教育振興基本計画部会(第8期~)(関係団体ヒアリング(第1回)) 議事録

1.日時

平成29年10月17日(火曜日) 10時00分~13時05分

2.場所

全国都市会館 第1会議室(東京都千代田区平河町2‐4‐2)

3.議題

  1. 関係団体ヒアリング

4.出席者

委員

(教育振興基本計画部会委員)
 小川副部会長,阿部委員,金子委員,川端委員,近藤委員,白井委員,柘植委員,中井委員,永田委員,無藤委員,百瀨委員
(中央教育審議会総会委員)
 有信委員,篠原委員,寺本委員

文部科学省

 小松文部科学審議官,常盤生涯学習政策局長,下間大臣官房審議官,塩見文部科学戦略官,矢野初等中等教育企画課長,堀野高等教育企画課高等教育政策室長,有松国立教育政策研究所長,氷見谷生涯学習政策局政策課長,内田生涯学習政策局政策課教育改革推進室長,寺坂生涯学習政策局政策課教育改革推進室長補佐,他

5.議事録

【小川副部会長】
 おはようございます。定刻になりましたので,ただいまから第3期教育振興基本計画の策定に向けたヒアリングを開催させていただきたいと思います。
 本日の議事進行につきましては,北山部会長が御欠席ですので,代わりまして,副部会長である私が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 本日は,お忙しいところ御参集いただきまして,誠にありがとうございます。
 本日のヒアリングにつきましては,関係団体の方々から御意見を伺うことができる大変貴重な機会でもありますので,本計画部会に属していない中央教育審議会総会の正委員にもお声掛けをさせていただいております。中央教育審議会の正委員として,有信委員,篠原委員,寺本委員に御出席いただいております。
 第3期教育振興基本計画の策定につきましては,9月19日の第17回教育振興基本計画部会において「第3期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過について」を取りまとめさせていただき,9月28日の第113回の中央教育審議会総会において,報告されたところでございます。
 その際の資料が,本日配付されております資料3‐1から資料3‐3となっております。また,これらの資料については,参考資料にありますとおり,10月2日から10月31日まで意見募集を行っております。
 本日は,今後答申を取りまとめるに当たりまして参考にすべく,関係団体からの御意見を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,議事に入っていきたいと思いますが,本日の議事は,「関係団体からのヒアリング」となっております。
 本日お越しいただきました皆様方におかれましては,大変お忙しい中,御出席いただきまして,誠にありがとうございます。
 まず,本日のタイムスケジュールについて,事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

【内田教育改革推進室長】
 まず本日のスケジュールですが,配付資料1を御覧ください。丸1から丸13まで,合計13団体の皆様から,それぞれ8分程度意見を頂きます。二つないし三つの団体を一つのグループとさせていただき,それぞれ8分程度御意見を頂きました後に,10分程度意見交換をさせていただきます。合計六つのグループに分けヒアリングを行いますが,前半3グループ目が終了する11時20分過ぎに5分程度の休憩を設けてございます。終了は13時過ぎを予定してございます。
 あわせて,配付資料の確認でございますが,資料は,資料1,2,3‐1から3‐3,4,さらに,参考資料となってございます。審議経過に関しては,今月中まで国民の皆様からの意見募集を行っておりますので,参考資料は,その資料でございます。意見募集の結果は,次回の部会で御紹介させていただきます。
 さらに,机上配付資料として,1枚紙でございますが,ヒアリング実施予定対象団体を置いております。下半分の各団体については,日程を調整中でして,日程が決まりましたら改めて御連絡させていただきます。
 また,端末に関係資料を入れてございます。
 資料等に不備等がございましたら,お知らせいただければと思います。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,早速ヒアリングを始めたいと思います。
 なお,大変恐縮ですが,御説明は1団体当たりおおむね8分程度におまとめいただきまして,終了1分前と終了時間が来ましたら,事務局から紙を差し入れさせていただきますので,その点,御了解いただければと思います。
 では,最初に,一般社団法人国立大学協会から,室伏副会長,よろしくお願いいたします。

【室伏氏】
 ありがとうございます。室伏でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 この教育振興基本計画部会におきまして,第3期教育振興基本計画の策定に向けて精力的に検討されていらっしゃいますことに,深く敬意を表したいと思います。
 この基本計画は,計画期間であります5年間のみならず,その後の教育振興政策にも引き継がれる非常に重要な計画であるものと認識しておりますので,国立大学協会といたしまして,この審議計画に対して,総論として,まず3点の意見を申し上げさせていただきます。
 まず1点目ですが,お配りしてございます資料2にもございますが,まず一つは,基礎研究そのものを強化する観点についてということでございます。第1部,第2部を通しまして,イノベーションを牽引(けんいん)する人材を育成するという観点から研究力の強化について言及しておりますが,一方で高等教育における基礎研究とそれを担う次代の研究者育成の重要性が見えにくいように感じられます。高度な研究力は高等教育の基盤であり,それらは密接不可分である点を是非御考慮いただきたいと思います。ノーベル賞受賞者の皆様がいつも強調していらっしゃいますように,基礎研究そのものを強化する観点を明示していただきまして,本基本計画にも記載いただきたいと考えております。具体的な施策としては,大学の基盤的経費や研究者個人への助成の確保・充実を図ること等が挙げられます。いわゆる「出口志向」の研究のみが注目されがちでございますが,それも真理の探究を目的とする深く幅広い基礎研究の成果の上に発展するものであるということを忘れてはならないと考えております。
 二つ目は,人材育成におけるダイバーシティの観点でございます。我が国の高等教育システムにおきましては,ダイバーシティ,特にいわゆる理系女子や女性研究者の育成に向けた取組が進められてはおりますが,第1部,第2部を通して,女性の人材育成につきましては,主にリカレント教育の観点からの記述になっているというように見受けられます。先進諸外国に比べまして,まだまだ我が国の女性研究者や社会を牽引(けんいん)する立場にある女性の数と比率が極めて低く,初中高等教育を通じた施策が必要とされているところです。つまり,女性の活躍を拡大することは,男女共同参画社会の理念からも当然の要請でありますが,それだけではなく,イノベーションの創出と持続可能な社会の発展実現のために極めて重要であることから,リカレント教育に限らずに,高等教育システムにおける女性の人材育成の重要性とその方策について記載するべきであろうと考えております。
 3点目に,これは提出いたしました資料には記載してございませんが,地域振興の観点からについて意見を述べさせていただきます。Society5.0におきましては,大規模集中型から地域分散型への社会変革が重要です。全都道府県に高度な教育研究機能を有する国立大学が存在して,そして,地域振興のために働く有為な人材を多数輩出しているということは大変重要なことだと考えております。国立大学というインフラを,更に地域振興策を進める上で活用すべきであろうという点も,計画策定の中で考慮いただきたいと考えております。
 続きまして,第1部,第2部に対する具体的な意見を少し申し上げたいと思います。提出資料にもございますので,簡単に申し上げますが,まず2番目のイノベーションを牽引(けんいん)する人材の育成につきまして,これは,社会環境が悪化しておりますので,研究者になりたいという若者が減っている,そのことが日本の研究力の低下を引き起こしてしまうということでございます。その点を踏まえて,「大学院教育改革の推進」等の施策をより充実させていただきたいと考えております。
 また,教育政策推進の基盤につきましては,大学の財政基盤の劣化が現在の危機的状況を招いているということを明確に記載していただき,その点に関する目標・施策を明示していただきたいと考えます。
 また,グローバルに活躍する人材の育成についてでございますが,測定指標候補として,英語による授業のことが書いてございます。ただ,グローバル化というものは,いわゆる英語化とは同義でないということ,また,学部と大学院でかなりいろいろな違いがございますので,その点も考慮いただきたいと考えております。
 優秀な外国人留学生を確保し,内なる国際化を推進するための施策としては,いろいろな経済的支援,また,就職支援がございます。これはとても大事なのですが,それだけではなく,大学自体が教育・研究力を高め,外国から見て魅力的な存在になるような観点が重要であると考えますので,もちろん,大学自体の努力が大事ではございますが,その基盤を支えるための施策の充実について御考慮いただきたいと思います。
 また,家庭の経済状況,あるいは,安全・安心な教育研究環境の整備について,この中で,国立大学の公財政支援について言及されておりませんので,是非,「国立大学の基盤的経費である運営費交付金の充実」についても記載していただきたいと思います。
 また,持続的な高等教育システムの構築というところでは,地方創生の理念が少々足りないのではないかと思いますので,そういった理念を踏まえた施策の検討が必要と考えております。
 国立大学協会からの意見は以上でございますが,机上に国立大学協会でまとめました「高等教育における国立大学の将来像」の中間まとめを置かせていただいております。一番下にあるのが,その資料でございます。本提言は,我が国と世界の高等教育の歴史,現状,社会構造の変化について確認いたしまして,今後の高等教育の一層の重要性を再認識し,将来の我が国の高等教育全体の在り方,その中で,国立大学に求められる使命について確認いたした上で,自らの将来像の実現に向けた方策を示したものでございます。是非,御参照いただきたく思っております。
 第3期教育振興基本計画が実効性のあるものになりますように強く期待いたします。そして,国立大学協会といたしましては,引き続き,計画の策定に係る議論について協力させていただきたいと思っておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 御質問や御意見等々につきましては,後ほどまとめてお時間を設けたいと思いますので,よろしくお願いします。
 では,引き続いて,一般社団法人公立大学協会から,奥野専務理事,よろしくお願いいたします。

【奥野氏】
 ありがとうございます。公立大学協会から御説明させていただきます。
 現在,全国の公立大学の数は89ございます。平成になってから,かなりの勢いで増えてまいりました。公立大学は,言うまでもなく,地方公共団体の強い願いによって開設・設置されたものでございますが,高等教育機関の一つですから,そういう視点では,国立,公立及び私立の大学どこも変わることがないのですが,地方自治体によって設置されたということを通して,幾つかの特徴がございます。その特徴を踏まえて,以下に四つの点を述べさせていただきたいと思います。
 まず第1に,かなり細かいところだけになっているのですが,調査によりますと,地方は進学率がまだ低い状況であります。国立,公立及び私立の大学で学生の経済状態の調査が公表されているのですが,その中で,やはり公立大学の学生が経済的に所得の低い分類のところにあるという状況にございまして,公立大学としては,そういう点に非常に関心を持って,これからの支援のことを考えているところでございます。この学生に対する支援について,国として考えることが表明されていることに感謝しております。
 ただ,危惧しておりますのは,学生支援はオールジャパンで行われる必要があると書いております。これは実は,学生支援をするときに,例えば,運営費交付金に上乗せするというようなことをされると,公立大学は,国があって,地方自治体があって,大学という仕組みになっていますので,運営費交付金ではなかなかうまくいかないということで,“オールジャパン”と書いていただきたいと思います。基本計画にそのような細かいことを書く必要はないとは思っています。言わずもがななのですが,学生支援をよろしくお願い申し上げます。
 それから,次は,国立大学も同じことなのですが,計画的な施設整備についても,やはり自治体が入りますので難しい問題ですが,公立大学もお忘れなく考えていただきたいと思います。
 3点目は,大学の経営力の強化についてです。これについて,大学のマネジメント,執行部のマネジメント,学長のリーダーシップという記述があるのですが,公立大学は割と小さい大学が多いですから,先導的に,こういうマネジメント力を高めるシステムというのは,かなり成果を上げていると思います。その中で,やはり,一番特徴的な違いは,公立大学の設置自治体による評価です。国立大学のように一つの決まった機関が評価するのではなく,各自治体により評価されます。つまり,法人化した大学は様々な法人評価が行われることになります。場合によっては,非常に厳しい,毎年認証評価をやっているのではないかというぐらいの自治体もございます。そういうことを考えますと,この評価の充実と効率化というのが公立大学で非常に大きな課題になっておりまして,大学の経営力やガバナンスは,認証評価も含めて考えることが重要ではないかと認識しております。
 それから,4番目に,教員・学生の流動性を高めるという記述がございます。確かにこういう流動が図られるといいと思うのですが,公立大学は国立大学と少し違う形で法人化されていまして,法人という一つの壁のようなものがあります。そのために,公立と国立など,あるいは,法人を越えた交流というのは,昔とは違う形になってきています。そこが公立大学の一つの課題であると思っています。
 公立大学では,公立大学同士でやれば簡単ですので,実は,学生たちを集めて,学生たちが地域貢献をしていく上でどういう活躍ができるかなど,学生と教員,あるいは,大学の職員とどういう協働ができるかということでかなり努力してまいりまして,この基準の中で言いますと,学生の交流というような視点の流動性が一つの大きな課題であろうと思っております。
 繰り返しになるのですが,公立大学と国立大学の違いを説明することが目的ではないのですが,財政の形が違いますので,それに応じて施策が行われないといけないということになります。当然のことながら,この計画は国が定め,それを踏まえて,地方自治体が次の計画を定めることになっております。それはどこが担当するかというと,ほとんど教育委員会になります。一般的に教育委員会では,高等教育機関の問題が扱われません。そうすると,公立大学というのは,そこから外れてしまい,このような国が定める計画に対して,私たちも支援していこうと思っておりますが,そういう難しさがあります。
 是非,この仕組みの違いを皆様にも審議いただいて,文部科学省に対しても,この仕組みの違いを踏まえた上での,地方自治体に対する指導といったことをよろしくお願いしたいと思います。地方自治体が高等教育のグランドデザインを考えるという動きが出ています。是非,そのようになるように願っております。
 最後に,皆様のお手元に,「公立大学の地域貢献機能」という冊子と,「時代をLEADする公立大学」という,少々仰々しい名前の題を付けた二つの資料を出しております。この中に,LEADという分類指標を私たちが提案することで,公立大学の地域貢献の機能を可視化しようという努力をしています。その一部が今始まったところでございます。参照していただければ幸いです。
 どうもありがとうございました。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,二つの御説明を受けて,委員の皆様から御意見,御質問があれば,御発言をお願いいたします。時間が限られていますので,御質問はなるべく簡潔に,なおかつ,どなたへの質問かを明確にしていただければと思います。どなたからでも構いません。いかがでしょうか。
 有信委員,どうぞ。

【有信委員】
 公立大学の説明で,流動性向上のところで,昔と違う状況になっているという御説明があったと思うのですが,昔と違うというのは一体どういうことなのでしょうか。

【奥野氏】
 失礼しました。例えば,教員の交流の場合が分かりやすいかと思います。公立大学の教員は国家公務員に準ずるというようなことが書いてあった時代は,教員が動くというのは簡単にできたのですが,今はやっぱり法人ですので。

