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実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会(第3回) 議事録

1.日時

平成27年7月27日(月曜日) 15時00分~17時30分

2.場所

文部科学省 第二講堂(旧庁舎6階) (東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 職業教育に関するニーズについて(ヒアリング)
  2. 諸外国の制度の概要について(ヒアリング)
  3. 意見交換等
  4. その他

4.議事録

【永田部会長】  時間となりました。まだ全員お見えになっていませんが,既に定足数は満たしておりますので,早速始めさせていただこうと思います。

本日で実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する特別部会も第3回になりますが,これまでの2回は,自由に討論を行っていただいておりました。本日は2時間半を予定しています。ヒアリングに3名の方をお呼びしておりますので,それを聞きながら,それぞれについての御質問いただくとともに,今まで伺ったことを基に,今後のこの部会の取りまとめも意識して,積極的に話し合っていかなければいけないと思っているところです。

それでは,事務局から,配付資料についてまず御説明をお願いします。

【伊藤高等教育政策室長】  失礼いたします。まず,配付資料の確認に入る前に,事務局に異動がございましたので,御紹介申し上げます。

7月15日付で塩原主任大学改革官が着任いたしました。

【塩原主任大学改革官】  よろしくお願いします。

【伊藤高等教育政策室長】  それでは,お手元の配付資料を確認させていただきます。

議事次第にございますとおり,本日の資料は5点,発表者の方々の資料が4点,そして事務局より資料5といたしまして,前回に引き続き,議論に資する基礎資料を御用意しております。資料5に関しましては,前回の資料に加え,本日のテーマでございます諸外国の高等教育制度について,諸外国の高等教育の比較表及び学校体系図等を追記しているところでございます。本日の議論の参考にしていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

【永田部会長】  ありがとうございました。

それでは,早速,ヒアリングから始めさせていただきますが,最初のお二方は,産業界の立場から職業教育に関するニーズについて発表していただきます。

本日は,日本商工会議所の青山委員から資料を提出いただいております。

また,社会基盤の観点からは,建設関連として,有限会社リノベイトダブリュ,渡邉代表取締役にお越しいただいております。

また,その後,また諸外国の制度の概要についてヒアリングを行う予定です。

まずは職業教育に関する商工会議所の基本的な考えについて,青山委員から御紹介をお願いいたします。

【青山委員】  ありがとうございます。日本商工会議所の青山と申します。よろしくお願いいたします。発言の機会を頂戴しまして感謝申し上げたいと思います。

実は私,実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議という会議から参加させていただきました。この有識者会議では,機動的な枠組み,特徴を持つ実践的な職業教育を行う高等教育機関を制度化することが必要との方向性がまとめられ,その中で大学改革を基本として中央教育審議会で更に検討するという結論に至ったというように認識しております。

その中で,新たな高等教育機関は産業界と連携しつつ,どのような職業人にとっても必要となる基本的な知識,能力とともに,実務経験に基づく最新の専門的な知識や技術を教育する機関とすることが適切であるとされております。この部会は,それを具現化するためのものというように認識しておりますが,そういうことを前提としまして,これから発言したいと存じます。

なお,一部,個人的な意見がありますことをあらかじめお断りさせていただきたいと思っております。

まず,商工会議所は一体何かということについて,少しだけ説明させていただきたいと思います。

商工会議所は,商工会議所法という法律に基づきまして,全国514の都市で設立されているもので,日本商工会議所はその連合体となっております。総会員数は125万事業所でございます。大企業から中堅,中小企業,小規模事業に至るまで加入しておりまして,会員の大層は中小企業で占められております。ただ一方で,最近では,農協や大学といった教育関係機関等も会員として加入されております。

商工会議所本来の目的,活動は,大きく二つありまして,一つは,経営支援を行うということ,もう一つは,まちづくりに見られますとおり,地域活性化を行うこと,この二つの大きな活動で事業を行っております。

一方で,教育分野につきましても,いろいろな形で全国に参画させていただいています。例えば,インターンシップへの協力,教育関係会議の委員としての参加,中学校,高校等への講師の派遣,それから,近年では大学との連携等々でございます。東京商工会議所には,実は100校以上の大学が会員として御登録されておられまして,この中で意見交換会や中小企業との交流会なども開催しているところでございます。恐らく今後,全国でこうした動きが更に拡大していくのだろうというふうに思っております。

また,日本商工会議所が,デフレ時代から一貫して申し上げてきたことは地方の活性化でございました。その背景は,少子高齢化や人口減少であり,政府が取り組んでおられます地方創生の原形のような活動を,日本商工会議所はいち早く行ってまいりました。

もう一つの背景は,私どもの認識として,一次産業というのは非常に重要な産業であるということ,それから,ものづくりの二次産業をなくしては,やはり日本の経済の発展はないということ,それからもう一つは,時代に対応した三次産業の進展なくして付加価値の高いサービス提供はあり得ない,そのような認識があったためでございます。

この産業の中で中小企業の占める位置ということですが,企業数の99.7%,雇用全体の約7割を担っているものであります。したがいまして,ここの底上げとか生産性を向上させない限り,内需の掘り起こしや雇用の創出,それから国際競争力の維持など,日本経済を成長させることは不可能ではないかというふうに考えております。

以上,前置きが少し長くなりましたが,これより,日本商工会議所が考えております新たな高等教育機関の制度化に関する基本的な考え方,方向性について御説明させていただきます。お手元にA3判,1枚の資料,簡単なものを御用意させていただきました。これに沿って,なぜ新たな高等教育機関が必要なのか,その背景や取組の考え方について申し述べたいと思います。

なお,この中には,例えば,今回の新たな教育機関の設置基準をどうするかなど,そういう具体的な数値は含まれておりません。これはこれからの議論にしたいというふうに思っております。

まず,表の一番上を御覧いただきたいと思いますが,基本的に私どもの認識を書かせていただいています。

今,日本経済が直面している大きな問題は,人口減少・少子高齢化,そして,地域の疲弊であります。ここを何とか再生させるということが今の日本の最大の眼目であると思いますけれども,この中核を担うものは,恐らく仕事とか雇用を生み出す中小企業であるというふうに認識しております。

また,経済の好循環を作っていく原動力を高めるには,この中小企業の活動基盤を強化していくことが必要であろうということでございますけれども,深刻化している人手不足にどうやって対応していくかということは,非常に重要なことになっております。そのために中長期的に見ますと,企業と大学間で求められる人材のマッチングを図っていく,これは既に各地でやっておりますけれども,そのための教育機関の人材育成・プログラムの提供によって,中小企業の付加価値化や生産性の向上を促進していくべきではないかということを,大きな考え方として持っております。

次に,「【前提】」と書いておりますが,三つばかり非常に代表的なものを出させていただきました。

(1)のところを御覧いただきますと,この6月に私どもが全国の中小企業4,000社を対象にしましてヒアリング調査をかけました。この目的は,最低賃金の引上げと人材不足の対応ということでございますけれども,これは,御覧いただいておりますとおり,人材が不足しているというようなところが半分を占めているわけであります。一方で,若者を採用する,それから女性の活躍推進に取り組むというような動きも非常に盛んですが,例えば,若者を採用する項を見ていただきますと,高卒・専門卒の求人を積極化するとともに,一番下に,大卒,院卒の求人を積極化するというような動きも出ております。

それから,女性の活躍推進というところを御覧いただきますと,女性社員の採用数を向上させたり,管理職へ登用させたりするほかに,出産,育児等に対応した制度変更をやっていくなど,女性の活躍を推進するための環境整備を前向きに取り組んでいるというような姿が浮かび上がってきているといえるでしょう。

それから,その隣,生産性の向上のところを御覧ください。我が国の労働生産性は欧米に比べて低水準だと言われておりますが,左側の国際比較を御覧いただきますと,日本の製造業がアメリカと比べて約7割,非製造業にいたっては54%ぐらいということで,非製造業の生産性が非常に低いというのはある程度分かっておりましたが,製造業ですら7割ぐらいだというような点が改めて浮き彫りになっております。これは2013年版の「通商白書」ですけれども,その隣を御覧いただきますと,生産性向上に向けた企業の取組ということで,取組を実施しているというのは54%があるのですが,この中で付加価値を向上させるというような動きと,効率化を向上させるというような動き,そのために,取引先を向上させるなど,いろいろやっております。その中でも4の研究開発・イノベーションへの投資というようなところに重点を置くというような策,それから効率化では,人員配置等々というのは従来どおりですが,3のところに「ICT化,設備投資による合理化・コスト削減(間接部門へのPC導入等)」があり,IT化をますます図っていくというような動きもこの中で取り組んでいるということでございます。

これは今,中間集計中ではございますが,こういうような動きが見てとれると思います。

少し言い忘れましたが,(1)のところで,不足している企業に,どういう人材を採りたいかというようなことを聞いてみましたところ,一番多かったのは,一定のキャリアを積んだミドル人材が一番欲しいという回答で,その割合は7割に達しておりました。こういうところで,やはり人手,それから人材に対するニーズというのは非常に高いです。それから,恐らく教育機関に対する期待も高いというような裏付けではないかというふうにも思っております。

それから私どもが報道ベースではありますが,知り得た内容を一覧表にしたものですが,(3)で,「各社で進む国内生産回帰の動き」と書いております。急激な円高から円安に振れて,今は120円台で安定しているというふうに見られますが,この中で,海外で生産するよりも国内で生産した方がいいというような企業が増えているのではないかということがうかがえる事例です。

この中で,表には入っておりませんが,愛知県の自動車部品メーカー,これは中堅中小企業のところでございますけれども,海外に工場を新設するか,国内で新設するかというようなことを社内で検討した結果,鳥取県に工場を新設した方がベターだというような判断をされたというようなニュースが出ておりました。愛知県から鳥取県は,トラック移動で片道3時間掛かるそうでございます。そうしますと,往復で約6時間,海外で原材料を送って製品を引き取って云々(うんぬん)ということになりますと,時間的にもコスト的にも,国内生産の方がメリットは大きいという判断をされたのであろうと思われます。恐らく,為替が今のような円安で安定的に推移していけば,こうした動きがまた加速されてくるのではないのかというふうに思われますし,当然ながら,新しい工場の立地ということは,これまでの工場の立地と違って,いろいろな技術をお持ちの人材がどうしても必要になってくることがいえるかと思っています。

最後に,一番下に取組方針,この制度化に当たって考えるべき方針のようなものを書かせていただきました。

まず一つは,やはり若手人材の育成が急務ではないかという観点であります。これからの産業,これからの日本経済を担っていくのは,どうしても若い人たちでありますし,それから,先ほどの調査でありましたとおり,現実問題として,建設産業等の一部の業種のみならず,全ての業種において労働力が不足してきているということがいえるかと存じます。そういう意味において,やはり若い人材をこれから鍛えていくということが必要ですし,なおかつ,職業人としての基礎力,社会人基礎力というふうに言った方がいいのかもしれませんが,そのような専門的で職業能力を有する人材へのニーズが非常に高まってくるだろうと思っています。よって,なるべく早い段階からこうした実務に即した教育が必要ではないのかというふうに考えております。

それから二つ目でございますが,「(実践的な職業教育の役割)」というふうに書かせていただいておりますが,実践的な職業教育のイメージと範囲をより明確にしていく必要があるだろうというふうに思っています。

例えば,中小企業で見ますと,サービス業は非常に生産性が低いと言われておりますが,この中でITなどの情報関連技術を駆使して,どのように経営革新を行っていくのか,そういうことに貢献できるような人材があるというふうに思っております。

当然ながら,これからも新技術や製品の開発が行われるわけですが,こういうものを加速化させる意味でも,社会人の学び直しや,高度な革新技術を身に付けるための教育がますます必要になってくるのではないかというふうに思っております。

それから次の点ですが,「(地方創生と知的財産の活用)」と書かせていただきました。地方創生というのは,今の政府が国を挙げて取り組んでいる課題でございますが,この中で私どもが非常に注目しているのは,地域独自の資源や知的財産をいかに活用していくか,それを地域経済の発展につなげていくか,そのようなところに,全国各地の商工会議所は非常に関心を持っており,それらに取り組んでいるわけです。

その一つとして,先ほども少し触れましたけれども,大学との連携,また,最近では研究機関との連携が増えてまいりました。そういうような連携を通じて地方創生に寄与できるような人材をどのように使っていくか,そういうような視点も必要なのではないかというふうに考えております。

それから最後に,「(企業の国際競争力強化に向けた人材育成)」ということであります。中小企業も中小企業だからといって内需だけで生きている中小企業はございません。国際競争にさらされている企業が非常に多くございます。そうした企業,それから内需だけで生きておられる企業においても,グローバル化に対応した人材は当然必要になってくるわけでございます。中でも,競争にさらされている企業については,中核的・専門的な国際人材の育成がますます必要になってくるだろうというふうに思っています。

