制度問題小委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成19年11月22日(木曜日) 10時~12時

2.場所

コンファレンススクエアM+「サクセス」(1階)

3.議題

  1. 生涯学習・社会教育関係制度に関する今後の検討の方向性について
  2. その他

4.出席者

委員

 山本委員長、菊川副委員長、井上委員、興梠委員、鈴木委員、高橋(興)委員、高橋(守)委員、土江委員、水嶋委員、山重委員

文部科学省

 加茂川生涯学習政策局長、清木生涯学習総括官、関初等中等教育局視学官、川上生涯学習政策局政策課長、上月生涯学習推進課長、平林社会教育課長、湊屋男女共同参画学習課長、椿参事官、安間青少年課長、小林社会教育官、栗原地域学習活動支援室長、岩佐家庭教育支援室長、新田民間教育事業振興室長

5.議事録

【山本委員長】
 それでは、時間でございますので、第7回になりますが、生涯学習分科会制度問題小委員会を始めたいと思います。
 本日は朝からで、お忙しいところをご出席いただきましてありがとうございました。
 実は、見ていただくとわかりますように、会場を借りておりますので、11時半ぐらい、延びても11時40分ぐらいまでにはあけないとまずいので、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議題のほうに入る前に、先に教育振興基本計画の策定に向けた意見募集が始まっております。この件につきまして、事務局のほうから説明をお願いいたします。

【川上生涯学習政策局政策課長】
 時間をちょっと使わせていただきましてご報告を申し上げます。
 ご案内のとおり、ことしの2月から中教審に特別部会をつくりまして、教育振興基本計画の策定に向けた検討を行ってきているわけでございます。これまで8カ月間議論いただいたわけでございますが、部会長の意向で、そろそろ少し幅広いご意見を伺おうということになりまして、これまでの審議の状況を取りまとめた上で、11月8日に合意をいただきまして、12日から12月11日までの期間、インターネットによる一般のご意見を募集するとともに、12月5日の部会では関係団体のヒアリングをさせていただくというような形で幅広いご意見をいただくということになってきてございます。
 資料1でございますが、その辺を書いてございます。
 3枚目をめくっていただきますと、教育振興基本計画の策定に向けた公聴の実施ということが出ておりますが、これでもって広い意見を伺わせていただくということにしてございまして、それまでの審議の状況につきましては、6ページ目から添付資料1ということで、これは将来的には振興基本計画の基本的な方針に発展していくような内容でございますけれども、それについてのこれまでの審議の状況、それから12ページ以降には、添付資料2というのがございますが、振興基本計画の中心になります具体的な施策、それのうちの重点的に取り組むべきものというのはどういう方向であろうかということのこれまでの議論をまとめているわけでございます。
 きょうは時間がございませんので説明は省略させていただきまして、後でごらんいただければというふうに思うわけでございますが、今後このようなご意見を伺った上で、さらにブラッシュアップをし、特に具体的な施策につきましては具体化、重点化、なるべく目標の設定をしていくというような作業を引き続き行い、答申をいただくというふうに考えている次第でございます。
 ちなみに、教育振興基本計画でございますが、基本的な方針と施策と、それに加えて、その他の事項ということで、もう一つ3部目というのがございまして、これにつきましては、またご意見をいただき、答申を固めていく段階でいろいろ必要になってくるものが出てくると思いますので、それはまたそれで、3部目も引き続きご議論いただくということにしてございますので、でき上がりはそういう3部構成になるということはあらかじめご理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
 本日はちょっと時間がありませんので、内容は省略ということでよろしくお願いいたします。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 なお、この特別部会ではいろいろな議論がありますが、生涯学習関係とか社会教育関係につきましては、この小委員会とか、あるいは分科会で議論されていることを事務局のほうが適宜反映させてくださっているということはお伝えしてございます。こちらのほうは法改正のことが絡んでいるので少しおくれぎみだけれどもということは言ってあります。

【川上生涯学習政策局政策課長】
 そのとおりでございます。生涯学習関係が中心になっておりますのは、例えば12ページ、重点的に取り組むべき事項のところでは、社会全体で教育の向上に取り組むということで、基本法にあります13条の連携協力、ここから始まりまして、(2)家庭教育ということで、特に教育基本法改正法の10条で家庭教育が取り上げられたということで家庭教育、それから(4)で、いつでもどこでも学べる環境をつくるということ、これは生涯学習について重点的にどういうところを取り組んでいくかというような形で取り上げてございます。いろいろなところにちりばめられた部分がございますけれども、生涯学習関係は1番のあたりが中心になりますので、その辺を中心にごらんいただければ、どの段階まで反映されているかというのがご理解いただけるかと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございます。そういうことでございますので、後ほどごらんいただければと思います。
 それでは、きょうの議事のほうに入りたいと思います。お手元の次第にございますように(1)生涯学習・社会教育関係制度に関する今後の検討の方向性についてということでございますが、9月12日でございますけれども、第44回の生涯学習分科会が開催されまして、この小委員会の検討状況の報告をいたしまして、その方向性について大体ご了解いただきました。この小委員会で検討してきたことはおおむねそれでよろしいということで返ってきていると思います。
 それでその後、これはこの小委員会が始まる一番最初に申し上げたんですけれども、これは法改正に絡むものですから、我々はここで議論しますけれども、その議論がすべて法律に反映されるわけではないので、その点はご了解いただきたいというのでいろいろご意見をいただいてきたわけですけれども、実際にそういうことで、事務局のほうで検討してもらいまして、いろいろ法制局との関連もありまして、ある意味ではテクニカルな検討もしていただいております。そのことが今回の資料に反映されておりますので、まず資料を事務局から説明していただきたいと思います。最初ちょっと話を聞くと、何かがっかりするかもしれないですが、それはそうではなくて、今申し上げたようにテクニカルな面で法律に載せられるものとか、答申レベルでいろいろやっているものとか、さらには先ほどのような教育振興基本計画とか、そういうところでやっていくべきもの、そのほうがいいものとか、いろいろありますので、その辺の仕分けのようなことを事務局のほうにお願いしてやっていただいております。ですから、決してトーンダウンしたわけではなくて、仕分けをきちんとやったので、きょうはそのあたりを見ていただきたいと思うわけでございます。
 では、事務局のほうでまず説明をお願いいたします。

【上月生涯学習推進課長】
 それでは資料2をお願いいたします。
 今委員長からお話がありましたように、事務局のほうで主に技術的な観点といいますか、そういう観点から整理したものでございます。前回のこの小委員会でその法的な面とそれ以外のものについての整理がいまひとつ不十分だったのではないかというご指摘もあって、そういうことも踏まえて整理させていただいたものでございます。
 最初のページ、○の2つ目でございますが、その2行目からでございます。事務局における技術的な検討等を踏まえ、それぞれどのような対応が考えられるか。その見直しの方向性について、より具体的な整理をすることを目的とするものでございます。ちょっとあけまして、例えば法令等の制度の改正を視野に入れて今後見直しを行うことが考えられるもの、具体的な事業等に取り組むことによって仕組を構築していくことが考えられるもの、あるいは、制度の在り方の問題としてではなく、1行飛ばしまして、制度の趣旨をいま一度明確にすること等を通じて改善を図るもの等、さまざまな具体的な対応の仕方があるということを念頭に置いて、この資料をまとめたものでございます。
 次の○でございますが、これらの実現につきましては、今回お認めいただけますれば、この資料2をさらに分科会に上げまして、そこでの審議、さらには法制局も含む関係省庁との協議・調整等を行っていきたいという形になるかと思います。したがいまして、実現の時期についても、いろんな状況を踏まえて進める必要がありますので、そういったことで時期についてはご理解いただければというふうに思っております。
 それでは、1枚めくっていただきまして生涯学習関係でございます。
 生涯学習振興法に関係する論点について幾つかございましたが、1つが、生涯学習の理念、学校教育、社会教育との関係でございます。最初の○にありますのは、基本基本法第3条に新たに生涯学習の理念というものが新設されたことを受けまして、生涯学習の理念でありますとか、あるいは社会教育法制等との関係の整備というようなご指摘がございました。これにつきましては、3つ目の○でございますが、まず生涯学習の概念の整理につきましては、そもそも5行目でございますが、生涯学習というのが多種多様な形で実現されるべき生涯学習の具体的な内容を法律上に定義することは、その性質上適当ではないとして、これまでも法律上の定義を置かなかった経緯がございます。そういったことから、今後の答申あるいは関係の文書等におきまして、関係者にその趣旨や目的をもう一度明確にしていくという作業が適当ではないかというふうに考えております。
 また、その次の○でございますけれども、生涯学習、社会教育、学校教育に関連する各法の関係につきましても、まずは現行の各法律の関係につきまして、その考え方を整理して、現場の実務者の方々にもわかりやすい形で示していくことが望ましいということであります。
 2つ目の論点といたしまして、国と地方公共団体等の役割でございます。
 次のページでございますが、特に現在の振興法が都道府県の役割を重視した生涯学習の整備ということを重視しておりますけれども、特に近年見られます市区町村の役割についてしっかり位置づけてはどうかというご指摘もございました。これにつきましては、3つ目の○でございますが、2行目から、都道府県と市区町村における役割分担の在り方については、自治体の規模とか県と市区町村との関係も非常に多様でございます。そういったことを踏まえまして、さらに検討を進めて、必要があれば、法律上の位置づけについても検討していってはどうかというような整理をさせていただいております。
 3つ目の論点は地域生涯学習振興基本構想あるいは都道府県における生涯学習審議会でございます。
 これにつきましては、3つ目の○でございますけれども、基本構想の規定については、この小委員会におきましても実態がほとんどないので、見直しが必要であるというような指摘がございました。
 次の○、最後の行でございますが、本制度の意義については、法律上の位置付けも含めて検討する必要があるというふうに整理しております。
 また、生涯学習審議会の役割につきましては、社会教育法に規定する社会教育委員の会議との役割分担についてやや疑義が見られる、あるいは混乱が見られるというご指摘がある一方で、それぞれ重要な役割を持っていますというご意見もございました。生涯学習審議会の活動には地域差もありますし、そういう各地域の実態を踏まえた制度設計が必要であるというご指摘もありました。
 また、次の○でございますが、小委員会においても両者を廃止すべきではないが、一部にその役割の混乱が見られるという指摘もありまして、そういったことを踏まえまして、今後まとめられる答申等におきまして、両者の在り方について、その考え方、在り方を示していくことが考えられます。
 4つ目の論点でございますが、学習成果の評価・活用でございます。
 これについては、改正された教育基本法第3条におきまして、「学習の成果を適切に生かすことができる社会の実現」といったような理念が入ったことをどうとらえるかということでございます。
 3つ目の○に、小委員会では生涯学習が基本的には自主的に行われる活動であるということも踏まえて、基本的には学習成果の評価というものも自己評価を基本とするものであるという指摘がある一方で、第三者評価機関が、例えば検定の質等について認定等を行うということにつきましては、その仕組みというか、具体的な手続ということについては、検討が必要ですが、一定の有用性があるのではないかという指摘もございました。また、内閣府等の行う調査では、特に職業関係の評価の客観性といったことについてもニーズがあるという指摘がございます。
 このようなことから、認定等を行うことについての質を保証する仕組みについて具体的に検討していくことが望ましいということですが、一方で、民間事業者等の主体的な取り組み、あるいは行政の関与の在り方についてもあわせて留意する必要があるというふうに整理をしております。
 生涯学習関係については以上でございます。

