○ 今日、学校現場では、いじめ・不登校等の生徒指導上の諸課題への対応、特別支援教育の充実、外国人児童生徒への対応、ICTの活用をはじめとする様々な課題が急増するとともに、学力の向上や家庭・地域との連携協力の必要性も指摘されている。また、学校現場の多忙化や学校を取り巻く社会状況の変化により、いわゆる「学びの共同体」としての学校の機能が十分に発揮されていないとの指摘もある。
○ 今後10年間に、教員全体の34%、20万人弱の教員が退職し、経験の浅い教員が大量に誕生することが懸念されている。これまで、我が国において、教員の資質能力の向上は、養成段階よりも、採用後、現場における実践の中で、先輩教員から新人教員へと知識・技能が伝承されることにより行われる側面が強かったが、今後はその伝承が困難となることが予想される。
○ 他方、今後大量に採用される新人教員については、大学での教員養成課程とは別に、近年、いくつかの教育委員会において、実践力を備えた教員を養成するための「教師塾」を作る例が見られるように、実践的指導力やコミュニケーション力、チームで対応する力などの教員としての基礎的な力が十分に身に付いていないことなどが指摘されている。
○ さらに、今後、大量の新人教員と少数の中堅教員からなる教員集団をまとめていくためには、校長のリーダーシップとマネジメント能力がこれまで以上に求められるが、校長等の管理職について、このような新たな状況に対応した研修の機会の充実や、外部人材を含め、マネジメントに長けた管理職を各界から幅広く登用することが必要である。
○ このような状況に何らかの手を打たないと、大量の経験不足の教員と少数の多忙な中堅教員、新しい時代の学校運営に対応できない管理職により運営される学校が全国各地に生まれるといった状況になりかねない。
○ また、子どもの学ぶ意欲を高めるためにも、教員自身が主体的・自発的学習者として、常に学び続ける存在であることが必要であり、そのような学びの場としての学校であることが求められる。このため、教員の養成や研修においても、一斉、一方向型の学びから個別的・協働的な学びを重視する方向へと転換する必要がある。
○ さらに、優れた教員の養成、研修や確保は、大学や学校の中だけで行うのではなく、広く社会全体の力を結集して取り組んでいくことが必要である。
○ このことから、これまでの改革を見直し、新たな課題に応えるための教員の資質能力の総合的な向上方策を打ち出すことが求められている。
○ 教員が教職生活の各段階を通じてより高度な専門性と社会性、実践的な指導力を身に付けられるよう、これまでの改革の成果と課題も踏まえつつ、教員養成・採用・研修の各段階について改めて点検し見直すこととする。その際、学校種毎の丁寧な検討や学校種間の連携・接続の円滑化に資する仕組みとなるよう留意することが必要である。
○ 平成18年の中央教育審議会答申で示した基本的な考え方については、「大学における養成」及び「開放制の教員養成」の原則の尊重を含め、今回の改革でも基本的に継承するが、これからの教員養成においては、教員としての専門性や社会性の確立・向上をより一層図るための取組が必要である。
○ 教育委員会、大学をはじめとする関係機関や地域社会等が連携・協働していく仕組みづくりを検討することが必要である。
○ これからの学校教育は、一斉、一方向の教育だけでなく、個別化や創造的・協働的な学習活動を重視し、学びの転換と教育の質の向上が求められており、これまでの答申で述べられていることに加え、教員は、こうした教育に対応した資質能力を身に付けることが必要である。
○ 教員が身に付けるべき資質能力について、教職生活の段階毎に分けて考え、専門性や社会性の向上のための基準としてより明確に示すことについて検討する必要がある。
○ 「はじめに」でも述べたとおり、近年の社会状況の変化や子どもの変化等を背景として、暴力行為、いじめ等の生徒指導上の課題への対応、特別の支援を必要とする児童生徒への対応、家庭や地域力の低下等、教員が対応すべき課題が急増している。
○ また、今後10年間に、教員全体の34%、20万人弱の教員が退職し、経験の浅い教員が大量に誕生することが予想される。
○ 新人教員については、実践的指導力やコミュニケーション力、チームで対応する力などの教員としての基礎的な力が十分に身に付いていないことなどが指摘されている。
○ 他方、大学院は学士課程における教養教育と、これに十分裏打ちされた専門的素養の上に立ち、専門性の一層の向上を図るための深い知的学識を涵養する教育を行う場である。その中でも専門職学位課程は国際的に通用する高度で専門的な知識・能力が必要とされる多様な分野で創設されることが期待される
が、教員養成においても、こうした制度を一層活用し、高度な実践的指導力を備えた教員の養成が強く期待される。
