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実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会(第11回) 議事録

1.日時

平成28年2月26日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 3階 第一講堂

3.議題

  1. 審議経過報告(案)について
  2. その他

4.議事録

【永田部会長】  おはようございます。所定の時間になりましたので,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会の第11回を開催させていただきます。

本日は,報道関係者等より,会議の録音及びカメラの撮影を行いたいという旨のお申出があり,これを許可しておりますので,御承知おきいただきたいと思います。

今回は,前回に引き続いて,審議経過報告書の案について御議論いただきたいと思っております。今回,じっくりと話し合って,大きな問題が出てくれば,また次回以降に継続的に議論することといたしますが,この辺りで,一旦,審議経過報告案を確定させたいと思っております。

それでは,配付資料について,事務局から御説明をお願いします。

【塩原主任大学改革官】  お手元の配付資料の御確認をお願いいたします。

本日の配付資料ですが,議事次第に加えまして,資料の1-1,1-2,資料2,3の4点でございます。不足がありましたら,お申し付けください。

以上でございます。

【永田部会長】  ありがとうございます。これから議論していくに当たっては,これまでの議論の反映が見える,見え消し版の資料1-2を御覧いただくのが最も分かりやすいかと思いますので,こちらを御覧になりながら,議論を進めていくことにいたしましょう。

それでは,前回と同じように,章立てごとに討議を進めていきたいと思います。

それでは,「はじめに」というところと第1章の部分,冒頭から5ページぐらいまでについてざっと目を通していただいて,御意見をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【森田高等教育企画課長】  部会長,修正箇所を簡単に御説明させていただいた方がよろしいでしょうか。

【永田部会長】  その方がよろしいかと思いますので,よろしくお願いします。

【塩原主任大学改革官】  それでは,資料1-2について御説明いたします。前回の素案からの修正部分の赤字見え消しの部分のみ,御説明させていただきたいと思います。

まず,1ページ目,「はじめに」でございます。こちらにつきまして,昨年4月の文部科学大臣の諮問を受けまして,現在,本特別部会と同時並行で審議が進んでおります生涯学習分科会での審議テーマにつきましても言及をすることといたしまして,両者の関係について説明を加えているものでございます。

続きまして,3ページでございます。第1章,1の(1)産業・職業の状況の丸1の世界的な状況の二つ目の丸の部分でございますが,前回,最後の経済のサービス化,ソフト化という部分が,全体の記述とどのようにつながっているのか分かりにくいというような御指摘を頂きましたので,前後のつながりがより分かりやすくなるように記述の補足を行っているものでございます。

4ページを御覧ください。4ページ,2.今後の職業人材養成の在り方の部分でございますが,前回の素案では,新たな機関で養成する人材の活躍の場といたしまして,どちらかというと国内をイメージしたような記述になっているのではないかといった御指摘がございました。海外への事業展開等も意識した記述が必要ではないかとの御指摘を踏まえまして,記述の追加を行ったものでございます。

また,5ページでございますが,前回,新たな機関における留学生の受入れについての考え方についても,何らかの記述が必要ではないかとの御意見があったことを踏まえて,追加しているものでございます。

その次,6ページでございます。第2章の1.(1)高等教育における職業教育の現状の部分でございますが,このうち,高等専門学校の部分につきまして,前回,内田委員から御指摘があったことを踏まえまして,より正確な記述に改めたものでございます。

少し飛びまして,9ページを御覧ください。9ページの最後の部分,高等教育における職業教育の課題と求められる対応に関する部分でございます。前回,委員より御発言のあった内容を取り込みまして,大学等の既卒者が専門学校に再入学したり,大学等の現役学生がいわゆるダブルスクールで学んだりしている状況もあることについて,記述を加えております。

次の10ページでございます。前回,新たな機関に対するニーズや,既存の大学との違いをもっとはっきりと打ち出すべきではないかとの御意見もたくさん頂きましたので,それらを踏まえた修正を行っております。

まず,一つ目の丸の部分でございますが,新たな機関の特色といたしまして,高等教育の修了,入職時点で専門的な業務を担うことのできる実践的な能力を身に付けた人材を送り出すという点もより明確に打ち出すよう,関連の記述を追加いたしました。

また,二つ目の丸のところでございます。この二つ目の丸のところで,真ん中辺りに小さく赤字で,米印の2と付しておりますが,これについて脚注で追記をしております。これは,学問的な体系性を基盤とすることを重視した大学教育のみで需要の全てに対応することには限界もあると考えられることについての補足説明でございまして,海外では,大学がファッション,食などの分野の人材養成にも対応している実態があるが,我が国では,これらの分野の教育が大学教育としては十分に発展してこなかった経緯があることを記しているものでございます。

また,例えば看護師養成の分野においては,看護学の教育を行う看護大学が近年急増したが,一方で,新人看護職員の臨床実践能力の低下などの指摘があるということ,さらに,観光分野に関しては,政府の会議においても,観光学の学校ではなく,観光に関する実践教育の学校が必要との意見が出されているということ等についても加えております。

さらに,同じく10ページの上から二つ目の丸の部分でございます。新機関の性格付けの部分につきまして,前回の記述は学術知と職業実践知の両面に基づく教育に最適化した高等教育機関と記述しておりましたが,ここはむしろ,職業実践知の教育に軸を置きつつ,学術知の教育にまで至る,職業実践的な職業教育に最適化した高等教育機関と表現して,その特色をよりとがった形で明確化した方がいいのではないかということで修正を行っているところでございます。

さらに,最後の丸の部分につきましても,技能の教育と学問の教育の双方に強みを持つというよりも,技能の教育と学問の教育の双方の教育を行うことを明確化しつつ,技能の教育に強みを持った機関ということで,その性格付けの記述の修正をしているものでございます。

11ページ,第3章の1.養成すべき人材像でございます。11ページの下の部分でございますが,例えば高度な専門性など,「高度な」というような表現にすると,大学的な印象を与えてしまわないかという御指摘があったことを踏まえて修正を行っているものでございます。

また,12ページの上の部分でございます。中小企業,ベンチャー企業などに言及していた記述を削除いたしました。この審議経過報告全体として,新機関の卒業生の就職先は中小企業だと見えないよう,中小企業との対応を強調しない方がいいのではないかといった御指摘があったことを踏まえての修正でございます。

続きまして,13ページの3.大学体系への位置付けの部分でございますが,こちらの赤字追加部分は,留学生受入れに関わる考え方の記述として記載の追加をしたものでございます。

続きまして,14,15ページ目,我が国の高等教育段階の職業教育に関する制度的経緯に関する参考部分でございますが,御指摘を踏まえまして,大学院入学資格関連の記述を追加しているものでございます。

さらに,16ページ,第4章でございます。第4章の1.(1)身に付けさせるべき資質,能力でございますが,これは16ページから17ページにかけまして,職業人として共通に身に付けさせる能力,自立した職業人のための学士力の内容の例示を充実いたしているものでございます。

19ページ,上の四角囲みのところを御覧ください。インターンシップの充実に関する部分ですが,インターンシップにつきましては,その質の確保を図りつつ充実するものである旨を明記したものでございます。

続いて,20ページでございます。前回の御指摘を踏まえて,「地方創生」というキーワードを織り込むこととしたものでございます。

21ページの中段でございます。他の高等教育機関等との連携の部分に,省庁系大学校との連携に関する記述を追加しております。

22ページでございます。こちらは,教員の資格等に関する記述でございますが,前回,この四角囲みの中,実務卓越性に基づく教員を教員組織の中に積極的に位置付けるとしつつ,一方で,教授,准教授等の職制につきましては,大学,短期大学と同様とすることを基本とするということで大丈夫なのか,大学と同様とすることを基本としてしまって,積極的な実務家教員の活用というのが本当にできるのかという疑問,御指摘を頂きました。この部分につきましては,その上の一つ目の丸のところにございますとおり,現行の制度といたしましても,大学等の教員につきましては,法令上は,研究上の能力,実績に基づく教授等の資格と並び,実務上の能力,実績に基づく教授等の資格というものが既に明確化をされています。

ただ,実態としては,現在の大学等の中で実務家教員が果たす役割はおおむね補完的なものにとどまっており,教授等の選考につきましても,学位や研究業績のみを重視する傾向がいまだ強いとの指摘もあるくらいですので,このように記載をさせていただきました。

続きまして,23ページでございます。質保証の仕組みの部分でございますが,法科大学院導入の際の反省を反映させた形での記載を報告の中にも入れられないかとの御意見を踏まえ,一番上の部分を追加しております。

また,四角囲みの中でございますが,企業内実習,インターンシップの質保証について記載しているとともに,さらに,大学設置認可に当たって,ビジョンもきちんと審査すべきという観点からの記載を追加いたしております。

最後,25ページを御覧ください。前回,御意見を踏まえ,産業界に対しての協力の呼び掛けに関する記述の部分で,社会人の学び直しに当たっての,例えば企業の中での働き方の問題など,学び直しのための環境整備に関する協力を要請する旨の記載を追加いたしました。

さらに,省庁間の連携に関する部分につきましても,学び直し等の費用負担の軽減策についても検討を求めたい旨を記載いたしました。

以上が修正点でございます。よろしくお願いいたします。

【永田部会長】  ありがとうございました。それでは,「はじめに」と第1章の部分,5ページまでですが,ここに対する御意見等ございましたら,お願いいたします。いかがでしょうか。

