教育振興基本計画部会(第8期~)(第21回) 議事録

1.日時

平成30年2月23日(金曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 「第二講堂」 (旧庁舎6階)

3.議題

  1. 第3期教育振興基本計画について(答申(案))

4.出席者

委員

 北山部会長,河田副部会長,明石委員,阿部委員,石田委員,大橋委員,金子委員,川端委員,菊川委員,白井委員,高橋委員,田中委員,田邉委員,柘植委員,戸ヶ﨑委員,中井委員,永田委員,羽藤委員,丸山委員,宮本委員,無藤委員,村岡委員,山内委員,渡邉委員

文部科学省

 戸谷事務次官,小松文部科学審議官,藤原官房長,中川総括審議官,常盤生涯学習政策局長,藤野サイバーセキュリティ・政策評価審議官,山下大臣官房文教施設企画部長,山﨑大臣官房文教施設企画部技術参事官,塩見生涯学習総括官,下間大臣官房審議官,里見大臣官房国際課長,中村初等中等教育局特別支援教育課長,有松国立教育政策研究所長,堀野高等教育局高等教育政策室長,氷見谷生涯学習政策局政策課長,内田生涯学習政策局政策課教育改革推進室長,寺坂生涯学習政策局政策課教育改革推進室長補佐, 他

5.議事録

【北山部会長】
 ただいまから第21回教育振興基本計画部会を開催させていただきます。お寒い中,また,お忙しい中,お集まりいただき誠にありがとうございます。本日は前回までの議論を踏まえ,第3期教育振興基本計画(答申(案))について御審議いただく予定にしております。
 この第3期教育振興基本計画については,2年前の4月の諮問以来,審議を重ねておりますが,もし,本日皆様の御了承が頂けるようでしたら,部会としての議論は本日で最後とさせていただきたいと考えています。よろしくお願いいたします。
 審議にはいつものように総論の第1部と,各論の第2部に区切って進めていきたいと思います。
 まず配布資料の確認をお願いします。

【内田教育改革推進室長】
 配布資料は,1から4までございます。1が答申(案),2が前回からの主な変更点を記した資料,3が答申(案)の概要として青いA3判の資料,4が参考資料でございます。また,タブレット端末に関係資料を入れてございます。過不足等ございましたら事務局までお知らせください。

