学習成果活用部会(第6回) 議事録

1.日時

平成27年9月17日(木曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省東館3階1特別会議室

3.議題

  1. 検定試験等の民間教育事業の質の保証について
  2. 委員からの意見発表
  3. 自由討議
  4. その他

4.議事録

【菊川部会長】
  定刻となりましたので、ただいまから第6回中央教育審議会生涯学習分科会学習成果活用部会を開会いたします。
  本日は、「検定試験等の民間教育事業の質の保証について」ということで、委員の方々に意見発表を頂き、意見交換をすることとなっております。
  まず事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【竹下生涯学習推進課課長補佐】
  議事次第、座席表の後から、資料1から資料3まで、続いて参考資料1と2となっておりますまた、本日プレゼンいただく萩原委員、宮井委員からパンフレットを頂いておりまして、そちらについて配付させていただいております。
  前回の部会で委員の皆様方より部会長一任を頂きました中間まとめにつきましては、昨日、9月16日付けで取りまとめておりまして、参考資料1及び2として本日配付させていただいております。
  本まとめにつきましては今後、分科会、総会の方で、また改めて御報告、御審議させていただくことを予定しております。
  あわせて、この中間まとめで御審議いただきましたことを踏まえて、平成28年度概算要求におきまして、「生涯学習プラットフォーム(仮称)」の実証研究を行うための予算要求を行っております。今回、予算要求いたしましたその予算に基づきまして、本実証研究の実証を行い、その結果を踏まえながらプラットフォームの実現に向け検討を進めてまいりたいと考えております。
  以上となります。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。皆様、中間まとめにつきましては、個々御意見を頂いたりしながら、こういう形でまとめることができました。短期間の御審議でしたけれども、御協力いただき誠にありがとうございました。また、事務局の皆様もお疲れさまでございました。
  それでは、議題1に入らせていただきます。まず事務局から、「検定試験の民間教育事業の質の保証について」、御説明を頂きます。では、よろしくお願いいたします。

