や、有資格が、許認可業務に、影響力のある資格は効力がありますが、ただ、この学習講座を学びましたというだけでは、実際に実務を実行できるかの証明にはなりません。そうすると、何ができるかという証明については、具体的に職務経歴書を書くという行為が、この10年間でたいへん、浸透してきました。職務経歴書の書き方とか、項目であるとか、何をどのように、どういう手法を使って、具体的な職務内容、実務遂行の業績、専門知識、組織の関わり等を分析的に記述するという職務分析とその表現方法ががかなり普及してきております。
 そういう意味では、社会人で職業移動をするということについては、雇用市場を通して、そういうものの整理と回路の形成が進んでいますので、その流れは、妥当性があるのではないかなと思っています。
 むしろ、今非常に社会的に大きな問題になっているのは、4年制大学への進学率が50%を超え、過去10年間を振り返ってみると、小杉委員がいつもおっしゃっているように、新卒無業の状況が発生し、固定化し、今後、雪崩を打って、大規模になる予測状況です。
 このような構造ですから、むしろ、若年者である20代、30代について、生涯学習政策でどう取り扱っていくのかが大事です。
 若年者が地域で活動する予算を補助し、適切な場所で就業の機会を見つけたり、社会的なニーズの高い産業に予算を補助し、若者を育てていく等の政策に論点を絞った議論をしてもいいのではないかと思われます。
 その点で、皆様の提案とか、問題解決を収れんさせていくという問題提起です。
 というのは、今まで20年ぐらい、私は生涯学習分科会で活動させていただいておりましたが、いつも全年齢層を対象とした議論に終始せざるを得ない。全部を網羅しようとするのは無理があると思います。地域によってもニーズが違いますし、地域といったときに県なのか、市なのか、町なのか、それも全然違いますし、そういう意味では、問題の立て方を社会的課題の優先順位に絞って進めていくという熟議にしたらいかがでしょうか。。

【明石副分科会長】

 小松委員、どうぞ。

【小松委員】

 大学生がなかなか就職できない、もう今この社会の仕組みがそうなってきているわけです。大企業はどんどん海外に工場を持っていかれていて、中小企業に仕事がないわけです。今いる人たちでさえもリストラをしなきゃいけないぐらい厳しい中、採用してあげたいと思いますが、力がある人でも採れない状況です。製造業というのはかなり多くの人を雇用できるわけです。介護などは、生産を生むのではなく、そこである程度完結してしまう職業ですが、製造業というのは物を生産する工程が多く、拡大していけます。そういう仕事がどんどん減っているわけです。そして、今、その構造を日本の企業はどうしようかと、これから日本の国内はどうなるのかという、そういう状況の中で我々企業も経営をしているわけです。だから、大勢の人を採ることはできないでしょう。そして、大学生は、就職するために一生懸命履歴書を書いたり、中途採用の人も職歴を書いたり、それはすばらしいものを書いてきます。でも、それを見て採用してしまったときに本当に幻滅を感じるわけです。だから、あまりそういうテクニックを教えるのではなくて、人格とか、コミュニケーション能力とか、本当に人間としての豊かさを持った人、そういう人をどう育てるかを考えていくほうが、私は一番大きな目標というか、頂点になると思うのですけど、そのために何を教育するかを考えた方がいいと思います。

【柵委員】

 先ほど江上委員がおっしゃったように、少し議論を絞っていく方が良いとそう思うんですけど、少し補足しますと、まさに今大学、高等教育機関で、社会に出てからの質を保証するために在学期間中の取り組みをいろいろ考えていると思います。それは、例えば、ここでいうeポートフォリオのように、自分の学びの目標をどうつくっていくのか、それを社会でどう役立てていきたいかを一人一人が考え、それを大学が評価・保証していこうという取り組みかと思います。その中でITも活用しながら少しずつ進めてきていると思います。しかし、これから問題になるのは、大学の中でのそういうITを活用した取り組みが、大学を出てからどう活かされていくのか、生涯学習側の受け入れが、まだ検討がなされていないという直近の問題があります。
 それから、もう1つは、学ぶ側も、生かす社会側も、両方とも明確な指標がまだありません。ツールとしては確かにジョブ・カードがありもっと普及していくべきだと私は思いますけれど、就職という観点だけじゃなくて、新しい公共の担い手としての社会側の評価・活用を行っていくためにも、個人のレベルでの評価指標と、それを社会が取り上げていくときの評価指標について、難しい問題だと思いますが、できる部分から考えていく必要があるかと思います。

