公立社会教育施設の所管の在り方等に関するワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成30年3月26日(月曜日)16時00分~18時30分

2.場所

文部科学省5階5F3会議室

3.議題

  1. 関係団体からのヒアリング
  2. その他

4.議事録

○明石委員
 第3回公立社会教育施設の所管の在り方等に関するワーキンググループを開催いたします。
 本日は、年度末のお忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 事務局より資料の確認と、本日の会議の流れを説明してください。

○伊藤社会教育官
 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第と座席表、資料1から10、それから参考資料1から5を配付しております。
 過不足ございましたら、事務局までお知らせいただければと思います。
 本日は、次第にありますとおり、前回に引き続きまして、8つの団体にヒアリングを行うこととしております。

○明石委員
 それでは、早速ですが、ヒアリングを行いたいと思います。本日、8団体からお聞きすることとなっておりまして、非常に時間がタイトなので、各団体からの御発表は5分間、委員の質疑応答、10分を厳守していただきたいと思っております。
 まずは、東北歴史博物館より、御発表、5分でお願いします。

○鷹野東北歴史博物館館長
 東北歴史博物館の鷹野と申します。座ったままで失礼いたします。
 5分間ということですので、博物館の取り組みについては、お配りいただきました資料の1の2ページ目から以降をごらんください。 東北歴史博物館は、教育委員会の直属でありまして、教育委員会の中の文化財保護課のもとにあります。館長、副館長、のほか学芸系の職員が22名おります。
 そして、話の内容ですが、私、館長という立場でありますが、これまで大学で博物館学を担当してまいりまして、博物館学の研究をしてきたという立場もございます。その点からの話もさせていただきます。
 この点で、まず確認しておきたいことですが、これはもう釈迦に説法だろうとは思いますが、やっぱり博物館の役割というものを改めて挙げさせてください。
 社会から託された役割が、博物館にはあるわけです。その役割というのは、どのような部署が所管することになっても、これは博物館が博物館である限りは、その役割を果たさなければならない。
 その役割というのは何かといいますと、私は資料の「収集・保管」、そして、資料や博物館などについての「調査・研究」をすること、そして、博物館資料を通じての「展示・教育」とまとめております。
 このどの機能も確実に果たしていくのが博物館でありまして、どこかの機能に重点を置いて活動を行っていくということはあっても、どこかの機能だけを果たす、つまり、収集して保管することだけを行うとか、あるいは、展示発表だけを行うというようなところは、これは博物館ではありません。
 この3つの機能を、3つにまとめた機能は、どの機能が一番肝心だとかいうことはないと思います。優劣はないのであります。
 資料を収集して保管するところ、これは個人のコレクターも含めてほかにもありますし、また、資料を調査して研究する機関もあります。
 もちろん、教育という機能を行う機関、これは学校を初め、多く存在するわけです。
 しかし、さっきも述べましたとおり、博物館は資料を収集・保管し、調査・研究を行い、展示などを通じて教育活動を行う、この3つを全部やっているところであります。
 実は、博物館の成り立ちを振り返ってみますと、まず、何らかの形で資料の収集、集積といいますか、それがありまして、それがまた公開される。さらに資料の研究を経て、資料としての教育的活動が展開されていくという大まかな歩みがあります。
 それを踏まえますと、現代社会における博物館の特色、これは資料、つまり、ものを通じての教育活動を行うところにあると考えます。
 これまで、我が国で博物館に関する制度が教育体系の中に置かれていたということは、その意味では正しい位置づけだったわけです。
 これは、別に我が国だけのことではなくて、平成18年9月に文部科学省に設置されました「これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議」の報告書においても取り上げておりますように、イギリスにおいては、博物館は公共サービスの機関であり、その中核に教育を置くとする見解、これは1997年のイギリス文化遺産省委嘱報告書の「共通の民~博物館と学習~」という文書の中に出てくる言葉です。
 また、アメリカにおいても、これは、1992年のアメリカの博物館協会の報告書、「卓抜と均等:教育と博物館がもつ公共性の様相」という文書の中に、「公共サービスと教育こそ博物館存立の基盤である」、そういう見解があるわけです。
 今日、博物館に最も期待される役割というのは、こうして見ますと、教育機能を発揮することにあると考えております。
 言いかえますと、今日の博物館の最も肝心な役割というのは、教育機関として、生涯学習のための機関としてのそれでありまして、今なすべきことは、このような博物館の機能と、博物館への期待をしっかりと把握して、生涯学習社会への確立への歩みを進めることにあるのではないでしょうか。
 さて、閣議決定などについてでありますけれども、博物館がこれまでまちづくり行政、それから観光行政等のほかの行政分野との一体的な取り組みができるように、教育委員会の所管から外すことを検討するということでありますけれども、博物館は、これまでもまちづくり、あるいは観光等への役割は十分に果たしてきているところであります。
 したがって、博物館の本来なすべき機能がまっとうされた上で、まちづくりや観光へのかかわりが果たされるということも言えると思います。
 ことに、生涯学習社会の確立を進める中で、これまで、まちづくりは人づくりという言葉が使われてきましたように、生涯学習機関としての博物館がその教育活動を通じて、まちづくりに寄与してきたことは、言うまでもありません。
 また最近、この観光への寄与ということが盛んに言われますが、博物館は、その地域の情報の発信を使命とすることは、これまでも当然あった役割でありまして、特にそのために、首長部局に所管を移すということは、これは必ずしもその必要性はないと思います。
 博物館側からしますと、教育委員会の枠の中にいるよりも、首長部局のほうが、例えば活動のために予算を獲得できるかもしれない、そういう期待のがもたれるというところがあるかもしれませんが、しかし博物館活動への理解を、首長さんのほうでちゃんと持ってくれれば、教育委員会であろうが首長部局であろうが、とにかく、予算は多く配分されれば、それでいいのでありまして、首長部局にいることによって、上に述べたような博物館の本質的な役割と活動に制約を受けることになっては何の意味もありません。
 また、学芸員も本来、専門職ですから、首長部局に分かれますと、専門職としての位置づけが曖昧になってしまわないか。人事異動においても、容易に他組織に移りかねないということが懸念されます。
 学芸員は専門職であるのですが、この専門職としての雇用が進んでいない現状の中で、さらにそのことを助長しかねないという懸念を持ちます。
 ですから、地域の事情に任せることはあり得るとしても、一律に博物館を教育委員会の所管でなくするということには、これは問題であると考えます。
 博物館の本質的な意味と活動の保証を考慮するならば、やはり、首長が変わることで対応が変わることが起こり得る首長部局の所管よりも、教育委員会のような、建前としては独立性を持つ部局に所管を任せることが望ましいと思います。
 また、教育委員会の所管については、これは博物館の登録制度の問題との兼ね合いがあるわけで、所管が教育委員会でなくともよいということではなくて、これまで協力者会議の報告でも、また、日博協の報告でも述べられていますが、博物館のさらなる水準の向上のための制度となることが期待される博物館登録制度、これをさらによりよいものとするために、教育委員会所管であろうが国立であろうが大学附属であろうが、全て一つの制度におけるようにしていっていただきたいということを考えます。
 以上であります。

○明石委員
 ありがとうございました。
 では、各委員の方々から質問ありましたらお願いします。
 どうぞ。

○清原委員
 ありがとうございました。
 私は兵庫県なんですが、兵庫県でもいろいろな博物館で学ぶ方々、そして、学んだことをボランティア等として生かしていく方々、たくさんいらっしゃいます。博物館で学んだ方々が、まちづくりや地域の魅力づくりの担い手になっていくルート、そこを博物館が支援していくといったことについてはどのようにお考えか、お教えいただけますでしょうか。

○鷹野東北歴史博物館館長
 博物館が支援、そうした人たちの支援ができるかどうかということについては、これは市の問題だと思いました。
 まず、そういった人たちをつくり上げる場になるということが、まず最初になされることでしょう。
 当然、そういったまちづくりにかかわるような意識を持つ人たちがつくられるということになっていけば、これは行政的にも、行政の中でもすごく楽になるのではないかと思います。行政が、何かこう、しなくても、地域に行けば、自分たちで考えてくれる。それが、生涯学習施策の一つだろうと思うんですけれども。
 そういうことだろうと思います。すみません。お答えになりませんで。

○清原委員
 ありがとうございました。

○生重委員
 ありがとうございました。
 首長部局に移ったら、専門職としての学芸員とか人事異動の問題に触れられていたんですが、首長部局だと、どうしてそういう懸念があると思われるのか、教えていただけると。

○鷹野東北歴史博物館館長
 専門職としていられる立場の方が、専門職でなくなるところに――つまり一般行政職といいますか――その懸念ですね、があります。
 よろしいでしょうか。
 現に、ちょっと先の話ですけれども、今年度の東北歴史博物館の人事異動の中で、幸い私のところは、教育委員会の中の直属ですので、人事は教育委員会の中で回せます。
 しかし、そうでなくなったときに、教育委員会以外の部署の一般の行政職のところに移されるという可能性は大いにあります。また、そういったことが起きているところも多数ございます。

○明石委員
 では、関委員。

○関委員
 ただいまの質問とかぶるんですけれども、その学芸員としての専門性、それは確かに、我々も十分必要と思うんですが、例えば教育委員会の中でも、博物館、美術館等だけではなくて、その行政のそれぞれの担当課の中で活躍するような場面もあるかもしれない。あるいは、行政の中でのさまざまな箇所の中で、人的な交流をすることによって、その学芸員の専門性がより高まる、深まる、そういうふうなことは余りございませんでしょうか。

○鷹野東北歴史博物館館長
 そのことは、あると思います。現に私が長くかかわっていた鹿児島県のある博物館では、博物館の学芸員が、まさに首長部局の企画課だったかな、そういうところで、手腕を買われていくんですけれども、そこに行ってしばらくいて、そして、さまざまな行政のノウハウを学んで博物館に戻ってきて予算の獲得なんかにうまく動けるようになったという事例はございますので、その点のメリットがあることは、これは否定いたしませんが、しかし、やっぱり専門職は専門職ですので、例えば学校の教員は学校の教員として採用されたら、やっぱり学校の先生であって、一時的にほかに移ることがあるとしても、そのことは保障されるはずですよね。
 そのような形を、学芸員にも、そういうふうになっていなければならないのではないかというふうに考えます。

○金山委員
 博物館というのは、鷹野委員もおっしゃっていましたように、学術機関であり、また教育機関である。他の公立の施設にはみられない大きな特徴ですが、東北歴史博物館の場合、その辺の役割というのはどのようにお考えでしょうか。

○鷹野東北歴史博物館館長
 学術的な役割ということですか。
 資料の最後から2ページ目とその前、3、「調査研究事業」というところと、5の「東日本大震災対応」のところがありますが、この辺のところ、調査研究事業については、これは、多くの博物館で日々されているところでありまして、日常の研究成果を踏まえて、特に東日本大震災については、宮城県の中における中核的な館として、研究活動に携わってきたという結果はございます。

○明石委員
 ほかにいかがでしょう。

○植松委員
 資料では「仮に首長部局での所管を可とすることになっても」とか「一律にそういうふうにすべきではない」とお書きになっているので、首長部局での所管ということもあり得るというお考えかと読み取れるんですが、その場合に、最初におっしゃった教育機関としての、あるいは教育ということに力を置いた博物館とするためには、どういうことが必要だとお考えでしょうか。

○鷹野東北歴史博物館館長
 教育委員会でなく首長部局の所管になったとしても、やはり、それは博物館の本質ということを、首長さんのところでしっかりと認識しておいていただかなければならない。その担保ができなければ、やはり教育委員会に置くというのがいいのだということです。
 つまり、首長さんって変わりますよね。変わります。右から左から、また真ん中からって、変わったりしますよね。変わるたびに、それに対する考え方が変わられたのでは、これは問題があるということを懸念いたします。
 だから、博物館は、博物館としての役割はこうなんだということを、しっかりと認識された上で、所管していただくということだろうと思います。
 私自身は、必ずしも教育委員会でなければならないという考え方は、そのほうが強いんですけれども、全部そうでなければならないというふうには、必ずしも思わないです。やはり、それぞれの地域の実情があると思いますので、それはそれに任せてもいいところはあるだろう、けれども、けれども本来は教育委員会がやるべきだというふうに考える次第でございます。

○横尾委員
 この首長に関する意見が出たので、私も首長ですからお話します。
 首長も、かなり歴史とかアーカイブスとかに関する委員会を開催したり、ミュージアムも大変興味持ってらっしゃる方おられます。私はもうこういうことが大好きで、もっともっと振興したいのですが、多額の費用もかかるし予算も必要だし、ということで辛苦をしているところです。
 我々首長が、一つは、そういう教養と学問的な素養に基づくビジョンということをしっかり意識することが必要でしょうと、まずは思います。
 もう一つは、地方議会の多くの議員の皆さんも、今まで以上に、そういったアーカイブスとか歴史とか、史跡遺跡、あるいは資料、そしてそれを応用する博物館、あるいはそういう資料館みたいなものに関する関心なり教養を、もっと高めるべきだと思います。首長が右と言っても議会が左と言って、その多数が議会の趨勢だったら、もう絶対右には行きませんし、やっぱり両方、そういう政治・行政をつかさどる職にある者として、やっぱりお互いに自戒をしながらよりよくしていくということが必要と、謙虚に思います。
 その上で、おっしゃっている教育委員会のほうが、より中立性といいますか、長期ビジョンとか、それをよく理解するところです。
 ただ、一方の議論というか、一部の議論にあるのは、もっとよいマネジメントができないかとか。マネジメントといっても、でもそれは儲けようという意味ではありません。例えば私も今日感心したのは、クロマニョンのこととか、漢字以外のこととか、いろいろな、かなり大がかりなすてきな企画もされているのですが、こういったものをどんどん展開されること、大変有意義なことだと思っています。