【有信委員】
 動きにくい。

【奥野氏】
 そうです。教員は動きにくい状況にあるということです。

【有信委員】
 分かりました。

【小川副部会長】
 ほかに,いかがでしょうか。
 では,白井委員,お願いします。

【白井委員】
 ありがとうございます。
 分かりやすい御説明ありがとうございました。
 国立大学協会さんの2点目の点についてお聞きしたいのですが,ダイバーシティについて書かれておりますが,特に高等教育システムにおける女性の人材育成ということで,私自身も国立大学の出身ですが,特に国立の場合,女だからどうというのが全然なかったように記憶をしています。これについて,具体的にこのような方策がということをお考えなのか,あるいは,高等教育システムにおける女性の人材育成ということを記述するということが重要だとお考えになっているのか,その辺りのところをお聞かせ願えればと思います。

【室伏氏】
 ありがとうございます。
 まず,やはり記述していただく,これはとても大事だと思います。そういった言葉があるということで,これからの政策に大きく関わってくると思いますので,その点は是非お願いしたいと思っております。
 高等教育機関における女性人材の育成ということは,特別に壁がなかったとおっしゃっていただいて,それはすばらしかったのだと思いますが,なかなかいろいろな意味で,女性が自分の資質能力を開花できないという状況がまだございます。特に理工系では女性の数が少ない。研究者も少ないですし,もちろん,いろいろな場を牽引(けんいん)していくような立場の女性も少ない。これは諸外国と比べても,数の比率も非常に少ないです。一般的にヨーロッパの国々では30%程度というのが普通なのですが,日本における女性研究者は15%にすぎません。そういったことも考えますと,やはり高等教育機関における女性を育てるという様々な施策が必要だと思っておりますので,そういったことをもう少し書き込んでいただけるといいと思いますし,また,そういう状況を支えるための初等中等教育における女性たちの新しいキャリアパスについても,是非書き込んでいただけるとよろしいのではないかと考えております。
 ありがとうございます。

【小川副部会長】
 永田委員,どうぞ。

【永田委員】
 お二方に簡単にお伺いしたいのですが,公立大学協会が先ほど最後に述べられた,地域における高等教育のグランドデザインというのは非常に重要です。この点について,誰がイニシアティブを取るべきと考えるか,それぞれの協会から御意見をください。

【奥野氏】
 地域貢献につきましては,昔からやはり公立大学は自治体と非常に強く連携してきました。ただ,今,我々の反省としては,大学がもっとイニシアティブを取った形で自治体と連携しなければいけないのではないかと思っております。すごく地域によるのですが,非常に自治体が強く言っているところもございますし,大学が力を出してという,両方あると思っていますが,反省としては,大学がもっとイニシアティブを取るべきだろうと考えております。

【小川副部会長】
 室伏副会長。

【室伏氏】
 ありがとうございます。
 私も大学がイニシアティブを取ってやっていくべきだと思っております。特に国立大学は86の大学がございまして,各都道府県に必ず一つは存在しています。その地域の国立大学からは,先ほど少し御説明申し上げましたが,たくさんの人材が輩出されて,その中の多くの人たちが,その地域に根付いて活躍しているということがいろいろな統計からも分かっております。ですから,国立大学のそういった機能,そして,公立大学の機能,それが一緒になって,やはり地域の振興,地域創生のために大きな力を発揮できるのではないかと思いますので,やはりアカデミアの世界でお互いに手を携えてやっていくべきであろうと思っています。よろしいでしょうか。

【小川副部会長】
 永田委員,何かございますか。よろしいですか。
 金子委員,どうぞ。

【金子委員】
 国立大学協会にお伺いしたいのですが,この最後に,目標(20)持続的な高等教育システムの構築について,地方創生の理念を踏まえた施策の検討が必要であるというコメントが出ていますが,議論の概要の本文の方を見てみますと,かなり踏み込んだ国立大学の再編といったことも可能であるかのごとく,検討すべきであるかのごとく書いてあります。特に70ページのぽつの3ですが,1法人1大学の見直し等が議論になっています。これらについては,国立大学協会としては,地方創生の観点から再検討ということは出ていますが,私は,ただ地方創生の観点だけでは問題はないように思うのですが,もう少しこの辺りについて御意見や御説明を頂きたいと思います。

【室伏氏】
 ありがとうございます。
 ここにいろいろなことが書かれておりまして,その中で地方創生の観点が抜けているのではないかということで,意見を申し述べさせていただきました。
 持続的な高等教育システムの構築について,先ほど3ぽつ目,国立大学の1法人1大学制の見直し,国立教員養成大学の連携・統合等,経営の幅広いうんぬんということが書いてございますが,やはり国公私立大学の枠を超えた連携というのは,今後大変重要になってくると思っております。ただ,国立大学が,先ほど申し上げましたように,各都道府県においてかなり重要な役割を果たしているということは間違いのないことだと私たちは確信しておりますし,様々な課題もございますので,そういった課題については,今後,公立大学あるいは私立大学ともいろいろな意味での連携を通して,改善等をしていく必要があると思っております。
 余り細かなことに触れるつもりはないのですが,今後,国立大学協会の中でも,公立大学あるいは私立大学の皆様とも様々な議論をしながら,さらには,文部科学省の皆様ともいろいろ調整をしながら,こういった問題について考えていきたいです。よろしいでしょうか。

【金子委員】
 一つだけよろしいですか。

【小川副部会長】
 どうぞ。

【金子委員】
 この3ぽつの2行目,経営の幅広い連携・統合や事業譲渡的な承継の方策などという,かなり強い表現でありまして,これに対して,国立大学側から直接に何も言及がないというのは,私は少々理解し難いのですが,いかがでしょうか。

【室伏氏】
 先ほど申し上げました資料がございますが,その中に書き込んであることがございますので,またそれは御覧いただきたいと思っておりますが,国立大学といたしましては,こういった経営の連携・統合,事業譲渡的な承継の方策などと。ただ,こういう大きなくくりで書かれてしまうことには,いろいろ意見はございます。
 それにつきまして,この中間まとめの中に,21ページから,我が国の高等教育における国立大学の将来像という中で,国公立大学の産学連携・地域連携の方向性といったようなところがございます。ここには,私立大学,公立大学との関係について余り書き込まれておりませんが,地域連携・産学連携といったところで,国立大学としての役割を果たすということ,それから,6番目に国立大学の規模及び経営形態の方向性というところにも,国立大学が今後どういった規模で,また,どういった経営形態を目指していくべきかということがまとめてございます。読んでいただければと思うのですが,説明が必要でしょうか。

【小川副部会長】
 金子委員,よろしいですか。

【金子委員】
 時間がありませんので今御回答いただかなくて良いですが,ほかのところで書いてあるというお答えでしたが,この会議の文章はこの会議の文章ですので,特に譲渡等というのはかなり強い表現ですので,是非,何らかの形での御回答をお願いしたいと思います。

【室伏氏】
 分かりました。譲渡ということは,国立大学としては,賛成できない言葉でございます。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。本セッションの意見交換はここで終了させていただきます。二つの協会の皆様,ありがとうございました。
 次のセッションに移るまで,準備がありますので,少しお待ちください。

(ヒアリング団体1退室)

(ヒアリング団体2入室)

【小川副部会長】
 それでは,次のセッションに移ります。
 最初に,全国専修学校各種学校総連合会から,小林会長,そして,その後に,日本教職員組合から,西原教育文化局長ということでお願いいたします。
 それでは,小林会長,よろしくお願いします。恐縮ですが,おおむね8分程度でお願いいたします。また,終了1分前と終了時間に事務局より紙を差し入れさせていただきますので,御了承ください。
 それでは,よろしくお願いいたします。

【小林氏】
 分かりました。それでは,皆さん,おはようございます。
 貴部会において,平成30年度から5年間の第3期教育振興基本計画の策定を目指し,精力的に審議されておりますことに敬意を表します。また,このたび,審議経過を取りまとめ,関係団体として,本会にもヒアリングの機会を設けていただいたことに感謝を申し上げます。
 本会の運動方針では,今後の実質的な学び直し機関の役割を果たす観点から,専修学校及び各種学校の振興に不可欠な重点目標として,次の3点の柱を掲げております。
 第1に,「専門職大学」及び「専門職短期大学」の独自の設置基準等の制定の実現,制度創設後の広報・周知の充実であります。
 第2には,専修学校等制度の充実・改善に必要な方策の実現,特に先導的な認定制度として大臣認定にしていただいた「職業実践専門課程」の普及・検証及び質的な充実の推進に向けた取組等の強力な推進であります。
 第3は,教育の質保証,情報公開,法令遵守等に向けた取組の推進が重要であります。
 また,他方,本年6月9日の閣議決定「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」,あるいは,「未来投資戦略2017」,「まち・ひと・しごと創生基本方針」等では,職業教育・キャリア教育の推進,人材育成及び人材投資の充実,また,専門職大学及び専修学校等の振興等に関連する提言を多く取り上げていただいています。
 専門職大学等が開学し,専修学校をはじめ既存の教育機関が総じて,産学官の連携等を通じて職業教育・キャリア教育を推進することが重要となります。これからの第3期に当たっては,正しく本審議経過が教育政策の中心課題に位置付けられている「一人一人の『可能性とチャンスの最大化』」の視点に立ち,個々の基本的な方針及び目標と施策群を整理されるよう,以下に本会として「基本計画の策定に向けた全体的な意見」及び五つの「基本方針」ごとの意見等を申し述べさせていただきます。
 まず,「基本計画の策定に向けた全体的な意見」について,3点申し上げます。
 一つは,専門職大学の開学を目前に控えた中で各基本的な方針を実現するため,相互に乗り入れすることが可能な,いわゆるアカデミック・ラインとプロフェッショナル・ラインの二つの教育体系が確立する重要な教育改革がなされたことを明記していただきたいこと。
 二つ目は,国・地方自治体は,職業教育・キャリア教育を担い,我が国の持続的な発展に資する社会人等の学び直し機関としての専門学校等の重要性について,児童生徒,保護者,各教育段階の教職員をはじめ広く社会に発信し,個別の施策(多様な分野の高度専門人材や地域活性化人材の育成,あるいは,地域及び種々の教育活動や子供体験活動等)において専修学校等の教育資源を活用していただきたいということであります。
 そして,三つ目には,生涯学習成果の適切な評価,社会人の学び直しによる職業能力の客観的な評価,学びに対する企業側の理解促進や仕事への円満な接続等を推進するためには,学んだ知識・スキル,醸成したコンピテンシーを可視化する仕組みが重要であります。諸外国で整備が進んでいる教育制度上の学位及び職業資格又は能力等の階層的な対応関係を明確化する「国家学位・資格枠組み(National Qualification Framework)」を,文部科学省が主導して教育界及び産業界を交えて各省庁横断的に検討していただき,具体的な制度の構築を推進していただきたいということであります。これは,今後,日本がアジアの職業教育のハブ機能の役割を果たすためにも必要であります。
 以下は,時間が限られておりますので,ポイントを絞って話をさせていただきます。
 まず,「夢と希望を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」については,目標(1)にあります「確かな学力の育成」では,アカデミック・ラインに向かう『確かな学力』のみに偏重することなく,子供たちが自らの夢とする職業に向かって努力して習得した三つの柱等の成果に対しても,丁寧かつ的確な評価を実施していただきたいということであります。
 目標(1)の『高校教育改革の推進』では,学習指導要領によらず社会的・職業的な自立に向けた職業教育を実践する高等専修学校を積極的に活用していただきたいこともお願いいたします。
 目標(4)では,『学生の学びの質を向上させるための基盤整備』に関して,専門職大学等による改革及び専門学校,特に「職業実践専門課程」における質の保証・向上に向けた取組に対する国・地方自治体による公的な支援の制度化あるいは拡充も検討していただきたいということであります。
 以下,それぞれ書いてお願いを申し上げておりますが,最後に,3ページの「誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する」についてでございます。特定の学校種への進路選択を優先するものと誤解を招かないようにするために,『後期中等教育機関への進学』や『高等教育機関への進学』というようにすること,これをできれば修正をしていただきたいということです。
 最後に,人口減少の折からも,国民全体の学び直し機関の充実が求められている中で,実学を中心とする専修学校・専門学校の大幅な見直し,特に各県の教育委員会等の視点の改革も含めて,1条校と同じ位置付けで是非進めていただきたい。以上,様々なことについて,ここにお願いを申し上げている次第でございます。参考資料として,是非お読みいただいて,活用いただければ有り難いと思います。
 以上でございます。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,次に,日本教職員組合から,西原教育文化局長,よろしくお願いします。

