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生涯学習分科会(第3回) 議事要旨

1. 日   時 平成13年6月11日(月)   14:00~16:30
2. 場   所 文部科学省分館   201特別会議室
3. 議   題 (1)都道府県の取組事例に関する意見発表
(2)自由討議
(3)その他
4. 配付資料 資料1   富山県の取組事例
資料2   兵庫県の取組事例
資料3   生涯学習分科会の今後の日程(案)
5. 出席者 委         員: 今井,江上,岸本,高木、寺島、中嶋、松下、山本の各委員
鎌谷、島田、榛村、祐成、稗田、福内、藤田、吉野、和田の各臨時委員
    文部科学省: 御手洗文部科学審議官、官房長、生涯学習政策局長、生涯学習政策担当審議官、主任社会教育官、政策課長、その他関係官
    意見発表者: 重松兵庫県教育委員会義務教育課主幹
杉森富山県教育委員会主任指導主事
6. 議事等    
    ○委   員   
△事務局   
  (1) 事務局より、配布資料の確認が行われた。 。
  (2) 兵庫県の取組事例に関する意見発表が行われた。
  兵庫県)兵庫県の取組「トライやる・ウィーク」について、まず事業を実践するに至った経緯から説明する。
   この事業は、神戸の大震災、神戸の児童殺害事件がおこったことがきっかけとなり、その中で、子どもたちを今後どのように育てていくのか、学校の教育だけでできるのだろうか、ということから、「心の教育緊急会議」を開き、子どもたちを地域と一緒に育てていく必要があるのではないか、学校だけで何もかも抱え込んでやってしまったのではできないのではないかということから始まった。
   もともと兵庫県では、小学校では5年生で自然学校をやっており、高校は高校でそれぞれの事業をやっていた。しかし、中学校段階で、体験的な活動がなかったため、中学2年生に体験活動をさせることが大切ではないか、それも短い期間ではなくて、かなり長期にわたっていろいろな体験をする必要があるのではないかということで、この事業に取り組んだ。
   1年目から県下全校実施としたため、12月から3月までの間にすべての学校、教育委員会に説明をして協力をお願いすることになり、大変な作業となった。ただ、子どもたちをどうにか育てていかなければいけないという迫られた状況にあったこと、大震災後のボランティア、また、かなり前から福祉教育という形でいろいろなところへ行って子どもたちが体験するということはメニュー的にやっていたこと、市町教委がその趣旨を理解いただいて、積極的に参加していただけるという状況があって、4月から実施となった。
   初年度は、中学2年生の6月を中心にやることで、夏休み中に日常的にやれる形になれば理想ではないかと考えていたが、最初からそれは無理だということで、6月に試行的にそれぞれの地区でモデルとして何校か実施し、それをもとにして、その年は11月に実施した。
   2年目から6月を中心に実施したが、6月実施と11月実施とではそれほど差がないということで、去年から6月と11月を中心にということとしている。実際には、70%以上が6月を中心に実施している。
   事業の目的としては、二つある。
   一つは、子どもたちは学校で様々なことを学習するが、実際に長期にわたって体験活動をすることがなかったため、体験活動を通して自分を見直す機会をつくるということである。「教」より「育」ということで、教えるのではなくて、自ら興味・関心を持っていろいろなことに挑戦する形のものができればと考えた。
   もう一つは、学校だけではなく、地域と連携することである。家庭、学校、地域、それぞれが役割分担を持ってこの「トライやる・ウィーク」をやってはどうだろうかということで実施をした。
   事業の実施体制としては、学校、教育委員会並びにそれぞれの知事部局と連携をしながら行った。そのために、「トライやる」という趣旨をそれぞれの部局に全部説明に行き、そこで一体それぞれの部局でどんなことができるのかということで、協力をいただいた。受け入れ先の確保、社会福祉協議会との連携、活動に対する啓発という形で、「トライやる・ウィーク」を兵庫県全体で取り組むという形ができたのは非常に大きかった。また、市町教育委員会でも「トライやる・ウィーク」を推進するための組織をつくっていただいた。最後に、学校の中で、「トライやる・ウィーク」をやるための組織をつくった。県、市町、各学校、の三つが連携し、その外に知事部局等の連携が入ったし、校区推進委員会の中に地域の人とか、家庭の人が入って一緒にやったというのが大きかった。
   実施の手順について、「トライやる・ウィーク」を実施する前に、一体なぜこれをやるのかというオリエンテーションを十分に時間をとってやった。これは今、小・中学校に入っている「総合的な学習」と同じような考えで、なぜこれをやるのか、どういうことを子どもたちがしたいのかという希望をとることが、この事業の大きな意味だと思う。子どもたちの興味・関心をもとに、「トライやる・ウィーク」を考える。子どもたちの希望をできる限りかなえられるような形で、校区の推進委員会を中心として受け入れ先、指導ボランティアの確保等を行った。
   事業内容としては、全校359校、生徒5万5,000人、活動場所が1万6,300ヵ所、指導ボランティアが2万4,000人、一班当たりの平均生徒数が2.9人、大体3人が一つの班になって活動しているという状況である。子どもたちも3人程度のグループが一番理想的なようだ。大勢になると、子どもたち同士で集まってしまい、学校の授業と同じような形になってしまって、どうも活動に打ち込めないという状況もある。また、1人だと、かえって少ないのかなという感じがするので、2~3人がグループになって活動するのが一番理想的ではないか。
   ただ、それぞれ中学校区が同じような時期に実施すると、受け入れ先の確保の問題で、時期をずらしたりとか、そういう工夫が必要となり、各学校でしてもらっている。
   それから、活動内容としては、私たちが最初にねらったのは、子どもたちの希望・関心を生かすということで、いろいろなことが出てくればと思ったが、どうしても受け入れ先の確保等の問題から、職場体験的な活動が7割を超えるという状況になっている。職場体験活動の中でも例えば販売とか、製造というところへ行っている。それ以外にボランティア、福祉体験的な活動が8%近く。こういう形で子どもたちがいろいろなところへ行って、1週間活動している。
   子どもたちの感想を聞くと、1日目、2日目が慣れるのに非常に時間がかかって、1日目はただぼんやりといて、帰ってきたというような状況である。ただ、非常に気を使ったと。一体何をしたらいいのだろう、だれにどのように尋ねたらいいのだろうということで、気を使ったという話は聞いている。2日目、3日目になって、いろいろなことを言われて、子どもたちがいろいろな活動をそろそろ始めるという段階になり、3日目から4日目あたりが子どもたちは一番しんどいみたいで、慣れてもくるが、一体この中で自分として何ができるのだろうかということをかなり考えるようだ。5日目になるとかなり慣れてきて、何とかいけるかなということで、これが終わってしまう。1週間終わった後、土曜日に、あるいは土曜日が休みのときは次の月曜日に反省会という形で、やった体験のそれぞれの発表とか、まとめを行っている。