【平林社会教育課長】
 それでは、続きまして、社会教育関係、社会教育法からご説明したいと思います。6ページをお開きいただければと思います。
 まず1つ目の論点で、社会教育の目的、国・地方公共団体の役割等、こちらにつきましては、やはり基本法で幾つかの条文が規定されたこと、あるいは社会情勢を踏まえて、社会教育法の目的をどういうふうに見直すかというような議論がございました。
 まず、生涯学習の理念が第3条で基本法に規定されましたが、生涯学習機会の提供で、中核部分が社会教育行政であるという視点のご指摘がございました。3条には、「生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができる」というような規定の趣旨を踏まえて、国民一人一人が学校教育修了後のみならず、その生涯にわたって行う学習を幅広く支援するといったことを社会教育行政の任務として位置づけること等が考えられるというのが2つ目の○です。
 また、3つ目の○でございますが、同じく基本法の3条では「成果を適切に生かすことのできる社会の実現」といったことがございますが、それを踏まえますと、社会教育行政の任務というものが、単に個人の学習を充実することだけでなくて、その成果を生かし得る環境を醸成することまでも含むものであろうといったことから、この点についても社会教育行政の任務として位置付けることが考えられるのではないかというふうにまとめさせていただきました。
 4つ目の○でございますが、基本法で同じように、公共性の涵養であるとか、あるいは社会の形成に参画する人格の育成の観点といったことを盛り込めないかというような指摘等がございました。こういった指摘を踏まえて、社会教育行政の任務として、国民に対する社会的活動への参加の機会の提供を行うといったことを位置付けることが考えられるというふうにまとめさせていただきました。
 さらに、5つ目の○でございますが、基本法におきましては、情報の提供といったものが新たに規定されました。情報化社会の進展というものを踏まえて、最後の2行でございますが、情報の利活用等に関する講座の開設といったものを同じく任務として位置付けることについて引き続き検討する必要があるというふうにまとめさせていただきました。
 一番下の○、青少年教育施設の関係についてもご指摘いただきましたが、現在でも社会教育法におきまして、青少年教育振興の重要性というものが既に規定されているといったことを踏まえて、その重要性につきまして、次のページでございますが、今後取りまとめられる答申等で明らかにすることが考えられるのではないかというふうにまとめました。
 2つ目の論点、(2)国・地方公共団体の関係や責務等についてでございます。
 2つ目の○でございますが、地方分権時代の社会教育の推進といった観点のご指摘、また、この小委員会におきましても、社会教育施設の所管につきまして、教育委員会から地方公共団体の長へ移管してもいいのではないかというようなご指摘もございましたし、その一方で、やはり政治的中立性等々の観点から、教育委員会所管が望ましい、あるいは学校教育との連携という観点も重要だと、いわば両論のご指摘もあったかと思います。
 3つ目の○でございますが、政治的中立性の確保あるいは学校との連携の必要性といったものを考えますと、やはり原則としては、教育委員会所管というものが適当ではないか。また、さらに長と教育委員会との関係におきましては、現行法におきましても、補助執行といった制度が既に存在しているといったことから、弾力的な事務の執行に関しては特段の問題はないというふうに考えてございます。最後3行、ただし書きでございますが、一方におきまして、特に学校施設の管理、整備に関する事務につきまして、いわゆる特区におきまして特例が認められた。特区においては首長部局で学校施設の整備を行うということが認められたといった事情もあるということも勘案しまして、引き続き検討する必要があるというふうにまとめております。
 最後の○でございますが、社会教育のナショナル・ミニマムといった点でのご指摘がございました。最後の3行の部分ですが、これにつきましては、社会教育の振興につきましては、いわゆる基本法において振興基本計画といったことを策定し、それに基づいて地方公共団体も基本的な計画を定めることになっておりますけれども、そういった計画に基づきまして、国及びそれぞれの自治体において行われることになることを踏まえて検討してはいかがかというふうに考えてございます。
 それから、3つ目、社会教育主事についてでございます。
 社会教育主事につきましても、ページをめくっていただきまして、専門性あるいは配置、あるいは養成等々についてご議論いただきました。
 8ページの2つ目の○でございますが、1つの論点として、職務として学校、家庭、地域社会のコーディネートに関する事務を位置付けるといったことはどうかというようなご議論がございました。この社会教育主事が社会教育にかかわる地域の人材を把握した、その上で学校が地域住民の協力を得て教育を行う際に助言できるということを社会教育主事の職務として位置付けることは考えられるのではないかというふうにまとめさせていただきました。
 もう一つの論点で、3つ目の○でございますが、社会教育主事の職務として企画・立案に関する事務も位置付けてはどうかというようなご議論もございました。社会教育主事は教育公務員であるといったことから、企画・立案は行政的な事務ではないかということからあまりなじまないのではないかと。あるいは逆に教育委員会職員でございますので、当然企画・立案も行えるのではないかということから、そういった考え方を今後明らかにするということが適当ではないかというふうにまとめてございます。
 4つ目の○は、配置について、あるいは社会教育士、あるいは地域教育士といった汎用資格についてのご指摘もいただきました。こちらにつきましては、現状で併任発令等で対応できるといったこと、あるいは新たな資格につきましても、それぞれの実情に応じて、あるいは、例えば社会教育主事の有資格者の活用を図るといったことは可能ではないかというふうに考えてございます。
 次の○でございますが、社会教育主事以外の司書あるいは学芸員といった職種に共通に求められる知識なり資質、あるいは共通科目といったことを通じて、そういった知識、資質を共通に身につけられるようにするべきではないかという指摘がございました。
 それから、現状におきまして、養成段階で共通科目で生涯学習概論といったことが設けられてございますし、それぞれの制度ごとの必要に応じて、それぞれ質の高い人材の育成に向けた検討を進めるといったことが必要ではないかというふうに考えてございます。
 一番下の○は社会教育主事についての民間からの任用の促進といった点でございます。これは平成13年の社教法改正で対応がなされているところでございますが、その活用の実態が少ないということがございます。
 次の9ページでございますが、上から2行目から3行目、こちらにつきましては、やはり多様な経験を持った社会教育主事の任用を進めるといったことが基本的には望ましいというふうにまとめてございます。
 それから、4番目の論点、社会教育委員についてでございます。
 こちらにつきましては、現行の社会教育法の13条におきまして、社会教育団体に対する補助金を交付する際に、社会教育委員の会議への諮問といったことが規定されてございますが、それの緩和についての議論かと思います。
 最後の○でございますが、この規定自身設けられたといったことは、補助金の配分、使途に慎重を期する目的であるということを十分反映する必要があるのではないかといったこと、あるいは上の○では触れてございますが、社会教育委員というものの重要な役割があるといったこと、それが13条を見直す場合には十分考える必要があるでしょうといったことから、3つ目の○の最後の3行でございますが、社会教育委員の会議への意見聴取を原則としながら、各自治体の多様な実態を踏まえた弾力的な対応が可能になるように引き続き検討してはどうかというようにまとめてございます。
 次に5つ目の社会教育施設についての論点でございます。
 2つ目の○では、公民館の営利事業の禁止規定の見直しというようなことがございますが、こちらは現在、解釈によって対応というものは可能であろうというふうに考えてございまして、公民館がそういった解釈にのっとって積極的に対応するといったことが重要とまとめさせていただきました。
 それから、3つ目の○、社会教育施設に関する評価に関する規定を設けてはどうかといったような指摘でございます。
 こちらにつきましては、現行、既に「公民館の設置及び運営に関する基準」において自己評価が規定されているといったこと、あるいは特に学校については自己評価が法律レベルで義務づけられたといったことから、図書館、博物館を含めて社会教育施設における自己点検・評価制度の在り方について引き続き検討する必要があるというふうにまとめてございます。
 10ページ目でございますが、6番目、家庭教育支援につきましてでございます。
 これらも2つ目の○、小委員会におきまして親に対する学習機会や情報の提供といった家庭教育支援を位置付けてはどうかというようなご指摘をいただきました。平成13年の社会教育法改正である程度対応してございますが、なお一層その重要性というのは高まっているだろうということから、家庭教育の支援といったものを社会教育行政の任務としてより明確にするといったことが考えられるというふうにさせていただいております。
 それから3つ目の○でございますが、公民館においてもっと対応したらどうかということでございますが、こちらも先ほどの望ましい基準において家庭教育支援拠点としての機能の発揮というものが既に規定されているといったことがございますが、より一層家庭教育支援に対する要請を踏まえて、公民館が家庭教育に関する学習機会あるいは学習情報の提供、あるいは親同士の交流機会の提供に関する役割を一層発揮するための方策について検討を行うことが望ましいというふうにまとめてございます。
 7番目、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力についてでございます。
 こちらも地域の教育力の低下に関する指摘といったことからの対応をご議論いただいたかと思います。2つ目の○の後半部分でございますが、地域の人材が持つ知識、経験、学習の成果を活用いたしまして、学校支援に参加する機会を充実するといったことは、やはり社会教育の活性化の観点からも重要であるといった認識のもとに、学校、家庭、地域住民の連携の促進を進めることを社会教育行政の任務として位置付けるといったことが考えられるというふうにまとめてございます。
 3つ目の○でございますが、放課後のプランにつきましても、そういった考え方で地域における社会教育に係る活動の一つとして位置付けることは可能であるとまとめさせていただきました。
 それから、最後の○でございますが、それ以外にも民間人材であるとか、あるいは教育資源の有効活用等々のご指摘をいただきました。やはり社会教育の振興に関する情報の収集、整理、提供といったことを行うこと、それによって社会教育の活性化を図ることの重要性を踏まえまして、そういった情報の収集等を社会教育行政の任務として位置付けるといったことが考えられるというふうにまとめさせていただきました。
 以上が社会教育法関係でございます。
 1枚めくっていただきまして、次に図書館法関係についてでございます。
 まず1点目の(1)図書館法の目的及び図書館奉仕についてでございます。こちらにつきまして、小委員会におきましては、家庭教育支援といった機能、あるいは地域課題の解決支援といったこと、あるいは資料のデジタル化等といった情報通信技術の発展などといった見直しが必要ではないかというようなご指摘をいただきました。
 こういったご指摘につきましては、生涯学習時代の実現に向けて重要なことであるといったことを踏まえて引き続き検討をする必要があるというふうにまとめてございます。
 2番目の論点、大学における司書の養成に関する科目についてでございます。
 こちらは、司書となる資格に関して、大学における図書館に関する科目について省令で定めるといったことについてご議論をいただきました。現行におきましては、司書講習と大学における司書課程と2つございますが、現行では大学で学ぶ場合が約7割というようになっている。そういった現状から、法令上、やはり明記することを否定する必要ないだろうと。したがって、該当の条文を改正することについて引き続き検討する必要があるというふうにまとめさせていただきました。
 3つ目の○、具体的な司書講習あるいは司書養成課程における科目、単位についてでございますが、こちらは省令事項でございますが、引き続き検討する必要があるというふうにしてございます。
 それから、3つ目の論点として、司書補の学歴要件についてでございます。
 13ページ目でございますが、その要件について、現行では高等学校もしくは中等教育学校を卒業した者または高等専門学校第三学年を修了した者とされておりますが、高校卒業程度認定試験の合格者等については含まれていないといったような点等を考えて、こちらにつきましては、次の○でございますが、司書補につきましても、高等学校卒業程度認定試験の合格者も学歴要件を満たせるよう制度改正を行うといったことについて引き続き検討する必要があるというふうにまとめてございます。
 それから、4つ目、司書の研修についてでございます。
 こちらは社会教育主事あるいは公民館につきましては、任命権者以外に文科大臣あるいは都道府県教育委員会がその研修を行うというような規定がございますが、現行の司書、司書補の研修につきましては、いわゆる望ましい基準において研修機会の拡充に関する努力義務が規定されているだけであるといった現状に対して研修をもっと充実したほうがいいのではないかというようなご指摘をいただきました。
 2つ目の○の後ろ2行目でございますが、図書館法に新たに司書及び司書補の研修に関する規定を新設することについて引き続き検討する必要があるというふうにまとめてございます。
 3つ目の○でございますが、なお実際には人材育成に向けた方策というものが必要であるということから、こちらも検討する必要があるというふうにまとめてございます。
 5つ目の論点、図書館の自己点検・評価。
 先ほど公民館について申し上げましたが、図書館につきましても同じように基準におきまして、図書館サービスの計画的実施及び自己評価の規定が設けられてございます。現行では、まだまだ数字は低いわけでございますけれども、図書館法に規定して、その実効性を担保する方策というものは検討する必要があるだろうといったこと。また、図書館につきましては、数は少ないのですけれども、私立の図書館もあるということから、私立図書館もその対象にするかについても引き続きあわせて検討する必要があるというふうにまとめてございます。
 また1ページめくっていただきまして、14ページ、博物館法関係でございます。こちらにつきましては、協力者会議でご報告いただいたものを踏まえて議論がされたといったことでございます。

