公立社会教育施設の所管の在り方等に関するワーキンググループ(第5回) 議事録

1.日時

平成30年5月14日(月曜日)14時00~16時00

2.場所

文部科学省5階5F3会議室

3.議題

  1. 論点整理
  2. その他

4.議事録

【明石座長】 
 定刻でございますので、ただいまから第5回公立社会教育施設の所管の在り方等に関するワーキンググループを開催いたします。
 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 まず、事務局より資料の確認と本日の会議の流れを御説明してください。お願いします。

【伊藤社会教育官】 
 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第と座席表のほかに資料の1から5、参考資料の1から6を配付しております。
 なお、参考資料の6につきましては、前回のヒアリングを踏まえまして、枚方市より追加資料をいただいたものでございます。
 過不足ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
 本日は、まず、山崎委員から一言御発言を頂いた後に、次第にありますとおり、論点整理について意見交換を行うこととしております。

【明石座長】 
 では、本日御出席の山崎委員、お願いいたします。

【山崎委員】 
 皆さん、こんにちは。御無沙汰しております。5回目にして初めてということで、大変申し訳ないなというふうに思っていますが、studio-Lという事務所を大阪でやっている山崎と申します。コミュニティーデザインというふうに自分の仕事を呼んでおりまして、地域で何かを創っていこうとするときには、地域の方々と一緒に学んで、話し合って、自分たちで決めて、できる部分は自分たちで実行していきましょうと、そんなようなことをお手伝いする仕事をしております。ひょっとしたら肩書のところに東北芸術工科大学というのが残っているかもしれないんですが、3月末にそちらは辞めまして、自分の事務所のスタッフに学科長を任せましたので、今はもう単なる零細企業の社長という立場で活動しております。どうぞよろしくお願いします。

【明石座長】 
 ありがとうございました。
 それでは、議題に入りたいと思います。まず、事務局より、「公立社会教育施設の所管の在り方等について【検討メモ】」について御説明をいたします。八木課長、お願いします。

【八木社会教育課長】 
 それでは、私の方から、資料3に基づきまして、公立社会教育施設の所管の在り方等について御説明させていただきたいと思います。
 表紙の1枚目を御覧いただきたいと思います。まず、スタートのところでございます。皆様も御承知かと思いますけれども、社会教育に関する事務の所管につきましては、これまでも過去について何度か議論をされてきたところでございます。その都度、平成17年、平成20年、そして25年の答申でも教育委員会が担当することが適当であるという結論が出ているわけでございますが、その理由といいますか、意義というのを整理させていただいたのが1でございまして、まず一番大きい理由としまして、平成25年の答申でも理由となりました政治的中立性の確保、そして、それ以外の管理運営上の諸課題としまして、継続性・安定性の確保であったり、地域住民の意向の反映であったり、そして学校教育との連携、こうしたものがあったことから、教育委員会が所管することを基本とするという結論がなされてきたところでございます。
 そうした中で、2ポツに移りますけれども、社会情勢の変化を踏まえた今後の社会教育施設に求められる役割というところでございますが、3つございまして、まず、社会教育施設というのが地域における学習ニーズに応える拠点としてこれまで機能を果たしてきたところでございます。ただ、一方で社会情勢が急激に変化する中で、地域活性化であったり、まちづくりの拠点であったり、防災拠点など新たな役割が期待されて、地域課題解決に向けた活動の拠点としての役割を果たすことも一層必要になっていると。
 こうした背景もありまして、2つ目の丸でございますけれども、平成26年及び29年の地方提案では、社会教育施設について、地方公共団体の判断で条例により首長が所管することを可能にすることについて提案が行われてきたところでございます。
 そして、今回のワーキングにおける17回に及ぶヒアリングにおきまして、公立社会教育施設の所管について、各自治体が地域の実情に応じて政治的中立性の確保であったり、学校との連携等について、担保措置を講じた上で首長が担当することを認めてもよいのではないかという意見が多く述べられたところでございます。
 こうしたことを踏まえて、特例措置の導入と3ポツにありますけれども、いわゆる地方公共団体の判断で条例によって首長が所管できるといった、いわゆる所管の選択制という特例措置を導入することの可否の検討に当たって幾つか論点があるのではないかというのが、この3ポツの四角囲みのところでございます。
 大きく分けると3つございまして、政治的中立性の確保、そして先ほど申し上げました管理運営上の諸課題、そして3つ目、特例措置の範囲をどこまでにするのか、こうしたものがあるかと思います。
 まず、政治的中立性の確保、1番目でございますけれども、これも先ほど申し上げましたが、平成25年の答申でも最終的に社会教育を教育委員会に存置する根拠となったのが、こちらの理由でございますけれども、こちらについて、こうした考え方ができないかということでございます。学校教育が児童生徒の発達段階に応じた体系的な教育を行い、社会を生きる上での基礎的な素養を身に付けさせるものであって、教育方針の一貫した安定性、継続性の観点から、ここにあります基本法というのは教育基本法、中確法というのは義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法というのがございます。教育公務員特例法というのがございまして、こうしたものの適用があることに対しまして、社会教育の事業というのは任意参加で強制性が伴うものでないこと、そして比較的短期間で行われるものであること、さらには、参加者が成人の場合であれば本人、青少年である場合にはその保護者などが批判能力を有していると考えられること等から、社会教育については、教育委員会における一定の関与や第三者機関への設置等の担保措置を講ずることによって、政治的中立性の確保が可能と考えられないかということでございます。
 2つ目の論点でございますけれども、管理運営上の諸課題としまして、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映、学校教育との連携に関しましても、政治的中立性の確保と同様に、教育委員会により一定の関与であったり第三者機関の設置等の担保措置によって、その確保が可能となるのではないかということでございます。また、個々の社会教育施設につきましては、いわゆる平成15年度から先行措置として指定管理者制度が導入されているところでございまして、こうした実態と比較する必要があるのではないかということでございます。
 そして3つ目でございますけれども、特例措置の範囲でございます。教育委員会というのが都道府県であっても市町村であっても、教育振興基本計画における社会教育の振興の方針の策定、いわゆるグランドデザインを描くことであったり、首長やNPO法人等の多様な主体との連携、調整を行って社会教育を牽引する役割があるということを考えると、特例措置の範囲を個々の施設の設置、管理、そして廃止に関する事務に限定するべきではないかということでございます。もう少し細かく言いますと、都道府県の教育委員会の場合は、専門的、広域的な観点から域内の社会教育行政を総合的に推進し、市町村の教育委員会においては社教主事も活用して、地域学校協働活動の推進であったり社会教育関係団体との連携等について積極的な役割を果たすことと整理できるのではないかということでございます。
 そして、今日、またこれについては御議論をいただくことになりますが、1、2、3の論点が整理されたとした場合、一定の担保措置を講じた上で、個々の社会教育施設に関する設置、管理、廃止に関する事務に限定して特例措置の導入を認めてもよいのではないかということでございます。
 そして、仮に認めてもよいということになったとした場合の担保措置の内容でございますが、これが4ポツでございまして、以下のようなものが考えられるということございます。まず、特例措置の際の条例の制定であったり施設に関する規則の制定、こうした際には教育委員会の意見を聞くこととすること。そのほか、社会教育委員等の会議を活用した第三者機関の設置について制度上明確化すること、そして3ポツですけれども、これは平成26年度地教行法改正によって新たに創設された制度でございますが、総合教育会議というものがございますので、これの活用によって教育委員会が首長と積極的に協議、調整をしていくこと。さらには、社教主事が専門技術的な助言と指導を積極的に行うことであったり、施設の職員に対する研修の充実を行ったり、運営状況の評価や情報提供の促進、又は各館に設置された審議会、協議会の活用を積極的にしていくこと、こうしたものが担保措置の内容として考えられるのではないかということが、こちらの検討メモの概要でございます。

【明石座長】 
 八木課長、ありがとうございました。今、課長の方から検討メモに準じながら、大きく4つの柱の概略を説明していただきました。これからは、各4つの柱の具体的な中身に入っていきたいと思います。まず最初に、1の社会教育に関する事務を教育委員会で所管することの意義について、事務局より別添1の御説明をお願いいたします。

【八木社会教育課長】 
 それでは、今の資料3を1枚めくっていただきまして、別添1という1枚紙があるかと思います。これにつきまして御説明をさせていただきます。
 先ほど御説明したことと重複いたしますけれども、若干詳しめに御説明させていただきますが、まず丸の1つ目でございます。平成25年のいわゆる中教審の答申で、ここのかぎかっこにございますように、社会教育についても、公民館、図書館等の社会教育施設で行われる各種事業は、学校における教育活動と同様に人格形成に直接影響を与えるものであり、対象が成人であったとしても、その内容には政治的中立性の確保が必要であり、教育行政部局が担当するものとして存置すべきと、こうした整理がございます。このほか、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映、学校教育との連携が求められること、さらには、今回の新学習指導要領におきましては、社会との連携及び協働によって、「社会に開かれた教育課程」の実現を目指すとされたこともございますし、平成29年の社教法改正では、「地域学校協働活動」が新たに明記をされたところでございまして、学校と社会教育の一層の連携が求められるようになってきているという点を踏まえる必要があるだろうということでございます。
 また、本ワーキングにおきましても、ポツが4つございますけれども、社会教育施設としての本来的機能が損なわれる懸念があるといったことや、上記で述べましたような政治的中立性の話であったり、又は収益性・効率性が期待できる事業が優先されてしまう可能性があること、学校教育との連携が図りにくくなる可能性があることなどの懸念の声があったことでございます。
 こうしたことを踏まえると、今後とも、公立社会施設を含む社会教育に関する事務については教育委員会が所管することを基本とすべきであるというのが、この別添1の内容でございます。
 以上です。

【明石座長】 
 ありがとうございました。この1について、何か御意見ありましたらお願いいたします。最後の3丸で、「公立社会教育施設を含む社会教育に関する事務については教育委員会が所管することを基本と」という、この「基本と」ということがキーワードかなという感じはしておりますけれども、それをまず大きな前提として議論を深めていきたいというのが、この検討メモの提案でございます。これはよろしいでしょうか。
 では、引き続きまして、次は2番の社会情勢の変化を踏まえた今後の社会教育施設に求められる役割に移りたいたいと思います。同じく八木課長から、別添2の説明をお願いいたします。