【西原氏】
 本日は,発言の機会を頂きありがとうございます。日本教職員組合の西原でございます。
 それでは,よろしくお願いいたします。
 日本教職員組合は,子供の学びを支える観点から,教育条件の整備・充実を図るために,教育振興基本計画を5年間で達成する「財政計画」と位置付けることを是非お願いしたいと考えております。とりわけ,義務教育費国庫負担制度の2分の1の復元,30人以下学級の実現などについて,具体的な年次計画を立てる必要があると考えております。
 審議経過で,測定指標候補や参考指標候補が幾つか提示されております。数値目標も確かに必要な面があるかもしれませんが,この数値目標に子供たちの学びや学校での生活が追い立てられることのないように,是非ともお願いしたいと考えております。
 学校現場,教育に関しましては,エビデンスといいましても,どうしても一つ一つの事例が大変な大きな要素でありますので,この一つ一つの事例をエビデンスとして受け止めていただけるような働き掛けも,お願いできればと考えております。
 私たちは,12項目にわたって意見を書かせていただいております。本当でしたら全てのところに書きたいのですが,絞らせていただいております。
 一つ目ですが,全国学力・学習状況調査について,毎年度悉皆(しっかい)でという記述がございます。これまでの数年間,同様の傾向が出ております。また,様々な社会的なハレーションも起こしておりますし,子供たちもかなりストレスを抱えているという実態が報告されております。是非とも,これを見直していただき,数年に一度の抽出調査でいいのではないかと私たちは考えております。よく測定の指標の引き合いに出されますPISAの日本国内での対象者数からみても,数については,かなり抑えることもできると考えております。
 二つ目です。高等学校教育改革の推進についてです。「学びの基礎診断」,現在ワーキンググループで御検討いただいているところでありますが,PDCAサイクルを確立するためというのが強調されているように思われます。高校の教育課程の画一化につながるようなことのないよう御検討いただければと思っております。
 いじめ等への対応の徹底,人権教育の推進についてでございます。記述されていること,ごもっともなのではありますが,対応策になっているのではないかと感じております。権利を保障された子供は,他の子供の権利を尊重するように育っていきます。そのような関係づくり,そして,安心して学び,育ち合う学級づくり,学校づくりを行っていく必要があると考えております。それらを支えるシステムを是非とも御検討いただければと考えております。
 また, LGBTや性的マイノリティの子供への様々な配慮も必要になると考えております。
 主権者教育の推進につきまして,今ある社会を肯定し,受容するということだけではなくて,社会をよりよく作り上げていく,そういった教育が必要ではないかと考えております。教科についてはもちろんですが,自治的諸活動,生徒会活動・児童会活動や学級活動・学年活動などで,学校全体で取り組んでいく必要があると考えております。また,地域との連携の中で,体験的学習というものは非常に有用だと考えておりますので,御検討いただければと思います。
 キャリア教育・職業教育につきましては,昨今,「ブラックバイト」,「ブラック企業」等の課題もあります。そういった中で,労働教育のカリキュラム化が非常に重要かと思っております。キャリア教育・職業教育,プラスアルファで,労働教育についても支援策が必要かと思います。また,これは経営者側の課題も多々あるものですので,連携が取れればと考えております。
 外国語教育の強化についてでございます。小学校に外国語,中学年に活動,高学年に教科という形で入ってまいりますが,グローバル指標として様々な資格・検定の合格等を目標設定するということは,子供たちにとって厳しいものがあると考えております。中学卒業段階でCEFRのA1,高校卒業でCEFRのA2を50%目指すということが,指標として出されておりますが,こういったものが,もしかすると高校教育,あるいは,中学教育,小学校教育の特に外国語部分をゆがめていくのではないかという懸念を持っております。検定中心の外国活動,外国語教育ではなく,やはり目標文化を持った外国語の学びが必要かと考えております。
 それから,大学入学共通テストにつきましては,特に民間の試験を活用することには,様々な課題があると懸念しております。
 障害者の生涯学習の推進についてでございます。「自らの可能性を追求しつつ」,「能力や可能性を最大限伸ばし」と記述されております。生涯学習の規定というのは,障害の有無にかかわらずのものでありますので,教育基本法第3条を生かす形で御検討いただければと考えております。
 教育へのアクセス向上,教育費負担の軽減に向けた経済的支援についてですが,高等学校の授業料無償制度に所得制限が入っているということについてです。子供の権利,子供の学習権という視点に置いたときに,保護者の収入は当然勘案しないことになります。是非,OECD諸国と同様に,高校卒業を保障するという観点で,無償制への復元を是非御検討いただければと思っております。
 また,教職員の指導体制等々書いております。特に教職員の働き方改革を御検討いただいておりますが,その中で,教員の授業持ち時間数について,是非とも削減できないかという視点で御検討いただければと思っています。
 また,スクールソーシャルワーカーは,小学校,中学校のみならず,高校で非常に必要であります。子供たちの生活をしっかりと支えていく,無償の話もそうですが,教育費本体だけではなく,子供たちの生活を支える基盤づくりも,是非御検討いただければと考えております。
 教職員評価等々もございます。教員評価につきましては,優秀な教員の評価だけではなく,教職員全体のモチベーションが上がるようなものである必要があると考えております。
 最後に,学校施設についてです。耐震化工事の方は,小学校及び中学校についてはもうかなり進んでいますが,高校も含め進んでいないところもございます。非構造部材,これがまだ手が着いていない状態ですので,是非,ここに何とか手が着けられるようにお願いしたいということと,アスベスト材はかなり学校内にあります。様々なところに使われておりまして,まだまだ撤去はできていない状況です。また,予算の関係で,撤去ではなくて,固めてしまう,落ちてこないようにする,封印をしてしまうところもあると思います。是非,撤去を進めていただきたいと思います。2020年頃には,教職員の中皮腫の報告がかなり上がってくるのではないかとも言われております。是非とも,子供・教職員の健康の面,これからも施設面の整備について,御検討いただければと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,今の二つの団体からの御説明に関して,御質問ありますか。では,篠原委員,お願いいたします。

【篠原委員】
 どうもありがとうございます。
 日本教職員組合の西原さんにお聞きします。主権者教育のところ, 4行入っていますが,私もおおむねこの趣旨には賛成です。改正教育基本法の中に,「社会の形成に主体的に参画し,その発展に寄与する態度を養う」とうたわれています。そこが出発点だということが一つと,それから,もう一つは,主権者教育イコール有権者教育,選挙教育ではないということです。これも全く私も同じ認識でございます。去年,「18歳選挙権」が導入され,初めての国政選挙ということで,参議院選挙がありました。大慌てで教材を作ったりして,にわか選挙教育をやりました。急場の対応としてはやむを得なかったのですが.今後はもう少し落ち着いて,本来の主権者教育の形に戻さなければいけないと思っています。それはやはり小中学校の頃から,パブリックマインドをどう養っていくかということです。第一歩は社会への関心をどう持たせるかということです。そこから始めて,18歳に持っていく。そうすると,最後に選挙というものが出口としてあるわけです。去年は選挙が主権者教育の入り口になってしまいました。そこは,僕はもう一遍戻さなければいけないと思っています。
 それで,是非学校現場にお願いしたいのは,例えば,消費者教育や防災教育,金融経済教育,環境教育など,それらも全部社会に関わりますので,そういうところに一つ力を入れていただきたいということです。
 それから,生徒会活動やボランティア活動なども活発化させてほしい。こういうものも広い意味の主権者教育になるので,概念を広く捉えて現場でやっていただきたいなと,こう思っています。

【小川副部会長】
 では,永田委員どうぞ。

【永田委員】
 それぞれに1点ずつ,簡潔にお答えを頂きたいと思います。
 まず全国専修学校各種学校総連合会の方にお伺いしたいのは,国・地方自治体に対し,教育資源の活用について社会への発信や,評価・質保証について,公的支援の制度化・拡充を検討する,などと述べられています。これは現在,大学は,全部自前の費用で行っています。同じように,自律的に行うお覚悟がありますかということです。
 また,日本教職員組合の方にお伺いしたいのは,全国学力・学習状況調査や入学試験の課題について御指摘を頂いています。しかし,一番の問題は,高等学校教育の学習の到達度を測る物差しを高校側が作っていないということです。これについて,高校側としてSATやIBに相当するものを作る計画があるかどうかをお聞きします。

【小川副部会長】
 中井委員,お願いします。

【中井委員】
 まず,日本教職員組合の西原さんには,検定を中高で目標設定することについての問題ということでしたが,共通の尺度として分かりやすい目標設定,4技能を見ることができるのかなとも思いますが,どういう点で問題なのかということでございます。
 それから,小林さんの方でございますが,最後のところで,教育委員会の視点からの問題というか,見直しというお話がありましたが,趣旨がよく理解できなかったので,もう少しお話を頂ければと思います。

【小川副部会長】
 では,最初に,質問数の多い日本教職員組合からお答えください。

【西原氏】
 ありがとうございます。
 まず,主権者教育について,篠原委員からございましたが,おっしゃるとおりでありまして,同感いたすところであります。私たちも,教育研究活動を進める中で,小学校,中学校,高校,更に大学段階での現場の実践を積み上げておりますので,また様々な御意見いただければと考えております。
 高校教育についてですが,IBに相当するものが日本にないではないかというような御趣旨でありますが,教育委員会や文部科学省でPDCAを回せと言うと,そのPDCAを回すことが現場で中心になってきまして,子供たちの学びはどうするのかというところがどうも抜けてしまうというような状況にあります。今現在,定期テスト等で,高校生の学びについて,一番子供に近いところでやっておりますので,それを生かしながら,一定の測定のようなものに参加できるところは参加していくという形がいいのかと考えております。
 検定の件につきまして,中井委員からございましたが,実は,数値目標を作ってしまうと,そこへみんなどんどん行ってしまうのではないかという懸念を持っております。検定を否定するわけではございませんで,やはり必要な子供には必要なものを受けさせればいいと。ただ,一部の自治体で見られますが,全員受けろという形でやっているようなのはいかがなものかと考えております。
 以上です。

【小川副部会長】
 次に,小林会長,よろしくお願いします。

【小林氏】
 最初の御質問で,教育の質保証や評価の問題に関して,大学は自費でやっていらっしゃるという。専門学校でも,特に職業実践専門課程等については,基本的な教育成果の評価ということにきちんと取り組むということが盛り込まれておりますし,いろいろな職業教育についても,第三者評価のようなことを今後やはり進めていく必要はあるだろうと思います。そういうものに関して,我々もきちんと取り組んでいく覚悟はしております。
 ただ,いろいろな専門分野に分かれておりますので,分野ごとの評価機関を作っていくということがかなり大変なことかと思っております。しかし,NQFなどの話もありますので,そういったことに対しての準備として,国として取り組んでいく,それに我々もしっかり対応していくという覚悟を持って,皆さんとともにやっていきたいと思っているところでございます。
 それから,もう一つ,教育委員会ということを申し上げましたが,私は,専門学校というのは1条校ではないということで,各県の,例えば,教育委員会の委員長等ともたまたまいろいろなところでお会いして話を聞いたのですが,やはり基本的に1条校しか対象になっていないのです。だから,専門学校は対象外とおっしゃっているので,高等学校の進路指導などについても,余り教育委員会からは,専門学校の情報など基本的な指導方針や何かがほとんど入ってこないというのが実態であります。ですから,ここのところも是非改善を頂きたいという意味で申し上げました。
 以上です。

【小川副部会長】
 ありがとうございます。このセッションについては,これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 次のセッションに移るまで少し準備がありますので,しばらくお待ちください。

(ヒアリング団体2退室)

(ヒアリング団体3入室)

【小川副部会長】
 それでは,次のセッションに移ります。
 最初に,公益社団法人全国学校栄養士協議会から,長島会長,よろしくお願いします。報告はおおむね8分でよろしくお願いします。終了1分前に,また,終了時間に事務局から紙を差し入れさせていただきますので,御了解いただければと思います。
 それでは,よろしくお願いいたします。

【長島氏】
 全国学校栄養士協議会でございます。よろしくお願いいたします。
 児童生徒の食をめぐる社会環境の変化から,栄養摂取の偏りや朝食欠食,生活習慣病,食物アレルギー等が大きな課題となるとともに,食の安全性の確保や食料自給率の向上,食品ロスの削減,また食文化の継承など,国として取り組まなければならない社会課題が山積しております。
 医療体制の充実・医学の進歩,生活水準の向上等により,平均寿命は著しく伸長し,人生100年時代の到来が予測されており,この長い人生を豊かに生きるためには,心身ともに健康であることが必須であり,更なる健康寿命の延伸が望まれております。
 健康な体を支えるのは,何よりも食であり,これらの課題を踏まえて,教育政策の中にしっかり位置付けられた食育を全ての学校において取り組み,健康で活力に満ちた国民を育成することが重要であります。
 第3期教育振興基本計画の中に,食育の重要性については明記していただいているところですが,その具現化を目指し,本会からの意見を述べさせていただきます。
 「教育をめぐる現状と課題」について。
 「子供の体力の昭和60年頃の水準の確保や朝食欠食への対応など健康の確保や体力の向上」において,食の果たす役割は極めて大きく,また暴力行為やいじめなどの他者を思いやる心の欠如などの課題についても,食育を通じて子供たちに生命を尊重する態度を養うなどの取組も重要であると考えます。
 さらに,社会経済的な課題として子供の貧困について,栄養バランスに配慮した学校給食の提供は,経済的に苦しい児童生徒の健康を支えている現状があり,これらの児童生徒に健全な食生活を営むことができる力を培うためにも,学校給食を活用して食に関する実践的な指導等を行う食育が果たす役割は大きいと考えます。
 全ての学校において学校給食が実施されるとともに,栄養教諭を中核として,質の高い食育が行われることが必要であります。
 「教育政策の重点事項」について。
 人生100年時代をより豊かに生きるために心身の健康は,子供の頃からの食習慣や生活習慣を基盤として,食や健康に関する知識や判断力,健康な生活を送ろうとする自己管理能力の醸成の上に成り立つものであり,教育課程に確実に位置付けた食育の充実が何よりも必要であると考えます。
 また,健康な心身の育成や食や健康に関する知識や判断力は,生涯を豊かに生きるという自己のためのみならず,健康な社会づくりや地域社会のために貢献できる人材の育成にもつながります。
 「教育施策に関する基本的な方針」として,「確かな学力,豊かな心,健やかな体の育成等」に果たす食育の役割について。子供たちが,将来に夢と希望を持ち,可能性に挑戦するためには,健康な体が基盤であり,若年期からの食育が担うところが大きい。
 確かな学力はもとより,心身の健やかな成長,豊かな心を育むに当たって,食は不可欠であり,従来言われているように,知・徳・体を支える根幹に食育があります。
 今回の「審議経過」においては,健康の維持増進や意欲・気力といった精神面の充実のため,教育段階に応じた体力の向上,健康の確保とともに,食育の重要性が明記されており,大変意義深いと考えます。
 これを踏まえて,教育政策として,各学校における食育を具体的に推進できるよう更なる手立てを講じていただくようお願いします。
 次に,「家庭の経済状況や地理的条件への対応」に果たす食育の役割について。
 子供の貧困が言われる中,家庭で十分な栄養の確保が難しい子供もおり,学校給食は唯一の健康に配慮された食事となっている場合があります。
 生活上の困難解決に向けた支援や必要な栄養摂取が十分でない子供への支援策を進めていく上で,子供の貧困対策のプラットフォームとしての役割を担う学校において,学校給食の果たす役割は極めて大きいと言えます。
 全ての義務教育諸学校において学校給食が実施されるとともに,栄養教諭を中核として,学校給食を活用した食に関する実践的な指導等を行う質の高い食育が行われ,食を通して子供たちによりよく生きる力を身に付けることが重要です。
 また,学校給食は家庭における食生活・食習慣の改善を促す役割も担っております。
 「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導体制の整備等」について。
 児童生徒を取り巻く諸課題は多岐にわたりますが,特に,食物アレルギー等の健康課題では,ささいな見落としが命の危険も及ぼす重大なことにつながるので,栄養教諭・養護教諭のみならず,全ての教職員が食物アレルギー等への対応について共通理解を図るとともに,学校内のみならず関係組織・機関との連携調整が必要であり,それを中核となって担う職員としての栄養教諭の専門性を十分発揮できるよう配置や業務の適正化について検討をお願いしたい。特に,1校1名の配置とはされていない現在の配置定数基準では十分な対応が難しい現状があり,御検討いただきますようお願いします。
 ロジックモデルで示された「教育施策の目標と施策群」について。
 目標(3)健やかな体の育成における「学校保健・学校給食,食育の充実等」について,測定指標候補について申し上げます。測定指標候補として,「朝食を欠食する児童生徒の割合の改善」が挙げられていますが,朝食を食べる・食べないだけでは,子供の食への意識の変化が見えにくいです。
 第3次食育推進基本計画においては朝食欠食0%が求められていることから,この指標に加えて,例えば,「栄養バランスを考えた食事をとっている児童生徒の割合」のように,食に関する意識の改善が把握できるような指標が設定できないか検討していただきたいと思います。
 学校全体での食育の推進については,各学校において,校長のリーダーシップの下,食育を推進する体制を整備することが必要と考えます。
 目標(16)の新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導体制の整備等について。
 食育の中核を担う栄養教諭の配置を進めていただきたい。栄養教諭の職務は,学校教育法において「児童の栄養の指導及び管理をつかさどる」と規定され,食に関する指導と学校給食管理を一体のものとして行う教員であります。栄養教諭は,学校教育法第37条2項において,「置くことができる」教員として位置付けられており,現行の配置定数の算定基準においては,一人の栄養教諭が本務校と併せ複数校を抱えることになり,全ての児童生徒に対して食育を行うことが困難な状況にあります。
 全ての子供たちに一定水準の食育が行われるような体制を整えることが重要であり,栄養教諭の配置定数基準を改善していただきたい。将来的には,全ての学校において栄養教諭が配置されるよう願っております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,次に,全日本教職員組合から,宮下書記次長,お願いいたします。

