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実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会(第5回) 議事録

1.日時

平成27年10月2日(金曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

スタンダード会議室 虎ノ門ヒルズフロント店 2階大ホール(東京都港区虎ノ門1-22-14 ミツヤ虎ノ門ビル)

3.議題

  1. 新制度の制度設計について
  2. その他

4.議事録

【永田部会長】  定刻になりました。第5回実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会を始めたいと思います。

御多忙の中,お集まりいただきまして,感謝いたします。

今回は,前回に引き続き制度設計の枠組みの議論をもう少しさせていただきたいと思います。もともと論点メモの整理の中にあったと思いますが,論点1,2,3,4とある中の2番目のところで,前回,途中で議論が終わっておりますので,できれば,その先まで本日は進めたいと思っております。

どのようにまとめていくのかということについてですが,まず今の段階では,これ一個しかないといったまとめ方には当然できないので,御意見があった中から,こういう長所もそれぞれあるのでという中間報告の骨子の基みたいなものを,もうあと何か月かで作っていって,その後,詳細設計をしようと考えています。

それでは,10月に入りまして事務局に異動がありました。御紹介をお願いいたします。

【塩原主任大学改革官】  10月1日付けの文部科学省の人事異動につきまして,御紹介をさせていただきます。

生涯学習政策局生涯学習推進課長に岸本が着任しております。

【岸本生涯学習推進課長】  よろしくお願いいたします。

【塩原主任大学改革官】  人事異動の報告は以上でございます。

【永田部会長】  それでは,引き続き資料の確認を事務局からお願いします。

【塩原主任大学改革官】  お手元の配付資料を御確認いただければと思います。

お手元の座席表及び議事次第に続きまして,資料ナンバー1からの資料が全部で5点,また,参考資料が,参考資料1から全部で3点御用意させていただいております。

また,そのほか,本日,机上の追加の資料といたしまして2点配付させていただいています。1点は,横の1枚紙でございますが,「既存の高等教育機関」とタイトルが付いておりますが,大学等の各高等教育機関の修業年限等をイメージ的に図示した1枚紙でございます。

また,そのほか,5名の委員から本日の会議に意見等の資料提出を頂いております。こちらにつきまして,まとめてクリップ留めさせていただいているものがお手元に配付されているかと思います。

以上,御確認をお願いいたします。

【永田部会長】  ありがとうございました。

今の御説明の最後のところが少し重要で,前回時間の都合で御発言をいただけなかった委員の方々から文書で意見が届いております。これで余り時間をとることはできないのですが,全部で5名の委員の方から文書で意見を頂いております。この文書を説明するに当たって理解しやすい簡単なお言葉があればお伺いしたいと思いますが,まず,前田委員,お願いします。

【塩原主任大学改革官】  前田委員は,本日御欠席です。

【永田部会長】  そうでした,欠席です。失礼いたしました。

それでは,内田委員の方から,何かこの資料に関しての御説明はありますでしょうか。

【内田委員】  内田でございます。お手元に1枚の資料を置かせていただいたのですが,簡単に御説明させていただきます。

今まで議論してきた中で,高等教育をどう進めていくべきかということについてですが,上の方に丸1と丸2に分類してございます。丸1のように,いわゆる大学型のような理論や基礎学力の養成を中心に行ってきているところと,もう一つは丸2のような専門学校型といいましょうか,専門の知識や技術,実践力の養成を中心に行ってきているところ,大きく2種類に分かれると思います。いろいろ議論を尽くしていくと,結局,丸1も丸2もどちらも重要であると思います。特に実践力としては丸2が重要ですが,一方,激しく変わり行く社会の中で,それに適応してきちっと変えていくことができるためには丸1の理論や基礎学力が大事であるということが言われております。結局は両方必要で,足りない分は会社に入ってから培っていくということになると思います。つまり,大学型か専門学校型かということは,最初のスタート段階の違いだけで,最終的には社会で不足分をそれぞれ身に付けていくということであるとすると,スタートの仕方の違う方式が両方あってもいいのではないかと考える次第です。

丸1は,もちろん大学型として既にあります。しかし,丸2のような専門を中心に身に付けていくという方向からスタートして,そこから逆に理論や基礎学力,将来性などを培っていくというものが高等教育としてはまだないとすると,これをしっかり議論して作っていくのが大事なことではないかと思っております。

以上のような背景に立って,検討すべきことを一番下に(1)から(3)として書きました。まず(1)として,今の専門学校で行われているような,専門の知識や技術・実践力の養成が必要であるということです。(2)として,基本は技術・実践力の教育ですが,将来的には,先ほどのように理論や基礎学力を学ぶような基礎と学びの手法を身に付けさせる教育が必要と思います。(3)として,学位については,少なくとも大学院に入学する資格が与えられて,そのレベルも学士に勝るとも劣らないような評価をされ得る学位が必要であろうということでございます。

以上でございます。

【永田部会長】  ありがとうございました。

後で順番に御説明いただきますが,本日は,今のようにいいところ,悪いところを忌憚(きたん)なくお互いに議論していかないと多分進まないと思います。内田委員の御意見はよくまとまっていると思いました。

続きまして,岡本委員,こちらもできれば簡単にお願いします。

【岡本委員】  分かりました。3ページになっておりますが,簡潔に申し上げます。

私の場合は,制度設計上の根幹に関する意見ということで,新たな高等教育機関がなぜ必要なのか,その根本理念は何なのか,また,この新機関は大学体系に位置付けられるべきか,そうでないのかについて申し上げたいと思います。

一つは,なぜ新たな高等教育機関が必要なのか。既に意見を申し上げているところもありますので,簡潔に言いますと,戦後,日本の学校教育は単線型の普通教育が主流であり,職業教育は傍流の扱いを余儀なくされてきました。若者が自らの将来の職業に夢や誇りを持ち,職業教育を重視する学校種に躊躇(ちゅうちょ)なく進学できるような選択肢の拡大が必要であると思います。

新たな高等教育機関,仮に専門職大学(仮称)ができれば,普通高校-大学-大学院という普通教育体系と専門高校-専門職大学-専門職大学院という専門職業教育体系の二つの教育体系ができることになって,学生は,自らの希望と適性に合った学校種を自由に選択することができるのではないでしょうか。

また,世界的な国際競争,グローバル経済の進展の中で,日本は国家戦略上,付加価値の高い産業分野において常にイノベーションを推し進め,そして,国際競争力を高める必要があります。そのような企業のイノベーションを積極的に担う人材,クリエイティビティー,創造力を持った質の高い職業人が必要ではないのでしょうか。

では,既存の高等教育機関では,そのような人材の育成ができないか。もちろん,そうではありませんが,産学連携を教育制度本来の教育理念,教育システムとして位置付け,産業界が学校と連携しながら,育成すべき人材像の要件定義から教育課程の編成,授業,実習,インターンシップから採用に至るまで,学校の教育システムの全てに関わりを持つことができる新たな高等教育機関ができれば,それは日本の職業実践的な高等教育の発展に画期をなすだろうと思っています。

続く論点として,新たな高等教育機関の制度化に当たって,大学体系の中に位置付けるべきか,非大学体系として位置付けるべきかという制度設計の根幹をなす論点であります。

私は,新たな高等教育機関は大学体系,大学セクターに位置付けるべきだと考えます。これは,学位に関することとも関連いたしますが,四点あります。

一点目は,卒業者に学位を授与することにより,その学修成果に関する国際的,国内的通用性を確保することができるということです。世界的に人材の流動化が進み,日本人の海外勤務は当たり前の時代となる一方,外国人留学生の日本への受入れや日本での就職,あるいは社会人の学び直しもますます重要になっております。

こうした中,国内においても海外においても,学修成果の通用性があるかどうかは学習者にとって学校選択における重要なファクターであります。また,卒業時に学位の取得が可能となることで,学生自らが学習の励みとなるとともに,卒業生としての自覚や誇りを持つことにもつながります。

二点目は,国際的にも名実ともに高等教育機関として認知されることによって,海外の大学等と教育や研修,交換留学生などに関しての国際交流を対等に進めることが可能となることです。

三点目は,国内においても既存の大学等と比肩する高等教育機関として位置付けられることによって,大学とは異なることによって生ずる差別や区別がなくなり,卒業生の採用や昇進等においても公平な扱いが可能となることです。

四点目は,仮に大学体系,大学セクターに位置付けられないで非大学体系,非大学セクターに位置付けられた場合,非大学セクターの中に専門学校と新たな高等教育機関という二つの高等職業教育機関が並立することになってしまいますが,これは屋上屋を架す制度であって,双方の教育機関にとっても良いことにはならず,国民から見ても極めて分かりづらい制度になってしまうのではないかということです。

以上の理由により大学セクターに位置付けられ,学位を授与できるような高等教育機関の制度設計にすべきではないかという意見でございます。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

もうあとお二方ですが,冨山委員の方から,この1枚物に何かつけ加えることがあればお願いします。

【冨山委員】  読めば自明な構造になっていまして,人材像に関して受益者は生徒なので,そこからリアルに申し上げると持続的に年収500万円を稼ぐ力を持つ人材をつくってくれということだと思います。あるいは,そうなるようにしてくださいということです。つまり,持続ということが大事で,今どき会社は潰れますし,リストラもあります。転職は,多分普通に起きてしまうことです。