【北山部会長】
 それでは,早速,内田室長から,資料1から4の説明をお願いします。

【内田教育改革推進室長】
 それでは,資料の説明をさせていただきます。前回の部会において,答申(素案)という形で御意見を頂戴したところでございます。今回は,1月22日の前回部会,また,1月31日の総会での御意見,さらにはほかの分科会の委員の皆様から頂いた御意見を踏まえ答申(案)という形で整理したものでございます。
 資料2を御覧ください。簡単に全体像だけ御紹介させていただきますが,今回,第1部のローマ数字の5の部分,「今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき視点」の箇所を追記しております。一つ目は,「客観的な根拠を重視した教育政策の推進」,二つ目として,「教育投資の在り方」,三つ目として,「新時代の到来を見据えた次世代の教育の創造」でございます。これらについて今回特に追記してございます。ほかの修正箇所もございますので,全体像について実際の文書を御覧ください。
 資料2の別添として,赤字見え消しで前回からの違いを示した資料がございます。そちらが分かりやすいかと思いますので,その資料を基にポイントのみ説明させていただきます。まず3ページ目,「はじめに」のところでございます。一番下の段落,第2期計画からの理念,つまり「自立」,「協働」,「創造」,その方向性について引き継いでいく旨を明示してございます。
 少し飛びまして10ページでございます。「教育をめぐる状況変化」として,幼児教育の課題についても記載すべきという総会での御意見がございましたので追記してございます。
 次に11ページ目でございます。こちらは大学生の学修状況について,また,スマートフォン以外の様々な機器も含め,ICTの活用の実態,また,SNSの課題について,前回の御意見を踏まえ追記したものでございます。
 14ページ目の一番下の段落でございます。大学院の現状認識について,総論のところで大学院の記述が若干欠けていたかと思いましたので,追記しているものでございます。
 17ページ目,ローマ数字の3でございますが,一番下です。ここでも改めて「自立」,「協働」,「創造」の方向性を引き継ぐ旨を明示し教育改革を進める旨を記載しております。
 21ページから22ページ目でございます。前回からの変更点として,22ページの部分でございます。本文,一つ目の白丸のパラグラフの中で,もともと「夢と自信を持って可能性に挑戦」という表現でしたが,前回,「夢と志」と修正をした上で御議論を頂きました。夢の実現に向け,より主体的,能動的な心の動きを表す趣旨で修正したものでありましたが,前回の議論の中で,根拠のない自信を持つことの懸念についての御意見や,表現ぶりを本文と合わせ見出しも「夢と志」に修正すべきという御意見もございましたので,それを踏まえて見出しを修正しております。
 次,25ページ目の2ぽつ目のところです。国内外の様々な場において,言語や文化が異なる人々と主体的に関わることの重要性について記載すべきという御意見がございましたので追記しております。
 また,26ページ目でございます。見出しについて,大学院改革の趣旨を明示する修正をしております。
 次,30ページ目の真ん中ほどでございますが,前回,5ぽつは1から4の基盤となる趣旨をきちんと明記すべきという御意見がございましたので,それを踏まえた修正をしております。また,同じページの下の部分ですけれども,教師の専門性の発揮や創意工夫という趣旨を盛り込むべきという御意見が総会でございましたので,それを反映しております。
 次,31ページから34ページにかけてでございますけれども,ここはICTの整備や大学院の記述について追記をしている修正でございます。
 36ページ目以降が今回特に追記をしている部分でございまして,ローマ数字5の部分です。1ぽつの,「客観的な根拠を重視した教育政策の推進」ということで,前々回までにこの部会でも御審議いただきましたエビデンスを重視した教育政策の推進について,ポンチ絵の資料で御議論いただいた内容を文章化しました。例えば二つ目の丸に,子供たちの成長は多様でありますので,多角的な分析に基づく成果の評価が求められるといった教育の特性,三つ目の丸に,教育政策の特性として,成果が判明するまでに長い時間を要すること,政策と成果との因果関係の証明が難しいものが多いことを記載してございます。また,四つ目,五つ目の丸ですが,PDCAサイクルの推進の必要性を記載した上で,最後の丸には,PDCAの各段階ごとにどのような取組を行っていくかということを以後書いてございます。ロジックモデルの活用や指標の設定等を通じて,PDCAのPLANの段階をきちんとしていくということを記載しております。
 37ページ目の実施段階,DOの部分ですけれども,最初の黒ぽつで,毎年のフォローアップや政策評価の結果等を踏まえていくと記載しております。また,三つ目の黒ぽつですが,地方公共団体との意見交換や情報交換を進めていくということを記載しております。また,二つ目の白丸以降はCHECK,ACTIONの段階でございますが,政策評価との整合性を持ってフォローアップをしていくことや,関連の深い複数目標間で達成状況を比較したり,相関関係を分析したりするなど,目標横断的な視点からの分析についても記載してございます。
 下から二つ目の丸,EBPMを推進する基盤として,文部科学省や国立教育政策研究所で体制整備を検討していくことについて記載しております。
 38ページ目の2ぽつが,「教育投資の在り方」という項目でして,まず(1)は「教育投資の意義」について述べております。最初の白丸では教育の意義について,個人や社会,双方の面から述べている箇所でございます。一番下の丸には,教育への投資は個人及び社会の発展の礎となる未来への投資であるという趣旨を記載しております。
 39ページの二つ目の丸には,社会全体で教育を支えていくという意味で,企業や寄附という視点も記載しております。特に,外国との比較の上で寄附が少ないという視点なども記載しております。
 中段(2)は,「第2期計画までの投資の状況」を記載している箇所でございます。下から二つ目の丸の三つの黒ぽつですが,質の高い教育や負担軽減,施設整備などを中心に2期計画中は投資を図ってきたということ,その下の丸では,教育再生実行会議8次提言が2期計画中になされ,投資の提言がなされていることについて紹介しております。
 40ページ目に行きまして,最初の丸では,第2期計画中の取組の進捗状況として,例えば,子ども・子育て支援制度や,学校の指導・事務体制など,実現してきたもろもろの制度などの紹介をしております。二つ目の丸では,OECD諸国との教育投資の比較のデータを,詳しくは下の注釈にも合わせて掲載しております。
 次,41ページ目に参りまして,二つ目のパラグラフからです。(3)「教育投資に関する最近の動向」として,昨年12月に閣議決定された政策パッケージについて記載しております。これは以前部会でも御紹介しております。その内容が42ページの下の方まで続いています。
 42ページ目の下から二つ目のパラグラフですが,第3期計画中に目指していく教育投資の方向性について記載しております。まずは政策パッケージに基づく負担軽減の着実な実施を進めることについて記載しており,それが43ページまで続きます。43ページの二つ目のパラグラフからは,「各教育段階における教育の質の向上」として,各教育段階ごとに必要な取組を記載しております。例えば初等中等段階では,新学習指導要領の円滑な実施や働き方改革の実現を目指した学校指導体制・指導環境の整備などでございます。以下,学校施設の整備に関すること,また,高等教育における大学改革や成果指標の開発,情報公開の推進などについて,第3期計画中に投資をしていくべき方向性について考え方を記載してございます。
 44ページ目の最初の丸以降は,引き続き,大学の研究体制の強化,リカレント教育の環境整備,大学の施設などに関する記載で,第3期計画中の投資の方向性を記載しております。これまで各教育段階で実現することを記載しておりましたが,四つ目の白丸には,それらの実現に向けて,OECD諸国など諸外国における教育投資の状況を参考とし,必要な予算について財源を措置し,真に必要な教育投資を確保していくことが必要という記載をしております。最後,同じページの(5)ですが,「国民の理解醸成」として,PDCAサイクルを徹底することや,理解醸成の意義について記載をしております。
 45ページ目の最後に3ぽつとして,「新時代の到来を見据えた次世代の教育の創造」という方向性を提示しております。最初の丸では,超スマート社会の実現など,社会構造の急速な変革の中で次世代の教育の創造に向けての研究開発と先導的な取組の推進について記載しております。まず,「新時代の教育の内容と方法,次世代の学校の在り方の研究開発」として,テクノロジーを教育に活用するEdTechが急速に普及する中,教育の姿を根本から改革する可能性も秘めており,技術革新の恩恵を活用した教育の方法など,未来志向の研究開発を不断に推進する必要があることなどについて記載しております。そして,一番下のところでは,「地域課題の解決に向けた社会教育システムの構築」として,高齢化や地域コミュニティの衰退などの課題の解決につながる社会教育システムの構築が求められていることを記載しております。
 最後に「次世代の教育の創造に向けた研究開発と先導的取組の推進」として,次世代の教育の創造に向け,英知を結集し幅広く検討を行い,未来志向での研究開発を進め,先導的な実証実験等の取組を積極的に推進する旨を記載してございます。
 次の47ページ目以降は各論になってまいります。
 50ページの,隣接学校種の免許状の併用については,その促進について記載すべきという御意見が総会でございましたので反映しております。
 53ページでは,男女共同参画の推進に関する記載が今までなかったので盛り込んでおります。
 53から54ページにかけては,災害の関係の記述を少し充実しております。前回話題になりました東日本大震災に対する就学支援などの記載は後ほど出てきますので,後ろのページで紹介します。
 54ページの最後の白丸は前回の御意見を踏まえたオリンピック・パラリンピックレガシーについての追記でございます。
 少し飛びますが,65ページ目を御覧ください。ここは大学院教育改革について文言を追記するとともに,高等専門学校における技術者教育やIT・データ活用能力の育成におけるプログラミング教育などの具体的な取組を追記している箇所でございます。
 また少し飛びますが,72ページを御覧ください。こちらは修文でございますが,社会教育行政の在り方の検討について,地域課題解決や地域活性化のための学習の推進など,社会教育行政に関わる検討課題をより明確に記載しております。
 78ページ目では,前回議論になりましたが,東日本大震災をはじめとした災害への対応として,学校再開の支援,心のケア等の教育環境の確保について新たに追記をしております。
 1枚おめくりいただきまして80ページです。こちらは前回の御指摘を踏まえ,個別の指導計画・教育支援計画の作成の状況に関する指標を新たに追記しております。また,本文中にも個別の指導計画・教育支援計画の活用,合理的配慮の提供や全ての教員の障害に対する理解の推進について,御意見を踏まえ追記をしている箇所でございます。
 82ページ目では,前回の部会で教員の組織力の向上について追記すべきという御意見がございましたので,教諭はもとより,養護教諭,栄養教諭,事務職員など,それを踏まえた追記をしております。
 83ページから84ページ目に関しては,前回の御意見を踏まえ,就学前からの質の高い教育を受ける必要性や教職の魅力向上,魅力発信という趣旨の追記をしている箇所でございます。
 85ページから86ページ目でございますが,放課後に行うプログラミング教育の取組について,具体策として追記をしました。さらに,総会で御意見がありましたが,大学における情報セキュリティポリシー等に基づく対策の強化について追記しております。
 90ページ目でございます。目標20では,以前,「持続的な高等教育システムの構築」という記載でございましたが,前回,そういう言い方ですと社会人の持続的な学びに限定したものという誤解を生みやすいのではないかという御指摘もありましたので,このような形に修正しております。また,参考指標として,目標の達成状況をより的確に測定できるように,更に二つ指標を追加しております。
 最後に92ページ目でございます。日本型教育の海外展開について,より具体的な連携内容について追記をしているものでございます。
 説明は以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございました。それでは早速,議論と質疑に入りたいと思います。冒頭に申し上げましたように,第1部と第2部に分け,第1部では,内田室長から詳しく説明がありました,今回新たに加筆した部分であるローマ数字5の「今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき視点」を中心に御議論いただければと思います。
 それでは,渡邉委員,お願いします。