ひいては,ものづくり系で言えば,この取組方針が全てではございませんが,私どもが各社から頂いている御意見をまとめますと,企業の生産体制の適正化などを担うことができるグローバル人材が本当は必要であるというふうに考えており,このような方向性が必要ではないかというように思っています。当然ながら,現在の既存の大学等々の高等教育機関に対する期待も非常に多くございまして,各地で大学との連携が進んでいるということも御報告させていただきたいと思っております。

私の御報告は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

【永田部会長】  ありがとうございました。

引き続き,渡邉様から御説明いただいてから,御質問に移りたいと思います。

それでは,よろしくお願いいたします。

【渡邉氏】  リノベイトダブリュ,渡邉でございます。よろしくお願いいたします。

本日,私が用意させていただいた資料は,A4が5枚とA3が1枚ございます。本日,6ページと右下に振ってありますA3の紙に,私が10分ほどお時間を頂いてお話しさせていただく内容の組立てを書いてございますので,ここから御説明をさせていただきます。

まず,左上のところに,「社会基盤とは」というふうに書きましたが,社会基盤の分野のお話と,そこでの課題,それに関しての人材についてのいろいろな考察をその左下に書いてございます。右上には,文部科学省が平成23年度から行っている成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進事業というのがあり,平成24年度から社会基盤分野の検討を始めております。そこに私も参加しておりましたので,その事業の概略を御説明します。その右下のところで,その事業の中で分かってきたこと,人材に関して分かってきたことを簡単にまとめまして,最後に真ん中のところで,まとめとして,学校で実践力のある人材を育成するということに関しての私見を述べさせていただきたいというふうに思っています。

それぞれの拡大版がA4の方に入っておりますので,1ページのところにお戻りいただけますでしょうか。

まず,社会基盤分野と社会基盤というものが一体どういうものかということを改めてここで書いております。社会基盤というのは,いわゆる「土木」という分野とほぼイコールなのですが,より総合的で広い捉え方であるというふうに認識しております。

土木学会のパンフレットによりますと,社会基盤は「「みち」や「みなと」,「まち」や「むら」,そして「やま」や「かわ」や「うみ」等の,私たちの生きるための条件や環境を形作る諸要素を整え,建設・維持・管理し,運営すること」となっておりまして,それが更に拡大して社会基盤になる,また,その下でございますが,「人の生活と環境に関わる多様な専門分野を総合化し,私たちの身近にあって,その暮らしを支えてきた実践的学問体系です」というふうになっております。「基盤技術を中心に,水環境や生態系,都市問題,防災,地域や国土の計画,社会資本政策やプロジェクトマネージメント,国際協力など,ひとつの学科にまとまるとは思えないほどのフィールドの広さを社会基盤学はカバーしています」と,こういう分野でございます。

この分野の中で,人材に関しての課題,基本的には人材不足の現状がございます。それが右のところでございまして,国土交通省が毎月,建設技能労働者が足りているのか不足しているのかという数値である建設労働需給調査を公表しております。平成27年5月の段階では0.5%の不足でございました。経年変化をずっと見てみますと,平成23年上期より不足傾向がずっと続いております。

2番目,建設業就業者,これは技術社者,技能者まで含めたものとなりますが,平成24年度の段階で,55歳以上が約34%,29歳以下が約11%だと,御覧のように完全に高齢化して,真ん中の世代がどっと抜けております。これは社会基盤分野の構造的な問題がここには存在しているというふうに認識しております。

それから3番目に,我が国の社会資本の特徴なのですが,これが高度成長期に集中的に整備されておりまして,現在の段階で建設後30年から50年経過しているものが増えております。平成44年度には,50年以上経過したインフラが道路橋等で約65%,排水機の水門等で62%,それから水道管渠(きょ)等で23%というのが50年以上経過したインフラになるということでございます。この分野で新たに作るものが社会経済状況等の影響を受けて増減するので,人材のニーズも当然増減するということになりますが,このストックを維持していかなければいけないというメンテナンスニーズに関して言うと,今後ずっと増加し続ける,つまりこの人材はずっと必要であるということになります。

それから4番目には,社会基盤分野における新しい技術,これは後で詳しく御説明しますが,ICT関連の技術がいろいろ出てまいりまして,それは新しい分野なので人材が不足するという状況になっております。

次のページをめくっていただきまして,これらを鑑みて,人材に関して焦点を当てて考察をいたしますと,多様な人材ニーズが存在しているということがいえます。これは今申し上げたように,社会基盤の分野の裾野が非常に広いということがございまして,それぞれの個別専門分野の必要な技術・技能があるということでございます。更に新しい技術まで出てきて,その技術者が要る。

それから2番目,人材育成の外部化ニーズが生まれているということが,これがヒアリング等で明らかになっておりまして,なかなか社内で専門性が高まりつつあるというようなことも要因になって教育しきれないという部分と,もともと中小企業では,なかなか社内教育機会を持てなかったということもあって,技術が高度化したことによって,それを外に出さざるを得ないというような状況も生まれているということがあります。

3番目,産業界は学卒者に実践力を求めている。これは私見でもあり,ヒアリングの結果でもありますが,多くの方にお話を聞きますと,実践力は即戦力ではない,産業界は学卒者に即戦力を期待していない,つまり,学校を卒業してすぐぽっと来て,そこで何か仕事を与えたら,パパッと全部自分でやるような人はそもそも期待していないとのことです。逆に,どのような人が欲しいのかというと,一定の専門的基礎能力を持っていて,企業あるいは現場という集団の中で自分の役割を果たす意欲があり,仕事の中で成長できる能力を持つ,すなわちこれが実践力であり,産業界はこの実践力を求めているということが分かってきております。

次のページに参りまして,先ほど少し触れました文部科学省がやられている中核的専門人材の育成プロジェクトで何を行ったかという部分でございます。

まず,テーマの設定をいたしました。人材不足等の国内課題の解決,それからこれは国土交通省なども一生懸命取り組まれているパッケージ型インフラの海外展開を担う人材育成についての検討,それから,建設IT技術を担う人材育成という三つのテーマを設定しました。

事業の進め方としては,1番目に産業界の人材ニーズの把握ということで,アンケート,ヒアリング等を行いました。これが先ほど私が私見で申し上げたこととつながっておりますが,基本資質を持ち,仕事の中で成長する能力がある人が欲しい,また将来的には,コミュニケーション力,リーダーシップ力,マネジメント力,倫理観というものを重視したいという答えが返ってまいりました。

2番目に,それではこの社会基盤分野において中核的専門人材というのは一体どういう人なのという部分,育てるべき人材像の定義ですが,これを「10年後に活躍できる「中・小グループのリーダー」」と設定しました。

この二つの前提を持ちまして,右の方,3番目ですが,全国版標準カリキュラムを開発いたしました。これは専門学校における4年制でのカリキュラムでございます。1,2のようなニーズ等と目的の背景がございますので,通常,座学では教えにくいような「人間力」などを育てて,分野へのモチベーションを高めるというようなことを目的とした「共通基本科目」を入れております。お手元にカラー版のパンフレットをお配りしていると思いますが,そこにはかなり詳しく,この事業の概要と3年間やったことをまとめてございます。

そのカリキュラムを更に有効なものにするために,例えば社会人,女性の学び直しに対応できるような形の仕組みを作っております。

最後,地域での実証を行いまして,それをフィードバックしていくというような作業に今年度は入る予定で進めております。

次のページでございますが,このような事業をやらせていただいている中で,いろいろ人材育成に関する知見が出てまいりました。

まず大きな話として,専門学校における既存の教育プログラム,これはかなり実践的なトレーニングを含んだプログラムですけれども,これよりも更に実践的な教育が求められているということが分かりました。それは10年後の人材というビジョンもはっきりさせましたし,目的が明確化している,ニーズも更に細分化しているというようなことが背景で,それが分かってまいります。人材ニーズと教育機会の多様化への対応,教育方法の実践化,インターンシップ,コーオプ教育,ケースメソッド等,そういったことへのあらゆるものを組み込んでいかなくてはいけない。

また,産業界,地域等との連携を強化していくというようなことが求められているということが分かってまいりました。

その下ですが,ICTがカリキュラムを変革する可能性もというふうに書きました。これは我々の業界でこの10年ぐらい,BIMとかCIMとか呼ばれているコンピューターのソフトの新しい技術がございます。これはコンピューターの中で三次元の模型を言ってみれば構築して,そこでデザインも構造も設備も,環境の検討も,あるいは仕様も,全部その中に入れてしまう。そうすることによって情報が統括されて,設計と施工と,それからその後の管理まで含めて一気通貫で全体を見ることができるというような技術でございまして,これが少しずつ普及しております。これが更に普及してきますと,学校におけるカリキュラムの根幹に据えて,カリキュラムの組立てそのものを変革していく可能性があるということがございますので,我々はICT技術にかなり注目をしております。

最後,5ページでございますが,まとめとして,「学校で実践力のある人材を育成する」ということは一体どういうことになるのかということですが,この実践力を育てるには,大学においても専門学校においても,既存の教育プログラムを拡張することが望ましいということが私の意見でございます。

左側ですが,大学が幅広い知識を身に付けて,将来の自己実現の基礎を作る。研究開発者の養成も視野に入れるということで,幅広い知識を与えるというようなところに大きな目的を持って教育をやっている機関だろうというふうに認識しています。

一方,専門学校の方は,就職に直接結び付く技術者,技能者教育,特に資格取得を重視しましょうということで,これまで実践的な教育をやってまいりました。ただ,今,前段でずっと見てきたように,目的を絞り,なおかつ実践力を重視するというような命題を自ら与えてみると,教育プログラムをもっと細かく発展させていかなければいけない。これが新しい組織なのか,既存の組織なのか,私にはよく分かりませんが,これまで述べたように,例えば,専門的基礎能力というものが,多様な分野にわたるということで,かなり専門コースを細分化していかなくてはいけない。あるいは,分野のモチベーションとか,人間力,仕事の中で成長できる能力とか,非常に分かりにくいけれども求められている能力を何らかの形でプログラムにして教育しなければならない。そのためには,かなりワークプレイスメント,コーオプ教育,インターンシップ,ケースメソッドと言われるようないろいろな手法を駆使しながら,実践化に向けてのいろいろな検討も含んでいかなくてはいけない。IT技術も取り込んでいかなければいけない。産業界,地域との連携も強化しなければいけないということで,専門学校にとってもこれまで以上の実践化が必要だということが明らかになってきたことのように思います。

以上,私の御説明でございます。

【永田部会長】  渡邉様,大変分かりやすい資料,どうもありがとうございました。

まず,御意見ではなくて,今,お二方の発表に対しての質問をお受けしたいと思います。御意見については後で意見交換させていただきますので,ここが分からない,あるいはここを教えてほしいということを最初に受け付けたいと思いますが,いかがでしょうか。

例えば,渡邉さんにお聞きしたいのは,55歳34%,29歳以下11%とありますが,その人たちの学歴というのは,年齢問わず,どのようになっているのでしょう。

【渡邉氏】  正確なデータはないですが,技術系の方は,専門学校,大学卒の方が圧倒的に多いというふうに思います。それで,いわゆる職人である技能系は,やはり高卒,あるいは中卒ぐらいの学歴となっており,現場で鍛えられてプロの技術を身に付けている方が多いというふうに思います。

【永田部会長】  ありがとうございます。

はい,どうぞ,永里委員。

【永里委員】  渡邉さんに質問します。最後のまとめのところに,「大学においても,専門学校においても既存の教育プログラムを拡張することが望ましい」と書いてありますが,既存のプログラムは今あるとして,それを拡張するというときに,新しい技術をずっと追い掛けるということは可能なのでしょうか。非常に細分化されてきていますので,我々が今話している新たな高等教育機関で可能だと思われますか。

【渡邉氏】  相当多岐にわたる専門的なことを,きちんとやっていこうとするとき,私の個人的な意見では,かなり難しいというふうに思います。ただ,一般的に実践的な能力を持つ人間を,今までの,例えば専門学校で育てていくということは十分可能ですが,その中にいろいろなプログラムを加えていくことはできるけれども,体系が全然変わってしまうとかということか万が一起きたときには,かなり頑張ったやり方をしないと難しいというふうには思います。

【永田部会長】  麻生委員,どうぞ。

【麻生委員】  私は,青山委員に質問させていただきます。

資料1で分かりやすく説明していただきましてありがとうございました。下の段の取組の方針の中で若手人材の育成が急務というところで,職業人としての基礎力が必要であるという御発言がございました。私がお尋ねしたいのは,既存の大学や短期大学で教育課程の中に多く取り込まれております一般教育や基礎教育科目といわれておりますものや,体育系の科目などの基礎教育を行っている大学は多いのですが,これは職業人としての基礎力の基盤となり得るものであるのか,若しくはそこに足りない部分があるのか,その辺のところをお尋ねしたいと思います。

