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高大接続特別部会(第11回) 議事録

1.日時

平成26年1月24日(金曜日)15時~16時40分

2.場所

文部科学省3階3F1特別会議室

3.議題

  1. 教育再生実行会議第四次提言を踏まえた検討課題について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)安西祐一郎,浦野光人,吉田晋の各委員
(臨時委員)及川良一,小林浩,田邉恒美,垂水共之,濵口道成,濱名篤,山本繁の各臨時委員

文部科学省

板東文部科学審議官,吉田高等教育局長,常盤私学部長,藤原初等中等教育局審議官,義本初等中等教育局審議官,中岡高等教育局審議官,佐野高等教育局審議官,内藤児童生徒課長,浅田高等教育企画課長,里見大学振興課長,望月主任視学官,小林教育制度改革室長,田中高等教育政策室長,平野大学入試室長 他

5.議事録

(1)議事に先立ち,事務局から人事異動の紹介があった。


(2)高大接続・大学入学者選抜の改善について,文部科学省から資料2~資料4に基づき説明があり,その後,意見交換が行われた。

【安西部会長】  前回は,高等学校教育部会と合同会議にさせていただきまして,二つの部会の審議事項,また関連する事項等々につきまして情報を共有させていただいたところでございます。
 今日は,これまでの審議状況を踏まえまして,高大接続・大学入学者選抜についての基本的考え方,また改善に必要と考えられる取組について御議論を頂きたいと考えております。

【田中高等教育政策室長】  それでは,資料2と資料3を中心に御説明をさせていただきます。
 まず,両資料の趣旨でございますが,今後,本部会におきまして,これまでの審議を踏まえまして,一定の取りまとめに向けた審議を進めるに当たりまして,資料2と資料3は参考資料1にこれまでの意見の概要などもお付けしておりますが,これまでの本部会におけます議論を基に取りまとめに向けた議論のたたき台といたしまして,高大接続・大学入学者選抜の改善に当たっての基本的な考え方と,改善に必要と考えられる取組事項を整理したものでございます。
 また,別途お配りしております資料4は,資料3に記載しております事項の参考データをこれまでの本部会の資料から整理したものでございますので,適宜,御参照いただければと思います。
 それでは,まず資料2を御覧ください。資料2は,先ほど申し上げました趣旨に基づきまして,高大接続・大学入学者選抜の改善に当たっての基本的な考え方を整理した資料でございます。
 まず,資料の1枚目の上の二つの○でございますが,そこでは,高大接続の改善の目的といたしまして,これからの我が国において多様な人材の活躍や人材の質の向上が求められる中で,生涯を通じ不断に主体的に学び考える力などの,これからの時代に求められる力を育成していくことが必要である旨を記載しております。
 その上で,資料の真ん中以下のところでございますが,高校教育,大学教育,大学入学者選抜の3者の関係と役割分担につきましては,少子化に伴う大学入学者選抜の選抜機能の低下の中で,選抜機能の派生機能として入試が担っておりました高校生の学習意欲の喚起や幅広い学びの確保などの機能・役割は,これからは高校教育,大学教育が果たしていくことが必要であり,高校教育,大学教育はこれからの時代に求められる力を育成するための質の確保・向上や質的転換を図ることが必要であること。その上で,高校教育,大学教育をつなぐ大学入学者選抜は,これからの時代に求められる力を多面的・総合的に評価する入試に転換していくことが必要であることなどを記載しております。
 また,2ページ目でございますが,一番上の○でございますが,高大接続については,高等学校教育,大学教育,それぞれの改善と両者の連携を強化し,大学入学者選抜のみでつながる関係ではなく,高等学校教育から大学教育への円滑な移行という教育上の接続の考え方に転換していくことが重要であることを記載しております。
 その上で,高校教育,大学教育,大学入学者選抜,それぞれについて求められる方向性を以下に記述をしております。
 まず,高等学校教育の質の確保・向上につきましては,知識,技能,思考力,判断力,表現力,意欲等を総合的に育成することが必要であり,達成度テストの創設や資格検定試験の活用促進のほか,多面的な幅広い資質・能力の評価手法の開発・普及,多様な教育活動の推進が必要であること。達成度テスト(基礎レベル)の在り方といたしましては,基礎的・共通的な学習の達成度を把握して,生徒の学習意欲の喚起を図るとともに,指導の改善に生かすこと。その成果については,推薦・AO入試などの対外的な場面において,自らの学力を証明できるようにすることについて検討が必要な旨,記載しております。
 次に,大学の人材育成機能の強化につきましては,総合的な学習経験を通じて,高い志と創造的思考力を持った人材の育成を図るため,大学教育の質的転換を進めた上で,成績評価の厳格化,進路変更の柔軟化などを推進することが必要である旨を記述しております。
 さらに,大学入学者選抜の改善については,必要とされる知識の修得状況を確認するとともに,志願者の能力・意欲・適性などを多面的・総合的に評価するものに転換することが必要であること。
 そして3ページ目でございますが,各大学における多面的・総合的な入学者選抜を推進するため,各大学が求める知識の修得状況の判定には,達成度テスト(発展レベル)の積極的な活用を図ることが必要であること。達成度テスト(発展レベル)については,出題教科・科目の精選を図りつつ,複数回の実施などの検討を進めることが必要であることなどを記載しているところでございます。
 その上で,次に資料3を御覧ください。資料3は,先ほどの資料2の基本的な考え方に基づき,改善に必要と考えられる取組を事項として整理したものでございます。
 まず,○1の多面的・総合的に評価・判定する大学入学者選抜への転換でございますが,最初の○のアドミッション・ポリシーの明確化に関しましては,資料4の参考資料にも関連のデータを掲載しておりますが,アドミッション・ポリシーにつきましては,99%の大学で既に策定されているものの,その中で高校段階で修得しておくべき内容,水準を具体的に定めている大学は半数未満にとどまっておりまして,求める能力などの明確化を推進するためのガイドラインの策定などを記載しております。
 次の○の様々な学習成果,活動歴を評価する枠組みの整備といたしましては,本部会でヒアリングを行いました全国工業高等学校長協会のジュニアマイスター顕彰制度や上智大学が英検協会と連携して開発中のTEAPをはじめといたしました資格検定試験などの活用と育成,前回の合同会議でも御意見がございました総合的な学習の時間をはじめとした高等学校における課題探求型学習の成果物の活用,言語運用力・数理分析力などを測る総合型問題の開発,国際バカロレアの入試における活用などを掲げてございます。
 その他,入学志願者に関する情報の充実として,調査書などの改善,志望理由書や活動報告書の活用を,推薦・AO入試の改善として,学力把握措置の徹底や合格発表期日のルール化を,各大学の取組を促進するための措置として,丁寧な選抜を実施する大学に対する財政支援や,認証評価による入学者選抜状況の確認・評価などを掲げております。
 次に,○2「達成度テスト(発展レベル)(仮称)」の在り方については,実施教科・科目数の精選,知識・技能の活用力などを測る設問の充実のほか,年複数回実施に必要なアイテムバンクの構築やCBT方式の導入,高等学校教育への影響を考慮した時期の検討,各大学における基礎資格的利用の促進のための成績表示方法の見直しなどを掲げてございます。
 次に2枚目でございますが,高等学校教育の質の確保・向上につきましては,こちらは主に高等学校教育部会において審議を行うものでございますが,「達成度テスト(基礎レベル)(仮称)」の導入,多面的な幅広い資質能力の評価促進,学校から社会への円滑な移行促進,多様な教育活動の推進を掲げております。
 次に,大学の人材育成機能の強化につきましては,教育再生実行会議第四次提言のほか平成24年8月の大学教育の質的転換答申の実現推進という観点から,ディプロマ・ポリシーなどの策定,学生の主体的な学びを促進するためのアクティブ・ラーニングなどの推進,大学教員の教育力の強化のためのFDや教員評価の推進,全学的な体制の整備,学修成果を重視した評価などの認証評価制度の改善,「分野別の教育課程編成上の参照基準」の各大学における活用,ジョイント・ディグリーなどの国際的な教育連携の推進などの大学教育の質的転換のほか,募集単位の大くくり化の推進や学部・学科の枠を超えた履修機会の拡大をはじめとした大学入学後の進路変更の柔軟化,定員管理の柔軟化を含めた厳格な成績評価の推進,各大学の教育改善の取組を促進するための財政措置などを掲げてございます。
 最後に3ページでございますが,高等学校教育と大学教育の連携強化につきましては,アドバンスト・プレイスメントの促進,早期合格者などを対象とした入学前の課題提示や準備教育等の推進,入学後の初年次教育の推進などを掲げてございます。
 資料2と資料3の説明は以上でございます。
 冒頭に申し上げましたとおり,本資料につきましては,これまでの本部会の議論なども踏まえまして,事務局におきまして,今後の取りまとめに向けた議論のスタートのたたき台として策定をさせていただいたものでございます。この資料に基づきまして,今後の取りまとめに向けて必要とされる考え方,改善に必要と考えられる取組について御意見を頂ければ有り難いと考えてございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【安西部会長】  ありがとうございました。本日は,ただいま説明のありました資料2,資料3を中心にいたしまして,高大接続・大学入学者選抜の改善に向けて,できるだけ具体的な方向に振る,そういう時期に来ておりますので,具体的な議論,御提案も含めていただければと思っております。
 一言だけ申し上げておきますと,以前からいろいろ御意見がありまして,私もそう思いますけれども,高大接続・大学入学者選抜というのは,それだけで取り上げることはできませんで,高校教育の在り方,大学教育の在り方と3本立てといいましょうか,全部がつながっておりますので,そのことは事前に申し上げておければと思います。

