資料2 第7回 今後の放課後等の教育支援の在り方に関するワーキンググループにおける主な意見(案)

    1 日時:平成26年3月12日(水曜日)10時00分~12時00分
    2 場所:文部科学省 3F2特別会議室
    3 主な意見


1. 社会の動向と子供の教育環境をめぐる現状
                  
1. 社会の動向
2. 子供たちの教育環境をめぐる現状
3.  学校週5日制の経緯とその後の成果と課題
  ○ 宮古市では学校規模適正化により、七の小学校と三つの中学校を統合する計画の地域がある。地域が広すぎ、ひとまとまりの地域としてまとまるには非常に困難。それぞれに受け継ぎたい伝統文化があるが、地域の大人が子供たちの顔を知らない。

2.  社会を生き抜くために必要な力と放課後・土曜日等の教育への期待       
1.社会を生き抜くために必要な力
  新しい学習指導要領の基本的な考え方
  第2期教育振興基本計画における基本的方向性
  「社会人基礎力」という考え方
  ○ 基本的な方向性において、経済産業省の社会人基礎力にあわせ、OECDのキーコンピテンシーなどにも触れておきたい。土曜日の教育活動を通して子供たちにつけさせたい力が国際的な要請にも合致していると確認しておきたい。
 
2. 放課後・土曜日等の教育への期待
  学校での学びが深まる学習、体験の機会の充実
  安心して産み育てられる環境づくりとしての放課後・土曜日の教育の充実
  子供たちの主体性を引き出し、実社会で役立つ力を培う学習・体験機会の充実
  学習意欲・学習習慣形成・学力向上の観点からの学習機会の充実
  ○ 自ら主体的に選び、その成果を自ら振り返ることが本当に良い学びである。このような学びが展開されるよう土曜日の教育活動のねらいに盛り込んでほしい。
   
3.  今後の放課後・土曜日等の教育活動の基本的方向性              
  ○ 特別支援が必要な子供たちの、放課後や土曜日の過ごし方の格差をなくす視点も明記してほしい。また、利用料が負担できない子供への配慮も是非必要。韓国では所得の低い世帯の子も参加できるような仕組みがあり、このような事例の紹介も報告書に盛りこんでほしい。

4.  基本的方向性を実現する具体的方策                     
1. これまでの経緯と土曜日の教育活動の理念
  ○ 土曜日の教育活動の授業内容については、喫緊の課題を授業目的にすることも考えられる。例えば学力不足を補うために、土曜日は補習授業と設定することなど、子供たちにとって強制的な学びの場となる可能性もある。土曜日の教育活動とは、いかに地域を巻き込んで、子供たちの知的好奇心を刺激する場とするのか、そして、ふだんの学びの中で分からなかった部分を子供たちが自ら望み補う場となるよう、文部科学省から一定の方向性を示すべきである。
   
2土曜日の教育活動の実施主体や特徴
  (1) 土曜日の教育活動の形態と実施主体
  ○ 土曜日の教育活動においては、既存の行事(公開授業・運動会・学芸会 等)に付け足す形で考えていく方向から現場にすすめればいいのではないか。道徳の教材化など地域と連携しながらすすめるものを年間あと5,6回魅力的なことができると説明したい。

  ○ 「土曜日の教育活動の形態」の説明図では、教育委員会が主体となる分量が多くを占めるように伝わる。家庭・地域の連携が必要であることを形にしてほしい。学校現場への負担増の方向かとマイナスイメージで思われないような配慮が必要。

  ○ 「学校地域支援本部や放課後子供教室がある場合には、その仕組みを活用することも効果的」というのは既にすでにすすめられている。放課後全体ではもう一つ踏み込んで、どのように土曜を活用するのかという点で考えていきたい。
 
  (2)土曜日の教育活動の推進に係る関係者の理解の促進
  ○ 土曜日の在り方について、保護者と地域が課題を共有するための話合いの大切さや、できることから始めることなどを前段で加えている点は、現実をしっかり捉えていて良い。

