資料1 第6回 今後の放課後等の教育支援の在り方に関するワーキンググループにおける主な意見(案)

1 日時 平成26年2月24日(月曜日)10時00分~12時00分
2 場所 文部科学省 5F3会議室
3 主な意見


1.社会の動向と子供の教育環境をめぐる現状
1)社会の動向
2)子供たちの教育環境をめぐる現状
3)学校週5日制導入の経緯とその後の成果と課題
  ○ 保護者が自分の子のために教育を施すのは家庭である。PTAの役割も、我が子を見るためではなく、我が子以外の子の育ちを見て、我が子の良さを引き出す家庭教育につなげるためにある。一人の大人、社会人として社会総掛かりの枠の中ででき得ることをみんなが模索していくという、ネットワークや制度やコンソーシアムのようなものができあがり、人材バンクになっていくのではないか。

 

2.社会で求められる人材像と放課後・土曜日等の教育への期待
1)社会で求められる人材像
2)放課後・土曜日等の教育への期待
  ○ 子供の主体性と長期的な継続性の2点が重要である。

  ○ 大人が決めたプログラムを子供がやらされるのは、大人から子供に対して、一方的過ぎる。子供が何をやりたいか、子供の自主性、主体性を担保できるような子供が参加して決定していくプログラムを中心に考えてはどうか。

  ○ 子供が参画して何かプログラムをやる、あるいは実社会で役立つ経験をするとなると、最低1年はかかる。学校、NPO、コーディネーターが長期間そのプロジェクトをコミットしていく必要がある。

  ○ 大人の都合で、来年事業が打切りになることがないように長期的に行うプログラムが重要であると入れてほしい。

 

3.今後の放課後・土曜日等の教育活動の基本的方向性 ~社会総掛かりでの教育の実現に向けて~
1)学校と放課後・土曜日等の学びがつながる仕組みづくり
  ○ 土曜日の教育活動において、学力の向上だけを目的とすると、従来の放課後子供教室等で参画していた地域の人が参加できなくなるのではと危惧しているとよく聞く。放課後や土曜日における活動では、興味・関心を持って学ぼうとする力、社会に役立つ力、課題を解決する力は、地域の方が子供に教えることができるというメッセージを報告書の中にいれてほしい。

  ○ この放課後の教育支援をきっかけに、保護者を学校に引っ張り出せる機会にならないかと考えている。

  ○ 産業界と企業人材の活用という部分では、保護者の力を借りたらどうかと考えている。

  ○ PTAを卒業しても、活躍できる組織や仕組みを考えていき、地域に根ざせるような形にしていきたい。

  ○ 教育振興基本計画にも社会総がかりというキーワードがあり、その枠組みの中に、土曜日、放課後の取組があり、多才な人が担い手となるため、コーディネートすることが必要になっている。コミュニティスクール、学校支援地域本部は、まさに社会総がかりで子供を育てるため、学校・保護者・そして地域・企業・NPOなどがそれぞれの役割を果たし、教育にかかわることを推進する仕組みである。土曜日、放課後、長期休暇の子供をどうするかという議論でも、視点は同じだと考えている。

2)女性の活躍や特別なニーズのある子供を支える放課後・土曜日対策の充実 (教育と福祉の連携)
○ 女性の活躍について、成人の女性の活躍を支援するために、保育が必要だという議論になっているが、将来活躍する女の子をどう育てるかも重要なテーマである。

○ 日本は女性の学歴が、一般には短大も合わせれば対等だと言われているが、四大だけを比較すると、先進国の中で日本ぐらいが男性よりも女性の方が低い状況であり、海外ではその部分を意識して、例えば放課後のプログラムの中で、活躍する女性との接点を中学生ぐらいから持たせるような取組も行っている。

○ 女性の参画として、子育てをしていた母親たちが子育てグループを自主的に運営し、子供の成長とともにPTAのリーダーとなり、更に地域と学校をむすぶコーディネーターをしているという例は多い。そのようなコーディネーターは、地域とのつながりが強く、既にネットワークを持ち、我が子だけでなく、地域の子供への愛情を持ち、活動体験が豊かである。