文言等は,前回御指摘のあった,例えばグローバル化という単語を入れたり,革新という文言の後ろに括弧をつけてイノベーションという言葉を入れたりして,御意見が出た部分についてはかなり反映されているものと思います。また,今まで議論をしていながら,明文化されていなかった部分というのが若干ありましたが,それらについても今回新たに付け加わっています。

いかがでしょうか。第1章までについて御意見がないようであれば,次の第2章のところを含めて見ていただくことにいたします。

第2章は,前から言われておりますが,第3章の制度化のところも含めて,既存の大学とこの新たな教育機関というものの位置付けをいかに明確に,あるいは明快に書き得るかということがずっと言われており,少しでも分かりやすくなるようにということで,今回このように文言が修正されているということです。いかがでしょうか。内田委員,高等専門学校のところの書きぶりはこれでよろしいですか。

【内田委員】  はい。結構でございます。

【永田部会長】  そのほかはいかがですか。金子委員,どうぞ。

【金子委員】  前回から,最大の問題は,新しい機関に対してどのような社会的ニーズがあるのか。それに関連して,既存の大学がそのニーズに対して対応できないところはどこかというところを明確にするということだったと思いますが,その点に関して,議論がだんだん煮詰まってきていることは認めますが,今回付け加えられた部分など,この審議経過報告案の方向性と一部整合性がない部分があるのではないかと思います。

一つは,3ページの下の新しい注の3ですが,産業構造審議会の答申を引用して,第4次産業革命において増加していくミドルスキルの仕事の例を示しています。このミドルスキルというのをどのような意味で書いているのか分かりませんが,IoTを活用したビジネスの企画立案,データ・サイエンティスト等のハイスキルの仕事のサポート業務,個人のセンスやアイデアを生かしたマスカスタマイゼーション,ヒューマン・インタラクション等々があるということなのですが,これらに対して新しい機関が本当に対応することができるのかと私は疑義を抱きます。裏を返せば,既存の大学がこれに対して対応できないということになるのだと思いますが,これを見ている限りで,大学では対応できないという明確な選別があるようには思えません。

それから,ここに書いてあることと教育との関係というのが必ずしも一致していないように思えます。個別の企業の中で要求される仕事の種類としてこういうものがあると言えるのかもしれませんが,これが教育とどのように結び付くことなのかということがよく分かりません。

新しい機関をつくるならばここでの議論を通じて具体的なイメージというものを作っていかなければいけないと思いますけれども,そういったイメージにここに書いておられる例示などが寄与するのかどうかは,私にはよく分からないので,この辺りの意図を御説明いただきたいと思います。

それと,もう一つ,この第2章の最後の方,ページで申し上げると10ページですが,ここが一番重要なところだと思います。既存の大学でできないところというものの具体的な例を出すという意味では,これは必要だと思いますが,ただ,このような書き方をしたら既存の大学は相当怒ると思います。

例えば,看護系大学は医学,心理学,社会学等の教育を行っていますけれども,昨今,臨床実践能力が低下しているという指摘があるということですが,現在行われている大学の看護教育が間違っているのかというと,むしろ最近の看護教育はチーム医療などの様々な要求が出てきていて,臨床の実技だけではなく,様々なスキルが要求されているために,幅を広げることが要求されているため,決して間違った方向にあるとは言えないと思うのです。臨床が足りないという点だけをもって,大学で看護の教育をやるのは,おかしいのではないかということの方がおかしいのではないかと思うわけです。

それから,その次に観光学の例が出ていますが,既存の大学にも観光学部というのはありますが,その人たちに言わせれば,このように二分できるのかということについては,相当大きな異論があると私は思います。

それからもう一つ,調理関係でも日本の大学は十分な人材養成をしていないとあるのですが,実際に今,女子栄養大学など幾つかの大学では,調理関係のいろいろな大学教育を行っていて,大学の中にレストランを作るなどという取り組みもしており,実践的な教育というものを既に十分に行っているところもあるものと私は認識しております。

それから,服飾関係についても,文化学園大学や尚美学園大学などは,きちんとカリキュラムを作り,相当実践的な教育を行っているものと承知しております。

実践的な職業のイメージから,そもそもそのような教育は既存の大学で行う意味がないのではないかという先見というものがあるとともに,大学で行っているものというのは全部学問になっているのだという一種の先入観があるから,このような認識になってしまっているのであって,実態を見てみれば,各大学それぞれ努力をしていて,既存の大学が実践的な職業教育を行っていないかというと,決してそうではないのだと思います。

要するに,どこが既存の大学と新機関を分ける決定的な線なのかというのが,やはりまだ大きな問題として残っているのではないかと思います。将来,このような制度が仮にできるとしても,そういった学校を認定する際に,線引きというものをどうするかという点で,非常に大きな問題だと思いますので,それについては十分な議論が必要かと思います。

それから,この審議経過報告が出された後,当然,パブリックコメントが行われるのだと思いますけれども,既存の大学や短期大学からは,今申し上げたような相当大きな批判というのが寄せられるだろうと思います。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。そのほかいかがでしょう。それでは佐藤委員,どうぞ。

【佐藤委員】  今,私が申し上げようと思っていたことは金子委員が網羅してくださったような気がします。第2章で,大学がこれまで取り組んできたことについて,どのように理解をして,それをどう書き込んでいくかというのは一つの課題かと思っています。

例えば10ページの下の脚注について,ファッションについては,国際的な高等教育機関のランキングでも,文化学園大学などは2位になっており,実践的な職業教育を行っているということを国際的にも非常に高く評価されていることが分かります。ほかにも,最近多いのは,リハビリテーション系の理学療法系の大学であったり,あるいは美容についても今は短期大学ができていたり,既存の大学や短期大学でもファッションや食,健康関連分野などにおいていろいろな実践的な教育というものを行っているのです。脚注に例示されている分野について取り組んでおり,それが国際的にも認められているような大学がこの記述を見たらどう思うかというのが心配なところであります。

私は,まず今まで大学で取り組んできたことは,この新機関で行おうとしている実践的な職業人の養成というものを阻害するものではないということ,また大学がこれまで取り組んできたことを更に発展させていくようなことが大事なのではないかと思っています。

そもそも大学設置基準の大綱化以降,また,学士教育がプログラムであるというようになってからは,学士という学位名の後に付される括弧書きの分野というのは,700を超して,大学そのものが変容してきていますから,これまで既存の大学が取り組んできたことを伸ばしていくようなやり方をやはりするべきではないかと思っています。

【永田部会長】  具体的な例を入れると,いきなり議論が違う方向に行ってしまうということは前にもあったような気がします。小杉委員,どうぞ。

【小杉委員】  今の議論に関連した発言なのですが,この特別部会でずっと議論してきたことは,既存の大学にはできないから新機関をつくるということだったのでしょうか。既存の大学では対応できないからというよりは,実践的な職業教育を行うための制度的な保証がなかったというのがポイントだったかと思いますので,既存の大学ではこういう分野の人材養成ができていなかったということを言うのではなく,実践的な職業教育を行うのに十分な制度的な保証がなされていなかったということを前面に出すべきではないかと思います。今回,20ページの制度設計の中に落とし込まれてしまっていますが,まず,カリキュラムの設定段階から,制度的に職業団体等が関与することなどを制度的に保証するというのが重要なことなので,こういう制度的な保証があるので,大学では今まで以上に実践的な職業教育というものがやりやすくなるということをきちんとアピールできるような書き方にしていただければと思います。細かい例示を書いていくと,今まで実際に取り組んでいるところから大きな反発が出るというのはもっともなことですから,むしろ,今までは保証されていなかった仕組みを入れていくので,この制度に転換したい大学は転換していただくとプラスがあるのではないかといったような方向性で文章を書いていただいた方がいいのではないかと思います。

【永田部会長】  ありがとうございます。次は,相原委員,お願いします。

【相原委員】  今までの議論に関係して,3ページの31行目,我が国の企業等は,従来,実践的な職業知識・技能の育成は主に企業の役割と考えるという記述があり,この表現自体には違和感はありませんが,少しだけ補記すると,実践的な職業知識・技能の教育と実践から生じる経験的な論理や,その背景を体系化することも企業側で行っていたと思います。非形式的な方法や手段としての技能のみならず,それを支えるバックグラウンドの論理,経験的なものが社会資源としてあるはずですが,それをうまく体系化できていない,若しくは,体系化できる企業とできない企業とに分かれてしまって,そこが大きく社会に散逸していることに問題意識を置くべきだと思います。

そうすると,この新機関が行う職業実践知の教育は,いわゆるハウツーと,それを支える論理を含むものとすべきかと思いますし,またそのような教育が既存の大学ではできていないわけではなく,ハウツーを一般定理として補強するあるいは支える,若しくは融合させるなどといったことを企業が大学などの教育機関に求めるようになったので,今こういう新しい大学を求めるような議論がなされているのではないかと思います。

【永田部会長】  ありがとうございます。長塚委員,どうぞ。

【長塚委員】  高等教育機関の国際比較という視点が少し入ってきてはいるのですが,まだ足りないのではないかという気がしております。我が国の高等教育機関,大学だけで申し上げると1990年の頃,35パーセント程度の進学率だったと思います。同時に韓国やオーストラリアも同じ程度だったと思いますが,この25年間で,韓国が七,八割になり,オーストラリアは100パーセントを超えました。それに対して我が国は50パーセント程度にとどまっております。もちろん短期大学や専門学校を含めれば,その割合ももう少し上がりますが,韓国やオーストラリアとの違いは何なのでしょうか。

