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教育振興基本計画部会(第8期~)(第3回) 議事録

1.日時

平成28年3月29日(火曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省 3F1 特別会議室(東館3階)

3.議題

  1. 現行計画の現状と課題
  2. 平成27年度「教育改革の総合的推進に関する調査研究~第2期教育振興基本計画の分析に係る調査研究~」報告
  3. その他

4.出席者

委員

 北山部会長,小川副部会長,河田副部会長,明石委員,菊川委員,田邉委員,永田委員,無藤委員

文部科学省

 土屋事務次官,藤原官房長,有松生涯学習政策局長,小松初等中等教育局長,常盤高等教育局長,髙橋スポーツ庁次長,岩本生涯学習総括官,里見生涯学習政策局政策課長,井上文部科学戦略官他

5.議事録

【北山部会長】
 定刻でございますので,第3回教育振興基本計画部会を開催いたします。お忙しい中お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 本日の議題は,御案内のとおり2点でございます。まず議題1として,各分科会等での第2期教育振興基本計画のフォローアップ状況について,各分科会長の方などから御報告いただいた上で意見交換を行いたいと思います。議題2としましては,平成27年度「教育改革の総合的推進に関する調査研究~第2期教育振興基本計画の分析に係る調査研究~」について事務局から御報告いただいた上で,質疑の時間を設けたいと思います。
 それでは早速,最初の議題,現行計画の現状と課題に入りたいと思います。第1回の部会で私から,各分科会等でも第2期教育振興基本計画のフォローアップを実施するようお願いしました。それを踏まえて,各分科会において,第2期計画の八つの成果目標に沿って検討いただいたと伺っております。各成果目標と分科会等での審議事項の一覧については,資料1-1を御参照いただければと思います。
 それでは,それぞれの各分科会長から現状と課題について御報告を頂きたいと思います。分科会ごとに意見交換の時間をとり,全ての報告が終了した後で,また時間があれば,全体を通しての意見交換の時間を設けるようにしたいと思います。
 それでは早速でございますが,生涯学習分科会についてお願いしたいと思います。

【明石委員】
 分科会長の明石でございます。生涯学習分科会では,生涯学習分科会と関係の深い成果目標3,4,8の三つの成果目標について,第80回及び81回の2回にわたってフォローアップを行いました。その結果を,現状と課題をまとめましたので,御報告いたします。
 配付資料の1-2を御覧ください。成果目標3は「生涯を通じた自立・協働・創造に向けた力の修得」でございますけれども,この目標を達成するために現代的・社会的課題に対応した質の高い学習機会を充実するとともに,その学習成果が評価されて,広く社会で活用されるようにすることが求められております。
 世論調査では現代的・社会的課題に対応した学習を行った人の割合は,全体的な傾向としては増加しているものの,平成27年度調査の結果は,前回の24年と比較して減少しております。今後,地域課題の解決に資する講座が更に提供されることが必要であると考えております。
 加えて,青少年の健全育成に必要な自然体験活動や読書活動が,やはり依然として十分でないため,今後,地域のNPOや社会教育団体,幅広い関連機関,多様な人材による連携を進めるとともに,企業等の取組を推進するなど,更なる取組が必要だと考えております。
 そこで,学習成果を評価し社会的に通用させるための方策は不十分であることから,分科会の下に学習成果活用部会を設け,現在審議しているところでございます。
 次に,成果目標4です。「社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成等」でございまして,この目標達成のためにキャリアアップや再就職などの再チャレンジを目指す社会人の学び直しをはじめ,多様なニーズに対応した教育の機会を充実するなど,大学・専門学校等の生涯を通じた学びの場としての機能を強化することが求められております。
 これまでも社会人や企業等のニーズに応じた実践的・専門的なプログラム等を充実させるため,教育機関と産業界等が連携したプログラムを開発・実証などの様々な取組が行われてきております。
 さらに付け加えますと,中央教育審議会でも実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に向けた検討を現在,行っています。加えて,経済的支援のため,奨学金制度の弾力的な運用や教育訓練給付金の拡充等も行われているところでございます。
 一方,社会人の学び直しについては,成果目標の一つに社会人入学の倍増という高い目標を掲げておりましたが,平成24年度の比較では,どちらもほぼ横ばいにとどまっています。今後こうした制度の充実を図りつつも,成果指標の在り方も含め,不断の見直しを行っていくことが重要であると考えております。
 3番目の成果目標8でございます。「互助・共助による活力あるコミュニティの形成」という目標でございますが,これを達成するためには学校や社会教育施設をコミュニティの中核として位置付け,多様なネットワークや協働体制を確立することが必要でございます。また社会教育の自主性を尊重しつつも,親子の育ちを応援する学習機会の充実など,家庭教育支援の強化が求められております。
 学校・家庭・地域の連携・協働については,「学校支援地域本部」や「放課後子供教室」の実施率は上昇し,一定の成果を上げております。一方で,地域から学校への一方的な活動内容にとどまるなどの課題があることから,分科会の下に学校地域協働部会を設け,初等中等教育と連携して,昨年12月末に答申をまとめました。この中では地域と学校は連携・協働し,地域全体で子供たちの成長を支え,地域を創生する活動を「地域学校協働活動」として全国的に推進し,これまでの取組を発展させることが必要だと提言し,文部科学省においても馳プランという形で今後の道筋を示したものと承知しております。
 また,家庭教育支援については,保護者への学習機会の充実や「早寝早起き朝ごはん」国民運動に取り組み,家庭教育支援チームの数も増加しておりますが,基本計画の目標達成に向けて,家庭教育支援の取組の一層の充実が求められております。一方で,困難な課題を抱え孤立しがちな家庭への支援が課題となっており,福祉関係機関などとネットワークを構築して対応することが一層求められております。
 以上が生涯学習分科会関係の現状と課題となります。

【北山部会長】
 ありがとうございました。それでは,ここで少し時間をとりまして,意見交換の時間を設けたいと思います。どなたでも結構です。菊川委員,どうぞ。

【菊川委員】
 失礼いたします。
 今,明石分科会長がおっしゃったとことに,少し付け加えさせていただきます。まず昨年12月の地域学校協働答申ですが,これは,社会教育関係者にとっては長年の到達点だと理解しております。平成14年に学校5日制が始まりまして,その後の条件整備が施策的に積み上げられてきていたのですが,それをきちんとした形で整理をしていくという答申だったと思います。
 関連して,生涯学習の調査が行われておりますけれども,その中に,興味深い数字がありまして,「子供たちが地域の活動に参加することに意義がありますか」という問いに95.8パーセントの回答者が意義があると回答しており,非常に高い数値を示しております。それから,「学校を支援する活動にあなたは参加の意向がありますか」という問いに対して,できればも含めてですが,参加したいというのが55.9パーセントということで,これは,やはり日本ならではの文化を引き継いだ数字だと思っておりまして,昨年12月の学校地域協働答申が今後粛々と馳プラン等で施策化され進んでいくことを望みます。
 それから,今,学習成果活用部会で議論しておりますのは,大人の学習の質をどう上げていくかということであろうと思います。具体的には検定試験の信頼性の確保などが中心になっておりますけれども,これは大人の学習を今後どのように考えていくかということの足掛かり,最初の出発点と思っております。
 それに関連してですが,先ほども触れられました社会人の大学入学が伸びていないということです。これは,なぜ社会人の大学入学が伸びないかというと,教育内容が社会人の役に立つのかという問題が一つ。それから,時間のない社会人が大学に通えるのかという教育方法の問題があるかと思います。私は1年半前から放送大学に所属して,放送大学は,ネットやテレビ,ラジオで学べますので,教育方法の面ではクリアしているわけです。
 では,大人にとって大学の系統的な学習が有効だろうかという観点ですが,私が学生さんと接している限りでは有効だと思っております。皆さんは細切れの知識ではなくて,体系的な知識・技術を求めてあるとお見受けしております。
 ですから,この社会人の大学入学が伸びないことを生涯学習施策としてどう捉えるか,あるいは大人の学習の質の向上とかステップアップをどう捉えるか。人口比的には30代から80代ぐらいまでが学習可能年齢であって,量的には非常に多いわけです。そして,ここの年齢層の人たちを学びにステップアップすることができれば,日本社会の質の向上につながるのではなかろうかと思っておりまして,この辺が一つの検討課題かと思っております。
 なお,生涯学習という言葉と学び直しという言葉ですけれども,学び直しという言葉は恐らく,施策的に出てきている言葉かと思っておりますが,この辺りをどのように位置付けるのか。学術的には多分リカレント教育というのに一番近いと思いますが,リカレント教育というのが余り一般に流布されないのに対して,学び直しというのは人々の本音にヒットした言葉だと思っておりまして,それと生涯学習の位置関係というのを整理しなくていいのかと,小さなことかもしれませんが,そのように思っております。

【北山部会長】
 ありがとうございます。今,菊川委員がおっしゃった,親御さんたちの教育への関心については,本日の配付資料の中に,資料3-2として世論調査の結果があります。これについては後ほど説明があるのでしょうか。