   たまたま今回、教育長のところに新聞記者として来た子どもたちがおり、新聞記者として体験活動をやっている、その中で教育長に要望ということで、子どもたちとして5日間といわず、2週間くらい活動したい、5日間では、ちょうど慣れてきて、一つのものができたところで終わってしまう、ということだった。ただ、この意見が全てではないので、今後、子どもたちに調べなければいけないと思っている。
   それから、地域社会との連携に当たって、二つ重要な点があった。
   一つは三者の役割の明確化ということで、学校、家庭、地域社会が役割を分担し、連携をするということが重要である。
   もう一つは、教育委員会中心でこのような事業を行うと、学校のほうはどうしてもこれをやらなければいけないという意識があって、事業自体がだんだん硬直化していく。そうではなくて、枠をきちんとつくってやるのではなくて、子どもたちが自由にその中でいろいろなメニューを考えて行う。子どもたちがどんなことをして、どのような目的でやるかということをオリエンテーションでしっかりやり、希望を聞いたら、それに対して受け入れ先等の準備を校区の推進委員会、地域の人、家庭にお任せする。協力が得られる家庭の保護者等と一緒に連携してやるのが大きい。そうでないと、学校の先生が受け入れ先の確保から何から全部やってしまうので、地域との連携もできないし、せっかく指導ボランティアが入っても学校の先生とつながりができてしまうので、この1週間は学校の先生もなるべく職場には行かない。最初にお願いして、最後にお礼を言ったら、あとはお任せするということにしている。
   やはり地域の状況に応じて、どうしても学校が中心になってやっているところもあるし、校区推進委員会がまだ十分に活躍をしていない面もあるので、今後は校区推進委員会とどう連携していくかというのが大きな課題である。
   受け入れ先についても、なるべく子どもたちの希望を重視するということで、職場確保ができたら自動的にそこへ行かせるのではなくて、子どもたちにその意義とか、子どもたちの希望をどのように聞いてやるかということが今後大きな課題になる。
   もう一つは、「トライやる」を行った後のことである。その活動が日常の教育活動へ展開できるのが一番理想だが、一つは学校行事等の工夫がある。「トライやる」をやった1年目のときに、従来の授業の形でやるのではなくて、新しい授業の形に変えていかないと、子どもたちが「トライやる」から帰ってきた後、「学校の授業は全然つまらない」となってしまう。要するに、ただ教えて何とかだけの授業になってしまっているので、それを変えていかなければいけないのではないかということに、教員も気づいたようだし、子どもたちの中からもそのようなことが出ていた。そういう意味で、従来の学校の行事をどのように今後工夫していくかということが挙げられる。
   それから、「トライやる・ウィーク」でせっかく地域とつながったので、地域の活動の中に入っていく。中には、例えば地域の文化祭とか、地域のいろいろな祭りとか、そういうものを子どもたちに企画させて、子どもたちが中心にやっていくということも出てきている。また、夏休みとか、土・日に福祉施設等へ行って、日常的にボランティア活動をやってみるという形も出てきている。ただ、これがまだ十分ではないので、今後これをどのように発展させていくか、また、「総合的な学習」とどうリンクさせていくのかというのが大きな課題になる。
   最後に、事業の成果と今後の課題である。
   学校においては、従来の授業のやり方と教師の社会性という問題も出てきている。このために、教師自身が名刺をつくって、実際に受け入れ先へ名刺を持っていって話をするということで、今まで知らなかった世界に先生たちが接するということで、教師にも「トライやる」になっている。
   兵庫県としてもこれを受けて、去年から「チャレンジ研修」ということで、教師の「トライやる・ウィーク」をやっている。これも先生たちの希望をとって、そういうところへ職場体験として、これは1ヵ月から2ヵ月の間、そのような研修をしていただく機会をつくっている。
   それから、家庭においては、子どもたちと学校のことでなかなか会話できなかったのに、この事業を通して、「そんなところへ行ったのか」という形で話ができるということで、子どもたちとのつながりができる。
   もう一つは、地域での活動の中で、自分たちが中学校とかかわっていろいろな活動ができるということで、地域の人たちがこの「トライやる」以外にも学校に行って、就職、進路指導の話をしたりとか、社会人として地域の人が持っている教育力の話をする等のつながりができるなど、地域と中学生がつながったということでは非常に大きかったと思う。
   生徒の方は、1週間の体験の中で、自分の将来をどうするかというところまではいかないが、今までの学校と違う体験を通して、自分の進路を見直すことができたということもある。
   今後の課題としては、子どもたちが地域とつながる中で、子どもたちの興味・関心をどのように生かしてやるかということ。4年目を迎えて、あらかじめ受け入れ先等が決まってしまっているので、その中で新たに受け入れ先と、子どもたちの興味・関心をどのようにマッチングするかということが大きな問題である。
   保護者、地域の理解と協力を求めるということでやってきているが、校区推進委員会を更に活性化させて、校区推進委員会が「トライやる・ウィーク」だけではなくて、学校評議員制等にもつながっていくものになっていけば一番いいのではないか。校区の中の教育力を学校の中にも生かせられる場ができたらなと思っている。
   もう一つは、この活動を通してせっかく学校が大きく変わろうとしているので、「総合的な学習」等の機会の中で、今後どのように発展させていくかというのが大きな問題。やはり教師が変わっていかないと学校も変わらない。教師が変わる機会になっているので、それをどうするかというのが今後大きな問題になるのではないか。それを今後考えていかなければいけないと思っている。
     私の学校では、「トライやるーウィーク」を実施している。これを機会に教師の活性化、社会人としての教師の在り方に目を向けること大切。例えば会社に行って改めて教師が名刺を見せるという機会はほとんどないので、名刺をつくることにより教師の意識が高揚する。簡単なことだが、そういうことができない教師の社会についても目を向けることが大切だと思っている。
   企画の工夫という話があったが、いろいろ行事があるが、生徒たちが企画委員会というのをつくって、「トライやる・ウィーク」で得た物の見方、それからとらえ方などをうまく生かしながら、行事が成功できるように取り組んでいることは一つの向上であったのではないかと思う。
  (3) 富山県の取組事例について意見発表が行われた。
  富山県)「14歳の挑戦」事業を行った背景の一つとして、本県では10年ほど前から職場体験学習ということで、もともとが進路指導を中心にした1、2日間の体験学習を行っていたことが挙げられる。もう一は、平成8年度から本県は地域ぐるみ・いじめ防止事業ということで、やはり中学校区が中心となり、学校、地域、家庭の3本の柱がどうやって協力して、子どもたちのそういう問題の解決に向けて動いていけばいいのかということを考えてきた土壌がある。その中で、地域の中のネットワークが既にあった。少子化、情報化という社会の流れの中で、子どもたちの自立が阻害されてきており、様々な問題が起こってきているのではないか、それに対する対策は何かないかということをいろいろ模索していた矢先に、今ほど御発表があった兵庫県の「トライやる・ウィーク」が実施されていた。そこで勉強に行かせていただき、いろいろ知恵を授かった。そういうことがあって、私たちが本県の「社会に学ぶ『14歳の挑戦』」という事業を立ち上げるに至った。