【八木社会教育課長】 
 それでは、別添2に基づいて御説明させていただきます。資料でいうと2ページ、3ページ、4ページ、5ページにわたるものでございます。
 まず前提といたしまして、我が国というのが、今、少子化における人口減少の局面に入るとともに、高齢化が急激な勢いで進んで、東京の一極集中というのも継続するなど社会情勢が急激に変化しております。また、地域経済の縮小であったり、一人親世帯の増加等を背景とした貧困問題、財政の悪化、こうしたもので地域社会というのは様々な課題に直面しております。
 公民館、図書館、博物館等の社会教育施設に関しましては、これまで地域における学習ニーズに応える拠点として機能してきたわけでございますけれども、こうした社会変化の中で新たな役割というのが期待され、地域課題解決に向けた活動の拠点としての役割も果たすことが求められるようになってきていると考えられます。
 これからは、個別にそれぞれの館ごとに見ていきたいと思うんですが、まず(1)で公民館でございます。公民館につきましては、公民館が社会教育法に規定される目的を達成するため、地域の学習拠点として、地域住民の学習ニーズに対応した講座、講演会、展示会等を実施してきたところでございます。
 今後でございますけれども、特に地域課題を解決するために必要な学習を提供する役割や、地域課題の解決のために実際の活動を推進する役割、コミュニティー形成やネットワークづくりを推進する役割、地域社会の持続的な発展を推進するセンター的役割、地域の防災拠点としての役割、地域学校協働活動の拠点、そして中山間地域における「小さな拠点」に必要な施設、こうしたこととしても期待されております。
 もともと公民館は昭和21年の文部次官通牒で設置されることになったわけでございますけれども、その当時、機能として社会教育機関であるとともに、例えば町村自治振興の機関であったり、産業振興の機関であったり、こうした役割も期待されていたところでございますので、その当初の設置の趣旨とも合致するものではないかと考えられます。
 3ページに参りますけれども、地域コミュニティーを維持するこという観点からも、公民館の機能というのは極めて重要でございまして、今後、公民館はこれまで培ってきた地域との関係を生かしながら、地域の実態に応じた学習と実践を結び付ける機能を有する新しい地域の拠点施設として目指していくことが望まれるのではないかというものでございます。
 今度、2つ目、図書館でございますけれども、図書館につきましては、図書館法に規定される目的を達成するため、図書の貸出、読書会、レファレンスサービス等を実施してきたところでございます。
 今後でございますけれども、今回の学習指導要領でも、総則に、地域の図書館や博物館等の施設の活用を積極的に図って、資料を活用した情報の収集であったり観賞の学習機会を充実することというのを新たに盛り込まれたところでございます。こうした社会に開かれた教育課程の実現に向けて、学校との連携を強化するということに加えまして、商工労働部局や健康福祉部局等と連携した地域課題解決や地域の先駆的、主体的な取組の支援に資するレファレンス機能、また障害者等の全ての住民に読書の機会を提供する機関として、いわゆる社会的包摂の観点から積極的、能動的に応えていく役割、そして「小さな拠点」において地域住民のニーズに応じた情報の提供等を行う情報拠点、地域の住民の交流の拠点であったり、郷土歴史、文化を発信、体感できる役割も期待されるということでございます。
 また、図書館に関しましては、複合施設の例の中でも極めて進んでいるところがございまして、図書館に様々な機能を取り込んでいくことが今後の一つの特徴的な流れとなっております。そうした中で、地域の情報拠点として利用者及び住民の要望や社会の要請に応えて、地域の実情に即した運営に努めていくことが必要でございます。そのために、市民生活のあらゆる分野に係る関係機関との連携が求められるということでございます。
 続きまして、(3)博物館でございますけれども、博物館は地域の遺産とも言うべき様々な学術資料であったり芸術作品等を収集、保管し、それらについての調査研究を行い、これらの資料や調査研究の成果を通じた展示、教育事業を行ってきたところでございます。
 4ページにまいりますけれども、今後は、先ほど申し上げましたように、新学習指導要領で図書館や博物館の役割が明記されたということもございまして、社会に開かれた教育課程の実現に向けて、いわゆる学校教育との連携を強化するということがあるとともに、地域住民はもとより、国内・国外の多くの人が訪れる交流の場として、交流人口の拡大と地域活性化に寄与する役割というのが期待されております。また、障害者等全ての人々の知的好奇心に応えられるような展示等を通じて社会的包摂の観点からも積極的、能動的に応えていく役割も期待されます。
 特に博物館に関しましては、近年、訪日外国人旅行者数の増加等によりまして、博物館が新たに観光資源としての観点からも期待が高まっているところでございます。経済活性化が期待できる一方で、博物館は単なる観光資源ではなく、外国人旅行者に日本や地域に関する正しい知識や価値観を理解してもらい、尊敬や親近感を醸成してもらう場であったり、外国人旅行者と交流する場であるという視点で重要ではないかと考えられます。また、住民が自らの地域について学び、誇りを持つことが観光にとって重要であるという指摘もございましたので、その点においても博物館というのは重要な役割を果たすと考えられます。
 続きまして(4)でございますが、青少年教育施設でございます。青少年教育施設は、青少年を対象に研修事業や体験活動プログラムの提供を行うとともに、青少年団体等の利用に供するために設置される社会教育施設でありまして、体験活動の機会の場を提供する中心的な役割を担って、青少年に成長に大きな影響を与えております。
 今後でございますけれども、次世代を担う青少年の健全育成を総合的に推進する拠点としての役割を担うことも期待され、例えば様々な悩みを抱える若者を対象とした相談であったり、引きこもりや非行少年の自立支援、地域における防災拠点などの役割を青少年教育施設が担うということも考えられるのではないかということでございます。
 続きまして、最後に(5)の女性教育施設でございます。女性教育施設は、女性や女性教育指導者を対象に各種の研修、情報提供等を行うとともに、その施設を女性や関係団体等の利用に供するために設置される社会教育施設でありまして、女性教育の振興に大きく貢献しております。また、実際には「男女共同参画センター」や「女性プラザ」等として、社会教育にとどまらず幅広い活動を行っているもので、女性向けのキャリア形成支援やリーダー育成等に係る講座を展開するとともに、女性に関する各種相談窓口を設置するなど、男女共同参画の推進にも大きく貢献しています。
 今後でございますが、労働市場や地域社会において、女性の一層の社会参画が期待されているところでございまして、例えば出産、育児等により離職した女性の就業支援や地域活動の参画を促すための多様な学習機会の確保や情報提供等が求められるのではないかということでございます。
 別添につきましては以上でございます。

【明石座長】 
 ありがとうございました。社会の大きな変化に対応して、この社会教育施設が今後どういう形で機能を果たしていくかということについての5つの具体的な施設を取り上げながら御説明いただきました。何かこれについて御意見ありましたら、よろしくお願いいたします。例によりまして、名札を立てていただけると助かります。

【矢ケ崎委員】 
 すみません。ちょっと遅くなりましたが、先に発言をさせていただきます。
 御説明ありがとうございました。また、私は観光が専門なものですから、特に博物館の記載におきまして、観光の現状、それから観光振興における博物館というものの位置付けをしっかり正確な言葉で記載をしていただきましたことに大変感謝を申し上げます。全く記載のとおりでありまして、単なる観光資源ではないというところが大変重要なところであって、きちっとしたお言葉を使われていると思います。
 この記載について何ら修正等の意見はないんですが、加えて、政治的中立性云々ということ以上に心配しておりますのは、観光はビジネスであるという側面があります。ですので、もしかしましたら、観光振興、そしてその結果、地域にたくさん人を呼んでお金を落とそうというお気持ちが大変強く出すぎてしまうような場合は、美術館、博物館のキャパを超えたオーバーユースのような、あるいは、ただでさえ専門の職員の方々は、十分に人的体制が組まれているとは思えない中での過度なお仕事といったような現場が生じてしまうことも、初期の段階ではあろうかと思います。観光側も博物館の意義、そしてそれを未来につなぐ形で活用しなければいけないということについて、徐々に分かってくるとは思いますけれども、これまでに至るまでの段階で、使い方に関して、活用の仕方に関して、博物館に関しましては特に観光という要素の観点からはチェックの体制をしっかり持った方がいいのではないかなと。これは何も使わせませんとか、これはオーバーユースで、文化財がおかしくなりますからそばに寄らせませんという、禁止するということではなくて、観光ビジネスをやっている側、あるいは観光地域づくりをしている側、要するに観光の側の人々が博物館、そしてその中の収蔵物の大切さ、地域の宝をよく理解していただくような形で、関わる形で体制を構築していただくことができれば、お互い勉強し合いながらいいところに落ち着くのではないかなというような、そういうことを感じました。
 記載の箇所については、ここがいいのか、措置のところでしっかり書くのがいいのか分かりませんけれども、観光に関しましては、その先の活用の現場を想定したことも少し必要かと思って申し述べました。
 以上です。

【明石座長】 
 ありがとうございました。
 では、関委員。

【関委員】 
 私、公民館のことについて、まず、少し触れさせていただけたらと思います。ここに書いていただいておることは全く同感でございます。本来、戦後、公民館ができたところの原点にもう一度立ち戻ろうかというふうな観点で、書きぶりが見られます。ここのところずっと議論してきたのは、この観点であったかなと思うんですけれども、これを進めていくと、結果的には、先ほど山崎委員がおっしゃっておったような、地域を自分たちで創っていく、そのために学ぶことと活動、実践をつなげていくような拠点施設として、平成の間は、どちらかというと学ぶことにウエートが置かれたものから、新たな時代に向けてシフトをもう1回するというふうな受け取り方ができるのではないかなと思います。コミュニティーとのつながり、あるいは学校とのつながりもますます今後膨らんでいくかと思いますので、是非この中で、恐らく首長部局の方は、自らの地域の行政課題を市民とともに解決していくような方向を今施行していると思います。地域の温度差はあろうかと思いますので、一気にやるのではなくて、それぞれが自らの責任、選択において取り組んでいけるような方向性を考えていただけたらいいのかなと思います。

