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高大接続特別部会(第1回) 議事録

1.日時

平成24年9月28日(金曜日)17時~19時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 部会長の選任等について
  2. 大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について
  3. その他

4.出席者

委員

(部会長)安西祐一郎委員
(委員)生重幸恵,金子元久,無藤隆の各委員
(臨時委員)相川順子,荒瀬克己,及川良一,小林浩,近藤倫明,垂水共之,濵口道成,宮田裕子,吉田晋の各臨時委員

文部科学省

(事務局)山中文部科学審議官,藤木文部科学審議官,德久政策評価審議官,布村初等中等教育局長,板東高等教育局長,関初等中等教育局審議官,髙橋初等中等教育局審議官,山野高等教育局審議官,山下初等中等教育企画課長,藤原教職員課長,望月高等教育改革PTリーダー,浅田高等教育企画課長,池田大学振興課長,森私学行政課長,小谷教育制度改革室長,田中高等教育政策室長,平野大学入試室長 他

5.議事録

(1)部会長の選任等について

 委員の互選により安西委員が部会長に選任された。
 副分科会長については,安西部会長から無藤委員が指名された。

 

(2)高大接続特別部会の会議の公開について

 事務局から,高大接続特別部会の会議の公開について資料4の説明があり,原案のとおり決定された。
 また,公開に関する規則に基づき,この時点から会議が公開された。

 

(3)高大接続特別部会の開催に当たり,安西部会長から以下のとおり挨拶があった。

【安西部会長】  それでは,高大接続特別部会の開催に当たりまして,まず,私のほうから一言御挨拶をさせていただければと思います。
 このたび,この特別部会の部会長を務めることになりました安西でございます。よろしくお願い申し上げます。部会長就任に当たりまして,一言御挨拶をさせていただきます。
 先般の中教審総会,8月28日ですが,文部科学大臣から高大接続に係る諮問が行われまして,内容は,「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化方策について」,検討又は議論を深めてほしいということでした。
 先を見通すのが大変困難なこれからの時代におきまして,予想外の事態,あるいは答えのない問題を自らの力で乗り越え,また,自らの力で答えを見出していかなければならない。そのために必要な知識,技能,チームワーク等々,また,人間関係の形成の能力,想像力,また,何かをつくっていく構想力,そういった力をどうやって育むかということが,先進国,また成熟した社会の大変大きな共通の課題になっておりますが,こういう力というのは,初等教育,中等教育,高等教育,全ての学校段階でもって育まれるものでありまして,これまでにももちろん,それぞれの教育の改善・充実について検討又はいろいろな取組が行われてきたところです。
 大学教育につきましては,大学分科会におきまして,生涯学び続け,主体的に考える力を育む高等教育の場となるために,質を伴った十分な学修時間の実質的な増加確保を出発点としたいということで,学士課程教育の質的転換につきまして,先般,8月28日の中教審でもって答申が取りまとめられたところです。
 一方,高等学校教育につきましては,初等中等教育分科会におきまして,生徒の学力状況を多面的・客観的に把握するいろいろな仕組みの構築等によって,質保証をしていきたい。それが検討課題となっておりまして,大変充実した審議が行われているところであります。
 この高大接続特別部会といたしましては,こういう二つの分科会で大変活発な議論が行われてきた審議の状況を踏まえまして,それぞれの議論を総合的に結びつけた上で,高等学校教育と大学教育の接点であります大学入学者選抜を含めまして,高等学校教育の質の保証,また,大学入学者選抜の改善,大学教育の質的転換について一体的に検討していきたいと考えております。その際に,この特別部会での審議の状況を大学分科会と高等学校教育部会にフィードバックさせていただいて,議論の参考にしていただくということは是非必要だと考えているところであります。
 接続の問題につきましては,往々にして,とにかく大学入試が変わらなければ何も変わらないとか,高等学校で大学進学に必要な能力を身につけさせていないとか,大学側あるいは高等学校側から,お互いに責任をなすりつけ合うとまでは言いませんが,そういったところがかいま見られると思います。それぞれがそれぞれの持ち場で責任を持ちながら,一方で,そういった片側ということを乗り越えて,一緒になって連携して次の時代を担う人材の育成に取り組むということは,日本にとって不可欠の状況でして,この特別部会がそういった方向に向いて,何かの結果を出していければと思っております。
 教育の在り方全体に関わる大変難しい課題でありますので,委員の皆様,また,文部科学省あるいは関係者の皆様の御協力を得て,精力的に審議を進めていかなければならないと思っておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

(4)引き続き,板東高等教育局長,布村初等中等教育局長から以下のとおり,挨拶があった。

【坂東高等教育局長】  高等教育局の坂東と申します。
 この特別部会につきましては,高等教育局と初等中等教育局の連携で担当させていただきますので,よろしくお願い申し上げたいと思います。
 本日は,委員の先生方には,大変お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。また,この特別部会は大変重たい課題ですが,委員としてお引き受けいただき,これからの審議に御参加いただきますことを,本当に心から感謝申し上げたいと存じます。
 ただいま,安西部会長からもお話がございましたとおり,21世紀社会は非常に激しい変化,それから多様性を特徴としており,この社会において生き抜いていく力を,各学校段階を通じて確実に身につけさせていく,発展,強化をしていくというのは非常に重要であると思っております。そのためには,やはり各学校段階の取組が連動していくということが重要であると思っておりますが,特に今回,課題になっております高等学校教育,それから大学教育が21世紀社会を生きていく子供たちに力をしっかり身につけさせていくということとともに,大学入学者選抜をはじめといたします,高等学校教育と大学教育の接点のところがうまく機能して,両者の努力というものを,本当に強化していく,有効に動かしていくということが極めて重要であると思っております。
 そのような趣旨に立ちまして,先ほど御紹介がありましたように,この8月28日に文部科学大臣から諮問をさせていただきまして,この特別部会を設置させていただいたところです。また,6月5日に「大学改革実行プラン」が策定されておりますが,その実行プランの中にも,大学教育の質的転換とともに,大学入学者選抜の改革ということが大きなテーマ,課題として取り上げられているところです。
 その中におきましては,志願者の意欲や能力,適性等の多面的・総合的な評価に基づく入試への転換ということをうたっているところです。また,そういった方向につきましては,同じく6月に出されました「グローバル人材育成戦略」の中でも,大学入試改革について求められているところであり,また,それらを受けての「日本再生戦略」の中にも盛り込まれているということです。
 そういった様々な要請及び,先ほどお話がありました高等学校教育に関して検討しております初等中等教育分科会,それから大学教育の質的転換について御検討いただきました大学分科会の両者からも,大学入学者選抜の在り方を含めて,大きく高等学校教育,大学教育,それから,その接続の問題についてきちんと検討し,改善方策を打ち出していくべきであるということについて,強く要請されているところと思っております。
 そのような事柄を受けて,先ほど申しましたように,8月28日に文部科学大臣から「大学入学者選抜の改善をはじめとする高等学校教育と大学教育の円滑な接続と連携の強化のための方策について」という諮問が行われたところです。そのときに文部科学大臣からも,重要なテーマであるが,1年程度を目途に精力的な御審議をいただきたいということ,その間に基本的な方向をお示しいただきたいということでお願い申し上げました。重要な,かつ難しいテーマですが,委員の皆様方には精力的な御審議をいただきまして,この重要な課題についてのあるべき方向性について御議論,お示しいただければと思っております。
 本日はどうもありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。

【布村初等中等教育局長】  続きまして,初等中等教育局長の布村と申します。高等教育局と一緒に,この高大接続特別部会を担当させていただきます。一言だけ御挨拶させていただきます。
 委員の先生方には,この特別部会に御参加いただきまして,本当にありがとうございます。お話にも出ておりましたが,高校教育については,昨年の9月に設置されました初等中等教育局分科会の高等学校教育部会におきまして,多様化している高等学校教育の状況を踏まえて,全ての生徒に身につけさせるべき最低限必要な能力,コアとなるものは何ぞやということ,あるいは高等学校教育の質保証の在り方について現在,検討いただいているところです。
 この高等学校教育の質保証の在り方につきましては,この接続特別の中心テーマとなります大学入試の在り方,あるいは高等学校教育と大学教育の接続の在り方と密接に関係することとなります。今後,高等学校教育部会での検討状況,あるいは来年度から新たに実施されます高等学校の学習指導要領の状況なども適宜御報告させていただきまして,それらにつきまして,大学関係者の皆様方の幅広い御理解をいただきながら,大学分科会,高等学校教育部会,そしてこの特別部会が一体となって御審議いただきますよう,重ねてお願い申し上げまして,御挨拶にさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。

【安西部会長】  両局長からの大変力強いお言葉でした。二つの局が関わっていただくのは非常に大事なことだと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

(5)事務局から,初等中等教育分科会及び大学分科会に関する資料と大学入試の現状と課題,及び本部会における審議内容について,資料1,5~8,9-1~9-6の説明があり,意見交換が行われた。

