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教員の資質能力向上 特別部会(第1回) 議事録

1.日時

平成22年6月29日火曜日 14時~16時

2.場所

文部科学省東館3階第1特別会議室

3.議題

  1. 部会長の選任
  2. 教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について(自由討議)
  3. その他

4.出席者

委員

青山委員、安西委員、小川委員、小原委員、加藤委員、岸田委員、清原委員、佐藤委員、新藤委員、高岡委員、高桑委員、田村委員、長南委員、中西委員、布委員、八田委員、日渡委員、藤原委員、堀内委員、松木委員、向山委員、村松委員、村山委員、森田委員、横須賀委員、吉田委員、若月委員

文部科学省

鈴木副大臣、清水文部科学審議官、山中官房長、辰野政策評価審議官、池田教育改革調整官、板東生涯学習政策局長、上月政策課長、前川審議官、德久審議官、関初等中等教育企画課長、山下教職員課長、日向教員免許企画室長、白鳥課長補佐、田中室長補佐、德永高等教育局長、河村私学部長、村田私学行政課長、渡邉教員養成企画室長

5.議事録

○部会長について、田村委員が適任である旨の発言があり、了承された。
○田村部会長から、安彦委員、安西委員が副部会長に指名された。
○事務局からの説明の後、「教員の資質能力向上特別部会 公開について」が了承された。

【田村部会長】 
 それでは、教員の資質能力向上特別部会の立ち上げに必要な手続は終了いたしましたので、これより議事を公開させていただきます。
 ごあいさつを申し上げる順番なんですが、その前に大変多くの傍聴者の先生方にお見えいただきまして、これほど多くの方に関心を持っていただき、審議を見守っていただけるということで非常に緊張すると同時に、立って聞いていただく方も出てしまったということで、最初におわびを申し上げさせていただきます。これから先はこういうことがないんだろうと思っておりますけれども、今日は申し訳ございません、ご了承いただければと思います。
 それでは、改めまして部会長を務めることとなりました田村でございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。数分、就任についての抱負を述べさせていただきたいと思います。大したことは言いませんから聞き流していただければいいんですけれども、座って失礼します。
 先般中央教育審議会におきまして、文部科学大臣から教員の資質向上にかかわる諮問をいただきました。内容は教員の質の向上ということで、養成、採用、研修に至る方向の見直し、検討、議論を深めてほしいと、こういうご要請でございます。確かに今、現時点で考えましても、緊急のテーマとしてITの問題とか、外国語の問題とか、特別支援の問題等々、山積しております。これらへの対応というのは緊急として必要であろうと思いますが、さらに言えば教育の質そのものを見直し、教員の質向上をもう一回じっくりと見直すという必要もテーマとしてあるだろうと思います。
 例えば幼児教育でいいますと、例のヘッドスタートという新しい試みが提言されて、幼児教育のスタートについての議論が世界的にはもう始まっております。我々のほうも、それに対する教員の質ということをどう考えていくかという問題がありますし、さらに言えば1980年代から発達心理学の学問としての発達を踏まえて、ご専門家もこの中におられますけれども、発達段階についての研究、目覚ましい進展というものが背景にありまして、これが実際初等中等教育できちんとした対応をしてきているんだろうか、先生方の研修が十分だったんだろうかという問題もあるし、さらに言えば脳科学の発達、あるいは学習科学の発達を背景にして、特に21世紀になってから、新しいPISAとか、AHELOとかいったような各教育段階における、国際的に通用するというテストも開発されているわけですが、それに対する対応が十分なのかというような長期的な問題もあります。
 さらに言えば、国際的な課題としてユネスコから提言されておりますESD、これは実は2014年に世界大会が日本で開かれることが決まっております。ユネスコから数千人の人が参加すると言われておりますが、それに対する対応が学校教育段階で十分にしているんだろうか。実はこれは既に学習指導要領には入っているんですけれども、それに対する研修。短期間、長期間、こなさなければならないテーマがたくさんあるだろうと思います。
 しかし、今回のこの部会の時間的な制約もありまして、年内に一定の方向性と問題の整理をしてほしいというご要望でございます。確かに年内にするということは大変に意味がありますので、それはしっかりとやりたいと考えているわけです。さら言えば、新しい世論形成の方式としての熟議という形成方式も、実はこの問題についてスタートしております。そこで言われているテーマは教員の実践力とか、専門性とか、社会性というものが中心になって、いろいろな議論が進んでいるというのも社会的背景としてございます。
 これらを踏まえまして、短時間の課題、それから長期間解決すべき課題、整理をしながら、ここで議論をいただいて、教員、あるいは教育の質の向上と重要な役割を果たしていくことができれば、この部会の役割が果たせると考えておりますので、どうぞひとつよろしくご指導ご鞭撻を賜りたいと思っております。この委員会には各方面の専門の方がたくさんいらっしゃるし、また、実際現場で活躍しておられる方もたくさんいらっしゃるわけですので、ぜひひとつ意見を述べていただいて、いい方向が出るようによろしくご協力のほどをお願い申し上げたいと思います。何しろ部会長が力がないものですから、先生方の力をいただきませんとまとめ切れませんので、よろしくご指導のほどをお願いしたいと思っております。
 雑駁でございますが、一言申し上げさせていただきました。
 なお、本日はご公務の都合で鈴木文部科学副大臣がちょっと遅れてご出席なさるという予定でございます。後ほどお見えになられましたら、一言ごあいさつをいただきたいという計画でございますので、よろしくご協力のほどをお願いしたいと思います。
 それでは、本題に入らせていただきます。本日は、教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について自由にご議論をいただければと考えております。最初のうちは自由議論というものをしっかりとやっていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。初回ですので、この後、可能な限り全員の委員からご意見をいただければと考えております。全部で今日は27人の委員がご出席いただいております。したがって、ご発言されるときには全体を考えて2、3分でまとめていただければ大変ありがたい。2回目もこういった自由討議の場を設けますので、そういうようなご発言を賜ると大変ありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、順番でございます、配付資料に基づきまして、事務局から最初にご説明をお願いしたいと思います。池田教育改革調整官、よろしくお願いします。

【池田教育改革調整官】
 それでは、資料についてご説明をさせていただきたいと思います。まず全体の資料の確認でございますが、資料の一番上に第1回の議事次第というのがございます。その中ほどに配付資料という欄がございまして、資料1から9までが皆様の机の上に重ねて置かせていただいております。それから、参考資料の1、2、これは中央教育審議会の規程をあわせて用意しております。その次に、若月委員からご提出いただいた資料、若月委員のお名前の書かれた一枚紙がその下にあろうかと思います。それと、別途、机上配付の資料といたしまして、18年に出た答申と、教員養成免許制度等に関する基礎データ集をあわせてお手元にご用意しております。足りないもの等あれば、事務局にお申しつけいただければと思います。
 それでは、具体的な資料のご説明、30分弱ぐらいでさせていただきたいと思いますが、大きな点としては3点ございます。1つは、諮問の趣旨やこの特別部会の設置についてのご説明、2点目が、3月末までに教育委員会や大学、関係団体から、教員の資質能力の向上について意見を募集しておりましたので、この意見把握の結果についてでございます。3点目が、部会長からもご紹介がありました熟議についてでございます。
 まず、この部会の設置に至る経緯と、諮問についてご説明させていただきたいと思います。資料4をご覧いただきたいと思います。先ほど部会長からご紹介いただきましたけれども、6月3日の中央教育審議会総会で川端文部科学大臣から諮問のあった諮問文でございます。「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について」ということで、3枚の文章になっておりますが、一番最後の5ページをごらんいただきたいと思います。これでポイントをご説明させていただきたいと思います。5ページの横長のカラーの資料でございますけれども、一番上に諮問のタイトルがございまして、その下、先ほど部会長からご説明をいただきましたので、もうつけ加えることはございませんけれども、学校教育における課題が複雑・多様化しているということと、学校現場を取り巻く環境も大きく変化しておりまして、こうした中でよりよい教育を実現するために教員の質と数の充実が必要であるということで、諮問理由のところでも述べております。
 教員の数については別途、中央教育審議会の初等中等教育分科会を中心にご議論をいただいておりまして、この特別部会では教育の質の充実を中心にご議論をいただくということでございます。その際、諮問文のポイントとして下の中段に掲げてありますけれども、教員が生涯を通じて資質能力を高めていく。その際自信と誇りを持っていただくとともに、社会から信頼を得られるような環境を整えていく。ここが基本的な考え方であると諮問文では言及しております。その際に、3段目のところにございますけれども、教員が教職生活の全体を通じて不断に専門性を高めていくことを支援するシステムづくりが喫緊の課題であると。これは養成段階も含めた教職生活の全体を通じたシステムづくりということで、特に初等中等教育政策と高等教育政策を一体的に改革していく必要があろうと。ここまでが諮問理由のところに述べている主なポイントでございます。
 これを踏まえて中央教育審議会に6月3日に諮問をいたしまして、この部会が同日付で設置をされたわけでございます。審議事項につきまして、一番下の欄に1から3まで挙げておりますが、基本的には、教員の資質能力向上に関する包括的な諮問になっているわけでございますけれども、特に中心的にご議論いただきたい事項として3点を掲げてございます。1点目は、教職生活の各段階で求められる専門性の基盤となる資質能力を着実に身につけられるような新たな教員養成、教員免許制度のあり方についてでございます。2点目が、その1の新たな教員養成のあり方を踏まえて、教職生活の全体を通じて教員の資質能力の向上を保証する仕組みの構築についてということでございます。3点目が、今申し上げた1と2を実現するためには、教育委員会、大学をはじめとした関係機関や地域社会との組織的・継続的な連携・協働の仕組みづくりが必要と。この3点を中心にご審議をいただくということで、諮問をされております。
 その他、当然ながらそういったことを検討していく際に、右側の小さな欄にその他の方策とございますけれども、学校運営のあり方ですとか、人事管理の改善・充実、あるいは教員が安心して教育活動に専念できる環境づくりですとか、教員が協働して学び合える環境づくりも必要であろうということで、こういったことも視野に入れながらご審議をお願いしたいということでございます。
 それでは、副大臣がお見えになりましたので。

【田村部会長】
 大変お忙しいところ鈴木副大臣にお見えいただきました。それではごあいさつを賜ります。

【鈴木副大臣】
 鈴木でございます。委員の皆様方には本当にお忙しい中、まず委員就任にご快諾をいただきまして、そして、また今日お集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
 我々の政権になりまして、川端チームとしては、これは初めての中央教育審議会に対する諮問でございます。第1期の民主党政権の中で、初等中等教育分野におきましては、今日このご提起をさせていただいている問題、つまりは教員の質と数の問題というのが最重要課題の1つであると、私ども思っております。教育というのは、まさに教員と児童・生徒との関係の営みでありますので、それを担う教師の質というものにほとんどが負っているというのが私どもの認識でございまして、そのど真ん中の課題に我が国を代表する最高の皆様方にご就任をいただいたということは、大変うれしく思っております。
 これは申し上げるまでもございませんけれども、学校の置かれている環境というのが、現在の教員制度ができました50年前とは根本的に変わってきておりますし、家庭と地域と学校との関係、もっと申し上げれば家庭と地域力の低下というものが全部学校に回ってきている。教員、あるいは学校に対するニーズ、期待というものが劇的に増えています。それから、我が国の社会情勢もかなり変わってきておりまして、例えば日本語を母語としない家庭というのも、従来は集住地域にある程度固まっていたわけでありますが、直近の調査で申し上げますと、全市町村の50%ぐらいでそういう対応が必要になってきている。むしろそういった人たちが集住しない、散在しているだけに、そうした対応というのはむしろより難しくなっているということとか、10年前と比べましても、さまざまな教員に求められている資質、生徒の変化というものがございます。
 このように教員の求められる資質、あるいは果たさなければいけない役割というものが変容してきているという中で、教員のあり方というものを考えていきたいと。と同時に、18歳から60歳までのすべてのライフステージでいかにいい教員集団をつくっていくか、その構成員をどういうふうにそれぞれのステージで育てていくのかということ。それから、今までは、ここは大学、ここは教育委員会と、そういう議論をしていてもしようがなくて、まさにこれはありとあらゆる人たちが協力、協働しながら、18歳から60歳までの教師の成長というものをみんなで支えていくということを考えていかなければいけないのではないかなと思っておりまして、そういう認識のもとに今担当よりご説明をさせていただいたような諮問をさせていただいたところでございます。
 あとは私ども、もう多くは申し上げませんけれども、これだけの皆様方の英知を結集していただいて、これからの10年、20年を見据えた新しい教員養成のビジョンについてお示しをいただきたいと思います。おそらくこういうことというのは、少なくとも10年ぐらいかかると思います。きちっとゴールとビジョンを決めて、そこに過不足なく、遅れることなく、早過ぎることなく、着実にステップ・バイ・ステップでやっていくということであれば、相当しっかりした準備と着実な歩みということを、早過ぎず、遅過ぎずやっていく。この10年というのは、この10年間で全教職員の3分の1が入れかわる。これだけ劇的にその血が入れかわるタイミングというのはおそらくそうないと思いますので、この機にしっかりとやってまいりたいと思いますので、よろしくご指導のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。

