【資料3】全国科学博物館協議会資料

平成30年3月5日
全国科学博物館協議会事務局

「公立社会教育施設の所管の在り方等についてのアンケート」結果

調査対象:全国科学博物館協議会正会員174館
         ※正会員218館のうち、連絡窓口メールアドレスの登録がある館
有効回答数:53件
         ※広く意見を募るため、個人回答も可としたため、館数と回答数は一致しない。
実施期間:平成30年2月21日(水曜日)~3月1日(木曜日)
実施方法:アンケート用紙のメール配布・回収により実施


回答者の属性

公私の別

種別

現在の所管

回答数(割合)

   公立

   登録博物館

   教育委員会

17(32.1%)

   首長部局

7(13.2%)

   未記入

2(3.8%)

   博物館相当施設

   教育委員会

2(3.8%)

   首長部局

2(3.8%)

   未記入

1(1.9%)

   博物館類似施設

   教育委員会

7(13.2%)

   首長部局

8(15.1%)

   未記入

   教育委員会

1(1.9%)

   私立

   登録博物館

3(5.7%)

   博物館相当施設

2(3.8%)

   博物館類似施設

1(1.9%)


53(100%)

※属性については、各館の回答をそのまま集計。首長部局所管の公立登録博物館については、事務委任等によるケースも含まれると考えられる。


公立(登録)博物館の所管について

選択項目

回答数(割合)

   うち公立登録
   博物館の回答数
   (割合)

   引き続き教育委員会が所管すべき

21(39.6%)

16(61.5%)

   首長部局が所管すべき

2(3.8%)

0(0.0%)

   選択制でよい

30(56.6%)

10(38.5%)

   計

53(100%)

26(100%)

 ※「首長部局が所管すべき」とした回答の内訳は、公立・相当施設1館、公立・類似施設1館


主な選択の理由(自由記述)意見のポイント
【引き続き教育委員会が所管すべき】
・学校連携が館運営の礎、前提。教育委員会所管であるからこそ学校連携が可能/推進できる。
・博物館法に基づく登録博物館として、あるいは、社会教育施設・生涯学習施設として条例で位置づけられていることから、設置目的を担保するのは教育委員会。教育委員会だからこそ地域住民の信頼も得ている。
・教育機能の維持発展を中心にすべきで、観光的視点も重要ではあるが、観光振興や地域経済の活性化は博物館の基本的活動の延長上に位置づけられるべきものであり、それ自体が主体ではなく、観光施設、娯楽施設ではない。その認識を行政がもてない恐れ、教育機能や学校連携が軽視される恐れがある。
・博物館の根幹である資料収集・保管、調査研究、展示・教育普及を把握・指導監督でき、文化財保護行政も担当する部署が所管すべきで、文化財保護・活用、学校教育や社会教育との連携・情報共有等を考慮すると教育委員会が望ましい。
・教育委員会は統廃合など政治的影響を受けにくい。政治的中立性、組織の継続性、専門性の確保の観点から重要。
・首長部局に置くと、政治家のプロパガンダに使われる可能性がある、博物館の活動理念が政治的影響を受ける、あるいは容易に変更される恐れがある。
・教育委員会の所管であっても、まちづくり行政、観光行政との連携は可能。
・教育委員会所管下で観光や地域振興対策がなされていないのであれば、所管の問題ではなく予算や人員・人材の配置の問題。

【首長部局が所管すべき】
   自由記述コメントなし

【選択制でよい】
・館の規模や展示内容、事業内容に応じて、また、何に比重を置くか、さらに、予算確保や博物館活動の担保などはそれぞれで状況が異なるため、各自治体の判断によるべき。
・博物館の基本機能(資料の収集・保管、調査研究、展示・教育普及)の重要性を理解し支援が十分であることを前提として、館の使命に即した部局が所管すれば良い。
・選択制とするにしても、選択は「上意下達」ではなく博物館関係者等を交えて最善の方向で決定すべき。
・当館は首長部局の所管で20年以上続いているが、登録館になるために教育委員会所管に移行するとなると、それまでに培った施設の文化が維持継続されなくなる可能性がある。
 逆もまた然りで、既存施設については現状の所管を維持すべき。
・指定管理者内の人材の専門性を活かせれば、教育と観光行政の両立は可能。

所管が首長部局になる場合のメリット・デメリット(複数回答可)