【田中高等教育政策室長】  それでは,失礼いたします。
 まず,8月28日の中央教育審議会の答申の概要について御説明申し上げます。
 資料5-1,A3の紙です。そちらのほうを御準備いただけますでしょうか。まず,本答申の検討の趣旨,背景ですが,1.にありますように,将来の予測が困難な時代におきまして,大学は,次代を切り拓く人材の育成などによりまして未来を形づくり,社会をリードすることが求められている。そういった検討の趣旨,背景のもとに,そのための大学教育の改善について提言をいただいたものです。
 そして,特に2のところですが,答申に至るまでの検討の基本的な視点を3点ほど整理しておりますが,その中で,真ん中の欄です。初等中等教育から高等教育にかけて,これからの時代に求められる能力をいかに育むかという視点からも検討が行われたところです。
 そして,3.のところですが,左にありますような,我が国の目指すべき社会像を踏まえまして,これからの成熟社会に求められる能力といたしまして,そこに挙げた4点をはじめといたしまして,いわゆる汎用的能力,あるいはジェネリックスキルと言われるような能力を今後養成することが必要であるということが提言されているところです。
 そのために,その下の欄の4ですが,双方向の授業,あるいは教室外の学修プログラムによる主体的な学修を促す学士課程教育の質的転換や質を伴った学修時間が必要であるとされているところです。
 ただ,5.にありますように,学生の学修時間が諸外国と比べても短い,あるいは一番下の菱形のとおり,高校生につきましても,学力中間層の勉強時間が最近15年間で約半分に減少しているといった課題があるということを踏まえまして,6.あるいは8.にありますような具体的な改革方策を提言していただいているところです。
 そして,その上で,更なる課題といたしまして,7の○3ですが,高等学校教育と大学教育の接続や連携の改善を更に図っていくことが必要であるという認識に基づきまして,一番下の欄ですが,速やかに審議を開始する事項といたしまして,今後1年を目途に基本的な方向性を整理する事項の中で,高等学校教育,大学入学者選抜,大学教育の三局面の改善を連携しながら,一体的に審議することが必要であるというご提言をいただいたところです。
 そして,この答申が出されました8月28日に,資料1にありますような諮問が行われまして,資料2のとおり,本特別部会の設置が決定されたというのがこれまでの経緯です。

【小谷教育制度改革室長】  初等中等教育分科会の高等学校教育部会の審議状況について御報告いたします。
 昨年9月に初等中等教育分科会に常駐の部会として新たに設置されました高等学校教育部会ですが,これは,初等中等教育分科会長でもいらっしゃいます小川分科会長が部会長を務められまして,この特別部会の委員にも御就任いただきました安西部会長,金子委員,相川委員,荒瀬委員,及川委員等に御参画いただきまして,現在,高等学校教育の在り方について御審議を進めさせていただいているところです。
 8月10日の部会におきまして,これまでの御審議をもとに,資料6-2として配付させていただきましたが,「課題の整理と検討の視点」というものをおまとめいただきまして,委員の皆様の共通理解が図られたところです。この内容につきまして,時間も限られておりますので,資料6-1を概要によって御報告させていただきます。
 まず,1.にありますように,高等学校教育の現状としましては,中学校卒業後の生徒の98%が進学しまして,生徒の興味・関心,能力・適性,進路等が極めて多様となっておりまして,学力面につきましても,極めて高い学力を有している者がいる反面,小学校や中学校における学習を十分習得していない生徒も少なからず見られる状態となっております。
 これまで,生徒の実態に対応いたしまして,できる限り幅広く柔軟な教育を実施するために,各都道府県ごとにおきまして,様々な高等学校改革がなされてきているわけでして,その結果として,多様な学習ニーズに応えるということは可能となっておりますが,それによって,かえって高等学校教育として共通に求められるものは何かという視点が弱くなっているという指摘もあります。
 また,2.にありますように,将来の進路等の関連を意識して学びに取り組む態度ですとか,社会の一員として求められる意識・態度の育成,あるいは学習時間の減少に指摘される学習意欲の減退も課題となっております。
 これらを踏まえまして,3.にありますように,今後の高等学校教育には,どの高等学校においても,生徒の自立に向けて,全ての生徒に最低限必要な能力を身につけさせるとともに,また,生徒の適性や進路に応じて必要となる資質・能力が期待されること,そしてまた,各学校が地域の実情や生徒の希望の実態等を踏まえて,目標とする人間像を明確にした上で,それぞれの生徒の個性や能力を伸長させる教育を行うことが期待されているとされております。
 このような考え方に基づきまして,4.にありますように,今後の施策の方向性として,全ての生徒に最低限必要な能力を身につけさせること,また,学校ごとに地域の実情や生徒の実態を踏まえて,生徒が習得すべき内容を明らかにしていただいて,その内容を確実に習得させるとともに,習得状況を明らかにする,様々な質保証の仕組みを構築することが必要とされております。
 さらに,2ページ目に参りまして,5.にありますように,高等学校教育が,質の保証に関する機能を十分に果たしていなくて,高等学校教育の成果が見えにくくなっているとの指摘もありますことから,社会の信頼に応えていくために,質保証に当たっては,○1から○4にありますような,高等学校においてどのような能力を身につけさせるか,その到達目標を誰がどのように設定するか,到達目標に対する達成度をどのように把握するか,上記の点を踏まえた質を保証する仕組みをどのように構築するかといった視点で議論を行っていくことが必要とされております。
 こうしたことのほかに,6.にありますような,各種の振興方策の検討事項を例につけてお示しいただきまして,今後,具体的な方策について議論を行っていただくこととなっております。
 また,7.にもありますように,高等学校教育部会におきましても,高等教育への接続の円滑化を図るために,大学入試の在り方を含めた高大接続の在り方について,別途検討が必要であることは指摘をなされているところです。
 以上,簡単ですが,審議内容について御紹介させていただきました。8月以降は,この課題の整理と検討の視点に沿って,全ての生徒が最低限身につけるべきコアに関する議論や質保証のための様々な仕組みについての議論を進めていただいているところです。

