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資料1 基本制度ワーキンググループ報告(案)

1.現状と課題

 ○ グローバル化や情報化、少子高齢化など社会の急激な変化に伴い、高度化・複雑化する諸課題への対応が必要となっており、求められる人材育成像の変化への対応が求められている。

 ○ これに伴い、21世紀を生き抜くための力を育成するため、これからの学校は、基礎的・基本的な知識・技能の習得に加え、協働的な学びなどによる思考力・判断力・表現力の育成等を重視する必要がある。

 ○ このため、新たな学びを支える教員の養成と、学び続ける教員像の確立が求められている。

 ○ 一方、いじめ・不登校等への対応、特別支援教育の充実、ICTの活用、初任段階で学校現場の諸課題への対応に困難を抱える教員の増加、知識技能の継承機能の困難化など、諸課題への対応も必要となっている。

 ○ このような状況の中で、従来と同様の方法で教員の資質能力向上を図ることには限界があることから、教職生活全体を通じた一体的な改革、学び続ける教員を支援する仕組みの構築が必要となっている。

1.これからの社会と学校に期待される役割

 ○ グローバル化や情報通信技術の進展、少子高齢化など社会の急激な変化に伴い、高度化、複雑化する諸課題への対応が必要となっており、多様なベクトルが同時に存在・交錯する、変化が激しく先行きが不透明な社会に移行しつつある。

 ○ こうした中で、幅広い知識と柔軟な思考力に基づいて、知識を活用し、付加価値を生み、イノベーションや新たな社会を創造していく人材や、国際的視野を持ち、個人や社会の多様性を尊重しつつ、他者と協働して課題解決を行う人材が求められている。            

 ○ これに伴い、21世紀を生き抜くための力を養成するため、これからの学校は、基礎的・基本的な知識・技能の習得に加え、協働的な学びなどによりこれらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成、地域社会と一体となった子どもの育成を重視する必要がある。

 ○ また、学校現場では、いじめ・不登校等生徒指導上の諸課題への対応、特別支援教育の充実、外国人児童生徒への対応、ICTの活用の要請をはじめ、複雑かつ多様な課題に対応することが求められている。

 ○ このため、教員がこうした課題に対応できる専門的知識・技能を向上するとともに、マネジメント力を有する校長のリーダーシップの下、地域の力を活用しながら、チームとして組織的かつ効果的な対応を行う必要がある。

2.これからの教員に求められる資質能力

 ○ これからの社会で求められる人材像を踏まえた教育の展開、学校現場の諸課題への対応を図るためには、社会からの尊敬・信頼を受ける教員、思考力・判断力・表現力等を育成する実践的指導力を有する教員、困難な課題に同僚と協働し、地域と連携して対応する教員が必要である。

 ○ また、教職生活全体を通じて、実践的指導力等を高めるとともに、知識・技能が社会の急速な進展の中で陳腐化しないよう絶えず刷新する必要があることから、教員が探究力を持ち、学び続ける存在であることが不可欠である(「学び続ける教員像」の確立)。

 ○ 上記を踏まえると、これからの教員に求められる資質能力は以下のように整理される。これらは、それぞれ独立して存在するのではなく、省察する中で相互に関連し合いながら形成されることに留意する必要がある。

 (i)教職に対する責任感、探究力(使命感や責任感、教育的愛情、自主的に学び続ける力)

 (ii)専門職としての高度な知識・技能

  • 教科や教職に関する高度な専門的知識(グローバル化、情報化、特別支援教育など新たな課題に対応できる知識・技能を含む)
  • 新たな学びを展開できる実践的指導力(基礎的・基本的な知識・技能の習得に加えて思考力・判断力・表現力を育成するため、知識・技能を活用する学習活動や協働的学び、課題探究型の学習などをデザインできる指導力)
  • 教科指導、生徒指導、学級経営等を的確に実践できる力

 (iii)総合的な教師力(豊かな人間性や社会性、コミュニケーション力、他の同僚とチームで対応する力、地域と連携できる力)

3.取り組むべき課題

○ 今後、このような資質能力を有する、新たな学びを支える教員を養成するとともに、「学び続ける教員像」の確立が必要である。    

○ 特に、教科や教職に関する高度な専門的知識や、新たな学びを展開できる実践的指導力を育成するためには、教科や教職についての基礎・基本を踏まえた理論と実践の往還による教員養成の高度化が必要である。

○ 他方、初任者が実践的指導力やコミュニケーション力、チームで対応する力など教員としての基礎的な力が十分に身に付いていないことなどが指摘されているとともに、条件附採用期間を経て正式任用にならなかった教員数も増加傾向にある。こうしたことから、教員養成段階において、教科指導、生徒指導、学級経営等の職務を的確に実践できる力を育成するなど何らかの対応が求められている。  

○ さらに、教員は、教職生活全体を通じて、実践的指導力等を高めるとともに、社会の急速な進展の中で知識・技能が陳腐化しないよう絶えざる刷新が必要であり、学び続ける教員像を確立する必要がある。このような教員の姿は、子どもたちの模範ともなる。

○ 大学での養成と教育委員会による研修は分断されており、教員が大学卒業後も学びを継続する体制が不十分である。このため、教員が教職生活全体にわたって学びを継続する意欲を持ち続けるための仕組みを構築する必要がある。

○ 加えて、自らの実践を理論に基づき振り返ることは資質能力の向上に有効であるが、現職研修において大学と連携したこのような取組は十分でない。

○ また、教員採用選考において、養成段階における学習成果の活用など、大学との連携が不十分である。

○ 以上のことを踏まえ、教育委員会と大学との連携・協働により、教職生活全体を通じて学び続ける教員を継続的に支援するための一体的な改革を行う必要がある。

2.改革の方向性

○ 教員になる前の教育は大学、教員になった後の研修は教育委員会という、断絶した役割分担から脱却し、教職生活全体を通じた一体的な改革、学び続ける教員を支援する仕組みを構築する必要がある。