【濱名委員】  よろしくお願いいたします。
 事務局で推敲(すいこう)してまとめられたのだと思うのですが,これまでの審議のまとめ方の中で若干違和感を抱くところがございます。それで,資料3がはっきりしているような気がするのですけれども,資料2の中では,これからの時代に求められる多面的・総合的に評価する入試に転換ということを一つのポイントとして挙げておられ,2ページ目には,一番上の○の3行目からですけど,「高等学校から大学教育への円滑な移行という,教育上の接続の考え方に転換していくことが重要」という話が出てくるのですけれども,これまで議論に出ていたので言うと,教育上の接続の考え方に転換というよりは,評価観の連続性というか,そのような話が出てきたと思うのですけど,教育接続ということを特に強調していたわけではないような気がします。
 他方,3ページ目の最初の○のところに,「多面的・総合的な評価手法の開発」という形でまとめられているのですが,資料3でその具体的な内容を見ると,少し話が矮小(わいしょう)化しているのではないかという部分があります。例えば,資料3の○1の二つ目の○の様々な学習成果,活動歴を評価する枠組みの整備と書かれているのですが,これはまとめ過ぎてしまっているような気がします。
 活動歴の評価というのは,これは一つの方法として,細やかな入試でこれまでも議論されたと思うのですけれども,「様々な学習成果」という形にまとめられているものの中には,様々な資格検定もあるのですけれども,言語運用能力とか数理的分析力とか,あるいは多様な能力を評価するための手法の開発・普及と出てくるのですが,これはこれほど小さい話ではなかったと私は理解しています。面接を組み合わせないと,発展レベルのテストが使えないというような話が議論で出たときに,既存の方法だけではなくて,それを補完する方法を開発しなければ,この発展レベルテストは使ってもらえない。つまり,面接をしなければ利用できないとかではなく,1,000人規模の受験生を抱える大学でも利用可能にし,発展レベルテスト以外の要素も含めて選抜をしていこうというときには,新たな尺度や方法が必要になってくる。それは,大学教育を受けるにふさわしい汎用的能力をどう測るのかという話だったと思うのです。これは,必ずしもここで挙がっている「様々な学習成果」なのかどうか分からない。IQに偏ってしまうような印象を与えるのも問題だと思うのですけれども,高校での学習の中で培われる,その大学教育を受けるにふさわしいポテンシャルを測るような方法の開発ということは,この部会のこれまでの議論でかなり御賛同が得られていたと思うのですが,その話が非常に小さくなってしまっている。
 確かに,現状を考えると,大学入試センターをはじめ国内のテスト理論とか評価の専門家の層が非常に薄い状況の中で,こうしたものを取り上げるというのは大変難しいことを申し上げているのかも分かりませんけれども,中長期的に考えれば,このことが重要で,取りまとめしていく段階で,多様な学習成果,活動歴を評価する枠組みの整備という中に全部押し込まれてしまうのです。
 ここでの議論の論点として割と大きなものだったと思っていますので,これはやはり独立させて考えていくべきではないのかと思いますが,いかがでしょうか。

【安西部会長】  今,おっしゃられたことは私もそのとおりだと思いますのと,それから資料3は,やはり具体的な議論のために文部科学省でたたき台として整理したものですので,余りとらわれることなく,是非御意見を頂ければと思います。総合的能力の評価自体,やっていかなければいけないと私も個人的には思っております。
 また教育接続については,今までそれほど議論があったわけではないというのもそのとおりですし,高校教育の方は,やはり高校教育としてしっかりやっていただかないといけない。その接続の前に,それぞれ高校と大学がしっかりした教育をやらなければいけないのではないかという考え方もあると思っております。
 いずれにしても,先ほどの総合的能力をどのように測るかという問題,それから基礎・発展というのが教育再生実行会議の提言で出ておりますけれども,これを両方やるのかどうかということも決まっているわけではございません。また,それぞれ複数回やるのかどうかということも決まっているわけではありませんけれども,できるだけそういうことを決めていく方向に向けて議論を進めていただきたいと思っております。

【吉田委員】  ありがとうございます。今日,この資料1から3を見せていただいて,非常に議論が進んできていることは事実だという気がします。
 そういう中で,資料3が,今回,特に我々が取り組まなければいけない問題だと思うのですが,資料3の一番最初の○1のアドミッション・ポリシーの明確化ということで,アドミッション・ポリシーに関するガイドラインの策定(受験生に求める能力と具体的な測定方法の関係の明確化等)とあります。そして,アドミッション・ポリシーの優良事例の収集,情報提供というところがございますけれども,このガイドラインというもののもともとが,今日の資料1の3.の「高校教育の質の確保・向上」の,今までの意見の中のところにも出ているのですけど,その1ページの一番下にある大学で必要とされる能力と中学・高校の教育・指導内容を近付けなければ,教育内容の評価には限界があるので,新テスト創設に当たっては,抜本的に中学・高校の教育内容を見直すことが必要である。
 そして次のページへ行って,入学者選抜は学習指導要領に準拠しており,学習指導要領は何を教えるかというコンテンツベースの手法をとっている。一方で,大学はアウトカム重視の教育手法であり,高校から大学への連続性を考えれば,この学習指導要領の在り方の見直しが必要であるということが書いてあると思うのですけれども,まさに私は,ここのところをしっかりやっていかないと,高校では今までどおり,そしてそれが質の保証というものに,今までどおりプラスいろいろな総合的な判断能力みたいなものを培ううんぬんとなったときに,そこにまた新たな,様々な学習成果等に書いてありますように,IBももちろんそうかもしれませんけれど,いろいろな検定も加わってくるのかどうか。やはり,これをやるために高校以下でどのようなことを学んでいかなければいけないかという指針を,もう1回見直さなければいけないのではないかと思います。
 そして,それとともに,この新テストを作った場合に,今現在でも,実際にセンター試験を利用している学校としていない学校があります。利用していない学校に関しても,今の試験というのは割と全体的に記憶型の試験だからいいわけですけれども,今度の新テストになったときに,この新テストを利用しない学校が従来どおりの試験みたいなことになっていくのだとすれば,これは本当に子供たちの立場を考えると大変なことになってしまいます。
 それから,今,新たにスーパーグローバルハイスクールやスーパーサイエンスハイスクールなどがあるわけですけれど,そういう新しい教育課程というか,そういうものを育んでいこうという中で,そういう事業の中で言っていることと,今の学習指導要領とのギャップというのも大変大きなものがあると思います。
 そうすると,子供たちが,何をやって受験に向かうのか。例えばSGHのようなことをやっていたら,普通の大学には行けないというようなことになってしまうとしたら,これはマイナス要素にもなってくる。是非,その辺のところをもう1回,学習指導要領を含めて,大学の求めるものを高校以下で教えるというような形も,考えていただかなければいけないのではないかと思います。

【安西部会長】  ありがとうございました。高校教育をどのように位置付け,どうしていくかということは非常に大事なことで,高等学校教育部会でも議論はされているかと思いますけれども,そちらの部会の議論も,こちらへできるだけフィードバックをしていただけるといいのではないかと思います。
 また,今,吉田委員が言われた基礎レベルのテストについて,学校ごとにと言われていたように思いますけど,これも,個人で受けるのか,学校ごとになのかということも決まっていないと思いますので,そのことも付け加えさせていただきます。

