家庭・地域の教育力の向上に関する特別委員会(第11回) 議事録

1.日時

平成18年6月2日(金曜日) 16時~18時

2.場所

学術総合センター中会議場3・4(2階)
(東京都千代田区一ツ橋2-1-2)

3.議題

  1. 家庭・地域の教育力の向上について
  2. その他

4.出席者

委員

大日向委員長、赤坂委員、明石委員、加藤委員、見城委員、坂元委員、笹井委員、佐藤委員、杉山委員、土江委員、中橋委員、藤野委員、藤原委員、山岸委員、山極委員

文部科学省

事務局:
中田大臣官房審議官(生涯学習政策担当)、高橋生涯学習推進課長、清水男女共同参画課長、濱口民間教育事業振興室長、山本家庭教育支援室長、佐久間調査企画課長、小川参事官、行松地域学習活動推進室長、宮崎視学官、その他関係官

5.議事録

 
(1) 事務局より参考資料1について説明が行われ、意見交換が行われた。

【大日向委員長】 ありがとうございました。
 委員の皆様には、大変貴重なご意見を熱心にお寄せいただきまして本当にありがとうございました。また、事務局におかれましては、ただいまご説明いただきましたように、各委員の意見を最大限盛り込むべくご努力をしていただきましたことを改めてお礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、これから残った時間は、6時まででございますので、きょうはかなりたっぷり時間がございます。この審議経過報告(案)に関しまして、皆様のご意見をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 いかがでしょうか。どなたからでも。杉山委員さん、お願いいたします。

【杉山委員】 幾つか指摘をさせていただいて、それを盛り込んでいただいてどうもありがとうございました。
 全部まだ読みきれていないので、また追って気がついた点を申し上げたいと思うんですけれども、3点ばかり、具体的な内容ではないんですが、ちょっとこれも入れてみてはというのがあるので。
 1点は、文言というか、言い回しなんですが、目次のところの2ページ目の地域の教育力の向上のための方策について、3番のところの(3)のあたりに「地域人材を活用するマネジメント能力」というふうに幾つか出ているんですけれども、通常、人材を活用すると言っちゃうんですけれども、NPOとか、その地域の人からすると、活用されちゃうの、私というふうにとられて、若干失礼かなと思いますので、ここは「地域の人たちとともに活動する」とか、「地域の人を巻き込む」--巻き込むもあまりよくなかったんですね。「マネジメント能力」とか、少し言い方を考えていただけたらなというふうに思います。
 それと、提出してからずっと気になっていたのがPTAのことなんですけれども、よくは知らないんですが、かなり大規模な、全国的な組織であるというのは周知のことで、だけれども、一方で、かなり形骸化しているというか、地域によっては、何かそういう話があったりとか、本当に対等の関係で学校をよくしていきましょうという形で運営できているのかとか、いろいろ課題はあろうかと思うんですけれども、それをここの特別委員会で少しお話ししたほうがいいのか、それともまた別のところで、これは十分議論がなされている問題なのかちょっとよくわからなかったので。でも、相当重要な位置づけだと思うんですね、地域の教育力といったときには。なんだけれども、ちょっとNPOとかと同じようにPTAを置いてしまうということには、もうちょっとPTAに期待するものが強く出てもいいのかなというふうに感じたものですから、ほかの先生方が同じようにもしお考えだったら、少しPTAのことを考えたいなというふうに思いました。
 もう1点が、何日か前の新聞報道でもあったかと思うんですけれども、学校や幼稚園も虐待を受けていたりする子どもたちの発見とか、それから通報とか、そういったことも重要な役割の1つであるということの認識がないところもあったと、ちらっと読んだだけで十分読んでいないんですが、そういう報道もあったかと思うんですけれども、そういった地域の虐待防止のネットワークというのを、今あっちこっちで必要だということでつくり始めていますので、そのあたりに対しても敏感であるということと、対応の仕方を地域全体で考えていくというようなことをここにも盛り込んだほうがいいんじゃないのかなというふうに思っております。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございました。
 今、杉山委員さんが言われた3点、特に2番目のPTAに関しては、藤野委員さん、いかがでしょうか。

【藤野委員】 PTAの話が出ておりましたので。先ほど杉山委員さんがおっしゃいましたことについて、お住まいになられておられるところのPTAの活動はどうなのかということを疑問に感じたんですけども、本当に学校と子どもたち、そして地域との密接な関係のもとで、しっかりと組織として動いているPTAもございますし、また、上部団体として市のPTA、あるいは県のPTA、しっかりと活動をしているところもありますので、誤解のないようにお願いをしたいということをまず申し上げさせていただきまして、先ほどおっしゃっていただきましたPTAとNPOの団体と同列ということに関して、もう少しPTAを重視してとらえていただければどうかというふうにおっしゃっていただいて、非常にそれはありがたいことですし、この家庭・地域の教育力ということを考えますと、PTA抜きでは考えられないということもありますので、できたらその辺の重要視した形でのとらえ方をしていただくと非常に我々としてもありがたいなというふうに思っております。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 山岸委員さん、お願いいたします。

【山岸委員】 NPOの立場から申し上げます。PTAとNPOを一緒にされると、PTAが大分足蹴にされているようだという今発言が、そんな趣旨かとは思いますけども、私が見ていても、PTAとNPOは一緒にしないほうがいいだろうというふうに思います。私もPTAの役員をやったこともあって、結構深くかかわっているんですが、どちらかというと、行政主導でやってきたというところが色濃いかと思うんですね。それが形骸化されているというふうに大方言われているところかと思うんですが、NPOはそうではなくて、全く独自のところから出てきたのでちょっと性格が違う。町内会、自治会とNPOという感じで、PTAの人とはちょっと違うかなと思いますので、これは一緒にしてもいいんだけれども、やっぱり離すほうが扱いやすいんじゃないかというふうに思います。
 NPOの側で言いますと、NPOの教育力によって、今行政中心の教育力を救うという立場で、NPOによる教育力ということを強くうたっております。生涯学習局の中にも委員会がありまして、生涯学習分野におけるNPO推進委員会というのがあって、それの私は座長をやっているんですが、そういうふうに今NPOを活用しながら、何とか今の教育体制を変えていこうじゃないかと、新しい担い手によってしか変えることができないわけですから、もちろん既存のものも大事ですけれども、そのことでNPOが注目されているわけで、実態としてはまだまだ低い位置にあるかとは思うんですが、そういう期待がこもってNPOがあるんだということを位置づけていただきたい。
 そういう位置からいうと、今の段階で言うのも何かと思うんですが、23ページに出ているような「NPOなどの子育て支援団体との連携」という言い方があるんですけれども、この言い方が正しいと思うんですね。ほかのところを見ると、PTAも一緒にされているんですが、子育て支援団体への支援という言葉とか、確かに支援も大事なんですけども、基本的なところで、協働関係で、対等の関係であると、あるいは連携する関係であるということを踏まえた上で、今NPOを活用するときにそれを支援することもあるだろうということが今の日本の中で常識的になっているので、それはそれで連携とか協働というふうにすべきだろうという、それが今の水準だと思いますので、教育の問題の中では、教育界だけがちょっと上に立っていて、いろんな団体を下に見ていくということが強いという批判を多く受けているわけなので、そこは対等なんであるということを姿勢として思います。
 そういう面でいうと、7ページとか、9ページとか、10ページとか、随分いろいろなページのところで、言葉じりで言うわけじゃないんですが、15ページあたりもそうですかね、あるので、もう一度、協働で対等の関係でやっていくんだということで書き直されたほうがいいんじゃないかというふうに思います。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございました。
 PTA、NPOそれぞれから、くしくもPTAやNPOという書き方は望ましくないというご意見が出ました。それから、支援ではなくて、あるいは活用というような文言ではなく、連携とか協働という言葉にと。確かにそうですね。私たちが議論してきたところはそこにあると思いますのて、文言の訂正をいたします。
 ほかにいかがでしょうか。土江委員さん、お願いします。