【渡邉委員】
 すみません,前回欠席をさせていただいたものですから,全体的なことを含めてコメントさせていただきます。今回取りまとめていただく内容について異論があるわけではございません。今回の答申案については,変わらないものは何なのか,変わるものは何なのかということについて,明確にしていただいたという点で非常に良い取りまとめをしていただけたのではないかと思います。
 特に変わらないものという視点では,冒頭の普遍的な使命というものを明確にし,それから第2期計画で掲げました「自立」,「共同」,「創造」の理念の継承という点については,「はじめに」や「我が国における今後の教育政策の方向性」の部分にも言及いただいております。こういった変わらない理念の継承等についてまず明確にし,そして,変わるものは何なのかということについては,社会構造の変化や人口構造の変化などを捉えた上で,2030年以降の未来を見たときの構造変化を,Society5.0,SDGs,あるいは人生100年時代というキーワードで表すことによって,こういったものに向かって変えていくんだということが非常に明確になっていると思います。
 ただ,一つ気になりましたのは,別途大学分科会の方で取りまとめていただいている高等教育の将来像の論点整理で,多様性をキーワードとして,文字どおり,多様性を多用している点です。先ほどのような社会構造の変化を捉えたときに,本文では,多様性というキーワードは25ページ目以降の「社会の持続的な発展を牽引するための多様な力を育成する」というところで,イノベーション人材やグローバル人材をにらんだところで触れていただいてはいるのですが,一つ一つが各論的な位置付けとなっているような気がいたします。したがって,全体に及ぶキーワードという意味で,例えば,「はじめに」の下から二つ目のところにあります「未来を開拓する人材」というところを,「未来を開拓する多様な人材」とすると,高等教育の将来像で幅広い概念として使われている多様性というキーワードが入り,その趣旨がより明確になるというような気がいたしました。
 それから今回の基本計画では,エビデンスベースの教育政策の推進という画期的な第一歩を踏み出していただいたと思います。特に36ページ目以降の「今後の教育政策の遂行に当たって留意すべき視点」において,PDCAサイクルの推進が明確に記載されたということは大変すばらしいまとめになったのではないかと思います。今後,1年ごとに数値を出していただけるなら,別添の資料の参考指標のような形で公表していただき,それを基にPDCAを回し,関係先と一緒に進化させていくという視点があってもいいのではないかと思います。
 それから,PDCAのCとAの部分では,単に評価をするだけではなく,本文に「効果的,効率的な施策の実施へと改善を図る」と記載がありますように,地方現場の好事例や海外の好事例をCとAのところに入れ込んで,全体的な標準化を引き上げていくといった視点も重要なのではないかと思います。これは文章を修正していただくということではなく,今後の実施段階での留意事項ということで申し上げたいと思います。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。今,渡邉委員が仰ったとおり,高等教育の将来構想についての論点整理では,教員,学生,教育内容も含めて多様性がキーワードになっていますので,その辺りの書き方,例えば「はじめに」のところに盛り込むべきか等について,検討して対応します。
 では,石田委員,お願いします。

【石田委員】
 今回,今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき視点ということで三つ出していただきまして,特に1番目の客観的な根拠を重視した教育政策の推進が今回の答申で非常に中心的なところになるということで,大分いろいろと書き込んでいただいて大変良かったと思います。どういうものが出てくるのか,私も期待して読ませていただきました。
 最後というか,この1番目のところの,37ページの下のあたり,客観的な根拠を重視した政策推進の基盤形成というところですが,文部科学省の中に統計情報を扱うような新しい組織体制を作っていくという話を伺っております。38ページのところで,「体制整備について検討を進める必要がある」という表現がありますが,これについてはもう少し突っ込んだ形で書いていただいた方がいいのかなという気がいたしました。
 もう少し申し上げますと,やはり組織を作る,基盤を作るということは非常に重要なことで,それが第一歩になるわけですが,その上で,エビデンスをどう収集していくのか,それを検証,評価,公開していくにはどういう形でやっていくのかというようなロードマップについても少し考えていただくのがいいかなという気がしました。
 それから,組織を作るだけではなくて,人的,予算的な面でもしっかりサポートしていただくことが,EBPMを実現可能な形で進めていくことになりますので,その点についても少し御配慮いただければと思います。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,大橋委員,お願いします。

【大橋委員】
 ありがとうございます。この5章の1の客観的根拠を重視した教育政策の推進というのは,国会でもデータの重要性が改めて認識されているところだと思いますが,非常に重要な項であることは間違いないと思います。ただ,今回,PDCAと書いていただいていますが,このPDCAが従来の政策評価と同じものであっては意味がないと思います。
 そうした観点で考えると,やはり少し次元の違うPDCAをやっていくというのがEBPMなのだろうと思います。そういう意味で,今回,この部会の中でもあえて時間をとってロジックモデルを別途関係者の中で議論し,丁寧に作ったわけですが,このロジックモデルの中にある基本方針や目標が政策現場にもきちんとシェアされて,政策当局と現場が基本方針をシェアして,きちんと教育を進めていくという形ができないと,このPDCAは単に現場の仕事を増やすだけになってしまうのではないかと懼(おそ)れます。また今回このロジックモデルを作ったわけですが,私も関係させていただいたと思っていますが,参考指標や測定指標の全てが全て完璧な指標ではないのかもしれないという意識は持っています。
 そういう意味で言うと,これが完成版ではなくて,順次アップデートして,現場の腹に落ちるようなものにしていかないと,今回やるPDCAが現場においても,基本目標に向かって自分も進んでいるんだ,こうしたものに向かって一歩一歩自分の業務が進んでいるということが感じられるような形にしていく,政策当局もそれを見ながら政策の方向性を考えていくというところまでこなれていく形の第一歩がこれから始まろうとするということなのではないかと思っています。だから,このEBPMと入っていますが,EBPMを効果的に進めるためには,やはり国だけでは駄目で,地方公共団体の方にも従来の枠組みを超えた連携,あるいは協力体制の中でやっていただくようなことが必要だし,そのためにもPDCAの目標は,きちんとシェアされることは重要なのかなと思います。
 字句のことで三つ,細かいことを申し上げるのは恐縮ですが,まず,36ページ目の三つ目の丸の7行目に,「昨年度の実績」と書いてあるのですが,これは別に昨年度だけである必要はないのかなと思います。昨年度しかなければ仕方がないですが,別に時期を限る必要はないのではないかというのが一つです。
 二つ目は,38ページ目の最後のぽつに関わることですが,やはりロジックモデルの中で,政策課題が設定された中でデータをどう収集するのか,これは既存のものと含めて新たなデータの収集もあると思います。そうしたもののガイドラインを作ることはいいと思いますが,ほかの役所のお話を聞くと,ガイドラインを作るとそこで思考停止になってしまい,それをずっと前例踏襲のようにやるというところがあっては良くないと思います。やはりきちんとデータ収集の意味を,毎年度毎年度見直せるような形のマニュアルでないと,考えなくなってしまうので,そういう意味で言うと,ガイドラインの整備が目的にならないようにしていただければというのが一つです。
 あと,少しうがち過ぎかもしれません。「データの集約」と書いてあるのが,これはデータを減らすということなのか,どういうことなのかというのがよく分からなくて,データの提供体制を一本化するということなのかもしれないですが,要らないデータは集約していただいて結構だと思いますが,新たにとるデータも今後出てくるのではないかという意味では,必ずしも集約だけの方向ではないと思いますので,是非そこの辺りは臨機応変に,政策課題に応じたエビデンスの構築をやっていっていただきたいなということでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。

【北山部会長】
 ありがとうございます。ここで一旦切ります。今,大橋委員の仰った点については,言わば,PDCAを回すためのPDCAといったことかと思います。体制整備については,現状,文部科学省で進めておられる検討も含めて考えると良いのかなと思いますが,その辺りはいかがでしょうか。

【内田教育改革推進室長】
 体制整備に関しては,本文では検討を進める必要があるということで書かせていただいておりますが,実際,実務的にも今動き始めているところでございます。今,表現について御指摘がございましたので,更に良い表現ぶりがあるか検討させていただきたいと思っております。