はっきり言って学力偏差値50以下の世界が基本の議論だと私は思っているので,従来の偏差値とは異なる尺度の高等教育を設定し,そのような偏差値でも,継続的に中流的な家庭を築くのに必要な収入を稼げる人材をどうすればつくれるか,これに尽きると私は思っています。ほかの方は,はっきり言って,ほとんどどうでもいいと思っています。

それから,次に今の大学で制度的に何ができるかという議論はほとんどナンセンスだと思っています。要するに,それができていないから,この議論になっているわけですから,既存の大学のことはもう忘れて,求められる人材像に向かって,ゼロベースからあるべき高等教育機関を考えればいいと私は思います。

制度間の重複,競合は全く問題にならず,歓迎すべきだと思います。むしろ,その中からイノベーションが生まれて,起業家的な創造的破壊によって新たな高等教育機関が生まれると私は思います。

それから,人文社会学系の教養教育云々(うんぬん)という議論が今後詰めていくときに出てくると思うので,あえて申し上げますが,そもそもこれが要るか要らないかという論争は全く非生産的で,要るに決まっています。

問題は,今の大学の体制で行われているような教養教育はほとんどやめようということであります。あえて申し上げると,典型的なのは東京大学の前期教養です。あの程度のことだったら,よほどうちのバス会社に就職してもらった方がはるかに立派なリベラルアーツ教育ができます。これは断言します。

どうすれば,こういった継続的に500万円を稼げるような人間になっていくために必要な基礎能力,そういうリベラルアーツを身に付けられるか。これが肝腎だと思っています。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

もうお一方,寺田委員の方からお願いいたします。

【寺田委員】  後ろの方にあります寺田委員提出資料とある「新たな機関で育成する資質と職業教育の性格」と,時間の関係で直接説明できませんが,その後ろ辺りのポンチ絵を対比しながらお聞きいただければと思います。

前回会議でも,新しい機関で育成する資質の問題として,あるいは目的の問題として基礎力の育成,あるいはキャリア教育と職業教育の関連,また,私の方では新機関における職業教育の独自性,焦点性について発言いたしましたが,改めて,整理して意見を述べさせていただきたいと思います。

大きく二つございます。一つは既存の大学と新機関,これは,当然バチェラー相当の学位を付与するということを想定しておりますので,それとの関係といいますか,共通性の部分です。ポンチ絵で言いますと学士力の部分です。これは,既存の大学であれ,短期大学であれ,高等専門学校であれ,新機関であれ,全ての高等教育機関が共通して追求すべき課題,具体化すべき課題と考えております。

したがって,何らかの教養教育,若しくは専門基礎教育,これは人間形成の基礎として新たな高等教育機関においても必要であろうと思います。ドイツ,韓国の専門大学のカリキュラムを御覧いただくと更によく分かりますが,概して教養と専門基礎の区別がはっきりしておりません。量的な関係は別にいたしまして,専門基礎科目をベースとして設定しています。

この点に関連してもう一点,これまで繰り返しコミュニケーション能力,あるいは問題解決能力の育成など,いわゆるキーコンピテンスの課題についての御意見がたくさん出されました。確かにキャリアデザインやキーコンピテンスの資質形成に関することは,直接には学問,科学の背景はございませんが,人間の進路や人間の成長ということに関わって身に付けなければならない能力ということで,新たな教養の問題として考えていく必要があると思います。

これも後ほど御覧いただきたいのですが,ドイツや韓国などではプレゼンテーションスキル,コミュニケーションスキル,あるいはキャリア(進路)デザインということが基礎科目として設定されているということが,一つ参考になるかと思います。

いずれにしましても,このような議論は,この特別部会でもそうですが,既に平成20年の中央教育審議会での「学士課程教育の構築に向けて」に関する答申,あるいは平成23年の中央教育審議会での「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」に関する答申等に具体化されているところであります。

したがって,今後のこの部会での議論としては,この問題をにらみつつ,新機関の固有の目標に関する議論に焦点を置くべきであろうと思います。既存の大学は専門教育を当然やるわけですが,これは学術志向のものとして追求していくべきだろうと思います。その中に3番目に幅広い職業人養成というパターンも,近年,文部科学省の方で機能別分化の一つとして考えられているようですが,他方で,新機関というのは同じように専門教育を重点とするわけですけれども,これは,むしろ実践志向の職業教育という形で位置付けていくべきだろうと考えます。

そこで今の話を更に掘り下げたいと思うのですが,新たな機関を特徴付けるのは,やはり特定の職業,あるいは職業分野,若しくは一定の職業分野で必要とされる能力や資質を養成する専門的な職業教育だと思います。前回も触れましたが,特に職業教育の従来以上の高度化,あるいは実践力強化で特色を出し,既存の大学と差別化するということを基本的な方向として良いのではないかと思います。

時間の関係でその次の辺りは飛ばしまして,最後の「一定の基準設定による義務付け」というところです。

このような職業教育について,本部会でも,既存の大学でもできるのではないかという議論がございました。何度も言いますが,一部,学術教育と非常に親和的な専門職資格に対応する職業教育,これは収まりがいいと思いますが,実践志向の職業教育というのは,やはりアカデミック教育を中心に作られた既存の枠組みの中ではなかなか行いにくいです。実際そのような形でこの間追求してきた4年制大学における職業教育というのが,概して私の調査でも,実証的調査でも学(がく)の教育に収れんしてしまっています。当事者が職業教育をやっているという意識が全くないのです。

ということで,現在の大学が実践的な専門的職業人養成を行う仕組みになっていないということですので,そのことについて,一定の実践的な科目の設定や,更に高度な専門科目を必修化する,あるいは義務付けるということも考える必要があるのではないかと思います。

特に実習に関しては,一般的なインターンシップというよりも,専門に関わるより深い実習,あるいはできるだけ長期で,かつ諸外国でもやっておりますが,1箇所の仕事ではなく複数の職場を経験するということで,深くかつ幅を広げる,そのような形で実践力を身に付けることが非常に大事ではないかと思います。

その上で,一旦このような学校を卒業し,修了した社会人が更に学び直しをしてキャリアをアップしていくという仕組みづくりが非常に大事ではないかと思っております。

以上でございます。

【永田部会長】  ありがとうございます。

【川越委員】  私も積み残しがあるのですが,よろしいでしょうか。

【永田部会長】  ごく短くお願いします。

【川越委員】  9月24日の安倍総理の両院議員総会後の記者会見において,子育て支援のところで,「同じ子供は,一人として,いません。個性はそれぞれ違います。社会の価値観も多様化しています。そうした時代に,教育制度の複線化は不可欠です。」という発言をしておられます。

しかし,この特別部会の前の有識者会議において,複線化という言葉をどう使うのかという議論がございまして,今回の新しい学校種の誕生は本当の複線化を意味しているのか。つまり,戦後一貫して単線型できた日本の学校教育を複線化にするということは日本の学校教育の抜本的な改正であって,そこまで行くのかという御質問があったときに,非常に曖昧な結果になってしまったわけでございます。

したがって,今回は,単線型の学校教育制度の中で,大学体系の中で新しい学校種を作るとしても,事実としては複線化された高等教育の姿,職業教育を専らとする新しい高等教育機関というのは,大学設置基準を横に置いて,それをにらみながら作るような制度ではなくて,やはり先ほど冨山委員が言われましたようにゼロベースから,全く新しい学校を作って,現実的には複線化になっているということにしないと,職業教育というものではない別の新しい学校ができてしまい,何のために作るか分からなくなってしまいます。したがって,設置基準を考えるときに,そのような観点を持ちながらやっていかなくてはならないのではないかという意見でございます。

【永田部会長】  ありがとうございます。

おっしゃっているような教育機関ができたらいいと思います。ですから,今の設置基準のことを置いたまま考えるというのであれば,むしろ学士や大学という名前をやめても良いのではないかとも私は思っています。本音のところでやれるものを作ればいいと思うのです。

ところが,先ほどから出ているように,学士という名前を与えるという議論が出てくるからややこしくなっているのだと思います。名前は後で付ければいいと考えます。

今,ペーパーを出した委員の方々が追加で発言されたことに関して何か付け加えるようなことがあればお願いします。

それでは,小杉委員,お願いいたします。

【小杉委員】  私,今,皆さんの発言を聞いて,特に寺田委員の出されたこのペーパーがすごく分かりやすく,かつ,これまで中央教育審議会で考えられてきたことがきちんと整理されており,また,次の方向はどこかというのが非常に整理されて,頭をすっきりさせるのに一番いいペーパーだと思いました。

一つだけ私の意見を追加させていただくと,これまで学(がく)の枠組みでは入り切らなかったという話がございましたが,一方で,新しい機関は学(がく)から離れてもいけないのではないか,つまり,企業のこれまでやってきたOFFJTやOJTを肩代わりするだけの機関では絶対ないわけです。

絶対ないというのはなぜかというと,やはり背景に体系的な知識とか,学(がく)の根っこがあるということで,学(がく)の枠組みでは入り切らないけれども,でも,学(がく)から離れたものでもないからであり,そこが大事だと思いました。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

私も少し意見を申し上げたいと思います。

サマリーについてですが,皆さんが言われていた中で,資料2の中の9ページ目のところに,実は寺田委員が書かれていたのとほとんど同じことが出ていますし,中央教育審議会の我々の前に立っている部会の中でもう既に出ているわけです。それから,冨山委員も言われたことも,ここに書かれているのです。