○ 教職生活全体を通じた一体的な改革、学び続ける教員を支援する仕組みづくりを進める際の視点は以下の通りである。

  • 教員としての専門性の基盤となる資質能力を確実に身に付けさせるため、教育委員会と大学との連携・協働により、教員養成の高度化・実質化を推進する。
  • 学び続ける教員を支援するため、大学の知を活用した現職研修の充実を図るとともに、生涯にわたり教員の資質能力向上を可視化する仕組みを構築する。
  • 教員に多様な人材を求めるため、様々な分野から適性のある優秀な人材の参入を促進する仕組みを工夫する。
  • 教員免許状が真に教員を志望する者に授与されるような仕組みを検討する。

1.教員養成の改革の方向性

○ 教員養成を修士レベル化し、教員を高度専門職業人として明確に位置付ける。

○ 上記のような現状と課題がある中で、教職大学院は教育委員会・学校と大学との連携・協働の中で、今後の教員養成のモデルとなるべき実践例を示しつつある。

    学部から直接大学院に進む学生(以下「学部新卒学生」という。)の場合、学部4年間で基礎的な素養を学んだ者が、大学院において学校現場での実習を組み込みつつ、理論と実践の往還の中更に2年間の学びを行うことで、学校経営の観点からの視野を持ちつつ、自分の実践に自信を持つことができ、修了後不安なく学校現場に入っていけたという声が多い。

   現職のまま大学院で学ぶ教員(以下「現職教員学生」という。)の場合、教職大学院では、大学教員による実践を踏まえた、理論的な指導のもと、他校種の教員や社会人、学部新卒学生という様々な経歴をもつ者が集まり、従前の研修では得られない刺激を受けるという声が聞かれる。また、これまで経験と勘に基づきがちであった実践を理論的に省察する機会が得られ、改めてこれまでの実践を整理し、理論化して後進に引き継いでいける自信を持ち、修了後は校内研修の企画担当や指導主事として学校や教育委員会の中心的な役割を果たしているという評価が多く聞かれる。

○ また、一部の教職大学院については、学校を大学院の実習・学修の拠点とする方式により、校内研修と大学院での学びを高度に組み合わせて現場での課題の解決に当たる試みを行い、成果をあげている。これは、拠点となる学校での具体的課題の解決を題材として、当該校の現職教員が勤務を継続しながら、大学院での学びを行うことと基本としている。加えて、大学教員が拠点校を定期的に訪問し、拠点となる学校における学校全体、更には近隣の学校の教員も含めて、研修を一体的に行いながら、併せて学部新卒学生も拠点校において学校での授業研究や指導の改善のメカニズムを学ぶという方式が採られており、こうした取組も十分に参考とすべきである。

○ 教職大学院では、このように現職教員学生と学部新卒学生が共に学び、時には現職教員学生が学部新卒学生のメンターとしての役割を果たすなど、互いに刺激を受けるという効果も見られる。

○ こうした状況を考えると、学部を中心とした教員養成の上に、学校での実践と任命権者による研修で実践的な指導力を身に付けるといった、従来の方法を超えて、大学院レベルで大学と教育委員会が連携・協働しながら理論と実践の往還により教員養成を行う方策を検討する必要がある。

○ 今後、こうした改革のモデルも参考としながら、以下のような観点から修士レベルでの学びを教職生活全体の中に組み込んでいくことが、時代の変化に対応した教員の資質能力向上において望ましいと考えられる。

○ いじめ・不登校等生徒指導上の諸課題への対応、特別支援教育の充実、外国人児童生徒への対応、ICTの活用の要請をはじめ学校現場における課題が高度化・複雑化しており、初任段階の教員がこれらの課題などに十分対応できず困難をかかえていることが指摘されている。このため、初任の段階で教科指導、生徒指導、学級経営等の職務を的確に実践できる力を育成することが求められている。

○ これまで教員の力を育んできた学校の機能が、教員の大量退職や学校の小規模化、学校現場の多忙化などにより弱まっているとの指摘もあり、上記の職務を的確に実践できる力の育成を学校現場だけに依存することが困難になってきている。教職大学院は、こうしたことへの一つの解決策としても有効性が示されている。

○ 社会の変化も激しく、変化に対応できる視野の広さと高度の専門性を持ち続けるため、大学における知見を活用した、学び続けるための新たな仕組みを構築する必要がある。

○ グローバル化や少子高齢化など社会の急激な変化に伴う、求められる人材像、学校教育に求められる役割や内容の変化を踏まえ、授業の実施方法を含む教育のスタイル自体を変えていくことが求められている。学習指導要領においてねらいとされている、「基礎的・基本的な知識・技能の習得」に留まらず、これらを高度に活用して課題の解決を図る力を育成するためには、新たな学びに対応した教育方法が開発され、学生や現職教員にしっかりと伝えられていくことが必要である。

○ また、こうした新たな学びは、子ども自身が自らの主体的な関心に基づいて課題を探究していく学習形態の中で実現するものである。

○ そのような学習形態を前提とすると、学部における能動的な学修等により、基礎的・基本的な知識・技能や汎用的能力を身に付けた上で、大学院レベルで自ら課題を設定し、学校現場における実践とその省察を通じて  、解決に向けた探究的活動を行うという学びを教員自身が経験した上で、新たな学びを支える指導法を身に付ける必要がある。

○ こうした学びを学部レベルで行えないかとの考えもあるが、学部においては、教養教育と専門分野の基礎・基本を重視した教育が展開されている。教科の専門的知識の不足や、学校現場での体験機会の充実、ICTの活用など新たな分野への対応が指摘される中で、こうした応用的な学びは、量的な面から考えても、また学びの質的な深まりから考えても学部段階で行うことは困難であり、むしろ、大学院レベルがふさわしいと考えられる。