【助川民間教育事業振興室専門官】
  資料1‐1と資料1‐2に基づきまして御説明申し上げたいと思います。資料1‐1が検討事項の案、資料1‐2が現状ですとか、これまでの経緯についてまとめました参考資料でございます。
  まず資料1‐2の方から御覧いただければと思います。こちらは、検定試験等に関する参考資料といたしまして、二つのパーツから成っておりまして、各種教育プログラム・検定試験の現状に関する部分と、これまでの検討・関連する答申等の抜粋の部分でございます。
  最初に、中教審の諮問を一度振り返りたいと思います。最後のページ、25ページのところを御覧いただければと思います。
  中教審の諮問の概要ですが、一番下のところ、教育再生実行会議等の議論を踏まえまして、平成27年4月14日に諮問がなされております。その赤字で書かれているところの一番下、「生涯を通じた学びによる可能性の拡大、自己実現及び社会貢献・地域課題解決に向けた環境整備について」、皆様に御審議いただいているところでございます。そのうちの一番下のところの各種教育プログラムや検定試験について、学習履歴を安全に管理するとともに、適切に活用し、より高度な学習や幅広い活動等につなげる仕組みについて、これまで御審議いただきまして、中間まとめとしております。ありがとうございました。改めまして御礼申し上げます。
  その一つ上のところでございますけれども、各種教育プログラムや検定試験の信頼性や質保証の仕組みづくりと、これらを様々な場面で活用できるようにするための方策というものについて御審議いただければと思います。
  これにつきまして、これまでの議論を振り返りたいと思いますので、15ページから御覧いただければと思います。これまでの検討・関連する答申等の抜粋でございますけれども、大きくまとめたものが次の16ページでございます。
  検定試験の質の保証に関しては、これまで、もろもろ経緯ございまして、1枚でまとめております。昭和42年のときから、当時は文部省でしたけれども、文部科学省認定技能審査という文部科学省認定の検定がございました。社会教育上奨励すべきものを認定する制度が当時、最初は告示で、途中から文部省令によって実施されておりましたけれども、その制度につきましては平成14年の閣議決定がございまして、公益法人が独自に行う技能審査等の事務については一律に廃止することになりまして、平成17年度末をもって、文部科学省の認定技能審査というものを一律に廃止することとしておりました。
  平成17年度末の時点でどれぐらい検定があったかと申しますと、社会教育上奨励すべきものとして認定していたものが、14の団体によって21の検定がなされておりました。平成17年度末にそれが終わったわけですけれども、その後も文部科学省として検定試験に対して後援を差し上げるということは現在もなされております。
  その後、中央教育審議会で検討がなされまして、平成20年の答申がありました。その中でも検定試験のことについては述べられておりまして、学習成果の評価の社会的通用性を向上するために、各個人の学習成果を評価する検定試験について、客観性ですとか質を確保する仕組みを構築する必要性について述べられております。中身は後ほど御報告申し上げます。
  この平成20年の答申を踏まえまして、文部科学省の中に有識者会議が別途設けられまして、検定試験の評価の在り方について検討いただいておりました。そして「検定試験の評価ガイドライン」というのを平成22年6月にまとめております。
  さらに、平成23年に「検定試験の評価シート」というのをお作りいただきまして、これも後ほど中身は御説明申し上げますが、文部科学省では、この自己評価シートに基づいて自己評価をされているということを、検定試験に対して後援を差し上げる一つの条件とする運用をしております。この後、教育振興基本計画ですとか教育再生実行会議の提言などを踏まえまして、先ほどの諮問に至ったということでございます。
  17ページ、18ページが今、項目だけ触れました平成20年の答申の抜粋でございます。
  18ページの「多様な教育サービスの評価の在り方やそのための質保証の在り方の検討」というところでございますけれども、青字のところを抜粋して申し上げます。
  一つ目の丸の中で、検定試験については全国レベルでの一定の基準を満たすものを対象として、「個々の検定の評価手法の有効性、安定性、継続性、情報の真正性等を確保する仕組みを検討することが考えられる」ということが言われ、またその次の丸、この場合、「民間事業者等による第三者評価機関が検定試験について客観性や質を確保するという仕組みが考えられる」と述べられております。また、国がそのガイドラインを作成するなど、「民間事業者等の主体的な取組を支援する必要がある」ということが述べられております。
  これを踏まえまして、先ほど申しましたガイドラインが作られておりますが、20ページを御覧ください。
  平成22年6月に作られた検定試験の評価ガイドラインについて簡単に申し上げますと、この検定試験の評価ガイドラインにおきましては、検定試験の現状というもの、あるいは検定試験の意義ですとか、そういうものについても取りまとめていただいております。検定試験というのは全国で1,000ぐらいあるとも、あるいは5,000ぐらいあるともいうふうに言われておりまして、民間の検定試験は実施主体ですとか目的、内容、規模等が多種多様であって、受検者についても多様であるという現状がございます。
  課題のところでございますが、例えば検定試験の目的や内容が不明確であったり、試験の内容が体系的で必ずしもなかったり、あるいは試験の運営の問題として、受検者の本人確認がなされていないものもあったりとか、あるいは実施主体――運営される方々の実施主体の組織、財務等の情報公開の問題ですとか、試験が継続的に実施されていないといった状況があるということが課題として指摘されておりました。
  検定試験の意義のところでございますけれども、検定試験の意義として例えば自己の学習の到達目標・到達度を確認するといった意義、あるいは継続的な学習意欲を喚起するといった意義、こういった様々な意義があるということが検定試験にございまして、生涯学習社会の実現という面からも検定試験の果たしている役割は大きいとガイドラインで認識されております。
  質の確保としては、評価や情報公開を通じて質を確保するといったことが必要であるとされておりますが、具体的な評価方法として三つ目の点にあるように。検定試験実施者による自己評価が開始されることが重要であるとされております。その上で、類似する検定事業者間での評価、関係者評価、あるいは第三者機関による第三者評価といった外部評価が行われることが期待されるといったことが述べられております。
  では、どんなことについて評価をすることが適当かということです。21ページに1、2、3、4、5と大きく五つ挙げられておりますけれども、例えば1.のところで検定試験を継続的・安定的に実施できる、そういう体制や財務基盤を有しているかといったような実施主体についての評価。2.のところで検定試験の目的、内容が明確であるか。そして、目的、内容と整合する適切な測定手法がなされているかといった実施内容についての評価。あるいは3番、検定試験の実施体制、実施等の実施手続についての評価、こういった観点から評価をすることが適切であると述べられております。
  大きい5番の今後の取組でございます。繰り返しになりますけれども、一つ目の丸、自己評価が開始されることが重要ですとか、二つ目の丸、関係者評価、第三者評価が行われるなどといったことが期待されるというようなことが述べられております。
  以上のような検討がこれまでなされてきたところでございますけれども、それでは現状、各種教育プログラムですとか検定試験がどのようなことになっているかということに振り返りたいと思います。
  1ページ、2ページのところを御覧いただければと思います。
  2ページのところは、生涯学習各種教育プログラムが多様なものがあるということについて述べているものでございます。薄い緑色で幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学等の学校教育と書かれておりますけれども、その横のところです。民間のカルチャーセンター等で受講されている方々が、延べですけれども、1,000万人ぐらいいらっしゃるとか、大学の公開講座を受けておられる方が140万人程度いらっしゃる。あるいは文部科学省の認定の社会通信教育を受けておられる方も5万人いらっしゃるとか、あとは一番下の点線で枠囲みになっておりますけれども、公民館とか博物館、図書館、その他の社会教育施設を利用されている方というのも数多くいらっしゃいます。
  どのような生涯学習をしてきたかというのをくわしく見てみますと、それが次の3ページでございます。
  平成24年に内閣府で世論調査がなされております。生涯学習に関する世論調査というものでございますが、この1年ぐらいの間に生涯学習をしたことがあると答えられた方に対して、では、あなたはどのような場所や形態で生涯学習したことがありますかという質問をしたときに、複数回答でお答えいただいたものでございます。こちらも答えが多様でございまして、例えば公民館や生涯学習センターで学んだとか、あるいは自主的な集まり、サークル活動とか、カルチャーセンターのもの、通信のようなもの、あるいは職場での研修、自宅での学習ですとか、大学等の公開講座を受けましたとか、図書館・博物館・美術館等で学びましたというような方がいらっしゃいまして、多様な形態で生涯学習が行われているということが明らかになっております。
  では、それを検定ですとか、あるいは何らかの社会的評価を受けているかどうかというものが4ページですけれども、「身につけている知識等が社会的評価を受けているか」、この問いは、この1年間ぐらいの間に生涯学習をしたことがあると答えた方々に対して、あなたが生涯学習を通して身に付けた知識、技能や経験は、それを身に付けたことの証明がありますかと質問したものに対する複数回答での答えです。
  もちろん上から2番目のように、資格を取得しているという方も26%ございます。あるいは、その上に修了証が発行されているという方もおられますけれども、下から2番目のところ、証明を受けていないという回答をされている方も、全体の5割ぐらいの方がおられました。
  こちらが、今生涯学習で身に付けた知識等が社会的評価を受けているかということの状況でございます。
  また、5ページ、6ページですが、ここからが民間の検定試験の概要でございます。
  6ページが検定試験の自己評価に関するものでございます。こちらは平成26年度、文部科学省が委託調査した中で行われたものですけれども、民間検定事業者、検定を実施されている方々に対してアンケートを行った結果でございます。ただ、これは無作為抽出をしているものではなく、年間の受検者数が多い団体、あるいは文部科学省が後援しているといった、90の団体に対してアンケートを行ったものでございます。
  左側が自己評価を実施しているかどうかですけれども、「検定試験の自己評価シート」を活用した自己評価を「実施している」団体は大体7割です。右側のところ、これは第三者評価をすることが必要と考えますかという質問に対して、肯定的な回答をされている方々は6割程度おられました。
  自由記述で、第三者評価することの必要性についての御意見もございまして、それを幾つか挙げたものが一番下の括弧です。一つ目と二つ目は、第三者評価があることによって受検者の信頼が高まるといったような第三者評価に対する肯定的な回答がございます。
  対して一番下のように、第三者評価というものに対して、それほど肯定的ではないような回答もございます。例えばSNSなどに評価、感想というのは既に氾濫しており、受検者の生の声は集約できるので、第三者評価によらなくても、受検者側にとっても検定実施団体にとっても検定の評価の高い低いというのは判断でき、第三者評価するまでもないだろうという意見もございました。
  7ページ、8ページでございますけれども、7ページが検定試験の信頼性について受検者に対してアンケートをしたものでございます。検定試験を受けた方々に対してWebでアンケートした結果でございます。
  その左側の棒グラフは、ある検定試験が信頼できるかどうかを、受検者はどう判断しているかというものです。例えば実績があること、知名度が高い、官公庁が後援している、第三者評価機関によって認証されていることといったものが上位に挙げられております。
  右上の円グラフで示しているのは、もし検定試験の実施団体が自己評価をしているとしたら、そしてその結果を公開していたら検定の安心度は増しますかという質問に対して、肯定的に答えられたのが7割程度でございました。
  下の円グラフは、検定が第三者評価機関によって認証されていれば安心度が増すと思いますかという質問に対して、増すと答えたのも大体7割強だったというものでございます。
  下のページは大学等に対するアンケートの結果でございます。
  10ページのところを御覧いただければと思います。これは第1回部会のときにお配りした資料と同じでございますけれども、昨年の中央教育審議会、当時ございました高大接続特別部会において配付された資料でございます。資格ですとか検定試験等は大学入学者選抜についてどれだけ活用されているかというもので、11ページを御覧いただきますと、具体的な検定試験等の名前を挙げて、このようなものが入学者選抜において活用されているというものを例として挙げております。語学関係も英語、英語以外のもの、その他のものございますけれども、こちらに挙げているものは一例でございまして、ここに載っているもの、載っていないもの、特に基準があって分かれているものでございません。実は日本語検定委員会の実施されている日本語検定も、画像情報教育振興協会に実施されているCG‐ARTS検定についても、大学入試で活用されているという現状がございます。表から外れておりまして失礼いたしました。
  また12ページ、13ページは各種教育プログラムの一つである認定社会通信教育についてですが、こちらは社会通信教育に対して、国がその認定を行う形で質の保証をしているというものを例として挙げたものでございます。文部科学省が民間で行われている通信教育のうち、社会教育上奨励すべきものを認定するという制度がございまして、現状5万5,000人程度の方が利用されております。一番下のところで参考ですが、例えばカルチャーセンターですとか外国語会話教授といった授業と比べて、認定社会通信教育というものは規模的には大きくなくて、認定のようなものを受けていないような形で生涯学習を受けて、実施している方々、受講者は、もっともっと多くおられるということでございます。
  14ページでございますけれども、下の段、eラーニングの市場を推計したものの調査結果でございます。これは2014年のデータが最新ですので、このような状態になっていますけれども、そこのグラフの一つ上に書かれておりますeラーニングの市場で近年大きく変わっていることとしては、大手教育事業者を中心としてタブレット端末を使用した学習コース、タブレット端末を活用しての教育の導入が進んでいるというのが当時の状況でございます。この冊子が出たのは昨年でございますけれども、この1年間の中で、更にこの状況は進んでいるという状況でございます。
  以上が検定試験等に関する現状あるいはこれまでの検討でございますけれども、それを踏まえまして、資料1‐1で検討事項(案)というものを作成しております。必ずしもこちらに限定されるものではございませんけれども、ただ議題として事務局の方で取りまとめたものでございます。
  今まで申し上げましたように、各種教育プログラムですとか検定試験というのは、分野にしても、受講者にしても、多種多様でございます。また、eラーニングの発展がなされてきておりまして、各種教育プログラムや検定試験というのは実施の分野、受講者数だけではなくて、実施の方法も多様化しております。これに伴って学習者の学習スタイルというのも劇的に変化してきております。
  こういう現状の状況を踏まえて、以下の点について検討する必要があるのではないでしょうかということでございます。
  一つ目が、各種教育プログラムに期待される意義ですとか機能はどのようなものかということをもう一度、御議論いただければと思います。
  また、二つ目のところでございますけれども、検定試験というのも多種多様でございまして、その多種多様な検定試験に対して期待される意義・機能はどのようなものかということが2点目でございます。
  また3点目のところが、これらの各種教育プログラムや検定試験につきまして質の保証というのが、その多種多様さに応じてかもしれませんけれども、質の保証にはどのような必要性があるのかということ。また、それに対して学習機会提供者、検定事業者、学習者、その他の第三者及び行政は、それぞれどのような役割を担うべきか、ということを御議論いただければと考えております。
  以上が資料1‐1と資料1‐2の御説明でございます。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。質問は、萩原委員と宮井委員から意見発表いただいた後まとめてということになっております。
  それでは、まず萩原委員から15分程度で御発表をよろしくお願いいたします。

