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教育振興基本計画部会(第8期~)(第5回) 議事録

1.日時

平成28年6月30日(木曜日) 10時~12時

2.場所

東海大学校友会館 阿蘇の間・朝日の間(東京都千代田区霞が関3‐2‐5 霞が関ビル35階)

3.議題

  1. 2030年以降の社会の変化を見据えた,教育の目指すべき姿について(ヒアリング・意見交換)
  2. その他

4.出席者

委員

 北山部会長,小川副部会長,明石委員,阿部委員,石田委員,大竹委員,大橋委員,金子委員,川端委員,菊川委員,近藤委員,白井委員,高橋委員,田邉委員,柘植委員,戸ヶ﨑委員,中井委員,羽藤委員,樋口委員,丸山委員,宮本委員,無藤委員,村岡委員,百瀨委員

文部科学省

 小松文部科学審議官,佐野官房長,関総括審議官,有松生涯学習政策局長,藤原初等中等教育局長,常盤高等教育局長,德田大臣官房審議官,浅田大臣官房審議官,瀧本大臣官房審議官,松尾大臣官房審議官,岩本生涯学習総括官,里見生涯学習政策局政策課長,井上文部科学戦略官,寺坂教育改革推進室室長補佐他

オブザーバー

 新井紀子 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 社会共有知研究センター長・情報社会相関研究系教授
三宅龍哉 富士通株式会社顧問,一般社団法人 日本経済団体連合会教育問題委員会 企画部会長

5.議事録

【北山部会長】
 ただいまから第5回教育振興基本計画部会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 本日は前回に引き続き,2030年以降の社会の変化を見据えた教育の目指すべき姿について議論を行うということ,有識者からのヒアリングと意見交換という内容となっております。有識者の先生としましては,国立情報学研究所の新井紀子教授と経団連教育問題委員会企画部会の三宅龍哉部会長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 ヒアリングに入る前に,先月14日,15日に開催されたG7倉敷教育大臣会合における成果文書と,先月の20日に取りまとめられた教育再生実行会議の第九次提言,これは新メンバーになっての最初の提言となりますが,これらは,本部会での議論とも関連が深い内容ですので,事務局から簡単に御説明をお願いします。
 それでは,井上文部科学戦略官,よろしくお願いします。

【井上文部科学戦略官】
 失礼いたします。戦略官の井上でございます。
 議論に先立ちまして,事前に資料もお配りしましたので,ごく簡単にポイントを御説明させていただきたいと思います。
 まず,資料1‐1を御覧ください。第3期教育振興基本計画の策定に向けまして,先ほど部会長からも御説明がございましたように計画の検討としては実質第1回目の、前回部会に引き続き、1ページにございます三つの検討事項について,当面検討することになっております。
 特に,先月の第4回,今回,また来月につきましては,検討事項丸1の2030年以降の社会の変化を見据えた教育の目指すべき姿と,検討事項丸3の教育投資の効果や必要性を社会に対して示すための方策について,御検討いただくことになっています。それぞれの検討事項についての参考となる会議,提言データ等につきましては,2ページ以降にインデックスとして付けております。また,お手元のタブレットに本体の資料等もございます。適宜御参照いただきながら,御意見を頂ければと思っております。
 また,資料1‐2は前回頂いた意見を簡単にまとめたものでございます。まずは,教育の目指すべき姿といたしまして,前回の会議において,特に教育を通じた社会の成長・発展や,2枚目にございます教育を通じた包摂の実現,3枚目にございます教育における多様性の尊重,教育投資の効果や必要性を社会に示すための方策について数多く御意見を頂きましたので,そういう形でカテゴライズしております。また,頂いた御意見に基づきまして,今後とも引き続きカテゴライズをしていきたいと思っております。
 また,資料1‐3にございますのは,前回の部会の後に行われました総会、生涯学習分科会等におきまして,頂いた御意見でございます。ごく簡単に御説明をいたします。資料1‐3の真ん中辺り,教育を通じた社会の成長・発展という部分では,産業革命を推進する技術の動向を予測して取り上げる教育内容・研究内容を計画化してPDCAを回していくべき,その二つ下の丸のところで,研究・開発・商品化から普及までのスピードが速くなっていることから,教育と研究の内容の革新速度を高速化しなければならないというような御意見,一番下にございますように,情緒豊かな世界を体験する機会をいかに作るかが重要ということです。
 また,1枚めくっていただきまして,2枚目の真ん中辺りでございます。上から六つ目の丸,今後人工知能をはじめとする技術革新やグローバル化の一層の進展という中では,今以上に子供たちに生き方,働き方についてしっかりした考えを持つことが必要であるという御意見がありました。一番下包摂の実現という部分では家庭教育の役割をもっと重点化すべきと。そして3枚目にございますように,就学前,育児の段階から,親を含む健康意識の醸成が必要というようなことです。また,多様性の部分では,子供たちに、多様性を認める柔軟さを持ちつつ,世界の人々と積極的にコミュニケーションを取り,協働・共生する姿勢を養うことは大変重要なこと。
 また,最後4枚目でございます。教育投資の効果や必要性を社会に示すための方策という部分では,イノベーティブな教育を創り出すためには,スモールスケールでエビデンスを出すことがポイントではないかということ。新しい試みは民間ベースでもどんどんやっていく方がいいというようなこと。また,教育政策の効果を検証する仕組み作りをしていくべきという御意見を頂いております。
 また,資料は間に合わなかったのですが,これ以外に大学分科会でも御意見を頂いております。今回の教育振興基本計画については,教育投資がどれだけ重要か,国民全体,政府全体で納得できるようなデータを出し,コンセンサスを取っていきたいというようなこと。また,高大,企業,社会の接続を通じた人材育成について仕組みを考えていくべきというようなこと。また,国際的な学生を積極的に受け入れ,大学の中で多様性を作っていくべきだという御意見を頂いております。
 資料1‐4は,それに関連するデータを集めたものでございます。本日の関係でございますと,例えば11ページから16ページにかけまして,2030年や2025年をターゲットにした技術革新の動向や,26ページ以降も産業別の就業構成割合の推移等々,データがございます。適宜参照いただきながら,御意見を頂ければと思います。
 また,資料2‐1と2‐2は,先月行われましたG7の倉敷教育大臣会合の倉敷宣言の内容と,教育再生実行会議の第九次提言の内容でございます。簡単にポイントだけ御説明をさせていただきます。倉敷宣言におきましては,ここにございますように教育の果たすべき役割で,社会的包摂,共通価値の尊重の促進などが言われております。
 また,1枚めくっていただいて裏側にございますように,教えや学びの改善・向上策です。教育における多様性の尊重やエンパワーメントの促進,教育と雇用・社会の接続,さらには教職の向上と支援,客観的根拠に基づく教育政策の推進等々がうたわれております。
 また,資料2‐2にございますように,教育再生実行会議の第九次提言です。全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花する教育と,ここでも多様な個性が生かされる教育の実現で,発達障害,不登校,学力差,また特に優れた能力の子供,日本語能力が十分でない子供,家庭の経済状況に左右されない,そういう子供たちに対する教育の充実に基づきまして,具体的な取組が書かれておりますとともに,これまでの第一次から第八次までの提言についての確実な実行ということでフォローアップがなされております。
 私からの説明は以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 では早速,有識者ヒアリングのセッションに移りたいと思います。
 それでは,新井先生よろしくお願いいたします。