○ 一般的に企業社会では、子育ての時期はブランクと考えられるが、子育て経験や地域活動がプラスになる時代になるのではないか。特に教育、地域活動の場、土曜日・放課後の活動では、そういう女性たちが全国で活躍している。初めはボランティアとして参加し、コーディネーターをしていた人が、公募で行政の嘱託員や公設の施設の館長・副館長として採用され活躍している事例もある。

○ コーディネーターは女性が活躍している場合が多く、新しい就労にもつながっていくと思う。

○ 内容のつながりとともに、指導者のつながりも大切である。

○ 内容のつながりについて、他の委員らも、正規の授業と関連させるということや、月曜から金曜までのカリキュラムと連動した取組という発言はあったが、正規の授業、放課後、土曜日に分担されているものではなく、それぞれの内容がつながるプログラムが提供されることが学習成果に非常に寄与するような研究成果もアメリカで出ている。

○ 指導者のつながりということでは、放課後子供教室の指導者は地域の協力者等であり、放課後児童クラブは児童指導員、学校の授業は教員ということでつながりが切れている。ドイツでは、正規の授業にも関わりながら放課後も関わっていくという指導員がおり、韓国では、正規の授業を見ている教員が手当をもらい放課後のケアや授業もするという体制が組まれている。このような指導者も、正規から放課後や土曜日とつながるような仕組みも検討するために、教員や地域の方々、より専門性を持つ指導者への手当も検討する必要がある。

○ 放課後活動支援の役割は、プログラムを実施するのみではなく、例えば言語療法士など、より専門的なケアが必要な児童生徒を学校外の機関等につなぐ役割も有している。このような教育と福祉の連動が実現できる体制づくりを期待したい。

3)子供たちの“やりたい学び”が実現でき、実社会につながる学習機会・内容の充実


4)“学ぶ楽しさ”に出会い、学習意欲・習慣の形成につながる学習機会の充実


5)“全国どこでも学べる”地域の取組の活性化

 

基本的方向性を実現する具体的方策(案)

・社会総掛かりでの教育支援の充実に向けた具体的方策
放課後等の教育支援の充実に向けた具体的な仕組みづくり
  ○ 土曜日だけ充実して子供が主体的になるわけでなく、月曜日から金曜日の平日は学びが充実し、土日にも連続的に学んでいこうという子供を育てるべきである。

  ○ 土曜日の教育は学校教育とはちがい、年間を通じたプログラムやダイナミックな動きもでき、子供の参画を意識したプログラムにしている。

  ○ 時間という縦のつながりとともに、学校と地域がつながった横の空間軸の中で一人の子供が動いているので、横のつながり、縦のつながりを丁寧に考え、提案していくことが大切である。

  ○ 土曜日にかかわる人を増やしていくことが大切である。プロフェッショナルとしてかかわる人もいるし、保護者としてかかわる人もいる。きっかけは自分の子供のために参加しても、そこで他の保護者や地域の人が楽しそうに志を持って活動している様子を見て、次第にまちの子供のために活動するようになることもある。この場合、コーディネーターの企画力、プログラムの魅力はとても大事である。

  ○ 子供のことを考えていかなければいけない親ほど活動に来ない。土曜日にいかに参画してもらうか、親が何をなすべきかということもこの中に入れてほしい。

  ○ 親学講座等を実施してきたが、なかなか参加者が増えない。本当は親も学ばなければいけないが、皆腰が引けている。社会教育主事の経験のある先生たちは上手に話をされる。スーパーAPという安全管理をやっている地域のお母さん方は非常にできるようになる方が出てきている。このような社会教育主事と、コーディネーターがかみ合ったときは、大きな力を発揮する。

  ○ 土曜日の豊かな教育環境の実現に向けて動き出すのは、市町村教育委員会や学校だと思う。子供たちを豊かにしていきたいという気持ちは、学校側だけでない教育委員会、地域の方、保護者もあるので、土曜日の在り方について、まず話合いをしっかりと持つ必要がある。

 

