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資料7 教員免許制度に関する関連答申〈抜粋〉

今後の教員免許制度の在り方について(答申)

(平成14年2月21日 中央教育審議会)

3.教員免許状の総合化・弾力化の方向性

(1)幼稚園,小学校,中学校,高等学校免許状
1 早期に対応すべき課題
 小学校高学年では,専科指導の充実も含めた指導方法(学習集団)の多様性が求められており,チームによる指導を推進する指導方法の在り方が課題となっていることから,小学校における各教科及び総合的な学習の時間の指導充実を図るため,教科に関する専門性の高い教員が担当できるよう免許制度上の措置を講じることが重要である。隣接学校種への理解や教員の複数校種での交流の促進を図るため,現職教員が他校種の免許状を取得する際に,教職経験を評価することによって,その取得を促進する制度の創設を図るべきである。
2 中長期的課題
 幼稚園・小学校・中学校・高等学校免許状の総合化について検討するためには,教育要領・学習指導要領の構造分析を含め,それぞれの免許状を取得するに当たって履修すべき科目について固有の専門性を有する部分と共通する部分についての整理,及び,心身の発達や生徒指導等に関する部分について,子どもの発達段階から見て,幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教員に共通の部分及び固有の専門性を有する部分の分析が不可欠である。そのため,今後,中長期的課題として,専門的・学術的な調査研究を進める必要がある。

(2)特殊教育諸学校免許状
 障害を持つ児童生徒等の重度・重複化等の課題に対応するため,盲・聾(ろう)・養護学校の免許状の総合化を早期に行うことが必要である。

(3)専修免許状
 専修免許状はある特定の分野の単位を修得した場合に取得するものとし,その修得単位の分野を適切に示すものとするよう改善すべきであるが,専修免許状の種類を専攻分野別の区分とするのは将来的な課題とし,現時点においては,現在の学校種教科別は維持しつつ,専修免許状に免許状取得のために履修した専攻分野を記載することによりその専門性(教員の得意分野)を明確にすることが必要である。


 教員免許状の総合化・弾力化については,その検討の背景を2.で概観したとおり,幼稚園,小学校,中学校及び高等学校免許状と特殊教育諸学校免許状とに分けて検討することが必要である。

(1)幼稚園・小学校・中学校・高等学校免許状

1 早期に対応すべき課題
 隣接学校種への理解や教員の複数校種での交流を促進するための措置をとることは,各学校段階間の連携を一層強化するため,早期に進めるべき課題である。
 現在,小学校においては,人間性を豊かにするために学級担任ができる限り子どもたちと触れ合い,一人一人の子どもを理解することが重要であることから,全教科担任制(「学習集団」と「生活集団」が一致)となっている。一方,前述したとおり,小学校高学年では,専科指導の充実も含めた指導方法(学習集団)の多様性が求められており,チームによる指導を推進する指導方法の在り方が課題となっていることから,小学校における各教科及び総合的な学習の時間の指導充実を図るため,各学校の事情等に応じ,教科に関する専門性の高い教員が担当できるよう免許制度上の措置を講じることが重要である。平成14年度から実施される新しい教育課程においては,体験的な学習や問題解決的な学習が重視されるとともに,国際化や情報化,環境問題等多様な課題への対応を踏まえつつ各教科の指導を行うことが求められており,小学校においても,教科に関する専門分野についての深い理解を持ち,多様な教授技術を備えている教員を確保し,各教科の指導を充実していくことが必要となっている。例えば,理科については,観察・実験などの過程や得られた結果について考察する中から,科学的な見方や考え方を育成するという特徴を持っており,また,近年の理数離れと指摘されている状況に対応し,児童の興味・関心・意欲を引き出す魅力ある授業を展開していく観点からも,発展的な学習を指導するなど各学校の実情等に応じ,高度な専門性が求められる場面もある。本年度から実施されている教職員定数改善計画により習熟度に応じた少人数指導を支援しているが,こうした場面での専門性の高い教員の確保も早急に対応すべき課題である。
 また,平成14年度から小学校において本格的に実施される総合的な学習の時間においては,国際理解,情報,環境,福祉・健康その他の課題について多様な学習活動が行われる。総合的な学習の時間を実施する上では,地域の人々など多様な人材の活用が求められており,その一環として,各学校の必要に応じ,専門性の高い教員を活用していくことが重要である。例えば,国際理解に関する学習の一環として外国語会話等の学習活動を行ったり,情報に関する学習を行ったりすることも考えられるが,小学校の教員は養成段階で専門的にこれらを学んでいないなど,小学校の各教科に含まれていない分野を指導できる教員の確保なども検討課題と考える。
 したがって,小学校における専科指導等の拡充を図るための措置を講ずる必要がある。また,小学校教員が中学校で自己の得意教科を教授したり,中学校教員が高等学校で教授することも有効な方策であるが,1.(3)で述べたように,小学校教員の63.0%が中学校免許状を保有しており,また,中学校教員の76.0%が高等学校免許状を保有する状況にあることから,当面は,複数校種免許状を保有する教員の活用により対応することが可能である。
 さらに,現行制度では,現職教員が他校種の免許状を取得しようとする場合,教員資格認定試験に合格する方法を除き,教職希望学生と同様,大学等で所要の単位を修得する方法しかない。例えば,幼稚園一種免許状を持つ教員が隣接する小学校一種免許状を取得しようとする場合,平成13年3月の免許法施行規則の改正により履修科目の弾力化が図られたが,それでも大学等で39単位を修得することが必要である。そこで,隣接学校種への理解や教員の複数校種での「双方向」の交流の促進を図るため,現職教員が他校種の免許状を取得する際に,教職経験を評価することによって,その取得を促進する制度の創設を図るべきである。
 この制度の創設により,幼稚園教員が小学校の各教科の指導に関する専門性を身に付けて小学校免許状を取得することにより小学校低学年等での指導を行ったり,小学校教員がある特定の教科に関する専門性や生徒指導の専門性を身に付けることにより中学校での指導を行ったり,高等学校教員が教職の専門性を身に付けることにより中学校における指導を行うことがより促進されると考える。
 これらの制度創設により,学校間連携が更に促進され,例えば,小学校・中学校の9か年を連続した児童・生徒の心身発達としてとらえた教育課程を実施することや,小学校の専科担当教員と中学校の教科担当教員とのティーム・ティーチングや合同授業,小・中学校間の連続性ある教育課程やカリキュラム編成のための連携協力といった様々な連携を積極的に展開し,地域が期待する学校教育を実施していくことが促進されると考える。