○明石委員
 まだまだあるかと思いますけれども、用意した時間がまいりますので、この辺で終わりたいと思います。
 どうも、館長、ありがとうございました。

○鷹野東北歴史博物館館長
 ありがとうございました。

○明石委員
 では、次、三重県のほう、お願いいたします。

○三重県環境生活部文化振興課長
 よろしくお願いいたします。三重県でございます。お世話になります。
 私は、知事部局の立場から、今回、御説明をさせていただきます。資料の2をごらんください。まず、現状から御報告をいたします。
 現状でございますが、丸1 、丸2 と書いてございますように、三重県では、4つの施設、こちらを(2)にございますように、ほぼ全て、知事部局が事務委任で事務を執行しておるという状況でございます。
 ちなみに、教育委員会につきましては、(3)にございますように、4館を私どもとともに所管をするという立場であり、そして、事務といたしましては、設置条例の改廃、それから博物館協議会等委員の任免などの事務を行っております。
 それから、2番のところでございますけれども、こういった施策をとった背景でございますけれども、(1)のところに書いてございますが、これはまさに今回の議論、あるいは昨年文化芸術基本法の改正があったかと思いますが、こういったふうなことを、当時、私どもとしては進めたいというような考えがございまして、こういったことをとりました。
 その際に、博物館につきましては、3館とも従来どおり登録博物館で置いておきたいというような考え方をとったものですから、移管ということではなくて、事務委任という形をとりました。
 反対意見等でございますけれども、当時、それから現在も、反対という意見はございません。ただ、当時、やはり一部に、知事部局はそれまで博物館等を所管したことがないので、そういった運営上のノウハウを持っているでしょうかというような懸念があったというようなことがございますし、また、県内の市町の教育委員会が、博物館等を所管しておられるところもございますので、そういったところとの事業連携などで支障はないだろうかと言われることがございました。
 3番でございます。現在、制度上のこの制約というものがなくなったら改善したい点ということで、そのところに書かせていただきましたが、先ほど申しましたように、例えば条例の制定、改廃、あるいは協議会委員の任免などにつきましては、これは教育委員会が担っておりますので、ただ、条例の改正案は、事実上、私どもで用意はさせていただきますけれども、それを教育委員会と協議をし、教育委員会定例会にかけ、そして議会にかける。
 そして、議会も、先ほど1の(4)のところで書かせていただきましたけれども、これは県議会の都合上でありますけれども、私どもの所管は環境生活の常任委員会、それから、教育委員会は教育警察の常任委員会ということになっておりますので、ふだんは博物館、図書館等につきましては、私どもの常任委員会でございますけれども、条例の改廃等になりますと、教育委員会の所管の常任委員会で議論をしますということになりますので、1つの部局で、事務が完結しないというようなことを、この3番のところで、書かせていただいております。
 それから、4番でございます。閣議決定文書への意見、今回、私ども、追加共同提案団体となっておりますけれども、そういう考えをとった背景でございます。(1)、(2)では、過去の国の議論、あるいはこのワーキングでの議論、すなわち、この博物館、図書館等が、教育委員会所管であるという理由としましては、過去のこの議論の中では、政治的中立性あるいは継続性・安定性、地域住民の意向の反映というようなところの3点から、これは所管が、教育委員会になっておるというふうに理解をしておるところでございますけれども、(3)、三重県としての考え方の部分です。
 まず1つは、今回の議論は、どちらかの所管でなければならないということではなくして、博物館あるいは図書館が、その役割をきっちりと果たしながら、その上で地域が実情に応じて、所管を選択できるようにするというようなことの議論だと考えておりますので、そういった部分で、まず(3)の丸1 にございますように、私ども三重県は、地方分権を目指す県でございますので、そういった基本的なスタンスで、まずこの所管の選択制を認めていただくことがよいというのが考え方の基本的な部分です。
 それから丸2 のところでございますけれども、先行する検討結果、これは国のほうでも、例えばここに書かせていただいた地方制度調査会の答申、こういった中でも、例えば国との対比において、国におかれては、例えばかつて、現在は独法になっていますが、かつて国の機関であったときであっても、政治的中立性というような要請の中でも、行政委員会制をとっておられませんでしたので、そういった意味では、地方と国で、そう差はないであろうというようなことを挙げさせていただいております。
 それから、丸3 、本県の実態の部分でございます。事務委任によりまして、私どもほぼ全ての事務を先ほどのように所管をしておりますけれども、これまで、先ほどの3点に関して、支障は生じていないと言われております。そこに書いてございますように、私ども博物館協議会でございますとか図書館協議会を設けまして、そして構成としましては、学校教育の専門家、社会教育の専門家、家庭教育の専門家、それから住民、利用者の代表、こういった方々に委員に就任していただいておりますけれども、その方々から事業内容について、先ほどのような3点について、ご懸念は特段、示されておりません。これは、県議会においても同じでございます。
 それから、丸3 の2点目のところに書かせていただきましたが、第1回、第2回のワーキングのほうで、これは次のページ、裏面です、見ていただきたいのですが、参考資料の1として入れさせていただいていますけれども、社会教育機関としての機能の問題、あるいは、学校教育との連携の問題というような部分で懸念が示されたというふうに記録で見ておりますけれども、私どもこれ10年間近くになりますけれども、こういった形で社会教育施設としての役割をしっかり果たしながら、学校教育との連携もしっかり確保しながら事業を進めることができているというふうに考えてございます。
 また、参考資料の2のほうでございますけれども、まちづくり、観光行政という部分で書かせていただいていますけれども、県で進めております観光行政、あるいは地域づくり、それから伊勢志摩サミットというようなことについて、それを契機といたしまして、博物館本来の役割である展示、あるいは学びを深めていただくというようなことで、しっかりそれに取り組みながらやれているのかなというふうに考えてございます。
 先ほどのページにお戻りください。丸4 でございます。
 知事部局としての考え方でございますけれども、そういった実態等も踏まえまして、私どもは北海道さんの提案に賛同をさせていただきました。そして、私ども、今回のこのワーキングの議論が、閣議決定文書に基づくこの検討が、地方の自主性・自律性拡大の観点から進められて、公立博物館、すなわち、これ登録博物館でございます、あるいはこういった公立図書館の所管について、地方がその実情に応じて、任意に選択できるようになることを期待するというようなことでございます。
 それから、3点目のところにございますように、なお書きでございますが、本県の実態からは、選択制にしても、図書や展示資料の選択、事業内容、こういった点に関しまして、政治的中立性の確保などに支障がないというふうに考えておりますけれども、懸念される場合には、現在、法に基づいて望ましい基準等が示されておりますので、そういったものをより確実に実行していくことが、よりこれらの懸念を払拭するということにつながるのではないかというふうに考えてございます。
 次に、丸5 としまして、教育委員会としての考え方も書いてございますけれども、基本的に同じスタンスでございますけれども、2点目にございますように、仮に選択制になった場合には、やはり、その学校教育、あるいは教育機関としての部分で、何らか、かかわりを、仕組みとして持っておくことですね、そういったことが重要になってくるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 端折った説明になりましたが、以上でございます。

○明石委員
 はい、ありがとうございました。
 では、各委員の方から、御質問ありましたらお願いします。

○横尾委員
 要するに簡単に言うと、分権型にして、選択制を尊重していきたいということですね。

○三重県環境生活部文化振興課長
 そのとおりです。

○横尾委員
 その場合、例えば基礎自治体のレベルから考えていきますと、小規模自治体の場合、なかなか財政的な課題とかが、あるいは人員的な課題とかがある、その辺については、県として何かサポートとかお考えになっているのですか。

○三重県環境生活部文化振興課長
 私ども、例えば博物館について言いますと、県の博物館協会の事務局を私どもの博物館が担っております。。あるいは図書館の協議会、この事務局を、私どもが担っております。このほか、例えば、図書館も未設置の町もございますけども、そこのところを文部科学省さんの事業を活用させていただく中で、設置のほうへというふうなことで、さまざま支援をさせていただいておるということでございます。

○横尾委員
 いいですか、関連で。設置については、いろんな地方債とか財政やりくりとかで可能性があるのですけれども、議会とか有識者が一部心配されるのが、維持管理ですね。持続可能性の高い経営、運営、その辺について、サポートとかも明記はされているのでしょうか。

○三重県環境生活部文化振興課長
 維持管理となったときに、例えば施設的な問題と事業の面があろうかと思いますけれども、事業という部分であれば、例えば展示であるとか、研究であるとか、そういった部分について協働でやらせていただいている部分もございますので、そういった部分では、サポートができておるというふうに考えておりますけれども。

○明石委員
 では、関委員。で、次、金山委員。

○関委員
 2点ほど。共管ということで、環境生活部という部局が担当されておるということでございますけれども、この環境生活部と所管、ほかに何かどういうふうなセクションがあるかというのを教えていただきたいのと、学校教育の現場との連携というものが、この環境生活部という所管の中で、どういうふうな形で進められておるのか、もしよかったら教えていただけますか。

○三重県環境生活部文化振興課長
 1点目の共管の関係でございますけれども、私どもに、ということで、私ども、ほかにどういう部署があるかということなんですが、私ども本日、文化振興課長という立場で私が出させていただいていますけれども、私どもの課では、こういった文化芸術に関すること、それから生涯学習といったようなこと、それから、文化芸術でございますので、いわゆる、ホール系の施設ですね、文化会館でございますとか、生涯学習センターとか、そういったところも所管をさせていただいております。
 あと、部全体で見ますと、例えば環境問題を扱うところ、それから私学、私立の学校ですね。それから多文化共生といったところがございます。
 2点目の学校現場との連携でございますけれども、これは私どもの職員、特に博物館の職員、図書館の職員、これは教育委員会の身分と「併任」という立場でやっておりますし、また、例えば、よく学校教育の場で使っていただきますのが社会見学等になりますけれども、そういった部分で、例えば教育委員会を通じて保護者の皆さんへ、全児童・生徒に行き渡るような年間の行事予定をお渡しするとか、校長会、そういったところへ参画をさせていただいて、例えばこういうふうな使い方をしていただくと学びが深まるというようなことをさせていただいている。
 あるいは、さらには、教科のいろんな学習会、教員の研究会がございますので、そういったところとの連携をしまして、博物館を訪れた場合、あるいは美術館を訪れた場合に「学びが深まる」というようなワークシートをつくるとかいうようなことを行っておるところでございます。
 それから、もう1点、私ども、先ほど申しましたように、私学、それから多文化共生を扱っておりますので、すなわち、教育委員会であれば公立だけに目が行ってしまいますけれども、私どもは私学も担当しておりますので、例えば私立の学校、それから外国人学校の方にも、博物館、図書館、美術館、ご活用いただくような働きかけもしておるところでございます。

○金山委員
 よくわかりました。これ確認になるかもわかりませんが、三重県の場合には地方分権ということで、博物館については教育委員会と知事部局の選択制について、賛成をしているというお話でした。
 三重県立博物館の場合は、現在、登録博物館ですが、これを維持していくために共管という方式を採用しているという御説明もあったと思います。
 今後、選択制になった場合に、三重県としては、この登録博物館制度をどのように考え、、どのように取り扱いたいと思いますか。

○三重県環境生活部文化振興課長
 私ども、仮に今回の提案というものが認められた場合、それはあくまでも北海道さんの提案も登録博物館の所管を選択制にするというようなことであったというふうに理解をしておりますので、そういう意味で三重県もこの登録博物館であるという形で、現在の形で社会教育法における役割をしっかり果たしていくという前提で考えておるところでございます。
 したがいましては、法制度の改正もその部分で、お願いをできればと考えております。

○生重委員
 ちなみに、考え方としてはすごくすばらしいなと思うんですけれども、博物館に学芸員とか、例えばいろいろなことを範疇として、学校教育にも生涯教育にもいろいろ寄与なさっているようなんですが、社会教育主事とか専門性の高い資格を持っている方は、配置はなさっているんですか。

○三重県環境生活部文化振興課長
 私ども博物館には、学芸員を基本的に配置をしておりますので。あと、当然、企画広報でありますとか、それから施設管理を行うような、予算とか、そういうのを行うような事務職員も当然配置はしておりますけれども、基本は学芸員、それから司書というような形で配置をしております。

○植松委員
 一点、お伺いさせていただきます。
 政治的中立性の確保等に支障はないと書いておられます。しかし、そのエビデンスが特段示されていません。
 政治的中立性の確保に支障があるのではないかという意見も、世の中にはいろいろあるわけで、その担保策として、例えば望ましい基準の改正等でできるのではないかというところについて、もう少し詳しく御説明いただけますか。

