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実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会(第4回) 議事録

1.日時

平成27年9月1日(火曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 第二講堂(旧庁舎6階)(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 新制度の制度設計について
  2. その他

4.議事録

【永田部会長】  それでは時間になりました。第4回実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会を始めさせていただきます。

前回までにいろいろな自由な御意見,討論等を頂きましたが,そろそろ,少し焦点を絞りながら本格的な議論に入っていきたいと思っております。後でまたその内容を詳細に申し上げることといたします。

まずそれに先立ちまして,事務局から主に人事異動に関しまして,御紹介を頂きます。

【塩原主任大学改革官】  8月に文部科学省内に人事異動がございましたので,紹介をさせていただきます。

まず,高等教育局長に常盤豊が着任いたしております。

【常盤高等教育局長】  常盤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【塩原主任大学改革官】  また,私学部長に杉野剛が着任いたしております。

【杉野私学部長】  杉野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【塩原主任大学改革官】  生涯学習総括官に岩本健吾が着任いたしております。

【岩本生涯学習総括官】  よろしくお願いいたします。

【塩原主任大学改革官】  なお,本日遅れておりますが,事務次官には土屋定之が,大臣官房審議官初等中等教育局担当には藤原章夫が,教育再生実行担当室長に浅田和伸が,生涯学習政策局参事官に小谷和浩が就任いたしております。

以上,人事異動の御報告でございます。

【永田部会長】  ありがとうございます。

それでは,引き続きまして,配付資料についても事務局から御説明いただきます。

【塩原主任大学改革官】  本日の配付資料について御確認をお願いいたします。

本日の配付資料,議事次第にございますとおり,資料1から資料3-2までの5点の資料,並びに参考資料といたしまして,我が国における高等教育段階の職業教育に関する基礎資料,の6点を配付させていただいております。机上配付といたしまして,お手元に机上資料,独立行政法人大学評価・学位授与機構による日本の学位名称に関する調査結果,全32ページの分厚い資料でございます。また,もう1点机上資料といたしまして,米国で授与される学士の名称例等に関する机上資料3枚物でございます。こちらにつきましても追加で配付させていただいております。不足等ございましたら,事務局までお申し付けください。

【永田部会長】  以上,もし足りない資料があれば事務局の方に御要望ください。

それでは,本日は,制度化に関する論点ですが,資料1にまとめさせていただきました。これは現在の大学の三つのポリシー,アドミッション・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,それからディプロマ・ポリシーの観点から,これまで御議論いただいたものを適宜まとめたものでございます。

事務局の方からこれも御説明いただきます。

【塩原主任大学改革官】  はい,資料1を御覧ください。

資料1,新たな機関の制度化に関する論点例(検討メモ)でございますが,こちらにつきましては制度設計の御検討を頂くに当たりまして,当面想定される議論の論点の全体像を列挙させていただいたものでございます。特別部会におきましても,ここにあるような検討事項について逐次,御審議を賜れればと思っているものでございます。

本部会にまずお願いをいたしたいのは,新たな高等教育機関が行う職業教育のイメージの明確化についての検討でございます。高等教育機関である以上,その教育を行うに当たりまして,ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシーの三つのポリシーの明確化が求められるかと思います。

まず,当該機関の教育の出口水準や修了者に与えるタイトル,すなわち学位等に関するポリシーであるディプロマ・ポリシーの観点からは,当該機関において育成する人材像,身に付けさせる知識・技能等の内容,さらには当該人材を育成するために必要な期間,すなわち修業年限に関わるものでございます。また当該課程の修了者に授与するタイトルや学位等に関してのこれらの在り方についての御審議を賜れればと思っております。

また,ディプロマ・ポリシーが明確になれば,その次には,その出口水準まで引き上げるための教育課程の編成やその実施に関するポリシー,すなわちカリキュラム・ポリシーを明確化することになります。

また,学生受入れの方針でございますアドミッション・ポリシーの観点につきましても,イメージを更に明確化していくことが可能になるかと思います。

真ん中,カリキュラム・ポリシーの観点でございますが,教育内容の設定,そこで行われる授業の方法や内容,教養教育の取扱いといった観点,またカリキュラムの構成等につきまして,歴史的な点にわたるものも含めて,その構成の在り方,当該機関の入学定員,収容定員等,教育を行う適正な規模についての考え方,このような点についての御議論を頂きますとともに,こういった機関において教育を行う,カリキュラムを教えるための教員の配置,教員の資格等につきましても十分に御審議を賜れればと思っております。加えまして,施設設備など設置基準の内容につながる事項につきましても,この特別部会において御審議を賜れればと思っているところでございます。

また,学生の受入れ,アドミッション・ポリシーの観点からは,初中教育からの接続,18歳の学生についての受入方針,社会人の学び直しの観点からの受入方針,入学者選抜の形態,入学の時期,これは場合によっては年複数回ということもあるかもしれませんが,こういったポリシーについての御検討も賜れればと思います。

その上で,以上の三つのポリシーについて御議論いただいた後には,それらに横断的に関わる事項といたしまして,自己点検・評価,第三者評価といった評価による質保証の体制の在り方につきましても御検討を賜れればと思います。

以上,表の面でございます。表の面は教育機関としてのイメージの明確化に関する諸論点でございましたが,これら一連の検討の後には,資料1の裏側にございます「その他の制度設計のイメージの明確化」ということといたしまして,当該高等教育機関の設置形態に関する議論というのが出てくるかと思っております。加えまして,その機関における学術研究の機能の位置付け,こういった点も重要な点であるかと思っております。

そのほか他の学校種との関係,産業界,地域との関係の明確化の観点も重要であると思います。他の高等教育機関との役割分担,産業界との連携の在り方,地域との連携の在り方等につきましても御議論を賜れればと思います。

御説明は以上でございます。

【永田部会長】  ありがとうございます。今,御説明のあったとおりですが,いろいろな議論がいろいろなところに絡まっています。例えば先ほど教養教育をどうするのかという問題は,普通の大学と同じでいいのか,違うのかということですが,やはり最終的にどういう人を育てるかを決めておかないと議論になりません。ですから,これから御議論いただく中でいろいろな意見は出てきていいのですが,本日はまずディプロマ・ポリシーの観点からアプローチをしようと考えています。

こういうことでこういう人を育てたいという,「こういうことで」という部分はカリキュラム・ポリシーや,アドミッション・ポリシーの方になるかもしれません。その上で,こういう人を育てたいという部分が本日の主要なテーマと考えます。多分,議論がうまく進めば,残りのことはそれをやるためにはこういうことが必要だ,これだけの人をそろえることが必要だ,これだけの時間が必要だということで自然と答えが出ていくものと思います。

ですから,やはり一部,そもそも論に戻る部分も多分出てくるだろうと思いますが,それがこの中央教育審議会の特別部会の最も重要な部分だと思いますので,そもそも論も含めて,ディプロマ・ポリシーという観点から,どのような人を育てて,どのように社会に出していくのかということを話し合いたいと考えています。先ほども申しましたように,後でまた御説明しますけれども,そもそも論の議論に少し役に立つような説明も少しさせていただくつもりでいます。

もちろんほかのことが複合的に入ってきても結構ですが,とりあえず,ディプロマ・ポリシーの観点から議論を進めたいと思っています。

このディプロマ・ポリシーの観点からということで,関連した資料があると思います。これも事務局の方から御説明をお願いします。

【塩原主任大学改革官】  資料2-1及び2-2を御覧ください。

資料2-1及び2-2は,主としてディプロマ・ポリシーの観点から新たな機関の制度化の趣旨・方向性について御議論いただくための材料として,配付させていただいているものでございます。

資料2-1は議論のためのメモ,論点メモの形でお示しをさせていただいております。また,資料2-2は関連のデータ集の形となっておりますが,本日は時間の関係もございますので,資料2-1の方を中心に御説明をさせていただきたいと存じます。

まず資料2-1の1ページでございますが,ディプロマ・ポリシーの観点からの論点としては,こちらにございますような大きく二つの論点が挙げられるかと思っております。一つは論点1でございますが,養成する人材像・身に付けさせる資質能力をどうするか,そして論点2が修業年限と学位の取扱いということでございます。

1ページめくっていただきまして,次のページでございますが,論点1について更にもう一段ブレークダウンいたしますと,一つ目,養成する人材像に係ることでございますが,新たな制度によってどの層の人材養成を強化していくかということがございます。この点につきましては,長期の社会構造変化を見据えた視点が必要ではないか。特に特定の技能に秀でた人材と当該産業分野の中核的役割を担う人材とでは,その養成のための教育内容が異なるのではないかといったことなども踏まえた検討になっていくかと思っているところでございます。

養成する人材の考えられるターゲット例は,これまでの議論・審議等の中では,例えば生産性向上の要となる現場のリーダー層や新たな財・サービスを生み出していくような,地域経済を引っ張る中小企業の経営層などへのニーズ等が度々聞かれていたところでございますが,新たな機関で養成する人材の主要なターゲット層をどこに置くかということを,最初の検討テーマとして挙げさせていただいております。

なお,2ページの下の方でございますが,以下は第1回から第3回までの会議における委員の意見等,そしてこれまでの諮問・答申等で出されている視点等から紹介をさせていただいているものでございます。諮問の視点,2ページの下でございますが,こちらにおきましても,現在,社会・経済の変化のスピードも増している中で,新たな技術や技能を素早く修得して,変化に対応し続けることができる人材が求められているのではないか,また3ページの上でございますが,過去に中央教育審議会で出されたいわゆるキャリア教育・職業教育答申の中でも,異なる分野の知識・技術等を統合・総合させて,ものづくりや商品・サービス等を生み出すことが求められているとあり,既にこれまでにもこういった視点等が出てきているところでございます。

その下,データでございますが「労働生産性の国際比較」ということで,日本の労働生産性につきましては欧米諸国よりも低い水準となっていて,とりわけ非製造業で低い実態があること,4ページでございますが,GDPの産業別割合,就業者の構成等について,サービス業の割合が増加していること等,5ページでございますが,こちらは文部科学省が以前行った委託調査の成果として作成した,各分野の人材マップの例でございます。ここでは観光分野の人材マップ,IT情報サービス分野の人材マップ,Webコンテンツ開発の例というのを抜粋してお示ししており,それぞれの分野でどういった層の人材が存在して,中堅人材と一口に言った場合にはどのような層なのだろうということを,マッピングしたものでございます。

