資料1 第5回 今後の放課後等の教育支援の在り方に関するワーキンググループにおける主な意見(案)

1 日時 平成26年1月31日(金曜日)15時00分~17時00分
2 場所 文部科学省 15F特別会議室
3 主な意見

 

1.社会の動向と子供の教育環境をめぐる現状
2.社会で求められる人材像と放課後・土曜日等の教育への期待
3.今後の放課後・土曜日等の教育活動の基本的方向性
●学習習慣の形成・“落ちこぼれゼロ”の実現に向けた学習機会の充実
○ 今後の放課後の教育支援の一つに、落ちこぼれゼロということを目標に学習支援をしていくということはいいが、この言葉というのは、ほかの項目立てに比べるとすごく印象に残り、ひっかかる。

○ 落ちこぼれゼロという言葉をここで入れて目指していくとなると、それのために放課後をやるのか、土曜日を充実させるのかというふうに、むしろ本質的なところから伝わり方がずれるのではないか。


○ 「落ちこぼれゼロ」が非常に気になり、この文言は是非修正していただきたい。まず自ら学ぶ力をとか、学びのモチベーションを上げるとか、自分の力で学びを展開するとか、何かもっと探ればいい言葉が出てくるはずである。


○ 教育振興基本計画では、包括的な学びの場が公教育に展開されるとしたならば、落ちこぼれとは、どの人のことを言うのか。点数では計れない部分も含めて、多様な個性の子を受け入れていくのが公教育の基本である。その個性ある子供たちを受け入れるために、先生がまずまい進してやるべきことと地域が受けとめて一緒にやることの共同作業の整理をそれぞれがすべきだ。落ちこぼれは、僕のこと、私のことと思って傷つく子供が出てくるので、この言葉を使わないでほしい。それぞれの個性で伸びていく力が子供たちにはきっとある。

 

<基本的方向性を実現する具体的方策(案)>
1.社会総掛かりでの教育支援の充実に向けた具体的方策
放課後等の教育支援の充実に向けた具体的な仕組みづくり
【学校・家庭・地域の連携協力による教育支援のための発展的な仕組みづくり】

【教育と福祉の連携促進のための仕組みづくり】
・学校や放課後子供教室等と放課後児童クラブの連携強化
(※プログラムの充実、学校との連携強化、待機児童対策等)
○ 放課後児童クラブとの連携も大事なので、NPOのノウハウを活用できたらよい。


・困難な状況にある子供たちへの学習支援のための仕組みづくり
○ 教育と福祉の連携は非常に重要なことである。特に格差の問題として、学習ができるようになるには、その前提の生活が整っていないから学習ができない子供がたくさんいるので、その細かなニーズにも配慮するという視点を是非入れてほしい。

持続可能な仕組みとするためのコーディネーターの育成・機能強化

【学校と地域をつなぐコーディネーターの役割や位置付け】
○ 校長のリーダーシップのもとで学校を運営していくために、地域はどうするかを理解するためにコミュニティ・スクールや学校を支援する体制、放課後を見守る体制がある。土曜日、日曜日、放課後、夏休み、冬休み、春休み、全てのところに学校の教育課程内におさまり切れない体験、豊かな体験値を回していく多様な関係団体、おやじの会、育成団体であり、地域には様々な組織がいて、その方々の協力があって、それがうまく回っていくことによって子供たちの豊かな体験の場が創出されていくので、つなげていき、情報の共有化を果たしていくのがコーディネーターである。


○ コーディネーターがやわらかいクッションになっていろいろな方と話していくことで、学校内外の人材バンクができあがる。上級になると、企業と連携しながらもっとうまく授業のカリキュラムの中で、どの部分に入ると有効なのかも考えている。


○ 基本的に段階があり、学校だけではなく多様な地域の社会リソースを学校に呼び込んで開いていく。いろいろな地域の教育力を活用して、その次に人材バンク的なネットワークが広がっていく。


○ コーディネーターはボランティアであっても、子供に向き合う以上はプロという意識を捨ててはいけない。


○ 学校支援地域本部、コミュニティ・スクールの学校運営協議会をいかに活用しながら、地域の中で子供たちの教育力を高めるか。総じて地域の安心・安全、安定した地域、顔を見合わせてきずなづくりのあるコミュニティにつながっていく。学校を核として、そのような活動をしていくことがこれから重要である。