   今の子どもたちに大人の立場から、自然体験とか、社会体験をもっと与えてやる必要がないか。本来ならば子どもたちが自ら求めてそういう活動を行うべきであるが、現実的にはそうではない事態となっている。本県では、活動の場が気づきの場と考えている。特に体験を通して気づくのは、1番が自分への気づきではなかろうかと思っている。体験活動を通して、子どもたちが自分探しの旅を行ってくれればいいなと考えた。   さて、このような背景を持った「14歳の挑戦」だが、この「14歳の挑戦」は、5日間実施される。活動内容は、職場体験、福祉・ボランティア体験活動などである。   「14歳の挑戦」というのは、14歳の年代の子どもたちだけの事業ではなく、3歳、5歳、9歳、12歳のそれぞれの段階で何かできないか、ということも考えている。そして、高校に進んでから何かできないか、子どもたちの成長の節々の中で、子どもたちの成長を促す一つの事業を展開できないだろうかということを現在考えている。
   例えば5歳以下の子どもたちでは、子育て学習推進事業ということで、家庭のお父さん、お母さん方がいかに子どもたちの子育てをやっていただけばいいのだろうか、そういうことを考えていただく事業。そして、9歳には9歳のひとり立ち事業。これは約1週間の宿泊学習、合宿を通して何か得るものはないかという事業。12歳では12歳の立山夢登山。高校では高校生の新世紀きらめき事業、あるいは高校生の社会体験推進事業というように、このような事業を一つの大きなまとまりとして考えて、子どもたちの成長をサポートしていけないだろうかと思っている。
   「14歳の挑戦」については、実施時期については定めていない。すべて各学校の判断で決定されている。ただし、教育課程の中で行うという制約だけは設けている。今年13年度については、5月8日からスタートした地域、一番最後が11月の中旬と、万遍なく散らばっている。この活動の中で、とにかく子どもたちが大人社会の中に自分の身をどっぷりとつからせて、様々な体験をしてくることが大切なのではなかろうかと考えている。
   予算は本年度は約2,500万円計上している。昨年度は学校数が若干少なかった関係で、1,900万円。あまり大きいとは言えない。それを学級当たりに分けると、15万円である。15万円の半分程度を補助するという補助事業になっている。この15万円の内訳は指導ボランティアへの謝金、生徒と指導ボランティアの方々への保険700円であるが、傷害保険で1,620万円、そして何か物を壊したとか、あるいは人を傷つけてしまったというような賠償責任保険としては3億円というかなり高額のものに入っている。ただし、一昨年度の場合にはこの保険を使用した件数については3件、昨年度は12件と非常に少なかった。そのうちのほとんどが、交通事故であり、それぞれの活動中の事故はまれであったという結果が出ている。
   この事業を実施するに当たってはPR活動が大事。学校の理解、地域あるいは事業所の理解等がなかなかすんなりとはいかない部分がある。したがって、この事業の趣旨等について理解していただけるように様々なメディアを使いながらPR活動を展開してきた。お手元に配付したパンフレットについては、6万部作成している。それを県下いろいろな機関に配布しながら読んでいただき、理解を深めていただく活動をしている。
   さて、この「14歳の挑戦」事業については、こちら側がまず起爆剤を一つほうり込んだという形になった。そして、起爆剤から誘爆したのが学校、次に地域がという形で、その広がりが今現在続いている。中学校区であるため、PTAも含めて中学校の方々の活動が中心だが、最近、まちぐるみという動きがどんどん出てきている。
   この推進委員会は、それぞれの市町村ごとに特色を生かしてつくられている。あるまちでは推進委員会の長が町の助役、また、あるまちでは市の教育長といった方々が推進委員会の長を務め、学校、家庭、事業所等の代表者、あるいは地域団体の関係者の方々を一つに取りまとめていただいた。そのような組織の中で、子どもたちの活動をする場、そしてその活動中のサポート等々をやっていただいた。
   活動先としては、4分の1程度が公的な機関、40%程度が会社、工場、商店等の事業所、その他、農家、農協、福祉関係である。
   活動内容であるが、子どもたちは最大4人でチームを組んでいる。ところによっては、1人である事業所に入り込んだという事例もある。最近では、市町村が一つの大きな単位として活動を展開しているという中で、違った学校の子どもたちがこのようなグループをつくって、いろいろな活動を行うという姿が増えてきている。本年度の場合には、35市町村中10市町村が、このような複数の町あるいは市の学校が同時展開をしてやっていくという形をとっている。その中で、子どもたちが今まで全く知らなかった学校の子どもたちと一緒に会話をし、活動をするという姿が出てきている。
   本県の場合に非常に意外だったのは、いわゆる3Kのような、汚れたり汗をかいたり、力がいったりということで、大人だったら嫌がるような、ちょっと引っ込むような活動を、あえて自分はやってみようという子どもたちが多かった。これが私たちの感覚としては意外だった。
   このような活動を終えて、子どもたちがどのような感想を持っているかについてアンケート調査を行った。自分自身の生き方の参考になったのかについて、「大変参考になった」約40%、「かなり参考になった」が45%前後、また、ルールあるいは挨拶は社会生活を営んでいく上において非常に大事なものなのだということについて、「十分よくわかった」が約60%近くに上っている。また、「この1週間、充実した1週間になったか」について、「大変充実していた」が70%近くに上っている。この活動は、子どもたちが充実感を持って終えることができた活動だったということがわかる。
   子どもたちの感想を紹介すると、ある美容院へ行った子が、その美容院の店員の方からこんな話を聞いた。「100-1というのは、ここでは落第だよ。」99までうまくいっても、たった1人のうまくない人間がそこにいた場合に、それは全体としてはだめになってしまう。「社会では1人の失敗も許されないのですよ、社会では」ということを、その人は子どもに伝えたのである。美容院の中で接客の在り方について、みんなが一所懸命相手にとって心地よい対応の仕方をしているのに、だれか1人がそうではないという場合に、お店全体が影響を受けるのですよと、そういうことをまずもって教えられたという事例があった。
   また、「父の姿が大きく見えた」という感想を持っていた子が、父と同じ自動車関係の活動を終えて、「お父さんというのはああいう大変な仕事をして、土曜、日曜は家で休んでいるんだ。あのテレビを見ているお父さんの背中は、今まで何か非常に頼りなさそうに見えたけれども、お父さんの背中が大きく見えた」という感想である。
   また、特別養護老人ホームで活動した子どもが「私は今までこれほど多くの笑顔とやさしさに触れたことはありませんでした」と述べている。これはこの子が多様な人間関係の中で、様々な笑顔とか、人間ってやさしいのだな、大人っていいなという感覚に触れたことがなかった。この「14歳の挑戦」事業の中で、「ああ、いいな。社会っていいな」という思いを持って帰ってきてくれた。
   保護者の反応について、「挑戦に関する話をうちでやりましたか」という話を聞いたところ、「十分にやった」というのは20%に満たなかったが、「ある程度話し合いました」と答えてくれた保護者が65%前後に上っている。
   また、1週間と言わずに、この活動が1ヵ月ぐらいあってもいいのではないかという意見も多かったようだ。