【新井氏】
 おはようございます。ただいま御紹介にあずかりました国立情報学研究所の新井紀子でございます。それでは,座ってプレゼンをさせていただきます。
 本日,私が「ロボットは東大に入れるか」という人工知能AIのプロジェクトと,その後のリーディングスキルというプロジェクトをしております関係から,人工知能やロボット等が発達する2030年代に求められる人材育成について,話をするようにということでしたので,それでお話をさせていただきます。
 近年,インターネット上にあるいはセンサーを通じて,様々なデータが膨大に集まりつつあります。こうして蓄積されたビッグデータの上で,統計的な様々な手法を用いて,知的な課題を解決する機械学習と呼ばれる人工知能技術が大変話題を集めています。「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトは, AI技術やロボット技術が導入されることで,2030年の社会がどのように変化するかを科学的に明確化することを目的に,大学入試をベンチマークとして,我が国における学際的な知識,先端技術を集積し,これまで蓄積された人工知能の各要素技術の精度を高めて,2016年,今年ですがセンター入試で高得点,2021年に東大入試突破を目指しているプロジェクトでございます。
 このプロジェクト名をお聞きになると,「AIはもうすぐ東大に入るのか」という印象を持たれるかもしれませんが,そうではありません。まずは,2030年について正確に皆さんにイメージを持っていただくために,現在の,特に言葉に関してのAIの技術がどのようなことをしているかを御紹介します。こちらがIBMさんが2011年に行ったクイズ番組Jeopardy!に挑戦をしてチャンピオンを破ったという内容を解説したものです。
 画面に投影したのは,典型的なJeopardy!の問題です。「モーツァルトの最後の,そして多分最も力強い交響曲はこの惑星と同じ名前をしている」,このようにJeopardy!で問われる問題は,通常“This何々”で終わります。“This惑星”“This国”“This飛行場”という具合です。このようなタイプのものは,現在のAIでは次のように解きます。まず,“Mozart”“last symphony”で検索をしていきます。そうすると,現在はウェブの資源が充実しておりますので,クイズ番組で問われるような問題の答えは大抵ウェブ上のどこかに答えが書いてあります。この問題の場合は, “Symphony No.41 (Mozart)”というウィキペディアの項目があり,その中に答えが書いてあります。ただ,タイトルをそのまま答えても正解にはなりません。本当は“planet”のカテゴリーに入っているものを答えなければなりません。このようなときに,語の共起等を調べて答えるのです。この文章の中でsymphony Mozart lastというのがどういうところに出てきているかを,赤で示しています。そういう中で「planet,惑星のカテゴリーの中に入っているものは何ですか」というように調べるとJupiterです。ですから,Jupiterが答えである可能性が高い。つまり現在のAIは文章をきちんと理解できるわけではないのです。問いの文から適当な検索キーワードを抜き出し,検索をして,可能性が高そうな単語を選んで答えているのです。それは,Watsonだけでなく,Siriや東ロボ,Pepperも含めて全てのAIがそうなのです。実際は文章をきちんと読むことは一切できておりません。文章はきちんと読まずに大体このようなキーワードがこの辺に出てきているから,これが答えではないかというような形で統計的に答えを当てています。
 この方法を昨年次のように改良しました。世界史のセンター入試の問題は,正誤判定問題が七割から八割出ます。正誤判定問題に対しては,例えば「カール大帝はマジャール人を攻撃した」,これは誤った文ですが,どうやってそれが分かるかというと,「何々はマジャール人を攻撃した」という文と「マジャール人は何々を攻撃した」というクイズ問題を自動生成しまして,それで先ほどのような方法で解きにいきます。「カール大帝は“何々”を攻撃した」ところには「アヴァール人」が入りやすいことが分かります。そのことから,マジャール人は間違いだと認識をいたしまして,100点中76点を獲得しますと,今の高校3年生に比べてはるかに高い能力を示しまして,偏差値66.5を達成することができております。これは世界史だけではなく,事実に関する文章が大量にあったときに,それに関しての正解と間違いを見分ける能力がかなり高くあることを示しております。
 国語に関しては,当然のことながら,きちんとした評論や小説を読むことはできません。そこで,選択肢を選ぶ根拠となるような部分を本文から抽出しまして,そこから「あ」が何回,「い」が何回など,言葉がどのような言葉が出ているか,どんな語彙が使われているか,などから問題部分と選択肢の類似度を計算して,最も可能性が高そうな選択肢を選ばせています。意味は何一つわからないのですが,それでも,五割くらい当たるのです。長文の読解問題で五割正解すると,これは大体高校3年生に比べるとやや高い,偏差値54くらいが出ている状況でございます。
 数学に関しましては,これでは答えが出ないので,問題文を正確な機械翻訳にかけます。これは世界でも初めての日本での技術です。これを機械が理解できるような「機械語」に直訳します。直訳した後に,もう少し機械が処理できるようなものに変換をいたしまして,これで答えを出すことをしております。このようにきちんと問題文を理解して答えを出すようなことができるのは数学の一部の問題だけであって,それ以外のことに関しては多分達成が極めて困難だろうと考えられています。つまり,AIやロボットが言葉を理解することは近未来では実現できず,ただ,理解できるふりをすることが上手になるのが限界ということです。
 昨年40万人の高校3年生とベネッセさんが運営されるセンター模試を受けました。結果,数学や世界史,日本史などで人間を上回る精度を出しまして偏差値が57.8で,5教科合計において全国平均点を大きく上回りました。そして,750大学中半分以上の474大学,33の国公立大学において,合格可能性80パーセント以上という判定を得ております。ここまでお聞きになった方は,「この方法では記述式試験は手も足も出ないだろう」とお考えになるかもしれませんが,それは違います。出題の傾向や問い方によってはうまく機械にも解けることがあります。例えば,昨年,世界史で東大実戦模試を受験させたところ,最も人間らしい知性を問うと考えられていた600字の長文記述の問題で,人間つまり東京大学を目指している生徒さんに比べて,大きく上回る得点を出しております。
 ということで,今東ロボ君は高校3年生の中で,上位20パーセントの点数に達しています。東京大学に入るかどうかは,労働市場に対してはそれほど大きな影響はなくて,問題は今御覧いただいているように,東ロボ君がボリュームゾーンを越えてしまったということです。つまり,人工知能が入ることによって,ホワイトカラーの仕事は,上下に分断されることは避けられないのです。人工知能は一度導入されれば,24時間365日休まず低コストで働き続けるので太刀打ちできません。ですから,人工知能がたまたま得意だった仕事に現在就いている方は,それが導入されることによって仕事を移らなければならない。それは,AIにできない高度な知的処理をするか,AIの下働きをすることです。統計的な機械処理は,どうしてもエラーを完全になくすことはできませんから,人が直さなければならないわけです。そういうようなところで人工知能の下働きをするシーンが増えてくることが2030年に予想されます。
 実は,ここからが本日どうしてもお話ししたかった本題でございます。これまで,御説明しましたが,人工知能はSiriやWatsonや東ロボを含めて,文章の意味がまるで分かっていない。分かっていなくて統計的に問題を解いていることが分かります。意味が分かっていないのに,どうして意味が分かるはずの高校生が,AIに敗れてしまったのかが大変関心がございました。
 それで,中高校生は実際に教科書のような普通のテキストが読めているのかに関して,大規模な実証実験をとある教育委員会の御協力を頂いて行いました。これをNIIが開発しているリーディングスキルテストです。これは,現状の自然言語処理やAIの技術では,近未来に達成できないと考えられる文章の深く正確な読みを人間ができるかどうかをテストするものです。調査対象は,埼玉県のとある教育委員会に御協力を頂きまして,6校計340名の中学2,3年生,それと埼玉県のこれは県立中学校といって入試を経ている,その地域の6年生の段階で良くできたお子さんが入試を経てお入りになった中学1,2年生,これは紙で実施をしました。あとは高校生640人,高校1,2,3年生です。東京都立の普通高校ですが,ほぼ100パーセントが進学する学区のトップレベル校です。これも紙面で調査をいたしました。調査の方法は,中高の検定を経ている教科書,ただし国語と英語を除く全教科から文章を抜粋しまして作問を行いました。作問の観点は係り受け解析,表象理解等,AIでは解決困難な課題を7分野に分けて出題をしました。今年度は1万人規模で追加の調査を実施する予定です。
 例えば,こちらの問題です。「オーストリア,次いでチェコスロバキア西部を併合したドイツは,それまで対立していたソ連と独ソ不可侵条約を結んだ上で,1939年9月,ポーランドに侵攻した。ポーランドに侵攻したのは何ですか?」,これは知識を問うていません。これまでのテストだと普通に,「1939年ポーランドに侵攻した国は何ですか?」というような穴埋め問題だと思います。それは東ロボ君でもできますので,テストする意味はありません。そうではなくて,こういう文章が新たに与えられたときに,きちんと読解してその文章が何を言っているかが分かるかという問題です。当然のことながら答えはドイツですが,調査した結果,中学生だと83パーセント,進学校の高校生は大体100パーセント読めることが分かりました。この83パーセントに安心しないでいただきたいのですが,実は公立の中学校では,四人に一人がこれを読めないことが分かりました。実は,これは学年によらない,2年生が3年生になると読めるというわけではないことも分かってきています。