また、諸外国においても、教員養成を修士レベルで行うことで、教員の専門性の確保・向上を図っている例が見られる。
○ これらを背景に、教員養成においても、これまで以上に高度な実践的指導力やコミュニケーション力等の育成が求められている。
○ 教員養成について、教職生活に入る前の高度な専門性と社会性、実践的指導力を身に付ける最初の段階であるという前提に立ち、抜本的な改革を進めることが必要である。
その際には、初任者の段階においても、教員として最低限必要な力を確実に身に付ける必要があることから、一般的な教養や教職として必要な教養、実践的指導力を含め、教員としての総合的な力量の形成を重視すべきである。
○ このため、専門職である教員を養成するためには、学部4年に加え、1年から2年程度の修士レベルの課程等での学修を要すること(修士レベル化)について、今後検討を進めることとする。
○ この場合、例えば、当面は、学士課程修了者に暫定的な資格を付与し、教員として採用された後に、必要な課程等を修了すれば、修士レベルの資格取得を可能とすることも検討する。
その際、修士レベルの課程等として、専門職学位課程だけでなく修士課程やこれらの内容に類する学修プログラムを活用することについて検討する。
また、新たな仕組みと現行の初任者研修制度との関係や、採用段階との関係も整理する必要がある。
○ このような修士レベル化に対しては、「教員養成の年数を増やすだけの問題ではなく、内容を変える必要がある。」、「現在の大学の教職課程は、専門職業人を育てようとする教育内容になっていない。養成期間を長引かせるべきではない。」、「大学院を卒業した教員が最近増えているが、質が担保されているかは大いに疑問である。」、「教員志望者が減少する恐れがある」など修士レベル化に対する懸念の意見や、 養成の規模、大学の組織体制の在り方、奨学金の活用等による学生の経済負担の軽減、修了者の処遇など課題についても示された。今後、こうした意見や課題も十分踏まえ、検討を進める必要がある。
○ 学校現場における実践力・応用力など教職としての高度な専門性の育成を図る教職大学院は、修士レベルの課程等の受け皿として主力を担うことが想定されるが、具体的な教職課程等の見直しに併せて、教職大学院の在り方についても検討が必要である。なお、専修免許状の課程認定を受けている大学院についても、教職課程全体の見直しに伴い、教員養成に係る科目構成やそれに基づく教員構成等必要な見直し等を行う方向で検討する必要がある。
○ 教員養成のカリキュラムについて、現在の学士課程で何が不足しているのかや、教員養成のどの段階でどのようなことを学ぶかについては、今後検討を進める。
その際、例えば、学士課程では、教職や教科についての基礎・基本をしっかりと修得させ、修士レベルでは、学士課程で学んだことを学校現場で十分活用することができるよう、(1)学校現場での実習をしながら、一定期間毎に、教育実習での取組を振り返り、実践力を磨くとともに、児童生徒や、保護者、地域住民と対応できるようコミュニケーション力を培い、教科や教職等の実践的指導力を身に付けることを目指す方向や、(2)学校現場での実習だけでなく、ICTや特別支援教育、カウンセリングマインドなど生徒指導に関する一定の知識・技能など近年の学校現場を取り巻く状況を踏まえた高度な専門性と社会性も併せて身に付けることを目指す方向などが考えられる。
○ 特に、実践的指導力を重視する上で、教育実習については期間・内容ともに充実する方向で検討すべきである。
検討に当たっては、平成18年中央教育審議会答申における指摘事項や、実習生受入校の負担にならないよう、実施体制についても留意する必要がある。
さらに、教員養成の初期の段階において、例えば、学校現場でのボランティア活動等を充実する方向で検討すべきである。
○ 具体的なカリキュラムについては、「教職専門と教科専門の間の溝を埋めるために、従来の『教科に関する科目』と『教職に関する科目』に加えて、『教科内容構成に関する科目(仮称)』を新設してはどうか」、「教職を目指す者にとって必要な教養教育について議論すべき」などの意見があった。また、理科をはじめとする教科に関する指導内容を充実すべきとの指摘もある。新たな教員養成カリキュラムについて、単純に単位数の増で対応するのではなく、統合・再編成の視点も入れて検討する必要がある。
○ なお、教員養成における体系的なカリキュラムについて、教員養成に携わる教員の間で必ずしも考え方が確立しているとはいえない状況にある。教員養成に関する共通的な認識を醸成し、教員の質を高めるためにも、医師等の専門職養成においてコアカリキュラムづくりが進んでいることを踏まえ、今後、教員養成についても、各大学の課程の参考となるような指針の作成を学校種毎に進めていく必要がある。