【平野大学入試室長】  資料7に基づきまして,高大接続の関係の基本的なデータについて,時間の関係もありますので,ポイントのみ御紹介させていただきます。
 お手元の資料7,まず,2ページ目を御覧いただけますでしょうか。2ページから6ページにかけましては,高等学校の現状に関するデータです。2ページにありますとおり,高等学校の数につきましては,近年,減少傾向でして,国公私合わせて5,000校程度という実態です。
 3ページ以降,学科等の状況です。
 6ページを御覧ください。高等学校の卒業生の進路の状況です。こちらを見ていただきますとわかりますとおり,普通科のみならず,専門学科でも大学,短大への進学率が上昇しているという状況が見てとれます。
 7ページ以降は,高校生の現状に関するデータです。
 8ページを御覧ください。こちらもよく使われる資料ですが,特に高校生の平日の学習時間というものが非常に減少しており,中でも中間層の学習時間が減少しているというデータです。
 9ページも,その関連のデータです。
 また,10ページ,11ページにつきましては,高校生の授業の理解度に関するデータです。各教科ともに,「ほとんどわかっている」「70%くらいわかっている」と回答した者の合計が半数に満たないという状況になっておりまして,11ページにありますとおり,偏差値別に見た状況でも,国語を除き,全ての偏差値の段階で50%を下回るという状況になっております。
 少し飛びまして,14ページが中退の状況です。中退率については,近年,減少傾向にありまして,割合で申し上げますと,1.64%というのが最近の状況です。
 16ページ以降が,大学入学定員・入学者数等の推移の関係のデータです。
 17ページのデータにつきましては,特に18歳人口のところを御覧いただきますと,平成4年の205万人というものが近年ではピークですが,これをピークに減少傾向をたどっておりまして,近年は120万人前後で推移しているという状況です。
 これに伴いまして,大学,短大への進学率は,平成23年度で56.7%に達しております。大学,短大への入学志願者のうち,どのぐらいの人数が大学,短大に実際に入学したかという数である収容力というのが一番右上にありますが,大学及び短大入学志願者の92.1%が,いずれかの大学,短大に入学しているというような状況です。
 続きまして,20ページを御覧ください。進学率の状況ですが,都道府県による格差というのは大変大きいものがありまして,専門学校を含めた進学率で見ますと,トップが京都の79%というのに対しまして,青森では57%と,22%の開きがあるという状況です。4年制大学に限って見ましても,トップは東京の62%ですが,最低では,鹿児島の31%と,およそ倍の開きがあるというような状況です。
 21ページが,諸外国との比較です。折れ線グラフが大学進学率ということで,左側の数値ですが,日本は進学率が上昇したとはいえ,諸外国と比べるとまだ低いというような状況になっているところです。
 それから,22ページですが,高等教育進学率自体は伸びてはいるのですが,進学者の数,絶対数で申し上げますと,日本だけが減少しているというような状況です。
 23ページは,大学の修了率ということでして,言いかえれば,中退せずに無事に卒業した者の割合がどのぐらいいるかという数字です。OECD各国平均が70なのに対しまして,日本は93%の者が卒業しているというような状況です。
 24ページは,25歳以上の入学者の割合ということでして,右側のグラフが,特に大学型高等教育機関の在籍率のデータです。25歳以上の学生の割合,OECD平均で21.1%に対しまして,日本はわずか2%というような状況で,かなり特異な状況になっているということです。
 25ページ以降は,その社会人の内訳について,若干詳細な資料を掲げております。
 29ページ以降が,大学入学者選抜の現状です。
 30ページを御覧ください。入試方法については,大きく3通りの方法がありまして,基本的には学力検査を中心に,調査書や面接,小論文等を課す一般入試というやり方,それから校長の推薦に基づいて,原則としては学力検査を行わない方法で選抜する推薦入試というやり方,それから,アドミッション・オフィス入試(AO入試)と言われるような,こちらは校長の推薦ではなくて,自分で公募型で応募するという形ではありますが,推薦入試と同じように学力試験に偏ることなく,多様な評価基準で選抜するという方法の大きく3通りの入試方法が現在あります。
 31ページが,その選抜方法の割合の経年変化を示した円グラフですが,一般入試の割合が,ここ10年程度で大きく減少して,半数近くにまで減少してきているということです。それに対して,AO入試のほうが,23年度で8.7%ということで,大きく増加しているというのが現状です。
 32ページは,これを国公私別に出した割合でして,特に私立大学におきましては,一般入試を経て入学される方が23年度で48.4%と半数を切っているという状況になっております。
 33ページ以降は,AO入試の実施状況です。AO入試を実際に取り入れている大学,学部,入学者数等についてまとめさせていただいております。
 34ページ,AO入試を取り入れている大学数については右肩上がりで増加をしてきているという状況ですが,入学者数について見ますと,平成23年度,初めて減少に転じたというような状況になっております。
 35ページは,AO入試の実施大学・学部数の割合でして,公立が比較的,AO入試に対しての取組が慎重だというのが見てとれるところです。
 それから,36ページにつきましては,AO入試で実際どういう選抜方法を使っているかというものでして,書類審査,面接を使っているところが大変多い状況です。
 それから,37ページにつきましては,AO入試において,学力把握措置をどのように講じているかという調査です。全体で,約9割の大学では,何らかの学力把握措置を講じているとアンケートに回答しているわけですが,実際,どういった手法を用いているかというところを見ますと,面接で学力把握をしていると回答しているところが大変多く,右のほう,高校の教科の評定平均値を出願要件として利用しているというところは,学部数で申し上げますと2割程度にとどまっているというのが現状です。
 38ページ以降は,推薦入試の関係ですが,これも大変AO入試と状況が似ておりますので,省略させていただきます。
 43ページ以降は,大学生の学修の状況でして,日本の大学生の学修の状況は,アメリカと比較しても大変少ないというデータが挙がっているところです。
 49ページ以降は,入試以外の高大接続の関係の資料を幾つか御用意させていただいております。
 50ページは,高大連携の状況ということでして,高校生が大学の教育に触れる機会の提供で一番多いのはオープンキャンパスでして,大学教員が高校で出向いて行う講演,あるいは高校生を対象とした体験授業というのがこれに次いで多いというような状況になっております。
 51ページが,初年次教育を導入する大学数ということでして,大学に受け入れた後,大学での学びに移行するための初年次教育を実施している大学というのは,平成21年度で617校と,大きく増加をしてきているという状況にあります。
 最後,52ページについては飛び入学の関係です。飛び入学は,平成9年の制度改正で制度化されまして,平成10年から第1期生の受け入れが始まったわけでして,約15年たったわけですが,導入大学は6大学という状況でして,累積入学者合計でおよそ100名という状況になっているところです。

【田中高等教育政策室長】  続きまして,資料8,「審議に当たっての主な視点等について」という資料について説明させていただきます。
 この資料は,資料1にございます諮問文ですとか,先ほど御説明させていただきました,8月28日の中教審答申からまとめたものです。
 1.ですが,諮問の趣旨を改めて整理させていただいております。そこにありますように,生徒・学生がこれからの時代に求められる力を確実に身につけるためには,各学校段階の取組と連携が必要であるわけです。そこにありますような,様々な課題を解決するためには,高等学校教育,大学入学者選抜,大学教育について一体として検討することが必要であるということです。
 その上で,2.の審議に当たっての主な視点です。(1)高等学校から大学までを通じて育成すべき力と育成するための方策です。
 その一番上の丸ですが,下の米印のところにありますように,8月28日の諮問理由説明におきましては,これからの時代に求められる力というものをそこにありますような形で整理しているところです。このような汎用的能力と言われるような力を育成するための方策,あるいは教育の質保証の在り方,特に思考力,表現力,学びへの意欲などの把握・評価の在り方を改善していくことが必要ではないかというのが1点目です。
 (2)大学入学者選抜の在り方です。高等学校教育,そして大学教育の接点として大学入試が果たすべき機能をどう考えるかという検討が必要ではないかということです。その際,入試方法の多様化,あるいは評価尺度の多元化,受験機会の複数化の現状と課題をどう捉え,(1)にありますような,これからの時代に求められる力を育成する観点から大学入試をどう考えるか,さらに,大学入試センター試験の課題をどう捉え,今後の在り方をどう検討していくかということを掲げているところです。
 2枚目です。(3)高等学校教育と大学教育の接続・連携の在り方につきましては,高等学校教育の質保証,大学入試の改善,大学教育の質的転換の一体的推進とそのための連携方策の検討が必要ではないかということです。

【安西部会長】  今日は,第1回ですので,御自由に発言していただければと思います。後で全体的な議論の時間はとらせていただきたいので,委員の皆様お一人3分ということで御発言をお願いいたします。
 まず,副部会長をお願いした無藤委員にお話しいただいて,それから,吉田委員が早目にということですので,無藤副部会長の後,吉田委員,それから,生重委員から金子委員のほうへ時計回りにお話を伺えればと思います。

【無藤副部会長】  では,個人的な意見になりますが,お話を少しだけさせていただきます。私も少し早目にこちらを出るということがありまして,最初に順番をお願いしました。
 私はこれまで,この中央教育審議会において初等中等教育に主に関わって,その中に高等教育も当然ながら議論がありました。既に事務局から御説明がありましたように,高校のほうは極めて多様化しているわけで,そういった様々な高校を同じ高校と呼べるかどうか自体の問題というのが出てきているわけです。
 その前の学習指導要領の改訂においても,高校教育については十分討議し切れなかったという気がしています。義務教育の改善のところまでで,高校については,今のような難しい問題の中で比較的小さな手直しになってしまって,大きな問題が先延ばしになっていると思います。そういう意味で,今,特別部会のほうでいろいろ議論していただいているわけです。
 その一方で,私は大学の教員でもありますが,私の大学は,言うなれば中堅の小さな大学ですが,いわゆる養成教育というのでしょうか,教員とか保育士,介護福祉士などの養成が中心です。そういう立場で見たときに,入ってくる学生の学力というのでしょうか,意欲も含めてですが,非常に幅があるわけです。大変力があり,やる気のある学生と,不本意に来たのかどうかわからないのですが,なかなか難しいところがあります。
 その一方で,出口としては,やはり就職で,それに向けていろいろ指導していくわけですが,そういう意味では,就職して,直接的にその現場から今年の学生はどうだというフィードバックが来るというか,反応がありますので,私どもとしては,4年間かけてきちんと現場に通用するだけの力を持つということでやっているわけです。
 そういう中で,二,三だけですが,いろいろなことを考えてまいりました。
 一つは,既に中教審の報告,高校教育,大学教育に十分書いてあるわけですが,非常に多様であるわけなので,例えば入試をこのやり方一つで決めてやりなさいとするのは無理だろうと思います。あるいは学修力というものにしても,やはり大学の種類とか在り方とかねらい,使命によっていろいろあり得ると考えますので,できる限りその多様性を尊重していきながらの質保証であってほしいということです。
 私は,学力が一部低い学生であっても,4年間,私どもの指導の中で成長していく姿を見ている限り,高等教育,大学教育の意義を感じているわけでありますので,一律に学力が一部低いからだめだとか,排除すべきだということではなくて,やはり成長可能性を捉えていく方向を是非望みたいと思います。
 それから2番目は,センター試験等は非常によくできた試験だと思っているのですが,その一方で,先ほどの資料にもありましたが,そもそも学力試験を受けずに入ってくる学生もいる。それから,センター試験ではない形の学力試験も当然ありますので,そういう意味で,生徒自身が自分たちの学び,学習,あるいは学力の在り方を自己理解できるようなこと,またそれが高校,大学にフィードバックされていくような試験ができないものか。それは,センター試験という枠がいいのか,別な形がいいのかわかりませんが,そういうことがあると,例えば入学してからの学修とか,あるいは推薦入試の場合には半年以上のブランクがあるわけですが,その中での学修ということについても有益な方向が出せるのではないかと思っております。