【明石座長】 
 ありがとうございます。
 では、金山委員。

【金山委員】  
金山です。私からは、資料4を用意させていただきました。これについて基本的な考え方については後のところで述べることにしますが、山崎委員の方から、観光と博物館ということについて意見が出ましたので、それについて私も思うところがあります。この資料にも書きましたが、補足説明させていただきたいと思います。
 資料4の5ページのところになります。ここのところに、いわゆる首長部局との所管の選択制ができるということになった場合、危惧していることは、首長の意向により博物館を観光施設に使うことが、これまでにも増して、大いにあり得るということです。そうした場合、気を付けておかなければならないことがあります。博物館を観光目的にするようなところもあれば、必ずしも観光にはそぐわない博物館もあります。首長部局になれば、観光に使えないような博物館は、廃館にすることもあるかもしれませんが、予算や職員の削減、施設の修繕をせずに放置することも懸念されます。
博物館は本来、観光施設ではなく教育機関であることを首長が理解した上で、観光事業にも活用することはあってもよいと思います。この辺りのことを首長に理解を促すような場を設置して、博物館振興について理解を深めてもらうということが大事ではないかと思います。そのために国や全国的な博物館関係団体が取組むことの必要性を、この4のところでは触れた次第です。

【明石座長】 
 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
 では、生重委員。

【生重委員】 
 確かに物すごく人が入るようなところは、入っているか入っていないかでかなり違ってくるかなと思うんですが、私、結構、全国いろいろ行っていて、平泉が世界遺産を受けたときに、タクシーの運転手さんもバスの運転手さんも全員研修を受けて、平泉文化を語れる人になろう、英語でも研修を受けようみたいな、施設の人たちも含めてみんなが学び合っていくという意欲と、それから私、1回講演に呼んでいただいた郷土資料施設のようなところが物すごいすばらしい展示をしていらっしゃるのに、研修に来ている人と私以外はいないんです。一般のお客様が1人も入ってないんです。観光地なので、平日であろうとも、平泉とか、様々有名な施設には、ぐるっとめぐるバスやタクシーで行っているのに、「ここは宣伝してないんですか」と伺ったら、「いや、特別には」と。「入れたらいいぐらいすばらしい展示ですね」と。建物を見ることも大事だけど、その建物が建つことになっていった歴史の背景とか、そういうものが全て分かるような展示になっていて、すごい勉強になったなと。もっとああいうところは逆に宣伝をしていただいて、有効活用した方がいいのになと。研修をするときに、タクシーとかバスの方にも、公共施設のことも一緒に案内してもらえるような工夫があってもいいんじゃないかなと。あと津軽鉄道も、各沿線に講演で歩いたことがあるんですが、郷土史と雪国の暮らしの展示をたくさんしているのに、そこも誰も入ってないんです。津軽鉄道があれだけ営業努力をして、鈴虫列車だの、スルメを焼くだの、あの手この手で、立佞武多会館だの、いろいろやっているのに、どうして各沿線に人がおりるようにしないんだろうと。そういうせっかくの掲示物があるところが有効活用されていない、物すごく逆のパターンをいっぱい見ているので、そこの町に人がおりてみることが、とても分かっていただける大事な一歩なのかなと。
 私が住んでおります杉並は、科学館が老朽化で廃止になりました。それはいろいろ話し合いが行われて、既存施設として残すべきだ、科学技術発展振興のために掲示をしておくことや実験教室をすることはとても大事だという意見も片一方にすごくあったことは事実なんですが、そこを建て直すことによって掛かる資金というものを考えたときに、廃止せざるを得なくなったんだというふうに私は受けとめているんですが、そのときに教育長に「今後の科学発展のために、施設をなくして、どうなさろうとお考えですか」と聞いたときに、明確にきちっと「クラウド型にしていきたい。学校教育との連携はクラウド型だ」と。大人向けも子供向けも、大人が持っている技術を子供に伝えるためも、うちは既存の社会教育施設がたくさんあるので、そういうところで講座をしたり、研修をしたり、発表の場を設けたり、子供の参加型をやっていくと。あそこに杉並の社会教育の偉い方がいるんですが、施設も耐震ができないぐらい古い、地割れの起きている施設だったので仕方がないかなというふうに思いつつ、それと私、一方で、既存施設は長いこと同じ管理体制でいると形骸化していくというのを、その施設でつぶさに見ました。やはり同じことをやっていては、魅力は発信されていかないので、どういうことをやっていくのかという、常にそこに身を置いているものも、それから関係者も、もっと社会教育の委員会がきちっと発展していき、そういうところで自分の町にとって何が必要なのか、どういうことが行われればいいのかということを、社会教育主事を見直すのと同時に、社会教育委員会のありようみたいなものも、もっと明確にそれぞれの市町が問い直す時期になるんじゃないかなと。それによって、いろんな施設が、それぞれが活力のある、魅力のある市民に向けた様々なことを提供していける場になるんじゃないかなというふうに私は思っています。ですから、どこが所管するか決める権利があるというのは刺激になっていいんではないかなというふうに思います。

【明石座長】 
 ありがとうございました。
 では、清原委員。

【清原委員】 
 4点ほど申し上げたいと思います。
 1つは、社会教育施設の強みをきちんと押さえておく必要があるということです。これは、文科省はもうちょっと広く宣伝してもいいと思いますが、公民館が約1万4000、博物館、図書館数千ずつ等の施設を面として持っているわけですよね。この数というのは非常に大きな強みです。このことは、これからの時代を考えていくときに、大きな強みとして文科省は特に強調していただきたいと思います。
 また、歴史的にも、人が育ち、人がつながる拠点として、これまで何十年にもわたって多くの経験を蓄積してきています。公民館でいえば、学習手法1つとっても、戦後復興の時期であれば「話し合い共同学習方式」、また、1960年代後半以降の「講義方式」の導入、それから1980年代の話し合いによる「わがこと」としての学びと、講義による社会構造や、歴史的な問題の学習を合わせて学習しようという「講義と話し合いのサンドイッチシステム」、さらに1990年代以降の「ワークショップ方式」の導入というように歴史を重ねてきています。
学習領域という面でも同じです。戦後の農村復興から始まって、環境問題、子どもの問題、女性問題、、高齢者問題、ワーク・ライフ・バランスなど、その時代に合わせて学習領域を広げてきている。社会教育施設の数の強み、そして、これまで数十年にわたって社会教育施設が蓄積してきたものの強みをきちんと押さえて、この問題を考えていく必要があるということが1つ目です。
 2つ目には、しかしながら、人とカネが減ってくる中で、教育委員会所管であろうとなかろうと、直営であろうと、指定管理であろうと、主催事業が減って貸館にシフトしてきているところがかなりあることです。貸館ももちろん大事なんですが、これまで時代の節目、節目で社会教育施設は、主催事業をきちんと打ってきています。単なる学習ニーズに応えるというだけではなく、また、しかも上から目線の意識啓発ということでもなく、遅れている意識を啓発するという感じのところが今もなきにしもあらずですが、かつて社会教育施設が時代を動かしてきたときにそうであったように、職員と住民がフラットに議論しながら事業を企画し、一緒になって実施していく、そのことの大切さを強調する必要があると思います。初めてこの問題に取り組むんじゃない、これまでの歴史の中でそういう経験をして時代を動かしてきたんだと、その社会教育施設の自負をきちんと打ち出すべきであると思います。
 それから3つ目は、特に大きく社会教育が展開していった第二次大戦後の時期、それから1960年代から70年代の時期というのは、学びと学びの出口、学習と学習の出口がサイクルとしてつながっていました。ところが、今、学習と学習の出口をつなぐマッチング機能、コーディネート機能が弱まっているなという感じがしています。
これは人が減ってきているということも1つの要因なんですけれども、その意味で社会教育士には是非期待したいと思っておりますが、例えば観光客への博物館の分かりやすいパンフレットづくり、子連れで行けるマップづくりといったように、住民自身が職員と一緒になって行うことで住民も力を付ける、また、そうした活動に参画することで職員も力がついていきます。住民も職員もそうした事業を一緒に行うことで、学習と学習の出口を両方視野に置きながら一緒に学んでいくことで、学習後のボランティア活動や地域活動などにもつながっていきます。そうしたマッチング機能やコーディネート機能強化していくという視点をきちんと書き込む必要があるだろうと思います。
 それから4つ目には、学ぶということと学んだことを生かすということが一緒に行われていくようなフレキシブルな企画を打って、住民とフラットに議論して、学習の出口となるNPOなどのメンバーともフェイス・ツー・フェイスの信頼に裏打ちされた関係を紡いでいける。そういう「人」がいないと、教育委員会が持っていようが、首長部局が持っていようが、いくら協議会を作ろうが作るまいが、結局は形骸化するだけです。
その意味では、一方的に講演を聞くというだけの研修ではない、例えば職員と住民が一緒に学ぶ系統的な中長期のリーダー養成講座、住民向けとか職員向けとか分けずに一緒に学べるような系統的なリーダー養成講座なども含めて、首長部局と教育委員会、民間と行政が一緒に何かを創り、一緒に議論し、一緒に発信していくといった民間と行政、職員・スタッフと住民リーダーがともにエンパワーメントしていく仕掛けが必要です。
これは率直に言って、どこに所管があろうが一緒です。結局、「人」がいるところは動いていくし、「人」がいないところは動いていかないということになりますので、所管の問題を議論していくに当たっては、そういう「人」を養成していけるのかどうかということが極めて重要であるということを強調したいと思います。
 それから、細かいことですけれども、5ページの白丸のところに「女性の就業支援や地域活動への参画を促すための多様な学習機会」云々とありますが、「促す」という言葉は上から目線かなと。したがって、「地域活動への参画を支援するための多様な学習機会の確保」という言葉の方がいいと思います。
 以上です。