2 中長期的課題
 各学校段階間の連携を一層強化する方策として,教員が複数校種で教授できるよう学校種ごとの教員免許の総合化が考えられる。
 総合化のパターンとしては,例えば,幼稚園と小学校を一くくりにする「初等教育免許状」,中学校と高等学校を一くくりにする「中等教育免許状」,小学校と中学校とを一くくりにする「義務教育免許状」などの形態が考えられる。しかし,今すぐにこのような総合化を行おうとすると,

    ア 現状の各免許状の専門性を低下させずに免許状の総合化を行えば,当然のことながら要修得単位数が増加することとなる。例えば,小学校一種免許状と中学校一種免許状との総合化を行おうとした場合,現在の免許法の規定で考えた場合,要修得単位数59単位に加え44単位が必要となり,免許取得者の全体の単位数が卒業必要単位数を大幅に上回ることになりかねないため,教員の一般大学での養成が事実上困難となり,現行の開放制免許制度の維持が困難になるおそれがあること

    イ 免許状の総合化に関して出された意見については,関係団体から出されたものも含め,例えば,

    • 幼稚園・小学校,中学校・高等学校の総合化を図るべきとの意見
    • 小学校・中学校,中学校・高等学校の総合化を図るべきとの意見
    • 幼稚園と小学校低学年,小学校高学年と中学校の総合化を図るべきとの意見
    • 中学校・高等学校のみの総合化を図るべきとの意見
    • 小学校・中学校のみの総合化を図るべきとの意見
    • 小学校・中学校の総合化は困難とする意見
    • 幼稚園・小学校の総合化は困難とする意見

     など様々であり,それぞれの意見の評価を的確に行う必要があるにしても,現時点で総合化の在り方について一定の方向性を見いだすのが困難であること

    ウ 平成10年に改正されたばかりの免許制度(平成12年度大学入学者から適用)による養成の結果がまだ出ていない段階で,大学の教員養成カリキュラムに再び大幅な変更を余儀なくすること