 次です。「Alexは男性にも女性にも使われる名前で,女性の名Alexandraの愛称でもあるが,男性の名Alexanderの愛称でもある。Alexandraの愛称は何ですか」という4択の問題です。答えはAlexですが,正答率は中学生で53パーセント,進学校の高校で八割を切っております。よく見ると,公立の中学校だと50パーセントを切っています。この文章が読めないのです。
 次,これが高校の教科書を中学高校生に読ませてみることをしてみました。生物の1年生の基礎ですから,全員が取る教科書の内容です。「アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが,同じグルコースからできていても形が違うセルロースは分解できない。この文からセルロースは何と形が違うと書いてあるか」ということです。「形が違うセルロース」と書いてありますから,何かとセルロースは形が違うと言っているのですが,この文で何が違うと言っているのか。答えはデンプンですが,中学生だと9パーセントしか読めていない。進学校の高校生でも3分の1しか読めていない。4択ですから,ランダムでも25パーセント来るはずですが,それを下回っている。
 これは読めないという問題もありますが,こんなに読めなかったら,多分教科書の書き方が悪いということも言えると思います。これは急に御覧になると,もしかしたらこの場にいらっしゃる方でも「ん?」とお思いになるかもしれない。だとしたら,教科書の書き方が悪いです。では,どうしてそういうことになったかというと,今生物が一番指導要領の改訂が激しい。内容が増えている中で教科書の厚さを同じにしようとする。と,こういう文章が増える。こういうことは指導要領をいじっているときには,分からない副作用でしょう。こういうことをエビデンスに基づいて検討していくことが,今後の教育改革には必要だと認識をします。
 どうして,誤答が導かれたのかというと,多分「セルロース,形が違う」というキーワードで問題文と照合する,すると,文の最後辺りに出てくることがわかる。そこからさかのぼって最初に出てくる名詞がグルコースです。すると,意味はわからずにグルコースかな,と考える生徒がかなりいる。もう一つ,誤答が集まったアミラーゼはどうしてかというと,構造上一番係り受け先になりやすいのが文頭の主語なのです。今回の場合,それがアミラーゼなので,それを選んでしまったのでしょう。これは意味がわかっていないAIと全く同じ読み方なのです。
 つまり,物が分からないときに人が読もうとするときにAIのようになってしまう。しかも,劣ったAIのようになってしまうことで,AIに勝てないということが起こることが想定されるわけです。本来はこういう文章があったときに,この文章を図解することでストンと分かるはずなのです。意味が分かる。暗記でなくて分かるということが起こるので,今いろいろアクティブラーニングと言いはやされていますが,本来はこういう文章の図解のようなシンプルなことこそアクティブラーニングすべきではないのかと考えます。
 さて,これだけではありません。よりAIに難しいのは,文という記号列を,世界というリアルワールドに接地する問題です。例えば「原点Oと点(1,1)を通る円がX軸と接している。」という文章。これを正しく表象している図を四つの中から選ぶという問題です。この文には三つの条件があります。これを全部チェックすると,例えばBはX軸と接していない。CはX軸と接していない。Dは(1,1)を通らないことが分かりますから,Aが答えであることが分かります。入試を経ている県立中学校で半分以下,進学校でも63パーセントしかできない。これはまだ公立の中学校で調査ができていませんが,多分,かなり衝撃的な値になると思います。
 もっと簡単な問題,原点を通る円がある。これはAとDがすぐ分かります。同じく県立中学校で64パーセント,進学校でさえ八割を下っていることがあります。こういうような状況で,数理教育を大学で文系にもやらせましょうとやっても多分定着しようがないです。子供の状態をリアルに測らずに,測定することなしに教育改革を行うと,現状を知らないまま教育改革を良かれと思って行っても,全く効果が出ないことが起こるのです。
 これがもう一つの物理の問題です。これは物理の波の最初のところの問題です。波形の最も高いところを山,最も低いところを谷と呼ぶ。変位の最大値を振幅といい,振動の大きさを表す。つまり,山の高さ(谷の深さ)が振幅である。また,一つの山から次の山までの距離,あるいは一つの谷から次の谷までの距離を波長と呼ぶ。配付資料は分かりにくいかもしれないです。大きくしますとこうなります。そうなりますと,これは別にひっかけ問題ではなくてCとDでは振幅と波長が逆になっていますから,CとDはあり得ません。AとBが条件を満たしていますのでAとBですが,これくらいです,半分くらい読めない。多分公立の中学校になるともっと読めないでしょう。
 ですから,理系が苦手という子は,もしかしたら理系の問題を解く,数学の問題を解く,物理の問題を解くことが苦手なのではなくて,そもそもこういう文を正確に読めないのかもしれませんね。これは波動の最初に出てくる定義文なので,何の知識も前提としていないです。それをチェックすることができないです。というようなことがあるのではないかということが予想されます。好き嫌いの問題ではなくて,読めないのではないか。
 東ロボから見えてきたのは,近未来のAIにとって意味を理解することは極めて難しい。特に,言葉の意味を理解することはできないだろうと思います。ですから,高校生の八割がAIに敗れた理由は,人間も教科書程度の説明文を正確に理解できないからだと分かってきました。教科書が読める能力を過小評価してはいけません。説明文というのは,例えばマニュアル,ビジネス文書,仕様書等があります。これらは別に検定を通っていないような文が書かれているわけですが,そういうものはもっと読めない可能性がある。シンプルな説明文が読めないことは,単に学校現場の問題ではなく,ホワイトカラーの生産性向上を阻む要因でもあるのです。
 今,プログラミングを小学校教育に導入することが盛んに議論されています。ですが,プログラミングを学んでも,テキストとして書かれている要求仕様を理解できなければ,正しくソフトウェアを設計することも構築することもできません。意味が分からず統計的な判断をする人間は,正確な記憶と計算能力をするAIにはかなわないだろうと思います。
 こちら最後のページが差し替えになっておりまして,今事務局の方が差し替えをお回しされたかと思います。そちらを御覧ください。今後の教育改革への期待です。大変口幅ったいようですが,一言申し上げます。
 教育改革に当たっては,「これをすべし」という観念や思いだけではなく,より科学的なアプローチを導入する必要がある。エビデンスに基づく教育改革が行われる必要があると感じます。仮説を検証できるような問題の設定が必要です。十年ほど前から全国で学力調査が行われています。それ自体は教育の状況を知る上で,意義深いことではあります。しかし,統計の理論から考えると,全国悉皆(しっかい)で同じ問題を解かせることはそれほど意味がありません。なぜなら同じ問題を解かせると,仮説を検証するような比較ができないからです。私どもが設計したリーディングスキルテストは,全員に同じ問題を解かせていません。統計的に意味がある程度の規模で,子供によって少しずつ違ういろいろな問題を解かせています。国立情報学研究所では,あのようなタイプの問題を2000問以上作っております。それを統計的に意味があるように,いろいろなタイプの学校等にさせることによって,仮説を検証していっています。
 テストワイズネス,これは例えば引き算の問題と書いてあったら引き算でする,引き算の問題となっていたら,大きいものから小さいものを引くと決めてやるなど,そういうことでテストの良い点を取ることをテストワイズネスと言います。センター入試でも,テストワイズネスが起こしていることはよく指摘されることです。テストワイズネスを排除できる費用対効果が高いテストの導入を検討すべきではないかと思います。ただし,一つのタイプのテストでテストワイズネスを排除することは極めて困難です。
 例えば,センター入試を全部記述式にすればテストワイズネスを排除できるかというと,先ほど申し上げたように,東大の600字の筆記に関して,人間精度をもう東ロボが上回っていることから,そういうことだけで排除することは困難です。センターテスト,個別学力試験,例えばリーディンスキルテスト等の複数のタイプのテストを科学的に組み合わせることによって,AI的な問題解決を効果的に排除できる。つまり,テストワイズネスを効果的に排除できると期待できます。
 もう一つは,どの教育改革の御提案も大変子供たちのことを考えて御提案がなされているとはよく承知しておりますが,教育改革の優先順位を科学的に付ける必要があるのではないかと考えます。例えば,小学校からの英語,プログラミング,中学校における基本的読解力の定着とどちらの優先順位が高いかは,決めなければ一つの決まった時間内で実効性を上げることはできないだろうと考えます。
 さて,中高校生がもし説明文を読めないまま,AIと似た問題解決をし続けた場合どのようなことが起こるか。2030年には労働力の不足と失業の問題が同時に起こり,このことによって社会不安が増大することが起こると予想されますので,教育改革には大変大きな期待をしております。
 以上で,私のプレゼンを終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