【浦野委員】  今回の全体像を見ると,まず一つ私として違和感を持つのは,やはり従来どおりの単線化の教育をそのまま推し進めようというのがあると思うのです。単線化で1本しかないからということを考えると,生徒は困ってしまうというようなことはあるのですけれども,もう少し,複線化という形を,これを機会に考えていくことはできないのでしょうか。特に基礎レベルのテストなどを考えたときに,それをベースに様々な進学のやり方がある。例えば,今,専門高校などもあるわけですけれども,専門高校の生徒にとってみれば,多分,その基礎レベルが一般的な学科で言うと標準的なものになって,それにプラス,専門高校としての学力があるわけです。それを簡単にジュニアマイスターとか何とかということだけに置き換えるのではなくて,その上に複線化の教育があるということを,大学の方も自ら認知しながら,一つの大学が,単線化の中で自ら考えていくと良いと思います。
 そういう意味で,高大接続というのが,入学の接続ではなくて教育の接続であると考えたときに,やはり最大の問題は,今の大学が,入り口は難しいけど出口は簡単だという,そこに全て集約されてしまうわけです。もう3年ぐらい前,キャリア教育のことを随分議論して,各小学校から大学まで,キャリア教育の充実ということをいろいろな人に考えていただいたわけですけれども,そこでの議論がこれに生かされているかどうかです。そこで議論されたことというのは,大学に偏差値だけで選択して入ってきた結果,大学で学ぶ意欲がそういう意味では失われている人が多く,高校までに適切な職業観というものが全く養われていない。それで,大学は入り口だけが難しいですから,中に入ってほとんど勉強しないで,いざ就活の時期を迎えると,もう全く職業観のない中で,やたらといろいろな職種に応募してしまうような弊害が出ているわけです。
 そういう意味で,私は,今,教育再生実行会議では,これから6・3・3・4制についても議論があるように聞いていますけれども,そういう議論とは別に考えても,今の範囲の中でも複線化という形の中で様々な手をとることはあると思います。これを単線化ありきで議論してしまうと,様々に,ああでもない,こうでもないという反対論だけが出てきてしまうのではないかと思います。

【安西部会長】  私も全くそのとおりだと思います。

【濱名委員】  今,浦野委員がおっしゃったところですが,確かに外形的に見ると単線型に見えるのですが,現実の大学入試の状況はもうかなり錯綜(さくそう)しています。逆に,今,委員がおっしゃられたことを考えると,この基礎レベルというテストの使い方はいろいろあると思います。確かに,推薦・AO入試の改善というのが今回も出てきているのですけれども,そういうものと組み合わせる場合,これは高等学校教育部会でお取り上げになると思うのですけど,私は,個人的には,それをうまく活用した,つまり基本的な高等学校での学習レベルを押さえているということも,一つの進学する必要条件になるという活用の仕方をしていただいた方がいいと思います。
 既に発展と基礎という2種類のテストの構想という段階の中で,実質的な複線化が進んでいると思います。ただ,どちらも中途半端に終わると質保証という点でアブ蜂取らずになってしまうことが懸念されるということだと思いますので,そういう点では,私も賛成するところもあるのですけれども,ただシステムとして考えたときにどうかという点では,まだかなり詰める必要があるのではないかと思います。
 他方,今回出ていた中で,資料3の最後にアドバンスト・プレイスメントの促進というのが出てきます。これは,実は,今,私どもの大学が委託事業で調査を3月末までにやらなければいけないのですけれども,余り大きな期待感を持たない方がいいというか,そう簡単ではないと思います。
 アメリカのアドバンスト・プレイスメントというのは,大学レベルの教育を高校の教員で,資格認定を受けた教員が教えて,それでいい成績を取ったら大学の教育についていける能力証明として,ある程度,優遇されているというケースがございますけれども,今,日本の高等学校で行われている疑似アドバンスト・プレイスメントは大学教員が出前授業をしています。これはやるとしたら活用というよりは構築しなければいけないので,促進というよりは,日本型アドバンスト・プレイスメントを構築してやっていくということです。今,おっしゃったような学びのモチベーションとか,あるいは大学レベルの授業がどのぐらいのレベルなのかということを知ることができると思うのですけど,このあたりについては,この表現では不十分。今の出前授業を続けていくという形で良いのかということです。
 ちなみに韓国では,外国語高校というのがあって,異なるカリキュラムで,一番レベルの高い高校ではアメリカのアドバンスト・プレイスメントを受けて,良い成績で取ると留学しやすくなるというので,どうもインターナショナル・バカロレアと競争・競合状態にあるようでございます。
 それらから考えていくと,表現で気になるのは,既存の枠組みから違うものに切り替えていくときの用語として,「促進」とか「改善」という言葉で良いのか,制度的な見直しというようなことまで書かないと,後で見ていくと,少しでも推進する場合でも「促進」とか「改善」ということになるので,アドバンスト・プレイスメントについては,私は,日本型アドバンスト・プレイスメントの構築とか,そういう表現にする方が良いのではないかと思います。800近くの大学がそれぞれアドバンスト・プレイスメントをばらばらにやれば,その制度として定着するとは思えません。高等学校側から見れば,もう少し大くくりでやらないと,やはり利用してもらえないのではないかと思いますので,そのあたり,どうかと思います。

【安西部会長】  ありがとうございました。本日は,私も個人の意見として言わせていただければと思いますけれども,個人としては,アドバンスト・プレイスメントというのは,今,やられているように見えてほとんど意味がないと言うと言い過ぎかもしれませんけれども,濱名委員に同意をするところがございます。
 やはり基礎のテストの方は,これも個人の意見としてはでありますけれども,高校教育が非常に多様化をしていて,きちんとした学力を担保することが,日本の高校教育にとって非常に大事な時期に来ている。そのことを踏まえた基礎テストというのが,やはり一番基本なのではないかと思います。
 その一方,発展レベルの方は,大学の教育の在り方,教育の方法の質的転換がさけばれていて,特に主体性を持って自ら学ぶ力があるかどうかということが,日本の大学で学ぶことの一番基本に来るのではないか。そのことと,もちろん学力もありますけれども,今,申し上げたことを発展レベルのテストでもってどうやって測るかという,発展だけではない,各大学のそれぞれの大学入学者選抜の方法も入ってくると思いますけれども,どうやって測るかということが,これが問われるのではないかと思っております。

【濵口委員】  今,安西部会長がおっしゃられた,大学入試の,特にアドバンスト・プレイスメントのところで,資料3の○1を見ておりますと,この○1の五つの○の中で,アドミッション・ポリシーの明確化だとか,AO入試の改善だとか,財政措置と,こういうのはかなり具体的に進められることで,共通の目標とか作業というのが割と見えます。ところが,その2番目の○の様々な学習成果,活動歴を評価する枠組みの整備の中の資格・検定試験とか課題探求型学習の成果物の活用,ここら辺は見えるのですが,小論文等あるいは言語運用力,数理分析力等を測る総合型問題の開発,多様な能力を評価するための手法の開発・普及というのが,まだまだ分析・研究が足りないのではないか。要するに,私ども国立大学でいきますと,きちんと国民に説明責任を果たせるような,透明性の高いものを採用できる方法論がきちんとあるかどうかということを,もう少し見極めないと,なかなかここが超えられないのではないかと思っております。

【濱名委員】  これは是非入れたいと思うのですけど,以前,安西部会長にも申し上げたことがあると思うのですけど,やはり評価人材とかテスト理論の専門家の育成ということは,今後の日本の社会にとって絶対不可欠だと思います。こういう施策を,この答申で終わらせるというのではなくて,今後も,グローバル化の進行の中で重要になります。アジアの大学の状況もかなり変化し,タイとかマレーシアから日本への留学生数が減り始めているという。つまり,もう自前で高等教育ができるような状態になってきているということを考えたときに,評価をきちんと作って学修成果を可視化していくような専門家の育成というのは,是非,この審議のまとめの中に入れて,また促進していく必要があると思います。逆に言うと,10年前にそれを行っていれば,今頃もっと楽だったはずです。先ほど挙げたような点について,もっと手が届く範囲に来ていたのが,今人材がいないから,ウエートを高くした表現で書き切れないというような事態になってしまっているとすると悲劇なので,その評価人材あるいはテスト理論の専門家の育成というのは,一つの柱として入れていただいた方が良いのではないかと思います。それこそ,日本学術振興会の特別研究員であるとか,様々な制度を駆使して人材を5年後,10年後のために育成するようなことを施策として入れておかなければいけない。入試とかテストというのには完全なものはないので,常に見直していかなければいけない事態が出てくるので,そのときに対する備えを,この際,きちんとしておくべきではないか。今,濵口委員がおっしゃったことと関連して少し申し上げたいと思います。