 などの大きな問題点も指摘できる。今後,幼稚園・小学校・中学校・高等学校免許状の総合化について検討するためには,教員養成課程における要修得単位の単純な増加を避ける観点から,幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教育要領・学習指導要領の構造分析を含め,それぞれの免許状を取得するに当たって履修すべき科目について固有の専門性を有する部分と共通する部分についての整理をすることが必要である。また,心身の発達や生徒指導等に関する部分について,子どもの発達段階から見て,幼稚園・小学校・中学校・高等学校の教員に共通の部分及び固有の専門性を有する部分の分析が不可欠である。そのため,今後,中長期的課題として,専門的・学術的な調査研究を進める必要がある。
 この幼稚園・小学校・中学校・高等学校免許状の総合化に関する専門的・学術的調査研究を実施するに際しては,現在研究開発学校において取組がなされている幼稚園・小学校,小学校・中学校の連携,中高一貫教育などの学校間接続に関する実践研究を一層推進するとともに,その成果を積極的に活用することが有益と考える。なお,中学校及び高等学校においては,免許教科の壁が教員の連携の障害となっているとの指摘もある。これについては,当面は学校経営や教育実践上の課題として克服することが重要である。
 なお,免許状の総合化の検討に際しては,現在,小学校免許状の「教科に関する科目」については,1以上の教科につき8単位以上,幼稚園免許状の「教科に関する科目」については,幼稚園の教育課程に教科がないにもかかわらず一種免許状では6単位以上修得することとされているが,小学校及び幼稚園の「教科に関する科目」を見直し,各教科の指導法と合わせて幼稚園教育要領及び小学校学習指導要領に即した内容を教授する新たな分野を設けて,その中において指導することとすることも課題となろう。
 これらの中長期的課題については,小学校における専科指導の充実,研究開発学校における幼稚園・小学校・中学校の連携や中高一貫教育などの学校間接続に関する実践的研究の推進状況及び後述する特殊教育諸学校の総合免許状の創設とその運用状況を見極めつつ,今後,取り組まれることが望まれる。

(2)特殊教育諸学校免許状

 特殊教育諸学校免許状については,21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議最終報告において提言されているように,障害を持つ児童生徒等の重度・重複化等の課題に対応するため,盲・聾(ろう)・養護学校に区分されている免許状の総合化を早期に行うことが必要である。

(3)専修免許状

 教員免許状の総合化に関連して,専修免許状の在り方についても検討することが必要となろう。
 専修免許状は,昭和63年の免許法改正により創設された大学院修士課程修了レベルの免許状である。専修免許状は,大学院修士課程修了レベルの資質の高い教員を確保するとともに,一種免許状を有する現職教員が専修免許状を取得する道を開くことによりその研修意欲を高めることをねらいとして創設されたものであるが,処遇面を含めその位置付けが必ずしも明確でなかったことから,現職教員の保有率は,小学校教員が0.9%,中学校教員が1.7%,高等学校教員が28.0%(平成10年度)と低い割合にとどまっている。
 専修免許状については,従来から,例えば,学校教育専修の科目の修得で教科ごとの一種免許状が専修免許状になる現行の方式は専門性の観点から疑問が呈されてきた。このため,専修免許状はある特定の分野の単位を修得した場合に取得するものとし,その修得単位の分野を適切に示すものとするよう改善すべきである。専修免許状を教員の専門性を表すものとするためには,教員免許状の種類として,現在の一種免許状及び二種免許状を基礎となる免許状として,当該教員の教授可能な学校種及び教科を示すものとし,専修免許状は,当該教員の得意分野を示すものとして再構築し,現行の学校種別の区分を廃止して専攻分野別の区分(例えば,理科教育,環境教育,生徒指導等)として専門性を明確にすることが必要である。この場合,教員は,基礎となる免許状の1種類,又は,基礎となる免許状と専修免許状の2種類の免許状を持つことになり,また,専修免許状は専門分野別となるため,複数の取得が可能となる。
 さらに,専修免許状の取得要件として一定の現職経験と教育職員検定を必ず課すことにより,教員としての実践的な指導力や専門性を更に高めることができることなどから,専修免許状取得者について将来の給与面等における処遇の改善に資することが期待できる。このような制度改正を行った場合,学部から直接大学院修士課程へ進学した者については,大学院修了の際に専修免許状が取得できないこととなるが,大学院において必要な単位数を修得した者については,採用後の現職経験と教育職員検定のみで専修免許状を取得できるとする方法を設けることも考えられる。
 以上のような専修免許状の改善については,専修免許状取得者の処遇改善の見通し,免許状の総合化の検討状況,平成10年及び11年において,平成10年免許法改正による再課程認定を行ったばかりであること等大学の状況にかんがみ,専修免許状の種類を専攻分野別の区分とするのは将来的な課題とし,現時点においては,現在の学校種教科別は維持しつつ,専修免許状に免許状取得のために履修した専攻分野を記載することにより,専修免許状の専門性(教員の得意分野)を明確にすることが必要である。
 学校において様々な得意分野を持った教員が集まり,組織としての力を発揮することが期待されている。専修免許状に専攻分野を明記することにより,それぞれの得意分野を意識した教員配置を促進し,特色ある学校づくりが可能となると考える。