【北山部会長】
 新井先生,大変参考になるお話をありがとうございました。次に,三宅部会長からのヒアリングを行いまして,その後,お二方のプレゼンテーションに対する質疑等を併せて行いますので,御了承いただければと思います。
 では,三宅部会長,よろしくお願いいたします。

【三宅氏】
 経団連教育問題委員会からまいりました三宅でございます。本業は富士通で社員の人材育成を担当しております。本来であれば,この部会の委員の第一生命の渡邉委員が御報告する予定でしたが,御都合がつかないということで私が代理で参りました。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料はお手元の3‐2の丸1,丸2と2点用意しておりますが,丸2が本文です。本日は時間の関係で,丸1の概略版で御報告をしていきたいと思います。
 経団連の教育問題委員会では,産業界の視点から政府の教育政策についての提言を行っております。大学等の教育機関とも連携して,人材育成のプロジェクトも実施しております。そういう中で,中央教育審議会において,本年4月から教育振興基本計画の検討が始まると伺いました。経団連では,第2期計画に対する評価を行った上で,併せて第3期の計画の策定に向けた産業界としての問題意識や考え方を提言として整理し,4月19日に公表しております。本日はその内容について,御報告申し上げます。
 では,3‐2の概要版の3ページをお開きください。私どもの提言では,求められる教育改革を整理するに当たり,まず次世代を担う人材に求められる資質や能力を整理いたしました。我が国では,今後少子高齢化やグローバル競争の激化,あるいは第4次産業革命やSociety5.0,IOT,ビッグデータ,人工知能といったいろいろな技術革新による急激な社会・産業構造の変化が予測されております。ちょうど中段の丸で囲んだところであります。変化が激しく,将来が展望しにくい状況下において,日本が経済成長を実現するためには,開かれた質の高い教育を通じて,変化に主体的に対応できる人材を育成する必要があると考えております。
 現在,学校教育を終えた人材を社員として受け入れる企業の立場から,資料には書いておりませんが,多少私見を含めて申し上げますと、日本人社員総じての傾向ですが,一つには自分の思いを外に発信する力が弱いのではないか。二つ目には他者に正解を求めたり、自分で課題を設定し,課題を解決したりする力が弱いのではないか,三つ目には,リベラルアーツにやや欠けているのではないか,ということを人材を預かる側(がわ)としては感じております。
 これらの課題は,今までの学校教育が何か変化してきたことによってもたらされたものというよりも,ビジネスのグローバル化の進展に伴い,もともと内在していた課題が顕在化したものではないかと感じております。これらの認識を踏まえ,提言では2030年代以降の社会の変化を見据え,人材に求められる資質・能力として,3ページの下段の囲みの中に記載しているように、課題発見解決能力,リベラルアーツ,多様性の尊重,文系・理系にまたがる知識の習得,質の高い情報を取捨選択して情報を課題解決のために使いこなす情報活用能力などが必要であると指摘しています。
 続きまして,4ページを御覧いただきたいと思います。(1)番の下の囲みの中であります。提言では,現在日本人に不足している,先ほど申し上げました能力を育むための有効な解として,アクティブラーニングに期待をしております。ページの下のグラフを御覧ください。国際学力調査でも日本人高校生の学力はトップレベルを回復しております。そういう意味では知識教育という面では,日本の教育は成果を上げていると考えております。したがって,日本人の先ほど申し上げたような弱点を克服するために必要なのは,これまで十分行われてこなかったような領域の教育であると考えております。次期学習指導要領の改訂において,アクティブラーニング推進の視点から,学習内容,方法を抜本的に見直し,初等中等教育段階から高等教育段階まで一貫した取組をするとされたことは高く評価できるのではないかと考えております。
 次に,5ページを御覧いただきたいと思います。求められる教育内容の見直しとしまして,本日は時間の制約もございますので,英語教育とICTを活用した教育イノベーション,この二つに絞って御報告申し上げたいと思います。他方,本日は説明を割愛いたしますが,キャリアに関する問題,専門職業教育,あるいはグローバル化,地域学校企業の連携等々に関しましても重要な課題であると認識しております。資料では触れておりますが,説明は割愛させていただきます。
 5ページの丸1番でございます。まず英語教育です。次世代を担う人材には英語の4技能,すなわち英語を読み,書き,話し,聞くという能力がバランスよく身に付き,使える英語でないといけないと思っております。併せて英語で積極的にコミュニケーションをとることが求められると考えております。しかし現状を見ますと,ページ中段の右側の表を御覧いただくとデータが出ておりますが、日本の中学3年生,高校3年生の英語力は全体的に国の目指す目標に達していない状況にございます。左側のグラフでありますが,直近の英語力調査の結果を見ましても,高校卒業段階でも特に書く力と話す力が弱いことが示されています。囲んであるA1という基準が英検の3級から5級のレベルですが、これは一番多いという状況でございます。
 したがいまして,このページの上の囲みの中に記してありますように,次期計画では小学校,中学校,高校卒業段階でそれぞれ達成すべき英語力の目標を具体的に示して,単に目標を示すだではなく,段階ごとに目標を着実に達成するような検証と改善の仕組みも検討していただきたいと考えております。また,成果を上げておりますJETプログラムを拡充するとともに,外部人材に教員の特別免許を付与するなど,児童・生徒に生きた英語を教えることも積極的に推進すべきであろうと考えております。
 次に,7ページを御覧いただきたいと思います。ICTを活用した教育イノベーションについてでございます。上段の囲みの中のレ点のような第1項でございます。アクティブラーニングの視点に立った他者との対話や共同作業,深い考察や思考を通じた主体的な学習を行うためには,ICT機器を効果的に活用することが不可欠であると考えます。現状で教育の情報化がなかなか進まないのは,その目的が広く関係者に共有,納得されないまま,基盤整備の議論が先行しているからではないかと危惧をしております。
 したがいまして,次期計画では教育の情報化の目的は,次世代を担う人材に求められる素質,能力を育むために必要なアクティブラーニングを推進するためと明確にしたらどうかと考えております。そのために必要なICT環境とは何かを目標として示して,それを着実に達成するための予算をしっかり確保していただければと思っています。
 次に,上段の囲みの中の第2項であります。ICT環境整備に関して申し上げますと,社会のICT化が急速に進む中で,学校現場だけが取り残されているのではないかと思っています。公教育を支える基盤であるICTインフラ整備やそれを広く展開するためのモデルケースは国が主導して,これは第3項でも触れておりますが,地方自治体に対して政府は教育のICT化のための地方財政措置を着実に支出するよう,改めて働きかけをお願いしたいと思っております。
 10ページを御覧いただきたいと思います。教員の確保・養成についてでございます。以上述べましたようなアクティブラーニングや英語教育,ICTを活用した教育イノベーションなどの新たな教育問題に対応するためには,教員養成課程や教員選抜方法を抜本的に見直すことが急がれるのではないかと思います。教員の採用に際しましては,優れた人材を確保するため数よりも質を重視すること,あるいは世界一多忙と言われる日本の先生方が教育活動に専念できるよう,公務支援システムの導入による学校業務の効率化を図るとともに,「チーム学校」を積極的に推進することが必要であると考えます。また,教員も海外留学や民間企業での多様な経験を積めるようにすること,英語教育やプログラミング教育をはじめとするICT教育など,企業人を含む外部人材が専門性を持つ科目で特別免許などを利用して彼らを教員として登用することで,教育現場の多様性を高めることも重要であろうと考えます。
 それから最後に,12ページを御覧いただきたいと思います。高校教育・大学入試・大学教育の一体的改革の推進でございます。囲みの中,第1項でございます。これからの人材に必要な資質や能力を育むためには,高校教育・大学入試・大学教育,この三つを一つの体系の下で整合性を持って改革することが必要であろうと考えております。第3項に触れておりますが,大学入試を知識偏重ではなく,受験生の能力を総合的に評価するものに改革するとともに,第2項に戻りますが,現在中央教育審議会で検討している高等学校基礎学力テストなどを高校教育の質の保証につなげることが必要であろうと考えます。
 さらに,大学教育では学長のリーダーシップの下で改革を進めるとともに,学位授与方針でありますディプロマ・ポリシーに沿った出口管理の強化を通じて,大学教育の質の保証を行うことも重要であろうと考えております。
 それから14ページです。次世代を担う人材を育成するために,企業の求められる取組について申し述べたいと思います。上段囲みの中の第2項でございます。外国人,女性,高齢者,障害者など多様な人材が生き生きと活躍できる職場環境,人事評価制度を整備する必要があると考えております。先行する企業ではダイバーシティを尊重して,これらを包摂するインクルージョンが持続的な成長を支える源であるという認識ができており,これらを人事育成の柱として打ち出しております。
 また,第1項に戻りますが,経団連としましての教育支援のベースは,産学連携でございます。既に多くの企業や業界団体では,小中学校や高校・大学などへの出前授業,あるいは寄附講座などの教育支援活動を実施しております。学校と企業をつなぐコーディネーター機能を更に強化する必要があろうかと思います。経団連では,今後の経団連や姉妹団体であります経済広報センターなどのポータルサイトなども活用して,それらの活動を社会や学校にもっと見える化するよう取り組んでいきたいと思います。
 以上御説明申し上げた,総論的なお話で恐縮でございますが,私からの報告は以上でございます。ありがとうございました。

【北山部会長】
 三宅部会長,ありがとうございました。
 それでは,今の御発表についての御質問も含めた,意見交換のセッションに移ります。意見交換の基本的なテーマとしては,今回は主として資料1‐1の検討事項の一番上にある丸1の部分,2030年以降の社会の姿をどう捉えるか,また教育の目指すべき姿をどう考えるか,という部分となります。
 また,何名かの委員の方から事前に御意見を提出いただきましたので,資料4としてお配りしております。今日初めての御出席となる委員の方もおられますし,是非皆様からいろいろと御意見を頂戴できたらと思います。
 それでは,どなたからでもどうぞ。それでは,大竹委員お願いします。

【大竹委員】
 この丸1の(1)で,技術革新やグローバル化が進むということで,今後どういう教育が必要になるか,どういう能力が必要になるかということです。これについては多分前回の資料を見ても,今日のお二人の報告を聞いても,かなり一致しているところがあると思います。ICTを中心とした技術革新で,記憶力や計算力という部分ではそういうものが進んでいるということで,そういう能力と補完的な能力が人間に求められていくことは,同意ができているのだろうと思います。アイデアを考えることや,コミュニケーション能力がこれから大事になってくる。それから,グローバル化で英語も大事だということは同意が取れているのだろうと思います。
 分かっていないことでこれから必要なことは,新井先生の指摘もありましたが,具体的にどういうグループの人で,どういう能力が欠けているのかをもう少しビジネスベースではっきりさせないといけないということが一つ。もう一つは,そういう能力を教育することは大事だが,どうすれば一番効果的にそれが教育できるのかもエビデンスベースでよく分かっていないと思います。アクティブラーニングが大事だと皆さんおっしゃいます。では,具体的にどういうアクティブラーニングで,どういうことをすれば必要とされる能力が本当に出てくるのかは,まだ多く分かっていない。そうすると,私たちは両者についてまだ試行錯誤は必要だろうと。あるいは,過去に行った試行錯誤をきちんと検証していくことが必要ではないかと思います。
 1点,新井先生に質問したいことがあります。初見の文章をしっかり理解する能力が欠けているということはそうですが,特に事例とされたのは論理的な文章です。例えば,コミュニケーションという場合に,情緒的な文章ですね。読んで相手の気持ちが分かるかどうかは,結構また違う能力のような気がします。それは論理的能力が欠けている人でも,ひょっとするとそちらの能力は高いかもしれない。そこは何か既に調べられたことがあるのか,それとも論理的な能力があってこそ初めて次にいくのか,全く別なのかについてお聞きしたいと思います。
 以上です。

【新井氏】
 私どもで研究ができることには限りがございます。情緒的と言われている文章を理解するのは何なのか,まず定義が余りはっきりしていないことから,あるいはまた情緒的な文章を理解することが,例えば国語の小説のようなものをよく読み解けているのだと理解するならば,そちらはある意味国語で今まで散々調べてきました。補完的なことを考えるとこういう実証実験になったということがあります。
 国語の小説等を読む能力は,実は大学入試においてほかの科目との相関が余り見られないのは,どこの大学でも実はよく知られていることです。そのことが何を示しているのかはまだよく分かっていない。小説が読めることがコミュニケーション能力につながっているのかも,その仮説もよく分かっていないというように認識をしています。
 多分,AIやロボットに補完する能力としては,例えばロボットにできないこととして,介護のような場面でお年寄りの気持ちをよく理解して何かができるようなことはもちろん今回の調査では分かりえないことだと思います。今回の調査は主にはホワイトカラーがAIやロボットと補完的にホワイトカラー的な働き方をする上で,生産性を上げる上で必要になってくる能力というようなことでいたしました。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 では,戸ヶ崎委員。