【北山部会長】
 それでは,戸ヶ﨑委員,お願いできますか。

【戸ヶ﨑委員】
 言葉尻の問題ではあるのですが,3か所だけ気になったことを申し上げます。
 まず,36ページ目の上から三つ目の丸です。政策と成果との因果関係の証明とあるわけですが,事,教育に限っては,因果関係を明らかにするのは非常にハードルが高く,その前段階の相関関係であっても,教育でそれを示すということは容易でないものも結構あると思います。後ろ37ページには相関関係という言葉が使われていますので,できればここは,「相関関係や因果関係」という言葉にしたらどうなんだろうかなということが一つ目です。
 それから,さらに二つ下の丸です。「国と地方公共団体」とあるわけですが,その適切な役割の下にということになっていますが,これからは国からの指示待ちではなくて,地方公共団体同士が主体性を持って,ある意味コンソーシアムなどでお互いを結んでいくということも重要ではないかなと考えますので,国と地方公共団体が適切な役割の下に,さらには地方公共団体同士と挿入していただくといいのかなと思います。
 同じようなことが37ページの一番上の丸の黒ぽつの三つ目にも「国と地方公共団体」とありますので,そこも御検討いただけたらと思います。
 それから,もう一つは45ページですが,EdTechの話で,EdTechは確かに急速に普及していて,リカレント教育のみならず,様々な新しい学びや,アダプティブラーニング,さらには様々な教育改革をしていくという上でも大変大きな期待があるのは確かなのですが,ここにあるように,「教育の姿を根本から改革する」というのはいささか大き過ぎる感じがあるので,せめて大きな変化をもたらすぐらいでも良いではないかと感じました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。それでは,宮本委員,お願いできますか。

【宮本委員】
 ありがとうございます。2点発言させていただきます。一つ目は,今回のこの基本計画案で非常に重要なことは,生涯学習やリカレント教育といった部分だろうと思われます。その関係する用語を追っていってみると,いろいろな表現で使われているのです。ページは申し上げませんが,例えば「社会人の学び直し」,それから,「リカレント教育」というのは後半の方に数か所出てきます。それから,「生涯を通して学び直す」,あと,「キャリア教育」,「職業教育」というような言葉がいろいろなところに出てきているのですが,今回,特に重要な,この案の中で重要で強調すべき点は,単に生涯学び通すという一般的な考え方以上に,リカレントしていくという部分が強く加わっていると解釈すべきではないかと思うわけでございまして,つまり働くことと,その他もろもろをそれぞれ交互に,あるいは同時並行でもいいのですが,そうして生涯に通して学び通すというイメージをもっと強調するのであれば,少しリカレント教育という言葉についてもっと初めのところできちんと定義が必要ではないかと思います。見落としているかもしれませんが,最初に見つかるのがページ44でありまして,44の二つ目の丸のところに,人生100年を見据えたライフサイクルの中でということで,3行目,高等教育を実現していくためのリカレント教育の環境整備,多分このあたりに初めて出てくるように思います。もしかすると,もう1か所,前の方に出てきているかもしれませんが,要するに,定義が,もっと最初に出てくるべきではないかと思います。その後,もっとはっきり出てくるのは70ページの下から二つ目,「女性活躍推進のリカレント教育強化」ということで,ここは極めて明確に,女性にとって大学等におけるリカレント教育等によって働くこと,あるいは,特に職業に関して,退職,復職,再就職等々を円滑にという形でリカレント教育を使っております。つまり,それぞれのところで強弱やフォーカスする部分が若干ずつずれながら,全体としての定義がもっと最初のところで来るべきではないかということ,これがまず第1点でございます。
 二つ目は81ページです。テーマは全く違うのですが,前もちょっと発言させていただいたことがありますが,二つ目と三つ目の丸でありまして,二つ目,「高校中退者等に関する支援」,これに関しては,文言をいろいろと工夫していただいて直ってきていると思います。特に重要なのは中退者に対して,教育委員会,学校,それから,地域若者サポートステーション,ハローワーク,地域社会等の連携強化で切れ目のない支援体制というところまで,ここは書いて指摘していますので結構です。そこでですが、現実には切れ目のない支援体制といっても,行政は中退するまでは文部科学省,教育委員会,中退をした後でないと労働行政の対象にならないという非常に厳しいルールの中で,身動きすらとれないという現実の問題もあります。より一層柔軟に切れ目のない支援体制が重要だと思うのが第1点です。但し,文言はこれ以上には修正することは無理かなという感じがいたします。
 二つ目,「定時制課程・通信制課程の質の確保・向上」となっていますが,現場というか,関係している分野で指摘されているのは,定時制・通信制高校においても,単なる質の確保・向上ではなくて,この分野で,その上の丸に書いてあったように,地域の様々な機関との連携強化の中で,初めて高校の書かれている問題は解決するということが指摘されております。
 そういう意味で,三つ目の丸に関しては,二つ目の丸の部分と似たような文言をここにもう一つ加えてはいかがでしょうかという発言でございます。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。では,またここで一旦切ります。
 今,宮本委員が仰った,リカレント教育に関しましては,17ページ以降の「2030年以降の社会を展望した教育政策の重点事項」の部分に,先ほど内田室長からも御説明がありましたように,18ページの上から三つ目,「人生100年時代を豊かに生きる」の辺りから学び直しに関連する記載が始まり,19ページでは,一番上と二つ目の丸で,「生涯にわたる」という記載があります。また,右側の20ページでは,人生100年時代におけるリカレント教育の充実という形で書かれています。このように,教育振興基本計画の重点事項としてリカレント教育について言及があり,44ページでいきなり出てくるという訳でもないため,今の記述で十分でないかとは思います。
 それから,戸ヶ﨑委員のお話に関して言えば,原因と結果という形で因果関係を示すことができれば一番良いのですが,教育の場合,それが難しいことも多いということをまず言って,難しい場合は相関も,という文章の書き方になっていますので,この部分についても,今の記述でいいのではないかと思います。繰り返しになりますが,内田室長,いかがですか。

【内田教育改革推進室長】
 エビデンスと一般的にお話しした場合,相関関係と因果関係の議論というのは大分されるわけですが,因果関係の証明は難しいというところが一つの論点であります。その点,いろいろなところで御指摘されるところだと思います。因果関係の証明は難しいですが,目指していくという,その課題認識を最初に記載している箇所と我々は認識しております。同時に各目標を横断的に分析するという部分は,目標間の分析ですが,それぞれの関連やつながりを見るというぐらいの意味で相関関係という言い方としております。そういう趣旨と御理解賜れればと思います。

【北山部会長】
 よろしいですか,戸ヶ﨑委員。
 そのほかの御意見はいろいろ参考にさせていただきます。それでは,次,菊川委員,お願いします。

【菊川委員】
 前回欠席したものですから,その間にすごく進んでいるなと感じを持っております。44から45のところに,国民の理解醸成という記載がございますが,これはこういう形で公費をつぎ込むことへの国民の理解ということだと思います。私は全世代型の社会保障をということで,非常に大きな施策をどんどんやられていると理解していますが,そのときに大事なことは,やはり子供たち自身も含めて,このことを,画期的なことなのだということを受け止めるということが大事なような気がします。といいますのは,希望格差社会という言葉が数年前から言われていますが,子供たちは,小学生の頃から頑張って努力さえすれば,家庭の事情によって進路が妨げられることはないよというのが今回の計画の一番の特徴ではなかろうかと思っております。そのことを,やはり小さい頃から子供たちが知って,まさに夢と志を持って頑張る子供を育てるのが,このたくさんの投資を無駄にしないことだと思いますので,国民の理解醸成という中に対象として子供たちも入れていただいて,是非先生を通して,親を通して,あるいはもう中高生になったら分かりますので,君たちはこういう時代に生きているんだよということを伝える工夫が要るのではないかというのが1点です。
 それから,小さいところですが,53ページの男女共同参画は本当にありがとうございます。これも子供の頃からの意識付けですので大事だと思いますし,54ページ,2行目,「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」や,「福島イノベーション・コースト構想」などがございますが,これは御存じの方は御存じだと思いますが,注釈か何かを付けていただくといいかなと思っております。
 以上です。