先ほどの寺田委員のチャートですと,真ん中に括(くく)ってあるところです。つまり,学士力とは何かといって,そこに知識・理解と汎用技術と態度・志向性と書いてある。そのようなコンピテンシーを持った,あるいは,基本的なスキルを持った者をもって学士とすると言っているわけですから,基本的に短期大学であれ,4年制大学であれ,新しくできる大学であれ,大学というふうにして学士という名前を付けるのであれば,これはあって当たり前だと思います。それは,先ほど冨山委員が言われたのと全く同じですし,寺田委員が真ん中に書いてくださった部分が,ここにあるわけです。

今までの議論というのは,意外にここに関する議論が多くて,役に立つ人間をつくろうという中で,本当に職業的にも役に立つ人間をつくろうという話に結局なってきていたと思います。学問でも役に立つ人,それは今までの大学があるからいいではないかという議論なのだと思います。

ですから,このようなことは高等教育としては基本の基本です。やり方は個々のセクターによって違うかもしれません。短期大学で行うときに,これをどう身に付けさせるか,あるいは4年制大学ではどう身に付けさせるか,あるいは,これから考える新しい高等教育機関でどう身に付けさせるかはそれぞれあると思います。

その次に,今,最後に出た御意見と逆ですが,机上配付になっている我が国の既存の教育体系について,念のため御覧ください。こちらを見ながら御説明をしたいのですが,全く新しいものを作ろうということで,当然,そのようなところからスタートしなくてはならないのですが,一つだけ問題があって,日本の大学,短期大学,高等専門学校,それから専門学校という括(くく)りではなくて,卒業生が国際社会で同じように認められるような通用性というか,互換性はないといけないと思います。

互換性がないと,ある新高等教育機関を卒業した子が外国の学校には絶対入れてもらえないといったようなことになってしまうので,机上資料には我が国の既存の高等教育機関の4種類が書いてありますが,このことは頭に入れるだけで結構ですけれども,内田委員の文書の最後に書いてありましたように,国際社会の中で大学院に行けるぐらいのサーティフィケイトをしなければならない,あるいは,そのような教育内容を持たせないと学士としては先がないのではないかと思います。これは,大学院に限らず,専門職大学院のMBAなどでも構いませんけれども,次の課程に進め得るようなものは必要なのではないかというのが内田委員の御意見だったと思います。

それは,大学院云々(うんぬん)ではなくて,国際社会の中で日本の高等教育はどのような立場で見られているかということだと思います。ちなみに,日本の場合は,大学や大学院に入学するまでに受けていなければならない教育年数が決まっているわけです。中国から日本に来る子は,そのルールに1年足りないのです。ですから,現在は特別の理由がない限りそのまま入学することができません。そのため,進級を飛ばして認定できるという試験を行ってから,入学試験を受けるというシステムになっています。

それは各国によって高等教育機関への入学要件というものが違うからなのです。それを合わせるために,それなりの内容を見定めてから入学試験をするやり方をしています。それは逆もそうです。こちらから外国に行くときも当然で,相手方の認定基準にのらないと相手方の試験は受けられないわけです。そういうところは,なるべく互換性が持てるようにしてあげないといけないというのだけは,念頭に置いてほしいと思います。

今もいろいろ御議論がありましたが,皆さんにこれから,新高等教育機関は,どのような方法で教育を行うのか,これを問い掛けるわけです。今度はどういう年限で,例えば,企業から現場を知っている人が先生としてこういう教育をして,少なくともインターンシップはやる,そして3年,2年あるいは4年で出したいなど,このように御意見いただければと思います。

そこにありますように,今幾つかの種類があって,4年制大学を出たのが学士と呼ばれていて,短期大学が短期大学士,高等専門学校で5年までの課程で出ているのが準学士,それから,専門学校は専門士と呼ばれています。高等専門学校は,この後,専攻科があって,学位授与機構に論文を出せば学士の学位が得られるということに今現在はなっているということです。それから,短期大学から4年制大学の3年次への編入は認められているし,専門学校からも,それから高等専門学校からも大学への編入が認められています。

この中で幾つかあるのでしょうが,例えば,たたき台として申し上げれば,今の4年制大学の3年次,4年次に行く子ではなく,きちんと専門をできる子を育てたい,職業に近い子を育てたいというのが新高等教育機関だとすると,一つの考え方としては,そんな時間を掛けた育成は適当ではないという御意見がまず出てくるというのは分かっていても,そういう3年次,4年次を作ればいいじゃないかという議論も必ず出てくると思います。それは,実際のところ,こういう子たちのニーズとして4年制大学の3年次,4年次へ行く子もいるからです。

それから,短期大学は,アメリカのコミュニティ・カレッジではなく,きちんと短期大学個々の特性を持った専門もやっているのだということもありますから,例えば短期大学の方針で言えば,短期大学でもう1年,より専門分野をしっかり学べば学士を出してもいいという議論もきっとあるでしょう。

それから,高等専門学校も今,準学士ですが,圧倒的に今増えているのは実は4年制大学に行く子,あるいは専攻科に行く子です。これらの選択をする子がどんどん増えています。相変わらず高等専門学校は,社会が求めている人材を今も養成し続けていますし,言葉が適切ではないかもしれませんが,偏差値50程度の場合でも高等専門学校を卒業した子というのは,その後いろいろな道を歩いています。

ちなみに私は大学の教授として長く勤めているわけですが,教え子で高等専門学校を卒業して,4年制大学に編入してきた子は,当初は職業に就きたいと言っていましたが,結局,学問に目覚めて,現在では教授をしていますし,いろいろな子がいます。つまり,キャリアパスというか,いろいろなところに行ける能力は後で育ててあげればできるのだということです。

そのような観点から見たときに,委員の皆様にこれから御意見を頂きたいのですが,ここにあるのは現存の日本のシステムですから,先ほど言った学士力の問題や国際的な通用性,あるいは接続性,それについては国内も含めて,どのような形とするのがいいのだろうかという議論をしてほしいということです。

私は,中等教育からの一貫はいいと思っていまして,高等専門学校というのは中等教育の頃から職業教育が入っているわけです。中等教育の高校3年間の部分を含めて,もう既に3年足す2年という職業教育をやっているわけです。その後,より高いレベルの職業教育に行くときには4年制大学や専攻科の3年,4年を選ぶだろうし,あるいは社会に出る子はそこで出る。こういう選択もできるので,実は高等専門学校はなかなかいいものだと思っています。

では,皆,高等専門学校を作るのかというと,それは大変なことです。高等専門学校の利点を入れてお考えいただいたらいい,そういうことでございます。

もう一つ,議論のたたき台として申し上げることは,専門学校のところで1年次,2年次と書いてありますけれども,3年次,4年次の専門学校ができても,私はいいと本当は思っています。大学や短期大学を出た子が,専門学校の3年次,4年次に行って,社会に出るというのがあっても私はいいと思います。そこで,本当に社会に直結した,あるいは本当に社会に適合した教育を受けることができる機関があってもいいのではないかと思っています。これは世界中にまだないものです。

今の話は,反対されるのを覚悟で案として申し上げています。1年次,2年次は,短期大学で大学の教養を勉強してきて,教養を身に付けたら,その後,専門職の大学に3年,4年と進み,インターンシップや,いろいろな現場に直結するようなものをやったらいいのではないか,こういうこともありだと思います。このような場合,つまり,3年次,4年次といった後半に特化した学士を出せる学校があってもいいとも思います。

今,一応,例を三つ挙げさせていただきましたが,ゼロベースで,忌憚(きたん)のない御意見を是非ともお願いします。そのような議論を続けて,それぞれの長所や短所を見つけながら,やはりこういうのがいいだろうというのは年を越えた頃に文章になっていけばいいので,今はアイディアを明快に述べていただければよいと思います。

修業年限,学位,接続,国際性といったことなどを念頭に置いて,新高等教育機関の在り方はこういうのがいいと思われる御意見を言っていただければいいかと思っています。多分,カリキュラムについては,皆さんの頭の中はほとんど同じになっているのではないかと思っています。専門の子を育てるのであれば,やはり現場でばりばりやっていて,経験を積んだ人がちゃんと教えに来なければいけないと思います。それから,例えば,英語ぐらい絶対話せた方が良いから,英語が話せる人を雇わなければならないなどといった,どのような人材が必要なのかといった観点と整合性が合うための仕組みはどれが一番いいのかについて,とりあえず,法律は置いておいて,御意見を頂ければと思います。

【益戸委員】  今後,制度設計を考えていく上で,どうしても外してはいけないことが二つあると思っています。

一つはインターンシップです。資料3-1の7ページによれば,インターンシップ参加大学生の13.2%しか,3週間を超える長期の経験がありません。企業で求められていること,そのために社会人として必要な要素などを言葉で聞くより,実際に体験を通して勉強することが重要です。また,それを把握するためには,やはりある程度の時間を一緒に共有しないといけない。そうすると現在主流の3週間未満のインターンシップでは短く,目的を達することができません。学校と企業で十分力をして,長いインターンシップをやっていただきたいと思います。

 

「トビタテ!留学JAPAN」では,留学する前と後にインターンシップを行い留学を単なる留学に終わらせないようにしています。やはり,このように長い間一緒にやっていくことが物事の本質理解には重要だと思います。