【戸ヶ﨑委員】
 理論的な知見は全くありません。飽くまでも実践をしている立場から大きく2点申し上げます。一つは,先ほどの新井先生のリーディングスキルテストの件,もう一つは,エビデンスベースの実践的な取組についてです。
 まず,リーディングスキルテストについてですが,新井先生が市の名前を伏せておきながら,自分で言ってしまうのはどうかと思いますが,実は本市,戸田市では新井先生の御指導を頂きながら,今年の2月に中学校の2年生と3年生を対象にして,約340名の生徒に対してのリーディングスキルテストを実施しました。
 結果は,先ほどの先生のお話の中にもありましたが,約4分の1の子供たちが問題を正確に読めていないという,惨たんたる結果が出てしまいました。この結果に教育委員会も,また,学校現場もショックを受けまして,これはどうにかしなくてはいけないと危機意識を持って動き出しているところです。ただ,本市の子供たちは決して学力が極端に低いわけではなく,全国学調の結果も全国の平均は上回っております。それでもこのような結果が出たということは,恐らくこれは本市の子供に限ったことではなく,全国的な傾向なのではないかと思っています。
 学校現場では,以前からもしかしたら問題文を読めていないのかもしれないと漠然と感じていた場面がありました。それが,このテストの結果によって,ある意味科学的に明らかになったと認識しております。だからこそ,この結果を大変重く受け止め,早急に手を打たなくてはいけないということで,現在,全ての学校と教育委員会とで市を挙げて取り組んでいく計画を立てております。
 また,誤解を恐れずに言わせていただきますと,ある意味正解を当てる力というのでしょうか,そういう力を付けていくだけの学校教育は,これからの社会ではもはや役に立たないのではないかとまで思っています。今後は人工知能では代替することができない能力の育成を目指して,真剣に具体策を講じていく必要があるのではないかと考えています。
 そのために,本市では授業改善を通しながら,AIでは難しいと言われている意味が分かって考える力をしっかりと育成していきたいと思っています。また新井先生に今後も御指導いただきながら,まず中学生だけではなくて,できれば小学生にもそれを広げていって,児童・生徒が教科書をきちんと読めているかどうか,そうでない子が,果たしてどのぐらいいるのかを改めて調査をしていき,さらには読めない理由や読解力に差がつく時期というのでしょうか,どういったところに差がつくのか,またその要因などを診断していくとともに,読み取る力,それを付けるための授業作りといった研究実践を通して,最終的には本市の全ての子供たちが中学校卒業段階で中学校の教科書を読めるようにしていきたいと考えております。
 次に,エビデンスベースの実践的な取組についてです。埼玉県教育委員会では,昨年度から小学校4年生以上と中学校全学年を対象とした独自の学力・学習状況調査を実施しているところです。この調査というのは,IRTという統計的な手法を用いて設計されたテストであり,子供の学力の伸びや変化を経年で追っていくことができるという特徴がございます。
 更に本市では,この調査で明らかになる子供一人一人の学力の伸びに対して,その背景に教員がどういう指導をしてきたのかという,それぞれ教員の指導方法や意識調査をひもづけ,大学等と連携をしながら研究分析を行い,そのエビデンスを明らかにしていきたいと考えています。つまり,この分析により,単にアクティブラーニングと言っても,具体的にどのようなアクティブラーニングが効果を上げているのか,またICTの活用にしても本当にエビデンスベースで効果があったと言えるのかどうか,さらには少人数指導や習熟度別学習といったものが,子供の学力の伸びに本当の効果があるのかどうかを,継続的に調査・分析して何らかのエビデンスを明らかにしていこうという取組をしているところでございます。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 では,小川委員。

【小川副部会長】
 質問だけさせてください。新井先生のこのデータは,ある意味でショッキングなデータで,いろいろ考えさせられました。
 単純な質問で申し訳ないのですが,こういう教科書レベルの説明文を理解できないということは,認知科学的な考え方でいえば,これはどういうこととして理解すればいいのか,もう一つ私自身整理できていないのですが,つまり,主語,述語などという文の構成がきちんと理解できていないというレベルなのか。それとも,例えば波長や振幅などのような用語の理解が十分できていないからなのか。それとも,用語の意味は分かるけれども,それを自分が今まで持って来た知識体系の体験の中にうまく位置付けられない,認知科学でいえばスキーマーという言葉で言いますが,そういうレベルの話なのか。その辺はどう原因を理解するかで,学習指導の在り方は全然違ってくると思います。そのことを踏まえて,こういう教科書レベルの説明文をしっかり理解できるような力を育成するためには,どのような学習指導を考えればいいのかと,その辺りを少し説明いただければと思います。

【新井氏】
 私は教育学者でも認知科学者でもなくて,うっかりこういう調査をしてしまったのですが,私よりも前にこういう調査が小さい調査も含めて一度も行われていなかったことの方がむしろ衝撃でした。つまり,教科書が読めることを前提として,皆さんは教育改革をしてしまったということかと思って,そのことも大変衝撃でした。
 この原点を通る円があるというような話の場合です。例えば,選択肢を見ていると,あとは似たような問題でそろえてくるとだんだん分かってきます。例えば,原点Oを通る円があるというので,Aは選べるがDを選べないというお子さんの場合です。それは,Aはよく標準的にある図ですが,Dは余り標準的にない図です。
 学力テストの問題でも平行四辺形といったときに,底辺の方が長くて右に傾いている平行四辺形だと正答率が高いですが,高さが高くて左に傾いている図のときには,間違いが多いことがあります。教科書には,向かい合っている辺が両方とも平行であるような四角形を平行四辺形というと定義がきちんと書かれています。けれども,そのようなシンプルな定義でさえ読める子が小学校段階では余り多くない。すると,そこは読み飛ばして,例題を解くことで平行四辺形は何かを覚えてしまう。すると,教科書やドリルに出やすい平行四辺形の図だけが平行四辺形だと思い込んでしまう。スタンダードな図だけを見せていると,多分それがスクリーニングができてこなかったと思います。
 恐らく,認知的にはいろいろなレベルがあって,先ほどのアミラーゼの問題だと,ぱっと読もうとしたときに読めないと諦めて統計的な方向にいってしまう。あるいは,検索をして似たようなところから上がっていって,この辺かなと思ってぱっと答えてしまうことがあると思います。ところで,この調査には質問紙もつけてありました。塾に行っているか,読書が好きかなど聞いています。一番ショックだったのは「読書が好きか」と正答率に相関がなかったことです。塾に行っているかどうかとも相関がなく,経済的に困難さがあるような地域とそうでない地域との差がなく,ただ偏差値が高いところの学校はよくできることは明らかにあります。
 なぜ,偏差値が高い学校の子はよく解けるのか。偏差値が高い学校に行ったから解けるようになったのではないだろうと思います。初見の文章を読解できる,ということは,予習ができるということであり,自ら参考書や辞書を読んで学ぶことができるということです。よく知っていることに関して読むことは,誰でもある程度できます。例えば,例に出したアミラーゼの問題では,多くの生徒が生まれて初めてアミラーゼやグルコースという言葉にあの文章で接するわけです。教科書というのはそのような本だということです。初めて読む,つまり特に予習をするときにこれが幾つかは知らない言葉がある。でも,知っている言葉もある。そのことから知らない言葉がこういう意味だろうとの当たりを付けていくことができる子は,予習ができる。予習ができる子は学力も上がるし,生涯学習もできると考えられます。
 例えば,自分は今文系だけれども,明日からSEの会社に就職したから,SEの勉強をしなければいけないときに,家庭教師がなくて塾がないときにこれを読んでおけとテキストを渡されて読まなければいけない。知らない言葉がいっぱい出てくる。知っている言葉を中心にそれを読み解いていくことができることが,生涯学習ができることだし,労働が流動化したときに,それに対応ができる能力が高いことだと考えております。初見のテキストを読む能力があることは,そういう意味で,生き抜く力に直結すると認識をしています。
 このようなお答えでよろしいですか。

【小川副部会長】
 ええ,まあ,とりあえず結構です。

【北山部会長】
 先ほどの三宅部会長の御発表で,PISAの結果について触れられていました。これは15歳,日本ですと高校1年生を対象としたテストですが,2012年の調査では日本の子供たちの読解力はOECDで1位となっています。2015年調査の結果もいずれ発表されると思いますが,恐らくそれほど悪い成績ではないだろうという話も聞こえてきます。
 一方で,高校や大学の先生によると日本の子供たちの読解力は弱い,という話が先ほどから出ています。第2期の基本計画では,このPISAのような国際的な学寮調査で上位になることを成果指標の一つとしていたかと思います。そこで伺いたいのですが,このPISAの読解力と,先ほどから話題となっている読解力,つまり,今子供たちが十分に身に付けられていないと言われている読解力は,それぞれ異なるものなのでしょうか。PISAの結果だけを見れば,日本の子供たちは世界トップの水準であるわけです。これは文部科学省の方に聞こうと思ったのですが,そういった点については何か御意見はありますか。

【金子委員】
 よろしいですか。そこが質問といいますか,意見でした。今新井先生の御発表を聞いていて,私はやはりそうかと思いました。
 それで,今高大接続の部会で議論を行ってきましたが,そこで高校の基礎学力テストが発動してきたのはこの問題があるからです。基本的に文章を読む能力や,基本的な数的能力に欠ける子がかなりいると。それが現在の素養の中では指導要領がどんどん内容として教科の内容として変わってきますから,もう一旦遅れてしまうと余り引っかからないです。テストでも余りもう無視されてしまう。しかも,自動進級してしまう。
 高大接続の議論のとき,大変面白かったのは,中学校の先生が今のままで高校に行かせていいのかと思う子が相当いるということを言っていました。それは教科の知識が足りないというよりは,今おっしゃったような基礎的なスキルが多分足りないことを直感なさっていたと思います。そういう意味では私もやはりそうだったのかと思いました。高大接続の基礎学力テストのとき,かなりこういうものを狙って高校の最初の段階でチェックしようと。それは一定の指標にして高校生も自分で勉強してもらうし,何らかの立場を取らなければいけないことを狙っていると私は思います。
 ただ,もう少し基本的な問題として,新学力観というときに,学科別の具体的な知識ともう少し汎用的な能力と,意欲の三つの幅があるということです。どうも汎用的な能力の解釈が,実は今まで一般に思われているようにそんなに簡単ではない。PISAの問題は,一つはPISAの点数が高いのは,日本が油断してはいけないのは,かなりの国が多民族国家で言語の問題もあります。日本が高いというのをそのまま妄信してはいけないと私は思います。しかも,PISAにかなり二割か三割くらい相当低い点数を取っている人がいます。具体的にはそこは大きな問題だろうと思います。
 ただ,それともう一つ更に重要なのは,どうもPISAとは新学力観に基づいているのですが,一定のコンテキストにおいて自分が持っている知識をどう使うかを中心に問題が構成されているわけです。それを新しい社会に向けての必要な学力だと一般的に言われています。そこでは,今お話になっていたような非常に基本的なスキルのことは,実は余り試してはいないと私は思います。
 ですから,基礎学力観というのは実は二つあって,応用的な一般的に社会の中で自分の知識を使う話と,本当に基礎的なものを理解するという両方あるということを意識していなくてはいけません。私は,基礎的な力も決して軽視してはいけないと思います。