【田村部会長】
 大変適切なご指示をちょうだいしまして、これから議論を集約していくときに大変参考になるお話でしたのでありがたかったんですが、公務で大変お忙しい副大臣、もうちょっとおられますか。大丈夫ですか。
 では、こちらの議論と関係なく、どうぞお出ましいただいて結構でございます。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、池田教育改革調整官、どうぞ。

【池田教育改革調整官】 
 簡単に資料をご紹介させていただきます。資料5でございますが、これは先ほど申し上げた6月3日の諮問のときに委員からいただいた主なご意見でございます。資料6、7は基礎的な資料をまとめておりますので、後ほどお目通しいただければ幸いでございます。

【日向室長】
 それでは、続きまして、教員の資質向上に関する意見把握についてご説明をさせていただきます。お手元に資料8-1、8-2、8-3がございますので、ごらんいただければと思います。
 まず資料8-1でございますが、これは実際にどのような形で行ったのかということを簡単に1枚でまとめさせていただきました。また、2ページから4ページにかけては、どういった団体から具体的に意見が出されたのか。また、5ページには、その際にお示しさせていただきました具体の検討課題について挙げさせていただいております。以上が資料8-1でございます。
 資料8-2でございますが、これは各教育委員会、大学、団体から出た意見をそれぞれの課題ごとにまとめさせていただいたものでございます。例えば4ページをご覧いただきますと、教員養成課程はどのような課程で、どの程度の規模や期間とすべきかについて、それぞれ教育委員会、大学、団体からの意見をまとめさせていただいております。今日は時間の関係もございますので、具体の意見のご紹介は省略をさせていただきます。
 また資料8-3でございますが、こちらはそれぞれの具体の課題ごとに団体からどういったような意見が出たのかという、もう少し具体的に整理をさせていただいた資料でございます。また、本日お手元に大分分厚い資料でございますが、こういった白表紙の資料をご用意させていただいておりまして、これは実際、各団体から文部科学省に出されました意見をそのまま載せさせていただいておりますので、今後のご審議の際にご活用いただければと考えております。簡単ではございますが、資料の8関係は以上で終わらせていただきます。

【上月政策課長】
 それでは、資料9-1、先ほど田村部会長からもお話がありました「熟議」について手短に説明いたします。熟議は資料にありますように、政策形成手法の1つでございまして、課題、テーマについて当事者がかかわって議論をし、それぞれ学習をし、さらに討議をすることによって、洗練された解決策に結びつけていくというものでございます。下にありますように、熟議の効果といたしまして、行政改革上の効果、あるいは新しい教育文化の創造といったような意味合いもあると思います。
 2枚目めくっていただきますと、この熟議という手法をこの4月17日からネットと現場での熟議、例えば学校での熟議を開始しております。ネット熟議を開始しまして、最初のテーマはまさしく今日のこの会議のテーマであります教員の資質の話でございます。4ページ目にございますように、4月17日にネットを開始いたしまして、最初比較的、抽象的なテーマについて自由に、忌憚なく、さまざまな階層の方から──1,000人以上の方が登録されておりますけれども、コメントをいただきました。それをさらに、そういったものをいただきながら養成段階、あるいは現職の研修段階、さらには管理職といったようなテーマに絞りまして、さらに熟議のカケアイをしまして、総数で3,000件を超えるコメントをいただき、次に述べます整理をいたしまして、文部科学省への提案ということに結びつけております。

【田中室長補佐】
 それでは、引き続きまして、資料9-2の「文部科学省への提案書」につきましてご説明させていただきます。この提案書でございますが、表紙の3つのテーマごとに、熟議の成果といたしまして、熟議参加者の方々のご協力によりまとめていただいたものでございます。具体的には、熟議サイト上で鈴木副大臣から参加者に対しまして熟議のエッセンスを文部科学省への提案書という形でまとめていただきたいという呼びかけをされまして、その後熟議参加者から様々なご意見・ご提案をいただいて、できあがったものでございます。
 週の25日には熟議懇談会からのご提案によりまして、実際の参加者の中から希望者の方を募りまして、この提案書を鈴木副大臣に手渡していただく提案式を行っております。その際、提案式には熟議懇談会委員でもあられる田村部会長にご臨席いただいております。
 提案書の内容につきまして、幾つか簡単に触れさせていただきたいと思います。構成といたしましては「現状・課題」と「対応策の案」に分かれており、それぞれ寄せられた意見を列記する形となっております。1ページを開いていただきますと、「教員になる際につけるべき『力』は?」というタイトルでございますが、例えば、「現状・課題」として、教員は社会性を求められる職業であるが、必ずしも社会性を身につけていないのではないかといったご意見、また、教科の指導力については、教科に関する科目の授業時数が十分ではないというご意見、教職課程については、教育実習の負担感、大学教員の専門に偏った講義が多い、教員を育てるための専門科が少ないといったご意見などがございます。
 2ページの免許状取得・教員採用については、免許取得を厳格化すべきとのご意見がある一方、厳格化によって容易に免許取得できる大学に学生が集まり逆効果を生むおそれがあるといったご意見、それから、初任教員を取りまく学校環境については、都市部では、初任者が担任を受け持つことが多く、初任者にとって相当な負担となっている状況があるといったご意見。
 3ページの、学校現場に関する社会の変化等につきましては、外国籍の児童・生徒の増加への対応が必要になってきているというご意見、教員養成大学・学部の状況については、大学教員の採用の際には、現状では専門分野に合う学問分野の論文審査が重視されているけれども、本来は学問分野と教育とを関連づけた評価が要求されるべきではないかといったご意見がございます。
 4ページの、教員養成の6年制化について、6年制化は必要と考えるが、教職大学院の定員が少ないなど、さまざまな課題もあり、早急な導入は避け、将来的な移行とすべきとのご意見、その他として、幼稚園教諭に対しても4年制卒を要件とするのは現実離れしているのではないかというご意見などがございます。
 5ページからは、対応策の案として、さまざまなご提案をお寄せいただいておりますけれども、具体的な事項のご説明は省略させていただきたいと思います。
 12ページの別紙につきましては、「教員を目指す人がつけておくことが望ましい力」として議論の中で述べられたご意見が列記しされております。
 15ページにつきましては管理職等に関するテーマでございまして、同様に、現状・課題、対応策の案という構成になっております。
 21ページからは、「教員になってからも磨き続けるべき『力』は?その磨き方は?」というテーマでございますけれども、こちらも現状・課題、対応策の案という構成になっております。なお、こちらの提案書には、教員免許更新制についての言及がございます。一番下の丸でございますけれども、一律の内容を一斉に受講する制度では、知識は得られるものの要する時間に見合う資質向上の効果はなく、教員に負担を強いている面もあるなど、教員免許更新制や更新講習についてはいろいろな課題があるというご意見がございましたけれども、一方、制度はともかく更新講習は現場と大学が出会うよい機会である、更新講習の形でなくても、現場の教員が大学等で学ぶ機会は設定してほしいといったご意見もございました。
 時間の関係で、一部のみのご紹介となり恐縮でございますが、以上でご説明を終わらせていただきます。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。実は先週、私は突然、某有名大学の数学の先生で、今は某超有名中・高一貫校の校長をしている方が突然来られまして、何だろうと思ったら、熟議のメンバーなんです。要するにインターネットでやっている、それでは足りないから直接あなたに言いに来たということで、いろいろなことを言っていたんですけれども、要はかなりこの問題について関心を持っている人がすごく多い、しかも、いろいろな意見を持っているということです。熟議カケアイというのは教育そのものを意味している言葉だと私は思っているんですけれども、そういう周辺があるということを意識しながら、この中央教育審議会においてうまく先生方のご意見を出していただいて、答申としてまとめていきたいと考えているところでございます。ちょっと状況をご報告いたしましたけれども、そんなことがありました。
 それでは、ただいまから事務局からご説明がありました、教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上施策について、委員の皆様からご意見、ご質問をお伺いいたしたいと思いますが、副大臣、何かおっしゃることはありますか。どうぞ。

【鈴木副大臣】
 すみません、熟議カケアイのことを若干ご紹介をさせていただきます。これは十数年前から私のライフワークとしていろいろ研究し、取り組んできたその延長線上にあるわけです。今回も、もちろん結論としていただきたいのは制度に関する改革案でございますが、これはここにいらっしゃる方には何も申し上げる必要はありませんが、制度だけ変えても世の中は変わらない。それを支える文化、あるいは、まさに人間の意識といいますか、社会の意識というもの、文化を変えるというのは大変なことだということは、これも皆さんに申し上げるまでもないわけでありますが。
 しかし、まさに教育というものについての文化、あるいは教師というものを支える文化というものを日本全国、あるいは各地域で変えていくためには、やはり全国津々浦々の学校現場、教育現場、あるいは家庭の現場、社会の現場で、よりよい教育とは何であるか、あるいはよりよい学校とは何であるか、教師とは何であるかという、この教育をめぐってさまざまな、多様な、膨大なコミュニケーションが日本中で展開をされ続けていくということをやっていかない限り、文化というのは変わらないんだろうというふうに思っております。
 まさに学校文化というものをどういうふうに変えていくのかということと相まっての社会改革というものを目指していきたいと、そのことを皆様方にぜひご一緒にやっていただきたいということをお願い申し上げまして、すみませんが、日本の伝統文化が今危機に瀕しておりまして、大変失礼いたしますが、またよろしくお願いしたいと思います。

【田村部会長】 
どうもありがとうございました。それでは、伝統文化のほうでよろしく、頑張ってください。

 (鈴木副大臣退席)

【田村部会長】
 それでは、審議に戻らせていただきます。適切な副大臣からの発言をちょうだいできたので、非常に議論がしやすくなったと思います。実は今日、ご用がおありになって早目にご退席の委員の方々がお三方おられますので、まずその順番にお三方にご発言いただきまして、それから、青山委員から着席順にお願いしたいと思っております。先ほど申し上げましたように全体の人数が多くていらっしゃいますので、あまり長くなく、ひとつ2、3分でうまくおまとめいただきますとありがたいと思います。
 では、安西副部会長からお願いしたいと思います。

【安西委員】
 申し訳ありません。失礼しなければいけませんので、手短に申し上げます。第1回でございますので、多少大きなことを申し上げますが、学校の先生は、子供たちはもちろんですけれども、家庭、あるいは自治体、教育委員会、地域のコミュニティー、いろいろなところといろいろな波長でつき合わなければならない。これからますますそういう多様なコミュニケーションが必要になってくることは明らかで、そういう意味でもコミュニケーション能力、コミュニケーション力というのは非常に大事だと思います。ただ、では、そういう時代というのはどういう大きさで今後開かれていくのかということについて、やはり学校の教員にとって必要なことは、多分この議論があって、それから具体化されていくと、おそらく今年生まれというんでしょうか、まだほんとうに1歳、2歳の子がどういう教育を受けるか、そういうフェーズのことだと思いますので、大体そういう子たちが30になっても2040年なんです。
 2040年のころの日本と世界がどうなっているのかということを想定して教育をやっていかなければいけないので、そういう時代のジャパンといいましょうか、日本というのは、もちろんネットとか、そういうことの影響もあると思いますけれども、ますます大きな世界の中での日本ということになっていくと思います。そういうことを念頭に置いて、だからこそコミュニケーションのような力が先生にも大事になっていくのだと。それから、子供にとっても、むしろ教わるというよりは、学んでいく主体である学習者中心の教育が大事だと、そういうことが認識されるような教育のあり方の転換というのが図られていかなければいけないのではないか、そういうふうに思っております。多少広いことで、初回ですので、恐縮でございますけれども、一応申し上げておきたいと思います。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。学習者主体の計画ということで、将来を見据えてということです。
 それでは、次に佐藤先生、どうぞ。