【土江委員】 このまとめにつきまして、いろいろ私どもの考え方を取り入れていただきましてありがとうございます。冒頭お礼申し上げたいと思います。
 27ページの放課後子どもプラン(仮称)の推進ということで、「(効率的・効果的な推進への期待)」ということで、私ども、明るさとか期待が持てるような答申というものを望むわけでして、この放課後子どもプランという新しい国を挙げてのプランに対しては非常に期待を持っているところなんです。そうしたところで、この文言の中では、文部科学省や厚生労働省とともに連携を図りながら必要な財源確保というふうな文言になっているんですが、もう少し期待が持てて強く訴えられたなと思います。
 私ども、小さな市だったんですけれども、平成17年、18年度と「地域子ども教育推進事業」を取り組んでまいりました。その中で、子どもたち、小・中合わせて3,645人ぐらいなんですけれども、この教室でやったときに、延べ9万9,000ぐらいの子どもたちが実際に参加して子どもたちの安全が確保できたということが第一義的と。それから、子どもたちの活動を通して、地域の大人、子どもとの人間関係の希薄さというものが、また人間関係が変わってきたとか、ここでも議論されているように、家庭の教育力、あるいは地域の教育力というのが高まってきたという意味では、この事業というのは極めて重要な意義あるものと位置づけております。この後、本当にどうなるんだろうかと、市独自でもやろうじゃないかとか、あるいは企業協賛でも図りながらでも何とかこの成果をということを19年度以降考えていたところへ、厚生労働省との連携でこういう事業が進められるということで、本当に国を挙げて子どもたちを育て守っていこうとしている。この事業から地域づくり、家庭づくりということを今非常に思うんですね。ですから、これを今後進めていくために、今ちょうど基本法の改正案の中でも、この学校・地域・家庭の連携ということでは非常に重視されて新しく盛り込まれたという中では、やはり国の動きとしてもっと強く訴えてもいいんじゃないかなと。きちんと担保される交付金制度とか、そうした創設も含めて、安定して教育支援が図られるというようなことが私どもの委員会の審議過程の中で審議されて、ぜひともこの答申に盛り込んで、皆さんに期待が持てるようなものにしていただければなと思います。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 27ページのところですね。本当にご指摘のとおり、この放課後子どもプランは、文科省さんと厚労省さんが連携をなさって、放課後の子どもたちを守ろうという画期的な事業だと思います。ですから、今土江委員さんが言われたみたいに、期待を込めて見守りたい。そのためにも、財政的な担保をきちんとしたいということだと思います。また、この事業に関して、たしか前回、理念としてはとてもウエルカムだが、実際に運営するに当たってはいろいろ心配があるというご意見も幾つか委員の方から出されたと思いますが、そうした意見を後ろ向きに書くのではなく、前向きに、大変大きな光を当てた事業であるという形で書いていただきたいという土江委員さんのご意見でございました。前回、厚労省からいらしてくださった香取総務課長さんがおっしゃっていらしたように、これから厚労省と文科省の担当の方が具体的な内容について実態に即してつめていくということでしたので。
 それでは、関連したことで明石委員さん、それから佐藤委員さんに回します。

【明石委員】 放課後子どもプラン(仮称)でしょうけれども、非常に私、これを期待しておりまして、土江委員がおっしゃるような視点もまず押さえたいし、もう1つ、今回の特別部会で、やっと文科省と厚労省が、役人さんの縄張りが強くてお互いがキャッチボールしてやるというのがなかった。県レベルでも、商工労働部と家庭児童課とか、教育委員会で同じことを別々にやる嫌いが多いんですね。そうすると、今回みたいに中教審のレベルで、文科省と厚労省がいい意味で助け合って子どもプランをつくるということを違う視点で書き込めないかと思っているんです。要するに、これから家庭の教育力、地域の教育力を伸ばすときに、一行政単位だけではなくて、さまざまなセクションでコラボレートしていくという視点をどこかで押さえておいて、その典型としてこういうのがありますよということを位置づけてくれると、非常に目玉になり得るという。結局いろいろ議論してきまして、この部会の目玉は何であるかということをそろそろ絞っていきたいと思って、その1つがこれだと思います。
 その次、28ページの、「(コーディネーター等の重要性)」とありまして、初中局のほうで生徒指導のことを少しやっておりまして、生徒指導の中で、大阪府が生徒指導コーディネーターというのを日本で初めて教育委員会に用意したんです。非常にうまく大阪府の中で生徒指導が機能している。要するに、これまでは学校の中に生徒指導主任がいたんだけども、それではらちが明かないと。児相、少年院と鑑別所とか家庭と学校を束ねて、地域で子どもを育てていくんだという視点でつくっているんですね。そういう意味で、家庭教育コーディネーターとか、地域教育コーディネーターという文言の中で束ねる方がこれから必要になってくるかなという意味で、放課後子どもプランというのが大事かと思います。
 もう1点、先ほど申しましたけども、この議論の最後のほうに、この報告書といいますか、一言でキャッチコピーといいましょうかね、サブタイトルをつける場合にどういうのをつければいいかなということを考えていきたい。要するに、これをプレスに出して、結局目玉は何かということで、例えば今考えているのは、「教育、ともに育てる・共同・共生の子育てプラン」とか。それから、「地域力・家庭力を育むプラン」とか、「家庭力・地域力を育むプラン」とか、何かそういうのがあると非常にわかりやすいかなと思って提案いたしました。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 一言でサブタイトルを明石委員さんがおっしゃってくださって、とてもすてきだなと思いました。皆さんも、どうぞサブタイトルを考えてください。
 それでは、佐藤委員さん、お待たせしました。

【佐藤委員】 非常に基本的なところで、またちょっともとに戻ってしまうような議論なのかもしれませんけど、このテーマは家庭・地域の教育力の向上ということなので、大人がどうやるかという話ですけれど、その対象である子どもの視点というのはここにはないのではないかという気がします。教育で、学習でないからいいということかもしれませんけど、子どもをどうしたいか、どう教育すべきであるというか、どうしたら子どもたちは自立して大人になっていく道をいけるのだというところが見えてこない。子どもたちはどうやって本当に育っていくかという、社会の中でどういう役割が子どもにあるのか、藤原委員さんが書いていらっしゃる、例えば貢献するとか、地域の中で自分がいることの意味を確認できるということ、家族の中で自分が存在していることがいいことなんだと思えるためには、家族の中で、地域の中で自分の役割がちゃんとあるということだと思うんですけれど、その部分が少ないのではないかと思います。私が提出した内容が17ページにベビーシッターのこととしてここに入っているのですが、そういうつもりで書いたのではなくて、地域の役に立つためのステップをちゃんと地域の教育の中に埋め込みましょうよ、というつもりで実は提案しているのです。なので、全体で、何のために教育するかというところ、子どもをどうしたいんだ、どうしたらいいんだということをやらないと、今でも十分過保護になっている部分があると思うんです、もう既に。家庭なんか特にそうで、学校の勉強をさせるためにお手伝いをさせないとか、そんなことが十分にあるわけですし、地域の中で、本当はお祭りなんかで役割があって、私自身も実際にそれなりの役割を果たす中で大人になってきたと思うんですよ。アメリカなんかで聞くのは、どんなにお金持ちの家でも奨学金をもらってやるみたいに、親がそのまま保護するのではなくて、子どもの力をつけるためには何をやるべきか、というところが教育力ということだと思うんですね。そこの部分がどうもなくて、保護するというスタンスが強いのではないかなと思います。何のためにというのが、どこか一文、宣言が入っていれば、どんな大人にしたいがために私たちはこういうことをやるんですよというのがはっきりすると思います。そこがないままいろいろな手段ばかりが並んでいるような気がして、やっぱり目的のところを1つ大きく、いまさらということなのかもしれませんけれども、どこかで書いておいたほうがいいのではないかと、そこが気になってしようがないところなんです。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 大切なポイントだと思いますが、例えば基本的な考え方、最初のところに書くというのはいかがですか。よろしいですか。多分、最初のところは、家庭がだめになって、親がだめになったのではない。たしかに家庭の教育力は低下しているかもしれないけれど、地域全体で支えることが大切ということを1つ大きくコンセプトで出していると思うんですね。同時に、地域も再生ではなくて創造だという新しいコンセプトも出しています。今、佐藤委員さんが言われたように、子どもがいかに育って自立していくかということを支えていくようなプランでもあるということをもう一つの柱として、前面に出せばよろしいですか。