【萩原委員】
  では、発表させていただきます。レジュメの資料2‐1を御覧いただければと思います。黄色いパンフレットも併せて御覧いただければと思います。
  まず日本語検定の概要をお話しいたします。ここ10年、20年の間に、情報機器が普及して、ネットワーク環境の整備が進み、それに比例して日本人の日本語に様々な問題が見られるようになりました。
  例えば、漢字が読めず語彙が貧困なために教師の講義内容が理解できない大学生が出てきています。言葉をめぐる表現不足や理解不足による仕事上の様々なトラブル、又は家庭の中でのいさかい、学校での学力の低下、いじめなど、それぞれの問題の背景に大人から子供まで、日本人が置かれている言語状況が少なからずあるのではないかという問題意識から、この検定を始めました。
  私たちは平成19年から日本語検定を開始し、今年で9年目を迎えます。検定試験は6月と11月の年2回、それぞれ各2日間、金曜日と土曜日に実施します。もちろん問題内容は金曜日と土曜日では異なります。
  試験問題は、敬語、文法、語彙、言葉の意味、表記、漢字の6領域からの問題と、総合問題で成り立っています。総合問題は、長文を題材にした問題と、グラフや表、イラストマップなどを使った問題です。これらの問題によって日本語の総合的な能力を測ります。総合的な能力というのは日本語の知識と、それを運用する能力です。
  受検級は7段階で、7級が小学校の2年生修了レベル、6級が小学校4年生修了レベル、5級が小学校卒業レベルで、3級が高校卒業レベルで、3級から7級については、小・中・高の学習指導要領を意識して問題を作成しております。
  受検者の層と規模ですが、年間8万人から9万人が受検しています。年齢を見ると、下は4歳からで、例えば、小学校に入る前のお子さんが、7級の小学校2年生レベルを受検しています。最高齢の方は104歳で、90歳以上の方がけっこう日本語検定を受けています。
  受検者の属性を見ると、平成26年度には8万3,274人が受検していますが、高校生、大学生、中学生が多く、その次に社会人という構成になっております。
  受検の目的と検定の活用についてですが、様々な理由で受けていらっしゃる方がいるので、個人と団体に分けて御説明いたします。
  個人受検者のアンケートを検定回ごとに実施しています。毎回400から500ぐらいのアンケートの回答を頂きますが、そのアンケートで受検理由を見てみると、日本語に興味がある、日本語が好き、自分の日本語力を試したい、仕事で日本語力が必要、高校や大学の入試のため、就職・転職のため、スキルアップのため、検定自体に挑戦するのが好き、コミュニケーション能力を高めたいなどが挙げられています。
  日本後検定の特徴として、高齢者層のリピーターが非常に多いのですが、皆さん共通しているのは学ぶことが楽しい、生きがいだということです。ネット環境がない方も多くて、電話でお話しする機会も多いのですが、直接そのようなお話も伺っています。
  また、1級に1度合格しても、何度も受検する方がいて、現在、最高で10回も1級に合格している方がいます。2回以上合格という方も非常に多いので、こちらから、何で受検するのですかと聞きに行ったところ、定期的に自分の日本語力をチェックしたいという方や、また、1級で全問正解した方は今まで一人もいないのですが、全問正解するまでやめられないという方がいました。親御さんを介護していて、自宅でできることしかできないので、自宅で勉強して、1級を毎回受検する方もいました。先ほど申し上げたように、ネットを使えない方も多いので、お手紙や、お電話でも受検者の声を拝聴しています。
  その他、精神的な問題で自宅から外出することが難しい方が、自宅で日本語を勉強して、検定試験日だけ試験会場に行って受検するというケースもあります。
  団体受検の場合、下は就学前の幼児が受検していますが、幼児期にしっかりと他人の言葉を聞いて伝える力を育てたい、小学校に入る前に日本語をきちんと学んで、無理なく小学校の学習についていけるようにしたいということのようです。
  小学校、中学校では、日本語検定を使って言語環境を整え、日本語力を高めることで「言葉」に対する興味を喚起したいというお話を伺います。また、教科全体の学力を向上させるためとか、言葉の力が考える力につながるから、学習意欲を高めたいなどの理由もあります。土曜教室、父母教師会、PTAなどが主催している学習会などで実施するケースでは、親子で受検していただく場合もございます。
  高校では、国語の向上だけでなく全教科の底上げを目的としている学校が非常に多いです。また高大連携科目の充実を図る際に、日本語表現の教育プログラムで受検しているところも最近多くなりました。あと、広域通信制とかフリースクールなどで、学習意欲を高めるフックとして受検をして、スモールステップで自信を付けていったり、正しい日本語を身に付け、大人とのコミュニケーションを図るために活用したりしています。挨拶の指導などと併せて検定を実施したら、学校内のトラブルが減少して学校の雰囲気が変わったという学校もありました。また、学校でのキャリア教育の一環として、社会で活躍されている方に、社会経験を話していただきながら、社会人として日本語力が大事だということを語っていただくような活動も私どもはやっております。
  大学生、高等専門学校については、リメディアル教育や初年次教育の一環として、また社会人になる前に必要な日本語力や文章力を身に付けさせることを目的としています。教員採用試験対策で、教員になるには、最低限、このぐらいの日本語力は必要だということで、高校卒業レベルで社会人基礎レベルの3級を目指して団体受検する大学も増えています。また、理系の学部での受検や、英語力を高めるために1、2年生で日本語検定を受検し、3、4年生で英語の検定を受検するというケースも増えています。
  なお、特別支援学校での受検については、私どもは力を入れております。特別支援学校、盲学校、ろう学校、またへき地や離島の学校、院内学級などでは、通常5人からという準会場設置の条件をなくし、1人でも受検したいという人がいれば受検できるようにしております。それがだんだん増えてきて、1人、2人で団体受検している学校も多いですが、スモールステップで自信を付けて、自己肯定感を持って、自分に自信をもてるようになったというお話も伺っています。ときには、検定で努力したプロセスが企業に評価されて、実際の就職に結び付いたという御報告も頂きます。また、本検定問題を授業で活用していただいているケースもございます。
  専門学校は、介護・看護、美容、しんきゅう、デザイン、外国語、手話通訳者、航空業務等で幅広く活用されています。
  企業・自治体では、採用内定者や新入社員の研修に多く利用されています。受検している企業の業種・業態は様々ですが、会社によっては3級を社内基準として、合格者に手当を出したり、検定合格を管理職への昇進の条件にしています。また、就労支援のために就労移行支援所などでも実施しています。
  家庭教育の振興を推進している団体ともいろいろな側面で交流し協調し、日本語検定を親子受検していただいておりますが、家庭での日本語の教育が基本であり重要だと考えております。
  概要は、以上です。
  パンフレットに問題例など出ておりますので是非、後で実際に御覧いただければと思います。
  次に質の保証と向上のための取組についてですが、検定試験に求められる「質」は、大きくは「試験の内容」と、「実施手続・方法」の二つに関わるものだと考えております。
  一つ目の「試験内容」については、試験問題が目的にかなったもので、各級のレベルに応じた一定水準の内容であること。二つ目の「実施の手続・方法」については、公正で透明性の高い検定試験を実施できる体制が整備され、受検者のニーズに応える適切な運営ができるということだと考えております。
  この二つの質的向上を目指して、私たちは平成22年10月から、先ほどお話がありましたが、「検定試験の評価ガイドライン」の「自己評価シート」を使って、まずは「自己点検」と「自己評価」を実施しました。
  「自己評価」をどのように進めるかについて、内部でも、理事と審議委員を交えて議論しました。「審議委員」は諮問委員のようなもので、問題内容の精査、合否判定基準の決定等を行う機関です。現在は、毎年、一定の期間、「自己点検・自己評価」を行っています。その際に、先ほど申し上げました受検回ごとの受検者アンケートや日々の電話、手紙、メールの内容も併せて、検討材料にしております。
  日本語検定は平成19年から始めた、まだ新しい検定でしたので、私たちにとってもこの「自己評価シート」で全体を見直すことができるというメリットがありました。「自己評価」を行うことによって一定程度の基準まで達しているところと、まだ努力が必要なところが明確になったのは、非常に良かったと思います。
  今後の課題ですが、そもそも社会に対して何らかのサービスを提供している事業者には、社会的責任が当然伴うものだと認識しています。特に検定事業は、個々人のある分野の能力を評価するということですから、その評価が様々な場面、例えば、入試とか、入社とか、昇進とか、様々な場面で活用されるとなれば、その責任は非常に重いと考えます。ただ単に民間事業者という以上の意識を持って運営しているつもりです。
  「自己評価」を実施して、その結果を開示することは、事業者として最低限実施すべきだろうと考えます。ただ、自分たちが自らの検定を評価する「自己評価」には、「自己点検」も含まれますが、その信頼性をどう保証するかという点で、当然ながら限界があるだろうとは感じておりました。個々の検定事業者ごとの「自己評価」だけでは、評価基準に差異が生じるのは避けられません。そこで、やはり「第三者評価」というのが必要になってくるのではないでしょうか。
  検定事業を受検者にとってより有益なものにするためにも、実施方法や実施内容について第三者に点検・評価してもらうことは必要で、それが検定事業全体の質も含めた、いろいろな面での底上げにつながるだろうと思っていますし、それによって検定事業全体の社会的な信頼も増すと思っています。
  ただ、一口に検定事業といっても、先ほどお話ありましたように最低でも1,000ぐらいはあります。もちろん、それは生涯学習だからこそのバリエーションだと思いますが、それぞれの検定の扱う内容、規模の大小、実施回数などは本当に様々ですので、事業者の大きな負担にならないような導入の仕方が求められるだろうと思っております。
  また、個々の検定問題の作成方法や手順については、第三者評価は可能だと考えていますが、その問題内容自体の評価を第三者が行うというのは、実際には、なかなか難しいのではないかと思います。それは事業者の責任であると考えております。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。
  続きまして宮井委員、よろしくお願いいたします。