【佐藤委員】
 安西先生同様、これから別な会議に出させていただきますので、先に発言させていただきます。私は、都内で私立大学と短期大学の学長を兼務している者でございます。言ってみれば教員養成側の立場でお呼びいただいたと理解しております。その養成しております大学の現場で、昨年大きな衝撃が立て続けに走りました。一つは、免許更新制の見直し、もしくは廃止という報道であります。もう一つが、教員養成の長期化、なかんずく6年制という報道でございます。いずれも報道のほうが先行しまして、その中身がよくわからないまま現場は相当な混乱と戸惑いを禁じ得ませんでした。
 言うまでもなく更新制度につきましては、きょうも机上に配付されております18年の中央教育審議会の答申に沿って、非常に満を持して文部科学省が用意され、私ども国公私立大学の現場に対しても更新制の有用性であるとか、中身について非常に熱っぽく文部科学省がその実施につき、要請をされました。私ども、新免許状を担当するだけが能ではなくて、こういう社会的、国家的な課題には進んで協力すべしということで、ようやく試行を経て昨年度本格実施になった途端のこの見直し、廃止論でございました。政権交代という特有の時期だったとはいえ、現場としては大変困惑のきわみでございました。このことは一つ申し上げておかなくてはいけないと思っております。
 その後、文部科学省の懸命なご努力で、2年目も実際には整然と今行われていることでほっとしておりますけれども、この審議会の議論を通しまして、更新制も含め、一つ採用後の長い時間をかけて完成形と申しましょうか、教員の資質能力の向上という長いスパンで総合的な対応策が改めて深い議論がされることを期待しております。
 もう一つ、6年制の話、これはある意味で学校現場により大きな衝撃でございました。しかし、これは実態とかなりかけ離れているということにつきましては、手元に配られております各学校団体などの意見にもあるとおりでございます。とりわけ、例えば幼稚園。現在幼稚園の教員が10万7,000人ほどおります。毎年1万1,000人ほど新採用されております。そのいずれもが、その8割は2年間で養成されている短期大学の卒業生でございます。これの養成長期化ということになりますと、相当総合的な対策を講じなくてはいけないと思っておりまして、この議論の行く末ということを大変私も注目しながら、また参加させていただきたいと思っております。
 もう一つ気になりますのは、最近の採用の低迷といいましょうか、これまた文部科学省の資料によりますと、例えば平成12年ぐらい、全国の公立学校の教員採用の競争率、12.何倍というふうに記録されていると思います。しかるに直近では6倍程度に下がっております。それだけ今の若い人たちを引きつける魅力というのが今の学校現場に乏しくなっていると、これは大変憂慮すべきことだと思っております。したがいまして、この養成もさることながら、教員の就業環境の改善・改革、これまた中央教育審議会がつとに言ってきたことでありますけれども、このことも総合的に取り組むべき課題だと思っております。養成側としても、本当に希望に燃えた若者が長く教職に定着して力を発揮していかれることを心から期待したいと思っております。初回でございますので、簡単にそれだけでございます。

【田村部会長】
 ありがとうございました。いろいろな視点をお示しいただきました。これを参考に、ぜひ議論していきたいと思っております。
 続いて吉田先生。

【吉田委員】
 申し訳ございません。きょう、実はこの後札幌で東北・北海道地区の私学の初任の中・高の教員の研修会がございまして、それに行くために先に失礼させていただくんですが、研修ということを1つとりましても、今私ども私学の中・高にとりましては、教員というものはそれぞれの学校の自主性、独自性を維持するための大切な存在というか、宝でございまして、この教員の質が低下するということは、イコール学校の質が低下するということにつながると考え、長い間それぞれがそれぞれの学校で研修を行うとか、また私学の中で研修を行うとか、いろいろな形で教員というものを養成してきたつもりでございます。
 そういう中で最近私が特に感じていますのは、先生という地位、今回の諮問の中にもありましたが、社会の高学歴化に伴う教員の地位の総体的低下という言葉が書いてあるんですが、私はこれは高学歴化から来ただけではないのではないかと。社会全体が、教員、先生に対する思いというか、考え方が全く変わってきたのではないかと。例えばの話が、昔は義務教育の学校に通わせていただいているという感覚があったはずです。それが、今では学校に通ってやっている、そして、先生というのは、逆に言えば公立学校でいっても雇ってやっている、食わしてやっているに近い状況になって、先生というものに対する考え方が、家庭から違ってきてしまっている。ですから、バックグラウンドが変わってきている。
 そして、そこに、昔でしたらあめとむちではありませんけれども、指導という部分で厳しい指導というものもあったわけでしょうが、今は言葉ですらすぐにパワハラだ、アカハラだという形で、親のほうからそういうふうに騒がれてしまう。そういうことによって教員が萎縮して、そして教員がよりよく教育を行いたいと思っているにもかかわらず、それができなくなっているバックグラウンドというのもあるのではないかなと。そういう意味では、教員の資質の向上、それから教員の免許状云々の問題もそうですが、そういった社会的な教育に対する考え方をもう一度改めていただくことも大変重要ではないかというふうに考えています。
 それから、教員免許状の件に関しましても、実習が短いとか、いろいろなことがありますけれども、既に中央教育審議会のほうでも出ていましたけれども、教育実習が長くなればなるほど、我々学校の負担は大きいです。現実に今3週間、4週間になってきて、その後、また授業をやり直さなければいけないとか、そういう問題もあります。それはなぜかといえば、そこには実習という形で責任のない授業が行われるからであって、もし長期的な1年とか、そういう研修等を加えようとかいうことがあるのだとしたら、私はそれはそれなりにきちっとした形で責任を取れる立場、極端な言い方をすれば、会計士さんの問題ではないんですけれども、例えば会計士の試験を受かったから3年間会計士補でやるのと同じように、逆に3年なら3年、お給料を払ってもいいから、きちっとした形で、責任を取った形で研修をして、それから正式な免許状が出るような、そのぐらいのしっかりした形にしなきゃいけないのではないかなと。つまりは、子供に迷惑、負担をかけないでいただきたいという気持ちがございます。
 とりあえずきょう、初回ですのでこのぐらいにさせていただきます。ありがとうございました。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。大変いい視点をお示しいただきました。
 それでは、表の順番で青山先生からお願い申し上げます。

【青山委員】
 それでは、高等学校の立場から少々お話をさせていただきます。昨日、文部科学省からの調査アンケートが届きまして、おそらく無作為抽出の各学校にも届いて、それが管理職、教諭、そして保護者代表の方ということでのアンケート集約が行われることになると思います。私、組織という点と研修という2つの点から考えて、東京都では主任教諭という制度を入れておりますけれども、職層からいって、やはり先ほど鈴木副大臣からお話がございました、ここ10年間で3分の1の教員が入れかわっていくという、この非常にドラスチックな変動を考えた場合に、それを組織として支えていくのはやはりこの主任教諭であろうと考えております。
 ただ、主任教諭につきましても、東京都の場合は2年目でございますので、人員を確保するということで非常に大規模な選考、採用、承認という形をとりましたので、やはり研修がまだ追いつかない。制度と内容というものがバランスをとって充足されるためには、当然そこに研修というものが結びついてこなければならないと思っております。主任教諭の研修、これも質的なものが、経験のあるところ、さらにまた経験を伸ばしていくという視点からの研修を行わなければいけません。それから、初任者から4年次までの4年間の入り口の段階での一番大事な研修ということにつきましても、東京都は今回要素移行を行って、1年から4年までの間で1年目に過度の負担をかけないように、負担を減じて、その分を2年次、3年次、そして4年次に持っていって、4年間のトータルな流れの中で完成させようというシステムに変えております。
 この裏には、OJTを生かすことによって、その組織の中で実践的な力をつけていってもらおうという意向があると考えています。学校は今そういった制度的な変化に対応しようということで頑張っているところでございますけれども、もう一つ、コミュニケーションという話題も先ほど出ました。これは私も大変大切なことで、教員がコミュニケーション能力を高める、生徒に対してコミュニケーション能力を持てということではなくて、教員自身が持つことによって、それが生徒に還元されていくということではないかと思っています。そのためのインタラクティブな力を高め、そして、いろいろな課題解決の能力を教員自身が身につけて、さまざまな局面で研修を通じて力をつけるとともに、それを教育の場で還元していくということが必要ではないかと思っています。
 最後に、昨年、全国の普通科校長会の総会研究協議会で高大接続のシンポジウムを行いました。その冒頭で、本日もいらっしゃっておりますけれども、日本経済新聞の横山さんがコーディネーターということで冒頭キースピーチをされましたけれども、その中に教育というものが社会の装置であるということを述べておられました。これは私は非常にインパクトのあるものであって、我々教育に携わっている専門職の者たちがひょっとすると忘れがちになっているところではないだろうかと。学校というものが教育の中でどういう役割を果たすものなのか、社会の中で学校というものがどういう装置であるのかということを、考えを受けとめることで教員が何をしなければならないのか、教員が何を求めて、何を伸ばしていかなければならないのかということを考えていく糸口になると思っています。私はそういう視点から、今回のこの部会の中で意見を述べてまいりたいと思っております。以上です。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。本当にそこのところは大事だと思います。熟議カケアイの中でも、実践力というのが大きなテーマになって議論されておりました。それから、私自身も実はある大学の先生から、税金をやっている高校が何で学力のある生徒を大学に送らないんだと言われまして、税金をもらっているといったってと、何となく反論しにくくて、今のお話は私なりにいろいろなところで私も経験しているという感じがあります。ありがとうございます。
 それでは、続きまして小川先生。

【小川委員】 
 1人2、3分ということで、いろいろあるんですけれども、抽象的になるかもしれませんが、2点だけ。生涯にわたる教員の資質能力の向上を図るということを考えた場合には、1つは、現場でしっかり教員が力をつけていく環境とその仕組みづくりというのは当然前提条件としてやられるべきかなと思っています。その際には、個々の教員の研修制度等というのは当然重要ですけれども、それだけではなくて、教員の能力開発というのは学校の経営のあり方、ないしは学校づくりのあり方とも表裏一体というか、不可分であることを考えますと、教員の人事権、研修権などを含めた教育経営、ないしは教育行政のあり方も考えていかざるを得ないのかというのが1点です。
 2つ目は、現場で教員の力をつけるというのは当然前提条件としてあるわけですけれども、それとともに大学、大学院レベルでの養成のあり方というのは当然重要であります。私たち自身は、将来的には修士課程を基礎資格にするとかいう教員養成の高度化という点も、やはり重要な課題であろうと思っています。ただ、大学における教員養成を修士課程のほうに持っていくといった際に、これまで日本の教員養成の特徴であった点をどう踏まえた上で、そうした高度化を図るかというのは、かなり様々なモデルがあっていいのではないかなと思っています。
 日本の教員養成の特徴というのは、他の国と比べると、例えばアメリカでは学部での教員養成はしないで、大学院で行うわけです。また今注目を集めているような、例えばフィンランドなんかでは、学部から教員になりたい人を絞り込んで、目的大学的にかなり学部からトレーニングを積んで、そして修士まで高度化していくということになっています。日本の教員養成のこれまでの特徴というのは、ある意味ではこうしたアメリカとかフィンランドと比べるとちょうど間というか、折衷案でありまして、開放制の学部をベースにしながら教員養成を図ってきたということを考えると、修士課程への高度化を図るにしても、一気に開放制を極端に狭めていく中で修士課程に持っていくというのはかなり現状を無視している点がありますので、開放制の学部と、数を絞り込んだ修士課程の教員養成というのをどう接続していくのかというのが、1つ大きな制度の論議としての重要なポイントなのかなと思っています。
 そういう点では、今の開放制がそのままいいというふうに私は思っていませんので、もう少し課程をきっちり強化したり、チェックするような仕組みには当然するとしても、そうした開放制を否定しないで、開放制をベースにしながら、大学院修士課程の教員養成の充実を図る際には、例えば学部を卒業した後、採用試験に合格した者を修士課程できっちりトレーニングして学校現場に立たせると、そうした構想も含めて、さまざまなモデルということが併存する形でいくような教員養成改革の議論というのがあっていいのではないかなと思っています。

【田村部会長】
 ありがとうございました。一度教員になってから、また大学に行くということもあっていいだろうと、こういうお話だと思いますが、大変関心があります。
 次は、小原先生。

【小原委員】
 私は教員養成をする立場、それから本学は小学校から高等学校も併設しているので、教員を採用する立場、それから、親の期待を反映させなければいけない立場、3つの立場にあるんですけれども、そのどの立場に立つかによって学校に寄せる期待というのは変わってくると思うんです。親の位置からすると、私たちと同じ学歴の先生でいいのという端的な意見が出ていますし、一方、教員養成を受ける学生側からすると、4年で精いっぱいなのに、もうあと2年行かなければならないとなれば、費用対便益の分析からすると、とてもやっていられないということもあります。
 ということで、どの立場をとるかによってかなり意見が違ってくるので、非常に難しい問題ではないかなと思っております。我々の共通理解として、教育というものは、何かよりよいレベルへ人間を導いていくというものを持っています。昨今を見ると、それを目的に教育制度等が充実してきましたけれども、反面、家庭の教育力が低下してきているということは、教育力を低下させるための学校教育だったのかと。あるいは学力低下が言われていますけれども、学力低下を来すための学校だったのかという批判も出るのではないかなと思います。
 我々が今後やらなければいけないのは、この先どのレベルまで持っていくための教育なんだということを明確にする必要があるのではないかと思うんです。その目的がはっきりしていれば、それに沿った資質の高い教員というものの定義も出てきます。その定義が明らかになれば、教員養成としてやるべきことも明らかになってくるのではないかなと思います。今の社会を見ますと、教育活動の目的というものがなくなってきているのではないかなという気がいたします。先ほどは30年先のということがありましたけれども、当面は2020年を目指して、どういうビジョンで日本の教育を進めていくのかということも視野に入れて教員養成のあり方というものを考えていければなと思っております。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。続きまして加藤先生。