【井上文部科学戦略官】
 今,関連したところだけ御説明させていただきたいと思います。資料3-1を御覧いただきまして,まず菊川委員が御説明された5ページ,6ページをお開きいただきたいと思います。
 この世論調査は,20歳以上の日本国籍を有する方3,000人に対して1,653人から有効回答があったものでございますが,今,菊川委員がおっしゃったように95.8パーセントの方が有意義だと思うと回答しています。
 また,地域の学校を支援する活動への参加の意向の調査結果は4ページにありまして,活動に参加したいという回答は男女合わせると具体的に55パーセントということで,男性,女性の比率が真ん中辺りに出ておりますが,これまでの参加の有無に関わらず今後参加したいということについての男性の比率が55.9パーセント,女性の方が54.2パーセントということで,若干でございますが,男性の方が多いというような結果が出ております。
 また社会人の学び直しについても,この調査で調べておりまして,12ページ以降にございます。その中で,学び直しやすくするための取組ということで,15ページを御覧いただければと思いますが,あなたは社会人が大学などの教育機関で学びやすくするためにはどのような取組が必要だと思いますかという複数回答可の質問の回答について,学費などの負担に対する経済的な支援,社会人向けのプログラムの拡充,土日祝日や夜間における授業の拡充,情報を得る機会の拡充,学び直しに対する理解を高めるための企業などへの働きかけなどが上位5項目として挙がっているところでございます。以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。そのほか,いかがでございましょうか。無藤委員,お願いします。

【無藤委員】
 小さいことなのですが,今の学び直しのところで,この文章は,これでいいと思うのですが,特にこの社会人のニーズに対応した教育の機会,あるいはキャリアアップやより専門性の高い資格を得ることなど,そのようなことを強調していってほしいなという気がします。
 私は代案がないのですが,学び直しという言葉は分かりやすいと思いますが,学び直しというと,素朴な感覚だと,大学に行けなかった人がもう一度学ぶみたいなところが,ややあると思います。今キャリアアップなどで広がっているのは,例えば4年制大学を卒業したけれども更に学んだり,資格を得たりすることなどだと思うのです。
 私は,特に幼稚園,保育園の養成に関わっておりますけれども,そこで例えば東京の専門学校などは,専門学校によっては半分ぐらいが社会人なのです。学歴はいろいろですけれども,高い学歴の方は,かなり有名な4年制大学を卒業した方が多いです。
 それから私のところなどは夜間の大学院もありますが,特に修士課程は現職者のためにということを目的にしております。毎年10人程度ですけれども,いろいろな方が入ってきております。年齢的には20代から60代までいろいろなのですが,ほとんどの人は自分の仕事のためにやったスタイルということです。
 そういう意味で,ニーズは広がってきているのではないかと思います。その場合の,先ほどこういうことがあると便利だよということがアンケート出ておりましたけれども,もう一つ加えてほしいことは,やはり場所の問題だと思うのです。
 私どもの大学,あるいはそれ以外の大学院,夜間やっているところは多いのですけが,夜間大学系をやりますと,やはり都市部でないと通えないわけです。私の大学は多摩地区にありますが,授業は夜9時半に終わります。最終バスは9時40分になるのですが,そのような中で,1時間半掛けて通う方もいますが,非常につらいわけです。
 ですから,もちろん都心にサテライトや分校を作ればいいだけのことですが,特に幼稚園,保育園関係を見ると,弱小大学が多いので,なかなか都心にサテライトあるいは分校を作るだけの資金力がないわけです。サテライトというのは単に教室一部屋借りればいいものではなくて,様々な要件を備えなければいけないので,やはり,その辺りに一つのネックがあるように思います。
 そういう意味で,私は,その辺りの規制緩和を含めて,今後検討した方がいいのではないかということを常々思っておりますので,小さなことですが,申し上げました。以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。永田委員。

【永田委員】
 今,無藤委員がおっしゃったことと似たようなことを言おうと思ったのですが,違う言い方をすると,社会人とひとくくりにしてしまうことで,戦略的に考えられていない気がします。社会人というのはものすごくヘテロなポピュレーションなので,既に大学院を出た方も,高等教育を受けた方も,中等教育で終わった方も,あるいは家庭に入っている方も,職場にいる方もいるのに,ここの書きぶりというのは戦略的には書けていなくて,単にフィロソフィーとして書かれています。
 ですから,こういう方々に対してはこういうことが必要だ,こういう方にはこう必要だという書きぶりが必要ではないでしょうか。この考え方が,やがて社会人のニーズに合わせた教育体制を作るとすれば,もう少し何か踏み込んだ,対象ごとのストラテジーというのが読めるようになるといいなと思います。
 もう1点気になるのは,地域という言葉はあちらこちらに出てきます。地域とグローバル社会がどういう接点で,どういう状況に今なっているかという観点でやらないと,地域再生にはならないと思います。日本が置かれている現状,あるいは地域が日本の中で,世界においてどういう現状で置かれているか。その範疇で子供たちや,それから社会人に対して,その地域というものの中で学ぶことを体系化する必要がある。
 要は,町おこしみたいだけになってはいけなくて,何をやっていても,今現在では,すぐ世界とつながっているわけですから,子供たちのときから,今やっていること,地域でこういう問題としてあることは,世界でこういう課題に直結していて,地域で直したことによって世界も直っていく,あるいは世界を直さないと地域が直らないこともあるかもしれませんということです。全体としてネットワークとか総合化というのは書かれているけれども,観点として,国際社会における日本ではなくて,国際社会におけるコミュニティは何だというふうに書かれている部分は,ほとんど見当たらないかなと思って読みました。

【北山部会長】
 ありがとうございます。では河田委員,お願いいたします。

【河田副部会長】
 男性の私が言うのも変ですけれども,今ちょうど「保育園落ちた,日本死ね」というブログが出て,国会でも取り上げていますから,ただ単に社会人だけでなくして,女性の問題ということも,この時点ですから,どこかに,入れておくことが必要なのではないでしょうか。私も三人の娘を持っていますが,それぞれのライフスタイルがあって,結婚すれば出産があるし,その後どのように技術の進歩あるいは社会の変化に対して対応していくのか。やはり,女性の学び直しということが非常に重要であろうし,まして一億総活躍時代と言っているわけですから,そういう女性の問題を入れる必要があると考えます。
 先ほどの3-1の資料14ページの「社会人の学び直しの実施状況」にも,男性(760人),女性(893人)と数字が出ているわけですから,何かそこをうまく取り入れて,女性がこういう形で学び直しをして,もう一度社会に出て活躍できるという,何かそういう女性の活躍を後押しする事項をここに入れていただいた方が,今の時期正にぴったりのことではないかと思います。
 もう一つ,資料1-3の3ページの一番下の社会人入学者数が横ばい,むしろ減っていることに関してです。やはり,これは企業だけでなくして,役所もそうでありますが,社会人入学をして資格を取得したり,あるいはスキルアップをされた後,それを評価し,そうした人材を雇用し,更に給与面でのアップを図ったりなど,そういうことがない限り,なかなか,この社会人入学者の数は増えないわけです。したがって,雇用者側が社会人入学者や資格習得者を優遇することが必要だということを,この文章のどこかで主張していただく必要があるのではないかと思います。以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。こちらの文章には,実践的な職業教育を行う新たな大学種の制度化について言及がありますが,これと同時並行的に,生涯学習分科会で,検定試験や資格の質保証について,一億総活躍とも関連する形で議論されていたと思います。そういった点については,この文章の中で言及されているのでしょうか。

【菊川委員】
 総論としてはあると思いますが,個別には,検定試験やICTを使ったプラットフォームの構築など,具体の施策の方が前面に出ています。
 ただ,先ほどの河田副部会長の御指摘に関連して申し上げますと,私は放送大学の学生さんと接するにつけ,やはり系統的な学習を積み重ねることで基礎的・基本的な能力がとても伸長しているというのを目の当たりに見せていただいております。ただし,そのことが社会的に評価をされ,お給料に生かすとか,そういうことには必ずしもなっていない。それは単に職業教育的な,技術的なことだけではなくて,一般教養の力を付けるということも,本当は職業教育としてはとても力を持つものだと思っていますけれども,やはり日本は学校歴社会ですから,18歳のところでの評価をそのまま,その後学んだとしても引きずってしまうということが,いまだに行われていると思います。
 だから,そういうところが今後,本当にそれでいいのだろうかと思います。もちろんお給与等々に生かせれば,それが一番いいのですが,社会的な認知度としても,大人も学べば伸びるといいますか,あるいは基礎的・基本的な力量をステップアップすることが大人でもできるというようなことを,何か常識にしていくといいのではないかと思っております。

【北山部会長】
 ありがとうございます。生涯学習分科会についての意見交換は,ここで一旦終わりとしまして,次は初等中等教育分科会について,小川委員からお願いしたいと思います。