  ○ 様々な子供たちに向けた学習の機会を更に用意するのはいいが、丁寧な説明がなければ地域は混乱するのみとなる。

  ○ やるからには、学校経営者の教育目標とビジョン、ミッションがきちんと教室内で共有されていなければいけない。絶対に通常授業の学びとの関連が必要。
 
 ○ 「コーディネーターの配置」を市町村がしてしまうと、地域に人材が育たないのではないか。「育成」という記載が適当ではないか。

  ○ 国や教育委員会や学校の目指す子供像がベースにあった上で、子供たちの知的好奇心をくすぐるため社会の力を借りる形が必要。

  ○ 在り方あり方について、学校経営者が総合プロデューサーになるという視点は重要。
 
  (3)土曜日ならではの特徴や教育効果
  ○ 土曜日の教育活動の利点として、異学年や特別支援の必要な子供たちとの交流、学んだことのアウトプットの場であることがいえる。

  ○ 日頃の教員の授業の大切さを地域に伝える目的も、土曜日の教育活動にあってもいいのでは。また、地域と保護者がネットワークをつくる機会となってもよい。

  ○ 土曜日の教育活動の効果について、今後、エビデンスベースにそったプログラムになるよう、実証的な効果分析のための研究が急がれる。
   
3. 土曜日の豊かな教育環境の実現に向けた具体的方策
  (1)多様な主体が土曜日の教育活動に参画する仕組みづくり
  地域人材の参画促進
  ○ 学校管理の面、安全への配慮も必要であるが、施設に関しては、「学校は開かれた施設」若しくは「風通しの良い施設」ということがより必要になってくる。

  ○ 土曜日の教育活動コーディネーター、土曜教育推進員などの名称は、人材の追加として捉えられないよう注意したい。既存の団体やこれまで活動いただいた人材が、土曜日の教育活動を更に豊かにしていただけるよう、伝えていきたい。
 
  保護者の参画促進
  ○ 土曜日は休みの保護者も多く、家庭教育の支援という観点も含め、子供の教育を充実させるためには、親として何ができるのかということや、例えば土曜日どのような活動があるかなどを保護者に情報提供する必要があると思う。
 
  企業・団体等の連携・協力の促進
  ・学校のニーズと企業等の取組のマッチング
  ・企業等の人材が教育活動に参画するための職場環境づくりや研修の必要性
  ○ 「持続性の観点からも、業務の中で教育活動に関わる仕組みも必要である」と書いてあるが、土曜日実施については、業務の中の教育活動とは限らない場合もあり、書き方に注意が必要である。

  ○ 退職した企業人の、学校や教育に関わりたいという気持ちを活用していくべきである。

  ○ 企業と教育現場との協働が進んでいない。企業人にとってみると、教育現場はハードルが高く、壁が厚く入りにくい。一方で企業人は何かできるのではないかと思っており、企業人が子供たちの前に立つ機会が充実するようなものとしていかなければならない。

  ○ プロボノで積極的に教育で貢献しようということを経済界で呼び掛けてもいい。単に情報提供でとどまるのではなく、コーディネーターや推進委員の養成のための研修に企業人の積極的な参画を進めていく。こうすれば絶対に、自分はこれがやりたかったんだ、自分では気が付いてなかったけど、自分はこれに適任かもしれないという、企業人の気付きも促せると考える。

  ○ 企業人が、地域の大人として土曜日の教育活動に参画できる風土を、社会全体でも作っていき大きなウエーブが企業側への後押しとなるようなものが一つ欲しい。企業にとっても人を出すことで違うプラス効果というのは十分あると思う。

  ○ 私は、ただスキルが高かったり思いが熱かったりする方だけじゃない方に教える側になっていただかなければと思う。子供を理解して学校を理解してボランティアマインドのある方が、教えるスキルがあったり知識があることが大事だと思っている。そのために研修をやっている。研修をやることによって変わっていただいて、そして、入っていただく。学校にとって、参ったなということで二度とやらないということになってしまうので、そんなことにはならないよう気をつけている。
 