【宮井委員】
  それでは当協会が行っております検定試験について、質の保証という観点から御紹介させていただきます。資料は資料2‐2と、それから当協会の検定試験の受検案内をお持ちしております。試験の内容については、こちらにかなり詳しく書いておりますので、こちらを適宜御覧いただきながらお聞きいただければと存じます。それから、検定試験の御紹介に先駆けて、今日の資料にも書かせていただいておりますが、どんな組織で、どんなことを考えてこの検定試験を実施しているかという、その背景についても御紹介させていただきます。
  2ページですが、当協会は、協会としては1991年に発足いたしました。ただ活動自体は、80年代半ばに、まだ日本にもコンピュータグラフィックスに関わる方というのは大変少ない時代に、将来、日本にコンピュータグラフィックスはあらゆる産業の中で必要なものになってくるだろう、そういった分野の人材を育成するために、いち早く教育環境、あるいは目標となるようなものをしっかりと作っていくことが必要だと考え、大学の研究者の方や企業の方々と研究会を作りまして、それが母体となって当協会ができました。
  私自身も、その研究会の当時から事務局をやらせていただいておりまして、ずっとこの仕事をさせていただいております。
  晴れて1992年に、当時文部省からですが、財団として認可を頂きまして、財団法人として活動を本格化いたしました。2012年には公益財団法人に移行しまして、現在に至ります。
  協会活動自体は当初、検定試験を主に実施する団体として活動を始めましたが、やはり教育環境がまだ整っていない、先生がいらっしゃらない、教材がないという時代でございましたので、それも含めて、いろいろなものを取り組もうということになりました。内容的には教育カリキュラムを作り、教科書を作りという様々な活動をすることを目的に、人材育成と、文化振興という二面性を持って活動してまいりました。
  検定自体は、文部省の認定試験として「画像情報技能検定CG部門」というものを1993年に認定いただきまして、その後は3種類の試験に発展し、さらに、5種類の試験になりました。その過程で認定というものが残念ながらなくなってしまいましたので、今は5種類の検定を文部科学省様から後援を頂いております。
  少し協会活動自体を御紹介したいのですが、その人材育成に関してでございます。3ページにありますが、主にこの四つの活動をしております。
  まず出版活動。教科書や試験問題集、それからいろいろな応用の教材を作って発行しております。
  それから検定試験は、先ほど申し上げたように5種類実施しております。5種類はそれぞれ、現在は2等級で実施しております。
  さらに、こういった教育活動を普及するためには先生方の活動が大変重要となりますので、そういった先生方の活動を御支援するような活動。先生用の教材を作ったり、セミナーを実施したりということをやっております。
  また、そうした当協会の教材を使って検定試験を受検していただいている学校に対して、認定をさせていただいて、いろいろな支援活動を手厚くさせていただくという関係づくりも担っております。
  人材育成については大体そういった活動をしております。
  そして、もう一つの文化振興活動ですけれども、これも、こういった人材育成の一側面を担っておりますが、どちらかというと文化的な振興という形で御紹介する方が分かりやすいので、そういった表現を使わせていただいております。
  一つ大きいのが文化庁メディア芸術祭で、これは企画・運営を担わせていただいております。
  それから、当協会が独自でやっている学生向けのコンテスト。CG、コンピュータグラフィックスの略として始めましたが、今はコンピュータグラフィックスの枠にとどまらないような作品が大変多くなっております。そこで、このCGをキャンパスジーニアスと読み替えて、コンテストをずっと続けております。今年で21回目になります。
  検定試験が知識や技能を測るものとすると、このコンテストは、そういったものを利用して実際の作品を作っていく。創作活動、想像力を表す、評価する場面と捉えて、当協会はずっと両輪で実施しておりました。
  それから、そういった領域でどんどん活躍していただきたいという考えから、クリエイティブサポートといいまして、メディア芸術に関わるアーティスト、クリエイターの方々の支援活動や、主に国内ですけれども、美術館や企業が、展覧会などをおやりになるときの企画・運営、マネジメントなどもやらせていただいております。
  ここからだんだん教育活動のもう少し詳しいところを御紹介したいと思います。5ページでございます。当協会では教育システムと呼ばせていただいておりますけれども、カリキュラムを開発してから実際にそれを学んだ人が就労するところまでの流れを協会がどんなふうに関わっていくかというものを表したものとなっております。
  最初はカリキュラムを作って、それに合わせた内容の学習用の教科書、それから先生向けの教材なども発行しております。そして先生方に、そういった教育内容を十分理解いただいて、学校教育の現場で御利用いただくことが必要となりますので、今は、そういった先生方の支援用の教材制作やセミナーをやらせていただいております。
  協会設立当初は、先生がいらっしゃらない時代でしたので、先生を育てさせていただくというところから活動が必要で、養成講座、指導者認定といったものもやらせていただいておりました。
  当協会の教科書を使ってくださって、検定試験を受験してくださる教育機関が、申請をしてくだされば当協会が認定をさせていただく。支援活動を手厚くするといった関係作りのための教育機関の認定というのもやらせていただいております。毎年申請を頂く形をとっておりまして、昨年度は185校から申請を頂いております。大学、専門学校や高校、中には、株式会社でおやりになっているスクールというものもございます。
そして検定試験の実施。年2回行っております。7月と11月に、夏が少し少なめの会場で148会場、11月が173会場、昨年度行いました。大体、近年は同じような数で実施しております。
  文部科学省の後援を頂いておりますと同時に、成績優秀な方に、個人と団体受験校に対して、文部科学大臣賞を頂いております。それから、もう少し頑張った人たちに奨励をしたいので、CG‐ARTS協会賞というのも出させていただいております。
  検定試験の合格証を出させていただいている方が、これまでで累計で71万人の受検者の中で32万人いらっしゃいます。昨年度の受検者は1万5,566名。決して大きい規模の検定試験ではございませんが、この分野では、特にコンピュータグラフィックスについては唯一の検定試験です。受験者の多くの方々は、こういう分野に仕事をしたいということで勉強を頑張られていらっしゃいます。
  6ページになりますが、その五つ、教育領域、検定試験の概要をまとめさせていただいております。コンピュータグラフィックスに関わるところは、デジタル映像表現といってクリエイター向けの内容、そしてコンピュータグラフィックスというCGエンジニア向けの内容の二つに分けております。
  CGクリエイターの領域は、ソフトウエアなどを使って、実際にアニメーション、映画、ゲームなどの制作ですとか、デザインをするための学習をする方たちのための、映像表現やソフトウエアを効果的に用いるための理論的な知識を学んでもらうものです。そしてそれの評価する検定でございます。
  CGエンジニアの領域は、ソフトウエアやツール、様々なハードウエアを開発できるような知識を持っていただくための学習と評価をやらせていただいております。
  またコンピュータグラフィックスというのは、コンピューターを利用して、何もないところから創り出していく技術でございますが、もう一方、コンピュータを使って画像を扱うところは、世の中にあるものを取り込んでコンピュータで処理をするというところがございます。そちらについても、デジタル画像処理という領域として捉え、私どもは教材開発や検定試験を実施しております。こちらは、先の御紹介したCGの分野よりも、かなり広い産業分野に活用されていて、例えば工業、医療、リモートセンシング、ロボットビジョン、交通といった分野で活用されております。利用されないところは少ないのではないかと思います。そういった製品の開発が行えるように知識を学習していただく。それから検定試験をするというものになっております。
  近年、インターネットを利用する中で、やはり画像として扱うところが、大変増えております。ここも当協会は対応しておりまして、Webデザインという言葉を使って検定試験をやっております。デザインというと、どうしても目に見えるものだけをお考えかと思いますけれども、当協会の場合は、Webサイトのコンセプトメーキングから実際にWebページをデザインして作るところ、できたものをテストや評価を行って運用するという総合的な知識を習得して、検定試験で測るということをやっております。
