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2.具体的方策に関する提言

(1) 学習を支援する人材に求められる役割や機能
 
 現在、学習支援人材の育成に関しては、行政や大学、民間団体等によって各種講座が提供されているが、その位置づけや学習支援人材に求められる資質・能力、これらの人材の育成の在り方等について通用性のある枠組みが示されていない。今後、社会人の学び直しや社会参加活動を促進するとともに、学校・家庭・地域の連携協力の下、子どもたちの体験活動・ボランティア活動等多様な学習機会を創出することの重要性が増す中で、学習支援人材の役割と機能、また、これらの人材に基本的に必要とされる資質・能力を整理する必要がある。

 その際、社会的ニーズが高い学校教育支援・家庭教育支援・職業教育・体験活動・ボランティア活動・学習相談のそれぞれの分野を当面の重点分野として検討を行うとともに、各分野横断的に求められる共通的な資質・能力を示すことが必要である。そこで、作業部会においては、今後、有識者による更なる具体的検討に資するよう、これらの共通した資質・能力の概要を提示することとしたい。

 なお、今後、他の分野における有識者や関係団体等の関係者によって更なる検討が必要であると考える。また、次のような代表的な分野における人材の活動・育成内容から、それぞれの役割や機能を具体的に取り上げ、検討を行う必要があると考える(参考資料4「学習支援人材の役割と昨日〔概念図〕(案)」を参照)。

 作業部会では喫緊の課題となっている学校教育支援の分野の人材育成を優先して検討することが望まれる。

1  外部人材(教育サポーター)と学習の場をつなぐための企画立案・調整・運営を行う「学習コーディネーター(仮称)」
  例)
学校教育支援、家庭教育支援、職業教育、IT教育、女性のキャリア形成のためのコーディネーター
2  学校・青少年教育施設・社会教育施設等において講師として活動する「教育サポーター(仮称)」
  例)
学校教育支援ボランティア(伝統文化・ものづくり・環境・職業などに関して教育課程に基づき教科指導・生活指導等を行うボランティア)
教育サポーター(読み聞かせ・理科教育・自然体験活動等を公民館・図書館・科学館・博物館等学校外の社会教育施設等を活用し教育を行うボランティア)
3  社会教育施設・大学・民間教育事業者等において、社会人の学び直しのための学習講座の紹介から学習後の社会参加までのカウンセリングを含めた学習相談を行う「学習相談員(仮称)」
  例)
学習相談員
家庭教育アドバイザー
4  行政において専門的・技術的指導を行う社会教育主事等

(2) 必要な資質・能力を修得するための育成の在り方
 
 前述の14で提示した人材にとって、基本的に必要な資質・能力については、作業部会において例示することとしたい。特に、13については、現在行われている人材育成の実態を反映させるため、引き続き、先進事例等を参考に、求められる資質・能力を分析し、体系化して具体的に提示する必要がある。

 今後、分野によって異なる必要な資質・能力も含め、それぞれの教育内容・方法や地方公共団体の社会教育施設・大学等複数の関係機関との連携・協力による講座開発の在り方等についても、それぞれの役割分担を含めたモデル研究を行い、研修等の在り方を提示する必要がある。

 その際、それぞれの人材に求められる資質・能力の主な要素には次のようなものがあると考えられるが、引き続き、大学及び社会教育主事講習による社会教育主事の養成制度や民間団体等による指導者養成等の状況を踏まえ、実務経験等をどのように考えるのかを含め、有識者等による具体的な検討が必要である。作業部会においては、これらの人材の育成に求められるカリキュラムのイメージを提示することとする(参考資料5「学習を支援する人材育成のカリキュラムイメージ(案)」を参照)。