【小杉委員】

 小松委員がおっしゃったような、労働力需要が大きく変わっていて、日本はものづくり立国だと言いながら製造業がずっと小さくなっていく中で、若い世代がなかなか安定した仕事に就けないで滞留しているということですが、そういう状況の中でその若い世代をこれからの産業にうまくマッチングさせていくということがやっぱり教育の課題だと思うんです。ただ、これからの産業とは何か、成長戦略で政府がポイントを絞りましたけど、本当にそれが行くかどうかわからない状態だと思うんです。ですから、変化の中でどういうふうに方向づけをしていくかだと思います。多分、大学を卒業するというタイミングでうまくいかないことが幾らもあって、しばらく時間がかかって、変化の中で、また景気が回復すれば、どうせ製造業も採るようになると思うんですけど、そういう景気変動の中でマッチングさせなきゃいけないんです。そういう意味で若い世代、例えば、30歳とか、40歳とか、そのぐらいまでの範囲にある程度絞って、今の産業需要に合わせて、産業需要のある方向に人を方向づけていくというときに学習が必要なんだと思うんです。それこそが生涯学習の1つのポイントです。それが、私の言っている社会の需要に合わせたいという意味なんですが、それは多分枠組みがしっかり決まらないもので、先ほどのISOじゃないですけれども、仕組みをつくっていくしかないと思うんです。産業界との接点をつくっていく仕組み、途中で学んでその学びを生かす仕組みという仕組みづくりの中で、産業界のほうはどんどん変化するので、その変化を見越す、ちょっとぐらい先は見越せるけれども、それ以上のことはできないので、だからこそ生涯学習じゃないかと思います。変化する社会だからこそ生涯学習で、そのときの需要の情報に合わせて若者が入って動けるような形にしていかなければなりません。だから、ある一定の決まった年齢までの教育ではなくて、その先にも柔軟な教育機会をつくって、それを修得して、あるいは、実際の経験で修得して、それをポートフォリオのような形で次に向かっていくということです。基本的にポートフォリオ感覚というのは非常に大事だと思うんですけど、変化に応じて変えていける仕組みにしていくといった方向性じゃないかと思うんです。その際、ポートフォリオで考えられる能力開発というのは、既存の学校もあるだろうし、職場経験から来たものもあるだろうし、あるいは、ジョブ・カードとか、厚生労働省もやっているような仕組みもあるだろうし、そういうものを全部取り込んだ形でポートフォリオ化する。誰が認証をするのかはわからないんですけど。

【御手洗委員】

 限られた時間の中でというよりも行政的に、政策的にどれを、優先的に時間を決めて議論をしていくかと、そういう手法はぜひ事務局のほうできちっとこの後の議論で整理していただきたいと思います。いつもばらばらな議論をしていくということでは成果はほとんど評価できないということになりますので、その点はぜひお願いしたいと思います。
 今、産業界との連携の仕組みということに焦点が移ってきておりますので、この点についてですが、課題としてはわかるんですけれども、例えば、質保証、ポートフォリオということで小学校から高等学校、大学まで、それぞれの学校教育という中でそれなりのポートフォリオを持ってきて、質保証を行ってきています。しかし、それと社会や産業界とのマッチングが、学校教育自体が必ずしも今うまくいっていないということが大きな課題になっているわけです。その中で、ミスマッチをした若者たちに焦点を当てて産業界との連携をどうしていくかというものは、私は非常に悲観的なんです。大学を出るときでさえ、この就職協定の話、私も十数年前に局長をやっている時代ですけど、就職氷河期と言われる大変厳しい時代に産業界は全部就職協定を外してしまって、自分たちの力でやり切るんだという主張を盛んにされたわけです。その結果が、十数年たって30代のロスジェネを生みました。そして、また今、この厳しい社会の中でやっていくという問題に対するアプローチを生涯学習という形でうまく解決できるかというと、私は残念ながら自信がありません。だから、やっぱりテーマを絞るときに生涯学習の推進という形でやれることにテーマを絞っていっていただきたいと、この2つをお願いしたいです。

