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実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会(第17回) 議事録

1.日時

平成28年5月25日(水曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

東海大学校友会館 阿蘇の間・朝日の間(東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル35階)

3.議題

  1. 答申案について
  2. その他

4.議事録

【永田部会長】  それでは,定刻になりましたので,第17回の新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会を始めます。
お忙しい中,お集まりいただき本当にありがとうございます。
いつものとおりなのですが,録音とカメラ撮影については申出があり,既に許可をしておりますので,御承知おきください。
本日の審議の内容は,前回頂いた意見を踏まえ,必要な追記や修正等を行ったこの答申案について御確認いただき,この特別部会の最終的な結論としたいと考えています。これが,答申案として無事に取りまとまり,かつ少し時間が残りましたら,この答申案とは少し離れた部分も含めて高等教育に関する自由討議をさせていただければと考えております。
いずれにしましても,本日の一番の目標は,この特別部会として,これまで16回にわたって議論してきた内容を最終的に答申案という形にまとめることでございます。
それでは,事務局から配付資料について御説明を願います。
【塩原主任大学改革官】  お手元の配付資料の確認をお願いいたします。
本日の配付資料は,議事次第にございますとおり,資料1-1,1-2及び資料2の3点でございます。以上,御確認をお願いいたします。
【永田部会長】  それでは,早速,審議に入りたいと思います。この部会のミッションは御存じのとおりだと思いますが,答申を出す期限ということも思い出していただきたいと思います。「日本再興戦略」において,本年の年央,つまり6月,7月,8月辺りまでにはまとめていくようにという要請があったことを覚えていらっしゃるかと思います。
このスケジュールに従うのだとすれば,本日,答申案がまとまれば,5月30日に予定されております中央教育審議会の総会に答申案を提出し,そこで審議いただくということになるかと思います。
本日,御覧いただきたい資料は資料1-2の部分でございまして,見え消し版となっております。前回会議からの修正がわかるこの資料1-2を御覧になりながら御意見を伺いたいと考えております。
それでは,いつものように,セクションごとに少しずつ議論を進めてまいりたいと思います。
最初に「はじめに」の部分ですが,赤字が意外に増えているように思われるかもしれません。これは前回も申し上げましたが,今回の答申案は,生涯学習分科会において審議されている学習成果の活用に関する事項と合わせて総会に提出することになっているため,そちらとの歩調を合わせるために,大きなところ,つまり精神の部分は変えず,単語や文章構成について,若干変更いたしました。
例えば,「はじめに」の一番上のところに「人工知能をはじめとするイノベーション」というのがありますが,これは「Society 5.0」にも述べられているもので,国の科学技術基本計画等に,大きく出てきている具体例として人工知能という文言を追加したものです。
それから,その下の二つ目の丸の部分は,我が国の社会情勢が変化するのみでなく,課題も複雑化する旨を加えて記載いたしました。
それから,四つ目の丸の部分は前回お示ししたものより,もう少し積極的に「一億総活躍社会の実現に当たり,社会に出た後も学びを続け」ということで,ここで議論された問題を,少し文言を変えて書いています。また,生涯学習分科会の方から出てきた意見も併せて反映させているとのことです。
2ページを御覧ください。特別部会での審議回数を更新し,17回といたしました。
それから,その下の部分は生涯学習分科会の関係で記述をしていたところですが,先ほど御説明した1ページ四つ目の丸にその記述を移した関係で,後半部分を削除しています。
その下の丸の部分については,今まで記載していなかった教育再生実行会議の第6次提言に関する記載が,生涯学習分科会の方での御意見を踏まえ,新たに入ってきているところです。
そして最後の結語のところは,「活力のあふれる持続可能な社会となる」と結ぶことといたしました。
この「はじめに」の部分については,もしも極めて不適当であるというものがあれば,御指摘いただければと思います。
次に,第1章を御覧いただければと思いますが,赤字がありません。つまり,皆様と前回御議論した際に,この章については,特段重要な意見がなかったということになります。
続いて,第2章を御覧いただきたいのですが,第2章につきましても,基本的には赤字の部分が12ページ,13ページに散見できる程度であります。まず,12ページですが,明確に「社会人学生の受入れ」などという修正がございますが,書きぶりを変えているだけで内容,趣旨は変わっておりませんので,問題はないかと思います。それから,「多忙な職業人」と記載していた部分について,わざわざ多忙という文言を入れる必要はないだろうということで,「多忙な」は消しております。
13ページを御覧ください。丸が三つありますが,この部分については(3)とし,新しい節を設けさせていただきました。読み手にとって分かりやすくするための構成上の配慮です。
また,こちらも若干文言修正がございますが,特に二つ目の丸のところで,「もう一つの教育」というのはいかがなものかという御意見が前回ありましたので,「アカデミックな教育と並んで,専門職業人養成に最適化した新しい教育」と書き直させていただきました。
以上が第2章における主な修正点ですが,基本的には問題ないかと思います。
第3章に移りますが,こちらの章については,修正箇所は特段ございません。
次に,第4章を御覧ください。前回,教員組織に関する御意見が寺田委員からあったかと存じます。