  最後の五つ目でございますけれども、マルチメディア、マルチメディア検定です。ここだけは人材像が不明確になっておりますが、実はこれはITリテラシーとして捉えていっております。
  最初に紹介した四つの領域の対象となる人たちにとって、コンピュータや周辺機器、インターネット、それからコミュニケーションや知的財産などは基本知識です。そういったものを学習していただいて検定で測るということをやらせていただいております。
  これらの検定試験は、申し上げたように1万5,566名の方に昨年度受検していただきましたが、どういった内訳になっているかと申しますと、7ページにございますような割合でございます。CGの2つCGクリエイターが34%とCGエンジニアが16%で、次に大きいのがマルチメディア検定となっていて、Webデザイナー、画像処理というような割合でございます。
  画像処理は大変割合が少ないのですが、実は教科書の利用を御紹介しますと、画像処理の教科書が一番利用していただいております。大学教育の中、それから企業の中で、かなり高度な画像処理技術を習得するために使われていて、コンパクトに基盤知識をまとめている教科書、リファレンスブックとして御活用いただいています。ただ、そういった領域の方々は、大学卒業、あるいは修士課程や博士課程の修了を得ることで、社会に出るには十分であるということだと思いますが、検定試験を受検される方は少ないです。
  8ページですが、どういった方々が受検しているかという御紹介になります。企業、大学、短大、専門学校、高専、高校、個人というふうに分けますと、半分以上が専門学校の学生さんになっております。コンピュータグラフィックスの、特にCGクリエイターといった映像表現をするところの教育は、日本では専門学校でおやりになっていることが大変多いです。ですので、この領域の受検生が大変多くなっております。その次に大学生、それから高校生という割合となっております。
  先ほど御紹介がありましたが、こういった合格者の優遇措置のようなものにどんなものがあるかといいますと、大学や短大の入学試験時、AO入試ですとか推薦です。今、当協会が分かっておりますのは63校で優遇措置がございました。この学校数の中には更に学部が分かれておりますので、実際にはもっと多くの数と考えていいと思っております。
  それから、当協会で行っています検定試験の大きな目的は、この業界に就職することということがございます。ですので、企業に、この検定試験を御理解いただいて、推薦いただくということが必要になってきます。そういったことを今、積極的に取り組んでおりまして、現在71社ございます。
  こちらにつきまして、検定試験の受検案内にも少し御紹介させていただいておりまして、最後のページを開くと、企業から、どの検定の、どの等級が推奨いただいているか。このようなものを御紹介させていただきながら、受検者の方々にも、こういった企業がこんなことを求めているというのを、間接的ではございますが、御紹介するように取り組んでおります。
  当協会の検定試験、5種類ございまして、それぞれ御紹介すると15分では足りなくなってしまいますので、一応この資料では1枚1枚、検定試験の活用分野とか、職種とか、役割、スキルなどをまとめております。適宜御覧いただければと思います。また、15ページに、先ほど触れました教科書、問題集を御紹介させていただいております。
  試験が2等級分かれておりますので、教科書も2等級、きちんとございます。ベーシックというのが下の教科書、入門と言葉を付けております。エキスパートというのは専門分野の名前をそのまま付けています。それから、やはり問題集で学習をされるということも大変重要になりますので、それぞれの問題集を発行しております。
  本日の本題については、最後のページの2枚となります。検定試験の自己評価としましては、当協会では文部科学省の自己評価シートを年に一度使って確認をさせていただいております。当協会では、長い間、検定試験を実施しておりますが、こういった共通の指針がございませんでしたので、公益活動をする協会として社会に恥ずかしくない、信頼していただくにふさわしいように気を付けてやってまいりました。こういった指針ができますと、ある意味安心して、これにのっとって運営していけばいいと思えるようになりましたので、毎年見直しながら行っております。やはり長い間やってきますと、いろいろ体制が変わって、大変うまくやっていたことでも、時間の経過とともに変化が起こるということも分かってまいりました。ですので、毎年同じ基準で見直すということは大変いいことだと思っております。
  それ以外に当協会で社会的な責任として果たさなければならないと思ってずっとやってまいりましたことを少し御紹介させていただきます。検定試験ですので、基準となる資料がございますが、当協会の場合、基本になるのはカリキュラムです。カリキュラムには達成目標が明確に記されておりまして、それを基準に試験を作っております。同様に教科書もカリキュラムに合わせて使っております。そして用語の使い方というのも大変重要です。どうしても専門領域となりますので、そのあたりを統一させていただいておりまして、間違いなく試験でもそれを反映すること。それから問題形式についても一定パターンを利用して、それで出題するようにしております。
  そして三つ目となりますが、制作過程における問題の評価・修正というものを常に行っております。試験問題の制作工程を定型化する。これはどちらの検定試験でもおやりになっていること、当たり前のことだと思いますけれども、これは大変重要なことだと思っております。それから、そこに関わる人たち。当協会の場合は制作工程を管理する人間、作問のアドバイザー、専門家として問題の内容についてアドバイスをしてくださいます。実際に問題を作る作成者、そしてできた問題を解答シミュレーションする方、それから問題を出題セットとして編集する方と、立体的に問題の評価と修正を行っております。
  また、実際に試験をした後に、出題した問題を、問題の設問の解答選択肢ごとに分析を行っております。また、受検者層ごとの正答率の分析なども行って問題を評価するようにしています。
  それから合否判定につきましても、委員会を設置して、過去のデータと照らし合わせて、合格基準点に妥当性があるかどうかを確認しております。もしも合格基準点にふさわしくない、例えばその試験の難易度が上がってしまったというときは、合格点を下げるような手続を踏んでおります
  こういったことを常にやらせていただいていますけれども、問題の質については、試験回ごとに問題を作っておりますので、難易度や範囲などを完全に一定にすることは難しいと考えております。それから合否判定の質については、試験回、検定種類ごとに専門家の委員によって行いますが、問題制作の方法からしますと、近年普及を見せておりますコンピューターベースドテスティング(CBT)による判定と同等に一定にできるかというと、そこまでするのはやはり難しいと考えております。
  CBTによる試験の実施について、いろいろ私どもも研究しましたが、当協会の検定を受検してくださっている教育機関は団体受検が多く、そのほとんどは一斉テストを望まれています。そうすると、試験環境を整えるというのは大変難しくなります。さらに、CBT運用サービスを利用するのは、現状のマークシート方式の試験と比べますと、どうしてもコスト高になってしまって、もしも実行するならば受験料に影響することが考えられますので、なかなか取り組みにくいというような問題がございます。
  第三者評価について、最後となりましたけれども、評価シートの内容は大変いい内容と思いますし、第三者組織がそういったものを利用して評価されることは十分行えることだと思いますので、自己評価ではなく信頼性の高くなる第三者にやっていただくというのは大変いいと思っております。
  ただ、試験の内容について、先ほどもございましたけれども、専門性があるものですので問題自体を評価するというのは大変難しくなります。ですので、ここは現状の自己評価シートのように何か基準となるものを作って、それぞれの試験団体が自分たちできちんとやっていく、評価の結果を公開するというようなことをしてはどうかと思います。そうすれば、受検者の方々にきちんとやっておりますということを説明していけるのではないかと思っております。
  以上になります。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。非常に充実した事例を二つ御紹介いただきましたけれども、まず10分程度、今の事例、それから最初の事務局の説明について質問をお受けしたいと思います。委員の先生いかがでしょうか。質問、どなたからでも結構です。どうぞ、三瓶委員。