○ 地域において必要なものは何かを、コンテンツを集めて多様なものに出会わせることが初期の段階では意味があるし、子供が活性化するのは間違いない。その次の段階は、その地域に合った必要なものをどうやってコーディネートしていくかになる。


○ 地域の目の前にいる子供たちの実態からどのようなことが必要か。地域の中での必要性やテーマを構築していき、コンテンツをコーディネートしていくことが必要。


○ 経営者とのコミュニケーション、学校経営者である校長とのコミュニケーションが欠かせないと、熟議をせよというのはよくわかるが、実際に学校側がコーディネーターを育てようとしているのか、それ以前の問題があると思っているのか。


○ 不満とか、相手に対するクレームを口にしないというのがコーディネーターの一番大事なことである。クレームを言うなら代替案を言えるだけの頭を育てる必要がある。「このような方向があるので、このようにするとどうか。先生、このような協力者もいますよ。今度校長先生を中心に行いたいので、先生にその方たちを御紹介申し上げてよろしいですか」と言われたら、自分をないがしろにしていると思われる先生はいなくなる。


○ 話題になるのは校長の在り方であり、やはり校長としてどう理解し、どのような試み方、地域コーディネーターとどう仲良くしていくか、をこのまとめの中に入れてほしい。


○ 私自身は、平成12年、13年に文部科学省の「学校支援ボランティアとともに創る学校教育」で、明石先生の『それいけ!学校支援ボランティア』という本を非常に参考にして始め、地域の力のリアリティを学校現場に生かすことはとても子供たちに有用だというのを実感した。いろいろな校長に経験をしてもらうことが大きい。


【コーディネーターの育成・機能強化に向けた研修の充実】
○ 平成24年度文部科学省委託事業「社会教育における地域の教育力強化プロジェクト」にて杉並区で初級編、中級編として、17時間ずつ学ぶ場を設け、「学校と地域をつなぐ地域コーディネーター育成テキスト」を完成させた。


○ 学校支援ハンドブックは、学校に入るときの注意点を記載した。学校は、先生が教える第一人者であり、地域支援者は、きちんと支援するスタンスを崩してはいけない。ボランティアの方たちも、自分たちが好きなことをやりに入る場ではなく、教育という場に入っていくときの一定のルールをきちんと身に付けることがこのハンドブックにも記載した。


○ コーディネーターが地域にどう働き掛けるか分類分けして、どこを理解し、何を分かって子供に向き合うか、先生に向き合うか、そして、地域の方たちにいかに協力を求めるか、ネットワーク作りをするか。例えば、教科書ぐらいは読むことや、学習指導要領の理解は必要である。


○ 月に1回から始まり、月に2回など、学校の先生も入っての土曜日授業で、地域の協力も得ながら、様々多様なことができたとしたならば、残りの土曜日は、おやじの会とか育成団体を通して、自分たちが体験値を高めていくような活動をしていく多様なことが可能になると思う。


○ このすばらしい資料を見させてもらったが、学習しないといけない、これだけやらなければいけないという圧迫感はないか。最初の人はどうつき合えばいいかというのが気になった。例えば、コーディネーターの研修をするために1年に3、4回ぐらい行いコーディネーターの資格があるとした方が多くの方がまず参加しやすいのではないか。

○ 最初にコーディネーターに話すのは、校長との情報共有化を行うことである。それは、教員や組織力の強化にもつながっていき、教員の思いを受けることが大事。それと同時に、風のような先生たちに大地のような地域の者が、この地に伝わる伝説、祭り、風習、地域独自の学びがあって、そこにアイデンティティが子供たちに確立される要素がある。学校教育の教科書の中にも地域を学ぶ部分がたくさんある。


○ 学年の教科、単元、総合的な学習の時間の中のテーマを、地域の文化等に焦点を絞ったらいい。校長や教員との熟議においてしか生まれてこないので、コーディネーターが外側から独自に押し付けたときには、学校の学びの文化が壊れてしまう。