【吉田委員】  私も先に意見を言わせていただくことを感謝申し上げます。
 今日は,まだ初めてということですので,基本的な考えを申し上げさせていただきたいと思いますが,今,このいろいろな報告書等でもありますように,全ての意志ある人が学習できる機会を広げようということを目的に,高校や大学ともに進学率が上昇してきている社会で,高校教育も大学教育も,さらには大学入試も多様化を目指して,あるいはそれを容認してきた中で,例えば学力という視点から捉えれば,生徒や学生の質も多様化して低下してきている,それは当然の結果ではないかと思います。
 諮問理由の中でも,生徒や学生の質の低下を指摘しながら,学力偏重の入試は,入試の多様化,多角化にそぐわないとするなど,学力重視の入試も,また多様化の一つではあると思うのですが,やや論調が混乱してきているような気もいたします。
 さらに,諮問理由では,志願者の意欲・能力・適性等の多面的・総合的な評価に基づく入試への転換が不可欠とされておりますが,これも方向性としては非常に正しい報告だと思いますが,それを実現するというのは大変難しい問題なのではないかと考えております。
 また,高大間に限らず,学校間の接続問題というのは,それぞれの学校種の懸案事項が集約的に顕在化してきて,俗な言い方をすれば,学校種間の責任のなすり合いになりかねない,そういうおそれがありますので,せっかくこの場で審議するのであれば,そうならないように,これからの制度の見直しで直接影響を受けるのは,あくまでも子供であるということに十分留意して,よりよい方向への方針がまとめられるように御指導いただければと考えております。
 また,大学入試は,今も昔も高校生にとって,また親にとっても一大事であることは変わりないと思います。よく勉強する高校生はもちろんですが,勉強しない高校生にとっても,頭の片隅から離れることはないのではないかと思うのです。いい意味でも悪い意味でも大きなプレッシャーになっていることは確かだと思いますので,この特別部会で大学入試について多角的,総合的な評価に基づくものへ転換する方向性を示すといたしましても,高校生にとって,勉学や自助努力の目標となるような基準,そういったものを明確にしていただけるように会議を進めていただきたいと願っているところです。そうしませんと,現在の推薦入試とかAO入試のような二の舞になってくるという状況ではないかと思っております。
 また,これに伴いまして,高校の教育課程一つとっても,やはり今の入試に向けたというか,学力偏重の,記憶する教育課程から,先ほどもありましたが,双方向教育,やはりそういった時間を持ってディスカッションやそういったことができるような,そういう教育内容に変えていくという必要も絡んでくるのではないかと考えております。

【安西部会長】  今日のところは,それぞれ御自由に御発言いただければと思います。一巡したら,全体的な議論の時間をとらせていただければと思っております。よろしくお願いします。

【生重委員】  私は,学校の教員でも,ましてや大学の関係者でもない中で,大学入試制度の見直しというところにお呼びをいただいたのは,本当に荷が重いと,今,正直思っております。なぜここに参加できたかというのは,私は,昨年は全国の40の大学で,大学生のキャリア教育に携わらせていただきました。小中高と各校種をまたいでそれぞれの学校の子供たちの学びの後方支援をしている民間のNPOです。
 子供たちと多く接している中,特に昨年,大学生たちと様々な取組をさせていただいて,すごく感じたことは,体験というところの力がものすごく欠けている。なぜ学ぶのかというのは,それぞれがやはり実感しない限り,自分自身が真摯に取り組むというところにいかないのではないかと思います。多くの出会い,体験,それも望んだところでそれぞれの学生がきちんとマッチングされて,自分の意欲に火がついたときにものすごく力を発揮してくる姿を見せていただくのは,私の無上の喜びです。
 昨日,沖縄のほうで高大のキャリア教育,1回目の作業部会を済ませて帰ってまいりました。このようなことは言っては失礼ですが,沖縄は学力が相当低いと思われます。それは県を挙げてよくわかっていらっしゃるところですが,しかし,沖縄には沖縄のよさがある。伝統文化,芸術,それから芸能の点についても,それぞれが自信を持って,自尊感情をきちんと高めながら,その一番手じゃなくても,ピラミッドの中間層がどう生きていくかということが意識できる。片一方で,大学を卒業して,今5,000人の無業者がいるというその現状もある。
 何をやっていけばいいのか。大学に入ってくるときに,大学は専門的な学びを深めていくところですが,まず,社会性,自立性,判断力というようなものを,きちんと大学の中で身につけて,自身が生きていく力を身につけていくかということを考えていくのが重要なのではないかと思うのです。まだこれから先を進めていく問題ですが,昨日が1回目ですので,ここで全部を申し上げられるわけではないのですが,小中高における教科に求められるリテラシーというものが全然到達していないまま大学に入ってしまって,不幸な現状を招いている学生たちにも多く出会います。私は,AO入試で入ってくるところを,いかに本来持つべき力を持って,基礎的学力も身につけているかということを判断できるものに方向を変えていくことができないかと思いながら,難しい問題なので,私ごときが何をと思うのですが,でも,なるべく多くの若者がしっかり自立していけるような,そして,生涯にわたって学び続ける力を身につけるような,そういう大学教育を目指して入っていっていただける環境をつくりたいと思います。

【金子委員】  私は先ほど,この資料7の30ページを見ていて気がついたのですが,大学入学者選抜の現状と書いてあって,基本方針の一番最後のところに,「入試方法の多様化,評価尺度の多元化に努める」と書いてあって,これは多分,文科省のここ10年くらいの基本方針だったと思うのですが,基本的にこの特別部会が1年間活動して,この文章をどのように変えるかが多分短期的には非常に大きな問題になるだろうと思います。
 それからもう一つ,この文章を見ていると非常におもしろいのですが,前段は「大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等を多面的に判定し」と書いてあるのですが,第2パラグラフは,「高等学校段階で育成される学力の重要な要素を把握する」と書いてある。要するに,大学教育への適性を判断するのか,高等学校段階で課せられている知識・技能を獲得したことを判定するのか,この二つの原則がやはりあると思うのです。それがどのように一致させるのか,あるいは組み合わせるのか,さらに両者に共通する何らかの基礎的な学力というものがあることを想定するのか,そこら辺の議論はこれから非常に重要な基本的な問題であろうと思います。
 それから,私自身が中期的には必要だと思っていることを3点申し上げます。
 一つは,高校生の基礎学力の何らかの形での認定試験のようなものです。要するに,どのような高校生にとっても,学習の目標になれるような一定の基準といったものです。それは,高校生全員に私はやるべきだと思うし,高校生の希望者でもいいと思います。それから,もう一つの考え方は,センター試験の一部にそういった基礎科目を入れるということもあるかもしれませんが,私は基本的には就職する高校生も含めて,そういった試験を課し、それは何回受けてもいいと思います。ただし,AO入試,推薦入試で大学に行く学生についても,一応そういったものを受けてもらう,それが第1点です。
 2点目は,センター試験については,入試科目をもう少し大くくりにする。特に理科,社会等々については,一つの科目というよりは総合的な科目として取り扱う。これに関しては,多分,高校のカリキュラムとの関係も非常に重要だと思います。そんなに簡単ではないと思いますが,様々な点からして,今現在のセンター試験のような形は,長期的には持ちこたえられないのではないかと考えます。
 3番目は,これはむしろ高校というよりは大学の問題ですが,やはり大学入学時の学部・学科の分け方があまりに細か過ぎる。これについては,この委員会でも議論できると思いますし,高校の側からも,やはりそういった声を上げていただかなければいけないと思います。先ほどのデータに出ていましたが,高校生の段階で,自分がどこの学科に向いているかという適性の判断がどんどん難しくなっているわけでありまして,それに対して,むしろ大学の論理でもって今のように細かく分けているわけですから,これについては,やはり教育上の観点から言えば大綱化が必要だと思います。