○ また、教職課程における教員については、学校現場の経験のある者を実務家教員としてさらに活用を進める方向で検討することが考えられる。 その場合、実務家教員の養成など、大学教員としての質を確保するための方策を併せて検討する必要がある。
○ 様々な段階で社会人等がその専門性を生かしつつ、教員を志せるようにするため、学士の教職課程を修了していない者を対象とした修士レベルの課程等を設け、修了者には、修士レベルの資格取得を可能とすることについて検討する。
○ なお、教員養成の在り方について考える場合、特に、中・高等学校教員免許状取得者において、約7割が教員養成を主たる目的としない学科等の出身者で占められていることについて留意する必要がある。
また、現在、幼稚園及び小学校の教諭の教職課程は教員養成を主たる目的とする学科等でなければ課程認定を受けることができないが、中学校及び高等学校教諭は教員養成を主たる目的としない学科等でも課程認定を受けることができることと、修士レベル化との関係についても検討する必要がある。
○ 大学の設置については、大学の質の国際的な通用性の確保や学生保護のため、設置審査などの所定の手続きを経て文部科学大臣の認可を必要としている。また、文部科学省では新しく設置された大学が最初に卒業生を送り出す年度まで、設置計画履行状況調査を行い、各大学の教育水準の維持・向上を図っている。さらに、大学は7年以内に1回、専門職大学院は5年以内に1回、文部科学大臣の認証を受けた認証評価機関による第三者評価(認証評価)を受けることが義務付けられている。
○ 他方、免許状の授与を受けるために大学において修得することを要する単位は、原則として、文部科学大臣が免許状授与の所要資格を得させるために適当と認める課程において修得しなければならないとされており、その課程を適当と認めるための認定は、中央教育審議会での審査を経て行っている。また、課程認定委員会により教職課程の実地視察が行われ、教職課程の質の維持・向上を図っている。さらに、平成20年度には、平成18年中央教育審議会答申を踏まえ、教育職員免許法施行規則を改正し、問題が認められた教職課程につき、文部科学大臣が認定取消の措置をとることができることを明確に規定したところである。
○ しかしながら、実地視察については、対象が年間35大学程度に留まり、全課程認定大学のごく一部のチェックに過ぎないこと、課程認定審査については、開設科目や専任教員数等の形式要件の審査に留まり、教員養成の質を真に担保するものとなっていないのではないかということ、学際的な学科等の増加に伴い、学科等の目的・性格と免許状との相当関係が薄い申請が見られることなど、解決すべき課題も多い。
○ これまでの審議において、「課程認定を実質化すべき」、「事後評価の仕組みを厳格化すべき」、「教育職員免許法は最低基準を規定しており、それさえクリアすればよいと考えるのではなく、教員養成の質を保証する課程認定に変えていくべきである」などの意見があった。
また、「教員の資質向上方策の見直し及び教員免許更新制の効果検証に係る調査集計結果【速報】」においても、教職課程の認定制度について、「認定の基準を厳しくすべき」と回答している割合が2割を超えていること、事後評価・確認を「実施すべき」とする意見が多いことから、教育委員会が現在の教職課程の在り方について課題があると認識していることが考えられる。
○ これらを踏まえ、今後、学部・大学院等における教員養成に係る必要科目や必要単位数等の課程認定要件の見直しなど、課程認定審査や設置審査をより厳格化すると同時に、事後評価システムを強化し、教員養成の質の保証を図る必要がある。また、事務体制についても抜本的に強化する必要がある。
○ 教員免許状は、学校教育法で規定される初等中等教育段階の学校において、教育職員に必要とされる資格である。
教員免許状は、学校種別に区分されており、中学校及び高等学校は、教科別に区分されている。また、各学校種の普通免許状は専修(大学院修士課程修了レベル)・一種(大学学部卒業レベル)・二種(短期大学卒業レベル)に区分されている。
○ 教職生活全体を通じて、教員の資質能力向上を図っていくことが、今後、ますます求められることから、教員免許制度についても、これを支援するような制度に改革すべきである。
○ 教員養成の修士レベル化について、今後、検討を進めることとする。その際、例えば、当面は、学士課程修了者に暫定的な資格(「基礎免許状(仮称)」)を付与し、教員として採用された後に、必要な課程等を修了すれば修士レベルの資格(「一般免許状(仮称)」)を付与することも検討する。この場合、一定期間のうちに、「一般免許状(仮称)」の取得を義務付けることや「基礎免許状(仮称)」に有効期間を設けることなどについても検討する必要があろう。