【加藤委員】
 部会長、ありがとうございます。初回ですので、私のほうから、まず問題認識として今の免許更新制度もそうなんですが、画一性、一律性といった、そういうところでございます。小学校、中学校、高校、幼稚園、それぞれ役割、使命、教員の方もありますし、また地域性もあります。そういう中で画一、統一、一律というのがなじむのかどうかと。やはり、もう少し柔軟性なり自主性、主体性という今後の未来指向での教育のあり方を考えれば、まずそういう認識を構造的に変えていくという発想の中で、研修制度も含めて抜本的に改革していく。その際、大学や、企業や、研究会や、研究所や、さまざまな参加、すなわち開かれた公開性の中でのそういったさまざまなものを全体的に利用、活用していく中での研修制といったところも含めてやっていかなければいけないのではないかと、これは1つの認識でございます。
 もう一つは、その中で考えますと、今の10万人が研修する、100万人を研修するということになりますと、やはり地域性ですね。ルーラルエリア、都市部等を含めて、今の世の中で一番共通、平等なのは時間ですね。時間の中で先ほどの先生からも出ましたけれども、子供の負担もそうですし、学校現場での教員の負担、費用負担、時間負担、さまざまなことを考えますと、本当にそういうところも含めて考えると、地域特性を考えると、やはり今のやり方というのはあまりにも統一性が強過ぎて、実態的にはさまざまな形でご苦労なさって、また経済的、精神的、時間的負担になっている方もたくさんいらっしゃるということは、もう少し内実を検証し、見つめて、未来指向でまずやっていただけないかというのが1つでございます。
 もう一つは、今日もNHKニュースでショッキングな中学生のことが出ていました。生徒同士のいじめを超えたことが出ていましたけれども、やはり専門性、とりわけ小・中・高を含めてなんですけれども、その中で、今でいえば男女平等、ジェンダーとか、共生社会とか、子供たちに本当の意味で基礎的な、学習というのではなくて、人間形成の重要性の中で、どうそこに先生方、教員がコミットできるか。そうなると、先生方にもある程度時間を与えて、ある程度1人ではなくて、複数性の中で相互にそれぞれ自己研鑽しながら生徒と向き合う、学校の全体の教材もそれぞれ分担してやるといった、そういう構造的なことをしていかないと、これは今の構造というものをもう一度見直した中で今後せっかく利用するんですから、あり方等はしたほうがいいのではないかと思っています。
 最後になりますが、私も中央教育審議会でも申し上げているんですが、情報関係に携わる者として、情報格差というのを私は一番恐れるものであります。北海道から沖縄まで、すべてのところに、こういう社会だからこそ的確な情報、さらには距離が遠い田舎だから大変だということを補うための、例えばテレビ電話でもいいですし、ビジュアル化でもいいですし、グローバル化の中でこういう国際が動いていますということを瞬時に生徒に教えるような、そういうITシステムをどう活用するかということをしないと、社会の変化に追いついていかないと思っておりますので、また別な次元での議論になるかもしれませんが、総務省、ほかの省庁とも横断的な課題になるかもしれませんけれども、IT教育の実効性、中身を含めた議論も含めていかないと、これにかかわる教職員の質の問題も、当然ながらそれも補った研修制度も必要ですから、そういったことも含めてこの議論をぜひともお願いしたいと思っております。以上です。

田村部会長】
 ありがとうございました。10年、20年先より、現在既にITの格差が相当ありますから、そういう問題意識、確かにそのとおりだと思います。ありがとうございます。
 それでは、岸田先生。

【岸田委員】 
 ありがとうございます。私は基本的には県教委に長くおりまして教育行政をやっていたんですけれども、この春まで3年間和歌山大学の教育学部におりました。当初は、教職大学院を設置するということで着任しましたが、それはうまくいかずに、ちょうど教員免許更新講習を行う必要が出てきましたので、その主担当として仕事をして、実際に必修講習、それから選択講習も行ってきたわけです。もちろん大学の教員養成ということで教育学部の授業も持ちまして、学生を教育実習に行かせるために地域の教育委員会との連携協議ということも行ってまいりました。
 この春から県の教育委員会に戻ってまいりまして、採用、あるいは初任者研修、10年経験者研修といった現職教員の研修についてもかかわる立場にあるということから、まさにこれから議論していくさまざまな立場を経験して見てきたというつもりでおります。その中で、今課題意識を持っていることを、きょうは初回ですので2点だけ申し上げておきたいと思います。
 1点は、大学での養成という点です。求められている教員としての実践力、あるいは私ども、採用する教育委員会の立場として最低限身につけておいていただきたいと思っている教員としての資質という意味で、私の経験した限りにおいてですが、大学教員の個々の専門性の寄り集まりとあえて申しますけれども、その中では実効性という点でまだまだ課題がある。このためには少し大胆なメスの入れ方をしていく必要があるのではないか。18年度答申に示した教職実践演習の導入ということで大学では準備が始まっていますけれども、それだけではなかなか難しいのではないかという課題意識が1つです。
 2点目は、現職教員の研修という点です。教員免許更新講習というのは、制度としては、つまりこれを受けないと教壇に立てないという、法令上不可避的な、まとわりついている縛りとでも申しますか、教員としての専門的知識等のリニューアルであるという、いくら文脈を変えてもまとわりついてくる問題があるという意味では、課題があるかなとは思っているんですけれども、現職教員の研修を行う1つの形態として、大学というフィールドでこの講習をやる意義はあると思っているわけです。実際に私も講習を担当いたしまして、受講者の半分くらいは53歳の教員というベテランの教員だったんですけれども、学ぶ姿勢というか、食いつきは大変よかったです。わずか5日間ですからどれほどのことが学べるのかという問題はあるんですけれども、少なくとも10年に1度ぐらいのこういう場というのは、教員に求められる学びの継続性という点で力になるのではないかという実感は持ちました。
 この講習と、これまで私どもがやってきた初任者研修とか10年経験者研修といった研修とどのように融合させていくのかというのが、2点目の私の課題意識です。今日はそれだけ申し上げておきたいと思います。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。養成、研修についてのご意見をちょうだいしました。
 続いて清原先生。

【清原委員】 
 ありがとうございます。三鷹市長の清原慶子です。私は教育委員会を尊重してよりよい教育の実践のための条件整備を進める公立学校の設置者でございますので、教員の資質能力の向上ということは大変重要な課題だと認識しています。
 さて、三鷹市では平成17年9月に私が提案しまして可決され、平成18年4月に施行されました三鷹市自治基本条例の33条において、「学校と地域との連携・協力」を規定し、保護者、地域住民等の学校運営への参画を積極的に進め、地域の力を生かした創意工夫と特色ある学校づくりを行うことと、学校を核としたコミュニティーづくりを推進していくことを明記しています。また、公教育の理念であります三鷹市教育ビジョンでは、市民や保護者の願いや、時代の要請を踏まえて、家庭・地域・学校が三鷹の子どもの人間力や社会力をともに培うことをその趣旨としています。これらに基づきまして平成18年4月から開始し、平成21年までの間に教育委員会がコミュニティースクールを基盤とした小・中一貫教育校の全市展開を進めてきています。
 法律に基づく学校運営協議会や、その協議機関であるコミュニティースクール委員会は、児童・生徒の教育活動に協力支援するとともに、学校運営に参画するなど極めて重要な役割を担っています。そこで、教員にもこうした地域との関係性を持つという大きな資質が求められているわけでございます。そこで三鷹市では、これらの三鷹市の教育施策を理解し、三鷹にふさわしい意欲ある教員を養成するために、三鷹市教育委員会が三鷹ネットワーク大学と連携しまして、「三鷹教師力養成講座」を平成18年11月から開講しています。言うまでもなく教員の採用や異動については、三鷹市の場合、東京都教育委員会に権限があります。しかしながら、三鷹市立の全小・中学校が学校運営協議会を設置するコミュニティースクールとして指定されておりますので、任命権者である東京都教育委員会に教職員人事について意見を述べることができます。
 この「三鷹教師力養成講座」では、教職を目指す社会人や大学1年生からの学生向けの教員のインターンシップ制度としての導入、特別教育実習による学校現場の実践経験と、土曜日の講座による理論修得の両面を提供しまして、三鷹市にふさわしい教員を養成する取組みをしてまいりました。そこで、三鷹市が求める教員が実際に三鷹市の学校に配置される可能性が高められております。私が申し上げたいのは、このような実践から、これからコミュニティースクール型の展開が全国的に広がっていくならば、教師の資質の中にこのような点も含めていただければありがたいたいと思います。
 かいつまんで2点だけ付け加えさせていただきます。1点目、私は市長になります直前まで大学教員をしておりまして、東京工科大学メディア学部長をしておりましたが、初等中等教育局の取組みの「情報教育の手引」を編集、執筆の機会もいただきました。ICTの時代にあって、単に道具としてのICTを使うだけではなくて、幅広い意味でのコミュニケーション能力を踏まえた情報活用能力が教員の資質にはさらに求められていると思いますので、この点も重要です。
 最後に、私は今年の1月から、政府が開設しました「障がい者制度改革推進会議」のただ1人の自治体からの委員を務めております。この6月、その第1次の意見がまとめられた中に、障害のある子どもが障害のない子どもとともに教育を受けるという、障害者権利条約のインクルーシブ教育システムの構築の理念を踏まえた体制面、財政面も含めた、いわゆる特別支援教育のさらなる見直しといいましょうか、そういう提案を含む意見書が出されております。手話、点字等も使える教員の養成、あるいは障がいのある教員の採用などについても提言されております。これは中央教育審議会で別途検討されると承知しておりますが、この教員の資質能力向上特別部会において、その他の動きもしっかりと連携させながら議論していくことが有効だと考えますので、局を超えた、あるいは課を超えた、足並みをそろえた検討がこの部会でなされればありがたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。三鷹市の実践と、それを踏まえた視点をご指摘いただきました。
 それでは、続きまして新藤委員。

【新藤委員】
 失礼します。全日本中学校長会会長の新藤でございます。中学校の立場から何点か話をさせていただきたいと思います。今東京でも、中学校も若手の教員が次々と採用されていますが、自分自身の若いときと比べて、知的水準とか、そういった面では非常に高いものを持っているし、意欲もあると感じているんですが、若干気になる点は、理想の教師像ですとか、あるいは中学校は教科担任制ですので、例えば私は教科が国語でいけば、理想の国語の授業とはいかなるものかということに対しての自分なりの考え方があまり固まらないまま教員になり過ぎているのかなということを感じていて、教員養成の段階でのそうした意識の問題を、1つ取り上げていきたいなと思っています。
 2つ目は、教員は現場によって育てられるんだなと改めて思っています。今から二、三十年前でしょうか、東京大学の稲垣先生が「教師のライフステージ」という本を書かれたと思うんですけれども、その中では教員が自分の思いを定めて教師として自立していこうとか、より生涯にわたって力をつけていこうという意識が変わっていく背景としては、1つは先輩や同僚との出会い、2つ目が校内や校外での研修による変化、もう一つが主任ですとか、そういったもののポストを経験するということが大きな要因として挙げられておりますけれども、現在の学校の中で果たして……。先ほど青山委員からありましたように、東京は昨年からOJT、on the job trainingのより充実ということを挙げているわけですけれども、こうした3つの要素を含めたOJTが本当に確立されていかなければ、教員というのはなかなか育たないなと思うんですけれども、そういったところは現在どうなのかなということをまた議論していきたいなと思っています。
 3点目は、それともかかわることなんですけれども、なかなか学校の中だけでの研修ではうまくいきませんので、off the job trainingというんでしょうか、現職研修のあり方についても考えていく必要があるのかなと思っています。
 4つ目、これは中学校の実態ですけれども、全日中で毎年中学校教育に関する調査というのをやっているんですが、昨年5月段階の調査を見ますと、臨時免許による教科指導、つまり正規の免許を持たないで臨時免許によって指導している教員が全国で7,100名を超えております。全くゼロというのは現実には2都県だけです。そういったところで、この確かな学力の推進というのを挙げているわけですけれども、そういった中でこれは資質能力に直接かかわるかどうかわかりませんけれども、この臨時免許の教員による指導というのをいかにして学校現場から払拭していくかということも、非常に重要な問題ではないかなと思っております。
 その4つあたりを今後議論していただければなと考えているところです。以上でございます。