【三瓶委員】
  ありがとうございました。宮井委員にCG‐ARTS協会の検定についてお聞きします。私も専門外でよく分からなかったので今回大変勉強になりましたが、検定受検者層で、個人で受けられている方の年齢層というのは把握していらっしゃいますか。

【宮井委員】
  受験のときに記入いただくようにはしていますが、把握しておりません。ただ、大体の受験者層というのは、20歳前後の方が大変多くいらっしゃいます。個人で受検されている方も恐らく企業の若い方、それから団体受検をおやりにならない学校の学生さんというのがほとんどだと思います。たまに中学生や御年配の方が受検してくださっている場合もございます。

【三瓶委員】
  ありがとうございました。

【菊川部会長】
  よろしいでしょうか。
  ほかに、いかがでございましょうか。どうぞ、山本委員。

【山本委員】
  今、入試改革とか、いろいろな議論があるので、それとの関連で興味深く聞いておりました。文科省にお聞きしたいのですが、14団体21検定ということですけれども、大体今の2団体の水準で、そのほかも行われていると理解していいのでしょうか。

【菊川部会長】
  どうぞ。

【助川民間教育事業振興室専門官】
  14団体21検定というのは、平成17年度末に認定が終わったときの数字ですが、現在の後援はもう少しありまして、大体三、四十ぐらいに後援を差し上げています。そして本日御発表いただいた両検定とも文部科学省からの後援を差し上げているところです。

【山本委員】
  私は、非常にまだマーケットが小さいと思います。いろいろ今、御苦労を聞きましたけれども、非常に新しい分野、新しいのに応える形で創造的なテストが行われている分野でこれからマーケットが広くなったときにどうするのかという問題と両方あるかと思い、興味深く聞きました。ありがとうございます。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。
  ほかに、いかがでございましょうか。では、私からも日本語検定のことで質問させていただきます。
  平成19年から検定を始めて、現在8万3,000人余ということで、短期間の間に、どういうペースで増え続けたかというのが1点です。
  それから、これに関わるスタッフの体制、試験対策用の教科書や問題集など、そういうものを出してあるのかどうか、それから試験会場をどうしてあるかという点について、教えていただければと思います。

【萩原委員】
  まず受検者数のペースですが、平成19年に始めまして、第1回が2万人です。正直申し上げますと、日本人に対して日本語の検定ということで、どのくらい需要があるのだろうかと思っていました。ただ、ふたを開けてみますと、第1回は社会人の方が思った以上多く、2万人の方に受検をしていただきました。その後は学校の団体受検が増えていき、検定回ごとに4万人近くなりました。現在は、年間2回の実施で、8万から9万の間というところです。
  スタッフですけれども、組織を御紹介しますと、まず理事会があります。その下に、先ほど申し上げた審議委員会という諮問する委員会と問題作成委員会があり、問題作成には多くの人が関わっています。それと、委員会事務局で、実際に日々のいろいろな業務、コールセンターも含めて運営を担当しています。委員会事務局の人員は時期にもよりますが、大体10人から12人程度です。

【菊川部会長】
  試験の会場は、いかがでしょうか。

【萩原委員】
  試験の会場については、パンフレットの裏を見ていただきたいのですが、全国47都道府県91都市に会場を設置しています。私どもとしては、各県で必ず一会場は設置するという方針で初回から実施してきました。受検者数が1回で4万人から4万5,000人程度ですから、どうしても会場によって受検者の多い少ないはありますけれども、やはり受検者の利便性を第一に考えて、各県に必ず1会場は設置するように努力しております。
  あと試験対策でございますが、パンフレットにもあるように、種々の参考書、問題集が級別に用意されています。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。
  ほかに、いかがでございましょうか。どうぞ、藤田委員。

【藤田委員】
  とても分かりやすく説明していただいて、ありがとうございました。私どもの大学の講座を受講している方たちもフランス語検定とか、いろいろ語学の講座でも検定を目指してという場合が多いのですが、この検定料について、受検する方たちがどのように評価されているのかということと、今後に向けて人数が例えば増えていけば、検定料がどのようになると考えていけば良いのかというところをお教えください。
  それともう一つは、現状の課題ということで、宮井委員からはコスト高という問題も出てきておりますので、今後やはり検定料に上乗せしていくということを考えていかなければならない現状が間近に見えてきているのかというところも具体的に教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【菊川部会長】
  では、萩原委員からお願いいたします。

【萩原委員】
  受検料ですけれども、パンフレットにある料金でこれまでやってきました。先ほど申し上げたようにアンケートをとっておりますが、そこでは受検料について聞いております。安いという意見は少なく、もう少し安くしてほしいという意見が多少あります。また、適切だという意見も頂いています。
  私どもとしては、非営利活動ということもあり、なるべく多くのお子さん方に受検していただきたいというところから、低めに設定していますが、費用面から見ると足が出る状態です。でも、私どもは将来、受検者が増えたときには、受検料をどこかで下げることも考えています。先般の消費税率の引上げの際も、税込みの受検料金は上げませんでした。

【菊川部会長】
  では、宮井委員、お願いします。

【宮井委員】
  受験料はベーシックが5,500円、エキスパートが6,600円です。実は消費税が上がったときに少し値上げさせていただいておりまして、この金額にしております。現状としましては、受験者や教育機関にとってこの金額が限界ではないかと考えております。当協会の場合、専門学校の受検者が大変多くいらっしゃいますので、受験料についても先生とお話をすることが多いのですが、この金額だったらしようがないねと言っていただいた金額にさせていただいております。
  また、5種類の検定に2等級で、中には二つ、三つと受けられる方がいらっしゃるので、そういった方には割引をするような制度を設けておりまして、一つの検定だと5,500円と6,600円、二つの検定だと、例えばベーシックを二つ併願すると1万1,000円ですけれども、併願の場合は、少し金額を緩和するというようなことをしております。
  当協会の場合、公益法人として活動しておりまして、特に公益事業として検定試験を実施しておりますので、検定試験で利益を出すことは目的にしておりません。逆に、いろいろな企業様から寄附を頂いておりまして、その寄附金をここの事業に投入させていただいております。
  コスト高となるというのは、コンピューターベースドテスティング(CBT)に移行するとコスト高になるということでして、現在の受験料では収まらないというように考えております。将来は必要だと考えておりますので、CBTでやるためにはどうしたらいいかというので考えあぐねているところです。

【菊川部会長】
  ありがとうございます。
  資料1‐1で文部科学省から検討課題の案も出されておりますし、今まで中間まとめやこの部会の目的も踏まえ、この検定試験ということについて、いろいろ御意見を賜れればと思います。
  加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】
  資料1‐2の検定試験等に関する参考資料の20ページなどで、検定試験を評価することの必要性というのが書いてあります。いろいろ話を聞きましたが、評価の意義といいますか、評価することで誰がどううれしいのかということが、いま一つふに落ちていないです。
  検定試験の意義ということで、チャレンジ精神の涵(かん)養、自己の学習の到達目標・到達度の確認、継続的な学習意欲の喚起や教養の涵(かん)養が挙がっておりますが、こういったものは検定試験そのものの意義であって、評価とは余り関係ないと思います。では評価の必要性というのを考えたときに、ここに書いてあるのは、評価を通じて質の維持向上を図り信頼性を確保するということです。質の維持向上を図り信頼性を確保するのは別に評価だけではなく、ほかにももっといろいろやるべきことはあるし、できることはあるだろうと考えると、評価が誰にとって、どううれしいのかというのがよく分からなくなって、そこを中心にいろいろなお話を聞いていました。
  一つふに落ちたのは、評価を受けることによってはくがつくというか、受験者から選ばれる確率、受けようと思われる確率が上がるなど、そういうメリットは確かにあると思います。ただ実際、検定試験は全く同じものを検定しているような試験というのはないわけで、それぞれ特徴を持って違う能力を測定している。そもそもAを受けようか、Bを受けようかと選ぶような局面は余りありません。
  それゆえ、私たちは何のために評価するのかというそもそものところに立ち戻って、それぞれのステークホルダー、つまり、検定試験を実施する側、あるいは受ける受検者の側に立って、なぜ評価をするといいのか、評価をすることでどのようないいことがあるのかというのを整理する必要があると思いました。