○ さらに、これからの教育は、どのような教育活動の展開が学習成果に結びつくかという、「学習科学」等の実証的な教育学の成果に基づいて行われることが望まれるが、そうした実証的なアプローチについての教育研究を大学院レベルで進めることも必要である。

○ 上記のような大学院レベルの教育研究は、未だ十分に行われているとはいえない。今後、大学と教育委員会・学校の連携・協働の中で、こうした理論に裏打ちされた高度かつ効果的な教育実践に係る教育研究が、教職大学院を中心とした修士レベルの課程において深められ、現場における実践との往還の中で検証・刷新され、学生や現職教員に還元されるような仕組みの構築が必要である。

○ 以上を踏まえ、諸外国でも教員養成を修士レベルで行い、専門性の向上を図る例が見られることや、世界的な潮流の中で我が国の高学歴化も今後進展することが見込まれる中、教員の高度専門職業人としての位置付けを確立するため、教員養成を修士レベル化することが必要である。

2.教員免許制度の改革の方向性

(「一般免許状(仮称)」、「基礎免許状(仮称)」の創設)

○ 探究力、教科や教職に関する高度な専門的知識、基礎的・基本的な知識・技能の習得に加え思考力・判断力・表現力の育成など新たな学びを支える指導方法、コミュニケーション力等を保証する、標準的な免許状である「一般免許状(仮称)」を創設する。また、当面は、教職への使命感と教育的愛情、教科に関する専門的な知識・技能、教職に関する基礎的な知識・技能を保証する「基礎免許状 (仮称)」も併せて創設する。

○ 「一般免許状(仮称)」は学部4年に加え、1年から2年程度の修士レベルの課程での学修を標準とし、「基礎免許状(仮称)」は、学士課程修了レベルとする。

(「専門免許状(仮称)」の創設)

○ 特定分野に関し、実践の積み重ねによる更なる探究により、高い専門性を身に付けたことを証明する「専門免許状(仮称)」を創設する(分野は、学校経営、生徒指導、進路指導、教科指導(教科ごと)、特別支援教育、外国人児童生徒教育、情報教育等)。    

○  多様な人材の登用を促進する。

○  教員免許更新制は、詳細な制度設計の際に更に検討を行うことが必要である。

(1)「一般免許状(仮称)」、「基礎免許状(仮称)」の創設と「専門免許状(仮称)」の創設

1.「一般免許状(仮称)」

○ 探究力、教科や教職に関する高度な専門的知識、新たな学びを支える実践的指導力、同僚と協働して困難な課題に対応する力、地域との連携等を円滑に行えるコミュニケーション力を有し、教科指導、生徒指導、学級経営等を的確に実践できる力量を保証する、標準的な免許状である「一般免許状(仮称)」を創設する。

○ 「一般免許状(仮称)」は、学部4年に加え、1年から2年程度の修士レベルの課程(教職大学院、修士課程、又はこれらの内容に類する学修プログラム)での学修を標準とする。

○ 修士レベルの課程の修業年限については、大学制度との関係を見据えつつ詳細な制度設計の際に更に検討を行うことが必要である。

○ これらの内容に類する学修プログラムは、1.教育委員会と大学との連携・協働により運営するプログラム、2.教職特別課程(教職に関する科目の単位を修得させるために大学が設置する修業年限を1年とする課程)の活用、3.履修証明プログラムの活用等が考えられる。

○ カリキュラムは、学士課程における内容に加え、授業研究やケーススタディを中心とする実践力育成プログラムを中心に展開し、具体的には、    

  • 教職大学院における「学校における実習」を参考に、学校現場での実習をしながら、一定期間ごとに実習での取組を振り返る「理論と実践の往還を重視した探究的実践演習」により、新たな学びを展開できる実践的指導力、チームで課題に対応する力、地域と連携できるコミュニケーション力、教科指導、生徒指導、学級経営等を的確に実践できる力を身に付ける。
  • 「ICTの活用、特別支援教育、国際教育等新たな分野に関する知識・技能」、「児童生徒へのカウンセリング・相談技法」など近年の学校現場を取り巻く状況を踏まえた高度な専門性も併せて身に付ける。

○ 修士レベルの養成体制の整備は、教職大学院、教員養成系の修士課程、教員養成系以外の国公私立大学の一般の修士課程を対象に今後検討する必要がある。その際、教職大学院、国立教員養成系の修士課程の設置数や入学定員が毎年の教員採用数に比べ、圧倒的に少なく、また、国公私立大学の一般の修士課程についても、カリキュラムや指導体制等大幅な改善が必要と考えられる。

○ なお、初任者研修は、教員養成を修士レベル化することに伴い、法律上の実施義務の在り方等について検討する。

2.「基礎免許状(仮称)」

○ 教職への使命感と教育的愛情を持ち、教科に関する専門的な知識・技能、教職に関する基礎的な知識・技能を保証する、「基礎免許状(仮称)」を創設する。

○ 「基礎免許状(仮称)」は、学士課程修了レベルとし、早期に「一般免許状(仮称)」を取得することが期待される。

○ カリキュラムについては、教科や教職に関する専門知識の修得を中心に展開し、具体的には、    

  • 「教職の意義等に関する理解」、学校ボランティアを含む「子どもと教育に関する幅広い体験」により、教員になることの魅力やすばらしさを感じさせる体験を積む。
  • 「教科に関する専門的理解」を十分身に付ける。この際、教科の実際に即した内容とするため、「教科に関する科目」と「教職に関する科目」を架橋する内容を盛り込む。
  • 「教育の基礎理論に関する理解」に加え、「生徒指導、教育相談、進路指導」、「ICTの活用、特別支援教育等の現代的教育課題に関する基礎的素養」について学ぶ。
  • 「教育実習」を中心に、教員として最小限必要な実践的指導力を身に付けるとともに、「教職実践演習」で学部における学びを総括する。