【小川副部会長】
 それでは,初中分科会の関係の資料1-3ですけれども,それに即してポイントをピックアップして説明していきたいと思います。本資料においては,特に初中分科会と関係が深いと思われる成果目標1,5,6,7を中心にフォローアップを行ってあります。
 まず成果目標1についてですけれども,成果目標1は「生きる力」の着実な育成となっており,具体的には「確かな学力」。これは世界トップレベルの外国水準を目指す。「豊かな心」。豊かな情操や,他者と関わり,自らを律してともに生きる力などを持つ子供を育てる。そして「健やかな体」。生涯にわたってたくましく生きるために必要な健康,体力を養う。三つについて成果指標を設定しています。
 最初の「確かな学力」については,平成20年及び21年の学習指導要領を受けて,各教育委員会や学校において,学力向上に向けた真摯な取組が重ねられてきた成果の一端が,国内外の学力調査の結果にも表れていると考えられます。一方で,判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べることなど,主体的に判断し活動する力,また自己肯定感,社会参加の意識等に課題が見られる状況となっております。
 次に「豊かな心」については,新たな教材「私たちの道徳」の作成などによる道徳教育の充実。また,いじめ防止対策推進法及び基本方針に基づくいじめの未然防止や早期発見・早期対応のための取組が各教育委員会や学校において着実に進められているものと考えられます。
 ただし,いじめの認知件数に占めるいじめの解消の割合は横ばいであること,また不登校児童生徒の割合も増加傾向にあること,いじめの認知件数の都道府県間の差が大きい状況にある等々の課題があります。こうしたことを踏まえて,次期計画においては,各教育委員会の取組が具体的な成果として表れるよう,効果的な対応策を検討していくべきと考えられます。
 三つ目の「健やかな体」については,学校における体育をはじめとする指導の工夫・改善など,子供の体力向上のための取組が進められていますけれども,子供の体力が昭和60年代と比べて依然低い水準にあること,運動する子供と運動しない子供が二極化していることなどの課題があって,この点についても改善に向けた対応が必要であると考えられています。
 これらの目標達成のためには,各学校が個々の課題,状況に応じたきめ細やかな取組を進めていくことが大切ですけれども,そのためには教員の質,量両面での充実による質の高い教育を実現していくことが不可欠です。
 中央教育審議会としても昨年10月に教職員定数についての緊急提言を行ったところですけれども,学校現場が抱える課題が複雑化,多様化していく中で,現在の体制だけでは課題の解決に向けた十分な取組ができない状況にあるため,定数改善に向けて引き続き提言などを行っていく必要があると考えています。
 次に幼児教育や特別支援教育,外国人子弟等の教育については,時間の都合上,説明は割愛させていただきます。資料1-3の該当箇所をお目通しいただければと思います。
 次に5ページの成果目標5についてですけれども,成果目標5は社会全体の変化や新たな価値を主導・創造する人材等の育成となっており,新たな価値を創造する人材とグローバル人材の二つについて成果目標,成果指標を設定しています。
 新たな価値を創造する人材の育成については,科学の甲子園,国際科学技術コンテストなどの取組が行われており,難しいことでも失敗を恐れずに挑戦している児童生徒の割合は増加傾向になっている一方で,理科の勉強が楽しいと答える中学生及び高校生の割合が国際的に見ても低い傾向にあることなどの課題があります。
 次にグローバル人材については,国際共通語としての英語力の向上を成果目標として掲げていますけれども,現時点においては中学3年生,高校3年生のいずれも成果目標を下回る状況にあり,引き続き英語力の向上に取り組むことが求められています。
 また,第2期基本計画においては,英語力のみが成果目標として設定されていますけれども,本来グローバル人材とはどのような力が必要なのかという観点から,成果目標の設定についても再検討が必要ではないかと考えられます。
 次に6ページ中ほどからの成果目標6についてですけれども,成果目標6は,意欲ある全ての者への学習機会の確保となっており,幼稚園等の就園率の向上,また経済的理由による高校中退者数の減少などを成果指標としています。
 具体的な政策的なツールとしては,幼児教育,義務教育,高等学校の各段階における教育費負担軽減を進めており,実際に幼稚園などの就園率は微増し,高校中退者数も減少傾向にあるなど,一定の成果が表れてきていると思われます。また経済的理由によらない不登校や中退等の支援も引き続き行っていくことが必要であると考えられます。
 7ページの成果目標7についてですけれども,成果目標7は安全・安心な教育研究環境の確保となっており,初中分科会関係では学校施設の耐震化率などの成果目標,成果指標が掲げられているところです。
 この点については,公立学校施設の耐震化については,おおむね全校で完了する見込みでありますけれども,私立学校については,具体的な数値目標は設定されていないものの,平成27年度内に約87パーセントとなる見込みであり,一定の進捗が見られます。
 一方で老朽化の急速な進展が課題となっており,このため中長期的な視点での計画的な整備を行う必要があると考えられます。
 最後,8ページ,その他ですけれども,初中分科会の意見交換の中では,被災地の復興について,より一層取り組むべき点や,最終的な評価の段階では,各個別の成果目標についての評価は進められていますけれども,そうした成果目標間の関係ということも考慮に入れて評価すべきではないか等々の意見が分科会においても出されておりましたので,併せて報告しておきたいと思います。以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございました。それでは,この初等中等教育の分野についての意見交換の時間を設けたいと思います。どなたでもどうぞ。では,明石委員。

【明石委員】
 成果目標の5ですけれども,これは非常に大事な目標だと思っています。5ページですけれども,「社会を生き抜く力」とございます。それで,各分野を引っ張っていくリーダー,またグローバル社会で活躍する人はどうも学校教育で果たして育成ができるのか,ということを考えていきたいと思っているのです。
 教科学習等は基礎・基本の習得で大切です。特別活動はこのリーダー育成に適していると言われているのですが,どうも特別活動に対する関心が薄れて教科指導にいきかねないということが非常に心配です。時間数の問題から学校行事がものすごく削減されてきて,今回も小学校の英語で空き時間として朝読書のところを使いなさいなどと苦労されていますが,今一度,この初等中等教育局と生涯学習政策局がうまく連動して,決断ができるリーダーの育成を目指したいのです。判断できる人は多いのですが,決断できる方が少ないと言われています。特に日本人の特性として,なかなか決断できない。それをもう一度,初等中等教育局と生涯学習政策局の中でコラボレーションして,この成果目標5の達成に向かっていきたいと思うのです。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。では,田邉委員。

【田邉委員】
 ありがとうございます。田邉です。私からは,「健やかな体」,「今後10年間で子どもの体力が,体力水準の高かった60年代の水準を上回る」の点に関して意見を申し上げます。「生涯にわたってたくましく生きるために必要な健康や体力を養う」ということや,子供の体力の向上の面においては,運動をする子供としない子供の二極化の問題,また体力テストの合計点では近年少しずつ上がってきているが,昭和60年に比べると,まだまだ差があるというところです。小学校において様々なプログラムにおいて,研究がされて,それなりの成果は出てきているかとは思いますけれども,小学校の専科の体育教員がプログラムを授業でしっかりと組み立てて反映できる,そのような専科の教員の指導が必要であると感じます。今の子供たちの現状を考えれば体育の授業だけでは,体力向上は限界なのかなと思っております。放課後や,昼休みの時間をうまく使いながら,体を動かす機会を作っていかなくては伸びてこないのではないかということも考えております。 この二つから,まずアプローチしていくのが大切かと思っております。
 それから生涯にわたってたくましく生きるためにということを考えれば,少しでも長く体を動かす機会があるようなところもアプローチしていくのであれば,大学における体育実技の必修化,少しでも長く体育の授業があれば,その後卒業して社会人になってからも,自ら自分で体を動かして健康な生活をしていくというところにアプローチできるのではないかなと思っております。