【宮下氏】
 全日本教職員組合の宮下と申します。よろしくお願いします。
 私たちは,まず教育振興基本計画そのものが,時の政府による教育介入を進める意図をもって教育基本法第17条に位置付けられたものと考えております。したがって,基本計画策定反対の立場です。第3期計画策定に当たってもその立場を表明した上で,計画の策定を行うならば,政府は教育に対して介入しないことを原則とすべきであること,また,行き届いた教育を進めるための教育条件整備に限定すること,の2点を求めるものであります。
 その観点から,第1に,教育に対して介入しないことを原則とすべきであり,以下の重要な問題点を持っているということを指摘したいと思います。
 一つ目は,教育の在り方は,本来,子供の実態を深くリアルに捉えて,そこから検討されるべきであると考えます。しかし,全体として国家や一部のグローバル企業が求める「人材」づくりを進めるものとなっていることが懸念されます。
 「審議経過」は,「教育の普遍的な使命」ということにおいて,「個人の資質・能力を最大限伸長し,生産性の向上により経済成長を図る」などと示しておられます。また,「教育をめぐる現状と課題」において,「グローバルに活躍する人材の育成」等を掲げておられます。これは全体として,国家や一部グローバル企業の求める「人材」づくりを強調しているのではないかと考えます。
 教育の在り方につきましては,子供の実態を深く捉え,そこから検討されるべきものであります。例えば,小中高校生の自殺は毎年300人前後を推移して,減っていない実態があります。また,身近な人間関係や社会からの排除により,基本的信頼を託すことのできる他者を喪失している子供たちが増えていると感じています。常に他者との競争にさらされる中で,自分自身への信頼や希望を奪われている実態があります。また,子供たちの体がおかしくなっているのではないかという声が多数聞かれます。その原因を探り,背景を分析することこそが今必要です。貧困と格差の拡大が大きく影響を及ぼしている実態もあります。そこから教育の在り方を探り,一人一人の成長・発達を保障するための教育条件整備こそが今求められると考えます。
 「審議経過」は,残念ながら,子供の実態から出発したものとは言えないと言わざるを得ません。成長・発達する主体は一人一人の子供です。学ぶ権利はそのために保障されると考えます。教育は国家や社会のその時々の特定の目的のためだけではなくて,国民一人一人の「人格の完成」のために行われるべきです。
 二つ目です。測定指標,参考指標が自己目的化し,一人歩きして,教育のゆがみにつながる危険性があるということを危惧します。
 国が「指標」を示すことは,「本来の目指すべき状況との乖離(かいり)や望まざる結果を招かないよう,十分に留意することが必要」としていますが,結果としては,各地方自治体や学校で自己目的化して,一人歩きし,教育のゆがみにつながる危険性があります。例えば,「全国学力・学習状況調査」,都道府県別平均正答率を公表することで順位が示され,各地方自治体では,「県の教育目標に『全国何位を目指す』などが入っている」,又は,「平均正答率を下回る学校には特別な指導を行う」などの実態が全国にまん延しています。
 また,子供たちの内面を数値化することについては,ひいては序列化につながる危険性も持ちます。
 さらに,地域や家庭に関わる指標については,国が地域・家庭の在り方に特定の価値を持ち込むこと,押しつけることにつながることになりかねない。教育内容の指標の設定は行うべきではないと考えます。
 三つ目です。競争と管理の教育を一層推進するものとなっていると感じます。
 日本の教育制度は,国連子どもの権利委員会から「過度に競争的」であると再三勧告を受けてきました。しかし,「審議経過」は,「各種国際調査を通じて世界トップレベルを維持」と示して,「全国学力・学習状況調査」の継続実施も掲げています。競争の教育は,生活と学びの個別化と分断化を進めます。また,排他的な競争意識や自他への不信感を拡大します。「自己肯定感」の低さにもつながっているのではないでしょうか。「全国学力・学習状況調査」を中止するなど,競争主義的な施策を排するべきです。
 第2です。子供と学校の実態を踏まえた教育条件整備に限定して,具体的な計画を立案し実施することを求めます。
 第1期の基本計画は,「OECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を参考の一つとしつつ,財源を措置し,教育投資を確保していく」としました。第2期基本計画は,「OECD諸国などにおける公財政支出など教育投資の状況を参考とし,必要な教育投資を確保していく」とあります。
 しかし,今回は,公財政支出などの「教育投資」の在り方については触れていません。様々な指標でOECD諸国との対比を行いながら,その基盤となる「教育投資」についての言及を回避することは,行政の責任放棄と言わざるを得ないと思います。まず,OECD諸国平均並みの公財政支出を行うことを示すべきだと考えます。
 また,教育の無償化や負担軽減について,就学支援金や奨学給付金,又は,貸与基準を満たす希望者への無利子奨学金貸与や給付型奨学金制度を挙げられています。「無償教育の漸進的導入」に関わる国連人権規約社会権規約第13条2項(b)(c)の留保撤回を踏まえて,高等教育を受ける権利を人権・社会権として捉えて,国がその義務を負う観点から,全ての子供たちを対象に推進することが重要だと考えます。教育の無償化を,国の責任において人権・社会権の実現として推進することを明確に示すべきです。
 また,教職員定数改善や35人以下学級の実施について触れていないことは重大だと考えます。教職員定数改善,35人以下学級の実施によって,子供たちと丁寧に関わることができ,実態に対応した指導が可能になるということは明らかです。自他への基本的信頼感を持てず,孤立や排除への不安・恐怖を抱えている子供たち一人一人を受け止めるには,教職員定数改善と35人以下学級の実施が不可欠です。
 また,教職員の長時間過密勤務の解消は,看過できません。しかし,抜本的な改善の方向は示されていないと考えます。教職員の専門性を発揮して,ゆとりを持って教育活動を進める環境を構築することが重要です。背景には,過度な競争主義や,管理と統制の教育があると考えます。教育条件整備も含めて,抜本的に教育政策を転換することが求められます。
 私たちは,国の責任による35人以下学級の実施,教職員定数の抜本的改善,給付制奨学金制度の拡充,権利としての教育の無償化などの教育条件整備こそ直ちに計画し実施することを求めます。
 以上で意見表明を終わります。ありがとうございました。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,今の二つの団体からの御説明を受けて,委員の方から御質問,御意見があれば,御発言をお願いいたします。
 阿部委員,どうぞ。

【阿部委員】
 栄養の団体さんの方にお聞きしたいことが一つあります。
 貧困の子供の現状では,恐らく,おっしゃったように,給食が唯一のきちんとした食事を取れる場になっているところがすごく多いので,中学校も含めて,全国に実施というのは,私も同感するところではございますが,今,その実施されているところにおいても,財政上の理由で,今,予算の中で一所懸命栄養士さんがすばらしい献立を考えてくださっていると思うのですが,そこの財政的なところで,栄養的なところで譲歩しなければいけないようなところが今現在あるのかどうかというのをお聞きしたいなと思います。
 例えば,野菜の値段がすごく上がったときに野菜を少なくしなければいけなかったなど,そういったようなことが実際にもう起こっているのかどうか。そうした場合は,家庭で補えない分,貧困の子供たちが厳しい状況に置かれてしまいますので,その辺りの御意見をお伺いしたいなと思いました。

【小川副部会長】
 最初に質問を幾つか受けて,まとめて回答をお願いします。
 近藤委員,どうぞ。

【近藤委員】
 私も栄養士協議会の長島様にお尋ねしたいと思います。
 おっしゃるとおり,今,給食を中心にした,より質の高い食育が求められるということは,お話のとおりでございます。ただ,それを実践していくためには,今まで以上にそれぞれの栄養教諭さんが高い意識や能力を求められるということで,施される食育の内容も,正直申し上げて,栄養教諭の能力によって各学校別に差が見られるという現実もある中で,今後,全国一律に高いレベルの食育を展開していくに当たっての,栄養教諭の今後の意識改革や能力向上のために,協議会として今後どのように対策を考えていらっしゃるのかというところを是非お尋ねしたいと思います。

【小川副部会長】
 あと一,二,御質問を受け付けます。川端委員,どうぞ。

【川端委員】
 私も学校給食の部分です。確かに,貧困の家庭で,保護者が学校給食に,とても安心しているという部分もあるのですが,逆に,そこで安心をしてしまって,学校給食をいっぱい食べておいでと。本当は家庭できちんとしなければならないのですが,それがかえってといいますか,安心し切ってしまい,なかなか家庭の食育という部分につながらないという懸念もありますので,その辺りをどのように,学校側として,教諭としてどのようにカバーしているのかということを教えてください。

【小川副部会長】
 全日本教職員組合に対する御質問はございませんか。
 なければ私の方から,実はたくさんあるのですが,もう時間がありませんので,1点だけ質問いたします。
 教員の長時間労働に向けては,正に今特別部会で審議中でして,それを踏まえながら,教育振興基本計画の方にこれから書き込んでいくという状況です。ですから,ここに関わって,全日本教職員組合として,教員の長時間労働の改善に向けて,最優先して取り組むべき方策は何かということを,全日本教職員組合の立場から少し御意見いただければと思います。
 では,質問が三つほど集中していますが,長島さん,お願いいたします。

【長島氏】
 それでは,一つ目の質問について,給食費は,おおむね各家庭から頂くのが基本なのですが,要保護家庭,準要保護家庭等については,市町村が全額負担をしている状況があります。したがって,食材の値上がりによって給食費をやり繰りしなくてはいけないときに,追加集金をするようなことはないわけです。栄養上の確保としては,例えばキャベツが高い,白菜が高いといったときには,それに栄養素的にも代替できるものを充当しながら,おおむね満足のいくものを提供するように工夫している状況があります。
 次に,食育の中核を担う栄養教諭の,資質の向上を図るために,全国学校栄養士協議会としましては,全国の会員を集めて研修会を逐次行っております。栄養に関する専門的知見,指導法・児童生徒理解等を修得するように,度々研修会・講習会等を行いながら,またホームページ等での発信により,全国的にレベルアップを図っていこうとしています。
 そして,栄養教諭免許状更新講習会も,文部科学大臣から指定を頂きまして,本会で,専門領域全て18時間履修できるよう開講しており,10年ごとに,その先を支えていける能力を身に付けることができるように切磋琢磨しているところでございます。
 そして,学校給食が充実することで,家庭が手を抜くのではないかということですが,これは貧困の家庭にかかわらず,「給食でしっかり食べているからいいわ」という声はよく聞かれます。しかしながら,給食現場からは,家庭の食事の見本となる給食を提供しながら,献立表等を通して家庭に望ましい食の発信をしておりますし,また,貧困家庭の子供たちについては,特別その子たちだけというわけではないのですが,保護者にも望ましい食事の取り方というものを,学校の食育により,子供たちが体得することを通して家庭に発信をし,家庭から感想を返す双方向の食育を行います。また,弁当の日等を設定して,家庭も一緒に巻き込んで食育の実践力を身につけさせ,家庭の教育力も機能させるよう行っているところです。。
 以上でございます。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。質問者の方で,何か一言ありますか。
 それでは,全日本教職員組合の宮下書記次長,よろしくお願いします。

【宮下氏】
 働き方の改革について,いっぱいあるのですが,3点だけお答えいたします。
 一つ目は,圧倒的にやはり人を増やすことだと思います。業務量とそれをこなす人という考え方でいきましたら,業務量をどう考えていくのかということは,いろいろな議論があるのですが,やはりそれを実際に行う教職員の定数を改善すること,また,学級規模の改善,これが最大の基本かと考えます。
 2点目です。同時に,業務の中身の問題でいきますと,子供に直接関わる業務は,学校の先生というのは本当に真面目にやってしまいます。それがいいところでもあるわけですが,逆に考えたら,いわゆる上から押し付けられて,せざるを得ない業務というのは,これは精選すべきだと,改善すべきだという工夫が必要だと思います。
 3点目ですが,労働法制上の問題です。公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法にある,残業をさせないという観点をしっかり現場に徹底すること,又は,労働安全衛生法の趣旨が現場になかなか周知されない,具体化されない現状があります。それをしっかり生かすことと,公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の改正が求められると考えます。
 以上です。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
それでは,このセッションは,これで終わらせていただきたいと思います。それでは,ありがとうございました。
 委員の方に御連絡ですが,前半はここで一応一区切りして,5分ほど休憩を取りたいと思います。それでは,休憩に入ります。
( 休憩 )

【小川副部会長】
 それでは,次のセッションに移りたいと思います。
 最初に,公益社団法人日本図書館協会から,森理事長,よろしくお願いします。御説明はおおむね8分ということでお願いいたしたいと思います。また,終了1分前と終了時間に事務局から紙を差し入れさせていただきますので,御了解ください。
 それでは,どうぞよろしくお願いいたします。