選択項目

回答数

   地域振興・観光行政との連携がしやすくなる

29

   首長の関与により博物館事業が活性化する

12

   予算が確保しやすくなる

11

   学校教育との連携がしづらくなる

24

   首長の関与により政治的中立性に問題がある

16

   他の社会教育・生涯学習事業との連携がしづらくなる

11

   予算が確保しづらくなる

3

 
その他自由記述
(メリット)
・観光行政等と連携し人を呼ぶことを考えるようになれば、もっと面白い展示、企画が増え、利用者が増える。結果、啓蒙普及活動が広がる。
・民間施設との連携がしやすくなる。
・すでに市の要請により小中学生はすべて無料扱いにしており、その減収に対する補助金というメリットは考えられる。

(デメリット)
・集客ありきの施策が中心、収益面をあげることが求められ、教育や調査、資料の収集・保管が軽視される。
・事務手続きが煩雑になり時間を要する。上位の者の意見で物事が決定してしまう。
・首長により予算配分、博物館に対するニーズが変わる可能性があり、活動の一貫性が保てない、長期的な取り組みが必要な業務に支障をきたす。
・学校籍の職員を配置できなくなる。

その他関連してのご意見
・首長の政治的意向に博物館活動の方針が左右されることを懸念する。従わない学芸員の人事面での不当な扱いも危惧する。
・文化や教育に理解のある首長とない首長がいる。首長により文化行政や教育行政が揺らいてしまう。
・所管部局の博物館活動に対する知識や理解が重要。
・適切な予算と人材の確保が重要。公立で博物館を所管するメリットを明確にし、所管として十分な体制を確立する必要がある。
・指定管理者制度導入以後、どの館園も来館者至上主義的になり、学校との連携が少なくなったように感じると教育委員会が言っている自治体もあるらしい。
・実際に首長部局所管の立場で感じるのは、学校教育(教育委員会)との距離はなかなか縮まらない。その他部局とは担当者が興味を持てばスムーズに事が運ぶ。また、市民団体等とは連携がしやすい、といった点がある。
・首長部局の所管であっても、教育委員会が指導主事を派遣し学校教育との連携を行うことができている。このような形の支援が必要。
・所管は教育委員会のまま、地方自治法により首長の補助機関である職員に補助執行させている事例も少なくない。補助執行や指定管理などの業務委託についても博物館の基本理念が損なわれないように運用されているか検証される必要がある。
・連携の容易さや予算の確保等は取り組む姿勢によって結果が出るもので、所管によって結果が左右されるべきものではない。
・当館は当初から首長部局所管で研究施設・文化施設・観光施設という多面性を活かし、県の他の組織と連携しながら使命を果たしている。所管が首長部局だからといって博物館活動に大きな影響はない。
・教育委員会管轄下にあることが観光振興や地域経済に貢献しにくくしているとする根拠がまずは示されるべき。同時に、現状の実績が資料の収集保管・調査研究・普及教育の3本柱それぞれにおいてアウトカムという視点から正当に評価されるべき。
・大都市圏ではない地方館の場合、今後、地域振興・観光行政面の要請が増し、財源確保のため入館料等収入による自律的な運営を求められたとき、存立そのものが問われる可能性が出てくるであろう。
・おそらくそれぞれのメリット・デメリットがあるものの、両方の所管のもとで仕事をした経験がある人も少ないと思うので、想像(イメージ)で票が集まってしまうのは気になる


資料3(参考資料)

公立社会教育施設の所管の在り方等に関するアンケート

全国科学博物館協議会事務局

   「平成29年の地方からの提案等に関する対応方針」(平成29年12月26日閣議決定)において、公立博物館については、「まちづくり行政、観光行政等の他の行政分野との一体的な取組をより一層推進するため、地方公共団体の判断で条例により地方公共団体の長が所管することを可能とすることについて検討し、平成30年中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずる。」とされたことを受け、文部科学省において、公立博物館をはじめとする公立社会教育施設について、地方公共団体の判断で条例により地方公共団体の長が所管することを可能とすること等に関して、専門的な見地から検討を行うためのワーキンググループを設置することとなりました。そのワーキングにおいて、文部科学省担当部署からの依頼を受け、全科協がヒアリングを受けることとなりました。
   つきましては、ヒアリング対応にあたり、加盟館園のみなさまのご意見をお聞かせいただければと存じます。次ページの内容についてお答えいただき、メールあるいはFAXにて事務局までご返信をお願いいたします。ヒアリング期日が来月頭のため、短い期間での回答のお願いとなりたいへん申し訳ございませんが、何卒ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

提出先:全国科学博物館協議会事務局  
メール:info@jcsm.jp
FAX:03-5814-9898

回答期限:平成30年3月1日(木曜日)17時

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

電話番号:03-5253-4111(内線2977)
メールアドレス:syakyouhouki@mext.go.jp