【北山部会長】
 ありがとうございます。では,無藤委員。

【無藤委員】
 ただいまのお二人の意見とも関係するのですが,体育といいますか運動,スポーツの能力や,英語力,あるいは非常に広い科学技術に対する力,関心,その他ですけれども,学校教育でどこまでやれるかということと,地域の教育としてどうやっていくか。その組合せをもっと積極的に考えるのがいいのではないかと思うわけです。
 既に科学の甲子園その他で触れられておりますけれども,こういうものは確かに学校を通して参加しているとは思いますが,厳密に言えば学校教育の枠を超えているわけです。実際,今スポーツの世界も,小学校高学年ぐらいからサッカーとか野球その他,地域スポーツ,例えば,学校のクラブではない地域のクラブですが,そちらに完全に移っています。水泳もそうです。そのような意味で,高度なスポーツというものが学校教育,もちろん体育の時間だけではなくて部活動すらも超えたレベルに移っていると思うのですね。
 同じことで言えば,私は英語教育なども,例えば中学校は週4時間ですけれども,4時間プラス予習・復習加えても,十分高度なレベルに行くかというと,それは無理だと思うのです。一定程度は行くと思うので,例えば英検2級が無理な目標だと言っているわけではありませんけれども,本当に使えるレベルに中学,高校で伸ばしていくというときには,例えば留学の機会を用意するなど,自分でどんどん海外に行って勉強するといった努力が必要で,そのような機会をもっと設ける必要があり,国内でも例えば英語合宿のような機会を,有料でも,それを低廉な安い形にして機会を提供することなどがあり得ると思います。
 同様に言えば,科学技術,あるいは数学やコンピュータ,プログラミング等も,小学校高学年,場合によっては中学生ぐらいで才能を発揮する子供たちは,かなり多いわけです。今,特にプログラミングについてはネットで様々なコンテストが開かれるようになりましたけれども,そのような機会を増やしていくことが必要だと思うのです。
 ただ,例えば上野の科学博物館の教室があるのですが,小学生の参加は非常に多いのですが,中学生・高校生になると激減するわけです。これは,やはり,そのぐらいなら受験勉強しなさいということだろうと思うのですが,その辺りを変えていくためには,大学入試の在り方,例えば推薦入試の中で,地域等で勉強している成果を認めていくなど,いろいろな形での省令が必要だと思うのです。
 例えば,1学年100万人いるとしたら,恐らく2割ぐらいのかなり才能がある子供たちというものを学校教育の枠のカリキュラムの中で伸ばすのは,それは非常に無理があると思うのです。そのような子供たちについては,私は,地域の特別なプログラムにむしろ乗せるということをすれば,子供によっては中学3年生や高校1年生で大学生レベルに十分行くわけなのです。
 例えば典型的なのは数学だと思いますが,多くの数学者の伝記やインタビューなどを見ると,その才能が出てきたのは大体小学校高学年,遅い人で中学生です。そういうレベルで,既に大学のレベルの数学を自分でやっている子供たちは,非常に多いといいますか,いるわけです。そういう人たちが数学科に行くわけですけれども,そういう人たちを指導したり,互いに切磋琢磨したりする場はないわけです。
 数学の能力は,例えば将棋,チェスなどの能力は相関しておりますので,将棋などは,ほぼ小学校から中学ぐらいで入らないと,もう無理なわけです。そういう意味で,英才教育と言うと語弊があるかもしれませんけれども,いろいろな興味を持つ子供たちを伸ばしていく。
 それは,別に頭のいい子だけを伸ばすと言っているわけではなく,例えば漫画が好きな子は漫画スクールがあっていいわけで,それを学校教育でやりなさいというのはおかしな話です。絵が好きな子は美術の地域のサークルに行った方がいいわけです。それを学校の美術の時間や,部活動の美術部だけでやろうというのは,やはり私は無理だと思います。
 そういうやり方だったら,日本にピカソというのは生まれっこないわけで,ピカソは既に12歳で才能を発揮したのですから,というようなことを思って加えます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。では永田委員。

【永田委員】
 明石委員も,それから無藤委員も同じことをおっしゃっていて,また同じことを言いたいのですが,要するに,正規分布をずらしたいのか,正規分布の形をどこか一部変えたいのかとでは全然違うと思います。ここに書いてあるのは,何でも総花的に書いてあって,それはそれで結構だと思いますが,具体的にどうするのかがよく分からないです。底上げをするのか,それとも,ある一定基準までを初中教育でやるのだけれども,特別指導等で伸ばすものは伸ばす。そうではなく,どんどん詰め込んで,やらなければいけないことだけが増えていくという作りもある。それがアウトカムとして出てくるときに能力というものの全体がシフトをするのか,それとも,ただ単純に平板化していくのかというのは,計画なわけですから,計画として立てるとしたら,もう少し明確にしておくことが必要ではないかと思います。
 それから,学力,豊かな心,体,大変結構だと思います。いわゆる心技体と同じです。しかし,学力のところが技にならないように。心技体の心はいいです。体もいいのですが,学力と書いてあるところが,技術を培うようにならないような教育にならないといけないだろうと思います。
 最後に,最後の方に少しだけ書いてありますが,外国人の学生,子供たちの就学が増えました,大変結構だと思います。では教育する側はどうなっているのか,教員はどうなっているのという問題についてはどうなのでしょうか。その辺りも,是非とも将来の人口構造に鑑みて,早めに考えるべきことだと思います。

【北山部会長】
 では菊川委員。

【菊川委員】
 これまでの議論と,少し逆の議論なのですが児童虐待がデータ的に増えていますね。それから陰惨な事件が増えているように思います。昔聞かなかったような,えっ,こういうことをするのというような犯罪が増えているように思います。
 こういうことは恐らく,いろいろな成育歴の問題もあると思いますが学校というのは,やはり社会の守役だと思うのです。福祉関係の人と話すと,「やはり学校よ」と言います。それは全ての子供たちに一定の時間,面として接せられる場が学校だということです。
 人間が育つのに温かさと厳しさと両方が要ると思います。それを言葉だけではなくて,気持ちとしても体得して育つということが大事だと思いますが,そういうことに対して,例えば絶対してはいけないことはいけない,あるいは人に対する温かさなど,そういうものを「豊かな心」,道徳教育や特別活動等の中で育んでいく役割は,やはり学校だと思いますので,犯罪者を作らないというか,そういうことをどこかで意識しておかないといけないのではないかと思っております。

【河田副部会長】
 この3ページの下の丸のところで,教員の資質向上,あるいは教員が非常に忙しい,多忙化とか,学校教育の課題の多様化とか,教員の社会的評価の低下といった問題点が列挙されています。私,学長していたときに非常に強く感じたのは,JETプログラムという「語学指導を行う外国青年の招致事業」があり,地方だけでなくして,英語の教員として非常に多くの若い外国人が来日し,中学や高校で教えておられます。それが非常に生徒諸君にとっては大きな影響力を持っていて,年齢も近いし,彼らの影響を受けて英語がやりたい,海外に留学したいという希望を持つ大学生諸君が非常に多かったです。
 ですから,今回の場合,「豊かな心」という中に他者への思いやりとか,そういう異文化を理解するとかいうのがあるので,JETプログラムで一体何人の方々が来日しておられるのか私には分かりません。しかし,是非このJETプログラムのようなものを初等教育あるいは中等教育でも利用する必要があるのではないか。何も英語だけでなくして韓国語でもいいですし,中国語でもいいですし,それから地域によってはブラジルからの方とか,南米からの方も多いですから,そういうスペイン語や,ポルトガル語を話す人を招く。もし,そういうことが可能であるならば,逆に日本に教師として来た若い世代の男女は,それぞれの台湾でも,中国でも,韓国でも,どこでもいいですけれども,皆それぞれ日本を好きになって母国に帰ってくれる。ということは,逆に言えば親日家をより多く作るわけですから,何かそういうJETプログラムの初等中等教育への活用をどこかで考えられないかなと,この間から,ずっと考えています。以上です。

【北山部会長】
 いろいろと御意見をいただきましてありがとうございました。
 いわゆる非認知能力について,就学前の教育やしつけが大人になってから大きく影響するというアメリカの研究があったと記憶しています。日本でも江戸時代の寺子屋で,徳の教育として,同じ文章を繰り返し,繰り返し,書き写したことが,大人になってからの人格に良い影響を与えたと言われます。したがって,規範徳といったものを,どういった形で学習していくかというのは,確かに教育全体,特に初等教育における重要なテーマかと思います。
 それでは次に大学分科会について,永田委員,お願いいたします。