(1)博物館法の目的等についてでございます。

 こちらの2つ目の○、地域おこし、あるいは文化の伝承といったような観点の重要性のご指摘がございましたが、生涯学習時代の実現に向けて重要であることを踏まえて引き続き検討してはどうかといったようにまとめてございます。

(2)学芸員の資格についてでございます。

 こちらも学芸員の専門性を高めるといったことからの議論をいただいたと思います。学芸員制度の見直しというのは必要であるというようなご指摘もいただいたと思います。
 2つ目の○の後ろから4行目でございますが、学芸員の養成課程、大学において履修すべき科目、単位数については省令事項でございますが、その見直しを実習を含めて引き続き検討する必要があるというふうにまとめてございます。
 3つ目の○でございますが、協力者会議報告では、大学院レベルの専門課程、あるいは学芸員の上級資格についてご指摘があったかと思います。こちらについての議論があったかと思いますが、次の15ページ目でございますが、学芸員の上級資格につきましては、その制度化につきましては、まだ現職研修あるいは大学院の養成課程が十分整備されていないといったようなこと、あるいは現場での混乱を生ずるおそれがあるということから、将来的な課題として引き続き検討する必要があるというふうにまとめてございます。

(3)学芸員の研修についてでございます。

 学芸員と学芸員補の研修につきまして、これは司書と同様でございまして、現行では望ましい基準において研修の機会の拡充に関する努力義務が規定されているのが現状でございます。ただ、その研修の必要性、専門性を高めるといったことの必要性というものはあるだろうということから、3つ目の○でございますが、学芸員あるいは学芸員補の研修に関する規定を新設することについて引き続き検討する必要があるというふうにしてございます。
 4つ目の○でございますが、協力者会議におきましては、大学における学芸員養成課程の履修者に学芸員基礎資格といったものを付与して、それにさらに一定期間の実務経験といったものを学芸員資格の要件に加えてはどうかといったような提言がございました。この点につきましては、やはり大学側における学芸員養成課程履修者のインセンティブあるいは実務経験を行う者の身分の安定等を勘案した場合に、直ちに実現するのは困難というふうに考えてございまして、むしろ現職研修の充実や体系化を図って現場における実践的な研修機会を拡充することによって、その専門性なり資質の向上を図ることが適当であるというふうにまとめてございます。

