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教育振興基本計画部会(第8期~)(第4回) 議事録

1.日時

平成28年5月17日(火曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 「第一講堂」(東館3階)

3.議題

  1. 2030年以降の社会の変化を見据えた,教育の目指すべき姿について
  2. その他

4.出席者

委員

 北山部会長,小川副部会長,河田副部会長,阿部委員,石田委員,大橋委員,金子委員,川端委員,菊川委員,近藤委員,白井委員,高橋委員,田中委員,柘植委員,戸ヶ﨑委員,中井委員,永田委員,丸山委員,宮本委員,無藤委員,百瀨委員,山脇委員,渡邉委員

文部科学省

 義家副大臣,土屋事務次官,関サイバーセキュリティ・政策評価審議官,山下文教施設企画部長,有松生涯学習政策局長,小松初等中等教育局長,常盤高等教育局長,河村国立教育政策研究所長,德田大臣官房審議官,松尾大臣官房審議官,増子大臣官房審議官,矢野初等中等教育局財務課長,清原初等中等教育局主任視学官,里見生涯学習政策局政策課長,井上文部科学戦略官,寺坂教育改革推進室室長補佐 他

5.議事録

【北山部会長】
 ただいまから第4回教育振興基本計画部会を開催いたします。本日は,お忙しいところお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 部会長の北山でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は,義家副大臣に御出席いただいております。開会に当たりまして,副大臣から御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。

【義家副大臣】
 おはようございます。教育振興基本計画部会の開会に当たり,一言御挨拶をさせていただきます。委員の皆様方におかれましては,御多用中のところ委員をお引き受けいただき,また御出席いただき,心から御礼を申し上げます。
 教育振興基本計画は,改正教育基本法に基づき,政府として策定するものであり,現在は平成25年度から29年度を対象とする第2期の計画の4年目に入ったところであります。
 本部会においては,これまで第2期計画の着実な実施のためにフォローアップを行ってきていただいたところでありますが,先月,中央教育審議会総会において,平成30年度から平成34年度を対象期間とする第3期教育振興基本計画の策定について,馳大臣より諮問させていただきました。
 今回より第3期計画の策定に向けて,諮問にあるとおり,まずは第1に,2030年以降の社会の変化を見据えた教育政策の在り方について,これは現在,第4次産業革命とも言われているとおり,ものすごいスピードで社会が変化しております。その変化に対応する教育の実現のための政策を大いに議論していただきたいと思っております。
 第2に,各種教育施策について,その効果を専門的・多角的な分析,検証に基づき,より効果的で効率的な教育政策の立案につなげるための方策について,以上2点を中心に御検討をお願いしたいと思っております。
 この部会において諮問事項について十分に議論,御審議いただき,平成29年中をめどに答申を取りまとめていただきたいと考えておりますので,何とぞ委員の先生方,よろしくお願いいたします。

【北山部会長】
 ありがとうございました。義家副大臣は,これで退席されます。ありがとうございました。

【義家副大臣】
 失礼します。

【北山部会長】
 それでは,議事に先立ちまして,第3期教育振興基本計画の諮問と審議体制の拡充について報告いたします。資料1‐1から1‐3を御覧いただければと思います。冒頭に,本日の会合は第4回目と申し上げましたが,第1回から第3回までの特別部会においては,第2期計画のフォローアップを中心に審議してまいりました。といいましても,第2期計画の3年目の途中から始めたことになりますので,まだフォローアップできるだけのデータが出そろっていない部分もあるわけですが,私と,各分科会の分科会長を中心に審議を行ってまいりました。
 先月の18日の中央教育審議会の総会において,2年後に始まる第3期計画の策定について,馳文科大臣から諮問がありました。この諮問を踏まえて,平成30年度から5年間,平成34年度を対象年度とする新たな第3期の教育振興基本計画についても審議を行うことができるよう,本部会の所掌事務の一部が改められております。これに合わせて,先ほど申し上げましたように,この第4回目の部会から体制を拡充いたしました。
 資料1‐4といたしまして委員名簿が配付されておりますので,新体制の紹介はこちらをもって代えさせていただければと思います。
 なお,本会議の公開につきましては,第1回部会において資料1‐5のとおり決定されておりますので御確認いただければと存じます。
 それでは,議事に入りますが,まず,2030年以降の社会の変化を見据えた,教育の目指すべき姿について,事務局から説明を聴取した後,意見交換としたいと思います。
 事務局から検討事項や進め方について,まず御説明をお願いします。

【井上文部科学戦略官】
 失礼いたします。戦略官の井上でございます。事前に委員の皆様方には資料を送付させていただいておりますので,ポイントに絞りまして,手短に御説明させていただきたいと思います。
 資料の2‐1を御覧いただければと思います。資料2‐1を開いていただきますと,第3期教育振興基本計画の諮問の概要とございます。先ほど副大臣からもございましたように,改正教育基本法第17条に基づきまして政府で作成されます基本的な計画でございます教育振興基本計画は,政府として閣議決定をしまして,最終的には国会に報告して公表するという形になっております。
 資料の2‐1の16ページを御覧いただければと思います。ここにこれまでの第1期と第2期の教育振興基本計画の概要につきまして簡単に説明がされております。第1期については,平成18年に改正された基本法に基づきまして平成20年度(2008年度)から24年度(2012年度)を対象期間として,今後10年間を通じて目指すべき教育の姿ということをコンセプトに定められております。また第2期計画につきましては,16ページの右側でございますが,平成25年度(2013年度)から平成29年度(2017年度)を対象期間といたしまして,「自立」,「協働」,「創造」の三つの理念の実現に向けた生涯学習社会の構築というのをコンセプトに,教育の基本的方向性として四つの方向性と成果目標,成果指標というのを掲げて,現在4年目ということで着実に推進を図っているところでございます。
 その上で,また恐縮でございますが2ページに戻っていただければと思います。平成30年度から34年度の第3期計画の策定に向けて,先ほど副大臣からも御説明がございましたが,諮問事項として二つ諮問がされております。
 一つ目が,2030年以降の社会の変化を見据えた,教育政策の在り方ということでございます。具体的な検討事項といたしましては,改正教育基本法の基本理念,現行計画の成果と課題,2030年以降の社会の変化,国際的な視点から見た我が国の教育の「強み」と「弱み」,国際的な教育政策の動向等を踏まえた今後の教育政策に関する基本的な方針,そして今後5年間の教育政策の目指すべき方向性及び施策の内容,さらには明確化かつ精選した指標を設定し,PDCAサイクルを確立することになっております。
 続きまして3ページをお開きいただければと思います。諮問事項の2といたしまして,各種教育施策について,その効果の専門的・多角的な分析,検証に基づき,より効果的・効率的な教育施策の立案につなげるための方策ということで,具体的な検討事項といたしましては,社会経済的な効果を含む教育政策の効果を社会に対して示すための方策ということで,必要なデータ,情報の体系的な整備や実証的な研究の事実も含めた総合的な体制の在り方ということで,付加的な諮問事項がされているところでございます。
 4ページは,第3期教育振興基本計画のイメージを示したところでございますが,まずは2030年以降の社会の姿,そこで目指すべき教育の姿ということを議論していただきまして,赤いところにございますような今後の教育に関する基本的な方針,緑のところにございます今後5年間の教育政策の目指すべき方向性,そして主な施策という形で議論いただきたいと考えております。
 続きまして6ページをお開きいただければと思います。その上で,当面の主な検討事項でございますが,この諮問を踏まえて主に三つ検討いただければと思っております。
 まず検討事項の1点目が,2030年以降の社会の変化を見据えた,教育の目指すべき姿でございます。だいだい色で囲ってございますが,社会の姿をどのように捉えるか,そして未来を生き抜く自立した人間を育成するために教育が目指すべき姿をどのように考えるか。特に(1)といたしまして,技術革新やグローバル化,また社会システムの変化,女性・高齢者等の活躍の進展,就業構造の変化,国際情勢の変化等,いわゆる社会経済の成長の観点から教育の目指すべき姿をどのように考えるかという観点から。2番目といたしましては,子供の貧困など格差への対応,人口減少の克服や地域コミュニティの創造など,いわゆる社会的な包摂の観点から社会の姿,教育の目指すべき姿をどのように考えるかということについて御議論いただければと思います。
 2点目といたしましては,10ページをお開きいただければと思います。検討事項の2といたしましては,目指すべき教育の姿を踏まえた教育政策の基本的な方針でございますとか目指すべき方向性というものについて,5年間の目指すべき方向性について御議論いただきたいと思います。
 そして3点目といたしましては,11ページにございますが,諮問事項の2に対応いたしまして,教育投資の効果や必要性を社会に示すための方策ということで,第3期教育振興基本計画の検証改善サイクルをどのように確立すべきか,またデータ・情報の体系的な整備等,体制の在り方をどのように確立すべきか,ということについて御議論いただきたいと考えております。
 それぞれの検討事項の下に掲げてございます参考となる会議・提言・データ等につきましては,今後必要に応じて追加等をしております。また,それぞれの提言・データ等,大部でございますので,主に参照となるようなものだけ抜粋してございますが,本文につきましては,お手元にございます机上タブレットの中に掲げてございますので,適宜御参照いただければと思っております。
 次に,当面の審議の進め方でございます。14ページを御覧いただければと思います。14ページの真ん中の上の方にございますように,当面,5月から7月に掛けまして,この教育振興基本計画部会,3回ほど会議を予定しておりますので,まず当面の検討事項の1,2030年以降の社会の変化を見据えた,教育の目指すべき姿ということで,(1)と(2)ということを大きく主な観点といたしまして御意見を頂戴できればと思っております。その上で検討事項の3につきましても,併せて御意見を頂けたらと思っております。その内容につきましては,8月から9月に行われる中央教育審議会総会に審議状況の報告ということで御報告をさせていただきたいと思います。また秋以降,その議論を踏まえまして,2030年以降の社会の変化を見据えた基本的な方針でございますとか目指すべき方向性等,検討事項の2について御議論いただきまして,平成29年の初めに基本的な考え方として取りまとめをいたしまして,総会の方に御報告していただければと思っております。また来年以降,主な施策でございますとか指標,さらには,先ほど部会長からもございましたが,現在,第2期教育振興基本計画のフォローアップを引き続き続けておりますので,そういうものも加味いたしまして審議経過報告を来年の夏ぐらいに取りまとめて,最終的には来年末に答申をおまとめいただければと思っております。
 その過程では,一番右側にございますように各種の調査や中央教育審議会の答申等もまとまってまいりますので,それも反映できたらと思っております。また14ページの下の方にOECDカントリーノートの中間報告というのが書いてございますが,これは,現在,OECD Education2030事業の中で,日本OECD共同プロジェクトの一環として,我が国の教育と強みについて,国際的な視点から分析したレビューをOECDが作成することになっておりまして,このカントリーノートにつきましてもある程度まとまった段階で本部会に御提示させていただいて,第3期教育振興基本計画の検討の材料にしていただきたいと考えておるところでございます。
 資料の2‐1の説明は以上でございます。
 また資料の2‐2は,それに関連した主なデータを掲げさせていただいております。時間の関係上,説明は割愛させていただきたいと思いますが,これについても順次充実を図っていきたいと考えております。
 また資料の2‐3は,先ほど御説明させていただいたOECDのカントリーノートの説明を書いたものでございますので,これも説明を割愛させていただきたいと思います。
 また資料の2‐4につきましては,これは現在の教育再生で,全体として行われている動向をまとめた資料でございます。第2期計画の策定以降も教育再生実行会議の提言等を踏まえて,また中央教育審議会の中でも御議論いただきまして,様々な制度改正でございますとか予算等が行われて進んでおりますので,このような施策につきましても,第3期教育振興基本計画の策定に当たっての取りまとめに御留意いただければと思っているところでございます。
 私からの説明は以上でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 今,御説明がありましたように,来年の年末の答申を予定しておりますので,これから1年半を超える長丁場となります。
 では早速,意見交換に入りたいと思います。なお,宮本委員から御意見について事前に資料としておまとめいただきましたので,資料3としてお配りさせていただいております。これについては御発言の際に適宜言及いただければと思います。
 それでは,先ほど御説明がありましたように,一つ目と二つ目の論点に分けて,意見交換を行いたいと思います。まず一つ目が,産業構造や社会システムの変化,就学・就業構造の変化や国際情勢の変化等への対応についてですが,どなたからでも結構でございますので御発言をお願いできればと思います。
 時間は十分にとれますし,本日はキックオフのような位置付けでございますので,皆様が日頃考えておられる御意見,御見解について頂戴できればと思います。
 それでは,無藤委員,お願いします。