【佐藤委員】 はい。

【大日向委員長】 そういう形で少し、最初の基本的考え方を追加、修正していただければと思います。
 ほかに。中橋委員さん、お願いします。

【中橋委員】 私、実はきのう、島根県のほうに行っていたんですけれども、島根県は横に長くて、そこに聞きに来てくれた人の中には、小さいお子さんを連れて4時間かけて、高速道路とかも全然、道路網がよくなくて、孤立したようなところから4時間かけてきましたとかいうお母さんときのうもおそくまでお話をさせていただいたんですけども、そのときにすごく感じたのは、転勤してきてその町で過ごそうと思って、活発な方だったので、子育て支援のグループをつくりたい、子育てサークルをつくりたいと思っていても、子どもも少ないんだけれども、そこに既にある母親クラブであるとか、愛育会であるとか、子ども会であるとか、既存の守られた団体があって、そこから新しいものをまたつくるということは非常に難しいし、周りから奇異な目で見られて難しい。だからこそ、今ある既存のグループを、だんだん子ども会にしても元気がなくなってきているんだけれども、そこをもう一度活性化することが田舎にとっては必要なんじゃないかということをすごくおっしゃられていて、私もそのとおりだなというふうに感じたんですけれども、母親クラブであるとか、愛育会であれば、市の保健のほうが担当していただいたりとか、場所もわりと守られていたり、提供してくれたり、補助金をいただいたりとか、子ども会だったら教育委員会の方がお世話をしてくれたりとかする、新しくグループをつくってするよりずっと活動がしやすいところがだんだん衰退してきているというところもあるからこそ、NPOが生まれてはきているんだと思うんですけれども、そのNPOが生まれるほどの余裕のない、もう人口も決まっている、全部お世話する人も同じ顔ばかりという地域が田舎のほうに行けばたくさんあると思うので、そういうところだと、逆に、今あるものをもう一度見つめ直して、既存の団体、新しいグループだけではなくて、今あるグループをもう一度見直して活性化させていくにはどうしたらいいかみたいなことも盛り込んでいただけたらいいのかなというふうに思います。
 あと1つ、合計特殊出生率が出ていましたけれども、福井県だけが子どもが増えてきている。ちょっと知っている人に聞いたら、福井県はシルバー人材センターが子育て支援にすごく熱心に取り組まれていて、それがよかったんじゃないかというようなことも言われていましたけれども、そういう直接、子ども会とか母親クラブのように、子どもを中心にしたグループでなくても、婦人会とか老人会とか、そういうところがテーマとして子育て支援と掲げて活動していく家庭教育支援みたいなことで運動していくことが少なからず影響するのかなというふうに感じたので、その辺が触れられていないので、触れていただければありがたいなと思います。
 以上です。

【大日向委員長】 わかりました。ありがとうございました。
 坂元委員さん、お願いします。

【坂元委員】 メディア問題を専攻しておりますので、それにつきまして少し気づいたことを申し上げたいと思います。21ページの内容ということになりますけれども、前回の資料まであまり気になっていなかったんですけれども、今回さらに文章を整えられた分は、私の立場からしますと気になることが多少出てきたということでございます。
 細かいところもあり申しわけないんですが、まず、21ページの一番上ですが、「人間はまわりの世界とつながった状態で育つものであるが、今の子どものまわりの世界にはつながりがなくなっている。つながりにほころびが生じた一因は、テレビや携帯電話の過剰な利用であり、メディアと人間形成について再考していく必要がある」とあります。この文ですと、テレビや携帯電話に没入する余り、周りの人との、生身の人間関係から離れてしまっているという、そういう懸念を前提としたものに読めると思うんですが、しかし、これには議論がありまして、研究者がすぐに同意するとは限らないというように思うんです。例えば携帯電話では、むしろこの利用によって周りとの人間関係や友人関係が拡大していたり、密度が増しているという指摘もありまして、この文言を生かすとすると、例えば「過剰な利用であり」というところを、「過剰な利用とする考え方もあり」とするほうが通る話なのかなというふうに思います。
 それから、次の「(テレビの有効活用)」というところでありますが、「テレビが子どもたちに悪影響を及ぼすといわているが、テレビ番組の中には子どもの視点を意識したものも少なくなく、教育的な番組コンテンツもあり、こうしたものを有効に活用していくべきである」とありまして、ここまでは既にあるテレビ番組、これをどう利用するかという話なので問題はないのですけれども、次の「例えば、「早寝早起き朝ごはん」に関係して朝食の作り方や栄養、家族のためにサービスする意味など食育全体を含めた番組などができないか」となりますと、これは放送事業者に対して番組の制作や放送を要請するという内容を含意しているように読めるわけでございます。テレビの影響というのは大変に大きいので、家庭の教育力向上についてもこうした番組制作や放送を放送事業者等に要請できるということであれば、非常にこれは有用であると考えられるわけですけれども、しかし、表現とか放送の自由の問題があって、行政のほうがこういう番組が欲しいと要請することにはなかなか困難があるわけでございます。もし、こうした番組についての要請を想定するとすれば、その前段階としまして、例えば社会からの要請が強くて、とりわけ公共性の高い番組については表現や放送の自由を侵害せずに放送事業者等に対して、その放送の実現を促す仕組みとしてどのようなものがあり得るか検討していくというような取り組みが必要であるように思われるわけでございます。これは、扱いに少し慎重さが必要な問題になってくるのではないかと思っております。
 それから1つ飛びまして、「(メディアとの付き合い方)」というところなんですけれども、ここではメディアリテラシーの必要性というのが指摘されておりまして、真ん中で「家庭において、メディアリテラシーへの関心を持つこと」の必要性、これが述べられております。その後で「友人関係が大きな影響を持つので、地域(学校の子どもの友達関係)などので連携して、話し合いながら、メディアとの付き合い方を考えいく必要がある」というご指摘があり、これはなるほどと思って伺ったんですが、ただ、ここは家庭の問題を扱っているところでありますので、地域の話をここで書くべきなのかどうなのかというところがあろうかと思います。なかなか地域のほうでこれに当たるものを書くところがないということでメディアリテラシーに関することをここで含めておくということかもしれませんが、そうなりますと、地域ももちろん重要なのでありますが、大変メディアリテラシー教育においては、学校の取り組みが重要だというふうに考えられているわけでございます。家庭や地域ですと、こういったことをしてはいけませんというご法度は教えられるわけですが、理論についてはなかなか難しいところがあるわけでございます。なぜそれがいけないのか、なぜそれが問題なのかということについての理論を教えておかないと、新しい事態が生じたときに対応できないということがありまして、それは学校の教育、すなわち、プロフェッショナルによる教育というのが期待されているところで、それについてもやはり盛り込みたいということになってまいります。
 それからもう1つ、「(子どもによる情報発信の取組)」という項目が次にありまして、「メディアの教育力については、民間放送教育協会で教育的な良質な番組づくりが進められており」というふうにございますが、確かに民間放送教育協会の取り組みは非常に貴重なものと思うのですが、この文ですと、そこだけが良質な番組を提供していて、ほかのところは良質でないとも受け取られかねないというふうにも思うわけでございます。これは国の見解ともなりますとどうしても慎重にならざるを得ない面があるかと思いますし、この場であえてそもまで触れなくてもよいのかなというふうに思いますので、これは例えば「放送関係団体等」というような言葉で、この「民間放送教育協会」のところを置きかえるということではどうかというふうに思っております。
 以上でございます。

【大日向委員長】 ありがとうございました。
 メディアに関しましては、確かに慎重な記載が必要だと思います。貴重なご指摘ありがとうございました。
 1点伺いたいんですが、一番最初におっしゃいました過剰な利用云々というところの言葉がちょっと聞き取れなかったんですが、ここはどういうふうに直すというふうにおっしゃったんでしょうか。

【坂元委員】 「過剰な利用であり」というところを、「過剰な利用とする考え方もあり」としてはどうかと。

【大日向委員長】 わかりました。ありがとうございます。
 確かにテレビの影響に関しては、子どもに悪影響があるから2歳まで見せるなというような、そういうことをおっしゃる団体の方々もいらっしゃる一方、必ずしもそういう結果が出ていないんだという研究者の方々もおられます。微妙なところですので、今坂元委員さんがご指摘くださったような形で修正していきたいと思います。
 ほかにどうでしょうか。それでは、笹井委員さん、お願いします。

【笹井委員】 2つばかり意見を言わせていただきますが、1つは、先ほどの佐藤委員の発言と関連するんですけども、これまでの委員の皆さんのご意見を非常に整合的にまとめていただいたのがこの審議経過報告だと思うんですけども、これからその報告とか答申という形にしていくんだろうなと思うんですが、家庭の教育力と地域の教育力と学校というものが対等な形でイメージされているような気がしてしようがないんですね。これまでの意見を整合的にまとめていくとそうなってしまうのかなというふうに思うんですけれども、よくよく考えてみると、家庭も学校も地域という基盤の中にあるというような、基盤として地域社会があり、その中に家庭があり、あるいは学校がありと、それがどういうに連携・協力し合っていくかというような構造ではないかというふうに思うんです。そういうふうに考えたときに、1つの立脚点として子どもの視線という、あるいは子どもの成長・発達というのがあるんではないかなというふうに思うんです。だから、子どもの目から見て、あるいは子どもが成長をしていく上で、地域や家庭や学校はどうすべきかというような話になるのではないかと思うんですけども、そういう意味では、繰り返しになって恐縮なんですけども、非常に総論の総論部分を冒頭のところに書いていただければありがたいなというふうに思います。それが1つです。
 それから、2番目はちょっと具体的な話になりますけれども、放課後子どもプランのところなんですけども、これは先ほど明石委員もおっしゃっていましたけれども、役所と役所、省庁同士が連携・協力し合うということはほとんどあり得ない話なんですけども、子どもをめぐる環境というか、状況が非常に追い詰められているという状況もあり、こういうような放課後子どもプランというをつくって実施していこうということになった、これは本当に画期的なことだと思います。文科省、厚生労働省が頑張るということはもちろんなんですけども、基本的には市町村が自分なりに努力して、財源を確保して、自分なりに考えて、このプランを実施していくということが大事だと思いますし、あわせて「政府全体として」ということが書いてありますけども、他省庁、子どもをめぐる地域環境をよくしていこうということになると、例えば国土交通省とか警察庁とか、もちろん総務省はその元締めですけども、関係する役所がたくさんあるわけで、他省庁も含め、あるいは地方自治体も含めて、このプランの意味というものをきちんと理解してもらって、必要な財源確保を含めて必要な措置を講じていただきたいと、踏み込んで書いていただけたらありがたいと思います。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございました。
 2点ご指摘いただきましたが、最初のほう、家庭、地域、学校が対等に書かれるのではなく、地域を基盤として家庭、学校があるべきではないかという、そういうご意見です。いかがでしょうか。それも大変貴重な考え方だと思います。ただ、一方で、地域はそれほど基盤、立脚点となり得る力が今あるのかというところで、再生化、創造化というような議論が行われてきたかと思います。そのあたりもなかなか難しいところでして、笹井委員さんがおっしゃることももっともと思いつつ、一方で、地域のあり方そのものも家庭や学校と相互連携的に考えていく必要があろうかということで、今のところはこういうまとめになっている面もあるかなと思います。この点に関して、大切な基本的な点ですので、ほかの委員さんのご意見があればいただければと思います。
 山極委員さん、お願いいたします。