それを踏まえまして,22ページの下の部分に少し付け加えたのが,「なお,研究能力を併せ有する実務家教員をはじめ,新たな機関の教育研究を担う教員の養成・確保を図る上では,大学院の教育に期待するところも大きい」という記述でして,大学院に実務家教員養成の機能を負わせてはどうかということでございます。また,「大学院における社会人(実務家)向けの教育機会の整備や,産業・職業分野の実践的理論等に関する教育研究の充実等についても,より一層の推進を要請したい」ということも書き込んだところでございます。
それから24ページの「社会人の学び直しの機関としての新たな高等教育機関の役割に鑑みて」の部分についても御意見があったと思いますが,「夜間や休日を利用して修学する履修形態」,「就業しながら週何日かは授業日として修学するなど」という新機関に対する具体的な提案を書いています。
それから25ページのところについては,高等専門学校のことは書いてあったものの,短期大学に関する記述がないのはバランスがよくないとの御意見に対応するため,「短期大学については,本審議会大学分科会大学教育部会短期大学ワーキンググループにおいて,平成26年8月に取りまとめられた『短期大学の今後の在り方について(審議まとめ)』の提言を踏まえつつ,専攻科や科目等履修制度,履修証明プログラムなどを活用して,多様な機能を一層充実させることが期待される」と記載を加えました。ここでは短期大学の役割について深く議論はしていませんが,今後検討を進める必要があることについて簡単に言及することとした次第です。
それから26ページの「(教育条件)」について,文章を少し練り直しました。教育条件の最後のところにある「学生の人格形成」というのは,もともと,つまり現行の大学設置基準を設ける際に,既存の大学の入学者として一般的である18歳の学生を対象として考慮されたことです。ただ,新機関においては,社会人学生についても多く受け入れることになるなど,既存の大学等とは異なる面もあるので,「豊かな人間性の涵養(かんよう)に向け,機関の特性を踏まえた対応が求められる」という書きぶりに変更いたしました。
また,その下の四角囲みの部分につきまして,これについても前回御意見がありまして,実習等のための施設・設備の充実は実践的な職業教育を行う機関としては重要な要件であるということを付け加えております。
それでは,一旦ここで区切ります。先ほどの「はじめに」から28ページまでについて,何か御意見等ございましたらお願いします。
御意見がないようでしたら,最後の29ページから30ページの財政措置に関する部分について御説明させていただきます。この部分については,総会を含め,財政的な支援というのは具体的にどのように行うのかという厳しい御意見が多々ありました。これから新機関を作る立場としては当然,相応の支援が欲しい。それから,既存の高等教育機関を持っている関係者の方々からは,既存の財源が削られるのは厳しいという御意見があり,どのような形の財政支援を図るべきかということをはっきりと答申に書き込んでほしいということでしたので,可能な限りの記載をいたしました。
29ページの一番下の丸の文章を簡単に読ませていただきますが,「質の高い専門職業人養成を行う機関として,新たな高等教育機関については,機関に対する基盤的経費やプロジェクト経費,学生に対する修学支援や教員に対する研究助成の措置が図られるようにすることを基本とする」としており,これが新機関に対する財政措置の最も基本的な考え方になります。以下は,この基本的な考え方にのっとって,更に記載しているところでありまして,「産業界等のニーズに即応した教育を行う機関であり,教育課程の編成からその実施,評価に至るまでを産業界等の参画の下に行い,企業等で必要とされる実践的な能力を育成していくこととなる。こうした機関の特性に鑑み,新たな機関の財政に関しては,民間資金の活用が重要であり,産業界等から求められる人材の養成とそのための多元的な資金導入との好循環が確立された機関となるよう,必要な制度設計等を進めていく」と書いているわけです。
これは,産業界からお金を入れていただこうということなのですが,当然ながら,そのためにはそれを裏付けるための法律や規則などといった制度が必要で,具体的にどのような制度を整備するべきかという提案までは書いておりませんが,必要な制度設計等を進めていくことも含めて対応を求めているところです。
もう一つ,御意見を踏まえ,「また,成長分野の専門職業人養成や地域産業を担う人材の育成など,我が国の成長戦略や地方創生の推進において積極的な役割を果たすことにより,関係省庁や地方公共団体等からの多様な資金を導入していく」と追記しております。
この辺りについては,既存の高等教育機関でも努力をされていることだとは思いますが,今回の新たな高等教育機関については,とりわけ,産業界との連携ということが非常に重要なので,教育課程や評価等について御意見を取り入れる代わりにといいますか,産業界のニーズに対応した教育を行い求められる人材を養成するのでありますから,財務的にも関与していただいてもいいのではないかと思っていますし,当然,地域産業にも影響いたしますので,地方自治体にも資金面について考えていただきたいということで,このように書かせていただいております。
さらに,付け足しですが,「これらを踏まえつつ,必要な財源の確保を図り,改革に積極的に取り組む既存の高等教育機関への支援が維持・充実されるようにしていくとともに,新たに制度化される機関に対して,実践的な職業教育を担い,専門職業人の養成を担う高等教育機関として相応(ふさわ)しい支援を行っていくことが必要である」と結んでおります。この部分は,これまでの議論を踏まえ,大きく加筆した部分ですので,ここについては,丁寧に御議論いただきたいと思っています。
それでは,この赤字の部分を中心に御意見を頂きたいと思います。
益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】  長きにわたって詰めに詰めて議論を重ねてきた結果として,大変すばらしい答申にまとまっていると感じます。部会長から29ページ,30ページについての御説明がありましたが,私の考えを述べさせていただきます。