   この1週間で日に日に子どもたちの顔が変わっていく。たくましい大人の顔に変わっていくということを実感したという保護者の声が大変多かった。
   また、受け入れ先の反応とて、「子どもたちにこの活動の中で好ましい変化が見られましたか」という問いに対しては、「十分に見られた」あるいは「見られた」という意見が多かった。また、「ほかの子どたちにもこのような活動をさせてやりたいかどうか」という問いでは、ほとんどの事業所の方々が、「できればほかの子どもたちにもこういう活動はさせてやりたい」という意見だった。ともすれば新聞あるいはテレビの中で報道される、よろしくない中学生のイメージを持っていた大人たちが、この活動の中で、「いや、子どもたちは話を聞いていたのとだいぶ違うぞ。日本の将来もそんなに暗いものじゃないぞ」という思いを、この活動を通して感じてもらった。この事業は、地域の人々の意識を変える力も持っていたのではないかと思う。
   また、教師側にも変化が見られた。「正直言って辛かった。でも、楽しかった。この生徒の作文が体験を象徴している。生徒たちの感じた楽しさとは単なるおもしろさやおかしさではなく、人とかかわり合う楽しさ、あるいはできないことができるようになる楽しさです。また、考える楽しさや困難や失敗を乗り越える楽しさです。こんな知的な楽しさをどれだけ味わわせてやれるかに今後の中学校教育がかかっているのだと確信をいたしました」という先生の声がある。
   問題点について、活動を進める中で、学校と事業所あるいは地域社会との関係が簡単に良好な状態に持っていけるものではないということがだんだんとわかってきた。特に本県の場合には、まず学校が動き、そして地域社会が動き、そして事業所等の方々が動きというやり方なので、そのようなところがだんだんと明らかになってきた。
   例えば、事業所の確保に子どもたちや保護者が動く。これはどういう形で事業所を確保すべきという話は県レベルではせず、各推進委員会の独自の考え方で動いてもらっている。そういう中で、根回しのしっかりできていなかった地域においては、統一のとれないような来訪がなされ、仕事の邪魔になるという声もでる場合があった。
   また、子どもたちは自宅から事業所のほうに通うわけだが、学校に通う場合には通学路を通らせることができるば、事業の期間中は、通学路を通れるとも限らない。したがって、どうしても交通安全という安全面の問題が出てくる。
   また、教育課程上の問題では、現在、「総合的な学習」に向けて移行のさなかであり、学校のほうではどのような形で教育課程を組んでいくかということに四苦八苦している。そういう中で、「14歳の挑戦」という5日間の活動時間に加え、事前、事後の説明や活動時間を含めると、大変な時間数をとる。そういう中で、学校が教育課程の中にどのような形で位置づけていけばよいかということについて、まだいろいろと模索をしている段階である。
   また、財政上の問題がある。多くない予算だが捻出するのが難しい。そういう中で、1年ごとの予算づけになってしまわざるを得ないという問題がある。よく学校や事業所から、来年もこの事業はあるのかと聞かれるが、予算要求はしているが、確約できないという言い方になってしまわざるを得ない。
   最後に、「14歳の挑戦」の活動が、現在、どんどん広がっているという嬉しい報告がある。「14歳の挑戦」でインターネット検索をしたところ、100件の関係ページが検出された。その中には、「自分はこの指導ボランティアに1年目でかかわった。そういう中で、これは非常にいい事業だと感じた。だから、これは個人として応援をしたい」ということで、インターネット上に「『14歳の挑戦』応援ネットワーク」というネットワークを立ち上げて、そのネットワークの輪を広げようとしているという動きもある。いろいろな方々に支援の輪が広がっていることについて大変うれしく思っている。
  (4) 質疑応答及び自由討議が行われた。
     兵庫県に質問。いわゆる進学校においてこのような事業を推進しようとしたときに生じた問題点はあったか、また、進学校における成果はどうなのか。
   また、協力してくれた企業及び人に対する謝礼についてはどのようになっているのか。   
   また、なぜ「トライ・やる」という言葉を使ったのか。日本語としてあえて「トライ・やる」という言葉を使わなければいけなかったのか。
  兵庫県)いわゆる進学校についての御質問だが、進学校以外でも学力の問題はいろいろ出てきた。最初の年には、「こんな体験よりもしっかり勉強させたほうがいいんじゃないか」という話があった。ただ、神戸の事件もあり、子どもたちに本当に心の教育という、一つの体験を通して子どたちを変えていくのだということで説明をして、とりあえず1週間取り組んでもらった。
   中3だと受験の問題があるが、中2の6月の時期だったらやれるのではないかということ、また、学校週5日制の関係で行事の精選を行っていたので、とりあえずは実施することができた。
   また、成果が非常に大きかったので、2年目からはそれほど大きな問題はなかった。
   また、謝礼については、最初はお菓子等を持っていっていたが、啓発というよりも、広まった感があって、受け入れるのが当たり前だというような面もこの3年目になって出てきてため、御礼や謝金等は一切だしていない。
   知事部局等と連携した中で、啓発活動がかなり行われ、パンフレットを配る以外に、テレビや新聞、映画館での映画が始まる前に流される宣伝にも入れてあった。また、1年目はのぼりを立てたり、ワッペンをつけたりということで、11月に一斉に実施したことがかなりの宣伝効果をあげ、現在では店に行って中学生がいたら、「君らは『トライ・やる』をやってるのか」という声をかけていただけるという状況になっている。
   また、「トライやる・ウィーク」という名前にした理由について、なぜ日本語になっていないような言葉にしたのか、教育をやっている人間が、こんな言葉を使っていいのかという批判もあった。造語で、何か新しい目につくような言葉にしないとということで、教育委員会としては珍しく、造語でやったという意味では非常に大きかった。この言葉が広まったという意義が大きかったので、それで御勘弁をお願いしたいということにしている。
     兵庫県について、生徒の参加約5万に対して指導ボランティアの方々が約半分の2万4,000人となっているが、この指導ボランティアについては、公募したのか、PTA単位などの網をかけて強引に集めた数なのか。
  兵庫県)70%ほどが職場体験に行っているので、その部分はほとんど企業側にボランティアをしていただいた。そのため、企業からはそのために人をとられるので困ると言われることもあった。ただ、企業の中では、これが結局、将来自分たちの企業に卒業した子どもが来てくれるというのもあるし、親が子どもの様子を見にくる場合もあるし、企業の宣伝になるというのがあって、比較的すんなり受け入れてもらっている。
   ただ、それ以外については、校区推進委員会の保護者の方にボランティアを頼んで、ボランティアになっていただいている面もある。
     体験をしたOBたちが、その後、体験をさせていただいた企業に出入りをしたり何かするということは、教育側としてはどのように考えたのか。それから生徒を受け入れる企業は年々増えたのか、又は毎年、特定の企業がいつも受け入れてくれたのか。