【山極委員】 20ページの、3行政や企業等との連携…「早寝早起き朝ごはん」の箇所に追加・記載していただいた「働き方の見直し」は、改めて読みますと、この表現だと弱いと思います。そこで、この文章中にもワーク・ライフ・バランスという言葉をぜひ入れていただきたいと思います。と申しますのは、子どもを持つ親が恒常的な長時間労働のために、毎日夜遅く帰宅しているとしたら、親自身が「早寝早起き朝ごはん」を実現することはできないと思うのです。親ができないことを子どもに期待しても、単に書いただけで終わってしまうのではないでしょうか。特にこの間の傾向を見ますと、30代の男性、特に子育て期の父親たちは恒常的に長時間労働者であり、有給の取得率も減少しています。調査結果からも、このような傾向が日本企業全体の課題となっています。また、昨日の新聞記事にも紹介された、30代男性の自殺率が従前になく増加し、4,600人にも達しているという現状です。これは、長時間労働によるストレスや健康不安等と繋がっているのではないでしょうか。親の健康もさることながら、次世代を背負う子どものことを考えると、こういうワーク・ライフ・バランスを実現しなければ、教育力が向上しないというようなことを、「早寝早起き朝ごはん」に結びつけていただければありがたいのですが。
 以上でございます。

【大日向委員長】 わかりました。ありがとうございます。
 この「早寝早起き朝ごはん」に関して推進することは大事だけど、一方でそれができない現状は、働き方に問題があるから見直そうというところは、20ページにも書いてありますし、19ページの真ん中あたりにも書いてありますが、あっちこっちに散らばって書かれているのでインパクトが弱いということですよね。ワーク・ライフ・バランスという用語でしっかりまとめたほうがわかりやすいでしょう。ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。見城委員さん、どうぞ。

【見城委員】 21ページの「(IT活用のルールづくり)」ですが、これは質問なんですが、ITの場合、最初、インフォメーション・テクノロジーになる前、インテリジェント・テクノロジーとか、同じITでも幾つかあったんですが、この場合はインフォメーション・テクノロジーとしてのITということでよろしいんでしょうか。ここで使うとなると。

【大日向委員長】 どうでしょうか。

【坂元委員】 私はそのようにずっと認識しておりました。

【見城委員】 確認をさせていただいたほうがよろしいかと思うんです、文言で入りますので。

【大日向委員長】 見城委員さん、確認するとおっしゃるのは、ここにインフォメーション・テクノロジーという但し書きを書き加えてということですか。そうじゃないですか。

【見城委員】 一応ITといって、大体インフォメーション・テクノロジーになっていますけれども、当初は起業家の方たちは、人工知能アーティフィシャル・インテリジェントも含めて、インテリジェント・テクノロジーとしてとらえていらっしゃいました。しかし、現在ITといえば、いつの間にかインフォメーション・テクノロジーのほうになりました。アーティフィシャル・インテリジェントからITのインテリジェント・テクノロジーということで、起業家等の人たちはそういうふうに最初使っていたものですから、ここで最終的な確認はしたほうがよろしいかと思いました。

【大日向委員長】 メディアの中でのITですので、おっしゃるとおり、インフォメーション・テクノロジーだと思います。でも、誤解を招かないように、坂元委員さん、「IT(インフォメーション・テクノロジー)」と書く必要はありますか。ないですか。

【坂元委員】 私の世界では、もうITはインフォメーション・テクノロジーで、必ずそういうふうに理解してされると思います。

【大日向委員長】 確認をしたいということで。

【見城委員】 はい。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。加藤委員さん、お願いします。

【加藤委員】 すみません、遅刻をしてきたものですから、あまり根本的なことを申し上げると失礼に当たるんじゃないかと思って迷っていたんですが、これは審議経過報告なので、本報告書が最終的にでき上がると思うんですが、ぜひそのときに、私の意見書でも書いたんですが、だれがどこで何をするというのがすごくわかりにくいんですよね。大分整理されてきたんですけれども、やっぱりわかりにくいと思います。先ほどもちょっとご意見があったんですが、地域の上に家庭と学校があるんだろうという見方、そもそもその地域が崩壊しているんじゃないのかというご意見もあって、その関係をぜひフローチャートのような形で、今回何をしようとしているのかと。地域力だとか、地域の教育力なのか、地域力なのか、家庭の教育力なのかという、それはわかったような気もするんですけど、それは家庭の中に入り込んでやるということではないですよね。ここはそういうことは書いていないので。ですから、どこに対して、文科省として今回、地域・家庭の教育向上といったときに、政策として何をねらっているのかということをもうちょっと、一番最初にわかりやすく書いたほうがいいと思うんです。今回は審議経過なので皆さんのご意見がいろいろと載っているで、それで少しわかりにくくなっているところがあると思うんですけれども、例えば「早寝早起き朝ごはん」運動というのは、多分どちらにもきいてくる、どちらの協力がなければできないものとしての、これは例示だと思うんですよね、手段の例示。手段の例示をしているものは、やっぱりそれは手段として、こんなやり方もある、こんなやり方もあるということでどこかにまとめて書いたほうがよくて、それが一緒になっているとやっぱりわかりにくいようなことになるんじゃないかと思うんですよね。ですから、報告書になるときに、ぜひ、今回は、私は「5W1H」と書いたんですが、どこにねらいを定めて、何をだれにしてもらおうと思っているのかというところを書かなければいけない。それは、私は何回も申し上げているように、今の家庭が外部から幾ら情報を与えようとしても、なかなか家庭自体が機能しないところを、ここの4ページに書いてありますよね。「(家庭教育を支える地域の教育力)」、これが私は本質的な言葉のような気がするんですけども、だからこそみんなで、それを地域と言うんですが、地域は実は、別に土地、建物じゃなくて人だと思うんですが、それをサポートしていく。そのサポートをしていくときに、どこでサポートしていくのかということがまだはっきりしないですね。だから、その家庭にお手伝いしましょうかといって行くんじゃなくて、多分場所が必要でしょう。その場所はどこですかといったら、地域にある公的な場所なのか、学校なのか、いずれにしても、そういうことをもう少しねらいを定めた、そういう書きぶりになったらいいんじゃないかと思うんです。全体としていろいろと方策的ないいことはいっぱい書いてあると思うんですけれども、その辺があると。
 それから、もう1つだけ最後に。地域といったときに、さまざまだと思うですよね。それはそれぞれの地域にゆだねるべきであって、地域の再考なり創造なりという、そのやり方というのはそれぞれに任せるべきで、例えばということがあってもいいんですけども、いずれにしても、それは地域の問題だということははっきりしていると思うんですよね。そういうことで、つまり最後のところで、私が地域に任せろと言ったのは、つまり、いろんなことを書き過ぎてしまうと、ねらいを定めた今回言わんとするところがあいまいになってしまうような気がしますので、それでそういうことを今申し上げたんですけども、どうしてもこういう対策を頭に描きながら文章を書くと、あれもこれもという形で、あるいはよくある、はしの上げ下ろしまでどうしても言いたくなっちゃうというところがあると思うので、そこらの枝葉末節はどっかにまとめて、本質的には今回、まさに家庭を支える地域の教育力というあたりを軸にしながら1回、私はぜひ大切なところをフローチャートにしていただいたらすごくわかりやすいようになるんじゃないかと思いますので、よろしくお願いします。

