資料4 公益社団法人日本PTA全国協議会提出資料

中央教育審議会「今後の地方教育行政の在り方について」(審議経過報告)に関する意見

                 
                              平成25年10月29日
                      公益社団法人日本PTA全国協議会 

 本会はこれまで、子どもたちの心身ともに健全な成長を図るため、家庭・学校・地域社会との密接な連携を基盤に、学校活動の支援のための活動を展開してまいりました。少子高齢化が進行し人口減少も予測される時代状況の中で、明日の社会を支える役割を担う子どもたちが生き抜く力を身に着け、健やかに成長し、社会で活躍できる人材となるよう育っていくことは、保護者共通の切なる願いであることを改めて訴えたいと思います。

1 教育委員会制度の在り方について

○ 公立小・中学校に子どもを通わせる保護者の立場としては、児童や生徒の確実な学力向上といじめのない学校づくりを実現するため、教育行政に保護者・地域住民の意向を直接反映でき、子どもの育成に関わる部局ともより連携しやすい改革を早急に進めていただきたいと思います。

○ また、教育委員会においては、保護者や地域社会の多様な意見を汲み取っていただくために、審議経過報告にもあるように、教育に深い関心と熱意を有する者や、学校支援地域本部等の経験者が教育委員として選任されることは有効であると考えます。

2 教育行政における国,都道府県,市町村の役割分担と各々の関係の在り方について

○ 以前と比べても、学校が果たすべき役割は非常に多様化しており、教職員が多忙化している状況が見られます。学校現場では、子どもたちのために教職員が身を粉にして献身的な取組をしていますが、教職員が全力をあげて打ち込むことができるような、学校づくりや学級づくりが実現できる仕組みの構築をお願いします。また,審議経過報告にもあるように、頑張っている教職員に対して、教育現場の士気を高める方策をぜひ進めていただきたいと思います。

3 学校と教育行政,保護者・地域住民との関係の在り方について

○ 急速な社会環境の変化により、学校に関する問題も顕在化し、以前のように学校だけで解決できる問題も少なくなっていると実感しています。要因として「家庭教育力の低下」、「地域コミュニティの希薄化」、「教員の多忙化」などが挙げられます。


○ そのような中、小中学校等における学校支援地域本部は、PTAをはじめ地域住民が、学校支援ボランティアなどに参加するつなぎの役割を果たしており、家庭・学校・地域社会の連携を進めつつ、子どもの成長や教員の負担軽減、学校経営の改善など様々な問題解決に役立っており、非常に重要な取組であると感じています。今後益々大きな期待が寄せられています。

○ ここで本会が毎年行っています「教育に関する保護者の意識調査」(平成24年3月:日本PTA全国協議会)から関連するデータをお知らせします。
 学校支援地域本部の認知度ですが、60.5%の保護者が知っています。
 また、学校支援地域本部の効果を聞いたところ、「学校や地域との交流が増えた」(38.8%)、「学校が身近に感じるようになった」(32.8%)、「学校や地域のことについて、家庭内での会話が増えた」(16.5%)との回答です
 (複数回答)。
 子どもがどのように変化したかを聞いた設問では「地域の人にも挨拶をするようになった」(50.1%)、少数意見でしたが「学力が向上した」(1.5%)という答えもありました(複数回答)。これらの結果から、保護者は学校支援地域本部事業の成果について、肯定的な評価をしていると言えます。
更には今後実施すべきかの設問でも「実施すべきと答えた保護者」が59.3%と、多くの保護者が肯定的であることがわかります。
 一方、コミュニティ・スクールの認知度は12.6%と残念ながら非常に低い値となっています。周知には更なる創意工夫が必要であると考えます。

○ 子どもたちは,学校における教育やPTA活動,学校支援地域本部などの社会教育によって、実に貴重な経験をしてきており、人格形成の上でも有意義なものと考えています。それには、学校支援地域本部、放課後子ども教室やコミュニティ・スクールなど、学校と地域社会が連携・協力する環境づくりを今後さらに推進していくことが必要であり、子どもの健やかな成長という視点に立って、その支援の充実が図られることが大切であると考えます。
一方で、これらの事業の導入に当たっては、基本的なことですが、開かれた学校と言いながらも、閉鎖的な学校が多いことも事実であり、学校長や教職員の理解が不可欠です。このため、保護者が事業の意義を十分理解でき、学校に信頼を寄せることができるような仕組みや手立てを講じていただきたいと思います。

今後、PTAとしましても、子どもたちの健やかな成長を図るため、積極的に連携・協力を行ってまいります。

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