ここからサイトの主なメニューです

資料2-7.全国専修学校各種学校総連合会からの意見

平成21年10月19日

中央教育審議会 キャリア教育・職業教育特別部会
部会長 田村哲夫様

全国専修学校各種学校総連合会

「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」審議経過報告への意見
 

 貴特別部会にて、鋭意、キャリア教育・職業教育を巡る課題、充実に向けた改革等について議論を重ねられておりますことに、深く敬意を表するとともに、標題の審議経過報告に対して意見発表の機会を設けていただきましたことに、感謝申し上げます。
 これまでに専門的かつ多様な職業教育を実践し、職業教育の重要性や職業教育体系の構築の必要性等を訴えてまいりました全国の専修学校を代表して、以下のとおり、本会の意見・要望を申し述べます。引き続き、学校におけるキャリア教育・職業教育の充実方策の具体化や実現に向けて、ご審議いただきますよう、お願い申し上げます。


【1】改革の基本的方向性について
○ 「1現状と課題」での指摘事項は、小学校から大学にいたる普通教育・学術教育を重視する、単線型の学校教育の体系に大きな原因があると考えます。この体系では、特に職業教育の役割や機能等は、教育段階別あるいは学校別に分断され、その規模や教育段階の間の接続などが、社会や地域、学校の事情に影響されやすくなっていると考えます。
○ そのため、産業構造や雇用情勢あるいは学習ニーズなどの時々の変化に応じて、学校教育としての職業教育の在り方や比重の置き方も変化し、例えば、専門高校を中心とした高等学校の再編が行われたり、企業も学校での職業教育に意味を見出しにくくなったり、職業教育の本来の在り方から乖離した実態が表面化してきたと言えます。
○ また、専修学校は学校教育法第1条に規定する学校ではありませんが、今回の報告は、後期中等教育段階で高等専修学校、高等教育段階で専門学校を取り上げています。専修学校は、教育内容・方法や人材育成の実績、国が職業教育力の強化・発揮を支援してきた期待感などから、中核的な職業教育機関であることは論を待たないところであります。
○ “人財”が我が国の持続的な発展を可能とするとし、「教育立国」の実現を目指す上では、学(校)歴偏重を引き起こしている現在の教育体系を抜本的に見直し、様々な教育資源を活用して生涯にわたっての職業教育の実質化を図ることが、改革の方向性として求められます。
○ 以上の点から、今回の報告が掲げた学校教育で推進すべきとする「社会・職業との関わりを重視した教育の改善・充実」、「職業教育の体系的な整備」及び「生涯学習の観点でのキャリア形成支援の充実」という3つの改革の基本的方向性には、賛意を表するものであります。
○ 教育段階相互に連続性ある職業教育の体系を構築し、単線型から複線型への転換を果たすとともに、各教育段階の学校ごとの役割や機能、相互の連携・協力の在り方を明確にして、キャリア教育・職業教育の効果を最大限に高めていけるよう、引き続き、専修学校を含めた総合的な充実・振興方策を具体化していただくよう、お願いします。


【2】高等教育機関における職業教育の在り方について
(1)職業実践的な教育に特化した枠組み
1.必要性等について
○ 職業実践的な教育に特化した枠組みの制度化(職業教育に特化した新たな高等教育機関の創設)は、職業教育体系の構築に向けた最重要課題として、本会が提案したものです。その必要性は、「3.各高等教育機関における職業教育の充実と、職業実践的な教育に特化した枠組みの整備 (2)職業実践的な教育に特化した枠組みの必要性(31ページ)」で指摘されていますが、次の点も挙げられます。
○ 学校教育として職業教育を行う高等教育機関を新たに制度化することは、「職業教育の重要性に対する認識不足」といった社会全体の意識を改革する意義のある方策であり、教育現場で見られる「学力の向上=大学や短期大学への現役進学率の上昇=教育目標の達成」といった誤った教育に対する評価を見直す契機になると考えます。
○ また、学校教育の選択肢として、職業教育に特化した新たな高等教育機関が具体的な目標となることは、生徒の目的意識の明確化や学習態度等の改善にも資するものであり、高等教育全体の質の向上に繋がります。
○ 現在、職業教育を担っている短期高等教育の占める割合が減少しています。つまり、既存の高等教育機関においてこそ職業教育が明確に整理されていない現実がありますので、新たな高等教育機関を創設して、各機関固有の職業教育の在り方・充実策を整理する必要があると考えます。