(4)博物館登録制度についてでございます。

 これは登録博物館の数が全体の2割程度である等々、制度の形骸化というものが大きな課題になっているということから、協力者会議報告におきましても、登録博物館というものを博物館法の中核制度として発展していくために、新たな登録制度といったものを提言しているところでございます。
 1枚めくって16ページ目でございますが、小委員会におきましては、登録制度についての肯定する意見の一方、登録制度はわかりにくい等々、課題を指摘する意見というように両論のご議論があったかと思います。
 2つ目の○でございますが、登録制度の見直しに当たりましては、利用者の要望を十分に考慮する、あるいは自治体や博物館の設置者に過大な事務負担を招かないように配慮することが必要だろうといったこと、その上で報告書におきましては、登録申請主体の限定の見直しであるとか、あるいは審査基準や審査方法の見直しといったこと、あるいは登録博物館の名称独占の付与といったような提言をいただきましたが、そういった点については、現時点におきまして関係者の幅広い合意形成になお時間を要することについて十分踏まえる必要がある。その上で引き続き検討する必要があるというふうにまとめてございます。
 さらに、その際、現行においては、私立の博物館に対して、税制上の優遇措置というものもございますが、それを堅持するということを十分留意すべきであるというふうにまとめてございます。
 それから、3つ目の○として、地方独立行政法人立の博物館についてのご議論もございますが、地方独法が博物館を設置できるようにすることについて引き続き検討する必要があるというふうにまとめてございます。

最後、5点目、その他の論点。

 まず1つ目は、入館料の無料規定についてでございますが、これは現行の規定を、公立博物館の入館料原則無料といった現行の規定を維持することが適当というふうにまとめてございます。
 2つ目の○、博物館の自己定検・評価、こちらは公民館あるいは図書館と同様に、博物館法に規定すること、及びその実効性を担保する方策を検討することが必要とまとめてございます。私立博物館も含めて検討の対象とするかどうかについてもあわせて検討する必要があるというふうにまとめさせていただきました。
以上でございます。

【山本委員長】
 ありがとうございました。
 それでは、これにつきましてご意見をいただきたいと思いますが、最初に説明がありましたように、1枚目の2つ目の○、それの4行目から法令等の制度の改正を視野に入れてというようなところとか、具体的な事業で取り組むというのが2つ目でしょうか。さらには、今あるものをまだ十分に生かしてないから改善を図るべきだというようなことで、そのあたりのところで整理がなされておりますので、もちろん少し幅広くいろいろ書き込んであるというか、ぼやっとしているところもあるかもしれませんが、きょうは大体こういうようなことでよろしいかどうかというところのご意見をいただいて、先の見通しですけれども、また生涯学習分科会のほうにこれを上げていくということになろうかと思います。内容的なことはもうこの前までのご議論で、最初に申し上げたように、分科会のほうは大体よろしいということのようですからいいかなと思いますが。
 それでは、早速ですけれども、2ページからの生涯学習関係ですね。5ページまでございますが、それについて何かご意見、質問等ございますか。ありましたら、どこからでも結構です。少しずつ区切ってお伺いしたいと思いますが、どうぞ。

【山重委員】
 生涯学習のところに関しては、法律でできること、できないことで、特にできないことについては答申等で明らかにしていくということで、その点、大変いいと思うんですけれども、例えば2ページのところで、生涯学習の理念規定というか、概念の整理、明確化というのは、これは非常に重要な問題だと思うんですね。特に新しい社会的な動きがあり、また家庭教育の支援といったこともあることを考えると、ここを非常に明確にしておくことが大事で、これを、真ん中あたりにありますが、答申等において明らかにすることが望ましいという形で書いてあるんですけれども、これはどなたがこれをやることになるんでしょうか。具体的に明確にするという作業が必要になってくるわけですよね。それを明確にした上で答申に載せてもらうということですので、それを明確にするという検討を行わなきゃいけないと思うんですが、それは今後どんな形で進められるんでしょうか。

【山本委員長】
 先に私のほうから、後で事務局のほうで。
 今までもこれは繰り返し、繰り返し出てきた問題なので、これまでの答申の中に結構入っているのがあるんですね。ですから、それを整理して、整理した上で生涯学習分科会のほうでそれについてさらにあれこれあればまとめていただく。答申類の場合には、大概事務局でやってくださいますが、その答申は大体大臣に答申するんですけれども、今はこういう時代ですので、国民全体にご理解いただくというので、普及のところといいますか、内容をPRするというのも変ですけれども、それを見ていただくところもかなり力を入れてくださっております。ですから、その両面がありますが、私どもは先ほど申し上げたようなふうに見ていますけれども、事務局のほうで何か補足がございましたら……。

【上月生涯学習推進課長】
 今、委員長がおっしゃったような方向で検討していきたいと思っております。

【山重委員】
 いろいろな案がこれまで答申の中に出てきているわけですね。明確化するというのは、それを一つにまとめるということだと私は思っているんですけれども、そうでなければ、今までと同じことが続くわけですね。ですから、その一つにまとめるという作業がどのような形で行われることになるのか、答申に具体的にどういう形で一つにまとめるという作業を行うのかが明確でないと、具体的に答申に期待されていることができないのではないかという危惧があって、それをどんな手続で進めていかれるのかということですが。

【山本委員長】
 それは生涯学習分科会のほうで検討してまとめて、パブコメと言っていますけれども、一般にも見ていただくということになってご意見をいただくと思いますが。
 生涯学習分科会ですので、これの親のほうでございまして、各方面から来ている。さらにそれを経て、中教審の総会もございますから、そこでもまたご意見が出たりすることになると思いますが、ただ、そこだけではなくて、絶えず、今までもそうですけれども、一般のご意見をいただいたりしていますので、それで整理するとか、直すとか、そういうことがあります。
 ただ、今までの感じですと、ここにも出ているんですけれども、生涯学習の概念については定義しないという線は大体出てきているんですね。国民それぞれがそれを持つべきもので、国がそんなことを、生涯学習はこうだというようなことを言うべきではないというのは、平成2年の国会答弁でもあったんですけれども、その後はどういうことになっているかといいますと、生涯学習社会をつくっていくというところあたりに理念を求めるべきだと。生涯学習の理念というのは何だといったら、生涯学習社会を実現していくというところにあるのではないかということで、平成15年のときの教育基本法の答申の中で大体そのような線が出てきています。それまでさんざん議論があったんですけれども、それがある意味で言うとまとめみたいになっているところがあるんですね。それでここの法律になっていますから、今みたいなところで整理してもらいますと、一本にまとまっていることはまとまっているとは思うんです。

【山重委員】
 わかりました。もしそういうほうに一本にまとまるということがあれば、それをベースに議論していくということは了解しました。
 もう一点は、全く同じ視点なんですけれども、3ページ目の真ん中より上の(3)が始まるところの前ですけれども、具体的に振興行政というのがどのような形で行われるのかについては、現場でこういうやり方でやればいいんだということのイメージがないと、なかなか法律とか解説書を読んでもわからないと思うので、この点についてはより具体的に、例示ということで全く構わないと思うんですけれども、何か絵みたいな形で具体的な一つの事例としてビジョンを示すというような理解をしているんですけれども、そういうものが今度の答申で出せるように努力するということでよろしいんでしょうか。

【山本委員長】
 これは皆さんご意見がいろいろあると思いますのでご意見を聞いたほうがいいと思いますが、どうですか。現場でまさにご苦労してきた委員がたくさんいますので、二、三ご意見をいただいたほうがいいかもしれません。どうでしょうか。

【高橋(興)委員】
 私もこの点の記述は大変大事だと思っているのですけれども、ただ、具体的に、例示的にできるかどうかということについても、これは事務局としてはなかなか大変なのではないかというふうにも思うんです。
 ただ、私が危機感を持っているのは、実は従来生涯学習何でもありというふうなことで市町村によってはやってきたところがあります。そういうところほど、実は社会教育課が生涯学習課になり、今行政改革が進む中で、首長部局のほうに生涯学習課が名称を変えて移転し、そこでは社会教育担当の職員もはがれるというふうな形で実質的に空洞化しています。これは例えば近畿のある市の例なんですけれども、ことしの4月からそういうふうな形で首長部局に生涯学習課が行き、社会教育の担当課がなくなり、教育委員会には学校教育担当セクションしか残らないというふうな形で進んでいる市もあるわけです。この傾向は市町村行政の流れからすると、今後かなり進行していくのではないかという危機感を持っているんです。
 そういった意味で例示するという指摘は賛成ですけれども、実際にはなかなか難しいのかなという感覚を持っています。

【山本委員長】
 この3ページの上から2つ目の○でしょうか、最後のところに「答申等において例示的な在り方を示すことにより、分かりやすく整理する」ということでさっき出てきていると思うんですけれども、これはほんとうに今流動的ですので、「答申等において」となっていますから、いろんな形でその辺のところは絶えず情勢を分析して出していくということにせざるを得ないだろうと思うんです。一つだけでピシッと決めてしまうというのはちょっと無理かなと思いますが。

【山重委員】
 基本的に今回いただいた資料に関して、私は引き続き検討するというのが多過ぎると思っておりまして、結局、先送りしているだけなわけですね。それでは今この大事な時期に、社会教育、それから生涯学習の振興といった大事な目標というのが達成できないと思っているんです。その意味で、引き続き検討せざるを得ないものも確かにあると思うんですけれども、検討できるものは今検討して、答申の中に入れるということが非常に重要な時期ではないかというふうに思っているんです。
 そういう意味で、例示に関しても難しいですから、今後というようなスタンスでは現場は、整理されている自治体はたくさんあると思うんですけれども、そこにマイナスの影響を与えないような形で、整理できていないようなところに一つのビジョンを示してあげるというぐらいの意味でいいと思うんですけれども、こういうふうに考えればいいんだということがわかるようなものを、少しでも増やしていかないと答申の意味というのはきっとないと思うんです。
 そういう意味で、私たちが引き続き検討するということをできるだけ少なくして、今やるべきことはどれか。それから、この委員会あるいは分科会のほうで具体的に検討し答申できることは何かというのを明確にする必要があるのではないかという強い印象がありますので、その点もちょっとご配慮いただければと思います。