 なお、学習コーディネーターや学習相談員等の資質・能力を考える場合、社会教育主事の資質・能力との関連性を併せて検討する必要がある。

  〔分野横断的に求められる主な知識・技術〕
1 学習コーディネーター(仮称)
 生涯学習の概念
 社会教育行政・学校教育行政について
 コミュニケーション力(活動希望者や受入先の情報収集・分析の技術)
 広報企画力(活動希望者や受入先へ効果的な情報提供を行う技術)
 カウンセリング力(活動希望者や受入先への相談対応を行う技術)
 人的資源開発力
 マッチング力
 ネットワーク力
 マネジメント力
 地域の特性・現状
 関係機関団体との連携方策に関する知識・技術
 情報通信技術を活用した学習に関する知識・技術
 学校・社会教育施設等における実習 など
2 教育サポーター(仮称)
 生涯学習の概念
 社会教育行政・学校教育行政について
 発達段階に応じた教育方法について
 学校運営
 学習指導要領の概略
 指導者の役割・あり方
 指導計画の立て方
 学校・社会教育施設等の教育方針
 安全管理
 地域の特性・現状
 学校・社会教育施設等における実習 など
3 学習相談員(仮称)
 生涯学習の概念
 学習相談の理解
 学習ニーズと学習成果の活用機会の把握
 相談の知識・技能(カウンセリングの基礎・演習)
 学習情報提供に関する知識・技能(基礎・演習)
 情報通信技術を活用した学習に関する知識・技術
 学習相談の実習(学習評価、個人の学習プログラム作成演習、ロールプレイング等実習) など

4 社会教育主事
 
 前述の13のような多様で専門的な人材が育成され、役割や機能が分化される社会においては、子どもから大人までの学習活動を促進するための仕組みの中で求められる行政側の人材育成として、社会教育主事等の役割・機能のあり方や必要な専門性についても見直す必要がある。

 作業部会においては、地域の学習活動を促進する仕組みの中で、行政において中核的な役割を果たす社会教育主事の専門性の見直しに関する具体的論点をとりまとめることとする。

 これからの社会教育主事には、
1  社会人の学び直しの機会の充実、家庭・地域の教育力向上、職業教育、高齢者の健康増進のための学習活動の充実等、地域社会における重要な課題を明確にする、
2  地域の重要な課題に関し、学習コーディネーターや教育サポーター等の人材を広域的に活用した学習活動支援に関する企画・立案等地域における学習活動促進のシステムを構築する、
3  住民のニーズと地域社会の課題をマッチングさせた学習機会の企画立案業務や学校支援活動のマネジメント、学習成果の活用、教育以外の分野との橋渡しなど、専門的な指導及び助言を行う、
  など専門性の高い行政職員としての資質・能力が求められる。

 このため、社会教育主事の職務、配置の在り方、資格要件、制度・内容等(研修等)の在り方を見直す必要があるのではないか。それぞれの見直しのポイントとして、例えば、以下のようなものが考えられる。
〔職務の見直し〕
 
1  専門的・技術的な助言と指導に限られている現在の職務について、学習機会の提供及び子どもから大人までの継続した学習活動に係る企画・立案、学習成果の活用などへの指導・助言等に関する企画立案に関する職務を追加する、
2  学校・家庭及び地域住民その他の関係者(民間団体等)との連携協力の下で行われる社会教育の振興に係る企画・立案、指導・助言等に関する職務を追加(都道府県は義務、市町村は努力義務)する、
3  都道府県に配置される社会教育主事の職務については、
 市町村レベルの社会教育を行う民間団体・民間指導者を含めた指導者の養成に係る研修等の企画・立案、専門的な指導・助言等を行う者としての職務の明確化、
 福祉部局・労働・商工部局、大学や専修学校等の学校(以下「大学等」という。)、経済団体等との社会教育に係る調整役(コーディネーター)としての職務の明確化、
  などの関係制度を見直す、
4  市町村に設置される社会教育主事の職務については、住民に身近な学習機会の提供に関する企画・立案等の職務の明確化、
5  学校教育と社会教育の連携・融合(以下「学社連携」という。)をさらに推し進める観点から、学校教育支援を社会教育の責任の一つとして明確に定めること、
  などが考えられる。

〔資格要件の見直し〕
 民間を含めた多様な社会教育活動に従事する者を広く社会教育主事として登用してはどうか。そのために、例えば、
1  学習コーディネーター等としての認定を受けた者を積極的に登用する、
2  社会教育主事認定について、市町村でも行えるようにする、
3  民間からの登用に関する要件を明確化し、このための民間と地方公務員の人事交流制度の推進を検討する、
  ことなどが考えられる。