【相川委員】  私は今日,この委員ということで連絡をいただきまして,全国の県連会長さん方と話をさせていただきました。各県で取り組んでいるのは,いわゆる高大連携というような形で,いろいろな仕組み,いろいろな関わりをしております。これは,大学と教育的な活動を連携して行っている高大連携という形でいろいろなプログラムを各地域の大学と地域の高校がしているというものです。
 それでは,高大接続というところの視点で今回は議論がされていくということで,高校と大学がつながっていくために,最低,何が必要なのかというところの話になっていくと思っております。
 それでいくと,高校教育の問題,大学入試の問題,大学教育の問題ということで,先ほどからいろいろ御説明があったのかと思っております。
 昨年,センター試験のトラブルがあって,それの検証委員会にも出させていただきました。そのときに感じたことは,やはり子供の視点に立っていないということを私は強く感じました。いろいろなシステムが複雑になっていて,当の対象となる高校生の子供の視点に立ったシステムにはなっていないなというところで,トラブルの検証委員会のときには随分お話をさせていただきました。
 それから,大学に進学しない生徒もいるわけですから,その生徒たちのことも考えて,基礎知識が身についていないとか,社会に出て自立していく力をつけてほしいとか,企業側からもコミュニケーション能力が不足しているとか,いろいろ高校生に係る意見は,その都度私たちも聞く場面があります。
 ではどうしていくのかということでの議論になります。高校生が高校生たる時期に学ばなければならないことは何かということを,私たちもそれは課題として取り上げております。いきなり高校生の基礎知識が身についていないといっても,ここは幼小中のいわゆる小さいときからの取組の積み重ねが不可欠ではないかということだと思います。高校生になっていきなり学力が身についていないからというようなことではなくて,やはり積み重ねだとも思っておりますし,私ども全国高等学校PTA連合会の調査でも,このデータにもあるように,家庭学習の学習時間が非常に少なくなっているということが言われております。そのことも頭に入れながら,考えていかなければいけないと思います。大学入試に関しても,AO入試で早く決まってしまえば,実のところ,子供はほっとしますし,保護者も進路が一つ決まったということでほっとします。でも,その後の問題で,どういうことをしなければいけないのかと思います。受かってしまったら,後は終わりなのかというところも含めAO入試に関しては,導入している大学側の問題,受験する高校生,高校側の問題についても課題があると思います。
 この特別部会では,そういう意味で,先生方からいろいろな御意見をいただいて,保護者のほうにフィードバックしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【荒瀬委員】  まず,こういう特別部会が設置されて,そして,高等学校教育と大学教育と連続的に考えていこうという機会になっていくことに対して,私は3月まで高校の校長をしておりましたが,大変期待しております。
 この1年間ということで,期間的には短いですが,ここでの議論がこれからの日本の社会を明るく,よりよい方向に持っていくようなことに少しでも資することのできるものになればと思っております。
 現在,私は京都市教育委員会におりまして,そこでこの7月ごろから,中学校教育と高等学校教育の接続をどのように考えるかという,中高接続プロジェクトというものを立ち上げました。その中で何を考えているかといいますと,学ぶ子供たちというのは,それぞれの学校段階で,学校としての目標とか学校としての考え方というのはありますが,一人の人間がどのようにして育っていって力をつけて,将来,社会で生きていくかということに深く関わる,あるいは一部を担うわけでありまして,その意味で3点申し上げたいです。
 1点目は,高等学校も大学も学ぶ場であって,学び続けていく青年をどのように育てていくのかということにきちんと視点を当てた議論になればいいなということを思っています。高等学校を卒業したら,生徒と高等学校との関係は切れるかもしれません。大学と学生との関係も切れるかもしれません。しかし,彼らはそのままずっとこの社会で生きていくわけでありますし,その際に必要な力を,高等学校教育,大学教育で連続してつけていかなければならないということを思っております。
 2点目といたしましては,その高大の接続で大きな意味を持つのが大学入試でありまして,高等学校教育は大学入試に影響を受けるだけで存在してはいけないということはもちろんですが,高等学校教育に大学入試が影響していることは,現在,紛れもない事実です。
 私は,高等学校の卒業認定というのは,これは各高等学校において校長がするべきものだと思いますが,しかし,高等学校でどういった基礎学力をつけたかということを判定するような,全国的な共通した私見のようなものが必要なのではないかと思っております。それは,基礎・基本に関して,弱点を生徒自身が認識して,それを自分の今後の取組に生かしていくためのものであります。
 一方で,大学入学資格にもそれは使ってもいいかもしれませんし,また別途,現在のセンター試験ではなくて,大学入学資格を問うような。これは1点刻みではなくて,グレードでもって段階的に見ていくような,そういう統一テストというのも必要ではないかということを思っています。ここで見るのも基礎・基本の部分であります。
 3点目でありますが,先ほどから大学入試に影響される高校教育という面はあるとは申しましたが,高等学校教育は高等学校教育としてやはり自立して,生徒が学び続ける力を引き出すために,そのもとになる力は何かということを考えますと,これはやはり基礎・基本であると思います。学力の重要な3要素が学校教育法で明示されましたが,そのもとになるのはやはり基礎・基本であって,それとともに,今回の学習指導要領で重視されている体験というのも非常に重要だと思っています。そういうことを通して,未知のものや他者に対する謙虚さであるとか,あるいは学ぶことの苦しさとか楽しさとかといったものも学んでいけて,身につけることができて,それが活用能力や学習意欲につながっていくのではないかと思っています。
 高等学校では,当然のことながら,この活用能力や学習意欲というのをつけるために,きちんと基礎・基本をつけることに基づいて取組を進めていかなければなりませんが,先ほどの大学入試のことに戻りますと,大学入学資格を見るような統一的なテストとは別に,各大学におかれては,その部分で学習意欲や活用能力を見るような試験をしていただけないかということを思っております。

【及川委員】  数年前に高大接続テストというのが検討されたときに,高校の現場の受けとめ方というのは,また大学入試制度が変わるのかということです。入学者の学力水準が担保できていないという問題は,大学側のアドミッションポリシーに基づいた選抜の問題ではないかという捉え方をしていた向きが強かったと思います。
 今回,参考資料3の大学改革実行プランの中にあります,大学教育と入試,高校教育についてです。大学入試に様々な機能が求められ過ぎていた現状から大学教育,入試,高校教育それぞれの機能を明確にするということが出ているのですが,私は先ほど申し上げました高大接続テストの受けとめ方というのはどう受けとめなければいけないのかということが,この現状と転換後の図ではっきりと示されていて,私自身は納得できています。
 つまり,高校教育に求められているものは三つ。学習意欲の喚起,幅広い学習の確保,学力の状況の把握ということなのですが,とりわけ学力の状況の把握というところは,高等学校段階の学習成果を図るという仕組みも含めて言っているのだと思いますが,まさにここは高校教育が担うべきところであると私は受けとめています。
 その意味で,先ほど金子委員もおっしゃいましたし,荒瀬委員もおっしゃったことと共通するかもしれませんが,あくまでも高校における学力の客観的な把握の仕組み,学習成果の把握の仕組みというのは,大学入試制度そのものと区別をしてやはり考えないと,今回,諮問の内容に応えていくことはできないのではないかと考えています。それが1点です。
 それから,諮問内容の真ん中ぐらいのところに,AO入試とか推薦入試とかの外形的・客観的な基準が乏しくといったような問題点の次に,「一方で,選抜性の強い一部の大学を中心に,教科・科目の知識量を問う学力検査への偏重など必ずしも入試方法の多様化等が十分に進んでいないという現状もある」という指摘があります。この「一方で」というところで書かれていることというのは,別に選抜性が高い大学に求められることではなくて,全ての大学に求められることではないと思います。ただ,明らかに教科・科目の知識量を問う,そういうところに偏重している現状というのは問題だと思うのですが,そうだとすると,いわゆる高等学校の教科・科目を前提にした大学入試ということから抜け出せないといけないのではないかとも考えています。

【小林委員】  私は,大学の現場,あるいは就職の現場という,わりとリアルなところを見ているということで,4点ぐらいポイントがあるのではないかと感じております。
 先ほどから皆さんおっしゃっているとおり,大学の入学者選抜なのか高校の質保証の問題なのかという二つのところを解決しなければならない非常に難しい問題だと思うのですが,一つはまず,学習到達度を測定するというところだと思っています。リアルな現場では,例えば企業の新卒採用が面接のときに入試方法を聞くということがあります。あなたは一般入試ですか,AO入試・推薦入試ですかというようなことを聞くことが起きてしまっているという現状があります。特に多くの企業の人事担当者は,大学の法とか経済とか文学部など文系学部の教育内容,成績評価を信頼していないというような状況がありまして,そのため,大学で何を学んだのか,どんな成績だったのかよりも,大学の入試結果を聞くというのがまだ現場で起こっています。
 AO入試・推薦入試は,学力の外形基準を持たないわけではなく,やってもいいのですが,やっていない大学が多いため,入学時の基礎学力を不安視しているのだと思います。アメリカでは,AO入試でも客観的な学力到達度を持つSATとかACTという共通テストを受けていて,学力のバックボーンを保証しているということです。
 また,日本の推薦入試も,高校の成績評価が相対評価から絶対評価に変わったことで,高校の推薦入試を見るときに,評定平均がいわゆるインフレを起こしているということで,成績が信用されないというようなことも起こっています。
 一般入試も多様化,少科目化によって,いわゆる選抜機能が弱まっているということで,入りやすく出やすい大学というような批判を受けています。
 そう考えると,日本もいわゆる学習の積み上げを客観的にはかる何か試験みたいなものをきちんととっていく必要があるのではないかと思うのです。大学においては,今現在何を教えたかというインプットだけでなくて,何ができるようになったかというラーニングアウトカムというのを重視しようという動きがあります。これを,いろいろな段階で到達度を図る到達度テストというのがあればよいのではないかと思います。これが入学資格試験になるのか,それとも高校の到達度をはかるのかというのはこれから議論していく必要があると思っています。
 二つ目が,学力だけではなくて意欲の問題です。私がやっているカレッジマネジメントで全国の大学の学長にアンケートをとったときに,入学者への課題として,学力とあわせて意欲というところが両面に挙げられました。高校生にアンケートをとっても,自己肯定感というのが非常に低いというのがデータで出ています。
 学力を到達度ではかるとすれば,意欲というのはいわゆる体験価値とか経験価値といったようなものだと思いますので,例えば高校時代から経験とか社会体験とか学習などを記録するような個人カルテのようなポートフォリオみたいなものをつくっていて,それを大学にも持っていって接続できるようなものがあってもいいのではないかと思います。急に大学3年になって就活で自分を振り返って,業界研究から始めるというところではなくて,きちんと高校,大学あわせて,自分の人生というものを自分の体験を含めて考えていくような,自己認識させるような仕組みが必要ではないかと思います。
 三つ目は,制度設計に関する考え方ですが,既に私立大学の46%が定員割れであります。18歳人口はここ数年横ばいですが,再び減少フェーズに入ります。2025年時点では,18歳人口は今より10万人減少します。大学進学率を現状の50%とすると,進学者は5万人減少するということです。つまり,定員500人規模の大学が100校ぐらいなくなってもおかしくないマーケットインパクトがあるということです。つまり,大学経営の視点からすると,入学者定員を満たすために,入試のハードルを更に低下させていくということになります。入試改革を考える際に,机上の空論だけではなくて,きちんと大学の運用がどうなるかというような市場の状況を十分に考慮した上で設計していく必要があるのではないかと思います。
 最後に,先ほど金子委員もおっしゃいましたが,学部・学科がわからないということです。2008年の学士課程答申にもありましたが,その当時で学士分野が580あり,そのうちの6割が単独の大学のものだというところで,非常に学部・学科選びが難しくなってきているということです。この辺のところも含めて検討する必要があると考えております。