【無藤委員】
 無藤でございます。資料2‐1の9ページに概要という部分,一番上ですけれども,現在,初等中等教育分科会の下で学習指導要領の改訂の議論を進めておりますが,その骨子の骨子といったことがこのページの上半分です。教育課程企画特別部会の方での整理なのですが,これについて私の意見を含めながら,現在まで,更に半年以上たちましたので,どういう方向を目指すかということを御紹介したいと思います。
 昨年の8月に,教育課程特別部会は学習指導要領の改訂を目指しながら骨格のようなものを整理しました。これが正に,これから2030年以降目指して,ということは今の小学生が大人になっているわけでありますけれども,そういう段階でグローバルな社会,いろいろな意味で変化の激しい社会に生きていく,力を発揮できる,そういう子供たちをいかに育てるかということを議論してまいりました。
 その上で学習指導要領,しかも幼稚園,小学校,中学校,高校,全体を貫く基本部分ということで,まず第1に育成すべき資質能力の明確化というものを行いました。これは小学校でも中学校でも様々な教科があるわけでありますけれども,教科固有の算数なら算数,国語なら国語と,教えるべきことがたくさんあるわけですが,そういった教科をいわば横に貫く形で,基盤となる力というものが育っていくであろうと。それが,学校教育が目指し,その後の生涯学習社会につなぐ根幹なのだと考えたわけであります。そのときの枠組みとして,そこに三つ書いてございますが,個別の知識・技能,思考力・判断力・表現力等,学びに向かう力,人間性等,これは学校教育法で学力の3要素というものを明記していて,多少表現を変えてありますが,基本的にはそれをベースにしており,それを発展させているものです。それをもう少し分かりやすく言い換えて,何を知っているか,できるか,知っていること・できることをどう使うか,どのように社会・世界と関わり,より良い人生を送るかと言っておりますけれども,言い換えれば教科等で学ぶ個別の知識が,ただ覚えるということではなくて,具体的な問題解決の中で使えるようにしていく。最近はこの知識を構造化していくと呼んでおりますけれども,それが1点です。
 2番目は,考える力というのはどう育つかというときに,やはり問題解決の中で自分の考えを表現し,そしてほかの人と対話することを通して育っていくということで,具体的に考えるということが問題解決のプロセスの中で進むのだということをはっきりさせました。
 そして3番目に,学びに向かう力,人間性という部分ですけれども,これは非常に漠然としておりますが,学校教育法では主体的に学習する態度と書いてあるわけですけれども,これをもう少し授業の中で実現可能な部分に焦点を当てまして,子供たちが学んでいく際に,自分たちの学びの見通しを立てる,あるいはどう学んできたかを振り返る。そして将来,自分がどう生きていくかについて今学んでいることを結び付けていく。そういう見通す力のようなものを育てようとさせました。
 その上で,授業ではどのようなやり方で育てればいいのかということで,アクティブ・ラーニングというものを打ち出したわけでありますけれども,アクティブ・ラーニングも何をしていいかというのが授業の中で具体化してきました。一つは,今の知識というものをより深いものにしていくということでありますし,考える際に,他者と対話しながら自分の考えを言い表していこうということ。さらに,主体的に学習するために,先ほど申し上げたように今後の見通しを立てる力を育てようということ。そのようなことでアクティブ・ラーニングをより具体的にしていっております。
 そしてかなり様々な面の指導の高度化が求められますので,特に小学校,中学校,高校などの学校全体を捉えるためにカリキュラム・マネジメント,考えを新たに打ち出して,管理職を中心としてどのように学校の教育を充実させるかということの視点をより明確にしたいと思っております。
 今後,本年度末,3月ですけれども,学習指導要領の告示を目指しておりまして,今その途中段階で,教科ごとのワーキンググループとともに,この教育課程企画特別部会が中心となりながら,中央教育審議会での報告をまず行うということで議論中でございます。
 御議論よろしくお願いいたします。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 委員の皆様の多くは,今,御説明があった学習指導要領の改訂についてよく御存じだとは思いますが,今,検討が進められている新しい学習指導要領に基づく教育は,2020年度頃から小学校を皮切りに始まる予定でしたか。

【無藤委員】
 そのとおりです。本年度末に告示で,その後,一気に進めるわけにはいかないので,いわゆる移行措置ということで,従来の指導要領から次に移る期間と,その間の説明期間を設けながら,本年度2016から2年たって2018年,その後ということで2020年の前からですけれども,小学校を進め,中学校を進め,高校を進め,という順に進めながら,ということで2020年度ぐらいにおおむね実現と考えております。

【北山部会長】
 したがって,学習指導要領に関する検討も,この教育振興基本計画に大きく関係してくるということを御認識いただければと思います。
 永田委員,お願いします。