3.「専門免許状(仮称)」

○ 学校経営、生徒指導、進路指導、教科指導(教科ごと)、特別支援教育、外国人児童生徒教育、情報教育等特定分野に関し、実践を積み重ね、更なる探究をすることにより、高い専門性を身に付けたことを証明する「専門免許状(仮称)」を創設する。複数分野の取得を可能にする。

○ 一定の経験年数を有する教員等で、大学院レベルでの教育や、国が実施する研修、教育委員会と大学との連携による研修等により取得する。学位取得とはつなげないこととする。

○ 校内研修や近隣の学校との合同研修会等についても、要件を満たせば、取得単位の一部として、認定を可能とすることが考えられる。

○ 学校経営の分野については、管理職への登用条件の一つとすることについて、今後更なる検討が必要である。

(2)「一般免許状(仮称)」と「基礎免許状(仮称)」との関係

○ 「基礎免許状(仮称)」取得者が、「一般免許状(仮称)」を取得する段階について、採用との関係から、3つの類型に整理した。

 (i)「一般免許状(仮称)」取得後に教員として採用、

 (ii)「基礎免許状(仮称)」を取得し、教員採用直後に初任者研修と連携・融合した修士レベルの課程の修了により「一般免許状(仮称)」を取得。

 (iii)「基礎免許状(仮称)」を取得し、教員採用後一定期間のうちに修士レベルの課程等での学修により、「一般免許状(仮称)」を取得。

○ それぞれにメリット、デメリットがあり、地域の実情に応じた、様々な試行の積み重ねが必要である。

(3)多様な人材の登用

○ 様々な段階で社会人等がその専門性を生かしつつ、教員を志せるようにするため、「基礎免許状(仮称)」未修得者を対象とした修士レベルの課程を設け、「一般免許状(仮称)」取得を可能とする。

(4)教員免許更新制

○ 教員免許更新制については、10年経験者研修の法律上の実施義務の在り方との関係を含め、詳細な制度設計の際に更に検討を行うことが必要である。

(5)その他

○ 複数の学校種をまとめた教員免許状の創設は、例えば「義務教育免許状」について、要取得単位数の大幅な増加、小中連携の概念整理について検討段階にあることなどから、中長期的検討課題とする。  しかしながら、教員免許状を複数取得することは重要であり、更なる隣接校種免許状の取得促進のため、例えば、複数免許状を取得する場合の最低修得単位数の設定の検討や、免許状更新講習を免許法認定講習としても開設するなどの取組が求められる。

○ 今後、詳細な制度設計を行う際には、学校種、職種の特性に配慮することが必要である。例えば、幼稚園教諭については、現職教員の二種免許状保有者の割合が7割を超える現状、今後の幼保一体化に関する制度設計等の状況を踏まえ、適切な制度設計を検討することが必要である。また、中・高等学校教諭については、その多くが教員養成を主たる目的としない学科等出身者で占められていることに留意する必要がある。

○ 教員免許状が教員としての資質能力を一定水準以上に担保するためには、医師、歯科医師、薬剤師等のように、国家試験の導入を検討すべきとの意見があった。しかしながら、国家試験の導入については、様々な課題があることから、中長期的検討課題とする。

3.当面の改善方策 ~学校・教育委員会と大学の連携・協働による高度化

1.基本的考え方

○ 教育委員会、学校関係者から大学における教員養成がより一層信頼を確立するため、課程認定大学は、学校・教育委員会との連携・協働をこれまで以上に深め、下記の改革に積極的に取り組む。

○ 修士レベル化に向け、修士レベルの課程の質と量の充実、教育委員会と大学との連携・協働による研修の充実等ステップを踏みながら段階的に取組を推進する。そのうち、主要な取組は、教育振興基本計画に盛り込み、計画的に取り組む。

○ 修士レベルの教員養成の質と量の充実を図るため、修士課程等の教育内容・方法の改革を推進する仕組みを早急に構築する。

2.教員養成、採用から初任者の段階の改善方策

(学部における教員養成の充実)

○ 教科と教職の架橋の推進、全学的な体制整備の構築、個性化の推進、質保証の改革により、必要な資質能力の育成を徹底する。

(修士レベルの教員養成・体制の充実と改善)

○ 教職大学院制度の発展・拡充、実践力向上の観点から修士課程のカリキュラム改革を推進するとともに、専修免許状の在り方を見直す。

 (初任者研修の改善)

○ 教職大学院等との連携・融合により、初任者研修の高度化を図るとともに、長期的な新人教員支援システムを構築する。

 (採用の在り方)

○ 選考方法を一層改善するとともに、中途採用を推進する。

(1)学部における教員養成の充実

○ 修士レベル化を想定しつつ、平成18年中央教育審議会答申も踏まえ、教員としての基礎的な資質能力を確実に育成するため、国公私を通じて学部における教員養成の改革を更に推進する。

1.カリキュラム

○ 修士レベル化の前提として、学部段階で、教職実践演習を中心に、必要な資質能力の育成を徹底することが重要である。

○ 教科に関する科目は、教科の実際に即して包括的に教育することが重要である。そこで、例えば、「教科に関する科目」担当教員と「教職に関する科目」担当教員とが共同で授業を行うなど、教科と教職の架橋を推進するなどの取組が求められる。特に、教員養成系以外の課程における教科に関する科目については、全学的組織である教員養成カリキュラム委員会等の組織を活用し、担当教員に対し、教職課程の科目であることを意識して展開することを徹底することが必要である。