【子供に関わる大人の学びのコミュニティ化と地域の活性化】
○ いろいろな人が学校に入ってくるとトラブルが起きるということだが、外国だと、子供をきちんと守ることが前提で制度ができており、犯罪的チェックをしないと学校のボランティアに入れない明確なルールがある。


○ 既存の施策、事業の有機的な組合せについて、例えば港区では、「まなび屋」として、区民がボランティア登録をして出前講座を実施している。いろいろな区民などが持つ知識、技能を社会に還元し、伝えていく非常に意味のある事業だと思う。一方、杉並区でも地域大学としての「大人塾」の制度があり、修了生がいろいろな場面で活躍をしている。この制度をつないでいって、地域人材の積極的な活用、人材発掘を更に進めていくのも大変意味がある。


多様な関係者の連携のための学校施設等の活用
【子供に関わる関係者の連携のための学校施設の活用促進】
○ 土曜日等に小学校を活用していると、施設管で管理職の先生方に毎週交代で出てきてもらって休んでないのが現状。これをどのように解消するのかは、永遠の課題である。


【学校施設の複合化・多機能化】
○ 放課後子どもプランでの実施を見ると、小学校の施設活用について、これまでは空き教室や余裕教室の活用が現状だったが、今後は更に一歩進めて、安全かつ快適な居場所、放課後の居場所を提供して推進する意味で、あらかじめ学校整備計画の中で教室などを活動拠点として充実していくような視点があってもいいのではないか。首相が放課後プランを着実に実施していくという国会での施設方針演説もあったが、環境の整備も大変重要なポイントである。


○ 施設の問題は、地方と都市部では学校の統廃合の後、その跡地利用をどのようにするのかが近々な課題である。

○ 複合的な施設をどのように構築していくか。


全国の取組のボトムアップのための中間支援機能の強化
【スーパーバイザー等の配置によるコーディネーターへの助言体制の構築】
・スーパーバイザー等の配置の必要性や役割
・社会教育主事の効果的な活用

【日本版「Education-Business Partnership」等の中間支援組織の創設】
・全国のコーディネーター、教育支援人材のネットワーク形成
○ ネットワークの整備、展開について、地域の子供向けの各種活動の企画や実践、情報提供をどう調整、発信していくか。例えば港区では、「赤坂・青山共育情報局」として、共育情報局事業があり、一つのモデルとして、装置として機能していると思う。そのようなネットワークの整備をどのように具体的に推進していくか。

・財源確保も含めた持続可能な支援体制の構築の必要性
○ 行政の補助は永遠に続くはずはない。その場合に、2年か3年で補助が終わったときに、それを支える仕組みづくりをどのようにしていくのか、人材育成を含めて、例えば中間支援団体をどう育成するかが鍵である。

○ 持続可能な仕組みを考えたときに、予算がない、仕組みがないということではなく、もともと昔からの社会教育行政の推進を、もっと土曜授業を考えたときに、見直しを図っていかなければいけない。

○ お金は絶対必要であり、優秀な人材をコーディネーターとして集めるにはお金が必要。一方、企業がCSRで支援するのも限界があって、不況になれば支援を打ち切る企業も多い。パナソニックのように長く支援している企業もあるが、多くの企業は行政の補助金と同じ感覚だと思っておいた方がいいと思う。来年度カットというのは幾らでもあり得る。

○ 地域の子供は地域で集めるという仕組みづくりが絶対不可欠だと思うが、地域の人に寄附で集めると言っても余裕もないし、やってられないという人が多分大半ではないか。

○ 地域でお金を集めて、子供たちが教育活動や地域に役立つことで参画して、お金を出してくれた地域の人たちに何かお返しをする。例えば商店街の活性化を子供たちが行い、それによって商店街の人たちがまたお金を払い、子供たちがそのお金で役に立つ活動をする。役に立てば、商店街はまた喜んでお金を払うようなものがないか。例えばどのような地域でも特性があって、ホタルを呼び戻そう、特産品を見つけ出して全国で売ろうなど、いろいろな地域課題を子供たちに解決させる仕組みができないか。