【北山部会長】
 第2部に関する御指摘が後半のお話で出ましたので,そちらももまた検討します。
 では,永田委員,お願いできますか。

【永田委員】
 ありがとうございます。背景から順番に記述されていて良いと思います。ただし,将来を見通すと,測定指標に基づいて施策を進めていくことになるだろうと思いますので、その内容は大きな問題になるだろうと思います。そういう意味で,ある程度厳選されておりますが,57ページの従前から指摘されている授業の「予習・復習時間の充実等」いう測定指標について意見を述べさせていただきます。大学における単位は,授業と授業以外に必要な予習・復習を含めて構成される,と大学設置基準で規定されており,これに基づいて大学は単位を与えています。つまり,授業の予習・復習時間の充実と書いてしまうと,学生が授業時間以外は勉強しておらず,単位に必要な学修時間が不足しているにも関わらず単位を与えることを大学が認めることになり,自らを否定することになってしまいます。
 そもそも,本来の意味での学修は,単に予習,復習の問題ではなくて,単位に関わらないものも含めて自発的に学ぶことなのだと思います。とりわけ,大学においては,他律的な勉強ではなくて自ら研究をするということが重要なわけですから,予習・復習の充実と書いてしまうと高校までの勉強の延長のようになるので,見直すべきだと思います。
 したがって,単位の実質化というような表現に変えて,さらに,自発的な授業以外の分野での学びということも本当は加えられたらと思います。

【北山部会長】
 ありがとうございます。少し検討いたします。
 金子委員,お願いします。

【金子委員】
 細かいことですが,全体を見ていて気が付いたのは,前に比べて比較的大学院の記載が充実されているので,それは大変結構だと思います。今まで考えてみると,大学院はきちんと議論されたことはないので。
 ただ,その目で見ますと,なかなかバランスが取れていないところ,44ページですが,ここは国際競争力とか研究の観点で述べられているのですが,優秀な博士課程学生に対しては支援を図る必要があると書いてあります。今のところ既に支援はありまして,拡充するのだと思いますし,修士課程はいいのかという問題もあります。学士課程学生については支援のことはかなり細かく書いてあるのですが,大学院学生に対する支援のところが非常に薄いので,これは余り本格的に今議論しても仕方がないのですが,ただ,もう少しここに何か書き入れていただいた方がいいのではないかなと思います。
 それから,もう一つ大学院に関して,65ページですが,これも少し細かい点ですが,真ん中辺りの大学院の機能の強化に向けた取組についてというところです。「博士課程学生のキャリアパスの構築等」と書いてあるのですが,これは分かりにくいのと,大学院生は修士卒も含めてやはりキャリアパスが重要なのと,今,キャリアパスの構築というのはなかなか実は難しくて,最初に可視化を進めるというのは,今の政策的にこれからやっと始めるところなので,キャリアパスを可視化して,進学しやすいようにするというところが焦点だと思いますので,そこが分かるようにしていただきたいと思います。
 それから,73ページ真ん中辺りですが,社会人が働きながら学べる学習環境と言っていますが,ここはどこの話かよく分からなくて,全体に大学,専門学校と書いてあって,大学院はどうなっているのか。長期履修制度や履修証明制度は多分大学院のことを想定されているのでしょうが,これではよく分からないので,大学院の社会人に対する寄与というのが明確に位置付けられるように書いていただきたいと思います。以上です。

【北山部会長】
 いろいろと御指摘ありがとうございます。金子委員の御意見についても検討いたします。
 では,ここからは第2部も含めて議論を行いたいと思います。
 阿部委員,お願いします。

【阿部委員】
 ありがとうございます。
 もしかして以前にもう出ている意見なのかもしれませんが,大分前から出ていて,それで今回足していただいたところでも関係してくるかと思うのですが,77ページに「誰もが社会の担い手となるための学びのセーフティーネットを構築する」の測定指標として,生活保護世帯に属する子供の進学率の改善が測定指標として定められております。これは恐らく一番初めの頃からこの指標は作られていたと思いますが,例えばその下の政策のところでは,生活保護制度自体についての言及が全くありません。もちろんこれは厚生労働省のものなので,そこは書けないということがあるかもしれませんが,例えば今,大学に進学するためには,世帯分離をしなければいけなくて,実質的に大学に行くことが家計の生活保護費の減額になることが今でも変わっていないといった現状や,この間の12月の補助費の改正でも,中学校,高校生の子供のある世帯の生活保護費の減額が一番大きいという政策,方向がとられているということがありますと,せめて厚生労働省の生活保護行政とも連携しながらといった言葉をどこかに入れていただきたいなと思います。
 そうしますと,今回足していただいた42ページ一番下のぽつから,教育費負担軽減の着実な実施という見出しになっているのですが,そこでは,誰もが社会の担い手になるための学びのセーフティーネットを構築するといったところは,既にその前のページからある,既に決まっている人生100年時代構想会議における政策パッケージを遂行するというようなことを書いているんだと思います。これを読みますと,今これはある政策に向けて十分だよみたいなイメージに捉えてしまう方もいますが,やはり児童養護施設の子供たちや,生活保護の子供たちに関しては政策が逆行しているということもありますので,ここはやはり他省とも連携しながら,さらなる取組が必要であるといったことを検討する必要があるというぐらいは書いていただきたいなと思いました。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,次,山内委員,お願いします。

【山内委員】
 45ページの新時代の到来を見据えた次世代の教育の創造というセクションでございます。
 全体として特に異議があるわけではなく,このとおりだなと思うのですが,既に戸ヶ﨑委員からも指摘がありましたが,2番目の丸の部分でございます。戸ヶ﨑委員が指摘されたのは,根本から改革する可能性というのは少し強過ぎるのではないかということで,これは全く私も同意をしておりますが,その前の部分にある「教育分野においてもEdTechが急速に普及しつつあるが」という部分が,ここは表現を削除した方がよいのではないかと考えています。
 その理由について,このEdTechという言葉は,経産省でも研究会が開かれているのは承知しておりますが,もともと2012年前後にアメリカで始まったICTによる教育ベンチャー事業を指す言葉として始まっていて,ある種業界用語です。別に業界用語が悪いわけではないのですが,こういう始まりをしているので,人によって指すものがかなり違っています。したがって,このままだと普及しているものが何なのかが人によって変わってきて,一番懸念されるのは,後半にある教育の学校へのICTの導入はEdTechなのかEdTechではないのかということがよく分からないので,つまり,こういう余り定義がはっきりしていない言葉は,答申としては少し慎重にした方がいいと思います。この部分を削除しても,多分文意は特に変わらないので,削除した方がいいかなと思いました。以上です。