○三重県環境生活部文化振興課長
 あくまでも義務化をしなくてもよいのかなとは思っておりますけれども、皆様御存じのように、望ましい基準では社会の要請それから住民・利用者の意向を反映した基本的な運営方針を策定し、事業計画をつくり、そしてそれを公表し、そして、先ほどから申し上げておるような調査研究から展示、それからさまざまな法に基づく事業全般を自己評価した上で、それを先ほど申し上げたような学校教育であるとか、社会教育の専門家の方々に、あるいは、住民の皆さんに、評価をしていただいてそれを改善していくというような仕組みになっていたと思いますので、そういったことが、私どもはできておりますので、そういった意味で、エビデンスが示されてないというふうな御発言もございましたけれども、私どもとしては、やっておる事業全般はそういった形で皆さんにオープンにして、そして評価をいただいて、いろんな事業内容の改善に努めておりますので、そういった中で、これは、例えば政治的に右に偏った展示だったね、事業だったねとか、図書館の資料の収集がどちらかに偏っておるねというような指摘ですね。そういったものがないということが、今、政治的中立性に問題がないことのエビデンスではないのかなというふうに私どもは考えておるところでございます。

○明石委員
 ありがとうございました。
 まだまだあるかと思いますけれども、用意した時間がまいりましたので、どうも三重県、課長さん、ありがとうございました。

○三重県環境生活部文化振興課長
 ありがとうございました。

○明石委員
 では、3番目として、全国都道府県教育委員会連合会様、よろしくお願いします。

○桐谷神奈川県教育委員会教育長
 神奈川県教育委員会教育長の桐谷でございます。よろしくお願いをいたします。
 各都道府県教育委員会の意見集約をした結果ということで、発言をさせていただきます。
 1の基本的な考え方ですけれども、記載をしている意義や、特性を持った教育委員会制度のもとで、社会教育、学校教育同様に政治的中立性などが確保された中で、これまで推進をされてきました。2つ目のパラグラフの「特に」というところですが、これまで社会教育行政は、施設を設置し、その施設を活用してさまざまな事業やサービス、雇用を提供してきたという経緯を踏まえますと、社会教育行政から施設を切り離すということは、教育委員会の施策や組織のあり方に大きな影響を及ぼすことになると考えております。
 もとより、公立の社会教育施設も、地域の課題解決のために積極的に貢献していくこと、これは求められております。
 しかし、それはあくまでも社会教育施設が有する本来の意義ですとか役割、そうしたことを損なうことなく行われるべきものと考えております。
 このため、移管を検討するに当たりましては、博物館などが有している本来の意義、これを再検証するとともに、例えばチェック機能を付与された審議会の設置について検討するなど、社会教育行政推進の視点に立った検討、これが必要と考えております。
 次に、個別施設になりますが、博物館につきまして、首長の所管となりますと、まちづくり行政や観光行政等々、首長のリーダーシップのもとで、一体的・総合的な施策の推進、これは図れることが期待はされております。
 一方で、学校その他の教育機関との連携や継続した専門的調査研究、公平・中立な資料収集などにおいて、政治的中立性や継続性・安定性の確保に影響を来す、この可能性があります。
 このため、移管に当たりましては、協議会ですとか審議会等にチェック機能を付与することや、重要な意思決定を行う際に教育委員会から十分に意見聴取を行うなど、その専門性や政治的中立性、教育との連携、これを確保する必要があると考えております。
 次に、公立図書館が首長の所管となりますと、メリット、これは博物館と同様なことが期待はされます。その反面、公平・中立な資料収集といった面での政治的中立性の確保の懸念や、また学校図書館との連携、これが図りにくくなる可能性がございます。
 このため、移管に当たりましては、博物館と同様にチェック機能の付与など、その政治的中立性や教育との連携、これを確保する必要があります。
 次に、公民館についてですが、まずは所管する市区町村教育委員会、これの意見を十分にお聞きいただくこと、これが不可欠と考えております。
 なお、公民館が首長の所管となりますと、地域によっては公民館がその地方の中心ということもございますので、地域経済の活性化や地域課題の解決などの面で施策の複合化、これが促進され、公民館の機能の充実が図られること、これは期待をされます。
 ただ、その一方で、社会教育施設としての機能の低下、あるいは学校その他の教育機関との連携、これが図りにくくなることや、または政治的中立性の確保、これに影響を来す可能性があります。
 さらには、首長部局の、多分、行政分野、これと一緒になったときに、公民館本来の教育の目的が見失われることなど、その影響、これは懸念をされます。
 このため、専門性の維持のための社会教育主事の配置ですとか、あるいは、チェック機能の付与、こうしたことを進めるとともに、首長が定期的に教育委員会の有する社会教育に関する専門的知見、これを活用できる仕組みを導入するなど、その政治的中立性や教育との連携を確保する、これが必要と考えております。
 最後に、各都道府県教育委員会では、積極論、慎重論、両方ございます。そうした意味で、移管の検討に当たりましては、各都道府県教育委員会が懸念していることを、制度的にどういうふうに保障・担保をしていくのか、その部分について、御検討をいただければと考えております。
 以上でございます。

○明石委員
 ありがとうございました。
 では、質問ありますか。
 どうぞ。

○清原委員
 ありがとうございました。今、公民館等につきましても、教育委員会のもとにあるんですが、実際には人や予算がどんどん減少してきている中で、主催事業が減ってきています。歴史的に戦後の時期、それから1960年代後半から70年代にかけて、非常に大きな役割を果たしてきた公民館などが貸館のほうに力点がおかれたり、なかなか教育機能を十分に果たせない状況が、館にもよりますが出てきています。このあたりについてはどのようにお考えでしょうか。
 私もこれまで果たしてきた役割を、大きく評価するがゆえに、最近の公民館などの実情に、残念だなという気持ちを持っているのですが。

○桐谷神奈川県教育委員会教育長
 ありがとうございます。財政的にかなり厳しい市町村もございます。そうした中で、貸し館的な機能がふえてくる、こういった状況は神奈川にもございます。
 ただ、もう一方で、公民館が本来持っていた機能に、今の状況、例えば子どもたちや青少年の厳しい状況の中で、公民館が新たに社会教育と学校教育をつないでいく、そうした結節点になるような機能、これを持っていく、そうした形で進めている地域も、これはございます。
 ですから、やはり、その時代に合った公民館のありようというものが、やっぱりそれはそれぞれの地域の実情の中で考えていく必要があるだろう、そんなふうには思っています。

○明石委員
 ほかには何か。よろしいでしょうか。では。

○植松委員 「チェック機能付与された審議会の設置等について」といお書きになっておられます。
 私も某県立図書館の図書館協議会の委員をしておりますが、図書館法上では、館長の諮問機関ということになっておりまして、開催回数とか協議内容からいって、とてもこのチェック機能を付与された審議会的なものとは、遠いものだと考えております。
 この「チェック機能を付与された審議会」というものについてのイメージをお話しいただきたい。

○桐谷神奈川県教育委員会教育長
 これは、例えば図書館の場合、図書館協議会で、これは神奈川県の場合、平成12年に廃止をしております。
 そうしたことから、図書館協議会というイメージではなくて、あくまでも審議会で、例えば勧告権を持つ場、そういった審議会をイメージをしている、これは私の考えでございます。
 ただ同時に、それを必置にしなければならないのか、法的に。それは、またそれぞれの地域の実情の中で考えていく話なんだろうなというふうには思っております。
 以上です。

○植松委員
 その審議会の構成のイメージはどのようにお考えでしょうか。

○桐谷神奈川県教育委員会教育長
 やはり第三者性と客観性が担保できる、それが大切と思っています。

○明石委員
 では、関委員。

○関委員
 ありがとうございます。最後のページの部分なんですが、「社会教育行政が、首長部局の他の行政分野の中に埋没し、公民館本来の教育の目的が見失われる」というふうなくだりがあるんですが、むしろ、社会教育が逆に行政分野のさまざまな課題に対してジョイントできなかったことが、むしろ社会教育の存在意義をおとしめておるのではないかなというふうなイメージも持つんですが、都道府県の教育長さんの中では、そういうふうな意見のほうが、やはり強うございましたでしょうか。

○桐谷神奈川県教育委員会教育長
 各県の意見の集約でございますから、やはり懸念を示される部分は相当あります。
 ただ、一方で、今お話しいただいたように、社会教育、社会教育施設が、行政全般にアプローチをしていく、例えば神奈川県の場合、県立図書館と音楽堂、青少年センター、これ、知事部局でございますが、そことコラボレーションをしながら、毎回  の建築物でございますので、観光面にしっかりと教育委員会もかかわっていこう、そういった考えも持っております。
 そういった意味でいけば、社会教育の側からのアプローチというのは、まだまだ私は余地はあるだろう、こう思っております。

○明石委員
 ほかに。

○金山委員
 県の教育長の連合会のお立場ということでありますが、一方で神奈川県の教育長でいらっしゃる。、そこでお聞きしたいのは、横浜に神奈川県の県立歴史博物館がありますが、博物館は教育委員会の所管で登録博物館になっています。選択制になった場合、県立博物館が知事部局に移管するとしたら、そのメリット、デメリットについてどのようにお考えでしょうか。

○桐谷神奈川県教育委員会教育長
 あくまでも神奈川の教育長としてということでいけば、私は地方分権の立場に立てば、選択制というのは大きなメリットがあると思っております。
 ただ具体的に、じゃあ神奈川の社会教育施設をどうするかというのは、また違う問題はあるだろう。
 一つには、やはり社会教育が持っている意味合いというのが、時代とともに変わってきているわけですから、それに対して教育委員会がアプローチをしていく余地というのは、相当あるんだろう。
 例えば歴史博物館であれば、私どもは東京の博物館やなんかと一緒に、いわゆる事前のクーポンを発行するですとか、さまざまな試みも始めております。
 そうした面でも、教育委員会が持っているがゆえにできないという発想ではなくて、教育委員会でも知事部局に移管したときと同じようなメリットをつくり出すことができるんだろうなというのが考えでございます。
 ただ、一つだけ知事が持っている総合調整権のもとで、いわゆる、行政をトータルに考えていること、これは予算の編成権も含めて教育委員会は持っておりませんので、それは知事部局にとってのメリットになる。
 ただ同時に、デメリットということでいけば、やはり政治的な中立性をしっかりと担保する、そうした仕組みをつくっていかなければ、やはり、これまでも広い図書館も博物館も、いろんな展示、あるいは集中事業の中で、いろんな議論がやはりございました。
 そういった面では、しっかりとした担保、そういう仕組みは必要というふうに考えております。

○明石委員
 神奈川の教育長さん、ありがとうございます。貴重な御意見を。

○桐谷神奈川県教育委員会教育長
 どうも、ありがとうございました。

○明石委員
 続きまして、北海道さん、お願いいたします。この北海道さんは、全国知事会の推薦でございます。

○高見北海道環境生活部文化振興課長
 北海道環境生活部文化振興課長の高見と申します。よろしくお願いいたします。
 北海道の提案は、知事部局所管のままでも登録博物館にできるように変えてくださいということであって、あくまでもそれぞれの地域で選べるような選択制にしていただきたいという提案でございます。私も社会教育の細かい部分は存じ上げませんけれども、今、博物館を所管する文化振興課長として、いろいろ博物館に可能性があるということで、ぜひ、この選択制の方向で、議論が進まないかなということで、今日、まかり越したところでございます。
 私ども、実は三重県さんと逆に登録博物館でスタートしておりませんでして、ことし明治150年でございますけれども、北海道も実は、北海道と命名されてからことしで150年目を迎えるということで、今、大々的に取り組みをしているところでございます。
 私どもの博物館、実は50年前の開道、当時は開道とか開拓とかいう時代でございましたけれども、100年を記念して、開拓記念館ということでスタートしております。当初から博物館そのものなんですが、現行では教育委員会の教育長さんの所管になるということもありまして、あえて登録博物館にしないで知事部局の所管でスタートしてここまできております。
 ですから、今ごろになって登録博物館にしてほしいということを、提案するのは何かということもあるかと思いますが、私ども2020年に、東京オリ・パラの年に東北以北で初となります国立博物館、国立アイヌ民族博物館が北海道の白老町にオープンいたします。
 ということで、私どもこれまでそういった大きい博物館、大学の博物館はございましたけれども、国立博物館も出てくるということでございまして、そのあたり、もう少し連携しながら、博物館の教育面だけではなくて、人を呼び込むというところで、北海道、歴史がないと言われておりますけれども、縄文前の文化から含めて考えますと、本当に北海道も歴史が長いところでございますので、ぜひ、北海道道民のみならず、国内、そしてさらにインバウンドの方にも、自然だけではございませんので北海道の歴史・文化も学んでいただきたいと思っております。
 そういった面で、私ども、今、知事部局で所管しております北海道博物館、北海道における中核的博物館でございまして、三重県さんと同じように、道内の博物館の協議会の束ねる事務局も兼ねております。
 私も娘がおります。私、博物館も所管している課長ではございますけれども、「うちの博物館は博物館じゃないんだよ」というややこしい説明をしなければいけないところがございます。道内の博物館を束ねている博物館の館長が、実は登録博物館の館長ではないという、何とも、別に実害ないんだからいいだろうというお話もあるかもしれませんけれども、ややこしい。
 では、制度改革の効果でございますけれども、博物館ミッションの明確化ということで、あえてその、大変失礼ではございますけれども、実態と余りにも乖離しているこの博物館法を、もう少し実態に合わせて、逆に信頼性、ステータス向上という面で、登録博物館というステータスを確立すべきではないのかなという、我々の思いもございます。
 当然、地方創生への貢献ということでございますので、知事部局の中で、いろいろな人材や施策を総動員して、博物館のさらなる魅力・利便性の向上なんかもできていけるかなと思っておりますし、道内のみならず全国とのネットワークの構築なんかも進めていきたいなと思っております。
 先ほど来、政治的中立性のお話もございましたけれども、どこの県もそうですけれども、北海道も知事の諮問機関である文化審議会もございますし、博物館の協議会のほうも設けております。それぞれ外部の第三者の方に入っていただいて、博物館に対しては、いろいろと御助言をいただいているところでございます。
 多分、御質問のほうが多いと思いますので、説明は以上にとどめさせていただきます。