もう一つは,実務家教員です。資料4の61ページ,62ページです。新規採用された大学教員で,民間企業出身者は全体の13.7%,短期大学では28.3%です。私は,もっと多くの民間企業出身者が教員になっていただきたいと思います。

また,63ページに大学の設置認可における実務家教員のガイドラインがあります。これを見ると,採用でプライオリティの高い項目は,大学との共同研究,研究開発などの担当実績,各種審議会などの委員,調査・報告など一線で働いている人というよりは,研究している人です。これには,私は納得できません。そして,企業側にとって戦力となっている従業員を長期にわたり派遣し続けることは,経営上ハードルが高いことです。どうしても,パートタイムでの派遣となります。そうすると,制度上の教員の専任と兼任の問題となります。

ですから,実務家教員の数を増やしたり,いい人を企業から派遣していただいたりするためにも,余り専任の議論にこだわらず,制度設計を考えるべきと思います。

【永田部会長】  ありがとうございます。

随分詳しい内容まで入りました。私は賛成ですが,インターンシップが例えば半年とか1年だと,修業年限は1年とか2年では無理です。幾ら何でも,インターシップに半年,1年行って,残り1年で一般教養というか,英語もできる,そのほかのコンピテンシーもその領域の専門も身に付けるというのは無理だと思うのです。それで,多分,修業年限というのが,ここで問題になってくると思うのです。内容としては,今おっしゃったことはよく分かります。

それから,実務家教員についてですが,今の大学は,例えば,製薬企業の現場のチーフ,あるいは自動車会社の現場の方など,そのような方々がきちんと来てやっているところも多くなってきていますが,資料に書いてある既存の大学の実務家教員の基準については確かに検討の余地はあると思います。

今のような話をすると,学位の名前はどうであれ,初めてこれで修業年限が,さすがに1年や2年では無理であり,3年ぐらいは必要かという感じはしてきます。

そのほかいかがでしょうか。千葉委員,どうぞ。

【千葉委員】  では,一言申し上げますが,部会長が言われたように高等専門学校というのが,我が国の産業には非常にうまく機能してきたと私も思っています。振り返ってみると,日本の工業社会を強めていくために高等専門学校というのができたと記憶していますけれども,それと同時に大学の方では工学部の奨励をしていって,工業社会を作っていく上で,この二つの教育機関というのは機能してきたと思います。

今,産業構造の変化によって,今のままではよくないということが,この特別部会ができた一つの要因ではないかと思っておりまして,高等専門学校の場合には,やはり工業中心ですので,これから必要になってくる新しい産業への対応というところでは少し足りない部分があるのではないでしょうか。また,工学の場合には,基礎を教えることの意味が重要ではありますが,これから新しく生まれてくる,必要となる産業というのが果たして基礎が重要視をされる分野なのかどうなのかということがあるのではないでしょうか。

そういう意味で,今までは基礎学力や基礎的なところを教える教員の価値は高かったですけれども,これからは実務家教員の価値が高まってくるということで,高等専門学校のような産業に対応した新しい学校制度の要請が,昭和30年代,40年代から何十年かたった今,出てきたのではないかと思っています。

そのような中では観光,あるいはIoTに代表されるような新しいテクノロジーなど,今使えるものはすぐ使えなくなるという大学の理論とは違う,新しい教育のやり方というものが新しい世の中には必要になってくるのではないかと私は思っております。

いろいろ申し上げたいのですが,このくらいにさせていただきます。

【永田部会長】  ありがとうございました。

分野の問題というのは,実はこの話をするときには大変重要で,IoTの話に関しては,教養教育以上にもっと前から徹底的にやらなければいけないことはよく分かっていて,特に今,そのような人材が必要だというのも分かるので,高等情報専門学校がどんどんできればいいと思うのです。

ただ,今話しているのは観光やIoTというだけの話ではなくて,体系として,とにかく社会のいろいろな職業を対象としていくわけです。考えてみると,後で大変な思いをするのは多分,設置基準を作るときでしょう。この分野ではこれ,この分野ではこれというのを始めると大変なことになります。幾つかのお話は,例えとしてお聞きしておきますけれども,そういう必要性のある部分に職業として入っていける子を育てたいという御意見だというふうに思っています。

ただし,高等専門学校には,実は大問題が一つあると思っています。高等専門学校の学生は,本当によくできるし,鍛えればいい人材なのですが,出てきたときには全く英語ができないのです。例えば英語教育などは全く遅れていると私は思います。これは,大学関係者が編入学試験のときに思うことです。

それは,英語教育をしっかり行っていないからというだけのことです。英語というコンピテンシーが,高等専門学校の子は実は低いのですが,入ってきてから大学の3年生,4年生,修士の頃に徹底的にやっているというのが現状です。

高等専門学校は就職率がいいけれども,アベレージとしては英語が不得意だという事実もあるようです。ですから,仕組みの作りによっては,そのような子をつくるというのは半年では無理なのです。英語であれば,何段階か教えていかないと,使える英語まで行かないのです。国際化という問題の中で,高等専門学校の教育課程の中で英語が若干少ないというのは事実だと思います。

今,普通の4年制大学は,124単位です。アメリカは120単位です。4単位余分に付いているのは,日本は体育をやらせているからです。その体育一つとっても,山のような議論をして,そして,124単位になっているのです。124単位を160単位にするとどのようなことになるかというと,現行の方法だと朝から夕方まで全部授業に出ても埋まらなくなります。朝から夜8時まで授業に出っ放し,実習をやりっ放しという状態でも,160単位を取るのはなかなか厳しいと思うのです。

だから,国際的にコンピテントなものをやるとすると,インターンシップはいいのですが,そのほかに教えるときには,単位というのは世界と互換性があるとすれば,そこにはやはりそれなりの年限が必要だということは,皆で理解しないといけないだろうと思います。

北山委員,どうぞ。

【北山委員】  論点2に関して申し上げます。

論点2は修業年限や学位の取扱いについてということですが,18歳の子供たちが進学する先を選ぶ際に,その時点で子供たちにとって夢が広がるような設計にするべきだろうと思います。

したがって,先ほどから国際的な通用性などに関して話が出ていますが,例えば卒業後に大学院に進学できるようにするといった観点からも,新たな高等教育機関においては,学士,又はそれに相当する学位を授与できるということが必要だろうと思います。

それから,論点3にもありますが,社会人の学び直しに関しては,時間的制約のある人が学び直すということを考えれば,有識者会議のまとめでも出ておりますモジュール制を取り入れていくといった弾力的な運用とすることも必要だろうと思います。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

論点3の方を考えていくと,結局は論点2も考えやすいという実例だと思います。先ほど申し上げたように,どこかでサーティフィケイトをとって,あと1年やればいいとか,あと2年やればいいという人たち,あるいは社会人のように既にいろいろなことを勉強してきたから,あとは1年でいいとか,そういう考え方もあるだろうということだと思います。

そのほかいかがでしょうか。それでは,麻生委員,どうぞ。

【麻生委員】  今まで議論がありました先ほどの高等専門学校についてですが,現在の高等専門学校は,目的には職業教育ということが書いてありますが,先ほど内田委員からお話があった大学型,非大学型という二つの分類では,どちらになるのでしょうか。

【永田部会長】  内田委員,どうぞ。

【内田委員】  今,大学しかない中でいくと,高等専門学校は大学とは一味違うというイメージなのですが,今回議論している,いわゆる職業教育と大学という考えでいくと,ちょうど中間的な位置付けと思います。

【永田部会長】  よろしいですか。

【麻生委員】  分かりました。

【永田部会長】  ありがとうございます。

それでは,安部委員,どうぞ。

【安部委員】  新たな高等機関を構想する修業年限に関しましては,基本的には専門分野ごとに違うと思っています。ただ,現行の職業教育を行っていることにプラスして,例えば英語力,ICT能力がなくてはいけない,そしてインターンシップは長期的に行わなければいけないとなると,修業年限は当然延びてくると思います。そうすると,やはり3年,4年というような新たな高等教育機関の修業年限の構想というのは当然出てくるわけですが,例えば4年だったら,いわゆる職業学位と従来の大学で授与している学士の学位とはどう異なるかということ,そして,共通項はどこかということを考えなければならず,教育課程というのはそれを基に編成しなくてはならないと思います。

それから,この学校においては資格証明書のようなものや,職業学位との区別をどう図っていくかということも検討課題ではないかと思います。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

それでは,冨山委員,どうぞ。

【冨山委員】  基本構造としては,先ほど部会長が言われた選択肢が,三つありました。それら,全部できるようにしたらいいと思います。そのような制度設計を考えたらいいと思います。

あともう一つ,英語に関して,私は若干異論があります。くどいようですが,基本的には偏差値50以下の人が年収500万円で生きていくことを議論しているわけですから,現実の日本の社会,多分,今後もそうですが,グローバルに活躍するレベルの英語は必要条件にすべきではないと私は思います。そんな英語は,人生にほとんど関係ないです。当社のバス会社の職員の業務は,はっきり言って英語は関係ないです。実際,そのような社会で生き続けている人が今後も多分,勤労者の半分以上だと思います。

ですから,そこを必要条件にしてしまうと,目線がどんどん上がっていってしまうのです。もちろん中には,部会長が言われたように,その先へ行きたいという子もいるかもしれませんが,それはむしろ十分条件の議論であって,必要条件として英語で余り高尚なことを言い出してしまうと,話が混乱してしまうと私は思います。