【森氏】
 公益社団法人日本図書館協会から御意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 実は私どもの団体,本日提出いたしている資料は,まだ検討の途中のものであります。本日のヒアリングの呼び掛けが早かったものですから,まだ法人内をまとめ切っていないところですので,それを御承知の上でお聞き願いたいと思います。
 ペーパーを2枚出しております。
 最初に,概要のところですが,概要の下の方,ローマ数字の2「教育をめぐる現状と課題」の(2)「社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ」というところですが,「人口減少と高齢化の進展」とございます。この高齢化の進展ということにつきまして,2016年に皆さん既に御議論されていると思いますが,総務省の報告によりますと,2016年に我が国は26%の高齢者人口ということでして,国連の規定による超高齢化社会にもう既に入っているということでございます。したがいまして,単に高齢化という概念だけでなく,超高齢化社会におけるこれからの教育をどうするかという目で考えていただければ有り難いなと思っております。そのことが,これからの社会において図書館がどんな役割を果たしていくかということに大きく関わりますので,そのことを最初に指摘させていただきます。
 次に,ロジックモデルというものがございます。このロジックモデルが今回付いておりますことは,今次の教育基本計画を理解する上で大変有効な枠組み提示と思います。このロジックモデルには,二つ大きなことを指摘させていただきたいと思います。
 一つは,1の「夢と自信を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」というところの2ページ目でございますが,この2ページ目の中に,「地域の教育力の向上,学校との連携・協働の推進」ということが掲げてあります。今回の教育計画の中で,地域の教育力の向上というところがたくさん指摘されていて,これは大変新しい発想で良いことかなと思います。しかしながら,教育政策をこれで提示していくということになりますので,可能ならば,この地域の教育力の向上のときに,“近隣の人から子供に声を掛ける”というようなことだけでなく,地域の教育力を上げるための施策,日本図書館協会の立場から発言させていただきますれば,社会教育という概念がありますが,その社会教育の中の教育施設,教育機会,それらを施策として充実していただければ大変有り難いと思っております。
 私どもでは,図書館と社会教育施設による地域の教育力の向上などを書いてほしいというよう意見を書いてございます。表現は先生方で御議論いただければよろしいと思いますが,地域の教育力の向上に施策をきちんと書き上げていただきたいということが第1の希望です。
 ロジックモデルの二つ目の意見は,3の「生涯学び,活躍できる環境の整備」というところでございます。ここは,大きくスペックを四つに分けられておられて,一つは,人生100年時代を見据えた生涯学習の推進,二つ目が,人々の暮らしの向上と社会の持続的発展のための学びの推進,三つ目が職業に必要なスキル等,それから,最後が,障害者の生涯学習の推進,この四つのスペックに分けておられて,そのスペックごとに施策群が挙げられております。その施策群の中に,やはり先ほど申し上げました,生涯学習を地域で推進するための施策名がきちんと書いてあると大変有り難いと思います。
 例えば,高齢者等の生涯学習の推進というところは,図書館は,生まれてから人生の終盤と言っては大変失礼ですが,高齢者の相当高齢のところまでの人たちの学習機会,学習計画,講座などを提供いたしておりますので,高齢者等の生涯学習の推進というだけでなく,生まれてから超高齢に至る多様な生涯学習の推進としていただければ有り難いと思います。
 それから,左から二つのまとまりの中では,社会教育につきまして,「民間の資金とノウハウを活用した持続可能な社会教育施設の運営」とあります。社会教育活動における資金の導入につきましては,多様な資金調達が行われております。公民館や図書館でも,寄附金をたくさん頂けるような,そのような社会を実現していただければ有り難いと思います。民間企業の導入だけでなく,多様な資金調達と多様なノウハウを活用した持続可能な社会教育施設の運営という,そういう概念で捉えていただければ有り難いと思っております。また,図書館は,障害者施設についても教育を展開しております。
 さて,本文について,二つの意見があります。
一つは,第2部「3.生涯学び,活躍できる環境を整える」のところに,項目を一つ立てていただきたい。「図書館を中核とした,生涯学び,活躍できる環境の整備」のような項目を一つ立てて,図書館が,今私が申し上げたような役割を果たすということを,3行でも4行でもいいので,項目を立てて書いていただきたいと願っております。
 二つ目は,1ページ戻りまして,「学校図書館の整備・充実」についての記述の中には,物的・人的双方が含まれていると思いますが,学校司書の話を是非入れていただきたいと思っております。
 以上です。

【小川副部会長】
  それでは,次に,日本高等学校教職員組合から,齋藤中央執行委員長,よろしくお願いいたします。

【齋藤氏】
 まず,委員の先生方におかれましては,皆様,お仕事がある中,このように真摯に計画策定に向けて御議論いただいていることに敬意を表したいと思います。ありがとうございます。
 私どもの団体は,高校と特別支援学校の教員が集まっている集まりでございます。私自身も3月まで普通に高校で勤務しておりまして,この役目を終えたら,また学校に戻るような立場の者でございます。ですので,主に高校,特別支援学校のところについてお話しさせていただければと思います。
 私どもの資料,4枚プラス1準備させていただきましたので,その資料に基づいて話をさせていただきたいと思います。
 最初の1ページ目のところにありますが,まず全体を通してのところでございます。先日,初等中等教育分科会のところでも,文部科学省の事務局の方から話があった,財源についてはまた議論という話がありました。あと,働き方についても,働き方特別部会の内容を踏まえたものとありましたが,是非,委員の皆様は思っていらっしゃるかなと思いますが,あえて私たちで言わせてもらえれば,絵に描いた餅の計画では仕方がないなというところを現場にいて本当に感じております。ですので,是非,予算規模の数値目標や計画について,具体的に5年間で何をやって,どこまでやるのだという工程表を示していただければ,現場としてもやっていけるのかなと思いますので,検討されていることとは思いますが,よろしくお願いしたいと思います。
 また,二つ目の囲みになりますが,そもそもこの計画自体は,私が言うまでもなく,委員の先生方御承知のとおり,教育基本法17条に基づくものでございますので,これは飽くまで政府(国)の計画でございます。文部科学省だけの計画ではないという視点で,他省庁のところ,例えば,子供の貧困であれば厚生労働省,ICTであれば総務省,生産性の向上であれば経済産業省であるなど,そういったところでも,ばらばらでありますが,予算要求を見ると,そういうふうな計画がございますので,そういったところも目配りしていただければ,より現場がやりやすいようなものになるのかなと考えております。
 三つ目の四角でございますが,教育基本法のところで,第2章で「教育の実施に関する基本」,どこの主体がやるのかというのは5条から15条まで示されていて,私どもの資料,5ページ目で,本来はこの資料ではなくて,私たちの政策要求のところで出している資料を抜粋したものなのですが,このようなところが組み合わさって日本の教育が行われているという法律の立てになっていると思いますので,その法律のどこの部分に基づいた施策での計画なのかということも含めたことを示していただければと思います。すみません,もとが違うので,高校の部分が教育基本法にはないよというようなことの資料になっておりますが,それはそれとして,取りあえず,5条から15条,どの部分の立てに基づいた計画なのかというところも示していただければ有り難いかなと思います。そうすれば,主体が分かるかなというところかと思います。
 私ども,主に地方の高校,特別支援学校の教員が集まったものですので,まず声を皆さんにお掛けして,どういったところで御意見ありますかとまとめさせていただいた具体のものがここです。1ページ目のところに,第2章以降のところで,こういったところを書き加えてもらえるといいなというような声をまとめてまいりましたので,是非お耳を傾けていただければなと思います。
 まず(2)豊かな心の育成の一つの項目で,伝統や文化等に関する教育の推進。私どもの資料の1ページのところに書き抜きがございますので,それを見ていただければと思ういます。そうすると,「武道」に関する記述がないという声を頂きました。これは体育の教員ですが,こういったものって記述が必要なのではないかという声や,これは健やかな体の育成に資するものにもなるというような声を頂きましたので,少し御検討いただければと思います。
 2ページになります。やはり一番声が上がってくるのが,5番のところの目標(16)になります。新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導体制の整備等のところです。やはり高校現場,特別支援学校の現場の先生方はなかなか大変な状況がございますので,いろいろな声が上がってまいりました。それをまとめたものになります。
 一つ目の囲みにありますとおり,最初に申しましたが,やはり5年計画ですので,5年計画に基づいた数的目標で,正直,教職員の数は足りていないという現場の感覚がございますので,具体的な定数改善計画は必要ではないかというところと,二つ目の囲みです。私たち,高校ですので,なおさら思うのですが,クラスごとの学級の定員ってどうなのかな。数学の教員は,国語は当然教えられません。そういったことを考えると,授業を基準にした教職員定数というもの自体の御検討,今回のところは難しいかなと思いますが,そういったところは必要なのではないか。やはり質の高い教育を考えたときに,必要なのは授業でございます。私,教育センターにもいたことがありますので,そのときの研修なども担当させてもらって,つくづく思うことは,中学校の先生方などは,免許外講習という形で,例えば,技術の免許のない先生を講習して,取りあえず授業をやってくださいというケースは多いんですよね。そういったようなところで,質が高い教育と言えば,やはり御自身の専門の免許のところで教えるということを考えたときに,小学校のような形での教職員の配置,教職員定数の算定の在り方というところは,もうそろそろ考えていただければなと思います。
 全体を通したところで,計画全体のところは,敬意を表して,これでいいかなと思いますが,それを付け加えて,より補強したという立場で話をさせていただいているところです。
 一番下のところですが,実は,義務ではなくて,高校ですと,いろいろな職種がございます。ここで触れている心理や福祉の専門家は当然のことながら,例えば,実習教員の方,学校司書の方,寄宿舎指導員の方,各種支援員の方,いろいろな方がいますが,ここのところも含めてチーム学校かなと思います。是非,外部のではなく,事務職も当然入っていますが,既存の職として,チーム学校というところを是非書き加えていただければと思います。
 3ページになりますが,心理職,福祉職といったスクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの方々についても,チーム学校の答申に出ていますので,こういったことも計画に是非盛り込んでいただいて,定数化の道筋を付けていただければなと思います。
 また,他団体からもございましたが,養護教諭の先生方,本当に大変なところだと思います。こういったところについても,複数配置のところも是非計画に盛り込んでいただければと思います。
 また,働き方改革についてのところも,これからまとめて入れていただけるという話を聞いてございますので,そういったところも入れていただければと思います。
 最後,4ページになります。もう時間もないところですので,まず学校安全のところ。まず学校管理下においては当然学校ですが,それ以外の部分のところを是非考えていただければと思います。学校だけではできない部分がかなりございます。
 最後,20番のところ,私たちは地方の教職員の団体ですので,地方の大学がなくなってしまうというのは本当に困る部分ですので,そういったところもお考えいただければと思います。
 時間が参りましたので,以上にさせていただきます。

【小川副部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,今の二つの団体からの御説明に対して,御質問,御意見がありますか。
 では,中井委員,お願いいたします。

【中井委員】
 齋藤先生にお伺いしますが,事務職員や自習教員,学校司書,寄宿舎の教員と,そういった既存の小さな職種も含めてチーム学校を形成するという考え方ということなのですが,具体的には,現状をどう改善したらいいのか,お話を頂ければと思います。

【小川副部会長】
 最初に質問を幾つかまとめたいと思います。
 では,百瀨委員,どうぞ。

【百瀨委員】
 ありがとうございます。
 齋藤委員長にお願いしたいと思います。3ページでしょうか,優秀な人材の育成と採用確保ということが盛り込まれておりますが,そのために,教員に求められているのは,勤務条件の改善とありますが,もともと教員を増やす,あるいは,優秀な教員を増やすために,さらに,もし具体的な方策等がありましたら,御提示願えればと思います。

【小川副部会長】
 ほかに,いかがでしょう。どうぞ。

【寺本委員】
 図書館協会さん,社会教育の関係の御発言,ありがとうございました。社会教育,大変重要なところではあるのですが,図書館として,社会教育を推進するに当たって,どういった機能を発揮できるのか,また,図書館に限らず,公民館を含めて,社会教育の各種の建物や団体等があると思うのですが,そういったところとの連携で,どういう形の社会教育ができるのかという,もしお考えがあったら教えていただければと思います。

【小川副部会長】
 それでは,よろしいですか。なければ,質問数の多い日本高等学校教職員組合の方からお願いします。
 それで,質問を一つ付け加えてほしいのですが,教職員一人当たりの授業持ちコマ数をベースにした定数算定というのは,一つの考え方として面白いと思うのですが,例えば,それを考えた場合,小中高でいわゆる標準的な授業コマ数というのはどの程度のものを考えられているかというのも,少し追加で御説明いただければと思います。
 それでは,よろしくお願いします。

【齋藤氏】
 御質問いただきありがとうございます。では,順番に。
 最初,2ページのところからですが,結局のところ,例えば,位置付けが曖昧な職で言えば,実習教員。それは義務の方はあんまり御存じないのかもしれませんが,高校には,理科や職業教育,専門教育などのところで実習教員,法律上は実習助手と呼ばれている職種がございます。こちらの方は,実は法律の立てがすごく曖昧なので,職員会議にも出さないで,事務室で事務作業をしているような方も各県によってはおります。かと思えば,職業系の工業などですと,教諭の先生よりも専門知識をお持ちですので,例えば,40歳くらいまで民間企業で実際に旋盤を回していた方が入ってきて,技術指導をしてくださって,その方の言うことが実際教育として役に立つなというところで,幅広く捉えられておりますので,改めてそのばらばらのところを,事務職員の方の司るに変わったところではありませんが,皆さん,それぞれの専門分野を司る職という形で位置付けていただいて,職員会議などでも,学校運営に参画いただけるような制度をまず作っていただくということが,一つ大切なことかなと思います。そういったところが実は抜けています。
 学校司書についてもそうです。これも職員会議に出て,きちんと,学校図書館館長は教諭ですから,教諭と一緒に話をして,こうですという提案をしてくださる方もいれば,いや,教諭ではないのだから職員会議に出ないで,決まったことをやればいいのだよという扱いのところもあります。それはやはり制度上曖昧な部分が残ると,運用上,それぞれの歴史的なところもありますので,そういったところが大切かと思います。まずは,位置付けとして,チーム学校ですから,ただでさえ人手が少ない学校ですので,全員で参画して学校運営をやっていかないと回らないというところは本当に正直なところだと思いますので,そういったところを制度面で担保していただくことが大切かなと思います。
 3ページ目のところの話について,正直,今も昔も教職というものに憧れを持っている生徒たちは一定数いると思います。私も教員に憧れて,最初は民間企業に就職し,転職してこの仕事をしていますが,一方で,若くして学校を去る方がかなりいます。結局,今の多忙化により,夢描いたとおりではない方,あとは,精神疾患等で学校を去る方はかなり増えてきております。そういった先輩の声を聞けば,おのずと希望者は減るというのは出てくるかなと思います。教育の養成大学で,「先輩やめたってよ」という話を実際教え子から聞いて,「私,やっぱり考えます」という声は,私は一人二人じゃないほど聞いております。ですから,待遇改善も当然なのですが,働き方改革のところで,特別部会で話をしていただいているような,まず教員が何をする仕事なのかというのをもう一度定義付けをして,私は授業だと思います。授業をやるのに当たって,きちんと適切な時間を取っていくことが第一かなと思います。部活を9時10時までやった後,翌日の授業研究をやるような職場ではなかなか難しいのかなというのが実感です。
 最後に,コマ数のところですが,義務教育の方は,存じ上げないので,高校ですが,高校は今,平均15点くらいというのが,先日,資料で文部科学省に出たと思います。平均すると,14くらいです。何でかと言いますと,高校の場合は,組織立っておりますので,例えば,進路指導主事という者があります。それと,生徒指導主事という者がおります。やはりその人たちはコマ数を減らします。対外的なところ,生徒の就職先の開拓などもやりますので,部長がコマ数を減らします。そうすると,ほかの方にしわ寄せが行きますので,私などは大体平均18から20授業を持っていました。部長も二つ持っていました。このようにしわ寄せが行きます。でも,平均にならすと15点くらいと出てくると思いますので,やはりそういったところを全部計算して入れると,15を切るところというのが平均値としては必要なのかなと思っております。
 以上です。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 では,次に,森理事長,お願いします。