2.イメージ等について
○ 「3.各高等教育機関における職業教育の充実と、職業実践的な教育に特化した枠組みの整備 (2)職業実践的な教育に特化した枠組みのイメージ(33ページ)」に示した各項目について、本会としての考え方を以下に提示します。
○ 2.教育課程について、国家資格等が整備されている職業領域の課程では、法令上でカリキュラムや実習等の時間を規定していますので、当該制度の活用が考えられます。それ以外の職業領域の課程では、社会との連携・対話の制度的確保として、例えば、調整の要となる担当教員の資格要件を定め、配置を義務づけることも考えられます。
○ 3.教員資格・教員構成について、教育課程と同様、国家資格等が整備されている職業領域の課程では、法令上で規定された教員資格の活用が考えられます。それ以外の職業領域の課程では、実務卓越性を重視する観点から、実務経験の内容・期間などの知識や技能の卓越性のほか、例えば、職業にかかる知識や技能の分析力・構想力といった一定の学術性、カウンセリング能力などを要件に定めることが考えられます。
○ また、上記の調整の要となる教員を含む教員の資格要件に関連し、当該職業領域の諸資格・試験制度等を活用した認定制度の整備、企業への一定期間の派遣などの知識や技術の更新に必要な組織的な研修制度の義務化なども、あわせて検討する必要があります。
○ 5.修業年限について、多様な職業・業種に対する枠組みでは、一律の履修期間のもとで教育することは必ずしも効率的ではなく、例えば、職業・業種ごとに応じて適切な履修期間を設定して教育を行い、必要に応じて再教育を行う枠組みなども考え、「2年若しくは3年の課程、又は4年以上の課程」が適当と考えます。
○ さらに教育課程の編成段階から継続的なチェックシステムを導入し、プログラムの品質を維持することが重要と考えます。卒業者の専門的な職業能力や「高等教育における職業教育を通じて育成することが求められる能力(26ページ)」などに対する企業個別のチェックとともに、職業領域別に、全国規模の第三者評価を実施することも重要と考えます。
○ なお、新たな枠組みで育成する職業人の想定分野(34ページ)については、様々な職業・業種の高度専門職を支援する中堅的人材、将来の高度専門職人材などを育成するため、分野を幅広く捉えるべきと考えます。特に地域で求められる専門職人材を持続的に育成する観点から、小規模な課程の編成を認める制度設計が必要と考えます。

(2)専門学校の職業教育の充実の方向性
1. 専門学校制度の整備について
○ 「3.各高等教育機関における職業教育の充実と、職業実践的な教育に特化した枠組みの整備 (2)各高等教育機関における職業教育の充実の方向性 3.専門学校(31ページ)」のとおり、専門学校の特色は『制度的柔軟性を生かした弾力的な職業教育の展開』です。
○ 専門学校の職業教育の充実の方向性としては、この制度的柔軟性を維持することを前提として、教育段階の連続性や他の高等教育機関の教育との連携・協力などを踏まえた施策を具体化することが求められます。
○ 例えば、専門学校は専修学校制度の一課程として設計されています。専門学校が他の教育段階の課程を併設する場合など、学校名称だけで教育段階を判断しにくく、社会的な誤解を招くこともあります。専門学校を高等教育機関として名実ともに位置づけるため、社会から見て分かりやすい制度に整備していく必要があります。
○ また、看護師、理容師・美容師、保育士など国家資格に係る養成制度では、通信教育が整備されています。しかし、専門学校制度には通信教育の規定がなく、付帯的な教育活動として実施するため、通信教育の修了者に、専門士や高度専門士の称号、大学編入学や大学院入学の資格を付与することが認められていません。専門学校の職業教育を広く国民に提供する仕組みとして、通信教育課程の制度化が必要であります。
○ 他方、専門学校における職業教育の質の保証は重要な課題です。学校評価(自己点検・自己評価)は、20年度の義務化以前から本会や関係団体が研究研修事業を実施し、第三者評価も義務化を念頭に置いて、特定非営利活動法人私立専門学校等評価研究機構が19年度から実施していますが、実績は低い状況にあります。また、教員の能力開発(FD)も、原則として各校の自主的な判断に委ねられています。
○ 本会としては、各専門学校が質の保証に積極的に対応し、社会的な説明責任を果たしていくため、組織的な体制の整備などを促進していきたいと考えます。国においても、学校評価ガイドラインの策定や第三者評価制度の導入の検討、評価や研修研究のモデル事業の実施について支援をお願いします。