【北山部会長】
 今の御意見につきましても検討いたします。
 次に,高橋委員,お願いします。

【高橋委員】
 客観的な根拠を重視した教育政策の推進というところで,戸ヶ﨑委員の戸田市の取り組みは,現場での非常に優れた先進事例でありました。それは因果関係が分かったから取り組んだということではなくて,当事者意識を持って,そこの一人一人の子供たちを見て,それをどのように教員が指導したら良いのか実際的な研究をなさったことは,本当に大きな意味があると思っています。
 その36ページの「政策と成果との因果関係の証明が難しいものが多いことなどの特性があることにも留意して」という表現はそのとおりなのですが,因果関係の証明が難しいものが多いために,因果関係が証明できなかったらしないという判断も今まで多くされてきたと思います。ですから,因果関係の証明が難しいものが多いという特性があることは理解した上で,教育行政を担う,施策を担う人たちが,あるべき教育施策を総合的に判断して取り組む必要があるという,そこのところに主語を明確にした方がいいなと思います。「因果関係の証明が難しいものが多いことなどの特性がある。」場合,あるべき教育施策を判断してという場合は,「あるべき」ということなのでしょうか,「とるべき」教育施策というべきか,このところは実践の中で証明をしていくという取り組み方もあるのではないかと思います。
 上手な表現ができないのですが,「因果関係を証明しなかったら取り組まない」という考え方も一方である中,相関関係でも,また施策を実行する中で成果を見いだしながら実践していくという,そのような取り組みをする方向で是非お考えいただきたいと思います。
 それと26ページの大学院の博士課程のところですが,イノベーションを牽引(けんいん)する人材の育成というところで,研究科,博士課程の重要性はあると思います。そのときの「キャリアパスの不安定さや不透明さなどから」と書いてあるのですが,不安定さというか,私どもが聞いた範囲によると,企業では博士修了者を採用しても,日本では待遇が余り変わらないため,つまり院生から見たら投資に見合わないというところがあり,この不安定さや待遇の悪さとまで言って良いのかどうかが分かりませんが,不透明さという言葉は適切かどうかを検討していただきたいと思います。以上,2点です。

【北山部会長】
 ここで一旦切ります。
 文部科学省からお願いします。

【堀野高等教育政策室長】
 その点については,確かに抽象的な表現になっておりますので,そういった待遇が評価されるかということや,あるいは,研究者としてのポストが十分あるかということなどいろいろな要素を含んでおりますので,この表現で曖昧になっている「不安定さ」や「不透明さ」の意味合いがもう少し分かるように記述を工夫したいと思います。

【北山部会長】
 PDCAに関して,36から37ページについて戸ヶ﨑委員の御指摘と同種の御意見がありましたが,内田室長から最初に御説明がありましたように,まず36ページにPDCAサイクルの推進について記載した上で,教育に関しては,年数がかかるなどの理由から原因と結果の因果関係を把握することが難しいケースも多いことを踏まえて,次の37ページ以降で,P,D,C,Aについてそれぞれ何をしていくかを記述してあります。この流れに沿って読めば,今,御指摘があった内容とも齟齬はない記述になっていると思います。
 次は,柘植委員,お願いします。

【柘植委員】
 ありがとうございます。
 多様性やリカレント,EdTechなど語についての使い方や定義の確認が何人かの方からありましたが,私もそれに関係するものです。
 80ページの目標(15),多様なニーズに対応した教育機会の提供というところについてです。一つ目の丸,特別支援教育の推進なのですが,理由は前回丁寧にお話ししましたので議事録にも載っているかと思いますので言いませんが,国連の権利条約との関係で,リーズナブルなコモデーション,これは合理的配慮,それから,インクルーシブエデュケーションシステム,インクルーシブ教育システム,この二つが非常に重要な語として入っていて,日本はそれを批准しました。
 ところが,この特別支援教育の推進のところには,片仮名でインクルーシブ教育システムの構築という言葉が抜けているので,入れた方がいいのではないかという発言をしたのですが,入っていません。入れられない理由があるのでしょうか。お願いします。

【北山部会長】
 これは文部科学省から回答をお願いします。

【中村特別支援教育課長】
 柘植先生,ありがとうございます。特別支援教育課長の中村でございます。
 このインクルーシブ教育システムについて,先生から御指摘を頂戴していたのですが,この考え方をここに書かせていただいているのは,日本語で丁寧に書かせていただいたということでございます。障害者権利条約によりますと,インクルーシブ教育システムとは人間の多様性の尊重等の強化,障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ,自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下,障害がある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みでございます。障害のある者が一般的な教育制度から排除されないこと,自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること,個人に必要な合理的配慮が提供されることなどが必要とされております。
 共生社会の形成に向けまして,このような理念については非常に重要であると考えております。文部科学省におきましても,当該理念を踏まえた特別支援教育の推進,事業を行っております。また,施策の実施に当たっては,その趣旨を丁寧に書き表すよう努めてきているところでございます。
 加えまして,河田副部会長から,外来語を減らして,日本語,漢語を使って表現した方が説得力が増すのではないかという御意見も頂戴したところでございます。当該用語が示す理念について,丁寧に日本語で書かせていただくこととして,お手元に配布させていただいております資料については,このように日本語表記で整理をさせていただいて,誰しもが分かるような表現にさせていただいたという理由でございます。
 以上,どうぞよろしくお願いいたします。

【北山部会長】
 よろしいですか。

【柘植委員】
 内閣府の障害者政策委員会の委員をしているのですが,そちらでも同じようにあと1か月後で固めて,4月から計画が動き始めます。そこではその用語を使っています。二つのとても重要な中央教育審議会と内閣府の障害者政策委員会との整合性はどう考えるのかなということがあります。
 理由がよく分からなかったのですが,片仮名でインクルーシブ教育システムの構築,これは中央教育審議会の五,六年前の報告書のタイトルに載っています。文部科学省がそういう名前のモデル事業を進めていらっしゃったのです。それで教育委員会や学校の先生方,研究者,保護者の方などに,そういう用語が入ってきて,もっと障害のある子とない子供が差別されることなく,共に学んでいける学校や教育ができていく,社会ができていくのではないかということで,とても大きな期待を受けています。
 相模原でとても深刻な,残念な事件が起きてしまった。あれはまさに障害のある子供の理解啓発が十分ではなかったということで,それを乗り越えようという新たな風が国連から吹いてきたということなので。
 それで提案なのですが。

【北山部会長】
 脚注に付けるといったことでしょうか。

【柘植委員】
 はい。それを今言おうとしたのですが,本文に入れられないとしたら,脚注で国連の障害者権利条約もその部分のところを引用する,あるいはそれを日本語表記にするのかしないのか,多分しないといろいろな方が納得しないのではないかと危惧しています。最小限,脚注では説明された方が,よろしいのではないかと思います。以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 では,中井委員,お願いします。

【中井委員】
 ありがとうございます。
 1点だけなのですが,54ページのオリンピック・パラリンピック教育でありますが,過去で有名なのは,長野県の一校一国運動だと思うのですが,平昌でも同様なことが行われているとも聞いています。
 そういった世界平和の理念の下に,子供たちに国際理解を深めさせ,そして,実際に国際交流もやってみるというような,東京都では今それを「世界ともだちプロジェクト」として全公立学校でやっておりますが,こういった国際理解や国際交流,あるいはオリンピック・パラリンピックにはボランティアが欠かせないということで,ボランティア社会を子供たちが担っていくわけで,子供たちにボランティアをもっと理解させ,実際にやってもらう,そういったボランティア教育,あるいは障害者の理解を更に深め,交流を積極的に行う。
 オリンピック・パラリンピック教育というのはこのように非常に多様な要素を含んでいますが,ここに書かれていることは,オリンピック・パラリンピックの意義を学ぶ,スポーツに更に親しむというような,そういった趣旨のことにとどまっているような感じがございます。もう少し幅広な形でここの内容を記載していただくことが,オリンピック・パラリンピック教育の本質を語るという意味で必要なのではないかと思います。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 次,羽藤委員,お願いします。