【永田委員】
 大学分科会から御報告申し上げます。成果目標の2,4,5,6,7,8が関係あるであろうと思います。また,その部分について各委員から活発な御意見を頂いております。
 それでは,一つずつ申し上げておきます。成果目標2,課題探求能力の修得について,一番問題になっているのは,アクティブ・ラーニング等の授業形式そのものを変えて,あるいは拡充して,学生に主体的な学修をやらせようということについては,一定の進展は見られますが,まだ劇的な改善が見られたものではないと認識をしています。
 その理由としては,やはり授業形態がまだ完全に卒業時の出口を意識したもの,あるいは,そういうアクティブ・ラーニングにフィットしたものになっていない部分があるということ,それから学修時間・学修密度そのものが本当に質という意味で向上しているかという問題です。
 そのために今現在必要だと思われることは,大きく分けて二つです。一つは大学がそれぞれ学位授与の方針,カリキュラム編成の方針,そのために入学者としてどういう人を受け入れるかという方針,いわゆる三つのポリシーですが,これらの策定に向けた準備が行われていくということがあります。それから教員側に関して,また職員に対してファカルティ・ディベロップメント及びスタッフ・ディベロップメントの実施をしていこうということです。特に,このスタッフ・ディベロップメントに関しては,今年度ぎりぎりまでの間に省令に盛り込まれるということです。
 また,三つのポリシーについては,よく御存じのとおり,高大接続システム改革会議で議論されているとおり,先ほどから出ている初等中等教育と高等教育の接続,特に入試という問題,それから大学側の教育の在り方があります。その中で三つのポリシーを正確に述べようという努力は多分実るであろうと思います。また,それがもって中等教育,特に高校の教育に影響を与えていくであろうというコンテクストで今,議論が進んでいて,ほぼ取りまとめされるところかと思います。
 認証評価,これは大学の質保証の一つですが,これについても,より活動を可視化できるようにということで,省令に盛り込まれる予定となっています。
 学長のリーダーシップに関しては,あるいはそのガバナンス体制の強化については,昨年の4月1日から施行された法律等にのっとって,今着々と進んでいるという認識です。
 次に成果目標4ですが,社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成についてということです。その中で非常に重要な観点の一つは,インターンシップをどういうふうに位置付けて,またどういうふうに推進していくかということです。これについては,かなり大学側の努力もありますし,企業側の努力もあって,一定の進展を見せているということですが,もちろん十分とは言えません。
 それから産業,地域のニーズを踏まえた高等専門学校の改革については,これは一定の進展が見られたと判断をしています。
 先ほども少し話になりました,ニーズが多いにもかかわらず社会人の大学での学びが著しく増える傾向にはないという問題について,一つは去年7月に職業実践力育成プログラム,BPというのが創設され,それから現在,特別部会の方で実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化という問題を今進めていて,特に後者については年央までに,およそ取りまとめられるという予定でいます。
 次に,成果目標5は,社会全体の変化や新たな価値を主導・創造する人材等の養成についてということですが,高等教育における問題点です。
 現実として顕著な例は,博士課程の教育リーディングプログラムを展開しているところでして,これは限られた大学になりますし,33大学62プログラムという割と限られた数になっていると思いますが,この点,今後どうするかという問題はありますけれども,このプログラムで学ぶ学生も着実に増えていますし,中間評価等でいろいろと前向きな評価が行われていると認識をしています。
 さらに,こういったものを加速するというポイントで,非常に重要な御意見として出てきたものの中では,やはり研究層を厚くしていく必要があり,それで母数が増えることによって全体の大学の研究力強化につながるであろうという意見がありました。
 そのためではありませんけれども,それを実践する一つとして卓越大学院構想というものが,今現在準備がされている。それから,卓越研究員制度による人材育成というのも進めようとされている。更に,科学研究費事業の,科研費ですが,改革強化を図っているということです。
 それにも増して,もちろん当然のことながら,昨年度,国立大学における運営費交付金の一応それなりの確保,それから科研費の確保ということもありましたが,この部分については,なお一層,今後充実させていく必要があるだろうと考えています。
 また留学生については,2020年までに,これの計画の当時の倍増という施策がありますけれども,それについても今後推進していく必要があるという認識です。
 次に成果目標6です。意欲ある全ての者への学習機会の確保ということで,これも欧米との比較等で,日本の奨学金制度がまだ十分充実していないというような御意見もあります。広く大きな進展としては現在,所得連動返還型の奨学金制度を新たに構築するという目的で,有識者会議で取りまとめが行われています。概算要求等にこれがこれから出ていこうとしているということで,大変好ましい成果につながりつつあると考えています。
 成果目標7については,耐震化,要するに地震に対する対策が進んでいるということに限られておりまして,大型の補正予算がなかった点を鑑みると,まだまだ安全・安心な施設等の確保は重要なポイントかと思います。
 成果8,互助・共助による活力あるコミュニティの形成という問題ですけれども,これについては,先ほどの初等中等教育でもそうでしたが,地域と教育組織との連携が非常に重要です。それはどのレベルでもそうであるという認識に立っていますし,今後は地域の拠点大学による地方創生事業,COC+等を,ますます拡充できるかどうかは別として,引き続き進めていく必要があるであろうという認識でいます。
 以上,簡単にですが,大学分科会での議論について,御報告をいたします。

【北山部会長】
 ありがとうございました。それでは,ここでまた時間をとって,大学分科会関係についての意見交換をしたいと思います。いかがでございましょうか。では,明石委員。

【明石委員】
 前の下村文科大臣がおっしゃっていましたね。日本の高等専門学校の教育システムは世界に自慢できるのだ。できたら南西アジア辺りに,教育システムを持っていきたい,輸出したい。従来の日本の場合は,初等教育はしっかりしていて高等教育は手薄だと言われたのですけれども,今一度,日本の高等教育を世界に教育システムとして輸出できるという視点で考えるときに,高等専門学校以外に何があるかなとか,何かそういう視点で,もう一度,日本の高等教育の良さを見直してくれるとうれしく思います。
 例えば個人的には,家庭教育,学校教育で「時間を守る」とか,「努力する」とか,「正直だ」とか,「清潔」というメンタリティーがありますね。これ非常に日本人が誇れることだと思います。また,「貯金をする」とか「掃除をする」とかも,やはり私は世界に輸出できると思っているのです。そうすると,次にそれを踏まえた上で,学校システムをどういう形で世界に輸出できるかという視点も,特に高等教育の辺りで考えてくれるとうれしいかなと思っております。
 以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。では,河田副部会長。

【河田副部会長】
 これは全く,この永田委員の御発言と関係ないことですけれども,資料1-4の10ページの授業料減免ということで,無利子の奨学金を増員し,奨学金の「有利子から無利子へ」の流れを加速する,とあります。昨日,ある会があって,日本学生支援機構の遠藤理事長が来ておられたので申したのですが,我々の時代は,私も学部学生のときと,更に大学院のときに,日本育英会から奨学金をもらいました。当時は,研究職あるいは教員になった者は,奨学金を返すことを免除されていました。いつからその制度がなくなったのか,私は知りません。しかし今,無利子にすることも必要でしょうが,よくできる学生,あるいは研究職に就いた学生については,奨学金の返還を免除するという制度を復活しない限り駄目なのではないかなと考えます。これは個人的な見解かもしれません。しかし,そういうふうに思っている研究職や教職員の方々は非常にたくさんおられると思うので,もちろん財政的に大変かもしれませんが,お考えいただければいかがかなと思います。
 高等教育局長,いかがでしょうか。

【常盤高等教育局長】
 まず,教育職とか研究職について従来免除制度ありましたけれども,これは行財政改革の中で,そういう枠組み自体がなくなってしまったのですが,ただ,現在でも大学院については,成績優秀者について一部免除する,そういう仕組みがあるということは一つあります。
 それから,先ほど永田委員からもお話ありましたけれども,より返還のときの負担が少なくなるように,現在,所得連動返還型の仕組みについて検討しています。どうしても大学を修了して若いうちは年収も低い状況ですので,今の段階での検討会議の報告ですと,従来,典型的なモデルケースで言うと,例えば月額1万4,400円を毎月返すというところが,そこの部分について一律に1万4,400円ではなくて,年収が低いときには,例えば2,000円ぐらいからスタートして,それで徐々に上がっていくということで,返還の負担を軽減するような仕組みを一つ作っているというのはあります。
 それからもう一つ,もっと本質的なところで申し上げますと,博士課程も含めて,大学院に進学する人の数が,むしろ,本来伸ばしていきたいところが減少しているという状況があり,特に博士課程の学費や生活費の支給について,しっかりとした措置がとれるようにすべきという御意見が,大学院部会で出ているので,それをどうやって具体化していくのかというところを関係大学の御意向なども聞きながら詰めていこうと考えているところでございます。

【永田委員】
 失礼します,明石委員の質問ですが,文部科学省が答えてくれたらいいのですが,平成28年は高等専門学校とか大学から教育を支援する,教育制度を輸出する,その国別ニーズの調査という費用が通っているはずです。残念ながら半分以下になってしまいましたが,通ってはいます。6,400万円だったかと思います。

【常盤高等教育局長】
 高等専門学校の海外輸出については,予算は要求したものよりは縮んでいるかもしれませんけれども,28年度には高等専門学校機構の中に,いろいろな国からのニーズもありますので,そういうものを受け止めて,具体的にどう進めていくかということをしっかりと進められるような体制整備を,高等専門学校機構の中に設けるという予算が組み込まれています。
 そして,その中で特に今,具体化ができそうなのは,モンゴルとかベトナムについては,例えばモンゴルの教育文化担当の大臣は,日本の高専教育を実際に受けられた経歴のある方が現在,大臣になっているということもあって,とても熱心に交流を希望されているところでありますので,そういう要請に応えて,まずは具体例をしっかりと充実をしていくということで進めていきたいということを今取り組んでおります。

【北山部会長】
 ASEANの中の新興国と言われるような国々の方と話していると,ボケーショナルスクールの在り方,特に,その再構築を重要なテーマとして捉えている国が幾つかあります。

【井上文部科学戦略官】
 今,明石委員からございました中で,日本型教育の海外展開につきましては,大臣官房国際課で今年度,新規で6,300万円の予算をとりまして,経済界の方々と関係省庁・法人で官民協働のプラットフォームを作りまして,教育のカリキュラムや研修制度の輸出を検討しているところでございます。