【山本委員長】
 ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思いますが、ただ、この小委員会というのは、法改正をめぐって構成されていますので、この小委員会の範囲内ではちょっと狭過ぎるかなということもたくさんありますから、そこら辺のところは引き続き検討するで、分科会のほうは広くいろんな方が来ておりますので、そちらのほうで今のようなところについて、今後さらに検討してもらうというところもあると思うんです。それは中身を整理して、我々のほうは、今言っておかなくちゃいけないということを言っておいて、そういうところはきちんと出すべきだというのはそれで上げていきますからいいと思うんですけれども、それ以外、ちょっとこれは手が出ないぞということもあることはあるんですね。そういうたぐいのところは、分科会のほうで処理していただくというふうにしたらどうかなと思っているんですが。

【山重委員】
 一点確認させていただきたいのですが、制度問題小委員会の役割ですけれども、これは先ほど来あったように法律で書ける制度の問題と、法律では書けないけれども、書かないほうがいいかもしれないけれども、やっぱり制度の問題として具体的に、例えば市町村と都道府県の関係、それから社会教育と生涯学習振興課の関係みたいなもの、それから、教育委員会と首長部局との関係、そういった制度の問題だと思うので、その関係についても整理しておくということがこの制度問題の委員会の役割と思っていたんですけれども、むしろ法律というところに限定して考えたほうがいいんでしょうか。

【山本委員長】
 いえいえ、それはおっしゃるとおりで、最初に申し上げたように、それをめぐって実例とか実践とかいろいろなのがあるから、それを全部ご意見をいただきたいというのでいただいておりますから、それはおっしゃるとおりでいいと思います。それを先ほど頭のところで、テクニカルな意味で言えば3つぐらいに今のところ整理しているというだけでございますので、引き続きの検討というところが多過ぎるというのは、もしご意見があれば、ここのところはこういうふうにしておいたらというので分科会のほうに上げていくというので構わないと思いますので、どうぞご意見をいただければと思います。例えば例示的なところはもうちょっと明確にすべきだというようなご意見があれば、今我々のほうの委員会でそれを延々と検討することはちょっと無理なんですけれども、そこをどんどん上げておくということは必要だと思います。

【山重委員】
 危惧されるのは、結局私たちも先送りして小委員会に投げてしまうだけに終わるのではないかということで、小委員会も、これは本来この制度問題委員会で検討してもらうはずのものではないかというスタンスで、また何か新たに出された課題について検討するということが出てこないんじゃないかというのが危惧されるところで、すべてが先送りになってしまって、せっかくここで議論したいい意見が引き続き検討するで終わって、何ら制度改革につながらないということが大変残念だなと思っているんですけれども、その危惧についてはどのように……。

【山本委員長】
 私の率直な感想で言いますと、今は審議会も委員の方々はいろんな方面から出てきておられて、いろんなご意見をくださるので、今のような、例えば山重委員がおっしゃったようなことが上に上がっていけば、それにピンと反応する委員の方もいて、受けてくださるので大丈夫だと思います。もし受けてくださらないようでしたら、私のほうで申し上げます。こういう意見が出ているので、何とか見てください、検討してくださいというようにつないでいきたいと思っています。ですから、どうぞ遠慮なく出してください。

【土江委員】
 2ページの生涯学習の概念の整理、明確化については、生涯学習行政の推進を図る上で、目的や意義等をより明確に整理すると、これは大変結構だと思うんです。それで、先ほどとの関連もありますけれども、私どもが行政、とりわけ教育行政を進めていく上では、生涯学習と学校教育、社会教育、家庭教育、この意義づけ、定義というのはやはりきちっとしておかないといけない。特に私ども教育行政と一般行政との協働を図っていくためにも必要なことかなと。また、家庭、学校、地域との協働という面でも明確化が必要と。そのためにもはっきりとこの社会教育が生涯学習の中核をなすということだけはきちっと明確にしておくことが大切なのかなというふうに思います。
 それと、あと一般行政と教育行政との中では、協働する部分というのは社会の要請あるいは現代的な課題に対して取り組んでいく場合に協働していくというのは非常に重要でありまして、私ども、今整理しているのは、基本的には真に社会教育が教育を目的とするということもこの前の委員会でも出ていたんですけれども、やはり人間形成とか人材育成の視点、こうした学習を主としていく場合と、それからいわゆる学習そのものを目的としている、学習したいから学習していくといった一般的な目的型の学習と区別をして私どもはとらえているところです。
 以上です。

【山本委員長】
 それでは、今のご意見ですと、教育とか学習のことは出ていますから、6ページの2.社会教育関係、その中の1が社会教育法関係でございますので、そこまで含めてご議論いただければと思います。具体的には6ページから11ページまで、その次が図書館法、博物館法になりますので、ここまでのところで、今のようなことに絡んでご意見をいただければと思います。

【鈴木委員】
 具体的なことではなくて総括的なんですが、先ほどの例示的云々のところとも関連するのですが、どういう例示をしたらどういうふうになっていくかというのがやっぱり重要なことになるわけですね。今までの理念から逸脱したような新しい形のものを例示したら、そちらのほうにどうもなびくというようなことだってあるかもしれない。そこのところをやっぱり継続的にきちんとした形での例示ができるような仕組みをつくっていくこと、例えば今のことで言えば、特定のところに応援するような感じですが、国社研などできちんとした形で継続的にきちんと考えていくような仕組みをつくっていくこと、そんなことが重要ではないかというふうにも思うんですけれども、一言申し上げました。

【山本委員長】
 ありがとうございます。確かに例示のところというのは、お2人からも意見が出ていますが、それに引っ張られますから非常に大事なので、今まででもそういうところは議論がかなりありまして、きょうは私が申し上げて申しわけないんですけれども、例えば平成2年の中教審の答申のときに生涯学習の範囲というのを例示するということで、学校教育の中の学習もそうだし、社会教育もそうだと。それから、スポーツ・レクリエーションもそうだしというようなことで、ボランティアまで入れる。実を言いますと、これは大変な議論をしているんですね。
 どういうことかとういと、文化活動も生涯学習だと臨教審が言ったら、文化庁はそれはノーだ、違うと。文化活動、例えばプロの落語家のやる落語は、これは学習ですかという話になりまして、やりとりをものすごくやったんですね。それで文化活動の中でも学習はあるじゃないかといって了承されたんです。それはファジー概念なんですけれども、最初はそんな中に娯楽が入っていたんですよ。でも、そのときは中教審のほうは娯楽は例示から落とそうと。別に悪いということではないんですよ、国民娯楽というのもありますから。でも、それを入れていったらば、変に使われることもある。例えばパチンコをやっていてすった、これは技術を習得しているんだからお金を出せと教育委員会に言われたら困るとか、変な話ですけれども、そういうようなこともあったりして、娯楽は例示から落としたんですね。後から文化庁から娯楽も入れておいてくれればよかったのにと言われたこともあったんですけれども。ですから、例示というのは鈴木委員がおっしゃるように非常に大事なので、それは絶えず事務局としてもその例示を集めて分析してもらうところをやっていただく必要があると思います。

【高橋(守)委員】
 確かに例示というのは一つの概念に直結する怖さがあるので、例示そのものが十分検討される必要があると思うのですが、例示の前に今大事だなと感じますのは、先ほど委員長がおっしゃった部分で、これまでの生涯学習というものの経緯といいますか、生涯学習というのは、国民がつくり出したり、見出したりしていく、時代の流れと密接に絡んでいるわけです。当時、落語は娯楽だったかもしれないけれども、人によっては重要な学びとなっていく場合が十分あり得る。その辺が生涯学習のすごさであり、ファジーなところだろうと思うのです。
 したがって、それはやっぱり先ほど委員長がおっしゃったとおり、しっかりと押さえていく必要がある。つまり、国民が見出し、つくり出していくのが生涯学習で、社会教育はもうちょっと違う要素があるのだというところをしっかり押さえた上での例示という必要があるのではないかと考えます。