以上です。

【永田部会長】  川越委員,どうぞ。

【川越委員】  修業年限は,1,2年では難しいのではないかという御意見もあったのですが,事実,専門学校は今,御承知のように3年課程も,4年課程もございまして,4年であれば高度専門士が得られて大学院に進学できると,制度上はそうなっているわけですが,やはりマジョリティーは2年課程なわけです。

一つは学力の問題もございますし,それから,経済力の問題もございます。専門学校に行っている子供の親は,大学に子供を行かせている親よりも低いということも事実としてございます。経済的に困難な家庭の比率が専門学校生は高いということでございます。

それから,最初に申し上げたのですが,地方創生という観点で言うと,地方で生まれて,地方で育って,宮崎で小中高出て,宮崎で専門学校を出て宮崎で就職していくというような子たちが,大学を出たという一種の誇りとステータスと資格を持って,地域で胸を張って生きていけるということに大いに資する学校制度にするべきではないかと思いますので,やはり2年課程をベースに,そしてもちろん3年,4年課程もあって,出たり入ったりもできるようにするのが適当ではないかと思っています。

【永田部会長】  安部委員,どうぞ。

【安部委員】  冨山委員の御意見について,恐らく,今の教養教育のことと話がつながると思うのですが,先ほど社会の中堅層に対しては英語力等の教育はさほど必要ではないということについては,それは違うのではないかと私は思います。

地方であれ,社会が変わってきていて,職業等が20年後,30年後変わっていく中で,やはりベースとなる力を育むことは必要です。英語力に関しましても,何もシェークスピアを読む高度な英語力ではなくて,会話力など,地域の中でも英語を使う機会はたくさんあります。私は,地域の人材となる学生を教育しておりますが,彼らに英語力は必要だと思います。

教養教育が,職業教育機関に来る学生は,今,偏差値50以下ですとか,経済的に相当困難な家庭の学生ですとかいう話が出ております。そのような学生を,2年,3年という職業教育機関で受け入れて,しっかりとした職業人,社会人として,つまり,健全な納税者並びに国民となるような教育をしていく機関ということを構想することが,不可欠ではないかと思います。

以上です。

【永田部会長】  分かりました。

それでは,冨山委員,一つお伺いしたいのですが,バスガイドは学士が必要だという意味ではないのですよね。

【冨山委員】  はい,そうです。

【永田部会長】  それならば,例えはもう少し違う方がいいと思います。

【冨山委員】  先ほど部会長が言われたように,目線の高さとして,その先,例えばアメリカの大学院に行きたいという子は当然いるはずで,その子たちは選択で英語をきちんとやればいいと思います。

これはどのレベルに設定するかによるのですが,今,委員の方が言われたような意味での,普通の日常ベースで必要な英語は,本来,中学・高校で教わらなければおかしいのです。これは,大学の使命ではないと私は思います。あるいは大学に相当する高等教育機関の使命ではないと私は思います。

ですから,むしろ,このレベルの議論をするときには選択的に考えてもらわないと話が遠回りしてしまうのではないかということで私は申し上げました。本質的に間違ったことは言っていないと思っております。

【永田部会長】  ひょっとしたら,今に宇宙船の操縦士を育てる学校も出てくるかもしれないわけです。確かに,それは大学とは少し違うと思いますが,例えば少し故障が起こったら戻ってこられないという飛行士の宇宙船に乗る気はしませんので,相当高度な勉強をしていないとならない。そういう意味で考えましょうということで,今,確認しているわけです。

寺田委員,どうぞ。

【寺田委員】   論点2以下について,今回で終わりかけのような感じがしますので,修業年限の話を一つだけしたいと思います。また外国の話を持ち出しますが,ドイツ型というのは基本的に3ないし4年ですが,一貫制となっており,これだけだと困るというのが率直なところであります。他方,韓国の場合は前期,後期ですが,基本的に前期が終わって,後期は,そこの修了者に限ってリターンしてくるということで,これでも困ると思っています。日本はどういうものをとるべきなのかというのは,ドイツ型でもなく,韓国型でもなく是非,日本的なものを作らないといけないと思っております。

では,具体的にどういうことかというと,最初から4年というものもあり,最初から2ないし3年,これは資格対応によって3年になったり,2年で良かったりすると思います。一旦,2年若しくは3年で修了するというコースを置いておいて,かつその上に接続するという,学士に至るために更に1年,あるいは2年を積み増すということでいきますと,3本ぐらいの制度が要るのかなと思っています。

もっと言うと,4本目に入っているのですが,社会人の場合,一旦,社会に出て,それで戻ってこられて,バチェラーを取るための学び直しで,フルタイムで新たな機関で学ぶのであれば4年でいいのですが,パートタイムということも考えていいのかと思います。これはドイツモデルですけれど,以前の日本の大学の夜間,定時制というのは,今は4年,昔は5年間ぐらい通っていましたが,特に職業教育の場合は,どこかを外したり,飛ばしたりして終わりにするというわけにいかないので,パートタイムで通う場合は少し年限を増やすということもありなのかと思っております。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございました。

北山委員からの御意見と少し似ている部分があると思います。パートタイムの場合も社会人を想定すると,例えば既に何々をやってきたから,あとはプログラムの方で1年,あるいは1か月飛び飛びでいくようなプログラムを作れるような気がします。それが先ほどモジュールなどの選択ができるようになってきたらいいのではないかというのが,北山委員の意見だったと思います。

それでは,黒田副部会長,お願いします。

【黒田副部会長】  私は話さないでおこうと思ったのですが,皆さんの方向性というのはもう大体出ていると思います。この意見の中で,大学の枠組みの中で作る高等教育機関と,それから,非大学として作る高等教育機関というのが今,混在しているような状態です。有識者会議での取りまとめも,両方の枠組みを可能とする書き方になっているのですが,学位を出したいということであれば,これは日本だけの問題ではなくなってしまいます。

ですから,資料2の13ページ,これはユネスコが定めているわけですが,国際教育標準分類というものがあります。1997年ではレベル5まであったのですが,2011年にはレベル7に改正されています。ですから,このどこに該当させなければならないかということを考えなければならないのです。これをしっかりやらないと,国際的通用性というのは生まれてこないということです。ですから,このルールにのっとっていかないと,日本の新しく作る職業教育の大学というのは外国へ行って通用しなくなります。したがって,大学にする,バチェラーを出すということであれば,このことだけはしっかり踏まえていただきたいと思います。

1997年の標準で行きますと,大学が5Aということになっています。高等専門学校は5Bというレベルになっています。ここで何をするか,こういうことを踏まえて,14ページにあるのが欧州の資格枠組みです。欧州の資格枠組みというのは,全部で八つに分類されているわけですが,どのレベルでどういうことができるようになるかということが記載されているわけです。

これに資格が付いてくるわけなのですが,日本の場合,国家資格というのは文部科学省が担当しておらず,ほかの省庁で資格を出しており,文部科学省で言う学校教育と連動していないのです。だから,大学を出なくても,その資格は取れるということになっています。その辺りは,日本は非常に難しいのですが,これをどのように連動させていくかということです。それをきっちりやらないと,職業資格というのは通用しなくなります。

工学の場合を言いますと,JABEEという制度ができて,毎年毎年,物すごい評価をしているのですが,日本には,経済産業省が行っている技術士という資格があります。日本で技術士を持っていても,外国に行ったときに全く通用しなかったので,日本の技術士が世界で通用するように,JABEEを作って,きっちり評価して,JABEEという組織がワシントンアコードという機関に加盟することによって日本の技術士が世界に通用するということになってきたわけです。したがって,やはり新しい制度を作るときには,そこまで考えていかないと駄目なのです。

一番簡単なのは非大学系の学校を作ることですが,それだったら,このような会議は要らないです。全く自由にやっていただければいいわけですが,やはり日本は世界的に通用するものを作らなければならないのです。もう既に欧州はそれを行っておりますし,アメリカも今,新しい基準を作って,世界に広めているのです。そして,東南アジア地区も同じようにやろうとしており,これに,またオーストラリアが入ってきて,東南アジア地区の基準を作ろうとしています。

日本だけが,これに取り残されてしまうということになりますと,日本の教育が世界に通用しなくなると私は思いますので,このことを頭に入れて,皆さんが議論することは非常に重要なことなのです。

先ほど部会長が言われたように,大体,方向性はもう出てきていると思います。思いは一つで,そこへたどり着くのにいろいろな議論がされているという感じを受けているので,是非とも国際通用性の枠組み,これだけは頭に入れながら議論していただきたいと思っています。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

岡本委員,永里委員,國枝委員の順番でお願いします。

【岡本委員】  今,黒田副部会長からもお話がありましたが,私も,下村文部科学大臣の諮問が原点でありまして,下村大臣は,先のいわゆるキャリア答申,それから教育再生実行会議の五次,六次提言,有識者会議の審議のまとめ,これらを踏まえ,新機関の制度設計に向けた諮問をしたわけです。

有識者会議においては,今,黒田副部会長がおっしゃったとおりなのですが,少し私の方から補足させていただきますと,大学体系と非大学体系の両方があるという書きぶりではなく,大学体系に位置付けることを基本とすべきであるという書きぶりになっています。他方で,そうはならない非大学体系の場合も,全く排除はしないという結論だったと思います。これが一点目です。