○ 社会で役に立つことが教育では一番大切だと思っているので、役に立つ経験を地域でさせる。役に立ったということは、地域の企業、団体、商店なのかが「ありがとう」と言ってお金を払う。また子供たちが役に立つ活動をできる循環を、寄附、行政、企業のCSRに頼らないでやることを、1件、2件、10件でも、100件でもやっていくことが持続可能なお金と子供と地域がうまく回っていく仕組みづくりになる。そのような事例を集め、発表したり、そのためのノウハウを教えたりすることも記載してほしい。

○ 行政からの補助はいずれ切れるし、増えていけば目減りしていく。子供を育てる視点で考えると、文部科学省の施策をたくさん活用し、例えば学童、子供たちの健全育成だったら、農水省や厚生労働省、総務省のものもある。行政が行うと、同じセクションからおりてくるものでないとできない。私がNPOを選んだ理由は、地域の中でお金を受けとめられるワンストップとして、企画もでき、ここは厚生労働省系でできるという振り分けで、地域の活動費が重層的に入る。

○ 土曜日の補助金等は削減傾向であり、文部科学省の補助金は、誘導的な部分があり、大体定着していくとなくなることが多い。

○ 自分たちもしっかり営業しないといけなく、同窓会が子供たちの今の支援にお金を払いたくなるかが大事であり、地域の商店が、少し支援しようとなる取組が大事。

○ 財政的な支援や人材育成を、行政がバックアップする時代ではなくなってきているので、地域の方々が独自で次の方を育てていくことが大切である。

○ 予算の部分も、首長が代われば方針が変わってしまうので、今のところ独自で予算を持っているが、それがなくなったらどうするか今から投げかけ、独自で運営できるような形で考えてもらうことも大事である。

 

新たな学校と地域の連携の提案
~“あったらいいな”を形にする夢の学校 ~

2.土曜日の豊かな教育環境の実現に向けた新たな方策

土曜日の豊かな教育環境の実現に向けた仕組みづくり
【土曜日の教育活動の形態と実施に当たっての工夫】
 ・学校の教育課程外で行う場合の工夫、留意点等について
 ・学校施設だけでなく、公民館、図書館、博物館等の社会教育施設等の活用
○ 社会教育行政に関わっているので、もっと社会教育施設を土曜日に活性化しないといけないと痛感している。


○ 社会教育の推進の観点から、学校施設だけでなく、公民館、博物館や図書館の社会教育施設があり、子供たち向けにいろいろなことをやれるだけの力量を持っている。別に予算を付けなくても、教育普及や学校との連携などやらなければならない、やるべき方向性を持っているのが社会教育施設である。


○ 公民館については、小学校に隣接しているところがほとんどであり、本県の場合、放
課後子供教室の半分を公民館でやっている。特徴的なのが、地域の婦人会で放課後子供教室を運営しているところもある。地域のおばさんたちなので、小さいころから知っており、老人クラブや婦人会など地域の既存の社会教育団体が、子供たちが育っていく過程で関わっていくような仕組みを、社会教育の推進の延長としてやっていき、もっと社会教育施設の根を深く太くしていくことも、土曜授業ではもっと必要ではないか。


【企業・団体等のリソースを教育に生かす仕組みづくり】
・学校等と企業等のニーズをマッチングする仕組み
・企業の人材が教育に参画するためのプログラムや研修
・職員の参画に向けたワーク・ライフ・バランス等の職場環境づくり
○ 企業のCSRに関わる人だけでなく、PTA、おやじの会、少年野球に参加していると、実は参画したいと思っている企業人が多い。参画したいが、その機会やどう参画していいかが分からない人が多い。本来もっと参画してほしい企業人が、いかに参画したくなるか、しやすくするかを、3日間と言わず、1時間や30分でもいいから、子供の入学式のときや運動会のときにやるとか、ハードルを低くするきっかけづくりがあればいいと思う。このような機会があれば、もっと入ってくる可能性があると思う。


【NPO、民間教育事業者のリソースを教育に生かす仕組みづくり】
・NPOと連携する際の工夫
・学習塾などの民間教育事業者と連携する際の工夫
○ 株式会社キャリアリンクに対して、企業がお金を支払って、コーディネートや学校と企業とのコーディネート役をお願いしている。