○明石委員
 ありがとうございました。
 では、御質問です。
 では、金山委員。

○金山委員
 北海道さんのこの趣旨というのは、選択制にしてくれということを強くおっしゃっているという認識でしたが、今、お話を聞きますと、要するに、現在、博物館法上でいう「登録博物館の基準が、実態に合わずに空洞化しているという御指摘と、この登録博物館制度というものを、より現実に合った形で見直しをしてほしいという要望だというふうにお聞きしたんですが、そのような趣旨ということで理解してよろしいのでしょうか。

○高見北海道環境生活部文化振興課長
 所管の選択制というところもありますけれども、そういった例の効果として、そういう面もあるのではないかということで、理屈づけではないんですけれども、そういったことで登録博物館法の幹を太くできるのではないかなという提案でございます。

○金山委員
 ありがとうございます。おっしゃっている意味はわかりました。昨年、北海道博物館に行きましたが、開拓記念館時代と比べて、リニューアルしてからも博物館が一段と充実をしたことは、、調査させていただいて実感しております。
 ですから、今のご趣旨については、理解をいたしました。

○明石委員
 どうぞ。清原委員

○清原委員
 文化審議会というのは、道の中で位置づけの非常に大きな審議会だと、私も承知しておりますが、その文化審議会で、今、博物館のありようについても御議論なさっているわけですね。
 それで、例えばどんな御意見等が出されているのか、お教えいただければと思います。

○高見北海道環境生活部文化振興課長
 その都度、御報告はさせていただいています。今年はなかったですけれど、平成26年のときに、開拓記念館から北海道博物館ということで、大幅なリニューアルを行いまして、そのときはいろいろコンセプトとか、いろいろなところについては、文化審議会にもご説明して、御意見をいただいて、それに基づいてリニューアルをして、今、金山先生からもお褒めいただきましたけれども、本当に今、売り出し中の博物館でございます。知事部局になりますと、言葉は変ですけれども、トップがやる気になるとお金も人もそろいますので、一気に力が入ります。何か皆さんの御議論を聞いていると、政治的中立性のことばかりおっしゃっていますけれども、知事のリーダーシップといいますか、首長のリーダーシップによって、一気に博物館というか、そういった施設も、打って出ていくこともできます。
 先ほどもお話がありましたけれども、予算の編成から全て、首長が最終的には握っているということがございますので、どのあたりで差配するかということは、いろいろチェック機能の問題とかもあるかとは思いますけれども、本当に一体的にやろうとしたときに、知事部局でやろうとしたときには、知事部局、福祉部門でバリアフリーの話を含めて、いろんなことで一気にたたみかけることもできます。今回も、私ども国から地方創生の交付金もいただきまして、大々的に博物館、それから野外の博物館、開拓の村、ございますので、そちらのほうも修繕、さらにインバウンドの取り込みということで、力を入れさせていただいております。
 そういった面で、今、博物館が単なる、言葉は失礼ですが、昔の社会教育施設としての博物館だけの役割だけではなくて、さらに大きな役割をというかポテンシャルを持っている施設ではないかなというふうに、北海道は認識しているところでございます。

○笠原委員
 群馬県の教育長の笠原でございます。
 1点お伺いしたいのですけれども、今の北海道博物館の話、今後の博物館の開設に向けての動きということでありますけれども、それぞれの博物館について教育委員会の中でどんな議論がこれまでされてきて、知事部局との最終的な調整といいますか、合意のもとでの調整の枠を含めて、どんな議論が教育委員会の中でされていたかというのはどうですか。もし、されていれば、御紹介いただければと思うのですけれども。

○高見北海道環境生活部文化振興課長
 細かい議論は承知しておりませんが、先ほど道立の博物館の成り立ちを御説明いたしましたけれども、最初から知事部局でスタートしている点もございまして、そういう意味では教育委員会さんのほうも、これまでも御要望とかはあったかと思いますけれども、特段、議題に上げて教育委員会さんとして何か、少なくとも私がいるここ数年で、教育委員会さんのほうから御要望があったということは聞いておりません。

○生重委員
 北海道は広過ぎるので、学校から開拓記念館の野幌とか白老まで行くというのは、そんなに、不可能かなと。それは、自分が北海道出身で、きのう千歳白老の宣伝を見て、できたらぜひ行こうと思いながら帰ってきたので、教育との連携というのはかなり厳しい条件だなと思いながら見ていたんですね。この会議にも出席しているので。
 ただ、観光インバウンドという意味では、かなり野幌の、あの開拓村を初め、相当有効なんじゃないかなというふうに、北海道の場合は、やっぱりほかの土地とは違う気がするんですけれども、いかがですか。

○高見北海道環境生活部文化振興課長
 学校教育のほうでも、私も、どさんこですが、大体、小学校の社会見学か修学旅行では1回は必ず行っていると思うんです。いわゆる地方の、やっぱり札幌に出てくるときには、必ず開拓の村や博物館というのに。ただ、今はいろんなおもしろい施設が出てきていますので、そういう面では学校教育としても、社会教育旅行として、必ずまた寄ってもらえるように、いろいろとアップしていかなきゃいけないんだろうなというふうに思っております。
 多分、白老の事業につきましてもこれからオープンに向けて各旅行会社さんを含めて、修学旅行先として、既にもう数年前から動きが始まっております。私も必ずしも民間の大規模な観光施設のように博物館をやっているわけではございませんので、教育の面も大事にしたいですし、我々やはり、どさんこはどこから来たんだという、皆さん、北海道には歴史がないと本州の方に言われるものですから、ここに来て、きっちりと学んでいただきたいという思いです。

○生重委員
 私も、できたてのときに野幌へ行きました。北海道開拓記念館。100周年のイベントにも参加したんです、子どものころ。
 だから、全く連携していないと言っているわけじゃないんだけれども、今のを聞いて、教育にもアプローチをかけていらっしゃるんだなと。
 あと、学芸員さんはそれぞれに、やっぱり、どのぐらいの人数、雇用というか、資格を持っていらっしゃる方はいるんですか。

○高見北海道環境生活部文化振興課長
 登録博物館ではないですから、正式に法律上の学芸員とは言えないのかもしれませんけれども、一応、学芸員で、細かい数字は忘れましたけれども、三、四十名置いており、それで、歴史の部分、それからアイヌの研究の部分も組織として持っておりますので、そういった面でますます、国立博物館とも連携とかしていかなきゃいけない部分もございます。そういった意味で、かなり学芸員の数は多いということになっております。

○生重委員
 ありがとうございます。

○明石委員
 もうお一人ぐらい、いかがでしょうか。
 では、横尾委員。

○横尾委員
 一つ、細かいことではないんですけれども、当年は明治150年なんて言って、私は佐賀県なんですけれども、維新ということを四県があえておっしゃっているんですけれども、島義勇公、開発されているあれがございますから、ぜひ、150年とか100年はもっと大々的に宣伝してください。もったいないと思います。
 なぜかというと、インバウンドの方も、北海道といえばやっぱり一つの、スノーランドとか、新しいホワイトリゾートとか、夏もすてきなところですからいいんじゃないかと思います。今はなかなかチャンスがないですけれども、いわゆる、開拓とはということを非常に再現した点もありますので、そのときに、今のお話のような、アイヌとか、、いろんなことに関する地誌とか、歴史など大変意味があると思いますので、ぜひ、大切にしていただきたいと思います。なんか、鑑定団みたいなことを言って失礼しました。

○明石委員
 あと、いかがですか。
 よろしいですか。
 貴重な意見をいただいて、ありがとうございました。
 では、引き続きまして、全国町村教育長会さん、お願いいたします。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 全国町村教育長会の会長の柏谷弘陽と申します。
 私は、青森県の下北半島の横浜町というところの教育委員会の教育長をいたしておりまして、昨年度から全国の会長を拝命いたしております。
 今回のことについて、述べさせていただきます。
 公立博物館については、まちづくり行政、観光行政などの他の行政分野との一体的な取り組みをより一層推進するため、地方公共団体の判断により、地方公共団体の長が所管することを可能とすることに対しては賛成であり、可及的速やかに実現されるよう検討を進めていただきたいと思います。
 ただし、政治的中立性の確保や、学校教育との連携の要請などにも留意し、首長部局へ移管するため、条例制定、または改廃の議決の際に教育委員会の意見聴取を行うことや、社会教育委員、博物館協議会などの活用などにより、担保可能とすべきと考えるものです。
 全国に926あります町村教育委員会のほとんどの町村においては、急激に過疎化や高齢化が進んでおり、公民館、図書館、博物館などにおいて、さまざまな地域課題に、より的確に対応した取り組みごと、取り組むことが求められており、これらの施設を含む社会教育行政部局と、まちづくり関係部局、福祉・医療・健康関係部局、産業振興関係部局、学校、大学、企業、NPO法人などの、多様な主体との連携強化が日々重要となってきている事実に鑑み、速やかに実施されることを願うものです。
 また、実施においては、場合により、隣接する市町村の広域的視点の導入も見逃してはならないと考えます。「住んでいる住民の意識以上にはその地域はよくならない」と言われており、また、「地域づくりは人づくり、人づくりは心づくりに尽きる」とまで言われます。時代は、地域住民一人一人が自己利益だけに終始しない、公民が必要な時代となっており、教育・福祉・医療・地域づくりなど、地域を一番よく知っている地域の方々が、地域課題を論議し、その解決方法を考え、それぞれのよさを生かし、公人としての役割を果たしていく時代であり、参加者の納得感を大切にした熟議をしっかり行っていくべきです。
 知の共有として、クラウドファンディングなどの多様な手法による資金調達の活用促進のため、リレー学習など、平素より中学校・高校・大学にも情報提供をしていくべきと考えます。人は庶民としての顔と公民としての顔を持つ存在であり、公民館とは、公民としての庶民を育てる場であると宣言すべきであると考えます。社会教育の場で学び合うことを提唱すべき、と考えております。そのためのツールとして、熟議は非常に有効であるというふうに捉えております。ネット社会の今、公民育成のための熟議の活用が希求されていると考えておるものでございます。
 過疎化、高齢化が急激に進む町村においては、とかくマイナス思考に陥りやすいものであり、住民意識の変様に熟議を行った上での首長判断による具体な提案などがなされれば、かなり大きな成果を上げることも可能となると考えるものです。
 また、熟議文化育成により、地域住民自身が公民館、図書館、博物館などにおいてさまざまな地域課題に、より的確に素早く対応できるようになり、主体的に意識変様にかかわれるようになり、地域活性化に資することに結びつくものと考えるものです。
 以上でございます。

○明石委員
 非常に簡潔にまとめていただきまして、ありがとうございます。
 では、御質問をお願いいたします。
 金山委員。

○金山委員
 今、お考えについて述べていただいたわけなんですが、全国町村教育長会というのは、900幾つでしたか。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 926です。

○金山委員
 926ですね。で、今のお話しになられたこのことというのは、どのぐらいの町村の方がそういうお考えなのか、その辺はどのようになっていますか。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 そのことについては、はっきり言ってわかりません。個々の意見を聞いたことはありません。必要であれば、アンケートなどをとって御提起申し上げたいと思いますけれども、ただ……

○金山委員
 そうすると、今のお考えというのは、柏谷さんの御意見ということですか。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 そういうことになりますね。そういうふうな捉え方をすればですね。

○金山委員
 そうしますと教育長会を代表した意見ではないわけですね。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 教育長会を、私は代表していると思っていますけれども、実際に、926ある全国町村教育長会の町村では、過疎化が進んでおります。私は、元気づけなきゃいけないという思いで発言をさせていただいております。先生が、どのようなことで個人の意見なのかどうかという具体なことまでお聞きになるのであれば、また、それなりの対応をとらせていただきますが、現在のところでは私の思いを申し述べさせていただいた、ということであろうということであれば、「そうであろう」と答えざるを得ません。

