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資料2-2.全国公立短期大学協会からの意見

公短大協第48号
平成21年10月19日

中央教育審議会
キャリア教育・職業教育特別部会
    部会長  田村 哲夫 様 

全国公立短期大学協会
会長 上條 宏之

「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(審議経過報告)」に対する意見

 標記の審議経過報告に対し、以下の通り本協会の意見を提出します。

1、 生徒・学生に求められるキャリア教育・職業教育における基礎的・汎用的能力養成について、初等中等教育、高等教育それぞれの段階に即して明らかにするとともに、発達段階に応じてその確実な育成を図り、その質を保証していくための体系的なカリキュラム教育の充実方策策定等、画期的で困難な課題に対し精力的かつご熱心な審議に当たられた委員各位に敬意を表しますとともに、この度の審議経過報告に対し基本的に賛意を表明します。


2、 公立短期大学の歩みと現況
 (1)我が国の短期大学制度は、昭和25年に、諸々の事情や経緯の中で「暫定的措置」として発足。平成22年5月で60周年を迎える。公立短期大学は当初、女子高等教育、実業教育、勤労者教育などを柱とした地域住民の高等教育の要求をかなえるべく17校でスタート。その後関係者の様々な努力により学校教育法の改正(昭和39年6月)により、附則の「暫定規定」が削除され、「深く専門の学芸を教授研究し、職業、又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的」とする短期大学制度の恒久化が図られる。
  その後、全国公立短期大学協会(以下「公短協」という。)は、「短期大学は、大学としての実質と機能を備えたものでなければならない。」という基本的視点から、公立短大は地域における学術・文化の発展を推進する役割を担うものであり、教育・内容・方法諸条件の改善では質の保持の観点から専任教員数の引き上げを要望、また、研究体制面では大学学部と同等にすること、大学間交流と開放の積極的推進、地域住民の生涯学習への配慮など教育・研究の地域社会への積極的貢献の必要性を提起(「公立短期大学の在り方に関する意見」(昭和49年、公短協)し、公立短大の水準向上とその発展に努めてきている。

 (2)平成年代に入り、18歳人口の減少、女性の四大志向の高まり、また社会の高度化・成熟化の進行、国際化、情報化、少子化、高齢化などを背景とした価値観やシステムの変化によって、これまで地域社会の身近なところでの高等教育機会を提供し、比較的安価な授業料と質の保持により地域の一定の評価を得てきた公立短大にとっても、存続をかけた厳しい状況に置かれることとなった。
  平成21年度の公立短期大学数は26校(うち協会会員校は21校)、学生数9,973人(うち協会会員校9,127人)である。学校数は、平成8年度ピーク時の63校と比較して約40%の規模に減少しており、医療・保健系を中心とした四大化(25校→5校,△20校)や四大志向等による大都市圏所在の公立短大の四大化(平成21年現在、三大都市には公立短大が皆無の状況。)による減少が顕著である。

 (3)平成21年5月1日現在の公短協の調査では、入学志願倍率(志願者/定員)は2.74倍(平成20年度2.67倍)、合格競争率(受験者/合格者)は1.72倍(平成20年度1.76倍)であり、所在都道府県内の学生の割合は62.73%(平成20年度66.28%)となっている。また、卒業生の平均就職率は65.26%(平成19年度68.77%)、平均進学率は18.90%(平成19年度18.58%)で、就職者の県内就職率は63.48%(平成19年度64.70%)となっている。全体として逓減傾向にあるが、地域の実情に即して短期高等教育機関としての特色あるミッションの実現に積極的に努めている。


3、 「審議経過報告」(「4 高等教育における職業教育の在り方」を中心に)に関する会員校からの意見等
 (1)(26~27ページ)高等教育における職業教育を通じて育成することが求められる3つの共通能力を設定することは同意できるが、これらを育んでいくためにはこれらを内包したカリキュラム開発が必要であることを明記されたい。

 (2)(27ページ)「各高等教育機関における職業教育の現状と課題」中の「1.大学・短期大学」の「人文科学、社会科学等の分野では、専門分野と職業との結び付きは必ずしも強くないのが現状である。」に関し、経済科の短期大学であるが、「中心的な教育目標を、社会人及び一般的職業人育成と具体的職業人育成に置く。」とし、そのために、この間以下のような取組を行ってきた。
  (1)導入教育の強化:
   大学での学び方、卒業後の進路を意識した学びへの導入として「学ぶ・働く」という全員履修科目を1年前期に設定。

