資料3 生涯学習分科会(平成26年3月17日)における主な意見(案)

 中央教育審議会 生涯学習分科会(第73回)(平成26年3月17日)における主な意見(案)
  (「今後の放課後等の教育支援の在り方ワーキンググループ 中間取りまとめ」の関係部分)

○ 人材の多様性・柔軟性、集団の多様性・柔軟性、場所の多様性・柔軟性とあるが、これはそれぞれ人材や集団や場所などを多様に柔軟に生かそう、生かす工夫が必要だということなので、人材に柔軟性を活用するではなく、書き方を変えた方がいい。

○ 放課後・土曜日の教育の充実について、ここだけ教育と書いてあるが、中身を見ると学習機会について書かれているので、学習と記載すればいいのではないか。

○ 非常に多岐にわたるものが盛り込まれていて、コーディネーターという人を指すような言葉で持続可能な体制へ持っていくことはかなり難しいだろう。そこで、一定のプラットフォームのような形を作って、複数のコーディネーターを置きながら協力体制を作っていく体制が自然なのではないか。

○ 子供たちの状況は、教育が子供たちの能力を開発する部分と、人間がこれまで持っていたものを失った、それを回復する領域と方向と、二方向きあると思うが、その回復という部分についての内容が少ない。物がないからできないとか遊べないではなく、ないからこそ工夫をするという環境を作ろうとすると、何かを目的に向かってまっしぐらに進む学習よりは、結果的に学びにつながるような、プレーパークのような場も必要だと思う。今回の学力向上とそこが結び付くとは、直接的には言えないので、盛り込むことは難しいと思うが、検討してほしい。

○ 放課後や土曜日が、学校教育の補完や延長に包摂されない独自領域として確立するため、特段の意識が重要。

○ 「土曜日ならでは」というところで、実社会につながるプログラム、社会で役立つについて、社会で役立たなくても生活体験を入れてほしい。一般家庭でも非常に仕事が忙しくて、十分な生活の豊かさ、社会で役立つだけではなく、生活の豊かさ、あるいは赤ちゃんと触れ合っていくような体験のような、プログラムも入れてほしい。

○ 保護者参画促進で、働く保護者の参画しやすい仕組みの構築の部分では、働いていない保護者、子育てを一生懸命頑張っている保護者向けに、子育てが素敵、楽しいことというメッセージも対極として意識してほしい。

○ 社会総掛かりで土曜日の午後を豊かな時間にするという点で、企業関係者や産業界の団体が関わることを書き込んでいるところは大変いい。

○ マッチングについては、学校側のニーズや企業側にはどのようなプログラムを提供できることが可能なのかについて、両方にポータルサイトが必要であり、全国区ではなくそれぞれの地域ごとにないといけない。それはどこが担うのかはまだイメージができないと思う。教育委員会、個々の学校、経済団体、NPOなのか、それがもう少しはっきり出てきてほしい。コーディネーターだけでは、責任体制ははっきりすると思うが、マッチングまではまだいかないので、もう一歩踏み込んでほしい。

○ 女性の活躍促進と放課後・土曜日等の対策について、かつては文部科学省と厚生労働省は、福祉と教育という位置付けの違いがあり協働するのが難しかったが、幼稚園と保育所の関係は、いい連携関係ができていると思う。小学生を対象とする放課後についても両省が非常に似た施策を持っているので、補助金を一本化して、母親が働いていようがいまいが、子供の立場に立って、安全で良質な子供たちの時間になるようにしてほしい。

○ 放課後の過ごし方にどれだけ支えを充てられるかは、格差の拡大抑制に最も重要な社会的投資になるだろう。特に土曜日の過ごし方が鍵である。できるだけ地域の多様な実情を踏まえ、実行しやすい形で仕上げてほしい。

○ 地域で放課後をどう支えるのか。児童館、放課後児童クラブ、放課後子供教室、自治体の独自事業等の重複感がある。地域の実情に応えているかというと、例えば放課後児童クラブは、保育に欠けるところのある子供たちの支援だという位置付けであるが、他方で保護者の負担があり、本当に厳しい地域の子供が利用できなかったり、特に中学生以降が欠落している。