○明石委員
 関委員。

○関委員
 今、我々の町でもやはり合併したところが非常に人口が減少して、そんな中でどうやって集落を維持するか、その議論を非常にやっております。そういう意味でも、当事者意識を持って熟議を進めていくことがまさに大事なテーマであると思います。
 ここでおっしゃっておられる中で、例えば公民館、社会教育法の適用を受けますので、23条の絡みがあって金もうけはなかなか、直接的には難しい。ここで言う首長部局への移管というものは、公民館という施設そのものの機能をもう一つ進めて、地域をよくしていくためにみんなが一緒になって地域を変えていく、そういうふうな拠点施設にしていこうというところの意欲も含めて、ここに書いておられると理解してよろしいですか。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 そうです。私は、熟議をいろんな手法で使っておりまして、町の、青森県の中でも一つだけなんですけれども、1小学校・1中学校の体制を整えました。それは、前もって、もう人口減というのはこういうふうな状況になるぞということ、町になったときには8,500ありましたが、現在は4,600です。もっと進むと、私の町は、言われています。全国、そういう例はいっぱいあります。
 で、そんな中で、自分たちはどういう地域で暮らしていくのかということを真剣に、いろんな、小学校に行っても、各地区、地区で熟議を行いました。非常によかったと思っています。今までは、みんなの学校、ワンドの学校になるということで、子どもがいる人も、いない人も、学校に足を運ぶ。開校2年で、児童・生徒は170人ですが、地域の方々、3,000人からもう訪れていただいた。そういう学校をつくりながらやっています。
 で、公民館は時として命の砦にもなります。そういうことも、地域の方々が、今実際に、若い方々が公民館活動をしません。年とった方々がほとんど、出れる人が集まるというふうな形に平時はなっておりますが、しかし、実際にいろいろなことがあると思っていますし、また、現実にいろんなことがあったら公民館というのは命の砦になっていく。そういうものが、公民館だけじゃなくて、学校なんかもそういう機能を果たしていかなければいけないという認識を持つので、私は大いにいろんな施設について、地域の人が、「すごく立派なものだよ。あればそうじゃない」っていうことではなくて、地域の人たちがどういうふうに考えて、公民館なり、図書館なり、博物館を考えていくかということを大いに議論すべきで、そういう意味で、熟議と。
 このことを抜きにして、お金があるからつくろう、ほかにないからつくろうというふうなことでやった施設が、余り役に立っていないなという実感を持っています。そこで、足を運んでいない人たちに、大いに足を運ぶような図書館なり、公民館なりになっていただければ、もちろん他の博物館もそうですけれども、そういう存在になっていただければありがたいな。
 それには、いろいろ首長が、自分の思いを遂げるために、選挙のために使うことだってあるでしょう。だけれども、余りそういうことで極端なことをすると、地域の人は今ではもう、ちゃんと見る能力もついてきていますからね。全員参加ということを標榜するのに、今の公民館なり図書館のありよう等をしっかりと議論して、自分のまちにはどういうものが必要なのかということを考えてみる必要がある。このように考えます。

○明石委員
 ありがとうございました。

○横尾委員
 先ほどの御発言の中で、ちょうどこの資料の真ん中ですが、「住んでいる住民の意識以上には、その地域は良くはならない」という記述がありますが、全くそうだと思いますし。「人づくり、心づくり」も同感ですが、この後に、「宣言すべきだ」という文言が入っていましたけれども、どこが変わっているのでしょうか。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 変えたんじゃないんですけれども、ちょっと思いがあって。

○横尾委員
 いや、そっちのほうがいいなと思ったものですからね。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 ああ、そうですか。

○横尾委員
 資料を差しかえたぐらいがいいんじゃないかと思うんですが。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 すみません。ありがとうございます。

○横尾委員
 そういう思いで……

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 さっき、実はちょっと時間があったもので、読んでいるうちに、そういうことを言っておいてと。すみません。

○横尾委員
 ぜひ。公民というのは、まさに、パブリックマインドを育てるという意味でもございますので、ぜひ、そういった観点は大事かなと改めて感じたところです。

○明石委員
 はい。じゃあ、    。

○生重委員
 私も地方のいろんな町にかかわっていて、今おっしゃっていたことはもう本当に、地方に行けば全て、すべからく肌身に感じるところで、やっぱり、自分たちの町をどうしていくかというのは熟議が物すごく必要で、実は私は、青森県の金木町の人材育成で、博物館とは離れるんですが、太宰治の「斜陽館」とか、町を挙げてつくったNPOの人材育成で長年通っていまして、そういう意味では、そこに雇用が生み出されたり、やっぱり若い人たちを取り込んでいきながらいろいろな企画をやっていくという。おじいちゃん、おばあちゃんの昔のおやつをつくるとかという、リピーターをものすごく増しているんです、金木では。
 だから、そういう意味では、もっとどんどんファンドもやるべきだし、それから、若い人たちのアイデア、企画が入ってくるようなやり方をしていくことで、過疎に悩んでいるようなところがもっと若い人たちがどんどん入ってくるということになるので、ぜひ、それを全国に広げていただいて、小さな博物館も、いろんな方が集うようになれば町の誇りになっていくと思いますので、ぜひ、それを全国に広めていただきたいなと思います。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 はい。わかりました。

○明石委員
 では、次、お願いします。

○清原委員
 ありがとうございました。
 町村の場合は、都道府県や市と比べると、首長部局と教育委員会の距離もかなり近いのかな、また、役所と住民との距離もかなり近いのかなという印象がありますが、都道府県や市と異なる、町村としてのこの問題についてのご意見を特にお教えいただければと思います。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 先ほど来言っていますように、過疎化が物すごく進んでいて、人口減の中で、今まで暮らしてきた。しかし、孫、子は離れるかもしれないんですよ。なくなるかもしれないんですよ。そういうことをしっかり考えていけば、今提案されているようなことも、非常にいい、私は、ツールになるのかなと思っております。
 それで、中学生、高校生、大学生の方々に、クラウドファンディングの、そういうお金の集め方とか、いろんなことができるじゃない、というふうなことをしっかりと学習の場で提供しながら、全国の例を紹介しながら、いろんなことをやっていくということが必要ではないかなと思っていますし、問題解決型の学習を学校現場でやりなさいと言われていますので、ぜひ、それぞれの地域の本当の問題点、人口減をどうするのかというは、自分たちが解決するしかないんだろうということをはっきりと、社会教育のほうで打ち出していっていただければ、学校現場は物すごく楽になると思いますから、ぜひ、お願いしたいと思います。

○明石委員
 私から一言。私も生まれは人口2,000人の村なんですけれども、ご発表の中で「市町村の広域的視点」ってあって、はっとしたんですけれども、学校つくろう会でも組合立ってありましたよね、そういうことを考えているんでしょうかね、この広域的視点というのは。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 これは、一つの町、村なんかで、例えば博物館とかつくるのであっても、やはり広域的にいろんなことを考えたほうがより充実した施設になることだってあるわけですね。
 私は実は、地域活動の中で、「下北半島活性化検討会」というのをやっていまして、全部の首長が会員で、青年会議所が事務局であり、会長でありというような組織で、もう二十何年やっているんですけれども、大変、いろんな提案すると、いろんなアイデアが広域的に出てきて、より、内容がよいものになるということも考えられるということで、書かせていただきました。
 その地域、地域によってまた実情が違うとは思うんですけれども、そういう視点も大事かなと思います。

○明石委員
 特に、先ほど言われたように、町村の場合には、そういう広域的な視点というんでしょうか、公民館はいいけれども、例えば図書館とかは多くの形でその組合立ですとか、博物館とかは、やっていかないと、財政的なことも大変になってきますよね。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 そうですね。

○明石委員
 非常にいい提案をいただきました。
 あと一人ぐらい。

○横尾委員
 実は、人口減の中でどうするか、社会資本整備とも関係してくると思うのですが、私、今後の高齢化で、100歳以上がふえていく時代を考えていくと、図書館とか、社会教育施設に、これまで以上に人々は集まってくるのではないかなと思うのです。
 ちょっと、誤解を恐れないで言うと、単なる福祉をする、介護をする、デイサービスなどでのリハビリレクリエーション的な施設よりは、みずから行って、みずから学んで、自分の人生を拓いていきたいなというような方がいらっしゃるわけです。音楽、芸術、その他などですね。そうすると、図書館機能を持った受け方とか、あるいは図書館、ミニ図書館でもいいのですけれども、そういったものを国としてもうちょっと、今後のそういう批判があるかもしれませんけれども、整備を後押しする。その施設はいざというときの避難所にもなりますし、何かあったときに、そこで新しいコミュニティーをつくったり、あるいは、意識を高めたりすることが大事だと思います。
 100歳になるには健康をやっぱり意識して、20代から教えておかないと一般的にも誰でも体は弱るし、メンテがなければぼろぼろにもなっていきかねません。かつては50年使っていた部品の体を100年に亘って使うことになりますから、これはやっぱり教育ですよね。
 ちょうど横浜町について、今、手元のパソコンで調べてみたら、ナマコが有名なところのようです。

○全国町村教育長会(柏谷会長)
 そうです。

○横尾委員
 シーキュウカンパでございます。ナマコ図書館とかって、一番いいのをつくるとかね、それも発信として。それで、ガンヨウとか、あるいは関東とか、あるいは中国でも、大変高価なものとして注目が集まっているということになっているのです。
 余分な話もしましたけれども、こういった、どこどこの所管ということのみならず、その地方の将来にとってこういった整備が必要だということも、ぜひ御議論いただくとありがたいなと感じました。

○明石委員
 新しい視点の御提案、どうも、ありがとうございました。
 では、続きまして、岡山です、鏡野町、全国町村会推薦の。お願いします。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 岡山県鏡野町役場で産業観光課長を務めております藤田といいます。
 本日は発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。住民に常に接している現場の立場から、意見を述べさせていただきたいと思っております。
 鏡野町の概要でございますが、平成17年3月1日に岡山県内の苫田郡2町・2村が合併した町であり、岡山県の北部に位置し、鳥取県に接しております。
 町の主な産業は農業と林業で、商工業は地場産業や誘致企業が立地・操業しており、温泉をはじめ、キャンプ場、スキー場などの観光資源も豊かであり、農林水産業等と連携させた他産業への波及効果を拡大させる観光戦略を推進しております。観光施設、スポーツ施設などにおいて指定管理者制度を導入し、町民サービスの向上を図るとともに、経費の削減に取り組んでいるところでございます。
 それでは、妖精の森ガラス美術館の資料御覧いただきたいと思います。
 資料に従いまして説明をさせていただきます。
 妖精の森ガラス美術館、岡山県鏡野町でございます。
 美しい水資源に抱かれた森林から田園風景が広がり、温泉や農林水産物など、豊富な健康素材に恵まれております。
 人口は、約1万3,200人。面積は419.69キロ平方メートル。市を除く町としては、岡山県内で一番広い面積でございます。割合は、山林が78%、田畑が15%、全町の8割を山林で占めているところでございます。
 妖精の森ガラス美術館でございますが、開館は2006年、平成18年の4月でございます。所在地は鏡野町上齋原666の5、鏡野町の最北部になります。規模は鉄筋コンクリート造りで地上2階建ての716.36平米でございます。
 用途といたしましては、ウランガラスを中心としたガラス製品の製造及び展示をしており、常設展示室、企画展示室、制作工房棟、アートショップ等を兼ね備えております。建設工事費は、総額で4億3,000万円でございます。
 ウランガラス、妖精の森ガラスの特徴でございますけれども、ウランガラスは微量のウランを混ぜた色ガラスのことで、通常は黄緑色をしていますが、紫外線が当たると、美しい緑色の蛍光を放つのが大きな特徴でございます。
 現物としましては、こちらが鏡野町でつくっているウランガラスの製品で、ペーパーウエイトになります。
 ウランガラスに含まれるウランは0.1から1%程度で、自然界からの放射能よりもごくわずかとされており、全く心配する必要はありません。日本のウラン鉱山であった岡山県鏡野町の人形峠で日本で唯一のウランガラス工芸品がつくられ、好評を得ています。
 常設展示室の様子でございます。この常設展示室には、エミール・ガレの作品や、ロシアの皇帝ゴブレットなどを展示しております。このロシアの皇帝ゴブレットは、「なんでも鑑定団」に出品しており、時価350万円ぐらいという値段もついております。
 続いて、企画展示室でございます。こちらのほうは、2階でございます。年に2回から4回の企画展示をしております。
 続きまして、制作工房棟でございます。鏡野町の職員が3名、常駐をいたしております。体験といたしましては、吹きガラス体験、サンドブラスト体験、リューター体験等が好評でございます。
 ウランガラスは、オンリーワンということで、鏡野町に来ないと買うことはできません。
 アートショップの様子でございます。
 公立の社会教育施設は法律上、教育委員会が主管となっておりますが、鏡野町規模の市町村の場合は、首長部局が所管であろうが、教育委員会が所管であろうが、最終的な判断は首長の判断となります。
 現在、産業観光課の所属である妖精の森ガラス美術館は首長部局の所管となっていますが、特に何の問題もございません。選択制を採用されてよいかと思います。
 以上で、ガラス館の説明を終わらせていただきます。