持続可能な仕組みとするためのコーディネーターの育成・機能強化
  ○ コーディネーター側、学校側、地域の方、それぞれの位置付けをはっきりさせるだけでも、これは社会教育のルネサンスになるぐらいの力があるのではないか。

  ○ 実施するための中心になる人、プレーヤーの位置付け、NPOの協力を引き出して参画していただくときの窓口を、はっきり位置付けることについて最初にやるべきである。

  ○ 子供が成長する、親も成長する、地域が成熟するという視点も入れておきたい。

  ○ 子供にとって安全な放課後という点で日本ではチェックが甘いと感じる。いろいろな人が入ってくるときにどうやって安全を確保するか。

  ○ イギリスでは、政府が親向けにパンフレットを出して、子供が通うスポーツクラブで体罰などがないかをチェックするよう促していた。

 

多様な関係者の連携のための学校施設等の活用
  ○ 学校というハードは学校教育のためだけでなく、震災後私たちは地域の砦(とりで)であるということを学んだ。そのためには従来の規則、制度の整備や複合化、多機能化に向けた規則、制度の検討が必要になる。

 

全国の取組のボトムアップのための中間支援機能の強化
  ○ コミュニティスクール、学校支援地域本部や、持続可能な仕組みとするためのコーディネーターの育成と情報ネットワークが大切である。

  ○ 社会総掛かりで人や物を巻き込んでいくときに、NPOだと資金調達も重要な点になるので、議論をしていく必要がある。

  ○ 寄附は信用性が一番大切になる。文部科学省からの信用性や後ろ盾があると大分違う。

  ○ 企業との連携で評価してもらうには三つの力が必要である。
    ・発信力が必要である。この企業が良い取組をしてくれたという発信は必要である。
   ・企画力が必要である。企業が嫌がるのは、一方的にお願いされることである。企業はゲストで来ているつもりでいるので、それなりの準備やもてなしが求められる。
    ・報告力が必要である。「ありがとうございました」とその場で言って終わると、つながりが切れてしまう。後日改めて、子供の感想文などを持っていき報告すると、また次やろうかとつながりが生まれる。

 

新たな学校と地域の連携の提案 ~“あったらいいな”を形にする夢の学校 ~

 

・土曜日の豊かな教育環境の実現に向けた新たな方策
土曜日の豊かな教育環境の実現に向けた仕組みづくり
  ○ 学校の教育課程外で行う場合の工夫、留意点等について

  ○ 土曜日の教育活動は、月から金の、これまでの教育活動や学校教育の在り方を見直すほどの中身を持っている。土曜日に社会総掛かりで子供を育てていこうというシステムが完備して動き始めたら、月から金までがメーンシステムで、土曜日がサブシステムだと思っていたはずが、土曜日の方がむしろメーンになりかねない。そうならないまでも、デュアルな関係になっていく。

  ○ 土曜日の教育活動は、先生がやるのか、地域がやるのか、誰がやるのかという議論になる。地域の人がやるにしても、成績はどうするか、専門家がやるべきではないかという議論になりがちであるが、そうではなく、子供の全人的な成長を支えていく取組でありたい。大きくなって何になりたいかという芽生えの部分から、学校だけではなくて、地域社会をあげて支えていくシステムを作りたい。

  ○ 土曜日が力を持ってくれば、当然サブシステムとしての立場から、月から金に対抗する、相当中身のあるものになってくる。そうすると、デュアルシステムになっていく可能性もある。

  ○ 土曜日は、月から金までの学校教育のサブシステムとしては大き過ぎる。これまでの教育の体系そのものが変わってくる可能性もある。

  ○ 社会総掛かりで、これまでの教育の在り方を抜本的に考え直すということになる。

  ○ 基本的には今までの月から金のシステムがあり、それに土曜、放課後まで加えた新しいシステムになっていく流れだと思う。月から金と放課後と土曜を含めたデザインをする権限を学校に置いておいてほしい。そういう思いを持たない学校はどうするのかということもあり、国が決定し、教育委員会が本市は決定していくという流れはあるが、最終的にその地域に、その学校における校長がそれをデザインできる権限がしっかりあることが望ましい。