二点目は,専門学校の実情について誤解のないように言っておきますが,先ほどの1枚紙で2年制までしか書いていませんが,本日の参考資料1の8ページに専門学校の修業年限別生徒数及び学科数がありますので,少し御覧ください。修業年限1年以上2年未満が2万9,000人の約5%,2年以上3年未満が30万人の約50%,3年以上4年未満が20万7,000人の約35%。したがって,修業年限2年,3年が86%強で,今の専門学校の主流となっております。

しかしながら,高度化が進められ,修業年限4年以上が5万人で8.5%いるということでありまして,高度専門士を持つ4年制を出た学生は,称号が与えられて大学院入学資格が付与されております。現在の専門学校制度で,基本的には4年制大学と同等,あるいは大学院に行ける制度はあります。したがって,同じような非大学で専門学校のようなものを新たに作る必要は全くありません。屋上屋を架すようなものを作るべきではないと思っています。

それから,先ほど,偏差値50以下という言葉が独り歩きしておりますが,このような予断をもった言い方は差し控えるべきだと私は思います。大学に十分行ける能力のある学生が,自分の職業を選んで専門学校に来ている事例はたくさんあります。それから,大学を卒業した後,働いてから,もう一回専門学校に来ている場合もあります。

それから,モジュールであるか,何であるかはまた別として,これからの新たな高等教育機関は大卒や短大卒,専門学校卒含めて,社会人も入ってこられるようにしようということであります。ですから,偏差値で50以下を新たな高等教育機関の対象とすることについて,個人的な委員の意見としてはいいのですが,是非そのような予断をもって捉えないでいただきたいと思います。

次の点にまいります。私は,4年制の課程,2,3年制の課程,両方あっていいと思いますが,やはり寺田委員のおっしゃるような前期プラス後期という2段階で,まず4年制のモデルを考えて,その中で前期のあるべき姿,後期のあるべき姿,あるいは社会人が学ぶモジュールの在り方,単位制でどのように可能なのかということを考えるべきだと思います。

最後の点です。最後の論点に関わる話でありますが,教育内容と教員資格についてです。寺田委員からもありましたが,基礎科目と一般教養,いろいろ混在して,ヨーロッパ等においてもいろいろ言われているというお話です。私は,是非,新たな高等教育機関においては,基礎教育と専門教育という大きな区分にして,基礎教育においては職業人としての基礎的資質の育成を目的とする教育を,例えば全課程の30%ぐらい,それから,専門教育,職業人としての応用能力の育成を目的とする教育を,教育課程全体の70%程度ぐらいにするのがいいと思います。

また,基礎教育は二つにして,いわゆる教養的な科目,それから専門基礎たる科目,これをカテゴリーとして,やはり教養的なもの,専門基礎的なものを分けた方がいいのではないかというのが私の意見です。

専門教育については,いわゆる理論的,知識的な専門知識科目と専門スキル実習科目,技術,技能を教えていくものと,やはり二つに分けて,そして,専門スキル実習科目をどの程度のものにするか,これは分野によって違いがあると思いますが,そのようなカテゴリーを教育モデルとして作り,分野別の対応は,それを踏まえて考えていくということで,教育課程全体をそのようなカテゴリーに分けてモデルを作るべきではないかと思います。

では,具体的にどうやるのかという話でありましたら,私は次回以降,紙にして提案することは可能だと思っております。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

永里委員,どうぞ。

【永里委員】  今の岡本委員と同じようなテーマの話になるのですが,少し観点が違いまして,昨今の社会のニーズに照らして,今の教育機関に欠けている部分があるので,今,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会が開かれていると思うのです。では欠けている部分は何か,それは結局,グローバルに活躍する人材や,国際通用性の観点など,いろいろな思いが我々はあるわけです。黒田副部会長がおっしゃっていましたが,そのようなことを踏まえた上で議論していると思います。

その場合,特に本日,冨山委員から御発言のあった年収500万円で,かつ偏差値50というような例は,極めて分かりやすいと思います。ある程度スペックを考えると議論が拡散しないと思うのです。岡本委員がおっしゃったように,このようなことを議論すべきでないということであれば,話は別ですが,冨山委員の例示は極めて分かりやすいので,もしそのようなスペックであるとすると,具体的な話も出てくるのではなかろうかと思いますし,特別部会での制度化の話について,まとまりが出てくるのではないかと思います。

私の質問は,年収500万円で,偏差値50というようなスペックで考えていいのでしょうかということです。

【永田部会長】  今おっしゃっているのは,永里委員も,それから岡本委員も例え話だから聞いていられるという話です。このようなことは,本当は理想から話さなければならないのです。最終的にもちろん理想から書き起こして,きちんと世間を説得するように書きますが,やはり平場の議論がないと全然進まないので,例えば今,永里委員がおっしゃるように,そのような観点で考えたらどうなるのかということは考え方としていいものかと思います。

ただ,一旦大学も出て,社会に出た人もやはり専門の分野をそこに行って勉強したいとなると,その観点はまずいだろうと思います。その子は,同じ学校で違うプログラムを受けるのかということになってしまうので,理想を考えると,先ほどの観点は念頭には置かれて結構だと思いますけど,なかなか難しい議論もあるかなと思います。

國枝委員,どうぞ。

【國枝委員】  もう何人かの方が既に御指摘になったことと重なっているかもしれませんが,いろいろな学校種,それから,今ここで考えている専門職業教育を強化するための高等教育機関ということを考えたときに,現存の仕組みの中でも制度自体にフレキシビリティーを持たせることによって対応できることが少なくないと思われます。今の学校種の中で,例えば専門学校は求められる分野に対して早急に姿を変えて対応していくという特性があります。一方で,大学は,そのような変化は非常に遅い。したがって,社会が急速に変化する中で新たなニーズに応え切れない。今回の職業大学構想の中でそのようなことをまた繰り返すような制度は作りたくないとは思っています。

そういう意味で,例えば短期大学から大学に編入する,あるいは短期大学から専門学校の3年次,4年次に編入することについては,それは受け止める側が独自のアドミッション・ポリシーに従って,それぞれ審査をして受け入れればいいのではないでしょうか。だから,そういう意味で,現在は恐らく法的にも乗り越えなければいけないバリアーが少し高過ぎるのかと思います。それを限りなく抑えるようにしていけば,現在の制度ももっと使いやすくなるでしょうし,それから,今考えている制度も,既存の制度を活用することで,全てを抱え込まなくてもいいのではないかという考え方もできるのではないかと思いましたので,一言申し上げました。

【永田部会長】  ありがとうございます。

青山委員,益戸委員,金子委員の順番でどうぞ。

【青山委員】  論点2と論点3について,非常に密接な関係がありますので,この点を中心に意見を述べさせていただきます。

基本的に恐らく修業年限というのは2パターンあるのだろうと思います。6年,3年,3年やってきた18歳の子供たち,それから,皆さんから御意見が出ている学び直しです。恐らく18歳で入る子供たちの基本的な設計をどうするか,これがまず重要であると思います。

先ほどから,御意見が出ていますように,実は実務経験が非常に重要,インターンシップが非常に重要ということになりますと,インターンシップはある程度のキャリアを積まないとなかなか身に付かないと思います。6か月,あるいは1年というものが絶対必要だろうということになりますと,恐らく1,2年というわけにいかず,3,4,5年といったような期間が必要ではないかと思います。

一方,学び直しは,カリキュラムの作り方,それから,個人の能力の問題,そういうことで制度設計をしていけばいいのではないかと思います。

それから,分野についてですが,恐らく技術系とか経営系とかいろいろあると思いますが,基本的な考え方はやはりビジネス直結型だと私は思います。その中でも何を目指すかということですが,基本的にある程度ビジネスができる人材を目指すことが必要となります。では,ビジネスができるというのは一体どういうことかといいますと,実は私どもの日本商工会議所が,いろいろな中小企業などからお伺いすると,キャリアのあるミドル人材が欲しいという意見が一番多いのです。

ということは,ある程度実務が分かって,キャリアがあって,仕事を遂行できる能力を有する人材ということになりますが,そこまで達するような年限と分野,テーマが必要なのではないかと思います。

最終的には,それを一歩越えて国際通用性というのも必要かもしれませんが,いずれにしましても,事業化できる能力,そこがポイントだと思います。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。モジュールという考え方を組み入れれば,可能な部分があるかと思います。

国際通用性についてですが,有識者会議の中で,非常に重要なポイントとされましたので,今リピートしている次第です。

益戸委員,どうぞ。

【益戸委員】

この新たな高等教育機関の制度化を地方創生の観点で考えてみたいと思います。中央に比べて地方は人材の層が薄く,現有メンバーだけでは,地方創生の実現には困難が多くあると思います。やはり今あるトップ層の次のところの層を押し上げないことには,地方創生というか,日本の国力そのものが上がらないと思います。

また,地方人材にとっての学び直しという点も重要です。今持っている技術的なバックグラウンドに,更に体系的な新しい知識をつける。そのために学び直しのためにもう一度勉強する。そうすれば,地方にはまだまだチャンスがあり,すごく良いビジネスができると確信しています。