○ 企業財団として、パナソニック教育財団があり、小中学校のICT活用型の教育実践をしている学校への助成事業をしている。大体年間に80校ぐらい、1校当たり50万円であり、特に熱心な先生がいるところや、自分たちの成果を横に広げていくなどの熱意ある学校には2年間で150万円の継続助成をしている。そのような特定研修指定校を大体年間5校指定している。このような取組を通じた企業の関わり方もあると感じた。


○ 名古屋市では16年継続してやっているトワイライトスクール、放課後教室に通って楽しかったという子たちが、学生になってもボランティアとしてきてくれている。従来は教育大学や教員養成課程のボランティアが多かったが、トワイライト出身、放課後子供教室出身の子が来ている。基本的な守秘義務、子供の理解、発達障害のことなどを知らずにボランティアに参加する人が増えたため、最低限の研修や最初の入門編をやっている。


○ 学生ボランティアは今1,000人おり、毎年2、300人が教員試験を受けて半分ぐらいの子が受かっていく状況。


○ 研修の講師をやっていると、みんな本当に熱い思いで子供たちを熱心に見守ってくれている。その中から毎年何十人も教員が生まれる。このような気持ちを持った子供たちが教員になって、その中の半分ぐらいは校長、教頭になっていくと思う。それには大体30年かかるので、そのぐらいの時間軸も「あったらいいな」に入れてほしい。


○ 本当に今の子供たちが学生ボランティアになり、いろいろなことを学んで、今のような気持ちを持って一部は教員になり、一部は地域で学校を応援してくれる

とよく、そのような社会ができたら、我々が議論していたものが達成されるのではないか。


○ もうしばらく、30年は長いが、土曜日に特に力を入れて支援をしていただきたい。


【学校と企業・団体をつなぐコーディネーターの役割と位置付け】
・学校と企業・団体等をつなぐコーディネーターに求められる役割・人材
・企業コーディネーターの必要性や役割
○ 企業との連携も、コーディネーターに若干の謝金が払えるようになったら続くだろう。


○ 企業の現役社員も、土曜日はプロボノとして増えていくと思うが、企業の場合は、退職者組織の厚い組織があり、退職者が中心にNPOでいろいろな活動をしている。やりたくてうずうずしている企業を退職した人がいっぱいいる。ここ数年間の傾向を見ていると、かなりの確率で小中学校、大学も含めて教育機関に行っている。副校長をしていたり、大学だと地域連携センターで地域と学生をつなぐ仕事をやっているのが増えてきているので、企業の退職者組織とは連携可能ではないか。


「土曜日ならでは」のプログラムの在り方
【体系的・継続的なプログラムの考え方】
○ まず土曜日で放課後とどこが違うかというと、まず学校が使えるところであり、二つ目が、全員参加で交流が生まれるいい点である。クラスの単位を少し壊した違う関係性の中で子供たちの交流を進めたいと思っている。


○ 3点目に、先生との連携もありそうであり、放課後は残念ながら先生との連携が薄いので、情報交換や放課後のチームはもっと学習について学ぶべきだと思っている。また、4点目に企業の参画がありそうな点である。 


○ 5点目に、市民の参加も随分しやすそうな点であり、放課後で望まれていることばかりで、これが土曜日にできるのは大きな一歩と思う。


○ 今お世話になっている小学校で、土曜日にどのようなことをしようかと議論をしてみたが、月1、2回ぐらいやって、一応全学年が来ている発想である。土曜日なので、2コマぐらいにして、8時半ぐらいから9時50分ぐらいを1コマ目。朝、オリエンテーションをして、30分休みを入れて10時20分まで休み、土曜日は休み時間が長いと言うと、多分子供が喜ぶのではないか。10時20分から11時40分までを2コマ目にする感じで、2コマぐらいを土曜日にやったらどうかとなり、30人1グループぐらいで、3学年の縦割りグループをつくろうとなった。300人ぐらいの生徒の学校だと10グループとなり、もっと大きい学校はもっと大きなグループがいっぱいできているということができました。


