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資料9 高桑委員提出資料

教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について

京都市教育委員会
教育長 高桑 三男

 教員の資質能力向上にあたっては、養成・採用・研修の各段階を一体化し、学校現場と大学、そして教育委員会が互いの長所を生かしながら連携して取り組むことが不可欠である。
 また、多様な人材の学校現場への登用を可能とする「開放性の原則」を踏まえ、今後、教員養成の修士レベル化に関する具体的制度設計を検討する場合においても、所謂「一般免許状」取得に際して全ての教員に修士レベル修了を求めるのではなく、学校現場での一定の実践経験と研修を経た者には「一般免許状」を交付するなど、柔軟な運用を可能とする制度設計が必要だと考える。
 また合わせて、社会人経験者や学校ボランティア経験者等が、その経験を生かして、学校現場で活躍できるための柔軟な制度設計についても検討が必要である。
 以下、そうした視点を踏まえて、意見を提出する。

 1 教員養成の在り方について

(1)修士レベル化について

 修士レベル化の検討にあたっては、すべての教員が修士レベルを前提とするのではなく、学士課程を経ていち早く学校現場での実践経験を積んだ教員も修士を修了した者と同様に高い専門性を担保された免許状を取得できる、といった選択肢も保証するなど、多様な人材を確保する観点からの柔軟な制度設計が必要である。その際には、例えば、修士レベルで学ぶ学生を、設置者が講師等で任用し給与を支給できる制度についての検討もお願いしたい。
 また、修士段階における学校現場での実習の充実も重要であるが、現制度の下でも、実習受け入れ校の負担感が大きく、現状においても実習受入れ校への教員加配措置を講じる等の負担軽減措置を講じていただきたい。
 さらに、すべてを修士レベル化する場合も「教員志望者が減少する恐れがある」との懸念を払拭し、有為な人材を確保するために、給与面での優遇等、インセンティブが必要である。

(2)教員養成課程の充実について

 教員養成の修士レベル化等、検討すべき視点は多岐にわたるが、何よりも、現状の学士課程、主に教職課程の内容をより高度化・多様化し、4年間での学びを充実することが不可欠である。
 例えば、その方策の一つとして、子どもの実態を学び、実践的指導力とコミュニケーション能力を培う上で、学校現場でのボランティア活動は有意義であり、現在この活動の多くが、学生自身の主体性にゆだねられている現状であるが、大学においては、ボランティア活動の実績を単位認定する方向を検討されたい。 
 また、教育実習に教員になる意志が不分明な学生が多数参加している課題を解決するためにも、「教職インターンシップやボランティア単位の取得を教育実習の要件とする」「教育実習を、教員免許の取得要件と切り離し、教員採用試験の受験資格とする」など、教育実習が、真に教員を志す者に特化した制度となるよう検討する必要がある。
 なお、平成22年度入学生から導入される教職実践演習については実践的指導力を培ううえで大いに期待するところである。本格実施後に、成果・課題を速やかに吟味し、教職課程における位置づけや現行のインターンシップ、教育実習との関連を整理し、充実されたい。

(3)課程認定制度の厳格化について

 課程認定の厳格化にあたり、認証評価機構等を設置し、教育課程の趣旨目的がきっちり行われているのかを判定することが必要であり、また、教員の採用実績のみならず、採用後の勤務実績も加味した評価を行い、大学及び専門職大学院での教育内容に反映させる方途及び支援措置を講じる必要がある。

(4)実務家教員の大学(院)への派遣充実について

 教員の養成段階において、学校現場で必要となる高い専門性と実践力を養うためには、養成機関において、研究者教員と実務者教員が忌憚ない意見交換を行い、養成カリキュラムの改善に取り組むことが必要である。
 そのためにも、現在の教職大学院での成果を踏まえ、教育委員会との連携のもと、4年生大学等でも実務家教員の配置と講義の必修化など、教育現場の現状に即した課程を充実するための方策の検討が必要である。

2 「教員免許制度」及び「採用と学校現場への多様な人材の登用」の在り方について

(1)学校現場への人材登用の複線化について

 上記1(1)でも述べたが、様々な分野からの人材を確保してきた「開放制」の意義をふまえ、学校現場への人材登用については「複線的」であるべきであり、経験を積んだ社会人等がその専門性をいかして学校現場に採用される柔軟な制度設計が必要である。
 そうした中で、「一般免許状」保有者と「基礎免許状」保有者という新たな免許状体系の下において、当然、それぞれの者が学校教育活動において果たすべき責務に差を設けるべきではないが、組織内での役割の分化・組織の重層化が進むことが予想され、チームとして子どもたちの教育活動に取り組むための組織づくりが必要である。

(2)講師任用者の教員採用における優遇について

 地教行法第22条第6項は「臨時的任用は、正式採用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない」と規定している。
 本規定に対し、文科省としては「『臨時的任用』という経歴をもって、なんら試験を課さずに採用することをしてはいけない」との趣旨との認識であるが、今後、新たな教員免許状体系が検討される中で、各設置者の下で、高度な実践的指導力を養った臨時的任用者の本採用に関し、一層柔軟な対応ができるよう制度設計が必要である。

3 現職研修の在り方について

 教職生活全体を通じた資質能力の向上を制度として支援していくため、現職教員の専門職大学院への派遣研修は有意義であるが、多忙を極める現職教員の研修を支えるため派遣教員の所属校への「教員加配措置」の充実や、研修受講体制(場所や時間帯等)の充実について検討する必要がある。

4 教育委員会・大学等の関係機関の連携・協働について

 教員の養成・採用・研修の各段階について、総合的かつ一体的に充実するためには、学校現場、教育委員会、そして大学(院)が、それぞれの専門性をいかしつつ、例えば、上記した「教育委員会連携の下での、教員養成課程への実務者教員の派遣」や「教育大学の教職専門課程を一般大学の教職課程履修者が受講し、専門性を高めることができる制度設計」など、教育委員会と大学及び大学相互の連携を可能とする制度設計及びそれらに対する支援措置が不可欠である。

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成23年09月 --