その他,例えば福祉分野,ビジネス実務分野等の人材マップ等も資料2-2の21から23ページの方に別途用意させていただいておりますので,御紹介のみさせていただきます。

続きまして6ページでございますが,論点1,各論の二つ目でございます。新制度の下で何を身に付けさせるのかということを論点として挙げさせていただいているものでございます。

(1)の養成すべき人材像のターゲットを踏まえながら,当該人材養成のために高等教育段階ではどのような能力を伸ばしていくのか,また,近い将来,今ある職業の多くが入れ替わっていくことも想定しなければならない現在の状況において,何を教えていくのか,こういったことの議論かと認識しているところでございます。

これまでの議論におきましては,高等教育段階での職業教育で身に付けさせる資質能力等の例として,例えば特定職種における専門性の幅を拡大させていく,あるいは専門性を深化させていくといった方向で能力を伸ばすことのほかにも,職業人一般に求められる基礎的・汎用的能力の育成,市民としての教養の醸成といったような,いろいろな御意見が出されてきたところでございますが,これらの中から新たな機関ではどこを取り上げていくのかと,今回はこのような議論をお願いできればと思います。

参考といたしまして,これまでの提言等,6ページ下にございますとおり,本年3月の有識者会議の「審議のまとめ」等におきましても,新たな高等教育機関において専門教育とその基盤となる教養教育にわたって体系的な教育課程を編成していくべきこと等についての提言も出されているところでございます。

7ページは,第2回の特別部会において経済同友会天羽様からヒアリング,御発表いただきました「企業が求める人材像」についての発表資料から抜粋させていただいたものでございます。

8ページを御覧ください。論点1の各論の第3でございますが,これまで見てきたような人材の養成,資質能力の育成に関して,既存の学校では何が足りないのか,何がネックになるかというのが次の論点であろうかと思っております。一口で言えば,これまでの高等教育と職業との間のミスマッチの要因について,どう捉えるかということかと認識いたしております。

その下,課題の指摘例,これまでの種々の提言等の中で指摘されていた内容について取り出したものでございますが,例えば現在の大学につきまして,企業や社会の求める人材の養成に必ずしも十分には対応していないのではないか,とりわけ大学につきましては,学術性を第一義的に求められる中で,職業教育に最適化することが難しい状況が現時点においてはあるのではないかといった指摘を記しております。さらに,専門学校の教育に関しましては,企業はその卒業生の専門的職業能力や即戦力性,職人かたぎといったものには魅力を感じつつも,今後の教育については基礎力の強化を求める声が多いといった調査結果も過去にございます。このようなことが過去の課題の指摘例でございます。

9ページ,これまでの提言で指摘された現行制度の課題・限界ということでございます。本年3月の有識者会議におきましても,既存の大学,短期大学,高等専門学校,専門学校等における将来に向けた対応の限界について,9ページのとおり言及されておりますので,御紹介をさせていただきます。

10ページでございますが,これは参考でございます。一口に,社会と学校教育とのミスマッチは,既存の大学,短期大学,専門学校等でございますが,その就職者の状況はどうなのか,例えば一時的な仕事に就いた者や無業者等になっている者というのが,大学でありますと現在,全体の卒業者の14.7%というのが,平成26年3月卒の状況でございます。早期離職の点につきましては,就職しても3年以内に離職した早期離職者は,大学では32.4%,また短期大学・高等専門学校・専門学校とまとめての統計になりますが,こちらでも約4割が3年以内に離職しているというのが現在の統計の状況でございます。

その下でございますが,10年前と比べまして人材の質が低くなったとの評価,調査結果等もございます。

続きまして,2ページ飛びますが,13ページを御覧ください。論点2でございます。論点2は,修業年限と学位の取扱いでございます。

その各論第1でございますが,新たな機関ではどのような学生を対象に,どのような教育を行うのか。そのためにはどのような内容を,どれだけ修得させるかといったことについて御議論を賜りたいと思います。具体的には,その機関で教養・基礎と専門,アカデミックと非アカデミック,座学と実習など,そういった要素をどれだけ,どのように盛り込んでいくのか。また,それらの教育を行う教育課程の修業年限はどれだけの長さが必要かといったことを含めた検討事項となるかと思っております。

その下,例として示しているのは,飽くまでこれは机の上で考えたパターンとしての例でございますが,例えば,主として高校卒業後の若者や学位を有しない社会人等向けに,幅広い教養と特定職種における実践的な専門知識・技能を併せて修めさせるために4年をかけると,このような形での新たな機関におけるカリキュラム,修業年限のイメージの明確化をお願いしたいと思っているものでございます。

資料のページの順番が少しひっくり返ってしまっているのですが,参考資料といたしまして,2ページ戻っていただきまして,11ページで,平成20年のいわゆる学士課程答申で示されました「学士課程共通の学習成果に関する参考指針」についての資料,また第2回,第3回のヒアリングで御提示を頂きました「成長分野等における中核的専門人材の戦略的推進事業」,文部科学省の事業で開発された専門学校の4年制の教育プログラムについて非常に参考になるものがあろうかと思います。こちらにつきましても本日の資料に添付をさせていただいているものでございます。

14ページ御覧ください。その上で,論点2の最後でございますが,(1)で見ました学修成果の徴表として何が適当か,どのような学位を授与すべきかについて御議論を頂きたいと思います。

下の参考にございます有識者会議の「審議のまとめ」におきましても,基本的方向性として,新たな高等教育機関に関しては大学体系の中に位置付け,学位授与機関とすることを基本とすべきであるということで,基本的な方向性が示されていますが,加えて国際的通用性等を踏まえて必要となる諸要件の具体的内容や,大学・短期大学との差異,学位の種類をどのようにするか等につきましては,引き続き中央教育審議会での精査が必要であるとの提言を頂いております。

短期大学士相当,学士相当の学位を授与するのか,そしてこれら学位を授与するとすれば,他の短期大学,大学と同じ短期大学士ないし学士を授与するのか,あるいはこれらに相当する他の学位,例えば職業学位というようなものを授与するのか,学位の表記はどのようにするのか,付記する分野名はどのような分野名称とするのかというようなことが,この論点の中に含まれるかと思っております。

参考といたしまして,15ページに国際教育標準分類ISCEDにおきます新たな指針,2011年の指針等の分類についての考え方,そしてヨーロッパにおける資格枠組み,EQFの枠組み等につきまして,御紹介させていただいております。

15ページ,ISCEDにおいては,例えば現在2011年の指標では,学士レベルのISCED指標というのはレベル6に相当するものとされておりまして,中程度の学問的又は専門的な知識,技能及び諸能力を提供し,第一学位又は同等資格に導くために設計されたもので,フルタイム就学で3,4年相当となっております。その下,レベル5の高等教育,こちらにつきましては,専門的知識,技能諸能力を提供するために設計され,就職に直接結び付く,実践中心で,職業技能を中心とするという特徴を有し,フルタイム就学で最低2年,一般的には3年未満であることが多いといったような参考指標でございます。

以上,長々と失礼いたしました。論点メモについての御説明でございます。よろしくお願いいたします。

【永田部会長】  ありがとうございました。

メモの方は随時,御覧いただければいいと思いますが,私がもう一回論点整理をさせていただきます。今,御説明のあった中で,現在の大学に求められていることもたくさん入っています。例えば2ページ目のところの文部科学大臣からの「諮問」の中の文章というのは,今,大学教育で不足しているのは例えばここなのではないかと言われている事項が,書かれているわけです。

これは,つまり大学改革にも求められている内容がそこに一つ書かれているということも理解していただきたいし,3ページで説明があった部分というのは,実は分野のことを指しているわけです。文学でまさか実践的な教育をということを言っているわけではなくて,ある分野,それをどうくくるかは別として,今,実社会に非常に距離の近い分野のようなことが書かれているのだろうなと思います。

とりわけ重要かと思うところをもう一度目で追っていただきたいのですが,今の資料2-1の9ページのところですけれども,我々がこれから話し合わなければならないことは,どう私たちが新しいカテゴリーの何かを高等教育機関に付け加えるかということです。これまでの提言で指摘された現行制度の課題や限界というところです。大学,短期大学,高等専門学校,専門学校となっているわけですが,つまりこれらだけでは駄目だということを言っているわけです。大学改革に求められているものの中には,先ほど申し上げたような観点についても新たにきちんと教育をして,社会に出していかなければならないというようなことも含まれています。

短期大学,高等専門学校についても同じように,ここにあるような課題は当然ながら既に認識されているわけです。専門学校については,そこにあるような問題が実はある。これを解消しない限り新しいカテゴリーのものができない。それが既存のもののマイナーチェンジでできるのであれば,我々の答申は全くそのような内容になってしまうと思うのです。

そうではなくて,我々が今ここで話し合おうとしていることは,新しい考え方に基づいた高等教育,実践的な高等教育をやるところとは,というふうに諮問されているわけです。つまり,既存の大学に求める改革は既存の大学に求めれば良く,それは大学部会で議論すればいいということです。

それから,専門学校を変えればいいということであれば,それは専門学校が変わればいい。我々がわざわざここで「実践的な高等教育」と言っているのは,この全ての課題の中で新たに実践的な職業教育を支える高等教育というのがどのような人を育てるものなのかということを考えないといけないということです。

それともう一つ見ていただきたいのは,お手元に参考資料というのがあります。参考資料の23ページに「各学校種における設置基準等の比較」というのがあります。

これは今言った問題の裏返しです。つまり課題は今まとめていただいたように,こういう課題があります。その課題を持っている各高等教育機関は,もともとこのような目的を持って設置されているということです。それがこの23ページの横表にまとめられていて,例えば大学であれば「学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専門の学芸を教授研究し,知的,道徳的及び応用的能力を展開させること」というわけです。それから,高等専門学校については「深く専門の学芸を教授し,職業に必要な能力を育成すること」ということです。それから,専修学校については,「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し,又は教養の向上を図ること」ということです。また,職業実践専門課程というのは,「職業に必要な実践的かつ専門的な能力を育成することを目的として専攻分野における実務に関する知識,技術及び技能について組織的な教育を行うもの」というものです。