○ 文科省と厚労省も放課後子どもプランとして連携をしているが、問題が本当に解消されているかというと、なかなかそうなっていない。そうした中で、この新しい取組がどのようなところで引き受けられるかが非常に大事である。重複感があるだけに、それぞれの事業は自治体で実際に取り組まれているだけに、いろいろな部局がいろいろなお皿を回している。もう一つお皿を回すのかということになると、ニーズはあるが、そこに応えていく勢いも、またそがれてしまう。これまでばらばらで回していたお皿を一つに束ねて、力強く回してほしい。

○ 放課後子供教室にリーダーがいる地域もあるだろうし、放課後児童クラブにリーダーがいる地域もあるだろうし、児童館にリーダーがいるかもしれない。そうした多様なリーダーシップの所在ごとに、多様に、柔軟に対応できることもポイントである。

○ 格差の拡大については、イギリスのシュア・スタートは、チルドレンセンターが核としてあり、経済的に恵まれていない地域はサービスを供給している。格差の拡大の対策だが、同時に非常に有効な社会的な投資でもあるという観点から、そのあたりの地域の実情に応じた負担をめぐる配慮もある。

○ 実社会での経験や働くことが、生活の糧を得るだけではなく教育的価値そのものがあることを社会的な理解に広げていくことがまず重要であるが、マッチングの部分に仕掛けを具体性を持っていかないと、掛け声だけでは進みにくい。

○ 労働団体、連合なども幅広く大学等に出前授業などを行っている。大変幅広い学生と出会い、働くことなどに価値があるという新しい気付きになる点も十分あるので、経済団体や商工会議所等に、労働団体や連合と記載してほしい。

○ ゆとり教育で週休2日になったかと思えば、確かな学力が必要だということになっている。学力低下が国際的にも著しいと言われ、土曜日は今度は学習かとなっている。これは大人の論理で、大人の都合ではないかという疑問がある。子供たちが主役になっていることを、もう少しはっきり打ち出さないといけない。

○ 土曜学習の説明について、希望者をどう識別するのか。希望しますかと聞いたら、みんな希望しないかもしれない。学習意欲が旺盛(おうせい)で、例えばお稽古事や習い事をやっている子供たちが、行政がやってくれるのなら、またそこでも学びたいと参加するが、こちらが期待しているような子供たちは参加しないと格差を助長してしまう。

○ 自らを高めている子供たちが存在する一方で、必ずしも有意義に過ごせていない子供たちも少なからず存在する。土曜学習をするような子供たちはどのようなものかを、もう少し具体的に示さないと期待している成果が生まれない。

○ 全体の中で、社会教育施設の活用をもう少し出せないか。公民館、図書館、博物館が土曜に開いているので、そこで子供たちが学習することもできるのではないか。特に図書館は、子ども司書をやるところが多く、子供が1日図書館の仕事を体験したりすることで、土曜学習もできるのではないかと思う。

○ 学校での学習の理解が必ずしも十分でない子供たちが「学ぶ楽しさ」、「わかる楽しさ」を感じるとあるが、大人も全く同じであり、音韻的には、「学ぶ楽しさ」、「分かる喜び」という言い方はどうか。

○ 平成10年代の前半に、完全学校5日制に向けてのいろいろな条件整備をしたときと比べると、教育プログラムが前よりはっきりしている感じがする。いい面は、活動がシャープになって見えやすくなっている。悪い面は、そもそも地域の活動は自主性、自発性、具体性や試行錯誤をして自分で学ぶところに土曜学習の良さがあると思うが、すごくシャープであるだけに、どちらかというと、土曜授業とどう違うのかが疑問点として残る。

○ 地域では、学校教育がとても熱心なところもあれば、行政の活動が熱心なところ、民間の活動が熱心なところなどいろいろあるので、文部科学省としてはメニューを最大限出して選択してもらう趣旨と推測する。一方、いわゆる補充学習、発展学習的な教育の部分と、自ら学んだり、欠けている部分をもう一度身に付けさせる学習活動が土曜学習には向いている側面があることは事実だと思うので、その整理を分かりやすく出していくといい。

○ 「企業・団体等の連携協力促進」、「企業のリソースを生かしたプログラム」は非常にいいが、企業との連携をするには、労働時間の問題があり、土曜日は多くの会社が休日なのでボランティアになる。ボランティア活動は企業としては強制できないので紹介するにとどまる。逆に、平日の方が呼びかけやすく、企業は今、CSRの一つ、課外活動として、学校のキャリア教育のカリキュラムに出ている会社もあると思う。私も毎年、高校のキャリア教育の授業に行っているので、もっと頼ってほしいと思うし、そのような企業は多いと思う。