  兵庫県)   体験をした子どものすべてが成果が上がったわけではなく、やはり子どもたちの意欲、関心に大きくかかっている。1年目のときは何もわからなかったので、模索状態で行っていたが、2年目には、前に行った子どもたちの様子を聞いて、こんなところへ行ったらどうなるのだという情報がかなり広まっているようだ。ただ、その中でも、こんなことをやりたいという意欲を持ってやってきた子どもは、自分の将来を考えたり、学校では経験できなかったいろいろなことを経験する中で、自分のことを考える機会にはなっているようだ。
   ただ、「トライやる」をやっていても、兵庫県でもいろいろなことが起こる。そうすると、「『トライやる』をやってるのになんでや」と言われる。「いや、そうじゃないんだ、『トライやる』をやってるからこそ、これだけで済んでるんだとも言えないこともないじゃないか」という答え方をしている。ただ、子どもたちへの意欲づけは大事。始める前のオリエンテーションをかっちりやっておかなければいけない。
   それから、「トライやる」を行った後、その職場へ行ったりとか、福祉施設に行ったりということは幾らかあるようだ。また、今まで全く地域にかかわらなかったのに、地域の盆踊りに出てきたりとか、そういう子どもも若干出ている。
   ただ、社会福祉協議会に行った子どもの中で、行っているときに老人が亡くなったりとか、実際に思っていたよりもいろいろな手伝いをしてみたら本当にしんどかったというので、自分は嫌になったといったこともあるようで、それをどのように立て直してやるかということが、学校側の課題だと思う。うまく立て直しができた子は、将来、看護婦になりたいということで、そちらの進学を目指したということもある。
   ただ、全体的に言えるのは、進路指導をしたときに、従来かなりの月日がかかっていたが、「トライやる」を始めた年は比較的早く進路を決め、また進路の幅も広がっていた。今までだとすべて普通校に行っていたが、自分の(体験を)生かした専門学校に行ってみたいというように少し変わってきているようだ。これもまた中途退学等のデータをとりながらやっていかなければいけないが、少しきっかけにはなっているようだ。
   ただ、1週間しかないので、ある意味でそれ以上超えると学校の教育課程の負担が大きいので、夏休み中等に行ける機会をつくってやることも大切。それを利用した発展的な「トライやる」のような場の提供ができればと考えている。
  富山県)   活動を終えた後でも、活動先のお店の人たちと、子どもたちとの間など、まちの中での子どもたち、それを取り巻く大人たちとの人間関係がこういう事業を介して深まっていっている。
      活動の場について、本県の場合はどこの事業所に県からお願いするという形でやっておらず、毎年リセットして臨んでいる。したがって、学校を含む推進委員会という町全体が、市全体が、子どもたちの活動の場をどのように提供していくか、それについて事業所と一緒になって考えていくという形が、今、組織としてはできてきている。
  阪神間には中高一貫の有名な進学校が幾つもあるが、そういうところも全部参加しているのか。
  兵庫県)   公立中学校は全部参加している。
     私立についてはどうか。
  兵庫県)私立は一部やっているところはあるようだが、阪神間の受験校はやっていないと思う。
     いろいろな意味で格差が出てくるのではないか。
  兵庫県)   私学については、うちからはいえない。
     富山の場合、指導ボランティアに謝金を出しているという御説明があったが、兵庫のほうは謝金的な発想はないが、謝金についてはどのような議論があったのか。また、説明のニュアンスでは、富山のほうが学校の負担が兵庫よりちょっと多いようだがそれについてはどのように考えているか。
  富山県)謝金については、当初は予算を用意してスタートしたが実際問題としては謝金を受け取らない方々増えている。そのようなこともあり、謝金という形で用意はしているが、実際運用の中ではお礼の気持ちとしてお菓子箱を用意して持っていくというような形になっているようだ。
   また、今後、この謝金についての見直し作業は、来年度に向けてしていくつもりである。   学校の負担という話については、本県ではボトムアップというスタンスをとりたいと考えている。いわゆる下から自分たちで、あるいは地域のそういう主体性をできるだけ生かして、この活動を広げていきたいという思いを持っている。本県は実は全県一つ残らず実施するのは今年が初めてである。それまでは3分の1、3分の2、3分の3というように順次進めており、そのように進めてきたのも、下からの盛り上がりを育てていきたいという思いがあっての話である。
   そういう中で、いや応なしに学校と地域と交わらざるを得ない、事業所に学校自身が働きかけなければいけない、あるいは、今まで学校の中ですべてが行われて安穏としていた傾向があったとすれば、そういうことをこの事業でぶち壊してしまうという思いもある。
     富山県の説明で、予算について、単年度なので来年度が保証されていないということだが、こういう取組は継続的・安定的にやらなければならないので、そのような仕組みづくりをしなければならない。富山県ではまだ2年しかやってないが、兵庫県の場合、そのような問題があるのかどうかと、今後の見通しについて伺いたい。また、これはすばらしいから、県から予算がつかなくても、地域で自主的にやっていくというような動きがあるのかどうかについて伺いたい。
  兵庫県)この事業が始まったときに財政当局と話をして、最終的に知事が決断したということがあって、毎年、普通予算はある。とりあえず5年間やり、その後再度検討するということなので、5年間はこのままでいくこととしている。自然学校が同じような形で63年にスタートして、今年で14年目を迎え、事業自体の補助は全く変わっていないことからすると、成果があり、子どもたちにいいものであれば、これは継続できると考えている。兵庫県の場合は各学校の1クラス当たりに30万円で、県が20万円、各市町が10万円という補助金になっている。実際事業をやってみてどのぐらいの費用がかかるのかについては、相互保険的なものも含めて30万円としているが若干少なくてもできるかという感じはある。ただ、事業というのは予算がつかないとなくなってしまうという傾向があるので、これだけの成果があるので教育委員会としてはできる限り継続してやっていきたいと考えている。あとは知事部局との話になる。
  富山県)本県では単年度となっているが、教育委員会としては、財政当局に、今後10年間、とりあえずずっとということで計画も提出し、お願いしているところだ。また一方で、財政とのやりとりの中で、「国からのお金というのはこういうものに使えないのですか」と必ず言われる。先ほどお話があったように、「これは市町村で単独でやれるのではないですか」という話は出てくる。そういうときに、一つには、今現在、国のほうでこれに類する事業は幾つかあるが、残念ながら国の事業に組み込んでしまうと、活動が縛られてしまう。あるいは、部分的な補助にしかなり得ないという問題点も現状としてはある。とにかくお金はこれだけあげますから、県独自のやり方でやってくださいという形でお金がいただけるものなら大変ありがたいが、現在、そういうものはない。
   補助がなくなるということは事業が消えていくことにもなりかねないという思いはある。こういう趣旨について理解がもっと深まって、社会情勢が熟成した段階でならまた話は別になってくるのではないかとは思っているが、現状では若干難しい。
     説明を伺っていると、推進委員会というものが役割をたくさん持っているようだ。生徒たちの希望の調整というコーディネート機能、受け入れ先の確保、指導ボランティアの確保、反省会など。これは常設の委員会で、そこに中心になる人がだんだんと確保されていくような感じなのか。学校ごとにこういうものが本当に機能するようになってくると、「トライやる・ウィーク」のボランティアセンターみたいなものが学校に附属してあるようなイメージがあるが、そういうものなのかどうかというところを少し教えていただきたい。