○ 次に、教員が教職生活を通じて、特定の分野について、より高い専門性と社会性を身に付けていくことを支援するため、教員免許状により一定の専門性を公的に証明する「専門免許状(仮称)」を創設することについて、今後、検討を進めていくこととする。
○ 「専門免許状(仮称)」の具体的な内容は今後検討することとなるが、現在の専修免許状の課題として、(1)上位の免許状を取得しても待遇と結び付かないこと、(2)教科別の免許状のみであり、例えば、教職に関する科目のみを取得しても、免許状の取得が可能であるなど、教職の専門性との結び付きが弱いこと、などが指摘されており、今後の検討に当たっての論点として例えば以下のことが考えられる。
・ 「専門免許状(仮称)」の信頼性を確保し、教員の専門性の有無を真に証明できるものにするためには、どのような枠組みを作ったらよいか。
・ 「専門免許状(仮称)」の区分についてどのように考えるか(例えば、学校経営、生徒指導、進路指導、教科指導、特別支援教育、外国人児童生徒に対する教育、ICT教育など)。
・ 「専門免許状(仮称)」の取得の効果をどう考えるか。例えば、学校経営について、管理職登用条件の一つとすることも考えられる。
・ 取得対象者に一定の教職経験(例えば教員経験10年以上)を求めることとするか。また、学校経営については教員免許状を有しない者についても取得を可能とするか。
・ 大学のカリキュラム以外にも、例えば、大学が主催する講習等の履修を累積して取得することも可能とするか。
・ 特定の学位の取得を必要とするか。
・ 教員は、採用後、日々の教育実践や授業研究等の校内研修、民間教育研究団体の研究会、自発的な研修を通じて、実践的な指導力を身に付けていくが、そうした実力を免許状に反映できるようにするにはどうしたらよいか。
○ 近年、学校教育をめぐる状況は大きく変化しており、教員免許状の取得後も、教員として必要な資質能力は常に変化している。教員免許更新制は、教員が最新の知識技能を修得し、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得るための制度として創設され、平成21年4月より実施されている。
○ これまでの審議において、免許状更新講習の意義としては、現職教員が10年に一度、定期的に最新の知識・技能について学ぶ、「学びの継続性」の観点は有益であることや、現職教員の資質能力の維持・向上を大学が担うという新しい側面を生み出したことが挙げられるが、 一方、免許状失効という仕組みの面では問題があるなどの意見も出された。
○ 教員免許更新制の課題としては、本制度が、教員自身の自発的な学びにつながっているかどうかという点や、受講料や手続き等の教員の負担の問題、免許状更新講習と10年経験者研修との関係整理が挙げられる。
○ これまでの検証も踏まえ、教員免許更新制については、教員が教職生活の全体を通じて自発的かつ不断に専門性を高めることを支援する新たな制度への移行も視野に入れて検討を進める。
○ その際には、「専門免許状(仮称)」と関連づけて検討するとともに、定期的な資質能力のリニューアルや大学の全面的な参画を維持していくことが有益である。また、公立学校の教員については、10年経験者研修との関係についても、整理していく必要があると考えられる。なお、10年経験者研修との関係整理については、運用面の更なる改善を図ることについて早急に検討を進める必要がある。
○ なお、指導が不適切な教員については、教育公務員特例法の改正により、平成20年4月から指導改善研修の実施等が行われているところであり、引き続き、各教育委員会において、指導が不適切な教員に対する人事管理システムが適切に運用されることが期待される。その際、学校運営協議会など、学校運営に参画する地域の人たちの声も反映するなど、地域コミュニティの力も活用し、指導が不適切な教員の適切な把握に努めていくことも考えられる。
○ 現在、学校現場で起きている学校間の接続(例えば小学校と中学校の接続、中学校と高等学校の接続)に起因する問題に十分に対応できるようにするため、教育政策上、様々な取組が行われている。教員免許制度においても、これまで、隣接校種免許の取得促進等の取組が行われてきた。しかしながら、子どもの心身の発達に応じて一貫性のある指導を行うためには、教員が隣接する学校種においても指導できる力量を、養成段階において身に付けることが必要となる。そこで、例えば、小学校教諭免許状と中学校教諭免許状を併せ、「義務教育免許状」とすることや、中学校教諭免許状と高等学校教諭免許状を併せ、「中等教育免許状」とすることなど、複数の学校種をまとめた免許状を創設することの是非について、今後検討を進めていく必要がある。