【浦野委員】  高校生から見たときに,現状では,偏差値というものが大学選びの非常に重点になっていて,場合によるとそれだけで受けているようなところはあるわけですけれども,この資料3の○4,大学の人材育成機能の強化の中をいろいろ見ていくと,例えば教員評価における教育面の業績評価の導入とか,大学教育ということについては,全学的な教学マネジメントシステムを整備するとか,あるいは日本学術会議による「分野別の教育課程編成上の参照基準」の策定等々と書いてあるわけですけれども,こういうことが,今,高校生にはほとんど情報公開されていないです。例の大学ポートレートが,今,どこまで進んでいるか分かりませんが,少なくとも,今,私が自分で見られる範囲でいけば,各大学のホームページに行って,どこまで掘っていくとこんなことまで分かるかというのは,本当に大学のホームページの作り方いかんです。こういうこととか,それからまさに最初に出ているアドミッション・ポリシーのところとか,そのようなことがきちんと高校生にも普通の状態で見られて,そして偏差値以外で選んでいく。あるいは,この大学へ行ったら何とか先生がいて,その分野ではすごい先生だと。そうなれば,偏差値とかそういう大学入試の在り方がどうとかということを抜きに,何としてもここに入りたいからというような,そういう大学選びが是非できるようになってほしいと思うのです。
 そういう意味では,一つだけ企業のことを言わせていただきますけれども,今,企業の中では,うつ病とか,こういう心の病というのはごく普通にございまして,かなりのウエートであるわけです。
 これを防止する一つの策として,各個人が自主的にそういう性格診断テストとか,いろいろな意味でのテストがあるのですけれども,こういうテストは様々に開発されています。本当に,いろいろな先生方がいろいろなことを考えながら,そういうテストを作っています。そういうのをうまく利用すると,高校生も,自分が弱い性格の部分は何なのだろうかとか,あるいは,自分が本当に向いている分野はどんなものだろうかということが,おぼろげながらに見える。それを合否の判定に使うのではなくて,生徒自らが自分の進路を選ぶための策として,そういうことを是非利用していただきたい。
 企業の場合には,これを全員に受けさせるわけではなくて,飽くまで自分で受けて自分で判定していくわけですから,受けたい人はどうぞという形にしていますけれども,これは,私は,ある意味,大きな効果があると思うのです。
 それから,私が全く知らない分野になるのですけれども,話を聞いて思ったことが二つあります。
 一つは,医師の国家試験の中に,どこにそういう問題があるか分かりませんが,この人が医師として適正かどうかということを判定する問題が幾つかあると聞きました。知識で全部クリアしても,そこが駄目であれば国家試験には通らないそうです。そのようなことが,心理学というかいろいろなことを応用する中でできているとすれば,これはこれですばらしい一つのテストだと思いました。
 それから,もう一つは,海外出張の暇なときに飛行機の中で見た映画で,これは本当かどうか分かりません。プリンストン大学の学生募集について喜劇の映画になっているのですが,喜劇といいながら,実際にプリンストン大学で出していますから,決してうそということではないと思いますけれども,本当にすごい努力をしているわけです。プリンストン大学に入りたい学生,プリンストン大学に入れたい学生,これを学生募集室のようなスタッフ10数人の人たちが必死になって全国から探し回ってくるわけです。
 そういう意味では,プリンストン大学の選抜には,日本で言うような公平・公正さはありません。1点を争って,合格,不合格とはしていない。ですから,多分,プリンストン大学は,「なぜ私が落ちたのですか」と聞かれたら,どういう答え方をするのか,その映画を見て思ったのですが,まさに,そういう努力を海外の一流大学がしているとしたら,日本の一流大学も,そういうところに踏み込んでいかないと,これから先,高大接続という意味でも誤った道を進んでしまうのではないかと思いました。
 以上です。

【安西部会長】  ありがとうございました。先ほどからの濵口委員,濱名委員,また浦野委員もそうですけれども,課題探求力とかそういうことのテスト,評価の方法については,私の理解でも,世界的にはかなり,日本ではできっこないと言われているような,そういう総合的な力をかなり分析的に評価する方法が検討もされているし,いろいろ考えられていると理解しておりまして,日本の国内だとできないのではないかという方が先に立っているような気がします。できないのではないかというより,やはりこれをやらなければいけないのではないかと,特に,いわゆるトップレベルの国立大学におかれては,やはりそこを突破していただかないといけないのではないかと思っております。

【濵口委員】  結局,ここで問題になってくるのは面接だと思います。推薦・AO入試等でも面接をよくやられておりますけれども,率直に言うと,一人当たり15分とか20分でインタビューをしても,学生側が前もって学習塾が教えたような答え方でストーリーを作ってやっていると,本当のところが分からない。
 それから,精神科の医師,教授が言うのですけれども,15分ではその人の性格は見抜けないということです。
 我々,海外で調査したことがあります。デュークとかジョンズ・ホプキンスの医学部の入試を見たのですけれども,大体一人に使う面接時間は3時間使っています。1対1で,教授が1時間ずつ3人の教授がやられる。それから,グループ・ディスカッションもやらせて,学生が,最終学年はレポートを書きます。全体としては50万人を超える人材を,例えばその人数掛ける3時間,大学が時間を費やすかどうかという議論もあります。あるいは,それでなければ選択的にやるかどうか。ここの定量的なことも考えながら,しかも信頼に足る,説明できるような判断基準というのを明確に決めていかなければいけないと思うのです。それは,もう少し検討が要るのではないでしょうか。単純に,あなたは何をやりたいですか,生きがいは何ですかと質問しても,答えは非常に定型的なもので,二日間掛けて実施するセンター入試で得られるほどのはっきりした能力評価には到達できないのです。
 もし,これを本気でやるとするならば,例えば面接を一人2~3時間掛けるぐらいの覚悟を決めなければいけないと思います。それから,そこで聞くことに関して,大学ごとにアドミッション・ポリシーを明確にしたならば,一定の人材像というのを明確に持って,それに基づく聞き方あるいはデモンストレーションをやらせるということをやらなければいけないのですけど,そこの開発がすごく遅れているように思います。
 具体的にそういう議論をする中で,このように変えましょうという議論がないと,単なる15分の面接でやったという,そのエクスキューズになってしまうと思います。

【安西部会長】  ですから,特にトップレベルの大学の医学部等々では,今,3時間掛けてほしいとは言わないけれども,そういうことを自分で開発していただきたいという流れだと思います。

【濵口委員】  余り具体的な入試のことは言えないのですけど,本学では既に面接重視でやっていますし,グループを変えてやっています。一人の方に数名の教授が2グループです。評価点を全部具体的に出します。

【垂水委員】  資料3のところで意見を言いたいと思いますが,まず多面的・総合的評価のところです。先ほど濱名委員からもありましたが,いわゆる多面的な方法という形で,言語運用能力,数理分析能力,こういうのを大学入試センターで研究されておりますが,これを実際に使うのはまだ時期尚早であり,幾らかまだ研究を続けなければ使い物にはならないのではないかと思っております。
 ただ,そういう能力をこれから測っていくということは必要ですので,この研究は進めていってほしいと思っておりますし,いずれそれが入試で使えるようになればと私は願っています。
 その○2ですけれど,達成度テスト(発展レベル)という形になりますが,その中の一つ,実施教科・科目数の精選というのがございます。これに関しましては,現在の大学入試センターがいろいろな教科数,科目をやっていて,20幾つという形で非常にたくさんの科目をやっているという意味での精選という話だったと思っております。
 もう一つ,実施教科・科目の精選というときに,年複数回実施との関係が出てくるかと思っております。年複数回,この発展レベルを実施するとなったときに,現在の大学入試センター試験のように丸二日間というのを複数回やるというのは,多分,今の高等学校側も大学側も,ほとんど望んでいないのではないかと思っております。というよりは,それだけの日数や人員を掛けることは不可能かと思っております。
 そういう意味で,複数回実施するかしないかというのは大きな問題と思っておりますし,複数回実施する場合には,それこそ実施教科・科目を精選していかなければいけなくなるのではないかと思っております。
 残念ながら,日本の場合,能力判定の場合にたくさんいるかどうかは別ですけれど,精選してしまうと,多分,高校生はその教科・科目しか勉強しなくなる,そういう大きな問題が背景にあるかと思っております。
 発展レベルで課する問題を広い範囲にしていかないと,高校の学習,授業,カリキュラムを壊してしまうのではないかというのを非常に恐れています。
 ですから,現在の高校側の検討と一緒になりますけれど,是非高校の学習,カリキュラムは壊さないような形での発展レベルの科目数の精選をやっていかなければいけないのではないかと思っております。
 それから,○5の部分,いわゆるアドバンスト・プレイスメントの件ですが,これに関しては,前々回の本部会で私も少し申しましたが,いわゆる大学の先生が出ていって高校で話を聞いてもらうといったら,どうしても少数の対象しかできない。やはり広い範囲,希望者には聞けるような形で言いますと,いわゆる今のICTやインターネットを使ったような授業形態をもっと広く普及させることが必要かと思っております。
 現在,流れとしてありますのは,MOOCとかJMOOCがございますが,その辺を積極的に高校側に使ってもらう。大学側がそういう高校レベルを含めて公開し,多くの高校生に大学側から発信していく。そういうことを国としてはサポートしていただきたい。また,将来的にはこれが発展すればと思っております。
 以上です。