○明石委員
 ありがとうございました。
 では、御質問、御意見がありましたらお願いします。関委員。

○関委員
 どうも、ありがとうございます。
 ちなみに、この妖精の森ガラス美術館の来訪者というのは、やはり町外の方が基本になりますか。それか、町内の方に対して、何か具体的ないろいろで呼び込んで、一緒になっていろいろな活動をやる、あるいは、教育を展開していくようなこと、何かございましたらお教えいただけますか。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 町内外といいますと、当初開設のころ、一、二年は町内の方が大変多かったが、最近は、アメリカからとか、外国の方が来られております。近隣の駅は津山駅しかないのですが、津山駅からガラス館までが大体66キロぐらいの片道でございまして、。その距離をタクシーで来られて、ウランガラスを見て買われて帰っていくというような外国人の方もおられます。
 教育関係でございますが、このガラス館をオープンした当初から観光の施設ではございますが、地元の幼稚園、小学校、中学校、それぞれ皆さんがバスを仕立てて見学に来られて、鏡野町の特産品であるというようなことを勉強されております。
 それから、夏休み等に入りますと、夏休みの宿題等で、先ほど申し上げました、吹きガラスやリューター体験等の、実習ができますので、皆さんそれぞれ家族で来られて、お父さんやお母さんと一緒に体験作業をされたり、それから、自分で来られてその作業をされたりして夏休みに持って帰られるというような形もあります。それから、学級PTAで来られる場合は、バス2台とかで来られます。そういうような形で、皆さんは中の展示を見たり、体験をしたり教育関係の方との交流も十分にできていると思っております。

○明石委員
 はい、横尾委員。

○横尾委員
 基礎データを教えてほしいのですけれども、これの場合、建設費はどれぐらいかかって、維持管理費は年間どれくらいかかっているのか知りたいのですけれども。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 建設費は4億3,000万で、維持管理費は手許に資料がございません。

○横尾委員
 4億3,000万円は、ほとんどこれ、自主財源による過疎債か何かを使っていらっしゃるんですか。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 電源三法の補助金ということです。

○横尾委員
 なるほど。
 それと、活用を考えていくと、文化庁とかの施策の中に、アーティスト・イン・レジデンスといって、海外のアーティストを呼んでそこに住まわせて、そこで試作をさせるという事業がたしかあったと思うのです。その逆バージョンで、日本人の方々も、芸術系で海外のいろんなところに行って絵を描いたりいろいろ修行されているのですが、そういった取り組みはされませんか。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 今のところ、妖精の森では日本の有名な作家の方が、鏡野町内に来ていただいて、1週間なら1週間、2週間なら2週間住んでいただき、工房棟でウランガラスを使ったものをつくっていただいております。同時に、富山市にガラスの美術館がございまして、その富山市のガラス美術館に鏡野町の職員が研修にいったりというような形はありますが、国際的な交流は今までやっておりません。

○横尾委員
 これはもう、さらに発信する、そして世界的視点でやっちゃったほうがいいと思います。カウンセリングみたいな形にして申しあげればですね。
 たとえば、ウランってやっぱり、原子力行政の関係もあって関心は高いと思うのです。そこで、「ウラン」なのに、「売る」わけですよね。そして、そこを、1週間程度ではなくて、本格的に対策をつくられるようなことをやる。スペースと、ホームステイとか、そして新しい芸術性を高めるようなチャンスがあれば、世界のアーティストも、そういった関心をお持ちの方は来られるのではないかな。そのことがニュースになれば、また発信になって、いろんな方々が来ていただいて、経常経費のことですとか、公的な施設が使われなくていいのか、使うとどうなのかという議論も払拭できるような気もいたしました。余分なことですけれども、いかがですか。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 鏡野町としましても当然、観光の目玉として位置づけておりまして、日本で唯一のオンリーワンのものであるというようなことを言っております。当然、シャンデリア等の要望等もありますから、ヨーロッパ等に出かけて交流をしていくということも、今後非常に大切かなと思っています。

○明石委員
 ありがとうございます。
 では、どうぞ。

○笠原委員
 ありがとうございました。
 人形峠というのが出て、やっと、なんかストンとわかりました。なぜこちらなのかなと思って、勉強させていただきました思いであります。
 1点確認なのですけれども、こちらの施設で、これまで、建設とか、展示とか、運営の中で、政治的中立性云々とかという議論が出たような問題とかというのはございましたでしょうか。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 政治的な問題は全然おりません。うちの首長はそういうことに関しては、ガラス美術館には学芸員がおりますが、大体、学芸員と館長と、それからその他の美術館協議会の皆様とともに決めておりますので、政治的なものというのは全くない、思っております。

○笠原委員
 ありがとうございました。

○明石委員
 ほかに。

○横尾委員
 このウランガラスというのですかね、これは、健康にいいとかいう効用はないのですか。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 健康については、鏡野町も行政施策として健康が第一ということをうたっております。健康が第一、それから山や田んぼ、という形で、農林業を施策に行っております。ウランを微量に含んだレンガ等があり、ヨーロッパ等で有名なテラコッタというレンガがございます。こちらが、微量のウランガラスを含んだレンガであって、そのレンガの部屋に入っていくと、実際はどうかはわかりませんが、体が元気になってきて病気が回復していくというような話もございます。

○横尾委員
 たまたま佐賀県には、「肥前ビードロ」というガラス工芸があります。吹きガラスです。それをつくる専門工房の方に聞いたら、できた製品というのが、波動かなにかを包み込めるというものもあるらしいです。これはミクロの世界ですが、そうすると、その器に入れると水がピュアになるとか、いろんな効果をたまたま聞いたのです。そんなたくさん飲み込んではいないので、実際にどこまで有効か、そういう実感は必ずしもないのですが、もしそういうものがあるとしたら、100年人生時代にとっては大変重要な健康ということでも、こういう森の中に刻まれた、「フェアリーテール」と書いてあり、「妖精の森」みたいに書いてあるので、それを発信されたら非常に活性化になるかなと思いました。
 私は今回の人形峠のこととかは、子供時代に、小学校、中学校の教科書などで覚えています。そういうつながりがあるということをより多くの人に知っていただければ、また学びにもなるのではないのかなと思います。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 ありがとうございます。そのとおりでございまして、これからも、鏡野町はそのような形でやっていきたいと思っています。

○金山委員
 よろしいですか。
 職員は何人ぐらいいらっしゃるのか、その職種、どういう仕事をやっていらっしゃって、そういう方たちの中で、常勤の方、非常勤の方の内訳も教えてください。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 常勤は、館長が職員で1名、臨時職員が1名、鏡野町職員のOBの方が1名、あわせまして常勤3名が事務所におります。工房棟につきましては、こちらも鏡野町の臨時職員の扱いでございますが、3名が常勤でいるというような状況でございます。

○明石委員
 では、私の方から。この岡山大学とか、高校の美術科を持ったところとの連携は、されているんでしょうか、それともされていないんでしょうか。

○岡山県鏡野町(藤田課長)
 美術館の関係は、協議会というものがありまして、館長がそちらのほうに出ていくというような形の協議会の運営になっていると思います。

○明石委員
 世界との連携もいいけれども、せっかく有名な岡山大学があるんですから、岡山大学との連携も含めてやると、世界に発信できるかなみたいに考えております。非常に興味深い御提案、ありがとうございました。
 では、引き続きまして、全国都市教育長協議会様、お願いします。

○全国都市教育長協議会(馬場会長)
 こんにちは。全国都市教育長協議会の会長をさせていただいております、長崎市の教育長をしております馬場と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
 このたびこのヒアリングに先立ちまして、全国の都市教育長協議会の、私、会長ですけれども、副会長、理事がおりまして、その方々に同じ質問に対して回答を寄せていただきました。それが、2枚の、ちょっと字が小さくて大変恐縮でございますけれども、それぞれの地域の状況を示す文章で補足させていただきたいことも、ほぼ、そのままの形で書かせていただいているのが、小さい字で、A3で2枚ついているものがそれでございます。
 岐阜市と、あと、福岡県は、県下の意見を取りまとめていただきました。その中で、それぞれの地域の実情、考え方について示させていただいております。
 それぞれ、全国の都市の考え方、さまざまでございます。そういう中で、全体的に見ますと、もちろん、これは教育委員会にきちんと置いておくべきだと考えていらっしゃるところもありますけれども、おおむね、選択制については賛成と思っております。
 ただ、最初のページに書いておりますとおり、まず、博物館の所管の選択についての見解についてでございますけれども、首長が博物館を所管するということになりますと、やはり教育の分野以外の分野、政策分野との連携が深まることなどで、多角的な視野から、それぞれの時代に要請された、住民本位の、満足度の高いサービスの提供、そういうものが可能になるのではないか。
 ところが、やはり学術的、専門性的部分につきましては危惧があるという思いが伝わっております。そのような観点から博物館を含めました社会教育施設全体におきましては、これは社会教育審査会もございますし、決められた会もございます。また、それ以外にも審査会を持っているところもございます。そういう審査会などの外部の機関の設置、第三者的に見るような場所がきちんと講じられる。あるいは議会の関与、そういうものでありさえすれば、選択制では十分できるのではないかというのが大きな自治体も総括しまして、そのようにまとめられるのではないかと思っております。
 また、専門性、政治的な中立性をしっかり担保して、基本業務の優先度というのをしっかり守っていく、これはやはり基本に置くべきではないかということでございます。
 また、次のページに示させていただいていますが、大まかに見ると、先ほども申しましたように、政治的中立性、あるいは、学校と社会教育との継続、連携、そこの部分をどうつくっていくのかということにつきましては、各自治体ごとに、それぞれの実態がございますでしょうから、そういう視点は絶対に置いておく必要があるということで、選択することは望ましいのではないかということです。
 各館別に言いますと、特に、公民館。公民館は意外と小さい規模の自治体でありますと、公民館を主体として、地域コミュニティーづくりを今までやってきた自負というのがあるように思います。そういう思いから、社会教育というのをいち早く、早い時点から考えながら、地域をつくってきた。そういうところはやはり公民館は教育委員会にあるべきだと考える自治体は多うございます。
 しかしながら、今、全国的に人口減少、また、まちづくりをどうするかというときに、人づくりはまちづくりと密接に関連しております。そういう中におきまして、右肩上がりの社会から、そうでもない状況の中で、地域の中で元気で長く、本当に豊かな人生を送るためには、自助・公助だけではなくて、自助・共助が必要になってきます。そういうものを、多分、首長は求めているというのが今の社会情勢ではないかと思います。そういう社会情勢を見たときに、やはり、公民館をコアにした地域の拠点とした地域づくりというのは、全国的にも広がっているように感じます。そういう中におきまして、公民館はやはり地域の課題の解決、地域活性化、コミュニティーの醸成、あるいは地域課題の解決のための学びの提供、そういうものが社会教育施設としての機能があったわけですけれども、先ほども言いましたように、社会教育という形で進んできたところは、公民館は教育委員会にあるべきだと考えておりますけれども、市全体を考えたときに、今の世の中に必要な地域コミュニティーの醸成、人づくりを考えたときに、首長部局にあったほうが、それぞれ福祉、介護、あるいは、その他の施策との連携をその中での活用を図られるのではないかという考え方のほうが多いかと思います。
 そういう意味では、選択制ということでは、大体、皆さんいいのではないかと考えているようですけれども、福岡県でいいますと、県全体で見ますと、やはり、これは制度的にきちんとすべきではないか。選択制ということではなくて、首長部局でいいのではないか、そういう声も出ているような状況でございます
 ただ、今既に、長崎市でも、今、公民館はふれあいセンター化されておりまして、既に公民館という位置づけを外しまして、首長部局の方に移しております。そういう中で、社会教育という理念、部分については社会教育審議会をもって、教育委員会が持っておりますが、先ほども言いましたように、いろいろな人の一生を考えたときに、人口が減っても、継続した住みやすいまちをつくるかという意味からしますと、ほかの施策とも連動した公民館活動、あるいは拠点とした活動、あるいは、防災機能も備えたものという形での数字を今小学校区に1つずつつくっていくという形で大きく動いているところです。
 小学校区に1つは、公民館や、ふれあいセンターが皆様が活動しやすい場所、足そろえ気取ってくる場所、そしてそれがいざというときの避難所にもなり得る。そういう形のものをつくっている状況にございます。
 また、次の図書館の方面にも、次のページにも記載させていただいておりますけれども、こちらとしても、やはり、図書館機能の教育的理念を崩しかねない、そういう懸念はございますけれども、それに対してしっかりとした手を打てば、選択制というのはありではないかというのが、全体的な意向ではないかと思っております。
 以上でございます。

○明石委員
 ありがとうございました。
 では、御質問、御意見に移りたいと思います。
 どうぞ。

○関委員
 私も同じ立ち位置なので、どこまで言っていいのかようわからんのですけれども、公民館の捉え方というのは、本当に平成に入って、生涯学習という流れの中で、従来の公民館ができたときの原点とはかなり違う方向に動いている状況ではないかなと、正直思っております。
 今回、国の組織機構、社会教育課から地域学習推進課のほうに移るような方向で動いておろうかと思うんですけれども、まさに、その地域教育というか、地域の中で、住民自治を進めていくための拠点としての公民館というものに、我々なんかはそちらのほうを目指して動いておるのが正直なところなんですけれども、余りにも、都市の中で、公民館の位置づけが右と左、極端な現状の中で、今のお話であれば、最後に何か1つの方向性を示すほうがよろしいのではないかなという御意見を言っておられたような気もしたんですけれども、あえて方向性を打ち出していくほうがいいのか、あるいは、独自に、それぞれの理念に基づいて位置づけていったほうがいいのか、そのどっちのほうが全体的でいえば、現実的には多かったでしょうか。私も素朴にもこれ聞きたいんですけれども。