【森氏】
 御質問いただいて,ありがとうございます。
 提出しました資料に,自治体総合施策における地域振興を目的とした図書館事業アンケートというアンケート結果を付けさせていただきました。図書館は,今,音を立てて変わっております。本を貸し出すだけが図書館の今の事業ではありません。図書館自らが,いろいろな公開事業,相談事業等を実施しています。それは図書館単独でやるだけではなくて,その地方自治体の他の部局,産業部局や厚生部局,福祉部局などと連携してやっております。それらの実態のエビデンスのために,このアンケート調査を付けさせていただきました。
 アンケート結果の25ページを見ていただくと分かりますが,今図書館がやっている事業の中で,人づくり事業だと図書館が認識してやっている事業が51%ございます。分かりやすい例を御紹介したいと思います。31ページ,福岡県を見ていただきたいのですが,「子育て女性の出張就業相談」というものを図書館がやっております。図書館は,利用者に直接就業支援ができるわけではありません。働きたいと思う人たちが図書館の資料を使って,その資料の読み方を司書と相談しながら,自分たちが再就職をできるような,そのような支援をしています。どのようにやっているかというと,その行政体のまず厚生部に相談して,図書館の中に託児室を設けていただきます。ですから,子供と一緒に図書館に行きます。それから,産業部局と連携して,その地域の中で子供を家に身近に置きながら就職できるような企業体を産業部局と相談して,いろいろな企業のリーフレットをもらって紹介いたします。で,講師を呼んできて,女性が子供を育てながら働くことがどういうことかというのを,図書館として公開講座等をしていく。これが典型的な例でございます。同じような事例は,この中にたくさん書いてございます。
 公民館について一言付け加えさせていただきますと,宮崎県の日向市の公民館に図書室があります。ここの図書室は,公民館ですので,社会教育主事がいます。その社教主事が,今申し上げたのと同じようなことをして,公民館の中でやっております。
 というわけで,具体的な連携例です。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。委員の方からも追加の質問等々があるかと思いますが,時間が来てしまいましたので,このセッションはこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
 次のセッションの準備まで,少しお待ちいただければと思います。

(ヒアリング団体4退室)

(ヒアリング団体5入室)

【小川副部会長】
 それでは,次のセッションに移りたいと思います。
 このセッション,最初に全国都道府県教育委員会連合会から,平松愛知県教育委員会教育長から御説明を受けたいと思います。御説明の時間は,恐縮ですが,おおむね8分ということで,よろしくお願いします。また,終了1分前と終了時間に事務局から紙を差し入れさせていただきますので,その点も御了解いただければと思います。
 それでは,よろしくお願いいたします。

【平松氏】
 愛知県教育長の平松でございます。全国都道府県教育委員会連合会を代表して,審議経過について,特に御留意いただきたい事項につきまして,意見を申し述べたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 お手元の資料,39ページからになろうかと思いますが,私どもの意見書に沿いまして,ポイントを絞って申し上げたいと存じます。
 まず第1部のローマ数字4について,客観的な根拠,エビデンスに基づくPDCAサイクルの確立が,短期的な視点での結果の追求にとどまることのないよう,根拠となるデータを継続的に把握していく方向性について記述を頂きたいと存じます。
 続きまして,第2部の目標(1)幼児期における教育の質の向上につきまして,幼児教育を推進する体制を構築するためには,保育士等の人材確保のための方策も含めて記述を頂きたいと存じます。
 次に,目標(2)について,意見書の2ページになりますが,測定指標候補の「いじめの解消しているものの割合の改善」につきましては,いじめが解消したという報告を安易に行うことにつながりかねませんので,慎重に御検討いただきたいと存じます。
 続きまして,子供たちの自己肯定感の育成に当たりましては,「自己有用感」を高めていくことが重要と考えておりますので,そうした方策につきましても記述をしていただきたいと存じます。
 また,いじめ等への対応の徹底について,特に配慮が必要となる児童生徒として,性同一性障害に係る児童生徒などへの対応の推進につきましても記述を頂きたいと存じます。
 次に,目標(3)のうち,学校や地域における子供のスポーツの機会の充実につきまして,学校の働き方改革の視点も含め,総合型地域スポーツクラブ等の活性化などの方策につきましても記述を頂きたいと存じます。
 続きまして,目標(5)のキャリア教育・職業教育の推進につきまして,地方創生の視点も含めた,地域の将来を担う人材の育成に係る方策につきましても記述を頂きたいと存じます。
 次に,3ページ目標(7)の外国語教育の強化につきまして,民間事業者等の資格・検定試験の活用の促進に当たりましては,学習指導要領との整合性が図られる必要があることについて記述を頂きたいと存じます。また,現行の英語の民間テストにおきましては,地方における会場は一部の地域に限定されておりますので,地方・過疎地等の受験生には多額の交通費・宿泊費等の負担が掛かることが想定されます。さらには,障害がある生徒の受験機会の確保や,目的や出題傾向,内容等が異なることによる公平性の担保などの課題も想定されますので,こうした課題を踏まえた公平な制度設計が必要であることにつきましても記述を頂きたいと存じます。
 続きまして,目標(11)につきまして,社会教育の重要性や社会教育施設の役割について記述いただきますとともに,国の責務として必要な措置を講ずることについて記述を頂きたいと存じます。
 続きまして,目標(14)について,地域の実情に応じた,小規模校における教育環境の充実を図るための加配定数の措置に対しての国の積極的な支援につきまして記述を頂きたいと存じます。
 次に3ページから4ページに掛けての目標(15)の特別支援教育の推進について,教員の専門性向上のための研修などの体制の整備や,就学前における早期発見等が可能となるような体制の整備につきましても記述を頂きたいと存じます。
 さらには,職業教育の充実,インクルーシブ教育システムの推進に向けた,特別支援教育コーディネーターの専任化,看護師等の人的配置や,児童生徒の増加に対応するための施設設備の改善充実につきましても,記述を追加していただきたいと存じます。
 続きまして,地域における外国人に対する日本語教育の推進につきまして,外国人児童生徒が学力を身に付けるためには,学校外での継続的な学習支援が必要でございますので,国が学校外での日本語教育支援の取組の充実を図ることにつきまして記述を頂きたいと存じます。
 次に,目標(16)についてでございます。測定指標候補の学内総勤務時間の短縮等につきまして,その把握に当たっては,学校に過度な負担が生じないよう,慎重に御検討いただきたいと存じます。
 続きまして,教職員指導体制・指導環境の整備について,子供の貧困に起因する学力課題の解消等,地域の実情に応じた計画的な教職員の配置等が図られるよう,必要な措置を講じることにつきまして記述をしていただきたいと存じます。
 また,次のページになりますが,公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律改正に伴う定数改善を着実に実施することや,教育の質の向上につながる各種加配の在り方についても検討し,必要な措置を講じることにつきましても記述をしていただきたいと存じます。
 さらには,学校における働き方改革につきまして,引き続き,学校が担うべき業務の考え方を明確にし,それに伴う必要な措置を講じ,その上で,将来的に学校の特性を踏まえた勤務の在り方等について検討していくことを記述いただきたいと存じます。
 続きまして,教員の資質能力の向上について,人材の確保に向けて,教員志望者を増加させるための方策や,管理職の資質能力の向上等の方策につきましても記述をしていただきたいと存じます。
 次に,目標(18)について,測定指標候補として,公立学校施設の耐震化率はまだ100%になっておりませんので,100%にするという項目を追加していただきたいと存じます。
 最後になりますが,「審議経過」全体につきまして,2点申し上げたいと存じます。
 1点目は,東京2020大会につきまして,フェアプレーの精神など,大会のレガシーとして子供たちに継承させていくようなオリンピック・パラリンピック教育の推進につきましても記述をしていただきたいと存じます。
 2点目は,地域文化の振興や文化財の活用につきまして,学校教育及び生涯学習において,これらの活用は大変重要でございますので,こうした観点からの記述につきましても,充実を検討していただきたいと存じます。
 以上,簡単でございますが,全国都道府県教育委員会連合会からの主な意見につきまして申し述べさせていただきました。ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,続けて,全日本教職員連盟から,井上事務局長,よろしくお願いします。

【井上氏】
 それでは,失礼いたします。全日本教職員連盟の事務局長をしております井上と申します。本日は,こういう機会を頂きまして,ありがとうございます。
 資料に沿って,私どもの見解として,お話しさせていただきたいと思います。
 まず第1部のところ,第2項の(6)教員の負担について,教員の負担というような記述をされておりますが,そこに教育内容の複雑化や多様化が進んでいること,それから,保護者等への対応が増えていることが原因や要因となって,負担が増加している現状によって生まれる弊害。具体的には,教員が本来行うべき業務,いわゆる授業準備や教材研究等の業務に関わる時間の確保が十分にできていないというところを具体的に記述していただければと思っております。また,そういう状況が,先般,教員の勤務実態調査として出ている,勤務時間が過労死ラインを超えていることについても,是非記入していただければと思っております。また,そういう現状や,現在の教員の待遇では,これから先,有用な人材を確保していくことが困難となっていることも,併せてお書きいただきたいと思っております。
 続いて,4の5,教育政策推進のための基盤を整備というところで,学校指導体制の整備について,文部科学省からの概算要求の中には,専科教員の増員がありますが,これは小学校高学年の英語新設に伴う授業時間の増加分に対応するためということで計上したにすぎません。その中に,しっかりと小学校の専科指導の必要性を明記することが必要であると考えます。それから,中学校に関しては,生徒指導担当の教員の専任化について等,具体的な学校指導体制の充実の必要性を入れていただければと思っております。
 また,先ほど述べました教員の勤務実態調査で示された教員の多忙に関しては,やはり教員のマンパワーに対して業務内容が噴きこぼれていることが現状であると思います。ですから,ここではもう抜本的に,質の高い教育を行うためにしっかり教員数を増やし,具体的には,教員一人当たりの持ち時間数を減らしていくことで,しっかり勤務時間内でのそういう活動を確保できる時間を確保できるような定数改善,あわせて,職務に見合った教職調整額の支給,それから,「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」の初心に立ち返った給与制度の見直しについてもしっかり述べていただければと思っております。
 続いて,ICT利活用のための基盤の整備というところなのですが,今年度中,規制改革推進会議の方から出されていました遠隔教育の中で,受信側に教員がいない中でそれができるようにするという提案が出されていたと思いますが,今目指している「主体的・対話的で深い学び」は,そのような状況では到底成り立つようには思えません。そのような動きがまた現れてくるようなときには,是非歯止めを掛ける必要があるのではないかと考えております。
 続きまして,第2部のところに関わっていきますが,1,主として初等中等教育段階の中の(1)確かな学力の育成についてです。ここで,まず幼児期における教育の質の向上について,私どもの団体でも,幼児教育部という専門部の活動があり,その部会の話を聞くと,認定こども園への移行の際に,地域によっては,幼稚園教諭が認定こども園の教員になるときに,待遇の移行にすごく地域差が出ているということです。そこのところをしっかり地域差が出ないように,待遇改善がしっかりされるようにしていただきたいと思っております。あわせて,幼児教育の質の向上をしっかり担保していただきたいと考えております。
 また,全国学力・学習状況調査の実施・分析・活用についてですが,今行われている学習状況調査の結果の公表に関して,過剰な競争が見られているように考えられます。それに対しての適正な実施・分析・活用となるような働き掛けを,しっかりしていただくような記述もお願いしたいと思います。
 次に,(2)豊かな心の育成に関するところで,いじめ等への対応の徹底,人権教育の推進について,まず「ネット上のいじめ」は,学校外で発生することが多いために,発見が遅れてしまう場合が多いように思われます。これらを防ぐためにも,総務省とも連携していただいて,事業者や保護者の責任を明らかにするような制度を設けていただきたい。
 また,いじめ等の早期対応,早期解決がとても重要になってくると思われます。また,スクールソーシャルワーカー等との連携をスムーズに行うためにも,生徒指導担当教員を是非全校に専任化という形で配置していただければ,今申し上げたような対応がすばやく取れると思われますので,お願いします。
 また,次に,青少年の健全育成に関して,子供たちが使っている情報端末等の使用に関して,有害サイトへのフィルタリングの義務化をしっかり行うことに関して,事業者の責任,また,そのフィルタリング解除には保護者の同意が必要ですので,保護者の責任を明らかにする規定を明記する必要があるのではないかと考えます。
 また,主権者教育の推進に関しては,いまだに政治的中立を著しく損なった授業実践が行われている報告も私どもに届いております。ですから,そういうことが行われない,正しい主権者教育が進められるような記述もお願いしたいと思います。
 また,生涯の各段階について,地域との連携に関するところですが,十分に地域の中に十分なマンパワーがあるのかは疑問です。さらに,地域の連携を行うために,学校には担当となる人員の配置が必要になってくると考えられます。
 次の,社会の持続的な発展を牽引(けんいん)するための多様な力の育成というところで,指標候補の中に「我が国の伝統,文化の尊重」について,まずそこが必要ではないかと思われますので,指標を設けるべきではないかと考えます。
 最後,特別支援教育の推進についてですが,学校内でしっかり子供たちの様子を把握し,外部との調整,方針の作成についてしっかり機能を発揮するためには,校内での特別支援教育コーディネーターは,専任化で置く必要があると思われます。また,地域コーディネーターとしては,特別支援学校の教員が,その地域の内で巡視指導,巡回指導等も行っていますので,そこのところもしっかり記述する必要があるのかと思われます。
 以上です。