【青山委員】  想定しておりますのは,職業人というようなことを前提にして考えさせていただいております。先ほど若干触れさせていただきましたけれども,この基礎力というのは,2006年に経済産業省が提唱しました社会人基礎力という考え方がございますが,私はこういう考え方は今日でも非常に必要とされるものなのではないか,またこれからも必要なものなのではないかというように思っております。

これは大きく三つに分かれておると記憶しておりますが,一つ目は,前に踏み出す力なのですが,これはいわゆる主体性ですとか実行力です。

二つ目は,考え抜く力ということでございます。恐らくこれは課題発見力ということだと思います。

三つ目は,チームで働く力。これはチームワークだと思いますが,この中で恐らく規律性など,そういうものが求められるということだと思います。

ですから,基礎学力と専門知識に加えて,こうした社会人基礎力が必要になるのではないかというように思っております。以上でございます。

【永田部会長】  ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。

はい,小杉委員,どうぞ。

【小杉委員】  青山委員に質問です。

この図の中で,まず不足している人材として企業の方が具体的に挙げられているのは,ある程度,キャリアのある人だというお話でしたよね。今度新しく実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を作っていった場合,そのキャリアに代わるようなものになり得るのか,企業の方は,あそこの企業で何年やったというのではなくて,この学校を出たということで,それに代わるような能力があると信頼できるのでしょうか。

【青山委員】  ここで非常に詳細な質問の仕方で聞いているわけではありませんので,どういう人材像をイメージされますかと言ったときに,今のところ,これをミドル人材という答えが一番多かったということです。ここで言うミドル人材というのは,恐らく自社にとって非常に経験が似たり,これからの新事業にとって必要だったり,なおかつある程度実務的なことを御存じだったり,実践的な遂行力があったりなど,そのようなことをイメージされているのだというように理解しております。

【永田部会長】  川越委員,どうぞ。

【川越委員】  まずは青山委員に質問なのですが,少し角度の違う話ですけれども,各社で進む国内生産回帰の動きというところと,その下の中小企業の国際展開への対応のためには専門的な国際的な人材が必要だというところなのですが,日本に来て日本語を勉強して専門学校出て,大学を出て,短期大学を出た外国人の子供たちが,日本の企業に就職して戦力となった後,その企業がタイに進出すれば,タイ人の日本語がしゃべれるようになった人材を送り込んでいくというようなことも含めて,日本の企業にどんどん雇用されていくというような状況についてはどうお考えでしょうか。次に渡邉さんへの質問ですが,昭和20年代,30年代に物すごい数の,高校を出た子たちがキャンプを張って,道路などを造りながら,その日当で学校を出るというような土木技術者を養成する産業開発青年隊という,学校ではない学校があったと思います。今,全国では宮崎県に一つしかありません。私どもが,産業開発青年隊の指定管理者を引き受けてから,ずっと,9人とか,20人とか,25人ぐらいの入学者だったのが,今年46人入学してきまして,そのうちの17人ぐらいが建設業の方で,厚生労働省のキャリア形成助成金というのを使って,一旦雇った社員を1年間派遣してくるというようなことを行っておりました。もし,ほかにもそのような動きを何か御存じなら教えてください。

【永田部会長】  それでは,青山委員の方から簡単にお願いします。

【青山委員】  この高等教育機関の制度化という問題と,外国人労働者問題というのは,それは少し切り離して考えた方がいいのかなということで,私はこの中に入れておりません。

ただ,一般的に,労働力の確保,不足に対する一つの考え方として,今,川越委員がおっしゃったような海外からの留学生を日本企業が採用するという意欲は中小企業でも非常に多くございます。実際に採用している企業もあります。東京商工会議所では,外国人の留学生とのマッチングも既に乗り出しており,そういう動きが徐々にですが,広まっていることをお伝えさせていただきます。

以上でございます。

【永田部会長】  渡邉さん,例があるかどうかお願いします。

【渡邉氏】  すみません,具体的には存じ上げてはおりません。厚生労働省の仕組みが結構有効に働いているということは承知しておりますし,国土交通省で人材育成のための補助があるという,そういうことは少し知っているのですが,具体的な名前までは分かっておりません。申し訳ありません。

【永田部会長】  では,生重委員,御質問をどうぞ。

【生重委員】  渡邉さんにお伺いしたいのですが,最後の部分のまとめのところで,大学と専門学校の間に実践力を重視する教育プログラムとなっていますが,成長分野における中核的な人材の方の会議で,まず,PBLとかインターンシップを1か月とか1週間行ったからといって,実践力は身に付かず,むしろ,分野へのモチベーションや人間力,仕事の中で成長できる能力などという気付きが出てくるのではないかなというふうに思っております。成長分野における中核的な人材の会議の方で,一度社会に出て,もう一回戻ってきてもいいとか,何年間ぐらいを想定しているのかなど,受入れに関しての言及はありましたか。

【渡邉氏】  まず何年間を想定しているかというお話に関して言いますと,4年間のカリキュラムを組んでおります。最初の2年間に関しては,これまで専門学校が2年で行ってきたようなことを中心にした基礎的な部分,それから,3,4年の後半に関して言うと,今おっしゃったような人間力や問題解決能力など,なかなか座学で身に付かないような科目あるいは演習のようなものを組み込んで行っていこうという開発になっております。

8・9ページのところを御覧いただくと,お手元のパンフレットの中のカリキュラムがちょうど真ん中のところに,土木と建築というように一応便宜上二つに分かれておりますが,その左のところが1・2年で,右側,演習中心の3・4年,いわゆるコーオプ教育とか,あるいは企業に行って研修するようなインターンシップは長期に設定しております。これを見ていただくと,例えば3年の後期と4年の真ん中あたりなのですが,前期はずっとコーオプ教育の時間を設けたり,あるいは,インターンシップも全部長期で行ったりというような設定を組んでおります。多分その方が,効果が上がるというのが関係の委員の方たち皆さんの御意見でございました。

【永田部会長】  ありがとうございます。

では,内田委員,北山委員で,この議題は一旦終わりにします。

それでは,内田委員,どうぞ。

【内田委員】  青山委員にお伺いしたいのですが,大変分かりやすくおまとめいただきましてありがとうございました。

この中で特に生産性向上というのが大変重要だと思いますが,そのお話の中で,ICT化は分かりやすいのですが,それ以外のことで,この会議で議論している高等教育にどのようなことを期待したいかということが,もしあればお願いします。

【青山委員】  ICTは非常に分かりやすいのでこれを卑近な例として出させていただきました。そのほかにそういう分野が確立されていないものですから,例えば,地域支援を活用して,それで地域が再生していくといった場合に,どういうような勉強をしたらいいのか,どういう資質を身に付けたらいいのか,これはなかなかトータルで教えていただけるところが多分ないのではないかと私の認識では思っております。もう一つの例ですが,地域ブラントがあります。ブランドを作るにはどうしたらいいのかといった,推進役は誰なのかというようなことは,地方の再生や活性化には非常に多いと思われます。

それからもう一つ,まちづくりというのはこれから非常に重要になってくるテーマだと思っておりますが,だんだん人口が少なくなって,広域的に分散して居住されているということは,恐らく行政効率が非常に悪くなるというように言われておりますが,なるべく中心部に集まって生活しましょう,またそのようなまちにしましょうという動きかだんだん加速されていると思います。それらの方法を推進するにはどうしたらいいのかなど,なかなか教えていただけるところがない。いろいろな先生がいろいろなところで研修はされているようですが,推進方法を教えてくれるところが今後は非常に求められてくるのではないかというように,感じております。

【永田部会長】  ありがとうございます。

それでは,北山委員,どうぞ。

【北山委員】  渡邉さんに,パンフレット8・9ページの土木,建築のカリキュラムに関してお伺いします。このカリキュラムでは,PBLを採り入れたり,インターンを増やしたりされているということですが,一方で,大学でも似たような動きもあります。今,日本学術会議では,分野ごとに参照基準というものを作成していますが,例えば,工学部の建築,土木といった分野の参照基準と,そのカリキュラムとを比較したとすると,こちらのカリキュラムの方がより実践的だと考えればいいのでしょうか。

【渡邉氏】  まず,その参照基準とおっしゃっているものが,専門学校の場合には直接的にこの議論の中では関係させないで行っておりましたので,それとの対比はこの中では検討してはおりません。

ここでは,中核的専門人材を10年後に中・小グループのリーダーに育てるためにどうするのかという目的を設定して,それに合わせたカリキュラムをすごくシンプルに純粋に議論で積み重ねたというような結果でございまして,それは何かの比較で実践的にするとか,そういう意図は一切持たずに始めたものでございます。

【永田部会長】  どうもありがとうございました。

多分,後で議論になるので,一言だけまとめさせていただきますが,渡邉さんが本日お示しになったものは,実は前回のIT関係でのカリキュラムの考え方と似ていて,とても実践的で,内容も深くて,非常によくできたプログラムだと思う一方で,それが現存の大学とどう異なるのだろうということを考えさせられます。

一方,青山委員が御指摘になったことは,もっとブロードで,日本全部の中の労働力配分をどうしていくかということに非常に近く,留学生の話も出ました。それから,ひょっとすると,中等教育にも関係があるかもしれません。その中でフォーカスされたのが,IT,ICTみたいなところでという話と,私が聞いていて思ったことは,経営学というか,現場のマネジメント・コンサルティングのようなことも必要であり,そういうものが今の大学でどこが教えているのかというようなこともきちんと考えながら,この部会の議論は進めていかなければならないということも感じました。

なお,このような議論は後で行いますが,その前に,委員の中からもうお二方に,諸外国の職業教育に関する取組についてお話をお聞きしようと思います。

最初は,金子委員の方からお願い申し上げます。

【金子委員】  それでは,資料3でございますが,御報告いたします。

私は,この委員でもございますが,私自身は必ずしも国際的な比較の専門家でもありませんし,職業教育の専門家でもありませんが,現在,大学評価・学位授与機構で大学学位の国際的な比較に関する研究会をやっておりまして,私もその一員ですので,そこで勉強したことを,代わってここで御報告するというのが本日の趣旨でございます。

ただ,一つ,国際比較がなぜ必要かということは一応申し上げておきたいと思うのですが,やはり一国の教育制度がどうなっているか,その中で職業教育はどのように位置付けられているのかということは非常に重要なことであるからです。

それともう一つ,学位にこだわりますのは,学位というのは基本的には基軸通貨のようなものでありまして,その国自体にとっても,国際的な流動性にとっても非常に大切だということです。

それから,国際比較をするということは,現在の経済社会構造の変動,それから人材需要の動向,そういったものに教育システムがどのように対応していくかということを考える上でも重要だということです。

それともう一つは,学位を基にして,基本的には制度的な一貫性と質保証をどのように行うかという問題が付随して出てきますが,これも非常に重要な点であると思います。

現在,アメリカ,イギリス,フランス,ドイツ,中国,韓国,日本について,各国の専門家に御参加いただいて,かなり詳細に分析しておりますけれども,8月末くらいには中間報告ができると思います。

ただ,私が,参加しまして改めて感じましたのは,各国の歴史的な経緯,あるいは政策的な動向,政治的な状況によりまして,制度は非常に多様なのですが,その中でどのようなことがラフに言えるのかということを,これは私自身のまとめとして申し上げたいと思います。

まず第1点は,高等教育と大学制度です。これは前にも似たようなことを申し上げましたけれども,基本的に国際的に比較してみますと,アメリカ型とヨーロッパ型に分かれると思います。アメリカ型は日本と同じ初等・中等教育12年,その上に4年間の大学,又はコミュニティ・カレッジというのが2年間ある。

これに対しましてヨーロッパは,初等・中等教育13年間,プラス3年で,現在,学士相当になるというふうに考えられています。これは学術的なストリームでありまして,もう一つは,各種の中等後職業教育機関の職業教育トラックがあります。この中等後職業教育機関というのは,postsecondaryというふうに呼んでおります。

具体的な特質は,アメリカは基本的には単線型,ヨーロッパは学術トラックと職業教育トラックに複線型になっているということです。

その中で職業教育の機能はどこにあるかというと,アメリカの場合は大学制度に統合されており,その中でカリキュラムの中に専門職業教育のプログラムが入っています。教育プログラムと書いておきましたが,必ずしもこれは学部ではなくて,個別のニードに応じた教育プログラムが入っているという形です。

これに対しましてヨーロッパでは,大学の中にも職業教育があり,それと同時に,中等後教育機関の中でも職業教育を行っているということであります。

入学資格は,先ほど申し上げましたように,アメリカは12年,ヨーロッパは13年です。

高等教育機関の種類は,基本的には大学,それにコミュニティ・カレッジでありますけれども,コミュニティ・カレッジというのは,大学との連続性を意識して設計されておりまして,多くの州では,カリキュラムも基本的には統一されています。