まず,企業側はどのような形でこの新しい高等教育機関をサポートできるかという点です。この点について先日ある大学の学長と,上場企業のシンクタンクの社長と議論をしました。単に産業界,経済界からのサポートというと,企業から職員を講師として派遣したり,企業から寄附を出したりするというのが一般的な協力の形かと思いますが,実はシンクタンクをうまく活用することは非常に意味のあるものだと気が付きました。
シンクタンクというのは,ある分野について専門的な調査・研究を行う機関でありますが,調査・研究を行い,有効な対応策を提示するということだけでなく,教育機関に対して,講師となる人間を派遣するというビジネスもしています。シンクタンクの社長いわく,その専門分野がより発展するのであれば,新たな高等教育機関への貢献としても,シンクタンクの研究員を教員として出すことも可能だということでした。
一方で,大学の学長からは,このような実践的な職業教育を行う高等教育機関で,教える知識がすぐ陳腐化しないか,また,研究に余りたけていない実務家教員が,本当に機能するのかとの意見がありました。シンクタンクから一部教員を出せば,常にその分野の最新の知識の教育が実現し,知識の陳腐化問題も解消されます。シンクタンクの職員は常日頃から研究も行っておりますので,新機関での教授も申し分なく務めることができるでしょう。これは一つの解決策といいますか,相応のヒントを得たような気がいたしました。
もう1点,新機関の制度化は,大きな意味で,社会を変えていくものですから,新規予算の導入は必要であるものの,どこからどのような財源を持ってくるか,関連官庁の協力など,非常に重要な問題です。この新機関は,学生の教育だけでなく,社会人の学び直しも主要な機能として位置付けられています。子供の貧困問題,シングルファーザー・シングルマザーの経済的自立問題は学び直しと大いに関連があります。したがって,文部科学省だけでなく内閣府や厚生労働省も積極的に予算措置の議論に参加しないといけません。文部科学省,内閣府,厚生労働省などの十分な協力体制が,この新たな高等教育機関の社会的理解への道筋作りにはとても重要だと考えます。
【永田部会長】  ありがとうございます。御意見の後半の部分は新たな高等教育機関の制度が出来上がってからのPRなどに関わるお話かと思いましたが,前半の部分については,新たな高等教育機関の制度化に当たって,一定程度,具体的にイメージをしなければならない産業界からの協力の方法に関することだったと思います。確かに今,御提案いただいたようなことは答申案には記載されていませんので,どう書き込むのかは少し難しいものの,どこかに書き込む方向で検討させていただきます。
寺田委員,どうぞ。
【寺田委員】  たくさん意見を取り入れていただきまして感謝しております。
二つほど申し上げたいのですが,一つは24ページの「(教育内容・方法)」の下の,「夜間や休日を利用して」というところです。
まず,夜間というところについては,昼夜開講という表現がいいのではないかと思います。また,休日利用という表現は避けた方がよろしいのではないでしょうか。法的な問題あるいは宗教的な考え方等がありますし,やはり教員も休むときは休まないとなりませんので,休日利用ということを中央教育審議会の答申で積極的に言うのは,余りよくないのではないかと思って発言いたしました。私も先日,祝日の4月29日に,大学で授業をいたしましたが,学生,教員のお互いにとってよろしくなかったと思っておりますので,安易に休日に授業を開講することを推進するような言い方はよくないと思います。土曜日や日曜日,国民の祝日などの休日にわざわざ開講しなくても,昼夜開講や,いわゆる夏季休業時に積極的に授業を組んだりすれば,社会人への対応というのも十分に行い得るのではないかと思います。それが1点です。
それからもう1点は,29ページのところの財政措置の話についてです。お金の問題,とりわけ公的財政をどう確保するかという問題がメインの問題としてあることは承知しておりますが,例えばドイツや韓国の専門大学では,企業から財政支援だけではなく,施設設備の面での連携・協力を得ているという実態があります。韓国はそのことを法律に書き込んでいますし,日本でも施設・設備の面で企業の協力というのがあってもいいのではないかと思いまして,意見を申し上げました。この答申案のどこに書くのかという技術的な問題は部会長と事務局にお任せしますが,「資金・資源や施設・設備」といったタイトルの下,財政措置についてだけでなく,施設・設備に関する企業協力についても盛り込んでいただいた方がよろしいのではないでしょうか。
以上2点でございます。
【永田部会長】  ありがとうございます。休日の授業というのは,既存の学校でも行っているため,疑いなく記載してしまいましたが,確かに,答申案にはここまでは書かない方がいいかもしれません。
社会人にとって休みが取りやすい時期,例えば,先ほど,寺田委員が言われたように,夏期の期間等に集中的に授業を実施するなどの工夫で対応し得ることですから,一般的な国民の休日に開講することを推奨するような今の書き方は,特に授業を提供する側から社会的な反発を買ってしまうかもしれません。
それから,二つ目の御意見については,先ほどの益戸委員からございました,シンクタンクからの教員派遣という企業の貢献の方法とも関連しますが,工夫して答申案のどこかに入れた方がいいかと思いますので,こちらで検討させていただきます。財政以外の企画や,アイディアの部分,実際の施設・設備という方面からも支援を図るという趣旨かと思いますが,もしかするとそれは企業だけでなく,地方自治体にも貢献していただく必要があるかもしれません。
麻生委員,どうぞ。
【麻生委員】  全体としてよくまとまっていると思いますが,28ページから始まる「(3)制度全般に関わる事項」の「(学位の種類・表記)」,それから「(名称)」については,以前,部会長が,専門職業とした場合の一例として,「丸々工業専門大学」というようなものを挙げられていたと記憶しております。また学位につきましても,工学というような学問分野よりも,工業などといった産業分野を括弧の中に付すべきではないかという意見があったものと記憶しており,今,この中にはそういったことが書かれているものだと理解しております。今後,新たな高等教育機関ができたときに,学部や学科,特に学科は,学科名と学位はとても関係性が高いものですから,学位の括弧内を工学とするのか,工業とするのかということについては,この特別部会でのこれまでの審議を踏まえた結論になるよう,次のステージでの議論に期待したいと思っております。