【永田委員】
 ありがとうございます。今のような各論というわけではないですけれども,具体的な話の前に,本日ぐらいしか話すことができないと思うことですが,2点ほど確認をさせていただきたいと思います。少し困ったものだなと思っているのは,教育基本法についてですが,ここで話し合うのは何のためかということです。我が国の将来のためになのか,教育基本法が言う国民のためなのか。これが曖昧のままだと,多分大きなストラクチャーの話ができないと思います。前回の基本計画の方も「責務を持った国民として」という記述になっています。それで本当にいいかどうか。人口構成やこの国の将来を支えるのは誰なのかというのは,本当に日本人だけかどうか,あるいは日本国籍を持っている人だけかどうかという問題があり,いろいろな部会やいろいろなところで一切いつも議論されないのは,恐らく,この教育基本法の大本に「国民」というように書いてあるからではと思っています。しかし我々は,人口が減っていった中でも高度知的基盤社会を保つためには,それなりの人材が必要なわけです。そのときに,これは移民政策の問題を言っているわけではなくて,この国の高度知的基盤社会を支えるのは本当に誰なのだろうか。資料を見ると,留学生がどれだけ増えたとかという資料も入っているわけです。根本的に,そこを私は今問いかけておきたいのですが,我が国の将来のためにこの基本計画,第3期を考えていくのか,国民のためなのかでは随分違うと思います。留学生が増える,あるいはその方々がいろいろなスキルを身に付ける,いろいろな能力を発揮する。それが,例えばIT社会を見ていただければそうですが,もう既に今でもインド国籍の方やいろいろな国籍の方々が日本で働いているわけです。そうなると,その方々が日本の文化や日本のマインドを持って日本で暮らしていかれて,それでまた出て行かれることはあると思いますが,そういう方が必要であろう。その御子弟も増えるということであれば,本当に初等教育,中等教育,高等教育も含めて,これは国の未来を考える基本計画を考えるのだというスタンスで話させていただけるか,国民,責務を持った国民の一人を育てていくという観点なのかは,大変大きなことで,曖昧だといけないと思うので聞きたいということです。私は実はどちらの立場と言えば,それは高度知的基盤社会を保つために必要な人がいれば,それは我が国が教育すればよいだろうと思っています。
 第2点目は,これから議論になるいろいろな観点に関して,主に国際情勢に対応する,グローバル化社会に対応するという言葉はよく出てきますが,そうではなく,我々が信じる新しいシステムが,違うところがあってもいいけれども,昔の言葉で言えば国際的な通用性,私自身は,そのもう一つ先の国際的な互換性を持ったシステムとして成立させていかないといけないだろうということを思っています。ですからそれが初等教育であれ,中等教育であれ,特別支援教育であれ,あるいは高等教育であれ,要するに独りよがりではいけないし,かといって世の中の,世界の単なる風潮に流されるのはよくないだろう。我々としての,我が国としての独自の考え方を反映させた上で,しかも国際的な通用性,互換性を持った内容に仕上げていかないと,今後の,ここで言っているところの近未来社会の中で生きる基本計画にならないのではないかと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 そもそも,教育の受益者は誰なのかということを考えてみたときに,単純に考えれば,まずは個人でありその個人の集まりとしての集団も受益者です。したがって,その集団が日本だと考えれば,受益者というのは日本であるとも考えられます。そして,日本はアジアの一員であり,また,アジアは世界の一員であるということで,受益者というのは個人から始まり,最終的には世界全体にまで広がる,というようにも単純に考えられるのではないでしょうか。文部科学省としては,この点について,教育基本法を作る際に議論されたと思うのですが,何かコメントはございますか。

【井上文部科学戦略官】
 お手元のタブレットの,実は丸5というところに教育基本法のパンフレットというのがございまして,それをクリックしていただくと,教育基本法の前文と第1条がございます。例えば第1条にございますように教育というのは人格の完成を目指し,平和的,民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成ということにございますように,当然ながら個人の幸福又は人格の完成というのもございますが,その一方でやはり平和で民主的な国家社会の形成者ということで,国家社会の要請に基づく教育,その両面あるかと思っております。その上で前文を御覧いただきますと,そういう国家を更に発展させるとともに,世界平和と人類の福祉の向上に貢献するということもうたってございますので,我が国の国家だけではなく,更には世界全体の平和の追求ということも視野に入れていきたいと思いますが,基本的には個人の幸福ということと国家社会の形成ということの形成者としての資質の向上,両面から御議論いただくのがよろしいのかなと思っておりまして,その点では北山部会長が先ほどおっしゃったのと一致しているかとも思います。
 以上でございます。

【北山部会長】
 そのほかにありますか。
 金子委員,お願いします。

【金子委員】
 私,この計画に関して,私自身は一番重要だと思っておりますのは,社会人・職業人教育についてどう考えるかということだと思います。御存じのように,この資料集にも出ていますけれども,社会人の大学院入学者は現在,毎年大体2万人弱ぐらいでありまして,ほとんど変わらないという状況です。大学院だけが社会人教育の場ではありませんが,しかし主たる場は大学になると思いますが,大学院の拡大政策ができましたのは1990年代初めですから,もう30年近くになっているわけでありますけれども,しかもそのときに社会人教育に重要な役割を果たすべきだという趣旨での改革が行われたわけですが,それがほとんど実行されていないという状況に,まだとどまっています。
 今,日本の労働者の中で大卒の人の労働者は大体2,000万ぐらいいるのですが,私どもが大卒の社会人・職業人に,大体4,000人強ですけれども,調査しましたところ,大学院で学習をすることに興味あるという人は大体半分ぐらいいます。これは,ほとんど年齢の関わりなくいるのです。チャンスがあれば大学院に行ってみたいという人が2割強くらいいます。そうしますと,2000万人の2割と仮にしてみますと,大体400万人ぐらい潜在的な需要があるわけでありまして,それに毎年2万人,要するに0.5パーセントぐらいしか対応していない。この状況はずっと続いているわけです。これは,先ほど,OECDカントリーレビューがあるというお話でしたけれども,OECD諸国の中でも突出して低い割合です。それから,実は東アジアの中でも,韓国,中国と比べても大学院入学者は少ないのです。これは,韓国,中国は言ってみれば多少,学歴主義のところがあるので,それとの違いがあるとは思いますので,必ずしも,それがいいことだけとは思いませんが,しかし明らかに日本の社会と高等教育は突出した特徴を持っているわけで,これは将来,このまままで行くのか。しかも,いろいろ私が,危機感を持ちますのは,大体このようなことは20年,30年ぐらいずっと言われてきたのです。しかもそれは全然変わらないという状況がある。個々の細かい施策を見ますと,例えば専門職大学院ができるなど,幾つかの施策はあるのですが,これが実はワークしているとは言えないという状況だと思います。
 そういう意味では,社会人の教育をどういう体制で進めていくのかというのは非常に長い意味で節目のクリティカルな今段階に来ていると思います。しかも,これは高等教育政策だけではなくて,やはり社会教育,生涯教育政策,両方に掛かることがありますし,それから私は,経済政策や労働政策にも関わると思います。それから広く言えば財界といいますか経済界にも関わるわけでありまして,私どもが行いました調査ですと,企業の人事担当者が大学院の通学を認めていないというところが8割ぐらいの回答がありまして,これは,私はこの構造が続くと,ほとんど皆,そのニードは分かっていながら何も動かないという状態がこのままずっと続き,しかもそれが個々の細かい施策では解決しないような大きな問題であると思うのです。そういった意味で少し広めに事態を考える,見直す,というこういった振興計画というような場で,この社会人教育,職業教育の場について議論することが必要であると思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 金子委員も委員として入っておられますが,現在,中央教育審議会では,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化について検討されておりまして,これには社会人の学び直しも含めた学びの複線化という観点が含まれています。また,検定の充実という,一億総活躍に関係するテーマも同時並行的に議論されており,現在,最終的な報告に入りつつあるところで,今月末に答申としてまとまる予定です。金子委員がおっしゃったように,大学入学者のうち,25歳以上の割合は,アメリカは25パーセント程度ですが,日本では2パーセント程度の状態がずっと続いています。これには社会の構造的な問題もあると思いますし,経済界も関係する話なのですが,そうした点を克服する必要があるという問題意識から今の御意見があったと理解しております。
 では続きまして菊川委員,お願いします。

【菊川委員】
 私も金子委員のように社会人の学び直しについて正面に据える必要があると考えております。人口構成を踏まえますと,2030年には年少人口が1割,それに対して高齢人口が3割ということで,高齢者も含めまして成人の能力アップのための成人自身の覚悟と,施策が必要ではなかろうかと思っております。今お話がありましたように,社会人の大学入学者というのは横ばいで増えておりませんけれども,これは大学の教育内容,方法の問題もありますし,それから社会の側の条件整備の問題もあると思います。一方では今年2月に出ました,内閣府の「教育・生涯学習に関する世論調査」というのがありまして,「平成27年度内に1年間どんな生涯学習をしたか」という問いに対して,楽しみのための学習というのは減っているのですが,仕事に関する学習が伸びておりまして,30代,40代で10ポイント以上増えているという状況があります。また,私が今,所属しております放送大学でも,人口構成比に比べて学生数が多いのは30代,40代,50代の女性です。ですから,これからの変化の激しい中で,また職業生活も65歳以上の働く人が増えているというような状況の中で,職業生活を支える個別の技能に加え,大人の汎用能力的な維持向上ということは,2030年に向けての大きなテーマになるのではなかろうかと思っております。また同時に,リタイア後の高齢者の自立促進や能力の維持向上のためにも,それに見合った福祉政策ではない教育政策が考えられて良いのではなかろうかと思っております。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 では,続きまして白井委員,お願いします。