ヨーロッパでは,大学と高等教育機関のpostsecondary機関が並立しているという状態です。

基本となる学位は,アメリカは学士及びコミュニティ・カレッジに関しては準学士,それからヨーロッパは,非常に多様な卒業資格がありましたが,これを今,学士で統一する方向にあるということです。

それから学士の要件は,基本的には4年間在籍,120単位です。なお,ヨーロッパの場合は,新しく統治している学士課程は,先ほど申し上げたように,13年間経ていますので,1年間の高等教育相当の課程があると考えて3年間となっています。これもこれまでは単位制がありませんでしたが,単位制にある程度,近付こうとしているところです。

質保証に関しましては,アメリカは適格認定をやっておりますが,ヨーロッパ型は政府が大半設置していますので,質保証は政府の手で行われているというのが実情だと思います。

これに比べまして,東アジア,これは第3の類型になるかと思いますけれども,現在の制度は,アメリカ型に近い,つまり,単線型で,初中教育が12年という制度であります。

ただし,これに併存して,短期職業高等教育機関もあります。中国では,高等専科学校あるいは職業技術学院,これは少し違う名前で呼んでいましたけれども,こういったものがあります。韓国では専門大学,日本でも高等専門学校及び専門学校がありますが,韓国の専門大学で一部に例外的にあるほかは,いずれも学士の資格は与えていません。

日本の専門学校は,これと比較してみますと,学校体系上,普通の学校との法令上の位置付けが専門学校と短期大学で違う。すみません,これについては,職業教育機関と書いてしまうと問題があったので,あえて短期大学を入れておりませんでしたが,基本的には短期大学もこれに入ると思います。日本の専門学校は,法令上の根拠が違うというところがかなり特殊であろうと思います。

ただ,各国ともこういった基本的な形は大きく変化する途中でありまして,一つは,1990年代から各国とも高等教育就学率が上昇しているということがあります。

それから,若年労働者の定期雇用がかなりの国で大きな問題になっています。

それから,職業構造がサービス化し,非常に多様化しているという点であります。

そういった点から,職業教育に注目しているわけでありますが,今までの職業教育システムをそのまま強化しようというのではなくて,むしろ新しいモデルを模索しているというのが一般的な動向ではないかと思います。

特にヨーロッパは,歴史的な背景によって,卒業資格自体も非常に多様であります。一国内でも非常に多様でありました。これは1990年代からEUの統一に伴うボローニャ・プロセスと言いますが,学校教育体系の標準化の努力が進み,大学の卒業資格を基本的には学士に統一するというのが大体の方向であります。

同時に,大学の内部に明確に職業教育を目的とした教育プログラムを形成する動きが各国で見られます。フランスではIUTというものがありますが,更に幾つか試みがあります。ドイツにおいても同様な試みがあり,イギリスにおいても,旧ポリテクニクを改組し大学の一部とし,実績のある内容としては,職業教育をかなり強調して行っているということであります。これらの間でチューニング・プロセスといいますか,職業と教育をどのように結び付けるかということについて,様々な研究,取組が行われています。

この中で,従来,後期中等教育機関に属する職業高等教育機関にも学士を与えるということが行われています。

例えば,ドイツの専門大学(Fachhochschule)では,これも基本的には通常の大学と考えられておらず,職業教育機関だと考えられていましたが,卒業生に学士を与えるようになりました。ただ,これは先ほど申し上げましたように,入学資格が13年の初中教育ですから,アメリカと比べれば,1年間の一般教育プラス3年の専門職業教育で4年間になっています。したがって,学士であるという理由が付いているようです。

他方でアメリカでは,職業教育に関して,大学の中で職業教育プログラムが非常に盛んに行われてきていましたが,先ほどのお話にもありましたように,大学そのものの教育課程としては,汎用的な社会人能力,職業能力を形成し,それを強化し,それをアウトカムとして外形的に評価する方法をいろいろと開発するというようなことが,今,非常に盛んに行われています。

もう一つ目立ちますことは,営利大学などの形で職業教育にかなり重点を置く大学も増えていることです。その中で,IT利用などで社会人を対象とした,ただし,IT利用と言っても,ITだけの授業ではなくて,むしろ通常の授業とITを併用する形の社会人向けのコースが非常に拡大しているということがアメリカの特徴だと思います。

こういったことから一つ基礎となるのは,学士の構成要件です。学士というのは,現在やはり国際的にも標準的な学位になっていますので,国際通用性の問題からも,これについてどう考えるかということは重要な論点になるだろうと思います。アメリカ型は,先ほど申し上げましたように,入学前が12年,プラス大学4年です。ヨーロッパ型は,入学前13年で,プラス3年という形です。アメリカの場合には4年間で120単位,ヨーロッパはそれの4分の3に相当する単位換算を行うというのが基本になっています。

ただ,いずれの場合も,専門教育と基礎教育の両面が必要だということについては合致しているようでありまして,アメリカでは学士課程には専攻だけではなく,一般教養を必ず要求するわけであります。アメリカでは州によって違うのですが,例えば,Bachelor of Culinary Arts(調理学学士)とかというのもあるわけです。非常に多様な,これがなぜ学士になるのかと思うような学士があるわけですが,そのカリキュラム上の構成要件を見てみますと,一般教養がかなり大きな割合を占めており,これはアメリカ全体の学士課程に関する適格認定上の要件として一般教養が求められているということが背景にあるのだと思います。

もう一方で,ヨーロッパでは,3年間の職業教育で学士を与える例も出ているわけでありますが,初中教育を含めて13年,またヨーロッパの場合はむしろ非常に厳しい古典的な教育が中等教育で行われるということが多いので,そういう意味でも,4年間として見れば,一定の基礎教育を確保しているということになると思います。

職業教育のみで4年間の課程で学士という例は,今まで見たところでは見当たりません。したがって,4年間職業教育のみやるのであれば,学士として相当するものとして国際的に認知されるかどうかということが問題になるのではないかと思います。

それからもう一つの論点は,先ほど申し上げましたように,短期職業教育機関ですが,日本の高等専門学校,短期大学と専門学校の並立の状態は,構成的な根拠が違うものが混在しており,これはかなり問題ではないか。専門学校の制度的認知と書いてしまいましたが,制度的認知というのはおかしくて,実際もう学校教育法上に規定されているわけではありますから,同じ法的な基盤の中にどう位置付けるかということは,中国,韓国と比べてもかなり特異な状態であると思いますので,これは非常に重要な問題ではないかと思います。

4年制の機関,学士号を与える機関に関しては,端的に言えば,二つ選択肢があると思います。それは制度としては大学として単純化して,その中に機能的には多様なものを入れるという考え方です。

もう一つは,目的に応じて多様な学校種を作り,年限がある程度長ければ学士として認めるという考え方です。

アメリカはもともと大学に一元化するという思想で,その傾向が更に強まっていると思いますが,ヨーロッパは,歴史的には,職業系とアカデミックを分断するという形でありましたが,現在,双方ともが拡大しているという状況だろうと思います。大学も職業教育の機能をかなり大幅に取り入れていますし,職業教育機関に関しても学位に組み込もうという傾向が強くなっています。

これは私の全くの個人的な感想でありますけれども,長期的に整理すれば,やはり職業教育は大学教育に組み込まれるのではないかというような感じがしています。

ただ,私のまとめの仕方に多少恣意的なところもあるかもしれません。

今後も,この部会での論議で,細かい点で疑問点が出てきた際には,そういった点について細かく調査し,各国専門家にも伺って,また御報告したいと思います。以上です。

【永田部会長】  どうもありがとうございます。

次の寺田委員からの御発表を聞いてから,また質問に移りたいと思います。

それでは,寺田委員,御発表をお願いいたします。

【寺田委員】  お手元にかなり枚数の多い資料を用意しましたけれども,主に網掛けをしてある部分をかいつまんで報告する形で代えさせていただきます。

ヘッドのところにありますように,この資料は昨年11月の有識者会議のときに作ったプレゼンテーション資料でありまして,その後,更に調査し,一部いまだ調査中のものもありますが,新しい資料も入れて,まとめたものでございます。20ページほどが文章で,あと10枚ほど資料が付いてございます。細かくて見づらいですが,後ほど細かくチェックしていただければと思います。

発言報告の方ですが,文書資料の頭のところに囲みで1から6までありまして,最初に修正をお願いしたいのは,4と5,教員資格,質保証とあるのですが,これ,実は文書の中では順番が反対になっておりますので,修正をお願いいたします。

なお,時間の関係で,4と5,教員資格,質保証の問題,これに関しては,本日割愛させていただきます。1から3及び6,特にアメリカの部分を中心に話をさせていただきます。

まず,制度の成り立ちですが,いろいろある中で,興味深いのは,ドイツと中国の例です。ドイツの場合は,これはいろいろな研究書に出てまいりますが,63年以来のECの共通職業訓練政策,その中には高等教育の修了資格も入っていますが,この高等教育学位相互承認作業への対応ということが一つありました。特にフランスなどと比較してドイツの場合は,この点で独特の制度を持っており,当時の段階で中等後の職業教育機関の高等教育化が遅れておりました。とりわけ学生団体等の方から,卒業資格の欧州通用性というもので地位改善運動が展開され,その中で各州政府が出した答えが,ドイツの専門大学という制度でございます。

中国ですが,表向きの話は,いろいろな中国の制度の文書から出てきますが,取材をしたところによると,基本的には日本語に訳して言うと,高等教育拡大を市場経済型に対応させて考え出したのが職業学院,職業大学,Vocational collegeだということです。つまり,高等教育を拡大するときに,従来型の一般的な大学ではなくて,市場対応型の大学(college),これを作るということで作ったと,そのような評価がございます。

各国の実践的な高等職業教育機関の種類,学校教育体系における高等職業教育の位置付けの部分が資料の2ページです。

2-1,各国比較概観,これはOECDの資料ですけれども,端的に言えば,日本は真ん中にありますが,日本の場合は,高等教育がBタイプ,つまり,高等専門学校,専門学校,短期大学などへの依存度が非常に高いということが分かっております。

したがって,下の図は私のスケッチですけれども,高等教育の法制化,それから職業教育機関の期間あるいは学士資格付与という2軸で考えたときに,日本の場合は,右上のところの長期は,今はないという状況だということになります。

3ページに行きますと,学校教育における高等職業教育の位置付けということで,アメリカの例になります。かなり詳細に触れておりますが,一般的にはBのTechnical collegeを含めてCommunity collegeと総括していますが,厳密にはCommunity collegeとTechnical collegeが二つございます。前者は要するに総合的なもので,とりわけ州立のものが多いということです。後者は工業技術系で,割と小規模で,就職対応の性格,主として就職対応の職業教育を行う機関であるということになります。

前者Community collegeに関してよく知られておりますので申し上げますと,取得学位は提供されるプログラムによって大きく二つに分かれ,厳密に言えば三つということになります。

A-1が4年制大学への編入プログラムです。Associate of ArtsあるいはAssociate of Scienceのような資格を一般教養科目と,プラス文系,理系の基礎科目を提供することによってトランスファーするということになります。

これと職業教育プログラムというのは基本的には別で,向こうではキャリア専門プログラムと言い,2年制のプログラムがございます。大抵はAssociate of Applied Scienceということで,何々Associate Degreeというものを付与するということになっております。

それとは別に,職業別のCertificateを与えたり,特殊な受験資格を与えたりということで,プラス1年間あるいは2年間の特別プログラムがあり,そういうものを併せて取ろうとすると,実質3年になるということになります。

それから,今回詳しく調べましたけれども,職業教育プログラム生がAssociate of Arts,あるいはScienceという4年制大学への編入資格を取ろうとすると,これは自動的にApplied Scienceでは行けない仕組みになっておりまして,もう一回,61単位取り直さないといけないということです。これには驚きました。

後ほど申し上げますけれども,Applied Scienceの資格の場合は,ごく一部の4年制大学が分野を限って受け入れるということはあります。ただし,4年制に自由に学生が応募するということはできないということになっております。

2-2-2で,高等職業教育を法制上どういうふうに定義しているかということを,オハイオ州の場合を例にとって,3ページから4ページにかけてまとめておきました。

4年制と2年制の機関数あるいは登録学生数に関しては,参考1の資料を御覧ください。

それから,2-3,ドイツです。これに関しては,従来は69年以降,専門大学ができて,3年若しくは4年制で,4年制の方が多いのですが,取得学位は,Diploma(FH),Fachhochschuleという機関名を後ろでただし書するというやり方をしておりました。