【永田部会長】  ありがとうございました。今,「『専門職大学』『専門職業大学』など」「学問分野よりも,産業・職業分野の名称を付記することや,専攻分野に加え,『専門職業』『専門職』などの字句を併せ付し」というような記載として幅を持たせているのは,御案内のとおり,学位の名称も新機関の名称もまた別の審議会で決定されるので,この特別部会で取りまとめる答申としては決め打ちにしないという理由からです。麻生委員のおっしゃるように,今回のこの特別部会での議論を踏まえて,適切な名称というのが今後担当の審議会で決定されることを我々は見守りたいと思います。
金子委員,どうぞ。
【金子委員】  この答申案には,新機関の制度ができた場合にどのような法人が設置し得るのか,あるいは設置形態を取るかということについては明記されておりません。
大学体系に位置付けるということで,学校教育法上の大学に関する一般的な規定はほぼ準用されるであろうことは想定されますが,この新機関の管理については,学校法人相当のことが予定されているのか,それからガバナンスに関しては教授会を置くこととし,財政に関しては,学校法人会計基準に対応するような基準によって監査等がなされるという,解釈でよろしいかというのを確認させていただきたいと思います。
【永田部会長】  法律の条文に関する問題は,立法府が考えることとなっておりまして,それはまだ少し先の話になりますが,基本的な考え方としては,今,金子委員が確認されたとおりになるのではないかと私は考えています。森田課長,補足があればお願いします。
【森田高等教育企画課長】  ただいまの点につきまして,事務局としても永田部会長からお話があったとおりだと考えております。
学校教育法上,大学体系に位置付けるということになりますと,設置形態やガバナンスについては既存の大学の規定と連動しますので,私立学校の場合は私立学校法の適用を受けることになります。ですから,学校法人に関する様々な規定や学校法人会計基準など,そういったものの適用を新機関も受けるということが基本であると考えております。
【永田部会長】  そのほか,いかがでしょうか。川越委員,どうぞ。
【川越委員】  とても良く出来上がった答申案だと思います。
今から申し上げる話は,直接この答申にどうこうということではなく,その後の話になるので,今が申し上げるべきタイミングかどうか分からないのですが,地方にいますと,短期大学の経営者の中には,早速,新機関を作りたいという意思表明をされている方もいらっしゃいました。それから,県知事や県議会の議長,行政の担当部長の方とお話をしますと,地方創生という観点からも新機関の制度は非常に興味深いとおっしゃってくださるのですが,一方で,民業圧迫になる可能性があるのではないかということを少し心配されていました。
農業大学校や厚生労働省が所管する職業能力開発大学校,それから宮崎県にしかありませんが,産業開発青年隊という土木技術者を養成する機関などが新機関に転換するということが出てくるのではないかと思っておりまして,仮にそうなると,官業の著しい民業圧迫につながるものと思いますので,そういうこともきちんと考えた上でこの先の詳細な制度設計を進めていっていただけると有り難いと思っています。
【永田部会長】  はい,分かりました。
そのほか,いかがでしょうか。米田委員,どうぞ。
【米田委員】  23ページの上から二つ目の丸について,ここに書かれているとおりだと思うのですが,最後の3行目のところの「高等教育機関が地域との連携」とある「地域」というのは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
さらに,その下の「地元の関係機関,企業等」についてです。私のイメージでは,仮に,ある地方に新たな高等教育機関が設置された場合に,高等専門学校や普通高校との連携,あるいは教育委員会や知事部局等の関係機関との協力など,いろいろな機関や学校との関係というものが生じると思うのですが,その辺りのことは,「地域との連携」あるいは「関係機関,企業等」の「等」に含まれていると考えればよろしいでしょうか。
【永田部会長】  ありがとうございます。確かに「関係機関,企業等」としてしまうと,具体的にどのような機関と連携するのかということが少し分かりにくいかもしれません。企業は企業と明確に記しているにも関わらず,関係機関というのは曖昧な表現なので,もう少しはっきりさせる必要があるかと思いますので,記載ぶりについては検討させていただきます。
千葉委員,どうぞ。
【千葉委員】  やや感覚的な質問となり,恐縮なのですが,最後の財政措置のところについて,専門職業大学ないし,専門職大学の中に看護の学部ができた場合に,既存の大学の看護学部との間に財政措置の差が出ることになるとすると,それはどのように説明するのか少し疑問に思いました。私学助成というのは学校を救済するためのものではなく,国が本来育てるべき人材を私学が育てているということに対する支援ということかと理解しておりますので,そのような意味では,同じ国家資格を取る看護師を養成する二つの高等教育機関の学生に対する支援が変わってくるというのは,少しおかしいのではないかと思います。この文章の中で言えば,基盤的経費あるいは学生に対する修学支援というところについては,少なくとも共通にするべきではないかということを,意見として申し上げます。
【永田部会長】  ありがとうございます。財政措置に関する記載の始めの部分というのは,わざわざ「既存の高等教育機関と同様に」とは書いておりませんが,学生に対する修学支援や基盤的経費の措置というのは,当然に既存の大学と同様になるものという前提で,あえてそのような記載としていないだけです。
岡本委員,どうぞ。
【岡本委員】  私がこれまで主張し,意見を述べさせていただいたことにつきまして,適切に答申案に書き込んでいただきましたことについて,感謝申し上げます。
特段,表現上の問題ではありませんが,3点ほど最後に意見を申し上げます。