【明石座長】 
 非常に貴重な意見を4点ほど挙げてくれました。参考になりました。
 では、山崎委員、お願いします。

【山崎委員】 
 まとまっていないのでうまくしゃべれるかどうか分からないんですけど、話をするとすれば、この2番の社会情勢の変化を踏まえたというところでしゃべるべきかなと思って、お話をします。
 今、清原さんもおっしゃったとおり、社会情勢の変化に伴って、特に公民館はやり方をいろいろ変えてきたということがあるのと同時に、でも、このままじゃいけないという問題意識はそのとおりだと思っていまして、これは僕の勝手な推測かもしれないですけど、コミュニティーデザインとかまちづくりを地域でやっていて、公民館を活用している人に余り会わないんです。僕らが会いに行けていないのかもしれないんですけど、公民館は特定な人たちがいつも予約して使っている施設だよねという認識になっていることが、とても多いんですね。僕が200ぐらいの自治体から頼まれて、たまたまそういう自治体からしか頼まれていないからかもしれないです。もっとちゃんと公民館を多様な方々が使っている自治体だってあるはずなんですけれども、往々にして、若い人たちとかは「行ったことないですわ」というような人たちが、30代、20代、40代にすごく多いと。だから、公民館はそんなに政治的中立性とかを考えるほど、怖がるほど影響力を持ってないんじゃないかなというふうに思っちゃうことがあって。話を聞いていて、政治的中立性って、もっとネットの方で監視した方がいいぐらい、今、影響力があるんじゃないかなと思いました。一般の人が本を買うということができるようになってきた江戸の後期と、明治くらいからラジオが出てきたり、テレビが出てきたり、インターネットが出てきて、スマホが出てきて、人々が何か情報をインプットしようと思ったときに、公民館とか社会教育施設から情報を手に入れようというふうに思うよりも、いっぱい情報を手に入れている人たちがいたり、あるいは手に入れなくていい情報ばかり集めちゃったりしている状態を我々はどうやって社会教育として捉えていくのかということが重要な気がします。
 もし情報を手に入れる術を持った人たちがかなり割合として増えているんだったら、むしろ、その人たちが学び合う場にどうやったら公民館も参加することができるかを考えるという発想も必要な気がするんですね。公民館にいろんな人たちに参加してもらうというよりは、地域の課題を語り合う場はどこかにあって、そこにどうやったら社会教育施設は貢献できるんだろうかというふうに考えていくという必要もあるような気がします。いろんなワークを開いても、社会教育主事の方が来ることも余りないですし、公民館に関わっている人たちが来るということも余りないというときに、みんなは、ワークショップなんかで宿題とかやると、公民館に行ったり、図書館に行って調べてくる人はほとんどいないんですね。大体は、薄っぺらいと言われようとも、ネットで調べてきましたという、プリントアウトをやったやつを第3回目、4回目のワークショップで出して、それで話を進めていて、そこに社会教育の果たしている意義というのが余り見えていないなというふうに思うことがあるので、時代の変化を踏まえて、今後、社会教育施設にどんなことが求められていくのかなというふうに考えるとすれば、自分たちが果たせる役割をもっといろんな分野のところに持ち込んでいくというような発想が必要で、今の公民館だったり、その他の施設だったら、今まで使ってくれていたような興味を持っている人たちが繰り返し、毎週のように予約をして使うというようなことになるのが、そのまま続くんじゃないか。もしそうだとすれば、先ほど来のように、金もうけの方に走っちゃうかも、社会的な中立が保てるかもというような心配よりも、もっと心配しなきゃいけないような状態が公民館に訪れることになるのかなという気がしています。
 それからもう一つ、そういう心配があるから、首長部局との関わり方をうまく精査していかなきゃいけないなという発想もあるんですけど、一方で、首長部局の方が都市計画マスタープランを作っていたりとか、総合計画だったりとか、あるいは地方創生の総合戦略であったりとか、もちろん病院を造る、美術館を造る、全部ワークショップをやった方がいいし、ワークショップをやるんだったら、みんな学び合わなきゃいけないんですけれども、そんなの、コミュニティーデザイン事務所に外注している場合じゃないような気がするんですよね。あなたのところには社会教育施設があって、社会教育に関する専門家がいるんだから、その人たちのところに1000万ぐらい出して発注したらええやないかと、教育委員会に首長部局が。それを受けて、総合計画のファシリテーションやりましょうかという、物すごい愉快なファシリテーションをやって、学びの場を提供してくれればいいような気がします。それがなぜか外部のコンサルタントとか、シンクタンクとか、コミュニティーデザイナーなんていう、うさん臭い人間に仕事を頼むというような状態を何とか僕はなくしたいなと思っているんです。それを社会教育主事だったり、公民館だったり、あるいはほかの社会教育施設の専門家がうまく担えるような状況を作っていかなきゃいけない。これは最初の問題意識と一緒です。黙っていて人が集まってきて、政治的に偏ったら危険な状態ができるほど求められているのかどうかというのを考えないといけなくて、もっと求められる場合に、どんどん出ていけるはずの力を持っている施設だというふうに思います。
 こんな話をどこに入れればいいのかよく分からないんですけれども、社会情勢の変化というのは実に起きていて、社会教育施設に携わる人たちは、どうやって頭を切り替えて、地域コミュニティーなんていうものがもう霧散していて。アソシエーションなのか、トライブなのか、サークルなのか、1か月しかつながらない人たちが、1か月たったらまたばらばらになって次の興味でつながって、2か月友達になって、またばらばらになるというような状態のつながりを繰り返しているときに、支援型の組織が公民館を活用してくれるだろうと思っていたら、多分、どんどん使わなくなっていくだろうという気がしていますので、社会教育の施設の在り方を考えていくときには、少し時代の変化みたいなやつを鋭く入れていって、読んだ人たちがちょっと危機意識というか、新しい行動を起こすような示唆を与えるような内容になるといいなというふうに思いました。

【明石座長】 
 それも本当に貴重な意見でございました。ありがとうございます。
  では、最後、笠原委員、お願いします。

【笠原委員】 
 ありがとうございます。私の方からも、先ほどの八木課長さんからの御説明、ほかの委員の皆さんの方からの御意見、全く異義なく、むしろ強調すべきかなという点だけお話をさせていただきたいと思います。
 先ほど、それぞれの社会教育施設の、今の社会状況、変化を受けての役割のところで御説明がありましたけども、全ての施設が、当初考えられて設置されたときに比べますと、社会のいろいろな変化の中で様々な新たな課題といいますか、新しい課題をある意味では解決する拠点としての機能というのが非常に広がっているんだということを改めて感じております。したがいまして、逆に言いますと、そういう施設の機能をよりしっかり応えて果たしていくためには、地域の皆さん方の理解をより深めて、広めていく取組が併せてそれぞれの施設に求められているのかなという気がいたしております。
 先ほど博物館のことで観光の話がありましたけども、地方にとりましては、例えばディズニーランドとかディズニーシーみたいな大きな施設があればともかく、民間の施設で観光のための施設を中途半端に造っても、むしろ、それは最初だけお客さんに来ていただけても、結果的に長続きしないというような例がたくさんございます。そういうものよりは、むしろそれぞれの地域の本当の歴史や文化の宝物がしっかり情報発信される施設というのが、本当の意味での観光の一番の目玉になるのかなというような気がいたしております。そういう意味では、公立の社会教育施設というのが極めて地域の今後の発展のためにも重要な役割を担っていく必要があるのかなというふうに思っておりますし、そして、地域の方々に理解されるためには、まさに子供の頃からそういった地域のこと、あるいは地域の様々なことを子供たちに理解をしてもらう必要があるのかなというふうに思っております。そういう意味では、学校教育との連携というのが大きなポイントになるかなというふうに思っておりますし、また、特に私、今の仕事で感じておりますのが、子供たちをこれから予測不可能な社会の中でたくましく生きていく力を付けさせなければいけないというのを学校教育で大きく掲げているのですけども、実のところ、たくましい力をどこで実際育てられるのかということを考えてみますと、家庭の中、あるいは地域の中だけではなかなか、自然の体験の中で育てるのは難しい状況になっているかと思います。むしろこういった社会教育施設、あるいは青少年、特に教育施設の中で子供たちが、家庭や学校の枠を超えた、あるいは世代を超えた交流をしていく中でしか、たくましく生きる力というのは育てられないのではないかというような思いもしております。
 いずれにしましても、それぞれの社会教育施設がより幅広のいろいろな課題に対する対応を、まさにこれから課題の解決に向けて拠点となる機能が求められている中で、少なくとも所管による専門性というような狭い観点ではなく、地域社会全体の中で理解される活動、取組、施設の在り方というのをしっかり考えていく必要があるのかなというふうに感じております。そういう意味では、このワーキングの議論が、そういう点を改めて明確に発信していただければ大変ありがたいなというふうに思っております。
 以上でございます。

【明石座長】 
 ありがとうございました。では、次に移りますけれども、移る前に、課長、5つの施設の名前が出ましたけれども、美術館が出ていないんですよね。実は中教審の総会で、ある委員から、常盤局長に、美術館はどうなっているんですかと質問がありました。一般の方は、美術館というのはすっと入りやすいんだけれども、法的な制約がないので、どこに位置付ければいいかはっきりしていないのです。【矢ケ崎委員】  観光の側も分かってないです。一般の方々もその部分は……。

【八木社会教育課長】 
 改めて、例えば法律の専門家の方はお分かりだとは思うんですが、一般の方は確かに博物館と美術館と、又は動物園、水族館というのは同じカテゴリーだと認識されない方も多いと思いますので、美術館も法的にはこの中に入っているんだと、そういう整理も次回またさせていただければと思います。

【明石座長】 
 そういう素朴な意見が出たので。ありがとうございました。
 では、次は、きょうのメーンであります3番、4番の特例措置の導入の可否の検討に当たっての議論の論点と、4番目の担保措置の内容についての議論に入りたいと思います。同じく八木課長から、別添3、4の資料に基づきまして御説明をお願いいたします。