これは後でも触れますけれども,EU統合,ボローニャ・プロセスの中で学士に統一するということになっており,現在,FHは除かれておるということでございます。

いろいろな種類の行政マンを育てる専門大学から芸術関係からいろいろありますが,一般的なものが,通称,専門大学と言われているものでございます。

4ページ下から5ページの上にかけての法制上の位置付けについて申し上げますと,見た感じ,一般大学と専門大学でそれほど定義の面では大きな違いはないのですが,明確な違いは,5ページの頭のところにありますが,大学の場合は,技術移転,継続教育など,いろいろな機能もありますが,学術的認識の獲得,学術の後継者の育成,これらに重点を置いていており,専門大学の場合は,応用的な教育と学修に重点を置いているところであります。ただし,いずれも内外の職業活動に準備するという目的を明確に位置付けております。

ついでに,5ページの下にドイツの一般大学,総合大学と専門大学の比較ということをしております。この資料の基になっている著作は古いのですが,その後の事情を矢印以下で付け加えております。

事務局から依頼もあり,専門分野について少し調べてみましたので,別添参考資料2を御覧ください。基本的には州別,機関別にいろいろ拾い上げていけば分かるのですが,大ざっぱなところで見ますと,参考2の真ん中辺りに,分野別学生数(特化状況)というのがありますが,大学と専門大学の学生数を分けております。Universitaetenと書いてありますが,例えば,法律(Rechts),経済(Wirtschafts),社会科学(Sozialwissenschaften),そこの2列目のところですけれども,これは上の方,学士が2万8,391人,専門大学が5万2,138人,それから,特徴的なのは,右端のIngenieurwissenschaften,工学です。基礎工学について4年制大学が1万4,921人に対して,専門大学が2.2倍,3万2,888人,この辺りにかなり特化していることがわかります。つまり,工学は,もともと応用化学のはずですけれども,専門大学が徹底して工学応用をやっているということになるかと思います。

加えて,右から2番目のHumanmedizin,Gesundheitswissenschaftenとありますが,これは人的サービス,健康衛生関係です。これは専門大学の独壇場ということになります。

元へ戻っていただきまして,5ページの比較表のところで,少しだけ触れておきますが,教授任用条件というのがございます。一般大学は,ドクター,プラス教授昇格資格(Habilitation)という伝統的な制度があります。専門大学の場合は,ドクター,プラス,以前は一律5年以上の実務経験というふうになっておりました。最近は若干年の実務経験,ただし,当該分野に関する専門的経験というふうになっています。

それから,やはりドイツの例で一番下,卒業後あるいは就職後のキャリアと資質評価というところで,少し面白いものが出てきました。非常に細かくて恐縮なのですけれども,これは参考3になります。一つは,上の方が1997年卒業者,卒業者というのはDiplomaの資格を取ったという意味ですが,少し見方が複雑で,97年の1月,2月,3月と波状的になるようですが,その人たちが10年後にどういうポジションに就いているかということを調べたものです。これを見ますと,一番左側が管理職員,その次が管理職能付職員,真ん中あたりが管理職能無職員,有資格専門職員,それから自由業と書いていますが,これは専門職のことで,法律家や自営を指します。それから公務員になっています。上の方が専門大学,下の方がいろいろありますが総合大学ということになります。

細かく比較してみますと,輩出率の数字が入っているわけですが,これから見ますと,専門大学は4年制大学に対して,民間企業管理職と資格職で圧倒しています。対して一般大学は,公務,専門職,教員など,このあたりに特化しているということが分かります。

もう一つの資料が,同じページの下の資料で,ニュルンベルグ及びその付近の1,188の企業担当者,ただし,その回答した担当者の出身大学,一般大学なのか専門大学なのかということを問うた上での専門大学卒者と一般大学卒者の資質比較といいますか,評価をしております。左側の質問が実践性,右側の質問が専門知識の能力となります。左側を見ますと,大卒担当者含めて,両方異論なく実践性は専門大学卒生が優れているという評価をしています。右側が,これが非常に複雑で,余り変わらないというのが特徴かなと思います。「大学が良」というのかやはり大卒担当者で評価する場合は多いですけれども,真ん中のどちらも似たものだというような回答を見ますと,ほぼ同じことであります。これは恐らく知識という点で一定の専門分野の特性というものがあるからだろうと考えられます。

韓国ですが,先ほど,金子委員からもありましたが,76年以降あります専門大学は,制度的に言えば,そこの2-4-2の高等教育法の第47条に,専門大学の定義をしており,「国家社会の発展に必要な専門職業人を養成する」ということに特化をしております。

特徴的なのは,韓国では2ないし3年の専門学士課程,フランスあるいはフィンランドあたりも「専門学士」という名称で短期の高等職業教育機関に対して準学士資格を与えるということをやっておりますけれども,プラス1ないし2年の専門深化課程,上級課程というのでしょうか,これが置かれていて,数は少ないのですが,希望する場合は4年間行くことになります。具体的に制度設計などをする場合に難しいと思われるところは,前期,後期の4年間一貫したコースになっていないというのが特徴で,原則として後期課程に関しては一旦就職した人が後で入ってくるということです。つまり,社会人,夜間コースの専門深化課程で,最後は学士を付与するということでございます。この英語名称もちゃんと確認しましたけれども,Bachelorだということでございます。

ただし,実態を見ますと,例えば参考資料4の韓国の専門大学における専攻深化(学士)課程の設置例についてかなり多くの大学が提供しているのですが,勤務経験のない学生も相当入れているようです。ただし,これは調査の必要がありますが,勤務経験をいずれの時点で必要とするのかということもどうもあるようで,入学試験の段階で勤務経験がないという人も入れているようです。結果としては,現職者がその後,深化課程に入ってくるということがあるようでございます。

時間の関係もありますので,少し飛ばしまして,教育課程のところだけ,少しだけ触れさせていただきます。

8ページまで飛びまして,教育課程及び連携実習というところでございます。先ほど紹介しましたアメリカのコミュニティ・カレッジの例で,理系の準学士,文系の準学士,それから専門職業系のApplied Scienceのプログラムがあります。具体的な分野についてですが,参考6を御覧いただきますと,これはAccreditationを受けたプログラムということとイコールなのですが,これはオハイオ州立コミュニティ・カレッジの例で,20ページぐらいのうちの1ページ分だけを抜粋してコピーをしてございます。医療関係,ビジネス関係のプログラムなどいろいろな分野があります。

また,カリキュラムについて,その次の資料7を御覧いただきますと,これも少し見にくいかもしれませんが,州立コミュニティ・カレッジのビジネス分野のAccounting associate degreeのプログラムです。もちろんAccounting associateという準学士,専門学士が得られます。金子委員も紹介されていましたが,専門学士の場合,一般教養科目が,このプログラムの場合は16単位,それから基礎科目が17単位,合わせて33単位で,あと36単位が職業科目で,これをTechnical Educationの科目と呼んでおります。冒頭に言いましたように,4年制大学に編入しようとする場合,更に62単位を取らなければいけないという問題があります。

それから,丸2に書いていますが,どのプログラムもそうですが,Practicumが必ず3単位程度配置されております。これは現場実習のことです。

それから次に,ドイツの専門大学の場合ですが,これも参考資料8を御覧いただく方が分かりやすいかと思います。最近,ドイツの州立専門大学は非常に大規模なのですが,もう州立の専門大学はほとんど作っておらず,割と小規模でチェーン校といいますか,私立の法人があちこちに大学を作るという形が多いです。そのうちの一つがFOM,専門大学・経済・マネジメントという名前のグループのゲッチンゲン校のマネジメントコースのプログラムです。

これも細かくて恐縮ですが,ヨーロッパ標準に従って,モジュールシステムになっています。それから1,一番下に書いてありますように,教養科目はありません。ただし,4,基礎的科目,これは欧州基準で20から30%ということで,この段階では教養機能を読み替えているということになるかと思います。プラス,恐ろしく多いのが,現場実習1,2,3,です。5,それ以外にも若干ありまして,少なくとも24のうちの4モジュール,3年間の6分の1が企業実習で,卒業研究も現場でやるといったシステムです。

あわせて,この国では,中等職業教育もそうですけれども,専門大学の運営に経済界が学校評議会という形で関与し,同時に,企業実習を引き受け,就職もかなり引き受けるというようになっております。

あと,韓国で終わりますけれども,10ページの参考9の3-3,韓国,これは医療・保健系で実際に訪問取材した大学ですが,面白い,あるいは新しい制度を考えるときに,こういうことも考えておかないといけないのかなというふうに思ったことは,教養必修,専門必修,選択という枠組みのほかに,一番下に,教職科目というのを置いていることです。これは少し驚きました。なぜかというと,実際に向こうで尋ねましたところ,教員資格の問題はいろいろあるのですが,この大学の出身だという教員が何人もいるのです。このときにもう既にある程度の教職科目を取っておいて,それで,その後,企業で働き,更に修士課程を取って,専門大学にやってくる,こういうキャリアになっているのです。これは一つ参考になるかと思いました。

それから,詳しいことは触れませんが,企業界と連携してカリキュラムを作るというふうに法令上も義務付けられており,10ページで言いますと真ん中あたりに,最近,名前を変えたようですが東洋工業専門大学が,企業との連携によるカリキュラム開発ということで,Job analysis,カリキュラム開発,それから学習教材開発という三つのサイクルの中に,サムスンをはじめとした連携企業がやってきて,一緒にワークショップを行いカリキュラムを決めていくようなシステムになっているとのことでした。

それから,10ページの一番下の方に,これは先ほど取り上げましたテジョンの大田保健大学の例ですけれども,一般課程だけですが,金融ビジネス科というのが,企業提供の学科ということになっています。そういう形でも産学連携を進めているということがございます。

加えて,ずっと最後の方の最近の動向というところで,面白いことが幾つかあるのですが,中国の例を取り上げます。これは有識者会議のときも触れましたが,先日,向こうの専門家に照会すると,職業学院,2ないし3年制のカレッジを,将来,4年制大学の一部を含めて大学の半分程度,600校ぐらいを専門大学にするという意気込みでやっているようでございます。

韓国,ドイツ,アメリカ,それぞれいろいろな動きがあって,課題も抱えているというようなことでございます。

少し延びましたが,以上でございます。

【永田部会長】  ありがとうございました。

それでは,先ほどと同じように,御意見ではなくて,このお二人の方々への質問を先に採用します。いかがでしょうか。

それでは,千葉委員,どうぞ。

【千葉委員】  金子委員にお伺いしたいのですが,今,御説明いただいた中で,アメリカのケースの中で,社会職業生活に必要な対応能力を強化しようとする傾向が一般的で,そうした視点から教育のアウトカムを重視しているというお話がありましたが,このアウトカムというのは具体的にどういうものなのかということをお伺いしたいことと,そのアウトカムのお答え次第ということになると思いますが,今御説明いただいた中の資料,参考10というのは,分野ごとの認証機構があるということでございますが,そのような形になってこないと,正確な判断ができないのではないのかなというふうに思っております。その辺りをお答えいただければと思うのですが,よろしくお願いします。

【金子委員】  ありがとうございます。一般的にやはりアメリカは,ここもう10年以上,大学教育はただ何を意図しているかというのではなくて,そこから学生が何を得ているのかということをきちんと何らかの形で表そう,あるいは計ろうという動きが非常に強いわけであります。

そのときに二つ考え方がありまして,一つは,専門分野によって大体想定されている専門的な知識をきちんと計ろうということです。これは専門別アクレディテーション団体,大体職業ないし専門分野別にそういったものが組織されていまして,特に強いのは,例えば健康関連です。医学などの医療関係,あるいは工業関係についても非常に強いわけでありますが,そのような分野で専門的職業的な知識に一定のスタンダードを作り,先ほどもお話に出ていたように,日本でも認証基準を作ろうとしていますが,そのような形が獲得されているかどうかをチェックするというのが一つの考え方です。

もう一つは,もう少し基礎的な基本的な能力がきちんと身に付いているかどうかというのを考えようということです。これは,日本で経済産業省が社会人基礎力などと表現しており,かなり抽象的でありますが,むしろアメリカの場合は,例えば文章を読んで,そこから何を酌み取り,問題をそこからどのように取り出すことができるのかといったことや,文章を書いたり読んだり一定の整理をしたり,あるいは数的な情報を読み取る,そういったことを含めて基礎的な力があるのではないかと見ています。それについて,端的にテストをするということも行っています。CLAというところがそのような能力をどの程度獲得していくかというテストを開発しまして,それに類似しているものが幾つか試されていますが,それと同時に行われているのが,例えば中世のアメリカの歴史を教えて,むしろそういったものを通じて,文章を書いたり,読んだり,論理的に組み立てたりというような能力がどれくらいできているのかということを採点表すなわちルーブリックを作って,個々の学生について採点していくというような方法が行われているなど,かなりいろいろと今,工夫して行われています。