ドイツにおいては,国立大学中心のためか,他の国に比べると,伸びているとは言えませんが,世界全体の高等教育機関への進学率は非常に高まっていて,我が国は足踏みをしているような状態です。しかし,世界的に見たときに,我が国には大学等のいわゆる教育資源というのは相当数あるのです。それが余り生かされていないというのが現状です。我が国においては,高等教育のそのものが売りになっていないということですので,そういう点でもったいないと感じるところがございます。それを何とかしようというのが,今回の制度創設の背景かと理解しております。

そこで,なぜ,そのような状態に日本の高等教育が陥っているのかというと,入学に際して,今までは学術知の物差しだけで能力が測られていたからではないかと思うのです。やはり全てが学術知の物差しで測られると,高校生のうちでも上位層の子供たちがいわゆる選抜性が高い大学に進学し,そのような大学を中心に学生が集まり,結果として,定員割れの大学というのも多数出てきてしまっているということではないでしょうか。

オーストラリアにおいては海外の生徒も多く受け入れているので,自国の高校生以上の入学率になっていて,大学進学率が100パーセントを超える数値となっているわけですが,韓国においては,実践的な職業教育の大学が相当数あるため,この進学率になっているわけです。そのような諸外国の状況に鑑みても,学生のニーズ,社会のニーズとしても,大学というのは学術知の物差しだけで学生を測るのではなく,実践的な力のある学生というのも学術知とは別の物差しで測って受け入れるべきなのだと思います。そのような新しい物差しを入れない限り,今の日本の大学の定員割れのような状態は解消されません。

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関というのは,大学に実践知という物差しをもう一つ加えることによって定員割れを解消し,さらに,進学者の拡大にも寄与していくという点に意味があり,もはや日本はそのような改変を行っていかなければならない段階にきているのではないかと思っております。以上です。

【永田部会長】  ありがとうございました。次,内田委員,お願いします。

【内田委員】  基本的な考え方として,大学が行っていることは,新たな機関では行ってはいけないのかということに関する議論なのですが,両者の教育において重複するところは当然あり得ると思います。例えば,一般教養は片方が行っているから,もう片方は行わないということはあり得ないわけですから,両者は重複することはあるものの,主要な目的が違うということが大事なポイントであるかと思います。

そういう意味では,今までの議論の中でもありましたように,重なるところというのはお互いに実力でもって切磋琢磨(せっさたくま)していくといった形の記述としていただければと思います。既存の大学はここが駄目だというような言い方をするのは少し気に掛かりますので,そのような否定的な観点からの記述ではなく,より良いものを作るという観点でまとめていただければと思います。

【永田部会長】  ありがとうございます。國枝委員,お願いします。

【國枝委員】  今までの議論とは少し外れるかもしれませんが,新機関がどのような人を対象にして,どのようなところを目標にして教育を行うべきかということが書かれている中で,これは私の見落としかもしれませんが,その焦点が今働いている人たちに向けられており,将来のことを見据えた書き方になっていないように感じました。例えば今,労働力が足りないということで,女性の労働力を活用していかなければならないということを政府は一生懸命おっしゃっていますが,その女性の働き方,生き方,ライフステージ,すなわち家庭を持ったり,子供を育てたり,あるいは介護をしたりという中で,いかにして社会人の学び直しを行い,社会での活躍につなげるかということがここには欠けているように思いました。女性の視点というのか,そういったものもどこかに組み入れておかないといけないのではないかと思いますし,制度を作るときに,既存の労働力ばかりに注目を集めていくのでは不十分ではないかということを心配いたします。

【永田部会長】  ありがとうございます。それでは金子委員,お願いします。

【金子委員】  もう一回,繰り返すことになりますが,既存の大学ができること,できないことと,既存の大学が対応できない社会ニーズに対応するためには新機関が必要だという論理は,新しい制度を作るに当たっては当然求められるものだと思います。こういうことが重要だから新機関をつくるというのでは,新たな制度を作る理由としては十分とは言えません。これは閣議決定で期限が決まっている案件ですから,実践的な職業教育に関する必要性についてはかなり漠然としたものを示して,このまま審議経過報告を出して,とりあえず進めていってしまうということは可能なのかもしれませんが,このままこの新機関の必要性を整理せずに曖昧にしておくと,その後,実際に法令や細かな基準などを設けて制度を詳細に構築していく段階になって,非常に大きな負荷がそこで掛かってしまうと思います。

その意味では,現在の段階で制度として,大学をアカデミックなものと職業教育とに二分する,新しい制度を作るということがなぜ必要なのかということについては,論理的に明確にすべきだと思います。

以上です。

【永田部会長】  おっしゃるとおりで,それを今,議論しているところです。次,千葉委員,お願いします。

【千葉委員】  先ほど来問題になっている10ページの脚注2について,私は,このとおりだと思っております。金子委員の方からも御意見いただきましたが,確かにファッションをやっている大学はありますし,食を教育している大学もありますけれども,やはりその教育の中身はゼネラリストという範疇(はんちゅう)で,実践的な教育もその教育の中に含まれるという形で行われていると私は理解しております。

私も,それぞれの教育の中身について熟知をしているわけではありませんが,例えば,ファッションのデザイナーを育てるということに特化した場合には,今の大学制度の中では非常にやりにくいのではないのかと推察いたします。また,食ということについての大学で,女子栄養大学の名前が出ましたが,そういったところで育成するのは,決して一流のシェフではありませんし,一流のレストラン経営者でもないのではないかと思うのです。やはりゼネラリストを養成するということでの食の人材養成という形になっているのではないかと思います。

また,脚注2の最後のところに観光学の学校ではなく,ツーリズム産業の一流人材を養成することについて意見があるということが書かれていますが,ここも,私はそのとおりだと思います。確かに,何回も意見が出ているように,既存の大学でできないということではありませんが,少なくとも,既存の大学はこれを目的にはしていないということは明確ではないかと思います。

企業の方にこの委員会にお越しいただいてヒアリングをした中でも,あるいは,委員の意見としても,今の大学の卒業生が正にこれに当たる人材ではないということは,何回も,そして明確に意見が出ていたと思います。そういう意味では,大学側が送り出しているものと,社会がどう受け取っているかということ,すなわちラーニング・アウトカムのところに乖離(かいり)があり,やはり今の制度の中だけでは,そういう専門職,スペシャリストの育成が十分ではないため,そのような人材育成に特化した教育機関を作って,教育を複線化するということが必要なのだと思います。高等教育を複線化することにより,若い人たちに多様な選択肢を与えていくということは,非常に意味のあることなのではないかと私は考えています。

以上です。

【永田部会長】  安部委員,どうぞ。

【安部委員】  新機関の制度設計については,これまで有識者会議,そして特別部会において何度も議論されてきましたが,この新たな機関は,高校生をはじめとしたたくさんの人々が,こんな機関だったら,こんな大学だったら,是非入学してみたいと思えるようなものにしなければいけないと思っております。
9ページの一番下の丸には,いわゆる職業実践知に基づく技能教育を行って,職業人を社会に出したいと思うときに,現行の大学等においては職業実践知に基づく技能教育については明確な位置付けがなく,大学教育の中ではできていないという現状があり,その一方で,実践的な教育を行っている専門学校においては,質保証が十分ではないということなので,新機関はその間をとったと書かれています。ただ,先ほども既存の大学では職業実践力がなかなか身に付かないという御批判がありましたが,私どもは2年制ではありますが,既存の高等教育機関で地域の職業人養成というものをやっております。
この新機関を高校生等にとって魅力ある機関とするならば,まず,新たな高等教育機関の位置付けというのをしっかりする必要があるのではないかと思います。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。寺田委員,どうぞ。

【寺田委員】  意見といいますよりも,金子委員が繰り返しおっしゃるニーズ,あるいは既存の枠組みの中でこういうことができるのではないかということについてコメントをさせていただきたいのですが,まず,ニーズに関しては,今回,事務局の方から,新たに二,三か所加えられましたが,日本の場合は,大学や高等学校の専門教育,職業教育と企業の労働力需要との関係というのは,もともと非常にフレキシブルだというのが国際的な特徴でありますから,このニーズ,すなわち将来見込みということに関しては,この辺りが提示の限界ではないかと思っています。

今回の新機関の背景あるいは必要性というのは,既存の職業教育の高度化,あるいは,そこで学ぶ学生,卒業生のより良きキャリアを作っていくための一つのクッションである,そのような言い方をしてきましたが,例えば高等専門学校や短期大学においては,職業人の育成に当たっては,従来の2年間あるいは3年間の教育では,まだ十分でないということで,専攻科を置いているところも結構ありますし,専門学校においても,3年制以上の課程が学生数でいうと3割ぐらいあるということからも,長期の職業教育のその必要性というのは分かるかと思います。

しかし,高等専門学校や短期大学の専攻科などが,ばらばらに各高等教育機関にあったり,非一条校である専門学校でそのニーズに対応し続けたりするというのは,国家の人材育成力を強めるという観点からはよろしくないということで今,一つ新しい大学をつくり,そこにまとめていこうということになっているのだと思います。