○ 企業の人間は大人相手にしかコミュニケーションをしていないので、子供に分かりやすいノウハウを教えてもらうとか、学校側と打合せをすることも含めて、何らかの仕組みがあった方が良い。

○ 企業のCSR活動には、人件費や交通費を負担して人を送り込んでいるので施策評価が入るが、受入れ側としても、あらかじめ施策の評価をすると決めておき、企業と相談しておく必要がある。

○ 大学生のインターン生を年間150人程度受け入れているが、近頃の学生は間違わないように先回りをして、間違いそうだったり、ぶつかりそうだったら黙ってしまう学生が非常に多い。主体性を持てと言う前に、答えはマーケットにしかないから間違っていいし、間違っている中から成功が生まれてくることについて、学校ではなかなか教えにくいことかもしれないので、土曜学習などの機会で試行錯誤できると思う。最終的には国際的に誰かとコミュニケーションするときの折衝力にもつながってくると思うので、何かのタイミングで盛り込んでほしい。

○ 土曜日や水曜日午後の農園活動など、いろいろ学校の行事に参加しているが、同じ子が積極的に土曜も行くし、水曜も行っていて、毎回、来ている人が同じである。学校での枠組みを離れてというが、実は離れられず、より凝縮して、学校でトラブルがあった子たちと土曜の教室でもまたトラブルがあって楽しくないことがある。

○ 保護者の参画促進として、私は附属学校のPTAなので、地域とは離れており、附属学校の活用法策として、地域のモデル校や拠点校になることも言われているので、どちらの面も持っている学校のPTAとしては、地域というには子供たちは広い地域から集まってきている。ただ、我々保護者はPTA活動や、子供のためのキャリア教育に取り組んでいるし、積極的に参加しようという活動もあるので、今後、具体的なコーディネートをして、どのような好事例を作っていく際には、全附連にも声をかけていただければ、各学校でモデル的なことを積極的にやっていく意欲を持っているPTAの団体なので、おやじとしてもいろいろ参加したい。

○ 土曜学習は、きちっとしたシステムや制度がある中で、初めて人は集まってくる。必要だと思うが、ただ単に中途半端にやってもらってもうまくいかない。

○ イメージとしては小学生が対象という感じを受け、今までやっている放課後子供教室とどう違うのかと思う。保護者にとっては、土曜授業と土曜学習の違いを少し明確に出していただいた方がよい。

○ 高校生が、場所として学校を活用していくと考えたときに、都道府県の自治体、県教委があって、このような事業をしていくという旗振りがあって、学校が取り組もうとなると思うが、何となくイメージしにくい。

○ 社会教育的な立場からすると、公民館は貸し館的になっていて機能が低下してきているので、生涯学習的な視点で利用していくことを考えていかないといけない。

○ 放課後の土曜日版とどう違うのかが分からない。放課後の場合は、居場所づくりや地域づくりなどはっきり目標が決まっているが、土曜学習では、学習格差、地域づくり、居場所、あるいは社会性を身につける問題なのか、目標がはっきりしないので詰めてほしい。

○ 何を目標とするかがはっきりしないと、評価をどうするのかに関わっていき、最終的に、お金をたくさんかけて、何をもってこの事業を評価するのかという問題になってくるので、明確にした方がよい。

○ 生涯学習の観点から、平成10年頃のゆとりの問題では、内容値ではなくて方法値、どのように学習するかという学び方を見つけることが一つの柱だったが専門的な開発ができなかったので、学び方の学習の柱を立てたい。

○ 学ぶ意欲について、達成感があったときに楽しいということがあるので、そこまでの苦労、一生懸命勉強する苦労は子供たちに必要だろうと思う。ただ、勉強はつらく、暗い勉強で終わらないように、楽しく達成感を持たせる学習があることが大切である。

○ 学校教育の教育内容について、必ずしも普通の授業、教科内容が足りないからではなくて、もっと違った教育のやり方を充実しなければいけないということはよく表れている。

○ いろいろな子供たちがいて何をやったらいいのか。実際に、参加できるプレーヤーがどこから、どのくらい得られるかにもよるので、状況は違うが、ある程度分析してどのような効果を狙うかを絞った方がやりやすい。

○ 特に親をどう巻き込むことができるのか。親と子供と両方合わせて教育に持ち込まないと、うまく効果を上がらない。カテゴリーを分けて、プログラムを具体的にするとよい。

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生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室