【田村部会長】
 ありがとうございました。それでは、高岡先生。

【高岡委員】
 ありがとうございます。私は島根大学という地方の小さな大学の教育学部という、それこそ小さな教員養成目的学部を4年間ほど学部長として預からせていただいたんですが、この間、今日も手元にありますが18年答申、これは私が国の会議にいろいろ出させていただいて、多分10冊ぐらいあるんじゃないかと思うぐらい毎回配っていただいて。それを実は学部に持って帰りまして、この答申が出た後、かなり徹底して学部の教員たちと読み込みました。読んで、読んで、何が要るのかということを考えて、それ以後幾つかのこの答申が求めている底部にあるものも含めて、養成プログラムの改善ということを実態にやってみようというふうに考えてまいりました。
 そういう意味では、今回のこの部会について、加えていただいたことは大変光栄でございます。ありがたいことだと思います。諮問文の表題が私、大変気に入りまして、教職生活の全体を通じた資質能力の向上と。これまでこの18年の答申もそうですけれども、我々が読み込んだ底にあるものは何かというふうに考えたときに、まさにこの教職生活の全体をという表現、つまり生涯にわたる教職の専門性の職能成長ということ、養成から研修へと。ここをつなぐということの意味が今回の諮問のテーマとしてあらわれているような気がいたします。
 その点で、今日は何をお話しするのがいいのか、唐突に2、3分と昨日メールをいただいたりしたものですからいろいろ考えたんですけれども、大きくは免許制度全体の問題、それから大学が何をするのかという問題ではないかと思いました。免許制度の改革という問題については、1つは、今巷間いろいろ言われている養成期間の延長という大きな制度論的な問題があるんだと思います。もう一つは、その枠組みの中でどういうプログラムをつくっていくのか。養成プログラムの改善の方向性というのはどう見据えていくのかということだと思います。
 私は現時点では、この2つの問題をこう考えたらどうかというふうに思っております。それは、現行の基礎資格が求めている、これは1種免許状で学士課程なわけですけれども、その学士課程の養成で足りないものというのは何なのかということ、それをかなり詰めて議論する必要がある。もちろん、先ほど副大臣からのお話もありましたように、科学技術の急激な進歩、社会の変容の激しさ、学校の変化などそういうことが背景にあるんだから、当然養成期間も延長すべきじゃないかという議論もあるんだと思いますが、なおかつ、では、何が不足しているのか。4年で足りない部分というのは何なのか。そのことを本気で考える必要があると思っております。
 と同時に、現時点ではどうも急に6年だとか、4プラスアルファだとかいう話になると、あまり現実味がないような印象もないわけではないんですが、しかし、先ほどもお話がございましたように、10年後、20年後になおかつ4年制かというふうに考えると、またこれにも違和感があります。ですから、その辺のはざまのところが制度改革をやっていく場合の大きな論点ではないかと思います。
 もう一点ですが、行政と大学の連携。まさに生涯職能成長という観点でいえば、これまで疎遠だった大学と行政がどう手をつなぐか、研修ということに大学はどうかかわっていくか、養成にどう行政がかかわってくるのかということ、この点についての社会システムの構築ということが大事だろうと思います。私は昨年から始まった免許更新制、これも評価はいろいろございますし、賛否両論あるようですが、大学の観点からいえば、ようやく大学が現職教員の研修に腰を上げた、その点では画期的だったと思います。
 その重い腰を上げた大学が免許更新制をやめるんだという話になると、また腰をおろしてしまいます。そして、もう一回タコつぼの中に入ってしまうと二度と上がってこない可能性があるという危機感も私にはあります。それはいいとして、この免許更新制でたった1年、2年のことですけれども、この経験を踏まえて今大学は変わりつつある。教員の研修ということに対して積極的にかかわっていく素地が十分、大学によって精粗いろいろあるかもわかりませんが、できつつあるということ。このことを踏まえて、本気で教員研修に大学はどう取り組んでいくか、このシステムの構築ということが大事ではないだろうか。18年答申の底にあり、この今回の諮問の表題にある、いわば18年答申の中で芽として提出されていた課題、それを一挙にこの際開花させる可能性がある。そういう議論がこの場で十分尽くされれば、我々にとっても未来は明るくなるなと、少し楽観的ですけれども、考えております。以上です。

【田村部会長】
 ありがとうございました。では、高桑委員。

【高桑委員】
 失礼します。簡単に3つの点をお話しさせていただけたらと思っています。1つは、教員の資質としてどのようなものが大切なのか。大変多くの点が教員の資質、知識、教養として求められるわけですけれども、私は教員が最も大切にしなければならないのは、自分自身が未熟であるということを自覚すること。いわば向上心を持って学び続けなければ教える資格がないんだと言われてきた教師としての原点を、もう一度きちっと踏まえる必要があるのではないかと。到達する知識の量をはかるのではなしに、学び続ける力、どちらかといえば到達点よりも持続して学べる力というものを教員が持てるかどうか。そのためには、できるだけ多くの体験、いわば挫折、失敗を乗り越えてこれたかということと大変関係するのではないかと感じますので、学生にできるだけ多くの体験をさせるということなのかなと思っております。
 2つ目は、現在京都市での教育改革として、社会総がかりで世の中にあるすべての力を子供たちの教育に結びつけたいということで、学校、家庭、地域だけではなしに大学、企業、とりわけ大学との連携なしに現在の義務教育は変わり切らないというところで、教員養成支援室というのを京都市では18年から立ち上げました。その中で京都教師塾、定員300ですけれども、京都の教員になるかどうかにかかわらず、先生になりたい学生を500人集めて1年間にわたって実践的な学習をしてもらっています。また、学生ボランティアということで、京都市には37の大学があるわけですけれども、1年間、多い少ないはありますけれども、2,000人の学生が現在でも何らかの形で学校に入ってきてくれております。
 また、教育実習についても、京都市の場合は、出身校にかかわらず京都市の大学生が京都で教育実習をやりたいという学生については全部受けようということで、とにかく受け入れるということを最優先に取り組んでまいりました。大学の力を借りないと教育がよくならないのはそのとおりですけれども、私どもは義務教育、小・中学校が大学をも変える力を持つんだという信念を持ちまして、双方がともに高め合えるように、大学も変わり、それぞれの学校が変わっていくためには、連携なしには変われないということで、まさに社会総がかりの1つとして、企業、大学とのかかわりを強く求めている実践を行ってまいりました。連合教職大学院については堀内先生がおられますので、またそこでお話がいただけるかと思いますけれども、これも大学と一緒になって取り組んできた取組みです。そういう意味では、研修・養成を教育委員会と大学とが一緒になって取り組んでいけることだと思っています。
 最後に、3点目ですけれども、教員の資質を考える上でスーパーマンのような形で何もかもできる先生というものを育てることができるのか。先ほど小川先生のお話にもありましたけれども、学校の力というのは個々の一人一人の先生の力も大変重要ではありますが、学校総体、総合力としての力量アップが果たされなければできない。そのためには、4番バッターばかりそろえて学校運営するというのは難しいし、必ずしも得策ではないと思います。そういう意味では、できるだけ多彩な人材に学校教育の中に入ってきてもらう。その意味では、現在の免許の開放制については大賛成ですし、今ある特別免許状も含めて多くの多様な人材を学校教育に結びつけたい。地域からも、いろいろなところから入ってきてほしいなと思っています。
 そういう意味で学校が教員の資質向上、力量アップを考える上では、チーム力をどのよう高めていくのかということも同時に考えていかないと、教員としての力量アップというのは、全部個々の教員に還元されるものではないのではないかというふうに感じております。時間の関係もございますので、この程度にさせていただきます。ありがとうございました。

【田村部会長】
 ありがとうございました。続いて長南先生。

【長南委員】
  私は、教育施策というのは子供に最も近いところで発想した仕組みが効果を上げると思っています。山形県は平成14年に少人数学級、21人から33人の独自の学級編成を続けております。今年度、中学2年まで完成をいたしました。来年で義務教育9年間、21人から33人の学級編成になります。平成13年当時に国の方向としては少人数指導が優先されていました。そういう中で少人数学級でやりたいものだという独自の案を、山形県は提示いたしました。文部科学省からイエローカードを見せられたという段階もありました。しかし、とうとうイエローカードはもらわなかったということで現在に至っております。
 なぜ少人数学級を独自に進めたのか、その背景には2つありました。1つは、指導の効果を高めたい。2つ目には、今ここで議論する教員の資質能力、指導力の向上を図りたいというのがねらいでした。最近の子供たちを見たときには、以前の子供と違って、38人、40人規模の授業で実際にその先生がやりたいと思うことがなかなか達成できない。クラスサイズを小さくしたら、きっと達成感とか、高揚感とか、達成動機が生まれるのではないかという考えのもとに少人数学級を実施いたしました。現在のところいろいろな効果が見えてきております。
 教員の資質能力の向上もこういった考え方で進める必要があるのではないか。教員に最も近いところで発想した仕組みをつくると。国の役割と地方の役割を明確にしながら、より重点は地方の役割に移していくということがこれからの資質向上の仕組みではないのか。では、教員に一番近いところはどこなのか。学校なわけです。学校といえば校長、教頭だろう。校長、教頭の資質を高めることがもちろん一番手っ取り早い方法ではないのかと思います。ぜひこういった仕組みができればと。今いろいろな仕組みがあるわけですけれども、はるかに効果の出る仕組みがつくれるのではないかと思っています。
 今山形県内で一番重視しているのは学校の研修、研究が教育委員会におんぶに抱っこ、これでは高まらない。もっともっと学校の中で解決できることがあるのではないかということで、校長、教頭の役割をしっかり高めたいということを考えております。以上です。

【田村部会長】
 ありがとうございました。それでは、中西先生。

【中西委員】
 私は新聞社で「教育ルネッサンス」という長期の連載を長く担当してまいりまして、先ほど鈴木副大臣から学校の文化とか意識面から変えなければというお話もございましたが、そういう意味では、メディアと教員の関係というのをもっといいものにと心から思っている立場でございます。
 そういう中で教員の資質能力等のことで、瑣末な話なんですけれどもいつも思っているのは、先ほどコミュニケーション能力が云々というお話が何人かの方から出ましたけれども、では、なぜ学校の先生は管理職以外は名刺を持っていないのかということをいつも感じております。そういう制度ではなくて、ちょっとした装置、例えばの話ですけれども、先生に名刺を持たせる、そういう装置をちょっと変えてあげるだけで変わることというのもあるのではないかと思います。そういう意味では、そもそも学校に1人1台パソコンが入っていないこと自体が、今の世の中、学校以外、どこの企業を見てもそういうことはなかなか考えにくいと思うんです。あるいは、例えば小学校と中学校の連携ということが盛んに言われますけれども、なかなか小学校と中学校の文化は折り合わないと言われます。そうであれば、人事上そういう両方の免許を持たせて交流をもっとたくさんやるとか。
 あともう一点、どうしても教員ということになると、都道府県単位で物事を考えることが多いわけですが、例えば研修というのを都道府県を超えてもっと進めれば、それこそ都道府県ごとに学校文化というのは極めて強固なものがあると聞きますので、そういうところからも先生というのは変わっていくのではないかと。そういう固定観念を変えていけるような議論ができればなと思います。以上です。

【田村部会長】
 ありがとうございました。すごくおもしろいお話をちょうだいしました。そのとおりと思うところがたくさんありましたので、ありがとうございます。

 それでは、布先生。

【布委員】
 よろしくお願いします。私は小平市で学校と地域が連携してこどもたちの学びを豊かにする学校支援を9年間実践してきたしてきた視点の中から、お話させていただきたいと思います。
 すべての活動には、まず目的が大事であろうと考えております。1日の大半を学校で過ごす子供たちにとって大事なことは、勉強がわかること、自分の役割があること、友達がいることだということを活動のモットーに決めました。支援する方々の居場所のお部屋は勿論のこと、私自身、職員室の中にコーディネーターの机を置かせていただいて、求められるニーズを見極めて先生がたと多様な支援をしてきました。その中で今回のテーマの1つである教員に求められる力は何だろうと考えました。たくさんありますが、人と人の関係力が、まずあげられます。自分以外の人の話をよく聞いて欲しいと思います。自分以外の文化を理解しよう知っていこうと努めて欲しいと思います。幼・小連携、小・中連携、中・高連携、大学・企業・NPO等、地域との連携が求められています。一人一人の先生は、同僚の先生と管理職、他校種の先生方と教育委員会、保護者と地域との関係性の中で仕事をしていらっしゃるのですから、この関係をよくしていくのに必要な体制・環境・養成・研修が大事だと思います。
 ここ数年、教育実習生の先生になろうと思って実習にくる学生が少ないと感じます。そのような状況は現場の先生方にとって負担になっていると肌身で感じます。私は様々な大学や院生や通信制などの学生ボランティアを何年も受け入れて学生と関わる中で、ほとんどの学生は採用試験を突破して教員としてがんばってる一方で、社会人となってから教育の重要性を感じ教員になりたい、卒業学年になって今からでも教員養成課程の勉強しても間に合うだろうかという相談を受けます。社会の仕組みもわかりコミュニケーション能力の基本の社会常識もあり、教育がどのように社会と結びついているかということを経験した上で仕事をやめて採用試験を受けるために学びたいと思っている人や通信制の大学で働きながら学び本気で教員を目指す人に、現役学生優先でなかなか教育実習の場が与えられないのは、とても不幸なことと考えます。
 また、学校以外の企業・NPO・大学と連携する中で、先生がたの学びが深まっていると感じます。ただ残念なことに研修が終わると今日のは疲れたとか、何も分からなかったとか、どう役立つのか・・・と言う声が聞こえてきます。先ほど申し上げたように、が疲れからなのか、目の前の課題でいっぱいからなのか、話しても届いてない気持ちになることがあります。もちろん講師自身の力量不足もあるかと思いますが、現場の先生たちが聞きたい、自分にとって必要だという研修かどうかが大事と思います。その研修の足し算の学びと、私たち地域・企業・NPOの優良な関わりによって起きる掛け算の学び、この2つがあることで、今関わっている学校では、先生たちがとてもいい感じで変化してきています。
 1つ例をあげれば、支援にかかわり始めた8年前は、地域の方がお会いしてもなかなかご挨拶できなかった先生方が、今では地域の人にもどなたにも、足をそろえて「こんにちは」と笑顔で言ってくださる。コミュニケーションの第一歩である、まず挨拶が行き交う関係に変化したことがうれしいです。
 最後に子供たちにとって学校が1日の大半を過ごすところだと初めに申し上げましたが、先生方は子供たちにとって身近な保護者以外で一番長く接する存在です。その先生方の働く姿が魅力的でなければ、子供たちの将来に対する学びというのは深まらないのではないかなと思います。先生方が、この仕事って楽しいよねと醍醐味を知って生き生きとしている先生がもう少し増えるように、いろいろな面が改善されることを望みます。ありがとうございました。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。それでは、実は私のほうの整理の仕方が悪くて、時間がもう近づいておりまして、あと5分ぐらいしかないんですが、できるだけ進ませていただいてと思っております。次回、続けてこういう議論を持ちますので、どうしてもという場合は次回になってしまうんですけれども。残された時間をできるだけ活用して、村松先生が4時にお出にならなければならないということなので、順番がはずれてしまいますが、村松先生。