ですから,このような目的で設置されて,それぞれが評価を受けて現在改善などをしながら,目的を達成するようにというのが各機関の位置付けということになります。

では,新しいタイプの高等教育機関として,このわずか二,三行の文章をどう書くかというのは,大変実は難しいことでもあります。したがいまして,本日は,どのような人材を育てるか,ディプロマ・ポリシーとして何を学ばせて,最終的にどういう人を社会に出していくのかという人材育成について話し合おうではないかということです。

もう一言付け加えると,大学のモットー,教育基本法における役割は,研究をすること,教育をすること,もって社会に貢献すること,これが大学の基本的な役割であると一番上の法律に書かれています。それをブレークダウンしたときに,今言ったような大学,短期大学,専門学校等それぞれがこういう目的で設置をされて,こういう目的で今,奮闘しているということであり,指摘されている問題も実際にはございます。繰り返しになりますが,その中で混同してはいけないのは,大学に求められていることは大学に求めればいい。新しいものを作るというという考えの下,この新機関の制度検討の議論があるわけです。なお,専門学校についても,例えば教育の質が必ずしも保証されていない等の課題がありますが,これをどのようにすればもう一つ上の高等教育として成立するかという考え方もあるかもしれません。

以上,事務局の方から今,御説明のあった資料を,私なりにそしゃくした考え方として申し上げました。

大変難しいカテゴリーですが,前回の最後に,どのような人を育てるか,あるいはどのような学位を与えればいいのかということを考えてくださいと,宿題を出させていただいたわけですが,御検討いただけましたか。

なお,資料2-1にまとめております二重丸がヒアリングをした方々のコメント,白丸は委員の方々のコメントで,なるべく意見のまま記しておりますので,多面的な,あるいは多様な意見がありますが,大枠でみると一定程度意見の集約ができるかと思っています。

それでは,このような人間を育てたいという御意見を頂ければと思いますが,いかがでしょうか。

【牧野委員】  新機関でどのような人材を育てるかということについて,これまでの発言にもあったように,専門学校が担っているような,その職業ならではの専門性という点で申し上げると,特定の領域においてはそういった専門的な知識が非常に有用であると思います。一方で,私自身学生時代に学んだことが会社に入ってそのまま通用するかというと,正直なところしていないというのが現状です。企業の中の,特に開発部門で必要とされる能力はどんどん進化しており,大学の学術的な基礎研究と比べるとずれている傾向にあると思います。ですから,大学でたくさんのことを学んできたからといって,それがそのまま企業等の社会で通用するという状況にはないということです。

なおかつ,専門学校で教えているような,ある特定の職種における極めて専門的な知識というのが,今回検討している新機関に求められるものかというと,それも少しずれていると思います。

私自身が強く感じているのは,私どもの会社も含め,多くの企業の新卒採用に関して申し上げると,実は私どもの今年の新卒採用の約半数は海外の大学で学士号を取得した方,若しくはそれ以上の学位を取得した方で,残りは国内の大学で同じ学位を取得した方となりました。海外でも各国の最高学府から採用しているわけですが,国内外の新卒1年生を比べるとものすごい差がでます。それは専門的な知識量の差ではなく,仕事への取り組み方やコミュニケーションのとり方,プレゼンテーションの仕方など,一般的な企業が求める能力における差です。企業から求められる優秀な人材は,海外の方がはるかに多いというのが現実です。

飽くまでもそれは専門的な知識の有無ではなくて,例えばコミュニケーションをとるときに,一方的に自分の言いたいことだけを言って人の話を聞かなかったら世の中は成り立たないというようなことを,彼らは大学時代のディスカッション等を通じて学んできているのです。そのような意味でも,私自身がどういった人材を新機関に育ててほしいかというと,天羽さんも発言されていたことですが,例えば問題の設定力や解決力というごく当たり前のことから,困難から逃げない姿勢といったことです。学校教育で養えるかというと,少し難しいところもあるかもしれませんが,コミュニケーション力という当たり前のことも含め,そのような基礎的なことこそがビジネススキルです。ビジネススクールのように学術的な内容ではないかもしれませんが,最低限ビジネスにおいて必要な素養を育てておけば,少なくとも海外と日本の学生の間で差が生まれるということにはならないと思います。

というのも,入社後3,4年かけてきちんと育てれば,海外の同期に追いつくことはできます。好き勝手言いたい放題言うことや自分以外の意見を無視することはしてはならないということ,また相手の意見を吸収しつつも自分の意見を持たなければ駄目であること,いろいろな人との調整がないと仕事は成り立たないということ等,ごくごく当たり前のことを身に付けていく姿を見ていると,これを学生のときから身に付けていれば,社会において日本の学士というものが海外のそれに比べて劣ることなどないだろうと思います。何とか学生時代の間にそのような教育ができないかということが,私が一番言いたいことです。

【永田部会長】  ありがとうございます。

小杉委員,お願いします。

【小杉委員】  ありがとうございます。

今,お話になったイメージですが,少し前に出た,いわゆる学士力答申に「学士力」という言い方で示されているものではないでしょうか。大学においてコミュニケーションをきちんととるような能力を育てなければならないという議論をかつての中央教育審議会でしてきた経緯があるかと思います。どちらかというと今のお話は,私は大学教育改革の方ではないかというふうに理解し,大学そのものが変わる方向性については既に出されていて,その中で,大学の中で産業界と連携してアクティブラーニングを取り入れて変えていこうといような議論も出ているので,私は,そのような変化を既存の大学の方に求めたいな思っています。

ここで新たに新しい枠組みを作るというのは,私はそのような大学そのものの変化と並行して,もう一つ,その変革の中だけで収まり切れないものを収めていくのものかとイメージしておりました。

それは今お話の中で,特定の専門領域というのは比較的小さくて,専門学校が焦点にやってきたというところをおっしゃっていましたが,それと汎用的能力を必要とするようなビジネスマンとの間辺り,日本の市場の中では今までジェネリックな職業人というのを中心に考えてきましたが,もう少しスペシフィックな職業人というものに焦点を当てて考えるべきではないか。それが前回,具体的な例で土木分野,あるいはホテル分野などについてお話がありましたが,ある特定分野の,ある範囲の,特定の職業など,一定の範囲の職業領域を設定して,そこでの職業専門性と,それから当然必要な汎用的能力の二つを併せて育てていくようなことが必要なのかと思っています。

おっしゃっているような汎用的能力が必要なのは間違いないのですが,それはもう大学そのもののとしてやらなければならないことと理解されているところなので,そこを一つ越えたところで,アカデミックなものをベースとして,かつ日本の中で生まれてきつつある,例えば,ホテルの中の幾つかの職業を合わせたような形とか,基盤的な分野の土木技術者と言われるものをもう少し幅広くしたような分野などを設定して,職業のイメージをはっきり伝えることで,学ぶ側のモチベーションも高めることができるようになります。ここが大事なポイントだと思います。

今の大学のもう一つの問題点は,やはり学ぶ側がなかなか意欲を持って学ばないことです。そういうベースを持ってない学生が増えてきたという中で,産業領域がはっきりして,こういう人材になるために必要なものは何かということが分かりやすい分野設定をすることで学習意欲も高まるのではないかということで,私は新機関は,アカデミックをベースにして,ある程度,分野を区切って,設けるのがいいのではないかと思っております。

【永田部会長】  今の牧野委員と小杉委員の意見は,同じ部分と違う部分があるので質問し直させていただきます。牧野委員のおっしゃるように,大学にはもう期待できないということになったら,小杉委員はきっとお答えできないでしょう。もし本当にエビデンスがあっても無理なのではないかと思います。そうすると,そこは新しいカテゴリーが必要ということになるかもしれません。

それから,もう一つ最後に言われた分野という問題は両者違う意見のように見えて,実はそうではないと思うのです。つまり大学が変われないのであれば,大学が変わりたい方向,変わらなくてはいけない方向,あるいは変わるべき方向に行かないものが大学であるという意見もあるわけです。ですから,その場合はもう大学としては不可能というか,大学とは違う役目なのだと考えれば,当然新しいものがあってもいいでしょう。

それから,今,小杉委員がおっしゃったように,まだ大学にも当然,私も期待はしていますが,修正していく能力がある,あるいはそれを求められているということを,大学が強く認識しているのであれば,大学の問題だろうと思うのです。実は根源のお話になってきて,片方は大学に期待しないとおっしゃっているし,片方は大学が変わることを期待している。ただし,それはある一定の分野で,やはり社会に直結するような分野の中に新しい分野ができていくといいという御意見だったのかと思います。まず,今の観点から考えたときに,牧野委員と小杉委員が言われたことと違う見方もある,あるいはそのようなことに関して大学にもっと期待してもいい,あるいはやはり大学にはなかなか急には変われる素地(そじ)はないのではないかという意見もあるかと思います。 今,お二方が根源に近い話をされているのです。今のことに関して,そんなことはないと,大学はもっとこういうことをやればいい,あるいは,今これから求めるものは本来こういうものであった方がいいという意見はあっても当然だと思いますが,いかがでしょうか。

【牧野委員】  私は,もちろんどちらでもいいと思っています。新しいものを作ればいいというのもありますし,これはトレードオフだと思っています。ですから,例えば先ほどの大学の定義,目的の中で「学術の中心として広く知識を授けるとともに」というところや,またそれは「目的を実現するための教育研究を行い」という記述があることに関して,この「学術」という部分にとらわれ過ぎていることが産業界とのかい離を生んでいると,私は思います。

大学を卒業した約7割は産業界に,企業に就職していくわけですから,その観点で学術と捉えるのか,捉えないのか。これは単なる机上の空論になってしまいますが,学術ということに異常にこだわり過ぎると,職業的なビジネススキルが身に付かないのではないかと思っています。そこの定義を崩すことができるのであれば,私は大学改革をする案でも全く問題ないと思っています。

【永田部会長】  非常に難しいです。そこの定義を崩すというと本当に大本のところまで行ってしまいます,ある意味では大学が持っている構造的な強さでもあり,弱さでもあるかもしれません。