  ○ 社会総掛かりでやろうとしているかという価値付けを社会的な価値観として、地域や保護者が共有できるような発信を、国として啓発していってほしい。

  ○ 人を巻き込むコツは、楽しみと使命感である。

  ○ 楽しさがないと入り口がない。放課後NPOアフタースクールでは、保護者に「何がやりたいか」とリクエストをとり、年末に実施している。ふだんは参加しない保護者が学校に来るきっかけになった。

  ○ 楽しみが使命感に変わっていくと、人の巻き込みは定着すると思う。使命感は何に感じるかというと子供の成長だと思う。

  ○ 大学に小学生が遠足に行き、大学生体験をしてみようという計画がある。大学生の巻き込みや、子供たちが大学を感じながら勉強するいい事例になればと思っている。

  ○ 産業界と企業人材の活用では、保護者の力を借りたらどうかと考えている。

 

「土曜日ならでは」のプログラムの在り方
  ○ 4月以降、土曜日授業が進められていくとすると、それでもどうしていいか分からないという現場の先生方や関係者の方も多くいると思う。好事例をネットやパンフレットで配信し、積極的に情報提供を行ってほしい。

  ○ 質の高いプログラムとは何かを良く検討する必要がある。そのためにはプログラム開発には児童生徒、保護者、地域住民の参加も重要である。また、質の高いプログラムを作成するために、プログラム開発上の留意点についてチェックリストなどのツールや、評価のためのガイド等を作成し、ネット上で情報提供することも有効であろう。

  ○ 土曜日ならではのプログラムの在り方に、親子の参加の下で実施していくことも考えられる。実際、参加してほしい保護者が来ないことが課題であり、特に家庭教育の事業では、積極的な保護者と全然関心のない保護者との間に大きな格差が生まれている。しかし、親子参加になってくると、子供の喜ぶ顔が見たいから参加する保護者の方が多くなってくるので、参加していく中で保護者が変わっていくという視点を大事にしながら、親育ちにつながっていく仕組みを作っていく。親が地域の大人としても育っていく仕組みになることが、土曜日を模索していく中で、家庭教育の視点も入れていく大事なポイントだと思う。

  ○ 就学前からやっていければ、小学校に入ったときも積極的にPTAとして関わってくれる保護者になるであろうし、そのような視点をできるだけ子供が小さいときから、地域の事業の中で関わっていけるようにし、学校支援も放課後子供教室のように、積極的でない保護者の方々も子供を預けに来るが、そこで支援員にいろいろ言われたりしながら、また、子供が持ち帰ってきて、学んだことを家庭で話すので、それを親子で共有して、親としての育ちにつながっている。

  ○ 間接的な家庭教育になるようなそういう視点が、土曜日ならではのプログラムの中で親子でというところで入ってくると、家庭教育としても非常に良いと思う。

  ○ 父親の参加ということだが、NPOでファザーリング・ジャパンという、イクメンのNPOに入っているが、個人的には父親がもっと地域、家庭や教育にもっと出ていくべきであると思う。

  ○ 例えば、土曜日は野球でいうと本番の試合、月から金はそのための練習という位置付けになればいいと思う。教育の目的は自立した社会人になるためである。それが月から金までの教科と直接的に結び付けるのは、相当膨大な作業だと思うが、たくさんの実社会を経験させることでどこかでつながってくると思う。

  ○ 子供のことを考えてないといけない親ほど参加しない。土曜日にいかに参画してもらうか、親が何をなすべきかということもこの中に入れてほしい。

  ○ 今回の提言で、コーディネーター側、学校側、地域の方、それぞれの位置付けをはっきりさせるだけでも、社会教育のルネサンスになるぐらいの力があるのではないか。

  ○ 地域をどう育てていくのかが社会教育の課題である。地域をどう育てるか、すなわち、大人をどう育てるかになると、子供と向き合う地域の大人をどう育てていくかということになる。社会総掛かりで子供を育てるために、地域の問題はとても大きい。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室