○ テーマをいろいろ話していたが、6個ぐらいやりたいことが出てきた。一つ目がキャリア教育、二つ目がフェスティバルの企画・運営であり、スポーツフェスティバルをみんなで企画して運営するなどであり、地域のお祭りでもいいと思う。3点目は地域のボランティア、4点目に遠足であり、校外学習に行ったらいいのではないか。5点目に、学び合いの講座であり、せっかく異学年なので、3年生が1年生に授業するようなものがあったらいいと思う。6点目に趣味を極(きわ)める講座をやり、鉄道が好きな子は徹底的に鉄道のことができるようなものである。英語もということで、英語で遊ぼうコーナーを作りたいと言っていたが、このようなプロジェクトが回っていくようなものがいいと思う。


○ 土曜日は、放課後児童教室で活動はしているが、土曜日が休みになっても、子供の習慣や親の考えもあり、土曜日には学校以外でスポーツクラブに入れたり、塾に通わせたりという時間帯を取ってしまっている。大きな活動をするときに、面白い授業の理科実験や環境教育、おやつを作ったりには参加してくるが、そのほかの授業には出てこない。


○ 部活動以外にも中学生に余裕がある時間が年間に20日ぐらいあるという、非常に貴重な意見を頂いた。中学校は、土曜日は部活動だけと思っているので、うまく使えば20日ぐらい余裕がある。自らやるような仕組みづくりが大事と思う。


○ 土曜日授業として杉並第一小学校では地域の方が入って、立体の認識の授業をやっている。講師は、杉並区教委が学力向上のために委託をしている塾の経営者である。学校の先生たちもこの授業に入って一緒にやっている。


○ 教室ではなかなかなじめない子も、トワイライトスクールでは本当の自分を出すことができ、活発になることが多かった。


○ 放課後子供教室が土曜日に行われるのは非常に大切であり、放課後子供教室で土曜日は大切な日である。


【実社会につながるプログラム】
・学校の教育課程と連動したプログラム
・企業のリソースを生かしたプログラム
○ キャリア教育ということで、企業も社会に貢献している。私たちが商品を作るのは、お客様に感動や喜びを感じてもらいたいということで社会に貢献することを企業の立場でキャリア教育している。それを作ったときの背景が、子供たちが商店街で職業体験に行くが、そこでやっていることが、職業を単に体験するだけで、お辞儀やお客様と接触して、それで体験として終わっていると聞き、これでは次につながらないと感じ、企業人には経営理念があって、社会生活の改善と向上をやっていく気持ちで働いているというのをキャリア教育としての教材の中に込めている。


○ 英語を子供にどうやって楽しく教えるかは、企業の海外経験者、海外で勤務した人たちが、国際理解の出前授業を展開しており、実際に海外に住んでいた人の生の言葉なので、子供たちも納得している。例えばアフリカで勤務していた人だったら、アフリカの生活はこうとか、ラジオは枝からつるして、そこで畑作業するとか、中近東のアイロンは金色とか、実際に金色のアイロンを持っていくなど、そのようなところから、国際理解として、すごく面白いことができる。


・子供の主体性を引き出すプログラム
○ 教育が、社会の期待で子供にやってほしい論調が結構多い印象であり、子供たちにとって楽しい放課後をイメージできるように、子供の権利を保障するための放課後という視点をいれられないか。


○ 本当に子供がそのように学んでいこうとか、「大人、大きなお世話だ、そんなプログラム作って。土曜日にはこんなこともあるのでもうやめて」と言う子供にしてはいけない。いかに校長として、学んでいくことはとても大事だ、学びを広げることは大事だということを月曜日から金曜日で一生懸命やらないと、ここへ参加したから内申書にプラスになるとか、そのような枝葉末節なことになるのは嫌である。


○ 大人は子供たちのためにこれだけ考えているという思いをまず伝えていかなくてはいけないということと、現在、部活動や土曜日もボランティアをやっている生徒の価値づけをしてやらない。今あなたが部活動でやっていることもとても有用な学びであり、部活動を一生懸命ボランティアでやっている教員も元気になり、そのような面で、部活動で育てていっていると思える。


○ 特別な能力ではなく子供の趣味趣向で、体を動かすことが好きな子供とじっとしていることが好きな子供などいろいろな子供がいて、多様性が許容される放課後も必要。


○ 子供たちがやりたいことができ、土曜日に来たら本当に学校が楽しくなって、平日の学校も楽しくなってきたという位置づけになると、学力が上がったり地域との交流が増えたり、多くの親は土曜日、子供が学校に行く方がうれしいと思うので、保護者も自分の時間ができて元気になるような時間に土曜日がなったらいいと思う。
   