【村松委員】
 勝手を申して申し訳ありません。会議を抜け出してきているものですから、戻らなければいけません。私は、東京学芸大学という教員養成系大学の学長を務めていると同時に、国立の教員養成系の大学・学部、及び私学も入った日本教育大学協会というところの会長も務めております。日本教育大学協会といたしましても、昨年来新しい考えが出されてから委員会をつくりまして議論してきましたので、その辺も踏まえてちょっとだけお話しさせていただきたいと思います。
 大学で教員養成を始めて、最初、鈴木副大臣が50年とおっしゃいましたが、60年たっておりまして、この60年を経て大きく変革をするとしたら、60年と言わないまでも、今後30年とか、50年というのを見据えた制度改革をすべきだということが1点。ただし、既にさまざまな実績や実態がある中で、根本的にひっくり返すようなことはもちろんできないと思います。現実的なアプローチをとっていく必要があるだろうなと思っています。さまざま出ていますように課題の複雑化とか、環境の変化で教員養成の中ですべきことは非常に増えていると思っております。教員養成の高度化というのは、30年、50年を考えていった場合には必須だろうと思います。
 これまで出ていない話でいえば、例えば前回の教員免許法の改正で、そういう問題意識で教職の科目の比重が非常に増えました。その結果、教科専門の比重のウエートが相対的に下がってきているということがあります。これは教員養成系ではなくて、一般大学学部でも、多分学生さんにとっては教職科目のほうが非常に負担になっているということで、4年間で詰め込んでいるという形だろうと思います。私自身、教大協といたしましても、開放制で教員養成を行い、多様な人材を養成していくことは大事だろうと考えております。その上で教員養成を長期化していくにはどういう形があり得るか。もちろん教員養成系の大学の中でのカリキュラムですとか、教員の意識ですとか、改革しなければいけないことが多々あることはもちろんなんですけれども、それは一応置いておいて、複線モデルが、今でも教職大学院等々、ストレートの6年制で始まったばかりですけれども、実績を上げていると思います。
 本学もごく一部ですけれども、学内的に6年一貫コースというコースに登録するような形でつくっておりまして、これはある意味では有効だろうと思いますけれども、教職大学院にせよ、本学で行っていることでも、規模からいうとほんのわずかなことでありまして、日本全国の教員養成をしていくときに、これを直ちに適用していくことは到底無理だと思います。その意味では、ストレートの6年一貫もあってもいいし、4年プラスアルファという、政権からも出ているような考え方で、4年のどこを基礎資格にするのか、第1段階にするのか、現場の経験も踏んでから、何らかの形でもう一回研修、あるいは養成の一環として先生方が大学院に戻っていらっしゃるということは非常に有効だろうと思っております。現在も、本学も免許状更新講習に全大学の教員が一人残らず関与するような仕組みにしておりますので、これまでも10年経験者研修にも携わらせていただきましたけれども、免許状更新講習は、どなたかもおっしゃったように、大学にとっても大変有効な部分があるかなと思っております。
 4プラス2にするにしても、希望者、11万人とか12万人の方が全員大学院に行き、長期にわたる教育実習をやるというのは、やはりちょっと現実的ではないかなと。そういう意味で、4年で一度時間を置いて絞り込んで、本当に意欲のある人がまたさらに勉強して、本格的な教師になるような道をつくることが必要かなという議論もしております。ただし、現在でも教育実習の公害があって、先生にならない人が教育実習に行くことのご迷惑は大変承知しております。そこで縛りはある程度かけるべきだと思いますけれども、教育実習に行って教員としての適性に目覚める学生、反対に無理だと思う学生がいます。短期の教育実習を経験していないという学生に対して、いきなり長期間の実習などを課すということは現実的ではないと思います。学部段階でも教育実習はある程度し、さらに絞り込んだ人たちに長期の教育実習をやるような道はないかなと考えております。
 現状、そんなところをとりあえず申し上げます。以上です。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。大変ヒントの多いご発言をいただきました。
 それでは、八田先生、どうぞ。

【八田委員】 
 ほんとうに簡単にお話をさせていただきます。私、今学長をやっておりますけれども、経済学部の教授ですのでゼミだけを持っております。今4年生が24名おります。そのうち、この時期大体教育実習に4名ぐらい行っております。そして、教員免許を取るんですけれども、結局教員になれなかったというような学生がたくさんいるわけです。これは何を言いたいかというと、うちは教員養成系の大学とか学部を持っておりませんけれども、開放制の中で、このように教員になれないんだけれども、教員免許を取って、一応アタックするんですけれどもだめだったというのがかなりいる。逆に言えば、これは多様な人材を採れるような制度になっているのではないか。それがもし入り口で縛られてしまうと、その多様性という問題が。
 もう一つ感想を持っているのは、今ものすごく教育問題は大事だ、あるいは専門性も必要だろう。こういう場合の開放制で、このままで専門的な能力、資質を持ったような教員が果たして養成できるのかという、多様性の問題と専門性、これをどう調和させるのかが今後の大きな議論になるのではないかと私は思います。時間がございませんので、少し感想じみた、あるいは矛盾したような話になっておりますけれども、それだけ指摘させていただきたいと思います。

【田村部会長】
 ありがとうございます。またこの後、いくらでもご発言いただかなければならないことがあると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 では、続きまして日渡先生どうぞ。

【日渡委員】 
 日渡でございます。今小さな町で教育長をやっています。教師たちとじかに接しているわけですけれども、前職は14年間県教育委員会で人事・給与をやっておりましたので、その立場も含めてお話ししたいと思います。
 まず、前提として2つあるんですけれども、資質の向上ということであれば、資質のコンセプトというものをある程度つくらないといけないと。今日お話を伺った中でも、かなりいろいろなレベルで資質という話が出るんですが、やはりコンセプトをつくる必要があるのかなと、言語化する必要があるのかなという気がします。
 それと、教師の話なんですけれども、公教育の中で100万ほど教師という者がいるわけですが、この100万という数字に着目した場合に、就業人口6,000万と言われているわけですけれども、そうなってくると、日本では60人に1人が教師というわけなんです。この60人に1人の働く人に対して資質というからには、それだけの覚悟といいますか、それだけのものを持っていかないと、ただ単に資質、資質といっても難しいのではないかなという気がします。全体で見れば、極めて競争率の低い社会であるということですね。このことを前提にした資質の話題が大事であると。このことが、私も担当していて思ったんですけれども、100万人が100年続いている文化、これを鈴木副大臣は文化と言ったんだと思いますが、この文化、非常にかたいということを私は肌で感じております。
 そこで、問題点ですが、3つほどですけれども、まず1つ、養成です。語弊があるかもしれませんけれども、どうも研究者とか研究機関が実践者を育てているような感じがするということなんです。例えば、大学の先生たちもせっかく附属学校がありますので、その附属学校で自分が実践されて、それを教育行政の中で生かしていただけるといいのかなと。そこで附属学校で教師をしているのは、公立学校から引っ張ってきた教員がやっているということで、せっかく現場がありますので、臨床していただきたいものがあります。
 あと一つが、それぞれの世界には資質の頂点としての職があるわけなんです。これは学校の場合は校長ということで現在は見られているわけですけれども、果たして教員の世界の資質の頂点が校長なのかということなんです。私はスーパーティーチャーというものを提案した者として言わせてもらえば、管理職である校長と、教員の資質の頂点としての職は別物だという感じがしております。校長になるために教諭、主任、主幹というふうに階段を上りながら、はなから教員たちは校長をねらっているようなシステムを私たちはつくっているのではないかという気がするわけです。そのためには、資質の頂点としての職をつくって、私はスーパーティーチャーだと思うんですけれども、そして最初から教員に夢と希望を持たせてらやなければいけないという気がします。
 教員のキャリアの複線化として、管理職とスーパーティーチャーというものを今でも考えているわけです。そういうことからいくと、教員の養成の6年というのが出てきているんですけれども、例えば校長とか教頭というのは全く別の職ですので、10年とか15年の中で2年間の大学院での研修とか、新たなカリキュラムをつくる必要があるのではないかなという気がします。
 3点目ですけれども、今度は資質を向上させるための効率化という視点からいったとき、教員に手をつけると100万人分必要なんです。ところが、校長に手をつけると3万2、3千人で済むわけです。だから、やっぱり校長は大事なんだと、管理職は大事なんだと。資質を見極める職として、校長たちをもう少しどうかしないといけないというのがあります。
 さらにもっと効率的なのは教育長に手をつけると1,700で済むということです。以上です。

【田村部会長】
 ありがとうございました。続いて藤原先生どうぞ。

【藤原委員】
 和田中学校の校長をやりました経験から、実証済みのことだけを3点申し上げたいと思います。1つは、今現在の教員、例えば小・中学校の60万人が資質が変わらなかったとしても、現場でのパフォーマンスがまず1割か2割絶対上がる、その手法を最初に言いたいんです。文書を圧倒的に減らすことです。教育委員会から来ます膨大な免責文書、責任を逃れるための収受文書、アンケートの類もぐっと減らすべきですし、作文コンクールか何かでいっぱいあるわけです。これを圧倒的に半分に減らすだけで、多分、現在の教頭と指導主事の手間が非常に省けますので、この10万人ぐらいの人たちが児童・生徒のほうを向いて仕事ができるようになりますね。これは非常に大きいと思います。私、実際に和田中学校の校長として要らない免責文書、収受文書、アンケート、全部破り捨てていました。教員に渡さなかったんです。そのことで教員が非常に助かっていました。これは実証済みのことです。
 2つ目なんですが、いろいろなカリキュラムのことはこれから議論になるでしょうが、教員養成課程で学んでいる学生が和田中学校によく来ていました。どこに来ているかというと、土曜日に土曜寺子屋というのをやって、その週に出た宿題ぐらいはやっちゃおうよということで、最初はたった1人、大学1年生で数学の教師になりたい宮沢君という学生から始めたんです。15人ぐらいしか集まっていなかったのが、5年で大体150人。今400名の生徒で200人が土曜日通っています。
 そこで、大体30人から40人の大学生が学生ボランティアというのをやっているんですけれども、これを「学ボラ」と言っています。半分が教員養成課程を受けている人たち、つまり教員になりたい人たちなんですが、この人たちに大体1年を通じて土曜日だけ3時間から5時間ぐらい現場に張りついて、子供たちとコミュニケーションするだけでもものすごく研修効果があるんです。まず、とにかく向いていないやつは向いていないということがよくわかります。これは非常に大きいことだと思うんです。それから、その過程を通じてニートの子が教員として目覚めて、今小学校の教員になっている子もいるんです。
 というわけで、私はこの土曜日寺子屋、「ドテラ」のようなことを全国の中学校が始めて、そこに学生のボランティアを送り込めば、かなりの研修効果があるのではないかと思うんです。ということで、これをぜひ利用したらどうかと。実際OB、OGが今度8月7日に同窓会をやると言っているんですが、50人、60人いまして、そのうちの二、三十人は教員になっていますけれども、みんなきちっとはまっているし、いい教員になっているようです。
 3番目に、今も隣が日渡委員に言われたんですが、何といっても教員の資質を向上するというか、教員のパフォーマンスを上げるためには、それをマネジメントする校長、これが大きいんです。実際、例えば和田中学校をモデルとした学校支援地域本部というのが全国に二、三千カ所できていますが、ちゃんと地域の力を取り込んで学校経営ができているかどうかというのは実ははっきりしていまして、どういうところがうまくやっているかは、校長がオープンなマインドを持っていて、ネットワークの力があるところはうまくいっていますし、そうでないところはだめと。だから、鎖国しているような学校で先生たちが伸びるわけがないし、先生の資質が伸びるわけはないと、私は思います。
 私の全国を回っている観察だと、申し訳ないんですが、中学校長の場合、7割方はまだ管理というところにとどまっている。管理というのは、左から右へうまく動かせばいいというやつですね。マネジメントの域に達していません。つまり、マネジメントというのは創造的な行為なので、同じ手ごまでも、その能力をどれぐらい発揮させるか、どれぐらい組み合わせを豊かにするか。あるいは、先生たちだけではない、地域の資源をどれぐらい取り込むかということができる校長の養成が急務だと思います。校長を変えることが私は一番効くと思いますので、そこの辺を強調したいと思っています。ありがとうございました。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。
 では、続いてどうぞ。堀内先生。