【山本委員長】
 そうですね。ありがとうございます。

【菊川副委員長】
 生涯学習のところは、現場サイドで言うと、社会教育とセットで提示していただくと、具体的にわかりやすい。生涯学習の多少ファジーな部分を社会教育をはっきり打ち出すことで逆にわかってくるというところもあるのではないかというふうに思っております。そういった意味で、6ページの社会教育の理念がたくさん書かれてあって、特に2つ目の○で基本法の3条に絡んで書いていただいていることは非常に大切だというふうに思っております。
 ただ、四つ五つ挙がっていて、一つ疑問は、後の家庭教育とか地域との連携のところにも、それが社会教育行政であるという書かれ方がそれぞれのところに書かれていると思うのです。ですから、それぞれのところに書くのがいいのか、それとも総論のところにも触れたほうがいいのかというのが、一つ論点としてあるのかなというふうに思います。
 また、社会教育主事の専門性についてですが、社会教育も図書館も博物館もそうだと思うのですが、それぞれの理念は何かということが、その理念を担うべき人の仕事の中核のところに直結してくると思うのです。ですから、そういった意味で、この社会教育主事の仕事の例示の中に、地域、家庭のコーディネートですとか、いろいろ書いてあるんですけれども、ここの社会教育の理念と社会教育主事の中核的な仕事のイメージというのをある程度接続していくことが大事なのではなかろうかというふうに思います。
 そういった意味で、例えば社会教育主事の主たる任務の中に、例えば生涯学習の学習活動の支援ですとか、あるいは家庭教育の支援ですとか、あるいは地域・家庭連携の支援ですとか、入っていると思いますけれども、そこを縦に見ていただくといいのではないかというふうに思っているところでございます。
 それから、社会教育主事の職務として、8ページの3つ目の○ですが、社会教育主事の職務として、企画・立案に関する事務を位置付けるけれども、これは本来行政職員みんなが持っているのじゃないかとか、あるいはいろいろここは論点のあるところだと思うのです。ただ、確かに行政職員はすべて企画・立案しながら職務を遂行するという意味では、社会教育主事も普通の職員もそこは同じなんですけれども、そこの社会教育主事に固有の企画・立案業務とは何かというのを明示できると、あるいはそういうところを明示することが、今求められているのではないか。わかりませんけれども、例えば学習活動支援とか、学習の活用とか、あるいは学習活動に関する調整とか、そこを明示できれば、例えば社会教育主事を知事部局で活用しようとか、あるいは民間からも活用しようとかいうときの具体のイメージがはっきりしてくるのではなかろうかというふうに思っているところです。
 最後に質問なんですけれども、社会教育の所管のところで、7ページの(2)の最後の3つ目の○のところで、「原則として教育委員会が所管することが適当である」という言葉がありますけれども、原則外とはどういうことを想定したらいいのかということを教えていただきたいと思っているところでございます。

【山本委員長】
 質問のほうだけ先に事務局のほうで何かございましたらお願いします。

【平林社会教育課長】
 こちらは社会教育法のご議論をしていただいた際にお示ししたかと思いますけれども、いろんな特区関係とか、社会教育の所管について検討してはどうかというようなご指摘がありましたので、それをいろいろ議論していただいたと思いますけれども、一応会議の考え方をまとめた場合に、こういった原則としてという、積極的に移したほうがいいという議論はなかったと思うんですけれども、およそだめだという感じでもなかったかなと思って、その意味では現行において、最後3行で書かせていただきましたけれども、特区制度で学校施設の整備について教育委員会から首長部局でできるようにしたというような制度も入りましたので、そういったことも実は考える必要があるのではないか。この辺というのは、実は論点であまり議論されなかった。こちらからもあまりお示ししなかったということもございましたけれども、そういう議論も一応含みとして考えていただいたほうがいいのではないかという意味でお示ししたものでございます。

【山本委員長】
 特区ってすごい厄介ですね。きのうも品川の例を聞いたんですが、非常に厄介で、今どこも大変な状況になっているみたいです。それらも含めて原則としてというようなことだと。

【山重委員】
 やっぱり例示のところにこだわって恐縮なんですが、基本的に鈴木先生がおっしゃられたように答申の形でなくても違う形でモデルケースみたいなものを紹介していくというのは非常にいい案だと思うんですけれども、その一方で、コンセンサスが得られるものに関しては、やっぱり例示の形でもいいので具体化したほうがいいのではないかと思います。
 私が考えているのは、定義というのは確かにいろんな方がいろんな考え方を持っているので難しいと思うんですけれども、私が一番気にしているのは、そのビジョン、ゴールはあるんだけれども、それをどうやって実現していくかというマネジメントのところが混乱しているのではないかと思うんですね。どこで、だれが、どういうやり方でやっていくのかという仕組みが一つのアイデアとして見られるようなものというのがあるといいなと思います。それは一つでなくても、2つでも3つでもいいと思うんですけれども、こんなやり方でうまくやっているというのが、マネジメントのところというのはそんなに概念規定ではないですから、そんなに大きく影響を受ける議論になるようなことではない。ただ、先ほど高橋委員がおっしゃったように一つの概念規定にもなりますので、そこはほんとうに慎重にやらなければならないと思うんですが、その一方で、こんなふうにやっているところもあるぐらいの形の例示であれば、参考にしてもらえるところもたくさんあるのかなというふうに思っているんですね。それをどういう形で出すのがいいのかわからないんですけれども、少なくともここでというか、分科会も含めて一度たたき台みたいなものを出していただいて、それを見ながら、これはやっぱり出せないねみたいなことがあってもいいと思うので、少なくとも検討してみるというところまで少し踏み込んでいただけるとありがたいなというのが一つあります。
 特に、私が懸念するのは、家庭教育の支援のところに関して、これは全く新しいものですので、10ページですか、方向性として今後こういう方向で進めるのがいいということで明確にはしてあるんですけれども、具体的にそれこそこれは教育委員会がかかわることなのか、それとも首長部局でやるべきことなのかというところも全く見えないので、どうしていいかわからない自治体がたくさん出てくると思うんです。そういう意味も含めて、一つの例示ということでも、何かたたき台みたいなもので構わないので、ちょっとお示しいただけるとありがたいなというのが一つです。
 もう一つ、菊川委員がおっしゃられたことは私も賛成で、項目ごとに分かれてきょう整理していただいたんですが、やっぱり全体として表裏一体で進めるべきことがあると思うので、その部分については総論みたいなところでまとめていただく。特にその総論のところでは、この小委員会で明確になったことを中心にたたき台として出していただいて、引き続き検討が要すると思われることについては項目ごとに今回のような形で整理していただく。そうすることによってここの委員会の成果といいますか、何がここで議論されて、具体的にどこまでいくのがいいという判断がここの委員会で行われたというのが見えてくると思うので、そのような形で総論のところを、特に一体的にということも強調させていただきながらつくっていただけるといいなというふうに思いました。

【山本委員長】
 わかりました。ありがとうございます。
 今の2番目の点は確かに教育基本法は並列的に並んでいるだけですから、ここでようやく、今お話にあったところの構造的なところが明らかになっていますので、それはテクニカルなところもあるかもしれませんけれども、論理構成をしっかりするということですね。わかりました。

【興梠委員】
 全体としてやはり社会教育のアイデンティティーを明確にした上で生涯学習の理念を述べていくという観点が一番大事なことで、現状からすると、社会教育のアイデンティティーがどうも不堪しているというか、そういうようなところがあって、そこにまた生涯学習の問題点もあるのではないかと思っているんですが、その上で6ページからのところなんですが、成果を適切に生かすことができる社会の実現ということで、公共性の涵養、社会の形成に参画する人材の育成というところから、主体的な社会参画を促すための環境を整備することは社会教育の役割であるとの指摘がなされたということで、これを強調してくださっていることは、これこそ新しいし、いい指摘だというふうに思っているんですが、このニュアンスを社会教育主事の役割のところにももう少し濃く出すということができないものでしょうかということなんですが、これは当然ここに書かれれば、社会教育主事の役割の中に入ってくるということになるのかもしれないですが、しかし、そこをもう少しはっきり打ち出すということでなければ、社会教育主事そのものの役割や仕事に反映されていかないところがあるので、そこを考慮すべきではないかというふうに思います。
 2つ目なんですけれども、6ページの一番下の青少年教育施設を社会教育法の中に位置付けるべきであるという発言を私は行ったわけですが、この6ページの一番下の○のところの読み方としては、これは法律の中に青少年教育施設という言葉を位置付けることは難しいけれども、今後の答申等でむしろ青少年教育振興の重要性という観点から提案されていけばいいのだというふうに読めばいいんでしょうか。そこの読み方をちょっとお伺いしたいというところです。
 もう一点ですけれども、9ページの一番上なんですけれども、社会教育主事のところで、NPO等が実施する社会教育に関する事業における業務の経験等について積極的に評価するなど、多様な経験を持った社会教育主事の任用を進めることが望ましいというところなんですが、ここの読み方なんですが、いわゆるNPO等での経験というものを重要視し、主事の任用の中にということなのか、例えばNPOの経験を持つ者を現行の制度でも社会教育主事の研修を受け、そうなることができるということになるので、さらにそれを促進するという意味なのか、ちょっとそのあたりの読み方について教えていただければと思います。

【平林社会教育課長】
 まず青少年教育施設についてでございますが、こちらはおっしゃるとおり法律改正という観点で見た場合にはなかなか難しいのではないかということから、その重要性についてはその答申等なり示すという方策をとっていただいたほうがいいのではないかというふうにまとめたものでございます。
 それから、社会教育主事のNPO資格についてでございますが、こちらも現行法でこういったNPO等の経験というものを活用する道が開かれているというふうに考えてございまして、もちろん細部では告示レベルであれば、もしかしたらいろいろ対応する部分があるのかもしれませんけれども、法律レベルというよりは、そういったレベルで考える必要があるのではないかというふうに整理したものでございます。