【近藤委員】  私は,大学側から高大の接続を考えるという立場で少し,今感じていることを述べたいと思います。
 大学と高等学校の間に二つのギャップがあるということ,そのギャップをどのように埋めるのか埋めないのか回避するのか,その辺が一つの入試改革等について重要な点かと思っています。
 そのように考えるに至ったのは,実は答申にもありますように,教育の質向上のため本学でも平成25年度から新しいカリキュラムをスタートさせます。それは,学士課程教育というものを改善していこうという,質的な向上を目指して大学を今改善しているわけですが,まず最初に三つのポリシーを作成するということで,教育の目的に合った形での学位授与方針を,大学,学部,学科でつくりました。そして,それに基づいたカリキュラムポリシーということで,教育課程編成の実施をどのようにやるかということで,実はうちの大学は学生数が6,000名を超えるぐらいの中規模な大学なのですが,その中でも授業科目が幾つあるかといえば,2,000科目ぐらいあるということです。これをどのように,いわゆるカリキュラムマップ,カリキュラムツリーという形で並べるか,順次性,体系性ということがカリキュラムポリシーのポイントになります。それで,科目を全てマップあるいはツリーに並べかえますと,4年間で学生たちがどのように学ぶかという一つのルートができ上がるということです。
 これを更にナンバリングという形で,初級,中級,上級という流れの中で位置付ける作業をやってまいりました。そのときに,この二つのギャップに気がつくといいますか,そういうことが起こってくるということです。
 どういうことかといいますと,いわゆる大学の1年生が学ぶ場合,どこまでの能力が必要かというところが入試に関わってくる,そういう問題があるだろうということです。そういう形で高校のカリキュラム等を見ますと,教科は10教科です。高校でのそれぞれの科目が大学の科目とどのように対応していくかということに問題がある。それが一つの最初の大きなギャップだろうと思っています。
 それともう一つのギャップは,大学で求められている,いわゆる教養教育という部分です。実は,専門教育に関しては,ナンバリングという形で4年間での順次性を策定することが可能です。ただ,教養に関しては,非常に多岐にわたります。ダイバーシティーという状況です。ダイバージングするという非常に多様性を持っている。一方,専門性に関しては,コンバージングしていく。すなわち収束していくような専門性がある。そういう二面性を持っている。
 ところが,高校までの教育課程の中で,この教養というのがどのような形で組み込まれているのだろうか。いろいろな形で科目の中に組み込まれているはずですが,そういう観点でなかなか見られていない。大学になって1年生のときに,どのぐらいの能力があれば,こういう教養を身につける,そういう資格になるのだろうか,そういうこともわからないということで,大学と高等学校の間には二つのギャップ,いわゆる専門性に対する科目の多様化というところでの違いと教養に対する考え方としての違いというものが,この三つのポリシーを策定する中で私は感じました。
 そして,今,アドミッションポリシーという入学者選抜の方針を決めるという形で,各大学がつくっています。これを見ていただいてわかりますとおり,非常に抽象的な表現になっていると思います。それはなぜかというと,そのギャップをどうしていいかわからない。このギャップをそのままにしておくのか,それとも回避をせずにそれを考えるのかという,いわゆる義務教育から高校へのツリーというのはでき上がっているわけですが,高校から大学への部分に関して,それをどのようにつなげていくのかというのは非常に大きな課題であると思います。それに対して,入試のやり方自体も大変限定されてくるのではないかと今感じています。

【垂水委員】  私は,国立大学で入試を中心に取り扱ってきた側面から,今回のこの特別部会に参加させていただいております。そういう意味で,簡単にどのように考えているか説明させていただきたいと思います。
 いわゆる新しい学力観とは,思考力,判断力,表現力,それとか創造性という形になりますが,正解のない問題に対して,どのようないい回答をつくっていくか,そういう創造的な力をどうつけていくかということです。逆に言いますと,そういうのを高校のほうで教育してくれたときに,大学側はどういう判断のもとにそういう学生を手に入れるのか,そういう形でのいわゆる高大接続,もっと言いますと,大学の入試という内容になってくるかと思います。ただ,大学の入試のほうはなかなか変わりきることができないという状況で,多分,今,各学部の先生にどういう学生が欲しいかと聞いたら,「頭のいい子」と,一言これしか言わない先生方が圧倒的に多いかと思います。いわゆる能力以外に意欲が非常に大事なのですが,なかなかそれを言ってくれる大学の先生というのは少ないのが現状だと思います。
 入試のほうで言いますと,いわゆる1点差が天国か地獄かという形,合否という形に分かれますが,その1点差というのが重要なのかという意味では,私は1点差,それを争わない,そういう入試ができれば望ましいのではないかと思います。逆に言いますと,例えばセンター試験とか,今いろいろな新しい試験の提案もありましたが,そこで1点を,点数をそのまま出すというのは必要ないのではないか。何らかのランク付けでいいのではないか。それは現在のセンター試験でもすぐにできることではないかと思います。もちろんいろいろな問題がありますから,片付けなければいけないところはたくさんあるかと思います。
 さらに,先ほど「頭のいい子」と言いましたが,いわゆる頭のいいというのは何なのか。少なくとも暗記力,それは知能とは違うと思います。現在の情報化社会という形でいいますと,記憶は人間がやることではなくて,計算機に任せればいい,算数の計算力も計算機に任せればいいという形になります。私は専門が数学ですが,これまでに新しい機械が出ることによって,数学教育も随分変わってきました。20年前,30年前になりますが,電卓が普及したことによって,いろいろな計算の仕方,もっと言いますと,高校で平方根の解法なんていう手計算の方法は,カリキュラムから落ちたという形になります。そういう意味で言いますと,新しい機械の発展に伴って,当然,カリキュラムも変わっていく。そういう中では,暗記は知能ではないので,これからはなくなっていくだろう。逆に言いますと,入試で例えれば辞書の持ち込みとか,この間ある大学でカンニングがありましたが,そういう検索というものも使うことを許せば,暗記というのはほとんど要らなくなるかと思います。もちろんすぐにできるようなものではありませんが,何かそういう新しい判別方法ができないかと願っているところです。
 今,AO入試・推薦入試に関していろいろ御意見ありましたが,国立大学のAO入試・推薦入試に関して言いますと,いわゆる非学力型試験でありますが,入学後の大学での成績を多くの国立大学で追跡調査しておりますが,ほとんどのところで非学力型試験と言われているAO入試・推薦入試で入学した学生のほうが,大学での成績は一般入試の学生を上回っているのが現状かと思います。上回っているといっても,統計的に有意な差はあまりありません。そういう意味で言いますと,あまり変わらない。要するに,非学力型試験でも悪くない子がとれているというのが国立大学の現状になります。
 そういう意味で言いますと,あまり複雑な試験をしなくても,いい学生は,少なくとも国立大学ではとれているかと思います。
 そこで,今まで私がやってきた入試の中で少し反省しているのは,高校の普通科に対する理数科です。この理数科に対して,私の近くの高校進学を目指している父兄のほうから,あまり評判がよくないという話が伝わってきました。いわゆる高校の理数科は実験ばかりしているから,大学入試に役に立たない。だから,理数科じゃなくて,普通科にやらせたいという父兄の意見が私のところに伝わってきています。我々大学の関係者としては,高校で実験とかをきちんとやってくれている。それを伸ばしていけるように我々は受け入れなくてはいけなかったと思います。それを受け入れたいがために,国立大学ではAO入試を導入したところが多いかと思います。最初は結構,そういう実験重視の理数科からたくさん入っていたのですが,だんだんと試験内容がわかってくると,普通科の子が多くなってきたという形で,理数科が減ってしまったという状況が起きています。高校でやった新しい教育を大学で受け入れるような入試方法を考えなくてはいけないと反省しているところです。それを含めて,これから新しい方式を検討できればと思っています。