〔養成の在り方の見直し〕
 社会教育主事の養成について、地域全体に寄与する事業・取組の企画立案能力や多様な関係者との交渉・調整能力等を向上させる機会となるよう、その内容について高度化・専門化を図るとともに、その他研修の見直しを行う必要があるのではないか。

 地域課題解決学習・活動の専門家として、首長部局とも積極的に連携し、環境問題、老人・児童福祉等、行政全般に関する学習課題のコーディネーターとして、活躍できるような養成が必要である。

 NPO法人における社会教育活動や指定管理者制度の広がりを考えると、社会教育主事の受講講習を受ける者を今後、更に民間に広げていくことは有効であると考える。このため、社会教育主事講習の受講の際の推薦者の範囲を広げる等、民間が受講しやすい仕組みとして、社会教育主事講習を受けることができる者の要件の緩和又は要件の更なる明示を検討する。

 また、「社会教育主事講習」等の養成制度・内容の在り方やその他研修内容の見直しを行う必要がある。さらに、様々な現代的課題に対応できるよう、現職の社会教育主事に定期的な研修機会を提供することなども考えられる。

(3) 修得した資質・能力を確保するシステムの在り方
 
ア. 官民の人材が活躍する人材育成システムの構築の必要性
 学習を支援する人材の育成については、民間団体等において各種講座等の取組や認定がなされているが、その位置付けやそれらの人材に求められる資質・能力、それらの人材の育成の在り方等について統一的な枠組みが示されていない。

 今後、これらの人材育成及び確保の重要性が増す中で、学習コーディネーターや教育サポーター、学習相談員等の1全国的に一定の質的な水準を確保し、2その有効活用を促進するための全国的な仕組みを構築するとともに、3学校教育支援・家庭教育支援・職業教育・体験活動・ボランティア活動・学習相談等専門的分野において必要な知識・技術等の能力等について整理、分類することが必要である。

 このため、これらの人材を育成している民間団体等の取組実態を踏まえつつ、各分野に共通して求められる必要な資質・能力の要素を明確にした上で、標準的な人材育成のカリキュラム体系を提示する必要がある。

イ. 全国的に資質・能力を保証する仕組みの在り方
 学習活動に関する指導者を育成・認定する事業(以下「人材認定事業」という。)を、全国的に一定の質的な水準を確保するための仕組みについては、例えば、分野ごとに有識者・ユーザー代表・関係団体の代表等によって構成される全国的な第3者機関を設置し、民間団体等から人材認定事業の申請を受け、当該機関が示す要件を満たした事業を認証し、また、その事業について広く国民に対して情報提供を行うという仕組みの構築を検討する(参考資料6「人材の資質・能力を確保するためのシステム(イメージ)(案)」参照)。

 その際、既に様々な団体が人材育成・認定事業を展開している現状を踏まえ、これらの機関を可能な限り活用し得る新たな認証システムを検討する。

 また、それぞれの人材に求められる資質・能力の要素については、各分野における有識者・ユーザー代表・関係団体の代表等によって構成される第3者機関において検討することが考えられる。

 それぞれの活動分野については、必要な資質・能力を確保するために求められる要素を明確化し、大学等における養成等が促進されるよう、第3者機関から大学等の協力を求める必要がある。

 人材育成事業においては、実際に活動する学校・社会教育施設・社会福祉施設等の場を想定し、カリキュラムにおいては、講義だけでなく実技指導のほか教育委員会や社会教育施設等の協力を得つつ、例えば、これらの施設での実務実習や事例研究、現地調査等を取り入れることが必要である。

 第3者機関による「知識・技術等に関する要素の提示」は認定を必要としない場合でも、研修プログラム作成において有効に活用されるよう広く情報提供するなどの方策を検討する。

(4) 人材の活用を促進するための取組
 
ア. 民間における取組支援
 学習コーディネーター等の人材育成においては、現場の実習が重要な機能を果たすことを踏まえ、民間団体等における人材育成事業で育成された人材の現場研修の機会を充実することによって、更なる活用が促進される。

 例えば、地方公共団体の社会教育施設等においてインターンシップ制度等を導入し、民間団体等で行われている人材育成事業にも活用できるような実習の機会を広く提供する必要がある。また、生涯学習インストラクター等民間の資格取得者の実習の場として社会教育施設等に受け入れ、積極的に活用することなどが考えられる。