【山重委員】
 細かい点で恐縮ですけれども、8ページの下から3番目の○のところで、2行目ですけれども、社会教育士あるいは地域教育士という形で、私が出させていただいたペーパーをもとに言及していただいたと思うんで、ありがたいのですが、その後に「しかし、現状でも、例えば」等々という形で、結局こんなのは全国一律に新設しなくてもいいんじゃないですかと極めて否定的な意見が出されていて、そういう議論があったのかどうかについて、私はこの場ではなかったというふうに思っていまして、その一方で、このような形で極めて否定的な形でこれがまとめられているというのに関しては、個人的にはこれを押し出そうという気持ちは特にないんですけれども、なぜここまで否定的な形で書かれているのかに関してやや疑問があるので、この点に関して、むしろ可能性として今後引き続き検討するということであればありがたいと思っているんですけれども、ここまでこれは考えなくてもいいのではないかというスタンスで書かれるのはやや心外なので、少しこの点について、もし差し支えなければ、このような結論に至った経緯等について教えていただければありがたいと思います。

【平林社会教育課長】
 申しわけございません。決して他意があったわけではないんですけれども、いただいたご意見を、ここは制度小委員会ということですので、基本的に法律改正というのを第一の念頭に置いてどういうふうに考えるのかといったことを一応事務局サイドで事務的に今のところ整理させていただいた。もちろん今後も、あるいは法制局等々いろいろな調整は必要なんですけれども、現時点での考え方等を一応整理させていただいたものでございまして、申しわけございません。その先をどういうふうにやっていこうというところまでは、実はおっしゃるようにあまり議論も出てなかったということもございまして、現時点でのかなりテクニカルな部分で整理をさせていただいたというものでございまして、これを踏まえて、またさらにご意見があれば、それを反映するということは考えるべきかと思います。

【山重委員】
 例えばですけれども、私の意見としては、社会教育主事というのができるじゃないか、別に新設しなくてもいいじゃないかという議論に対してはかなり懐疑的でして、予算措置を考えたときに、社会教育主事という人たちがほんとうにコーディネーターとしてたくさん必要と思われる仕事をできるのかというと、おそらく無理ではないかと思っていますし、全国一律でこういう資格を設けることによって、その仕組みが広がるという大きなメリットがあるというふうに思うんです。社会福祉のほうではそういう形、あるいは介護の現場ではそういう形で資格に対する認知があり、それが雑誌のサービス提供に大きな影響を与えているわけですから、それは個人的には必要だと思っていますし、将来的で構わないんですけれども、そういう制度ができるといいなというふうに思っているので、この文面に対しては、私は基本的に反論がたくさんあるので、もし差し支えなければ、全くそれに対してご賛同いただけなければしようがないんですけれども、もしそういうこともあるかなというふうにご判断いただければ、例えば引き続き検討する、検討を要するという形であまり否定的にここで拒絶しないでいただければいいなというふうに思います。

【山本委員長】
 わかりました。工夫してそういう趣旨を生かすようにというので修正したいと思います。ただ、今までの経験ですと、国家資格はまずできません。平成2年のときに生涯学習専門士をつくろうというので、箱ものから全部用意したんですけれども、全部ノーなんですね。今回もそうだと思いますが、規制緩和のそういう系列からすると、新しい国家資格はまずできませんので、それ以外のうまい方法を考えればいいということになると思うんですね。

【土江委員】
 社会教育の目的のところ、6ページの下、先ほどありました青少年教育施設を社会教育法の中に位置付けということで、これも私もぜひともこの社会教育上、青少年施設を明記していただきたいということで、先ほどこの法律改正はなかなか難しいということでございました。そこで、社会教育の目的、目標の中に、私は学校教育支援という視点が今後非常に大きいのではないのかなというふうに考えております。その中で、今学校教育法でのある改正、それから教育課程でも審議になっています「生きる力」というものを社会教育の中でどうはぐくんでいくのか、社会教育がどう支援していくのかといったときに、この青少年の施設というのは非常に大きいんですね。
 具体的に、今我々が直面している問題の中で、不登校という問題があるわけなんですけれども、これは学校だけで解決できる問題ではありませんで、今、各学校、特に合併したら非常に広域的になって幾つもの小学校から一つの中学校ということで、いわゆる中一プロブレム、中一ギャップというものが出てきていまして、そこに対して各学校が今、交流学習とか、そういうことをやっているわけなんですけれども、そういったところで、今まで以上に青少年の施設というのが活用されているというふうなことで、財政的な理由等があって、閉館とか、閉ざすというようなことがありますけれども、こうした法的な裏づけがあれば、私どもとしても非常に安心なのかなというふうな思いはあるところです。
 以上です。

【井上委員】
 この社会教育法関係で、特に社会教育の役割ということに、国民に対する社会的活動への参加の機会の提供を行うということで明示されていると思いますが、社会教育行政の任務ですね、そのようなことで、それをまた地域づくり、人づくりにつなげていくのが社会教育主事ということで、さまざまな役割が期待されているということでいろいろ挙げられていて、その点ではありがたいと思っております。その中で、これをできるだけ多く法の中で位置付けてもらえればありがたいのかなというふうに考えております。
 それと、ちょっと気になるのは9ページなのですけれども、社会教育委員についてです。規制緩和の方向ということで、これは仕方ない方向なのかなと思うのですが、補助金規定でどうにか社会教育委員を置いているというところも多いと思うのですけれども、この13条の規定が見直された場合にどうなるのかということをいろいろ考えたりするのですけれども、その場合、市町村は一本化するのではないか、生涯審と社教委員を一本化するための規制緩和ではないかと捉えられる可能性もあると危惧しております。その場合に社会教育委員として残るのか、また生涯学習審議会として残るのか、私はどちらかわからないのですけれども、もちろん任務が違うので両方あるのが前提でございますけれども、その場合に、補助金規定で縛っておくというのは、逆に言うと、そういう在り方ではいけないと思うので、社会教育委員の職務、これをきちんと、もう少し拡大したりとか、ほかの重要な役割を担うというところを位置付けるというようなことを行った上で、この13条の見直しというのを慎重に行っていただければありがたいのかなというふうに考えております。
 以上でございます。

【高橋(守)委員】
 2点お願いします。時間もないので、ちょっと早口になるかもしれません。
 1点は、先ほど菊川副委員長がおっしゃったことと重なるんですが、社会教育主事の職務について、こういうふうに読んでしまいますと、コーディネートと企画・立案だけが文言として強く出てきてしまうところがあって、先ほどの話のとおり企画・立案というのは多分レベルとか質によっていろんな側面があるのではないか。ほんとうにきょうあしたの授業の企画・立案もあると思いますし、大きな枠組みとか構造的なものとか、組織を動かす面での仕掛け人というか、仕組みづくりの立場からの企画力もあるので、その辺が、その2つの○のいずれかの中でとらえられるような書きぶりもあるのかな、それを期待したいというのが1点であります。
 それから、地方分権が進んで、実は正直言いますと、中山間地を多く持つ地域の公民館というのは非常に弱体化してきているというのが、私の率直な感想です。特に具体的に申し上げますと、公民館が中央集権的になっていくという、これはやむを得ない運命を持っているんですけれども、今までほんとうに身近なところで活動できた公民館から専門職員がもがれるとか、あるいはかぎ預かり人が中心になってそこを仕切るようになっていくとか、当然新しくできた市はいろんな予算削減の中でそういうふうな公民館の全体を見直していくという動きがありますが、全国の傾向までは申し上げませんが、私の見る限りでは、非常に中山間地が弱くなっていく流れがある。その辺は、今まで何かにつけて申し上げたつもりもあったんですが、今改めて申し上げて、生かせるところがあれば、家庭教育の中に公民館があったりしますので、そんなところでもいいんですが、何とか盛り込んでいただければありがたいです。

【興梠委員】
 一言、しつこいようですけれども、先ほど私がお伺いしたところの青少年教育施設なんですが、このままほうっておくとなくなってしまいます。ですから、とにかくある面で将来の青少年教育ということを見越した上で、国は法律の中にきちんと明示をしておくということは絶対必要だと思いますので、ご検討いただければと思います。

【山本委員長】
 わかりました。
 施設の話がどんどん出てきたので、あわせて12ページから図書館関係、14ページから博物館関係が出ておりますので、終わりの16ページまで広げて、図書館、博物館についてもご意見をいただきたいと思います。