○馬場氏
 ここの3番の2ページにありますように、中にはやはり教育委員会がしっかりそこの部分を背負って地域社会づくりをすべきではないかというのが、教育委員会に公民館等もしっかり置いておく必要があるということだと思います。そこは、それを実践している自治体ではないかと思います。
 それと、やはり先ほど申しましたように、今の社会が求められている部分については、教育委員会、首長で分かれているよりも、それは同じ方向を向いて、1つの方向性を向いて、施策を一緒に打っていって、旗頭をしっかりしておけば、どちらでもいいんじゃないかなということを思っている自治体も多く、また特に、それがニーズとしてあるように思います。
 ですから、どちらかというと、首長部局に置いても、教育委員会に置いたりしても、旗さえしっかり立てといていただければ、その実態に応じていいのではないのかなというのが、今回、調査をさせていただいた実感でございます。

○金山委員
 どうも、ありがとうございました。
 この全国都市教育長協議会の都市数というのは、何件ぐらいになるのでしょうか。

○馬場氏
 700ぐらいでしょうか。

○横尾委員
 814。全国市長会と同じ数でしょう。

○馬場氏
 はい。そうです。都市などですね。そうですね。

○金山委員
 814。これ出していただいたのは、そのうちのどれくらいですか。

○馬場氏
 各8ブロックありまして、その肩書は理事さんでいらっしゃいまして、その方々が自分の自治体のこと、あるいは福岡県でいえば、県を総括して提出をしていただいております。

○金山委員
 その数のうちここには10件ですね。10件掲載していただいたんですね。

○馬場氏
 そうです。九州1件ですね。

○金山委員
 その1件がここですね。ありがとうございました。

○横尾委員
 いただいた資料と御発言の中での、地域課題解決のための学びの提供がおろそかになるみたいな懸念ですけれども、私の直感としては、施設の有無でそうなるのではなくて、日本社会全体が、課題解決という発想が今までなくて、そのノウハウをほとんど蓄積することもなく来てしまっているのではないのかなと思うのです。例えば最近でいう、コーチングとかワールドカフェスタイルの討議とかありますし、以前ですと、我々が学生時代、KJ法とかあるのですけれども、当時はほぼ全部、独学によるものです。ほとんど教える先生いなくて、何ともったいないことかと思ったものです。その辺について、どう思われますか。

○馬場氏
 地域の課題解決という意味の、例えば公民館で見たときのその言い方と、首長部局で見た地域の課題という捉え方がやはり、私の個人的な意見ですけれども、首長のほうで見たほうが広囲な気がいたします。広い範囲で地域の解決。それをしたときに、どうしても公民館主体で地域解決というと、例えば、伝統文化の継承とか、地域の中のどういう人材が足りないので、人材育成をしましょうとか、ということがやはり課題になってきます。
 ただ、首長部局で言いますと、先ほどから言ったように、貧困だとか、高齢化が進んでいる社会をどう生き生きとさせようかとか、少し広い意味に捉えて、それは十分、公民館としても、場所がそこであって、内容が首長部局のほかの施策ともしっかり結びつくことで、大きな成果が出てくるのではないかなと思っております。
 ただ、もう既に公民館を主体として、そういうことを意識的にされている自治体もございます。そこには自負がありまして、だからやってきたんだ。それがやっぱり社会教育、生涯教育という視点があったから、こういう場所づくりができたんだという自負もあります。求めているところは、先ほども言いましたけれども、同じような気がいたします。スタートの部分が違って、首長部局のやりやすい自治体もあれば、教育委員会の公民館としての動きで捉えたほうがやりやすい地域の自治体の状況もあるのではないかなと思います。

○横尾委員
 ちょっと文章ですと、私はほとんど同じだと思っていたのですが、首長が広く考えているという発想になって、1つ1つ地域ごとでいいと思っているのです。そのときに、若い世代から見たら、学校で討議の仕方を習っているのに、社会でなかなかそれを実践していないという状況があるのではないでしょうか。大人社会のほうが、古いやり方をしているのです。PTAなんか典型的で、役員決めになると誰も来ない。理由は、なるべくならないほうがいいと考えるらしいです。それって民主的手法を子供たちは教えられているのに、それを使わない方向へ流れてしまっている。しかもそれは役員になると、負担が大きいからと思い来なくなる。でもこれって誤解だと思うのです。役員になれば、活動を通して先生とも親しくなれるのです。さらに学校経営にも意見も言えるという考え方もあるのです。子供たちは今学校で学んでいる、今後ICTも学ぶのですが、それも使うような公民教育とか社会教育とか、そういう好機とかが大事です。また、みんなで議論して、このまち、この団地を、もっとこうしたらよくなるよね、防災高まるよねというのを議論して、それでみんなでやるとなれば、とても参加意欲を高めて、18歳選挙権も含めていくと思うのです。でも行っても発言する機会もなく、決められたことをやれと言われたら、多分、みんな違うと思うのです。この議論は施設とは違うかもしれませんでもそれを育むような公民館という存在になってほしいなという希望があるのです。そうすると、若い人ほか、いろんな対話世代がもっともっと出やすくなるのではないかなと思ったりするのです。、いかがでしょうか。

○馬場氏
 長崎市の事例を説明させていただければ、今、地域コミュニティーづくりで、小学校区ごとにまちづくり計画をつくって、それに基づいてまちづくりを、人と人とのつながりを、メッシュを細かくして地域の力がつくよという動きをしています。まちづくり計画の中には、中学生も入ります。そういう中で、地域協議会というのを、細かく今させていただく中で、そういう今言われたような盛り上がりだとか、地域の課題をあぶり出すとか。それに対して自分たちがこれだけのことをやるから、だからこの部分は公のほうにお願いしたい。そういう活動の場所として、今、公民館をふれあいセンター化していますけれども、今まで公民館が古くなっているものを逆にしっかりしたものをつくろう。、そういう整理をさせていただいているところであります。言われたように、今からは全てが主体性を持った、要するに、みんなが主役のまちづくりをしていく必要があると思っておりますので、これは新しい学習指導要領と同じだと思います。社会に密着した学力をつけないといけない。点数を上げるための勉強ではなくて、社会に役立つ勉強をしているんだという実感は、そういう周りの人たちとの連携だとか、キャリア教育からも出てくるものであって、同じものかなという気がいたしております。

○明石委員
 ありがとうございました。田上市長さんもサガクガクよく知っていますので、頑張っています。

○生重委員
 この公民館のところの最後に、市長部局所管となる場合、教育以外の政策分野との連携が強まるから、地域課題解決のための学びの提供の実施がおろそかになるとか書いちゃっているんですけれども、そんなにそこまでの意見は出ていないような気がするんです。これが記録として残るのはどうなのかな。
 私はやっぱり皆さんがおっしゃっているとおり、首長が許可を持っていようが、教育委員会が持っていようが、住民の意識を上げて、そういう活動をなさっているところは、すごく熱心なんです。どっちがやっていていも。でも、貸し館になっているところは、その意識すら、今、おっしゃったように、網の目で、みんなが自分のまちどうしていくのかみたいな、拾い上げていく、語り合える場づくりということができるなら。だから、選択制ですっていいんじゃないですかと言っているのに、ここまでこういう文言はどうなのかなと、つい思ってしまいました。余計なことです。すみません。

○馬場氏
 やはり、どうしても首長部局に行くのはどうかなと思っていらっしゃる方の懸念は、ほとんどはそこなんですね。だから、そこは文書にさせていただきました。懸念をされているところは、ほとんどが中立性、あるいはその連携がうまくいくのか、そういう部分で懸念をされているところのほとんどがその意見だったということでございます。

○清國委員
 これを全国都市教育長協議会の皆さんに伺うのがいいのかどうかわかりませんが、教育長としては、コミュニティーセンターに、市長部局に移管されたコミュニティーセンターがあると思うんですが、そこへの教育委員会としての評価はどういうふうになっているのかなというようなことが1点ございます。どうしても、公民館をどうするかという議論になっているんですが、じゃ、移管したところはどうなのかという資料は1ついただきたいな。調べていらっしゃらないと思いますが。
 それから、教育委員会であるからこそできるというのは、やはり教育の専門家としての、社会教育主事であったり、公民館主事であったりというのが、教育的な手法を使って、住民の教育を促進するというところがあろうかと思うんですが、その教育の専門家としての人材の確保が、それじゃ首長部局に移ったときに、それは地域の差なんだとか、いろいろなことはあるかもしれませんが、そういうことが実際問題として担保ができるのか、そういう職員研修を継続的に、持続的に行っていけるのかどうなのかというところの吟味はなさっていらっしゃるのかどうかというところを、すみません、公民館になっちゃうんですが、お聞かせいただけますか。

○馬場氏
 ほかの自治体のことは詳しく調べていませんので、長崎市がちょうど中学校区に1つ、公民館かふれあいセンターがあるのを、全部ふれあいセンターにしていこうと今しています。それを公民館運営審議会に2年間ぐらい調査をしていただきました。その中では、ふれあいセンターというのは、長崎の場合は地域運営にしています。運営協議会をつくって、地域運営にしています。公民館はあくまでも社会教育主事、といっても生涯学習課のほうにいて、各公民館にそれだけおるわけではないんですが、学校の先生、OBとかいう方が必ず入っていらっしゃいます。
 ふれあいセンターであっても、地域の方では、そういう方々をお願いして、退職された先生とか。そこはありますが、非常に稼働率が高いというのがございました。そういうのがありまして、これまで教育委員会で持っていた公民館だけを見ていたときと、やはり目からうろこでしたということで、やはり、どちらのいいことも入れながら、今から地域で大いに使っていくのがいい。
 ただし、カルチャーセンターを否定するものではありませんけれども。そればかりではない、現代的な課題とか、メニューづくりは、やはり、どこかで1つは持っておきましょう。それを押しつける必要はないけれども、したいときには、ちゃんと人材派遣ができるような仕組みをつくりましょうということで、今、人材バンクをつくって、講座もつくって、それも押しつけではなくて、それをしてほしいというところには講師謝礼をやって、できるような、やはり、そういう社会教育的なセミナーの芯は持っておく必要があるのかなと思っております。
 ただ、民間、地域に任せたからといって、社会教育的なものが衰えていくということではないように実感しております。そこはそこで、地域の方々の求めるものということは、やはりいい教育、実証づくり、そして豊かな人生を送るには何がいいかというのは真剣に考えていただくような状況だと思っております。

○清國委員 
 ありがとうございます。

○明石委員
 どうもありがとうございました。貴重な意見、参考になります。
 では、最後です。福島県いわき市さん、お願いいたします。全国市長会の推薦でございます。

○松本氏
 恐れ入ります。いわき市の文化振興課の松本と申します。これまでの皆様の御提案とか御意見をいただきますと、割と理念的なところからお話をしていただいて、その中で、文化財とか本当に身近なところからの視点で、お話をさせていただくということで、お許しいただければと思います。
 いわき市は2年前、平成28年度4月1日からなんですが、市民の心の復興に向けてということで、文化、それからスポーツ施策の積極的な推進を図るためということで、事務を教育委員会から、市長部局へ移管したところであります。また、補助執行といたしまして、文化財の保護、活用に係る施策ですとか、また博物館、教育博物館施設である美術館。こちらはいわき市において美術館は直営施設ということで運営しておりますが、こちらの管理・運営についても、首長部局にある文化振興課で対応するという形になったものでございます。
 その具体的な事務といたしましては、お配りしました資料の2ページ目、文化振興課の所管事務、それから文化振興課職員が補助執行するものということで、明記してあるところにございます。
 首長部局に移る際に、今までも皆さんから御意見はあったかと思うんですが、懸念された事項といたしまして、子供を対象とした芸術文化振興事業について、教育との連携が図られなくなるということで、事業目的を達成しづらくなるのではないかというような懸念。それから美術館のこちらの目的が、観光施設としての色合いが濃くなってしまって、学術的な機能が弱くなってしまうのではないか。また、文化財の保護について、都市開発が優先される結果になるのではないか。また、事務が複雑になるのではないか。といった不安材料が上げられたところであります。
 まだ現在2年目ということで、まだまだ十分検証されていない部分も多いかと思いますが、そのような不安に対しましては、1件を除き、大きな問題は生じていないという形で認識しております。
 むしろ、博物館施設であります美術館につきましては、私どものほうで、もともと首長部局にありました文化ホール、いわき文化芸術交流館アリオスと連携することで、より、これまで美術館単体で取り組んでいたプログラムが、より幅広く厚みを増したりとか、また、広報とかの情報発信の部分で、今まで以上により積極的な取り組みが広がったというようなことで、非常によい方向へ向かった形となっております。
 一方、懸念されていましたとおり、事務については、補助執行というあり方がもしかしたら原因なのかもしれないのですが、どうしても事務が複雑化になって、また誰が最終決定権者なのか、こういったところが曖昧になりまして、責任の所在というものがなかなか見えてこなくなってしまったんではないかなと感じております。
 以上が、私どもいわき市の現状。とりわけ、今私どものいわき市としては、震災からの復興、この部分に心の復興、文化・芸術を生かした創造的で活力ある社会を目指した観点からは、非常にメリットが大きいと思っておりまして、選択制というのを非常に意味のあることだと考えております。
 また、どうしても、そうはいっても、政治的な中立性、それからまた、教育と文化、博物館も含めて文化、教育という部分では、どうしても長期的な取り組みという部分が必要で、ある意味、良識的な判断というところもどうしても求められる。そこに関しては、既存の美術館協議会ですとか、そういったものを取り扱う審議案件の範囲の拡大、また、私どもでいけば、文化芸術推進全般に係る、推進審議会なんかを設置することで、しっかりと知能評価を行うような外部委員会をつくることで、対応できるのではないかと考えております。
 最後に、公民館、図書館を所管しておりますのは、今現在、教育委員会の生涯学習課になります。こちらのほうにも意見のほう、確認してきたんですけれども、こちらに関しても、特に選択制とすることについては特に異論がない。それぞれ自治体の中で目的があって、その中で選択をするということは非常に大事だと思う。ただ、現在、いわき市としては、この公民館、それから図書館につきましては、公民館について、もともと震災前、一度まちづくりセンターとして公民館を活用していけないかというような議論もあったんですが、震災の経験も踏まえまして、生きる力というものを、学校、家庭、地域が連携して育むことを目指していく。現在、取り組んでいる土曜学習事業とか、あとは「わくわくしごと塾」など、こういった事業があるんですけれども、ここに関しては学校との連携が肝となっておりまして、この部分については、どうしても教育との連携を深めたいということで、教育委員会が行うべき事務として取り扱かっていきたいと考えております。
 以上でございます。