 学習相談員については、学習相談において、キャリアカウンセリング等の技術が求められるため、既に活躍しているキャリアコンサルタント制度の活用を検討する。例えば、学習相談員とキャリアコンサルタントのカリキュラムの一部の相互乗り入れについて検討することが考えられる。

イ. 学校における取組
 現在、小・中・高等学校等における体験活動・ボランティア活動等を進めるための担当者として、地域連携担当、学社連携担当、学校と地域を結ぶコーディネーター、体験活動等推進主任、ボランティア教育担当等を校務分掌に位置づけている学校は、全学校の約4分の1となっている。また、そのほとんどは教職員が担当している。

 その役割としては、情報提供の窓口としての役割がほとんどである。また、役割を果たすにあたっての課題としては、日常業務が忙しく外部との連携を図る時間がない、学校におけるコーディネーターとしての研修機会が十分でないといったことなどが挙げられている。このように、地域の人材活用等を行う機能が十分に果たされているとは言い難い状況であり、今後、地域の学習コーディネーター等の活用を促進するとともに、学校の担当の教職員に対する研修機会の充実を図る必要がある。

 学校の担当者に必要な資質・能力としては、「体験的な学習活動や校内の教職員に対する研修を企画・立案・評価する力」や「地域における様々な活動の場や人材に関する情報収集・整理を行う力」が考えられる。また、必要な研修内容としては、体験的な学習活動プログラムの企画・立案の技術に関する研修等が考えられる。

 このような研修については、国立教育政策研究所社会教育実践センター等において、学校・家庭・地域の連携協力を促進するコーディネーターとしての資質・能力を身につけるための研修プログラムを開発し、地方公共団体等において活用されるようなモデルを提供することなどが考えられる。

 また、学校におけるコーディネーターの役割は、学校教育支援のためのニーズ(各教科指導において必要な外部人材や体験活動・ボランティア活動等学校外において行われる教育活動の需要)を明確化し、地域の外部人材や学習資源とのマッチングを行うことが必要である。このようなコーディネーターは、学校内の教職員を育成するとともに、学校外からの人材の活用も視野に入れ、配置することが必要である。

 さらに、子どもを巡る様々な教育課題の解決のためには、家庭教育や社会教育、家庭・学校・地域の連携の重要性についての教員の基本的理解が大切である。このため、課程認定大学においては、引き続き家庭教育や社会教育への理解及び学校・家庭・地域の連携に対する取組を促進し、カリキュラムの充実に努めるとともに、様々な教員の現職研修においても、同様の研修内容を充実させることを検討する必要がある。

 学校経営においては、校長や教育長のリーダーシップによって取り組みが異なる事例も見られることから、校長や教育長の更なるリーダーシップの下で、学校、家庭、地域の連携協力を促進するため、学校内の教職員の意識啓発に関する取組や社会教育主事資格を取得した教員の配置、学習コーディネーター等民間の人材の活用のための校内の仕組みづくりなどを行うことが必要である。

 大学の地域社会への貢献が重要であると考えられるようになっており、地域社会に学ぶカリキュラムの開発などがすすめられている。また、近年において学生のボランティア活動への関心も高くなっている。「大学等におけるボランティア情報の収集・提供の体制等に関する調査報告書」(注)によれば、地域のボランティア団体等の学外からのボランティアに関する照会・協力依頼等に対応する担当部署のある大学等は83.0パーセントに達しているものの、担当者は他の業務と兼務している場合が多く、ボランティア業務専任スタッフがいる大学等は2.5パーセントと少ない。また職員に対する研修機会もないのが現状である。また、地域社会や国際社会に学ぶ大学カリキュラム研究がすすめられ、地域の行政機関や民間団体等との相互協力によるインターンシップやサービス・ラーニング科目の開発が活発に行われている。

 このような大学の新たな試みに対して、大学と地域社会を結ぶコーディネーターの養成が急務となっており、研修機会の提供はもとより、専門的カリキュラムの開発やコーディネートシステムの先駆的モデルの開発などが必要である。

(注) 「大学等におけるボランティア情報の収集・提供の体制等に関する調査報告書」(独立行政法人日本学生支援機構(平成17年3月)」

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