それから,新機関で行おうとしていることは既存の大学でできるのではないかということについてなのですが,看護や観光,情報関係については,かなり控えめに評価をしても現状では不十分で,今以上に実践的な教育を行わなければならないものと思います。

一つだけ例を出しますと,看護師養成に関して,ドイツでは,実技に関して,3年制の養成課程で2,000時間とされている一方,日本の場合は1,050時間となっています。つまり倍の違いがあるということです。これについてはいろいろな議論,評価があると思いますが,やはりこの実技というのが大きな課題になっていて,大学の教育課程の中にどう位置付けるのかという問題があります。

大学は学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専門の学芸を教授研究するところとされており,その目的には,職業教育がないのです。あえて近いものを挙げるとすれば,「応用的能力を展開させることを目的とする」という学校教育法第83条の最後の部分ではないかと思います。

このように現行の大学にはミッションとして職業教育というものが課されていないわけですから,教育者も当然それを追求,あるいは,職業実践性という点で,企業内実習などを必ず実施するというようなことにはなりませんので,やはり大枠でいいので,高等教育機関における職業教育が促進されるためには,専ら職業教育を目的として追求するというミッションを与える必要があり,その方法として新たな大学をつくり,その大学のミッションは既存の大学とは異なり,専ら職業教育を行うこととするのだと思います。

以上です。

【永田部会長】  私は,小杉委員の御意見はすごく分かりやすいと思います。つまり,大学は何でもできるけれど,今,現実としてできていない部分,するべきことというのを明らかにした上で,そのできていない部分を促進するための措置を制度として設けるということでした。

それに対して,金子委員は,今の大学体系の中でも,基本的に全部できるからそれでもう良いのだとおっしゃっています。できるということと,できているということは,また別問題だと思うということです。できるというのは,確かにそうなのだと思いますが,実際には今の大学では社会のニーズに対応した職業教育というものはできないのではないでしょうか。だから,制度上,こういうことがマストであるというようなものを作っていくという小杉委員のような発想になるのだと思います。

ただ,いわゆる学問なのか技能なのかという切り分けについては,もう少ししっかり書かないといけないかと思っています。看護学も観光学もファッション学も,やはり既存の大学において一定程度なされているというのは事実なので,単になされていない又は不十分というように書いてしまうと,取り組んでいる既存の大学はやはり抗議すると思います。

金子委員,どうぞ。

【金子委員】  現在の学校教育法ないし教育基本法の規定で,大学については職業教育という言葉は出ていません。大学の目的とするところが知識の応用になっているのはなぜかというと,戦前の高等教育はアカデミックな大学と実業教育が完全に分かれていたのですが,戦後改革でそれはいけないのだということになり,アカデミックな教育と実業教育の両方行うのが大学であるということで新制大学が生まれたという経緯があるからです。これは非常に重要なところで,日本の大学制度というのは,様々な機能を包括し,そうすることによって,社会的な差別もなくしていこう,人々の考え方の幅を広げようというのが精神なので,そこのところは十分御理解いただきたいと思います。

【永田部会長】  金子委員の御指摘についてはもっともだと思います。おっしゃるとおり,大学のポテンシャルとしてはいろいろなことができるわけですから,この審議経過報告案には,大学はあれができない,これができないといったことは1か所も書いていません。

しかし,今,現実としては,職業教育にある程度特化して,本当に優秀な技能を持った人,そして,将来,その技能の形が変わっても,自分でそれを新しい技能習得に結び付けられるような高いレベルの人間,またその分野の一般論を持った人というのが必要で,大学でそのような人が養成されているのかというと非常に答えに窮するところかと思います。

先ほど相原委員の御発言にもありましたが,企業としては,これまで,大学を卒業した方に対しても実践知を授けてきています。そうしないと,現場で働けなかったということなのでしょう。では今後はそれを大学が行うのかということですが,今の社会あるいは産業界の要請としては大学で行うべきということなのです。ただ行うべきなのですが,今までそこに特化した形では行っておらず,できていなかったので,今回,新しい高等教育機関をつくっていこうという話になってきているのです。

そこで先ほどの小杉委員のような論理で,そのためには実践的な教育を行い得るような仕組みを設けたり,制度的な保証をしたりする必要があるだろうということで今このような議論の方向性になっているのです。

それでは少し先に進ませていただき,今度は第3章について御意見を頂きたいと思います。麻生委員,どうぞ。

【麻生委員】  第3章の15ページの近年の動向のところを御覧になっていただければと思います。黒丸の下から2番目に,専門学校に関する職業実践専門課程を文部科学大臣が認定するという制度が平成25年に創設されたこと,それから,もう一つ上の黒丸には,大学等において,職業実践力育成プログラムが平成27年度に創設されたことが書かれています。この辺のところで,大分,日本の高等教育機関も実践的な職業教育に近づいたような印象がありますから,今回の新たな実践的な職業教育機関の制度化に当たって,この部分はただ単に,現行制度としてこういうものがあるということを書くだけでなく,既存のプログラムが今回の新たな高等教育機関につながっていく一つの礎になっていることが分かるような書き方にした方がよいのではないかと思います。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

【森田高等教育企画課長】  部会長,よろしいでしょうか。

【永田部会長】  はい。事務局,どうぞ。

【森田高等教育企画課長】  今の麻生委員の御指摘の点は,10ページの上から三つ目の黒丸のところでございますが,大学等や専門学校の実践的な職業教育プログラムに対する認定等の仕組みも活用するなど,既存の各高等教育機関が今後もそれぞれの強みと特性を生かした職業教育の推進を図るとともに,技能と学問の双方の教育を行うことを明確にし,技能の教育に強みを持った新たな高等教育機関を加えることにより,この両者によって,それらが相まって,我が国の職業人材養成の各段の強化が図られることを期待したいという形で位置付けさせていただいたつもりではございました。

【永田部会長】  麻生委員,どうぞ。

【麻生委員】  そのことは十分,分かっているのですが,それがどう機能してきたかということ,そしてそれが新たな機関にどうつながっていくのかというところを是非強調して書かれるべきではないかと考えているわけです。

【永田部会長】  ありがとうございます。既存の大学でこれまでできたことを実績として書かないといけないという御意見でした。

そのほかいかがでしょうか。第3章についてはもう御意見がないようであれば,次の第4章に進みたいと思います。第4章は新たな機関の制度設計ということですが,大学を開校するとなると,この制度設計のところに一番焦点が絞られるわけですから,これが十分に書かれているかどうかというのは非常に重要なところかと思います。小杉委員,お願いします。

【小杉委員】  私は,その制度的に保証することが非常に重要だということが第4章だけに書かれているような気がするので,このことをもっと前の方できちんと述べるべきではないかというのが一つの意見です。

それから,もう一つ,20ページでは教育課程の編成・実施に関する体制の整備やインターンシップ,実務家教員等について企業,産業界と連携することを義務付けているのに対し,第4章最後の,産業界への要請やお願いの部分ではそのようなことが余り書かれていないのです。新機関に対して企業や産業界との連携をこのようにいろいろと義務付けているわけなので,これに対して,産業界からも教育プログラムの策定,体制への参加等に積極的に応じてほしい旨をこのお願いの中にしっかりと入れていただきたいと思いました。

【永田部会長】  既にある記述の中に内包されているかとは思いますが,更に書き込んでほしいという御意見でしょうか。

【小杉委員】  そうです。評価の話についてもそうなのですが,最初のステージとして,まず産業界は各大学の教育プログラムの作成に参加しなければならないので,とりわけその最初のステップの連携に関するお願いについても書いていただければと思います。

【永田部会長】  そのほかはいかがでしょうか。長塚委員,どうぞ。

【長塚委員】  ここの中のどこに入れればいいか,見当がつかないのですが,大学と高校の接続について余り書かれていないと感じました。日本の中等教育は,learning by doingということを余り意識しないで,そのアカデミックな知識の教授だけをやっています。しかし,欧米を見ると,実学的な教育が中等教育機関で行われています。そのように前段部分に大きな違いがあるのですが,中等教育そのものに物申すのも,なかなか難しいので例えば,今,高大接続ということが非常に言われていますから,工業高校などの専門高校から大学に行くまで,生徒がこの新たな高等教育機関に行って,あらかじめ,Advanced Placementで,大学の教育を受けることができるとか,そういうインセンティブを与えられると,非常に良いと思うのです。

そのような実学を志向する素質を高校の段階で,この新たな高等教育機関が導き出せるような働きをすることは,高等教育と中等教育を結び付けていくことになり,高校生等のときから実学的な力を付けながら,なおかつ,この新たな高等教育機関への進学につなげていくということになるのだろうと思うのです。今までも,一般論としては高大接続ということが言われていましたが,なかなかそこがしっかりとした形になっていませんでした。しかし,こういう実学的なものの方は高大接続について試みやすいでしょうし,またそのような取組を行うことで高校生や学生が集まりやすいのではないかということで期待をしています。