1点目は,答申が出された後の話ですが,詳細な制度設計に当たっては,是非,この答申の精神を生かした制度となるように努めていただきますようお願いします。
2点目は,財政支援についてです。29ページから30ページのところには,いわゆる経常的な経費に対する支援に加え,従来の大学,短期大学ではまだ余り実現されていない関係省庁や地方自治体,産業界などからの多様な資金の支援について書かれており,非常に積極的なお話だと思っております。
ただ,問題は,新たな高等教育機関は,産業界等からの多様な資金があるのだからということで,経常的経費に対する補助率が既存の大学や短期大学よりも低くなる可能性があるのではないかという懸念があります。やはり,既存の大学等と同じ大学体系に位置付けられるわけですから,そこは同列に扱い,今の大学や短期大学が受けているのと同水準の補助というものを行っていただきたいと考えております。
3点目は,資料2の裏側のページの「設置形態」というところについてです。「大学,短期大学が,一部の学部,学科を転換させるなど,新たな機関を併設し」と記載されており,既存の大学,短期大学が新機関を設置できるということについては結構だと思いますが,この書き方ですと,読みようによっては,既存の大学,短期大学の学部,学科の転換によることでしか新機関を設置できないかのように捉えられてしまいますので,ここについては正確に書いていただくようお願いいたします。
以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。
最後に御指摘いただいた設置形態のところについては,確かに,そのほかの例示も書いておいた方がいいかもしれません そのほか,いかがでしょうか。
特にないようでしたら,高等教育全般にわたるいろいろな御意見を頂く時間を作ろうと思っているのですが,いかがでしょうか。
本日,この答申案に対していただいた御意見の幾つかは反映させた上で,この部会から出す最終的な答申案としたいと思います。益戸委員や寺田委員から出ました,財政だけではなくて,人やアイディア,施設・設備の面からも企業の協力を得るべきではないかという御意見や,米田委員から御指摘いただいた「関係機関」や「地方」というものの明確化,寺田委員からございました休日の開講に関する記載についての御指摘等は踏まえる必要があるかと思いますので,その点については必要な修正をさせていただきます。
今申し上げた部分の修正については,私に御一任を頂きたいと思いますが,よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【永田部会長】  ありがとうございます。それでは,今申し上げた部分を中心に,私の方で最後に若干の文言等の修正をさせていただきます。
以上で答申案についての議論は一応終了したことになりますが,本日を含め,この特別部会はこれまでに17回開催されましたが,新たな高等教育機関について話し合う中で,もう少し皆さんと考えたいと思われたこと,我が国の高等教育に関して今後考えていくべきことなどございましたら,簡単に述べていただければと思います。
先ほど麻生委員が言われたようなことというのは,この観点に結構近い部分もあって,日本の学位というのは特有の体系でして,学位というのは,本当は別に分野名を付けなくてもよく,本来,学士課程を卒業したのか修士課程を卒業したのか博士課程を卒業したのかだけを明記すればいいわけですが,日本では全部それを細かく付していて,世界的に珍しい国なのです。今のような日本独自の学位体系を今後も踏襲していくのか,本当にそれでいいのかというのは,新たな高等教育機関に限らず,高等教育全体の話として考えなければならないことかと思っております。
いつも申し上げていますが,博士課程を出たときに,どうして,「博士(工学)」でなければならず,「Doctor of Philosophy」ではいけないのかということです。「博士(工学)」などというのは,アメリカに行ったら,「どこの専門学校の御出身ですか」と言われることになり,アメリカでは全く価値のないものとなってしまうわけです。また,「Doctor of Education」というのは,これは教育学博士として,Ph.D.ではない博士として世界的に認知されている学位なのですが,日本ではそれも「Ph.D.(教育)」と表記して称する方もいまして,そういうことをしてしまうと今度は,その人は一体何のPh.D.を持っているのか,教育学でどれくらいのレベルのことを学んだのかということになってしまい,逆に世界的な評価を得られない可能性も出てきてしまうわけで,つまり世界的な通用性や互換性というのは非常に重要なことで,そのようなことを考えたときに,今の日本の学位体系というのは一度見直す必要があるのではないかと私は感じるのです。
余り長くは時間を取れませんが,最後に言い残したこと,是非とも言いたいがあれば,おっしゃっていただければと思います。
はい,金子委員,どうぞ。
【金子委員】  私は,基本的に職業教育は重要だと思いますが,それは従来の大学の幅を広げることによって解決でき,新しい学校種の制度を作って二分することには反対であるという立場は今も変わっておりません。ただ,今回の結論については既に決まったことですから,これ以上,私は申し上げませんが,少し気になったことを一つだけ申し上げておきます。15ページの「3.大学体系への位置付け」の二つ目の丸に,「『大学』については,国際的な共通概念が存在しており,大学体系の機関は,学術に基づく理論の教育や教養教育を行うことを特徴とするほか,高等教育機関のうち学位授与権を持つものは,基本として大学体系の機関に限られる」と記されているのですが,この中に新機関を入れるということになると,前半の「学術に基づく理論の教育や教養教育を行うことを特徴とする」ということにやや矛盾することになってしまうのではないでしょうか。
ここのところは,表現上,何か工夫しなければならないと思います。この部分はこの答申案の根幹となるところなので,修正するのはなかなか難しいのかもしれませんが,このままの文章ですと,答申案の中で自己矛盾が発生することになります。