岡本委員,どうぞ。

【岡本委員】  今の議論には直接関係はないかもしれませんが,意見を述べさせていただきます

論点1の養成する人材像・身に付けさせる資質能力と,どのような人材の養成を図るかということについてですが,やはり冒頭,部会長もおっしゃったように,大学,短期大学,専門学校,高等専門学校にはそれぞれ課題があって,それぞれが改革していけばいい,ただ,なぜ今,新たな高等教育が必要なのかという,そのことです。

論じ方としては理念的に論じる,実態論的に論じるという二つがあるのですが,実態論でいくと,大学も職業教育を行っているし,短期大学も職業教育はもともと目的にも入っていて,実際にそれを行っています。また,専門学校は職業教育をまさにパイオニアとして行っているという自負を持っているなど,それぞれが職業教育を行っているという話になってしまうので,私はやはり理念的なところを整理することが,必要だろうと思っています。

私がこの新たな高等教育機関で理念的に最も大事にすべきものは,産学連携だと思っております。産学連携も現在の高等教育機関,例えば大学で言えば研究でやっているということはよく知っております。専門学校においても職業実践専門課程においてはやっていると思いますが,産業界と本格的な形で,例えば教育課程に産業界の状況を踏まえた新しい理論や技術を反映させていくなどの仕組みを持った高等教育機関が日本にあるのかというと,私はないのではないかと思います。

やはり世界の中の日本,あるいは経済の世界的動向ということからすると,やはりグローバル経済であり,そしてまた日本がこれから50年,100年どうやって生きていくかということを言うと,この日本というのはイノベーションを続けていくしかないわけです。

そうすると,世界の潮流,IT化,経済のサービス化・ソフト化,その中でやはりイノベーションが必要なのです。イノベーションを起こせる人間というのは,大卒だろうと専門学校卒だろうと必要になるのですが,やはり最もイノベーティブに経済活動をしているのは,私は企業だと思っています。なぜならば企業はイノベーティブでなければ生き残れないからです。そのような企業と一緒に教育課程を組み,そのような仕組みを作って人材育成していくという新たな高等教育機関ができれば,これは日本の国際競争力を高め,日本という国がよりイノベーティブに,クリエイティビティーを持った経済になっていくのではないかと思います。

大学においては,実態論は別として,理念的に言えば長期的に学問という理論体系に基づいた教育をしっかりやっていただくべきだと思います。科学技術についても日本の科学技術の基礎をしっかり担っていただくということが必要だと思いますし,それから現在の専門学校においては,まさに職場,企業で必要とされる実践的なスキルの育成をしていると思いますので,それを引き続きやっていくのだと思います。

新たな高等教育機関は,大学とも専門学校とも違うが,どこが違うかというと,やはり今言ったような中期的な経済のグローバル化,イノベーション,クリエイティビティーに対応した人材育成の必要性ということを踏まえて,実践力に加え理論的な実践力,つまり応用力いうものを学習できるところだと思います。よく専門学校の場合は,非常に専門性があり,意欲も高く,即戦力になるのだけれども,5年,10年と続けていくとマネジメント能力や応用力などが少し弱いという御指摘があります。

ですから,私はこの新たな高等教育機関は,実践力に加えて理論に基づく実践力,そして何よりも産学連携によるしっかりとした柱に基づく人材育成がこれからの日本に求められているのではないかと思います。新機関は,日本の国際競争力強化に対し,人材輩出という点で資する高等教育機関になるのではないかと,このような見方をしております。

以上です。

【永田部会長】  それでは北山委員,どうぞ。

【北山委員】  ディプロマ・ポリシーに関して申し上げます。

先週の金曜日に仙台で,大学分科会の委員もされている,公立はこだて未来大学の美馬先生のお話を聞く機会がありました。

公立はこだて未来大学では,21世紀型のスキルを育む教育を行っていらっしゃるということで,四つのポイントを挙げておられました。一つ目は思考の方法で,具体的には創造力やイノベーション,問題解決能力です。二つ目は仕事のためのツールとしての,ICTリテラシーや情報を読み解く力,三つ目が仕事の仕方で,コミュニケーション,コラボレーション力。そして,四つ目が世界・社会の中での生き方ということで,地域や国際社会での市民性や,個人的・社会的責任などの能力です。

これらを21世紀型スキルとしておられるということでしたが,これは,今の議論に通じるところが多いと感じます。こうしたことを踏まえて私なりに,この新制度の下で何を身に付けさせるかということを考えますと,やはり,先ほどの四つの能力も必要ですし,それに加えて実践的な知識やスキルが重要だと思います。また,社会人の学び直しということを視野に入れると,年限については弾力的に扱う必要があると思いますし,少人数で,アクティブラーニングを中心とする,さらには,先ほど言われたように産業界との連携のパイプが強いといったことが新機関の特色になるのではないかと思います。

また,これはカリキュラム・ポリシーに関係する話かもしれませんが,数年前から日本学術会議で,分野ごとに参照基準を作っておられます。その参照基準と,この新しい大学のカリキュラムとが,どのように違うのか。つまり,通常の大学でも新機関と似たようなことをしているところはあると思いますので,中身とウエートの両方を比較しないと,具体的に何が違うかという点がよく分からない,というのが自分なりの理解です。

有識者会議などで想定されていたのは,恐らくドイツやフィンランドの職業大学と言われているものの日本版だと思うのですが,では,ドイツやフィンランドでは,職業大学が通常の大学とどう違うのか,そういった点についてももう少し自分なりに勉強したいと思っています。

以上です。

【永田部会長】  どうもありがとうございます。

今,北山委員が言われたのは,それがどのようなカリキュラムで,本当にそこから育った人たちがどれだけ社会の中で活躍しているかという,そういう実態的な部分も入っていると思います。

【北山委員】  それも含めてだと思います。

【永田部会長】  そのことについては実際には余り勉強する機会は,この会議の中ではなかったので,それは一つ重要なポイントかもしれません。

続いて,寺田委員,益戸委員,冨山委員の順番で御発言をお願いします。

【寺田委員】  まず,北山委員の御質問については,前回,時間がなく早口で申し上げましたけれども,前回の私の報告資料に詳しく記しておりますので,是非,御覧いただければ有り難いと思います。

既存の大学の中でこのような新たな職業実践的なものを吸収するのか,あるいは別途考えるのかという話から入りたいのですが,私も地方国立大学10年,名古屋大学20年,合わせて30年国立大学に勤めてきまして,その実感からしても,新たな高等教育機関と学術型の高等教育というのは,やはり諸外国でやっているように明確に分離するのがいいと思っています。

文部科学省は最近,国立大学に関しては3類型に分けるという見解を示しましたが,これ以上いろいろなことを言わないでいただきたいなというのが率直な実感でありまして,既存の大学は本来の役割に専心させていただきたいと思っています。もちろん先ほどどなたかがおっしゃった基礎力・学士力,これは全ての高等教育修了者に対して求められることですので,いわゆるコミュニケーション能力なり,課題解決力なりのキャリア教育的なもの,これは全ての高等教育機関が共通に追及すべきだろうという話であって,やはり制度の違いというのは養成する,あるいは育成する人材の違い,あるいはそこで行う教育の中身の違いによって制度というのは分化すべきだというふうに思います。そうでないとどちらも中途半端になってしまわないかというのが,私の現在の実感です。

有識者会議のときにも資料を付けましたが,例えば看護という領域があります。これは職業教育の側から見たとき,大変中途半端な印象です。何度も同じようなことを申し上げていますが,戦後すぐの授業時間数のトータルは3,500時間ぐらいで,2,000時間ぐらいが実技の時間でした。後に改正されて,2,000時間ぐらいで半分が実技となりました。ここで問題になっているのは,結果として専門科目,特に実技が十分完遂できなくなったということです。大学の設置基準の中で実習単位というのは講義に比べて2分の1,若しくは3分の1の扱いですので,もともと単位時間数の設定に無理があって,その中で,例えば看護学科などは苦労をされているわけです。

大学というシステムの中に看護や医師養成,法律家養成,福祉関係など,比較的高等教育,アカデミズムといいますか,これに親和的な分野がありますけれども,実際の教育に当たってはかなり無理をしているのが実態だと思っています。他方,学問の基礎研究というものも言われますので,率直に言ったら我々大学の教員,実践家として戸惑うことが余りにも多くて困ったなというのが実態です。やはり,ある程度仕分をしてほしいと思っています。今度,もし実践的職業教育機関を大学体系に位置づけるのであれば,率直な意見としては,学校教育法の第82条の目的,ここに明確に職業教育目的というのを書くべきであって,その上で学校種別をはっきり分けるべきだというふうに思います。

我々の大学は職業教育タイプでいくということを率直に言って指定し得るぐらいのことであればやりやすいということです。それが難しいというのであれば,やはり別枠で,例えば,諸外国が行っているように2本立ての多様化の制度にすべきだろうと思います。

そこでディプロマ・ポリシーなのですが,私は三つのキーワードを考えています。一つは高等教育段階の職業教育の高度化ということです。これは有識者会議の報告あるいは中央教育審議会答申等にも再々出ているものです。現在の短期の高等職業教育機関,それはそれで重要な役割を果たしているわけですが,例えば短期大学についても,それから高等専門学校についても,あるいは専門学校についてはもう既に3年制・4年制がありますよね。短期大学,高等専門学校に関しては専攻科というのを置いておられますよね。これはもう象徴的であって,もう2年,3年では間に合わず,より高度なものを求めようとすると積み上げないといけないということだろうと思います。

その高度化の内容というのは何かというと,従来の専門的なアカデミックな知識に加えて,実践的なもの,あるいは教養的なものも含んで,全体としてはやはり高度化していくということが国際的にも大事だということなのではないのでしょうか。そういう気がいたします。

今,国際的という言葉が出てきましたけれども,二つ目に「国の職業教育力」というふうに私は言っています。高等教育段階の職業教育が制度上,十分整備されていない,特に長期課程に関してのことですが,やはり教育の器の問題として,国際競争を考えたときに,非常に不利な状況というのを抱えているのではないかという気がします。