○ 修士レベル化への段階的な移行を目指して、修士レベルの課程への接続を念頭に置いたカリキュラムの開発や継続的な学校現場での実習・体験活動の在り方を検討するなど、改革を一層推進する。

○ 学校ボランティアや学校支援地域本部等での活動など、教育実習以外にも一定期間学校現場等での体験機会の充実を図る。また、教員を強く志望する者に対し、学校への長期インターンシップなどの実施も考えられる。

○ 学校ボランティア等を教育実習の参加要件としたり、実習前に教職への意志と自覚を確認するための面接やレポートを課すことなどにより、教員を志望する者が教育実習を受講するよう工夫し、いわゆる「実習公害」を是正する。

○ 国立大学附属学校について、担当スタッフの配置など実習の拠点校としての機能強化を図り、大学と連携しつつ、地域の実習指導教員の指導力向上、実習における公立学校との協力体制構築などを図る。

2.組織体制

○ 教職課程の担当教員については、当該研究分野における研究実績のほか、教員養成に対する関わり方についての明確な考え、実践的指導力育成への寄与の観点から、教員審査や教員評価を進める。実務経験者については、教職大学院を修了した現職教員等指導者としてふさわしい教育研究実績を有する者の登用を促進する。

○ 教員養成の質を全学的に高めるため、一部の総合大学では「教職センター」等の全学的な体制を整備し、教員養成カリキュラムの改善等に積極的に取り組んでいる。こうした取組は、総合大学の有する資源・機能の教員養成に対する活用、教育学部の有する資源・機能の全学的活用等の観点からも極めて有効であり、多くの大学で同様の取組を推進することが必要である。

○ 各大学の強みを生かしながら大学を超えた連携を深め、多様かつ質の高い大学教育を提供することは、社会の多様な課題を解決に導く高度な人材を養成するために必要不可欠である。

  自らの強みや個性を生かした教員養成を推進するとともに、それに留まらず、大学が相互に連携し、地域や社会の要請に応える教員養成を進めるため、大学の特色や強みを生かした大学間連携や、教育課程の共同実施制度等を活用した教育システムを構築することにより、更に質の高い教育を提供する。この場合、教職課程のプログラムとしての体系性が維持され、課程認定大学としての教員養成に対する責任を全うし、質の向上につながるよう、留意する必要がある。

3.質保証

○ 近年の大学教育改革に見られるように、教職課程においても、学生が修得すべき知識・技能を明確化し、「何を教えるか」よりも「何ができるようになるか」に重点を置くべきである。学位プログラムとしての体系と同時に教職課程としての体系の確立に向け、各大学の参考となるコアカリキュラムの作成を推進する。また、実習前の学生の質保証の観点から、医師、歯科医師、薬剤師等の養成において行われている共用試験を参考に、教育実習前に学生の知識・技能等を評価する取組を推進する。

○ 教職課程の認定については、カリキュラムの体系性や履修時期等必要な科目が適時・適切に開設されているか、指導力を有する実務経験者の登用など実践的指導力を育成できる教員が確保されているか、教員養成カリキュラム委員会の設置、教職指導の体制整備、教育委員会との連携等教員養成の実施体制が適切かなどの観点から厳格に審査を行う。また、これに伴う審査体制についても充実し、設置審査との適切な調整を図る。

○ すべての課程認定大学について、教育の質向上及び社会に対する説明責任を果たす観点から、教員養成の理念、養成する教員像、教職指導の体制、教員組織、カリキュラム、学生の教員免許状取得状況や教員就職率等、情報の公表を検討する。

○ 事後評価に関し、課程認定委員会による実地視察については、訪問校を増やすとともに、評価の観点についても、認定時の水準の維持向上が図られているかに加え、学生や卒業生からの聞き取り、学校や教育委員会の評価も加えるなど、更なる改善を図る。これに加え、教員養成教育の評価システムや大学間コンソーシアムを活用した相互評価システムの取組等新たな事後評価システムの構築を推進する。

○ 実地視察の評価等が著しく低かったり、一定期間当該課程の卒業生について教員への就職が全くなく、その後の改善が見られない場合には、教職課程の認定を取り消すなど、是正勧告・認定取消のプロセスを明確化することについて今後検討が必要である。

(2)修士レベルの教員養成・体制の充実と改善

○ 修士レベル化に向け、教職大学院や修士課程の教育の改革、新たな学びを展開できる実践力育成モデルの構築等、段階的な体制整備を着実に推進する。

○ 今後、国立教員養成系大学・学部及びこれに基礎を置く教育学研究科については、より一層、高度専門職業人としての教員養成へと役割を重点化していくことが求められる。

1.教職大学院の拡充

○ 教職大学院は、新しい学校づくりの有力な一員となりうる新人教員の養成、現職教員を対象としたスクールリーダーの養成の双方において、「教職課程改善のモデル」としての成果を収めつつある。

○ 一方で、教科教育や教科の専門性を更に深めたいという現職教員学生や、教育委員会、学校現場からの要望に十分に応えていないとの指摘もある。

○ 今後は、これまでの教職大学院の成果を踏まえつつ、様々な学校現場のニーズにも対応できるよう、教職大学院の制度を発展・拡充させる。その際、共通に開設すべき授業科目の5領域について見直しを図り、学校現場での実践に資する教科教育を行うものや、グローバル化対応、特別支援教育、ICT活用、学校経営など特定分野の養成に特化するものも含め、教職大学院の制度に取り込んでいけるよう制度改正を行うべきである。