【北山部会長】
 では次に,スポーツに関する取組について,事務局から御報告いただきます。

【高橋スポーツ庁次長】
 スポーツ庁でございます。資料1-5になります。既に先ほど初等中等教育分科会の報告の中でも触れていただきましたけれども,子供の体力向上について教育振興基本計画では成果目標の1に「健やかな体」を育むために今後10年間で,昭和60年頃の水準を上回ることを目指すといったことが掲げられております。
 実は,この教育振興基本計画と1年ずれているのですが,平成24年から28年,1年先行する形で,スポーツ基本計画というものも定められておりまして,スポーツ基本計画においても,子供の体力向上については,ほぼ同様の成果目標が掲げられております。
 その現在の状況でございます。これも先ほど少し触れていただきましたけれども,昭和39年以降,体力・運動能力調査を実施しておりますが,少しテストの変更がありましたので,新テストになってからの傾向を見ますと,合計点の推移,トータルでは,ほとんどの年代で緩やかな向上傾向となっております。平成26年度は多くの年代で過去最高を記録しております。
 このうち基礎的な運動能力を見ますと,男子では握力,ソフトボール投げについて,やはり,まだ低下傾向を示していて,それ以外の持久走,立ち幅跳び,上体起こし,50メートル走,多くの種目では,近年は横ばい又は向上傾向が見られると,こういった状況でございます。
 ただ,成果目標になっている昭和60年頃との比較はどうかということになりますと,これは握力や走る,跳ぶ,投げるといった能力に係る項目,依然低い水準となっておりまして,成果目標に対する達成は,まだまだ道半ばといったような状況でございます。
 それからもう一つ,この運動する子供としない子供の二極化というのが見られてきております。1週間の総運動時間を見ますと,中学校では,やはり,だんだん二極化の傾向が見てとられまして,特に中学校の女子の場合,最新の調査では,1週間の総運動時間が1時間に満たないという子供がおよそ2割いると,こういった状況になってきております。
 これらについて,現在スポーツ庁,文部科学省の取組でございますが,3点ここで例示しております。一つは幼児期の運動促進を図るために,24年3月に幼児期運動指針を策定しております。それを踏まえまして幼児期,幼稚園の園児等を対象に,多様な動きが経験できるような実践研究を行って,その参考資料を現在,全国の幼稚園・保育所に配布をしております。
 それから,これは28年,来年度からの新規事業になりますが,「子供の体力向上課題対策プロジェクト」といたしまして,特に先ほども申し上げましたボール投げ・握力など低下傾向に歯止めがかからない種目に特化した課題対策のプログラムの開発,こういったものを新年度行うことを予定しております。
 それから現在,指導要領の改訂作業が進んでおります。これは専門のワーキンググループで今検討を行っていただいておりますけれども,その中では,一つは学習したことを実生活や実社会で生かして,運動の習慣化につなげること。こういった視点を今一つ取り入れるという議論をしていただいております。
 それから,2020年東京オリ・パラ大会を契機として,各学校段階で運動,スポーツへの関心を高める。そしてスポーツを「する,みる,支える」といった多様なスポーツの関わり方を楽しめるようにすること,こういった視点も次の指導要領改訂に入れていただくことを今検討いただいております。
 そして,この課題につきましては,少し前後いたしますが,2ページ目の後段にありますように,第2回のスポーツ審議会でも少し時間をとって御議論いただきました。先ほど田邉委員からも御指摘がありましたように,これからは,もっと専門スタッフ,特に小学校で体育の専門スタッフを充実して,体育の授業時間以外でも様々な運動に取り組むことを考えるべきではないか,あるいは大学の体育を必修化することを考えてはどうか,それから,もっともっとスポーツ,運動する喜びやスポーツの楽しさといったものを教えることが必要ではないか。また一方で,二極化が進む中で,運動しない子供たちも潜在的にはもっと運動したい,スポーツを楽しみたいという思いを持っているが,それがなかなか実践に結び付いていかない。そういった課題に対する対応が必要でないか等々の御意見も頂いております。
 現在,1年先行しておりますので,スポーツ基本計画は来年の3月までに改訂を行って,来年の4月からは新計画ということになっております。その中で,こういった課題を踏まえながら,新しい計画にどういったことを盛り込んでいくか,子供の体力向上につきましても検討がなされる予定でございますので,そういった議論を,こちらの教育振興基本計画の検討にも是非,連携し反映させていただければと考えております。以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。スポーツ審議会の委員でもある田邉委員,何か補足される点ございますか。

【田邉委員】
 そうですね。主には,もちろんスポーツの楽しさをどのように伝えるかというところで,2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機に,全ての人やどの年代においても,スポーツをするとか,見るとか,支えるとかという視点で関わりを持てることが大切ではないかということ。先ほども説明があったように,子供の体力というところでは,どこに課題があるのかそれを解決し効果的に行うことで成果が上がり子供の体力が伸びてくる。
 特に小学生のこの年代に対しては,体力がただ体力だけの問題ではないという点です。体を動かしできないことができるようになることの上達が,子供のメンタル面で大きく影響しており,心と体の深い関わりがあると感じます。体育が体と精神的な深い関わりの中で発育,発達を促してくれる一つになるのではないかと考えます。以上です。

【北山部会長】
 ありがとうございます。
 それでは,またここで少し時間をとりますので,全体を通じての御意見を賜れればと思います。どなたからでも,どうぞ。
 では菊川委員。

【菊川委員】
 私,1期の教育基本計画のときにも関わっていましたが,1期と2期の違いですが,1期のときには初等中等教育行政と高等教育行政が切れていたのですね。そして初等中等教育行政の方が,どちらかというと土台としての,ベースとしての能力の育成,高等教育の方が,よりリーダーとしての育成みたいな構成だったように記憶しております。2期の場合は,そこを初等中等教育から生涯学習まで,系列で,筋を通したということが特徴だと思っておりまして,その中でベースとしての人間の育成プラス,リーダーとしての人間の育成という構成に柱立てがなっているように思います。
 この方向性は,有効なのではないかと思っておりまして,3期でも踏襲して進めていってよいのではないかと思っております。
 そして,その中で,エビデンスベースで具体の効果が見込まれるものを取り上げていくということが大事ではなかろうかと思っておりますし,最初言いましたように,高齢者も含めて大人の学習能力をどう育てるかというところも入れていただければと思っております。

【北山部会長】
 ありがとうございます。明石委員。

【明石委員】
 前回も言ったかもしれませんが,やはり数値目標をはっきりしてほしいと思います。例えば,先ほど高橋スポーツ次長からありましたが,体力の不足というのは,東京都が全国平均で一番低いのですね。それで,3年ほど前ですか,教育委員会が危機意識を持ちまして,1日に1万5,000歩歩きましょうというガイドラインを掲げるのです。それで達成できなくて,2年目は,小学校のレベルでは1日に60分以上の休み時間を保障しましょう。しかし,まだ達成できない。
 お願いしたいのは,文部科学省の場合も,例えば体育の場合でも,スポーツの場合もそうですが,ある数値目標を掲げて,なぜ達成できなかったか。何か背景があったのかというか,要因分析をしていくような仕組みが大事だと思います。
 例えば生涯学習で言いますと,社会人の学びというのも,やはり伸びていかない。本日無藤委員からいろいろなアドバイスを頂きまして,そういう達成できないことに対してどうするかとか,高校生で一月1冊以上読まない方が51パーセントあるが,どうすればそれが直っていくのかとか,そういうことの数値目標を掲げることが大切です。
 もう一つは,先ほど幼児期の運動指針としてありましたが,今,幼稚園と保育所で,新聞でもお分かりのように,園庭を持たない保育所が増えます。そうした場合に,園庭のあった幼稚園,保育所と,ない保育所で育った方の運動能力はどう変わってくるのか。そういう問題意識を持ってデータを集めていくのが,うちの部会も含めて大事かなと思っています。

【北山部会長】
 では,永田委員。

【永田委員】
 スポーツのところだけに申し上げたいのですが,スポーツ,体育,あるいはスポーツ教育,体育という教育という,ごちゃごちゃに議論されている部分があります。そこのところは,スポーツ庁と文部科学省が分かれたからというわけではなく,昔から認識不足だと思います。ですから,何を求められているのか。
 例えば,先ほどの明石委員が言われたような礼儀正しさである云々というのは,それはスポーツそのものの持っている本質プラス,日本の体育という教育があったからだと思います。
 ですから,スポーツ振興という部分と,体育の持っている教育的要素という部分を,実は余り分けて書いていないように思います。体力増強をすれば心技体のうちの体は良くなりますと。そうでしょうか。私は,やはり,そうは思わなくて,少なくともスポーツ庁が文部科学省にあったことを考えると,日本独特の考え方だと思いますが,スポーツというものの持つ教育的意義をもう少しどこかに,これから見ていきたいと思います。

【河田副部会長】
 スポーツについては,今,プロ野球の賭博問題もありますし,相撲の八百長問題もそうだし,やはり,どこかで,そういう倫理性というのでしょうか,スポーツ人のモラルを教育する必要がある。それとともに,アメリカであれば大学で夏は野球をし,冬はアメリカンフットボールをし,卒業して弁護士になる人もいます。しかし,日本の場合は,「一(いつ)以て 之(これ)を貫く」といった何か一途で,ずっと一つのスポーツを持続していく。だから,スポーツの経験を生かしながら社会に,あるいは世の中に貢献できるんだということを,どこかに書き加えていただければと思います。
 それから,その倫理ということであるならば,今,明石委員が言われた,まさにマックス・ウェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の中で言っている,正直,節約,時間を守る,勤勉という禁欲的倫理観が,近代ヨーロッパの資本主義を発生させたと言うのですが,この間も中国から来た人と話していたら,日本の場合は,正直から勤勉までの他に,さらに,親切かつ清潔という特性があるというのです。正に,この美徳が多くの中国人を日本に呼び込んでいるのだ,と。ですから,やはり,もう少し自信を持って,何かそういう,日本の倫理的美徳をどこかに加筆していただいたらと考えます。
 日本人に一番欠けているのは何かと聞きましたら,日本社会は老人に優しくないとのことでした。中国では,私は,前にどこかで話しましたが,北京で地下鉄に乗ると,ぱっと若い人が立って,席を替わって座らせてくれました。私,東京に来て7年になりますが,地下鉄でも,JRでも,若い人に席を一度として替わってもらったことがありません。
 それは余談ですけれども,やはり,そういう本人の倫理的道徳的良さ,特性を特筆大書していただいき,日本の初等教育,中等教育,高等教育というように継承していけばいかがかと考えます。