それから三つ目は,先ほど社会人の学び直しという要素の指摘もありましたが,そのような社会人の方を含めた卒業生のキャリアパスということを考えたときに,4年制のアカデミック大学に編入していないと高度な資格を取れない,あるいはバチェラーと同等レベルに至らないことはやはり制度として非常に問題で,高等教育段階でも職業教育を学んで4年制大学の学生と同等のレベルの位置付けを与えられる資格が得られるというようなキャリアを作らないと,前近代的な学校制度ということになるのではないかという気がいたします。

ということで出てくる答えは,年限においては2年があっても,3年があってもよろしいのですが,最終的に4年に至ることができるという制度を創設するべきということです。それから学位ということに関しては,基本的にバチェラーと同等,英語名称は何としても「バチェラー」だけにしていただきたいなというふうに思っています。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

先ほど申し上げたように,多分本当にバチェラーでいいのかというと,私は少し反論があって,今のままの法律と今のままの設置目的でいったら難しいだろうと思います。それから,新しく作る新たな高等教育機関は理念としては分かりますけれども,そのカリキュラム内容をこれからどう作るかで,授与する学位がどうなるかという問題はあります。

ただ,本日話しているのはどういう人を育てたいかという話なので,こういう育て方をしたらこうなる,こういう育て方は絶対必要だ,あるいはこういう科目がないと困るという話は,また次回以降にしたいと思います。

【益戸委員】  海外では,研究を重点とする大学と実践的な職業教育を行う大学が共存共栄しています。私の所属する外資系金融機関では,それぞれの学校からそれぞれ特色のある学生を採用しています。決してどちらが良い,どちらが悪いということはなかったと思います。やはりそれぞれの学校が機能を高めて学生を教育しているので,学校間の競争はとても良いものでした。ライバル校の存在は重要です。

さて,実践的な職業教育で不可欠なことは,インターシップの必修化と従来より一歩踏み出した実務家教員の任用がとても重要だと考えております。現在の高等教育機関の制度でもこれを行うことはできるという御意見もありますが,裏を返せば,それをやる・やらないはその学校次第みたいなところがありませんか。学校側の判断は私たち企業側からするとまだまだ期待値に遠いものです。

そうだとするとどうすれば良いのか。その答えは,きちんとした制度化だと思います。新たな高等教育機関では,これをする。これができるようになる。などの具体的な事柄に基づいて新しい高等教育機関が既存の機関のライバルとして誕生する。具体的な議論をベースに学士の議論も進めれば良いでしょう。新旧の学士間の競争も生まれます。

今,日本では偏差値の高い学校に進学することが是(ぜ)のように考えられていますが,この新しい高等教育機関の誕生は,学校選択に当たり,新たな選択肢・新たな価値観の創造につながることになります。その意味でも大きな制度改革です。ですから,制度化する以上は,是非いろいろと厳しい条件をつけて制度化することが重要だと考えます。

【永田部会長】  今の御意見は先ほど一番初めに出た議論と似ています。要するに大学が変わるか,変わるべきか,変わらなければいけないのか,大学に変革が期待できるかどうかという,それは大学が本来やるべきことなのかどうかという問題に直結していることかと思います。グレーゾーンやグラデーションではなくて,ここからここは絶対マストとするという今の御意見は,とても分かりやすいと思います。

先ほど,寺田委員がおっしゃった看護についてもそうですが,絶対これとこれはやらなければいけないというものがあって,それを経ないと絶対職業人になれないという分野も既にあるわけです。いいか悪いか別にして,それは今,大学に取り込まれています。国家認定の資格について見ると非常に分かりやすく,教えることは決まっているわけです。医学でも,絶対やらなければならないというのはもう決まっているわけです。先ほど寺田委員がおっしゃったように,皆が職業人としてのコンピテンシーを持たせるのも当然だろうというのは分かります。ですが,それが大学でマストだというよりは,大学はその大学の精神を生かして人を育てている。

今おっしゃったような新しいカテゴリーはそうではないというのは,それは非常に明解だと思います。また,寺田委員が言われたように学士というものは何だという定義をまた考えなければいけないので,そんなに簡単ではないかもしれない。本日は,大学と新しい高等教育機関において,その両方でできるものと,かっちり分けてできるものについて考えようという意見が出ていると思います。そもそも論にやはり戻っているわけです。

冨山委員,どうぞ。

【冨山委員】  まさに今の議論のところで一言申し上げたかったのですが,私自身は自分たちの会社で,いわゆるエリートに近い総合職的な人を毎年10名ぐらい雇用していまして,その一方でグループ4,000人のうちの3,500人はバスの運転手だとかですから,こちらはどちらかというとジョブ型雇用です。つまり総合職とジョブ型の両方の雇用をしているわけです。

そういったことを踏まえて今の議論について,少し意見を申し上げたいのですが,これ,実は寺田委員とほぼ同じ意見なのですが,このアカデミックスクールを本来的なDNAとした大学の派生として職業実践教育をやるというモデルというのは,私も極めて難しいと思っていて,やはり組織というのは,どのような企業でもそうですし,政府も,全ての組織というのは,やはり持ち前の遺伝子というのがあるのです。その遺伝子とやはり合わないことをやるというのは非常に難しくて,かえってもともとあった遺伝子を壊してしまう場合が少なくなく,そのような意味で言うと,これ以上既存の大学,要するにアカデミックスクールオリジンの大学にいろいろなことを押し込めるのは,ひょっとすると制度破産になってしまう危険性があると思っています。

むしろゼロベースからプロフェッショナル志向の大学組織を全く別個に作った方が,私は機能する可能性が高いと思っています。一般にインテリの人,特にコンサルタントに多いのですが,組織の変革可能性を過大評価するのです。組織というのは,そんなに器用なものではないです。特にこれまた変わらない組織の典型というのは,古くて大きくて,従業員にインテリが多い組織などというのは変わらないのですよ。大体,大学はほとんどの場合,その典型なのです。要するに,大体,既存の大学の教職員はPh.D持っている方が多いですから,これはすごく難しいのです。その現実を考えると,やはりゼロベースで違うタイプのものを作った方が私は話が絶対に早いと思っています。

実際,アメリカのビジネススクールはほとんどゼロベースで作られてきた歴史があって,大体,川の向こう側か通りの向こう側に作られているのですよね。だからこそ成功しているわけで,逆に日本のMBAは,今,結構ピンチになっていて,大体,我々も授業に関わっているのでよく分かるのですが,MBAを駄目にしているのは,ほとんどがPh.Dを持っている教員です。時間がたつとどんどんアカデミックになっていくのです。実際に学生を採用する立場からすると,役に立たないことを教え始めるのです。これはもう組織の宿命です。

むしろMBAで割と絶好調なのはグロービスで,要するにゼロベースで全くないところから全く関係なく作った箱です。やはりここから来る子はすごく鍛えられているし,すごく能力は高いです。これはやはりそういった問題が背景にあると私は確信しています。

それから次にもう1点,MBA的なものは比較的ジェネラルなのですが,やはりどちらかというと相性がいいのは,先ほど小杉委員が言われたジョブ型雇用の領域が,私は相性がいいものだと思っています。

その観点で言うと,まさにうちの運転手やホテルで働いている人などがそのような職種なのですが,今,日本全体の雇用傾向でいうと,入り方は期限の定めなきメンバーシップ型雇用で入っても,実際やっている仕事がジョブ型になっているケースが猛烈に増えています。サービス産業の大半の実態はジョブ型です。したがって転職率も高くなっているし,どちらかというとポータブルスキルで一生やっていく人の比率は,これはもう産業構造の変化として必然的に増えているので,この領域はやはり専門職型の方が相性がいいというのが現実です。

そういった意味で,これも寺田委員が言われたように,やはり相当なインターンシップを含めた実技訓練というものをやっておかないと,なかなか通用しないという問題がありますし,それからもう1点,こういった仕事をやっている人にも教養は要ります。要るのですが,恐らくこのような職種の世界で教養を教えるときには,多分学ぶあるいは教える順番が逆で,前回私が申し上げたカルチャースクールのような教養教育なんてはっきり言って必要ないのです。本当に必要な教養というのは,インターンシップの中で現実社会の不条理さや理不尽さ,お金を稼ぐことの切なさ,つらさ,喜びを味わった中から,その後で教養教育をすべきなのです。それをやると,シェークスピアの要するに『オセロ』に出てくるイアーゴは単なる悪者じゃないって分かるのですよ。そこで初めてシェークスピアが読めるのです。だけれども,それをやらないで,いきなりカルチャースクールみたいなことをやっても,イアーゴは単なる悪者になってしまうのですよ。だからそこがやはり順番が違っていて,カリキュラムの組み方も全く変わるはずなのです。

これはビジネススクールの経済学のカリキュラムを見ていただければ一目瞭然です。ビジネススクールのカリキュラムで,有名な経済学者は一人も出てきません。だけれども,ちゃんと皆,経営上必要な経済学は徹底的にたたき込まれます。だから,ここは組み方が変わってくるので,そこはカリキュラムの組み方,どういうことを鍛えるかということで是非とも考えていただきたい。

それと,ディプロマなのですが,学術的な意味合いにおいて,現行構造上,今,部会長がそのままバチェラーの付与は難しいということはおっしゃいましたが,それはよく分かります。ただその一方で,商業の世界において学歴というのは,シグナリングという意味を経済的には持っております。そのシグナリングという意味でどのようなものが必要かというのが,多分ここでの私はクライテリアになっていくと思っています。採用する側からすると,多分うちみたいな職種で考えると分かりやすく,例えばその本人が将来,大学院で勉強したい,大学院クラスのプロフェッショナルスクールで勉強したいというときに,このディプロマを持っていることがやはりそれを可能にしていないと,少しつらいところがあるかと思います。そうすると,新機関で付与する学位はバチェラーでなくては駄目なのですが,これについて私は専門家ではないので少しよく分からないのですが,その先で勉強をしたい子にとって,そのときのコーディフィケーションになるような学位を与えてあげないと,その子たちにとって条来の門を閉ざすことになってしまうと思います。そういった要件をクリアしているようなディプロマであるべきであり,当然その中身は,何人かの方がおっしゃいましたが,やはり職業をベースにしている以上はやはり一定以上の実技訓練あるいは実技能力というものはクリアしていてほしいと思います。というのは,それがすぐ役に立つかどうかは別として,21歳,22歳の段階でそれだけの訓練に耐えられたということが重要であり,例えば簿記だとしたら簿記2級を取るところまで頑張れたということが,やはり採用する側からすると明確なシグナルなのです。