【白井委員】
 ありがとうございます。NPO法人トイボックスの白井智子でございます。私,ここでは新米でございますので,自己紹介を含めて思いを述べさせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。私ども大阪府池田市というところで,全国で初めて官と民とが連携するフリースクールを,また震災後の福島県南相馬市というところでは発達障害を持つお子さんたちの学習支援施設を運営しております。プライベートでは10歳,7歳,3歳,3人の子育て真っ最中でございます。
 今,小中学生12万人が不登校,高校まで含めると17万人が不登校,適切な教育を得られていないという状況です。御承知のとおり政府としても,この状況に対して何とか対応しなければいけないという機運がようやく高まっているところです。諮問のポイントにも入れていただいておりますが,優秀な人材を育てていくのと同時並行で,課題を持つ子供たちをしっかりと落ちこぼさずに支えていく社会的包摂の観点を教育の重点課題の一つに据えることが必要な時代になってきたと認識しております。
 池田市では全国の自治体の中でもいち早く教育の官民連携が進んでおりまして,私も日常的に先生方とお話をするのですが,約1割といわれております発達障害を持っていたり,あるいは環境的に大きな課題を持っていたりする子供たちが,どう落ち着いて学習に向かえるかということを学校運営の中心課題として考えないと,もはや学校も先生方も生徒たちももたないということが共通認識になってきています。三,四十人の学級で発達障害を抱える子供も必ず一定数存在するという中で,一人の先生が学力の保証も問題行動の対応も保護者対応も全部するというのはもう無理な時代が来てしまっていると。逆に被災地といわれる福島県で発達障害を持つ子供たちの施設運営をしていて感じることは,発達障害を持つ子供たちの環境が落ち着かないと全体の教育水準が下がってしまうと。それに対して課題を抱える子供たちが落ち着いて学習に向かえる環境を作ると,教育環境全体が落ち着いてくるということをこの5年の間に見てまいりました。国民の税金をどう使うかという観点で言えば,幼少期に多少のコストを掛けて,でこぼこのある子供を確実に支えていくということが将来的な社会的なコストを下げることにつながるというエビデンスの研究をSROIなど具体的な評価指標を用いつつ,現在も文部科学省と合同で行っております。
 また就業構造の変化という面で見ても,例えば課題を持つ子供を支える専門職は全国的に足りていません。人材不足で困っております。一方でびっくりするぐらい優秀な学歴を持つ大人たちが一旦社会から疎外され,今我々の施設で学習支援のボランティアという形から再スタートをしようとしています。優秀な彼らが持つでこぼこな部分に対する理解さえあれば,社会の中で十二分に活躍できる人たちです。
 子供一人一人の学習環境という面から見ても,社会コストという観点から見ても,就業構造の変化という観点からも,従来のように課題を持つ子供たちのためにという観点で課題を持つ子供たちの教育を考えるのではなくて,教育環境全体の安定のために,子供たち全員のために,もっと言うと社会全体のために,誰も排除しない,誰も落ちこぼさない教育の在り方を真剣に考えないといけない時代に来ていると感じています。それこそが一億総活躍につながると確信しております。多様な背景を持つ子供たちを社会が正しく理解し,誰も落ちこぼさない教育というものをこの伝統ある部会で議論することができれば,3人の子供の子育てに悩む母親としても大変ありがたく存じます。よろしくお願いいたします。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 続きまして柘植委員,お願いします。

【柘植委員】
 筑波大学の柘植といいます。人間系の障害科学域というところに所属しておりまして,知的障害・発達障害・行動障害の研究分野におります。発言する前に,先ほどの教育の目的って何だろうという議論,とても興味深く聞かせていただきました。その中で夏目漱石のフレーズを思い出しました。彼は大きな三つの世界的な争いを経験した方なのですが,人一人のため,個人のためということと,日本のため,世界のため,教育の目的,その二つをどのようにバランスとりながら,その時々の時代背景だとかも変わってくるのでしょうが,両方が大事なのだというようなことを述べているフレーズを思い出したところです。
 さて,私の個人的な発言ですけれども,今14ページを見ているのですが,検討事項の丸1と丸3とあるのですが,丸1のところで発言すればよろしいですか。丸3は後での方がよろしいですか。

【北山部会長】
 相関連する部分もありますので,二,三分でまとめていただければ。

【柘植委員】
 分かりました。検討事項丸3は後半で発言したいと思います。
 先ほど,白井委員が発言したことと少し関係します。今後の日本の教育と社会のキーワードは何だろうということを井上戦略官から説明を受けたときに考えてみました。一つはダイバーシティとインクルーシブかなと思います。多様性と包括,包摂と訳すのでしょうか。7月に横浜で世界心理学会議が開かれ,そのメーンテーマが「Diversity in Harmony」なのです。多様性。8,000人の方が集まってきて多様性について議論する,そういう時代になってきたのです。あるいはインクルーシブという言葉もそうですが,年齢だとか性別だとか国籍だとか言語だとか障害だとか貧困だとか,あるいは最近テレビとかでも耳にすることが多くなりましたLGBTなど,そのような多様な方々を誰も置き去りにしないで,先ほど,置いてけぼりという話がありましたけれども,置き去りにしないで一員として大切にしていく,誰もが誇りを持って日本で学んだり働いたりしていけるような,そういう社会を作っていく必要があるのではないかと思っております。
 私は,一般社団法人日本LD学会の理事長をしているのですが,2001年のときに会員が1,000人だったのですが,実は今9,000人なのですね。15年で9倍に増えたのですね。中にはLDだとかADHDだとか,自閉症等の発達障害について,通常学級の先生だとか,研究者が多いのですが,福祉,医療,政策関係者もたくさん入っております。それだけ多様性について,臆病になっているのではなくてきちんと理解をして,できる支援をしていこうではないかという機運を私はすごく感じるわけです。
 以上,ダイバーシティとインクルーシブという話をしましたけれども,それともう一つ,それに対峙するわけではないのですが,個性とか才能とかを思い切って支援する,思い切ってカスタマイズしていくという,この二つ目の軸も必要なのではないかと思います。私は,今,筑波大学に所属しておりますけれども,スーパーグローバル大学に指定されておりますが,あるいは地域の大学ですと地域と密着した取組ができる大学を育てようとか,あるいは高校でいいますとスーパーサイエンスハイスクールだとか,つまり特色のある団体というか,学校というか,人というか,その固まりといいますか,そこに思い切って支援をしていくような,きらっと光るものをたくさん作っていくという,その方向と先ほどお話しした多様性とかインクルーシブなどは,この二つの軸が,恐らくこれから日本にとって,2030年に向けた劇的な変化を皆さん予感していると思うのですが,それを考えたときにこの二つは譲れないものなのだろうなと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 第1のテーマについては川端委員で一度終わりとして,第2のテーマに移りたいと思います。
 それでは,山脇委員と渡邉委員,順番にお願いします。

【山脇委員】
 日本経済新聞の山脇と申します。この2030年以降の社会を見たときに,日本の教育として一番に考えるべき事はダイバーシティだと思っております。そして日本は今,白井委員などの活動などに表される障害持った方とか,貧困の方とか,弱者に関しては一応は考えられてはいるのですが,才能がある子たちをどのように伸ばすかということについては,なかなか今,注目されていないのではないかと思っています。例えば数研準1級を取った小学2年生がずっと小学校で皆と同じようなことをやっていて本当にいいのだろうかというような気がしております。日本はやはり飛び級などそのようなことは考えられていなくて,護送船団方式というのが一応ベースになっているように思うのですが,ここでやはり多様な,それも才能のあるような子たちを伸ばすということを一度考えてみるべきではないかと思っております。
 そのためには人手も,そしてお金も要るのですが,御存じのように日本はOECDの中でも最低クラスの教育予算です。この恥ずかしい現状を打破すべく,何としてでも教育にお金を振り向けるためのいろいろな施策,提言を通してやっていかなければいけないなと思っております。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 渡邉委員,お願いします。