以上です。

【永田部会長】  安部委員,どうぞ。

【安部委員】  今の意見と関連するのですが,16ページの身に付けさせる資質・能力の点につきまして,ア)の一番前の方にいわゆる専門職業能力,そして,イ)の方に職業人として共通に身に付けさせる能力ということで書かれていますが,この部分について1点意見を申し上げたいと思います。職業全般が非常に多様化,流動化している今,大学入学までに自分の将来というもののイメージがなかなか湧きにくい若者が結構たくさんいますが,その中で,こういう職業だったら面白そうだとか,こういう職業人になってみたいとか思う人たちが,恐らくこの教育機関に入ってくるのだと思うのです。しかしそういう子供たちは,今の入試体制が非常に弛緩(しかん)していて,例えば学習時間が減っていますから,そのような知識の習得の習慣自体も形成されていない学生が入ってきたときに,この職業人として共通に身に付けさせる能力の部分というのをもう少し強化する必要があるのではないかと思うのです。

新機関は社会人の学び直しの機関ということで,専門職業能力の部分が非常に強調されているのですが,実は,現行の専門学校においても,社会人入学というのは1割強であって,8割以上の学生は高等学校から入学するというのが実態ですから,この新しい機関ができたからといって,急に社会人入学が増加するというのは,日本の雇用慣行から見ても考えにくいので,やはり主たる対象である18歳の学生に対する教育であるということを認識いただき,このイ)の部分の職業人として共通に身に付けさせる能力の中には,現行の大学では教養教育と言っている部分を強調していただきたいと思います。

また,高等学校との連携に関して,長塚委員のおっしゃったような,実践的な職業教育を行っている場を見せることで生徒のモチベーションを高めていくというような取組というのも,当然,この教育機関の中では必要な点であるような気がいたしました。

以上です。

【永田部会長】  今のお二方から御意見がありましたが,今,議論しているのは制度設計の話なので,どのような団体も申請できるように作らなくてはならないわけで,こういう人を対象にしますというように対象が限定されてしまうような書き方というのはするべきではないと思います。募集対象をどうするか,具体的な教授内容をどうするかなどということは申請者側が考えることです。

これは個人的な意見ですけれども,一つだけ言わせていただきますと,この新機関には本当に優秀な子が行ってほしいと思います。日本の経済・産業を支えるような子がこの新機関から出てきたら,その後に続く子供たちも皆この新機関を目指すようになると思います。いろいろと限定をつけたような制度として,進学者の幅を狭めてしまうと優秀な子が行けなくなったり,行かなくなったりしてしまうので,そのような幅を狭めるような記載はするべきではないと考えます。

岡本委員,どうぞ。

【岡本委員】  二つあります。一つは,第1章から第3章までの議論に関するコメントであります。

私も,永田部会長がまとめてくださったように,やはり既存の大学でも取り組むことができるというようなことと,今,新機関を設けるということは必ずしも直結するものではないと思います。新機関は大学,専門学校とは違った目的,そして,産学連携という重要なコンセプトの下,新しい時代にも対応するため,理論と実践を架橋する教育を行うということですから,新たな機関で行うことを現行の大学ではやってはいけないとか,専門学校ではやってはいけないということではありません。

産業界というのはどんどん動いているわけで,経済も動いているわけです。専門学校が一条校ではなくて,補助金も少ない中でこれだけ伸びたのは,産業界と連携して,実践的な職業教育をフレキシブルにやってきたからなのです。そういう意味では,麻生委員もおっしゃったように,今,あるいはこれまで機能してきた職業実践専門課程などといったものも,この新機関とのつながりという観点から記載していただくべきかと思います。

それから,2点目は具体的な事項でありまして,22ページでは,教授,准教授等の職制について,大学,短期大学制度における職制基準と同様とすることを基本とすると書いてあります。これに関して,やはり新しい機関は,先ほども申し上げましたように産学連携というのを柔軟にやらなければならないわけで,教育プログラムというのがどんどん変わっていく傾向がありますから,変わらないプログラムと変わるプログラムというのがあるということも踏まえて,教員組織というのは考える必要があるのかと思っております。

またそのような教育プログラムを支える主な教員というのは,実践的な授業を行い得る教員です。以前,教養教育と専門教育の割合について,私はゲーム,CGクリエーター育成に関するモデルカリキュラムを示して,この特別部会の場で御説明申し上げたかと思いますが,その際,70パーセント,30パーセントという一つの仮説を立てつつ,皆さんに御提案したものと記憶しております。ここが,既存の大学とは大きく違うわけで,既存の大学では,研究業績,論文,学術的な業績を主として評価して大学教授としていますが,今回の新機関では実務卓越性によって評価されていく教員というものがかなりの割合で必要になります。

分野によって違いもあるかとは思いますが,やはり実践的な職業教育を行うということであれば,専門教育は70パーセントぐらい行う必要がありますし,義務化されるインターンシップも含め,実習も相当程度行うわけですから,この大学,短期大学制度の職制や資格基準と同様とするということで本当にいいのかと思うわけです。この文言が,いわゆる教授や准教授,講師,助手など,そういった名称的なものに関することだけならば結構ですが,それが,教授の資格や准教授の資格なども既存の大学と同じように判断するということであるとそれは問題だと思います。新機関には大学と専門職大学院の教員の資格に違いがあるように,新機関の教員資格は大学とは全く違ったものが必要だと思いますので,その点を文章上でもきちんと明記していただくようお願いします。

それから,それに関連して,参考資料の2ページですが,新たな高等教育機関の四つ目に,「自律性を確保」とともに,「(教授会を必置)」とありまして,読みようによっては,教授会を軸として経営や教育を全体的にやっていく機関というイメージ,既存の大学型の教授会を踏襲するようなイメージを受けるのですが,これは本文との整合性という点でいかがなものかと思っております。今回,新しい大学を作るわけですから,やはりこの辺は,従来の硬直的な大学制度を引きずったものであってはならないと思いますので,そこはもう少しきちんと書いていただくか,誤解のないような書き方をしていただきたいと思います。

それから,教授会を必置といいますが,そもそも教授会というものの権限は何なのかということもはっきりさせていただきたいと思います。中学校,高等学校の職員会議も,以前は職員会議があたかも学校の意思決定権を有するような運営がなされておりましたが,それは違うということで校長の諮問機関という位置付けになったと承知しております。大学も今,随分,学長のリーダーシップということが言われているように変わってきているわけですから,新しい制度をつくる以上は,教授会がこれまでの大学のもののように強い権限をもった独立した機関にならないようにしていただきたいと思います。これは専門学校を大学に転換した経営者の方々,あるいは大学の経営者の皆さんも,教授会が言うことを聞いてくれないということを非常に言っておられますから,今回の中間報告でどこまで書くかという問題はありますが,そういう問題意識を持って,しっかり制度の詳細を詰めていっていただきたいと思います。

【永田部会長】  少なくとも,国立大学においては,現在,教授会は何も決定できる権限を持たされてはいません。法的にそうなっています。私学はどうなのですか。教授会がそんなに権限を持っているように,法律上なっているのでしょうか。

【森田高等教育企画課長】  学校教育法上の教授会の規定は国公私共通でございまして,学長に対して意見を述べるという役割です。

【永田部会長】  教授会が特に決定機関でもないということは,新機関にも当然適用されるということだと思います。

【岡本委員】  その辺りは私も分かっているのですが,実態がどうかということとは別に,意識がどうかという話もあると思っておりまして,その辺が旧来の大学の教授会を引きずっているものがあるのではないかという懸念をお示ししたということです。

【永田部会長】  法律で規定されていることとは異なることをあたかもそれが実態だというように書いてしまっては,既存の大学では法律が守られていないというふうに世間には受け止められてしまうので,そのようなことはわざわざ書く必要はないと思います。

【岡本委員】  いえ,審議経過報告や答申に書くべきだと言っているわけではないのです。そういう実態が今までの歴史的経緯の中にあるので,そういうことも踏まえた教授会,新しい教員組織というものが必要であるということを意見として申しているだけです。これは教授会だけではありません。全体として,既存の大学を引きずるようなことがあってはならないということです。

【永田部会長】  そのほかいかがですか。鈴木委員,どうぞ。

【鈴木委員】  全体を通して,三つほど申し上げたいと思います。

まず一つは,先ほど金子委員,寺田委員の御議論を伺っていて,お二人とも高等教育に関する専門家でいらっしゃるわけですが,今ここまで議論が進んだ段階にあるにも関わらず,高等教育等のプロフェッショナルが,その位置付けについていまだに明確にお互い認識できていないような状態ですから,今のこのような状態でどうにかまとめたものをプロフェッショナルでない一般の人たちに向かって,新しい教育機関はこういう位置付けなのだということを本当に説明することができるのかということについて,私は危惧の念を抱きました。それが1点目です。

それから,もう一つは,千葉委員の御意見を伺っていて,特に食に関して,スペシャリストとゼネラリストという考え方が根本的に違うと思いました。一流のシェフがスペシャリストで,管理栄養士はゼネラリストかという議論から,またしなければならないのかと思ったら,大変残念です。なお,医療や看護の分野というのは特殊ですが,この部会の委員には看護等のプロフェッショナルはいないので,知識や正確な情報がないままでの議論のなってしまっているように思います。私は,最初からそれぞれの専門職団体のヒアリング等をして知見や意見をもらう必要があるのではないかということを申し上げていたのですが,それがなされないままこの段階まで来てしまいました。やはり私たちは社会といっても全ての産業が見えているわけではなくて,医療界などは特に専門的な話でその業界にいないと分からないことが大きいので,まず私たちがどこまで見えているのかということを十分認識した上で,やはり議論を進めていかなければいけないのではないかと思います。これが2点目の意見です。