【八木社会教育課長】 
 それでは、私から資料3の別添3、6ページから御説明をさせていただきたいと思います。冒頭でも、まず御説明いたしましたが、3ポツとしまして、いわゆる特例措置とは選択制の意味でございますけれども、特例措置の導入の可否に当たって、幾つか論点があると考えられます。その1つが政治的中立性の確保であり、2つ目が管理運営上の諸課題であり、3つ目として特例措置の範囲でございます。
 まず、政治的中立性の確保について御説明をさせていただきたいと思います。先ほども申し上げましたが、まず学校教育でございますけれども、児童生徒の発達段階に応じた体系的な教育を行うことによって、社会を生きる上での基礎的な素養を身に付けさせるものであって、教育方針の一貫した安定性や継続性の観点から、教育基本法、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法、そして教育公務員特例法、こうした法律によって、政治的中立性の確保に特に配慮する規定が置かれております。
 これに対しまして、2つ目の丸でございますけれども、社会教育における事業の参加につきましては、まず、参加者の任意でなされるものであり、強制性が伴うものではないこと、そして、長期間にわたる継続性はなく、比較的短期間で行われるものであること、さらには、参加者が成人である場合には本人、青少年である場合にはその保護者が批判能力を有していると、こうしたことから、社会教育は学校教育とは異なる側面も多く、政治的中立性の確保につきましては、教育委員会による一定の関与であったり第三者機関の設置等の担保措置を講ずることによって、その確保が可能と考えられるのではないかということでございます。
 なお、こちら、参考情報になりますけれども、平成25年のときにも議論が行われたわけでございますけれども、その際、首長が任免を行う教育長を地方教育行政の責任者とするに当たって、引き続き中立性であったり継続性、こうした担保をする必要があって、そのために合議制の教育委員会が教育の基本方針や教育内容に関わる事項について、教育長に歯止め的な措置が掛けられることを前提として、具体的な制度の在り方が検討された経緯がございます。
 その中で、教職員や事務局職員の人事であったり教育内容であったり、教科書、その他の取り扱いなど、特に重要な個別の事務につきましては、教育委員会の議に基づいて、ここにある「議に基づいて」というのは、括弧にありますように、法的拘束力があるものと解されておりますが、この議に基づいて教育長が基本方針を策定するとなった一方で、社会教育に関する事務につきましては、教育委員会の議を経ることとすると。議を経るというのは、括弧書きにありますように、従う義務まではないが、強い拘束性があるものということで、いずれにしましても、議に基づくというものと議を経るという形で、明確に区別した扱いがなされているということはございます。
 2つ目、管理運営上の諸課題でございますけれども、政治的中立性と同様に、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映、学校教育との連携に関しましても、社会教育行政がほかの行政分野の中で埋没して、本来の目的が見失われることがないように、教育委員会による一定の関与や第三者機関の設置等の担保措置を講ずることによって、その確保が可能と考えられるのではないかと。こちらも1つの参考の考え方でございますけれども、既に公立の社会教育施設につきましては、設置の目的を効果的に達成するための先行措置として、平成15年から指定管理者制度が導入されておりまして、株式会社など民間事業者にも館長業務を含め全面的に管理を行わせることができるとなっております。
 なお、7ページに参りますが、指定管理者の活用におきましては、社会教育施設の場合でございますけれども、以下の手続が必要となります。1つ目が、自治体が指定の手続・管理の基準・業務の範囲、その他必要な事項を定めた条例を制定する必要があること。自治体が指定の期間を定め、議会の議決を経て指定管理者を指定すること。そして、指定管理者は、毎年度事業報告書を作成し、自治体へ提出すること。そして、ここの場合は教育委員会となりますが、教育委員会は指定管理者に対して、管理の業務等に関し必要な報告を求め、又は実地検査をして、必要な指示をすることが可能であること。そして、問題があれば、自治体が指定の取り消しを行い、業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。こうした仕組みが既に存在していることを踏まえまして、教育委員会の職務権限の特例措置の導入に際しては、指定管理者における自治体の関与の度合いと比較した上で、担保措置を検討する必要があるのではないかというのも1つの観点でございます。
 3つ目、特例措置の範囲でございますけれども、特例措置による事務の範囲とその考え方については、次のとおり整理してはどうかということでございます。
 まず、教育委員会ですけれども、都道府県、市町村を問わず、教育基本法に基づく地方公共団体における教育振興基本計画等を策定することとなっておりまして、その中に、域内における社会教育の振興の観点を持って、社会教育の振興に関する方針の策定等の事務を行う必要がございます。また、新学習指導要領におきましては、社会との連携、協働によって、社会に開かれた教育課程の実現を目指すことが新たに追記されたこともございます。社会教育施設や社会教育団体との一層の連携強化を図ることとされております。
 こうしたことを踏まえますと、引き続き教育委員会が首長部局やNPO法人等の多様な主体との連携・調整を行って、社会教育の振興の牽引役としての役割を果たしていくことがこれまで以上に求められるのではないかということになります。
 もう少し具体的に見ていきますと、まず、都道府県の教育委員会でございますけれども、専門的な知見を生かしまして、広域的な観点から域内の社会教育行政の総合的な推進を図るため、博物館に関しましては、登録事務や学芸員の資質向上事務、私立博物館に対する指導・助言、公民館に関しましては、公民館主事等の資質向上事務や私立公民館への指導助言、図書館に関しましては、司書等の資質向上事務や私立図書館への指導助言等を行うものであって、さらには、都道府県全体を俯瞰した上で、学校教育との連携を、調整役としての役割を果たすことが期待されているということでございます。
 そして、市町村教育委員会におきましては、昨今言われています教員の働き方改革もございます。教員の負担軽減の観点から、学校が個別に対応することが困難な状況にある中で、学校教育との連携の窓口としての役割が一層重視されるようになってきております。こうした中で、社会教育主事も活用して、地域学校協働活動の推進や社会教育関係団体との連携等について積極的な役割を果たしていくことが求められるのではないかということでございます。
 また、先ほど、上記2で述べましたように、公立社会教育施設につきましては、地方公共団体の実情に応じまして、その管理が指定管理者制度によって既に民間事業者に委ねられている実態がございます。こうしたことを総合的に勘案いたしますと、職務権限の特例措置の範囲につきましては、社会教育行政全てとするのは適当ではなく、個々の社会教育施設における設置・管理・廃止に関する事務に限定すべきと考えるがどうかということになります。
 また、その裏返しになりますが、上記の整理を仮にいたしますと、首長で担当することが可能となる事務は、おおむね各館ごとに以下のとおりになるのではないかと整理を考えているところでございます。
 例えば、公民館につきましては、設置・管理、講座の開設等の事業の実施であったり、公民館基準の策定、館長・主事等の任命、公民館運営審議会の設置・委員の委嘱・委嘱の基準等策定、運営状況評価・情報提供等でございます。同じように、図書館、博物館も同じような考え方で整理がされるのではないか。
 その他、公民館、図書館、博物館には法令上の規定がございますが、青少年教育施設や女性教育施設につきましては法令上の規定が明確にはございませんので、同じような形で、事務の範囲に準じた形で整理できるのではないかと考えているところでございます。
 最後に別添4、こちらが担保措置の内容でございます。担保措置の内容につきまして、3の論点の整理が仮にできたとするならば、以下のようなものが考えられるのではないかということでございます。
 まず、上の3つでございますが、これが新たな仕組みの創設として考えられるのではないか。1つ目が、職務権限の特例措置の導入に当たっては、例えば、条例を制定する際には、スポーツ・文化と同様に教育委員会の意見を聞くこととする。そして、公立社会教育施設に関する事務についての規則を制定する際には、こちらもあらかじめ教育委員会の意見を聞くこととする。そして、毎年度、公立社会教育施設の事業実施に当たっては、これは教育委員会が委嘱する社会教育委員ということになりますが、こうした社会教育委員の会議等を活用した第三者機関を設置して、意見を聞くことを制度上明確にする。このような新たな仕組みが考えられるのではないかということでございます。
 加えて、こちらの2つ目の丸でございますが、こちらも非常に重要な措置になるかと思いますけれども、平成26年の地教行法改正によって創設されまして、情報公開が原則となっている総合教育会議を活用して、教育委員会が首長と積極的に協議・調整を行うべきではないかということでございます。
 上記の措置に加えまして、首長で社会教育施設につきまして執行する場合であっても、社教主事が専門的・技術的な助言と指導を積極的に行うことであったり、教育委員会との連携の下、施設の職員に対する研修を充実させることであったり、各館の運営状況の評価やその情報提供の促進、各館に設置された審議会や協議会の活用等の促進を図る、こうしたことが担保措置として必要ではないかというのが別添4の内容でございます。
 私からは以上でございます。