【小川副部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,今の二つの団体の説明についての御質問,御意見があれば,御発言よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 では,中井委員,どうぞ。

【中井委員】
 全日本教職員連盟の井上事務局長さんにお聞きしますが,職責に見合った教職調整額ということの意味合いなのですが,職責というところがよく理解できないので,その御説明をお願いしたいのと,教員の多忙化の解消ということとこの教職調整額の関係をどう取っていくのか,その辺りについて,御見解をお願いいたします。

【小川副部会長】
 ほかに御質問はありますか。では,お願いします。

【寺本委員】
 平松教育長さんにお尋ねします。先ほど,ほかのヒアリングでも話があったのですが,実は,高等教育,特に大学ですね。国立大学になると,教育委員会管轄ではなくなってしまう。しかし,こういった中では,文部科学省の中では,やっぱりきちんと教育の流れの中で議論している。このことについて,実際に教育委員会を預かっていらっしゃる立場として,また,今の状態がいいのか,一括して文部科学省さんとの連携が取れている教育委員会がした方がいいのかというようなことで,率直な意見があったらお尋ねしたいなと思います。

【小川副部会長】
 では,平松教育長からお願いいたします。

【平松氏】
 大学の所管と高等学校以下の所管ということですが,大学教育と高等学校以下の教育は,質的にも随分違うもので,高等学校までは,ほとんどの子供たちが通うということでございますので,違うと思います。
 あと,大学との連携につきましては,愛知県では,県内の40程度の大学との意見交換の場も持っておりまして,今後,高大接続改革という議論もございますが,そういった形で連携を図りながらやっておりますので,特に,今,寺本委員御指摘のように,何らか私どもで支障を感じているということはございません。

【小川副部会長】
 寺本委員,よろしいですか。
 それでは,井上さん,よろしくお願いします。

【井上氏】
 では,失礼いたします。
 私は,現職小学校教員なのですが,学校の方で授業準備等は全教科あり,それをしっかりしようと思えば,勤務時間外がその時間に当てはまり,本当にやることはたくさんあって,今,働き方改革の方でも,勤務時間の管理の意識をしっかり持つというような話合いもされていますが,小学校教員としましては,本当に自分のやりたいことをやりたいだけやりたいというのが本来思っているところではあります。そうした子供たちの学力向上や心身の健やかな成長を担った責任を持った業務を行っているところであります。
 それを考えても,今ある教職調整額というのが,その時間外の勤務分も,大方40年前の基準で,4%,時間外勤務8時間相当というように,それがずっと残っている現状があり,また,今年出ました教員の勤務実態調査の時間外勤務の結果等も踏まえると,職責に見合った教職調整額の支給にはなっていないのではないかというのが実際の感想だと思います。

【小川副部会長】
 中井委員,それでよろしいですか。
 ほかに,いかがでしょうか。なければ,これで,このセッションは終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは,次のセッションまで少しお時間,お待ちください。
 委員の皆さんももう大分お疲れだと思いますが,今度のセッションで終わりになりますので,最後,30分ほどよろしくお願いいたします。

(ヒアリング団体5退室)

(ヒアリング団体6入室)

【小川副部会長】
 それでは,団体ヒアリング最後のセッションに入りたいと思います。このセッションは,三つの関係団体からのヒアリングになっております。
 最初に,日本私立大学教職員組合連合の藤田書記長からよろしくお願いいたします。御説明はおおむね8分程度ということで,よろしくお願いいたします。
 それでは,よろしくお願いします。

【藤田氏】
 それでは,日本私立大学教職員組合連合を代表しまして,「審議経過報告」への意見並びに「答申」に向けた提案をしたいと思います。
 最初に,私たちの日本私立大学教職員組合連合は,私立大学・短期大学の教職員組合の連合組織でありまして,全国の約220の大学・短大で働く教職員約2万人が加盟している組織です。
 私たちは,教職員の労働条件や教育研究の環境の向上,民主的な大学運営といった取組だけではなくて,学生の経済的負担の軽減,私学助成の増額などを求めて,全国規模で取組を進めています。特に,学生の経済的負担軽減,私学助成の増額につきましては,国会請願署名活動を実施しておりまして,毎年,学生・保護者・教職員・地域住民などから20万筆以上の署名をお預かりして,国会に提出しております。
 それから,『私立大学政策提言』というものを取りまとめまして,適宜改訂を重ねながら,政府・文部科学省,各政党に提言の実現を求めてきました。直近のものは,お手元の資料51ページに,『私立大学政策提言』という形で載っていると思います。
 それから,当部会が9月19日付けで公表しました「審議経過報告」を拝見しましたが,8分という時間の制約もありますので,その中から,4の「誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する」と,5の「教育政策推進のための基盤を整備する」に関する論点を中心に,これから意見・提言を述べさせていただきたいと思います。
 まず,教育振興基本計画の前提としていただきたい事実でございますが,これは日本の大学制度の特徴についてでございますが,御存じのように,私立大学が公教育機関として日本の大学の圧倒的な部分を占めております。大学数の8割,学生数の7割以上という,そういう事情にありますので,日本の高等教育の発展・充実を図る上で,私立大学の振興は「決定的に重要」だということを強調したいと思います。
 しかし,この間の教育政策の現実はどうだったのでしょうか。私たちは『政策提言』でも強調していますが,公財政支出における甚だしい格差は放置されたままです。これは資料1ということで,お手元の55ページのところに掲示してありますが,学生一人当たりに換算した予算額では,私たち私立大学は,国立大学に比べて低い水準です。したがいまして,私立大学の教育研究活動を維持するコストは,学生の家計負担に大きく依存せざるを得ず,それが高学費の最大の要因になっております。さらに,これは資料の57ページに載せてありますが,授業料減免や奨学金についても,国立私立間の大きな格差が存在しております。
 私たちは,私立大学の振興が決定的に重要だという立場に立つならば,この格差を解消するということを大きな課題として位置付けるべきだと考えております。
 具体的な中身に入っていきたいと思いますが,まず,4の「誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティネットを構築する」という項目に関してでございますが,「審議経過報告」では,「意欲と能力のある若者が,家庭の経済事情にかかわらず,質の高い教育を受けられるようにすることが重要である」と述べている。この方針そのものには大いに賛同したい。
 しかし,第2部の「今後5年間の教育政策の目標と施策群」の59ページの記述では,その具体策が,貸与基準を満たす希望者全員への無利子奨学金の貸与,給付型奨学金制度や所得連動返還型奨学金制度の運用,授業料減免による支援の3点にとどまっている。
 これらはもう既に現在実施されている制度でありまして,これだけでは,現行制度をどのように改善・充実するのかという方向性が全く具体的ではない。特に,貸与基準を満たす希望者全員への無利子奨学金の貸与については,文部科学省は今年度予算で実現したという見解を示しておりますが,私立大学は無利子奨学金の採用率が低い状況にありまして,その意味では,残存適格者がどの程度解消されたかというのをきちんと検討していただきたいと思います。給付型奨学金制度は来年度から本格実施するとされていますが,現段階の計画では給付額も給付対象者数も非常に不十分であると私たちは考えております。それから,所得連動返還型奨学金制度については,有利子奨学金への導入や返還負担の一層の緩和などが検討課題とされているが,これらの課題をどうしていくのかということは,「審議経過報告」の中できちんと説明されておらないということが問題だと考えております。
 私が最も重要だと考えておりますのは,授業料減免のところでありまして,これは57ページの私たちの『政策提言』の表4を御覧いただければ分かるのですが,授業料減免への支援は,私立大学等経常費補助並びに国立大学法人運営費交付金で措置されていますが,その内容には大きな格差があります。したがいまして,私たちは,こういう経済的理由による就学困難を抱える学生に私立も国立もないという,そういう立場に立つならば,こうした私立国立間の不合理な格差というのは直ちに解消されるべきだと考えております。
 さらに,上記に加えまして,以下の施策を盛り込むということを提案したいと思います。
 一つは,高等教育の漸進的無償化に向けた具体的な計画の立案でございます。それから,2点目は,私立大学生の学費負担軽減に関する施策の立案でございます。既に述べましたように,日本の大学生の4分の3を占める私大生の学費負担が非常に大きいということを考えますと,高等教育の無償化と関わりまして,高等学校就学支援制度と同様の制度を大学に新設するということを要求したいと思っております。これについては,75ページの資料3に出しております。
 それから,5の「教育政策推進のための基盤を整備する」に関して,私立大学等経常費補助についてでございますが,これは年々減額されておりまして,2015年度には9.9%まで低下しておるという現実がございます。したがいまして,私たちは,基本的な方針に,私立大学等経常費補助を増額して,補助率を引き上げることを明記してほしい。それから,経常費補助率が9.9%まで落ち込んでいる現状に鑑みて,経常費補助の増額を優先課題と位置付けてくださいということです。
 それから,大学進学率の地域間格差の解消でございますが,「審議経過報告」でも記述はされているのですが,余りにも不十分だと考えております。したがいまして,地方私立大学に対しても,経常費補助の支援を強化するということを要望したいと思っております。
 時間がなくなりましたので,以上で私たちの意見と提案,提言を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,次に,全国大学高専教職員組合から,中富中央執行委員長,よろしくお願いいたします。

【中富氏】
 このような機会を設けていただきまして,ありがとうございます。
 全国大学高専教職員組合は,国立大学法人及び高専の教職員からなる組合です。既に提出しています資料77ページに即して述べさせていただきます。
 1.高等教育についても,教育を受ける権利を等しく保障すること,進学機会を広い層に提供するようにすべきこと,ということで,今,日本私立大学教職員組合連合も述べられたように,授業料の免除,それから,奨学金の一層の拡大をお願いしたいということで,財政が厳しいということも承知しているわけですが,やはりグローバル社会においては,教育こそ最も有効な投資であるという視点に立って,国の政策の重要な柱の中に位置付けて取り組んでいただきたいと思っております。
 丸ぽつの二つ目ですが,大学を,「生涯学び続ける」ための機関として明確に位置付けていただきたい。
 それから,丸ぽつ三つ目ですが,留学生の受入れ,送り出しを促進することは重要で,現在,大学が取り組んでいるところですが,こうしたことにつきましては,非常に人員が必要であるということも踏まえまして,そのための支援をやはり充実していただきたいと思っております。
 それから,丸ぽつの四つ目ですが,大学での学びを保障するために,その地域間の配置について慎重に検討を進めること。現在の検討においては,大学間の連携・統合等も検討されていると書いてありますが,そのことによって,地域の大学で弱体化が起こりますと,低所得層はやはり地元の大学にしか行けないということで,選択の幅が狭まりまして,進学率の低下に一層拍車が掛かる。進学率の低下に拍車が掛かると,また地域間格差に拍車が掛かるということで,やはり教育はそうした格差を乗り越える手段であるべきであって,格差を拡大するものになってはならないのではないかと考えております。
 それから,次の丸ぽつですが,公的支出による給付型奨学金については,やはり大学院生も対象にしていただきたい。優秀な学生が大学院に来るということが,社会の発展にとっては重要であるということを思っていますので,是非検討していただきたいと思います。
 それから,大きな2番目です。大学での教育,研究活動を十分に保障するための制度的,財政的裏付けの整備を進めることということで,やはり今行われている過度の選択と集中は改めまして,まずは,やはり研究と教育に必要な基盤的経費を配分していただきたい。それぞれの大学において活力を取り戻すことが重要だろうと思います。今,理系の先生に聞きましても,科学研究費が取れないと,もう学生の教育用の実験器具さえもそろえられないという事態が起こっているようでございます。
 そういう意味でも,大学の裁量による自律的発展を可能とする,運営費交付金,私学助成等の公的支出による基盤的経費の充実をお願いしたいと思います。
 それから,「ガバナンス改革」がよく言われていますが,これもやはりいたずらに学長への権限集中を進めていると思われるのですが,人間の体を見ましても,脳が全てに指令を出して人間の体を動かしているわけではなくて,それぞれ自律的に動いていて,問題があったら頭が指令を出すわけでありまして,そういう意味で,学長が大学にとって責任を取ることは重要だ,当然だと思いますが,それを,権限を全て学長に集めて指示させるような改革は誤りだろうと思っております。
 それから,3番目,教育基本法7条を遵守することと書きましたが,これはやはり基盤的経費の充実は7条の要請であるとの主張でございます。
 教育基本法7条1項が定めますように,大学は,「深く真理を探究して新たな知見を創造」するところです。そのためには,やはり学問の自由が必要ですが,この学問の自由について,ドイツ憲法裁判所は,次のように述べています。「学問は,原則的に他者決定から自由な,自己責任的領域である。学問の自由の基礎にあるのは,社会的な有用性や政治的な実用性といった観念から自由な学問こそが,学問に与えられている諸任務を最もよく実現しうる,という思考である」。このように書いておりますが,それは非常に味わうべき判決だろうと思います。
 その意味におきまして,「審議経過について」では,学問の自由や大学の自治について全く記載がないというのは問題ではないかと思っております。
 また,近年,大学を「イノベーション人材の育成」や「イノベーション創出」の尺度だけで評価する傾向がありますが,やはり社会への寄与というのは,研究そのものによって果たされるというのが本来だろうと思います。確かに,法人化に当たって,大学には,学問の自由と区別された管理の自由というのが認められて,ここに自己規律が要請されたわけで,この管理の自由のもとに学問にも自己規律が求められていると,こういう構造になっていると思います。
 そこで,大学は,そうしたことをやるために,教育基本法7条2項が言うように,やはり自己規律のもとに自主的に大学の使命を果たすことができるということが大事であって,そのための環境を保障すべきだと思います。その中で,やはり大学は,若手による地道な中長期的な視野に立ったスケールの大きな研究を支えることができるのではないか。
 ところが,基盤的経費を縮減し競争的経費を増大させているという最近の政策の中で,大学はほとんどこれに振り回されていて,大学の自主性というのは失われているのではないかと思われます。そういう意味で,こうしたことは法の趣旨を空洞化させるものであると思います。
 次に,学生の中で,やはり博士課程への進学意欲が大きく減退しております。これは先ほど述べましたように,一方では財政的な貧困という問題がありますが,もう一方では,自由な発想により長期的な研究を行うという魅力がなくなってきているのではないかと思われるところでございます。
 4においては,大学教職員の地位を明確に確立し,その一環として労働条件の整備を進めることということですが,特に若手が任期付きのポストにしか就けない,賃金も低いなど,そういう将来の不安に脅かされている。そのために,やはり優秀な人材がアカデミックポストを敬遠するという事態が起こっているのではないかと思っております。
 任期付き自体についても,我々は批判的なのですが,これを認めるとしても,やはりテニュア(終身雇用資格)というものがその先になければ,若手教員の心も折れてしまうのではないかと思いますので,そうしたことも制度的に検討していただきたいと思っております。
 ということで,大学において新しい知を創造し,社会に貢献できるようにするためには,優秀な人材が集まる条件が必要であって,労働条件の整備が不可欠だということ,そういう意味で,それは給料等々でも反映していただきたいところですが,アメリカのように何千万取る教授を生み出せというのではなくて,やはり一定の水準と,勉強する時間といったことを確保していただきたい。最近,教育の充実ということが言われて,確かに教育は充実してきたと思うのですが,コマ数は同じなわけですよね。そうすると,教員はそれに非常に時間を取られていて疲労感があるということで,その点は,教育を充実させたのだから,やっぱりその分コマを減らすなど,そうしたことも含めて,労働条件を考えていただけたらと思います。
 以上です。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,次に,全国養護教諭連絡協議会から,村井会長,よろしくお願いします。