【田邉委員】
 先ほどもお話させていただきましたが「健やかな体」という点です。ここで言うのが正しいのかどうか分かりませんが,先般の,新聞で,出生児の低体重化が取り上げてありました。低体重に生まれてきた人は成人になってから病気になるリスクが高いというデータも出ているというようなところです。子供たちの体力とそれが直接的に何か因果関係があるのかどうかというデータは,出ておりませんが,この問題に関しても,子供の体力を考えるうえで今後検討していく必要があるのかなと思っております。
 あとは,子供の体格のところでは,今はっきりしたデータを持っていないですけれども,平成20年までは肥満の子が多かったということです。それ以降は痩身の傾向がみられたということでこれも子供の体力との関係を今後考える必要があるのではないか。
 また先ほども河田副部会長からも御意見を頂いたように,最近のスポーツ界ではドーピング問題であったり,賭博の問題であったり,スポーツの貴重な価値を損ねるような問題も出てきています。スポーツ,体育においては,スポーツの価値やインテグリティを学ぶ機会での教育を入れて考えていかなくてはいけないかなと思っております。感想まで。

【北山部会長】
 ありがとうございます。 本日は,第2期のフォローアップという位置付けで,第3期に向けた検討課題などについて各分科会から報告いただきました。これは,第1回,第2回の特別部会に引き続き,PDCAのCの部分に当たるわけですが,第2期の基本計画には,特に財源の問題や,必要となる予算額については明示されていません。しかし,第3期を展望して第2期のフォローアップをしたときに明らかとなった課題について,それを財源,予算の面から考えるという視点も必要だと思います。
 私としては,計画にはやはり,ヒト・モノ・カネといったリソースの観点が必要だと感じます。
 教育振興基本計画は文部科学省だけの計画ではなく,政府の計画なので,財務省との交渉も必要などハードルは高いのかもしれませんが,財源的な手当を行うという共通認識を持つためのベースとなるものを作っていきたい,ということです。
 それでは,議題1についてはここまでといたしまして,次の議題は,27年度「教育改革の総合的推進に関する調査研究~第2期教育振興基本計画の分析に係る調査研究~」についての報告です。これは第1回の部会におきまして,施策と結果の因果関係を明らかにすることが必要といった御意見が多数ありましたので,前回の部会の際に,計画の分析に関する調査研究を委託する旨の御報告を頂いたところですが,今回はその結果報告になります。
 それでは御説明をよろしくお願いします。

【井上文部科学戦略官】
 お手元に,委員の皆様方には完成版として,この調査研究の報告書を机上に配付をさせていただいておりますが,本日は資料2に基づきまして,教育改革の総合的推進に関する調査研究の御報告を簡単にさせていただきたいと思います。
 1ページをお開きください。この調査研究は,今,部会長からございましたが,昨年6月に開催した第1回の計画部会におきまして,第2期教育振興基本計画の成果目標・成果指標,基本施策との関係が可視化されていないため分かりにくい,進捗状況の達成度合いを客観的に点検するに当たって,論理的なつながりが分からないので難しいというような御意見を踏まえまして,この第2期教育振興基本計画の成果目標・成果指標,基本施策等の関係を論理的,体系的に示したロジックモデルというものを作成いたしまして,可視化して整理・分析しようとするものでございます。
 具体的には昨年,三菱総合研究所に委託をいたしまして,昨年の10月から今月まで調査研究をしてきたところでございます。
 調査研究内容は,1ページの下にございますように,インプット,アウトプット,アウトカムの流れを示す体系図を作成したものになります。具体的にはインプットは第2期計画上の主な取組,アウトプットはその実施結果,そして最終アウトカムというのは「成果目標」の要素により抽出したものでございますが,その上で中間アウトカムということで,最終アウトカムの前段として創出されるべきものを置きまして,論理的なつながりを作ったものでございます。
 このロジックモデルについては,試作した後,2ページの有識者の方々から個別又は会議を通じてヒアリングを行いまして,精査をしてきたところでございます。
 それでは内容について,御説明をさせていただきたいと思います。まず3,4ページをお開きください。
 成果目標ごとのロジックモデルを8ページ以降にお示ししていますが,作成に当たって,まず第2期計画の全体構成について,関係者間の理解のため,上に成果目標間の関係の整理をいたしました。
 社会を生き抜く力,また未来への飛躍を実現する人材の養成という能力の育成を一つ大きな固まりとして置きまして,絆づくりと活力あるコミュニティ形成,それが双方の充実により相乗効果によって高まっていく。又は学びのセーフティネットの構築,四つの基本的方向性を支える環境整備,これが基礎的な条件として支えていくと。こういう成果目標観と,また4ページにございますような基本的な施策との関係,つながりというのを意識しまして,ロジックモデルを具体的に作成いたしました。
 次に5ページをお開きいただければと思います。全てのロジックモデルを御説明するのは,時間の関係上難しいので,本日は成果目標2の課題探求能力の修得のロジックモデルについての御説明を簡単にさせていただきたいと思います。
 具体的なロジックモデルは11ページにございますので,11ページを横目で見ながら,5ページの御説明を聞いていただければと思います。
 11ページの課題探求能力の修得のロジックモデルについては,まず成果目標の要素を抽出いたしまして,最終アウトカムといたしました。具体的には成果目標2の課題探求能力の修得では,成果目標として知識を基盤とした自立,協働,創造の社会モデル実現に向けて「生きる力」の基礎に立ち,「課題探求能力」を身に付けられるよう等々の成果目標がなされておりますが,ここの中から「生きる力」の基礎に立ち,課題探求能力を身に付けた人材の育成というのを最終アウトカムといたしました。その上でインプットを第2期計画の主な取組,例えば改革サイクルの確立などというものをインプットとしております。その上で,最終アウトカムとインプットをつなぐものとしての中間アウトカムということで,学修支援環境の改善でございますとか,全学的な教学マネジメントの確立,能動的学修等々の中間アウトカムを設定いたしました。それが11ページに示したような形で,ロジックモデルとして示したものでございます。
 その上で,6ページにございますように,この中間アウトカムというものについての構成要素と第2期教育振興基本計画にございます成果指標との対応について整理をいたしました。そこにございますように,成果目標2,課題探求能力の修得におきましては,第2期の教育振興基本計画におきまして,成果指標として五つ,各大学における学修時間の把握状況の改善,十分な質を伴った学修時間の実質的な増加・確保(欧米並みの水準)等々の成果指標が設定をされております。今回,中間アウトカムの構成要素と,その対応する成果指標というのを,それぞれで対応させましたところ,例えば学修支援環境の改善であれば,対応する成果指標は当然ながら学修支援環境の改善,全学的な教学マネジメントの確立であれば整備状況の向上等々になりますし,学生の主体的な学びの確立というところであれば,十分な質を伴った学修時間の実質的な増加・確保(欧米並みの水準),質の保障された大学等の増加であれば学生,卒業者,企業・NPO等の教育への評価の改善等々が設定できるということになっております。
 一方で各大学における学修時間の把握状況の改善,社会人入学者の倍増という成果指標につきましては,このロジックモデルに対応する成果指標としては位置付けすることが難しいのではないかというような調査研究の結論になっております。具体的には,この成果指標は,例えば社会人入学者の倍増であれば成果目標4など別の成果目標で設定すればよかったのではないかというようなことでございますとか,各大学による学修時間の把握状況の改善であれば,十分な質を伴った学修時間の実質的な増加・確保があれば足りるのではないかということで,意見が出されたところでございます。
 7ページを御覧ください。分析結果でございます。今申し上げたように,追加すべき要素というのは今御説明したところでございますが,それ以外にも成果指標について,この調査研究の中で様々な意見が出されておりまして,例えば「十分な質を伴った学習時間の実質的な増加・確保」については,これは本質的な目標は学生の「適切な学修量の確保」であって,それが代替的に測る指標として学修時間という整理をとっているということで理解すべきだというような意見でございますとか,学修時間ということだけではなくて学修の習慣を表す指標も意義があるのではないかというような指摘がなされております。
 また高等教育段階においては,学修量も重要な指標ではあるが,アクティブ・ラーニング等々の「学び方」という観点で指標を設けることも考えられるのではないかというような意見が出されております。
 また,これは現状と課題の今回のフォローアップでも出されておりますが,本成果目標と成果目標5は関連性が深いため,次期計画に当たっては相互の関係を整理することが有効であるというように,成果目標間の関連性についての意見,指摘もなされたところでございます。
 それぞれ,成果目標について,このような形でロジックモデルを作っていくに当たって,それぞれで様々な指摘がなされておりますので,その指摘を次回の第3期計画の策定に当たって生かしていきたいと思っております。
 最後に18ページを御覧ください。本調査結果から次期計画への示唆の整理でございます。
 第2期計画の構成・内容・成果指標について,今回ロジックモデルを作成することによって,次期計画の策定においては以下の点で留意することが必要ではないかというようなことが指摘されております。
 具体的には18ページの一番上のところにございますように,最終アウトカム,中間アウトカム,アウトプット,インプット,そういうことを明確に区分した記述として,これらの関係性をロジックモデルとして可視化し,妥当性を記述することが必要ではないかというようなことでございますとか,最終アウトカムと中間アウトカムについて,あるいは最終アウトカムに関する成果指標の定義が難しい場合は,中間アウトカムについての成果指標として成果指標は整理する方がいいのではないかというようなこと。また計画の全体構成を可視化して,最終アウトカムや中間アウトカム等の相互関係を明示することが,計画の全体構造を理解する上では役立つのではないかというような指摘がなされております。
 また成果指標につきましては,客観的に評価し得る基準を明示した指標を設定することは,やはり重要だというようなこと。また一方で,データの収集可能性に限界があり,どうしても代替的な指標とせざるを得ない場合,先ほどの適切な学修量の確保などは,それに当たると思いますが,その場合は代替指標の限界をきちんと明示した上で,代替指標の改善に対する過度の目的化がなされないよう,つまり,飽くまで,代替指標であるので,その代替指標の達成することが目的化しないように留意する必要があるということ。
 また,18ページの最後のところでございますが,成果指標をフォローアップで活用する上では,成果指標の数というのは,実現性の観点から一定範囲内に選別する,明確化する,絞り込みをしていくことが必要ではないか。それがPDCAサイクルを効率的,効果的に回すためには必要ではないかというような意見が出されております。
 また19ページ。実現に向けた環境整備に向けては,計画立案段階から客観的な根拠に当たるような情報,データを,収集可能性を吟味した上で収集方法を特定する必要があるのではないかというようなこと。また,これらの関係に,アウトプットや中間アウトカムの関係に関する実証研究に基づくエビデンスの蓄積を通じて,ロジックモデルとしていくことが望ましく,そのようなことも次期計画においては必要性を言及すべきではないかというような指摘。
 また実施体制を構築していくという部分では,ロジックモデルを作成していくに当たっては,今回も教育関係だけではなくて政策評価の有識者の先生方からも幅広く意見を聞いたところでございますが,教育分野以外も含めた様々な分野の有識者,実務者等で構成する検討会で議論した方がよろしいのではないかというようなこと。また関連の他省庁の関係者も計画段階から巻き込み作成していくことが望ましいというようなこと。また,こういう可視化したロジックモデルを作成することは,多くの国民の理解を深めて,意見を引き出すツールとしては有効ではないかというような指摘があったところでございます。
 今回,第2期の計画については,この3年目という途中段階で,こういうロジックモデルということで論理的なつながりを体系的に示す可視化した資料を作成いたしましたが,第3期の計画に向かっては,第3期計画を作成する段階で,こういうロジックモデルというのも試作して改善を図っていく必要が,第3期の計画のフォローアップを効率的,効果的に進める上でも重要ではないかと認識をしておりまして,今後検討していきたいと考えております。以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。何か御意見,御質問はございますか。
 では次に,事務局から「教育・生涯学習に関する世論調査」について,御説明をお願いできますか。