【明石座長】 
 今、八木課長から3番と4番の御説明がありました。これからは、各委員の皆様より御意見を頂きたいと思っております。
 では、金山委員。

【金山委員】  
 金山です。私からは、博物館のことについて意見を述べさせていただきます。私の方で用意しました資料4をご覧いただきたいと思います。
 先ほど来、所管のことについては御意見も出ておりましたので、私からも博物館について言いますと、所管の選択制についてということで冒頭述べておりますが、これまで博物館については教育委員会が所管することになってきましたけれども、実際、社会的なニーズとして、まちづくりや福祉、観光など様々な面で多様化していることと、そういうニーズが高まっていることも踏まえまして、従来のように、教育委員会に限定する方式から選択制ということは一定の妥当性はあるだろうと思います。
 ただ、やはりこれまでの教育行政として博物館が位置付けられてきたことを前提にしていますので、首長部局に移ることが全面的に賛成だという意味ではないということで御理解いただきたいと思います。
 所管のあり方については、そのような見解でありますが、ただ、首長部局の所管にする場合でも、あくまでも博物館の基本的な特性というものを損なわないようにすることが前提だということであります。これは博物館法にもあるように、博物館というのは基本的に学術・教育機関であると。一方では、社会のニーズが多様化していくなかで博物館も変化が求められるとは思います。
  ここに表1<国立の博物館・美術館の諸外国との比較>を載せておきましたが、これは先ほど来、観光ということがしばしば言われてきて、政府ではインバウンドが話題になっておりまして、当然、博物館にもこういった観光的な要素も求められています。これは国立博物館を例に、日本とイギリスとフランスの代表的な国立博物館で、それぞれ職員数や入館者数、学芸員数、建物の規模や収蔵品の点数、運営費といった、いわゆるヒト、モノ、カネの資源の内訳が示されています。日本の場合には国立館4館でございますが、東京国立博物館をはじめ京都と奈良、九州の国立博物館を合わせた、4館分の数字になります。日本の場合には自己収入が20億で収益率が26%。イギリスの大英博物館やフランスのルーブル美術館は、日本よりももっと多くのヒト、モノ、カネを投入しており、それに合わせて収益率も高くなっていることが分かります。
 ですから、日本の場合、もちろん観光的に海外から人を呼ぶということは国立博物館も大いに寄与しているんですが、それでも、イギリスやフランスに比べるとまだ足りない。もっと投資をすれば、それなりに経済効果を上げられる可能性があるのではないだろうかということです。もちろん、その投資は集客のためや、観光一辺倒であることがいいわけではなくて、あくまでも博物館の基本的な特性がきちっと堅持されることが前提となることは言うまでもありません。
 めくっていただきまして、2ページのところですが、その基本的な特性というのは、ここに挙げましたように、①から④の4つに整理させていただきました。まず、1番目は博物館法にあるような、博物館の学術専門・教育性の確保です。2番目は、これはこれまでにもいろいろ議論されているところですが、政治的な中立性と運営の継続性や安定性の確保、3番目は学校教育や社会教育との連携、これもこれまでに随分取り上げられてきているところです。それから、4番目の収益性については、観光事業ということで話をしますと、観光事業にシフトを限りなくするということは、やはり博物館の本来の基本的な特性とのバランスを欠くことが懸念されますので、その辺との均等性というものをきちっと維持するという、この4つだろうと思います。
 それで、1から4の基本的な特性をきちっと担保していくためには、これは先ほど、八木課長から担保措置のことについて提案がございましたけれども、博物館につきましては、所管の問題というところで、それに関するところを整理させていただきました。
 2段落目のところになりますが、この①から④の博物館の基本特性をきちっと環境整備していくためには、首長部局に所管を移管する場合、条例を制定するわけですが、首長部局が所管するに当たって、博物館の特性を維持できるかについての説明責任を果たすことを促すことと、それがどのように評価、点検できているのか、そういう仕組みを導入することが必要だろうと思います。
 具体的には、やはり現在、博物館法上にある博物館協議会ですが、これは博物館協議会を設置することができるという、「できる」という規定になっています。これを必置にする、必ず置くことができるということを法的にきちっと明確に位置付けることが、この①から④の博物館の基本特性を維持していく上では必要だろうと思います。
 この協議会につきまして具体的には、これは館長の諮問機関とし、館長の諮問機関ですから館長に意見を述べる機関になるわけですが、首長に対して協議会の総意によって意見を具申することができることにする。そして、首長に意見具申の尊重義務を課するということ。協議会の透明性を確保するために議事録を全文公開し、その委員の人選については、博物館に関する専門的な学識経験者を入れると。その学識経験者の情報の入手が難しい場合には、例えば、日本博物館協会等、博物館関係団体に地方公共団体が相談、対応できるようにするよう、国から博物館関係団体に協力要請をし、窓口等を開設してもらうというようなことが考えられるだろうと思います。
 これまでにもやられていることですが、当然、博物館の学芸員の配置の促進を進めていくことや、いわゆる職員の、館長や学芸員の研修を進めていくこと、そして、現状、学芸員の専門職の雇用の条件というのが、現在、非正規の専門職が非常に多くなっておりまして正規の職員数が少なくなっている。これはやっぱり人材、専門職をきちっと位置付けていく上では非常に大きな問題になっていますので、雇用条件の改善を図る。そして、事務事業評価の実施と公開やコンプライアンスを徹底し、学校教育や社会教育担当部局との緊密な連携・協力、そういった構築等が強く求められる。それらを総合して博物館評価が行われ、それを公開していくことが必要だろうと思います。
 それから、先ほど、これも八木課長から、特例措置の導入の範囲について、博物館について言及がございましたが、私の方ではあらかじめ、3ページの「所管の選択制」というところで、1のところですが、当初、特例措置の導入の範囲がどのようになるか分かりませんでした。先ほどのお話ですと、1のところは、公立博物館の所管部局を首長部局に選択できる制度にした場合、いわゆる、現在置かれている登録博物館に係る事務の主体、これをどこに置くのかは分からなかったわけですが、先ほどのお話ですと、1の教育委員会が実施する、従来どおりであると捉えましたが、その辺のところは確認をさせていただきたいと思います。
 もう一つは、3ページの2になりますが、下のところになりますけれども、これまでの博物館法と、いろいろと照らし合わせをしていきましたところ、これについては教育委員会が実施することになれば、このところの条文の変更はなくなるのか、その辺のところは質問させていただきます。
 5ページのところになりますが、3のところですが、これは教育委員会の所管ということで博物館が位置付けられていることに、所管事務が教育委員会にそのまま残ることになりましても、従来からやはり博物館の登録制度の問題というものが、実際これまでにも、ヒアリングでも日本博物館協会からも意見が出ておりましたように、そういう改正をしていくという要請はこれまでにも何度も出ております。日本学術会議からもそういう要請が昨年出ているとおりですが、改めて、やはり今回のことを契機にして、登録制度の見直しが行われるためには博物館法の改正というものが当然必要になってきますので、その辺のところについては、今後早急に対応していただきたいということを事務局にお願いすることにして、ここに書かれた内容を報告書に是非織り込んでいただきたいと思います。

【明石座長】 
 改正のことに関しては、事務局で検討させてください。
 では、植松委員。

【植松委員】 
 植松です。基本的に、このプリント、3のマル1の2つ目の項にありますように、学校教育は素養的なもの、基礎的な素養を身に付けさせるものでありますし、保護者を含めた社会的な監視の目もあることから、政治的中立性ということに関して特段の配慮が社会的にも要請されるところですが、社会教育にあっても、参加等に強制性がないとは申せ、政治的中立性に抵触しやすいテーマも取り扱われることから、今、金山委員がおっしゃったように、政治的中立性の確保についてのきちっとした担保措置は講ずることが必要であることは私も申し上げておきたいと思います。
 それから、この特例措置の範囲ですが、教育の基本的な計画や方針の決定は教育委員会に残し、設置管理、廃止に関する事務に限定すべきとされていて、図書館の場合では事務の内容事例が挙げられています。しかし、例えば、設置管理として、まちの中のどの位置に図書館を置くかとか、それぞれの図書館はどのような役割とするか、そして、どのような館長を置き、あるいは、どのような職員を何人そこに置くかというようなことは、社会教育の基本的な計画方針の決定と深く関わるものです。設置管理、廃止に関する事務が、ここまで及ぶとするかどうかについては、確認の議論すべきことではないかと申し上げたいと思います。
 以上2点です。

【明石座長】 
 植松委員が最後におっしゃった、検討メモの8ページの終わりの方の、事務局の検討メモの提案です。こういう形でいいんでしょうかということを、各委員の方から御意見を頂きたいと思っております。
 では、関委員。

【関委員】 
 先ほど来、清原委員、あるいは山崎委員のお話を聞きながら、特に公民館については、全国を見てみて、余りにも温度差があるのかなというのを改めて感じました。一方では、本当に今の段階でも首長部局と連携しながら取り組んでいる北海道のような事例が生まれてきたり、あるいは、それこそ長野の飯田のような、本当に地域と密着して、その地域を担っていくような学びと活動をつなげていくような地域もある。その中で、今のこの話を聞きながらちょっと不安になったんですが、例えば、公民館という現場を抱えてない公民館行政というか社会教育課の立ち位置というのは、総合調整的な機能とか、あるいは学社連携・融合の機能だけで果たしてこれから存続できるのかなというのが、我々も実際の行政の中におって非常に感じます。
 多分、そんなに今の自治体、人的にも豊富なスタッフは抱えてないので、そういう機能はむしろ首長の中の総合調整機能を担うような企画部であったり総務部であったり、そういうところがその任に当たってしまって、現場を抱えてない社会教育課が社会教育主事1人を置くことによって、それを全部カバーしていく。当然、予算権もないような状況になれば、そこに対しての、現場に対しての影響力も恐らくは今よりはるかに減っていく。その中でどういうシステムを作っていけるのかなというのが、首長部局に行ったところと従来の教育委員会の中の社会教育的な機能の、これから先の方向性がちょっと不安にはなったんですけれども、この中では、施設にある程度限定した形での特例措置での対応という話だったので、もう一つ、実際我々、現場の中で考えるときには、もっと真剣に首長部局とのきちんとした位置付けを今から練り上げていかなければいけないのかなというのを感じました。これは私の杞憂のような気もするんですが。

【明石座長】 
 ありがとうございました。ほかに何かございますか。
 清原委員。

【清原委員】 
 6ページのところなんですけれども、そこの2つ目の白丸のところで、社会教育について、「長期に渡る継続性はなく比較的短期間で行われるものであること」という文言があって、私としては非常にひっかかりました。というのは、やっぱり社会教育というのは1970年代以降、戦後のときもそうですけれども、特に70年代以降、3か月、半年、1年、2年という非常に系統的な講座も行ってきて、そこで継続性、系統性、そして緊密な人間関係をつくって、理論と実践を学んで、大阪市や神戸市などでは2年目は卒業論文まで書いてもらって、学んだ人たちが地域づくりのキーパーソンとして活躍していった。
  そうした歴史的経緯を考えれば、まして、今、この時期にもう一度、人が育っていく拠点として社会教育施設を再構成していく必要があるときに違和感があります。誰もが入りやすい1回講座を打つことも大事ですけれど、やっぱり人を蓄積していくためには系統的な講座がどうしても必要なので。ですから、短期のものも中期のものも長期のものも組み合わせながらやっていく必要があると思うんですがここにこういうふうに断言するということについては違うのではないかと思います。

【明石座長】 
 ちょっとこれは筆が滑ったような感じで、例えば、千葉の佐倉では2年間でコミュニティーカレッジを続けてやっているとか、おっしゃるとおりで、短期もあるし長期もあるんですよということ、それは変えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 では、矢ケ崎委員。