【大日向委員長】 ありがとございます。
 今、加藤委員さんがご指摘になられたことに関してですが、通常、この種の審議会は報告書をまとめます。その折に要旨を必ずつけるんですね、1枚の紙、1枚フローチャートで、絵でわかるように。審議内容が一目でわかりやすいように。ただ、ここはちょっと私からも事務局のほうに確認させていただきたいんですが、この審議会というのは、生涯学習分科会がありまして、そのもとに特別委員会として2つございますね。地域・家庭の教育力と、もう1つは国民の学習活動に関する特別委員会。それぞれがおそらく審議経過をまとめるんだと思いますね。その審議経過をもって学習分科会でさらに審議をした上で、何らかの形の報告(案)となるということだと思います。そうなりますと、名称も、審議経過報告という、ちょっと変わった名称になるのは、そういう経緯があるからだと思います。
 それからもう1つ、ただ今までの議論を振り返って考えてみますと、家庭のあり方、学校のあり方、地域のあり方、共通点はたくさんありつつ、それぞれの委員さんの間には、お考えが異なる点も当然あります。そこは両論併記的に書いていただいているかと思います。それができるのも審議経過報告だからかなというふうに思います。これがこの委員会の特色でもあり、今まとめさせていただいている審議経過報告の1つの姿ということでご理解いただければと思います。
 お待たせしてごめんなさい。佐藤委員さん。

【佐藤委員】 枝葉末節に当たるところかもしれませんけれども、18ページの「(多様な家族のあり方を認める視点)」のところに、2行目に「ひとり親家庭も増えている昨今」というのがありますが、これは離婚のことを言っていると思うんですが、離婚をしてひとり親と住んでいても、二人が親であることは変わりがないので、父親であり母親であることは、逆にそれを前提にして書かないと、こういう子どもにとって、離婚したら1人の親しかなくなるという前提で書くのは問題だと思います。なので、逆に言えば、もうちょっと積極的に、離婚しても親であることをやめないというのが家族の力、教育力にとってすごく大事なことだと思います。ただ、父親・母親の違いを強調し過ぎないというのは良いと思うんですね。それは従来とは違って、主夫といってお父さんのほうが家にいる場合もありますから、それぞれにふさわしい役割を果たせばいいというのは非常に賛成なんですけども、前振りが逆に意味を持ってしまうので、これは削除したほうがいいんじゃないかと思います。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 そうしますと、「多様な家族のあり方を認める視点が必要である」と切って、「父親・母親の違いを強調しすぎないように」というふうに続けたほうがいいということですね。

【佐藤委員】 そうですね。それも多様のあり方、家族で多様であり、夫婦も多様でありということだと思うんですね。

【大日向委員長】 わかりました。貴重なご指摘ありがとうございます。

【見城委員】 21ページの先ほどの「(IT活用のルールづくり)」がどうしても気になりますので一考して考えていただきたいんですが、「ITの影の部分への対応」というふうに始まっていることと、「情報発信者であるメディアが」というところはつながらないのではないかと思うんです。普通、従来のメディアは、公の電波を使って基本的には放送を発信しておりました。今問題になっているのは、公ではなくて、放送と通信が融合していくときに、通信の部分が何の規制もないうちに個人から個人への情報発信となって事件につながっているわけですね。ですから、この4行では非常に矛盾した形です。メディアの人間が、「ITの影の部分の対応」で「情報発信者であるメディアが」とつながるのはおかしいです。このメディアが発信している現在の状況は、電波を通して、割り当てられた電波を通して発信していまして、これからは融合していきますが、質の違いの話ではないでしょうか。それと、「情報の受け手である学校と家庭の連携」とありますが、ここもだれが発信者で、だれが受け手かがわからないところにさまざまな問題が起きていて、メディアリテラシーの必要性が今言われているわけです。ですから、ここの4行はとても大事な部分ですので、もう一考するべきではないかと思います。
 特に、その下に「(メディアとの付き合い方)」のところにメディアリテラシーのことが入っておりますので、ダブっている部分もあるのではないか。もう一度ここは精査して、メディアリテラシーという言葉も一般に知られない方も多いですから、業界の方とメディア関係の方は当然わかっています、教育者もわかっていますが、これも含めて大事な部分だと思いますので、「ITの影の部分」というならば、そういった個人の情報発信と受け手という、この問題にルールがつくれないというところが大きい問題なんです。ですから、既にその世界に入ってしまった子どもたちに対してどうルールづくり、または家庭での関与をどうしたらいいか、教育力としてここは何ができるかというようなアプローチがより正しいのではないかと思います。いかがでしょうか。

【大日向委員長】 わかりました。ご意見ありがとうございます。検討してみたいと思います。
 ほかに。赤坂委員さん。

【赤坂委員】 読ませていただいて、このようにまとめていろいろなことがわかってきたなと思っているのが感想です。
 細かいところなんですけれども、1つは、22ページの「居場所づくり」のところで、「幼稚園が」という表現がなされていますが、今かなり保育所等もこういうことに力を入れているとしたら、「幼稚園等幼児教育施設が」ということが1つ入りますと、地域にある子どもが学ぶ保育園、幼稚園も一緒にコーディネーターになっていくということで、地域の教育力につながっていくかなと思いました。
 あともう1点が30ページで、これも前回お話ししたことをしっかり入れていただいて本当にありがとうございます。文章なんですけれども、より私の思いが伝わるようにということで、こんなふうにと思って提案させていただきます。「幼稚園教諭や保育士は日々の保育教育を通して子育て支援に大きくかかわっている」というのを、最初の文言の「子育てを助けてあげられるのは」というところを直したらどうかなと思いました。「子どもを育てることの楽しさや安心して子育てができるような助言や援助ができる能力を持った」というふうに変えていただけると、私がこの間申し上げたことが伝わるかなと思って。いろいろありがとうございました。

【大日向委員長】 わかりました。
 ほかにいかがでしょうか。杉山委員さん。

【杉山委員】 ところどころなんですけれども、例えば5ページの「(多種多様な家庭教育観)」の文章とか、「(子育てのプランスイメージの伝達)」、下のところの文章が長過ぎで、例えば「(子育てのプラスイメージの伝達)」は、「これまでの子育て支援や家庭教育支援においては……今後は、子育てをよりポジティブにとらえ、自己成長しながら次世代を育成し、社会の基礎づくりに結びつく、大変だけれども」、ちょっと長いかなという。
 幾つかあるんです。次の6ページの「(子育ては地域社会全体の問題)」というこの文書は、多分「。」がないんだと思います。「こうした問題の背景には」から最後まで。これは事務局方のご苦労が忍ばれるんですけれども、もう少し読みやすくしていただいたほうが、まだ今後手も入るだろうと思うんですけれども、文脈は損なわない形で読みやすくということを、ちょっともう1回見直していただけたらありがたいかなというふうに思います。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 中橋委員さん、お願いします。

【中橋委員】 23ページの、私がNPOだからすごく気になるんですけれども、NPOなどの子育て支援団体との連携のところで、3つまるがありますけれども、1つずつですけれども、「NPOの数は増加している一方」云々で、「行政やNPOの周辺で活動している人とも協力しながら、情報提供していくべきである」というのがあるんですけれども、だれが情報提供していくのか、NPOが情報提供していくのか、情報を吸い上げて行政が情報提供していくのか、ちょっとそのあたりがわからないということと、その下もそうなんですけども、「メディアの有効活用を図るべきであるが」云々、「その意味でもNPOと積極的に連携していくべきである」と。そのNPOとメディアが連携していくのか、NPOと連携できやすいように行政がそれをバックアップしていけと言っているのか、ちょっとその相手先がわからないということですね。その下についてもやっぱり同じなんですけれども、「全国に情報発信して、広げていくべきである」ということがありますけれども、NPOの責任で情報発信をしていくのか、すごく大事なところだと思うんです。NPO側にしても、自分たちでいい事例を持っていっても、自分たちの外に一歩も出さないことには行政の人たちも拾いようがないので、NPO側として自分たちの成功事例、あるいは失敗事例をどこに向かって発信すればいいのか。最低、このぐらいは手間をかけて発信したほうがいいよということを言ってもらう、あるいは行政としても、ここまでいって情報を拾っていこうとか、拾えるような用意をインターネット上に用意するとか、そういうようなことを、ちょっとあいまいになっているので、そこを具体的にだれがするのか、どこに向かってするのかみたいなことを書いていただいたほうが、これは私に言われているんだなとか、これは行政のほうに言っているんだなというのがわかりやすいので、そこをお願いしたいなと思います。