【堀内委員】 
 先ほどもちょっとご紹介いただきましたけれども、京都で連合形式で教職大学院を2年前から立ち上げております。先ほどご発言がありました京都市の教育委員会さん、それから同志社大学さんも実は構成大学として、8大学で教職大学を立ち上げております。その話をしたいと思うんですけれども、その前に、多分この中で私は唯一学校経営を専門にしている者ではないかと思っています。今藤原先生、日渡先生にお話しいただきましたように、私も教職大学院で、あるいは地元でといいましょうか、本当に今学校を変えるために学校経営のウエイトといいましょうか、位置づけをもっと強調せざるを得ないなと思っております。そのための講座も開いているんですけれども、実は対象となる管理職の人、あるいは管理職直前の方が一番忙しい、そういった研修を一番受けにくいというジレンマもあります。制度的に何とかするということが今必要だろうと思っています。これは前置きの1つです。
 本題のほうなんですけれども、実は私この12年間、教員養成を少なくとも修士課程でしなければいけないということについての確信犯を自認しております。12年前と申しますのは、ご存じのように免許法が戦後二度大改正をされました。最初が1988年、二度目が1998年でございます。今からちょうど12年前に二度目の改正があったんですが、このとき実はここにいらっしゃる何人かの先生が大変深くかかわっていらっしゃるんですけれども、現行の1種免許──1種、2種、専修という形にしたんですけれども、59単位という入れ物を変えずに中身を大きく変えました。すなわち今キーワードになっています実践的指導力を高めなければいけない。それはそうなんでしょうけれども、59単位という単位を変えずにこれをしたものですから、要するに教科内容を薄めて、いわゆる教職専門のほうを強めたという形になりました。
 そして、10年以上たちました。当然に実践的な指導力の高い教員が配置されているはずなんですけれども、今この中央教育審議会でまたこれを論議しているということは一体何なのか、これを強く訴えたいわけです。すなわち何が言いたいかというと、この59単位、大学4年間の枠はもう既に破綻していると言わざるを得ないと私は思っています。その意味で、4プラスアルファなのか、6なのか、これはまさにこれからの論議だと思っていますけれども、高度化しなければいけない、そのぎりぎりのところにもう日本は来ているだろうと思っています。これはよく言われるように、諸外国がどうだから、フィンランドがどうだからということではありません。我々日本が日本の教育に責任を持つ以上、もう4年間の教員養成は破綻を来していると、私はこう思っています。
 よく言われます。短大卒でもいい先生はいっぱいいるではないかと。確かにそうです。だけれども、私は言うんです。その短大卒のいい先生をぜひとも大学院に送ってくださいと。もっともっとすばらしい先生にしてお返しをしますと。まさにその実践を今我々は教職大学院でやっているつもりです。教職大学院については、今日時間がありませんので次回にしたいと思いますけれども、既に採用選考試験を受かって来ている人を、京都なんかは採用を猶予していただいています。皆さんにぜひともしてもらいたいのは、そういった学生がなぜプラス2年間高い授業料を払って、来年4月から教員になれる資格があるにもかかわらず、2年間プラスで大学院で学ぼうとしているのか。そしてまた、既に1期生が修了しましたので、どのような成果を得たのか、これをぜひとも実証していただきたいと思います。
 今お隣、福井大学の松木委員がいらっしゃいますのでちょっと言いにくいんですけれども、私は今私ども京都の連合教職大学院、日本一の教職大学院と豪語しております。これは満足度、全員の院生が100%、来てよかったという評価をしてくれています。そういったことから、この教職大学院で、今、我々は一体何を具体的に実現できているのか、これを1つ検証していただいて、高度化と教職大学院にぜひともつないでいただきたいと。そのためにこの中央教育審議会で発言したいと思っております。以上です。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。これからぜひひとつ、いろいろなご意見をちょうだいしたいと思います。
 続いて松木先生どうぞ。

【松木委員】
 それでは、全国で2番目の教職大学院から話をしたいと思います。こんなことができるぞということをお話ししたいと思うんですが、福井大学は5年間ほど教職大学院ができる前から試行的なことをやっておりまして、どんなことをやっていたかというと、学校拠点方式の大学院にしました。学校拠点方式というのはどんなことかというと、学校の抱える課題を、学校現場で、その学校の同僚の先生たちと協働して解決できる大学院をつくろうと。つまり、OJTに当たるようなことになるかなと思います。小学校や、中学校や、特別支援学校や、高校に大学院をつくるんだと。ですから、そこの先生が休まない。休んだら意味ないと。休まないで、そこの今やっている仕事をどうやって支援し、それを組織化していくか、そういう大学院をつくろうと考えて実施して、今年で8年目になります。
 中身は、考えてみると、教師教育ということと教育改革ということを切り離さない、分離しないで一緒にやるんだという姿勢でずっと取り組んできています。それは何かというと、教師の専門性の中で協働性ということが極めて重要な意味を持っている、そんなふうに考えているからでもあります。
 もう一方で、OJTの限界も乗り越えていこうと思っています。その限界とは何かというと、校内研修に陥ってしまう。校内研修の幅を広げていくためには、やはり大学の存在はそれなりの意味があるし、ほかの学校とのつなぎ役も含めて、あるいは、それまでの実績も含めて広げていくということができるのではないかなとも考えています。
 もう一方、学部から上がってきた若い学生のコースもあります。そこのコースは1年間の教育実習を実施しています。先ほど挙げた、学校に出かけていって、その学校に1年生の大学院生が入るわけです。1年間入ります。非常に喜ばれています。それはなぜかというと、2週間や4週間ではお客様です。非常に学校現場に迷惑をかけてしまうということは間違いないと思いますが、そこに1年間行っている実習生は免許を持っています。そして校務分掌をもらいながら、学校の一員として教師の役割全体を学ぶという仕組みをとっています。そこに我々も出かけて行って一緒に考えていくということをやりつつ、週に1回は大学で1日かけてケースカンファレンスを行うという仕組みをつくり上げてきています。
 両方ともうまくいっているのではないかなと思っています。この場では、養成から採用、研修ということについて制度設計をしていくということが課題になっていくかなと思うんですが、可能な限り養成、採用、研修を輪切りにしないで、世代継承のサイクルをその中で実現していく。例えば、若い先生方の教育実習に実はスクールリーダーに当たるような先生方の実習が絡んできます。若い先生たちのことを考えながら検討していくこと自体が学校の活性化を生んでいくような、世代継承のサイクルをどうやって埋め込んでいくかということが大きな意味があるのではないかなと思っています。
 と同時に、今回やってみてよくわかったんですが、例えば更新講習を教職大学院が必修講習を全部受け持ちました。その中で、延べでいくと200名以上の学校の教頭先生や校長先生に参加していただきました。その結果、大学では赤字になってしまったんですが、教頭先生、校長先生に、更新で来られた先生方のやってきたことをまとめていただいて、それをしっかり聞き取ってもらう役割、傾聴していただく役割を持っていただきました。聞き取ることが教頭、校長先生にとっても非常にいい役割になったなと。そういう先生方が、例えば教職大学院のみなし教員として多くの方が参加していただけるような形をとると、マスの問題としてもかなり解決できるような仕組みができるのではないかなと考えています。
 最後にもう一点だけ。開放制を念頭に置きながら、例えば10年、20年見越して準備していかなければいけないということを考えたときに、教員養成系大学がかなり先駆的にその役割を果たさなければいけないのではないかとも思っています。そこの中身についての検討もぜひ行えたらいいなと思っております。以上です。

【田村部会長】 
 ありがとうございます。これからもご意見をいろいろとちょうだいしたいと思います。あと5人の先生がいらっしゃるんですが、2分で済ませていただければ10分で終わるんです。もう20分過ぎてしまっているんですけれども、よろしゅうございますか。では、どうぞ、向山先生。

【向山委員】 
 時間がないので総論めいたことを3点申し上げます。いかにすぐれた教員の資質向上策であっても、これ以上教員の多忙感を強めるようなものは避けなければいけないと思います。現在平均して月に34時間の超過勤務を持っている。優れた者でも、この多忙感をさらに上回るようになれば別の面でリスクが出てきますから、その辺に留意したものでやっていきたいと思っています。
 2点目は、教員養成、採用、研修の場にいる者たちの、それぞれが努力をしているんですが、お互いに誤解があったり、不信感がある場合がある。それを縮めていく、不信感を取り除いていく必要がある。それから、連携ということもやっていかなければならない。ただ、連携というのは大変時間がかかる面がありますから、どうやって効率的で実質的な連携のあり方がいいか。それを探っていかなければいけないと思います。
 3点目は、この会の運営なんですけれども、18年の答申も2年間かけてこれだけのものをつくってきたわけです。先ほどの進め方で、半年間でいいものができるかどうか大変不安です。こういったものは10年、20年たってもできるものにしなければいけないので、もちろん目途として12月を目指すのはいいんですけれども、あまり性急にやるというのはどうかなと思いました。以上、3点です。

【田村部会長】
 ありがとうございます。そのとおりだと思いますが、方向性ぐらいの整理で終わるのかなと思っていますけれども。しかし、方向が見えれば随分違うと思います。
 それでは、村山先生。

【村山委員】 
 私は先ほどからお話があった教職大学院の設置、及び設置された後の評価、その仕事をこの4年間ほど大学設置審議会の委員として行ってまいりました。まず教職大学院については、先ほど幾つかお話がありましたように、まだいろいろ課題を残しながらも、十分に従来の日本の教員養成の弱かった部分、特に現場と結びついた実践力を強めるという点では大変大きな、意味のある成果が得られつつあると。当初のプロフェッショナルスクールとして教職の高度化に対応するという方向性としては、十分価値があると。カナダとか何とかの最近の教師教育の実践、高度化の方向もちょっと調べたことがあるんですが、そういうものと比較しても十分価値のある萌芽がつくられつつあるというふうに、私は思っております。
 ところで、私は北海道教育大学で学長をやって、その後、現場教師と月1回ずっと勉強会をやっております。その中で今回の諮問につきまして、6年制化なり、高度化なりに大変期待の声と同時に、現場の先生方はまだ免許更新制も始まったばかりだと、そういう中でまた変わるんですかという不安の声も大変多いというふう感じております。私の希望としまして、先ほど副大臣のお話もありましたが、教員の資質向上というのは広げれば切りなくなる課題が多いと思います。10年、20年間ぐらいを見越した、個々の枝ではなくて、幹を太くするような、そういう答申をぜひまとめて、現場の教師のモラル、士気が本当に揚がるまとめをぜひともお願いしたいと思います。
 その点では、1つだけお話しさせていただきたいんですが、教師の資質という問題の場合に、個々の教師が努力して頑張ってもらって身につけるべき資質の問題と、制度の中で、仕組みの中で総体としての教師が資質を上げていく、あるいはそれが制度的に免許制度とか、いろいろなことによって保障される、社会的に認知されるという、このいろいろな側面があるわけです。特に個々の教師が身につけるべき資質と、制度によって保障すべき資質、これを議論を少し整理していかなければ切りがないのではないかと。
 それと、先ほどのお話がありましたが、6カ月でどういうまとめをするのか、本当にじっくり将来を見据えた、希望が持てるようなまとめがこの6カ月でできるのかということをちょっと懸念しておりますが、というところです。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。そのためにも、これからぜひひとつ積極的にご意見をちょうだいしたいということで、よろしくお願いいたします。
 続いて森田先生。

【森田委員】
 失礼いたします。先ほどからいろいろとご議論を聞いておりまして、子供たちに求められる特性が社会性だとか、あるいは先ほどから教員にはコミュニケーション能力が必要だと、あるいは豊かな人間性を求めるということは、教師にも求められるということと同義的なことだろうと思っております。長年私も大学の教員をやりながら生徒指導を担当してまいりました。その重要性というのはいろいろなところで最近非常に大きな声で、いろいろな方々からお聞きいたします。
 そういう意味で、私たちの教育そのものも教師に求められる資質といいますか、そういうものを改めて考えてみますと、我々の社会、これから30年、あるいは50年たってまいります中で、今の個人化していく意識、教育を私事化していく方向というのは非常に強いだろうと思っています。しかし、教育基本法等で強調されておりますように、教育そのものは個人的機能、自己実現だとか、個人の幸福の実現だとか、こういう機能と同時に、社会そのものを担い得る資質、あるいは能力、これを高めていくということが大きな1つの目標でございます。
 そういうことに照らして、今日は細かいことや具体的なことを申し上げる時間がございませんが、教員の求められる資質としてそれを入れていかなければいけない。さらに、そのためには個々の利害、あるいは私益が盛んに主張される時代になってまいりますと、さまざまな競合する価値や利害をいかに調整して公益を図っていくか、あるいは公共性、協働性というものをみずからの教育集団、あるいは地域社会、あるいは全体社会に図り得る、そういう能力をも教員が子供たちにかかわりながら涵養していくといいますか、そういう資質能力がこれからの社会にはますます求められてくるのではなかろうかなと思っております。それがまず1つでございます。
 あとは、さまざまな方がご指摘になられましたように、単に座学ではなく実践的指導力、これは大変重要なところだと思います。また、私も長年大学の教師をやってまいりまして、開放制の中で教員免許にかかわっております。いろいろな開放制も、もちろん今後多様な人材ということでは必要だろうと思いますが、その中に、それと同時に専門性、あるいは総合力、こういうものをいかに教員に、あるいは免許を与えるほうの指導する側に備えていかせるかということは非常に大事だろうと思います。いろいろな方々が先ほどからおっしゃっていますように、生涯にわたるというこの部会の表題そのものは、そういう専門性、あるいは総合力というものを教員生活全体を通じて高めていくことを含んでいると思います。
 そのためには、高めるという精神のうたいだけではなくて、制度的な裏打ちといいますか、そういうものをどういう具合にするのか。それは教員の人事配置や処遇もございましょう、研修制度もございましょう、そういうもの、あるいは資格制度もそこへ潜り込ませることもできるでしょう。そういうものをいかに制度的な裏打ちとして図りながら、生涯にわたる教員の資質の向上というものを図っていくかということが、1つは大事だろうと思っております。当然長期的にわたって議論して本格的にやるのも可能なんですが、今年中に上げていくという要請がございますので、とりあえず短期的なお話も交えながらさせていただきました。どうもありがとうございました。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。これからもぜひひとつご意見をちょうだいしながら進めていきたいと思っております。
 それでは、お待たせしました。横須賀先生。