ですから,その点は是非とも入れ込んでいただければと思います。

【永田部会長】  それも多分同じで,モジュールというのは一つの学校法人が持つ場合もあるでしょうが,そうではない,総体としていろいろなものを持ち得るわけですから,例えば,ここの法人はこれが得意,あそこはあれが得意といったようなこともあるかと思いますので,それぞれの法人の良いところをうまく活用していってもらうというのも一つかもしれません。

【生重委員】  まず,本日インパクトが強かったのは偏差値50,500万円の話です。私も,そういう子たちに日常的にたくさん会っているので,この子たちが何とか社会に出ていって活躍できる場をどう作るかというのは絶対に必要なことだと思います。ただ一方で,そこは,たくさんベースとして学ばなければいけないことがあると思います。

できれば国際社会に通用するというきちんとしたものと,活躍できる専門的なプロフェッショナルを育成する,その連続的なものと,その中でも特に地域社会の中で何をやっていけばいいのかが分かるようなワンクッションの職業的で専門的なところに学びに行く前のものとの2パターンが必要なのではないかと思います。

【永田部会長】  それでは,金子委員,お願いします。

【金子委員】  私は,前から言っていることを繰り返すことになるので遠慮していたのですが,本日の議論を聞いていても,新しく実践的な職業に対応した教育がなぜ既存の大学の枠内でできないのかということに納得できません。

一つの議論で,既存の大学がきちんと教育しておらず,これが駄目だからという議論や,新しい制度を作れば,それが刺激になって制度同士が競争するという議論もありましたが,その制度もいろいろなものが更に必要になるかもしれないという御議論もありました。私は,制度を分けるのではなくて,むしろ制度の中で大学が前向きに競争する仕組みをもっと明確に作ればいいと思います。それは,今までのところ,大学側の努力が足りないというところもあるでしょうが,しかし,更に競争を作っていくように誘導するべきだと思います。

それから,一般的に今の大学は全部間違いで,何もやっていないみたいに言われるのは大変怒りを感じますが,御存じの大学は実際にどれくらいありますでしょうか。自分が卒業した大学以外に,どのような教育をしていることを本当に御存じなのか,あるいは自分が卒業した後に大学はどのような教育をしているかを御存じなのかということに,私は大変疑いを持っています。私自身は,日本の今の大学は問題があると非常に批判していますが,しかし,現実的にいろいろな大学があって,それから,様々な大学でいろいろなことをやっています。なぜ,これを生かすことができないのかということは理解できません。

それから,制度的に制約が強いということについても,現在の大学設置基準を見ている限りでは相当いろいろなことができますし,これ以上必要であれば,それをより変化させればいいと思います。

それから,もう一つだけ言わせてください。そういった議論の中,新しい機関を作るとすれば,やはり学士が必要だという御議論が多いのですが,もし学士を作るとすれば,先ほど副部会長がおっしゃったように国際的な通用性が非常に大きな問題になりますから,相当大きな枠をはめなければなりません。ところが,どうも今までの御発言を聞いていますと,新しい機関に対する皆さんのイメージは相当違うのではないかと私は思うのです。相当高度な教育をすることを狙っておられる方もあるし,あるいは既存の専門学校を基礎として,それにもう少し体系性を与えるということを意図されているような方もいらっしゃいます。

それから,専門的な職業というのは,これから物すごく多様化してくると思うのです。専門職業化しているような領域,例えば医療関係などは,もう既に大学できちんと課程ができているわけで,そうではないところでいろいろな要求が出てきていることは事実ですが,それに対して枠を与えるというのは非常に大きな課題で,この議論をすると,恐らく2,3年などで簡単に終わるようなものにはならないだろうと思います。

とりあえずは学士課程というふうに必ずしもこだわらない課程を作っていくという方に議論を向けていくこと,それも非常に大きな選択肢であると思います。

以上です。

【永田部会長】  鈴木委員,お願いします。

【鈴木委員】  基本的に,今の金子委員の御発言に私は賛意を表したいと思っております。前田委員の資料にも,基本的には新しい高等教育機関を作ることに積極的に賛成の立場をとっているわけではありませんがというふうに書いてありますが,基本的にそのような立場をとっている者もいるということを,また認識していただければと思っております。

先ほどから議論を伺っていますと,何か夢のような話だと感じます。偏差値50以下で年収500万円を達成するような,今,偏差値50以上でも年収500万円を達成している人がどれだけいるのでしょうか。偏差値50以下も含めて,年収500万円を国民全体が達成できるような社会状況なのかというあたりのところをまずよく考えないといけないかと思っています。

国際通用性のあるものを作るという前提で考えれば,黒田副部会長がおっしゃったような形で,学士又は同等レベルということであれば,フルタイムで3年から4年ということになりますが,日本の今の大学制度は4年ですので,4年,若しくはそれ以上という形でしかできないのではないかと思います。それを2年とか3年とかというふうな考え方をしていくこと自体が,国際的には難しいだろうと思っています。

あと,実務家教員の問題とインターンシップの問題が先ほどから出ていましたが,実務家教員とインターンシップ,今の大学制度の中だから問題なのかというのもあるかもしれませんが,恐らく今の大学制度をある程度取り払った中でも非常に問題があると思います。現場で学生をどこまで教育することができるのか,そこまで現場に余裕があるのか。実務家教員としての教育がどのようになされるのか。分野別というのはもっとずっと後の議論だというお話でしたが,分野で,そういうことが実際にできるかどうかということを見定めた上で,分野別に新しい学校種を作っていき,学校種の大筋ができたところで,実際のところでは分野別に細かく検討していかなければならないのではないかと思っております。

以上でございます。

【永田部会長】   私からは一つだけ,日本の大学院の話を少しだけ御紹介します。

日本だと,大学院,博士課程を出て学位をもらいます。ドクター・オブ・エデュケーションとかドクター・オブ・エンジニアリングとかになります。外国にはないわけですから,日本だけで通用する学位名です。あちらで通用するのは,当然ながらドクター・オブ・フィロソフィーだけです。ドクター・エデュケーションといった瞬間にドクター・オブ・フィロソフィーとは違うものなのです。外国に行けば,そのぐらいの認識で見られます。

バチェラーもそうです。バチェラーという単語自体がすごく重いのです。だから,バチェラーという単語を使うとしたら,相当の覚悟を持ってやらないといけないということだけは確かだということです。

ドクター・オブ・ビジネスサイエンスでは意味がないのです。それが世界的な学位ということなのです。だから,800も900も学位があるのは,日本だけなのです。最近,いろいろ専門職としてドクター・オブ何々というのが出来始めましたが,まさにそれが専門職で,真理探究ではないといっているわけです。今,大学院の方が分かりやすいと思うので,お話をしました。

修士の方は,MBA(修士:経営学)やMPH(修士:公衆衛生),MPHなどというのは今,1年で出せるところもあって,普通は2年で修士を出していますけど,プログラムによっては1年でも出しているわけですから,修業年限もいろいろ考えるはずです。ですから,先ほどからお聞きしていて,いろいろありました。モジュール型もあれば,3年なり,4年なり,ひょっとしたらもっと長いものもあるかもしれません。

多分,本日は皆さん,念頭に学士というのがあったのかもしれません。一方で学士という名前でないと子供が不幸になるという意見もあって,そうなると学士の方が,通用性があると思います。そうだとすると,黒田副部会長が言われたような観点をやはり忘れてはならず,もし忘れてしまうと世界に出た瞬間にひっくり返ってしまうということになります。

先ほど私は,宇宙船の飛行士の話をしましたが,新高等教育機関にはそのような人を育ててほしいと思います。そのような人材を育てるのであれば,どうしたらいいのか。本日は大分,皆さん言いたいことをおっしゃったと思うので,もう一回整理をして考えていただけるとよろしいかと思います。インターンシップの問題や教員の資格の問題というのも,本日,幾つか意見は出てきたわけですが,少し漠然としていました。先ほど岡本委員の方からも具体的なカリキュラムを作ってみるから,見てみないかという御提案がありました。ITや土木基盤などいろいろな分野によって,カリキュラムは違うと思うのです。

最後,金子委員や鈴木委員からそんなに単純に決まることではないというような御意見がありましたが,諮問は諮問であって,岡本委員が言われたようにただ,その枠組みとして私たちが考えるものは一体何なのかという話をしないといけないわけです。

本日議論に出てきた一つにモジュールというのがありました。社会人が取り直しに来ても取れるという,そういうものがあってもいい。それから,高校生から上がってきた子が積み重ねていくものがあってもいい。それから,どこかで御意見がありましたが,e-ラーニングとかパートタイムでやるようなモジュールを作ることもできるかもしれないです。

そのようなストラクチャーで,一体何を教えるかということ,今現在の大学や短期大学とは何が違うのか,その違う部分を打ち出せるかどうかです。

大学とはこうするものである,短期大学はこうするものである,高等専門学校はこういうものであると言っているわけですから,今度新しく,新たな教育機関についても,こういうものであると言い切れれば,それが最終地点であり,実は出発点であるということだと思います。

今,実例を話しながら,偏差値の話も,年収の話も,分野の話もいろいろ出てきたので,多分考えやすくなったと思います。次回は,もう一回ぐらいきちんと本音を議論いただかないと,互いに理解できない部分があると私は思います。