○ 現在、教職大学院の設置されていない都道府県においては、大学と教育委員会との連携・協働により、教職大学院の設置を推進することが望まれる。

○ 指導に当たる教員については、実践的指導力の育成に寄与できるかの観点から評価をし、学生が、新たな学びを展開できる実践的指導力などを身に付けることができる教員組織体制の構築を図る。さらに、実務家教員については、学校現場での最新・多彩な経験を有するだけでなく、これを理論化できる基礎的な素養を求めるとともに、現在4割以上とされている、必要専任教員数全体に対する割合の見直しを検討する。

○ 教科に関する科目担当教員については、理論的アプローチにより、学生に対し実際の教育活動に直接生かすことができる指導を行うことにより、教職大学院における担当教員となることが期待される。

○ 教職大学院修了者について、初任者研修の一部又は全部免除、教員採用選考における選考内容の一部免除、採用枠の新設等の取組を進め、教職大学院で学んだことを適切に評価するとともに、教職大学院への進学を促進するため、教員採用選考合格者の名簿登載期間延長等の取組を進め、教職大学院で学びやすい環境を整備する。

○ 教育委員会においては、現職教員の教職大学院への派遣について、研修等定数の有効活用や所属校への支援体制の充実などにより、将来の教育界を担うリーダーを積極的に派遣することが望まれる。

○ このほか、教職大学院出身の初任者を実習した学校に配置するなど、教育委員会においては、教職大学院修了者に対するインセンティブの付与等について積極的に検討し、教職大学院制度の発展・拡充に協力していくことが望まれる。

2.国立教員養成系の修士課程の見直し

○ こうした教職大学院制度の発展・拡充を図るに当たり、国立教員養成系大学・学部及びこれに基礎を置く教育学研究科については、学校現場で求められている質の高い教員の養成をその最も重要な使命としていることに鑑みれば、今後、教職大学院を主体とした組織体制へと移行していくことが求められる。

○ また、教職大学院が修士レベルの教員養成の主たる担い手となっていくことを踏まえ、国立教員養成系の修士課程について、今後どのような方向を目指すべきか、その在り方についての検討が必要と考えられる。

○ その際、専門職大学院が質保証の観点から、教育に専念する教員組織を充実することを制度創設の趣旨としていることに留意した上で、今後の修士レベル化を進め、学部との一貫性を確保する観点から、教職大学院の専任教員のダブルカウント(設置基準上必ず置くこととされている専任教員を他の学位課程の必置教員数に算入すること)の在り方について検討を行う必要があると考えられる。

○ また、教員養成系の修士課程については、大学院設置基準において、教科ごとに細かく規定が置かれ、組織の柔軟な見直しや、他大学・学部との柔軟な連携、機能分担の支障になっているとの指摘もあることから、これを大括り化するなど、教員養成機能の充実・強化に資する教育研究体制の構築が可能となるよう見直しを行う。

○ これからの教員養成は、「学習科学」の成果の活用や経験知・暗黙知の一般化による理論や方法の開発など、学校現場での実践につながる教育学研究の成果に基づき行う必要がある。このため、こうした研究を推進する体制について拠点的に形成するなど、カリキュラム改革の理論的支柱となる実践的な教育学研究を推進することが期待される。

3.国公私立大学の一般の修士課程の見直し

○ 国立教員養成系以外の国公私立大学の一般の修士課程については、教職大学院との連携プログラムなどにより、理論と実践の架橋を重視した実習や実践科目を導入するなど、カリキュラム改革を推進する。

4.専修免許状の在り方の見直し(一定の実践的科目の必修化推進)

○ 現在の専修免許状は、一種免許状を有する者が、教科又は教職に関する科目を大学院等において24単位以上修得することとされ、必ずしも実践的指導力の向上に結びつくものとなっていない。今後、教員免許状が、教員としての専門性を公的に保証し、可視化するものとして再構築していくためには、専修免許状の課程認定を受けている修士課程において、例えば、理論と実践の架橋を重視した実習ベースの科目を必修化するなどの取組を推進していく必要がある。また、「専門免許状(仮称)」で示した区分を参考に、修得した専門分野を記入できるようにするなど、専門性を明確化する。

○ 教科と教職を架橋する新たな領域の展開を推進するため、例えば「教科内容構成に関する科目(仮称)」を新設することや、「各教科の指導法」を各教科の内容と方法を総合した内容に改善することが考えられる。

5.教職大学院を中心とした国公私立大学の学部・修士課程間、大学間の連携の推進

○ 複雑化・高度化する教職への社会の要請に応えつつ、修士レベルでの養成規模の拡充を図っていくためには、学部・研究科や大学を超えた、様々なレベルでの柔軟かつ多様な連携体制を構築していくことが不可欠であり、例えば、次のような類型が考えられる。その際、今後の修士レベルの規模拡大の観点からすると、国立大学だけでなく、公私立大学についてもこうした多様な大学間連携により、修士レベルにおける教員養成において積極的な役割を担うことが期待される。

 (i)国立教員養成系の教職大学院、修士課程間の連携

 (ii)総合大学内における教職大学院と他学部の修士課程との連携

 (iii)教職大学院を中心とした他の公私立大学の修士課程との連携

(3)教職課程担当教員の養成の在り方

○ 教員養成系大学・学部の教育研究の充実及び教職課程の質の向上を図るためには、これを担う大学教員の養成システムを整備していくことが必要である。    

○ 国立教員養成系の博士課程は、現在2大学設置され、平成24年度に新たに1大学設置される予定である。今後、全国の教員養成系の大学院のリソースを結集し、教科と教職を架橋する新たな領域や「学習科学」の分野など学校現場での実践につながる研究を深め、必要とされる大学教員を養成する体制整備の推進方策について検討が必要である。その際、米国の教育大学院(スクール・オブ・エデュケーション)において行われている、学校管理者や行政担当者を対象としたEd.D(博士レベル)を授与するコースについても参考としつつ、実務家教員志望者の学修の場としての役割も含め、検討が必要である。