【北山部会長】
 次は,樋口委員,お願いします。

【樋口委員】
 先ほど,大竹さんから出ました新しい時代,特に技術発展に伴ってどういう教育が必要なのかについて,全く同じ意見でございます。また,先ほど説明を頂きまして,このAIに伴う問題点についても正にそうだろうと。そして,エビデンスベースが必要であることも全く同感でした。
 1点だけ質問させていただきたいのは,後から本日配られました今後の教育改革への期待というところです。その下から二つ目に,教育改革の優先順位を科学的に付ける必要があるのではないかと,これの意味するところは一体どういうものであるのか。私の認識では,基礎的なもの,教育でもそういったところと,さらには優秀な人を更に伸ばしていってというようなところについて,どちらを重視するかについては,かなりコントロバーシャルな側面もあります。こちらの方が優先ですと,包摂的な社会を作る上ではこういったものが必要ですというようなことがあるかと思います。この科学的に順位を付けていくことの意味,何を意味しているのかということ,少し御説明いただければと思います。

【新井氏】
 分かりにくい表現で大変申し訳ございませんでした。
 これは,例えばですが,プログラミングと基礎的読解力,どちらを優先するかを考えるとします。
 もしも,プログラミングが高度に収入を得られるようなプログラマーと呼ばれている方や,あるいはモデリングをするような方を育てましょうということになった場合,プログラミング能力よりは仕様を書いたり,仕様を理解したり,そういうことができる能力,モデリング能力の方が重要なわけです。そうしたときに,現在,小学校段階で導入が検討されているようなタイプの直感的なプログラミングが仮にできるようになったとしても,実は社会が求めているプログラマーの方たちは,それだけでは生まれない。絶対に,論理的な読解力は求められるわけです。
 では,プログラミングと読解力とどちらを先に身に付けた方がいいか,というと,私どもの調査で,中学校1年生段階で今回調査したような論理的読解力が不足していた場合,学年が上がっても改善しない,という結果が出ています。つまり,基礎的読解力は是非とも小学校段階で身に付けないといけない。
 だから,その求めている人材を育成する上において,どちらを先にやらないといけないかということです。どれが欠けると,望む人材にならないので,ではどちらを先に優先すべきか。例えば,この基礎的な読解力は全員に必要だから,全員しましょうと。そういう中で,プログラミングのようなものを少しやってみて関心がある子がいたら,それは例えばSSHで伸ばしましょう,課外授業で伸ばしましょう,バウチャー制度でそういうことがもっとできるようなところを課外的に支援しましょうという方が,全体設計としてはいいのかもしれない,そういうことです。
 この基礎的に読む力,例えば何か文があって「図はどれですか」と選ぶような力は,モデリングと呼ばれる高度プログラマーには不可欠です。その正答率が25パーセントくらいしかないことになったら,それはもうどうしようもないのでそこをまずやらないといけない。エビデンスに基づいて,そういうような切分けをしていく必要があるだろうということでございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 では,百瀬委員,続いて白井委員にお願いします。

【百瀬委員】
 どうぞよろしくお願いいたします。私からは3点ほど,現場感覚から申し上げたいと思います。その3点と言いますのは,最初に新井先生から頂きました読解の話,二つ目がICT関係,三つ目が教員の話です。3点申し上げたいと思います。
 一つ目の読解力です。実は,5月末に新井先生の論文の内容が新聞に出ました。それが全国の高等学校の校長会の当日でありまして,非常にインパクトがありました。実は私は,今は高校ですが,昨年度までセンターに勤務しておりましたので,県内の全国学力学習状況調査の成績の上がった市町村,あるいは学校を見る機会がありました。そこで,共通しているのは,言葉に対して非常に丁寧な指導をしている学校は小学校でも,中学校でも確実に国語の成績が上がるとともに,算数・数学の成績も上がっていました。先ほどの内容を見まして改めてそれを痛感したところであります。特に,中学校では,国語の先生,担任の先生が丁寧に文章を,言葉を直して,実はその結果が字の書き方も丁寧になりますし,内容も豊富になってくると。それが一つ大きな成果なのかというのを実感しておりました。
 続いて,ICTですが,先ほど経団連の三宅様からのデータの中で,大変有り難い指摘を頂いて,私もそうだと。現場では,実は文部科学省から頂いた資料の中でも,学校の耐震化は進んでいるが,実は老朽化という問題が非常に大きな課題です。では,ICTを整備しよう,あるいは一斉に替えましょうというときには自治体の判断というのは非常に大きくなる。そういったときに判断しやすいような支援なりを盛り込んでいただくと,非常にこちらも推したいと思います。
 3点目,実はそれに伴ってソフト面です。教員,大分年齢構成が若返ってきましたので,ICTについてもハード面に対して強い教員も増えてきています。ただし,実は教員になって養成を一生懸命やりましょうというのは,よくあります。採用も工夫しましょうと。実は,それ以前に教員の魅力がないと,教員になろうという形で大学等へ進んでくる学生が少ないのではないか。そういった意味での教員の魅力発信,あるいは人材のいろいろな形の活用,特別免許も一つですし,それから企業とのコラボも,前回も申し上げましたけれども非常に大事になってくるのかと思います。
 そういった意味での,読解力の面はさらに,それからICT面はソフト面もそうですが,ハード面でのいろいろな支援を是非計画の中に盛り込めたらいいかと,更に教員の面,是非盛り込んでもらいたいというところでございます。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,次に白井委員,お願いします。

【白井委員】
 大変興味深い御発表をありがとうございました。今日のお話は,実はいろいろなところで声高に叫ばれている社会的包摂ですね。それを教育の中心課題にしなければいけないというところにも通じる議論ではないかと思って,お伺いをしておりました。
 というのも,私どもは不登校や発達障害を持つお子さんたちと主に日々接しております。特に,新井先生が出されてきたこの数値が,私どもの立場からいうと非常に納得感がある,「ああ,こういうことだったのか」と,非常に分かりやすい数字として捉えられました。本当におっしゃるように教科書が読めてない子たちです。なので,教科書前提の教育がもう通用しない形になっている中で,本当に発達障害が原因になって読めていないという子もいれば,モチベーションの部分で努力すれば結果が伴うという実感が伴っていない子たちもいる。そういうところでも,読むのをもしかすると脳が拒否しているのかというような,本当にすみません,直覚的な話で恐縮ですが,そういうような実感を持つことがあります。
 もう一つ,非常に学力が高い子たちの中でも,お話を聞いていて思ったのは,もしかして特に発達障害を持っている中でも学力が高いアスペルガータイプのお子さんたちは,AI的に課題解決をずっとする習慣が,もう大学ぐらいまでずっと続いていって,私どもでも本当にびっくりするような高学歴の方々が,30,40でごまかしが利かなくなるわけですよね。それで,引きこもりになってしまって,相談に来る方が相次いでおります。もしかしたら,AI的に今まで学習をずっとしてきたということなのかとも思いました。
 そういう中で,本当におっしゃるように,科学的なエビデンスに基づいた教育内容の吟味をしていっていただけると,本当にそれこそ学校に行けない子たちや,いろいろな課題を抱えている子たちが本当に助かるだろうと。先ほどおっしゃっていたPISAの本当に下位の子たちが厳然とおります。そういう子たちが,何が理解をできていなくて,どういう教育であればきちんと伸びていけるのか,きちんと能力を伸ばしていけるのかを,本当に科学的なエビデンスに基づいて,考えていかなければいけない時代ではないかと思いました。
 もう一つが,これは蛇足かもしれません。本当にAIがどんどん進んでいるという中で,人間でしかできない非認知能力をどうやって高めていくかという部分が,教育の中で中心課題になってくるのかと。それについては,もう皆さん共通の認識だと思います。人材育成という部分だったり,コストだったり,本当に丁寧に見ていけば,これだけ多様性ができている社会の中で丁寧に対応しなければならない。という中で,そういう人材育成やコストの面を,これだけ税金が足りないと言っている時代の中で,どうやって政府,あるいは民間,いろいろなセクターが協力をして,この課題を突破していくのかについても,AIではここは解決できない部分かと思います。我々人間が知恵を結集して乗り越えていかなければいけないと。その部分についても,それこそエビデンスベースでどうやってしていくかを,また次回以降の会議で皆さんとお話しできればと期待しております。
 以上です。