○明石委員
 ありがとうございました。
 では、御質問、御意見ありましたらお願いいたします。金山委員。

○金山委員
 どうも、ありがとうございました。
 平成28年4月1日に移管ということになったんですね。ここに文章がありますけれども、どういう経緯で移管されるようになったのでしょうか。

○松本氏
 いろいろと、震災がありまして、どうしてもまちづくりの中で、復興に向かって、文化とかスポーツというものが、まちの中で非常に活性化させていくものではないかというような話がありまして、そういった中で、より強力に推進していくためには……

○金山委員
 ありがとうございます。それは書いてあることですけれども、それは首長さんの意向なのか、あるいは、庁内でそういう議論をして、そういう判断をされたのか、その辺はいかがですか。

○松本氏
 基本は、こちらのほうは、まずはトップダウンで首長の意向が強かった。それに対して、いろいろと議論を協議させていただいて、資料のほうにも書かせていただきましたが、いろいろな現場サイドでは懸念材料が上げられたというような状況になっております。

○金山委員
 ありがとうございます。
 懸念事項ということが、この4番目のところにいろいろ挙げられており、これは理解できるのですが、実施されてから、まだそれほど年数がたっていませんが、メリットというのは何かございましたか。

○松本氏
 メリットにつきましては、美術館については先ほど申し上げたようなところ。それから、こちらの議論とはちょっと違う形になってしまうかもしれないんですが、文化財の保護、そういった形の中に、どうしても今までは教育の中だけにとどまっていたところが、地域づくり、それから観光施策と連携をすることで、より地域の活力に貢献できているものと考えております。

○金山委員
 それは具体的にどういうふうにして、活力に貢献しているのですか。

○松本氏
 同じ部局のところに観光部局がございますので、そちらのほうとツアーを組みましたりとか、あとは、今まで取り組んでいなかった生涯学習の市民を対象とした地域学講座とか、新たなメニューをふやしていったような形になっております。

○金山委員
 逆に、デメリットはありますか。

○松本氏
 今、現時点では、このペーパーにも書かせていただいたとおり……

○金山委員
 この事務のところですか。

○松本氏
 はい。事務のところではデメリットは生じていないと認識しております。

○金山委員
 ありがとうございます。

○明石委員
 では、関委員。

○関委員
 このいわき市の組織のほう、もう少し詳しく教えてもらいたいんですが、この室の上に、特定推進政策官という方がおられるんですか。部制ではなくて。

○松本氏
 こちらは、ここの発言でいいのかどうかわからないんですが、また新たに部局を設置するということが抵抗が多いんじゃないかということで、両室のところに推進官を持たせたという形で、実質は部局、文化スポーツ・観光施策を取り扱う部と考えていただいて、間違いないかと思います。

○関委員
 もう1点だけ。この文化スポーツのいろいろな領域と、先ほどおっしゃっておられた公民館。公民館はむしろ学校とか子供とかとのつながりの機能が豊かであるというふうに理解したんですけれども、心の豊かさ、心の復興、それを進めていく上では、恐らく地域の人のつながりというものも非常に大事だとは思うんですが、その辺、この文化とかスポーツとか、そういうものが地域の中に入っていくときに、公民館とかとのつながりがあるのかなという気もするんだけれども、その辺の捉え方はどういうふうな捉え方になっているのか、もしよかったら教えてください。

○松本氏
 私どものほうは、公民館以外に13市町が合併した地区になるんですが、各支所のほうに地域振興担当員がおりまして、その地域振興担当員というのが各地区の地域づくり振興協議会と一緒になって、まちづくりを進めております。これは首長部局におりまして、私ども文化振興課、それからスポーツ振興課もそういった地域振興担当員と連携をさせていただく形になっておりますので、公民館の利用、そういった地域振興担当員と連携することでまちづくりに貢献できていると考えております。

○関委員
 そういう機能はもう既に首長部局のほうに、ある程度シフトしているんですね。

○松本氏
 そうですね。

○関委員
 わかりました。

○明石委員
 あと、ほかに。横尾委員。

○横尾委員
 地元で言いやすいのか、この場で言いやすいのかわかりませんけれども、もっと首長部局に言いたいことというのはどうですか。

○松本氏
 私のほうが、すみません、首長部局にしかいたことがないので、教育委員会から受ける形になっておりますので、逆にその事務のところでデメリットを感じているというところが多いです。

○横尾委員
 逆に、首長部局にいた方がスーパーバイズされていると思うのですが、教育委員会に非常に長い方々に感じるギャップとかありますか。

○松本氏
 割と教育委員会内部の事務をずっとやっていた方は、どうしても新しい施策をつくり上げるというところが、どうしても守りに入っているような形があるので、すみません、これはもしかしたら私の個人的な所感であるかもしれないんですけれども、そういった形で2年前にうちの部局に移ったことで、ひとつ、新しい施策なんかに取り組むことができたんではないかと思っております。

○明石委員
 植松先生。

○植松委員
 私、先日いわき市をお訪ねしたことがあり、そのときに伺ったことですが、いわき市、先ほどおっしゃったように、大変市域が広いということで、これまでは合併前の地域を割と尊重してまちづくりをされてきたが、公共施設等総合管理計画の具体化を進める中で、だんだんそれでは難しいということになってきていると伺いました。この形もその一環というようなことがあるのでしょうか。

○松本氏
 こちらに関しては、その一環では多分ないと思います。基本的にはそれぞれ文化の部分、それから観光の部分ともに出て、地域の魅力をより充実させていく方向に動いています。施設のほうも、いろいろと人口減少伴いまして、それに向かった感じで、カクが必要になってきておりますが、その中で、より地域マネジメントの必要性が大事という形で考えておりまして、先ほど申し上げたような、地域振興担当員の充実も図っているような状況にあります。

○明石委員
 では、笠原委員。

○笠原委員
 私、先ほど横尾市長さんからの御質問に関連して、逆に教育委員会サイドといろいろなことを特に移管をしました施設について、意思疎通を図る場ですとか、それから首長さんと教育委員会のレベル、あるいは事務担当者レベルで、その辺どんな取り組みをされているのかということ。特に、教育委員会サイドからのいろいろな要望とか、考え方というのを酌み取る仕組みという点で、ちょっと聞かせていただければと思いますが。

○松本氏
 今、現時点では補助執行という形で毎月開催されている教育委員会のところで、実際に文化振興課として取り組んでいます。関係する業務については、ほぼ執行させていただくということもあるので、そういった中で、事務強化とかを得られているのかなと。

○笠原委員
 委員会の中で。

○松本氏
 はい。そうです。

○笠原委員
 委員さんの前で。

○松本氏
 はい。

○座長
 では、矢ケ崎さん、で、清原さん。

○矢ケ崎委員
 御説明ありがとうございました。非常にわかりやすい話だったと思います。
 文化スポーツ、それから観光というところが1つのまとまりとなって、一緒になっていわきの魅力を向上させていこうということで、その意思、非常によくわかると思います。
 その方向性を実現させていくために行ったことは、組織をこのような形にしたということだけでしょうか。それ以外にも、例えば計画であるとか、そういった仕事の中身面、そういったものを逐一相談したとか、ほかに、先ほど御説明になられた方向性を実現たらしめるために、やられたことがあれば教えていただきたいのが1点です。
 それから、もう1つは、ただいまの御質問にも関係するんですけれども、やはり首長部局に置くということは、総合的な観点、いろんなところと連携しやすくする、開かれた組織にしなきゃいけないというところが肝であったと思うんですが、そのために、庁内のコミュニケーションをよくする、あるいは非常に開かれたマインドで仕事をする。そういうことを実現するために、何か特別、スタートアップのときに、やられて工夫されたこととかございますか。

○松本氏 
まず、文化とそれから観光交流の連携という部分の中では、特に現実ではまだ計画とか定めたものではないんですが、昨年がちょうど市制施行50周年で、大きなプロジェクトをそれぞれ動かしていたんですけれども、そういった事業の取り組みに当たって、実行委員会をつくったんですけれども、必ず実行委員会のところに文化、観光の両方の職員が参加をするという形で、それぞれが持っている素材とかを活用して、事業を共感してやっていくような形で取り組んでおります。
 また、それから文化振興課が、ある程度開かれた場所となるためにというところだったんですが、庁内に関しましては、従前もある程度、職員同士で意見交換がなされていた形で考えておりますが、さらに外部、町との接点とかの部分では、今まで文化振興課に教育委員会にありましたところでは、文化協会等、その分野である程度実績を積まれた割と御年配の方との連携が多かったんですけれども、こちらを昨年から新しい文化芸術で活躍する若手の30代とかの市民団体の人たちと一緒に事業を進めていくということが、一番肝ではないかということで、昨年から実行委員会をつくりまして、今現在まで、文化芸術のプラットホームの構築を目指した取り組みを進めております。

○矢ケ崎委員
 ありがとうございました。

○明石委員
 では、最後に清原委員。

○清原委員
 いわき市は震災の後、多くの避難されてきた方々を受け入れられて、非常に御苦労をなさってきたのを、私もお伺いして、見させていただきました。そうした中で、まちづくりとか地域づくりといったところで、地域振興担当員の方々が大きな役割を果たされていましたが、この地域振興担当員の方々と公民館との関係というのは、全然ないんでしょうか、ということが1点。2つ目は、教育委員会に公民館を置くメリットとして、土曜学習やわくわくしごと塾を挙げられたんですが、このわくわくしごと塾や土曜学習も、地域の方々がかなりかかわっておられるように拝見させていただきましたが、こうした、むしろ公民館のほうが、地域の方々を巻き込むといったようなことを、そうしたところでされているのかどうかということについて、お教えください。

○松本氏
 まず、地域振興担当員と公民館との連携についてなんですけれども、こちらは公民館のまちづくりセンター化を目指したころは、地域振興担当員と公民館との連携ということが非常に色濃くうたわれておりまして、地域振興担当員を最終的に所管する部局のほうで、公民館そのものの館長とかも、地域づくり活動がしやすくなるようにという形で、利用費をとったこともございましたけれども、震災後、それぞれ地域振興担当員、それから公民館の職員ともども、目の前の課題の解決に奔走しなくてはいけないことがあって、今現時点ではかかわりがちょっと薄れてきてしまっているようなところかなというところでございます。
 それから、公民館の土曜学習、それからしごと塾、そういったものに関しては、本当に学校、それから地域の方々とのネットワークを非常に重視しておりまして、公民館の職員が地域に出向いて講師となっていただける方をコーディネートし、それを学校のほうに案内し、学校の事業として取り組んでいただく。また、土曜学習に関しては、そういった事業を学校のほうに連絡をして参加を促すというような形で、公民館の職員自体も本当に施設の中で生き生きと仕事をしていただいているものと考えております。

○明石委員
 松本さん、ありがとうございました。助かりました。

○松本氏
 ありがとうございました。

○明石委員
 それでは、今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。

○伊藤社会教育官
 ありがとうございます。
 今後のスケジュールにつきましては、資料の10のとおりでございます。
 次回は4月16日の16時からの開催を予定しております。次回もヒアリングを行いまして、その後、自由討議となります。
 なお、本日の資料につきましては、机上に置いていただければ、後日郵送させていただきます。
 連絡事項は以上でございます。

○明石委員
 ありがとうございました。
 以上をもちまして、本日はこれで閉会とさせていただきます。
 本当に、御出席いただき、ありがとうございました。


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