【菊川副委員長】
 12ページの図書館法の目的及び図書館奉仕のところですけれども、実は昨日九州地区の館長会議に出ていて、やはり図書館法改正の話がありました。その中で、館長さん方が、片や行政改革がある中で、図書館というのをどういうふうに維持していこうか、皆さん苦慮しておられます。その中で望ましい基準ですとか、あるいはこれからの図書館像、このあたりのところの書きぶりを図書館法の目的に入れていただきたいというご要望でございました。
 そういった観点から、この2つ目の○を見ますときに、家庭教育と図書館奉仕に関して、地域の課題解決支援、あるいはデジタル化の問題は、望ましい図書館像との整合性で言いますと逆のほうが、先に課題解決支援、それからデジタル化に対応、あわせて家庭教育支援という表現のほうがいいのではないかというのが1点です。
 それから、司書の問題でございます。今、市町村は、指定管理者とか、あるいは委託がどんどん進んでおりまして、経営者の館長さんも非常勤、それから軒並み司書さんが若い非常勤という図書館が増えております。県立はまだそこまではないのですけれども、市町村立は増えております。そういう中で、ほんとうに図書館を担っていく中核的な司書というのが、県立レベルでも弱体化しているように思います。
 ですから、このまま10年こういう状況が続くと、ひょっとしたち、当初の望ましい図書館とは違う、無料貸本屋さんになる可能性が一方でありますので、司書の養成とか研修とか位置付けとかの部分について、中核的な正規職員としての司書を育てるための法的な、あるいは制度的な支援が何かお願いできないかなと思っております。今のところは、まだ市町村の非常勤の館長さんはOBなどがなっているから、非常勤の若い人でも回っているんですね。ところが、その方々も引っ張りだこで、70近くになっていても働いているというような状況がうちの県ではあります。そのくらい人がいない。だから、そういう中核になる司書さんというのを今後どういうふうに育てるかというのは、大きな課題だと思っております。

【水嶋委員】
 先週新潟県の長岡で全国博物館大会というのがございまして、博物館関係者が集まって「新しい時代における博物館の在り方」についてシンポジウムを開催しました。その席上、文科省のほうから「これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議」の報告書を全員に配りまして、それに基づいた議論をしたところでございます。
 そこで、博物館の定義に関してはこれだけ世の中が進展しているので、地域おこし、あるいは文化の継承という観点はもちろんですけれども、「町まるごと博物館」やエコミュージアムなども地域の学習資源になるんだということで異論はありませんでした。積極的な賛成というほどでもないんですけれども、考え方が変わってきたんでしょうか、「博物館概念の拡大」ということも私は印象として持った次第でございます。
 もう一点、14ページの学芸員の資格の部分ですけれども、現在、学芸員養成課程についてワーキンググループで検討しているわけですが、省令事項になっているというふうにここに書いてありますけれども、単位数を増やすことについては、図書館司書の養成等も見比べながら、非常に少ないという指摘がありました。けれども、大学側、それから学芸員の現場の現職者と意見交換すると、単位を増やすということについてもう少し基礎力を充実させてほしいというようなかなり強い意見がありました。即戦力養成なのか、基礎力を強化するのかというような議論をしていただいたわけですけれども、大学の役割、あるいはこれからの制度設計を考えていく上で、人材養成について、大学では基礎力を徹底的にやってほしいという意見が出ました。
 その一方、現在、大学院における養成課程が十分整備されていないという現状もあるので、この辺は今後の課題だと思いますけれども、15ページの上から5行目に、将来的な課題として引き続き検討する必要があると書いてありますが、確かにこのとおりで、大学院あるいは現職者の再研修ということも必要だというふうに私も認識を新たにしたところでございます。
 それから上級資格についての指摘がありますけれども、これはワーキンググループ、あるいは全国博物館大会で議論しておりますと、まず学部レベルの養成をきちんと考えるということが指摘されています。大学院レベルがなく、いきなり上級に行っているのは、階段でいいますと、学部、大学院、上級、現職者再教育というふうな階段があるんですが、何か2つの階段を一気に上ったような感じで、上級学芸員についてはさまざまな意見がありました。
 具体的に言いますと、将来的な課題としてというのは、だれが、どのような形で認定していくのかというようなことが合意形成されていないというのが現状でございます。もう少し議論していくんだろうなと思います。
 それから、最後のページ、16ページに評価ということが書いてありますが、これは既に博物館の設置運営に関する基準の中に努力義務規定ということがうたわれておりますが、平成15年から数えても五、六年経って、ようやく博物館関係者の中で自己評価というのは、やっていくべきもので、自己改善していくものだという意識が芽生えてきたという印象を持ったわけです。その意味では、15ページの(3)学芸員の研修の努力義務とか、それから16ページの最後のところについても自己評価の規定というのももう少し積極的に打ち出す必要があるのではないかというふうに考えた次第でございます。
 山重委員のおっしゃるように、今やらなければどうなるんだというふうなことも踏まえて、もう少し積極的に前に出していっていただければと思います。
 以上でございます。

【山重委員】
 総論のところで山本先生がおっしゃっていたこれからの社会教育、それから生涯学習振興に係るネットワークの重要性というのはほんとうにそうだなと、この委員会に参加させていただいて強く思っていますので、これがこの中に全く入ってないのが大変残念に思っているんですね。そういう意味で、先ほど申し上げた総論のところで、ご異論がなければ、山本先生の強調されるネットワーク、これはこれからの社会教育、生涯学習振興で重要だというところを強調していただけると、この委員会の意義の一つが強く出てくるのではないか、また整理もされるような気がするので、それを一つお願いできればと思います。

【山本委員長】
 わかりました。ありがとうございました。
 それで、きょうは、これまでそれぞれについてご意見をいただいてきたので、これをどうするかということでいろいろなお話をいただきました。伺っていて感じたことは、社会教育とか生涯学習振興ということは、学習する人の主体性を大事にしていくということになりますから、今、ずっと出てきている問題というのは例示ということですけれども、要するに概念の内包をあまりきちっと決めないで、外延のところでずうっと例を出しながらうまくやっていってくださいという話だと思うんです。現行の社会教育法でも第5条は、ずっと例示がなされていて矛盾しているのもありますよと前に申し上げたんですけれども、それでもいいというような話です。ですから、例示の仕方というのは、いろんなやり方があると思いますので、それは事務局のほうでまた検討していただく。それから、法律に入れるのか、あるいは局長の通知とか通達とか、そういうのでお示ししたほうがいいのかというのもまたあると思いますので、その辺は事務局のほうで検討していただくということにしたいと思うんですけれども、いずれにしましても、例示というような外延的なところを大事にしてくださいというお話であったかと思います。
 それからあと、専門職の人材養成のところ、これについて今までもご議論いただいていますが、さらにきょうもまたいただいたところがありますので、それはうまく強調できるようにしたいと思います。それから、施設のことがいろいろ出てきましたので、それについてもまたご意見を整理して上のほうに上げていきたいと思います。
 つきましては、そういう今申し上げたようなところの整理というのは、時間的なことを言っちゃいけないかもしれませんけれども、先のことを考えていきますと、逆算して、申しわけないんですけれども、事務局と私、副委員長、その辺にお任せいただければと思うんですが、よろしゅうございますか。もちろん、また皆さんにも見ていただくということは当然あるわけですので、そうさせていただければと思います。
どうもありがとうございました。
 これまでこの制度問題小委員会は7回にわたってご審議いただきました。さすがに専門家の集まりだけにとてもレベルの高い議論をしていただき、きょうもまさに現場に即したようなところ、それから理論的なところについて、非常にいいご意見を多数いただいたと思います。そのような中で、今後の生涯学習振興とか、社会教育のことにかかわる制度の在り方等については、大体検討していくべき方向性が打ち出していただけたのではないかと思います。これらの事項を今後どういう形で実現していくかということになりますと、事務局での実務的な検討もございます。もう既に接触をしてくださっているようですが、法制局との関係、これが一番厄介だと思うんですけれども、こういう関係とか、それから生涯学習振興といいますと、関係省庁とのかかわりが非常に出てまいりますので、そういうところの折衝とか、そのあたりも影響してくるものかと思いますが、いずれにしましても、きょうまでご意見をいただいた方向性というものをしっかりその中で生かしていくということで、これから上のほうの審議もお願いしたいと思っております。そういうことをしていけば、小委員会の役目は果たせたのではないかというふうに思いますので、この際、皆様には大変ご協力いただき、5回ぐらいまでは1週間に一遍ぐらいやっていただいて、ほんとうに感謝の一言しかないのですけれども、いろいろありがとうございました。
 それでは、この後、引き続いて分科会のほうでの答申に向けた作業ということをお願いし、それは事務局のほうから上のほうに上げといてもらうことになりますが、よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、事務局のほうで何か連絡事項があればお願いします。

【上月生涯学習推進課長】
 大変貴重なご議論をありがとうございました。また、今後はこのペーパーをさらに委員長と相談して、11月30日に生涯学習分科会が開かれますので、そこに上げていきたいと思います。また、生涯学習分科会ではことし1月の中間まとめ、また、その後、いろいろ改正教育基本法であるとか、幾つかの動きもありますので、そういうことを踏まえて、またこの制度問題も含めて、答申に向けた作業ということをお願いしていきたいなと思っております。今後ともいろいろご協力をお願いしたいと思います。
 本日はありがとうございました。

【山本委員長】
 それでは、小委員会はきょうでおしまいになると思います。どうもありがとうございました。おそらく分科会での議論や何かはまたいろいろな形で皆様に見ていただくということになると思いますので、これでおしまいと言わず、何かご意見がありましたら、ぜひ事務局のほうに寄せていただければありがたいと思いますので、今後もご協力をよろしくお願い申し上げます。
 どうもありがとうございました。

─了─

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