それでも新しい高等教育機関を作るということであれば,恐らく設置基準の具体的な部分というのが非常に問題になってくるかと思います。設置基準の具体的なところというのは,別の委員会で審議されてできるものかと思いますが,今の審議経過報告では,既存の大学設置基準とほぼ同等のものにするというようなかたちで,漠然と示されていますが,この時点でもう少し,より具体的に書いておいていただかないと,設置基準を審議する委員会のところに進んだ段階で非常に甘い設置基準が出来上がってしまい,今までこの会議で議論されてきたことというのが全く無になってしまう可能性があるのではないかということで,意見を申し上げておきます。

以上,3点です。

【永田部会長】  ありがとうございます。御意見の前半部分は,確かにおっしゃるとおりだという部分もあるのですが,認識を一致させ,一つの結論を出そうとして今,いろいろな業界の方々に来ていただいて話し合っているわけです。だから今これだけの意見が出ているのだと思います。閉じた中で議論していれば,そもそもこのような議論にはなっていないと思います。それでは,永里委員,どうぞ。

【永里委員】  産業界に対して実施したアンケート調査があるのですが,その調査では大学で教えていることと,いわゆる企業が必要としているものとの間にミスマッチが起こっているという結果が出ており,今,大学で一生懸命教えているようなことではなく,企業としてはIT等の分野についてもっと教育をしてほしいと思っているというようなことを明らかにしておりました。大学そのものは,本当は何でも教えられるはずなのですが,企業が求めているものに応えられていないという実態があるため,産業界のニーズに合った教育をきちんと行わなくてはいけないとなって,今,このように新たな高等教育機関をつくるべきだということになっているのだと思っています。

ただ,実学というものは陳腐化しますので,新陳代謝が必要ですから,そういう点についてはよく考えなくてはいけないのですが,基礎学力を一生懸命教えることによって,一定の応用がきくようになりますので,そのような応用力をも育むような実学教育というのが必要であろうと思います。

3ページ目に産業構造審議会において取り上げられた,第4次産業革命において増加していく仕事の例が脚注に出ていますけれども,これは最もいい例でありまして,こういった部分に産業界の唱(とな)える真の需要というのが出ているのですが,これは新たな高等教育機関で対応していただきたいことではありますが,実際のところ,大学の範疇(はんちゅう)を超えているような印象もあり,大学院で対応していただくべきレベルのものかとも感じました。いずれにしましても,先ほど申しましたように,産業界としてはニーズにしっかりと応える教育をしていただけるという点で新機関は大歓迎です。

繰り返しになりますが,当然,いわゆる質の保証があることが前提にはなりますが,質の高い機関であれば,産業界としては新機関の卒業生というのも採用していきたいと思っています。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。内田委員,どうぞ。

【内田委員】  主要なところの話ではないのですが,25ページの二つ目の丸のところで,既存の大学,短期大学でも趣旨に添ったものであれば新機関に入れるようにするということについては以前から議論があったのですが,以前は大学等と書いてあって,高等専門学校も入るような印象で,新聞でもそのような形で取り上げられていたように記憶しています。しかし,ここで高等専門学校を排除するような書きぶりになってしまっていることは余り適当ではないと思いますので,その点,御配慮いただきたいと思います。

【永田部会長】  岡本委員,どうぞ。

【岡本委員】  教授会の,法令的な意味については,先ほどの部会長の御説明等で理解しましたが,実務家教員と研究者教員の割合については結局どう捉えればよろしいのでしょうか。専門教育を約70パーセント,教養教育及び専門基礎教育が約30パーセントということであれば,教員組織における実務家教員と研究者教員の割合も必然的に7対3などといったことになってくるものと思うのですが,さすがに7割と3割とは明記できないにせよ,例えば,22ページの四角の中などは,実務家教員をもっと前面に出したような形の書き方に変更いただくべきではないでしょうか。「研究上の能力・実績に基づく教員と並び,実務卓越性に基づく教員を教員組織の中に積極的に位置付ける。」とありますが,なぜ,この研究上の能力・実績に基づく教員を先に書くのでしょうか。具体的な割合については,設置基準の段階で詰めるということであれば,それでも構わないのですが,実務家教員を積極的に位置付けるのであれば,せめてそこの記載の順序を逆転していただいた方がよいのではないでしょうか。

それから,もう一つ,先ほども疑問を呈しましたが,教授,准教授等の職制基準や資格基準を大学等と同様とすることを基本とすることで本当にいいのかということです。教授,准教授という名称については既存の大学等と同様でいいのかもしれませんが,その中身は違ってしかるべきではないでしょうか。ですから,ここの部分はもっと丁寧に書かないといけないと思います。

昨日も,ある経営者と話をしましたら,結局,このままでは新機関は全体として大学と同じになってしまうのではないかということをおっしゃっていました。この新機関の議論をよく御存じの方であっても,教員に関して,今の大学の先生と同じようなものになると思われていますから,その点,誤解のないようにきちんと説明や記載というのをしていくべきではないかというのが私の意見です。

以上です。

【永田部会長】  確かに誤解がないように書かないといけないとは思いますが,新機関は大学体系に位置付けるということですから,既存の大学の基準を基にした基準になるのは当然のことであることをまず御理解いただきたいと思います。それはもはや覆されないことであって,そもそも新しい高等教育機関を大学体系に位置付けないという話合いであったならば,今,岡本委員が出されていたような設置基準についても全然違う結論になっていたと思います。大学体系に位置付けるから,幾つかの文言の中に,大学体系にふさわしいといったような文言が出ているので,そこは恐らく,除(のぞ)けない部分だと思います。そこは御理解いただかないといけません。大学の体系の中に位置付ける,学位を与える,学士を与えるとしている以上,既存の大学の要件とある程度,整合がとれていないとならないのです。

【岡本委員】  そのことは,私もきちんと理解,認識しています。そうではなくて,実務卓越性のある教員というのが一定の割合必要になるという記述があり,それゆえ,新機関は既存の大学の教員組織とは異なるものになることが想定されるのですから,教員の資格基準というのも既存の大学の基準とは異なるものとするのが当然導かれる結論ではないのかということを申し上げているのです。

【永田部会長】  内田委員,どうぞ。

【内田委員】  先ほど,意見を述べさせていただきましたが,実はまだ後半部分がございましたので,加えて申し上げます。参考資料の2ページ目のところに紫色の矢印が記されたものがありますけれども,これに関して前回,高等教育機関の中に高等専門学校が入っていないということをコメントさせていただきました。今回,一番下に米印で記載を加えていただいたのですが,これでもやはり,同じ高等教育機関にも関わらず高等専門学校だけは別扱いというように見えてしまっているので,これはいかがなものかと思います。多くの場合に,高等専門学校は短期大学と並列して書いていただいていますから,少なくともそのような形でこの中に明示していただきたいと思います。

【永田部会長】  私も高等専門学校は日本が生み出した独特のすばらしい教育システムだと思っているため,ここに米印を設けてわざわざ注記をしています。
安部委員,どうぞ。

【安部委員】  23ページの学位の種類・表記について,お尋ねしたいと思うのですが,ここでは,「我が国における既存の学位制度との整合性を踏まえつつ,実践的な職業教育の成果を徴表するものとしてふさわしい設定の方法を検討する。」と記載されていますが,新機関で授与する学位というのは,いわゆる職業学位というものになるのか,またその下には研究学位と職業学位の区別というのは,外国では学士レベルでは設けられていないと書いてありますが,それが我が国ではどうなるのかということ,さらに,もしこの学位をどうするかによって,既存の大学等の編入学等に影響を及ぼすのであればそのことについてお伺いできればと思います。新機関の学位について,今,文部科学省で想定されているような学位とした場合に,例えば,この新たな高等教育機関から既存の大学に編入学はできるのかなどについて教えていただければと思います。そして,この学位の種類・表記については,もう少し方向性を出した記述としていただいた方がよろしいかと思っております。

以上です。

【永田部会長】  おっしゃっているのは,具体例として,「学士(丸々)」といったように,その括弧の中身まで議論した方がいいという意味ですか。

【安部委員】  職業学位は普通の学位とどう違うのかということ,あるいは違わないのかというようなことです。その辺りについて,見解をお願いします。

【森田高等教育企画課長】  今,安部委員よりお話のございました点については,18ページの上の枠の制度の基本設計のところで,学士課程相当の一貫制課程の場合には,学士相当の学位を授与するとともに,その場合,同時に大学院の入学資格を付与するというように記載しているところでございます。それから,一貫制課程のうちの前期課程の修了者,加えて短期大学士相当の課程の修了者,これらにつきましては,短期大学士相当の学位を授与するということで方向性を示させていただいております。そして,その修了者には大学編入学資格を付与するということを書かせていただいた上で,学位の具体的な名称,表記については,もう少し諸外国の状況を踏まえたり,あるいは,今後,各方面の御意見も伺ったりした上で,更に審議していただいて決めていくこととしたらどうかというつもりでこちらの審議経過報告の原案を作らせていただいております。

【永田部会長】  検討の方向性としては,今,事務局から説明があったとおりで結構かと思いますが,学士の名称,いわゆる括弧の中身については,今のところ,まだ具体例は出していませんので,この部分を今後はしっかり検討していかなければなりません。これについては実は,佐藤委員が最初におっしゃったことにすごく関係しています。これまでも再三申し上げておりますが,日本は学士の後に付記する括弧書きの部分が無秩序な状態になってしまっていますので,個人的にはこれは新機関の学位名称のみでなく,既存の大学を含めた全ての高等教育機関の学位名称について,今一度,議論し直した方がいいのではないかと思います。今の状態は,非常に国際通用性のないものになっていると感じます。 佐藤委員,どうぞ。