【菊川部会長】
  ありがとうございます。御意見も入っていたかと思いますが、何か補足がございましたら。

【助川民間教育事業振興室専門官】
  検定試験というもの自体を評価することの意義として、このようなものが考えられると思うものを何点か申し上げます。例えば検定実施者の側からしてみると、検定試験というものは学習の成果を測定するものでありますけれども、その検定試験自体の成果を証明する力が上がるということは1点あると思います。
  また受検者の側として、見方を変えれば学習の成果を活用するために、私はこういうことを身に付けていますというのを証明するものとして検定試験を受けられる方も多くおられると思います。そのときに、受けている検定試験というものが、私は何々検定を1級取っていますといったときに、その何々検定は、信頼の置けるものですということを説明する材料になるということは考えられます。
  また、ほかにも幾つかあるかもしれませんけれども、検定試験の評価といったときに、その評価することの意義ということも含めて御議論いただければと思っております。

【菊川部会長】
  ありがとうございます。ガイドラインが出ておりますけれども、それを基に、また深めていくという、加藤委員がおっしゃったとおりだと思います。
どうぞ、岩本総括官。

【岩本生涯学習総括官】
  今担当の方から説明がありましたが、現状において、余り模範的な回答というのは恐らくないと思います。ただ、一般的な評価という問題に関して、様々な場面において、例えば教育サービスとか、あるいは検定も含めて、何のために評価するかということは、最初の議論の中で重要な点です。そのときよく言われるのが、まずサービスを実施する側と事業を行う側の主体的な改善の取組の中で、評価を改善のサイクルの中に入れ込み、その評価結果に基づいて自己改善をしていくというものです。
  それから、評価の必要性については、実際そのサービスを受ける人とか、活用する人から見たときに、信頼性を確保してもらわないと困ってしまうという質の保証の観点があります。
  また、企業の採用活動などで、検定で示された能力を持っている人を募集したい人や、学校の卒業といった教育の成果を活用しようとする人にとっては、採用候補者が示す学習成果の信頼が保てるかどうかが重要です。学習成果の信頼性をある程度証明してくれる、その水準を担保してくれるような評価結果があると非常に参考になります。
  学習機会提供者と学習者と、あとは学習成果を活用する方、その三つの視点から、評価が必要だと個人的に整理しています。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。どうぞ、加藤委員。

【加藤委員】
  こういう検定試験、いわゆるペーパーテストによる試験というのは学校教育の中でも当然あって、古くて新しい問題です。つまり、本当の能力が測れるかどうかというところで古くて新しい問題で、学校教育は学校教育の方で新しい評価の動きがあります。例えばパフォーマンス評価とか、そういう動きが起きています。例えば一つ例としてWebデザイナーみたいなものを挙げますと、有能なWebデザイナーというのは、こういう検定試験を受けたらいい点をとる。だけど、こういう試験でいい点を取ったからといって、より有能なWebデザイナーとは限らないということは、みんな薄々知っていまして、それが結構問題になっていると思います。けれども、試験の在り方まで変えるというのは、ここでの議論の範囲を超えるだろうと思います。高い点数をとった人が高い能力を持っているという信頼は、そもそも、こういうペーパーテストが持つ宿命として、これは無理筋な話ではないかと私は思っています。

【菊川部会長】
  どうぞ宮井委員。

【宮井委員】
  加藤先生の御指摘するところ、とてもよく分かります。例えば私どもWebデザイナーもやっておりますし、それからコンピュータグラフィックスの分野もやっております。知識だけを持っていても、例えば仕事を就くといったときに十分ではありません。やはり実際に、例えば技術者であればプログラミングの能力とコンピュータグラフィックスの理論を両方持っている。もちろん、その背景には数学とか、物理学とか、そういった知識を持って、プログラムも実際に作って、ソフトウエアを作るというようなことが必要になります。ですので、試験の範囲を明確にすること、どういった内容を評価しているかということを明らかにすることが、すごく重要だと思っています。試験の範囲、内容の評価の部分について、明確に提示していれば、その能力がきちんと持っているか持っていないか分かる。第三者も、御本人も分かると思います。
  それから、例えば当協会のこの検定試験の場合、多くの方が画像を扱う領域、映像制作のプロダクションですとか、大手企業の開発部門に入っていくのですけれども、そのときに、この教材で学んで、エキスパートを合格したとなると、ある一定の知識基盤持っているという評価が得られます。そういった人たちが、その業界に入っていったときに、きちんと仕事をできるだけのコミュニケーションをするための知識ベースを持っているという評価を得られています。ですから、いろいろな企業さんから推薦を頂いていると思いますし、利用価値のあるものだと言っていただいておりますので、そういう検定試験が存在してもいいかと思います。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。三瓶委員、どうぞ。

【三瓶委員】
  今の議論というよりも、資料1‐1で、検討する必要があるのではないかということの三つ論点がありますので、これは生涯学習の分野の中での学習成果活用部会ということで、生涯学習の側面から考えて発言させていただきたいと思います。
  一つ目は、ノンフォーマルとかインフォーマル、あとカルチャーセンターなどに期待される意義・機能ということで、カルチャーセンターや何々教室などだと、一緒に学びたい人たちとか、目的が一緒の人と会えるということの意味や機能があるのではないかと思います。学びばかりではなくて、一つのコミュニティを作るという意味では非常に大きいのではないかと思います。
  今は直接会うということもありますけれども、例えばこういう検定試験で、一つの何か目的を合格しようという人たちのSNSを含めてのWeb上でのコミュニティも作れるのではないかとなると、何かの学びを目的にするという意味では、コミュニティづくりという意味で大きな意義を持っているのではないかと思っています。
  もう一つは、検定試験に期待される意義・機能という意味で、検定試験は基本的には白か黒しか出ないという意味で、私はやりがいがあるなというのがあります。TOEFL、TOEICのように毎月あるとなると、いつでも、どこでも、誰でも受検できるということで大きな意味があると思いますが、検定試験も基本的には何か大きな条件はなくて、やる気があって、お金を払えればできるという意味では、すごく大きな意味があるのではないかと思っております。
  三つ目ですが、私も検定試験の団体実施者ではないのでよく分からないのですが、質の保証の必要性に関してです。私は私立の短期大学に勤めているのですが、第三者評価というものが今大学では一応義務付けされています。先ほど宮井委員がおっしゃっていたように、第三者評価の評価シートという基準をきちんと整備しなくてはいけないのではないかと思います。これもいろいろな試験があって、いろいろな議論があるかと思いますけれど、その統一が今あるのかないのか分からないので、基本的には似たような検定試験とか、あるいは逆に、全く分からないけれども教育とか学識者がチェックできるような、チェック項目があるような評価シート、第三者評価シートみたいなものの整備が、一つの質の担保になるのではと感じておりました。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。
  西辻委員、お願いいたします。

【西辻委員】
  今出てきた第三者評価についてですが、自己評価から第三者評価に、ぽんと飛んでいると思います。この二つの間に関係者評価というのがあります。第三者評価では確かに問題の内容、質まで見るのは難しいかもしれません。そこで、同じような意義とか目的を持っている検定がグループを作るような形で、関係者評価を行い、問題の内容、質も見ていかないといけないのではないかと思います。
  例えば,日本語検定は問題を公表されていますから、毎年、毎回問題を作らないといけない。それは,非常に大変なことだと思います。でも,公表されることで、問題の内容が周知され、質が担保されている。CBTにすると問題を公表できなくなってしまう。そういういろいろな状況も踏まえながら、関係者評価というものを考えてもいいのではないかというのが一点です。
  もう一点は、宮井委員から御発表があったとき、なるほどと思ったのが、画像処理エンジニア検定が、受検者数は少ないけれども教科書の利用者は多いということです。学習機会を提供するという立場からは非常に貢献しているけれども、検定という点では少ない。そこで,検定試験の活用について、次のように思うのです。検定は、大学生、専門学校生、高校生がかなりの高い割合で受けています。現在,高等学校では学校外における学修の成果を単位認定する制度が既に整備されています。大学なども含めて、一定の要件を満たす検定が、教育課程(教科・科目)の内容に一定程度合っているという評価ができるとするならば、検定の合格を、各学校が必履修教科・科目も含めて単位として積極的に認定し,卒業に必要な単位として今まで以上に認めていくという方法もあるのではないかと思います。
  それには学習指導要領との整合性とか、それぞれの大学等のシラバスとの整合性とか、いろいろなものをこれまで以上に細かく見ないといけなくなるとは思いますけれども、学校教育との一層の連携、連動、そういうようなことも将来的に大きな展望としては、あってもいいのではないかと感じました。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。宮井委員、お願いします。