【大日向委員長】 わかりました。ありがとうございます。
 藤野委員さん、お願いします。

【藤野委員】 ちょっと気がついた点ですけども、31ページの(5)の2文化・スポーツを通じた教育力向上、「(地域の伝統文化の継承、スポーツ交流など)」、もう1つ下に同じく「(地域の伝統文化の継承、スポーツ交流など)」というのがあるんですけども、意味合い的には、中身もほとんど、いわゆる文化活動やスポーツ活動の振興を推進するという点では同じなのかなというふうに思うんですけども、ダブっているという感じがするんですけれども、いかがでしょうか。

【大日向委員長】 そのとおりです。きっとこれはコピーしちゃったんだと思うんですが、要らないですよね。はい。
 事務局も皆さんの意見を最大限入れていただくためにご苦労くださって、本当に目がしょぼしょぼになるほど大変な作業だったので、こういうこともあろうかと思いますが、ほかに何かありますでしょうか。まだご意見の出ていない委員さんがいらっしゃいますでしょうか。土江委員さん。

【土江委員】 これを提出するときにもう少し具体的に書いておけばよかったかなと思うんですけれども、19ページの「(暮らし方)」のところですが、「早寝早起き朝ごはん」ということですが、全般的に今回の答申の中では、家庭の教育力、それを地域の教育の中で支えながらという視点は、それはそれで大変必要なんですが、全般的に見て、さっき佐藤委員さんもおっしゃった、子どもの自立にあわせて、親の自立という視点、そういったところも必要かなと思いながら改めていろいろ見てきました。そういう中で、今回、19ページのところで、1つは、ここにしたくてもできない背景があるわけなんですけども、親の働き方の見直しというのはこの表現でもいいかもしれないんですけども、もう1つ、親の意識してきたもの、そうしたものもうまくここへ取り入れて表現できないのかなと。そして、家族で一緒に家族のあり方を学んでいくとか、そういう姿勢とか、そんなものも大切にしながらという部分になっていくと、親の姿というのをもう少しこの中に入れられないのかなと思いました。
 それともう1つは、この「早寝早起き朝ごはん」のキャッチは、家庭の教育力を高めていくためには、まず親自身が、これぐらいだったらやってみようじゃないかなとか、これならできるという視点がいろいろ事業を展開していく上で非常に必要じゃないのかなと思うんです。そのときに、この「早寝早起き朝ごはん」というキャッチというのは、非常にに親御さんに受けるんじゃないかなと思うんですけれども、このキャッチの中で大切にしたいのは、「早寝」というところで、やはり睡眠というものをもう少しクローズアップして、睡眠の重要性というものをもう少しここへ具体的に書ければと思います。私自身もそういう表現をしたかったので、無責任なことを言っているようですけれども、睡眠のあり方と生活のリズムというようなことをもう少し取り入れたらどうかなと思いました。
 以上です。

【大日向委員長】 山極委員さん、お願いします。

【山極委員】 忘れないうちに申し上げます。先ほど杉山さんが目次のところで、人材活用という言葉を変えたほうがよろしいのではないかのお申し出についてですが。4年ぐらい前、厚生労働省で「女性活用推進協議会」が設置されたのですが、そのとき“女性活用”という言葉は、モノに対して使うイメージがあることから、温かみのある“女性活躍”に変えたことがございました。従いまして、今回も、“人材を生かす”あるいは“人材を活躍させる”といったように変えたらよろしいのではないでしょうか。

【大日向委員長】 「地域人材を生かす」とか「活躍させる」。

【山極委員】 「活躍していただく」とかですね、そんなニュアンスだとよろしいかと思います。

【大日向委員長】 杉山委員さん、お願いします。

【杉山委員】 この期に及んでPTAにこだわって申しわけないんですけれども、ここに書いてある、PTAって子育て支援団体だったのというのがちょっとびっくりというようなところがあって、もうちょっと私調べておけばよかったと今ごろ思ったりしているんですけれども、そういう意味では、PTAって何なんだろうということをもう1回問いかけるというか、そういうことがあったりとか、あとはPTAの実態調査であったりとか、それからPTAにかかわる親たちのニーズ調査を行うとか、そういった調査というのはそもそもなされていて、そういった活動の中の課題が何なのか、それはどうしたら解決できるのかというような部分が、果たして今まで議論されてきたのかどうなのかというところが、本当に調査不足で申しわけないんですが、よくわからないんですが、あまり進んでいないようであったら、ちょっとそこら辺も少し書き込んでいただいて、組織運営の見直しとか、そういった部分を少し進めていただけたらいいんだけどなというふうに思っています。例えば、先ほどご指摘のあった親の自立の視点であるとか、そういった場にPTAがなり得る可能性というのは十分あると思うんですね。お母さんたちが中心になって活動されることが主だと思うんですけれども、そういった場所で組織を運営するとか、役割を決めて広報をつくるとか、そういったことのすべてが、今後社会に帰ってくるためのリハビリになる得るはずだと思うんですね。そういった部分で、もう1回PTA活動をより活性化させるためにどうしたらいいのかみたいな部分があってもいいのかなという気がいたしました。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 今の点について、藤野委員さん、それからできましたら藤原委員さんも何かおっしゃっていただければありがたいです。

【藤野委員】 先ほど来からちらっと出ております、PTAとNPOと同列に書いているということに問題があるのではなかろうかなと。子育て支援という観点から考えると、ちょっと性格が、NPO団体とPTAと違うのかなというふうに思います。例えば18ページ、「(子育て支援は日常生活全般に)」という括弧書きがあるんですけれども、この中で、「学校や幼稚園のPTAに行く時、上の子どもや下の子どもを預かってもらえないといった話を多く耳にする」ということで、例えば私の市のPTAの会合のときには、いわゆる研究大会なんか開催するときは、NPOではないんですけども、保育園の保母さんが結成されているボランティアグループに、そういう催し物とかがあったときには子どもたちを見てもらう、そういうグループがあり、そこにお願いをして、大会があるときにはそういったボランティアグループをPTAが活用して、預かってもらって研究大会を開くとか、そういうようなことを実際にやっています。PTAがそういうボランティアグループやNPO団体を活用しているという部分もあるので、これは同列に扱うというのはちょっと無理があるのではなかろうかなというふうに思うんです。
 もう1点は、先ほどちょっと指摘がありました、PTAのそういった調査も必要ではなかろうかということですが、この特別委員会の性格とは別途になるのではなかろうかと思うんですけれども、ご検討いただきたいと思います。

【藤原委員】 2点申し上げますが、1点、このPTAについては、杉山委員さん言うように、もう一度PTAというものを定義し直したりし、あるいは役割を議論するということになりますと、これだけで別の委員会だと思うので、私は省いたほうがいいと思います。ただ、今ご指摘のあった、例えば18ページのような場合、「学校や幼稚園などのPTA活動に行くときなど」というのはわかるんです。そういう用があるときだなというのがわかるので。ただ、その下に「PTAなどの民間団体」と、これはつける必要はないんじゃないかなと思うんですね。「民間団体による国民運動である」というふうに言ってもいいし、「NPOなどの子育て支援団体」というふうにいって、PTAは入れなくてもいいでしょう?