【渡邉委員】
 日本経済団体連合会で教育問題委員会の委員長を務めております渡邉と申します。お話しをお聞きしていて,第2期の教育振興基本計画とこれから検討する第3期基本計画の中で,何が変わらない要素なのか,何が変わる要素なのかを明確にしておく必要があるという気がいたしました。第2期基本計画の前文にも明確に書いてあるのですが,今後の社会の方向性として明示しております「自立,協働,創造」の三つの理念。この三つの言葉で表しているのは大変分かりやすいと思います。また,これらは変わらない要素ではないかという気がいたします。「自立」した個人が,他者と「協働」しながら,新しい価値を「創造」する社会の構築というのは,恐らく今,日本が置かれている状況,社会の状況,あるいは経済界から見ても,この方向性は一致するだろうと思います。したがって,第3期基本計画の中でも,この2030年以降の未来を生き抜く人材の育成を考えたときに,この三つの理念というものは生かしていくべきではないかと思います。ただ,その「創造」というものの先にあるものが何なのか。これが変わっていく要素として見極めていく必要があると思います。
 日本経済団体連合会のビジョンにも実は未来を切り開くキーワードということで,一つ目に二つのイノベーションがあります。これは技術革新的なイノベーションと社会制度のイノベーションという広い意味でのイノベーションです。そして,二つ目はグローバリゼーションです。この二つのキーワードで未来を考えようということですが,こういった課題意識の下に,私が委員長を務めております日本経済団体連合会の教育問題委員会で,この第3期基本計画の検討が始まる機会を捉えて,第2期基本計画の進捗に関する評価もさせていただきながら,第3期基本計画への産業界の問題意識,関連事項を提言として取りまとめました。タブレットの17番にありますが,本日は時間もありませんので,私の思いということでお話しさせていただいて,また別途,できれば改めてヒアリング等の場面で説明する機会を設けさせていただけたらと思っております。
 それで若干思いを述べさせていただきますと,よく言われているグローバル競争の激化,また,IoT,人工知能,ロボット,ビッグデータを通じた第4次産業革命,Society5.0といった急激な社会産業構造の変化が予想されているわけです。こうした社会の変化がこれから加速度的に進んでいくことになりますと,どうしても経済界から見て求める水準は高まってしまう,高いものになってしまうということだと思います。ただ,変化への対応力や付加価値を創造する力,これは間違いなくこれから変わる要素として見ていくべきだろうと思います。そのときに日本経済団体連合会として具体的に求められる素質,能力という点で見ますと,主体的に解を見出す能力,自らの意見を論理的に発信する力,外国語によるコミュニケーション能力,幅広い教養,いわゆるリベラルアーツですね。それから,多様性の尊重,文系・理系にまたがる知識,情報を課題解決するために使いこなす情報活用能力など,挙げれば切りがないわけです。また,こういったものをサポートする教育課題に対応できる教育する側の体制整備も同時に求められることになると思います。ただ,他方,こういうハイレベルの人材を求めるが故の反作用ということも当然出てくると思いますから,こういった反作用にも目配りした学びのセーフティーネットを整えるということが大変重要になると思います。
 それからもう一つ,これは柘植委員が,先ほど御発言された内容に全く同感なのですが,これから個性の特徴や強みを伸ばす,あるいは文化や社会背景の異なる他者の個性も尊重する,そうした上で多様性を受け入れて,協働してチームワーク力で,新たな価値を創造する,こういったことが重要になるのだろうと思います。それは正しくダイバーシティ・アンド・インクルージョンという言葉に集約されると思います。これは教育分野だけではなくて,社会,あるいは産業界の視点からも同様に,これから重要なキーワードになるのではないでしょうか。したがって,こういったダイバーシティ・アンド・インクルージョンを進めることによって,次世代を担う人材の育成というものが進んでいくのだろうと思います。
 日本経済団体連合会も産業界として,社会,学校に対してもっと教育支援活動を「見える化」するように努力をしてまいりたいと思います。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 阿部委員,お願いいたします。

【阿部委員】
 私もこの場では初めてですので,自己紹介を兼ねて私の論点というのを申し上げさせていただきたいと思います。私はそもそも社会保障の分野で社会政策の分野の研究者でずっとやってきました。ですので,厚生労働省の貧困対策ですとかのアドバイス等のことはずっと長くしてきた者です。その中でやはり今回の中でも課題として挙げられています子供の貧困の話というのを,やはり今後もっと明示的に意識する必要があるのではないかと危機感を持っております。一つは,親の経済力というのが今どんどん下がってきているということ。それから,また一人親世帯の方々は経済力が非常に,二親世帯に比べて弱いのですが,今後特に2030年ともなれば,その割合が今は1割程度ですけれども,これが3割ぐらいまで増えても全然おかしくない状況にあるといった中で,貧困の対策というのが特別な子に対するパッチワーク的な政策ではもう届かなくなっていくだろうと考えられるということだと思います。厚生労働省の施策や,また文部科学省でも,例えば学習支援ですとかスクールソーシャルワーカーといったところが子供の貧困対策として挙げられておりますけれども,それらは学校外での何とかそこの手当てをしていこうというような政策かと思います。より学校の中で,義務教育の中でどのようにこのような子供たちにアプローチをしていき,よりインクルーシブ,今までの先生方のお言葉を使わせていただければインクルーシブなことができるのかということを考えていかなければいけないと思います。それは,考える際に,子供の貧困対策法では,学校が子供の貧困対策のプラットフォームになるようにというように書かれておりますけれども,教育対策だけでは恐らくもう間に合わないのです。これは,どんなにすばらしい教育をしても,家できちんと御飯が食べていられない,インターネットどころか家の中に辞書も机もない,自分が使えるノートも鉛筆もないといったような状況で,親御さん,実は一人親世帯の母親の3割が鬱状況と推計されております。二親世帯でも15パーセントぐらいというような状況で,親御さんも精神的に非常に病んでいるといった状況の中で,教育対策だけで学力格差の問題を解消しようと思いますと,これは不可能で,やはりより福祉的な対処が必要になってくるかと思います。ですので,学校と福祉のより密接な連携,それはスクールソーシャルワーカーが福祉事務所に連絡するといったレベルのことではなく,より深い連携というのがやはり必要になってくるのではないかなと思います。
 また経済力の面という点に関しては,先ほどお話のあった社会人の教育についての観点においてもやはり視野に入れていかなければいけないと思います。今現在,やはり自分の教育に投資をするどころか貯蓄もできないといったような状況の若い世代,20代,30代が非常に増えております。そうしますと厚生労働省の分野では,これは職業訓練という形でずっとあったわけですが,彼らは職業訓練に行く余裕がないのです。そうしますと,当然ですが再教育を受けるというのも一部の恵まれた方々だけがとることができる選択肢となってしまい,ますます格差を広げるのを助長してしまうことになるかと思います。ですので,どのような方でも再教育というのが受けられるようにするにはどういうふうにしていくか,この経済的制約の問題というのは,真っ向からやはり取り組んでいくべきと思います。
 私からは以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 後半で議論する予定とされている,14ページの検討事項丸1の(2)にその点についての記載があります。子供の貧困など格差への対応や,人口減少の克服,地域コミュニティの創造等についても関連してくる部分があると思います。では,あとのお二方に(1)について御発言いただきますが,そのまま引き続いて(2)の貧困,格差という点についても,御準備を併せてお願いしたいと思います。
 川端委員,お願いします。

【川端委員】
 日本PTAの川端でございます。今は,まず(1)というお話でしたが,私も今の阿部委員と同じ子供の貧困等についての意見も含まれているので申し訳ないのですが,(2)について,一人親家庭,そして外国人家庭,貧困家庭が増加していますし,都市と地方という部分でも教育面での違い,格差が大きくなっていると感じております。もちろん子供たちが平等に教育を受けられるようになるべきなのですが,それ以前にきちんと生活ができていないと思います。朝御飯も食べられずに学校に来る子供や,学校以外での学習機会を得られないという子供も多数いるかと思います。親や保護者が子育てや教育に力を入れたくても,生活することにまず力を入れなくてはならない家庭があるというのも事実だと思っております。また子供たちが成長する上で,学校以外での多くの経験からの学びが必要ですが,資料にもありましたように,キャンプ,川遊びなどの野外経験などが年々減ってきています。そういった部分で創造性豊か,独自性豊かな子供たちが育っていくという面でも,そういうことをしてあげられる家庭が多くないというのも現状ではないかと考えております。子供は親,環境を選ぶことができません。教育を受けられる子,そうではない子がそれぞれ成長し,その子供が親になったときに,どうしても同じような家庭環境になることが少なくないのではないかと思っております。子供たちがまず平等に教育を受けられるということが大事ですが,それ以前にそこに行くまで,まずは生活がきちんとできる,そして初めて教育を受けられるのではないかと考えておりますので,そのような分も含めてよろしくお願いしたいと思います。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは高橋委員,お願いします。

【高橋委員】
 失礼します。私はくらしき作陽大学という地方の大学で教育に携わっている者でございます。先ほどの御意見にもありましたように,日本全体の教育の平等性を考えるということと,地方における教育課題と都市における教育課題は,大きく違うということも是非忘れないでいただきたいと思います。今回,国際的な比較もしながら日本の教育の評価をしていかれることと同様に,日本全体をただひとくくりにして語るのではなく,それぞれの地域の教育の実態や,教育の振興方針を,そのような生活実態を把握し,それをそのような指標で捉えて,どのように計画を立て取り組んでいったらいいのかということを必ず考えていただきたいと思います。
 また,大学教育にずっと三,四十年携わってきまして,社会人教育とか職業教育がなかなか進まないというところは,これまでの大学教育のありようや,それに携わっている者の意識にやはり反省すべきところがあると思います。大学教育を社会に開いていくためには是非質のよい教育を提供できる環境と,学ぶ機会を保証するということで,義務教育だけではなく,就学前も高等教育もできるだけ無償化していくというところに努力をしていただきたいと考えております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 先ほど申し上げましたように,論点(2)の貧困,人口減少の克服,地域コミュニティの創造等などについても御意見を頂戴したいと思います。
 それでは宮本委員,お待たせいたしました。