なお,これまで17回にわたるこの特別部会での議論は,新機関の制度設計に係る議論が主たるものでしたが,この中で繰り返し,職業人の教育について意見が出されていました。私は,職業人の教育があたかも新機関でなければできないという論理はおかしく,従来の大学ないし大学院においても当然教育の目的,若しくは目標になるはずであります。また,この新機関の制度設計の特徴として,実質的な職業教育のフレームワークや累積単位制,モジュール制の話が出ていましたが,本来これは従来の大学,大学院で議論されるべき問題であり,過去に出された中央教育審議会答申の中にもそのように書かれております。これは,やはり文部科学行政全般の怠慢ではないでしょうか。この会議の直接の問題ではないので,今まで余り申し上げておりませんでしたが,高等教育行政全体として,その時々の職業人のニーズに合わせた様々な修学の仕方を総合的に考え,方針を示し,必要な措置を行うのが文部科学省なのではないでしょうか。本来であれば,このような新たな高等教育機関の制度というものを安易に作ってしまう前に,まずは今の大学の仕組み,制度の中でどのように対応するべきか,対応することができるのかということをきちんと論じるべきであったということを今更ではありますが,今後の文部科学行政,高等教育行政のために申し上げておきます。
以上です。
【永田部会長】  ありがとうございます。
そのほか,いかがでしょうか。 永里委員,どうぞ。
【永里委員】  まず,今回のこのまとめは産業界として大歓迎で,非常によろしいと思います。
その上で,そもそも論を少し申し上げます。明治以降,日本の教育がうまく機能したから今日の日本があると思っておりまして,「教育は百年の大計」というのはそのとおりだと思います。そして,それは幼小の頃の教育から高等教育まで含んでの話だと思いますので,文部科学省としては今後もあらゆる学校段階の教育について手抜きしてはならないと思います。幼児教育から高等教育まで一生懸命,どうやって日本を底上げしていくかということについて一生懸命考えて,有効な施策を実施してほしいということを申し上げたいと思います。
それから,部会長のおっしゃるPh.D.に関する見解については,私も同意見なのですが,それとはまた別の次元の話として,産業界が,博士課程修了者をなかなか有効活用していないということも問題だと認識しておりまして,産業界の高等教育への関わり方として反省すべき部分であり,優秀な高学歴の人材の活用についてこれから努力していかなければならないことだと思っております。
【永田部会長】  どうもありがとうございます。今おっしゃっていただいたことは,産業界もアカデミアも考えなければならないことだと思います。日本では,理学部数学科を出ると,ほとんどが教員になってしまい,企業等で活躍する学生というのは余りいないのが現状ですが,今,アメリカやドイツ,イギリスですと,初任給の一番高いのは数学科卒業の学生だと言われています。つまり,今,企業は,スタティクスに近いような数学をやっていたり,逆問題をやっていたりするような方々が欲しくてしようがないということなのです。ですから,このままいくと,日本の数学科を卒業した人たちというのも,どんどんアメリカに就職してしまうのではないかと考えておりまして,貴重な人材がどんどん海外に流出してしまい,ひいては日本の国力も弱まってしまうという事態を引き起こすのではないかという懸念があります。これは,アカデミア側の我々が,純粋数学ばかり行っているのも問題ですし,また数学を専攻し,修了した学生を企業が全然採用しないということもいけないことだと思っています。
益戸委員,どうぞ。
【益戸委員】  これまで,海外との比較,海外と日本の競争という観点や,東京と地方のような観点からいろいろと意見を述べました。今,部会長がおっしゃったことは,日本の教育対世界の教育という点でいつも感じることです。海外のドクターレベルは,企業にとって大いなる戦力です。すごく勉強してきているからです。勉強だけで社会のことを全く知らないかというと,決してそのようなことはなく,企業は採用したくてしようがないということになります。以前,お話ししたかもしれませんが,海外ではなかなか優秀な日本人の雇用が進みません。仮に採用されたとしても入社後の競争に敗れてしまうという現実があるので,これを何とかしないといけません。そして,規制緩和,規制緩和と言われている時代ですから,新制度は細か過ぎないようにしていただきたい。従来の実務家教員の採用ガイドラインではドクターを持っていないといけない,審議会に出ていないといけない,論文等を書いていないといけないなど幾つかあったと思うのですが,そのような人材は企業にとっては,企業のごく一部の人材です。様々な角度から実務家教員を定義していただきたいと思います。
【永田部会長】  どうもありがとうございます。
それでは,安部委員,お願いいたします。
【安部委員】  今回の新機関の教員に関しましては,4割以上が実務家教員で,その実務家教員の半数以上が研究能力を併せ有する実務家教員ということになっておりますが,実務家教員の研究能力に関しましては非常に重要なことだと思っております。ただ,これは,逆に取れば,必要な専任の実務家教員の半分は研究能力を持たなくてもいいということになっているのですが,やはり,大学である以上,またこの機関は職業人の養成に特化する今までにはない新しい高等教育機関なのですから,必要専任実務家教員のうち半数とは言わず,全ての実務家教員が職業教育に係る研究能力を持たないといけないのではないかと思います。
私は,職業に関する能力というのは,特に陳腐化するスピードが速いものと承知しておりますので,やはり学生に教授する立場である教員たる者,常に,当該分野について研究というものをし続けなければならず,研究能力というのは必須ではないかと考えております。
2点目は,日本の高等教育のグランドデザインの中で,地方を支える中堅職業人の養成をどの機関が担うのかということをはっきりさせなければならないと思います。この新たな高等教育ができたことによって,高等教育機関の種類が増えるわけですが,特に地方に関しましては,地方を支える職業分野をどの機関がどのように担うのかということについても,グランドデザインの中で検討していただきたいと思います。