【山本委員】

 3‐2が何にも出ていないので、申し上げます。3‐2のところが大事なんですけれども、ICT活用の技法の普及を図るべきという課題を申し上げておきたいと思います。具体的な解決策としては、そのICT活用の1つとしてeラーニングの研修とか、失敗したときどうするとか、トラブルが起こったときにどうするというティップス集をつくるべきと極めて具体的なんですけども、これが必要なように思います。今研修というと大変削られますけど、研修はすごく大事だと思うんです。ですから、そのあたりの研修をもっと重視すべきだろうと思います。あとは、マニュアルじゃないんですけども、パソコンなんかのティップス集がありますが、ああいうのと同じようなものをどんどんつくっていく必要があります。学校なんかでとてもできるものじゃないです。6年間実践をやってきた経験からしますと、とてもできるものじゃないので、ちょっとそこを申し上げておきます。

【江上委員】

 私もその3‐2に関してですが、中高年については、非常にニーズが高いので、IT技術を研修とか、講習とかをハローワーク関連等でも実施しておりますけれども、今、10代、20代、30代の人たちは何が必要かというと、インターネット上の情報量と、情報へのアクセスの機会が豊富にあり過ぎて、むしろリアルの充実が欲しいということで、直接対面して、つばが飛ぶような対話の中で自らの学習を深め、成長したいという願望があるようです。
 こうした必要性とニーズが確実に出てきておりますので、すべてをIT教育ということではなくて、全体像の中でITがうまく効果を上げる組み合わせを重要視しないと、逆効果になりかねません。
 それから、先ほどのeポートフォリオについても、全国の大学で、キャリア教育の一環として、キャリアポートフォリオ等に着手し始めておりますが、先導的に文科省の補助金でおこなった大学では、運用、実効性に難しさも出ていると伺っています。むしろその具体的中身を個人が蓄積するということが重要で、先ほどの省庁との連携の点で申し上げたいんですが、私はやはり、自治体が中心となるべきと考えます。
 そうした場合、総務省の守備範囲でしょうか。地域で行政サービス費を今、削っているわけですが、行政サービスを市民が担うという方向に社会が向っているときに、安全でも、防犯でも、見回りパトロールでも、介護でも、子どものさまざまな見守りでも市民がプラスアルファの活動をしていく、そのときにやはり専門性が必要なわけです。それぞれの地域で事情が違う、高齢化率も違う、地形や気象も違う、それから交通事情も違うといった中で、それぞれの地域でどういう能力を持った人材が欲しいのか、どういうことが課題なのかと、そういうことを受けながら、地域で必要な公共的な市民サポート機能、技術、技能、専門知識といったものを土台に集めて、全国でバックアップをする教育的仕組みとして文部科学省が何をできるかということです。地域の行政サービスを代行し得るような市民力をつくるための生涯パスポートなり、生涯学習バックアップ策というのを私は1つ考える必要があるかなと思っています。

【柵委員】

 今おっしゃったITとリアルな話の関連性は私たちも毎日実務で見ていますので、まさにそのとおりで、実際に顔を合わせた学びとコミュニケーションが大切であり、またそのことが学習の広がりとコミュニティーの形成に、ITの役割が一層高まることにもなっていると思います。

【明石副分科会長】

 それでは、ちょっと難しいですが、まとめたいと思います。3点ほどこのグループで議論しました。1点目は、御手洗委員がおっしゃったように、既存の生涯学習機関といろんな学習機関が出てきますが、それをもう一度正面から、ISOの問題も絡めて検討し直すということは大事だろうと、これは新しい問題提起だと思います。
 2点目は、一番たくさん出たものとして、学習成果の活かし方です。単位の読み替えや、どういうキャリアを記録するかとかいう、学習内容の活かし方について議論しました。
 3点目が、変化する時代に対応できる人材育成、実学的な人材育成をやらなきゃいけないという小杉委員の意見と、江上委員の意見のように、地域の底力を活かせる市民力・住民力の育成に、これまでの生涯学習でどう貢献できるのか、その辺のことを議論したという感じがしておりまして、最後に御手洗委員がおっしゃったように、こういう方法は良いけれども、やりっ放しは困りますので、系統的に累積的な方向でこれからやっていくと、生涯学習分科会が実りのあるものになるということで、よろしいでしょうか。
 それでは、グループ3.の討議を終わりにいたします。ありがとうございました。

—— 了 ——

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-- 登録:平成23年03月 --