【安西部会長】  ありがとうございました。センター入試の目的というのは,拝見していて,やはり高校の学習到達度の評価にもなっていながら,一方で大学側にとっても,ペーパーテストの学力も見ているような,そういうテストになっているように思うのですけれども,今度,基礎と発展と言われているのは,例えば発展とセンター入試を重ねて考えるべきではなくて,基礎は高校の学習到達度をきちんと見ましょう。そして発展では,大学で学ぶ力があるかどうかということを見ましょうということを言っているのであって,センター入試に似たことをやるのであれば,今のセンター入試で良いのではないかと思うのです。そこを,是非,頭を切り替えないといけないのではないかと思っております。
 垂水委員をはじめ議論はあると思いますし,私が言っていることが100%正しいということではございませんので,今日はいろいろ御意見を頂ければと思います。
 どうぞ。

【小林委員】  まず,先ほどの達成度テストの基礎レベルでございますが,これは,先ほど部会長も触れられましたけれども,高校の卒業者の大学進学率は現役だと半分以下となっております。短大を含めて53%。一方,専門学校も17%ぐらいいますということで言いますと,やはり基礎レベルの方は,高校教育の達成度,到達度を測るという教育の改善に資するものということで,高校のところで,まずきちんと達成度を測るものということで完結すべきものではないかと思います。それを,大学入試にも使えるということで,選抜にも使えるということであれば,そういう切り分けができるのではないかと思っております。
 もう一つ,先ほど出ましたアドミッション・ポリシーですけれども,これは資料4の6ページにもありますが,先ほどの濵口委員の方は,アドミッション・ポリシーの明確化は分かりやすいとおっしゃっていましたが,見ると,アドミッション・ポリシーの中にも二つありまして,一つは求める人材像を定めるということと,そこまでに,入学までに身に付けておくべきことというような能力を示すという二つの役割があると思うのですが,この求める人材像というところはいろいろなところが書いてあります。
 しかし,そこまでに身に付けておくべきことという,割と,いわゆるカレッジ・レディネスという準備のところでいきますと,国立は7割ぐらいできているのですが,公立,私立でいくと4割もいっていないというようなことになります。その結果,浦野委員がおっしゃったとおり,みんな偏差値で大学を選ぶというようなことになってきています。
 ですので,例えばある公立大学のホームページを見ると,大学のアドミッション・ポリシーというのがあって,その後,学部ごとのアドミッション・ポリシーというのを押すと,次は,大学の教育研究上の目的というホームページに移って,アドミッション・ポリシーという言葉がなくなるというような現状でございます。
 ですので,これを全てと考えるべきではないと思うのですが,こういうことを大学側でいろいろ議論していくということが,将来のありたい姿の構築に向けて非常に重要になってくると思います。
 今,いろいろな大学を回らせていただいていて,特に私立大学でいきますと,いわゆるアドミッション・ポリシーをどのように明確化していくのかというのは一つ大きなポイントでございまして,なぜかというと,これを狭めてしまうと学生が集まらなくなってしまうという恐怖感が背景にあるというところもあります。
 ですので,ここの一言でアドミッション・ポリシーの明確化とありますが,ガイドラインの策定,あるいはどのように作っていくかというのは,一つ大きなポイントになるのではないかと考えております。

【山本委員】  2点ございます。一つは,2018年以降,18歳人口が再び減少いたします。2023年には106万人レベルになります。12%ぐらいの減少でしょうか。これは,今の大学の入試選抜に多大な影響を与えると言われております。例えば,我が国において非常に大学が集積している京都府内の大学生は,現在,16万人いらっしゃいます。もし18歳人口の減少幅と同じだけ,つまり12%減りますと,大学生の数は2万人減少します。そうすると,今,予備校の偏差値表で見たときに,京都府内,偏差値下位3分の1の大学の総定員数が約2万人です。
 というときに何を考えなければいけないかといいますと,2023年,106万人レベルになったときに,そもそも大学の入学選抜性はどの程度あるのだろうかということになります。これは,調査しなければいけないと思うのですが,800大学あるうち,実質,選抜性のある大学がもし5%しかない,つまり国立と私立大学を足して40大学程度にしか実際はもうないのであれば,今,我々はこの5%の大学の議論をもしかしたらしているのかもしれません。95%の大学のことも考えていかなければいけないのではないかと思います。
 そのときに,どのようにして,選抜性なき時代に高校生を学びに動機付けるかといいますと,先ほど浦野委員がお話しされていましたとおり,大学の入り口は易しいけれども,出るのは大変というようにしなければいけない。つまり,高校時代に勉強しなければ大学を中退してしまう。だから,この大学が求めている,カリキュラムが求めている能力要件を高校時代に満たさなければいけないと設計しなければいけないと思います。
 つまり,高大接続のテストというのは,実質は中退リスクテストになるのではないだろうかと思います。このスコアを取った学生さんは,全入ですので,95%の大学には入学ができます。しかし,どの大学に行くことによってどの程度中退リスクがあるのかということを判断しながら進路先を選んでいくような世界が,もしかしたら現れるのかもしれないと考えております。
 そういう場合には,やはり各大学がどのような学生を求めていて,どのようなテストを行って,その結果,そのスコアがどうあれ入学できるような状況になってしまっているのであれば,そのスコアが一体どのスコアであればどれぐらいの確率でドロップアウトするのかという情報を公表しなければ,高校生と大学のマッチング,つまり高大接続という観点での円滑な移行が機能しないだろうということが言えるのではないかというのが1点目です。
 もう一つは,そのようになったときに,今の日本の大学は,これから改革をしていって,ジェネリック・スキルの養成をより強くウエートを置いていこうという方向だと私は認識しております。
 となると,入試は,先ほど濱名委員からお話がありましたが,IQテストのようなものというお言葉が出ていましたが,それに近しいようなものにしていくと,縦軸に入試のスコア,横軸に大学入学後のGPAをとったときに相関関係が出てくる。つまり,入試で高いスコアを挙げれば挙げるほど,入学後のGPAが高いとなりやすいのではないかと思います。これは,既にそのような,IQテストのような入試を行っている大学が我が国にもございますので,そういう大学では比較的相関が高く出ております。逆にセンター入試では相関が出ないので,現状,センター入試に対してはかなり距離をとっております。
 考えなければいけないのは,この入試がジェネリック・スキル重視の入試になったときに,確かにアセスメントはできるかもしれませんが,このテストに向けてどのようにして教えるのか,どのようにしてその力を育むのか,このIQがどう上がるのかというのは,私,不勉強ながら,正直,よく分かりません。そのようなジェネリック・スキル,IQのようなものを高めていくような教育が現実的に可能であって,生徒たちがどのように努力していけば良いのかということがきちんと道筋を示せて,高校の先生方,中学の先生方がそのような御指導ができるのかというところが大変難しいというか,私自身,答えはないわけでございますけれども,そのようなことをこれから考えていかなければいけないということを考えました。
 以上です。

【安西部会長】  ありがとうございました。先ほど言われた大学の中退の問題について,やはりここで議論されていることの一番の穴というのが,いずれにしてもどこの大学でもよければ入学できる状況になっておりますので,結局,大学入学者選抜がどういう形であろうと,大学に入学をしてしまえば,もし大学がこれからの質的転換を図った大学教育をしっかりやって,できなかったら卒業させないということがない限り,この大学入学者選抜というのは,全くとは言いませんけど,空洞だということは申し上げてきておりまして,それには大学教育の側がかなりしっかりした教育をやっていかなければいけないということと,本当に中退率が上がったときにどうすれば良いのかということは,これは考えなければいけないということは申し上げてきております。