【新井氏】
 この調査をしたときに,実はディスレクシアのお子さんが,例えば3パーセントぐらいいるかもしれないという気持ちで調査をしました。ところが正答率が100パーセントの問題がそれなりにあるのです。もちろんその中にたまたまディスレクシアのお子さんがいなかったという可能性もあります。けれども,今出ているデータからは,ある程度読めているけれども,少し難しくなると読めなくなるというお子さんがかなりの数いる印象です。
 この調査をしたときに,山形の特別支援学校の先生や戸田の国語の先生などが「これが本当の特別支援だと思いました」とおっしゃった。どうしてかというと,それぞれの子供で読めない理由が違うだろう,と。例えば数式が出た瞬間に読めない,Alexの問題のように英語と日本語混じりになったら読めないなど,いろいろな理由があるわけで読めない。それが読めているだろうと,皆同じだろうという感じでやると,多分ぽろぽろと落ちていってしまう。こういう調査をすることによって,この子はここまで読めるのだが,片仮名が混じると読みにくくなる,数式が入ると読みにくくなる,だから,数学の点数が悪いことが分かってくると,全ての子供に対する特別支援になるのでないかと,先生方には言っていただきました。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,次に,宮本委員,お願いいたします。

【宮本委員】
 もう今,何人かの委員の質問と回答でかなり重なっているかと思います。本日伺って大変興味深い研究成果で,いろいろと感じるところがありました。
 2030年に労働力不足と失業の問題が同時に起こると,この問題に対して今教育はどういう改革が必要なのかという問題設定,これは正に大変重要なことであります。今日の御報告を伺うと,職業の多くがホワイトカラー職になり,その生産性の高いホワイトカラー職人材をどのようにして作っていくのかと,こういう問題意識が,まず前提にあって,例えば文章の理解を高めるというような教育の在り方を再検討する必要があるというお話だと思います。
 一方で,ホワイトカラー的な職業の生産性を高めるという方向では救済されない人たちは,どういう教育改革が必要なのかを,これはないものねだりのような質問で御無理を申し上げているかと思います。先ほどの白井委員のお話でもありますが,文章の理解ということを前提にした教育では救済されない人たちに対しては,もっと別の教育改革が必要ではないかと。この辺りに手を触れずに今の教育改革を進めていけば,ホワイトカラー職の高度な人材養成は,もしかしたらできるかもしれないけれども,残された人は結局2030年の失業者になるだろうと。この辺りのことも含めた教育改革,つまり全体のバランス,見通しのある教育改革が必要ではないかという感じがしたという,質問というよりも意見をさせていただきました。

【新井氏】
 すみません。訂正があるのですが,ホワイトカラーが増えるということではありません。ホワイトカラーは減るということです。ホワイトカラーがAIに代替されるので,むしろホワイトカラーの総量は減ると思います。ですが,そのときにAIと一緒にやるには,AIを超える能力が必要なので,ホワイトカラーはそうなります。
 一方,そうではない方に関しても,例えばこのリーディングスキルテストは重要です。どうしてかというと,今高卒段階で自動車免許を取ろう,あるいは調理師免許を取ろうとしたときに,実技は通るけれども筆記が通らないお子さんがいらっしゃいます。そういうお子さんについても,リーディングスキルは一定程度必要になってきます。むしろ,もちろんそこからも漏れてしまうお子さんがいることはよく承知しています。その方たちにどういう支援が必要かは当然検討されるべきです。できることであれば,そういう調理師免許にも筆記があることも考えますと,そこのところを乗り越えられるお子さんをできるだけ作ることが重要だと認識をしております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,中井委員,お願いします。

【中井委員】
 ありがとうございます。まず,新井先生の読解力の件でございます。私もこの数字はある面でショッキングではありますが,ここ学校の現場では授業についていけない子たちに対してどうするかは,もう日常的に大きな課題として取組をせざるを得ない状況にあるわけです。そういう子たちは,文章理解が思うに任せない。それから,簡単な計算も教えても教えてもなかなか理解できない。例えば,一次方程式をやると繰り返し丁寧に教えてやっと解けるようになる。でも,それは機械的にやり方を分かっただけで,本当の一次方程式の意味を理解していない。だから,1か月,2か月たつと,またやり方を忘れて解けなくなってしまう,こういう繰り返しです。
 学校の先生たちは,そういう中で試行錯誤しながらやっている状況で,本日の先生のお話は大変そういう意味で示唆に富んでいるわけです。どうかこれを学習についていけない子たちに対する教え方のスキルを開発することにつなげていただきたいと思います。今は本当に現場の先生の経験から来るそれぞれのノウハウで,やっているのが現状であります。スキルを開発することに,どうかこの会でも御議論いただき,また文部科学省でも取り組んでいただければと思います。
 宮本委員から,労働力不足と失業のお話がありました。またここもショッキングだったのですが,今そういうできない子たちに対しては何を目標にしているかというと,要は何とか非正規ではなく正規の就職口につけるようにというところを目指しているわけです。新井先生のお話からすると,中位より下の子たちは,これからはもう非正規どころか失業だと。一方で,AIより上の能力を持つ子は労働力不足の中で,ますます高所得を得ると。所得格差が更に拡大するということであります。そういった非常に暗い社会が到来することを想定するのであれば,なおさら学習についていけない子たちに対する教育の仕方をどうするか,人材の投入も含めてスポットライトを大きく当てていっていただきたい,これが1点でございます。
 今1点は,三宅先生からお話のありましたアクティブラーニング,あるいはグローバル人材育成の取組ですが,全く異論のないところではありますが,アクティブラーニングは総じて時間がかかると。時間がかかるというのは,授業の中において効果的なアクティブラーニングをすることには,その成果をしっかり出そうとすると授業時間数も多くなるということです。
 今,小中高のどの段階でも授業時間はかなりてんこ盛りで,限られた時間の中であれもこれもやらなければいけない状況がございます。そういう中で,更にアクティブラーニングやグローバル人材の裾野を広げる教育を私もやっていかないといけないと思いますが,現状からするとどこにその時間を入れるのか,どうやったらそれをうまく成果につなげられるのかが,学校現場では大きな悩みというか,どうやったらやれるものか途方にくれるところがございます。
 これからの教育の有様を考えると,長期レンジの取組の中では小中高のそういったボリュームをどこに見いだすのか,6・3・3制でいいのか,幼児教育はどうするのかといったようなところまで含めて,その受皿の大きさを考えていかないと,入れるべき物がしっかりとカリキュラムとして入りきらないことがあるのではないかと感じます。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。それでは,田邉委員,お願いします。

【田邉委員】
 ありがとうございます。本日の新井先生,そして三宅先生の大変興味深いプレゼン,ありがとうございました。私からは,意見交換の2番の子供の貧困についてというところで述べさせていただきます。
 研究論文が出ておりまして,日本の子供における貧困と体力,それから運動能力の関係です。こちらで研究論文が出ているのは,親の収入が直接体力に影響は与えないが,一人親世帯で育つ場合や,教育扶助を受けなくてはならないほど世帯所所得が窮迫している家庭に育つ子供は,体力が低いことが研究で明らかになったと。その相関関係としては,毎日の運動であったり,部活,それからスポーツ少年団の加入の有無,毎日の朝食の有無であったり,睡眠時間,それから起床の時刻,就寝の時刻が関係しています。そのほかに,先行研究としては,子供の肥満化,痩身化に対する親の所得格差の影響があるのではないか。また,アメリカの研究においても,家庭の経済状況と子供の健康状態の関係性についても,報告されている先行研究があるということです。運動能力の指標がただ単なる体力だけの問題ではなくて,子供生活習慣の指標としてあること。子供の運動や体力に関して指導をすることによって子供の生活習慣を正すきっかけになればと思います。
 このような,今現在子供が置かれている状況,貧困の問題や,体力,それから運動する子,しない子に二極化していることなど,このような観点も踏まえて改革をし,子供たちの発育,発達,健康状態も考えて教育における改革を進めていく必要があるのではないかと思っております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 続いて,村岡委員,お願いいたします。