【藤野委員】 そうですね。

【藤原委員】 定義まで気にされる方がいるとすれば、そのように省いたほうが、すべて「NPOやPTAなど」というふうになっちゃっていますけど、「NPOなど」というふうにいっても私は支障ないような気がするんです。PTAは、おそらく藤野委員さんよりもっといろいろうるさ方がいらっしゃると思いますので、定義とかこだわる方がいらっしゃるでしょうから、そうしたら省いちゃったほうがいいかなと、こういうことでございます。
 もう1点、先ほどからの議論で、何度か、まだ「地域が」という、「地域」というものを主語にする会話、もしくは「それは地域の問題だ」と、ある種の目的語といいますか、そういう会話がまだあるんですけども、私はこれは間違いだと思います。何度も申し上げておりますけれども、これは審議経過報告ではきちっと定義してくれているですね。8ページにありますけれども、これは私が指摘させていただいたことだと思うんです。8ページの(2)の1の一番最初です。「地域」というものを定義として、これは住民のコミュニケーションの総体であるという定義をここで指摘いただいていると思います。ですから、「住民間のコミュニケーションの総体」というものが主語になったり、あるいは述語になったり、それはないんだと思うので、例えば「地域のNPOが学校で」とか、そういう言葉使いを、この報告を僕がざっと今見た限りはしていただいていると思うので、私はそういう意味で文句ありません。
 問題は、その次の9ページにある「(「ナナメの関係」の創出)」をどういうふうにやっていくかということで、私の認識では、これからもずっと親と子、あるいは先生と生徒という直属の関係というのは次第に弱まっていくだろうというふうに私は思っているんです。これは情報社会がそうさせている、あるいは成熟社会がそうさせているという面があります。それを補う「ナナメの関係」というのを絶対に地域単位で復興しなければいけないという認識を私はしていまして、それには実はお金がかかる、人の投入も要る。これを何か文書の中に盛り込むのか、あるいはこういう提言が出れば、そこに予算とか、あるいは人の投入があるというふうに見ていいのか、私、専門家じゃないのでわからないんですが。
 その上で、これは仕事なんだという認識をみんながちゃんとするべきだと思うんです。今でも私、例えば和田中の、PTAもそうですし、地域本部の活動でも、半分は専業主婦の人が一生懸命やってくれています。時代の雰囲気として、働く女性が偉いというような感じで、専業主婦というのが何となくどうなのかなみたいな、そういう部分を感じるんですが、専業主婦という定義も必要だし、有業主婦とか、そういう定義も最低限必要だと思うんですね。地域の活動をしっかり仕事してやってくださっている専業主婦というのが今のPTA活動を根底から支えていて、PTAの会長が男性である場合も、ほとんど中身は女性が固めています。そういうことをちゃんと尊重すべきだと思うので、そういうことも含め、あるいは私のところのような地域本部の仕事なども含め、それが仕事であるという、それが無償であろうと何であろうとですね。できれば、それを有償化していく、わずかなお金でも払っていくというほうにお金を投じてほしいという思いを非常に強くするわけです。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございました
 1点、PTAというのはこの審議会では議論の力量を超えているので、今回は省いたらどうかというご提案ですが、よろしゅうございましょうか。
 それともう1つ、とても大事なことをご指摘いただいたと思うんですが、地域単位で何かをするときには、人の育成を含めて大変財源がかかるんだということを私は明記すべきだと思います。地域の支援というと、お金がかからない、安上がりで済むだろうというふうにお考えの向きがあるようですが、本当に地域の支援こそお金はかかるんだ、巨大な、何億ということではないかもしれませんが、地道なお金がかかるんだということを是非ここに書かせていただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ほかにいかがでしょうか。
 今、何億と言いましたが、何億ぐらいは当然かかりますね、全国規模ですと。何千億という、ちょっと記録を修正していただきたいと思います。何千億じゃないかもしれないけど、本当に地道だけど、財源は欲しいということです。
 ほかにいかがでしょうか。見城委員さん、お願いいたします。

【見城委員】 その地域のところなんですが、31ページの(5)の1、やっと最後のほうにきて、終わりのほんのちょっと前で子どもたちの安全を確保するというところでの地域の役割がきているんですが、これは2つ考え方があると思うんですね。地域に何ができるのか、取り組みというふうにとらえてきて最後に載せる、この重要性と、前のほうの目次を見ますと、家庭の教育力のところの中でも、それから地域のところでも出てきそうで出てこないまま最後にきているという感じがあるんですが、ここはあえて最後に子どもたちの安全を守るということで、この形がよろしいでしょうか。もう少し早く、大前提で、今子どもの命が奪われているものですから、そうすると必ず出てくるのが、地域の方がもっと下校時に町へ出ていればよかったと、テレビなどがとらえると、急にあちらこちらから地域の方が顔を出しているようなものもあって、こんなに人がいたのに今まではだれ1人いない道路だったという報道がよくあって、地域の力ということが問われるんですね。地域の方々に事件が起きてから出てもらうのではなくて、出てもらいたいということです。出る人もいない場所もあるんですけれども、その辺も含めて、ちょっと皆さんもう1回、大事なところですので、お伺いしていただければと思います。

【大日向委員長】 いかがでしょうか。今の見城委員さんのご指摘について。最後だとつけ足しみたいに見える。もっと前のところに、例えば子どもの自立ということと同じぐらいに安全も見守るという形で前のほうに入れることは可能かなとは思いますが、どうぞこの点について、皆さんのご意見、お願いいたします。

【明石委員】 事務方に質問したいんですけども、先ほど委員長と加藤委員がおっしゃっていましたけども、審議経過報告というのが出ますよね。2つの特別部会があって、中教審として答申として出すのか、いろいろあるんでしょうけれども、今後、今、審議計画(案)がどういう形で成長していくのか。この会合はきょうで終わりなのか、その見通しを聞かせていただけると、もっと違った意味で審議できるかなと思うんです。

【高橋生涯学習推進課長】 それでは、この審議経過報告の位置づけと今後の扱いということだと思いますが、実は、さっき大日向委員長のほうから大変簡明なご説明がありまして、私が言ってかえってわかりにくくなるんじゃないかと思うんですが、一応今事務局で考えておりますのは、答申としてどうかということですが、平成17年6月、これは「はじめ」にも書いてありますが、中教審に対して「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」、ちょっと包括的な形ですが、諮問が行われておりますので、最終的には中教審の答申としておまとめいただきたいと思います。ですから、その大きな答申をまとめる作業をしているということで、まずは大きく2つの柱を立てて、それぞれの特別委員会で議論をしていただく。したがって、その特別委員会で何か報告をまとめるというよりは、その答申に向けての準備作業ということですので、あえて、さっき加藤委員から、もう少し焦点を絞るということがどこかで必要になるのではないか、確かにそのとおりなんですが、今はできるだけいろいろなご意見が出たという記録をとどめる。そういう意味で、中間報告という形ではなくて審議経過報告とさせていただいたと。教育のほうの審議が始まっておりまして、もう1つの委員会が少し今足踏みしておりますが、これも国会が閉じましたらまた審議を再開して、委員の足並みをそろえるように、あそちらのほうも多分こういう形でまとめますと、それぞれの審議経過報告を持ち寄りまして、おそらくは、分科会としての中間報告的なものを取りまとめていくと。そのときには、当然、委員の先生方にもご参加いただきますし、場合によっては専門委員の方も入っていただくとか、あるいは必要なら分科会から委員会に戻すことがあるのかもしれませんが、そのあたりはいずれにしても、さらにご審議を深めていただくということを考えながら、その2つの審議経過報告を、今度は加藤委員おっしゃったように、少しポイントを絞りながらめりはりをつけた形で報告書にまとめていくと、そういう作業になるのかなと。局内でもかちっとした方針が確定しているわけでありませんが、今のところそういうイメージを持ちながら事務局として進めております。

【大日向委員長】 ほかにいかがでしょうか。先ほど見城委員が出された点について、何かご意見があれば伺いますが。

【見城委員】 もう少しつけつけ加えますと、ページの10とか11で、結構地域を具体的にどうあるべきか、新しい地域の創造とか、「支え合い」、「分かち合い」、「つながり合い」とか、具体的に地域がどういう形で力となるべきかというところが強調されていまして、地域のことでの盛り上がりがあるので、こういったところでどうでしょうか。何か子どもの命ということが、育てる前に大事なものですから、どこか入らないかと。こちらの地域ボランティアという形でやるならば、後ろの31ページのところは防犯ボランティアの活動というような具体的なものもありますから、施策の推進のところでは具体的にわかりやすくぽんと書くとか、何かその辺で、子どもの命と地域の力が、せっかくこれだけ地域に熱を込めて提案をしていくならば、この辺で入るかどうか、どうでしょうか。

【大日向委員長】 わかりました。検討させていただきます。
 山極委員さん、お願いします。

【山極委員】 さっき先生が予算のことをおっしゃいまして、私もそう思うのですが、計画を立て、それを実行するにはお金が必要ですね。従いまして、今回はどの程度の予算が必要かを、項目ごとにざっくりでも明記することが重要だと考えます。次世代の子どもを本気になって育成するには、机上のプランで終わらせず予算をはじき出す必要があります。企業で事業計画を立てるに当たり、予算がなしの計画だけというのはあり得ない話です。この内容の予算概要を拝見すると、大変少なく本当に実現可能なのか、と思いますが。今回は、概算であっても、きっちりと予算計上していただき、成果のある家庭・地域の教育力向上を実現したいと存じます。
 あと、さっき数値を間違って、3万人の自殺の中の4,600人でした。きょう予算を間違いますと、もしかしたら1兆ぐらいかかると思いますね、これをやるとすれば。トータルで見てどうなるのかというふうに見ていただいたほうがよろしいかと思います。
 以上です。

【中田大臣官房審議官】 今の予算額のご指摘ですが、先ほどご説明しましたように、今回、審議計画報告ということなので、委員の先生方から、これは何億円必要だというご意見があれば、それは記載しますけど、最終的に答申というか、政策の提言にする段階で金額を書くということは今後検討する余地があると思いますが、まだこの段階でそれなりの積算をする準備をしておりませんので、今後の課題というふうにさせていただきたいと思います。
 ただ、一言申し上げるなら、審議会の正式な報告になりますと、政府全体の立場というのがまた出てまいりまして、我々の希望だけではなかなか答申が書けないという事情があることもご理解いただければと思います。