○ 現在、特別免許状や特別非常勤講師制度によって、優れた社会経験のある者が学校現場に迎え入れられている。これまでの取組に加え、様々な段階で、社会人等がその専門性を生かしつつ教職を志せるような仕組みについて、 教員養成制度及び教員免許制度の中でどのように位置付けるべきか検討していく必要がある。
○ 現在、全国の小・中・高等学校の教員の年齢構成には、50代が多く、30代・40代が少ないという歪みがある。今後の退職者の増加による欠員を新卒者の採用で埋めると年齢構成の歪みは解消されない。一方、30代・40代の中には、教職を志しながらも採用数が少なかったために教職を断念せざるを得なかった人たちも多い。任命権者によっては、採用年齢の上限を撤廃するなどの取組により、こうした世代を含む優秀な人材の確保に努めているところもあるが、教職以外の職にある30代・40代の人たちを積極的に中途採用する方策を更に進め、教員の年齢構成の改善を図る必要がある。
○ 臨時的任用教員や非常勤講師は、産休・育休・病休代替や研修の後補充、少人数指導・ティームティーチングなどの実施のため、学校現場に一定数確保することが必要と考えられ、現状においては、大学等を卒業した後、教員採用試験の合格を目指している者の他に、教員を退職した者などの中からも適宜採用・配置されている。教員養成の修士レベル化を検討するに当たり、例えば、当面、学士課程修了者に「基礎免許状(仮称)」を付与し、教員として採用された後に、必要な課程等を修了すれば「一般免許状(仮称)」を付与することが考えられるが、こうした臨時的任用教員や非常勤講師を必要数確保する方策についても検討する必要がある。
○ 教職生活全体を通じて、教員の資質能力向上を図っていくことが今後ますます求められることから、現職研修についても、これを支援するような方向で改革すべきである。また、実施内容・方法については、個別的・協働的な学習をより重視する方向で見直しが必要である。
○ 初任者の時期は、大学における養成段階と学校現場における実践とをつなぐ重要な時期であり、この時期に教職への自覚を高め、自立した教育活動を展開していく素地を作るため、組織的、計画的な研修を実施する必要がある。こうした認識の下、初任者研修制度は、国・公立学校の教員の現職研修の最初の段階に位置付けられる制度として、採用後1年にわたり校内研修と校外研修を組み合わせた研修を通じて、実践的指導力や使命感を養い幅広い知見を得させるため、昭和63年度に創設された(平成16年度以降は公立学校のみ)。
○ これまでの審議において、初任者研修の期間を2~3年とし、適性を見分けながら、それぞれに合った資質能力の向上を図っていくべきではないかという意見もあった。例えば、教育委員会によっては、大量退職により増加する若手教員に、授業力とともに様々な教育課題に適切かつ柔軟に対応できる力量形成を図るため、初任者研修に加え、独自に行っている2年次研修、3年次研修を組み合わせ、これらを若手教員育成研修として一つの研修体系として実施している。
○ こうした教育委員会による新たな動きを見据えつつ、初任者研修の改革の方向性としては、例えば、平成18年中央教育審議会答申でも指摘されていたように、教職大学院の修了者について、教育委員会の判断により初任者研修の一部又は全部を免除できるようにすることが考えられる。
さらに、修士レベルの課程等については、初任者研修の実施内容を取り込んだものとするなど養成期間と初任者の時期について複合的に考え、初任者研修について発展的に解消することも含め、今後検討を進めていくことが必要である。
○ 教員個人に着目すると、一般的に、養成期間よりも、その後の教職生活の方が圧倒的に長いことから、現職段階における資質能力の向上方策について、どのように制度設計していくかは大変重要である。
今回の改革では、教員の資質能力の向上について、教職生活全体を通じて制度として支援していくという考え方に基づき、制度の見直しを進めていくこととしている。今後は、任命権者と大学が連携した研修の実施の在り方や任命権者が行う研修の受講成果を「専門免許状(仮称)」取得の単位の一部とすることなどについて検討する必要がある。
○ また、教員研修は、現在、国と地方が適切な役割分担のもと、国においては、教育政策上真に必要な分野に限定し、講師や中核的指導者を対象とする研修事業を行っている。こうした仕組みは、研修全体の効果を高める上で大変重要であり、今後とも教育委員会や大学等と連携しつつ、必要な刷新を図る。独立行政法人教員研修センターにおいては、こうした国における研修の実施機関として、効率的・効果的な取組に努めていく必要がある。今後とも、管理職マネジメント、ICT、英語コミュニケーションなど真に必要な研修に厳選し、その実施に努めるべきである。