4.具体的方策

(1)中学校免許状等による小学校専科担任の拡大
 現在,中学校の音楽,美術等の免許状に限られている他校種免許状による小学校での専科担任制の分野の限定等を撤廃し,例えば,中学校又は高等学校理科免許状を有する教員が小学校の理科を,中学校又は高等学校数学免許状を有する教員が小学校の算数を担任できるようにするなどの措置を行う。
 中学校又は高等学校外国語免許状や高等学校情報免許状を有する教員などが小学校の総合的な学習の時間で教授できる方策を検討する。

(2)現職教員の隣接校種免許状の取得を促進する制度の創設
 現職教員が他校種免許状を取得できる機会を拡大し,複数校種の免許状を併有する者の増加を図るため,隣接校種免許状の取得を促進する制度を創設する。

(3)特殊教育総合免許状の創設
 盲・聾(ろう)・養護学校の別となっている特殊教育諸学校免許状の総合化については,早急に実現すべき課題として,教員養成部会に専門委員会を設けて具体的な検討を進めることとする。

(4)専修免許状に記載する専攻分野の区分の規定
 専修免許状に記載すべき大学院等での専攻分野の区分を免許法施行規則に具体的に規定する。

(1)中学校免許状等による小学校専科担任の拡大

 1.で述べたとおり,現在,当分の間の措置として,音楽,美術,保健体育又は家庭の教科について中学校の教諭の免許状を有する者は,それぞれその免許状に係る教科に相当する教科の教授を担任する小学校の教諭又は講師となることができることとされている(免許法附則第3項)。この規定については,免許法制定当初は,これらの教科を担任できる教員が不足していたことから当分の間の措置として規定されたものであったが,当分の間の措置とする現在の免許法附則第3項を,相当免許状主義の原則は維持しつつ小学校における専科指導の拡充の観点から見直し,分野の限定等を撤廃し,例えば,中学校又は高等学校理科免許状を有する教員が小学校の理科を,中学校又は高等学校数学免許状を有する教員が小学校の算数を担任できるようにするなどの措置を行う。
 また,中学校又は高等学校外国語免許状や高等学校情報免許状を有する教員などが小学校の総合的な学習の時間で教授できる方策を検討する。
 なお,以上の措置は,全教科担任制や小学校教員の専門性を否定するものではなく,教科専門性の高い教員を小学校で活用することにより,児童一人一人の学習の進展や,学級担任が学習や生活への全体的な支援に専念できることなどを目的としたものである。中学校や高等学校の教員が小学校における授業を担うとしても,小学校段階における教科等の目標やねらい,児童の発達段階等を踏まえ,教員間の連携を密にして指導に当たらなければならないことは言うまでもない。

(2)現職教員の隣接校種免許状の取得を促進する制度の創設

 現職教員が他校種免許状を取得できる機会を拡大し,複数校種の免許状を併有する者の増加を図るため,隣接校種免許状の取得を促進する制度を創設する。具体的には,教職経験による要修得単位数の軽減を図り,また,免許法認定講習等での単位修得により,幼稚園教員が小学校免許状を,小学校教員が幼稚園免許状又は中学校免許状を,中学校教員が小学校免許状又は高等学校免許状を,高等学校教員が中学校免許状を取得することを可能とすることが考えられる。

(3)特殊教育総合免許状の創設

 現在,盲・聾(ろう)・養護学校の別となっている特殊教育諸学校免許状の総合化については,早急に実現すべき課題として,教員養成部会に専門委員会を設けて具体的な検討を進めることとする。

(4)専修免許状に記載する専攻分野の区分の規定

 現在の免許状の区分を維持しつつ,専修免許状の専門性(教員の得意分野)を明確にするため,専修免許状に記載すべき大学院等での専攻分野の区分を免許法施行規則に具体的に規定する。区分例としては,例えば,以下のようなものがあると考える。

  • 国語科教育,理科教育,社会科教育等 
  • 生物学・化学・物理学・地学等
  • 国際理解教育
  • 環境教育
  • 日本語教育
  • 生徒指導
  • 進路指導
  • 教育臨床
  • 幼児教育
  • 学校経営
  • 生涯学習

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初等中等教育局教職員課

-- 登録:平成23年10月 --