ですから,そのような意味合いでいうと,やはり一定の厳しい条件を課す,特に職業的な意味で,そういうものをクリアする忍耐力や我慢する力や努力する力というものがあるようなディプロマにしてもらえればと思います。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

アメリカで言っているバチェラーというのは市民としての条件を持っているもの,これからより良い市民として生きていくために必要な要件を備えているということです。学位については,そのようなことも含めて,これから考えなければいけないので,本日は学位のことは別にして,御意見をいただければと思います。

インターンシップの問題等については先ほどから意見が出ているように,多分ほとんどの方が職業教育には必要だろうとお考えだと思います。メソッドとしてもいいと思います。また,どなたかが,職業構造も変わっていく社会の中でも通じる,将来にわたって基本的な力や応用力というか創造力などといったものを身に付けられるようにといった意見をおっしゃいましたが,そのようなものをどう身に付けさせながら本当の職業人として育成していくのかということも議論していかなければなりません。

千葉委員,どうぞ。

【千葉委員】  皆さん,大変いい御意見を頂いておりまして,特に産業界,企業との連携というのはマストだというのは私も強く思っておりますので,そこは賛成に1票ということで,そこのところは余り触れないでおきます。

今触れられていないところで少し私なりの考えを話させていただければと思っていますが,大学が今のままでいいのか,変われるのかという話もございましたが,基本的に大学の場合には昔は進学率が10%,20%,30%など,選ばれた人が学ぶ教育機関であったということは事実だと思うのですが,今はそれが大衆化しています。大学の教育というものは,これまで高等学校の卒業生というところ,あるいは高等学校の教育というところには余り目を向けずに,理想的な教育というものを目指してきたと思います。今度の新しい教育機関については,やはり今の時代背景,高等教育機関への進学が大衆化しているという中で,高等学校との連携,特に今度の新しい学校種については専門高校,職業高校との連携,この観点はやはり強く持つ必要があるのではないかと思っています。

それから,以前,寺田委員のお話にもございましたが,前期課程・後期課程にするという議論があるかと思います。今,全国に短期大学は350ぐらいございます。また,専門学校は2,800ぐらいございますので,部会長がおっしゃいました「質の保証」というところをきちんと担保した上で,また金子委員のお話にもありましたが,きちんと法的な位置付けを設けて,職業人として必要な専門教育を受ける前期課程というものを是非作っていただき,その上に応用あるいは一般の大学への進学,こういった形でバチェラーを取っていく,そういうようなかたちで複線化というものを図れば良いのではないかと私は思っています。

やはり学び直しという観点からも,4年間また学び直すということは現実的にはなかなか難しいと思いますし,実際にもう既に学位を持っている方が入られるということを考えると,専門の基礎部分あるいは応用の部分,そこの部分だけを選択できるような学び直しの機能も新機関は持ったらいいのかと思っています。

最後にもう1点なのですが,今まで大学の教育というのはどちらかというと自習型教育でございまして,授業に対して何時間かの予習・復習を行うという形での授業が組まれているわけですが,専門学校の教育というのは時間制という形になっていまして,年間の授業時間が800時間,900時間,この規則を守らないと専門士の称号がもらえないという形になるのですが,今度の教育機関はやはり職能とか技能とかということがベースになってまいりますので,授業の時間というのは自習型ではなくて授業型という形で,長い間訓練を受けることによって技術を身に付けていくというような視点も持つ必要があるのではないかというふうに思っております。個人的には最後の自習型ではなく授業型をとるということを,是非,今度の制度の中に明確に入れていただきたいと思っております。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。

これでまたもう1案出てきたわけですけれども,前期・後期型,あるいは2年・4年型というふうに考えてもいいと思います。4年でやるシステムと,それから2年でやって,一般の大学なり,ほかの高等教育機関に行くようなシステムとしての2年というような考え方もあるのだと思います。原則があるから今のような制度論になるわけです。

それでは,金丸委員,どうぞ

【金丸委員】  ありがとうございます。皆さんの議論を拝聴して,私も一言述べたいと思います。

私はこのディプロマ・ポリシーのこの論点の最後から申し上げたいのですが,学位の与え方について,これは私のイメージではバチェラーは必要だと思います。そのために先ほどは逆にカリキュラムを考えた結果で,部会長は学士になるかどうかというお話もあったのですが,これは学士を与えていただかないと意味がないといいますか,私は意義がないと思っています。それが一つです。

必要な期間なのですが,18歳で高校を出てからこの大学に入るというのは一つのケース,また,社会人としての経験を何年か経て,この大学に入り直すようなケースの二つをイメージしています。

必要な期間については,世界との比較も必要だと思っていまして,高校卒業でこの大学に入ったときに,バチェラーの資格を与えるために4年は必要だというのであれば,4年は必要だという結論になるのかと思います。世界では,3年でもバチェラーを与えている大学はありますから,3年でもいいということになると新機関の修業年限も3年にするということになるかと思います。先ほど申し上げたとおり,社会人経験がある人もこの大学に入るということなので,基本的にはこの大学のカリキュラムといいますか,理論と実践の割合で,実践がもちろん多くなるようなイメージでありますが,それに加えて社会人経験のある人が理論と実践の基礎も学ばないまま,ある分野で経験だけで入っていったケースというのは,その経験の度合いを加味して,この理論と実践の割合を考えて,それをファイルすると2年と3年でバチェラーの資格を与えるというケースもあり得ると思っています。

育成する人材像についてですが,これも二通りありまして,偏差値の高い人でもよくよく自分の人生を振り返ったときに,本当に自分が好きで得意な道を選んだかと言われたら,そうではないという人も結構いると思います。そうはいっても,偏差値が高い人は,いい大学に行けて,いろいろな会社に入れる可能性が高いので,そういう人にも,なるほどこういう道だったら行ってもいいと思われる魅力のある大学として新機関を位置付けてほしいと思っています。

もともと私は産業競争会議でイメージしていたところは,私たちの国の力は何かということなのですが,日本の経営はすばらしいと言いながらも,経営力というよりも現場力のすばらしさの方が強いわけですから,現場で頑張っている人たちのその十分な経験を加味して,理論と実践のプログラムを幾つか受けると大学卒になる,すなわち学士の資格があるということだと思うのです。そうすることによって日本社会の成長と,それから社会の活性化にもつながるのではないかと私は思いますし,是非そのような体系になってほしいと思っています。

基本的に得意な道を探せるメニューがこのような大学の登場によって増えると,結果論として,既存の大学,専門学校,短期大学の方々がそのように変わりたいと思えば変われて,いやいや我が道を行くとおっしゃる方は,それはそれで私はいいのではないかと思っております。是非,国際的にも競争力のある分野でこのような体系が構築できればいいなと思っています。

以上です。

【永田部会長】  ありがとうございます。全くそのとおりなのです。今の問題は大学とかバチェラーとかではなく,新しいものがもしできるとすれば,何を目指すかという観点です。その観点から言えば,金丸委員のおっしゃるとおりです。ただ,修業年限という問題が出てくると,既存の法律も変えなければいけなくなってくるので,これは大変なことです。

大学というのはなぜ修業年限が4年なのかという問題を別途議論しなければならなくて,それを3年にするのであれば,3年で良いという理由がないとやはりいけない。もっと言ってしまうと,博士課程は実は1年でもいい。社会人であれば1年でも博士号を付与できるコースというのがもう既にあります。それはもともとバチェラーやマスターを持っていて,しかも実務経験を持っている人だから1年でも博士は出せるという仕組みです。

今回の新高等教育機関の議論は18歳の子も対象にしていますから,特に18歳の子の将来を考えたときに,その子が何でもやれるように作らないとならなくて,将来の幅が限られてしまって,応用が利かないというのは困るので,どのような人を育てるかというのが第一に重要なことだということです。

生重委員,どうぞ。

【生重委員】  皆様方の御意見を聞いていて,大分,頭の中が整理されてきたような気がするのですが,私,昨年まで高大接続の大学入試改革の方の委員会にもおりまして,先生たちの議論を必死になって付いていきながらいろいろ勉強してきました。そのときに今も審議されているのですが,1点,2点を争うのではなく,高校,もっと言えば中学や小学校から学んできた履歴とか自分が行動してきたことが問われるという流れで,今,高大接続の議論は行われています。

ディプロマ・ポリシーの観点からどのような人材を育成するかという新たな高等教育機関,職業の学びの場のところなのですが,私はキャリア教育コーディネーターネットワーク協議会の代表理事をしておりまして,小中高のキャリア教育,一部,大学も随分関わらせていただいているのですが,近年,二極化しているように思います。きちんと目的意識を持って自ら能動的に学べる18歳でも,決められない子がいるのです。

次の学びを選ぶ際に,そこに行くしかないから行くのではなくて,ここに行くことによって自分がもっと新たなフィールドに学びを転化させていくことができるという可能性を感じて選択していくということが非常に大事だと思います。

どなたかが先ほどおっしゃっていたのですが,フェース・トゥ・フェース,授業はやはり直接学ぶことが重要であり,それと体験,アクティブラーニングと言われていることなども重要で,なるほど英語ってこんなに実践的に必要なのかとか,きちんと議論ができる,むしろ議論どころかもっと激高した状態で,現場で起こるところにも即座に対応できる力みたいなのも必要なのだとか,そういうことを感じられることが大事なのだと思います。当然,18歳で入学してくる子たちと,学び直しとして入ってくる社会人とでは魅力に感じることや必要としていることが異なりますので,その辺りの方向性はきちんと整理しつつ,少なくとも18歳を対象とする場合は,体験型の学び,実践しながら気づいていくという学びのかたちというのはひとつ重要になってくるものと思います。

【永田部会長】  学ぶ側からの意見というのは初めてです。どちらかというとこれまで高等教育をやっている側や産業界の意見がたくさん出てきたのですが,学ぶ側から見た意見というのは初めてでした。

それで,永里委員,長塚委員,佐々木委員の順番でどうぞ。

【永里委員】  昨日,大学院部会というところに出ておりまして,産学官連携という立場から社会人の学び直しも含めて,産と学との人材交流・展開,例えば長期インターンシップが必要だということを大学に対する改革として意見を言いました。実は,それは大学に変わってもらいたくて言っているのですが,全ての大学がそういうふうに変わっていくとは思えません。