【村井氏】
 よろしくお願いいたします。
 全国養護教諭連絡協議会は,全国の53研究団体からなる全国組織の養護教諭の研究団体でございます。この計画に基づいて,養護教諭が果たせる役割についてを中心に,養護教諭の立場で意見を述べさせていただきます。
 資料に基づいて,ポイントとなるものを説明させていただきます。
 まず,社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ,取り組むべき課題の中で挙げられている子供の貧困,暴力行為,不登校,いじめ等の問題は,いずれも児童生徒の心身の健康に起因したり関連したりするもので,その早期発見と対応には養護教諭の役割が大変重要であると考えております。
 次に,教員の負担に関する指摘については,これは養護教諭についても同様のことが言えます。児童生徒の健康課題の解決のために,専門性を有する養護教諭の役割はとても大きく,常に個別に時間を掛けて対応する必要があります。子供たちに掛ける時間が増える分,ほかの業務の時間が確保できず,放課後以降にまとめて行うことになり,超過勤務につながる現状があります。また,児童生徒だけではなくて,教職員,保護者も相談に保健室を訪れます。保護者からは,電話相談を受ける機会も多くて,長時間に及んでしまったり,何度も掛かってきたりすることがあります。養護教諭の業務は,この資料にあるとおり,これ以外にも多岐にわたっておりますが,ほとんどの学校で養護教諭は一人配置となっており,その負担は大変大きいと言えます。教員の負担に関してと一くくりにするのではなくて,養護教諭についても,また養護教諭の特性ならではの負担があるということも触れていただきたいと思います。
 次に,今後の教育政策に関する基本的な方針については,私たち,養護教諭の願いは,ほかの教員も同様であるとは思いますが,どんな時代であっても子供が夢と自信を持ち続けられることです。養護教諭は,その力の育成の基本となる健康教育を,家庭,地域と連携しながら推進しております。
 次に,今後5年間の教育政策の目標と施策群について。
 まず豊かな心の育成についてですが,いじめ等への対応の徹底には,養護教諭は,日頃の健康観察や保健室来室時に,その兆候等にいち早く気付くことのできる立場にあるため,早期発見・対応にその役割が大変期待されております。
 青少年の健全育成の観点では,インターネット利用に関連したいじめやトラブルに巻き込まれ,保健室に相談に来る児童生徒も増えております。中には不登校になってしまうような事例もあります。情報モラル教育とともに,人間関係づくりやコミュニケーションに関わる指導が重要であると考えます。
 さらに,スマートフォンやゲームに対する依存傾向も現代的健康課題として問題になってきております。児童生徒の健康管理の面からも,その予防と改善はとても重要であると考えます。
 次に,健やかな体の育成についてですが,養護教諭は,生涯にわたってたくましく生きるために必要な健康や体の育成のため,健康診断の結果を生かした取組や,病気やけがの予防,生活習慣の確立などにつきまして,専門性を生かした保健管理や健康教育を推進しております。また,養護教諭は,子供の健康課題の対応に当たり,学校内における連携,地域との連携においてコーディネーター的役割を担う必要があるとされており,学校保健活動の推進に当たって,中核的な役割を果たしております。今後5年間の教育施策において,より積極的な役割を果たすためにも,是非,この文章の中に,「養護教諭の役割について」を明確に示していただきたいと考えます。
 次に,多様なニーズを持つ者への教育機会の提供についてですが,養護教諭は,特別な支援を要する児童生徒に関わることが多く,校内体制の中で,専門的な立場で児童生徒の心身の健康問題を把握し,指導や保護者への助言等を行うなど,重要な役割を担っております。
 不登校児童生徒に対する教育相談体制の充実については,養護教諭は,心と体の両面に関わる健康相談を推進しており,教育相談体制の充実に大きな役割を果たしていると言えますが,さらに,スクールカウンセラー等の専門スタッフと連携し,組織的な体制を構築することで,個に応じた効果的な支援を行うことにつながると考えます。
 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導体制の整備につきましては,質の高い教育の提供のために,チームとしての学校の実現に向けた取組を行うことは大変効果的であると考えます。養護教諭は,以前から,日頃の児童生徒の様子を把握し,担任等と連携を図りながら,学校,家庭での状況を踏まえた支援を行うなど,児童生徒の心身の健康に関して中心的な役割を担ってきました。今後は,更に教員と連携・分担しながら,チームで支援を行うことができるよう,専門スタッフとの協働が求められております。その際,養護教諭が連携のための窓口としてコーディネーター的な役割を果たしていくことが大変重要であると考えます。
 次に,教員の資質向上を図ることについては,養護教諭も,養成,採用,現職研修が連携してその向上を図ることが以前から指摘されていますが,養護教諭の研修は,教育職員特例法の規定に基づいた研修制度に位置付いていないため,地域差が生じています。また,一人配置の学校がほとんどであることから,校内において職務に必要な知識・技術等の指導・助言を受ける機会が限られており,特に経験の浅い養護教諭は,不安を感じることがあります。研修制度に加えて,地域にリーダーとなる指導養護教諭等の配置を推進し,日常の指導・支援をする体制の構築を検討いただきたいと考えます。
 最後に,児童生徒の健康課題の解決に向けては,一人一人に適した細やかな対応が求められています。養護教諭は,専門性を生かしつつ,その中心的な役割を果たしていますが,未配置校では,それらの対応が受けられないことになります。また,保健室には,休み時間には多くの児童生徒が来室します。その中で,養護教諭は,優先順位を見極め,適切な対応をしなくてはなりません。短時間での対応では,重要な問題を見逃してしまうおそれもあります。心理的なことでも身体症状として訴える場合も多くて,来室の背景にいじめや虐待の疑いがある場合,性に関する問題等も含め,時間を掛けた対応が必要です。
 資料に,平成27年保健室利用状況に関する調査の中で,養護教諭が児童生徒へ対応した時間が示されています。対応が5分未満だった割合は,児童生徒数が多くなれば高くなっており,対応時間が短いことを示しています。一人の養護教諭では十分な対応が困難であることがうかがえます。
 子供へのきめ細やかな対応の充実を図るためには,小規模校においても養護教諭を配置していただくこと,また,養護教諭の複数配置の拡充が不可欠と考えております。是非,養護教諭の配置基準の見直しをお願いいたします。このことに関連した参考資料を最後に掲載させていただいております。御覧いただければと思います。
 以上です。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,今の3団体からの御説明について,御質問,御意見があれば,委員の方から御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 金子委員,どうぞ。

【金子委員】
 まず一つは,国立大学でございまして,全国大学高専教職員組合にお伺いしたいのですが,コメントの3ページのところに,若手の任期付きポストの問題が出ています。これは今,非常に大きな問題になりつつあるわけでありますが,これについて,振興計画の中では,どのような扱いをすべきか,どのような記述が必要かという点について伺いたいと思います。
 それから,続いて,日本私立大学教職員組合連合にお伺いしたいのですが,私立大学については,任期付きもさることながら,非常勤教員の割合が非常に増えているということも問題になっています。15ページの上から5行目に,大学の教職員等の任期に関する法律の対象を制限すると書いてありますが,これは具体的にはどのようなことを意図されておられるのでしょうか。
 それと,もう一つ,中間報告の70ページでは,下から二つ目のぽつで,学生が確保できない大学については,経営判断等々によって廃校の手続などを行うということが書いてありますが,こういった点については,具体的にはどのようにお考えになるのでしょうか。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。
 ほかに御質問ございますか。では,なければ,質問の多い日本私立大学教職員組合連合の方からお願いしましょうか。よろしくお願いします。

【藤田氏】
 御質問ありがとうございます。
 大学の教職員等の任期に関する法律の対象を制限し,任期の定めのない教職員を増員する政策に転換することという項目に関してでございますが,私立大学は,確かに,大学におきまして非常勤講師に依存する割合が非常に高いのが実態でございます。その上で,多くの大学とは言えないのですが,幾つかの大学では,大学の教職員等の任期に関する法律を,適当に運用しているところがあったりするという実態がございます。例えば日本私立大学教職員組合連合に加盟するある大学でも,以前はそういう形で,大学の教職員等の任期に関する法律を逸脱するような,新しく採用する教員は任期制とする話があったのですが,私たちの要求で,現在は,基本的には全員が任期のない教員として採用するという方向に転換しております。そういう意味では,飽くまでも大学の教職員等の任期に関する法律の対象の中で,その大学で必要な部分にのみ私たちは限定すべきだと考えております。
 それから,70ページの審議経過についてですが,改革が進まずというところは,これは私たちも非常に注目しておりまして。しかし,改革が進まないというのをどういう観点から判断するのかというのは非常に不明確ではないかと。つまり,多くの私立大学では,改革を進めていてもなかなか集まらないという現実がございますし,改革を進めても,恐らく5年10年単位でないと成果が出てこないという,そういう面もございますし,したがいまして,改革が進まないからイコール学生確保ができないんだという,そういう観点はむしろおかしいのではないかと。
 地方私立大学の振興のところで述べましたが,やはり地方の私立大学をいかに振興するかということは,今後の地方創生にとっても非常に重要な課題だと考えておりますので,地方の私立大学に対しては,特段の配慮が必要だと考えております。
 以上です。

【小川副部会長】
 全国大学高専教職員組合の方,よろしくお願いします。

【中富氏】
 どういう言葉にするかは難しいところがあるのですが,任期付き教員については,やはりテニュア(終身雇用資格)を与える機会を設けるべきであるという形で,特にプロジェクトで雇われ続けて,結局,自分の研究業績が残せないというか,そういう形で将来ノーベル賞を取るような研究者が育たないとも言われていますので,そういうような教員についても,やはりテニュア(終身雇用資格)を与える機会を与えて,そうした中長期的な自分の研究ができるような地位になる機会というものを保障していくという,そうしたことを是非検討していただきたいと思います。

【小川副部会長】
 金子委員,今,回答いただいたことに対して,何か御意見はございますか。

【金子委員】
 全国大学高専教職員組合のところは,私自身の興味があるのでお聞きしたいのですが。確かに,テニュア(終身雇用)の教員を増やした方がいいのはよろしいわけでら,これは予算を増やせばいいということにもなります。もう一方で,組合や,あるいは,様々なほかのメカニズムを通じて,任期のある教員について,何らかのほかの支援措置というようなことは考えられないのかということも一方で考えるのですが,そういう点について御意見を伺いたいと思いました。

【小川副部会長】
 いかがですか。

【中富氏】
 そういう意味で,改正労働法が,例えば,5年やったら無期に転換されるように,そこで,例えば,任期付きで教育をするなど,何らかの任務で採用されて,5年間それなりにきちんとやれたということで,なおかつ,その仕事があるのであれば,それはもう無期転換にするなど,そのような形で対応するというのも一つかと思います。なかなかいろいろな類型がありますので,一概に言えなくて,難しい問題で,申し訳ありませんが。

【小川副部会長】
 金子委員,よろしいですね。
 ほかに,いかがでしょうか。全国養護教諭連絡協議会に対する御質問ございますか。
 なければ,私の方から確認というか,教えていただきたいのですが,本日の御説明の大きなポイントは,養護教諭の複数配置ということだと思います。最後に添付資料で,現行法のもとでの複数配置の基準が記載されていますが,協議会からの要望とすると,その複数配置の基準をどれくらいまで下げてほしいという具体的な要望はございますか。

【村井氏】
 今具体的なデータは持ち合わせていないのですが,基準の人数を下げることのほかに,やはり学校や地域の課題によって,児童生徒数が少なくても,課題を抱えている児童生徒が多い場合には,対応の充実が難しいこともありますので,加配を含めて柔軟な対策を考えていただくことも,拡充の一つのお願い事項でもあります。

【小川副部会長】
 分かりました。ありがとうございます。
 ほかに,いかがでしょうか。なければ,ちょうど時間が来ましたので,本セッションの意見交換は,これで終わらせていただきたいと思います。
 本日御参集いただきました関係団体の皆様には,本当にお忙しいところ,ありがとうございました。頂きました御意見につきましては,今後のこの計画部会の議論に生かしていきたいと思います。本日は,本当にありがとうございました。
 最後に,今後の日程等について,事務局から御連絡あれば,よろしくお願いします。

【内田教育改革推進室長】
 資料4を御覧ください。次回18回ですが,11月17日火曜日10時から文部科学省第二講堂で予定しております。
 次は,客観的な根拠(エビデンス)を重視した教育政策の推進について御審議を賜れればと思っております。また,そのほかに,関係団体ヒアリングについても,現在調整中の団体がございますので,改めて御連絡させていただきます。
 以上でございます。

【小川副部会長】
 ありがとうございました。それでは,本日の会議は,これで終了したいと思います。本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。

―了―

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