【横須賀委員】 
 机上にある空色の冊子は4年前の中央教育審議会答申ですが、この表題と今回の資質能力の総合的な向上策ということは大変違っているわけで、この違いは非常に大事だと思っています。ということは、日本の教員養成というのは、教員養成制度と免許制度が1セットになっているというのが1つの特徴になっている。この制度の骨格はほぼ60年変わらないできたということです。ただ、教員養成や免許制度をめぐる議論の風向きはほぼ七、八年前、長期的に見れば10年くらい前に風向きが変わってきた。何が風向きの重要なポイントだったかというと、今この場ではわりに普通に使われている実践的指導力という言葉です。これがこの七、八年のところで言われるようになってきました。
 それまで私なんか日本教育大学協会の集まりなどでそういうことを言うと、それは大学には向かないとか、そういうふうにして孤立させられ、ばかにされてきた。ようやく七、八年前ぐらいから実践的指導力ということが当たり前に言われるようになってきたということです。そのくらい日本の大学やアカデミーにとっては実践的指導力というのはなじまない概念できた。だから、まだまだ熟していないという点では、この場、この会議でも資質向上という面で実践的指導力をどう考えるかということはものすごく大事だということを明記しておいたほうがいいのではないかなと思っています。
 一方、私、中央教育審議会の教員養成部会の1つの専門委員会になっている課程認定委員会を長くやって、その責任者をやっておりますが、そこに出てくる各大学の課程認定審査にあらわれるものを通せば、どれほどこの教員養成、免許制度というものが大学の利害によってがんじがらめにされているかという現実を私は見続けております。もう時間がございませんから微細なことは申し上げませんけれども、この先議論が展開されるときには、そういう大学の利害と非常に絡まり、がんじがらめにされている養成、免許制度という側面についてはリアルに申し上げたいなと思っているところです。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。横須賀先生のお感じになっていることは、私も実は度々感じることでございまして、びっくりしたことが何回もありましたが、ようやくここまで来てこれが議論になるのだなという感じを今持っております。本当におっしゃるとおりです。
 それでは、大変長くお待たせしました。若月先生、どうぞ。

【若月委員】 
 この話をいただいたときに、ああ、今回1人2、30分しゃべれるのかなと思ったら、きのう2、3分、今は2分と言われております。ほうっておくと2、3時間しゃべりますので、これはペーパーを用意したほうがいいということで、きょうは1枚思いつくままのペーパーを用意させていただきました。大変恐縮ですが、お目通しをいただければありがたいと思います。
 まず、この話をいただいて、私はじっくりと今回いただいた諮問を読ませていただきました。何度も何度も読ませていただきました。先ほどどなたかもおっしゃっていましたけれども、平成18年に1つの答申が出ているけれども、またここでこういうテーマで上がるといったこの背景は何だろうか。やはり同じことを考えました。しかし、それは結局今までの議論が本当にさわらなければいけないところをさわらないで、表面をすっと素通りをしてきた、そのツケが回ってきているにすぎない、私は率直にそう思っております。
 といって、今までやってきたことがむだだなんていうことは一言も申し上げているわけではないんですが、もっと核心に触れる、もっと本質的な話をしようじゃないかと。今横須賀先生、心強いことをおっしゃっていただきました。もう多くの皆さん方をもしかすると敵に回すかもしれませんけれども、教員の専門性を高めるといろいろ言うわけです。だけれども、どうもこの諮問をいただいて読んでみても、大学というものに期待し過ぎているのではないか。もっと言えば、大学というのは今そんなに教育力があるんでしょうか。多くの卒業生を私どもは毎年受け取っています。現実にそんなに今の大学、教員養成課程で専門性を高めるほど教育力があるとは、私は思わない。
 なぜか。それはそうですよ。教職専門を育てる教員と、教育専門を育てる学者、この間には抜きがたい溝があるではないですか。何としても相入れないではないですか。今言ったように、実践的指導力なんてちゃんちゃらおかしいという風潮は今でもありますよ。そういう本質的な大学の問題も触れないで、大学で専門性を高めましょうなんて言ったところで、しょせん現実には何も変わらない。きょう第一に挙げていることは、ここに書いてありますけれども、まずそういう観点から、一体教員に本当に求められている資質とか専門性というのは何なのか。研究者はおそらくこれこれこだと言うでしょう。しかし、現場出身の人間の専門性はまた全然別のものでしょう。もうちょっとそこら辺ははっきりと白日のもとにさらして議論をすべきだ。そして、これからの10年、20年先の日本の教育界において教員に本当に求められる専門性とは何なのかということ、これを暗黙の前提で大学にすべてお願いしましょうと、これは私は簡単にそうですねとは言いがたいんです。
 それから、第2番目でありますけれども、これは今のものと関連します。6年制だとか言うんですけれども、これもそうなんです。だから、結局だれが何を教えるんですか。そこをしっかり、はっきりさせなかったら、6年制にしたって仕方がない。もっと言うならば、先ほどどなたかがおっしゃっていましたけれども、学士で4年では足りないから6年制も考えたほうがいいのかもしれない。そうかもしれません。しかし、4年制に罪があるんでしょう。私はカリキュラムだろうと思うし、指導体制だろうと思うんです。今の教員養成にかかわる大学は非常に問題があります。大学の医学部とは違う。医学部はもっと臨床的です。しかし、大学の教員、研究者で授業をやったことがある人がいるでしょうか。できる人がいるでしょうか。しかし、力を持っているのは研究者です。それで、その大学に頼みましょう。それが果たして現場が要求する、本当に保護者が要求する、子供が要求する教員の専門性になるかどうか、私はそこら辺はもう少し考えればいいだろうと思うんです。また、6年制については、法曹大学院のこと、あるいは薬学部のこと、こういったようなものを一体どう考えるのか、これを我々はどう考え、受けとめるのか、こういった議論がなければいけないだろうと思います。それから、教育実習については、先ほどどなたかが言っていました。実習公害と学校では言っています。まさに実習公害であります。
 第3番目、ここが一番大事だと思うんですけれども、ここで専門性、専門性と言うけれども、教員だけの専売特許ではないということが前半に書いてあります。その次なんですけれども、ここなんです。果たして高度な職業的専門性を育てるのは大学でできるか。私は大したことないと思うんです。やはりこれから必要なものというのは何か。この諮問で一番抜けているのはここなんです。やはり大事なことは、大学を卒業した卒業生たちを受け持つ教育委員会の存在なんです。もっと言うならば、これは法的にも、教特法にも、地教行法にも、教育委員会はこうやって研修するとはっきり明文化されているわけです。教育委員会はその義務と責任を持っているんです。教員の資質向上を何よりもやらなければいけないのは教育委員会なんです。もちろん、これからは学校と教育委員会が一緒にやっていく、そういう開かれたものは必要です。しかし、大学のところだけいじくったところで話にならないし、もっと言うならば、ここで決定的に欠落しているのは教育委員会そのものが、要するに教員の資質能力向上の第一義的責任を持つのは教育委員会だという認識があまり出ていないというところだと、私は思う。一体教育委員会を何だと思っているのか。
 もっと言うならば、それは、うがって見過ぎだよと言われるかもしれません。今日いただいたこれを見てもそうです。大学と教育委員会と関係機関が一緒になってやっていきましょう。冗談じゃないんですよ。学校をしっかりやっていくのは大学、教育委員会、地域、教育委員会はone of themなんですか。第一義的責任は教育委員会にあるんです。要するにこういうきれいごとを言っていると、責任の所在がわからなくなると思うんです。私は教育委員会としての責任で常にそれを感じてやっているつもりです。したがってここは欠落している。あまりにも大学が強調されていて、さっきどなたかが大学は何するのという話になりますけれども、まさにそうです。大学、何するの。もっと言えば何ができるの、どこまでできるの、その後はだれがやるの。教育委員会の責任をもっとここに明確に出さないと、何かあたかも教育委員会はどんどん後ろに追いやられているような危機感を感じて仕方がない、そう思います。ここら辺をもう一度ぜひ教育委員会の存在といったものをきちんと前面に出すべきだ。one of themだなんて、そんなばかな話はないだろう、そう思います。
 もう一つ、諮問では欠落していると言うと、大臣が諮問しているので失礼かもしれないが、ちょっと足りないなと思っているのは、第4番目に書きました。要するに今いろいろ議論があるにしても、小・中一貫とか、中・高一貫とか、都立高校などは、さまざまなタイプの都立高校ができています。学校の多様化が進んでいるんです。形態も変わってきているんです。にもかかわらず、そういう現実を見ないで、教員はどうしましょうかねという一般論で語っている。例えば今の都立高校、それこそ東大だ、京大だというのを目指すような高等学校もあります。それはそれで結構です。しかし、本当に生活指導で手いっぱいの高等学校も山ほどあるんです。そういうさまざまな実態の違いも考えないで、抽象論でただ教員はこうだああだ、そんなことを言っているから、またこういう形だけの答申文しか出なくなってしまうと私は思う。
 やるんだったら、そういう現実を見て、それから、今の学校教育制度というものがもう少し合わなくなってきている。それにどうやって教員が能力を合わせるか、意識を変えて合わせていくか、そういうことを考えなければ、10年、20年先のあれにはなっていかないだろう。だから、何を教えるかという問題なんです。IT化もそうでしょう、コミュニケーション能力もそうでしょう。ここは気をつけなければいけないのは、短期的な内容なのか、中長期的な内容なのか、そういったところもきちんと整理しながら内容というものも整理をしていかなければ、議論がぐるぐる回るだけだろうと思います。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。一番最後の若月先生、別に意図的にしたのではないんですけれども、あいうえお順なんだけれども、最後に大変いい、刺激的な発言がございましたので、おそらく次回同じような時間をとりますので、次回はまた反論があるんではないかという気もしますが、いろいろと議論していい方向性を出したいなと。今日の話をお伺いしているだけでも随分いい意見が出てきましたので、大変意味があった会だったなというふうに実感をしております。
 一応これで時間になりました。本当に司会の力が足りなくて。次回も自由討議ということで計画をしております。本日まだ十分にご発言していない部分につきましては、ぜひ次回ご発言をいただきたいと思っております。
 なお、本日の議事に関してお気づきの点がございましたら、今の若月先生のようにメモをいただきますと大変ありがたいと思っております。
今後の日程について事務局からご説明をお願いします。

【池田教育改革調整官】
 次回は7月上旬を予定しておりまして、詳細については近日中に公表させていただきたいと思います。

【田村部会長】
 ということでございますので、次回を楽しみに、ひとつぜひお出ましをいただきたいと思います。今日は長時間、大変お疲れさまでございました。これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
 清水文部科学審議官、何かおっしゃることはないですか。一言どうぞ、お願いします。

【清水文部科学審議官】
 若月先生に対する反論では決してありません。ただ、問題意識は、まさに皆様方がいろいろ言われていたように、教員で養成段階も含めて求められている専門性というのは本当に何であろうかという問題があります。一方では、日本の免許システムが学校種ごとに、しかも中・高は教科区分という教科免許状、学校種区分、そういう形も含めて、いろいろな課題の中でその教科区分だけなのか。あるいは、今の単一の教科免許状という形でいいのかどうか、学校種を超えた区分というのは何なのか、諮問文をもう一度見直して頂ければ、専門性をもう一度見直してもらいたいというくだりがあります。専門性をあらわすのは免許状だとすると、その免許状というのは入職時の免許状なのか。入職後も含めて教職生活の生涯にわたる専門性を公証していくとしたら、その免許状はどんなシステムなのか。実はこういう問題意識を当然前提としながら、諮問文ではできるだけマイルドに問題提起をさせていただいたということです。

【田村部会長】 
 ありがとうございました。いろいろご意見がおありになると思います。これは次回以降でぜひお願い申し上げたいと思います。かなり前広で議論を進めたいということでございます。よろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 

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-- 登録:平成22年10月 --