【羽藤委員】
 大体最後の方だということで,改めて読んでおりましたが,私自身は全体を通して聞いていて,非常によくまとまったのではないかなというのが正直な感想であります。
 ただ,とはいえ,先ほど大学院改革の話がありましたが,26ページ目などに書かれてあることが,やはり中には矛盾と申しますか,大学院改革が必要だと言いながらやってきたんですが,一方で,日本の地位,論文引用などが低下傾向にあるということで,必ずしも過去にやってきた改革が効果を出していたかというと,恐らくその中には副作用など,いろいろなことがあったんだろうということが伺える,そういう認識の下に立ったときに,まさにPDCAサイクル,それからEBPM,こういうものによって,そうしたところをあぶり出して,より良い改革に結び付けていくという一貫したスタンスが示せていると考えますので,この点は非常に良くまとまったのではないかなと感じています。
 あともう一点,改めて教育の普遍的な使命,それから教育をめぐる現状と課題と見ていきますと,やはり明治以来のどういう使命感の中で教育というものをやってきたのかというところの「はじめに」の書き出しから,教育の財政効果等も含めたときに,そのスケールをOECDというところをきちんとレビューしながら,そういうところに合わせて適正化していく。あるいは,先ほどもSDGsの話がありましたが,そういったこともきちんと書かれた上で,理念的なところはこういうグローバルな時代ですので,そういうものに合わせて考えていくことも,国際化というところで社会的包摂であるとか,あるいは公平性,生涯学習の話もかなり盛りだくさんに書き込まれていますので,そういったところで大きな声で言われがちな教育の方向性についても,ある種のベクトル付け,方向付けをさせようというところが伺えて非常によくなったのではないかなと思います。
 ただ,先ほどから言っているように,やはり限られた財政の中でこういったことをやろうとすると,どうしても副作用が出てしまいますので,そこのバランス取りという意味で,現場でも相当しわ寄せが来るなど,いろいろなことが起こるかと思いますが,そういうところを良くするために,是非積極的にPDCA,EBPMを使っていただくような仕組みとして回し出すということが重要ではないかなと思いました。以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,丸山委員,お願いします。

【丸山委員】
 まず,78ページの東日本大震災をはじめとした災害への対応の記載,大変ありがとうございました。
 次に,82ページの真ん中より少し下の「・」のところです。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの専門スタッフの資質向上・配置というところですが,ここに「養成」の言葉を入れた方がいいのではないかという意見です。
 配置をするにしても,資質向上を図るにしても,絶対数が足りないという現状がありますので,養成という言葉が必要ではないかというところです。よろしくお願いします。

【北山部会長】
 これも検討させていただきます。
 川端委員,お願いします。

【川端委員】
 ありがとうございます。
 今の先生のお話にもありましたが,東日本大震災の件,それからインターネットの部分についても意見を取り入れていただいてありがとうございました。
 私の方から,全体的に特にどこがどうということはないのですが,先ほど菊川委員もおっしゃっていましたとおり,この計画が決して理想論とならないように,各教育現場において,きちんと先生方に理解をして浸透していただけることを願っております。やはり校長先生までは御理解されている方が多いと感じていますが,実際に現場の担任の先生,教科担任の先生などは,どうしても日々のことに追われて,なかなかそこまで御理解していただけるのに時差がかなりあるかと感じておりますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 また,子供たちがよく「何で勉強しなきゃいけないの?」という質問をして,私もきちんと答えるのは難しいと思っているのですが,やはり保護者も子供も何のために,何を目的に,どこを目指して勉強するのか,何を学んでいくのかということをもっと分かりやすく学校,地域,家庭なりで理解していただけるような工夫をこれからもどうぞよろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,田邉委員,お願いします。

【田邉委員】
 ありがとうございます。
 私も中井委員と同じ意見になりますが,54ページのオリンピック・パラリンピック教育の推進の部分です。先ほど中井委員もおっしゃっていたように,オリンピック・パラリンピック教育は,子供たちにとっての国際交流の場であったり,ボランティアの育成であったり,子供たちがオリンピック・パラリンピック教育を通して学ぶということは,非常に大切な部分かと感じています。
 また,2行目のスポーツ文化の継承に向けという部分では,スポーツ教育,文化と両方の側面がありますので,スポーツ教育,文化を入れた方がいいのかと感じました。
 もうひとつは,先ほどの意見も踏まえて,幾つかポイントがありますので文章を分けた方がいいのかと思っております。スポーツの教育,文化,それからスポーツの意義と価値の部分,あとは障害者を含めた多くの国民のスポーツへの参画の拡大ということになりますので,ポイントが幾つかありますので文章を分けた方が良いかと感じました。以上です。

【北山部会長】
 御指摘いただいた部分の文章については,少し検討します。
 それでは,田中委員,お願いします。

【田中委員】
 ありがとうございます。
 少し細かい話を申し上げたいと思います。33ページの国立大学に係る記述であります。三つ目の丸ぽつのところの上から8行目,「民間的発想によるマネジメント」という言葉があるのですが,これについては削除した方がいいのではないかと思います。
 この言葉は,小泉政権下に国立大学を法人化するに当たって,遠山大臣の言葉として,ある種のキャッチフレーズとして使われたのですが,それが何を意味するのかというところがいまだに分かりません。1950年代から昨年までの,内閣府と文部科学省の答申や文章をデータベース化して,2万1,000ぐらいにして,何を意味するのかということを分析してみたのですが,何も意味されていなかったという結果が出ました。
 なおかつ,大学の現場においては,一瞬ブームになったのですが,今では消滅していて,むしろこの民間的手法の背景にある新自由主義やNPMについては,どちらかと言えば,否定的な意見の方が多いことを考えますと,余り実態があるものとは思えませんので,私は削った方がいいのではないかと思います。以上です。

【北山部会長】
 文部科学省から,お願いします。

【堀野高等教育政策室長】
 御指摘の部分は,公立大学について書かれたものだと思いますけれども,公立大学法人制度が当初言っていることと最近言っている言葉とをよく確認して,文言を検討させていただきたいと思います。

【北山部会長】
 それでは,次は白井委員。

【白井委員】
 ありがとうございます。
 本当に事務局におかれましては,丁寧な議論を丁寧にまとめていただいて,本当にありがとうございました。
 本日の御意見として,丸山委員の専門スタッフの絶対数が足りない,募集しても来ないので,養成にきちんと言及するというところに賛成です。
 私の方からは,本文についてというよりは,意見として,母として川端委員の御意見と完全にかぶったのですが,やはり発信の部分です。せっかくここまで良いものをまとめて,母としてこれが全部実現されたら本当にいい教育になるなと,本当に安全・安心な教育になるなということを確信しております。これがどうやって現場まで浸透していくような形を作るかということについては,以前も多分動画を作るといった御意見が出ていたと思います。北欧の方でも,やはり国民のリテラシーがそこまで均一ではないということを前提に,重要な政策について動画を作るという国もあると聞いていますが,そういう工夫や,もしそんな予算がないということでしたら,やはりこちらにいらっしゃるメディアの皆さんや民間の力も借りて,いかにこれを隅々まで行き渡らせていくかということがこれからの課題かなと思っております。よろしくお願いいたします。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 戸ヶ﨑委員,お願いします。

【戸ヶ﨑委員】
 80ページの,毎回特別支援教育のことで意見を言わせていただいていて,前回は免許のことを申し上げたのですが,この特別支援教育の推進の部分で,全ての教職員が障害に対する理解や特別支援教育に係る専門性を高めると書いてあります。これは考えてみると,専門性を高められるに越したことはないのですが,小中学校の全ての教職員に様々なスキルアップが求められている中で,特別支援教育の専門性を高めるというのは非常に大変なことなのではないかなという思いがあります。せめてスキルアップや資質能力を高めるぐらいであれば必要なことであろうと思います。
 代わりに,学校が組織として特別支援教育の専門性を高めるための策として,いわゆる特別支援教育のコーディネーターの役割といったものも非常に重要になるのではないかなと思いましたので,御検討いただければと思います。
 それから,もう一点。先ほど山内委員からもEdTechの話が出て,定義が曖昧であるというお話がありましたが,最近,地方で取組が進んでいるものに,教育のシェアリングエコノミーの活用についてというものがあります。いわゆる教えたい人や学びたい人が,互いにシェアして,保育などでは潜在保育士ということでよく言われていて,潜在教員という言葉があるのかどうか分かりませんが,新たな学びの場がどんどん広がるという試みが地方ではされています。そういう学び直しになるのか,学びのセーフティーネットの部分に入るのかよく分かりませんが,この言葉自体は御検討いただけたらいいのかなと思いました。以上。