私が大学に入る頃の大学進学率は10%でした。今やそれが50%になっています。ということは,企業にとっては余り魅力のない大学の卒業生が多いともいえるわけです。具体的な話をしますと,コマツの野路会長とこの前お話ししたら,コマツで実は大学を4年出て,それを隠して高卒の資格で入っているという人が10%もいるというのです。このような時代においては,企業から見て,4年制大学の人を採用するとしても,年を取った高卒と同じような目で見て採っているということです。そういう意味では,今の大学そのものが少し行き詰まっている感じがします。

したがって,今回の実践的な職業教育を行う高等教育機関が今求められているのだと私は解釈しています。要するに,職業教育に特化した高等教育機関が必要ではないかということです。そうすることによって,ここで今述べられているようなことをカリキュラムとして人材育成をしていけば,企業としては安心してそのような人たちを採用するだろうと思います。言い換えれば,質の保証された高等教育機関,職業教育を専門とする高等教育機関の卒業生を喜んで企業は採用するようになるだろうと,こういうふうに思います。

【永田部会長】  ありがとうございました。

次は金子委員ですが,先ほどから言っているように,どういう人を育てる高等教育機関にするのかという点について御意見をお願いします。

金子委員,どうぞ。

【金子委員】  ディプロマ・ポリシーということでしたので,ディプロマ・ポリシーに沿って少し申し上げたいと思うのですが,ディプロマ・ポリシーというのは先ほどの御発言にありましたように,どのような人を入学させて,大学の課程を通じてどういう人に育てていくのかというのがディプロマ・ポリシーだと思っています。

一つ申し上げたいのは,私どもは高校生の調査をやりましたが,今の高校生で将来の職業像をはっきりとつかんでいる人というのは,大体3割か4割ぐらいです。唯一,非常に将来像がはっきりしていて,これと大学教育がマッチしているのは健康関連です。これはかなり職業像がはっきり高校生でも見えるからです。

例えば専修学校でも半分は今,健康関連の分野となっているわけです。しかしそれ以外のところは,実は将来の職業イメージというのは非常につかみにくいのです。これは日本の企業自体が職場でもって知識を作っていき伝達するという文化を持っていることに由来するのではないかと思いますが,これについて,私は決して悪いことではないと思います。

それから,先ほど日本の企業も実質的にはジョブ型になっているというお話がありましたが,少なくともなっているところもあるかもしれませんが,高校生には見えません。実際に将来に向かって明確に職業を決めるということは,かなりの学生にとっては難しいことです。その子たちを育てていく,どのように育てていくのか,これはやはりいろいろなチャンスを与えることだと私は思います。

それから,卒業したときに職業型人間と学術型人間に分かれるというのは,とんでもない話だと私は思います。今までの大学が学術型で,放っておいてくれなどというのはとんでもない話で,先ほど遺伝子という話がありましたが,もともと大学というのは学術型ではありませんでした。初めにできたのは法学,神学であり,要するに高度プロフェッショナルの教育機関でした。アメリカの大学において,最初にできたのも州立大学の職業教育で,非常に大きな役割を果たしていて,日本が大学教育を取り入れたのはちょうどこの学術型と職業教育型,両方が出ていたときでした。両方の側面が既にもう入っているのです。それから戦後の大学というのは,数から言えば半分以上が戦前の専門学校です。専門学校が大学になっているわけです。

それから,本日はディプロマ・ポリシーということで資料が配付されたのだと思いますが,机上資料で,学位に付記する専攻分野の名称の表があります。これ見て,数えてみられると分かりますが,600くらいあります。これ全部学術的な分野なんてとんでもない話です。非常に広い分野での教育を行っています。その中で学生が選択し,自分に適したものを探していくというプロセスが大学教育だと私は思います。

その結果として,何でもいいのかというと,そのようなことはなくて,やはり最初のお話にありましたように,職業といいますか,仕事をしていく上での総合的な力というのは備えていかなければいけない。ただ,これは非常に的を絞った実践的な教育だけでできるかと言えば,私はそんなことはないと思います。

それから,経験が大切だというお話がありましたが,経験はもちろん大切ですが,経験だけであっても判断も何もできません。経験をまとめる能力を作るのが大学教育だと私は思います。そういう意味での教養が非常に重要であり,必要だと思っています。

私はそういう意味で,実践型と学術型を分けるという発想自体がよく理解できません。大学を出て,大学の先生とか研究者になる人は3%か5%くらいで,普通の人は大体普通の職業人になっていくわけです。そういう人たちをどのように育てていくのかというのが,私は大学教育の課題だと思います。

以上です。

【永田部会長】  次,長塚委員どうぞ。

【長塚委員】  議論のための参考データというのを,資料2-2で用意していただいていまして,特に最後のページに日本経済団体連合会の新卒者採用の選考に当たっての重視点というのがあって,毎年この統計がとられているわけですが,企業が求める,社会が求める大学に対する人材像という意味で,これが大変分かりやすいものだと思います。その中でいつも気になっているのが学習成績です。今回少し上がったようで6.2%,経済同友会でもたしか大学の学習成績というのは10%強ぐらいしか期待してないということだったかと思いますが,つまり大学改革をして大学のディプロマに求めようとしているその能力,つまり大学の学習成績を企業はほとんど期待してないということであり,はっきり言えば今の大学に企業は期待していないという調査の一つというふうにも言えなくもないと思っているのですが,それだけ企業と大学の間がかい離しているということなのかと大変心配をしているわけです。

既存の大学でも,汎用的能力が必要だということで,もちろん育てなければならないということは当然だと思うのですが,企業がそのようなものを求めているということは,このデータからも分かりますが,企業は,イノベーションを起こす人材が必要だということは,そのとおりだとは思います。しかし,本当にそのような人材が企業で育っているかというと,それはまた少しあやしいのではないかと思っています。日本の産業分類にクリエイティブ産業という分類が正式にはないとは思うのですが,経済産業省の方の調査では,日本の産業はクリエイティブ部分をあえて抽出してみると非常に弱くて,育っていないということも分かっています。クリエイティブ分野というのは,強いて言えば日本で育っているのはIT,ゲームぐらいであって,非常に弱いということです。

これは,大学は変われない,あるいは企業も変われない,イノベーションを起こせないという意味ではむしろ日本社会の特質なのだろうと思います。日本人の持っているメンタリティーも含めて,変わることができない,創造性が弱いというところ辺り,大学や企業,社会全体の問題点なのではないでしょうか。そのようなことをひっくるめて大学の在り方,そしてそれが変わっていけば社会も変わっていく,企業も成長していくということになるのかなというような期待で高校の側からは見ています。

特に先ほど21世紀型スキルの話が出ましたが,今まさにグローバル社会になって,世界のどの国においても求めるスキル,資質が共通化してきたわけです。それが日本の中だけ少し遅れているというのが問題なのだと思います。日本の中でも社会人スキルなどということを挙げていますが,これが世界共通のものになっているかどうかというところが問われているのであって,そこに着目していかないと本当の意味ではやはり日本社会全体,あるいは大学もグローバルな中での学びや働き方ができていかないということなのだろうと思います。

ですから,そういう意味では国際社会が提唱している21世紀型スキル,ACTの21ですよね,このようなものが非常に大事だと思います。あるいはOECDが出しているキー・コンピテンシーなど,これはどちらかというとキャラクターとかアビリティーとかというもので,大学の学びそのものとは言い切れないのですが,そういうものを実は社会が求めて,企業も必要としているということなのだろうと思います。

ですから,そのような大学が今後できるかどうか,そこが若者にとっては,高校生までにとっては非常に期待もするところでありますが,もしかすると日本にはないので海外の大学に行こうとしている高校生も今もう既に出始めています。少し経済的余裕がないと難しいのですが,自分の意見が持てる者,あるいは語学力がある者は海外の大学に行きたいという思いにどんどんなっているのではないでしょうか。逆に,海外の高校生,18歳が日本の大学に来ないのはそういうことができない,学びができないということもあるのではないでしょうか。

ですから,そのような学び方を変えるということがこれから大学にとって求められていきますが,カリキュラムの中身そのものよりも,アクティブラーニングという言葉が最近よく使われていますが,大学の学び方が変わっていかない限り,そして新しい大学が本当にこの18歳をわくわくさせるようなクリエイティブな,そしてイノベーションを本当に起こせるような学び方というものができる,そういう方法論等も伴っていて,初めて企業が求める大学ですというふうに言い切れるのだと思いますし,そうなることで18歳もどしどしそこに行きたいと思うのではないかというふうに思います。

ちなみに,スティーブ・ジョブズなどのICTの著名人は大学を途中で辞めてしまったり,大学に期待していなかったりする人もいたようですが,そのぐらい実はクリエイティブな人材というのは既存の中では収まらないようなものを持っているわけですが,それでも今,新しい大学や学びが期待されているというような思いがいたします。長くなりましたが以上です。

【永田部会長】  ありがとうございました。

結局,今の議論は大本なのです。既存の大学は,ディプロマ・ポリシーには今議論しているようなことは書いてないわけです。既存の大学は,ここにあるように「学術研究を教授し」と書いてあるわけですから,当然そういう子が育つわけです。そうではない,新しい人を育てようと思って新しい高等教育を作ろうとしているわけです。

大学とは何かというそもそも論もやはりやらないといけなくて,新しい大学も古い大学もなく,大学は大学です。だから大学というのは何なのか。新高等教育機関を本当に大学とするのであればどうするべきか。教育基本法も含めて全て大学というのはこうなのだという,根本の問題です。表面的な議論では絶対に済まない問題です。大学というのは自由度を与えて,そのことにより,いろいろと切磋琢磨(せっさたくま)し,その中で教養としてそういうことが理解できる人をまず育てることなのだという御意見があったかと思います。アメリカの大学が基本的にそういう形をとっているわけで,より良き市民として育てていくということが問題で,職業人というのはまた別の大学がやっているわけです。だからその別のカテゴリーをこれからどうするかという問題なのです。これは多分次回以降になると思いますけれども,先ほどから教育基本法に書いてある一つのことが出てこなくて,つまり「研究」という単語が出てきていません。だから新しい大学,新しい高等教育機関は研究はやるのかという問題は全く議論されていないわけです。恐らくカテゴリーが違うのだと思います。つまり新高等教育機関には研究というものは求められていないのでしょうか。そうであるとすると,新高等教育機関とは大学なのか,一体何なのかという議論をやはりしないといけないということになります。