  兵庫県)   上の推進協議会、それから市町の推進協議会、中学校の校区推進委員会は、それぞれ全部密接につながっている。例えば中学生の希望は学校側でとり、それから、「トライやる・ウィーク」とはどんなものだという説明も学校で行う。
   それを受けて、今度は学校が校区推進委員会に来て、校区推進委員会と、子どもたちの希望する活動先、活動内容を確保できるかということで、話し合う。
   実際、全部はマッチングできないので、上の市町の推進協議会、更に県の推進協議会へ持っていく。そこには県内の企業のトップ関係の人がかなり入っているので、そこと連携する。そこでとれないときは、県の検討委員会とか、県の推進協議会がそこを支援するという形で連絡をつけるという形をとっている。受け入れ先でかなり難しいところは、県のほうで何とか確保きるような形で連絡をとりながらやっている。それをしないと、最初の1年目に全部が実施ということはとてもできなかった。
   本来は、校区推進委員会が中心になってやってほしいところだが、地域によっては校区推進委員会のほうが中心でどんどん動いているところもあれば、逆に中学校が中心になって、自分のところで校区推進委員会を立ち上げて、しかもメンバーを呼んできて、それぞれPTAの人にお願いして、社会福祉協議会とか、校区にいる民生委員等にもお願いしてやらなければ、まだうまくいっていないという状況もある。
   事業も4年目を迎え、校区推進委員会をどのように充実した機能にするか。しかも、継続的にやっていけるか。PTAの会長は毎年かわるので、それをどうつないでいくか。それをやっていかないと、それが全部学校に負担としてかかってくる。地域と連携するためには、それぞれの働きをどうするか。それを家庭とどのように連携をして、家庭に理解をしていただくか、が課題である。
   1年目に「トライやる」をやったときの問題点は、家庭との連携がうまくというよりも、そのための啓発が十分でなかった点で、学力が低下するのではないかとか、こんな1週間もやって学校の授業が遅れるのではないかという不安が、出ていた。うちのほうもインターネット等で苦情は全部聞く形にしているが、1年目はこれを回答するのが大変で、何人かで分担してその返答をしたということだった。
   また、5日間でなくて、3日程度でどうだとか、6月や11月に限定せずに、自由にやったらいいのではないかという意見もでた。
     うちの学校では、トライやるウィークを実施しているが、会社開拓は、善意銀行制にして登録していただき、翌年度は往復はがきで、「昨年度していただきましたが、今年度もオーケーですか、どうですか」ということで返事をもらう。大体60%は了解され、40%について開拓をしていく。本校では、学校が主として、教育は学校がするものであるということで、学校がハンドルを握っている。今更やめると言ったら地域が混乱する。委員会としては支援せざるを得ない状態になっている。金を出さないのだったら、よし、おれたちでやろうかというところまでいっている。
   それから、お礼については、お世話になった会社には、体験した者が行って作文集や写真をパネルなどにして、感謝状を添えて持っていく。先生ではなく、生徒が持っていく。会社側はそれを額縁に入れて応接間などにかけて、誇りにしている会社が多い。
   生徒を指導するには、会社の従業員を充てなくてはならないというマイナス面があるが、中学生を指導しようと思うと、指導するだけの力を蓄えていないと、会社員は指導できない。だから、会社の活性化にもなっている。そういういい面もあるということだった。
   それから、活動の発表会を行い、会社にも出席の案内をし、発表会で自分の体験談を発表する。それは生徒が企画して、生徒が司会をして発表をする。それをまた来年の反省材料にしていく。
     生徒側の希望というのはどの段階で、どのように取り入れられるのか。
  富山県)本県の場合には、活動に先立って、1年スパンで計画を立ててこの活動に向かっているが、その中のかなり早い段階で子どもたちの希望を、第1候補、第2候補、第3候補という形で希望調査をとっているところが多い。また、それぞれの地域の実情の中で、子どもたちの希望をどのように結んでいくかというような作業は、それからまた第2次段階で出てくる。それによって子どもたちとの話し合いがなされ、また、希望をかなえるために推進委員会を持ち、それぞれの周りの地域との連絡もなされるという動きに発展していく。
  兵庫県)「トライやる・ウィーク」の実施にかかる事前指導ということで、各学校平均すると事前指導で11~12時間の時間をとっている。領域としては、教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間等を使って、事前の指導の内容として、目標の設定とか、実際の事業所の説明をしてもらったりとか、結団式や出発式とか、そういうものも含めてやっている。
   希望については、第1希望から第3希望まで子どもたちからとり、一応70%以上が第1希望で行っている。
   「トライやる・ウィーク」は校区の中でということがあるが、地域によっては出かけなければいけないというところがある。その場合は、交通費等を含めて子どもたちに渡し、指導ボランティアがそこまで連れていくというようなこともしている。
     推進委員会のメンバーはどのようにして決めるのか。
  富山県)本県の場合、既に中学校区のネットワーク活動ということで、地域ぐるみ・いじめ防止事業のという事業があり、地域ぐるみで子どもたちの健全育成を支えていこうではないかというネットワークづくりの活動がまずは土台になっている。既にそういう方々がそのネットワークに参加していて、その上に「14歳の挑戦」という事業を乗せて実施している。
  兵庫県)市町の推進協議会のほうは、教育委員会の関係の方、それから連合婦人会、PTA、社会福祉協議会、商工会議所、農林水産部の団体、ボランティアの団体等が入っている。それから、中学校のほうは学校、PTA、地域の民生委員等を含めた団体の方が入っている。指導ボランティアについては、各学校で募っている場合もあり、県でも募っている。現在は指導ボランティアになりたいという方が多く、お願いするのに逆に困っているという状況が出ている。
     国レベルの制度設計の議論に今日のヒアリングの結果を高めていったときに、我々にとっての論点は、都市部でできるだろうか、ということがある。私立中学中心のシステムの中でできるか、ということである。そのためには、やはり私立中学校も含めて、子どもは社会の子どもなのだという考え方で、地域社会の中で育てていくというような、大きな制度の柱の一つとして位置づけていかないと難しいのではないか。
   イギリスでは、子どもは社会の子どもだという考え方について、第2期に入った労働党の政権がしっかりした社会思想として制度化するために頑張っている。例えば、赤ちゃんが生まれたら1人ずつ2,000ポンド積み立て、5%で運用して、18歳になったらそのファンドをもって社会人として生きなさいという制度をつくろうとしている。議論としてそういうことをしっかり議論していて、そういう思想で制度としてきちっとしたものを持っていないと、たぶんまずいのかなと思う。