【及川委員】  ありがとうございます。質問の形になるのですけれども,先ほど発展レベルの複数回実施のことが出たのですが,資料4の参考資料で28ページに,平成12年11月22日大学審議会の答申で,大学入試センター試験の年度内複数回実施についての文言があり,資格試験的な取扱いとかというような文言も出てきます。今回の発展レベルの達成度テストと,もちろん名称も違うわけですし,内容もこれから検討されるわけですから違うとは思いますが,この平成12年当時の答申に出ている年度内複数回実施の件と,今回の発展レベル達成度テスト複数回実施を検討するということがどのように整理されるのかということを,お伺いしたいということです。

【安西部会長】  これは,事務局にお願いします。

【田中高等教育政策室長】  まず,資料にございます平成12年の大学審議会の答申の抜粋にあるように,そのときにも大学入試センター試験の複数回実施というのは検討課題に挙がりまして,抜粋のところでは12月と1月だけになっておりますが,中略のところでは,例えば夏頃に実施をするとか,そういうことも検討過程では検討しております。ただ,夏頃の実施については,それは高校教育への影響が大きいとか,結局,夏の試験と1月の試験の間に期間が多く空きますので,その間に生徒は学習し伸びる機会があるわけですので,そうなると間が空くと結局2回のテストを受けることになってしまうというようなことや,それから,現在も実施をしておりますが,センター試験の後には,1週間後には追試験,再試験を実施しておりますので,その追試験,再試験というものが使える可能性があるということから,実施をするとすれば夏は難しくて,1月実施に加えて12月実施ということが現実的ではないかということを,この答申では指摘をしております。
 その際の課題といたしましては,一番大きなものとしては,実施体制ということが言われているわけでございます。
 今回,達成度テストの在り方の論点の一つとして年複数回実施の検討,これは教育再生実行会議の四次提言でも検討事項として掲げられているわけでございますが,その中で,この大学審議会答申のときの課題というものは,この達成度テストの複数回実施を検討するに当たっても,同様の課題であると考えられると思います。すなわち,実施体制をどうするかという課題です。その際に,この当時にはなかった実施体制の在り方として,現在,TOEFLなどで実施をされておりますCBT方式というようなものが考えられるのではないか,あるいは,どうしても別の試験ということになりますと,その公平性の問題がございますが,現在,TOEFLでございますとか,医学部の5年生に進学する段階の共用試験におきましては,いわゆるIRT方式,すなわち試験問題につきまして難易度等を分析いたしまして,アイテムバンクという形で分析をされた試験問題をストックして,それによって違う試験問題であっても受験者の能力を比較できるというような方式がとられております。
 そうした実施体制の問題については,この資料3にございますようなアイテムバンクの検討,CBT方式の導入の検討ということが,この大学審議会の答申以後の状況を踏まえれば検討することも考えられるのではないかということで記載をしております。
 ただ,そうした場合でも,3点目でございますが,この平成12年も検討課題でございました高校教育への影響,時期という問題については,引き続き留意して考えることが必要ではないかということで,3点目の留意事項として掲げているところでございます。
 以上でございます。

【安西部会長】  少し付け加えさせていただきますと,平成12年,10数年前でありますが,日本の国内外を通しての位置付けが随分変わってきているということが一つ,実は非常に大きなこととしてあるかと思いますのと,もう一つは,先ほど浦野委員が言われた複数路線です。やはり,これからの時代に一人一人の若い人たちがそれぞれの道を歩んでいくことを応援するという,そういう方向になっていくように思いますけれども,それとセンター入試のような入試の在り方がどのように整合しないのか,するのかということが余り議論されておらず,それは発展のテストの在り方に非常に大きな意味を持ってくると思っておりますので,センター入試と発展のテストというのは,一つギャップを置いて考えていただいた方が良いのではないかと思っているところであります。

【吉田委員】  今のテストの問題ですが,先ほど来,基礎レベルと発展レベルの試験の時期うんぬんの問題もあったのですけれど,やはり基礎レベルが高等学校教育の質の保証というものをかなりうたってくるとなると,今回の四次提言などで言っているところの複数回というのは,高校2年生ぐらいからという判断もあるわけですけれども,その辺でどういう形を考えていらっしゃるのかというのは,我々,すごく分からなくなってしまうのです。発展レベルは飽くまでも自ら学ぶ力があるかどうかという部分。そうすると,何かその方が逆にもっと早い時期にやれて,基礎レベルが高校の学力を調べるのであれば,もっと後になってしまうのかとか,その辺のところがすごく曖昧になるような気がします。

【安西部会長】  それは,本部会が考えるべきことだと私としては理解をしております。もちろん,ここでの提案が受け入れられるかどうか分かりませんけれども,今,吉田委員の言われたことも含めて,ここが考えるべきテーマだと思います。今,言われたように発展の方を早くから,複数回のテストだったらやるべきだという考え方も十分あると思います。よろしいでしょうか。

【田邉委員】  全般的なことでございますけれども,現行の大学入試の方法については,複雑,多様化しているため,学力選抜というよりも,合格に向けた情報戦というような要素も強くなっている面があるのではないかと考えているところでございます。
 今後,この大学入試の在り方を検討するに当たりましては,ある程度のシンプルさを求めるという前提に立った取組が必要だと思っておるところでございます。
 それから,先ほど安西部会長が高校としての学力保証について触れられたところでございますけれども,達成度テストの基礎レベルにつきましては,この前の提言では,できるだけ多くの生徒が受験となっているところでございますけれども,学校行事,部活動の各種大会等への影響などを考えたときに,学校現場の混乱を生じさせないためにも,あるいは学力中位層,低位層の学習習慣の定着や学力向上が大きな課題となっている中,基礎レベルでは身に付けるべき基礎・基本的な内容が全国統一的に示されることにより,生徒にとって第一目標としやすく,学習の動機付けとして機能する可能性もあり,全ての生徒を対象とした試験としての実施も検討すべきではないかと考えているところでございます。
 それから,希望者のみを対象とした場合,生徒個人の学習改善,教員の指導改善にとどまるおそれもあるわけでございまして,全員実施とすることで,今,義務教育の中で学力・学習状況調査が行われておりますけれども,国,都道府県,学校の学力向上に向けた組織的な取組につながるものと考えているところであり,そういう全員実施での取組についても大いに検討すべきであると考えております。
 さらに,基礎レベルのテストの結果につきましては,高等学校の各教科の評定と同じ扱いで,指導要録や調査書に記載することも検討すべきではないかと考えているところでございます。各教科の評定と併記することにより,調査書の信頼性が増すとともに,これを推薦入試やAO入試だけでなく就職試験にも活用することにより,生徒の平素の学習意欲の向上とともに,選抜の客観性,公平性がより高まるのではないかと考えているところでございます。
 以上でございます。

【安西部会長】  ありがとうございました。今,田邉委員の言われたことと,先ほど浦野委員が言われた複数路線ということと,それから多様化する高校教育の中で,あるミニマムの学力をきちんと担保するにはどうしたら良いかということと,もちろん現場が大事ですので,現場のスケジュール等々のこともあるかもしれませんが,いろいろなことを考えなければいけないと思っております。