これを全部,整合性のあるものとしてまとめられるかどうかは別にしても,これまでの高等教育機関とは違う,きちんとした人材養成目的というものをわずか2行か,そのぐらいで書き得るかどうか。書ければ,それで新しい高等教育が出来上がるということなのです。その後,カリキュラムも付いてきます。

ただ,実際何年でやるのかなど,どのようなストラクチャーでやるのかということもやはり例示を作っておかないと,なかなか想像もできないでしょうから,本日はあえて本当にいろいろな私見というのをそのままおっしゃっていただいたということであります。

何かほかに御意見等ありますか。千葉委員,どうぞ。

【千葉委員】  今の議論と方向性が合うかどうかは少し分からないのですが,今度の新たな高等教育機関というのは,職業ということを相当強く意識した高等教育機関ということで制度が作られていると認識しておりますが,既存の大学,短期大学というところで見ますと,体育学部を出ても体育に関するような仕事をする人は実際には非常に少なかったり,法学を勉強しても法律を生かさないような仕事をしていたりする人も結構多いのが現状ではないかと思います。また,文学部などについては,まして文学の仕事に就く方,あるいは研究者になる方は非常に少ないわけなのですが,既存の大学,特に学部教育において,プロフェッショナル養成ということの認識というのは大学の方々はどのようにお考えになっているのでしょうか。勉強のために少しお聞かせいただきたいと思っているのですが,その辺りについて,大学の方に,もしお答えがあればお聞かせいただきたいと思います。

【永田部会長】  今,大学と短期大学合わせて5,6名いらっしゃるはずですが,では,寺田委員どうですか。実情をお話しいただければと思います。

【寺田委員】  その質問は,非常に困ります。どういうことかと言いますと,プロフェッショナルというのをどの辺まで定義するのかというふうに逆に質問したいわけですよね。私の考えでは,既存の大学で法律,医師をはじめとして専門職業養成をやっていますが,こういうのが伝統的ないわゆるプロフェッションという概念の中に入るものだと思っています。

問題は,どうしてこのような議論をやっているかというと,もう一つ,新たなプロフェッションが登場してきているのだろうと思います。国際職業分類を見ると専門職というところを二つぐらいに刻んでいて,特に下の方の専門職というのが新たにどんどん出てきているわけです。そういうことへの対応というのが,既存の大学ではまずできないということで,新たな専門職,僕は中堅人材というより,もう少し高いところを考えているわけですが,その養成を行う機関というものが,以前は工業分野に関しては高等専門学校でやれていたと思うのですが,短期ではもう間に合わないということではないかと思っています。答えになっていますでしょうか。

【永田部会長】  金子委員,どうぞ。

【金子委員】  一般的に言うと,大学の卒業生と職業との関係というのは三つぐらいに分かれると思うのです。一つは,大学卒業生の1割くらいはかなりの専門職に入ります。それは,大体,心理教育関係です。これは免許が必要なもので,大学の教育課程が大体免許に対応しています。ただ,これは,1割か2割弱くらいです。あとの3割くらいは工学関係が多くて,理学,工学,薬学,いわゆる理工系です。これは,言ってみればかなり専門的ですが,企業の中で,大学で習ったことをそのまま使うという意味での専門職かといえば,そうではありません。やはり大学の中で習ったことは基礎だというふうに捉えられていて,企業の中で鍛えられます。あとの6割近くは,人文社会系で,これは大体,営業事務職として就職しており,企業の中で仕立て直されるというような働き方をしているので,これは必ずしも専門職とは言えないでしょう。

今,寺田委員がおっしゃったように,その中でも一般的にサービス業と言われる分野に就職する人が多くなってきて,今はもう製造業を抜いて,一番目のセクターになっていますが,実はここは非常に多様で,どのようなことをやっているかというと,なかなか分類できないようなものが非常に多いです。

ただ,これは,大学でも簡単に教育できませんし,専門学校でも簡単にできないと私は思います。というのは,ロットが非常に小さいというか,物すごく多様だからです。多分,18歳からそのような職業に行くというふうに決めて直接的な教育をするよりは,ある程度基礎的な教育を高等教育としてやっておいて,成人教育で,むしろ社会人の教育として様々な機会を用意した方がいいと私は思います。

以上です。

【麻生委員】  私は,短期大学という短期の高等教育機関としての立場から申し上げますと,短期大学制度は戦後にできて,大学になれなかったところが短期大学という暫定的な取扱いで,確か昭和39年だと思いますが,恒常化されたという歴史があります。当初は男性が多かったのですが,その後,女子教育のニーズが多くありました。

しかしながら,近年においては女子の4年制大学への進学が進んだという現状を踏まえ,短期大学では,特に幼稚園教諭,保育士,それから栄養士,看護師,介護人材等,資格と大変密接に連携している職業教育をやっております。

ここは,ある部分では既存の専門学校とバッティングする部分もあるのですが,短期大学のみしかできない部分もあります。こういったものを基盤として人材育成,私の考えでは実践的な職業教育を今まで短期の高等教育機関としてやってきた。それも2年,3年ということは,例えば18歳で入学すれば,二十歳で職業に就けて,実際,多くの幼稚園教諭や保育士さんは,短期大学卒業生で占めているのが現状でございます。

こういったものが短期大学の特性で,今まで果たしてきた分野ですので,短期大学自体は,鈴木委員がおっしゃったように実践的な職業教育をやっていると自負しております。

その中で,残念なことに短期大学は学校教育法上で2年又は3年と限定されているのです。専門学校は一条校ではないのですが,1年以上と規定されていますので,4年も,場合によっては5年,6年があるかもしれません。ここのところが短期大学の一番つらいところなのですが,今,CAP制という制度がありますので,1年で取れる単位数の上限,これは1単位15時間といったようなものが根幹にあり,大体年間48単位というのが上限となっていたと思います。厚生労働省に相当厳しくチェックされます。もう一つ,文部科学省関係でいきますと,教育職員免許法におきまして,教職課程の教員組織については,大学設置基準の教員審査とは別の基準で行われています。ここのところが大切なところで,現実の社会の中で実践的な短期の高等教育機関で果たしているということを是非御理解いただいた上で,今度の新しい高等教育機関を構築していただきたいと思います。

また近いうちに,短期大学の意見をまとめた形で提出させていただきたいと思います。

【永田部会長】  それは最初に申し上げていて,短期大学というのは教養課程というわけでなく,ある一定の専門を得意としており,それぞれ個々に違う大学でもあるということと別に矛盾するわけでも何でもないと思っています。

【安部委員】  すみません,補足させていただいてよろしいですか。

【永田部会長】  それでは,安部委員,短めにどうぞ。

【安部委員】  昨年の8月に,7期の中央教育審議会で短期大学ワーキングの審議のまとめを取りまとめました。そのまとめの中で短期大学の役割は,まず専門職業人材の養成機能とされており,これに関しまして先ほど麻生委員が言われたように,これまで幼稚園教諭をはじめとして保育人材,介護人材等の養成教育に当たってまいりました。

短期大学は,経済的に少し大変な,そして,地域において2年で職業人材になりたいというような人たちを専門職業に就けていった,そういう機関であるということの中で,私どもは,分野は限られますが,実践的な専門職業人材の養成機能を第一に行ってきたということを申し上げたいと思います。

以上です。

【永田部会長】  多分,そのような認識でいいのだと思います。

この激変している世の中で本当に今求められている分野と,変わらず淡々とやればいい分野とがやはりあるわけです。今,恐らく産業界である一定のマスで欲しい分野もあると思います。益戸委員や寺田委員がおっしゃった,現場の人よりは上ぐらいの中堅人材というのは非常にややこしい定義なのですが,そのようなことを思っていらっしゃる方もいるわけです。

これらを本日はサマリーするわけにはいかないので,いろいろな意見があったということで,結構なのですが,複線化でいくのか,そうでなくて,今の既存の大学の中で何とかやるのかという議論は少しぐらいやってもいいのかもしれません。例えば,こういう部分を変えれば,今のままでも絶対できるというのがあれば,それはそれでいいと思います。それが絶対できないということは,今のところ諮問の中は,それは二義的なところに入っているので,余り考えていなかったわけですけれど,本日そういう意見もあったということは確認したいと思います。

【千葉委員】  今のお話をお聞きして,やはりディプロマ・ポリシーといいますか,育てる人材像というのが割とはっきりしていないのが今の大学の姿ではないかと思うので,今度の新しい教育機関については,そこのところをしっかりやることによって制度というものが見えてくるのではないかと思います。

以上です。

【永田部会長】  今,我々の中でコンセンサスがまだ得られていないということなので,本日の議論を肥やしに,またもう少しやりたいと思います。ただ,次回話すときにはもう少し形になるような努力を,こちらもさせていただきます。

つきましては,これで本日の会議は終わりとさせていただきますが,次回はもう一度,論点1,2,3,4をもう少し詰めた形でまとめていけるようにと思っております。

それでは,今後の予定について,事務局から御案内いたします。

【塩原主任大学改革官】  次回会議の御案内でございます。次回,第6回会議は10月21日の水曜日,午前10時から12時の時間で,場所は文部科学省3階の第一講堂で開催を予定いたしております。よろしくお願いいたします。

【永田部会長】  以上,次回もよろしくお願いします。

それでは,本日の議事はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

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生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付

高等教育局高等教育企画課新たな高等教育機関プロジェクトチーム

(生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付、高等教育局高等教育企画課)

-- 登録:平成28年02月 --