【佐藤委員】  遡って,一つお伺いしたいことがあります。先ほど高等専門学校に関する表記の話が出ましたが,今回の新しい教育機関は大学体系の中に位置付けていくわけですから,学校教育法上は,当然,高等専門学校とは別立てになるわけですので,ここでは高等専門学校を無理やりこの資料の中に入れる必要はないと思うのですがいかがでしょうか。高等専門学校の場合は中学校卒業の年から教育を行う機関であり,普通課程の上に専門課程が乗るというような構造になっていることからも,その普通課程も含めてここで一緒に議論していくというのは,少し混乱が起きてしまうのではないかと思っています。

【永田部会長】  事務局としては,そのような趣旨で,高等専門学校については,ただし書として入れているということではないでしょうか。事務局,いかがでしょうか。

【森田高等教育企画課長】  高等専門学校の位置付けについては,今,佐藤委員から御指摘がございましたとおり,入学段階が15歳ということで,18歳が入学年齢である大学や短期大学や専門学校と同じ平面の上に書こうとしますと非常に表現が難しいということがございまして,参考資料の方では下に注書きをさせていただくようなことで対応させていただいております。

【内田委員】  制度上は,今おっしゃっておられたように,入学年齢が15歳かどうかという違いはあるかとは思いますが,目標が何かとか,どういう人材を育成するのかということについては,先ほどの矢印の図のように,基本的には変わらないと思っておりますので,同じ目的等を持つ高等専門学校を排除するということは,余りよろしくないのではないかと思うのです。また,この資料の体裁とは別に,そもそも高等専門学校がこの新機関の中に入り得るかどうかというのも非常に重要なことであり,高等専門学校に併設することができるということであれば,議論の中に高等専門学校も短期大学などとの並びで常に入れておいていただく必要があると私は思っております。

【永田部会長】  そのほかいかがでしょうか。金子委員,どうぞ。

【金子委員】  今までの議論とは少し違う部分ですが,23ページの辺りに企業内実習の問題が出ています。新しい機関を作るとすれば,企業内実習が非常に重要な役割を果たすということになるのですが,企業内実習は,大学などでの実態を見てみても,非常に重要だと言われていますが,一方で,実は相当大きな問題があって,企業側から見れば,非常に大きなコストが掛かるので,なかなか受け入れてくれないというのが現状です。特に工学部などでは,工場実習というのを昔からよく行っていたところですが,むしろ今はそれが減っている状況です。なぜかと言えば,工場の側で受け入れるということが非常に難しくなってきているからです。

最近,インターンシップを受け入れる企業が少し増えてきたということですが,これは採用との関係で増えてきているので,必ずしも教育上の効果を狙っているわけではありません。

この特別部会では,企業内実習というのを,重要視し,新機関の特色とすれば,すぐにでも実現できるような言い方になっていますが,実際,どうすればできるようになるのか,どういうものが必要なのかということについては,もう少し議論が必要かと思います。特に私が申し上げたいのは,企業内実習に産業界側の協力は絶対に不可欠なのですが,企業側は,それは必要なことだとおっしゃるものの,本当に受け入れているかというと,実は余り受け入れていないというのが実態で,このままでは新機関の企業内実習の実現可能性というのは全く見えません。ドイツのFachhochschuleではかなり,高等実業学校では,相当な時間を企業実習に使っていますけれども,これは法律的に企業が受入れの義務を負っており,実習中の互いの権利義務についても,きちんと保証する制度が整っているからできていることなのです。

また,アメリカやイギリスでは,サンドイッチコースといって,実際,大学在学中にかなり長期間の実習が行われています。これも,私は1回見ましたが,やはり企業との関連を作るのに相当時間を掛けて,相当な手間を掛けてやっているわけです。同時に,教育的な効果を上げるためには,何をここで学んでくるのか,それから,どこで何を学んできたのかということをまとめるとか,そういったことを一定の教育の枠の中に組み入れてあげる仕組みを作っています。結果として,これはすごい時間も掛かりますし,実はお金も掛かるので,サンドイッチコースを行っているところでは,学生は4年では卒業できず,大体4年半あるいは5年掛かっているところもあるのです。

このように,想定上は非常にすばらしく,美しく見えるものなのですが,実際にやるとなると非常に難しいことなのです。しかも,どういう分野に人材が必要とされていて,どの程度そこに力を向けるのかということを考えてみますと,むしろ大きな経済団体がカバーできるような領域ではなくて,非常に小規模な企業が,地域に散らばっているような企業に引き受けてもらわなければいけないのではないかと思うわけですが,実際にどのように受入れを行ってもらうのか,それをどのような条件で了承してもらうのかといった点について,特に産業界から知恵を出していただくとともに,相当な協力というものをしていただく必要があるということを今ここで強く申し上げておきます。

産業界は,こういった実業的な訓練は必要だとおっしゃるのですが,例えば,採用のときに,どのような能力が必要なのかということを言っているところは決して多くはないのです。いつもいろいろと注文はされるのですが,産業界としてどこで協力するのかということについては,今までほとんどおっしゃっていないわけで,特に今回,こういった新しいものを作るのであれば,産業界としてどのように協力なり,保証なりというものをしていき,社会的にどのような責任を負っていくのかということについて,是非,産業界自身としてもきちんと検討をしていただいて,この議論の中に組み入れていただきたいと思います。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。もし,この審議経過報告の案の中に今のことを書き入れるとすると,25ページのところに入れることになるのでしょうか。最後のところに,産業界もこういうものに積極的に参加していけるようなことを考えてほしいといったように書き込むイメージでしょうか。最後のところに,実は財政的な問題など,いろいろなことがありますが,やはり産業界としてもっとこういうものにコミットしてほしいということを少し付け加えた方がいいかもしれません。そのほかいかがでしょうか。生重委員,どうぞ。

【生重委員】  今の御指摘に関連するのですが,実は私のキャリア教育ネットワーク協議会の関係の企業が,沖縄で専門学校と大学と連携して,ある一定期間,学生を学校の外に出すという取組をきちんと教育課程に位置付けて行っている例があります。このように,大学等に新たに企業等との調整機能を備えて取組を行っていくということを必須にするのかどうか,大学等の中にそのような機能をつくることを必須としないという場合であっても,きちんと外部と連携するには具体的にどのようなことが必要なのかという具体例のようなものも入れて説明しなければ,単に企業内実習が大事だというだけでは新機関自体も企業もなかなか対応が難しいのではないかと思います。特に新機関で想定しているような実践的な職業教育というのは,分野にもよるものかとは思いますが,中小零細企業のところに行っていただいた方が得られるものは多いと思いますから,そういった点からも企業内実習の実現の仕方について,良い例を示してまとめていくことが望ましいのではないかと思います。

【永田部会長】  益戸委員,どうぞ。

【益戸委員】  委員の皆様の御議論を聞きながら,どうやったら,この新しい高等教育機関というのが世に広まっていくのだろうかということをずっと考えていました。企業側にいる人間においては,産業界で今,いろいろな問題が起こっているということから,実践的な職業教育を行う高等教育機関というものを是非作ってくださいということを申し上げているのですが,これが世の中に広まり,浸透するには,根本として,8ページの2.高等教育における職業教育の課題と求められる対応の丸1の一つ目の丸のところにあるように,職業教育に対する認識不足というものを解消する必要があるのではないかと思いました。また,ともすれば,普通教育より職業教育が一段低く見られていること,それから,大学というものを偏差値で考えていることもそれに起因しているということですが,企業はトップ校から全員採用しているわけではなく,いろいろな大学や短期大学,専門学校から学生を採用しているのですが,実は,彼らの中で,企業に入った段階で,既にあの人は自分より上だ,あるいは下だというところから社会人の人生をスタートさせているという現実があるのではないかと私は思っております。

職業教育には今申し上げたような社会的な課題がありますが,この新しい高等教育機関が作られれば,世の中に対して,新しいライフスタイルであるとかキャリアというものを提供することができるのではないか,また,商業高校や工業高校の御出身の方が行くべき高等教育機関が出来上がることで,若者に対して新しい目標や目的というものを与えることができるのではないか,そういうところに,新しい高等教育機関を制度化する意義というものがあるのではないかと思っています。

それから,制度化を進めていく中で,かつて部会長が御指摘になりましたが,インターンシップを本気で行うとなったら大変だということ,単位数の問題があるというようなお話が過去に出ていたと思いますが,正にそういうことをきちんと実現し得るための制度化なのではないかとも思っております。この新しい機関を制度化することが,いろいろな意味で新しい発展につながっていくのではないかと期待も込めつつ,考えているところでございます。

この審議経過報告の素案の中には,新機関の育成対象は中堅人材であるというようなことが書いてあるのですが,この制度が定着して,企業で新機関を卒業した学生が活躍するようになると,その後に続く優秀な子供たちもこの新機関に進学するようになるという新しい歴史も出来上がるのではないかと思うのです。

ついては,私が申し上げた8ページの丸1部分などは,第2章ではなくて,もっと格上げして記載したらどうでしょうか。このような問題があるから,このような制度化が必要なのではないかというつながりが見える形で書いていただくのがいいのではないかと思います。