○ 教育学系大学院の博士課程を修了した後、教職課程担当教員になる者について、教職大学院と連携し、学校現場でのフィールドワークなど実践的な教育研究を経験できる取組を推進する  。

(4)初任者研修の改善(採用直後の「一般免許状(仮称)」取得を想定した取組の推進)

○ 修士レベルの教員養成カリキュラムを視野に、教職大学院等と連携・融合した初任者研修の在り方について、教育委員会と大学との連携・協働の取組を進め、初任段階の研修の高度化を図る。

  授業力のみならず、様々な教育課題に的確かつ柔軟に対応できる力量を確実に育成するため、初任者研修に加え、採用前研修、2年目、3年目の教員に対する研修を行っている教育委員会もある。こうした取組を参考に、初任段階の教員を複数年にわたり支援する仕組みを構築する。  

○ これに伴い、「目標・内容例」について、修士レベルで求める資質能力を身に付ける内容の改善を図るとともに、拠点校指導教員や校内指導教員の在り方、いわゆる「団塊の世代」の教員の知見の活用推進、指導力の高い校長の学校に初任者を配置するなど指導体制の充実方策についても検討が必要である。また、臨時的任用教員や非常勤講師経験者についても初任者研修の対象となるが、個々の初任者の経験に応じた研修の在り方について、検討が必要である。

○ また、複数の先輩教員が複数の初任者や経験の浅い教員と継続的、定期的に交流し、信頼関係をつくりながら、日常の活動を支援し、精神的、人間的な成長を支援することにより相互の人材育成を図る、「メンターチーム」と呼ばれる校内新人育成システムを構築している教育委員会もある。こうした取組は、初任者の育成だけでなく、校内組織の活性化にも有効である。初任者研修と「メンターチーム」の取組を有機的に組み合わせることにより、初任者のより効果的な育成を図ることも考えられる。

(5)教員採用の在り方

○ 任命権者においては、教員としての適格性を有し、個性豊かで多様な人材を確保するため、選考方法の改善に努めているが、今後も、優秀で意欲のある人材を教員として確保するため更なる選考方法の改善に努めることが期待される。

○ その際、例えば、受験者の身に付けた資質能力を採用側が適切に評価するための手法の開発や、大学での学習状況や教育実習の状況について採用選考の際の評価に反映する方法の検討などが考えられる。さらに、養成段階で長期インターンシップを経験した学生について、インターンシップ時の評価において、教員としての適性が認められると判断された場合の、採用選考実施方法について研究することも考えられる。

○ 任命権者においては、採用年齢の上限を撤廃するなどの取組により、あらゆる世代の優秀な人材を確保する工夫を行っているが、特に、年齢構成上少なくなっている30代、40代を積極的に中途採用する方策について、資質能力を担保しながら、更に進め、教員の年齢構成の改善に努める。

○ 地方公務員法に抵触しないことに留意しつつ、臨時的任用教員や非常勤講師としての勤務実績の評価方法について検討し、教職経験者の中から優秀な人材の確保に努める。

○ 近年、大都市圏の教育委員会において、優秀な人材を確保するため、教員採用選考試験の倍率の高い教育委員会と連携したり、複数回選考試験を実施するなどの動きが見られる。優秀な人材を全国レベルで教員として迎え入れるため、採用選考の共同実施、複数回実施を推進することが考えられる。その際、例えば、共同実施する教育委員会や一次試験の実施時期が同一の地域単位で、筆記試験問題の共通化を進めることも考えられる。

3.現職段階及び管理職段階の改善方策

(現職段階)

○ 教育委員会と大学との連携・協働による現職研修のプログラム化・単位化や、講習の質向上など教員免許更新制の必要な見直しを推進する。

 (管理職段階)

○ マネジメント力を身に付けるための管理職としての職能開発のシステム化を推進する。

○ 教員個人に着目すると、養成の期間よりも、その後の教職生活の方が圧倒的に長いことから、現職段階における資質能力の向上方策について、どのように制度設計していくかは極めて重要である。

  そのため、教育委員会と大学との連携・協働を推進し、養成段階で獲得した資質能力の保持・向上を図る。

○ 教育委員会は、「専門免許状(仮称)」を想定しつつ、教職生活全体を通じて学び続ける教員のための多様なキャリアプラン(系統立てた学びの方向性)の在り方を検討することが望まれる。

(1)現職研修(教員免許更新制、10年経験者研修を含む)の改善

1.国や任命権者が行う様々な研修の在り方

○ 任命権者においても、所属教員の資質能力向上のため、10年経験者研修やその他の任命権者が実施する研修等について、教育委員会と大学との連携・協働により、現職研修のプログラム化・単位化を推進する。また、将来の「専門免許状(仮称)」創設を念頭に、このような研修を免許法認定講習としても開設を進め、より多くの現職教員が専修免許状を取得できるよう工夫する。

○ 教員免許更新制については、適切な規模を確保するとともに、必修領域の内容充実、受講者のニーズに応じた内容設定等講習の質を向上するなど、必要な見直しを推進する。

○ 独立行政法人教員研修センターについては、教員の資質能力向上のナショナルセンターとして機能強化を図り、各県のトップリーダーとなる管理職研修の実施、教育委員会と大学との連携による先端的研修プログラムの開発やそれに伴う体制の充実等を推進する。

  都道府県等の教育センターについても、大学との連携・協働により、教員の資質能力向上の中核施設として機能強化を図る。

○ 現職教員がスキルアップしやすい環境を整備するため、研修等定数の活用や休業制度の活用促進、長期履修制度やeラーニングの充実等現職教員が学びやすい環境整備を進める。