【宮本委員】
 どうも恐れ入ります。私の分だけ資料3を印刷していただいて恐縮に存じます。大分,委員から重なった御意見も頂いているので,私の方は重ならない形で発言させていただきたいと思います。
 例の一億総活躍国民会議のまとめが間もなく出るという段階にありますけれども,一億総活躍の問題を考えれば考えるほど,一億総学習社会の実現が条件になるというように思います。とりわけ様々な不利な状況にある人々が,いつでもどこでも学習の機会が与えられる社会を作っていかないと,一億総活躍社会を実現することは難しいということを改めて確認する必要があるのではないかと思います。
 日本のように高度な成熟社会においては,やはり社会の発展のためには極力格差の少ない社会にしていくこと,落ちこぼれていく人々の数を減らすことでありまして,そのために何が必要かというと,人間に対して投資をするということが条件になるだろうと思います。そういう意味で社会的な投資国家という社会モデルを作るためにも,教育,とりわけ生涯学習という問題をもっと強化する必要があると思います。
 それについて一つ一つありますけれども,先ほど例えば阿部委員から,子供の貧困の問題に関して,学習との関わりで御発言がありましたが,一つ付け加えさせていただくと,経済的な困難を抱えている子供やその家庭は,経済だけでなく極めて多様で複雑な問題を抱えているわけですけれども,それに対する教育の体制が極めて画一的,標準的な教育であるために対応ができないという感じがいたします。先ほどからダイバーシティという用語が使われておりますけれども,正しく問題を抱えている子供に対する教育の方法は多様でなければいけない。具体的に多様な教育方法を開発する必要があると思います。同様に,もう少し年齢の上の高校生,あるいは高校生時代を終わった若者期に関しても,この間,私は若者の問題にずっと取り組んできましたけれども,少なくない若者が学校教育の中で基礎学力が付かないまま実社会に出ているわけですが,頻繁な離転職を繰り返す中で,職業訓練や再教育の機会がたとえあっても,基本的な学力が付いていないために,その機会を利用できないという問題があり,職業世界が極めて高度化していく中で,その世界に対応できない状況にあります。恐らく21世紀,時間がたてばたつほど,そういう人たちが増えていく可能性があるということでございまして,その点で教育の問題と福祉と労働,この辺りの問題をセットで考えていかなければいけないと思います。
 長くなりますけれども,最後ですが,生涯学習社会への道のりはまだ遠いということを一言申し上げさせていただきます。私,放送大学におりまして,学生が9万人おりますが,学生が増えないという悩みを抱えています。単に増えないだけではなく,生涯学習に対する国の予算が大幅に毎年削られていて,このままの状況で行くと授業料を大幅値上げして維持しなければいけないという段階にあり,今,必要な生涯学習の実現ということからすると,全く違う方向に向けていかなければ成り立たないという状況にあります。そういう意味で日本は生涯学習に対してもっと本格的に政策として立て直しをしなければならないのではないかと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 では続きまして中井委員,お願いいたします。

【中井委員】
 東京都教育委員会の教育長をしております中井でございます。今の宮本委員の意見の前半の部分に全く同感なわけでございますが,教育現場においては小学校,中学校,高校,それぞれの段階で,個々の能力から来る,あるいは学習意欲から来る学力の差ということに対しまして,クラス分けをして習熟度別の授業を行うことや,高校に行きますと,もう一度義務教育段階の知識を習得していない生徒に対する学び直しの補習をやるとか,そのようなことをして,いわゆる学力の二極化に対する対応を,従前に比べると随分行うようにはなっているわけでありますが,先ほど宮本委員がおっしゃったとおり,社会に出るという,その次元で考えたときには,高校卒業段階で十分な基礎的な学力を身に付けていないまま卒業するという生徒が非常に多いという現実があるわけであります。
 これは中学,高校段階で学年が進むに従ってどんどん広がっていくわけでありますが,それが不登校,中退の問題にもなります。そしてまた学力が低い子は学習意欲も低い傾向があるということで,学習ということ以外のことに,SNSは正に端的な例ですが,その他非行だとかそういったことにも走るケースがあるということで,やはりダイバーシティの問題というのは探究力やグローバル人材など,そういう面もありますが,学力差についてのダイバーシティというところもしっかりと押さえていかなければいけないと思います。
 ただ,これはクラス分けをしただけでも教員は一人余計に必要になるわけでありまして,さらに言えばマンツーマンに近い形でやっていかないと,それぞれの子供の能力に応じた教育というのはなかなかできないというところもあるわけでございまして,これを進めるにはどうしても人手が掛かります。そういう面では,子供は減っていきますけれども,やはり教育現場における人手と金目というのはどうしても掛かると。そうしなければ日本の将来を支える人材というのは育っていかないのだろうと思います。
 以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 続きまして百瀬委員,お願いできますか。

【百瀬委員】
 学校現場の代表といたしまして,高校の実態をお話しさせていただきます。現在,勤務しておりますのは全日制普通科と理数科と夜間定時制の併置校です。私は以前多部制定時制高校にも勤務しておりました。今も話題に上がりましたように,生徒の実態は日本語を母語としない生徒が1割以上おります。また,一人親家庭は定時制の場合,50パーセントは超えております。さらに発達障害を含む障害のある生徒も定時制の場合には全国平均よりも約倍以上おります。家庭の実態でも朝食も食べられない,あるいは夜間給食の費用も払えない,といった非常に食生活あるいは生活全体が厳しい状況に置かれています。その中でどうやって学び直しをし,どのように力を付けていくのか。あるいはどのように社会に出していくのか。そこで一つには,学校のカリキュラム外の時間で小学校3年生からの学び直しを行っている事例もあります。また,障害のある生徒に対しては支援のための人的な配慮が必要です。建物については言うまでもありませんが,そういった人的配慮というソフト面での支援があってこそ,ようやく卒業を迎えられます。定時制の場合ですが,入学した生徒が実際卒業していくのは,7割あれば本当にいい方だと思います。実際には半分というケースもあります。そういった中で教員が,実は教科指導は言うまでもありませんが,生徒に対するありとあらゆる面をサポートしているというのが実態であります。この実態を考えますと,やはりマンパワーというのは必要不可欠だという思いがあります。日本語指導のための人員,あるいは障害のある子供への支援等がやはり必要だと思います。
 先ほどの多様性ということで,全日制のトップ層に関してでありますが,本校は現在,SSHの指定を受けております。その中でもやはり多様な研究をしようとしたときには,いろいろな形での大学,企業,研究機関等からの支援を更に進めていかなければいけないと強く感じております。そういった意味で広く高等学校教育全般にわたって,チーム学校,それにいろいろな形で企業,大学,研究機関等々,広くネットワークを作っていく必要が更に求められていくと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 もう既に第1の論点に関して御発言いただいた方も結構でございますので,御発言いただければと思います。
 続きまして大橋委員,お願いいたします。

【大橋委員】
 どうもありがとうございます。2030年以降の社会についてAIやIoTに触れられていますが,まとめると経済社会の今後の先行きというのは極めて動態的であるということではないかと思います。ここから引き出されるインプリケーションというのは恐らく三つぐらいあるのかなと思います。
一つ目は,先ほど金子委員からもお話があったのですが,学び直しというのが極めて重要だろうという点です。大学を終えるともう教育は要らないという世界ではなかなかいかなくて,何度も学び直していくという過程は重要で,そうすると大学におけるあるべき教育の姿ということもやはり考えていかないといけないのだろうなと思います。大学を含む高等教育機関の評価軸というものも一つ論点になるのかなと思いました。
 二つ目ですが,先ほどから議論になっている,様々な側面で特別な配慮を必要とする児童・生徒が増えているということを鑑みたときに,一定の基礎学力の取得を前提とした上で,個に重点を置いた教育というものは極めて重要だなということを感じました。児童・生徒のそれぞれの資質能力に応じて,必ずしも均一でない教育というものも政策として推進するということもあり得るのかなということを2点目として感じた次第です。
 三つ目でございますけれども,教える教員側の質の確保及び負担の軽減ということでございます。私は大学に所属していますが,大学の教員の質もどうなのだということはさることながら,初等中等教育を見ていると,教科の指導や児童・生徒指導,あるいは部活動,こうしたものを一体として行う教育方法というのは国際的にも高く評価されているということは事実だと思いますが,他方で教員の負担も非常に重くなっていると思われます。現状では,いろいろな学校現場で分権的にボトムアップの取組がなされており,大変重要なことと思いますが,他方でトップダウンの取組,つまりベストプラクティスをすくい上げて横展開することを考えていくことも非常に重要な課題かなと思います。今回,政策の評価ということをうたわれていますけれども,教育政策の評価ということは,IT活用も含めた,そうしたベストプラクティスを探し当てて横展開することで教育現場の質の向上を図る上でも非常に有用な取っ掛かりなのかなと思いました。
 以上3点でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 続きまして田中委員,お願いします。