【濱名委員】  基礎レベルと発展レベルの時期や回数はここで議論すべきであるという部会長のお話でございますので,たたき台を申し上げたいと思うのですけれども,やはり基礎レベルの方が早く始めるべきだろうと思います。そうすると,高校2年生ぐらいから始めても良いのではないかという気がいたします。
 ただ,発展レベルを余り早くからやると,弊害があるので,やはり基礎からスタートして,例えば高2のスタートなのか,発展の場合は早くても高3の夏だろうという感じがいたしますが,回数が同じ回数である必然性は全くないだろうと思います。飽くまで,ミニマムな高校教育の質保証のための,それを主目的にするテストと,大学に入学する能力を測るテストというのは時期がずれるのは当然ではないかと思います。
 それで,複数回やらなければいけない大きな理由は,得点表示を大くくりにするとなると,恐らく1点違いという日本人の持っている公平感から考えて,一度しかなかった場合,その辺の悔いが残るということもあるので,やはり複数回をやらざるを得ないというのは,私はそう思います。
 ただし新テストは,現在のセンター入試のように丸二日間,朝から晩までというのは,これでは現場はもたないと思います。これは,私も,以前,申し上げたかも分かりませんですが,ACTやSATのカレッジボードへ行ったときに,日本の入試でそこは揶揄(やゆ)されたところで,そんなにやらないと能力が測れないのかというようなことを言われたので,せいぜい1日の枠内で収まるような形に圧縮していかなければいけない。科目数については,本当に基礎学力を測るものにしていかなければいけないかと思うのですが,他方,大きな懸念材料は,理科・社会科のテストをやらずに,例えば理系の,濵口委員などは一番そのお立場だと思うのですけれども,それが測れるかということです。例えば,英・数・国等々でやってしまうと困るというような学部・学科が出てくるのかもしれない。その場合に,各大学の特に理科の出題能力が落ちている。つまり,文系の大学等々ではほとんど専任教員を抱えていない場合もあります。それを考えたときに,どうすれば良いのか。逆に,今の教科の中の科目を,ある程度,統合する形での問題を検討しなければいけないということになるのではないかと思います。
 他方,先ほど私の発言を受けて山本委員が言われたのですけど,IQ寄りの試験になるということは,この国では定着しないだろうと思います。生得的能力に非常に規定されるということでそう思います。ちなみに,アメリカのSATとACTで言えば,SATの方がIQに近いものを測っている。ところが,シェアは,今,ACTの方が高いのです。SATは,確かに東海岸と西海岸の大都市圏を中心としたエリアで普及していて,それはセレクティブな大学が固まっているエリアでは,そのSATが多用されているのに対して,ボリュームゾーン,エリア的に広い中部とか南部等々においてはACT。なぜACTかというと,高校教育の内容に対する調査あるいは配慮がACTの方がなされているということです。ACTの場合は州単位で教育の質保証に使おうとしている州が出てきているという傾向もあります。もちろん大学教育を受ける能力の中にIQの高い学生の方が教育しやすいことは言うまでもないのですけれども,それはやはり我が国の,評価観とかというのを考えたときに,努力をした者が伸びていくというような要素を評価観の中に組み込んでいかないと,社会から受け入れてもらえないのではないかと考えます。
 他方,田邉委員がおっしゃった調査書にそういう結果を入れていくことは,私は大賛成でございまして,そうしていけば,おっしゃるように調査書も用いて総合的に判定するときに,その数値も含めて判定するということを各大学は真剣に考えると思いますし,調査書については,残念ながら今の調査書の後,指導要録を大学に送らねばならないというのが学校教育法上の規定にあるはずだということについて入試室と長年やりとりをやってきたのですが,それをやらなければいけないということを,私立大学側に打診をすると,逆に私立大学側は,どう使いこなして良いか分からないので余り使いたがらないという現状があります。
 調査書を定着させようとすると,こうしたテストの結果を本人が努力して残したものについては入れていくということは大変有効で,あるいは生徒たちにとって一つの目標になるのではないかと思いました。

【濵口委員】  よろしいでしょうか。試験の回数とか時期の問題でありますが,一つは,高校の先生に後期をどうしてなくしたのかと,よく私どもは言われます。その理由が,複数回受けたいということよりも,夏までサークル活動をしっかりやっていた子は,秋以降が,すごく大切な時期で,試験時期が遅いほど彼らの本当の能力が出てくるということを言われています。12月というのは,そういう意味ですと,いろいろな課外活動もやってきたような高校生にはハンデが出るような時期だと客観的に言えると思います。
 それから,複数回やる場合,私の個人的な見解ですが,CBTを入れることが必須だと思います。これ,医学部は,OSCE,CBTというのをペアでやっています。OSCEは,先ほど浦野委員が言われた,面接で変なことを言わないかとか,きちんと相手の気持ちをよく聞いて情報を取っているかということを,具体的に面接試験をやる試験はあるのです。模擬患者を使って,私どもはやっています。数時間掛けますし,結構しっかりやります。CBTの方は,これ,実は準備期間が10年掛かっています。50万の問題を集めて平均化して,どの問題が出ても大体均等に同じ能力を問えるかどうかというのを調べて本試験に入ってきました。今,本実施に入っていますけど,もしこれを本当にやるとすると,やはりそれなりの期間と準備が必要です。
 対象者が,医学部の場合,今現在で9,000人ですけれども,一般入試は50万人ですから,より精緻なシステムを作らなければいかんですし,それなりの投資が必要です。まず,コンピューターが必要ですし,情報管理が必要です。そういうところもきちんと押さえて議論をしていかなければならないので,かなり作業の準備が掛かると思います。
 したがって今,これを取り入れるか入れないかというのは,かなり分かれ目になってくると思います。これを曖昧にして,先ほどから申し上げている○2のところの一つの測るテストとしてCBTがあると思いますが,これを曖昧にして,多様な能力を測る仕組みの整備と言っておっても整備できないです。
 ですから,CBTをやるならやる,例えば,現在,医学部で行われているものがどれだけの信頼度があるかというアセスメントをやって,評価がプラスに出るならば,どういう準備が必要なのか。50万に対してどういう設計をしなければいけないかという議論を,やはりここでやらなければいけないのではないかと一つは考えます。
 それから多様性の評価で,私ども,実はグローバル30のプログラム,秋入学で,全て英語で授業をやるコースを,もう3年目に入っているのですが,名古屋大学の場合は,化学,物理学,生物学,自動車工学,それから今年は文学も入りますし,政治経済学が入っています。高校の成績で大体UCLAレベルの者を足切りで世界中から募集しまして,英語のエッセーを2編書かせて,その内容に基づいて2段階目の審査をやって,3段階は,実は面接を英語で1時間から2時間,複数の教員が一人の対象者にインタビューをやります。スカイプを使ったりといろいろな方法で,現地の私どもの事務所へ来てもらう場合もあります。
 それをやって選んできて,意欲のある方は選べるのですが,大学にとっては実は非常に負担になる現実が出てきています。それは,国によって教育の水準が違うこともあるのですが,物理と数学に非常に差があります。日本の,例えば物理的な大学の授業のレベルについて来られないのです。今,実は,補習を相当やっております。
 ですから,今,多面的・総合的ということを試験に導入した場合に,濱名委員が言っておられるような問題,例えば,科学とか生物とか,そういう問題だけではなくて,うちの大学の場合は,理系に国語も課しております。医学部の場合は,古典も漢文も全部審査します。それは,きちんとした日本語が理解できるか,きちんとしたことが言えるのかという点で,まず国語の力です。分野は変わらないのです。理学部も,個別試験では現代国語をきちんと試験として導入しているのです。そこを本当に設計として考えたときに,どうするのか。教科数を減らすという方向で,あとは面接でやって本当に質の保証ができるかどうかというのは,やはり私どもがしっかり責任を持って議論をしないといけない時期へ入ってきているのではないかと感じています。

【安西部会長】  発展テストといいましても,各大学が入学者選抜の方法を独自に工夫していただくことはもちろん大事なことですので,その組合せになると思います。
 それからCBTの導入については,複数回,その発展――基礎もそうでしょうけど,やるかどうかにもちろん依存していて,それは決まってはいないのですけれども,私は,是非具体的にと申し上げているのは,ここでの高大接続の議論というのは,拙速は本当によくないと思いますが,一方で具体的な議論をしていかないと,いつまでも空中で抽象論になりますので,むしろ複数回やるのかどうかを考える。そうしたら,CBTは必須に当然なりますので,それが一体CBTでできるのかどうか。今,センター入試50万人が移動してきてできるのかどうかとか,そういう具体的なことをここでもう議論していかないといけないと思います。いずれにしても,複数回等々も含めて,今日は,是非,御意見を頂きたいということであります。

【垂水委員】  複数回実施の場合ですが,CBTまで必要かというのはまた別問題だと思っております。ただ,得点調整は絶対必要だという形で,その理論として何を使うかというと,今の大学入試センターでも,いわゆる理科の科目間調整,地歴公民の科目間調整,それを点数差が大きいときにやるという形でやられておりますけれど,この複数回実施の場合に関して言いますと,やはり何かの理論背景が必要になって,今あるものとしてはIRTしかないという形になります。
 ただ,このIRTに関して言いますと,いわゆる能力というのが一元化されているという理想的な背景を想定するという形になるので,欧米では結構受け入れられる思想ですが,日本でその一元化というのが受け入れられるかどうかというのは,日本のいろいろな先生,専門の先生に聞かなければいけないところかと思っています。
 ただ,得点を調整しようと思えばそれしかないというのが現状で,それを背景に,それでもやはり複数回やって得点調整するという形を考えるかというのを,ここで決めていかねばならないかと思っております。
 以上です。