【濵口委員】  私は今,大学の学長をやっております。主な関心事は,むしろ大学院教育の改革です。それでいろいろ検討している課題を改めてこちらの資料を見てみますと,共通している課題が多いというのが実感です。高校の教育から大学,大学院まで全て課題が共通している。グローバル化,リーダーシップだとかこういうキーワードが共通していると思ってずっと拝見しておりました。
 この問題というのは,特に入試改革の問題というのは,それこそこの資料の中に書いてあるとおり,完全な正解のない問題に回答をつくる作業であるということを実は実感しています。その中で,複合的多段階な要因がいろいろ重なって今の現状があると思うのですが,私は実感していますのは,ここでまず議論すべきことは,日本人の基本的な学力として,我々がどういうことを設計しなくてはいけないのか。ということです。その教える内容というのは,学生,子供に寄り添うことも必要ですが,ある程度厳しく自立を促す作業も必要であると思います。あまり寄り添うことだけで議論してはいけないということです。
 それで,例えばディベーティング能力であるとか,リーダーシップだとかグローバル化,こういうキーワードで見ておりますと,入試の多様化というのが,例えば国語をきちんと学ばない理系の学生,それから統計のわからない文系の学生を生み出しているかもしれないということです。議論をするまず大前提は,日本語がきちんとしゃべれなければいけないし,理解できなければいけない。それが今,非常に危うくなっている。特にICTが発達する過程で,私たち自身も例えば漢字が書けないとか,言葉を忘れるということが起きていますが,それは子供のレベルではもっと深刻に起きているように思います。ですから,私どもの大学では,理系でも国語を必須科目にしております。
 それから,現場へ行ってみて,特に私ども悩んでいるのは,理系の大学院の就職が結構難しい。ドクターの就職は難しい問題を抱えているのですが,最近,B-JINといいまして,ビジネス人材育成プランをうちの大学で数年やってきまして,今うちの大学でケアしている半分は他大学の方が来られて,就職の世話をしております。そのプロセスでわかってくることは,例えば金融界は文系の分野だと思われてきていますが,いろいろ聞いてみますと,統計的な能力が必須になっている。今の時代は,コンピューターワークがきちんとできないといけない。ところが,従来の縦割りでいきますと,文系の人材が主に就職しています。実際いろいろ世話をしてみると,多元数理という私どもの独立研究科がありますが,そこの学生が金融界に入ったり,それから,天文学をやっている学生が金融界に入ったり,こういうことをつなげるようになってきています。そこの世話をしながら感じることは,やはり基本,何を教えるかということが曖昧になっているところがある。明治以来の縦割りのコンセプトにあまりにも縛られているところがある。
 私どももう一つ反省は,やはり教養教育を廃止した後,その後の設計を十分してこなかった。改めてそれを十分やりながら,入試で何を求めるか。私は,基本5教科はきちんとやるべきだと思います。決して難しい問題を出せというのではなくて,国語はきちんと勉強していただきたい。数学もきちんと基本的なところをマスターしていただきたい。そのコアになるところをしっかり設計すれば,多くの問題が克服できるのではないかと私は思っております。
 どうぞよろしくお願いします。

【宮田委員】  私はグローバルな会社に勤めておりまして,そういう意味でのグローバル人材という観点から呼んでいただいたのではないかと思います。
 いろいろな観点はありますが,高校,大学の一つの目指しているグループの人たちである,グローバルでリーダーシップをとる人材というのをどうやって育てていくかという観点からだけ,ほかの観点は除いて,意見を少し述べさせていただきます。
 先ほど,小林委員がおっしゃったように,企業の現場では今,何十倍,何百倍もの人たちが受けにくるのに対して,学校名でも選別できない,学校の成績もあてにならない。したがって,弊社ですと,意欲を見る,本人が本質的に自分に持っている自信を見る,それから汎用能力を見るために,数値をハンドルできるテストをする。文章の理解力を見るテストもする。それから,コミュニケーション,プレゼンテーション,グループディスカッションも全部した上で,英語とストレス耐性を見るというような選抜方法で,ものすごく労力がかかる形で100人に一人というような人材を選抜しています。
 これは,なぜかといいますと,高校から大学に来るときの選抜方法というのが非常にブラックボックス化しており,選抜基準がわかりやすい大学もあるにはあるのですが,特にAO入試と推薦入試となると,もう全くわからない。一般的に非常に学力が高いと言われる大学からとってみて,試験をしてみたときに,数値能力だけが著しく劣っていて,最終的に落とす例というのも間々ありますので,そこもあてにならないという状態が生じています。
 企業側からしますと,特に人材の世界は今,全くもってグローバル競争の時代に入っていまして,同じ仕事をして,地域本社のシンガポールで働くのであれば,日本人をとるのかシンガポール人をとるのか,インド人をとるのか中国人を採用するのかという時代にもう入ってきております。その中で,本当にグローバルで通用する人材を育てるという観点から見ると,やはり高校から大学への入試の在り方が多少不透明で,何をもって最低の基準の汎用能力を判断しているのかわからないという状態になっています。
 ですから,先ほどからいろいろな方がおっしゃったように,共通の第三者基準を使ったような何らかのテストというのは,一定のものを必ずやっていただきたい。そうではないと,企業側としても,一体何をもって判断していいのか全くわからないという状況になっております。
 その第三者基準の具体的な評価については,私自身,あまり専門家ではないのでわからないのですが,それは基本5教科をやればいいのか,それとも基本的に数値の取扱いと論理の理解力みたいな意味合いのものをやればいいのか,そこは特に意見はないです。ただし,複数回のチャレンジができて,1点の差で振り分けるものではなく段階分けするようなものであれば,それで十分だと思っております。
 それで,もう一つなのですが,大学からは,よく産業界が学歴偏重主義だと言われますが,少なくとも弊社に限っては全く大学でとっているわけではないのです。それがなぜかといいますと,一定の学力は,いわゆるトップの大学の場合は比較的統計的に言うと担保されている感はあるのですが,コミュニケーション能力が学力と全く相関していないという状況がありまして,そちらを何らかの形で,大学への入学の選抜の仕組みの中に入れていただけないかというのがいつも考えていることです。
 もちろん,大学にもいろいろな役割があって,高度な専門人材で,特にコミュニケーション能力がそこまで高度でなくても構わないというような人材を育てる大学では,そのような入り口の選抜はもちろん要らないと思うのですが,グローバルのリーダーを育てたいと思っている大学学部では,入り口でそのような選抜をしていただければと考えます。
 あとは,英語の試験をもう少し工夫していただいて,正確に書くということではなくて,通用するというレベルの選抜ができると,非常に企業側としても助かると感じております。

【安西部会長】  率直かつ,前向きかつ,温かい御意見をそれぞれの委員からいただきまして,本当にありがとうございます。それぞれ多様な背景をお持ちでいながら,教育に関して相当の知識,見識のおありの委員ばかりでいらっしゃいまして,第2回以降,相当白熱するだろうと思います。1年程度ということでございますが,是非それぞれの,狭い意味での背景を超えて,これからの日本の教育のために,特に日本の教育を受ける子供たち一人一人が,本当の意味で幸せに将来暮らしていけるようにしていかなければいけないので,それはやはり,ここの特別部会が一定の役割を果たしていただければと思っておりますので,是非よろしくお願い申し上げます。
 今日,御出席でない委員からメッセージも来ておりますので,それを事務局から紹介していただいて,その後,多少時間がなくなってまいりましたが,改めて御意見を伺えればと思います。