   また、先ほどから「自分探し」という表現があるが、フリーター350万人とかいう時代の中で、自分を探しっ放しという、一生探し続けているみたいな人があふれ出てきている中で、例えば、家業の手伝いとか、地域産業の中で中学生なり高校生なりがある時間を割いてやることを、学校教育の枠の中である時間を認めてやるようなやわらかい制度設計も必要なのではないか。つまり、勉強ができなくても、何か自分が社会の役に立てる存在なのだということを認識させるようなチャンスをつくって、広げていくということがこれから大事になるのではないか。
     地域の推進委員会とか、生徒の希望と受け入れ側のコーディネートをされた結果、5日間続けてしたほうがいいという結論を出されたのか。また、その地域、地域によって、1日ずつ1ヵ月1回とか、そういう形があるのか。月に1回何かやって、連続して1年間ずうっといくことによって、そういった気持ちがだんだんはぐくまれていくということもあるのではないか。
  兵庫県)1年目のときに、神戸市で1日1日、場所を変えてやった例があったが、それと比べると、5日間連続のほうがよい成果が出ている。それはうちの教育研修というところが、それぞれ「トライやる」をやったところで、1日1日変えてやったところと、5日間ずうっとやったところとどのように違うかということで調査した結果があるのだが、5日間続けてやるほうがいいようだ。メニューが変わるのは確かにおもしろいが、何かやったという充足感がないという結果が出ている。
     メニューを変えるのではなくて、福祉施設にずっと同じところに続けて1年間、月に1回行くことによって、だんだん慣れていくとか、そういうこともやったのか。
  兵庫県)それはない。5日間続けてやるというのは、最初の2日間で慣れ、3日目、4日目という意味で大きい。それは自然学校のときに、5泊6日をやったときに、1日や2日だと普通の修学旅行と一緒で、徹夜でもダーッと子どもは行く。5日間だと、全部寝ないわけにはいかないので、どこかで大きく自分の壁を越えてやらないといけないので、5日間やったという宿泊体験の中で、子どもたちは3日目か4日目のときに初めて本当の自分の生活のリズムになるということが大きかったので、今回も5日間連続の体験というのを考えた。
     学校週5日制が導入されて、土・日の受け皿という部分がものすごく重要になっているが、導入された場合、土・日の受け皿としてこういったものを、月に何度かという形でのことは考えていないのか。
  富山県)   本県の場合、これだけ実施してきて感じているところは、最初の1日目は借りてきた猫状態、2日目、どうにか周りにちょっと目がいって、ちょっと行動範囲が広くなる。3日目ぐらいからやっと仕事の手順も少しわかって、自分なりの考えも少し外に出してくる。そのように、5日間というのは1日1日の子どもたちの歩みがある。それが例えば飛び飛びの1ヵ月に1回ペースでいくと、それがリセットされかねないのではないか。うまくそれがつながりをもって働かない。本県も1ヵ月に一遍ずつで試したわけではないが、そのような思いはある。
   したがって、今回実施した事業の多くの成果は、5日間という一つのまとまりの中で実施したからこそ出てきたものがかなり多いのではないか。
   それと土日という休みの中で、子どもたちがこのような事業、あるいは体験に参加していのは大変望ましい姿である。しかしながら、あくまでそれは発展形である。ただ、それに発展していく素地になる力は、教育課程で学校もかかわる中でつけていく必要がある。いきなり何もない中で、ポンと出てくることは無理がある。したがって、5日間のこういう活動を踏まえて、次の発展としてそういう学校週5日制という中で、更に自分自身がこういう体験について、事業所あるいは福祉施設へ足を運んで、個人的なかかわりを継続して持っていく。そういう中で、更にいろいろ意味のある体験を深めていくことは、今後考えていくべきところと思っている。
   また、教師が子どもたちの活動の場に足を運んで、子どもたちの活動をサポートしたり、声をかけてくるということだけでも、大変意味のあることだと思う。子どもたちが〈あの先生、自分のことを気にかけてくれているのだな〉と考える。また、5日間の事業が終わってから、学校のいろいろな教育活動につないでいく場合に、教師自身がそういう体験を共有していなければ、なかなかそれが難しいという場合もある。そういうことからすると、教師自身が、子どもたちが体験している5日間に関わっていこうというスタンスをとっておくことにしている。
  兵庫県)「トライやる」をやって一つ問題になっているのは、例えば農業体験をするというのがある。農業体験については、兵庫県でも丹波のほうは田舎があるが、その中で地域でやっているのではないか。それが何で「トライやる」のときだけ特別に農業体験をするのか。逆に言えば日ごろ農業体験をやっていれば、そんなことは希望せずに、違うことを希望する。日ごろから例えば家庭の手伝いとか、そういうことがずっとできていないのかというのは、この「トライやる」をやって感じている。5日制というよりも、やったことを地域へ返すのではなくて、各家庭へ返っていくというのが非常に大きなことになっていくのではないか。
   もう一つは、社会福祉協議会等の受け入れの件だが、一時うちも福祉教育をやったときに、みんなが社会福祉協議会に行く。そうすると、社会福祉協議会自体の受け入れがパンクしてしまう状態になってしまうので、受け皿はたくさん持っておかなければいけないのではないか。
  今後、いわば社会奉仕というようなことを全国レベルで考えていく場合に、いわば国際理解教育という時間が土・日とセットされる。何か国際的な広がりの中で、特に都会なんかにおいてはできないかなと。これからメニューを探すということはなかなか難しいと思う。日本社会は非常に恵まれているし、日本社会ほど都会と農村との所得格差の少ないところもないわけで、そういう中で、国際的な広がりを見ると、仮に5日間でも何か体験させるのは、ものすごく大きなコントリビューションになるような分野がないか。
     市長をやっているが、社会の学校化ということを考えていて、自分のまちに子どもたちや社会人、両方とも合わせて、何ヵ所か「ここは社会の学校である」ということを指定している。それを「とはなにか学舎」と言っている。これからの地域社会は、たぶんテーマを持ったまちづくりという社会になる。子どもたちも、大人たちも、先生も、生徒も、みんな一つの社会の学校化の中で、一生かけて学んでいくという考え方である。   もっとふだんから学校と社会、親と子ども、先生と生徒、みんなもうちょっと共通に学んだり遊んだりするようなシステムをつくることが大事。
     この議論はもともと非行問題等を克服するためにというところから出てきているように私は受けとめているので、どうしても子どもたちは育成の対象者であるという観点、視点が強いような気がする。でも、青少年の側からいったら、一体自分たちは社会の中でどういう存在なのか、と問いかけているのではないだろうか。対策の対象としてではなくて、君たちは私たち大人と一緒に、社会の一員であり、これからをつくり上げていく一員なのだ、パートナーなのだというメッセージを発するという視点を持ちながらこの議論をしないと、結果的に大人や行政の自己満足のものになってしまうのではないか。
     子どもたちが活動に参加することを嫌がるようなことはあるか。
  兵庫県)あるのかもしれないが、学校よりは1週間行くほうがおもしろいと。だから、もっと中学校の授業が変わっていかないといけないということを学校の教師も感じている。