新しい高等教育機関を作ろうと言っていて,多くの意見が出て,すごく具体的なカリキュラムの問題やインターンシップの問題も皆さんから出てきました。今の大学ではそういうことがやはり少ないのです。それも事実だと思うのです。その上でどのような人材を新高等教育機関は育てるのか,こういう人だということに今だんだん意見が出てきていて,それが今度は学位や修業年限の話にも広がっていっているわけです。学士という名目が非常に重要であるというのは事実かもしれませんが,金子委員から御意見のあった学士,括弧何とかというのが1,200あるということなどについては,後で考えればいいことであって,今はやはり内容の議論に終始するべきだと思います。

もう余り時間がないので,短く御発表いただければと思います。佐々木委員,どうぞ。

【佐々木委員】  いろいろな御意見を伺っていて,どれもそうだなと思いましたし,今おまとめいただいたことと似るのですが,今の既存の大学の学部でできないことというのを明確にしないと,少し難しいなと思います。今の大学が学部を作ってできるのではないか,というものであれば,それは一体何なのかということを明確にしたいと思います。

ディプロマ・ポリシーのところにも三つあった一つ目の育成する人材像,社会からどのような人が求められているか,これは今もう既に出ているように,私も同じ感覚です。私自身が小さな会社を経営させていただいていて,あるいはいろいろな企業や学校や海外で多様性などの講演や研修をする中で感じることというのは,一つはやはりコミュニケーション能力です。これは伝える力としてのバーバルとノンバーバル両方備わっているかというと,日本の教育の中で随分衰えていると思います。また,もう一つディスカッション能力,これは意見を言うだけでなくて参加者の智恵を積み上げていくということです。初め牧野委員がおっしゃったように言いっ放しではなく,いろいろと吸収しながら膨らませていく能力。これは随分弱いように思います。

それから,皆さんから出ているインターンシップ,これも海外の大学では必要な単位になって,それがないと卒業できないというプログラムですが,なかなか日本はそうなっていません。それから,欧米,特にヨーロッパのIBのプログラム,国際バカロレアなど高校生等のプログラムにも社会活動が必要になっています。そういったものも欠けているのではないかと感じています。プリントの穴埋めをしているというような教育に高校,大学はなっているのではないか。そして,日本の学校では,日本人が多いということもあって,違うものと一緒に共存するという力も学生のときには余り体験できないのではないか。つまり留学を勧めるのか,あるいはある一定の数,海外からの学生を受け入れるのか,といったようなものが共通点として挙げられると思います。もう言われていることだと思うのですが,これらを私は自分でまとめながらも,今の大学でできないのか,大学改革で扱うアジェンダとどこが違うのかということが,少しまだ自分の中では整理はできていません。

ただ,それを考えていくと二つ目の人材を育成するために必要な期間なのですが,これはやはり次の授与するタイトルというところとも関連して,学士を与えるという方向なのかと私も思って聞いていましたが,ここを選んでも大卒として認められるというと変ですが,大卒と同じステータス,レベルであるということが重要なのではないか。そうするとやはり学位は学士なのかと思っています。

ただ,今,一般の大学にいながら単位をトランスファーして,大学に3年生から入るという形で2年間で新機関を修了したり,1年間は普通の大学にいて,この新機関に2年,3年いて,4年目は自分の元いた大学に戻るみたいなトランスファーの仕方を可能としたり,そういうようなことが留学と同じようにできるように,この学校に対しても実現できるようになったならば,学生,年齢,あるいはひらめきによって自由度があるのかと思うので,単位がトランスファーできるというような仕組みができていったらいいと思います。

何となくイメージしてきたのは,例えば観光通訳ではなく,同時通訳やビジネス通訳を育成する専門大学で,国際コミュニケーションがたけていて,通訳能力もあって,社会も政治も勉強して,経済や経営も勉強して,いろいろな言葉がきちんと分かって卒業する4年生がいたら,別にこの人が通訳にならなくても,いろいろな企業の中で国際舞台に立てる人になっていく可能性があると思います。あるいは先ほどもありましたが,健康や予防医学というのはこれから注目されていく分野だと思いますが,新機関は,医者や管理栄養士になるためではなく,健康というものについてすごく特化した学習をしていくような学校なのかと少しイメージをしながら考えてみました。

以上です。

【永田部会長】  時間がなくなってきてしまいましたが,今お話になったことというのは,最初に戻っている部分もあるかと思います。最初に申し上げた,例えば応用力,創造力,コミュニケーション能力,英語も全部含めて,全部できたとする。どこの大学も全部できるのだという前提で,今度新しく作る機関は何を求めるかということを考えなければいけないわけです。それは当たり前のことで,いわゆる日本の高等教育機関を出た人たちは,当然本当はそういうスキルを持っていなければならないし,創造力も応用力もないといけない。プラス何をというのがこの新しい部分だと思うのです。

専門的に創造力や何かを付けるということをやるのであれば,そのような高等教育機関になってしまうわけです。それは既存の教養教育や総合知とどう違うのかということになります。結局は今言われた大学改革でできることとできないこと,最初に申し上げた,変わるべき,変わらなければいけない,変わる,そのような三つの範囲に入っている部分についての議論というのはほかでやればいいわけです。

どの方もおっしゃっているのは,新しい高等教育機関というのはそういう基本的な職業コンピテンシーは持っている,それだけは絶対身に付けなければいけないのだということだと聞いておりました。そこはもうコンセンサスが得られているものと思います。その上で何をやるか,どういう専門をやるのかということだと思うのです。

そのコンピテンシーの持たせ方というのは,先ほど言ったように後先はあるかもしれないですし,ここでやる教養教育は大学でやる教養教育と違ってもいいと思いますが,問題はその上で,本当にその子たちはそれを学べば,すぐ社会に出て行って本当にやっていけるかどうかということです。

もともとのクリエイティビティーだとかイマジネーションだとか,アプリケーションだとか,あるいはコミュニケーションというのは,それは18歳の子,あるいは20歳の子はそれなりに皆持たなければならいないというのは,まず基本です。今度新しく作る高等教育機関も,そういうことをしっかり教育するようなカリキュラムになるのでしょうし,大学は改革をしながら,世の中に求められる人間を育てるのも当然だと思うのです。それは寺田委員がおっしゃったように,どこの高等教育機関もそのようなことはやって当たり前だと思います。そうすると残りは,それぞれが何をやるのかということになります。つまり大学は学術をやるところというならば,それはそれでいいと思います。そうすると新高等教育機関というのは,今ホットな分野にすぐアクセスできる人を育てるということであれば,それはそういうことなのだろうと思います。一方で,建築業とか観光業をやっていた方から出ている意見は資料で二重丸が付いていますけれども,違う分野に行っても役立つような人にきちんと育てたいともおっしゃっているわけです。そうしたら大学と新高等教育機関はどこが違うのか,こういう話なのだと思います。

本日お話ししていて,前半部分の職業的なコンピテンシーを持たせるというのには誰も多分御意見がなくて,そのようなものは要らないという方は一人もいないわけです。次に,養成する人材,すなわち職業的なコンピテンシーの上に何を積み重ねるかということについてはいろいろなことが,まだ今も出ていて,それは2年でいいのではないかという意見もありましたし,4年でいいのではないか,あるいは途中から編入してもいいのではないかといった意見が出ました。前期課程を置く必要はなく,普通の大学に入ったけれども,専門はこちらに行きたいというパターンが出てこなかったことについては,不思議でしたが,新機関はそのぐらいでもいいのではないかと思うのです。一般教養は普通の大学に任せる,だけれども,残りの2年はうちがやりますという話が全然出てこないのも,変だと思って皆さんの御意見を聞いていました。

大学や短期大学に入った子にこの新機関に来るというアイデアが出てくれば,新しい位置付けになり,新しい教育機関を作らなければならないということになるかと思います。

少なくとも既存の大学にただ任せるだけではやはりなかなかうまくいないことも事実だと思います。それは既存の大学は既存の大学でそのやり方でやればいいのですが,ここを制度化するというのは,ある意味重要なことかもしれません。制度化については,まだ本日は話していません。少なくともそういうものは,まだこれから話さないといけないだろうと思います。

時間があればまだお話を聞きたいところなのですが,意見がある場合は,事務局に簡単に文書で届けていただければ,皆で共有することができますので,大変申し訳ありませんが,特段の御意見があれば事務局に提出くださいますようお願いします。

なお,机上資料の方は何も説明せずに置いてありますが,これは日本と米国の今存在している,現存している学位が書いてあります。学士,括弧の中にいろいろなものが入っているもので,学士(栄養学),学士(家政),学士(インテリアデザイン),学士(生活デザイン),学士(食物管理学),学士(造形),学士(学術)等あるわけですが,ざっと眺めてみると,学士という名前の問題ではないことに気付かれると思います。やはり内容なのではないでしょうか。

本日の議論の中でも時々出てきましたけれども,新機関で教育を受ける学生がどう育つのか,どう育てるのかというのをもう一度また考えて,次回以降また話をしたいと思います。

せっかく札を立てていただいた方には大変申し訳ありませんが,既に少し時間を超過してしまいましたので,続きはまた次回にお願いします。

それでは,最後に今後の進め方について,事務局の方から御説明を頂きたいと思います。

【塩原主任大学改革官】  次回会議の開催日程について御案内を申し上げます。

次回第5回会議は,10月2日の金曜日,15時から17時までの2時間での開催を予定いたしております。場所については現在調整中でございます。決まり次第,各位に御案内をさせていただきますので,どうぞよろしくお願いいたします。

【永田部会長】  それでは,次回は10月ということで,また宿題の続きを是非ともお考えいただければと思います。本日はどうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

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生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付

高等教育局高等教育企画課新たな高等教育機関プロジェクトチーム

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-- 登録:平成28年02月 --