それから,この新たな高等教育機関は社会人の学び直しの充実を声高に言っておりますが,学位を取りたいという社会人をどれだけ増やしていくのでしょうか。具体的な目標はあるのでしょうか。今般の雇用環境の厳しい中で,いわゆる社会人学生というのはごく僅かしかいないような状況です。また,社会人の学び直しというのは,どちらかというと大学を卒業した人が更にキャリアアップするために大学院に行きたいということがクローズアップされているような気もいたしますので,学士を取っている人が修士を取得するために学ぶというだけでなく,同じ学士でも違う分野の学士を取るような学び,類似の分野でも職業実践に特化したことを学び別の学士を取得するといったようなことも含めて,今後は,海外のように25歳以上の大学生が増えるような社会環境を作っていかなければならないと思います。以上,3点,考えました。
【永田部会長】  ありがとうございます。
麻生委員,お願いします。
【麻生委員】  以前にも何度か申し上げたかもしれませんが,今回の新たな高等教育機関の制度化について,職業教育に重きを置いた,職業教育に特化した高等教育機関ができるという点では,非常によろしいことと思っております。
現行の大学制度については,学校教育法上の第9章で示されていますが,大学に関する規定から始まり,短期大学はその章の中の第108条に規定がなされており,第83条の大学の目的に代えて,修業年限が2年,3年,名称が短期大学,学部は置かないで学科を置く,大学院を置かないなどといった決まりになっております。しかし,今回,新しくできるこの高等教育機関は,この第9章の中に入り,既存の大学や短期大学と同じ修業年限や学位にも関わらず,前期課程と後期課程に分けることを可能とするなど,既存の大学及び短期大学とは完全に対応した制度とはならない予定であります。この新しい課程区分制というのは,既存の大学等との制度とは整合が取れないので,この新たな仕組みを入れるのであれば,既存の大学や短期大学の方を新機関の仕組みに合わせるといった対応も必要ではないかと思いますので,既存の制度との整合性という点で,一つ指摘をさせていただきたいと思います。今後の検討課題ということで,よろしくお願い申し上げます。
【永田部会長】  ありがとうございます。
それでは,川越委員,寺田委員で終わりにさせていただきます。それでは,先に,川越委員,お願いします。
【川越委員】  私は,昭和46年に大学の経済学部を卒業しましたが,恐らく私の年代の,特に文系というのは,皆そうだと思うのですが,大学を卒業したことで,自分が学士になったという意識は全くなく,大学卒業後は,とりたてて何か考えることもなく,会社へそのまま就職し,定年まで働くというパターンの人生を送ってきていると思います。企業側も,どの学士を取得しているかというよりは,どの大学を卒業しているかに関心があった時代でした。
理系の学生の多くは大学院に行かれているので,当然,修士や博士といった学位の重要性はよく理解しているわけですが,今でもやはり,恐らく文系の学生というのは,どの分野の学士かという意識よりも,どこの大学の何学部を出たかという意識の方が強いと思います。新機関は,大学体系に位置付けられるということで,4年制であれば,学士の学位が授与されるということになるわけではありますが,既存の大学に比べ,どの仕事をどのレベルでできるかというアウトカムの重要性が非常に高い学校になると思っております。4年課程の自動車整備の専門職大学を出ましたが1級整備士の資格は取得できませんでしたとなると,学位としては学士を取れていたとしても使い物にならない人間ということで,社会,その業界では評価に値しない人間になってしまうのだと思っています。ですから,もちろん,国際通用性といった観点などから,学位というのは大変意義のあるものではありますが,どの仕事をどのレベルでできるかというアウトカムを,学校も,教員も学生自身も,積極的に追求していくような大学になってほしいと願っております。
【永田部会長】  ありがとうございました。
寺田委員,お願いします。
【寺田委員】  答申案については全く触れないのですが,特に高等教育局の関係者には是非申し上げておきたいことが二つございます。
一つは,当初,この新機関の創設に関して,実は高等専門学校に大変期待をしておりましたが,答申案が出来上がった今,高等専門学校が新機関に移行することは非常に難しいという印象を受けていますし,この答申案にはそのようなニュアンスは全くといっていいほど見受けられないのですが,高等専門学校が果たす役割は,これまでも,そして現在も,またこれから先も非常に大きなもので,国際的にも高く評価をされていますので,新機関への移行とは別で構いませんので,高等専門学校の振興策について是非お願いをしたいと思います。高等専門学校は,特に1990年代の頭で歴史的役割というのは一定程度果たしたと思っておりまして,そこから先の次の発展を考える時期にきていると思っております。高等専門学校の発展については,別の委員会等で議論されてはいると思いますが,まだまだ将来の可能性のある機関だと思い,大変期待しておりますので,高等専門学校が引き続き独自の力を発揮できるよう支援等をお願いいたします。
もう1点は,以前も発言したことがありますし,この答申案の中でも少々触れられていますが,機関別評価と分野別評価の一体的展開ということが現在の高等教育行政の課題の一つとしてあるかと思います。諸外国のように,多様な認証機関を国が認定し,育てていくという動きを是非作り出していただきたいと思っています。その場合は,恐らく大学改革支援・学位授与機構との関係の整理などという話も出てくるのだろうと思いますが,やはりこのような新機関等で,実践的な分野がたくさん出てきますと,一つの認証機関だけでは処理し切れないという問題が生じるのではないかと思っておりますので,特に分野別評価の受皿となる機関をしっかりと作り,育てるということも必要な対応として,是非行っていただきたいと思っています。
以上です。
【永田部会長】  ありがとうございました。それでは,ここで自由討議は終了とさせていただきます。いよいよ,この部会を閉じさせていただきたいと思いますが,最後に,黒田副部会長,土屋事務次官から御挨拶を頂きたいと思います。
それでは,黒田副部会長,お願いします。