【村岡委員】
 ありがとうございます。私は山口県知事の村岡と申します。今回初めて参加をさせていただきますので,今日は資料を持って来ました。資料の4‐3です。
 今山口県で進めております「やまぐち型地域連携教育」の推進を御紹介させていただきたいと思います。今日のテーマでいうと,人口減少の克服や地域コミュニティの創造に関わってくると思います。
 私が知事になりましたのは2年半前でありまして,その前はこの霞ヶ関で役人をしておりました。子供が小学校6年生と4歳と二人おります。東京でも小学校に通わせていたわけであります。非常に地域と学校との関係がぎくしゃくしているというか,余りお互い信頼していないという感じを非常に受けて,学校も地域も,そして子供たちも不幸だと思いながらおりました。自分の育った頃とは違う時代なのかと思っておりました。
 知事になって山口県に帰って,山口県でコミュニティスクールの仕組みが進んでいるのを知事になってから知りました。これは非常にいいということで,取組を力強く進めていこうとしております。これは何かと言いますと,地域の方々が学校の運営に関わっていて,学校の運営をサポートする,それから一緒に教育の質も上げていく,そしてまた,学校自身が地域に貢献をする,そういう様々な機能,地域と学校が一緒になって子供の育ち,学びを支援していこうとそういう仕組みであります。これは法律上こういうことができるとなっています。私が知事になったときに,山口県で七,八割ぐらいですね,小中学校にこれが設置をされております。是非これを100パーセントにしようということで,まず県内全体でこれを作って,そして質を上げていくことをやろうとしています。
 ちなみに全国ではこれができているのは平均9パーセントぐらいでありまして,2番目に多い京都でも半分もできていないということであります。非常に山口県は進んでいます。去年は松下村塾が世界遺産に登録もされました。幕末期に寺子屋の数が全国で2番目に多く,非常に地域での教育が熱心な土地柄であります。そういった伝統が受け継がれているのかと思っております。是非これを現代の「地域で子供を育てる」ということを具体的な形で作っていこうとしています。
 何をやっているかと言いますと,次の資料の2ページです。2ページの下で具体的な取組とあります。学校ごとに地域の方が学校の運営に関わっていく,そして子供たちも地域に関わっていくことをそれぞれの地域でやっております。例えば,2ページの下のこの1番であるように,地域の人たちが授業に参加をして,そしていろいろと授業の改善をしていく。あるいは2番目が,これはある学校で保護者全員が参加して週2回読み聞かせをやると,非常に熱心に取組を進めている。非常に子供が熱心に聞いている写真があります。あるいは右側は美術の授業で子供たちが和菓子のデザインをしたものを,家庭科の授業で地域の食生活改善推進の方が入ってきて,それを実際に形にしていくと。これは光市の浅江中学という一番取組が県内では進んでいるかと思われる地域です。これは一人だけではなく,1クラスに何人も入って,生徒四,五人に一人くらいこういった方がついて教えていると。そしてまた,下の4番では放課後の学習ということで,放課後の教室を開放して,地域の方が勉強を教えたり,あるいはその小学校を卒業した高校生や大学生が帰ってきて子供たちを教える,そういったことをやったりしております。
 それから,3ページ目は地域の方が学校に来て一緒に英語を学んだり,あるいは学校が提供するふれあいスペースで,地元の歴史やそういったことを子供たちと一緒に学んだりやっております。
 様々な取組があるわけでありますが,時間がないので5ページまで飛んでいただきます。これによりまして,どういった効果があるかということです。まず,上の左上のグラフで地域の方が学校に来るのは非常に増えてきております。学校は敷居の高いものではなくて,いつでも学校に来て,子供たちと関わったり,教育を支えたり,そういったことができるということであります。それから,右のグラフでは自己肯定感や郷土を愛する心が高まっていくという形も出てきております。
 実際に子供の声を聞いてみても,そこに書いてありますが「補習に参加して勉強が楽しいと思った」,「地域の方がいろいろなことを教えてくれて知識が増えてうれしい」,「伝統文化を引き継いでいきたい」,「将来地域に貢献したい」,そういった声が出ております。その次の中学校の声も「将来コミュニティスクールの大人のリーダーになりたい」と言い,地域の方も「元気がもらえる」,「やりがいや生きがいにつながっている」,「地域が子供を育てていると感じる場面が増えてくる」,「子供たちが落ち着いてきた」,「よく挨拶をするようになった」など,こういった話もよく聞きます。
 それから,次のページです。保護者の声としても,「子供の勉強に対する姿勢がよくなった」,「子供たちと地域の関わりが増えていった」,「地域の方が子供のいけないところを指導してくれるようになった」など,そういったことです。そして,先生の声も「非常に子供たちが成長していくのが分かる」,「自分たちが企画したことが地域の人たちの協力で実現して達成感が得られる」,そういった声もあります。地域にとっても,学校にとっても,子供にとっても非常にすばらしい仕組みだと。これを是非質を上げていきたいと思っております。
 そのために6ページの一番下に書いてあります。様々に県内でも研修や,会議をやっておりますが,取組は,3番でコミュニティスクールのコンダクターの配置をしております。これは15名で県内全てをカバーしておりますが,実際これはコミュニティスクールを作ってきた先生のOBやそういった方々になってもらって,地域のコミュニティスクールが100パーセントできましたので,これの質を上げていく取組を専門の職員を配置してやっています。あとは成果をしっかり出していかなければいけません。成果を検証するもう少し客観的なデータができればと,そういった研究もしております。
 いずれにしても,これから地域の活性化,あるいは地域の人口の減少を防いでいく上でも,地域に愛着を持った子供たち,地域の人たちが育ててそれに対して感謝をして,地域に貢献しようとそういった思いを持つ子供たちが増えることは大変重要だと思っております。地域と学校の信頼関係を作っていくことも大変重要だと思っておりますので,この取組をしっかりと進めていきたいと思っております。これから,新しい計画を国で作られる際にも,こういった地域の方々の力を借りて子供たちの学びや育ちを支援することを後押しする施策を推進していただきたいと思っております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 次に,菊川委員お願いします。

【菊川委員】
 幅広の議論をした方がいいだろうということで,言わずもがなのことですが,資料4‐1にまとめてまいりました。後で御覧いただければと思います。
 2030年の社会と教育を考える場合に,社会の側(がわ)からの教育がよく語られますが,個人の側(がわ)から,暮らしの側(がわ)からの教育も一方で考えるべきではなかろうかと思っております。今検討中の学習指導要領でもどのように社会,世界と関わり,より良い人生を送るかという観点が指摘されています。
 その観点から,1点だけ申し上げますと,男女共同参画の視点でございます。これは今女性の活躍とよく言われますが,2030年はますますその方向性だと思います。学校教育において関係する準備は十分だろうかということでございます。男女が共に働き,共に生活・子育てを担う準備でございます。このことが例えば結婚できない若者の減少,あるいは離死別をしても母親一人で子供を育てていける一人親家庭の貧困を阻止する手段になると思います。女性の活躍は別に一部の能力のある女性のための施策ではなく,全ての男女に関係する施策であり,そのための学校教育の準備が必要だということでございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 続きまして,柘植委員,お願いします。

【柘植委員】
 ありがとうございます。限られた時間で発言の時間を頂きましてありがとうございました。
 新井先生と三宅先生のプレゼンはとても関心があって,たくさん関心や質問があるのですが,閉会の時間が迫ってきているので会終了後に御挨拶したいと思います。
 先回の会議で,エビデンスに基づく実践や政策や教育投資が必要だろうとの話がたくさん出ました。今回お越しくださったお二人からもそのような意見が出ました。その後のディスカッションで,多くの方から,それを支持するような発言があって,恐らくもうそれは必要だろうということです。ただ,具体的にどうするのかという発言が出ていないので,私見を交えながら幾つか発言をしたいと思います。
 恐らくG7でも明確に書かれたように,もうその方向だろうと。だとしたら,そろそろ文部科学省の中にそういったことを中心的に推進するような体制を明記して,本格的に推進を始める時期に来たと思います。もう少し具体的に言いますと,例えば先回私が発言しましたが,英国や米国などこの分野でかなり先進的に進めている国があります。その辺の情報が十分入っていない。一体諸外国ではこの分野はどこまで成功していて,何が限界として残っているのか,そのようなものを参考にしながら,後をついて行くのではなくて,日本ならではのそういったものを作り上げることも必要なので,諸外国の調査もまず必要だろうと思います。
 あるいは,そもそも教育政策の効果に関する質的・量的な研究はもう全く不十分です。先回も話題にしましたが,インディケーター,指標や測定方法はどうあるべきだろうかとその辺の研究も余りなされていない。あるいは,そのようなところに関心を持って研究をする研究者の人材不足,あるいはそういう成果を施策に生かしていこうというポリシーメーカー側の数の不足というか,専門性の不足というかそういうものがある。だから,双方の育成も必要だろうと思います。あるいは,データベースと言っていいでしょうか,そもそもこの分野でどのような使えそうな研究がなされていて,それがどのように使っていけるのかという蓄積,すなわちデータベースの構築,あるいは、シンクタンク(think(考え)のタンク),そのようなものも全くない状態です。
 以上,4~5点お話しました。繰り返しになりますが,根拠に基づいて実践,政策投資をするのは,それはそうだろうという時代になってきたと思います。むしろ,それをしないとまずいのではないかということを,お二人のヒアリングの先生からのお話でよく分かりました。具体的な対応策を練って進んでいく時期に入っただろうと,強く認識いたします。
 以上です。

【北山部会長】
 では,最後になりますが,高橋委員,お願いします。

【高橋委員】
 すいません。2点お話をさせていただきたいと思います。
 先ほどの新井先生のお話は本当に大学で教育をしている私にとって実感するところです。「ああ,そうだったのか」と意味が分かって考えられる力がないからそれは表現もできない,意見を論理的には展開できない,だから感情的に好き嫌いという表現になりがちということで,何が足りなかったのかが分かりました。そのために今度の教育課程でアクティブラーニングが検討されていますが,基礎基本を培う小学校の教育で,具体的にどうしていくかが非常に重要なことだと思いました。そのことを是非,文部科学省はエビデンスに基づいて,本当に新しい教育の在り方を創造していっていただきたいのが1点です。
 次回欠席しますので,もう1点お話をさせてください。地域との連携協働で教育を考えるのは本当に重要で,肝腎なことだと思います。地域づくりと人づくりを一体化して考える必要があることは言うまでもありません。そこで2点お願いをしたいことがあります。平成27年度から始まっている新たな教育委員会制度では,制度としては,首長と教育委員会とが協働し,責任を取ることになったと思います。そこで,地域の実情に合わせた教育を展開していくことができているのかどうかです。二つ目は,実際に子供たちから成人まで切れ目のない支援をするためには,教育,福祉,労働を一体的に応援していく必要があるわけですから,首長がしっかりと責任を持って予算を配分しながら,教育は専門的にきちんと教育政策を作っていくことができているのかどうかの検証をお願いしたいことです。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 時間でございますので,本日の意見交換につきましては,ここまでとさせていただきます。また次回も,次の論点も含めて意見交換の時間を取りますので,よろしくお願いいたします。
 本日は,新井先生並びに三宅部会長,お忙しい中,ありがとうございました。
 それでは,最後に次回以降の日程について,御説明をお願いします。

【井上文部科学戦略官】
 次回は7月25日でございます。また,御意見につきましては,メール等でも受け付けておりますので,是非ペーパーでお出しいただければ,反映させていただきます。申し訳ありませんが,よろしくお願いいたします。

【北山部会長】
 資料の最後にありますとおり,次回は7月25日です。よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

―了―

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-- 登録:平成29年03月 --