  (2)コミュニケーション能力の育成:
   いかなる分野に進むにも不可欠な能力として重視。

  (3)経済学教育の改革と経営学の強化:
   自分の頭で経済を理解するための基礎的な素養として経済学教育の中身の改革。卒業後の編入学、就職を考慮し、経済学を狭く限定せず、経営学の分野を拡充。

  (4)外国語教育・簿記会計教育・情報処理教育の改革:
    現実の変化に対応した教育システムへの改革。

  (5)地域との連携:
   学生が地域の実情を体系的に理解するための特定の「地域学入門」(例えば、大月短期大学における「大月学入門」)といった講座で地域の人が講義。また、地域の地域再生活動に学生が参加する「地域実習」の設置。

 (3)(28ページ)「短期大学の実学重視」に関し、実際の業務独占資格の養成分野での専門能力と職業横断的な実務能力の育成は理解できるが、こうした場合、特に「教養教育」の影が薄くなりがちで、専門学校化することへの配慮を明記されたい。

 (4)(30ページ)「高等教育機関における職業教育の充実の方向性」に関し、述べられていることは理念として理解できるが、抽象的であるため、できれば具体的なカリキュラムや実践例を示していただきたい。
  (30~31ページ)「高等教育機関における職業教育の充実の方向性(特に短期大学について)」に関し、「理論的背景をもった分析的・批判的見地を備えた専門的知識・技能の修得」に、「職業横断的な」を挿入した方がよいのではないか。

 (5)(33ページ)「職業実践的な教育に特化した枠組み」に関連して、現存の短期大学の取組として、地域や企業との連携、その中での実習・演習などを強化することを追求している立場から、短期大学の修業年限を弾力的に運用できる枠組みについても検討していただきたい。例えば、実習・演習などに力を注ぐ場合、3年で卒業することを、留年ではなく、正規の年限としての卒業認定ができるようにすること。

 (6)(33~34ページ)「職業実践的な教育に特化した枠組みのイメージ」について、「1.目的」~「6.その他の校舎、専任教員数等の基準」を挙げ、「(5)具体的な制度化の検討」の方法を、「大枠として1.大学制度の枠組みにおける検討と、2.大学・短期大学等と別の学校としての検討が考えられる。」とすることには、検討の在り方として理解できる。しかし、「別の学校としての検討」が、「大学制度の枠組みにおける検討」と切り離されて一人歩きすると、後者が充分行われなくなる恐れがある。加えて、大学制度の枠組みが現在「学士課程の質の向上」「国際的な高等教育の質保証」等の視点から問われ、短期大学にあってはキャリア教育・職業教育における存在意義が社会的ニーズとのギャップ等から見直されているのみならず、18歳人口の減少から私立短期大学の定員割れが70%近い状況にあることを考えると、それと無関係に、「別の学校」がキャリア教育・職業教育に有効な形で制度設計できると思われない。課題は大きく、影響が大学制度そのものの在り方に及ぶと思われるので、総合的かつ慎重な審議をお願いしたい。

 (7)(39ページ)「学校と産業界をはじめとする地域の連携」、「学校間や関係府省間等の連携」に関し、これからは産学官の連携の中で、とりわけカリキュラム等に踏み込んだ産学の融合が、大学側の主体性を侵すことなく行われることが重要であると考える。産学の障壁を低くすることにより、企業人が必要に応じて大学で学び、それを仕事に生かして行くことを容易にすることができる。また、大学も企業が直面している課題にリアルタイムで接し、教育や研究に反映させていくことが可能となる。その際、大学も単体としてでなく、地域の複数の大学・短大・高専によるコンソーシアムのような連携を活かし、現在以上の戦略的連携を明確に築くことが望まれる。
  また、厚生労働省が推進しつつあるジョブカード制度は、現在のところ、学校教育終了後を視野においているようであるが、これについても高等教育段階での職業教育の成果がジョブカードに記載できるようにしたり、高等教育機関での社会人等の再教育の成果がカードに反映されるようにし、併せて、社会的に認知される条件整備が望ましいと考える。

 (8)(40ページ)「学校間の連携・協力等」に関し、これまでの連携・接続の多くは「イベント」であった。今後重要なことは、双方の協働によるキャリア教育のカリキュラムマネジメントの開発である。


以上

 

お問合せ先

生涯学習政策局政策課(内線3277)

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