  富山県)不登校の子どもたちは、ふだん学校には行かないが、この活動には参加する子どもたちが結構いる。そして、子どもたちがこの活動を通して、その後、学校に復帰できるようになったとか、あるいはそこまではいかなくても、何らかの良い傾向が見えてきたとか、そのような子どもたちが大変多い。そういう中に、この事業のおもしろさがあるということが言えるのではないか。
   もう1点は、兄弟が既にそういう活動参加した子どもたちがいる。そういうときに、2年生になったらあの活動を私もできるのだ、僕もできるのだという形で、心待ちに待っている様子もかなりあるという話を聞いている。幅広い年代の中で、「14歳の挑戦」あるいは「トライやる・ウィーク」が位置づけられて、子どもたちの頭の中には入っているという状況になっている。
     最初のオリエンテーションが非常に重要だと思うが、これは教師がしたのか。
  富山県)子どもたちへのオリエンテーションについては、学校の一番大事な役割だろうということで、学級活動等で、準備段階の時間は非常に多く割かれている。
     私も大学でインターンシップや社会貢献とボランティアという、体験学習の指導をしているが、兵庫県と富山県の説明を伺っていて、これは大学でやっていることと原形は全く同じだとわかった。中学校の段階からだんだん高等教育にいくに従って専門性であるとか、職業観の探求の意味合いがもっと強くなるということで、どこの教育段階でも基本的に同じことが求められていることがとてもよくわかった。
   二つの県のお話を伺っていて、実際自分も大学で推進している立場から、生徒と受け入れ側をマッチングさせていく仕組みは、実に膨大なエネルギーがかかっているということで敬服している。
   全国的な規模でこういったことを可能にする制度設計にどういう観点で議論をすればいいのかということで、中学校の場合には広い意味が盛り込まれているので、どこに一番力点があるのかというのが正直言ってわからない。活動の分野別を見ると、兵庫県も富山県も企業、事業所が7割前後で、圧倒的に大きな柱になっている。そうすると、職業観の探求につながる端緒をつかませたいのかそれとも違うのか、というところがわからない。体験学習で、社会に出てフィールドを経験するという意味では非常に成功されているが、全国の仕組みづくりを考える上では、何に焦点を絞るのかというのが今後一つ論点ではないか。
   例えば、ある老人ホームが小、中、高、大学、専門学校等あらゆる教育機関からボランティアの受け入れを頼まれていて、パニック状態だといっていた。その辺のフィールドとの交換の仕組みを整理していく必要があるのではないか。それから、これは地方で供給する人材と需要の人材がある程度地域完結しているから、企業も受け入れに対していいスタンスで臨んでいるが移動性の高い大都市では同じ仕組みではなかなか難しいのではないか。
     自分で町内会をやっていて感じるのは、私立の小学校、中学校に行っている人が相当いて、地域社会は子どもを通じて親同士も知り合いになったりするが、そういう意味では全く関係のないままになってしまうケースが増えている。例えば小・中学校ぐらいの場合には、公立、私立問わず、一緒に体験できるようなことがあればいいと思う。そういう意味では、地域の推進委員会のようなものは、学校を越えた仕組みづくりも考えていかないと、なかなかうまくいかないのではないか。
     PTAでは、体験活動というのは新しい取組ということで、どういう子どもたちを育てたいのかということを学校とともに環境をつくっていこうということで、ほとんどのPTAで体験学習は大なり小なり進められている。
   こういう体験学習を学校教育の中に意図的にシステム的に組むことによって、社会、企業も含めて、学校に関心をもつようになるのではないか。
   また、地域で体験学習をすることで結びつきができる。そういう場をまず意図的につくる仕組みをつくり、その後に今度は子どもたちの自発的な活動に取り組んでいくことが大切ではないか。
   それから、企業とか社会体験の活動はとても大事に思っているが、これも先ほどから議論があるように、地域差の問題がある。特に地方の田舎だと、職業に選択の幅がなくて、どうするのか、という意見も出てくる。都会にはいろいろな専門の方々とか、いろいろな専門分野があって、そういう方々から例えば「総合的な学習の時間」等でお話を聞いたりできるのも、都会ならではの魅力の部分もある。また、地方では、自然がたくさんあるので例えば1週間泊まり込みとか、青少年の施設とかを利用して、自分たちで飯ごう炊飯とか、自立をしてやっていくということも大切になってくる。体験学習というところはもう少し幅を持たせて、1週間、5日という連続的な中で、子どもたちが同じ目的を持って、学校の中で出会う大人とは違う大人に触れながら学び合っていくというシステムがとても大事なので、これは何らかの形で提言ができればと思う。
     体験学習、「トライやる・ウィーク」というのは非常におもしろいし、大事な活動だと思う。しかし、この運動とこれから議論を進める奉仕活動ないしボランティア活動とでは、必ずしも重ならないものもあると思う。例えば、「トライやる・ウィーク」に関係のある方々を見ると、ここでボランティアないし奉仕活動を一番なさっておるのは指導ボランティアの方々である。
   受入先が奉仕活動の場所として適当であるかどうかというのは、やはり議論が分かれるだろう。例えば、美容院に行ったり、工場に行ったり、私企業にいくことは、職業体験という場合ならどこに行っても許されるが、奉仕活動とか、ボランティア活動を建前にしていった場合に、公共性という概念がかかってくるので、ある特定の私企業を結果的に応援するないし応援しない、どちらにしろかかわりを持つことはいかがなものかという問題が出てくる。
   そうすると、活動先は、「トライやる・ウィーク」の事業を進める場合は、ある意味では無限にあるが、奉仕活動の場合は、基本的には無限にあるが、やり方をひねらないと、同じ形で取り組むとどこかでショートするのではないか。そこはどの部分なのかという点が、恐らくこれからの論点の一つになるのではないか
     「トライやる・ウィーク」の事業は、例えば学社融合の例、ボランティア体験の例というように、いろいろな面からとらえられる体験なので、奉仕活動・体験活動という部分の例として意見発表いただいたわけである。
   そこで、奉仕活動にどうやって結びつけるかについて、子どもたちが育っていくある時期に、少し強制的でもいいからこういった体験をさせることが大事ではないかという御意見が以前あったと思うが、そういう意味で、広い意味での体験学習は、例えば中2なら中2にみんながやるというのは、社会に参加するという意味で賛成である。ただ、子どもたちの自分の関心ある分野をまず出させてみることが重要である。学校の枠の中で全員が原則として体験学習をやるのであれば、その成果は日常的な生活習慣にならなければいけない。ある一定の期間だけの体験だけではなくて。日常的な生活習慣になることと、社会のためにということが、体験学習の成果として出てくる。   社会のためにのほうは、地域社会の枠として学校外活動のボランタリーな社会活動という感じに広がっていくという仕組みができたらいいのではないだろうか。そのために、推進委員会が学校についているのではなくて、地域全体についているという大きな目で見ていただくことが必要になるのではないか。
   このようなプロセスを通りながら、一体どういう人間像を目指しているのかということは、こういう審議会で少しはっきりしなければならないのではないか。
     いろいろ問題提起もあったので、次回以降、再度検討していきたい。
7. 事務局より、今後の日程について説明があり、閉会となった。