【宮井委員】
  今御指摘のあった大学での単位振替ですけれども、少しそういう話を聞いたことがございます。一つはそういう講座があって、その修了試験に合格できなくて単位が取れなかった人が、当協会の検定試験を受けて合格すれば単位をあげようという学校がございました。もう一つは、そういった講座はないけれども、そういった領域については単位を認めるというのもございました。ただ、多くはなっていない現状がございます。
  やはり大学では授業をするということが一番の重要な活動だと思いますので、そこをきちんと修了、単位を取れるようになるというのが大切に考えられているからだと思うので、私どもの検定としては、是非そういうふうに利用していただきたいと思いますけれども、難しいような気がいたします。何か実行できるような案がございましたら、是非、先生方にも御提案いただきたいと思いました。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。
  では、栗山委員。

【栗山委員】
  ありがとうございます。できなかったことができるようになるとか、分からなかったことが分かるようになるって、とてもうれしいことで、学び続けるエンジンが人間にはあるのだろうと思います。そんな意味で、多様な学びの機会であるとか、検定あるいは試験があるというのは、とてもすばらしいことだと思います。その中で試験というのは受けて合否が出て終わるだけじゃなくて、それがその次の学びにつながるものだと思います。
  本日御紹介いただいたお二人の先生に試験の結果、合否だけなのか、あるいはその次のステップにつながる何かしら情報を学習者、受検者にフィードバックしているのかとか、そういったあたりについて少しお教えいただければというのが一つと、それからもう一つ、本人確認はどのようにされているのかというあたりをお教えいただければと思います。

【菊川部会長】
  萩原委員よろしくお願いします。

【萩原委員】
  検定を受けた方には、その結果を「個人カルテ」としてお送りしています。「個人カルテ」には、個人ごとに、どこの領域が良かったか悪かったかということと、領域ごとに、どのような点に気にかけて学習したら良いかというコメントもつけて出しています。モチベーションを下げず、次につなげてほしいということでやっています。
  それから、通常の検定試験では問題も回収してしまうケースが多いかと思いますが、日本語検定では、原則として検定問題を持ち帰ってもらっています。さらに、受検した方であればだれでも無料でダウンロードできる「解答解説」も作っています。どうして間違ったのかなどを見ていただけます。私たちとしては教育的な観点からも、試験終了後に受検者が解説を見て納得していただきたいと思っており、そこまでしないと検定事業として完結しないと思っております。

【菊川部会長】
  本人確認はいかがですか。

【萩原委員】
  本人確認は写真を使うなどして行っています。

【菊川部会長】
  では、宮井委員。

【宮井委員】
  まず本人確認は、やはり受検申込みいただいて、それに受検票に写真を付けていただくということでやっております。特に団体受検は受検会場で実施される場合が多いので、その場合は試験監督を、別に委嘱している先生に御確認いただきます。
  ただ、外部の方につきましては、事前に確認がとれないような場合、何か問題がある場合は免許証などを併せて見せていただくということをやっております。
  それから、次の学習につながるようなところというのは、私どもの検定も試験結果を、レーダーチャートの形ですけれど、領域別に、よくできたところ、できなかったところを御紹介するようにしております。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。
  では、あと9分ぐらいですので、大畑委員、それから藤田委員、そしてもし高見委員があれば最後にということでお願いいたします。

【大畑委員】
  質を測るというお話の中で、その比べ方の物差しがそろっていないことは、やはりもったいないと思います。結局、活用フェーズで比べられたり、この能力のある人は、その次の能力につながるみたいなことが相互にできないような、要するに地図がないような状況は、何かもったいない気がします。

【菊川部会長】
  ありがとうございます。どうぞ、藤田委員。

【藤田委員】
  実際のところ、本学の公開講座とか、語学の講座などを受講していらっしゃる方たちは検定試験を目指して受講していらっしゃいます。そのとき、若い方たちは就活、入試、いろいろな形で活用というところは目指すところがあります。同じ検定を受けていても、シニア層の方たち、70歳代の方たちというのは、自分たちには何があるのかというところの、その達成目標というところで、その目標のために受けていくというところはいいのですが、その受かった後のことを、どういう形で活用していったら良いのかというところは、どこで考えてくれるのかということが、よく生涯学習相談で出て参ります。そのときに、私たちもどうしたものかと考えるところがあります。70代というのは、実はシニア層でも下のラインで、それより上の世代の方もいらっしゃいます。そうしますと、そこをどう考えて良いのか。既存のボランティア以外で、そのほかにとなりますと、既存ではない部分を、これから仕組みを作っていく、また活用の場を作っていくことに取り組んでいかなければならないとひしひし感じている毎日です。
  ですから、その部分についても、検定を企画、実施なさっているサイドと、また学習機会提供している場、要するに受講者を教育している場といいますか、そういう機関との連携とか、話合いとか、情報共有しながら、その先というところを考えられることができればと考え、発言させていただきました。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。中間まとめにも戻っていくような御発言だったように思います。
  では最後に高見委員、お願いします。

【高見委員】
  二つありまして、藤田委員がまさにおっしゃっていたようなところですけれども、例えばITのところですと、コード・フォー・ジャパンみたいな団体が各地で勉強会をされていらっしゃるので、そういう継続的に学ぶという場をひらかれていらっしゃるところの積極的な連携というところができてくるといいのではないかと思います。私は会社の経営として、ずっと履歴書とかをたくさん見てきていて、日本語検定とか、この今CGエンジニア検定とかという、検定という文字を余り見た記憶がないと、ふと思い返していていました。資格を持っていらっしゃる方はすごくたくさん書いていらっしゃる。どういう資格を持っているかというのと、あとはTOEFLとか、TOEICとかという、資格ではないですが、比較的身近なものは書いていらっしゃるんですけれども、利用される側が書いていいという認識をお持ちではないと書かない。持っていらっしゃるかもしれないけど書かないで終わる。もっとアピールしていい風土というのがあればいいと思いました。
  今、この日本語検定の試験を見ていて、「あっ、私、ちょっと解けない」とか思っていたので、これをクリアされておられる方だとすれば、それは選考の役にも立ちますし、それだけしっかり何か物事に取り組まれている方という理解にはなりますけれども、いかんせん、なかなか教えていただけないと分からない。それは書いてもいいものだという動機付けをしていただくと、もう少し産業界の中での浸透も深まってくると思いました。
  その二つでございます。以上です。

【菊川部会長】
  ありがとうございました。
  本日は後半の第1回目ということでございましたけれども、様々な御意見を頂きましてありがとうございました。次回以降の議論の基礎にしていきたいと思っております。
  最後に、今後のスケジュールについて事務局から説明をお願いいたします。

【竹下生涯学習推進課課長補佐】
  本日お配りしております資料3に、今後の審議スケジュールについてお配りしております。本日は9月17日、第6回として開催させていただきました。引き続き、本日頂きました議論を継続するために、次回、第7回につきましては10月22日木曜日の開催を予定しております。まだ資料3の方は順次開催としておりますが、今のところ10月22日木曜日を予定してございます。また詳しい会場、時間等につきましては、改めて事務局から御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【助川民間教育事業振興室専門官】
  補足よろしいでしょうか。
  先ほど学校における活用というのがございましたが、今の整理だけ簡単に申し上げますと、例えば高等学校であれ、大学であれ、一定の条件ありますけれども、検定試験等につきましては校長が認め、一定の条件を満たしていれば、単位として活用することができるとなされております。また、例えば高等学校卒業程度認定試験のようなものでも、一部の検定試験については、それを合格していることによって試験の受験科目が一部免除になるような仕組みも現在入っているところでございます。

【菊川部会長】
  貴重な情報ありがとうございました。
  それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様、お忙しいところ誠にありがとうございました。

‐‐了‐‐

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