○ 教員は、日々の教育実践や授業研究等の校内研修、近隣の学校との合同研修会、民間教育研究団体の研究会への参加、自発的な研修によっても、実践的な指導力を身に付けていく。
○ 教員の資質能力の向上を図るためには、こうした取組についても、要件を満たせば「専門免許状(仮称)」の取得単位の一部として認定を可能とするなど、必要な支援を行うことが必要である。教育センターや身近な施設においては、カリキュラム開発や先導的な研究の実施、教員が必要とする図書や資料等のレファレンスや提供などを行うことにより、教員の教材研究や授業研究、自主的研修を支援することが求められる。また、将来的には、「専門免許状(仮称)」を取得した教員が、校内のみならず、近隣の学校との合同研修会などで講師となって、他の教員の資質能力の向上に取り組んでいくことなども考えられる。
○ 新たな教員の資質能力向上方策を実効あるものとするためには、教育委員会・大学をはじめとする関係機関や地域社会が一体となって教員を養成し、支援していくことが重要である。
○ これまでにも、教育実習の円滑な実施を目的として教育委員会と大学が定期的に連絡協議会を開催したり、教育委員会が行う現職研修に大学が参画するなど、両者が連携した様々な取組が展開されている。また、教職大学院への実務家教員の派遣などの人事交流も推進されてきている。
○ 今後は、新たな教員養成・採用・研修の仕組みの中で、例えば、大学の教職課程の認定や評価、「専門免許状(仮称)」授与の際の履修履歴の評価、大学と教育委員会とが連携した研修の実施等において、教育委員会・大学をはじめとする関係機関や地域社会の連携・協働がより広範かつ確実に行われるような仕組みを構築する必要がある。特に、教職大学院にはこうした連携・協働の取組を率先して行うことが期待される。
○ 審議においては、管理職の資質能力の向上方策こそ重要であり、その在り方について検討すべきという意見があった。これからの管理職には「管理」する力ではなく、「マネジメント」する力が必要であり、マネジメントには「情報編集力」が必要であるとの意見もあった。
○ 「専門免許状(仮称)」の区分の一つとして、学校経営を設けることについて触れたが、今後の管理職の育成システムとして、例えば、教職大学院等の学校経営を中心とした専攻・コースの充実を図るとともに、国や都道府県等の教員研修のためのセンター等において、教員経験10年目以上を対象とした「マネジメント型」管理職の養成を図ることが期待される。この場合、現職教員だけではなく、民間人や大学教員、行政職員なども対象とし、修了者には、学校経営の「専門免許状(仮称)」を授与すること等が想定される。
○ 幼稚園教育は、学校教育の始まりとして生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を担っており、幼稚園教育において専門的な指導力が求められる幼稚園教諭の資質能力の向上については、幼稚園教員養成の現状や小学校等他校種の教員に今後求めることとしている資格要件の検討などを踏まえ、検討する必要がある。
○ なお、「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」(平成22年6月29日少子化社会対策会議決定)において、「幼稚園・保育所・認定こども園の垣根を取り払い(保育に欠ける要件の撤廃等)、新たな指針に基づき、幼児教育と保育をともに提供するこども園(仮称)に一体化する」とされ、現在、「子ども・子育て新システム検討会議」において、具体的な検討が進められている。
○ 特別支援学校においては、障害の重度・重複化への対応のための体制整備が、また、小・中学校等においては、発達障害を含む障害のある児童生徒等に対して適切な教育を行うための体制整備が、それぞれ進められている。小・中学校においては、特別支援学級や通級による指導の担当教員の専門性の向上、更には通常の学級に在籍する発達障害のある児童生徒に対する支援などが課題となっている。
○ 現在、初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会において、障害のある子どもと障害のない子どもが共に教育を受ける、という障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた今後の特別支援教育の在り方について検討が行われている。特別支援教育に携わる教員の資質能力の向上については、その検討状況も踏まえて検討を進めていく必要がある。
○ 今後、具体的な制度設計に向け、審議を進めていくことになるが、新たな制度の現職教員への適用や、新制度への円滑な移行など学校現場や大学の混乱を最小限にするよう留意することが必要である。
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