【田中委員】
 ありがとうございます。大学改革支援学位授与機構と4月から名前が変わりまして,前は大学評価をしている機関であります。私は2点申し上げたいと思います。
 1点目は,先ほどこの議論の目的は何かという問題提起がありましたけれども,この議論の落としどころに関することであります。先ほど一億総活躍のキーワードが何度か出ていますが,その内容を見ますと,第1の柱が600兆円,第2の柱が子育て,第3の柱が介護離職ゼロということになっています。この3本の柱が,どういう構造をしているのかと言えば,やはり,働き方改革による生産性の向上による経済成長というものに集約されていると私は拝察しています。諮問会議にしても,他の省庁の会議も,どうしてもそちらの生産性の向上や経済成長というところにフォーカスが行きがちであります。そういう意味では,一億総活躍社会にかかる政策が中心的になると思いますが,成長以外のところについても,この会議の中ではきちんと議論をして提案をするというスタンスを持つことが大事ではないかなと思います。
 2点目は,ダイバーシティという言葉についても,何名かの委員の方々からキーワードとして出されていました。それを尊重することは非常に大事なのですが,ではそのための解決方法はどうするのかということについても,やはり議論が必要なような気がします。というのは,問題が起こると,公的機関に,例えば,貧困や社会福祉など包括的な問題であっても,教育の問題に関連すると学校にその問題解決の役割を集約させるような議論が散見され,少し学校に過多な期待が掛かっているように思います。こうした問題が複雑であればあるほど,学校以外の,例えばNPOだとかのアクターも含めた包括的なアプローチが必要です。そして,複数の関係者によるパートナーシップや連携は既に幾つかの省庁でも議論をされていますが,実際には,まだまだ問題は解決されていないのが現状です。特に,一人一つの団体の活動はそれぞれ頑張っているのですが,その規模や効果がスケールアップにつながらなくて,本来目指しているアウトカム目標やより大きな目的に到達していない状況です。その意味ではこの連携の方法についても,ここで見直して議論をする必要があるのではないかと思います。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 続きまして戸ヶ﨑委員,お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】
 義務教育の学校の現場に近い基礎自治体の立場としての意見を何点か述べさせていただきます。
 まず,先ほど来お話のある(2)番の貧困及び地域コミュニティの問題等についてですが,この問題の解決に向けて日々悩んでおります。と申しますのは,これらの問題解決というのは教育委員会だけではできません。福祉部局をはじめとして関係部局が連携し行政の総力を挙げて取り組まなくてなりません。どこが音頭取りをしたらよいかや,reduce red tapeと言われるように,縦割り行政をどのように切り崩していったらよいのかということが,本市に限らず各自治体でも苦労しているのではないかと思います。先ほどの御意見の中にトップダウン,ベストプラクティスという言葉がありましたけれども,現在の教育課題の解決に向けては,学校現場からのボトムアップで取り組む方が効果のあるものも少なくありませんが,特に,こういう貧困対策の問題などはトップダウン,ベストプラクティスの視点から教育振興基本計画の中で明確に示していくべきではないかと思っています。
 それから総論的な話になってしまいますが,2点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。
 一つは,この教育振興基本計画の中に,方向性だけでなく到達点を示すべきではないかと考えます。というのは,メッセージを伝える対象が誰なのかにもよりますが,学校の教員に限ってみると,実態として学校の校門ぐらいまでには入っているかもしれませんが,廊下,ましてや教室にまでは正直言って入っていないのではないかと思います。現在の教育振興基本計画の内容を知っているかと問われれば,恐らく知っているというか理解している教員は極めて少ないのではないかと思います。その理由として,国の教育振興基本計画を基にして都道府県の教育委員会でも策定し,さらに,市町村の教育委員会でも策定しているので,どうしても教員は身近な自治体の計画に目が行ってしまいます。国の示した方向性が基礎自治体の振興計画に明確に反映されていればいいのですが,それぞれの自治体の実態や課題があるので,必ずしもそうはなっていないのではないかと危惧しています。したがって,2030年以降の社会等の変化を見据えた教育政策の方向性だけではなく,アウトプットというか目指す到着点をより明確に示していった方がいいのではないかと考えます。それもできれば量的なエビデンスとともに,こういう言葉があるかどうか分かりませんが,質的なエビデンスや非認知能力なども含めて具体的に何を目指していったらいいのかという到達点や目指す子供の姿などが明確になっていないと,なかなか学校現場に落とし込むということは難しいのではないかと思います。
 二つ目は,先ほど社会に開かれた教育課程の話がありましたが,この教育振興基本計画についても,社会に開かれた計画になるといいと思っています。社会のあらゆる層に,これからの教育はこれを目指していくとか,また,これからの社会にはこのような力が必要だというものが示され,共有化されていく必要があると考えます。そのためには,「丸々化」やカタカナ語,また専門用語の多用を控えるなどして,社会のあらゆる層に分かりやすい言葉で示すように努める必要があると考えます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 続きまして近藤委員,よろしくお願いします。

【近藤委員】
 東京足立区の区長の近藤でございます。就任以来,今年で9年目になりますけれども,就任当初から,現場の校長先生から,子供に努力をしながら何かを獲得することを教えるのが非常に困難であるということを言われてまいりました。それは何かというと,2代,3代,生活保護,就学援助等を受けて暮らしている子供が多く,親が働いている姿を見たことがないという子供が少なからず存在する実態が足立区にはございます。ですから小学校の低学年から,何か将来に向かって夢や希望をと言うと,「いいんだよ,将来は生活保護をもらえば暮らしていけるから」という言葉が日常子供の口から出てくるということを聞きまして,区といたしましても,この貧困の,貧困自体ではなく,貧困が2代,3代と連鎖していく問題について,何とか行政として手を打たなければいけないと思いました。いろいろ状況が整ってくる中で,昨年の秋,小学校1年生全員を対象に悉皆(しっかい)で,健康に対するお子さんの生活環境がどのように関わるか,それと同時に家庭の生活困難な状況が子供の健康にどのような影響を与えているかという調査を国立成育医療センターとともに行いました。そしてようやくこのたび内容がまとまりまして,ここで延々とお話しするわけではありませんが,ポイントだけ,私ども非常に驚いた点がございますので,2点ほど指摘をさせていただきたいと思います。
 経済的な格差が子供の学力や健康に非常に高い親和があるということは何となく想像ができるわけですが,それを突破していく,同じ経済的な状況の中であっても,子供に対して経済的な状況の影響を緩和する要因は幾つもあるのだということが,この調査から明らかになってまいりました。一つは保護者の問題ですが,保護者に相談相手がいるかいないか,これによって,たとえ経済的に困窮していない家庭であっても,保護者が孤立していると,子供の虫歯の数が多く,予防接種の接種率が低い。医療費につきましては中学3年生まで自己負担ゼロでやっておりますので,お金が掛からなくても手当てをしない。経済的に困難でない家庭であっても子供にそういった影響が出るということが数字として現れました。つまり,一人親家庭も含めて子育て世帯を社会的に孤立させないということは非常に重要だという点が一つ明らかになりました。
 もう一つはお子さんについてですけれども,経済的な困窮よりも自己肯定感,自己効力感に対して影響があるのは,読書の習慣があるかどうかですとか,学校以外に体を動かす習慣があるかどうかというような経済的以外の,私たちが対応しようと思えばできる,環境を変えれば変えることのできる要因が子供の自己肯定感に非常に有意な相関があるということが調査の中で明らかになってきております。限られた財源の中で生活困窮の家庭を即座に解消するということは現実的ではありませんけれども,その経済的な困窮のお子さんへの影響を緩和する様々な要因が具体的にこの結果で見えてまいりましたので,これからは人も財源も限られていますので,そうした調査結果を基にした,本当に優先順位の高い施策をこの貧困の格差の解消ですとか連鎖の解消に対して打っていくことが必要ではないか。つまり戦略を持たなければいけないなと。それには実態調査をきちんと行って,何が物事の本質に関わってきているのかということを大勢の人が共有することが非常に重要だということが1点でございます。
 もう1点は,先ほど戸ヶ﨑委員もなかなか全庁的な対応がとりにくいということをおっしゃっておられました。足立区も,こうした調査を行った結果,全国の自治体から,今様々に調査に見えられていらっしゃいますが,これは,学校に全てお願いをして,現場に配付をして調査を行ったことでございますので,どうして教育委員会とそこまで連携がとれたのですかということをどの自治体の方もおっしゃいます。ですから,それだけ,教育委員の先生を目の前にして大変恐縮ですが,なかなか教育現場と福祉や衛生との連携が図りづらい。「俺たちは教育の専門家だ」「素人が何を言っているんだ」「これ以上負担を学校現場に負わせるな」といったことがベースにあって,なかなか1自治体といっても横断的な対策がとれていかないということもございます。ですが先ほどからお話を聞いておりますと,地域コミュニティですとか多様性を受け止めるといったことについても,1教育委員会だけでなく,地域ですとか民間の企業,そして何よりも庁内の連携ということは欠かせない論点ですから,教育委員会と私ですと区長部局の在り方,そのようなこともこれから議論していく必要があるのではないかなと思いました。
 ありがとうございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 石田委員,お願いできますか。