【小林委員】  少し違う視点にはなるかもしれないのですが,資料でお配りされている参考資料5の8ページのところに多面的評価についての記載が,多面的・総合的評価の記載がありまして,アドミッション・ポリシーに基づき,多様な入試方法による入学者選抜を実施し,これらの丁寧な選抜による入学者割合の大幅な増加を図ると。その際,企業人など学外の人材による面接を加えることなども検討すると,第四次提言では書かれております。
 特に,私立大学など大量の受験者を抱えるところですと,いろいろお伺いすると,その負担増というところに対して割と恐怖感みたいなものがありまして,そこら辺の多面的・総合的評価を誰がどのようにやるのかというところも,今回の資料3のまとめの中には抜けているような気がしましたので,追加していただきたいと思います。例えばアメリカのアドミッションオフィスみたいなものを整備していくのかどうかというところを,大学経営的な視点でどうしていくかというのは,一つあるのかと思っております。
 もう1点,先ほど中退の話が出ましたけれども,大学に入ると,山本委員のところのNPOの調査によりますと,大体4年間で12%,約7万人がドロップアウトしていると。全員がミスマッチで辞めているわけではないと思うのですが,その際に高大接続でいくと,入試のところだけではなくて,この資料3のところにあります大学の人材育成機能の強化のところで,単位互換や転編入学の促進というのがありますが,一つの大学に入ったらこれで終わりということではなくて,編入とか転学というところも,先ほどの複線化ではありませんが,柔軟に選択できるような形で議論を進めていくべきだと考えております。

【安西部会長】  ありがとうございました。編入学・転入学については,そこの柔軟性を是非増やしてほしいということはお伝えしているところでございます。

【濱名委員】  私から最初に申し上げた教育接続うんぬんの話ですけれども,もしやるのであれば,きちんとそこを議論していただいた方が良いと思うのですけど,その教育接続と,先ほど言いましたアドバンスト・プレイスメントは非常に近しい関係にあって,アメリカのアドバンスト・プレイスメントは先ほど申し上げたように高校の教員が教えるというものです。高校の教員が大学レベルの教育を教えるということについては,今の大学でその話をすぐ持っていくと,とんでもないという話に恐らくなるだろうと思います。そうすると,大学教育の標準的なレベルをどのあたりに設定するのかというようなことが,日本学術会議での議論等々も踏まえながらミニマムなものとして設定していく,あるいは日本型のアドバンスト・プレイスメントを構想するとするとか,コアカリキュラムというものの存在が,アメリカの大学にはあり,それを前提にアドバンスト・プレイスメントが構築されている。
 翻って考えてみれば,日本の大学教育の中の共通教育とか教養教育は多様化しすぎており,個性も良いのですけれども,何をそうした対象にしていくのかということを検討する必要も出てくると思います。つまり,大学教育であるならばこういうことが盛り込まれるべきという,そんなところに話が行く可能性が出てくるかと思います。
 我々も,委託事業で,アドバンスト・プレイスメントを調べておりまして,今まで調べている範囲で言いますと,1科目とか2科目,最初は入学後の単位稼ぎだと思って見ていくとそうではなくて,1科目でも2科目でも上位の高得点を取っていると,インターナショナル・バカロレアを受けなくても,有力大手の大学でも,優秀な学生を採りたい大学が採ってくれるというような,そういうストラテジーとして成立しているのが現在のアメリカでの現状です。カレッジボードがテストをやるという形で,単位認定や成績評価基準は一元的に管理されているというやり方ですので,日本にそれを持ってくるとなると,この高大接続の在り方,教育的な接続とアドバンスト・プレイスメントを,ある程度つなげて,このまとめ等々で書くのも一つの方法ではないかと思います。

【安西部会長】  ありがとうございます。私が何となく首をかしげるところがあります理由は,大学教育を変えよう,高校教育をしっかりしようという一方でといいましょうか,それを両方やることが前提で接続すると思うのですが,それなしで今までの延長線上で接続をしても,それはもう1回接続し直すことになるのではないかという,そういう,何か首をかしげるところがあります。

【濱名委員】  私も,そこのところは,実は,例えばGPAの活用などが出てくるのですけれども,GPA自体がどれだけ正確に評価が共有されているかというところ自体,そもそものところで返ってまいりますし,ですから部会長がおっしゃるように,私が申し上げたように,構築しなければいけない。要するに,高大接続の仕組みとしての日本型アドバンスト・プレイスメントというのを考えるのであるならば,部会長がおっしゃるように,大学教育の質保証の中での評価の問題ともつながってまいりますし。
 そういう点から見ると,すぐに手が出せる問題,あるいはすぐに代替的な新しいオプションとして使えるかというと,先ほどの言語運用能力や数理的能力と比べても,必ずしもイージーではないという前提に立って,本腰を入れてやるのであるならば,これは課題がたくさんあるのですけれども,検討に着手しなければならないということではないのかと考えた次第です。

【安西部会長】  ありがとうございました。
 これも,前から申し上げている個人的な見解も含みますけれども,これからの日本が,生産人口も減っていく中で,本当に一人一人の若い人たちが自分から幸せをつかんでいってほしいと心から願っておりまして,そのために,若い人,生徒の一人一人が自分の道をつかんでいけるような,そういう高校教育,大学入学者選抜,大学教育の在り方に変えていってほしいというのが個人的な願いであります。
 そのように考えると,一発だけのテストというよりは,やはり複数回チャレンジできる。これは理念的なことですけれども,複数回,自分からチャレンジできるという土壌があるというのは大事なことだと思いますし,そのことと技術的に難しいのではないかとか,そういうこととのせめぎ合いというのでしょうか,そういうことになるかと思っております。
 先ほど申し上げましたように,これは非常に大事な議論ですので,拙速はよくないと思いますが,拙速を避けるためには,やはり具体的な議論をしなければならない。ずっと抽象論をやって,後で,ぎりぎりのところでばたばたするというのではなくて,具体的な議論を詰める時間を多く持つのがむしろ拙速を避けるということではないかと思いますので,御協力を頂ければと考えております。
 大変貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。

(3)平成26年度大学入試センター試験の実施状況について,文部科学省から資料5に基づき説明があった。

【平野大学入試室長】  失礼いたします。お手元配付資料5でございますけれども,先週,18日及び19日に行われました大学入試センター試験の本試験の概要について簡単に御報告させていただきます。
 志願者数,受験者数は御覧のとおりでございまして,大学入学志願者の数自体が今年はまだ確定値が出ておりませんが,例年,大学進学を希望する方のうち大体70数%が,このセンター試験を受けるというような現状になっております。
 今年度は,志願者数,受験者数とも減少しておりますが,これは今年度の18歳人口が約5万人,昨年度よりも減っていることが影響したものでございまして,受験比率は去年よりは高まっています。
 参加大学数は685大学で,過去最高でございます。
 18日及び19日の本試験実施状況でございますけれども,昨年度あるいは一昨年度のような大きなトラブルはございませんでしたが,やはり幾つかの会場で開始時間の繰下げ等々の状況が起こっています。特に1日目,東海道線が大幅に遅れた影響が大きく出ておりまして,こういう方々の中には,どうしてもこの遅らせた時間にも間に合わずに,今週土曜日及び日曜日に行われます追・再試験を受験する方も出ている状況でございます。
 それから2ページ目でございますけれども,例年,報道がございます英語リスニングの再開テストの発生状況ということでございますが,今年度は,ここにございますように約52万人が受験いたしまして,このうち再開テストの対象となる方が100名ということでございます。このうち,その日のうちに再開テストを希望する方は93名でございまして,全ての方がその日のうちに終了しているという状況でございます。
 再試験受験対象者が335名ほどおりまして,このうち希望される方は,今週土曜日及び日曜日に再試験を受けることになっているところでございます。
 理由は,東海道本線の遅れによるものが非常に多くございますけれども,それ以外にも,試験監督時間を1分早く切り上げてしまったため,再試験の対象になったという事例もございます。このようなミスが毎年度同じように起きているというのは,やはりセンター試験の実施運営面にも一つ大きな課題があるのであろうと思っているところでございます。
 以上でございます。

【安西部会長】  ありがとうございました。
 何か,御質問はありますでしょうか。よろしいですね。
 それでは,本日はここまでにさせていただきますけれども,開催日程について事務局から説明をお願いします。

(4)次回以降の日程等について,事務局から発言があった。

【安西部会長】  先ほど申し上げましたように,ある程度,具体的なことも決めていくべきだと思いますので,よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。
 今日は,大変貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。それでは,ここまでにさせていただきます。

―― 了 ――

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高等教育局高等教育企画課高等教育政策室

-- 登録:平成26年05月 --