【永田部会長】  岡本委員,どうぞ。

【岡本委員】  金子委員に三つお聞きしたいと思います。

1点目は,2ページの学校教育体系の類型ということで,アメリカ型,ヨーロッパ型いずれも学士までということなのですが,やはり大学院段階もいわゆる学術系と職業教育体系という意味では,アメリカ型,ヨーロッパ型がどのようになっているか,コメントを頂ければと思います。

それから2点目は,3ページの日本の専門学校が学校体系上,法令上の位置付けは特殊であるという御指摘がありましたが,その特殊の意味をもう少し御説明いただければと思います。

それから3点目は,4ページの「日本への含意」ということで,学士の構成要件の一番後のところで,職業教育のみを4年間行う教育機関の例は見当たらず,学士に相当するものとして認知されるかどうかという記述があるのですが,有識者会議では,職業教育に必要とされる一般教養,いわゆる大学における文学や哲学や歴史など,いわゆる一般教養というものとは異なる職業教育に必要とされる一般教養というものは,新機関に必要ではないかということが議論されてきたと思います。それとの兼ね合いをどのようにお考えなのかということを,3点,お願いします。

【金子委員】  ありがとうございます。大学院制度も含めまして,教育体系の類型は,もう少し細かく申し上げると,更にかなりいろいろな問題があるのですが,今おっしゃいましたように,アメリカは特に法学,医学,それからビジネスの一部ですが,これは専門職の大学院があります。それから同時に,普通の大学院もあります。それから,修士課程を含めた一貫性のものも工学系ではかなりあります。

ヨーロッパは,御存じのように,これまでは学士というものが定義されていない場合が多くて,大体修士相当だと考えられていたところが多いわけです。これは話し出すと長いのですが,ヨーロッパは,卒業資格自体が余り明確ではないところがあり,それに至る過程をどのように定義するかというのは大きな問題であります。これも余りたくさん申し上げていくと混乱すると思いますので,もし何か特にということがあれば,後で申し上げたいと思います。

それから,専門学校が法令上特別だというふうに申し上げたのは,これは学校教育法の最も基本的な点ですけれども,第1条において,日本の教育体系の一部として専門学校がそこに位置付けられていないという点が特殊だと思います。

それから,別のところで規定されてはいるわけでありますが,学校教育法では,初等・中等・高等という段階にきちんと位置付けられているというふうに必ずしも言えません。高等課程,専門課程等々に分かれていますが,その位置付けも必ずしも明確ではありません。

ついでながら,例えば学校基本調査といった,統計上についても,扱いがかなり別になっております。それから,経費調査,卒業生の進路調査についても同様に行われていません。やはりこれは高等教育段階として位置付ける必要があると思います。

それから法令上のもう一つの点は,大学,短期大学の設置主体は,学校法人になっておりますが,この専門学校については学校法人法の規定を受けていません。そのためにガバナンス及び財政上の監視が,私立大学と比べるとかなり緩くなっているといった点もあるだろうと思います。そういった意味での質的水準の保持に関して,かなり大きな差異があることは事実だろうと思います。

それから,日本への含意ですが,ここは多分この会議の議論でも非常に大きな争点になるのではないかと思いますが,4年だけの職業教育だけというのはあり得ず,職業教育の基礎といったものを何か定義することによって,少し幅を付けていくということも可能ではないかということです。先ほどの御紹介がありました中核的専門人材養成プログラムなど,何かそういったものを作るといったことだろうと思います。

ただ,少なくともヨーロッパの場合は,卒業までの4年間を数えれば,かなり基礎的な教養教育を行っていることが前提になっています。それは必ずしも職業教育から演えきされたものではありません。アメリカの場合も,職業的なニードから演えきされた一般基礎教育ではなくて,やはりこれは学術的あるいは社会的に共通に認識されている一般的な視野,あるいは理論といったものがその基礎になっている,そういったものが専門的,基礎的な科目になっているというふうに解釈されています。ここのところに本当に違いがあるのか等については,これから議論する必要があるだろうと思います。

以上です。

【永田部会長】  それでは,冨山委員,どうぞ。

【冨山委員】  一つは金子委員,もう一つは寺田委員に質問なのですが,この制度論を議論するときに,やはり担い手の議論が外せないわけで,中身の議論があるでしょう。そのときにどうしても大学教員の問題が私は外せないと思っていて,その観点で見たときに,先ほどの渡邉さんの実践力的な話がありましたが,本質的な実践力というのは決して浅薄な技能知識ではないわけで,まさにそういう人間力といった深い部分だと思います。恐らくその観点で教養が重要だと,それはそのとおりですが,私の知る限り,それはオックスブリッジでやっているリベラルアーツの教育というのはとても深いことをやっていて,大変多くの負荷を先生にも生徒にもかけてやっているわけです。そこでまさに古典を徹底的に,ソクラテスメソッドでやっていくわけです。すごい少人数で,1対1とか1対5でやっているわけですが,例えばそういう方向を一つ目指すとして,そういったことを担い得る先生は,今でもいないような気がしています。それは果たして担えるのかという問いが一つです。

それから,もう一つは寺田委員の話になるのですが,専門大学の話がありました。それは一体どういう教員,どうしてその人になっているのかということです。これは職業教育全般に関わることだと思います。

ストレートに言ってしまうと,なぜ大学教員はPh.Dを取れたら自動的になれて,本来,教員の資質,資格を厳しく問うような,そういう資格ハードルがないのか。私の経験で言うと,スタンフォード大学のビジネススクールに行っていましたけれども,1学期で首になった助教授がいました。なぜ首になったか,それは教えるのが下手だったからです。そのようなことは,自分の大学時代も1回も見たことがないし,本当に下手なやる気のない先生がいっぱいいましたが,彼らは定年までやっていました。自分の子供の大学を見ていても,それで首になった先生は一人もいません。なぜ首にならないのか。それも含めて,どういうクオリフィケーションか教えていただければと思います。

【永田部会長】  教員のクオリフィケーションについては後ほど。そのほかについて先にお答えください。

【冨山委員】  では,今は,専門大学はどういう先生が教えているのかという話で結構です。

【金子委員】  リベラルアーツというものに対する考え方は,日本で簡単に一般教育と言っているものとは非常に異なるものだということもおっしゃるとおりです。これはオックスブリッジの教育がリベラルアーツで非常に厳しい古典教育だということをおっしゃっていましたが,まさにそのとおりなので,今は教師1対学生2くらいになっているところも多いようですが,古典を中心として厳しいというだけではなく,ポイントは,学生と対話しながら相手の考え方の根幹に立ち入って反論し,問い掛けていき,それに対して学生が戻ってくる,そのような往復をやることによって考え方の幅を広げて,今まで自分が持っていた偏見みたいなものから解き放たれて視野を広くしたり,考え方を深くしたりすることが基本的な考え方だと思います。これが大学教育にとっては非常に重要なことで,大学教育でもそれが基本であり,リベラルアーツの理念だと言われているわけです。しかし,これは非常に特殊で,財政的な余裕がないとできません。教員対学生の比率が非常に低いところでなければいけないからです。

アメリカがそれを取り入れたときに非常に独創的だったのは,クラスを相手にしてそういった1対1のというか,交換するというか,ラポールがあるといいますか,相互的な作用する授業の仕方を開発しようとしていました。そのために,文章を書かせ,それを返すなど,かなりいろいろと組んで工夫して行ってきたというのがアメリカの教育の一つの優れた点だと思います。

日本の教育は,それができているかどうかと言えば,かなりのところはできていないだろうと思います。ただ,私は学生の調査をやっていますが,必ずしもそうではないと思っており,大学によっては,そういったことを非常に熱心にやっている大学もあり,そのような大学ではやはり学生の学習時間が多くなっています。これは顕著に見えるところであり,私は冨山委員が今おっしゃったことはまさに日本の現実の認識としては非常に当たっていると思いますが,ここでデスパレートになってしまうと,将来はないといいますか,大学分科会,中央教育審議会での焦点は,むしろそこに2年間あったと思いますし,これから具体的な手段を探していくことが重要なのではないかと思います。

【永田部会長】  寺田委員,どうぞ。

【寺田委員】  教員の指導力や資質一般に関しては,具体的に定義をしているようなことは余り見たことはありません。例えば,アメリカのコミュニティ・カレッジ,あるいはドイツの専門大学において,現地で,具体的にどうなっているのかというような質問をしたら,主として,校内の相互研修や自己評価など,そのようなところで指導力を高める努力はしているという答えでした。制度的に指導力一般を条件付けるというのは余り見たことがございません。

一般的には,有識者会議のとき以来,何度も言っているのですが,高等教育段階の職業教育教員の要件は,職階別に異なるのでしょうが,最初の任用要件が科目別,例えばアメリカのコミュニティ・カレッジがはっきりそうですけれども,科目別に要件が違っており,一律に修士,博士以上などというようにはならないのです。ミニマムは,当該の教育機関以上の修了者ということですね。

つまり,どういうことかというと,韓国,アメリカ,ドイツでも教養科目の担当というのは大体が博士の人が多いです。それから,専門科目の座学関係は,修士以上が多く,職業科目は,実習等々も伴いますので,当該の専門教育機関出身者が占めるという構造になっていると思います。

ただ,韓国などは,かなり厳しく,実態は今申し上げたようなことですが,表向きは修士以上とはっきり宣言しておりますので,なかなか難しいのかなと思います。ドイツの場合は,先ほど紹介しましたけれども,博士プラス実務経験というところで実践的指導能力というものを担保しているということかと思っています。

【永田部会長】  時間がなくなってきてしまったのですが,佐藤委員と小杉委員で一応質問は終えて,その後,意見交換を始めます。

それでは,佐藤委員。

【佐藤委員】  本日は,金子委員,また寺田委員,丁寧な資料をまとめていただいたことに感謝いたします。

この中で,例えばコミュニティ・カレッジから編入をする場合,ある一定のルールがあって,州によっても違うのかとは思いますが,62単位の上に更に単位を取らないと動けない。韓国の資料の中,10ページにも,医療工芸系の職業資格の中で,専門大学の中には,やはり国立大学デザイン科に編入をするというようなケースがあって,例えば韓国では,一般の大学と,いわゆる職業教育制度に基づく学校との間での学生のモビリティーというものがどういうふうになっているのかということを教えていただければと思います。

それからもう1点は,この中にはないのですが,アメリカなどを見ていて,従来は,トラディショナル・スチューデント,ノントラディショナル・スチューデント,18歳から,あるいは17歳から21歳,22歳以外の学生がかなり多くいる一方,日本の大学では,社会人学生と言い,実はそのパーセンテージはなかなか上がっていかないという議論があったわけですが,この職業教育の教育課程の学生の年齢が,高校を出た後すぐなのか,それとももう少し幅が広いのかなど,そのようなデータはあるのでしょうか。

【寺田委員】  主に韓国のことですね。

【佐藤委員】  はい。

【寺田委員】  先ほど申し上げましたように,調査中で,また一部返答がないものなどがございますが,参考5の資料が今のところ私がつかんでいるようなことでございます。この資料は,真ん中をばさっと削除してありますが,佐藤委員が今御紹介になりました,ここに書かれている進学者というのは,これは主に4年制大学への編入です。後期課程への進学というのは,書いていないのですが,自動的に前期課程からつながらないものですから,原則,一旦現場に行くということになっておりますので,ここに出てきません。

ただし,これは一般課程と学士課程両方が入っていることから分かるように,夜間を中心とした学位専攻深化課程の学生というのは,入学時点では職を持っている人がほとんどです。ここの例ですと,たしか5.6%の205人が後期課程へ進学する時点で入学時の職を持っている人ということになります。

あと,社会人の学生の話が出ていましたが,アメリカの大学の例でしょう。コミュニティ・カレッジに関しては,私が直接触れたのは,インタビューをしたものを含めて教育学部に限定されますけれども,特段,社会人が多いという印象はありませんでしたが,むしろ4年制大学の中に,かなり職業経験者はおりました。中には沖縄で駐屯地にいたとかという女性もいました。それがコミュニティ・カレッジあたりからトランスファーしてきたり,Applied Scienceを取った人が職業経験を積んだ後,トランスファーしたりという人ではないかと思っています。

【永田部会長】  それでは,小杉委員,端的にお願いします。

【小杉委員】  金子委員というよりも,ひょっとしたら文部科学省に対してなのかもしれないのですが,この文部科学省が出された資料の方で,ドイツとフィンランドの例が出ていて,それと何だか数が合わないなと感じました。こちらだと12年になっているし,学位課程は(学位)と書いてあるしというので,何かこの行き違いは何だろうというので不思議なので,それを説明していただきたいというのが一つです。それからもう一つは,寺田先生の資料,参考資料7,8,9と具体的な教育プログラムを書いていただいたので大変参考になるのですが,ここで質問したいのは,例えば,ドイツの例でいいのですが,大学の設置認可などのときには,それぞれの学問分野から,その教育プログラムが体系的にちゃんとある学問分野についてきちんと学ぶのにふさわしいかどうかというようなチェックをするわけですが,Fachhochschuleのこのプログラムは,どのくらいアカデミックなのかということです。アカデミックな部分と,多分現場の部分との接点を探るようなことになっていると思うのですが,ざくっと言って,どのくらいアカデミックなのでしょう。