2.  他の学校と異なる取扱いの是正について
○ 専門学校は学校教育法第124条(専修学校)に規定され、同法第1条に定める学校ではありません。この第1条は教育の分野だけでなく、他の様々な法令で引用されているため、専門学校は、他の高等教育機関とは異なる取扱いを受けています。
○ 今回の報告では、「激甚災害時における財政援助」という激甚災害法を例示しています。校舎や施設設備に甚大な被害が生じたときの災害復旧事業の対象に、専門学校(専修学校)は含まれていません。過去の震災では特例的に適用を受けましたが、法律が改正されないまま現在に至っており、社会システムの大きな欠陥と言えます。
○ その他、留学生関係(留学希望者への情報提供、日本語能力の要件、留学生への財政支援及び卒後の就労要件など)、公的資格・試験の受験資格(履修科目、実務経験年数など)や通学定期の指定基準(指定期間、夜間課程での指定要件など)で異なる取扱いがあり、学生の時間的・経済的負担が増大しています。
○ このような異なる取扱いについて、それぞれの制度ごとを個別に精査した上で、関係省庁等と協議を行い、改善していく必要があります。


【3】後期中等教育機関におけるキャリア教育・職業教育の在り方~高等専修学校~について
1. 高等専修学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方等について
○ ほぼ全ての中学校卒業者が進学する現在、「2.後期中等教育におけるキャリア教育・職業教育の基本的な考え方(13ページ)」のとおり、後期中等教育段階において、生徒一人一人の卒業後の社会人・職業人としての自立を前提として、キャリア教育・職業教育を充実することに、賛意を表するものであります。
○ この考え方は、明確な目標を持った生徒、不登校経験のある生徒、高等学校教育に馴染めず中退した生徒、発達障害をもつ生徒など、様々な理由から進学してくる生徒に対して、職業を題材として、生徒が自信をつけて、学習する内容に自ら意味を見出し、社会に出る意識を高める教育を実践する高等専修学校の存在意義そのものと言えます。
○ 後期中等教育段階での議論の中心は、当然ながら義務教育ではないものの国民的な教育機関となった高等学校になることと理解しています。しかし、高等学校制度の枠にとらわれずに、規模が小さな高等専修学校制度にも目を向けて、多様な生徒のニーズに対応した職業教育の機会を保障することが重要と考えます。
○ 特に高等専修学校制度は、教育課程、教科書及び教員資格等が柔軟に設計され、地域の事情など細かい要請にも応え得る利点があります。後期中等教育段階の多様な職業教育の実践の拠点として、高等専修学校を積極的に活用するため、専門学校と同様、分かりやすい制度への見直し、通信教育課程の制度化などが必要になります。
○ また、生徒や保護者が進路を相談する最も身近な存在として、「中学校の教員は、生徒が将来就くであろう様々な職業に対する知識や理解を前提に、高等学校のみならず専修学校等も含めた卒業後の進路先の正確な知識や理解の下、適切な進路指導を行う(16ページ)」ことを実現するため、小中高等学校の教員あるいは児童生徒や保護者等への情報提供など、具体的な措置を講ずることをお願いします。
○ なお、高等学校でのキャリア教育・職業教育の充実において、今後、学習指導要領の適用や教員の任用などについて弾力的な措置を講ずるなど、高等学校制度の根幹を大幅に改革する方向が模索されるとするならば、後期中等教育段階では、高等専修学校制度こそ職業教育に特化した新たな枠組みとして位置づける方向で検討すべきと考えます。

2.  他の学校と異なる取扱いの是正について
○ 前述の専門学校と同じ理由から、高等専修学校と、他の後期中等教育機関との間で起きている異なる取扱いについても、改善していく必要があります。
○ 特に高等専修学校では、日本スポーツ振興センターの災害共済給付の加入対象に含まれていない特有の課題があります。そのため管理下における災害に対し、低額な掛金のもとで十分な補償を行うことができず、体育活動を実施しない、あるいは高額な民間の保険制度に加入せざるを得ないといった、教育的かつ経済的な問題が生じています。

お問い合わせ先

生涯学習政策局政策課(内線3277)