  NPO.民間教育事業者等の連携・協力の促進
    ・特定非営利活動法人(NPO)等との連携の推進
    ・民間教育事業者との連携の推進
    ○ 企業と学校を結ぶためのNPOなどの団体がある。相当大きな要のことであり、土曜日の教育活動を通じて、このような仕組みの活用も構築できるなどのプラス効果が期待できる。
   
  大学等の連携・協力の促進
 
  (2)学校と地域・企業・団体・大学をつなぐコーディネーター機能の充実
  コーディネーターに求められる役割・人材
    ○ 気をつけることとして、適切な市民先生の受入れについては、コーディネーターを始め、学校の教員と連携しながら、しっかり見ていなければならない。

    ○ 土曜日に限られた新たなコーディネーターの位置づけは良くないし、反対。キーパーソンが既に十分でき上がっている地域は多い。チーム体制で補いながら、通常授業、学校教育課程内コーディネーター、学校教育外の地域活動におけるコーディネーター、そういう方たちが上手に連携しながら、お互いに子供を奪い合うことなく、うまく地域内で推進していく必要がある。

    ○ コーディネーターの確保については、とまどう現場もあると予想される。各種団体と調整する力と時間がある方をどこから探してくるのか、悩む学校管理職もいるであろう。

    ○ コーディネーターの存在というか力量、センスが問われることがポイントとなる。テーマ設定、進行管理、人材の活用、などを手掛けていき、束ねていく役割である。土曜日学習が実のあるものになるのかどうかを大きく左右する部分だと思う。
   
  コーディネーターの研修や情報共有の必要性
    ○ コーディネーター研修については、各都道府県市町村で行っている現行のものでは不十分である。自分たちができることをワークショップで学ぶ場や、基本的な知識を押さえ、論理的に説明する力を身につける場が必要。予算をつけ、専門的な役割を位置付けることも、今後、文部科学省で考えてほしい。

    ○ 社会教育主事に準じるような資格を設け、地域で活躍されている方に研修機会を与えることも、生涯学習審議会の提言の中にあった。地域の中でディレクションできる人間、プロデュースできる人間を育てたい。地域既存の組織や枠組みをうまく組み合わせ、それに文科省がずっと力を入れてきている“家庭教育支援チーム”などもネットワークに取り込み、予算も大くくりに活用できるような工夫が必要。

    ○ コーディネーターだけに任せられても、体型だってプログラムを運営するのは困難。行政の関わりについて明記が必要。

    ○ 目的や情報の共有を確実にしていかないと多才な多彩な人が関わる上で、それぞれの狙いがちぐはぐになっていく。やはり、コーディネーター個人的につなぐのではなくて、全体としてつながる仕組みをもう少し考えた方が良い。

    ○ 現場の者は、事業の枠の中に、既存の活動をはめ込む苦労をしている。報告書作成などの事務的業務も含め、コーディネーターの機能を支援する仕組みを行政に構築してほしい。
   
  (3)「土曜日ならでは」の多様なプログラムづくり
  体系的・継続的なプログラムの基本的な考え方
    ○うまくいかないと予想されるケースは次の三つ。(そして、その課題解決法)
      一つ目、プログラムの種類が多すぎて、効果が拡散される。(“子供たちには、やりたいことを見つけ、それに挑戦してほしい”などの土曜日の教育活動の目標を共有)
      二つ目、プログラムの担当者が固定的で、地域全体・社会全体と広がらない。(子供たちの成長の様子を見せるなどの工夫を行い地域を巻き込む。)
      三つ目、学校現場と他団体の温度差ができあがり、お互いの信頼関係が構築されない。(プログラムを調整する、プロデューサー役が必要。個別に調整するコーディネーターも重要であるが、全体を把握する役も必要。平日と土曜を通してどのような教育を実践したいかという観点でいうと学校の管理職がなるのも一案。)
    ○ プログラムに対する評価については、誤解したとらえ方に気をつけたい。例えば、土曜日での学習について、コーディネーターがその定着度を5段階評価するなど、全く間違った方向にならないよう押さえておきたい。