【寺田委員】  難しい質問ですね。私,ドイツはかなりアカデミック性が強いなというふうに思っています。韓国は,表向きでは,きついことを言っていますけれども,実態はそうでもなくて,ドイツの場合は7,8割アカデミックかなという気がしますね。

ただし,もちろん実務経験を経ないといけないという,何年間の経験がないといけないということがありますので,それを入れると,五分五分ということになるのでしょうが,印象としてはかなりアカデミック性が強いと感じています。しかも,最近,ボローニャ・プロセスでヨーロッパの大学は全部2段階課程を持たないといけないというふうになっており,アンダーグラジエートとグラジエートスクールを,年限は国によっていろいろあるのですが,両方を置かないといけないというふうになっていますので,さっきの事例にも出てきましたが,専門大学が修士課程を置くケースをやりますと,アカデミズム性が一層補強されることになりますよね。私は否定的ではないですが,非常に矛盾したことが出てきているというふうには思います。

ドイツでは,もともと専門大学に入ってくる人の3分の2くらいは,デュアルシステムの修了者ですので,特段,実務性などということは必要なかったのです。ところが,今言いましたようなことがあって,一般普通校からも入ってくるような人が増え,職業資格を持たない人が入ってくるというケースがありました。そこで,何をやり始めたかというと,90年代の終わりごろから,デュアルシュトゥディーンガンゲ(Dualstudiengaenge),つまりデュアル課程,専門大学の中にデュアル課程を置いたのです。これもいろいろなタイプがあって,まともに中等教育段階のデュアルシステムの職業資格を与えるコースと,多分先ほどの例が該当すると思われるビジネスコースですね。Praktikum(企業実習)をいっぱい盛り込んでいくと,修学年限を3年プラス2年,5年ぐらいしないと,大学の専門課程とデュアルシステムの職業資格は取れないのですが,後者の場合ですと,実習などを盛り込んでいくという形だけですと,何とか3年若しくは4年で修了するということで,そのような対策もとりつつ,アカデミズム性と職業教育性の両立を図っているというところです。

【永田部会長】  どうもありがとうございます。

あと30分ありますので,ここからは意見交換となります。前半で渡邉さんや青山委員から,いろいろな現場のニーズについて御説明を受けました。また,各国共々,職業教育を行う高等教育については,随分苦労しながら制度を立ち上げているということまで分かったわけですが,ここから大変重要な意見交換をしていかなければいけないと思っています。私の知っている限りの高等教育という観点から言わせていただくと,大学が何を育てているかというのは,アメリカやドイツの場合は中等教育も含めてですが,まずは市民だと思っています。専門家ではなくて,そこのところをちゃんと担保した上で何かやろうとしているから,例えば佐藤委員から質問があったように,62単位を取って,更に61単位取らないと普通の大学に行けないといったようなシステムになっているのだと思います。我が国にとって大学というのが何だったのかということと,それから,中央教育審議会でこのような新しい高等教育機関を作っていくことを本当に提案するわけですが,それが国際的に通用性のあるものかどうかという点についてもよく考えていかなければなりません。もし,通用性がなくなってしまうと,また議論を行うことになると思うのです。ですから,大学はこういうことをやるべきだ,専門課程が本当はやっているが,社会に通用しないものを今度はどのように作っていけばいいのか,あるいは,どうして大学,学士というものが必要なのかということなどを実は最初に話しておかないと,多分これから矛盾がたくさん生じてくると思います。

基本的にはドイツ型の大学からスタートして,アメリカも日本もドイツ型を学んで,これだけ分化してしまったわけですね。日本とアメリカは随分違います。ドイツ自身も違ってしまっているわけです。それはそれぞれの国のニーズもあってそのようになったとしても,大学とは何なのか,学士とは何なのかということをやはり考えないとと思います。結局,各国が自分に都合のいいように行っているだけでは,後で多分矛盾が生じて,例えば学生はそこを出ると先に進めないとか,そこを出るとほかの国では先を学べないみたいなことが起こってくると思います。ですから,やはりそこは,本日,いろいろとレクチャーを聴いて,是非とも先生方や委員の方々にもその部分をちゃんと考えていただかないといけないだろうと思います。ニーズから考えるのも大切ですが,根源的な大学という,あるいは学士とは何かということもしっかり考えないといけないだろうということを,今一度,提案させていただきます。

それでは,残り25分間,意見交換をいたします。本日のレクチャーの方への質問も結構ですし,それから,本日お聞きになったものの中から,また意見を頂ければと思います。

それでは,永里委員。

【永里委員】  今の部会長のその疑問について,私,金子委員に質問したいのですが,本日の日本経済新聞の教育の欄に,「4年制職業大学に疑問」というタイトルが付いているのですが,この辺りについて,金子委員の本当の気持ちを,少しここで説明してほしいのでございます。

【永田部会長】  金子委員,シンプルには無理かもしれませんが,分かりやすくお願いいたします。

【金子委員】  ポイントは三つあります。一つは,実際に私は日本の大学教育と就業との間にかい離ができていて,大学は職業との関係を再整理するということは非常に重要なことになっているということです。

二つ目のポイントは,比較的狭く定義された実践的な職業,つまり特定の職務を与えることが今の若者の就業問題にそのまま役に立つのかということについては疑問があるということです。

それはなぜかというと,今,急激に伸びているのは,いわゆるサービス業に分類されるものでありますが,実はその半分以上は健康関連のものが多く,これはむしろ大学等々で既にやられていることです。それ以外のところに非常に多様な労働需要ができていて,これにどのように対応するかが今問題になっているのですが,その需要をキャッチすることは難しいのと同時に,初めにそういったものが仮に提示されたとしても,18歳の段階でそれを選び取ることはできるのでしょうか。しかも,それを4年間,そのままそれのみを学習するということが,将来の就業に関して非常に意味があることなのかどうかについて,私は,むしろ疑問を持っております。

三つ目のポイントは,そのような意味で高等教育において多様な職業と教育との関係があるべきだと私も思いますが,4年制の特に学士に関しては,普通の大学と職業大学というものを,そのときに二分してしまうことが,むしろ個別の大学の多様な取組を制約することになるのではないかということです。むしろ今の大学の枠組みの中で様々な教育プログラムを作ったり,あるいは,後で専門的な職業を大学内部で選んだりといった選択の可能性を広げるといったこともできるよう,余地を広げていく,そういった意味で,大学制度の中に様々な教育プログラムを取り入れられるような制度を作り,その中でそれぞれのプログラムに応じた教育を更に強化していくという方が望ましいのではないかというのが私の意見です。

【永田部会長】  今の金子委員の御意見,多分,私もその新聞を読ませていただいていますが,日本の場合は,学部というふうに考えると無理なのですね。何々学部に入って何かやるというのではなく,先生も教育プログラムという必要なものを集めて,あるいは課程を集めて,そこを通った子はそういう職業訓練とは言いませんが,職業に向かう。要するに,日本の場合,学部単位で物を考えれば,当然その学部の学問で行ってしまうので,決していかないだろうということです。ここに書いてあるのは,先ほどもありましたが,教育プログラムと書いてあります。それは多分,学部ではないのだと思います。そのようなプログラムとして3年なり4年なりという観点を,多分,金子委員は一部おっしゃっているのかなと思います。

【永里委員】  結局,今の大学にもっと自主的に多様性を持って,学長自らリーダーシップをとりながら,そういう方向で幅を広げていくというふうな考えの延長線上にあると,こういうことでしょうか。

【永田部会長】  私は分かりませんが,金子委員が書かれているもの,先ほどの資料を見ると,きっとそうだと思います。大学の持っている質として,学問の多様性と同じように,一つずつの職業というふうには多分お考えではないと思いますけれども,幾つかのものが包含される教育プログラムで,ある程度の将来の職業上のモビリティーを考えたものということではないかというふうには理解はします。

【永里委員】  この中にも少し触れてありましたけれども,どんどん日進月歩で変わっていて,しかも全く変わったような新しい職業が出てきます。先ほど,私,渡邉さんにも質問しましたが,そのようなときに,基礎的な部分は教えられるけれども,本当に先端のことというのは,なかなか追い掛けていけないというようなこともこの中に含まれているのではないでしょうか。

【金子委員】  それはもちろんそうだと思います。ただ,逆に言いますと,専門的に何かニードをキャッチしていく能力というのはどこにあるかということだと思っています。あるいは,そのようなリソースがどこにあるかということだと思います。もちろん専門学校はそういったものをキャッチするのは非常に巧みだと思いますが,新しく学士課程を出す新しい大学を設置した場合に,本当にそれがより新しい職業をキャッチしていくときに望ましいのか,効率的なのかどうか。私はむしろ,いろいろなリソースを考えれば,既存の大学をうまくそういったニードをキャッチしていく方向に誘導していくという方がよいのではないかなというふうに思います。

【永田部会長】  益戸委員,お願いします。

【益戸委員】   益戸です。現在,私は地方に住んでいますが,この新たな高等教育機関でのターゲットは,地方創生の意味からも,中堅・中間層の底上げであると改めて確信しました。

首都圏だけでなく,地方でも中央のトップエリートを目指す子供たちはいます。優秀な成績で首都圏の大学に進学していくわけですが,残念ながら彼らは地元へは戻りません。

では,地方創生のための次の層は育っているか。例えば,地元中小企業や二代目・三代目と継いでいかないといけないオーナー企業の人材です。私の印象では,なかなか育っていないのが実情です。

平成23年の中央教育審議会の答申にも出てくる「異なる分野の知識・技術を統合・総合させて,もの作りや商品・サービス等を生み出していくことが求められており,経済・社会活動の基幹をなす中堅人材」という定義があります。勉強会などを通して,地方でまさにその中堅人材になってほしい若者たちとよくお目にかかります。

彼らに対する私の印象は,もう少し専門知識があったり,グローバルな世界を知っていたり,ビジネス激化の首都圏の経験があったりしたら,もっと新しいビジネスを創造できるのではないかです。

また,社会人になってからの学び直しをするための高等教育機関の充実は,まだまだスピード的に追い付いていません。その点からも,この新制度の議論は重要と思います。

私は外資系企業に永年勤務していますが,そこでの従業員採用経験からしますと,世界的に見て研究重点の大学と職業教育に重点を置いている大学が併存している事実があると感じています。例えば,日本と海外の工学系の採用で大きく差が出ます。日本の優秀な工学部卒の方は,プログラムを書くことはできても,金融・経済の知識は今一歩。

ところが,海外の理工系職業専門大学卒の学生は,プログラムが書けるだけでなく,元々自分が進みたい分野であった経済・金融の知識も含めてきっちりと勉強してきます。ですから,半年,1年であっという間に差がついてしまいます。それが,日本の大学出身の方の早期退職につながっている現実があります。

そして,産業界や地域を超えた協力が必要だと思います。本日のプレゼンテーションでも,長期のインターシップや実学が大切とのお話がありましたが,これは教育機関側だけの努力では実現しません。やはり,経済界が受け入れる姿勢を示し,教育機関と一緒になって,どのようなプログラムが良いかを考える必要があります。

企業は流れやイノベーションを常に意識して,5年,10年先を考えています。このことを実務教育や実習で教えるとしたら,企業において優秀な人だからこそ教えることができるのではないでしょうか。現在,教育機関で教えている先生方ではなく,実務家がリーダーシップをとることが重要と思います。そのためには,経済界・産業界の協力が絶対必要です。

【永田部会長】  益戸委員,どうもありがとうございます。

おっしゃっていることは本当にそのとおりで,例えば,今大学が半年や1年のインターンシップをやろうと言っているのと変わらない部分もあって,要するに,この専門職業教育をきちんとやるということと,今,一部の大学が努力していることのある意味中間ぐらいのことを,益戸委員は,今おっしゃってくださいました。渡邉さんみたいに,徹底的に,ここの専門学校でないと習えないというカリキュラムを見ると,本当にすごいなと思います。益戸委員がおっしゃったのは,もう少し膨らみがあって,失敗して戻ってきても応用できるぐらいの能力を持った人がいたらいいのではないか,ということだと思います。大学に行くと,全く何もできないというような意見の一端がよく表れていたと思います。

先ほど,金子委員もおっしゃっていましたが,いろいろな大学が努力しているところもありますが,そこに落ち着いていないというのもあって,だからこの辺で,だんだんと本当に実践的な職業教育を行う高等教育機関をどのように作っていくか,あるいは,どのような考えでいくかというのは,だんだんこれから煮詰まってくるのだと思います。