【田中高等教育政策室長】  資料9-1から9-6まで,本日欠席された委員の方々の意見をまとめておりますので,御紹介させていただきます。
 まず,資料9-1です。浦野委員の意見です。
 下のほう,第4段落と第5段落の辺りですが,大学の入試が知的能力のみを計測するものではなく,何をいかに学ぶかについての準備や意欲を問うてほしい。そのために,口頭試問,心理テスト,面接などの導入が必要であるという御意見です。
 続きまして,資料9-2です。勝委員の御意見です。
 こちらは先ほどの宮田委員の御意見と同様,グローバル人材の育成の観点からの御意見です。
 資料の(2)です。高校生の勉学へのモチベーションとしての大学入試のメリット,機能は無視すべきでないという御意見。
 資料の(3)です。同様の観点から,大学生の学修の規律付けには,企業が大学の学修成果を評価することが重要であるといった御意見。
 資料の(4)です。課題解決能力や意欲などを判定するために,論文形式,面接などの導入を推進すること。あるいはグローバル人材育成の観点から,TOFLEの活用,英語での面接などが必要であるといった御意見。
 さらに資料の(5)です。統一試験の導入など,最低限の学力レベルを保持する学生が大学に入る仕組みをつくるべきだという御意見をいただいているところです。
 続きまして,資料9-3,田邉委員からの御意見です。
 3の,受験科目と教育課程編成というところですが,大学入試制度,特にセンター試験の変更は,高校の教育課程編成に大きな影響を与えるという御意見。特にAO入試や推薦入学による早期に合格した生徒に対する指導が課題となっているという御指摘です。
 また,4,本県の高大連携というところですが,具体的な例を挙げていただきながら,高大連携の意義と成果について御指摘をいただいているところです。
 続きまして,資料9-4,土井委員からの御意見です。
 真ん中辺り,1というところです。高大接続の問題を検討するに際して,高等学校教育の成果を確認するということと,大学教育に必要な能力・資質を確認すること,この二つの視点を,いずれかに偏ることなく,両方に十分配慮することが必要であるという御意見をいただいております。
 また,2のところですが,思考力,創造力,あるいは主体的・積極的に物事に取り組む態度などの能力の判定,あるいはそういった能力の育成の推進の必要性について御意見をいただいております。
 2枚目です。3のところですが,高等学校教育及び大学教育それぞれの多様化を踏まえて,それぞれの役割,機能について類型化を行い,両者について基本的な考え方を明らかにするという,いわゆるそれぞれの多様化を踏まえた類型化した議論というものが必要ではないかといった御意見です。
 また,4のところですが,大学の教員は,教育研究を行いつつ,入学者選抜にも関わっていることから,関係者がそのためにかけることができる時間,あるいは労力には限界があり,制度全体のバランスを考えた検討が必要であるといった御指摘です。
 続きまして,資料9-5です。濱名委員の意見です。
 第2段落のところです。大学入試が高校教育の質保証のための装置か,大学教育を受けるにふさわしい資質を確認するためのものかが不明確な点に大きな問題がある。そういった中,年間複数回実施され,汎用的能力も含めて大学教育で必要な資質を判定しているアメリカの外部テストなどを参考にしながら,入試の内容あるいは入試の回数というものについても議論していくことが必要であるという御指摘です。
 また,第3段落のところですが,AO入試あるいは推薦入学という枠組みについては,その意義を認める一方,学力確認を全く行えないという仕組みには問題があるという御指摘をいただいているところです。
 続きまして,資料9-6です。山本委員の御意見です。
 パワーポイントの資料ですが,右肩のところにページが付しておりますが,2枚目の4ページです。そこにありますように,これからの時代には,専門性よりも,よりジェネリックな能力が求められているという御指摘をいただいた上で,6ページですが,そのような汎用的な能力をいつ重点的に伸ばすのか,発達段階の観点を取り入れた教育課程の再構築が必要ではないかといった御意見。そして,8ページですが,大学と受験生の需給バランスが変わる中で,何を高校生の学びの動機付けにするのか,現実的な検討が必要ではないかといった御意見をいただいております。
 そのパワーポイントの後に,4枚目以降ですが,「学生の中退防止」とタイトルを付しております資料をいただいております。
 趣旨といたしましては,高等教育への接続,移行という観点からは,大学入学後も多様化した学生の理解をもとに,学生の中退防止の取組の充実ということも高校段階から大学教育の接続,移行という観点から必要ではないかといった御意見をいただいているところです。
 本日欠席されました委員からの意見は以上でございます。

【安西部会長】  ありがとうございました。
 御欠席の委員の御意見も,大変内容の濃いものでして,今日いただきました皆様の御意見ももちろんのこと,もう既に論点はいろいろ出ておりますが,事務局でまとめていただいて,これからに生かさせていただければと思います。
 改めて御意見をいただければと思います。どなたでも結構ですので,よろしくお願いいたします。

【金子委員】  意見というわけではないのですが,これは事務局にお願いしたいのですが,入試に関しては,客観的なデータが実はあまりないのです。例えば形態別にいいまして,AO入試,推薦入試と通常の入試で入った人たちが入学後にどういう違いがあるのか。先ほど,国立大学ではAO入試に差はないとおっしゃっていましたが,これも大学によって,どうも私は違うのではないかと思うのです。私の知っている某国立大学では違うところがありました。それから,もちろんこれは私学では違うだろうと思います。
 それと,もう一つ,具体的にはいろいろな意味で,センター入試は議論の対象にせざるを得ないわけですが,センター入試での1科目と,その後の学生の伸びといいますか,例えば理系でしたら数学とかをとっていた者が大学院に行くときにどれくらい影響が出てくるのかとか,様々な側面で重要なところはあると思います。
 それから,英語の点数も,今の高校入試は役に立たないと言われていますが,センター試験の入試の英語というのは,どの程度就職先に影響があるかとか,これは非常に,一つは,データが少ないのと,それから,今までは各大学が結構調べているのですが,入試に関しては秘匿性の要求が強いために,学内でもほとんど公開していなくて,どこか二,三人の人が知っていて,そのうち埋もれてしまうということが相当起こっているわけです。
 入試センターでもある程度蓄積しているかのように聞いておりますが,これも様々な理由で出さないということが普通のようです。
 やはりこれは,今日のお話を聞いていても,ある程度,そういった基礎的なことがわからないと空理空論になってしまうおそれもあるので,その辺,出せるデータがどの程度あるのか。すぐには難しいかもしれませんが,整理していっていただければいいのではないかと思います。

【安西部会長】  ありがとうございました。具体的には大事なポイントだと思います。

【生重委員】  何人かの委員の方からも出ていたのですが,特に企業側からの意見に,英語が当たり前ということがあります。今,一番気になっているのが,どの先生もおっしゃっていましたが,小中高とつけていく力が当然あってのことが最大前提ですが,きちんと英語で議論ができるとか,問われているバカロレア選抜のような,今日,幾つかそういう話も出てきましたが,私ども,昨日議論したのですが,学びをしている子供たちの中で,ピラミッドの頂点にいる子たちは,黙っていても結構,ちょっとした後押しでいろいろなことを深めて学ぼうという意欲というところにすぐ到達していくのですが,この中間層の,特に一番下の部分に位置する生徒たちが大学に行って,どう学ぶのかというところが,その先の就労というところに行く時点で一番問題だろうと思うのです。それで,学校で学ぶキットと言われている,なぞって学ぶ基礎基本の学習は当たり前だということを何人もの先生が,きちんとそこの部分を見ようということです。そこで自信を失うのではなくて,きちんと自分がどこまで到達しているから,次何をやっていくのだということが見えるような,希望が持てるようなものになっていってほしいということです。
 高校でも,何人もやめていく生徒とか家庭の相談も受けるのですが,そこも不適応を起こしていて,それはもう,私ども地域にいる人間にとっては,親の意識変革をしていくしかないのですが,そこの大きなずれをどうやったら解消できるのかということもすごく根底の中ではあります。全て先ほど岡山大の垂水委員がおっしゃってくださっていましたが,親の意識というのは,ものすごく大きく影響してくると思っているので,ここの特別部会で話し合うことではないのかもしれませんが,そこを納得値が高まるような方向で議論を進めていきたいなと思います。

【安西部会長】  高校を卒業するとはどういうことなのかという質保証の問題と,大学における教育の質的転換の問題と,そういう軸と,それから今,生重委員が言われたような,一方ではグローバル人材を育てていかなくてはいけない。これはやはり日本としては必須だと思いますが,一方で,高校進学率が97%,98%という現状で,全ての子供たちが本当に前向きに活躍していってもらいたいと思いますので,そういうこと全体をやはり我々は視野に入れて検討していかなければいけないと思います。なかなかこれは大変なことなのですが,是非よろしくお願い申し上げます。

【濵口委員】  私もまだ考え方が漠然としているのですが,高校で教えるべき基礎学力の問題と,我々が養成すべき人材のモデルとが,これは途中のプロセスがたくさんあると思うのですが,あまりにも短絡的に議論が入りかねないところがあると思うのです。簡単に言いますと,誰もがグローバル化する必要はないのです。むしろ地域社会をきちんと支える人も必要ですし,多様な仕事を理解して,それを誠実に働く人も必要ですし,日本文化の特徴である誠実であるということ,仕事の完成度が高いということは今も揺るぎないことです。例えばアジアのほかの国から見ると,この間の大震災のときでも日本人の文化というのは違うというのがはっきり見えるわけです。そこはぶれてはいけないと思います。
 どんな人材を育成するかというのをあまり1点に集中させない。そこはダイバーシティーをあるということをきちんと担保しながら,コアとなる学力はやはりきちんと必要だという議論にしないと,何かそこから落ちこぼれてくる,外れてしまう子供がたくさん出てくるような気がして,少し不安を感じております。

【安西部会長】  おっしゃるとおりだと個人的には思いますが,これからの議論だと思います。ありがとうございます。

【荒瀬委員】  生重委員がおっしゃいましたことはとても重要な点だと思うのです。それはしかし,私の経験からいたしますと,三角形の頂点とおっしゃいましたが,これは成績段階がどうであるかということと,ある部分は重なっているかもしれませんが,子供たちがそういう課題を持てないかというと,そんなことは決してなくて,彼らがまた生活をしていく,あるいは社会に出て,市民として生きていく上で必要な基本的な経験とかを必ずしも持っていない生徒もいます。ですから,そういったことも含めて,これは全て高等学校教育とか大学教育でできるものではないわけですが,そういったことには配慮しつつ,しかし,大学入試となりますと,そこの部分をどのように見るのかというのを,そこに組み入れていくのは非常に難しい問題があると思いますので,少し複雑な問題であるがゆえに,幾つかに切り分けながら考えていかなればならないのではないかということを思いました。

 

(6)事務局から,高大接続特別部会の次回以降の日程について資料10の説明があった。

―― 了 ――

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-- 登録:平成24年11月 --