【矢ケ崎委員】 
 どこに入れるのかはお任せしたいと思うんですけれども、観光の分野で活用することになりますと、博物館法の博物館、水族館までいろいろありますが、こういったところがメーンになろうかとは思います。この活用に当たっては、知事部局、首長部局とよく相談もしなさいということで記載はされているんですが、その大前提として、観光振興に関するちゃんとした計画を作っているんですよねというところをチェックしたいと思います。
 訪日外国人旅行者がたくさん増えてきましたので、インバウンド観光をメーンとした観光振興計画あるいは戦略というものを、都道府県、政令市、大きなところは大体作って、ちゃんと見直しを掛けるということになってはいますけれども、これがもう少し小規模な自治体までいくと、そんなに明確な長期ビジョン、あるいは計画戦略がないまま、うちにはこういう美術館があるから、この美術館を全面にばーっということにもなりかねませんで、それは単なる1つの危惧ではありますが、せっかく博物館を中心とした社会教育施設を活用するのであれば、活用する側にきちっとした戦略がある必要があるということだと思っています。
 観光振興に関するしっかりした計画があれば、ターゲットはどういう方々に何を訴求していくのか、そういう中で、我がまちの美術館、博物館はどういう役割を果たしていってほしいのか、サステーナブルであるためには、みんなで協力していかなきゃいけない。それから、先ほど御指摘がありましたように、せっかく施設が走っているにも関わらず、周りのすばらしい資源が活用されてない。要するに、資源と資源の相乗効果を狙ってやるということがなされていない。そういうことを、大もとは観光振興計画の中でしっかり書いて、位置付けをして、そういう位置付けと社会教育施設の側の活用の位置付け、ここが整合するところ、整合させるのが首長部局の役割かと思いますけれども、こういったところで地域のよい取組が生まれていくんじゃないかと思います。そのよい取組については、将来のことになりますが、是非ベストプラクティスとして全国に教えていただけるような格好になると、みんな、すごく元気が出るかなと思いました。
 以上です。

【明石座長】 
 では、生重委員。

【生重委員】 
 ずっと同じ意見なんですけど、基本、やっぱり別添4にあるように、教育委員会自体が今、総合的にみんなで話し合っていくんだという総合会議の形に、教育会議の形になっている。社会教育行政、私がさっき強調して、社会教育委員の会議をもうちょっと有効活用というのは、うちのまちが社会教育委員の会議をどうやら余り有効活用しているようには見えない、形骸化しているような。すごくいい発信をしてくれているんですね、緩やかなつながりを持つことが大事とか。でも、それぞれの置かれている、例えば、博物館とか、うち、公民館すらないので、東京都23区は公民館がないので、他県の社会教育行政とは若干違うんですが、でも、区民参加とか市民参加、それから、継続性とか学び続けるというのはとても大事にしていて、市民がいかにいろいろなシーンで活躍するかということをとても大事にする社会教育行政はしっかりしているんですが、もっと社会教育委員、教育委員、それぞれが担うべき役割みたいなことをもう一度見直し、それぞれの役割を担っている第三者会議、私も図書館協議会の委員をやったことがありますが、やはり第三者的な委員会を置いて、すべからくいろんな意見が反映されていく体制作りということで、この別添4のところはとても大事なんではないかなと。この辺のことをきちんと書いた上で示しをしていく必要があるんじゃないかと思います。
 以上です。

【明石座長】 
 ありがとうございました。
 では、笠原委員。

【笠原委員】 
 ありがとうございます。笠原ですけれども、1点、政治的中立の確保の関係でお話をさせていただきたいと思います。論点の整理としまして、こういう形で、それぞれの協議会、団体の皆さんからもお話を伺えて、その辺、非常に危惧されているというのを私も理解はしているつもりなのですけれども、1つ、改めてお話しさせていただきたいのは、教育委員会に所管がされているから、それだけをもって政治的中立性が確保されるんだということではなくて、いろいろな情報を地域の皆さん方に発信をして、そして、その結果、先ほど申し上げましたけれども、地域社会全体の中で理解をされることが極めて大事なことなんだと思っております。
 そういう意味では、教育委員会に所管があるから中立性が確保されているという議論ではなくて、その先のどういった活動をどういうふうに展開しているのかという点も含めて、情報公開等しながら、きちっとした評価を受けていく必要があるのだと思います。それは、教育委員会のみならず、首長部局に業務が移管した場合も同じだと思っております。
 そうした中で、私、今、教育委員会の教育長という立場でございますけれども、先ほど、金山先生から、博物館の関係では協議会のお話をいただきました。多分、それぞれの本来的な機能をしっかり突き詰めていくと、やはりこういう協議会みたいな形で専門性をしっかり、専門性といいますか、そもそもの本来的な役割のところをしっかり議論して、それをある程度踏まえたいろいろな勧告ですとか、そういう制度要求みたいなのができる協議会が必要になってくるかなと思うんですけれども、私の立場で申し上げますと、もう少し教育委員会そのもの、教育委員さん、あるいは教育長を少し信頼していただいてもいいのかなという気がいたしております。
 それはもちろん、首長としてのいろいろなお考えもある一方で、先ほど生重委員からもありましたけれども、総合教育会議というような、まさに公開の場で首長と教育委員会が、こういうテーマをしっかり議論したいんだという提案等も含めながら議論する場が今の教育委員会の制度の中ではありますものですから、やはりそういうところを、教育委員会がまさに、これは教育委員会が責任をどう果たしていくのかというので問われるところでございますけれども、教育委員会としての機能をしっかり果たしていく。そのためには、また、それぞれの専門機関の協議会の皆さん方との意見交換等のことも必要だと思います。
 教育委員会の場から急に離れた途端に、そういう協議会のところが極めてハードルが高くなるという形ではなくて、少し当面は、ある意味では、これからの制度改正の中では、教育委員会そのものを少し信頼をしていただきながら、教育委員会が十分機能を果たせるかというところもチェックしていただきながら、首長部局とのやりとりをしっかりできるような仕組みも、1つ考える方向ではないのかなと感じているところでございます。
 以上でございます。

【明石座長】 
 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。
 皆さん、9ページの別添4を、各委員からかなり出てまいりまして、例えば、最初の丸で黒ポチが3つございまして、スポーツ・文化と同様に、教育委員会の意見を聞くということの縛りと、2つ目のポチは、「あらかじめ」という、これ、あらかじめが強いかと思っていまして、そういう文言も入ってきております。私、3番目が大事かと思っているんですけれども、これ、金山委員からもありましたけれども、仮に第三者委員会を設置して、委員を置くことを制度的にはっきりさせるという。制度的な措置をして、点検評価とかをみっちりさせるというか、そういう担保をさせないとだめということを、含んでいるかと思います。
 それで、生重委員もおっしゃいましたように、次の丸は、やっぱり総合教育会議というのは、私、出てみて分かったんですけれども、本当に教育委員会が力を付ければ、市長部局と市長と対等で話せるんです。そこで予算請求もできるという、あのオープンな仕組みをもっともっと活用しなければならないと思います。そういう意味で、笠原委員がおっしゃるように、教育委員会の力をもっともっと出していっていただきたいと思っておりまして、そのためには、社会教育主事がもっと力を付けなければいけないと思うのです。
 皆さんにお聞きしたいのは、今日の清原委員の説明の中で、社会教育施設が時代を動かしたというのがありました。それをもう一度、時代を動かすというよさを発揮しないと、どちらに移行しても、だめになってくる。多分その辺が山崎委員と意見が合うと思うんですけれども、山崎委員、どうですか。時代を動かす、これからの社会教育施設というのは、何かヒントがありましたら言ってくれると助かります。

【山崎委員】 
 やべえな。また、そういう話をすると、僕、どんどん嫌われていく方に。(笑)今、できてねえじゃねえかという話ばっかりしちゃうので。
 基本的にはすごく期待をしている。社会教育というのはすごく重要だと思うからこそ、本当に時代を動かす可能性があると思っています。さっきもちらっとお話ししましたけれども、やっぱり首長部局の側が今、あらゆる側面で住民参加をしようとしているんですよね。これは、時代の流れだと思います。僕は自分の本の中で、1945年と70年と95年という3つを挙げました。これ、いわゆる住民参加、市民参加の変化点になったところです。45年に戦後の民主主義で、自分たちで決められるような気がした。これ、1.0だと思いますが、そこから70年になって、68年、9年もそうですが、学生たちがいろいろ体制について言ったり、あるいは公害反対運動が出てきたりして市民が立ち上がった。これは、いわゆる反対運動としての市民参加で、市民参加2.0。95年というのは阪神・淡路大震災ですけれども、これで「ボランティア元年」と言われるようになって、反対だけやっていてもしようがねえ、自分たちで動こうぜという3.0が出てきたと。市民参加というのは25年ずつ、45年から70年、70年から95年、25年ずつ変化をしてきているとすると、2020年ぐらいに市民参加4.0というのはもう出てくるはずで、もし次代を担うような社会教育という意味では、市民参加4.0というのは何なのかということを社会教育がしっかりと認識することが大事な気がしています。
 社会教育は、これまでの3つの変化に素早く応じて、その歴史は、先ほど清原さんがおっしゃったとおりですけれども、しっかり対応してきたと思っていますが、実は、先ほどの、それぞれの変化点も前後5年ずつぐらいでもう既に変わっていますので、別に70年になって急に何かが起きたわけじゃなくて、もう66年、7年ぐらいから学生たちは騒ぎ始めていますね。そういう意味では、2020年という変化点はもう今表れているはずで、それが例えて言えば、多分、Airbnbだったりとか、あるいはシェアリングエコノミーに代表されるような、人と人がつながって、テクノロジーを使いながら何か問題を解決していこうとするようなものです。Uberだって、もう早晩日本に入ってくるでしょうけれども、空いている座席が4つあるんだから、もうしようがない、みんな乗ればいいじゃないということで、地域の課題を解決していっちゃうような仕組みが生まれていたりとか、部屋が空いているんだから、そこ泊まってくれてもいいよ。例えば、若い女性が若い男性の部屋に泊まる。こんなの一昔前だったら、とても危険なことのように見えますけれども、でも、泊めようとしている人が自分の知り合いの誰と知り合いで、「いいね!」が幾つ付いているかによって、彼女はその男性のところに泊まるかどうかを決められるという仕組みがもうできちゃっているわけですよね。クラウドファンディングでお金を集めることも出来上がりつつある。
 だから、行政だったり何かが公を担わなくても、地域や生活における課題を、それぞれの人たちが小さくつながりながら1個ずつ解決していくということが起きていて、2020年にはそういうタイプの地域社会の課題解決がどんどん出てくる。これに対して、じゃ、公民館は、あるいは博物館は、図書館は一体どんな情報だったりとか方法を提供することができているかということが結構大切な気がしていて、これが次の時代の社会の住民参加の仕組みをうまく促していくことになると思います。
 これ、社会教育ができてないというわけじゃなくて、やるべきだと思っている点なんですが、先ほど最初にお話ししたとおりです。首長部局の環境問題についても、観光についても、福祉についても、あるいは都市計画についても、みんな住民参加をやろうとしていて、旧来の模造紙とポストイットのワークショップなんかをやろうとしているわけですけれども、何で公民館はそんなやり方じゃもうだめなんだと言わないのかとか、そんな古いやり方、もう誰もやりたいと思ってないですけど、ファシリテーターが出てきて、ファシリテーション・グラフィックとか、古来からのことをやって、あんなこと25年も飽きているわけですよ。みんな、あれが出てきた瞬間に、きょう、帰ろうかなという顔をする。そんなことはもういいじゃないかということが言えるのが、多分社会教育なんだと思うんですよね。次の話し合いの、いわゆる民主主義の次の方法をちゃんと提示することです。
 さっき、アドホックなトライブという話をしましたけれども、本当に興味のあるときにきゅっと集まって協力して、別れた。別れたけど、もう一度、また別の興味で集まって、協力して別れていくということを、これからかなり短時間で行いながら、地域をマネジメントしていく時代になるときに、社会教育って何ができるかな。できるような気がしているので、そこを期待したいなと思っています。