【学習習慣の形成・“落ちこぼれゼロ”の実現に向けたプログラム】
・学ぶ基礎を培う就学前のプログラム
・補充・発展的な学習の充実のためのプログラム 等
○ イギリスにおける議論では、多様な子供がいて、児童養護施設の子供、障害のある子供、外国人の子供、特別に能力が高い子供で放課後をつまらなく過ごしている子供もいるので、きめ細かな多様性を配慮した報告書にならないか。


【“全国どこでも学べる”「地域ならでは」のプログラム】
・「地域ならでは」のリソースを生かしたプログラム
・ICT等の活用によるプログラム
○ もっと学校の授業の枠ではできないキャリアを、地域の力、企業の力を借りながら、中学校の土曜日に展開していけば、子供たちの本来の自主的なアクションを起こす力につながっていくことができる。


○ 地域の防災を自ら自主的に立ち上げる取組を行った。チケットからポスター作りまで全部やってもらい、地域に貢献する企画になれば、放課後も使ってくれるし、いろいろなところで広がりが出てくる。


【その他】
○ 5年、10年かけてやっと成果が見えてきたので、時間軸でいうと一朝一夕にできることではないが、企業も支援をしていける。


○ インプット、アウトプット、アウトカムという、これまでの事業評価は、インプットとアウトカムが多くてアウトカムである、その後どう成長したかを余り評価していなかった。エビデンスの問題で、放課後や土曜の教育活動で育った方が、どのようになって、また帰ってくるという意味での時間軸もある。


○ コンテンツの話が非常に多い。コンテンツ自体は、工夫すれば、いろいろなものが集まってくると思う。校長のリーダーシップは当然であり、トップダウンでやるのではなく雰囲気づくりの緩やかなリーダーシップも含めて必要だと思う。


○ 報告書の書き方について、実際に学校現場を見たときにブレークダウンしたというか、スモールステップ的な段階の現場の変容が表現されていると現場は分かりやすい。


○ 制度的な問題でいうと、例えばコミュニティ・スクールの制度と一緒で、それを広げることを一義的に考えると、メリットとして助成を付けるなどいろいろな支援の仕方はあるが、コミュニティ・スクールの在り方がまずありきで、いろいろな汎用的なシステムでそれが実現できるような形にしていく工夫があるといい。


○ コミュニティ・スクールの規定は、非常に汎用性があるとは言われるが、例えば本市ではなかなかコミュニティ・スクールが進まない理由について、型にはまるなど、その形ではないとコミュニティとしての指定が受けにくいというイメージがある。


○ 本校でスモールステップという意味で言えば、ESDを学校の中心の理念としてスタートとして3年目になるが、職員と地域とみんなを巻き込んでやってきている話であって、それが浸透していくと、子供たちは、「今年の総合的な学習の時間は何をしようか。公園が汚れているから公園をどうにかしよう」と言って、自分たちから動き出す。それによって評価を受けて、自分たちが学習することの価値づけがされていく。最初からESDでやろうとか、トップダウンでやったら多分できなかったと思う。


○ コーディネーターになったきっかけは中学校のPTA会長を4年間やったことである。平成14年に土曜日が休みになったときに、校長先生に「土曜日に私に学校を貸してください」と言ったら、「いいよ」と校長先生が言ってくれ、土曜日学校を月2回始めた。子供たちは強制ではないので好きなことを学んでいいのだが、大学生にも手伝ってもらい、英語が得意な子や、作文や論文を書きたい子、そのような希望についてカードを作っておいて、受付で、お母さんのスタッフが、「今日は文章を書きたいのだね」とか、「今日は英語をとことんやりたい日なのだね」などの選び方で、月2回の土曜日に、それもずっと英語をやっていていい、ずっと数学の問題解いていていいという活動をしていた。


○ 質の充実、活性化と言っているが、もう少しブレークダウンというかスモールステップとして、このような状態からあのような状態に持っていくなどと示していきたい。 

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室