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資料9-4 土井委員からの意見

平成24年9月24日

高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化について

中央教育審議会高大接続特別部会
委員 土井真一

 第1回高大接続特別部会を欠席いたしますので、以下の通り、意見を述べさせていただきます。

 いわゆる大学全入時代を迎え、一方では、入学者選抜において競争性が低下し、入学者の学力水準を確保することが困難な大学が生じているともに、他方では、依然として教科・科目の知識の確認に偏重した学力試験を実施する大学が見受けられるなど、大学入学者選抜制度は、様々な問題を包摂しながら、その歪みを大きくしてきているように思われる。このような高等学校教育と大学教育の接続(以下「高大接続」という。)の歪みが、高等学校教育及び大学教育の在り方に及ぼす影響は深刻であることから、高等学校及び大学関係者が互いに協力をして、その改善に取り組む必要性が高まっていると言える。
 しかし、同時に、高大接続について改革を行う場合にもまた、高等学校教育及び大学教育に及ぼす影響は大きく、その検討は慎重に行う必要がある。そこで、どのような点に配慮しつつ、今後検討を行うべきかについて、現段階で考えるところを以下に記すこととしたい。

1.高大接続の問題を検討する際には、生徒が高等学校教育の成果としてどのような学力・資質等を修得したかを確認する必要性と、受験者が大学教育を受けるために必要な能力・資質等を備えているか否かを確認する必要性という、相互に密接に関連しながらも、それぞれ独自の視点を考慮しなければならない。それゆえ、検討においては、いずれかの視点に偏ることなく、両者に十分配慮することが必要である。

2.知識基盤型社会の到来とともに、近年、高等学校教育においても、また大学教育においても、知識の習得のみならず、思考力、創造力、構想力などの能力、及び向上心や未知なるものに挑戦する姿勢など、主体的・積極的に物事に取り組む態度等の育成が重視されてきている。このような能力等を育成する必要性は、力点の置き方に違いこそあれ、従来から指摘され続けてきたところであり、今回の検討においては、どのような試験あるいは評価方法を用いることによって、このような能力等をはかることができるか、また、どのような高大接続の仕組みをつくることにより、このような能力等の育成を促進することができるかについて、重点的に検討を行う必要がある。
 なお、習得した知識の確認に偏重した学力試験は、高等学校教育においてこのような能力等の育成を行う上での阻害要因となり得るところであるが、このような学力試験を取り止めるという消極的な対応だけでは、問題の改善とならない。知識偏重型の学力試験に替えて、どのような試験あるいは評価方法を用いることができるのか、また、そのためにどのような制度的工夫が必要となるかなど、積極的な方策を検討する必要があろう。

3.現在顕在化している高大接続の問題は、高等学校教育及び大学教育の多様化に起因している面が大きいと思われる。それゆえ、検討に際しては、高等学校教育や大学教育が果たすべき役割・機能について類型化を行い、それぞれについて基本的な考え方を明らかにして、その多様性に応じた接続の在り方を具体的に考える必要がある。また、そのような教育の役割・機能の分化を想定する場合には、高等学校教育と大学教育の間の、いわば縦の接続だけではなく、高等学校間あるいは大学間の横の接続についても配慮を行う必要があろう。

4.これまでも大学入学者選抜に対しては、多方面から様々な要請が行われてきた。しかし、例えば、入学者選抜の機会の複数化の要請と、各選抜において多様な要素を加味した丁寧な評価を行うべきであるという要請のように、各要請が相互にトレード・オフの関係に立つ場合がある。大学の教員は、教育研究を行いつつ、大学入学者選抜に携わっており、いかに大学入学者選抜が重要なものであったとしても、関係者がそのためにかけることができる時間及び労力には限界がある。したがって、いかなる要請にどの程度のウエイトを置くのか、また誰がどのような形で大学入学者選抜に関与し責任を負うのかなど、制度全体のバランスを考えた検討が必要である。

5.高大接続の検討に際しては、大学の自治をはじめ、各教育機関の自律性に対して十分に配慮する必要がある。

以上

お問合せ先

高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

-- 登録:平成24年10月 --