○ 将来の「専門免許状(仮称)」創設を想定しつつ、国や独立行政法人教員研修センター、教育委員会、大学などが連携を図りながら、一定のまとまりのある研修プログラムの研究開発を進めるとともに、こうしたプログラムを認定するような仕組みの研究や、これを担う組織の在り方等について調査研究を行う必要がある。

2.校内研修や自主研修の活性化

○ 教員は、日々の教育実践や授業研究等の校内研修、近隣の学校との合同研修会、民間教育研究団体の研究会への参加、自発的な研修によっても、実践力を身に付けていく。また、今後は実績のあるNPOや民間企業等が主催する研修への参加も期待される。

○ 校内研修については、教育委員会や教育センターがその質・量の充実を積極的に支援することが必要である。このため、教育委員会の指導体制の確立、組織的・計画的な学校への指導・助言、学校・教育委員会と大学との連携・協働や近隣の学校との合同研修など、取組を推進する。また、指導主事や大学教員、指導教諭、教職大学院を修了した教員などが、校内研修の企画等に効果的に関わることも重要である。このため、指導主事等の指導力向上のための取組を推進する。

○ また、教育センターや身近な施設において、カリキュラム開発や先導的な研究の実施、教員が必要とする図書や資料等のレファレンスや提供などを行うことにより、教員の教材研究や授業研究、自主的研修の支援などを推進する。

(2)管理職の資質能力の向上(「専門免許状(仮称)」を想定しつつ、管理職としての職能開発のシステム化)

○ 組織のトップリーダーとしての管理職の役割は極めて重要である。マネジメントに長けた管理職を幅広く登用するため、教職大学院、国や都道府県の教員研修センター等の連携・協働による管理職、教育行政職員の育成システムの構築を推進する。この場合、管理職だけでなく、管理職候補者である主幹教諭を対象とした研修を重視する。

○ 特に、教職大学院のカリキュラムや独立行政法人教員研修センターの学校経営研修等を活用しつつ、管理職、教育行政職員に求められる資質能力をもとに、マネジメント力を身に付けるための管理職、教育行政職員育成プログラムを開発する。  

○ また、管理職選考においては、このような管理職育成プログラムの成果を評価するなど、選考方法の一層の改善を図ることが求められる。

4.多様な人材の登用

○ 複雑・多様化する教育課題に対応するためには、教職に関する高度な専門性と実践的指導力を有する教員に加え、様々な社会経験と、特定分野に対する高度な知識・技能を有する多様な人材を教員として迎え、チームで対応していくことが重要である。今後、社会の中の多様なルートから教職を志すことができるための仕組みを検討する必要がある。

○ ICTの活用やグローバル化に対応した教育など、新たな教育課題に対応するには、社会人経験者をはじめ当該分野に関する知見を有する外部人材を幅広く登用することが必要である。特別免許状や特別非常勤講師制度の活用等により、こうした取組を一層推進する。

○ 理数系の人材や英語力のある人材等多様な人材が教員を目指せる仕組みを構築するため、例えば、博士課程修了者等高度の専門的知識を有する人材について、履修証明制度を用いた特別免許状の活用を促進する仕組みの構築や、理科支援員としての勤務実績の評価など今後更なる検討が求められる。  

5.特別支援教育の専門性向上

○ 特別支援学校における特別支援学校教諭免許状(当該種又は自立教科の免許状)取得率は約7割であり、特別支援学校における教育の質向上の観点から、取得率の向上が必要である。このため、養成、採用においては、その取得について留意する。特に現職教員については、免許法認定講習の受講促進等の取組を進める。

○ 特別支援学級、通級による指導の担当教員は特別支援教育の重要な担い手であり、その専門性が、校内の他の教員に与える影響も極めて大きい。このため、専門的な研修の受講等により、専門性の確保・向上を図る。

  通常の学級の教員についても、特別支援教育に関する一定の知識・技能を有していることが求められている。このため、特別支援教育に関する研修の受講等により基礎的な知識・技能の修得を図る。

6.教育委員会、大学等の関係機関の連携・協働

○ これまで述べてきた取組を実効あるものとするためには、教育委員会、大学等の関係機関の連携・協働による教員の養成、継続的な学習に対する支援が重要である。特に、教職大学院と教育委員会との連携・協働を率先して行い、他のモデルとなることが期待される。主な役割としては以下のことが考えられる。

  • 管理職や教員に求められる資質能力を協働で明らかにすること。
  • 実践的指導力を育成する教員養成カリキュラムを協働で開発すること。
  • 教員養成段階の学習評価基準を協働で作成すること。
  • 教育実習や学校現場体験の効果的な実施方法の検討。
  • 大学と教育委員会、特に教職大学院と都道府県の教育センターとの一体的な体制の構築。
  • 現職研修プログラムを協働で開発すること。
  • 校内研修プログラムを協働で開発し、支援体制を構築すること。

7.その他

○ これまで、大学によっては養成すべき教員像を具体的に明示したり、教育委員会においても、教員採用選考の際、求める教員像を示しているが、関係者が合意できる、専門性向上のための基準が十分に整備されてこなかった。今後、教員養成関係の団体においては、教職生活の各段階で求められる資質能力について、更に整理し、教員養成や研修プログラム策定の際の参考となる、教員の専門性向上のための専門職基準策定に向けた検討を進めることが求められる。

○ 小学校教員資格認定試験の在り方については、教員養成の修士レベル化、実践的指導力重視の方向性を踏まえ、再検討する必要がある。

○ これまで、教員の資質能力向上のため、様々な施策が行われてきたが、今後、各施策について不断に検証を行い、検証結果に基づき取組を進めていくことが必要である。

お問合せ先

初等中等教育局教職員課企画係

電話番号:03-5253-4111(内線2033・2456)

(初等中等教育局教職員課企画係)

-- 登録:平成24年03月 --