【明石座長】 
 ありがとうございました。
 関委員は社会教育の専門家ですけれども、何か、時代を動かす社会教育というのを。

【関委員】 
 全く同じなんですけど、とにかく学ぶだけで終わってしまう、そういう30年間を過ごしてきたような気がしてならんですね。学びを新しい活動につなげていくような、それが身近な地域であれば、地域なりの活動ができる。その可能性を、我々、今、追い求めていきたいなと思っています。多分、都市部と我々、ひなの状況は若干違うのかもしれんのですけれども、それの中で、公民館、もともとが地域をある程度限定した、そのエリアの中のつながりを求めていった施設だったんで、今だからこそ、そのよさを、どっかで、行政のいろんな課題の解決にもつなげていきながら、何か起こせそうな気もしてはおるんですが、そこが、そこだけで止まってしまったら多分発展しないと思うので、全国のいろんなところとつながりながら、自分たちのところにいろんな情報をまた組み込んでいけるような仕掛けを作っていきたいなと、今、改めて思っております。

【明石座長】 
 金山先生、素人考えで、例えば、博物館でツタンカーメンを展示すれば、時代は動かないが、人が動きます。博物館がいい展示とかすれば人が動くし、うまくいけば時代が動くかなという感じがするんですけれども、何か意見ありませんか。

【金山委員】  
 おっしゃったように、ツタンカーメンのように、お宝を見せるといえば、確かに多くの人が動くと思います。国立博物館ではお宝を展示して集客を見込みますが、地域の博物館は少し性格が異なります。私は、千葉県野田市でNPOの事務局長として、指定管理で野田市郷土博物館を運営しています。もちろん展示活動をしていますが、お宝を見せるような展示ではありません。私たちのところでは、市民参加型の展示に配慮しています。一例としては、市民の調査グループが、各団体の活動成果を発表するものです。企画や展示準備などについて学芸員がサポートし、各団体の調査や活動成果を発表することにしています。市民にはとても好評です。なぜならば、長年にわたり活動してきた成果を公表するための場になるからです。文字を書いたり口頭で発表したりするのも確かに1つの表現方法ですが、展覧会で人に見てもらうと直接反響がかえってきます。そのような取組をする博物館は少しずつ増えてきています。
 博物館は発想を変えれば、市民にとってこれまで以上に身近な存在になります。それは教育委員会だからできるのかというと、そういうわけではなくて、首長部局でもできる話だろうと思います。初回のWGでもお話しをしましたが、当初、私は博物館を市民のキャリアデザインの場にすることについては、首長に相談しました。もちろん博物館の基礎機能を担保した上で、指定管理で運営をしています。所管は教育委員会です。よって、私の経験上、首長部局だからいいか、よくないかということは、一概に断定することはできません。ただ、これまでの博物館行政の経緯がありますから、そのことについては尊重すべきだと思っています。
 また、私たちが運営する野田市郷土博物館・市民会館は、市民会館という公民館的な施設と一体的に運営しています。市民会館は、醤油醸造家の茂木家の旧屋敷です。そのように施設を複合的に運営管理しています。別に博物館、公民館、図書館など縦割りで物を考えることをせずに、それをつなぎ合わせるような発想もこれからは現実的には求められてくる。これから社会教育を担う人たちが、そこにどううまくキャッチアップして、地域のために運営していくのかということが問われていく時代ではないかと思います。

【明石座長】 
 ありがとうございました、突然。
 植松先生、図書館から見て、時代を作る、時代を動かすという視点で、何かヒントがありましたら。

【植松委員】 
 図書館は、基本的に資料を提供して、それぞれの利用者が自分の興味、関心について学んでいく、あくまでも利用者が主体であって、図書館側が、こういう方向で学習させるというのは基本的に取っていません。例えば、原子力発電所について賛成の意見と中立的な意見と反対の意見の資料を置いておいて、それを学ぶことで利用者一人一人が、自分は原子力発電所にこういう態度を取ろうということを選択してもらう施設です。つまり、基本的に、時代をこちらの方向に持っていこうということで設置されているものではありません。とはいえ、現在、課題解決を支援する図書館ということで、人々が人生を送るで直面する様々な課題について、タイムリーに資料と情報を提供して、それぞれの人が生きる方法を考えていくことを支援するのを図書館の大きな役目として設定しようとしておりますので、時代を動かすということに寄与する図書館であることは目指している1つの方向であると申せるかと思います。

【明石座長】 
 ありがとうございました。勝手に指名しちゃって、申し訳ありません。
 以上、用意した論点のことは大体これで終わりにしたいと思いますので、あと一言、何か。

【植松委員】 
 よろしいでしょうか。

【明石座長】 
 はい。

【植松委員】 
 このワーキンググループの設置目的が参考資料1にありますが、最初に、確認したように、平成29年の閣議決定で、博物館をどうするかが問われているということがあり、併せて社会教育施設全般に話を広げるかということがミッションであると認識してきました。しかし、今回の素案では、博物館のみならず公民館、図書館、そして女性教育施設等々と、社会教育施設全てを包括したものとなっています。ここまで今回一気に話を広げるのが適当であるかということについては今まで何も議論されていなかったので、もう一度議論すべきではないかと思います。
 2点目として、先ほど申し上げたことですが、特例措置の範囲、つまり、どの業務までを首長部局に移すかということについてです。それは条例によって個々の地方公共団体が定めればよいという考え方もあり得ましょうが、例えば、教育委員会が教育長に委任することができない事務が地教行法で列挙されていますね。それは教育委員会に残すというのも考えられるのではないか。
 それでいきますと、教育委員会の所管に属する教育機関の設置及び廃止に関する事務とか、職員の任免その他人事に関する事務とかは教育長に委ねることができないとなっているわけですが、特例措置の事務の範囲について議論すべきではないかと思います。

【清原委員】 
 一言よろしいですか。

【明石座長】 
 どうぞ。

【清原委員】 
 別添2の2ページのところなんですが、そこのところで、先ほども申し上げたんですけれども、公民館、博物館、図書館などの社会教育施設の資源がこれだけあるということですよね。そうしたことを是非触れていただきたい。また、2つ目の丸で、「これまで地域における学習ニーズに応える拠点として機能してきた」とありますが、これだけでは、ちょっと不足ではないか。ニーズに応えてきましたというだけが社会教育施設ではないので、やっぱり社会教育施設と学習ニーズは相互にコミュニケートを取りながら、いろんな議論をしてきたわけなので、もう少しここも書き込んでほしい。
 それから、4つ目のAIとかIoTのところで、、今、どこの省庁の文書を読んでもこれらの言葉が出てきますが、やっぱり社会教育でAIとかIoTを言う以上、人と人のつながりとか学びと学びの出口のマッチングとか、「人」というところを核にしながら、そこにAIやIoTを使っていくんだということを強調したい。そこは社会教育施設のこれまでの歴史の中でも最も強く強調してきたところだし、それから、これからも忘れてはならない観点だと思うので、AIやIoTの1行半をもう少し書き込まないと不足だなという感じがいたします。
 1998年のNPO法の施行以降、先ほど山崎さんもおっしゃっていましたが、社会教育の側は、それまでは社会教育側からいろんなことにアクセスしていっていたんですけれども、このとき、ちょっと受け身だったように思います。NPOが広がっていって社会課題に取り組んでいったときに。むしろ社会教育の側からあらゆるところにどんどんチャレンジし、アクセスをしていき、こっちから人とのつながりを求めていくといったようなことが同時になされないと、所管がどっちかというだけではなくて、これからの社会教育施設を考えたときにいい方向への展開がいかないのではないかと思いますので、ここの書き方はもう少し書き込んでいただけたらと思います。

【明石座長】 
 では、金山委員。

【金山委員】  
 金山です。私も、今の清原委員の御指摘に関連することですが、3ページのところの(3)の博物館について丸が3つあります。一つ目は博物館法上の博物館の定義を述べているので、これはこれでよろしいかと思いますが、その次に、学校との連携、3番目に観光という話になっていますが、博物館として主体的にこれまでやってきた、地域での博物館の社会教育活動についていえば、実は様々なことをやってきているんです。例えば、市民参加型の事業を各博物館は随分取り入れてやっておりますし、あるいはボランティアの参加というものもたくさん募っている。あるいは、友の会という制度もかなり多くの館でも導入されて、市民の方たちが参加する。そのような社会教育的な活動をこれまで博物館は取り組んできていますが、これだと全く抜けてしまっているので、そういうことについて一項目を設けて補っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【明石座長】 
 貴重な御意見、ありがとうございました。用意した時間がそろそろ参りまして、これで本日の意見の集約は終わりたいと思います。今、いろんな御意見が出ましたから、事務局はそのことを踏まえて、次回、もう一度、今度は具体的に論点整理の案を示していただきたいと思っております。
 では、今後のスケジュールについて事務局から御説明をお願いいたします。
 伊藤社協官。

【伊藤社会教育官】 
 ありがとうございます。今後のスケジュールにつきましては、資料5にあります。資料5のとおりでございます。次回は第6回になりまして、一番下でございますけれども、5月29日火曜日の15時から17時の開催を予定しております。
 なお、本日の資料につきましては、机上に置いていただければ、後日郵送させていただきます。
 連絡事項は以上でございます。

【明石座長】 
 以上をもちまして、本日の会議を終わりたいと思います。皆様、御出席いただきまして本当にありがとうございました。

―― 了 ――

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