【大日向委員長】 よくわかりました。それでは、たっぷり必要だと書くということで、よろしくお願いいたします。
 じゃあ、加藤委員さん。

【加藤委員】 見城さんのご意見なんですが、命にかかわる安全ということについて、それが大切なことについては皆さん全然異議がないと思うんですよね。どう考えればいいのか迷っていたものですからタイムリーに意見が言えなかったんですが、大前提としての総論部分に書くべきなのかなと、今の考え方に加えて提案したいんですけども、昨今、子どもの安全がすごい問題になっていることは事実で、いろいろなことに取り組んでいるわけなんですが、この問題をもし提言の中に入れていきますと、要するに具体的なところで入れていきますと、ちょっと見当違いの方策が結構すでに今行われていますよね。スクールバスで送り迎えしちゃおうとか、見回りに行って、本当は、多分、見守り方が違うんだと思うんですよ、教育という、子育てだとか、自分たちとの交流を考えたらですね。だけど、安全ということで言えば、これは本当に当たり前のミニマムのことで、それは安全に過ごさせてやりたいですけども、それを守るという観点で対策をもしこの中に入れて、それが混在すると、ちょっと違うような気がするんですね。ですから、大切なこととしてぜひ総論には入れていただければいいと思うんですけれども、私はちょっとそんな感じがしましたので。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 大変貴重なご指摘をいただいたと思います。私たちは、地域をいかに再生しながら、あるいは創造しながら見守る体制をつくろうかというときに、ちょっと別のノウハウ的な、パーツ的なところに走る危険性は確かにご指摘のとおりだと思いますので、今のような形で対応するということで、見城委員さん、よろしゅうございますか。

【見城委員】 はい。

【大日向委員長】 ほかにいかがでしょうか。もうこのあたりでよろしいですか。いつも時間が足りなくて困っていたんですが、きょうはたっぷり余って、十分ご意見いただけたんでしょうか。はい、藤原委員さん。

【藤原委員】 せっかく予算のことが出ましたので、私が皆さんに具体的なイメージを1つ、ここで記録に残していただければというふうに思うので。和田中の地域本部モデルをもし全国の公立の小・中学校でやるとすればという前提で、運営スタッフの人件費、これはほとんど今出ていません。運営スタッフの人件費、私の積算では年間300万ぐらい必要だと思っています。事務局長に年間90万ぐらい払いたいなと。例えば、土曜日寺子屋の実行委員長、学生の面接から何から全部やる人ですね、それに60万ぐらい年間に払いたいなと、非常にそういうリーズナブムな払い方をして300万。それに100人ぐらいのボランティアをネットワークして、大体教員と同じくらいの数の人たちが学校の中に入っていろいろなサポート、例えば図書室の司書だとか、あるいは緑を豊かにするとか、そういうボランティア、あるいは学生に生徒たちの面倒を見させてるとか、そういう運用費、運営費、これに1日何時間働いても2,200円とか1,100円という交通費程度のものを出すとすれば、これは杉並区が学校サポーター制度としてやっていますけれども、やはり300万ぐらいかかるんです。ですから、600万ぐらいかかると。3万校でもしやるとすれば、幾らでしょうか、1,800億円ですね。このうちもし国が面倒を見るんだったら、この人件費のところですね。地域本部、運営のための人件費のところの300万掛ける3万校であれば約1,000億円という形になると思います。運営のほうは市区町村が見るべきだと思いますので、有償ボランティアに対して1日1,100円とか2,200円とか、そういうものです。ですので、大体それぐらい。和田中の地域本部モデルは、全国の小・中学校にすべてできるというふうに思いますし、それは校長の力量が多少、マネジメントの研修は受けていただきたいと思いますけれども、それぐらいの予算があれば可能になるだろうと思います。これは記録に残していただけるとありがたいなと。
 以上です。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 坂元委員さん、どうですか。

【坂元委員】 予算のことなのですが、私は専門家でも何でもないのでピント外れの話なのかと思うのですが、今、子どもの数が減っております。生徒と教員の比率というのは決まっているので、生徒の数の減少に伴って教員の数は減っていて、同時に学校の合併の圧力も強まっていく状況もあるように思われ、そちらの予算は少なくなっていくだろうというふうに思うわけでございます。実際にそうなってきているのではないかとも思うのですが。一方、学校教育が従来中心であったところ、生涯学習という概念が出てきていて、学習の概念が広がってきた状況がございます。こうした構造的な動きやシステムの変化に伴って予算の配分が変わるという考え方はできないのかなと。子どもの数が減ることによって予算が減る一方で、大人まで学習するようになっていることから、そちらのほうをサポートするような構造に移行していくと。先般より、学校というものが生涯学習のところまで担うということで負担が過重になることの心配が出されてまいりましたが、子どもの数が減って学校の負担や学校教育としての予算が減る、あまり減っていないのかもしれませんけども、その部分が生涯学習の負担や学校における生涯学習の予算に回るといいましょうか、そうした構造の変化としてとらえて、生涯学習の予算が拡大していくということは考えられないのかというふうに思うのですが、いかがなものでしょうか。

【大日向委員長】 その点に関してですか、加藤委員さん。

【加藤委員】 ええ。今の誤解があるといけないので。
 教員の人件費は減らせないというのか、減らないという、そういう試算結果が出ているんですよね、別の部会で。これは東大の苅谷先生が文科省の皆さんと試算をされたんですけども、子どもの数は減るんですが、今後、高齢化をしていくと同時に、それをもちろん補っていくこともあるんですが、30人学級を目指すとか、あらゆる条件を含めて試算をすると、減らないんですね。むしろ増えるだろうと、しばらくの間は、ということだったと思うんです。多分、どなたかがもっと詳しいこと、皆さんが誤解されるといけないので、そういうことだと思います。

【高橋生涯学習推進課長】 誤解があるといけませんのでご説明いたしますと、昨年、義務教育特別部会のほうで、教員給与の議論をするときに、東大の苅谷先生が、今後二、三十年間の教員給与の設計、義務教育費の大半が教員給与が占めておりますので、これをいたしました。子どもの数が減る部分に対してむしろ当面は増えると。1つ大きいのは、実は子どもの数か減る、減ると思われているんですが、減り方は一様ではなくて、ちょうど今小学生ぐらいのところは横ばいのところです。これからは減っていくんですが、しばらくは実は子どもはそれほど減らないというのが1つございます。それから、これから教員が大量退職期を迎えます。これも県によって既に抜かれているところ、これから抜かれているところがありますが、子どもの数が減ることに伴う給与の減よりも、当面退職手当が増大していく、これが非常に大きな増加要因になります。だから、将来的には減っていくんですけれども、なかなか当面はむしろ増えていくというのが苅谷推計の結果でございました。
 あともう1つ、若干、これは私の個人的な私見なんですが、実は子どもの数に対しての教育費というのが、子ども1人当たりと決まれば単純に子どもの数に比例するんですが、日本では学級当たりで先生が決まります。例えば1学年10学級も20学級もあれば、生徒が1割いれば学級数も1割減るんですが、単純に考えて、1学年1学級しかなければ、生徒が1割減っても学級数は減らない、つまり先生の数は減らない。生徒数の増減に対する教育費の弾性値というのは、非常に学級数が多いところでは1に近づくんですが、学級数が減るに従いまして、1から乖離してまいります。昔と比べまして今は大変小規模校が多くなってきておりますので、統合という要因もあるんですが、子どもの数が減るのに対して教育費の弾性値が低くなっているという状況もあるのではないかなと考えております。

【大日向委員長】 ありがとうございます。
 とかく誤解しやすい点を大変適切にご説明いただきまして、ありがとうございます。
 先ほど藤原委員さんがおっしゃった和田中の事例というのは、本当に参考になると思います。この放課後子どもプランも、具体的にどのように運営されていくのか、地域の方々がどんどん入っていただくためにも、決して無償ではなく、しっかりとした力、人生のいろんな蓄積を、地域も学校もみんなが認めて活躍していただくということでは、そこにしかるべき予算が投入されて、初めて文科省さんと厚労省の連携が画期的な事業が力を持つのではないかと私は思います。どのくらいかかるのかわからないなと思っていたところに、藤原委員さんの1つの事例は大変参考になったと思います。ありがとうございます。
 それでは、そろそろお時間も終わりに近づきました。きょうのご議論を踏まえて、特別委員会としての審議経過報告として取りまとめさせていただきたいと思いますが、事務局で再度この報告(案)を整理していただきまして、メールで委員の皆様にご連絡をさせていただきますので、お手数ですが、もう一度お目通しいただきまして、ご意見を事務局のほうにご提出いただければと思います。その後、皆様の意見を踏まえた後、審議経過報告(案)修正につきましては、委員長に一任していただければありがたいと存じますが、よろしゅうございますか。ありがとうございます。
 それでは、今後の予定等につきまして、事務局からお願いいたします。

(2) 事務局より、今後の日程について説明が行われ、閉会となった。

-了-

(生涯学習政策局生涯学習推進課)