【井上文部科学戦略官】
 「教育・生涯学習に関する世論調査」は教育・生涯学習に関する世論調査ということで,昨年の12月に全国20歳以上の日本国籍を有する方3,000人を対象に実施したものでございまして,有効回収率は約55パーセントになっております。
 生涯学習に関する世論調査は以前から過去6回しておりますが,教育に関する世論調査は,ほぼ初めてということでございます。具体的には教育への関心,学校と地域との連携・協働,グローバル人材の育成,社会人の「学び直し」,生涯学習についての意見を聞いております。
 資料3-2に基づいて御説明させていただきたいと思います。資料3-2の1ページをお開きいただきたいと思います。
 まず,教育に関するニュース・話題への関心については,8割以上の方々が教育に関するニュース・話題には関心が高いというような結果が出ておりますが,特に小学校就学前から高校の教育で関心のあるテーマについて,高校生までの子供がいる方に限って分析をしてみますと,乳幼児の子供がいる方は,いじめなどの対応や不登校の児童生徒への支援,学力の向上,豊かな心の育成に関心がある。小・中学生の子供がいる方は学力の向上,いじめや不登校,豊かな心の育成に関心がある。高校生の子供になると,またいじめや不登校,学力,豊かな心に関心が高いという結果になっております。
 ただ,大学や大学院,専門学校の教育・研究において関心があるテーマについて分析をいたしますと,大学生の子供がいる人に限りますと,家計の教育費負担を軽減するための支援策,社会人の学び直しへの対応,学生の学力の向上や学修時間の増加の順に高いという形で結果が出ているところでございます。
 次に学校と地域との連携・協働につきましてでございます。先ほども御説明を若干させていただきましたが,学校を支援する活動への参加の意向という部分について,全体では約55パーセントの方が参加をしたいという意見を言っております。2-1の一番下のところを御覧いただくと,実際に参加したことがある人の割合は,緑のアンダーラインにあるように,女性の方が「参加したことがある」36.3パーセントということで,男性の緑のライン「参加したことがある」32.9パーセントより若干高いという結果ですが,今後参加したい人の割合には男性の方が少し高いということでございます。
 また,2-2にございますように,教育についてのニュース・話題に関心がある人の方が,学校支援活動に参加したいと考える割合が高いということ,また2-3にございますように,学校を支援する活動に参加しやすくするための環境の整備については,参加したことがあるという方々は,今後の環境整備として,積極的な広報や勧誘,活動の参加に要した経費への支援を求める声が高い一方で,今後参加してみたい,参加したことがないという方が,土日祝日にも参加できる活動,そういう活動の機会を求める意見が強かったということでございます。
 3ページをお開きいただければと思いますが,グローバル人材の育成につきましては,グローバル人材を育成するために必要な能力,必要な取組について,双方とも語学力でございますとか英語教育の強化を挙げる方が,いずれの年代でも最も高いという状況がございます。一方で,30代から50代というところになりますと,国際社会の動向などについての幅広い教養でございますとか,異文化理解,アイデンティティや文化に対する理解などを挙げる方も多くなってきております。また留学については,留学させた方がいいと回答した人が8割を超えておりますが,20代よりも30代以上の方が,そういう留学させた方がいいということを答える方が多くなっております。
 また4ページに行きますと,社会人の「学び直し」につきましては,学び直しの実施状況,学んだことがある,学んでみたいという方々が全体でも5割。一方で女性の方が少し比較的高いということになっております。
 また「学び直し」の理由については,全体としては教養を深めるため,今後の人生を有意義にするためと回答した人が多いが,20代,30代の男性と20代から40代の女性では,就職や転職のために必要性を感じたためと回答した人が比較的多いということになっております。
 少し戻りますが,4-1の真ん中のところにございますように,年代別では30代から50代の辺りが,学んだことがある,学んでみたいという方々が学び直しでは多いという状況にございます。
 また学びたい分野については,5ページをお開きいただければと思います。これも年齢別で若干移り変わりがございまして,若い層ですと外国語に関することが学びたいという内容になっておりますが,年齢が上がるにつれて,医療や福祉,地理や歴史という分野が徐々に増えてくるという部分でございます。
 また最後に,6ページ以降は生涯学習に関する調査でございます。この1年間に生涯学習をしたことがある人の割合は,6ページの5-1にございますように,平成4年から見ると,おおむね横ばいで推移しており,グラフですと一番下のだいだいのデータでございますが,年齢別では70歳以上で,増加傾向が見られるということでございます。
 また生涯学習をした理由については,7ページをお開きいただければと思いますが,親睦や自由時間の活用を回答した人は,前回調査よりも低下しており,主に男女を問わず全ての年代でその傾向が見られますが,現在の仕事や将来の就職・転職などに役立てるためと回答した人の割合は,全ての年代の男性,20代,30代,50代の女性で,前回調査の数値を上回っておりまして,目的志向が少し高まっているのかなと思っております。
 8ページは,生涯学習を通じて身に付けた知識を,やはり仕事や就職の上で生かしていると回答した人の割合は増加傾向だというデータでございます。以上でございます。

【北山部会長】
 ありがとうございます。 それでは,本日の審議はここまでとさせていただきます。
 新年度の教育振興基本計画部会につきましては,近々,第3期の教育振興基本計画について,中央教育審議会に諮問いただく予定と聞いております。その状況も踏まえて,諮問事項について本部会でも検討してまいりたいと考えております。
 次回以降の日程につきましては,いかがでしょうか。

【井上文部科学戦略官】
 現在,調整させていただいております。

【北山部会長】
 調整が終わったところで,事務局から追って御連絡を差し上げます。
 本日はお忙しいところ,どうもありがとうございました。これで終了いたします。

―了―

お問合せ先

生涯学習政策局政策課 改革企画係

電話番号:内線:3279,3275

生涯学習政策局政策課 政策審議第一係

電話番号:内線:3458

-- 登録:平成29年03月 --