【石田委員】
 東京大学の石田と申します。私は今回初めて参加させていただくので,自己紹介を兼ねて簡単に私の問題関心についてお話しさせていただければと思います。私は,専門は社会学で,格差の問題等について研究をしております。教育に関する格差だけではなく,若年者の例えば,教育とも関連しているのですが,職場とか労働市場での格差ですね。それとあとは家庭の背景に関わる格差の問題というようなことについて研究しております。本日の議論の中で言いますと,2点ありまして,一つは格差の現状について,正確に把握するということがやはり第1の出発点となりますので,本日エビデンス・ベースドというお話もありますけれども,現状をいかに正確に把握していくのかということが非常に重要かなと感じております。
 それとの関連で言いますと,本日も少しOECDカントリーノートの話が出たのですが,日本の現状を国際的な観点から把握していくという見方も非常に重要ではないかと考えております。当然日本にかなり特化したというか個別の問題というのもありますが,やはり高度に発達した産業諸国で共通の問題を抱えていることもあります。そういう問題をきちんと把握して,もちろんPISAあるいはTIMSS等の国際的な調査に関して日本も参加しているわけですが,そういう調査への関わりを含め,国際的な視野から日本の現状を少し見ていくという視点は重要かなと感じております。
 それから,あとエビデンス・ベースドということからいいますと,教育政策等についても,ある教育政策が実施されたときに,それがやはりどういう効果を持つのかということを検証する必要があるだろうと考えております。これは例えば小規模学級の導入とか,今,実際に調査で効果を検証しようということをやっておりますが,具体的な政策が導入されたときに,本当にそれが教育的な効果を発揮するのかということについて,しっかりと確認していくことは大変重要だと思っております。
 簡単ですが以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 丸山委員,お願いできますか。

【丸山委員】
 義務教育の学校現場からという立場での話になります。虐待も含め子供の貧困問題というのは,教員にとっては非常に大きな問題であります。ただ,要保護,準要保護というように,いろいろな福祉的な援助は頂いていると感じます。しかし,それをつなぐ人が足りない状況です。学校だけではできない問題ですので,大きなマンパワーとしてSSWの方が,学校としては頼りになる存在です。まずこのSSWの方の養成というのを是非お願いしたいなと思います。被災地宮城県ですので,特に感じるのかもしれません。
 もう一つ,学力の面でも,それから子供たちの不登校の面でも,いい子をもちろんもっと伸ばしたい,それからドロップアウトしそうな子に手を掛けたいというのは学校現場の先生たちには非常にあると思います。そのための研修もしたいと思っています。国の施策には本当にいい施策や考え方があって,先ほど戸ヶ﨑委員がおっしゃったように,これを管理職として現場に伝えていく必要があると思いました。日本の先生たちは,勉強したいという意欲はすごく高いと思います。ですから研修の場が欲しいと思ったことと,研修に行くとき,それから多様な子供に応じるときに,マンパワーが,これは是非欲しいと思います。現場としてはマンパワーを増やすということでの教育環境を整えるというところで話し合いをしたいと思いました。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 菊川委員,その後,柘植委員。

【菊川委員】
 子供の貧困と学習指導要領に関連して2点申し上げます。子供の貧困と母子家庭等々の関連を指摘するデータがありますが,やはり2030年の大人というのは男女が共に働き,共に暮らしを支えるという暮らしぶりになっていることが,貧困リスクを軽減させるということになると思います。男女共同参画という言葉は,今女性の活躍支援ということの陰に少し隠れておりますけれども,学習指導要領の中で,男女共同参画というのが当たり前の生活であるということを子供達に伝えられないかということが1点です。
 それから家庭の格差が学力格差,体験格差になるということですが,体験格差の一部かもしれませんけれども,家庭の文化格差とか,行動様式生活文化,あるいは生活機能とか,そういうものの格差が一番大きくて,それを,適正でないものがある場合には,その負の連鎖を断ち切るという役割が,難しいけれども学校教育の中にあるのではなかろうかと思います。ですから例えば家庭科,あるいは総合的学習の時間,あるいは道徳等々の中で,そういう親の在り方も含めて,家庭の行動様式,生活様式を改善できるような力を,生活に視点を当てた学習指導要領というものを検討いただければと思っているところでございます。

【北山部会長】
 柘植委員,お願いします。

【柘植委員】
 ありがとうございます。筑波大学の柘植です。最初に発言したときに確認しまして,答申事項の二つ目,つまり14ページで言うと検討事項の3は後でということだったのですが,エビデンスの話が少し出始めたので発言します。

【北山部会長】
 後で,といいますか,その点については別の日に議論する予定です。

【柘植委員】
 別の日。それでは少しだけ発言します。

【北山部会長】
 おっしゃりたいことは,例えばエビデンス・ベースといったことについてだと思いますが,その各論についてはまた別の日に議論する予定です。

【柘植委員】
 よく分かりました。iPadの中のG7倉敷宣言,数日前に終わったもの,これ,29番,30番,31番,32番がエビデンス・ベースド・エデュケーション・ポリシーなのですね。こういう時代になったのだととてもうれしく思います。本日早めに着いたものですから,近くの喫茶店で論文を読んでいましたら,千葉大学のある医者の方なのでしょうか,十分な科学的な知見に基づかないで経験と勘と度胸で頑張ってきたことについて,それでは駄目ではないかといったようなことが書いてあって,正しくそのとおりなのですね。EBM,メディスンだとか薬学だとか,個々のヒューマンサービスというのは非常にエビデンスに基づいているという歴史があるのですけれども,残念ながら日本は,ポリシーについては少し遅れてしまっているというのを私は,感じます。以前に兵庫教育大学の学長と,それから,政策研究所の研究成果部長だった葉養先生と3人で,イギリスで出されたエビデンス・ベースド・エデュケーション・ポリシー,正にそのものの本を訳したのですね。そうするとアメリカとか英国とか,なぜそうするのか,どういう方法でするのか,課題が何かということがうまくまとめられているのですね。ですから3期,この基本計画をまとめるということになれば,今皆さんがいろいろ発言された,非常に難しい課題をたくさん抱えているので,「えいや」ではなくて,なぜそうするのか,そうするとどういう効果があるのか,どれぐらいの予算でいけるのかということをやはり吟味しながら,評価しながら進めていくというのが大事かなと思います。
 内閣府の障害者政策委員会の委員をしているのですが,最近,国連に日本政府の報告書を提出しました。それを議論したのですが,国連の権利条約の31条に,統計及び資料の収集という項目があります。大体条約は定義だとか内容が並んでくるのですが,最後の方に,31条に統計及び資料の収集というのがあります。つまりこの条約を実効的なものにするために政策を立案して,及びこの実施することを可能にするための必要な情報,つまり統計資料だとか研究資料を頑張って収集して,分かりやすく整理して,そして一般国民や障害者のためにも利用しやすいように提供するということが明記されているものですから,それを踏まえて今回報告書をまとめる努力をしたということです。ですから諮問の二つ目,また次回,深く議論するということですが,とても大事なものが諮問の事項に入っているのだなという認識を持っております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 永田委員。

【永田委員】
 皆さんの御意見を伺って,もちろん全部大切なのですが,一言だけ言っておかないと,キーワードが残らないと思うので発言します。就学前の話,家庭教育の話の対局ですが,一言も出なかったのですが,研究力を上げないと大学院教育なんてナンセンスだという意見はどこからも出てきていません。それこそが,最後の指標の方でも問題になっていて,本当にオリジナリティーのある研究ができない限り高等教育の意味というのはないわけです。その観点で,本当に日本は研究力を支えているかどうか。それが高等教育にフィードバックしているかどうか。どうしても初等中等教育に関する意見が多かったので,キーワードを残すためだけに今言わせていただきました。

【北山部会長】
 重要な点だと思います。
 それでは,山脇委員,お願いします。

【山脇委員】
 意見ではないのですが,私,先ほど足立区長の近藤委員のお話がかなり衝撃的でした。それで是非,先ほどの研究の内容を私たちに参考として配っていただくことはできないでしょうかというお願いでございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 そろそろ時間ですが,本日は,幼児教育から生涯教育まで幅広い範囲での問題点についていろいろと御指摘,御意見をいただきました。もし追加で御意見等がございましたら,文部科学省の事務局に御提出いただければと思います。
 また,先ほど出ておりましたエビデンス・ベースといった点については,14ページに記載がありますとおり,教育投資の効果や必要性を社会に対して示すための方策についての検討の一環として今後,議論していくということになります。
そして,ロジックツリーについては,第2期の成果指標が論理的に妥当であったかどうかを検証するものですので,是非お時間のあるときに見ておいていただければと思います。
 それでは,本日の議論はここまでとさせていただきます。この第3期計画については,今月30日に予定しております中央教育審議会総会において,委員の皆さんから意見を頂く予定であるほか,各分科会にも状況を報告します。引き続き各分科会等で出た御意見も踏まえながら分科会等とも連携しながら検討を進めていきたいと思っておりますので,引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは,次回以降,来月以降の日程について事務局からお願いいたします。

【井上文部科学戦略官】
 恐れ入ります。最後,当面の日程でございますが,資料4にございますように,次回は6月30日の午前中,第6回は7月25日月曜日の午前中ということで,一番委員の先生方が御出席いただくことが可能なところを設定させていただきましたが,もし御欠席の場合でも御意見を御提出していただけましたら配付をさせていただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございました。
 それでは,これで計画部会を終わります。本日はお足元の悪い中,お集まりいただきましてありがとうございました。

―了―

お問合せ先

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-- 登録:平成29年03月 --