それから,もう一つ,先ほど,この委員会が始まる前に,トビタテ!留学JAPANの事務局の方から御説明を受けたのですが,私が,かつて申し上げましたとおり,まず,企業でインターンシップを受け,その後,留学をし,留学から戻ってまた企業でインターンシップをするというのが重要であり,トビタテ!留学JAPANに参加した学生で,留学の前後にインターンシップをした人は,最初に企業に行った際にどういう問題があるかということを考え,留学先で学び,帰ってきた後,再び企業に実習に行った際に留学先での学びを生かすことができるということで,この取組は好評を得ていると伺いました。実際,企業からは,このトビタテ!留学JAPANに対しては,地方も含めて,大変なお金,寄附が集まっており,それは経済界がこういった取組は非常に重要だと思っている証(あか)しだと思います。

ですから,今の案の記載を少し変えるだけで,この制度を確立することが重要であるということがしっかりと世に知らしめることができるのではないかという意見でございます。

【永田部会長】  ありがとうございます。今の御意見は,大変貴重な御意見だと思います。

それでは,麻生委員,どうぞ。

【麻生委員】  18ページの基本設計のところについて,これまでも議論がなされてきたことは承知の上で意見を申し上げます。18ページの枠の中のア)の場合,4年の一貫課程がありつつ,その4年を前期,後期と分けることができ,前期課程の修了段階で短期大学士相当の学位を出し,後期課程が終わると,学士の学位を与えるということそのものについては,異論はないのですが,それでは,既存の短期大学や専門学校,それから高等専門学校との関係というのはどうなるのか,今の案では明らかにされておらず,やや疑問が残ります。この点については,短期大学や専門学校,そして高等専門学校は,高等教育のうちの2年分を一応終えているわけですので,学位の授与の可否については別としても,これらの機関の上に新機関の後期課程のみを設置することは可能なのか,可能か否かということについて言及はないのかどうか教えていただきたいと思います。

現在,短期大学を設置している者としては,新制度ができた場合,一から新たな高等教育機関を作るという考えもありますが,一方で,短期大学は学校教育法第108条で職業教育を行うことも目的として明記されておりますので,短期大学の上に後期課程を乗せるということも,インターンシップの問題をはじめ,いろいろな課題があるとはいえ,そのような設置形態というのもあり得るのではないかと個人的に思うところであり,この点は明確にしていただきたいと思います。

【永田部会長】  事務局,答えていただけますか。

【森田高等教育企画課長】  ただ今の点について,こちらの審議経過報告の素案においては,特に言及しておりませんが,現段階の案では,短期大学等の上に後期課程のみを設けることを可能とするということは含んでいないような案になっております。

今,御指摘いただいた枠の下の丸の部分の下から3行目でございますが,これは前々回の御意見を踏まえて入っている部分でありますが,制度化に関しては,課程の体系性の確保等々に留意し,また,他の高等教育機関の制度との整合を図る観点から,必要な検討を更に進めるという記述をさせていただいているところでございます。

【永田部会長】  今後,まだ少し検討の余地が残っているという書きぶりですが,短期大学がもし新機関を作られるとするならば,今持っている2年制と新たに設ける後期課程とを合わせて,全体の体系化というものができていれば,前期課程の若干の改編と後期課程の新設ということで,一つの新たな高等教育機関を作ることは可能ということだと思います。つまり,まず前期課程と後期課程は一貫性のある概念を持っている必要があり,既存の教育機関を利用して,改編を加えていただき,後期課程はそれに対応できるような流れを作るということで,新機関は設置可能だということでしょう。いずれにしても他の機関との関係については,今後,整理・検討をしなければならないことがまだあるということです。そのほかいかがでしょうか。相原委員,どうぞ。

【相原委員】  25ページの25行目以降から30行前に赤字で,学び直しの環境整備等について具体的に書き込んでいただきました。これまでの意見交換を正確に反映していると思いますし,先ほど益戸委員がおっしゃったように,新しい高等教育機関を社会の参加者全員で,その位置付けを高らしめていくのであれば,この背景をしっかり書いていただいたことは大変結構なことだと思います。

加えて,31行目のところに,学び直し等の費用負担の軽減策について書かれておりますが,学び直しもそうですが,社会人入学者のみならず,高校を卒業して入学される学生等の費用負担のハードルを低くする努力をしておかないといけないと思います。高等教育機関は費用面のハードルが高く,なかなか超えにくいと一般的に言われておりますから,経済面で課題を持ったまま学びをスタートすることは決して望ましくなく,国をはじめ,関係機関が最大限の努力を尽くすことも,この新しい教育機関の環境整備の一つとして,織り込んでおくべきことではないかと考えています。

【永田部会長】  ありがとうございます。そのほかはいかがですか。
永里委員,どうぞ。

【永里委員】  今の相原委員の御意見に関しましては,まさしくそのとおりなのですが,個別の企業においては,もう既にここに書いてあるような学び直しの支援ということを行っているところはあるということを,事実として補足しておきます。ただ,行っていない企業等も当然ありますから,そのようなところを含めてこの審議経過報告に書いておくということは重要なことだと思います。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。会議終了の時間が迫ってきました。今回,見え消し部分を中心に議論をしたわけですが,この見え消しの箇所というのは,もともとは委員の方々との御議論の中で生まれた,いろいろな意見や懸念を新たに盛り込んだものです。ただ,この中に具体例というものを本当に入れるべきかどうかという問題は,今の段階では,もう一度,考える必要があるのかと思います。

また,今後必要だと思われるのは,先ほどの鈴木委員の御意見にもございましたけれども,この議論が,今,骨子案という形になっているわけですが,この段階で広くいろいろな意見を聞かないと,もっと議論が進んだ段階で,方向性が固まってしまった後に幾ら他からの意見を頂いても,もはや,変えられなくなってしまうのだと思いますから,現在の段階で,若しくはこれに少し手を加えたものをもって,少し関係機関をはじめ幅広く世の中の御意見を伺う必要があるのではないかと思っております。事務局の方にも,そのような形で,日程を組んでいただくようお願いしていましたので,今後の進め方等について,事務局より御説明をお願いできますか。

【塩原主任大学改革官】  今後の日程等についてでございますが,まず,中央教育審議会内の他の分科会,部会の関係について御説明申し上げます。高等教育制度の一般につきましては,大学分科会の所掌になっておりますとともに,また,その関連の部会もございます。まず,大学分科会大学教育部会の次回会議が3月9日に予定されております。さらに,親会議である大学分科会の方が3月18日に予定されております。本特別部会におきます現在までの審議状況につきまして,この両日の会議で報告をさせていただきたいと思っております。

また,最終答申に至る前には,どこかの段階でパブリックコメントも必要だと思っておりますところ,審議経過報告の公表後に,それをもちましてパブリックコメントを実施したいと考えております。

また,審議経過報告公表後におきまして,この特別部会では,各学校種の代表団体等をはじめとした関係団体にお越しいただいて,ヒアリングを行いたいと考えております。こちらにつきましては,先生方に日程調整をさせていただき,特別部会の日として既に御案内しております3月30日及び4月11日で実施させていただくことを想定しております。

以上でございます。

【永田部会長】  分かりました。細かい日程がたくさん出てきましたが,ヒアリングとパブリックコメントを近々予定しているということです。ヒアリングでは,恐らく,いろいろな学校団体や産業団体に来ていただき,ここの席で御発言いただいて,この審議経過報告に対して意見を述べていただくことになるということです。それから,パブリックコメントというのは,もっと広く,世間一般に対して,同じように意見を求めるということです。

ただ,本日の議論を踏まえますと,このままでは終われないといいますか,今の状態のままで審議経過報告を取りまとめることはできないだろうと思いますので,やはりこれをもう一度だけ議論した上で,この部会としての審議の経過というものをまとめるべきかと思いますが,ヒアリング等の前にもう一度この特別部会をやるとしたら,これはいつになりますか。

【塩原主任大学改革官】  3月15日を予備日として,委員の方々のお時間を確保させていただいております。

【永田部会長】  3月15日ということであれば,大学教育部会には残念ながら間に合いませんが,大学分科会には間に合うというタイミングです。大学分科会や大学教育部会については,我々の方から,日程設定をお願いできる会議ではありませんから,あちらが設定された日程で,私どもの報告をさせていただくわけですから,やむを得ず,大学教育部会については,本日までの審議の状況を御説明させていただくということになります。

本当は本日で中間報告までの議論は大体終わりにしようかと思っておりましたが,やはりそれでは無責任だと思いますので,本日のいろいろな御意見を踏まえて,またもう少し書きぶりを整理し直したいと思います。それで,また皆様に御意見を頂き,その後,仮に微細な修正等があれば,その先は私に少しお任せいただき,次の団体ヒアリング等に臨んでいくということとさせていただければと思います。

よろしいでしょうか。

それでは,次回以降の予定をもう一度,事務局から御案内してください。

【塩原主任大学改革官】  次回会議でございますが,第12回は3月15日の火曜日,時間は10時から12時でございます。場所につきましては,追って御連絡させていただきます。

【永田部会長】  それでは第11回会議は,これでお開きとさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

お問合せ先

生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付

高等教育局高等教育企画課新たな高等教育機関プロジェクトチーム

(生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付、高等教育局高等教育企画課)

-- 登録:平成28年09月 --