【北山部会長】
 今の戸ヶ﨑委員からシェアリングエコノミーに関する御意見がありましたが,初等中等教育についても高等教育についても,それぞれのセグメント毎に,様々な議論を行ってきており,当然,そちらの議論も今回のこの計画と双方向に関連しますので,本計画の中というよりは,そちらの中で検討してもよいのかなと思います。
 これは全体の計画なので,いろいろなテーマがある中で,内容を絞り込む必要がある点についてはご理解いただければと思います。
 永田委員,お願いします。

【永田委員】
 ありがとうございます。
 地域や地方のことがたくさん書かれていて大変良いと思います。
 そのうえで,施策の根本として,国を支える核が教育であるということは当たり前ですが,地域を再活性化していく,その中核に教育があるのだという文言が必要であると思います。

【北山部会長】
 そうすると,比較的前半に出てくる話ですね。

【永田委員】
 はい。明確に書き込むべきだと思います。

【北山部会長】
 はい。
 それでは,河田先生。

【河田副部会長】
 すごくよくまとまっていて,新しく,36ページからの5章の「今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき視点」が入って良くなったと思いますし,最初の「はじめに」のところに2022年に,日本の学校教育制度が150年目にちょうど当たり,「我が国の(近代化の)基礎を培った」という指摘がなされ,格調高いものになったと感心しています。
 ただし,5章を読んでいて少し気になったのは,もちろん「視点」なのでそうなのかもしれませんが,「必要である」,「必要がある」という言葉が二十数か所,それから「重要である」という言葉が十か所近く出てくるのです。だから,そこをもう少し重要度を考慮して「重要であるから,早期の実現を目指す」とか,「検討を進めていく」,「拡大を図っていく」,「推し進める」など,表現に変化をつける。また「必要がある」と言われても,「ああ,そうか」で終わってしまいますから,是非その後をうまく「今期の間に実現を図る」など,もう少し強く表現していただくと,現場の先生方が読まれても,「ああ,そうか」ということで終わらないのではないか,と思います。少し余計なことを申しましたが,是非,文末の言葉を考えていただければ有り難いと思います。以上でございます。

【北山部会長】
 そちらにつきましても,修文を検討いたします。
 そのほかいかがでございましょうか。よろしいですか。もし追加で御意見,御質問がありましたら,事務局にお願いしたいと思います。
 今現在,特に無いようでしたら,審議はここまでとさせていただきます。冒頭申し上げましたように,この2年間議論をしてきまして,皆様からいろいろな御意見を頂戴いたしましたが,本日で最後とする段取りで進めさせていただければと思います。
 これから,文部科学省の事務局とも相談し,文章の訂正や脚注を加えるなど,修文の作業をこちらで行います。
 全ての御意見を全部入れられるかは分かりませんが,その取扱いについては,私に御一任いただければと思います。修文を行いましたら,3月2日に中央教育審議会の総会がありますので,そこで答申(案)として提出したいと思います。
 そのような段取りで進めたいと思いますが,御了承いただけますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【北山部会長】
 ありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。
 それでは,本日が第3期教育振興基本計画の策定について審議を行う最後の計画部会となります。
 事務局を代表して,小松文科審議官から御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。

【小松文部科学審議官】
 失礼いたします。
 第3期教育振興基本計画の策定について審議を行う計画部会としては,本日が最終回ということで,私の方からお礼を兼ねまして,文部科学省事務方として,一言御挨拶申し上げます。
 一昨年4月の諮問以来,約2年間で,この部会として18回,委員懇談会や関係団体ヒアリングを含めて22回という,大変長期にわたる精力的な御審議を頂きました。北山部会長,河田副部会長をはじめ,委員の皆様にこの場をお借りして,厚く御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 全体として,少子高齢化による人口減少や社会環境の大きな変化,それから,技術革新の進展といった変化を推し進めるという要因が非常に増大する中,誰もがそういった転換を乗り越え,あるいはそれを逆に力にして,活躍できるようにしていくということが広く求められています。
 答申(案)では,第2期計画で「自立」「協働」「創造」という方向性を掲げていたわけですが,この方向性自体は継承していくという御議論をされた上で,人生100年時代や超スマート社会(Society 5.0)と言われる新しい変化の到来の中,教育を通じて生涯にわたる一人一人の「可能性」と「チャンス」を最大化することを教育政策の重点事項とするということでおまとめいただいていると認識しております。
 さらに,次世代の学校の在り方など,「新時代の到来を見据えた次世代の教育の創造」を特に留意すべき視点として,全体の整理をしていただいたと思います。
 先ほどのお話でもありましたように,今後,中央教育審議会の総会が予定されております。本日の活発な御議論も含めまして,答申として取りまとめられていくということになりますが,そうしますと,次は,閣議決定として,政府全体の決定に持ち込んでいくことになります。そのプロセスでは,政府内での検討もいろいろ行われると思いますが,皆様に今まで重ねていただいた御議論やこの答申をきちんと反映できるよう,私どもも全力で当たりまして,形になりますよう,進めていく必要があると思います。
 委員の皆様方におかれましては,第3期教育振興基本計画の策定に関して,この部会自体は,本日が最終回ということでございますが,今後とも,いろいろと御協力,御支援を頂かなければならないと思います。引き続き御指導,御支援をお願いいたしまして,御挨拶にさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

【北山部会長】
 私からも一言御挨拶いたします。
 約2年間にわたり,熱心に御審議を賜りまして,誠にありがとうございます。
 本日,1時間半に渡って御審議いただいた中で,皆様からいろいろな御意見を頂いておりますので,それらを踏まえて適宜,修正を行った上で,答申案を取りまとめさせていただくという運びとなりました。皆様のご協力に心から感謝申し上げます。
 教育政策を実効あるものにするためには,目標や指標,施策群を総合的かつ体系的に示し,その実現のためのロジックを明らかにすることが必要である,という点が,議論の出発点であったと思います。
 答申(案)では,社会の現状や2030年以降の変化を踏まえた課題などを踏まえ,五つの基本的な方針と21の目標と必要となる施策群を整理しました。また,より効果的・効率的な教育施策の立案のため,教育政策の効果を社会に対して示していくため,客観的な根拠(エビデンス)を重視した教育政策の推進についても諮問されておりましたが,答申(案)では特に留意すべき視点として,文部科学省における体制の整備などについてまとめさせていただきました。思えば,2年前に議論を開始した当時の生涯学習政策局長だった有松所長が今まさにその体制整備の要になるポストに就かれ,あちらに座っておられます。
 先ほど小松文部科学審議官からもお話がありましたように,3月初めの総会で答申が取りまとめられましたら,その答申の趣旨を十分に反映して,政府として,この第3期計画を策定,閣議決定していただくことを期待しております。
 当部会としては,実効性のある教育施策が進められるようフォローアップを進めていきたいと思いますので,引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 これまで本当に熱心に御議論いただきましたことに,改めて御礼を申し上げ,私の部会長としての最後の御挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。
 それでは,本日はこれで終了でございます。

―了―

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

改革企画係
電話番号:内線:3279

政策審議第一係

内線:3458