【黒田副部会長】  ありがとうございます。私は,有識者会議で12回,この特別部会で17回,この新たな高等教育機関の制度化に係る議論に携わってきたわけでありますが,日本の高等教育機関の在り方をこれから真剣に考えていかなければならない時代に入ってきている中で,高等教育としての職業教育をどうするのかということが世界的にも非常に重要になってきていると思います。そうした中で,今,この答申をお出しいただけることは本当に有り難く,大変意義のあることだと思っております。
これは,この後,総会に諮られて,その後,詳細な制度設計に入るものと思いますが,詳細な設計の段階でこの新機関の価値というものが決まってくると思います。国際的な通用性も必要ですし,また,国内の,この新しい大学を支えようとする人たちにどのくらい理解をしていただけるかということが非常に重要になってくると思います。ここで,学ぼうとする人たちに対して,本当にいい制度だと思っていただけるような制度設計がこれから始まるということです。全体の枠としては,大学体系の中に位置付けられるということでありますから,学位もそれなりに付くわけでありますが,永田部会長が言われたように,日本の学位というのが本当に世界に通用するのだろうかということも同時に真剣に考えなければなりませんし,今,日本にとって一番大事なのは,文部科学省だけでなく,国全体として,日本の国を今後支えていくために高等教育がどうあるべきかというグランドデザインの設計をすることだと思いますので,その辺も踏まえながら,この先も関係各位が一体となって,しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
恐らくこれからの子供たちというのは,もう100パーセント近い人が大学を修了すること時代が来るのだろうと思っています。先ほど数学の話が出ましたが,数学が分からないと企業でいろいろな開発ができないという時代になってきているわけです。これまでは特権階級だけが大学を出る時代で,そのような教育がずっと続いてきましたが,もはや今はそういう時代ではありません。ただ,教育の現場へ行くと,まだその名残が教員の中にはあると感じることがあります。現場をどう改革していくかということも非常に重要なことだと思います。そういう意味では,この新機関の制度は,教育現場にとっても,一つの大きなインパクトを与えることかと思いますので,大いに期待したいところです。
あわせて,専修学校というのは,地域にとっては本当に重要な機関なので,専修学校をどう支えていくのかということも非常に重要だと思います。これは都道府県が所管していますから,その地域ごとで活発な専修学校の活動というのが必要になってくると思いますが,都道府県の所管である専修学校等も含めて,日本の教育システム全体をどうしていくかということを考えるに当たり,今回,職業教育を行う新しい機関,大学の制度化について,このような答申が出るのは,大変意味のあることで,教育関係者であり,我が国の職業教育の発展を願う私としても,本当にうれしく思っています。ありがとうございました。
【永田部会長】  それでは,文部科学省を代表いたしまして,土屋事務次官から御挨拶を頂きます。
【土屋事務次官】  事務次官の土屋でございます。永田部会長,また,黒田副部会長をはじめ,各先生方,大変お忙しいところ,昨年5月から1年間で,17回にわたる会議において御審議くださいまして,本当にありがとうございました。本日は,答申案についての御議論をお願いして,最終的な方向性,案の調整を頂戴いたしました。丁寧な御審議の結果,答申案としてお取りまとめいただけましたことにつきまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございます。
この答申についての議論は,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化という議論ではあるわけですが,今,直前のセッション,また,永田部会長,黒田副部会長からも先ほどお話がありましたが,この議論は高等教育機関の担うべき機能,また,その体系に非常に重要な問題意識を御提示いただいたと認識しており,今後の高等教育についての重要な議論につながっていくものと認識しております。
また,この答申案につきましては,今月末の5月30日の中央教育審議会総会に御報告させていただく予定でございます。総会で答申としてまとめられた後につきましては,文部科学省におきまして関係法案の準備を行い,準備が整ったところで国会へ提出をさせていただきたいと考えているところでございます。
また,法律の成立後は,先ほど御議論がありましたように,設置基準等の詳細な制度設計を中央教育審議会の大学分科会で行っていただき,この制度の実施を目指してまいりたいと思っております。
私ども文部科学省といたしましては,この特別部会で御議論いただきました事項を十分に踏まえ,質の高い専門職業人養成の機関として社会の期待に応えられる制度となるよう取り組んでまいる所存でございます。委員の皆様方におかれましては,特別部会としての御議論は本日で最終回ではございますが,今後とも,それぞれのお立場から引き続き御指導,御鞭撻(べんたつ)いただきますよう,お願い申し上げたいと思います。
以上,簡単でございますが,これまでの皆様方の御尽力に対しまして厚く御礼を申し上げ,御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
【永田部会長】  土屋事務次官,どうもありがとうございました。
それでは,本日の17回をもちまして,この特別部会を閉じさせていただきます。御協力,本当にありがとうございました。

―― 了 ――

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生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付

高等教育局高等教育企画課新たな高等教育機関プロジェクトチーム

(生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付、高等教育局高等教育企画課)

-- 登録:平成28年10月 --