    ○ 評価と効果の件については、量的・質的に効果測定が必要。経年比較も含め、複数の観点でエビデンスを残す検証チームの設置がのぞまれる。

    ○ 土曜日は、非常に大きな可能性がある。授業づくりを通して大人の学びの場にもなる。活動を通して、地域と学校に関わることが楽しみであり、自分のライフワークにしたいと思うような人が出てきてほしい。社会総掛かりで子供にかかわるベースともなり得る。

    ○ やりたくないことをやらせるのも教育かなと思う。苦手なことや困難なことに向かわせ、それをやりきらせる。むりやりにならないよう、知的好奇心をくすぐりながら、社会の力を借りれば良い。

    ○ 子供や保護者の立場から言うと、この取組自体が上から押しつけられた感じがする。土曜日の教育活動の企画の時点で子供に参画させるべきではないか。子供のつぶやきを大人が吸い上げることができていない。社会総掛かりの“社会”には子供も所属しており、子供の問題意識を吸い上げ、それに取り組み、子供が課題を解決したりサービスを提供する立場を体験させるようなプログラムも考えられる。

    ○ 今までの地域連携とは違うということを学校管理職も経営という視点で学び直してほしい。教員のそばも授業構築、学年運営、学級運営をどうしていくのかという視点できちんと学び直しをしないと取組が形にならなくなるのは目に見えている。それができあがって初めて評価であり効果検証である。

    ○ 土曜日の教育活動は評価されないので、失敗してもよいなどふだんの授業との違う区別も書いた方がよい。
 
  実社会につながるプログラムの在り方
  企業のリソースを生かしたプログラムの在り方
  学習意欲・習慣の形成につながるプログラム
    ○ 学習補習についても、大人の専門家がすすめるのではなく、子供どうしの教え合いを組み込んではどうか。

    ○ 土曜日の教育活動は学校にはない新しい風を入れることができる。学校の先生だけではできない、生きた教育ができると思う。補習的な授業ではあれば、一例として、川崎では地域の方々で子供たちに九九名人を作るというものがある。地域も取り組みやすく、学校も、何より子供たちが喜ぶ例である。土曜日というのは可能性がたくさんある。好事例をまとめることが一番いいと思う。

    ○ 就学前の子供の参加については、あえて土曜日や放課後で何か補ったりする必要があるのかなと思う。参加する人としない人がいて、むしろ小学校に上がったときに差が出てきてどうなのかなど気になる。幼小連携などの検討がすすめられており、それとの関係を考えた方が良い。
 
  「地域ならでは」のプログラムの充実と“全国どこでも学べる”体制づくり
    ○ 都市部では教室参加のための受益者負担程度で済むが、広大な校区を持つエリアでは、それだけでは済まない。どんなエリアの子供たちにとっても学ぶ楽しさと意欲につながるような土曜日の教育活動の実現を目指すなら、子供を集めるためのバス代など、予算的な配慮は絶対必要。

    ○ 子供の主体性を大切にはしていきたいが、散漫にならないよう注意してほしい。どのような子供たちを育てていきたいかの根底は確認しておきたい。
       
4. 今後の土曜日の教育活動の持続可能な体制づくりに当たって
    ○ 全国のノウハウが蓄積され、それを共有できるような仕掛けが必要。また、全国の取組グランプリを行い、チャンピオンを決めるなどの企画も、社会的なコンセンサスを取り、社会総掛かりというところを醸成する意味でも取り組んでみることも必要。

    ○ 文部科学省として、好事例や講師のデーターバンクをインターネット上のサイトを設置し紹介していただきたい。

    ○ イギリスなどでは教員のワークライフバランスを保つことを放課後活動の第一の目的としている。

    ○ 学習の場で、参加者がその費用を支払うプログラムもあってもいいのではないか。

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生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室