すみません,川越委員。

【川越委員】  ありがとうございます。本日出されていない資料に基づいて質問するのはいかがなものかと思ったのですが,佐藤委員から新聞記事のお話が出ましたので,私も少しこの新聞記事について御質問したいと思います。

下から3段目にも新規の短期労働力需要は限られていて,専門学校卒の就職者,新規学卒者は2割弱にすぎないとお書きいただいているわけですが,それとは別の数字として申し上げますと,専門学校の就職率は大学よりも優れているということは,統計上現れており,また,学校で学んだ分野に就職するという子がほとんどであります。工学部を出てセールスマンをやっているというのではないというようなところも片一方にありますが,2割弱にすぎないというこの数字はどういう根拠で使っているのかということについてお答え願います。それから,3割以上も減少していると書いてありますが,90年代は高卒が200万人いて,今は120万人しかいないわけです。だから,実を言うと,4割新規高卒者が減っている中では,進学率としては全然減っていないのですが,この3割以上も減少しているという,この辺のところについても,分母との関係を明らかにして御説明いただけると有り難いなと思います。

【永田部会長】  金子委員,簡単にお願いします。

【金子委員】  まず就職率ですが,おっしゃるとおり,現行の統計は,専門学校については学校基本調査と同じ方法でやっていません。ですので,正確には比べられないので,私どももよく分からないところがいろいろありまして,これはむしろ統計上の問題として文部科学省にも聞いてみたいと思うのですが,定期的にやっていないのか,それから,該当者がどのような学生なのかなどについては,また少し聞いてみたいと思います。

それから,2割弱というふうに申し上げた,あるいは減っているということを申し上げたのは,少なくとも非常に明確に定義された職種で18歳から20歳まで教育をして,それで就職するタイプの人たちに対する需要は増えてはいないのではないか。高等教育と就職との関係を知るために重要だという議論はありますが,少なくともこういうタイプの労働力の需要は増えていないのではないか,これは私の論点です。だから,これを更に拡大することに意味があるのかどうかということについて,疑問があるということを申し上げました。

【永田部会長】  ここに書かれたのは,本日の意見なのかどうかは別として,本日のヒアリングの内容と重なっていない部分もあるので,この議論はまた次回以降にお願いします。

もうお一方,佐々木委員お願いします。

【佐々木委員】  ありがとうございます。

私は,今,金子委員の新聞記事の件で話が出ているそもそもの考え方については,実は同じ意見を持っております。普通の大学を改革しなければならない中で,全く別の職業の高度化の機関を別に作るということが本当に正しいのかどうかというのは,当初から何回か意見させていただいておりまして,必ずしも別の大学を作りなさいということではなかったように思っており,今,諮問について調べていたところですが,もう少し根本のところをきちんと議論していった方がいいのではないかというふうに考えています。もう少し今の大学の在り方,あるいは,高等教育という職業教育に実践的につながっていくような教育の在り方をどうやって今の若者に教えていく,あるいはそういう制度を作っていくのが正しいのかということは,やはりとても基本なことなので,全く別のものを作るのだということを前提にして話すのではなく,ここはもう少し時間を使って議論した方がいいと思っております。

【永田部会長】  前提として既存の中でやるという意見も元々有識者の中にもあります。大学が何をするのかということが非常に重要であるということを先ほどわざわざ一度申し上げたわけであります。

まだ一度も発言されていない方で,安部委員,お願いします。

【安部委員】  ありがとうございます。いわゆる今の地方創生がいわれ,時代が変わる中で,青山委員がおっしゃいました一定のキャリアを積んだミドル人材,そして,渡邉さんがおっしゃっていた,10年後に活躍できる中小グループのリーダーを育てる役割を大学が果たしていくにはどうしたらいいかということを考えると,先ほど,金子委員,それから寺田委員がおっしゃった海外の事情を踏まえますと,やはり学士を出す機関,また短期大学士を含めて高等教育機関としての質の保証をどのように行っていくかということが重要であるように感じます。この実践的な新たな職業教育機関の国際通用性を担保し,また,国内においても,その機関を卒業した人たちがその機関を卒業したことを誇りと思えるように,職業教育をやっていく際にもベースとなる基礎的な能力,つまり学士力がどういうものがということを,設置基準や,あるいはカリキュラムの中にしっかりと入れ込んでいかなければならないとも思います。

それから,先ほど地域のことを,地方創生のことをおっしゃっていましたが,地域によって職業人材ニーズは違いますので,これは是非,地域の教育振興基本計画との連動というのが必要になってくるのではないかと思います。特に中堅人材は国際的に戦う人材とは違いますので,地方公共団体との連携をどうしても考えていかなければいけない。そういう視点の論議が必要になってくるのではないかということを本日,4人の先生方の御意見を聴いて思いました。

【永田部会長】  ありがとうございます。

岡本委員,どうぞ。

【岡本委員】  もう時間がありませんけれども,私は新たな職業実践的な高等教育機関は必要であるというふうに思っておりますし,やはり教育再生実行会議第5次提言から始まってといいますか,その前に平成23年1月30日の中央教育審議会キャリア教育答申,ここにおいても新たな枠組みが示されておりまして,既存の学校種でそれを適用していくのか,新たな学校種を作るべきかについて,もう既に4年前から国の方でも模索されており,そして有識者会議が開かれて,まとめが出されたという議論の経緯をきちんと踏まえた中央教育審議会特別部会であるべきではないかと思います。

本日も金子委員の日経新聞への寄稿文が議論になりましたが,やはり国民に広く中央教育審議会で今議論している内容とか,方向性を知っていただくという意味で,いろいろな委員が発言したり,書いたりするということは,私は大事だと思いますが,ただ,やはり第1回特別部会の報道においても,中央教育審議会ではこういうことはもう決まったなど,いろいろな臆測記事も含めてありました。ですから,そういう意味では,設置基準とか制度設計とか,中身づくりはこの中央教育審議会特別部会で検討するわけですから,やはり予断と偏見を与えかねないような一方的な主張は,いかがなものかと思います。いろいろな意見があるべきだと思いますけれども,むしろそれはこの特別部会の中でしっかりと議論すべきではないかと,これが第1点です。

それから2点目は,既存の大学で改革すればいいじゃないかという,簡単に言えばそういう議論があります。私は,現在の日本の大学は,機能分化論で,いろいろな機能を持つべきだと,リベラルアーツをしっかりやる大学もあってもいい,科学技術をしっかりやる,ノーベル賞級の研究をする大学があってもいいと思います。また,職業教育も半分ぐらいの大学が既にやっているというふうにも言われています。ですから,いろいろな機能分化があっていいわけですが,大学の自己改革あるいは短期大学の自己改革がきちんとなされるべきであって,専修学校,専門学校の自己改革ということでは,文部科学省の振興策もあって,文部科学大臣認定による「職業実践専門課程」という新たな制度ができました。これにより25%の学校,学科数が文部科学大臣の認定を受けました。その先に専門職大学を目指していくという方向も出ているわけですが,やはりそれぞれの学校種が自己改革をするということが大事であって,既存の学校種だけで解決できないからこそ新たな高等教育機関の必要性ということが言われているものだと思っています。つまり,自己改革すべき話と,新たな高等教育機関がなぜ必要なのかという話を混同してしまうと,今までの中央教育審議会それから教育再生実行会議,それから昨年来行われた有識者会議のまとめを無視した議論というのは,私はよくないのではないかと思っていますので,この点は是非,今までの議論の成果を踏まえた議論をお願いします。

【永田部会長】  そのほかいかがでしょうか。

では,千葉委員で最後にさせていただきます。

【千葉委員】  今の岡本委員と比較的近い話になるかと思いますが,今のここの委員会が設置された目的は,大学進学率が以前に比べて大変高くなり,大学で勉強した方々が,その大学で勉強したことを生かさない職業に就くようなケースが大分増えてきているということでございました。全国には780ぐらい大学がございますが,ここで議論をされているようなことが適用される大学と,そういうものの適用は少しそぐわない大学も最近は出てきているわけでございまして,先週の日経新聞にも高校で就職できないと大学に送るというような記事も出ておりましたし,be動詞から教えるというような大学が出てきているという話も出ております。そういう意味では,岡本委員がおっしゃいましたとおり,大学は自らの改革をこれからしっかりとしていかなければいけないということになると思いますが,我々の今審議しているこの専門教育を中心とした高等教育機関は,やはり学士というものが今,少し曲がり角に来ているのかなというふうに個人的には思っております。それは今,学者の方が中心になっている教育機関でありながら,学者らしくない教育をしなければいけないという事態に陥っているケースも結構ございます。その学者力よりも教育力ということが求められるような状況にもなってきているわけでございまして,先ほど,金子委員の方にも質問させていただきましたが,ラーニングアウトカムというのが,いわゆる学位授与機構側からのラーニングアウトカムということが今までの大学では中心に考えられてきたわけですが,実際には世の中で求められている人物や,あるいはこれからの日本社会をよくしていくという方々は,それだけではないのではないかというふうに私は感じております。今度,新しくできる専門職大学等については,やはりラーニングアウトカムというのは,専門教育を中心とした高等教育機関を卒業した者としてふさわしい仕事に就いているのかどうなのか,そういったことを中心に考えるべきではないかというふうに個人的に思っております。

【永田部会長】  時間がまいりましたので,以上で終わりにしますけれども,ここは当然ながら諮問を受けて答申を考えているわけですね。本日が3回目だと申し上げましたが,本日までの3回は自由に意見を言っていただいております。それは皆で,問題を共有認識するためにやっていることです。有識者会議であれ,教育再生実行会議で何を言われているかは別にして,まずここの部会の中でお互いにもう1回議論を経て,それぞれの持っているものを見ながら,何が問題なのかを認識しない限り,先へ進まないと思います。そういうことがあって,今わざわざこのように自由な討議の場を設けているのですが,次回からは,それぞれ課題を設定して議論をしていくということに当然なると思いますので,よろしくお願いします。

ただ,一言言っておきたいのは,先ほども話にあがったように,マスコミの方々に勝手に書かれるというのはよくないなと思っていて,記事にするならば,この部会での議論をきちんとフォローアップしていただきたい。また,もう一つ言いたいのは,有識者会議を経てこの中央教育審議会という場での議論があるわけですから,ここが全てを議論する場所だということをよく認識していただくとともに,中央教育審議会として,ここがオリジナルに本当に意見を出していく場所になればいいとも思っています。ですから,ここではまだ何も決まったわけではありませんし,それから,何も決めようともまだしていません。そのことはよく頭に入れておいていただければと思います。最後,岡本委員と千葉委員から出た意見に対して,部会長として,まずこのようにお返事をしておきたいと思います。

実はもっと話を続けていかなければいけなかったのですが,時間がなくなってしまいましたので,ここまでとさせていただきます。リノベイトダブリュの渡邉さん,本日は本当にありがとうございました。

それでは,次回の開催日の日程について,事務局からお話を頂いて,最後にもう一度,私の方からコメントさせていただきます。

【伊藤高等教育政策室長】  ありがとうございます。次回は9月1日火曜日,15時から17時の開催を予定しておりまして,場所はこちらの同じ第二講堂になります。正式な御案内は,また追って差し上げたいと思います。よろしくお願いします。

【永田部会長】  次回は9月ということですので,夏休みの宿題ということで,皆さんに,頭の体操をやっていただきたいと思います。学位の名前もまだ決まっていません。有識者会議でもいろいろなものが出ていたと思います。宿題は,御自分たちがお考えになる実践的な職業教育を行う高等教育機関,どういうことを身に付けたら学位を授与していいのか,何をもってして学位にふさわしいというのかということについて,もう一度お考えいただければと思います。現在,専門学校もいろいろなことをやっていると思います。それも十分尊重しながら,ここに新しく学位,普通の学士なのか,あるいはプロフェッショナル・バチェラーなのか,名前も決まっていません。これから皆で相談するわけです。そういうものを付加するというときに,どういうことができるようになった,あるいはどういう能力を身に付けていったということが,バチェラー,あるいはプロフェッショナル・バチェラーというものにふさわしいかということをお考えいただき,更に今現在の日本が陥っている状況や,世界の動向なども頭に入れながら,それぞれお考えいただきたいと思います。宿題と言って,レポートを書いてくださいとは言いませんけれども,頭の体操を夏休みにやっていただき,9月にまたそこから議論していきたいというふうに思います。

そのほかはよろしいでしょうか。

それでは,第3回の部会,これでお開きにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

―― 了 ――

お問合せ先

生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付

高等教育局高等教育企画課新たな高等教育機関プロジェクトチーム

(生涯学習政策局参事官(連携推進・地域政策担当)付、高等教育局高等教育企画課)

-- 登録:平成28年01月 --